JP2017103332A - 半導体チップパッケージの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体チップを狭ピッチで回路基板に実装する場合であっても、絶縁層の絶縁信頼性に優れる半導体チップパッケージを製造する技術の提供。【解決手段】(I)樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む回路基板上に、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を設ける工程、及び(II)半導体チップを前記回路基板に接合する工程、を含み、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤と接する絶縁層は、無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物の硬化物からなる、半導体チップパッケージの製造方法。【選択図】図5

Description

本発明は、半導体チップパッケージの製造方法に関する。さらには、樹脂組成物、シート状積層材料、回路基板、及び半導体チップパッケージに関する。
近年の電子産業の発達に伴い、電子機器の高機能化が進む中で、半導体チップパッケージにおいては、半導体チップの端子電極数の増加に対応し得ると共にパッケージ全体の軽薄短小化を実現することが要求されている。
斯かる要求に応えるべく、半導体チップの端子電極を回路基板上に圧着して接続するフリップチップ実装技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2014−63881号公報
半導体チップパッケージのさらなる軽薄短小化を達成すべく、半導体チップの端子電極のピッチは狭小化される傾向にあり、半導体チップを実装する回路基板の回路配線のピッチも狭小化が進められている。
フリップチップ実装技術においては、NCP/NCF(Non−Conductive Paste/Film)といわれる絶縁性接着剤を回路基板上に予め設け、その上に半導体チップを圧着して接続する方法の実現が求められている。その際、狭ピッチ(例えば40μm以下のピッチ)での実装に際しては、回路基板の微細な回路配線の表面に形成された酸化皮膜を除去すべく、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤の使用が必要となるが、フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用すると、回路基板の絶縁層の絶縁信頼性が著しく低下する場合のあることを本発明者らは見出した。
本発明の課題は、半導体チップを狭ピッチで回路基板に実装する場合であっても、絶縁層の絶縁信頼性に優れる半導体チップパッケージを製造する技術を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題につき鋭意検討した結果、無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を使用して回路基板の絶縁層を形成することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (I)樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む回路基板上に、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を設ける工程、及び
(II)半導体チップを前記回路基板に接合する工程、
を含み、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤と接する絶縁層は、無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物の硬化物からなる、半導体チップパッケージの製造方法。
[2] 無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)無機イオン捕捉剤を含み、
(C)成分の平均粒径が3μm以下であり、
(D)成分の平均粒径が1μm以下であり、
該樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させて得られる40μm厚、4cm角の硬化物の1時間あたりの煮沸吸水率が0.6質量%以下である、[1]に記載の方法。
[3] (B)成分が、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上を含む、[2]に記載の方法。
[4] (C)成分が、シリカを含む、[2]又は[3]に記載の方法。
[5] (D)成分が、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種もしくは2種以上の酸化水和物又は水酸化物を含む、[2]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] (D)成分が、ビスマス、ジルコニウム、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる2種以上の酸化水和物又は水酸化物を含む、[2]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 回路基板が、最小ピッチ40μm以下の回路配線を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 回路基板が、埋め込み配線を有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 工程(I)の前に、
(i)支持基板上にドライフィルムを積層し、該ドライフィルムにパターンを形成する工程
(ii)導体層を形成し、ドライフィルムを剥離する工程
(iii)導体層の形成された支持基板上に無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を設け、該樹脂組成物を熱硬化して絶縁層を形成する工程
(iv)支持基板を剥離して回路基板を作製する工程
を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10] (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物であって、
(C)成分の平均粒径が3μm以下であり、
(D)成分の平均粒径が1μm以下であり、
該樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させて得られる40μm厚、4cm角の硬化物の1時間あたりの煮沸吸水率が0.6質量%以下である、樹脂組成物。
[11] (B)成分が、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上を含む、[10]に記載の樹脂組成物。
[12] (C)成分が、シリカを含む、[10]又は[11]に記載の樹脂組成物。
[13] (D)成分が、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種もしくは2種以上の酸化水和物又は水酸化物を含む、[10]〜[12]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[14] (D)成分が、ビスマス、ジルコニウム、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる2種以上の酸化水和物又は水酸化物を含む、[10]〜[13]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[15] 回路基板の絶縁層用である、[10]〜[14]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[16] (I)回路基板上に、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を設ける工程、及び
(II)半導体チップを前記回路基板に接合する工程、
を含む、半導体チップパッケージの製造方法に用いられる[10]〜[15]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[17] 回路基板がインターポーザである、[15]又は[16]に記載の樹脂組成物。
[18] [10]〜[17]のいずれかに記載の樹脂組成物の層を含む、シート状積層材料。
[19] 半導体チップが搭載される面が、[10]〜[17]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層により形成された、回路基板。
[20] 回路基板がコアレス基板である、[19]に記載の回路基板。
[21] 樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が一層である[19]又は[20]に記載の回路基板。
[22] 回路配線の最小ピッチが40μm以下である、[19]〜[21]のいずれかに記載の回路基板。
[23] [19]〜[22]のいずれかに記載の回路基板上に、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を介して半導体チップが搭載された、半導体チップパッケージ。
本発明によれば、半導体チップを狭ピッチで回路基板に実装する場合であっても、絶縁層の絶縁信頼性に優れる半導体チップパッケージを製造する技術を提供することができるようになった。
