JP2019056070A - 水系光触媒塗料および浄化方法 - Google Patents

水系光触媒塗料および浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光触媒機能を損なうことなく、光触媒粒子を基材上に強く固定化できる、水系光触媒塗料を提供する。【解決手段】光触媒粒子とバインダとを含む水系光触媒塗料において、光触媒粒子を結合して塗膜を形成するバインダとして、水溶性のアミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物を含む水系光触媒塗料。前記アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物の含有量が水系光触媒塗料の全固形分に対し、0.5〜20wtである水系光触媒塗料。コロイダルシリカを更に含む光触媒塗料。【選択図】なし

Description

この発明は水系光触媒塗料および浄化方法に関し、特にたとえば、少なくとも光触媒粒子とバインダとを含む、水系光触媒塗料およびそれを用いた浄化方法に関する。
従来、酸化チタンおよび酸化タングステン等を主材料として含む光触媒粒子を使用して、空気中有害物質の分解(空気浄化)、悪臭原因物質の分解(脱臭)、水中に溶解または分散した汚染物質の分解(水浄化)、菌類の分解および成長抑制(抗菌)、外壁または窓等の汚れの抑制(防汚)などを行うことが公知である。
光触媒粒子が持つ分解機能を様々な分野で応用するためには、光触媒機能を損なうことなく、光触媒粒子を基材上に強く固定化する必要がある。光触媒粒子を固定化するバインダとしては、数多くの材料系で検討されているが、いずれも光触媒との接着性が十分ではない。このため、光触媒粒子の剥離や離脱といった不具合が生じていた。また、光触媒が離脱等しないようにバインダ成分の量を増やすと、光触媒粒子がバインダ内に埋没してしまい、光触媒機能を失くしてしまう問題や、使用する溶媒が残存してしまう等の問題が発生していた。
また、近年、地球環境保護および作業環境改善などの観点から、有機溶剤の代わりに水を溶媒とする水系塗料(水性塗料)が求められており、バインダも水性のものが求められている。
たとえば、従来の水系光触媒塗料の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の技術は、光触媒性酸化物粒子と疎水性樹脂エマルジョンと水とシリカ粒子とを少なくとも含んだコーティング剤であって、光触媒性酸化物粒子の全固形分中の配合割合が0.05〜1重量%未満、シリカ粒子の全固形分中の配合割合が10〜60重量%であり、基材に塗布すると、シリカ粒子および光触媒酸化物微粒子が表面側に移動すると同時に、粒径の大きな疎水性樹脂粒子が基材側に移動し、疎水性物質を表面に有する基材との密着性が増すとするものである。
特許第3985164号
特許文献1の技術では、疎水性樹脂エマルジョンを用いているが、一般的に、樹脂エマルジョンは光触媒粒子およびシリカ等の粒子との接着力が弱い。その理由は、樹脂エマルジョンの溶媒が揮散(蒸発)して樹脂成分が固化することで、接着機能を発揮するからである。また、膜中では、粒径の大きな疎水性樹脂粒子の間または表面に光触媒粒子およびシリカ粒子が存在していて各成分が不均一であること、これらの成分同士が化学結合していないこと、また、化学結合させるために架橋剤を添加したとしても部分的にしか化学結合できないこと等から、特許文献1のコーティング剤を用いて形成された膜は脆く、十分な光触媒効果を得にくいと考えられる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、水系光触媒塗料およびそれを用いた浄化方法を提供することである。
この発明の他の目的は、光触媒機能を損なうことなく、光触媒粒子を基材上に強く固定化できる、水系光触媒塗料およびそれを用いた浄化方法を提供することである。
第1の発明は、光触媒粒子とバインダとを含む水系光触媒塗料において、バインダが水溶性のアミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物を含むことを特徴とする、水系光触媒塗料である。
第1の発明では、光触媒粒子を結合して塗膜を形成するバインダとして、水溶性のアミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物を用いる。ここで、アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物とは、アミノ基含有シランカップリング剤のケイ素原子に結合したアルコキシ基が加水分解して、シラノールになったものである。シラノールは、金属および金属酸化物の粒子にも、金属、金属酸化物、ガラスおよびプラスチックなどの基材にも結合し易く、光触媒粒子と各種の基材表面とを強固に接着できる。したがって、製膜するために必要なバインダ量は、光触媒粒子量と比べて少ない量で済み、光触媒粒子の光触媒機能が損なわれることがない。また、通常は不安定なシラノールであるが、塩基性であるアミノ基を分子中に含有していることで、酸性であるシラノールを水溶液にした場合に、中和効果によって長期間安定となる。
