JP2019067960A - インダクタ基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行っても、絶縁層と導体層との間の密着性の低下が抑制される、樹脂組成物層に磁性フィラーを含有する支持体付き樹脂シートを用いたインダクタ基板の製造方法等の提供。【解決手段】(A)支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含む支持体付き樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板に積層する工程、(B)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、(C)絶縁層に穴あけ加工する工程、(D)絶縁層表面に、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行う工程、及び(E)湿式デスミア処理が行われた絶縁層の表面に導体層を形成する工程、をこの順で含み、樹脂組成物層は、磁性フィラーを含む樹脂組成物から形成されており、pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持したときの磁性フィラーの重量減少率が0%以上40%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、インダクタ基板の製造方法、及びその製造方法に用いられる樹脂組成物、並びに支持体付き樹脂シートに関する。
パワーインダクタ、高周波帯域用インダクタ、コモンモードチョークコイルと呼ばれるインダクタは、携帯電話機、スマートフォンなどの情報端末に数多く搭載されている。従来は独立したインダクタ部品がプリント配線板上に実装されていたが、近年はプリント配線板の導体パターンによりコイルを形成し、インダクタをプリント配線板の内部に設ける手法が行われるようになってきている。
例えば、特許文献1には、多層基板の複数層に複数回巻きの渦巻状導体パターンを形成し、各層の導体パターンの端を上層および下層と層間接続し、全体としてらせん状のコイルを形成した、インダクタが内蔵された多層プリント配線板が開示されている。また特許文献2には、プリント配線板の薄型化のため、インダクタ基板をプリント配線板のコア基板に内蔵することが開示されている。
このように絶縁層上に形成される複数の導体パターンによりインダクタを形成したインダクタ基板を製造する場合、絶縁層を形成するための材料としては、従来から多層プリント配線板のビルドアップ工法に使用されている樹脂組成物に磁性材料を含有させることが考えられる。このような樹脂組成物を用いて形成した絶縁層を用いれば、インダクタンス値を高くすることができ、またインダクタ外への磁力線の漏れも防ぐことができる。例えば、特許文献2には、支持体付き樹脂シートの樹脂組成物層を構成する樹脂組成物に磁性フィラーを含有させ、形成される絶縁層を磁性体とすることが開示されている。
特開2009−16504号公報 特開2012−186440号公報
本発明者らが鋭意検討したところ、ビルドアップ工法において、樹脂組成物層に磁性フィラーを含有する支持体付き樹脂シートを用いて、絶縁層上に導体層を形成する際に湿式デスミア処理を行ったところ、湿式デスミア処理に用いる酸化剤溶液により磁性フィラーの溶解に起因して、絶縁層表面の粗化形状が悪化し、形成される導体層に膨れが生じるなど、絶縁層と導体層との間の密着性(ピール強度)が低下するということを知見した。また、本発明者らは、磁性体となる絶縁層の透磁率(比透磁率)を上げるため、樹脂組成物中に磁性フィラーを高い含有量で配合させると、密着性の低下が特に顕著であることも知見した。
よって本発明の課題は、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行っても、絶縁層と導体層との間の密着性の低下が抑制される、樹脂組成物層に磁性フィラーを含有する支持体付き樹脂シートを用いたインダクタ基板の製造方法、及びその製造方法に用いられる樹脂組成物、並びに支持体付き樹脂シートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持させたときの重量減少率が所定の範囲内となる磁性フィラーを樹脂組成物に含有させることにより、絶縁層と導体層との間の密着性の低下が抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含む支持体付き樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板に積層する工程、
(B)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、
(C)絶縁層に穴あけ加工する工程、
(D)絶縁層表面に、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行う工程、及び
(E)湿式デスミア処理が行われた絶縁層の表面に導体層を形成する工程、
をこの順で含み、複数の絶縁層と複数の導体層とによりインダクタが形成されるインダクタ基板の製造方法であって、
樹脂組成物層は、磁性フィラーを含む樹脂組成物から形成されており、
pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持したときの磁性フィラーの重量減少率が0%以上40%以下である、インダクタ基板の製造方法。
[2] 磁性フィラーが、磁性粉末と磁性粉末を被覆する被覆層とを有する、[1]に記載のインダクタ基板の製造方法。
[3] 被覆層が、アクリル樹脂、及びケイ素酸化合物の少なくともいずれかである、[2]に記載のインダクタ基板の製造方法。
[4] 磁性フィラーの含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%以上95質量%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[5] 磁性フィラーの含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、60質量%以上95質量%以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[6] 樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[7] エポキシ樹脂の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%以上40質量%以下である、[6]に記載のインダクタ基板の製造方法。
[8] 樹脂組成物が、活性エステル化合物を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[9] 活性エステル化合物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%以上40質量%以下である、[8]に記載のインダクタ基板の製造方法。
[10] 樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[11] 熱可塑性樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分を100質量%とした場合、0.1質量%以上20質量%以下である、[10]に記載のインダクタ基板の製造方法。
[12] 工程(B)と工程(C)との間、又は工程(C)の後に、支持体を剥離する、[1]〜[11]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[13] 工程(C)は、レーザーにより穴あけ加工が行われる、[1]〜[12]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[14] 工程(E)が、湿式めっき法により行われる、[1]〜[13]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[15] 磁性フィラーの平均粒子径が、0.01μm以上8μm以下である、[1]〜[14]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[16] 磁性フィラーのアスペクト比が、2以下である、[1]〜[15]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[17] 磁性フィラーが、Si、Al、及びCrから選ばれる1種以上の元素を含むFe合金類を含む、[1]〜[16]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[18] 絶縁層の比透磁率が、1より大きい、[1]〜[17]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[19] 絶縁層の損失係数が、0.07以下である、[1]〜[18]のいずれかに記載のインダクタ基板の製造方法。
[20] pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持における重量減少率が0%以上40%以下である磁性フィラーを含み、複数の絶縁層と複数の導体層によりインダクタが形成されるインダクタ基板の絶縁層形成用である、樹脂組成物。
[21] 支持体と、該支持体上に設けられた、[20]に記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層とを含む、支持体付き樹脂シート。
本発明によれば、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行っても、絶縁層と導体層との間の密着性の低下が抑制される、樹脂組成物層に磁性フィラーを含有する支持体付き樹脂シートを用いたインダクタ基板の製造方法、及びその製造方法に用いられる樹脂組成物、並びに支持体付き樹脂シートを提供することができる。
図1は、一例としてのインダクタ素子内蔵配線板の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図2は、一例としてのインダクタ素子内蔵配線板の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図3は、一例としてのインダクタ素子内蔵配線板の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図4は、一例としてのインダクタ素子内蔵配線板の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図5は、一例としてのインダクタ素子内蔵配線板をその厚さ方向の一方からみた模式的な平面図である。 図6は、一例としてのII−II一点鎖線で示した位置で切断したインダクタ素子内蔵配線板の切断端面を示す模式的な図である。 図7は、一例としてのインダクタ素子内蔵配線板のうちの第1導体層の構成を説明するための模式的な平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさおよび配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。以下の説明に用いる図面において、同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明については省略する場合がある。また、本発明の実施形態にかかる構成は、必ずしも図示例の配置により、製造されたり、使用されたりするとは限らない。
本発明のインダクタ基板の製造方法について説明する前に、インダクタ基板の製造方法において使用され得る樹脂組成物及び支持体付き樹脂シートについて説明する。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持における重量減少率が0%以上40%以下である磁性フィラーを含み、複数の絶縁層と複数の導体層によりインダクタが形成されるインダクタ基板の絶縁層形成用である。
このような磁性フィラーを樹脂組成物に含有させることで、絶縁層と導体層との間のピール強度の低下を抑制することが可能となる。樹脂組成物は、必要に応じて、さらにエポキシ樹脂、活性エステル化合物、熱可塑性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、カルボジイミド化合物、及びその他の添加剤を含み得る。
<磁性フィラー>
樹脂組成物は、磁性フィラーを含有する。磁性フィラーは、pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持における重量減少率が40%以下であり、好ましくは38%以下、より好ましくは35%以下である。下限は0%以上等とし得る。斯かる範囲の重量減少率を有する磁性フィラーを樹脂組成物に含有させることにより、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行っても、絶縁層と導体層との間のピール強度の低下を抑制することが可能となる。重量減少率の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