図1は、半導体チップパッケージの製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図2は、半導体チップパッケージの製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図3は、半導体チップパッケージの製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図4は、半導体チップパッケージの製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図5は、半導体チップパッケージの製造工程を説明するための模式的な断面図である。
本発明の半導体チップパッケージの製造方法について詳細に説明する前に、該方法で使用する樹脂組成物、シート状積層材料について説明する。
[樹脂組成物]
本発明の半導体チップパッケージの製造方法において、回路基板の、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤と接する絶縁層を形成するために使用する樹脂組成物は、無機イオン捕捉剤を含有することを特徴とする。
先述のとおり、フリップチップ実装技術においては、絶縁性接着剤を回路基板上に予め設け、その上に半導体チップを圧着して接続する方法の実現が求められている。その際、狭ピッチ(例えば40μm以下のピッチ)での実装に際しては、回路基板の微細な回路配線の表面に形成された酸化皮膜を除去すべく、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤の使用が必要となるが、フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用すると、回路基板の絶縁層の絶縁信頼性が著しく低下する場合のあることを本発明者らは見出した。この点、無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を使用して絶縁性接着剤と接する絶縁層を形成する本発明においては、絶縁層の絶縁信頼性の低下を抑制することができ、半導体チップの更なる狭ピッチ実装に著しく寄与するものである。
無機イオン捕捉剤としては、イオン交換により陽イオンを捕捉する無機陽イオン捕捉剤、イオン交換により陰イオンを捕捉する無機陰イオン捕捉剤、及びイオン交換により陽イオンと陰イオンとの両方を捕捉する無機両イオン捕捉剤が挙げられるが、フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性の低下を顕著に抑制し得る観点から、無機両イオン捕捉剤が好ましい。
無機イオン捕捉剤としては、例えば、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の酸化水和物、又は水酸化物が挙げられ、ビスマス、ジルコニウム、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる2種以上の酸化水和物又は水酸化物が好ましい。中でも、マグネシウム、アルミニウム及びジルコニウムの3成分系酸化水和物、ビスマス、及びジルコニウムの2成分系酸化水和物及びマグネシウム及びアルミニウムを含む水酸化物であるハイドロタルサイトが好ましく、ハイドロタルサイトがより好ましい。無機イオン捕捉剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ハイドロタルサイトは下記式(1)で表わされる。
MgAl(OH)(CO・nHO (1)
(式(1)中、a、b、c、及びdは正数であり、2a+3b−c−2d=0を満たす。また、nは水和の数を示し、0または正数である。)
式(1)中、Mgの一部を他の2価金属イオンに置換したものも同様に好ましく用いることができる。他の2価金属イオンの中で特に好ましいものはZnである。
ハイドロタルサイトの具体例としては、特に限定されないが、例えば、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、MgAl1.5(OH)12.5CO・3.5HO、MgAl(OH)16CO・4HO、Mg4.2Al(OH)12.4CO・3.5HO、Mg4.3Al(OH)12.6CO・3.5HO、Mg2.5ZnAl(OH)13CO・3.5HO、Mg4.2Al(OH)12.4CO・2.5HO、Mg4.2Al(OH)12.4CO・HO、MgAl(OH)12CO・3.5HO等が挙げられ、中でも、Mg4.2Al(OH)12.4CO・3.5HOが好ましい。
式(1)で表されるハイドロタルサイトとしては、a/bが1.5以上5以下であることが好ましく、1.7以上3以下であることがより好ましく、1.8以上2.5以下であることがさらに好ましい。
無機イオン捕捉剤の平均粒径は、フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性の低下を顕著に抑制し得る観点から、通常1μm以下、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.6μm以下である。該平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。
無機イオン捕捉剤の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機イオン捕捉剤の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機イオン捕捉剤を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」等を使用することができる。
無機イオン捕捉剤は、シランカップリング剤等の表面処理剤により処理(前処理)されていてもよい。表面処理剤の具体例、処理の程度は、後述する無機充填材の表面処理と同様であり、好ましい範囲も同様である。
無機イオン捕捉剤は市販品を用いてもよく、例えば、東亞合成(株)製「IXEPLAS−A1」、「IXEPLAS−A2」、「IXEPLAS−A3」、「IXEPLAS−B1」等が挙げられる。
樹脂組成物中の無機イオン捕捉剤の含有量は、フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性の低下を顕著に抑制し得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。樹脂組成物中の無機イオン捕捉剤の含有量の上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性の低下を顕著に抑制することができ、半導体チップの更なる狭ピッチ実装を実現する観点から、樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)無機イオン捕捉剤を含有し、(C)成分の平均粒径が3μm以下であり、(D)成分の平均粒径が1μm以下であり、該樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させて得られる40μm厚、4cm角の硬化物の1時間あたりの煮沸吸水率が0.6質量%以下であることが好ましい。本発明は、半導体チップの更なる狭ピッチ実装を実現するに際して特に好適な、上記樹脂組成物も提供する。
絶縁層の絶縁信頼性の低下なしに半導体チップの更なる狭ピッチ実装を実現する観点から、本発明の樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させて得られる40μm厚、4cm角の硬化物の1時間あたりの煮沸吸水率は、0.6質量%以下であり、好ましくは0.58質量%以下、より好ましくは0.56質量%以下、さらに好ましくは0.55質量%以下、0.53質量%以下、0.51質量%以下又は0.5質量%以下である。該煮沸吸水率の下限については特に限定されないが、通常、0.01質量%以上、0.1質量%以上等とし得る。ここで、硬化物の煮沸吸水率とは、硬化物を煮沸水に浸漬させたときの硬化物の質量増加の割合(質量%)を表す。本発明においては、樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させて得られる40μm厚、4cm角の硬化物を試験片として使用し、該試験片の1時間当たりの煮沸吸水率により評価する。煮沸吸水率は、後述する<煮沸吸水率の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
以下、本発明の樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)エポキシ樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂(「(A)成分」ともいう)を含有する。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(A)成分は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂から選択される1種以上であることが好ましい。エポキシ樹脂は市販品を用いてもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、(株)ダイセル製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」、「HP−7200HH」、「HP−7200H」、「HP−7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「EXA7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:6の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)接着フィルムの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)接着フィルムの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:5の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:4の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは13質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、さらにより好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<(B)硬化剤>