第1の発明によれば、バインダとしてアミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物を用いるので、光触媒機能を損なうことなく、光触媒粒子を基材上に強く固定化できる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物の含有量が、水系光触媒塗料の全固形分に対して0.5wt%以上20wt以下であることを特徴とする。
第2の発明によれば、光触媒粒子を基材上に強く固定化する機能を保持しつつ、光触媒粒子がバインダ内に埋没し難く、長期間に亘り光触媒機能を維持できる。
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、構成成分としてコロイダルシリカをさらに含むことを特徴とする。
第3の発明によれば、コロイダルシリカを含むことで、バインダと光触媒と基材とを三次元的に強固に結合でき、塗膜の密着性を高くすることができる。
第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明に従属し、構成成分として光触媒粒子よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子をさらに含むことを特徴とする。
第4の発明によれば、光触媒粒子よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物を含むことで、形成した塗膜が摩擦に対して強くなり、光触媒粒子による物質の分解効果を長く発揮することができる。
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明に係る水系光触媒塗料を用いて基材表面に光触媒塗膜を形成し、光触媒塗膜に光を照射して光触媒粒子を活性化して、基材表面に付着した物質を分解することを特徴とする浄化方法である。
第5の発明によれば、第1から第4までのいずれかの発明と同様に、光触媒機能を損なうことなく、光触媒粒子を基材上に強く固定化できるので、屋内、屋外、大気中および水中を問わず、光触媒粒子による物質の分解効果を発揮することができる。
第6の発明は、第5の発明に従属し、光触媒塗膜を形成する前に、基材表面を親水性に改質することを特徴とする。基材表面を親水性に改質する方法としては、プラズマ処理、紫外線処理、コロナ処理、またはグロー放電処理などを行うことが好ましい。
第6の発明によれば、基材表面が濡れにくい場合でも、均一な塗膜を形成することができる。
この発明によれば、バインダとして水溶性のアミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物を用いるので、光触媒機能を損なうことなく、光触媒粒子を基材上に強く固定化できる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
この発明の一実施例である水系光触媒塗料は、光触媒粒子と光触媒粒子を結合して塗膜を形成するバインダとを含む水系塗料であって、バインダとして、水溶性のアミノ基含有シランカップリング剤(アミノ基を有する水溶性シランカップリング剤)の加水分解物を用いるものである。後述するように、この水系光触媒塗料は、金属、金属酸化物、ガラスおよびプラスチック等の各種の基材表面に対して強く接着可能であるので、屋内、屋外、大気中および水中を問わず、光触媒粒子による有害物質等の分解効果を発揮することができる。
光触媒粒子としては、酸化チタン(TiO)、酸化タングステン(WO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)などの粒子を使用することができる。これら光触媒粒子は1種類のみで使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
この中でも、酸化チタンまたは酸化タングステンを主組成とするものは、安価であり、入手し易いことから好ましい。酸化チタンは、特に制限はなく、市販品を適宜使用することができ、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタン、又はこれらの2種以上の混合結晶であってもよい。また、酸化タングステンにも特に制限はなく、市販品を適宜使用することができる。酸化タングステンは、一部がV価に還元されている場合もあるため、高温で焼成する等してVI価に酸化してから使用するのが好ましい。酸化タングステンの結晶構造にも、特に制限は無い。
光触媒粒子の50%体積累積径は、5nm以上200nm以下であることが好ましい。5nm以上であると、凝集が少なく、再分散が容易である。200nm以下であると、加工する工程で他の成分と均一に混合し易く、離脱することも少なく良好である。光触媒粒子の粒子径の測定は、レーザ回折式粒度分布計または動的光散乱式粒度分布計等によって行うとよい。
なお、上述のような光触媒粒子は、価電子帯と伝導帯間とのエネルギのギャップ以上のエネルギを持つ光が照射されると、その価電子帯の電子が伝導帯に励起して、価電子帯にホールが発生する。この電子およびホールが光触媒粒子内部を移動して、電子は酸素を還元してスーパーオキシドアニオンを生成し、正孔は水を酸化してヒドロキシラジカルを生成する。そして、これらのラジカル基が元となって活性酸素種を生成し、この活性酸素種によって有害物質等の分解、抗菌および防汚などが可能であることが知られている。