磁性フィラーの材料は、上記重量減少率を有していれば特に限定されない。磁性フィラーは、ピール強度の低下を抑制する観点から、コア−シェル構造の磁性フィラーであることが好ましい。コア−シェル構造の磁性フィラーとしては、例えば、コアに含まれる磁性粉末と、磁性粉末を被覆する被覆層(シェル)とから形成される態様が挙げられる。コア−シェル構造の磁性フィラーは、磁性粉末及び被覆層の2層構造を有していてもよいが、さらに任意の層を含む3層以上の構造を有していてもよい。
コアに含まれる磁性粉末としては、例えば、純鉄粉末、Fe−Si系合金粉末、Fe−Si−Al系合金粉末、Fe−Cr系合金粉末、Fe−Cr−Si系合金粉末、Fe−Ni−Cr系合金粉末、Fe−Cr−Al系合金粉末、Fe−Ni系合金粉末、Fe−Ni−Mo系合金粉末、Fe−Ni−Mo−Cu系合金粉末、Fe−Co系合金粉末、あるいはFe−Ni−Co系合金粉末などのFe合金類、Fe基アモルファス、Co基アモルファスなどのアモルファス合金類、Mg−Zn系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Mg−Mn−Sr系フェライト、Ni−Zn系フェライトなどのスピネル型フェライト類、Ba−Zn系フェライト、Ba−Mg系フェライト、Ba−Ni系フェライト、Ba−Co系フェライト、Ba−Ni−Co系フェライトなどの六方晶型フェライト類、Y系フェライトなどのガーネット型フェライト類が挙げられる。中でも、磁性粉末としては、Fe−Si系合金粉末、Fe−Si−Al系合金粉末、Fe−Cr系合金粉末、Fe−Cr−Si系合金粉末、Fe−Ni−Cr系合金粉末、Fe−Cr−Al系合金粉末等の、Si、Al、及びCrから選ばれる1種以上の元素を含むFe合金類が好ましく、Si及びCrを含むFe合金類がより好ましい。
磁性粉末としては、市販の磁性粉末を用いることができる。用いられ得る市販の磁性粉末の具体例としては、山陽特殊製鋼社製「PST−S」、エプソンアトミックス社製「AW2−08」、「AW2−08PF20F」、「AW2−08PF10F」、「AW2−08PF3F」、「Fe−3.5Si−4.5CrPF20F」、「Fe−50NiPF20F」、「Fe−80Ni−4MoPF20F」、JFEケミカル社製「LD−M」、「LD−MH」、「KNI−106」、「KNI−106GSM」、「KNI−106GS」、「KNI−109」、「KNI−109GSM」、「KNI−109GS」、戸田工業社製「KNS−415」、「BSF−547」、「BSF−029」、「BSN−125」、「BSN−714」、「BSN−828」、「S−1281」、「S−1641」、「S−1651」、「S−1470」、「S−1511」、「S−2430」、日本重化学工業社製「JR09P2」、CIKナノテック社製「Nanotek」、キンセイマテック社製「JEMK−S」、「JEMK−H」、ALDRICH社製「Yttrium iron oxide」等が挙げられる。磁性粉末は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
シェルを構成する材料は、磁性粉末表面に被膜を形成することができ、酸化剤溶液に対する耐性を有する化合物を含むことが好ましい。
このような化合物としては、例えば、アクリル樹脂、及びケイ素酸化合物の少なくともいずれかであることが好ましい。アクリル樹脂及び/又はケイ素酸化合物を被覆層として用いることにより、ピール強度の低下を抑制することが可能となる。
アクリル樹脂は、アクリルモノマーを重合させることで得ることができる。重合には、例えばアゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤を使用することが好ましい。アクリル樹脂を構成し得るアクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド若しくはε−カプロラクトンの付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノール類、あるいはそのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物などの(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテルから誘導されるエポキシ(メタ)アクリレート類;メラミン(メタ)アクリレート類等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、多価(メタ)アクリレート類が好ましく、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレートがより好ましい。
多価(メタ)アクリレートにおける3価の(メタ)アクリレート類としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、エチルカルビトールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N,N',N'−テトラキス(β−ヒドロキシエチル)エチルジアミンの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。3価以上の(メタ)アクリレート類としては、例えば、トリ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリ(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)ホスフェート、トリ(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)ホスフェート、トリ(3−(メタ)アクリロイル−2−ヒドロキシルオキシプロピル)ホスフェート、ジ(3−(メタ)アクリロイル−2−ヒドロキシルオキシプロピル)(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、(3−(メタ)アクリロイル−2−ヒドロキシルオキシプロピル)ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート等のリン酸トリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらアクリルモノマーは1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて共重合させたものであってもよい。「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸及びアクリル酸を指し、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートを指す。「EO」とは、エチレンオキシドを指し、「PO」とは、プロピレンオキシドを指す。
ケイ素酸化合物は、酸性又は塩基性条件下でシリカ前駆体を加水分解、重縮合させる、いわゆるゾルゲル法によって得ることができる。ケイ素酸化合物を構成し得るシリカ前駆体としては、例えば、オルトケイ酸テトラエチル等のケイ酸エステル;ケイ酸ソーダ等のケイ酸塩などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてゾルを形成したものであってもよい。
磁性フィラーが、コア−シェル構造の磁性フィラーである場合、磁性粉末と被覆層との質量比(磁性粉末/被覆層)としては、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。上記の質量比を斯かる範囲内とすることにより、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行っても、絶縁層と導体層との間のピール強度の低下を抑制することが可能となる。上記質量比における磁性粉末の質量は、コア−シェル構造の磁性フィラーを製造する際の磁性粉末の仕込み量を表し、被覆層の質量は、コア−シェル構造の磁性フィラーを製造する際の、被覆層を形成するモノマーやシリカ前駆体の合計仕込み量を表す。
被覆層の厚さとしては、絶縁層と導体層との間のピール強度の低下を抑制する観点から、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。被覆層の厚さは、例えばSEMにて断面観察を行うことにより測定することができる。
コア−シェル構造の磁性フィラーは、磁性粉末にシェルを構成する材料を添加し、撹拌することでシェルを構成する材料を重合等させて製造することができる。被覆層としてケイ素酸化合物を用いる場合、被覆層の表面をシランカップリング剤による処理を行ってもよい。
磁性フィラーの平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。また、好ましくは8μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは4μm以下である。磁性フィラーの平均粒径を斯かる範囲内とすることにより、比透磁率の維持が可能となる。磁性フィラーがコア−シェル構造の磁性フィラーである場合、磁性粉末の平均粒径は斯かる範囲内であることが好ましい。
磁性フィラーの長辺の長さを短辺の長さで除した値(アスペクト比)としては、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.2以下である。一般に、磁性フィラーは球状ではない扁平な形状であるほうが、比透磁率を向上させやすい。しかし、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行っても、絶縁層と導体層との間のピール強度の低下を抑制し、且つ比透磁率を維持する観点から、球状の(B)磁性フィラーを用いる方が、所望の特性を有する樹脂組成物を容易に得ることができる。
磁性フィラーの平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、磁性フィラーの粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、磁性フィラーを超音波によりメチルエチルケトン中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA−500」、島津製作所社製「SALD−2200」等を使用することができる。
磁性フィラーの含有量(体積%)は、比透磁率を向上させる観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは30体積%以上である。また、好ましくは85体積%以下、より好ましくは75体積%以下、さらに好ましくは65体積%以下である。
磁性フィラーの含有量は、比透磁率を向上させる観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは88質量%以下である。
<エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有し得る。エポキシ樹脂としては、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の縮合環構造を有するエポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビスフェノールAF型エポキシ樹脂;トリスフェノール型エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;ナフトールノボラック型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;線状脂肪族エポキシ樹脂;ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂;トリメチロール型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ビキシレノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及び縮合環構造を有するエポキシ樹脂から選択される1種以上であることが好ましい。中でも、(A)成分としては、ピール強度などの物性に優れた絶縁層を得る観点から、縮合環構造を有するエポキシ樹脂を含有することがより好ましい。縮合環構造を有するエポキシ樹脂としては、上記例示したもののうち、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、樹脂組成物は、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とを組み合わせて含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。液状エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。