本発明の樹脂組成物は、(B)硬化剤(「(B)成分」ともいう)を含有する。
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤等が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。(B)成分は、煮沸吸水率を下げ、絶縁信頼性を向上させる観点から、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上を含むことが好ましい。硬化剤は市販品を用いてもよい。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー等が挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」、「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)、及び「ULL−950S」(多官能シアネートエステル樹脂)等が挙げられる。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「TD−2090−60M」、「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」、「LA3018−50P」「EXB−9500」等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル(株)製の「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.1〜1:2の範囲が好ましく、1:0.15〜1:1.5がより好ましく、1:0.2〜1:1がさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性がより向上する。
樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらにより好ましくは18質量%以下である。また、下限は特に制限はないが3質量%以上が好ましい。
<(C)無機充填材>
本発明の樹脂組成物は、(C)無機充填材(以下、(C)成分ともいう)を含有する。
無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。無機充填材は市販品を用いてもよい。
無機充填材の平均粒径は、半導体チップの更なる狭ピッチ実装を実現する観点から、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。該平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。このような平均粒径を有する無機充填材の市販品としては、例えば、(株)アドマテックス製「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」、電気化学工業(株)製「UFP−30」、(株)トクヤマ製「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」等が挙げられる。
無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業(株)製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、(株)堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、熱膨張率の低い絶縁層を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上である。樹脂組成物中の無機充填材の含有量の上限は、絶縁層の機械強度の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、又は80質量%以下である。
<(D)無機イオン捕捉剤>
本発明の樹脂組成物は、(D)無機イオン捕捉剤(「(D)成分」ともいう)を含有する。
フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性の低下を顕著に抑制し得る観点から、(D)成分の平均粒径は通常1μm以下である。平均粒径の好適な範囲など、(D)成分の詳細は先述のとおりである。
<(E)熱可塑性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(A)成分〜(D)成分の他に(E)熱可塑性樹脂(「(E)成分」ともいう)を含有することが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられ、フェノキシ樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱可塑性樹脂は市販品を用いてもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、新日鉄住金化学(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、例えば、電気化学工業(株)製の「電化ブチラール4000−2」、「電化ブチラール5000−A」、「電化ブチラール6000−C」、「電化ブチラール6000−EP」、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
中でも、熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。したがって好適な一実施形態において、(E)成分は、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含む。
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは0.5質量%〜10質量%、さらに好ましくは1質量%〜5質量%である。
<(F)硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、(A)成分〜(D)成分の他に(F)硬化促進剤(「(F)成分」ともいう)を含有することが好ましい。
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化促進剤は市販品を用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学(株)製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されないが、エポキシ樹脂と硬化剤の不揮発成分合計量を100質量%としたとき、0.05質量%〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。
<(G)難燃剤>
本発明の樹脂組成物は、(A)成分〜(D)成分の他に(G)難燃剤(「(G)成分」ともいう)を含んでもよい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよく、市販品を用いてもよい。
難燃剤としては、例えば、三光(株)製の「HCA−HQ」等が挙げられる。
樹脂組成物中の難燃剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.5質量%〜20質量%、より好ましくは0.5質量%〜15質量%、さらに好ましくは0.5質量%〜10質量%がさらに好ましい。
<(H)有機充填材>
本発明の樹脂組成物は、(A)成分〜(D)成分の他に、伸びを向上させる観点から、さらに(H)有機充填材(「(H)成分」ともいう)を含んでもよい。(H)成分としては、回路基板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられ、市販品を用いてもよい。
ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本(株)製の「EXL−2655」、ガンツ化成(株)製の「AC3816N」等が挙げられる。
樹脂組成物中の(H)成分の含有量は、好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは0.2質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.3質量%〜5質量%、又は0.5質量%〜3質量%である。
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに有機フィラー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
先述のとおり、本発明の樹脂組成物を使用して回路基板の絶縁層を形成することにより、半導体チップのフリップチップ実装においてフラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性の低下を顕著に抑制することができ、半導体チップの更なる狭ピッチ実装を実現することができる。したがって、本発明の樹脂組成物は、半導体チップパッケージの製造において回路基板のフラックス剤を含有する絶縁性接着剤と接する絶縁層を形成するために好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物はまた、高い絶縁信頼性が要求される他の広範な用途、例えば、半導体チップパッケージを実装することとなるプリント配線板等の回路基板の絶縁層を形成するために好適に使用することができる。したがって、一実施形態において、本発明の樹脂組成物は回路基板の絶縁層用として使用することができる。より好適な一実施形態において、本発明の樹脂組成物は、回路基板がインターポーザである場合の絶縁層用として使用することができる。