また、上記の光触媒粒子のエネルギのギャップを小さくして、可視光領域での応答性を上げる助触媒として、光触媒粒子の表面に金属または金属化合物が固定化されていてもよい。助触媒の金属または金属化合物としては、遷移金属を用いることが好ましく、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Irのような白金族金属を用いることが好ましい。
シランカップリング剤は、ケイ素原子に結合した官能基C2j1Ojは正数)を有するものである。また、アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物とは、アミノ基含有シランカップリング剤のケイ素原子に結合したアルコキシ基が加水分解して、シラノールになったものである。シラノールは、金属および金属酸化物の粒子にも、金属、金属酸化物、ガラスおよびプラスチックなどの基材にも結合し易く、光触媒粒子と各種の基材表面とを強固に接着できる。また、通常は不安定なシラノールであるが、塩基性であるアミノ基を分子中に含有していることで、酸性であるシラノールを水溶液にした場合に、中和効果によって長期間安定となる。
アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物の含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して0.5wt%以上20wt以下の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、光触媒粒子を基材上に強く固定化する機能を保持しつつ、光触媒粒子がバインダ内に埋没し難く、長期間に亘り光触媒機能を維持できるからである。
水溶性のアミノ基含有シランカップリング剤の種類としては、特に限定されず、たとえば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン等の公知のものを用いることができ、これらの重合物を用いることもできる。また、水溶性のアミノ基含有シランカップリング剤としては、市販品、たとえば信越化学工業株式会社から販売されているKBM−602、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−9103およびKBM−573、或いは、チッソ株式会社から販売されているXS1003等を用いてもよい。
上記のアミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物は、従来公知の方法、たとえば、アミノ基含有シランカップリング剤をイオン交換水に溶解し、任意の酸で酸性に調整する方法等によって製造することができる。なお、アミノ基含有シランカップリング剤のアルコキシ基を加水分解した際に発生するアルコールは、光触媒粒子と混合する前に除去しておくことが好ましい。また、アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物としては、市販品、たとえば信越化学工業株式会社から販売されているKBP−90、或いは、エボニック デグサ ジャパン株式会社から販売されているDynasylan(HYDROSIL1151,HYDROSIL1153,HYDROSIL2627,HYDROSIL2776,HYDROSIL2909,SIVO160など)等を用いてもよい。
また、上記のアミノ基含有シランカップリング剤の複数種を併用してもよいし、上記のアミノ基含有シランカップリング剤とそれ以外の水溶性シランカップリング剤とを併用してもよい。
また、この発明に係る水系光触媒塗料は、コロイダルシリカを含むことが好ましい。コロイダルシリカの形状は、特に限定されないが、球形であることが好ましい。ただし、異形、鎖状または鱗片状を形成しているものでもよい。また、コロイダルシリカの粒子径としては、細かい方が好ましい。水系光触媒塗料と基材との濡れ性が向上すると共に、光触媒粒子と基材との三次元的結合が強固になって、塗膜の膜強度が高くなるからである。具体的には、コロイダルシリカの平均粒子径は、1nm以上50nm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは1nm以上20nm以下の範囲であり、特に好ましくは5nm以上15nm以下の範囲である。ここで、コロイダルシリカの平均粒子径とは、個数平均粒子径であり、窒素吸着法により測定したものである。また、コロイダルシリカの添加量(含有量)は、水系光触媒塗料の全固形分に対して0.1wt%以上1.0wt%以下の範囲であることが好ましい。