固体状エポキシ樹脂は、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス社製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン)、三菱ケミカル社製の「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、ADEKA社製の「EP−3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」、「N−680」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「HP−7200HH」、「HP−7200H」、「EXA−7311」、「EXA−7311−G3」、「EXA−7311−G4」、「EXA−7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬社製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」、三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)、「157S70」(ノボラック型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:15の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)支持体付き樹脂シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)支持体付き樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:10の範囲がより好ましく、1:0.5〜1:8の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、さらにより好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
エポキシ樹脂の数平均分子量は、好ましくは5000未満、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3000以下である。下限は、好ましくは100以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上である。数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
エポキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは25℃を超え、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上である。上限は、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下、さらに好ましくは300℃以下である。
<活性エステル化合物>
樹脂組成物は、活性エステル化合物を含有し得る。活性エステル化合物は、1分子中に活性エステル基を1個以上有する活性エステル化合物である。活性エステル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エステル化合物としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル化合物は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル化合物がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル化合物の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「EXB−8000L−65TM」、「EXB−8150−65T」(DIC社製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
樹脂組成物が活性エステル化合物及びエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂と活性エステル化合物との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[活性エステル化合物の反応基の合計数]の比率で、1:0.01〜1:5の範囲が好ましく、1:0.05〜1:3がより好ましく、1:0.1〜1:1.5がさらに好ましい。ここで、活性エステル化合物の反応基とは、活性エステル基である。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、活性エステル化合物の反応基の合計数とは、各活性エステル化合物の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての活性エステル化合物について合計した値である。エポキシ樹脂と活性エステル化合物との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性がより向上する。
樹脂組成物が活性エステル化合物を含有する場合、活性エステル化合物の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。また、上限は好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、又は5質量%以下である。活性エステル化合物の含有量を斯かる範囲内とすることにより、絶縁層と導体層との間のピール強度の低下を抑制することが可能となる。
<熱可塑性樹脂>
樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含有し得る。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、シロキサン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリアルキレン樹脂、ポリアルキレンオキシ樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリ(メタ)アクリル樹脂とは、ポリアクリル樹脂とポリメタクリル樹脂とを指す。
フェノキシ樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。フェノキシ樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、フェノキシ樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として島津製作所社製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA構造含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン構造含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、新日鉄住金化学社製の「FX280」及び「FX293」、三菱ケミカル社製の「YX7180」、「YX6954」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7553BH30」、「YL7769」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7891」、「YL7482」等が挙げられる。中でもポリアルキレンオキシ構造を有するフェノキシ樹脂が好ましく、具体例としては三菱ケミカル社製の「YX−7180」、「YL7553BH30」が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有することが好ましく、ポリブタジエン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種または2種以上の構造を有することがより好ましく、ポリブタジエン構造、及びポリアルキレンオキシ構造から選択される1以上の構造を有することがさらに好ましい。上記の構造を有する樹脂を含むことで絶縁層が低弾性となり、シェア強度、破断曲げひずみ、及び割れ性に優れるようになり、さらに反りの発生を抑制することがきる。なお、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートを指す。これらの構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。
なお、ポリブタジエン構造は、一部又は全てが水素添加されていてもよい。
ポリアルキレンオキシ構造は、炭素原子数2〜15のポリアルキレンオキシ構造が好ましく、炭素原子数3〜10のポリアルキレンオキシ構造がより好ましく、炭素原子数5〜6のポリアルキレンオキシ構造がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂は、樹脂組成物が硬化した際の反りを低下させるために高分子量であることが好ましい。数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000以上、より好ましくは1500以上、さらに好ましくは3000以上、5000以上である。上限は、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは900,000以下である。数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
熱可塑性樹脂は、硬化物の機械的強度を向上させる観点から、エポキシ樹脂と反応し得る官能基を有することが好ましい。なお、エポキシ樹脂と反応し得る官能基としては、加熱によって現れる官能基も含めるものとする。
好適な一実施形態において、エポキシ樹脂と反応し得る官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基からなる群から選択される1種以上の官能基である。中でも、当該官能基としては、ヒドロキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基が好ましく、ヒドロキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基がより好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。ただし、官能基としてエポキシ基を含む場合、数平均分子量(Mn)は、5,000以上であることが好ましい。
ポリブタジエン樹脂の具体例としては、クレイバレー社製の「Ricon 130MA8」、「Ricon 130MA13」、「Ricon 130MA20」、「Ricon 131MA5」、「Ricon 131MA10」、「Ricon 131MA17」、「Ricon 131MA20」、「Ricon 184MA6」(酸無水物基含有ポリブタジエン)、日本曹達社製の「GQ−1000」(水酸基、カルボキシル基導入ポリブタジエン)、「G−1000」、「G−2000」、「G−3000」(両末端水酸基ポリブタジエン)、「GI−1000」、「GI−2000」、「GI−3000」(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、ナガセケムテックス社製の「FCA−061L」(水素化ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)等が挙げられる。一実施形態として、ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(特開2006−37083号公報、国際公開第2008/153208号に記載のポリイミド)等が挙げられる。該ポリイミド樹脂のブタジエン構造の含有率は、好ましくは60質量%〜95質量%、より好ましくは75質量%〜85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、特開2006−37083号公報、国際公開第2008/153208号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