[シート状積層材料]
半導体チップパッケージの製造に際し、本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して使用することもできるが、該樹脂組成物の層を含むシート状積層材料の形態で用いることが好適である。
シート状積層材料としては、以下に示す接着フィルム、プリプレグが好ましい。
一実施形態において、接着フィルムは、支持体と、該支持体と接合している樹脂組成物層(接着層)とを含んでなり、樹脂組成物層(接着層)が本発明の樹脂組成物から形成される。
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは50μm以下又は40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、10μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。また、支持体は市販品を用いてもよい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」、東レ(株)製の「ルミラーT6AM」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
接着フィルムは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
接着フィルムにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。接着フィルムが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。保護フィルムは、市販品を用いてもよく、例えば、王子エフテックス(株)製の「アルファンMA−430」等が挙げられる。
一実施形態において、プリプレグは、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成される。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。回路基板の薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、さらにより好ましくは20μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されないが、通常、10μm以上である。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述の接着フィルムにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
本発明のシート状積層材料は、半導体チップパッケージの製造において回路基板の絶縁層を形成するために好適に使用することができる。本発明のシート状積層材料はまた、高い絶縁信頼性が要求される他の広範な用途、例えば、半導体チップパッケージを実装することとなるプリント配線板等の回路基板の絶縁層を形成するために好適に使用することができる。したがって、一実施形態において、本発明のシート状積層材料は回路基板の絶縁層用として使用することができる。より好適な一実施形態において、本発明のシート状積層材料は、回路基板がインターポーザである場合の絶縁層用として使用することができる。
[半導体チップパッケージの製造方法]
本発明の半導体チップパッケージの製造方法は、
(I)樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む回路基板上に、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を設ける工程、及び
(II)半導体チップを前記回路基板に接合する工程、
を含み、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤と接する絶縁層は、無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物の硬化物からなる。
−工程(I)−
工程(I)において、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む回路基板上に、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を設ける。
回路基板に絶縁層が複数含まれる場合、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤と接する絶縁層が、無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層であればよく、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤と接しない絶縁層は、公知の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を使用してもよい。「接する」とは、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤に絶縁層が隣接して積層している状態を表し、該絶縁性接着剤と絶縁層の間に埋め込み配線を有している場合も含む。
無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む回路基板を使用する本発明においては、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性を抑制することができ、半導体チップの更なる狭ピッチ実装に著しく寄与することができる。
工程(I)で使用する回路基板は、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤と接する絶縁層が無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層である限りにおいて特に限定されない。無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物については先述のとおりであるが、フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性の低下を顕著に抑制することができ、半導体チップの更なる狭ピッチ実装を実現する観点から、該樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)無機イオン捕捉剤を含有し、(C)成分の平均粒径が3μm以下であり、(D)成分の平均粒径が1μm以下であり、該樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させて得られる40μm厚、4cm角の硬化物の1時間あたりの煮沸吸水率が0.6質量%以下であることが好適である。各成分の詳細や煮沸吸水率の好適な範囲については先述のとおりである。
回路基板は、回路配線を有する。無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を使用する本発明においては、フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性の低下を顕著に抑制し得るため、微細な回路配線を有する回路基板の使用が可能である。例えば、回路幅(ライン;L)と回路間の幅(スペース;S)の比(L/S)が20μm/20μm以下(すなわち、配線ピッチ40μm以下)の回路配線を有する回路基板の使用が可能である。さらには、L/S=15μm/15μm以下(配線ピッチ30μm以下)、L/S=10μm/10μm以下(配線ピッチ20μm以下)の回路配線を有する回路基板の使用が可能である。なお、回路配線の配線ピッチは、回路基板の全体にわたって同一である必要はない。本発明者らは、回路配線の最小ピッチが40μm以下である場合に、フラックス剤を含む絶縁性接着剤を使用した場合の絶縁層の絶縁信頼性の低下が顕著となる傾向にあることを見出した。この点、無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を使用する本発明においては、上記のように狭ピッチの回路配線を有する回路基板を使用する場合にも、絶縁層の絶縁信頼性の低下を有利に抑制することができる。本発明の効果をより享受し得る好適な一実施形態において、回路基板は、最小ピッチ40μm以下の回路配線を有する。配線ピッチとは、図5に一例を示したように、導体層31(ライン)と回路幅(スペース)とを合わせた距離Pをいう。
無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を使用する本発明においては、微細な埋め込み配線を有する回路基板を使用する場合にも、絶縁層の絶縁信頼性の低下を有利に抑制することができる。本発明において、埋め込み配線の最小ピッチは、40μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってもよい。
工程(I)で使用する回路基板は、薄型化の観点から、コアレス基板であることが好適である。コアレス基板は、コア基板を含まない回路基板であり、その全体厚さを減じると共に信号処理時間を短縮することができる。したがって、好適な一実施形態において、回路基板は、コアレス基板である。特に、一層の絶縁層に一層の回路配線が埋め込まれた構造のコアレス基板がより好適である。