コロイダルシリカとしては、市販品を適宜使用することができる。たとえば、日産化学工業株式会社から販売されているスノーテックス−XS、スノーテックス−S、スノーテックス−30、スノーテックス−50、スノーテックス−20L、スノーテックス−XL、スノーテックス−OXS、スノーテックス−OS、スノーテックスO、スノーテックス−O−40、スノーテックスOL、スノーテックス−NXS、スノーテックス−NS、スノーテックス−N、スノーテックス−N−40、スノーテックス−CXS、スノーテックス−C、スノーテックス−CM、スノーテックス−UP、スノーテックス−OUPおよびLSS35、或いは、株式会社ADEKAから販売されているアデライトAT−20AおよびアデライトAT−30等を用いるとよい。また、これらコロイダルシリカは、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
さらに、この発明に係る水系光触媒塗料は、光触媒粒子よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を含むことが好ましい。形成した塗膜が振とうまたは衝撃によって外部または自己と接触した場合に、金属粒子または金属化合物粒子が優先して摩擦または衝撃などを吸収する役割をするため、形成した塗膜が摩擦などに対して強くなり、光触媒粒子による物質の分解効果を長く発揮できるからである。また、金属粒子または金属化合物粒子は、有機高分子からなる樹脂粒子とは異なり、光触媒によって分解しないため、耐久性に優れるからである。
金属粒子または金属化合物粒子としては、元素周期表に掲載された金属元素であれば、いずれの粒子も用いることができるが、さらに抗菌性能を持つという点で、周期表10族、11族、12族の金属元素を含むものが好ましく、銀、亜鉛及び銅からなる群から選ばれる1種以上の金属粒子または金属化合物粒子が特に好ましい。このような金属元素を用いた場合は、光触媒機能による標的物質や化合物の分解との相乗効果が可能になる。その他に、有機化合物からなる防藻効果がある材料も利用可能であり、たとえば、有機窒素硫黄系化合物、ピリチオン系化合物、有機ヨウ素化合物、トリアジン系化合物、イソチアゾリン系化合物、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、ニトリル系化合物、チオカルバメート系化合物、チアゾール系化合物、ジスルフィド系化合物等を用いることができる。
この発明に係る水系光触媒塗料を塗布する基材(支持体)は、特に限定されず、ガラス、プラスチック、金属、セラミックス、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、紙、皮革、それらの組合せ、それらの積層体が利用できる。
この発明に係る水系光触媒塗料を用いて、基材表面に塗膜を形成する塗布方法および乾燥条件は、特に限定されない。水系光触媒塗料を基材の少なくとも一部に塗布する方法としては、たとえば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ロールコート法、グラビア法、ワイヤーバー法、エアナイフ法、インクジェット法等が挙げられる。また、乾燥条件としては、水性媒体が除去される条件ならば特に限定されない。塗料を乾燥させるためには、常温乾燥や乾燥機を用いた強制乾燥を実施することが可能である。また、塗膜の膜厚は、特に限定されない。それぞれの塗布方法で得られる膜厚で本発明の効果を発揮することができる。
また、基材表面が濡れにくい場合には、基板表面を親水性に改質してから水系光触媒塗料を塗布すると均一な塗膜を形成することができる。基板表面を親水性に改質する方法としては、たとえば、薬品処理、機械的処理、コロナ処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、プラズマ処理、レーザ処理、混酸処理、またはオゾン酸化処理が挙げられる。これらの処理を行う装置としては、公知のものを用いることができ、特に限定されない。基板表面との密着性を向上させる為、基板材上に下塗剤を塗布してプライマ層を形成した上で、水系光触媒塗料を塗布してもよい。基板を表面処理することは、水系光触媒塗料の基材に対するぬれ性を向上させ、より均一な膜厚を有する光触媒被膜を得ることができる点で意義がある。中でも、プラズマ処理、紫外線処理、コロナ処理、またはグロー放電処理が好ましい。
たとえば、紫外線を照射する処理によって基板表面を親水性に改質する場合には、波長が150nm以上350nm以下の紫外線を用いることが好ましく、200nm以上300nm以下の紫外線を用いることがより好ましい。紫外線の波長が350nmよりも長い場合には、基板表面の改質がされ難いため好ましくない。基板表面を照射する照射光源としては、たとえば、低圧水銀ランプおよびエキシマランプ等を用いることができる。具体的には、波長(λ)254nm及び185nmの低圧水銀ランプや、波長308nm(XeCl*)、227nm(KrCl*)、172nm(Xe2*)、126nm(Ar2*)及び146nm(Kr2*)のエキシマランプ等が挙げられる。照射時間は、放射照度および照射条件などにより異なるが、通常1分から1時間程度である。
また、この発明に係る水系光触媒塗料は、浄化方法に用いることができる。すなわち、水系光触媒塗料を用いて基材表面に光触媒塗膜を形成し、光触媒塗膜に光を照射して光触媒粒子を活性化して、基材表面に付着した空気中有害物質、悪臭原因物質、水中に溶解または分散した汚染物質および菌類などの物質を分解することができる。また、上述のように、基材表面が濡れにくい場合には、光触媒塗膜を形成する前に、基材表面に紫外線を照射して基材表面を親水性に改質するとよい。