ポリ(メタ)アクリル樹脂としては、ナガセケムテックス社製のテイサンレジン、根上工業社製の「ME−2000」、「W−116.3」、「W−197C」、「KG−25」、「KG−3000」等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C−1090」、「C−2090」、「C−3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。またヒドロキシル基末端ポリカーボネート、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミドを使用することもできる。該ポリイミド樹脂のカーボネート構造の含有率は、好ましくは60質量%〜95質量%、より好ましくは75質量%〜85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、国際公開第2016/129541号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、他の具体例としては信越シリコーン社製の「SMP−2006」、「SMP−2003PGMEA」、「SMP−5005PGMEA」、アミン基末端ポリシロキサンおよび四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(国際公開第2010/053185号、特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等)、旭化成せんい社製の「PTXG−1000」、「PTXG−1800」、クラレ社製の「KL−610」、「KL613」、カネカ社製の「SIBSTAR−073T」(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体)、「SIBSTAR−042D」(スチレン−イソブチレンジブロック共重合体)、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000−2」、「電化ブチラール5000−A」、「電化ブチラール6000−C」、「電化ブチラール6000−EP」、積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX−5Z)、KSシリーズ(例えばKS−1)、BLシリーズ、BMシリーズ、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」、日立化成社製の「KS9100」及び「KS9300」、住友化学社製の「PES5003P」、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」及び「P3500」、ガンツ化成社製の「AC3832」等が挙げられる。
樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、熱可塑性樹脂の含有量は、柔軟性付与の観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、又は3質量%以下である。熱可塑性樹脂の含有量を斯かる範囲内とすることにより、硬化物の比透磁率を維持でき、ピール強度の低下も抑制させることができる。
<硬化剤>
樹脂組成物は、硬化剤を含有し得る。但し、硬化剤は、活性エステル化合物を含めない。硬化剤としては、エポキシ樹脂等の樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。硬化剤は、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上であることが好ましく、フェノール系硬化剤であることが好ましく、一態様として、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤、及び活性エステル系硬化剤から選ばれる1種以上であることがさらに好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、硬化物が十分な強度を得る観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金化学社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495V」、「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD2090」、「TD2090−60M」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」、「HPC−9500」、「KA−1160」、「KA−1163」、「KA−1165」、群栄化学社製の「GDP−6115L」、「GDP−6115H」、「ELPC75」等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
硬化剤の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。硬化剤の含有量を斯かる範囲内とすることにより、ピール強度の低下を抑制することができる。
<硬化促進剤>
樹脂組成物は、硬化促進剤を含有し得る。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.08質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。硬化促進剤の含有量を斯かる範囲内とすることにより、ピール強度の低下を抑制することができる。
<カルボジイミド化合物>
樹脂組成物は、カルボジイミド化合物を含有し得る。カルボジイミド化合物は、1分子中にカルボジイミド基(−N=C=N−)を1個以上有する化合物であり、カルボジイミド化合物を含有させることで導体層との密着性に優れる絶縁層をもたらすことができる。カルボジイミド化合物としては、1分子中にカルボジイミド基を2個以上有する化合物が好ましい。カルボジイミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物に含まれるカルボジイミド化合物は、下記式(1)で表される構造を含有する。
Figure 2019067960
(式中、Xは、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表し、これらは置換基を有していてもよい。pは1〜5の整数を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも相異なってもよい。*は結合手を表す。)
Xで表されるアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6、1〜4、又は1〜3である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該アルキレン基の好適な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
Xで表されるシクロアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜6である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該シクロアルキレン基の好適な例としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
Xで表されるアリーレン基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を2個除いた基である。該アリーレン基の炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該アリーレン基の好適な例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基が挙げられる。
Xで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基及びアシルオキシ基が挙げられる。置換基として用いられるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。置換基として用いられるアルキル基、アルコキシ基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6、1〜4、又は1〜3である。置換基として用いられるシクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜6である。置換基として用いられるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を1個除いた基であり、その炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。置換基として用いられるアリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。置換基として用いられるアシル基は、式:−C(=O)−Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基を表す。)をいう。Rで表されるアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6、1〜4、又は1〜3である。Rで表されるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。置換基として用いられるアシルオキシ基は、式:−O−C(=O)−Rで表される基(式中、Rは上記と同じ意味を表す。)をいう。中でも、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、及びアシルオキシ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
式(1)中、pは1〜5の整数を表す。耐熱性、レーザービア信頼性、及びピール強度に一層優れる絶縁層を実現する観点から、pは、好ましくは1〜4、より好ましくは2〜4、さらに好ましくは2又は3である。
式(1)中、Xが複数存在する場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。好適な一実施形態において、少なくとも1つのXは、アルキレン基又はシクロアルキレン基であり、これらは置換基を有していてもよい。
好適な一実施形態において、カルボジイミド化合物は、カルボジイミド化合物の分子全体の質量を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上又は90質量%以上にて、式(1)で表される構造を含有する。カルボジイミド化合物は、末端構造を除いて、式(1)で表される構造から実質的になってもよい。カルボジイミド化合物の末端構造としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。末端構造として用いられるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基は、Xで表される基が有していてもよい置換基について説明したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基と同じであってよい。また、末端構造として用いられる基が有していてもよい置換基は、Xで表される基が有していてもよい置換基と同じであってよい。
樹脂組成物を硬化する際のアウトガスの発生を抑制し得る観点から、カルボジイミド化合物の重量平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上、さらに好ましくは700以上、さらにより好ましくは800以上、特に好ましくは900以上又は1000以上である。また、良好な相溶性を得る観点から、カルボジイミド化合物の重量平均分子量の上限は、好ましくは5000以下、より好ましくは4500以下、さらに好ましくは4000以下、さらにより好ましくは3500以下、特に好ましくは3000以下である。カルボジイミド化合物の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定することができる。
なお、カルボジイミド化合物は、その製法に由来して、分子中にイソシアネート基(−N=C=O)を含有する場合がある。良好な保存安定性を示す樹脂組成物を得る観点、ひいては所期の特性を示す絶縁層を実現する観点から、カルボジイミド化合物中のイソシアネート基の含有量(「NCO含有量」ともいう。)は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらにより好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下又は0.5質量%以下である。
カルボジイミド化合物は、市販品を使用してもよい。市販のカルボジイミド化合物としては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)V−02B、V−03、V−04K、V−07及びV−09、ラインケミー社製のスタバクゾール(登録商標)P、P400、及びハイカジル510が挙げられる。
樹脂組成物がカルボジイミド化合物を含有する場合、カルボジイミド化合物の含有量は、耐熱性、レーザービア信頼性、及び導体層との密着性のいずれの特性にも優れる絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。カルボジイミド化合物の含有量の上限は特に限定されないが、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましい。
<任意の添加剤>