本発明の効果を享受し得る特に好適な一実施形態において、回路基板は、最小ピッチ40μm以下の埋め込み配線を有するコアレス基板である。回路基板の製造方法については後述する。
工程(I)において、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤は、ペースト状態で設けてもよく、フィルム状態で設けてもよい。該絶縁性接着剤をペースト状態で設ける場合、例えば、ダイコーター、バーコーター等を用いて回路基板上に塗布すればよい。該絶縁性接着剤をフィルム状態で設ける場合、例えば、後述する樹脂組成物層の積層と同様に、真空積層法により積層してよい。なお、フラックス剤とは、回路基板の半導体チップ実装面の回路配線の表面に形成された酸化皮膜を化学的に除去し得る成分をいい、例えば、有機酸、アミン化合物のハロゲン塩、アミン化合物の有機酸塩が挙げられる。半導体チップを狭ピッチ実装すべく、狭ピッチの回路配線を有する回路基板を使用するに際しては、半導体チップと回路基板との良好な導体接続を得るにあたり、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を使用する必要がある。
絶縁性接着剤の厚さは、半導体チップパッケージの所望のデザインに応じて決定してよく、例えば、100μm以下、90μm以下、80μm以下、又は70μmなどとし得る。下限は特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上等とし得る。
フラックス剤を含有する絶縁性接着剤は特に限定されず、公知の絶縁性接着剤を使用することができる。例えば、特許第4204865号に記載のフラックス剤を含有する絶縁性接着剤を使用することができる。
無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を使用して回路基板の絶縁層を形成する本発明においては、狭ピッチの回路配線の表面に形成された酸化皮膜を十分に除去し得る程度にフラックス剤を含有する絶縁性接着剤を使用する場合であっても、絶縁層の絶縁性信頼性の低下を抑制することができる。例えば、絶縁性接着剤中のフラックス剤の含有量は、2質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上であってもよい。また、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤は市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ヘンケル製「LOCTITE ECCOBOND NCP 5208」等が挙げられる。
工程(I)で使用する回路基板は先述のとおりであり、その製造方法は特に限定されない。例えば、回路基板としてコアレス基板を製造する場合、
(i)支持基板上にドライフィルムを積層し、該ドライフィルムにパターンを形成する工程
(ii)導体層を形成し、ドライフィルムを剥離する工程
(iii)導体層の形成された支持基板上に無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を設け、該樹脂組成物を熱硬化して絶縁層を形成する工程
(iv)支持基板を剥離して回路基板を作製する工程
を含む製造方法により回路基板を製造することができる。
工程(i)において、図1に一例を示すように支持基板11上にドライフィルム21を積層し、該ドライフィルム21にパターンを形成する。図1では支持基板11の表面に銅箔等の金属からなる第1金属層12、第2金属層13を備える。図1では、支持基板11の両面側にドライフィルム21を積層し、該ドライフィルム21にパターンを形成しているが、支持基板11の一方の面のみにドライフィルム21を積層し、該ドライフィルム21にパターンを形成してもよい。
支持基板としては、工程(i)〜(iv)を実施し得る限り特に限定されない。支持基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられ、図1に一例を示すように支持基板表面に銅箔等の金属層(第1金属層12、第2金属層13)が形成されていてもよい。
ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムである限り特に限定されず、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等のドライフィルムを用いることができる。ドライフィルムは市販品を用いてもよく、例えば、PETフィルム付きドライフィルムであるニッコー・マテリアル(株)製「ALPHO 20A263」を用いることができる。ドライフィルムは、支持基板の一方の面に積層させてもよく、支持基板の両面に積層させてもよい。
支持基板とドライフィルムとの積層条件は、後述する工程(iii)における積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
ドライフィルムを支持基板上に積層後、ドライフィルムに所望のパターンを形成するためにフォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像を行う。
工程(ii)において、導体層を形成し、ドライフィルムを剥離する。ここで、導体層の形成は、所望のパターンを形成したドライフィルムをめっきマスクとして使用し、めっき法により実施することができる。詳細は、図2に一例を示すように、所望のパターンを形成したドライフィルム21をめっきマスクとし、支持基板11(第2金属層13)上に導体層31を形成する。
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層の厚さは、所望の半導体チップパッケージのデザインによるが、好ましくは3μm〜35μm、より好ましくは5μm〜30μm、さらに好ましくは7〜20μm、又は15μmである。
図3に一例を示すように、導体層31を形成後、ドライフィルムを剥離する。ドライフィルムの剥離は、例えば、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を使用して実施することができる。必要に応じて、不要な導体層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することもできる。形成する配線のピッチPについては、先述のとおりである。
工程(iii)において、導体層の形成された支持基板上に無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を設け、該樹脂組成物を熱硬化して絶縁層を形成する。樹脂組成物は、ワニス状態で設けてもよく、先述のシート状積層材料を使用して設けてもよい。以下、図4に一例を示すように、接着フィルムを使用して支持基板上に樹脂組成物を設ける一実施形態について説明する。斯かる実施形態においては、導体層31の形成された支持基板11上に、樹脂組成物層41及び支持体42を有する接着フィルム40を、該接着フィルム40の樹脂組成物層41が導体層31と接合するように積層する。
接着フィルムの積層は、例えば、支持体側から接着フィルムを導体層に加熱圧着することにより行うことができる。接着フィルムを導体層に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を接着フィルムに直接プレスするのではなく、導体層の表面凹凸に接着フィルムが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
接着フィルムの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアル(株)製の真空加圧式ラミネーター、名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された接着フィルムの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、接着フィルムの積層前に除去してもよく、積層後に除去してもよい。
樹脂組成物層の積層後、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、回路基板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは150℃〜220℃の範囲、より好ましくは170℃〜200℃の範囲)、硬化時間は5分間〜120分間の範囲(好ましくは10分間〜100分間、より好ましくは15分間〜90分間)とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間)予備加熱してもよい。
他の実施形態において、本発明では、上述の接着フィルムに変えてプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に接着フィルムを用いる場合と同様である。
必要に応じて、工程(i)〜(iii)の導体層及び絶縁層の形成を繰り返して実施し、多層の配線層を形成してもよい。多層の配線層を形成するに際しては、(1)絶縁層に穴あけする工程、(2)絶縁層を粗化処理する工程、(3)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(1)乃至(3)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。
多層の配線板とする際は、すべての絶縁層に無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を使用してもよいが、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を適用する側の最外層にのみ、当該樹脂組成物を使用してもよい。