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、難燃剤、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに、バインダー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、ホスファゼン化合物、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。ホスファゼン化合物の具体例としては、例えば、大塚化学社製の「SPH−100」、「SPS−100」、「SPB−100」、「SPE−100」、伏見製薬所社製の「FP−100」、「FP−110」、「FP−300」、「FP−400」等が挙げられ、ホスファゼン化合物以外の難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光社製の「HCA−HQ」、大八化学工業社製の「PX−200」等が挙げられる。
<樹脂組成物の物性>
本発明の樹脂組成物を130℃で30分間、さらに165℃で30分間熱硬化させた硬化物は、該硬化物表面に湿式デスミア処理を行っても、金属層、特にメッキにより形成されたメッキ導体層とのピール強度に優れるという特性を示す。即ちピール強度に優れた絶縁層をもたらす。ピール強度としては、好ましくは0.1kgf/cm以上、より好ましくは0.2kgf/cm以上、さらに好ましくは0.3kgf/cm以上である。一方、ピール強度の上限値は特に限定されないが、1.5kgf/cm以下等とし得る。ピール強度の評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物を130℃で30分間、さらに165℃で30分間熱硬化させ、湿式デスミア処理を行った硬化物表面は、算術平均粗さ(Ra)が低いという特性を示す。即ち、湿式デスミア処理を行っても算術平均粗さが低い絶縁層をもたらす。算術平均粗さは450nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、350nm以下が更に好ましく、330nm以下が更に一層好ましく、300nm以下が特に好ましい。一方、算術平均粗さの下限値は特に限定されず、1nm以上などし得る。算術平均粗さの測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させた硬化物は、周波数100MHzにおける比透磁率が高いという特性を示す。周波数100MHzにおける比透磁率は、好ましくは1より大きく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上である。また、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、さらに好ましくは15以下である。比透磁率は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させた硬化物は、周波数100MHzにおける損失係数が低いという特性を示す。周波数100MHzにおける損失係数は、好ましくは0.07以下、より好ましくは0.06以下、さらに好ましくは0.05以下である。下限は特に限定されないが0.0001以上等とし得る。損失係数は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させた硬化物は、抵抗値が高いという特性を示す。即ち、抵抗値が高い絶縁層をもたらす。抵抗値としては、好ましくは1×1010Ω以上、より好ましくは3×1010Ω以上、さらに好ましくは5×1010Ω以上である。上限は特に限定されないが1×1015Ω以下等とし得る。
[支持体付き樹脂シート]
支持体付き樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層とを含む。
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下又は40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上、10μm以上、20μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
支持体付き樹脂シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。支持体付き樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[インダクタ基板及びインダクタ基板の製造方法]
以下、インダクタ基板の製造方法を通してインダクタ基板及びその製造方法について説明する。
図5は、インダクタ素子を内蔵するインダクタ基板をその厚さ方向の一方からみた模式的な平面図である。図6は、II−II一点鎖線で示した位置で切断したインダクタ基板の切断端面を示す模式的な図である。図7は、インダクタ基板のうちの第1導体層の構成を説明するための模式的な平面図である。
インダクタ基板は、樹脂組成物(樹脂組成物層)の硬化体である絶縁層(磁性層)と、この絶縁層に少なくとも一部分が埋め込まれた導電性構造体とを有しており、この導電性構造体と、絶縁層の厚さ方向に延在し、かつ導電性構造体に囲まれた絶縁層のうちの一部分によって構成されるインダクタを含んでいる。
インダクタ基板10は、図5および図6に一例として示されるように、複数の絶縁層(第1絶縁層32、第2絶縁層34)及び複数の導体層(第1導体層42、第2導体層44)を有する、即ちビルドアップ絶縁層及びビルドアップ導体層を有するビルドアップ配線板である。また、インダクタ基板10は、内層基板20を備えている。
図6より、第1絶縁層32および第2絶縁層34は一体的な絶縁層としてみることができる絶縁部30を構成している。よってコイル状導電性構造体40は、絶縁部30に少なくとも一部分が埋め込まれるように設けられている。すなわち、本実施形態のインダクタ基板10において、インダクタ素子はコイル状導電性構造体40と、絶縁部30の厚さ方向に延在し、かつコイル状導電性構造体40に囲まれた絶縁部30のうちの一部分である芯部によって構成されている。
図7に一例として示されるように、第1導体層42はコイル状導電性構造体40を構成するための渦巻状の配線部と、スルーホール内配線22aと電気的に接続される矩形状のランド42aとを含んでいる。図示例では渦巻状の配線部は直線状部と直角に屈曲する屈曲部とランド42aを迂回する迂回部を含んでいる。図示例では第1導体層42の渦巻状の配線部は全体の輪郭が略矩形状であって、中心側からその外側に向かうにあたり反時計回りに巻いている形状を有している。
同様に、第1絶縁層32上には第2導体層44が設けられている。第2導体層44はコイル状導電性構造体40を構成するための渦巻状の配線部を含んでいる。図5又は図6では渦巻状の配線部は直線状部と直角に屈曲する屈曲部とを含んでいる。図5又は図6では第2導体層44の渦巻状の配線部は全体の輪郭が略矩形状であって、中心側からその外側に向かうにあたり時計回りに巻いている形状を有している。
本実施形態のインダクタ基板が備えるインダクタ素子が機能し得る周波数は10MHz〜200MHzであることが想定されている。また、本実施形態のインダクタ基板が備えるインダクタ素子は電源系が想定されている。
本実施形態のインダクタ基板の製造方法は、
(A)支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含む支持体付き樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板に積層する工程、
(B)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、
(C)絶縁層に穴あけ加工する工程、
(D)絶縁層表面に、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行う工程、及び
(E)絶縁層の表面に導体層を形成する工程、
をこの順で含む。インダクタ基板の製造方法は、本発明の支持体付き樹脂シートを用いて絶縁層を形成する。本発明の支持体付き樹脂シートにおける樹脂組成物層は、pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持したときの重量減少率が0%以上40%以下である磁性フィラーを含有するので、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行っても、絶縁層と導体層との間の密着性の低下が抑制される。
工程(A)を行うにあたって、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含む支持体付き樹脂シートを準備する工程を含んでいてもよい。支持体及び樹脂組成物層は、上記[支持体付き樹脂シート]において説明したとおりである。
支持体付き樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
<工程(A)>
工程(A)において、図1に一例を示すように、支持体33と、該支持体33上に設けられた樹脂組成物層32aとを含む支持体付き樹脂シート31を、樹脂組成物層32aが内層基板20と接合するように、内層基板20に支持体付き樹脂シート31を積層させる。
内層基板20は、絶縁性の基板である。内層基板20の材料としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の絶縁性基材が挙げられる。内層基板20は、その厚さ内に配線等が作り込まれた内層回路基板であってもよい。
内層基板20としては、例えば、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板であるパナソニック社製「R1515A」を用い、銅層をパターニングすることにより導体層とした配線板が挙げられる。
図1に一例を示すように、内層基板20は、第1主表面20a上に設けられる第1導体層42と、第2主表面20b上に設けられる外部端子24とを有している。第1導体層42は、複数の配線を含んでいる。図示例ではインダクタ素子のコイル状導電性構造体40を構成する配線のみが示されている。外部端子24は図示されていない外部の装置等と電気的に接続するための端子である。外部端子24は、第2主表面20bに設けられる導体層の一部として構成することができる。
第1導体層42、外部端子24、その他の導体層を構成し得る導体材料としては、例えば、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズおよびインジウムからなる群から選択される1種以上の金属が挙げられる。第1導体層42、外部端子24、その他の配線は、単金属により構成されていても合金により構成されていてもよく、合金としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケルクロム合金、銅ニッケル合金および銅チタン合金)が挙げられる。中でも、汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅、又はニッケルクロム合金、銅ニッケル合金、銅チタン合金を用いることが好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅、又はニッケルクロム合金を用いることがより好ましく、銅を用いることがさらに好ましい。
第1導体層42、外部端子24、その他の導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。第1導体層42、外部端子24、その他の導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケルクロム合金の合金層であることが好ましい。
第1導体層42、外部端子24、その他の導体層の厚さは、所望の多層プリント配線板のデザインによるが、一般に3μm〜35μm、好ましくは5μm〜30μmである。
内層基板20が有する第1導体層42および外部端子24の厚さは特に限定されない。第1導体層42および外部端子24の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは70μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下、さらにより好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下、20μm以下、15μm以下又は10μm以下である。外部端子24の厚さの下限は特に制限されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。
第1導体層42および外部端子24のライン(L)/スペース(S)比は特に制限されないが、表面の凹凸を減少させて平滑性に優れる絶縁層を得る観点から、通常、900/900μm以下、好ましくは700/700μm以下、より好ましくは500/500μm以下、さらに好ましくは300/300μm以下、さらにより好ましくは200/200μm以下である。ライン/スペース比の下限は特に制限されないが、スペースへの樹脂組成物の埋め込みを良好にする観点から、好ましくは1/1μm以上である。