工程(1)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(1)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、回路基板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(2)は、絶縁層を粗化処理する工程である。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、回路基板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃〜90℃の膨潤液に絶縁層を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃〜80℃の膨潤液に硬化体を5分間〜15分間浸漬させることが好ましい。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃〜70℃の中和液に5分間〜20分間浸漬する方法が好ましい。膨潤液、酸化剤は市販品を用いてもよい。
粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さRaは、好ましくは300nm以下、より好ましくは280nm以下、さらに好ましくは260nm以下、240nm以下、220nm以下、又は200nm以下である。Raの下限は特に限定されないが、通常、1nm以上、3nm以上、5nm以上などとし得る。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。非接触型表面粗さ計の具体例としては、ビーコインスツルメンツ社製の「WYKO NT3300」が挙げられる。
工程(3)は、導体層を形成する工程である。
導体層に使用する導体材料は工程(ii)において使用される導体層と同様であり、好ましい範囲も同様である。
導体層の厚さは、工程(ii)において使用される導体層と同様であり、好ましい範囲も同様である。
導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
工程(iv)において、図5に一例を示すように、支持基板を剥離し、回路基板を作製する。支持基板の剥離方法は特に限定されない。回路基板の表面に不要な導体層が存在する場合、該導体層をエッチング等により除去してもよい。
したがって、本発明の半導体チップパッケージの製造方法は、工程(I)の前に、上記工程(i)〜(iv)を含んでもよい。
−工程(II)−
工程(II)において、半導体チップを回路基板に接合する。
半導体チップの端子電極が回路基板の回路配線と導体接続する限り、接合条件は特に限定されず、半導体チップのフリップチップ実装において使用される公知の条件を使用してよい。
好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板に圧着する。圧着条件としては、例えば、圧着温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは130℃〜200℃の範囲、より好ましくは140℃〜180℃の範囲)、圧着時間は1秒間〜60秒間の範囲(好ましくは5秒間〜30秒間)とすることができる。
また、他の好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板にリフローして接合する。リフロー条件としては、例えば、120℃〜300℃の範囲とすることができる。
無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を使用して回路基板の絶縁層を形成する本発明においては、絶縁層の絶縁信頼性の低下なしに半導体チップを狭ピッチ実装することが可能である。例えば、半導体チップの端子電極の最小ピッチは、40μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってもよい。
本発明の方法により製造された半導体チップパッケージは、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む回路基板を備える。そのため、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を使用して半導体チップを実装する場合にも良好な絶縁信頼性を示す。一実施形態において、本発明の方法により製造された半導体チップパッケージは、130℃、85%RH(相対湿度)、バイアス電圧3.3Vにて高度加速寿命試験(HAST)を行ったとき、100時間後の絶縁抵抗値が1.0×10Ω以上である。絶縁信頼性は、例えば、後述する<絶縁信頼性の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
[半導体装置]
本発明の半導体チップパッケージを実装することとなる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
[測定方法・評価方法]
まずは各種測定方法・評価方法について説明する。接着フィルム、及びプリプレグの厚さは、接触式層厚計((株)ミツトヨ製「MCD−25MJ」)を用いて測定した。
<評価基板の調製>
(1)支持基板上へのドライフィルムの積層
支持基板として、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(層構成:三井金属鉱業(株)製マイクロシンMT−Ex銅箔(厚さ3μmの銅箔/厚さ18μmのキャリア箔)/パナソニック(株)製「R1515A」基板(厚さ0.2mm)/三井金属鉱業(株)製マイクロシンMT−Ex銅箔(厚さ18μmのキャリア箔/厚さ3μmの銅箔))を準備した。該積層板の3μm銅箔のマット面側両面に、PETフィルム付きドライフィルム(ニッコー・マテリアルズ(株)製「ALPHO 20A263」、ドライフィルムの厚さ20μm)を、ドライフィルムが銅箔と接合するように、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて積層した。ドライフィルムの積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度70℃、圧力0.1MPaにて20秒間圧着することにより行った。
(2)パターンの形成
以下に示した配線パターンを形成したガラスマスク(フォトマスク)を、ドライフィルムの保護層であるPETフィルム上に配置し、UVランプにより照射強度150mJ/cmにてUV照射した。UV照射後、ドライフィルムのPETフィルムを剥離し、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理した。その後、水洗して、ドライフィルムの現像(パターン形成)を行った。
ガラスマスクの配線パターン:
・L/S=15μm/15μm、即ち配線ピッチ30μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
・櫛歯パターンの数は7ピース
(3)導体層の形成
ドライフィルムの現像後、電解銅めっきを15μmの厚さで行い、導体層を形成した。次いで、50℃の3%水酸化ナトリウム溶液を噴射圧0.2MPaにてスプレー処理し、ドライフィルムを剥離した後、水洗を行い150℃で30分間乾燥した。
(4)接着フィルムの積層
次いで、実施例及び比較例で作製した接着フィルムの保護フィルムを剥離し、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が導体層と接合するように、基板両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、積層された接着フィルムを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。
(5)樹脂組成物層の熱硬化
接着フィルムの積層後、100℃で30分間、次いで175℃で30分間の条件で樹脂組成物層を熱硬化させて、導体層の両面に絶縁層を形成した。その後、支持体(離型PETフィルム)を剥離して絶縁層を露出させた。
(6)プリプレグのラミネート
絶縁層の露出した回路基板上に、評価基板用プリプレグの保護フィルムを剥離し、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、プリプレグの樹脂組成物層が絶縁層と接合するように、回路基板両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、大気圧下、120℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。
評価基板用プリプレグは、以下のように作製した。
(評価基板用プリプレグの作製)
液状ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量144、DIC(株)製「HP4032SS」)5部、ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)5部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000L」、エポキシ当量269)20部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部を、ソルベントナフサ15部に撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA3018−50P」、水酸基当量約151、固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)10部、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「TD−2090−60M」、水酸基当量約105、固形分60%のMEK)11部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分2質量%のMEK溶液)2部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、及び、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)90部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
次いで、ソルベント法により(株)有沢製作所製ガラスクロス(1037NS、厚さ23μm)を上記樹脂ワニスに浸漬、含浸し、加熱することにより溶剤を揮発させ、プリプレグ中に残存する溶剤量が0.5%となるように、かつ厚さが50μmとなるよう乾燥させた。プリプレグの一方の面に離型PETフィルム(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)と、他方の面に保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス(株)製「アルファンMA−430」、厚さ20μm)を熱ロールで貼り合わせ、プリプレグを作製した。
(7)プリプレグの熱硬化
プリプレグの積層後、100℃で30分間、次いで180℃で30分間の条件で樹脂組成物層を熱硬化させて、回路基板の両面に絶縁層を形成した。その後、離型PETフィルムを剥離した。
(8)支持基板の分離
支持基板を、三井金属鉱業(株)製マイクロシンMT−Ex銅箔の厚さ3μmの銅箔と厚さ18μmのキャリア箔との界面で剥離し、分離した。
(9)L/S=15/15μm櫛歯パターンの埋め込み配線を有する基板の作製
表層の3μm銅箔を、塩化銅水溶液でエッチング除去し、水洗後、190℃で90分間熱硬化して、L/S=15/15μm櫛歯パターン(配線ピッチ30μm)の埋め込み配線を有する基板を作製した。
(10)絶縁性接着剤の塗布、熱硬化
得られた櫛歯パターンを覆うように、酸性フラックス剤を含む絶縁性接着剤(ヘンケル製、LOCTITE ECCOBOND NCP 5208)を厚さ約70μmになるようにバーコートで塗布し、80℃で60分、160℃で120分間熱硬化させた。
<絶縁信頼性の測定>
高度加速寿命試験装置(楠本化成(株)製「PM422」)を用いて、上記のように作製した評価基板の100時間、及び150時間の加速環境試験を行った。加速環境試験の条件は、130℃、85%RH、3.3V印加の条件とした。加速環境試験後、評価基板の絶縁抵抗値(Ω)をエレクトロケミカルマイグレーションテスター(J−RAS(株)製「ECM−100」)にて測定した。絶縁抵抗値(Ω)は、下記の評価基準に従って評価した。
評価基準:
○:100時間、及び150時間の加速環境試験において、7ピース全てが1.0×10Ω以上
△:100時間の加速環境試験では7ピース全てが1.0×10Ω以上であるが、150時間の加速環境試験では7ピースの内1つ以上のピースが1.0×10Ω未満
×:100時間の加速環境試験において、7ピースの内1つ以上のピースが1.0×10Ω未満
<煮沸吸水率の測定>
実施例及び比較例で作製した接着フィルムを190℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた後、離型PETフィルムを剥離した。得られた硬化物(厚み40μm)を「評価用硬化物」と称する。評価用硬化物を4cm角の試験片に切断し、該試験片を130℃で30分乾燥した後に秤量した(この秤量した質量をA(g)とする)。煮沸させたイオン交換水中に試験片を1時間浸漬させた。その後、室温(25℃)のイオン交換水中に試験片を1分間浸漬させ、試験片をクリーンワイパー(クラレクラフレックス(株)製)にて試験片表面の水滴をふき取り、秤量した(この秤量した質量をB(g)とする)。5つの試験片の煮沸吸水率を下記式からそれぞれ求め、その平均値を下記表に示した。
煮沸吸水率(質量%)=((B−A)/A)×100
<実施例1>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000L」、エポキシ当量269)20部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEK(メチルエチルケトン)とシクロヘキサノンの1:1溶液)10部を、ソルベントナフサ20部に撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC8000−65T」、重量平均分子量が約2700、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)10部、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA3018−50P」、水酸基当量約151、固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)10部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分2質量%のMEK溶液)3部、ゴム粒子(ガンツ化成(株)製、AC3816N)2部をソルベントナフサ10部に室温で12時間膨潤させておいたもの、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、及び、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)150部、無機イオン捕捉剤(東亞合成(株)製「IXEPLAS−A3」、Mg、Al、Zr系、一次粒子径0.5μm、表面処理剤付)5部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス1を作製した。
次いで、離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムの離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80〜120℃(平均100℃)で4.5分間乾燥させた後、保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス(株)製「アルファンMA−430」、厚さ20μm)を樹脂組成物層と接合するように貼り合わせ、接着フィルム1を作製した。ここで、<煮沸吸水率の測定>で使用するための接着フィルムは、リンテック(株)製「PET501010」(厚さ50μm)を支持体として用い、<評価基板の作製>で使用するための接着フィルムは、リンテック(株)製「AL−5」(厚さ38μm)を支持体として用いた。
<実施例2>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000L」、エポキシ当量269)20部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)15部を、ソルベントナフサ15部に撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC8000−65T」、重量平均分子量が約2700、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)15部、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA3018−50P」、水酸基当量約151、固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)10部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分2質量%のMEK溶液)4部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、及び、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.24μm、(株)アドマテックス製「SOC1」、単位面積当たりのカーボン量0.36mg/m)120部、無機イオン捕捉剤(東亞合成(株)製「IXEPLAS−A2」、Mg、Al、Zr系、一次粒子径0.2μm)1部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス2を作製した。次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム2を作製した。
<実施例3>
液状ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量144、DIC(株)製「HP4032SS」)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)5部、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP−7200H」、エポキシ当量275)10部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)5部を、ソルベントナフサ15部に撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC8000−65T」、重量平均分子量が約2700、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)6部、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のMEK溶液)12部、多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「ULL−950S」、シアネート当量約235、不揮発分75質量%のMEK溶液)12部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分2質量%のMEK溶液)1部、硬化促進剤(東京化成(株)製、コバルト(III)アセチルアセトナート(CO(III)Ac)、固形分1質量%のMEK溶液)3部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、及び、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)90部、無機イオン捕捉剤(東亞合成(株)製「IXEPLAS−B1」、Bi、Al系、一次粒子径0.4μm)1.5部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス3を作製した。次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム3を作製した。