内層基板20は第1主表面20aから第2主表面20bに至るように内層基板20を貫通する複数のスルーホール22を有している。スルーホール22にはスルーホール内配線22aが設けられている。スルーホール内配線22aは、第1導体層42と外部端子24とを電気的に接続している。
樹脂組成物層32aと内層基板20との接合は、例えば、支持体33側から、支持体付き樹脂シート31を内層基板20に加熱圧着することにより行うことができる。支持体付き樹脂シート31を内層基板20に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(ステンレス(SUS)鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を支持体付き樹脂シート31に直接的に接触させてプレスするのではなく、内層基板20の表面の凹凸に支持体付き樹脂シート31が十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材からなるシート等を介してプレスするのが好ましい。
加熱圧着する際の温度は、好ましくは80℃〜160℃、より好ましくは90℃〜140℃、さらに好ましくは100℃〜120℃の範囲であり、加熱圧着する際の圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着する際の時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。支持体付き樹脂シートと内層基板との接合は、圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施することが好ましい。
支持体付き樹脂シート31の樹脂組成物層32aと内層基板20との接合は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアプリケーター等が挙げられる。
支持体付き樹脂シート31と内層基板20との接合の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された支持体付き樹脂シート31の平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理とは、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
<工程(B)>
工程(B)において、図2に一例を示すように、内層基板20に接合させた樹脂組成物層32aを熱硬化し第1絶縁層32を形成する。熱硬化工程の条件は特に限定されず、多層プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を適用することができる。
第1絶縁層32は、既に説明した支持体付き樹脂シート31を用いて形成されるので、第1導体層42の封止性に優れている。また、第1絶縁層32は、支持体付き樹脂シート31を用いて形成されるので、周波数が10MHz〜200MHzの範囲における比透磁率が向上しており、さらに、通常は磁性損失が低減されている。
例えば、樹脂組成物層32aの熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃〜240℃、より好ましくは150℃〜220℃、さらに好ましくは170℃〜190℃である。硬化時間は好ましくは5分間〜90分間、より好ましくは10分間〜75分間、さらに好ましくは15分間〜60分間とすることができる。
樹脂組成物層32aを熱硬化させる前に、樹脂組成物層32aを硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層32aを熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下)の温度にて、樹脂組成物層32aを5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間)予備加熱してもよい。予備加熱は、大気圧下(常圧下)にて行うことが好ましい。
支持体33は、工程(B)と工程(C)の間に除去してもよく、工程(C)の後に剥離してもよい。
<工程(C)>
工程(C)において、図3に一例を示すように、第1絶縁層32に穴あけ加工をし、ビアホール36を形成する。ビアホール36は、第1導体層42と、後述する第2導体層44とを電気的に接続するための経路となる。ビアホール36は第1絶縁層32の特性を考慮して、ドリル、レーザー、プラズマ等を用いる方法により形成することができるが、プリント配線板の高密度化に伴う穴の小径化、高精度化、加工装置の汎用性という観点からレーザーにより穴あけ加工を行うことが好ましい。例えば、この時点で支持体付き樹脂シートの支持体(図示せず)が残存している場合には、支持体を介してレーザー光を第1絶縁層32に照射することにより、ビアホール36を形成することもできる。
ビアホール36の形成に用いられ得るレーザー光源としては、例えば、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等が挙げられる。中でも、加工速度、コストの観点から、炭酸ガスレーザーが好ましい。
ビアホール36の形成は、市販されているレーザー装置を用いて実施することができる。市販されている炭酸ガスレーザー装置としては、例えば、日立ビアメカニクス社製「LC−2E21B/1C」、三菱電機社製「ML605GTWII」、松下溶接システム社製の基板穴あけレーザー加工機が挙げられる。
<工程(D)>
工程(D)において、第1絶縁層表面に、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行う。従来、酸化剤溶液で絶縁層中に含まれる磁性フィラーが溶解し、第1絶縁層と第2導体層44との間のピール強度が低下してしまうので、通常、乾式スパッタにより絶縁層表面の粗化処理を行っていた。しかし、本発明では、pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持したときの重量減少率が0%以上40%以下である磁性フィラーが絶縁層中に含まれるので、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行っても、ピール強度が低下することを抑制することができる。その結果、大面積のインダクタ基板を製造することが可能となる。
湿式デスミア処理の手順、条件は特に限定されず、多層プリント配線板の製造方法に際して通常使用される手順、条件を採用することができる。湿式デスミア処理として、例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤溶液による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施する。
湿式デスミア処理に用いられ得る膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。膨潤液であるアルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。
膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃〜90℃の膨潤液に絶縁層が設けられた内層基板を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層を構成する樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃〜80℃の膨潤液に絶縁層を5分間〜15分間浸漬させることが好ましい。
酸化剤溶液による粗化処理に用いられ得る酸化剤溶液としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤の溶液に絶縁層を10分間〜30分間浸漬させることにより行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%とすることが好ましい。市販されている酸化剤溶液としては、例えば、アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
中和処理に用いられ得る中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガンスP」が挙げられる。中和液による中和処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面を30℃〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた絶縁層を、40℃〜70℃の中和液に5分間〜20分間浸漬する方法が好ましい。
一実施形態において、工程(D)を行った後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは450nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは350nm以下、さらに一層好ましくは330nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは1nm以上等とし得る。算術平均粗さは、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
<工程(E)>
工程(E)において、図4に一例を示すように、第1絶縁層32の湿式デスミア処理が行われた表面に第2導体層44を形成する。第2導体層44は、複数の配線を含んでいる。
第2導体層44を構成し得る導体材料は、第1導体層42と同様である。第2導体層44は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。第2導体層44が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケルクロム合金の合金層であることが好ましい。また、第2導体層44の厚さは、第1導体層42の厚さと同様である。
第2導体層44は、めっきにより形成することができる。第2導体層44は、例えば、無電解めっき工程、マスクパターン形成工程、電解めっき工程、フラッシュエッチング工程を含むセミアディティブ法、フルアディティブ法等の湿式めっき法により形成されることが好ましい。湿式めっき法を用いて第2導体層44を形成することにより、所望の配線パターンを含む第2導体層44として形成することができる。なお、この工程により、ビアホール36内にビアホール内配線36aが併せて形成される。
第2導体層44の渦巻状の配線部のうちの中心側の一端はビアホール内配線36aにより第1導体層42の渦巻状の配線部のうちの中心側の一端に電気的に接続されている。第2導体層44の渦巻状の配線部のうちの外周側の他端はビアホール内配線36aにより第1導体層42のランド42aに電気的に接続されている。よって第2導体層44の渦巻状の配線部のうちの外周側の他端はビアホール内配線36a、ランド42a、スルーホール内配線22aを経て外部端子24に電気的に接続される。
コイル状導電性構造体40は、第1導体層42の一部分である渦巻状の配線部、第2導体層44の一部分である渦巻状の配線部、第1導体層42の渦巻状の配線部と第2導体層44の渦巻状の配線部とを電気的に接続しているビアホール内配線36aにより構成されている。
次に、図6に一例を示すように、第2導体層44およびビアホール内配線36aが形成された第1絶縁層32上に第2絶縁層34を形成する。第2絶縁層34は既に説明した工程と同様の工程により形成すればよい。
第2絶縁層34は、第1絶縁層32と同様に支持体付き樹脂シートに由来する層であるので、第2導体層44の封止性に優れている。また第2絶縁層34は、支持体付き樹脂シートを用いて形成されるので、通常は比透磁率が向上しており、さらに通常は磁性損失が低減されている。
本発明におけるインダクタ基板10は、複数の絶縁層と複数の導体層とによりインダクタが形成されている。よって、絶縁層がビルドアップ絶縁層であり、導体層がビルドアップ導体層であるビルドアップ導体層である。本実施形態のインダクタ基板10において、前記の工程(A)から前記の工程(E)までの既に説明した一連の工程をさらに1回以上繰り返して実施すればよい。
本実施形態では、コイル状導電性構造体40が、第1導体層42および第2導体層44の2層の導体層を含む例を説明したが、3層以上の導体層(および3層以上のビルドアップ絶縁層)によりコイル状導電性構造体40を構成することもできる。この場合には、最上層の導体層と最下層の導体層とに挟まれるように配置される図示しない導体層の渦巻状の配線部は、その一端が最上層側であって直近に配置される導体層の渦巻状の配線部のいずれか一方の端部に電気的接続され、その他端が最下層側であって直近に配置される導体層の渦巻状の配線部のいずれか一方の端部に電気的接続される。
本実施形態にかかるインダクタ基板は、半導体チップ等の電子部品を搭載するための配線板として用いることができ、かかる配線板を内層基板として使用した(多層)プリント配線板として用いることもできる。また、かかる配線板を個片化したチップインダクタ部品として用いることもでき、該チップインダクタ部品を表面実装したプリント配線板として用いることもできる。