<実施例4>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000L」、エポキシ当量269)20部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部を、ソルベントナフサ20部に撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA3018−50P」、水酸基当量約151、固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)10部、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「TD−2090−60M」、水酸基当量約105、固形分60%のMEK)11部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分2質量%のMEK溶液)2部、ゴム粒子(ガンツ化成(株)製、AC3816N)2部をソルベントナフサ10部に室温で12時間膨潤させておいたもの、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、及び、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)150部、無機イオン捕捉剤(東亞合成(株)製「IXEPLAS−A3」、一次粒子径0.5μm、表面処理付)5部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス4を作製した。次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム4を作製した。
<比較例1>
実施例1において、無機イオン捕捉剤(東亞合成(株)製「IXEPLAS−A3」、一次粒子径0.5μm、表面処理付)5部を使用しなかった。以上の事項以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニス5、接着フィルム5を作製した。
<比較例2>
実施例3において、無機イオン捕捉剤(東亞合成(株)製「IXEPLAS−B1」、一次粒子径0.4μm)1.5部を使用しなかった。以上の事項以外は、実施例3と同様にして樹脂ワニス6、接着フィルム6を作製した。
Figure 2017103332
11 支持基板
12 第1金属層
13 第2金属層
21 ドライフィルム
31 導体層
40 接着フィルム
41 樹脂組成物層(絶縁層)
42 支持体
P ピッチ

Claims (23)

  1. (I)樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む回路基板上に、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を設ける工程、及び
    (II)半導体チップを前記回路基板に接合する工程、
    を含み、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤と接する絶縁層は、無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物の硬化物からなる、半導体チップパッケージの製造方法。
  2. 無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)無機イオン捕捉剤を含み、
    (C)成分の平均粒径が3μm以下であり、
    (D)成分の平均粒径が1μm以下であり、
    該樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させて得られる40μm厚、4cm角の硬化物の1時間あたりの煮沸吸水率が0.6質量%以下である、請求項1に記載の方法。
  3. (B)成分が、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上を含む、請求項2に記載の方法。
  4. (C)成分が、シリカを含む、請求項2又は3に記載の方法。
  5. (D)成分が、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種もしくは2種以上の酸化水和物又は水酸化物を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. (D)成分が、ビスマス、ジルコニウム、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる2種以上の酸化水和物又は水酸化物を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 回路基板が、最小ピッチ40μm以下の回路配線を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 回路基板が、埋め込み配線を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程(I)の前に、
    (i)支持基板上にドライフィルムを積層し、該ドライフィルムにパターンを形成する工程
    (ii)導体層を形成し、ドライフィルムを剥離する工程
    (iii)導体層の形成された支持基板上に無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物を設け、該樹脂組成物を熱硬化して絶縁層を形成する工程
    (iv)支持基板を剥離して回路基板を作製する工程
    を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)無機イオン捕捉剤を含有する樹脂組成物であって、
    (C)成分の平均粒径が3μm以下であり、
    (D)成分の平均粒径が1μm以下であり、
    該樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させて得られる40μm厚、4cm角の硬化物の1時間あたりの煮沸吸水率が0.6質量%以下である、樹脂組成物。
  11. (B)成分が、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上を含む、請求項10に記載の樹脂組成物。
  12. (C)成分が、シリカを含む、請求項10又は11に記載の樹脂組成物。
  13. (D)成分が、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種もしくは2種以上の酸化水和物又は水酸化物を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  14. (D)成分が、ビスマス、ジルコニウム、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる2種以上の酸化水和物又は水酸化物を含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  15. 回路基板の絶縁層用である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  16. (I)回路基板上に、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を設ける工程、及び
    (II)半導体チップを前記回路基板に接合する工程、
    を含む、半導体チップパッケージの製造方法に用いられる請求項10〜15のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  17. 回路基板がインターポーザである、請求項15又は16に記載の樹脂組成物。
  18. 請求項10〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物の層を含む、シート状積層材料。
  19. 半導体チップが搭載される面が、請求項10〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層により形成された、回路基板。
  20. 回路基板がコアレス基板である、請求項19に記載の回路基板。
  21. 樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が一層である請求項19又は20に記載の回路基板。
  22. 回路配線の最小ピッチが40μm以下である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の回路基板。
  23. 請求項19〜22のいずれか1項に記載の回路基板上に、フラックス剤を含有する絶縁性接着剤を介して半導体チップが搭載された、半導体チップパッケージ。
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