また、プリント配線板がキャビティを有する場合、キャビティ内に本実施形態にかかるインダクタ基板を内蔵させた、インダクタ基板内蔵プリント配線板としてもよい。係る配線板の詳細は、特開2012−186440号公報の段落0011〜0164の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、かかる配線板を用いて、種々の態様の半導体装置を製造することができる。かかる配線板を含む半導体装置は、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラおよびテレビ等)および乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶および航空機等)等に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。重量減少率は、pH1の5質量%硫酸水溶液に磁性フィラーを浸漬した後、磁性フィラーを乾燥させて測定した値である。
〔ピール強度及び算術平均粗さ(Ra値)の測定〕
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.8mm、パナソニック社製、R1515A)の両面を、エッチング剤(メック社製、CZ8101)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理をおこなった。
(2)支持体付き樹脂シートのラミネート
実施例及び比較例で作製した支持体付き樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(MVLP−500、名機製作所社製)を用いて、積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaで圧着することにより行った。
(3)樹脂組成物層の硬化
ラミネートされた支持体付き樹脂シートを、130℃、30分続けて165℃、30分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成し、その後支持体を剥離した。
(4)湿式デスミア処理(粗化処理)
実施例1〜3、5、および比較例1に関しては、積層板の絶縁層表面を、膨潤液である、アトテックジャパン社製のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガントP(グリコールエーテル類、水酸化ナトリウムの水溶液)に、60℃で5分間浸漬した。次に粗化液として、アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に、80℃で20分間浸漬した。最後に中和液として、アトテックジャパン社製のリダクションソリューション・セキュリガントP(硫酸の水溶液)に40℃で5分間浸漬した。その後80℃で30分乾燥した。粗化処理後の積層板を積層板Aという。
実施例4に関しては、積層板の絶縁層表面を、膨潤液である、アトテックジャパン社製のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガントP(グリコールエーテル類、水酸化ナトリウムの水溶液)に、60℃で3分間浸漬した。次に粗化液として、アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に、80℃で10分間浸漬した。最後に中和液として、アトテックジャパン社製のリダクションソリューション・セキュリガントP(硫酸の水溶液)に40℃で5分間浸漬した。その後80℃で30分乾燥した。粗化処理後の積層板を積層板Aという。
(5)セミアディティブ工法によるメッキ
積層板Aを、PdClを含む無電解メッキ用溶液に40℃で5分間浸漬し、次に無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行い、25μmの厚さで導体層を形成した。次に、アニール処理を180℃にて60分間行った。この基板を評価基板とした。
(6)メッキ導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定
評価基板の導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がして、つかみ治具であるオートコム型試験機(ティー・エス・イー社製、AC−50C−SL)で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定した。評価基板に膨れが発生し、ピール強度の測定が出来なかった場合、下表には膨れと記載した。
(7)算術平均粗さ(Ra値)の測定
湿式デスミア工程まで行った積層板Aを、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値を求めた。無作為に選んだ3点の平均値を求めることにより測定した。
〔比透磁率、透磁損失の測定方法〕
各実施例および比較例において、離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)を、フッ素樹脂系離型剤(ETFE)処理を施したPETフィルム(三菱樹脂社製「フルオロージュRL50KSE」)に変えた。以上の事項以外は各実施例および比較例と同様にして、各支持体付き樹脂シートを得た。
得られた支持体付き樹脂シートを、190℃で90分間加熱することにより樹脂組成物層を熱硬化し、支持体を剥離することによりシート状の硬化体を得た。得られた硬化体を、幅5mm、長さ18mmの試験片に切断し、評価サンプルとした。この評価サンプルを、アジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製「HP8362B」を用いて、短絡ストリップライン法にて測定周波数を1MHzから10GHzの範囲とし、室温23℃にて比透磁率(μ’)および透磁損失(μ’’)を測定し、損失係数を得た。損失係数は、以下の式より算出した。
tanδ=μ’/μ’’
測定周波数が100MHzである場合の透磁率、損失係数を下表に示す。
〔抵抗値の測定〕
各実施例および比較例で得られた支持体付き樹脂シートそれぞれを、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製、「MVLP−500」)を用いて、ラインおよびスペースの幅をL(ライン)/S(スペース)=20μm/20μmとし、回路(配線パターン)の厚さが8μmである、くし型配線パターンが形成された厚さが38μmであるポリイミドフィルムの配線パターン側にラミネートした。このラミネートにより形成された支持体付き樹脂シートから支持体を剥離して、190℃、90分間の加熱処理を行うことで熱硬化させて絶縁層を形成し積層構造体を得た。得られた積層構造体を評価用サンプルとした。得られた評価用サンプルに3.3Vの電圧を印加することで、抵抗値を測定した。得られた7箇所分の抵抗値から、平均値を算出した。
<製造例1:磁性フィラーの作製>
コア粒子として磁性粉末(エプソンアトミックス社製「AW2−08PF3F」、Fe−Cr−Si系合金(アモルファス)、平均粒径3.0μm、比重7.0g/cm)を、3リットルのセパラブルフラスコに300g投入し、さらにミネラルスピリットを1400g添加した後、攪拌することによりスラリーとした。攪拌を継続しつつ、系内に窒素ガスをパージして窒素雰囲気下とした後、80℃まで昇温した。以下の操作は、特に断りの無い限り本条件を維持したまま行なっている。
次いで、アクリル酸0.90g、トリメチロールプロパントリアクリレート8.40g、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート7.90g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0gを上記のスラリーに添加した。
そして、8時間攪拌を継続しラジカル重合反応を行なった。その後、このスラリーを35℃以下に冷却し反応を終了させ、更にこれを濾過し、1リットルのミネラルスピリットで洗浄することにより、磁性粉末の表面に被覆層としてアクリル樹脂が形成された磁性フィラー(コア−シェル構造磁性フィラーA)を得た。コア−シェル構造磁性フィラーAは、磁性粉末に被覆層が120nmの厚さで被覆されたものであった。
1gのコア−シェル構造磁性フィラーAをpH1の5質量%硫酸水溶液50g中に20℃、3時間浸漬したところ、重量減少率は5%であった。一方、磁性粉末(エプソンアトミックス社製「AW2−08PF3F」、Fe−Cr−Si系合金(アモルファス)、平均粒径3.0μm、比重7.0g/cm)1gをpH1の5質量%硫酸水溶液50g中に20℃、3時間浸漬したところ重量減少率は100%であった。
<製造例2:磁性フィラーの作製>
製造例1において、
1)アクリル酸の量を0.90gから0.45gに変え、
2)トリメチロールプロパントリアクリレートの量を8.40gから4.20gに変え、
3)トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートの量を7.90gから3.95gに変え、
4)アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の量を1.0gから0.50gに変えた。
以上の事項以外は製造例1と同様にしてコア−シェル構造磁性フィラーBを作製した。
コア−シェル構造磁性フィラーBは、磁性粉末に被覆層が60nmの厚さで被覆されたものであった。1gのコア−シェル構造磁性フィラーBをpH1の5質量%硫酸水溶液50g中に20℃、3時間浸漬したところ、重量減少率は8%であった。
<製造例3:磁性フィラーの作製>
コア粒子として磁性粉末(エプソンアトミックス社製「AW2−08PF3F」、Fe−Cr−Si系合金(アモルファス)、平均粒径3.0μm、比重7.0g/cm)を500mLの三つ口フラスコに100g投入し、60mlのエタノールを添加し53分間超音波分散を行った。窒素フロー(60ml/min)及び冷却管を三つ口フラスコに取り付け、20mlのエタノールとアンモニア水(水23.7g、アンモニア4.59gからなる16質量%アンモニア水)の混合溶液を添加し、25℃のオイルバス中で300rpmにて1時間撹拌した。300mLのエタノールで希釈したオルトケイ酸テトラエチル(5.6g)を滴下漏斗にて添加して強制撹拌機で500rpmにて撹拌しながら25℃で3時間反応させた。100mlのメタノールを添加し、反応を停止した。エタノールを用いて2回洗浄、乾燥後にシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−403」、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)1.0gで、処理することにより、磁性体コア粒子の表面に被覆層としてケイ素酸が形成されたコア−シェル構造磁性フィラーCを得た。コア−シェル構造磁性フィラーCは、粒子粉末に被覆層が20nmの厚さで被覆されたものにシランカップリング剤で処理されていた。1gのコア−シェル構造磁性フィラーCをpH1の5質量%硫酸水溶液50g中に20℃、3時間浸漬したところ、重量減少率は35%であった。
<実施例1>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828US」、エポキシ当量約180)3部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269)10部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−4032」、エポキシ当量約150)2部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YL7553BH30」、固形分30%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)4.4部を、メチルエチルケトン8部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへトリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA−3018−50P」水酸基当量約151の固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)2部、活性エステル型硬化剤(DIC社製「HPC8000−65T」、活性基当量約223の固形分65%のトルエン溶液)5部、カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル社製「V−03」、固形分50%のトルエン溶液)2.5部、硬化促進剤(和光純薬工業社製「4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)」、固形分10%のMEK溶液)0.4部、製造例1で作製したコア−シェル構造磁性フィラーA 89部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス1を作製した。
次いで、離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)の離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが35μmとなるように樹脂ワニス1を均一に塗布し、75〜92℃(平均83℃)で3分間乾燥させて、支持体付き樹脂シート1を作製した。
<実施例2>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828US」、エポキシ当量約180)5.25部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269)5.25部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YL7553BH30」、固形分30%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)3.3部を、メチルエチルケトン8部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへトリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA−3018−50P」水酸基当量約151の固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)1.5部、活性エステル型硬化剤(DIC社製「HPC8000−65T」、活性基当量約223の固形分65%のトルエン溶液)3.75部、カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル社製「V−03」、固形分50%のトルエン溶液)2部、硬化促進剤(和光純薬工業社製「4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)」、固形分10%のMEK溶液)0.3部、製造例1で作製したコア−シェル構造磁性フィラーA 103部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス2を作製した。
実施例1において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス2に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして支持体付き樹脂シート2を作製した。
<実施例3>
実施例2において、コア−シェル構造磁性フィラーA 103部を、コア−シェル構造磁性フィラーB 103部に変えた。以上の事項以外は、実施例2と同様にして樹脂ワニス3、及び支持体付き樹脂シート3を作製した。
<実施例4>
実施例2において、コア−シェル構造磁性フィラーA 103部を、コア−シェル構造磁性フィラーC 103部に変えた。以上の事項以外は、実施例2と同様にして樹脂ワニス4、及び支持体付き樹脂シート4を作製した。
<実施例5>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828US」、エポキシ当量約180)6部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269)3部、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000HK」、エポキシ当量約193)1部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YL7553BH30」、固形分30%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)3.3部を、メチルエチルケトン8部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへトリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA−3018−50P」水酸基当量約151の固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)3部、活性エステル型硬化剤(DIC社製「HPC8000−65T」、活性基当量約223の固形分65%のトルエン溶液)4部、硬化促進剤(和光純薬工業社製「4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)」、固形分10%のMEK溶液)0.3部、コア−シェル構造磁性フィラーA 103部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス5を作製した。
実施例1において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス5に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして支持体付き樹脂シート5を作製した。
<比較例1>
実施例2において、コア−シェル構造磁性フィラーA 103部を、磁性粉末(エプソンアトミックス社製「AW2−08PF3F」、平均粒径3.0μm、比重7.0g/cm)103部に変えた。以上の事項以外は、実施例2と同様にして樹脂ワニス6、及び支持体付き樹脂シート6を作製した。
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。また、下記の表において、略称の意味は、下記のとおりである。
828US:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、エポキシ当量約180)
NC3000L:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、エポキシ当量約269)
YX4000HK:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、エポキシ当量約193)
HP−4032:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製、エポキシ当量約150)
LA−3018−50P:トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製、水酸基当量約151の固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)
HPC−8000−65T:活性エステル硬化剤(DIC社製、活性基当量約223の固形分65%のトルエン溶液)
V−03:カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル社製、固形分50%のトルエン溶液)
YL7553BH30:フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製、固形分30%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)
DMAP:アミン系硬化促進剤(和光純薬工業社製「4−ジメチルアミノピリジン」、固形分10%のMEK溶液)
AW2−08PF3F:磁性粉末(エプソンアトミックス社製、平均粒径3.0μm、比重7.0g/cm
Figure 2019067960
10 インダクタ基板
20 内層基板
20a 第1主表面
20b 第2主表面
22 スルーホール
22a スルーホール内配線
24 外部端子
30 磁性部
31 支持体付き樹脂シート
32a 樹脂組成物層
32 第1絶縁層
33 支持体
34 第2絶縁層
36 ビアホール
36a ビアホール内配線
40 コイル状導電性構造体
42 第1導体層
42a ランド
44 第2導体層

Claims (21)

  1. (A)支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含む支持体付き樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板に積層する工程、
    (B)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、
    (C)絶縁層に穴あけ加工する工程、
    (D)絶縁層表面に、酸化剤溶液を用いた湿式デスミア処理を行う工程、及び
    (E)湿式デスミア処理が行われた絶縁層の表面に導体層を形成する工程、
    をこの順で含み、複数の絶縁層と複数の導体層とによりインダクタが形成されるインダクタ基板の製造方法であって、
    樹脂組成物層は、磁性フィラーを含む樹脂組成物から形成されており、
    pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持したときの磁性フィラーの重量減少率が0%以上40%以下である、インダクタ基板の製造方法。
  2. 磁性フィラーが、磁性粉末と磁性粉末を被覆する被覆層とを有する、請求項1に記載のインダクタ基板の製造方法。
  3. 被覆層が、アクリル樹脂、及びケイ素酸化合物の少なくともいずれかである、請求項2に記載のインダクタ基板の製造方法。
  4. 磁性フィラーの含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%以上95質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  5. 磁性フィラーの含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、60質量%以上95質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  6. 樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  7. エポキシ樹脂の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%以上40質量%以下である、請求項6に記載のインダクタ基板の製造方法。
  8. 樹脂組成物が、活性エステル化合物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  9. 活性エステル化合物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%以上40質量%以下である、請求項8に記載のインダクタ基板の製造方法。
  10. 樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  11. 熱可塑性樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分を100質量%とした場合、0.1質量%以上20質量%以下である、請求項10に記載のインダクタ基板の製造方法。
  12. 工程(B)と工程(C)との間、又は工程(C)の後に、支持体を剥離する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  13. 工程(C)は、レーザーにより穴あけ加工が行われる、請求項1〜12のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  14. 工程(E)が、湿式めっき法により行われる、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  15. 磁性フィラーの平均粒子径が、0.01μm以上8μm以下である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  16. 磁性フィラーのアスペクト比が、2以下である、請求項1〜15のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  17. 磁性フィラーが、Si、Al、及びCrから選ばれる1種以上の元素を含むFe合金類を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  18. 絶縁層の比透磁率が、1より大きい、請求項1〜17のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  19. 絶縁層の損失係数が、0.07以下である、請求項1〜18のいずれか1項に記載のインダクタ基板の製造方法。
  20. pH1の酸性溶液中、20℃、3時間保持における重量減少率が0%以上40%以下である磁性フィラーを含み、複数の絶縁層と複数の導体層によりインダクタが形成されるインダクタ基板の絶縁層形成用である、樹脂組成物。
  21. 支持体と、該支持体上に設けられた、請求項20に記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層とを含む、支持体付き樹脂シート。
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