この浄化方法によれば、光触媒機能を損なうことなく、光触媒粒子を基材上に強く固定化できるので、屋内、屋外、大気中および水中を問わず、光触媒粒子による物質の分解効果を発揮することができる。また、基材表面に紫外線を照射して基材表面を親水性に改質しておくことで、基材表面が濡れにくい場合でも、均一な塗膜を形成することができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。ただし、この発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
なお、以下に示す実施例1〜20および比較例1〜4においては、バインダであるアミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物として、信越化学工業株式会社製のKBP-90(3−アミノプロピルトリメトキシシラン加水分解物、33wt%)、または、エボニック ジャパン株式会社製のDynasylan SIVO 160(oligomeric, amino-modified siloxane加水分解物、23wt%)を用いた。また、比較例7および8においては、バインダとして、水溶性シランカップリング剤の一種である東京化成工業株式会社製のビニルトリメトキシシラン(つまりアミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物ではないもの)を用いた。
また、各実施例および各比較例においては、光触媒粒子である酸化チタンとしては、テイカ株式会社製のTKP-101を用い、白金担持酸化タングステンとしては、キシダ化学株式会社製の酸化タングステンから作製したものを用いた。
酸化タングステンからの白金担持酸化タングステンの作製方法は、次の通りである。酸化タングステン200gを純水1000mL中に混合した後、超音波照射して分散を行い、酸化タングステン粒子の分散液を得た。得られた酸化タングステン分散液に、酸化タングステン粒子の重量に対して、白金単体での重量の割合が0.05重量%となるように、ヘキサクロロ白金(VI)・6水和物(キシダ化学株式会社製、98.5%)を溶解させた。次に、上記分散液を100℃で加熱して、水分を蒸発させた後、500℃で焼成することにより、白金担持酸化タングステンを得た。その後、白金担持酸化タングステンと純水を混合して超音波照射して分散を行い、固形分20wt%水分散液1000gを作製した。
さらに、実施例17および18においては、コロイダルシリカとして日産化学工業株式会社製のST−O(20wt%)を用い、実施例19および20においては、金属化合物粒子である亜酸化銅として、古河ケミカルズ株式会社製のFRC−05B(1次粒子径0.5μm)を用いた。なお、各実施例および各比較例において、溶媒は全て水である。
[実施例1]
実施例1の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(KBP-90)=99:1)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、KBP-90を純水と混合して固形分2wt%水溶液10.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を92.1g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料202.1gを得た。すなわち、実施例1のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して1wt%である。
[実施例2]
実施例2の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(KBP-90)=95:5)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、KBP-90を純水と混合して固形分5wt%水溶液21.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を89.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料210.1gを得た。すなわち、実施例2のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して5wt%である。
[実施例3]
実施例3の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(KBP-90)=90:10)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、KBP-90を純水と混合して固形分5wt%水溶液44.4gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を78.8g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料を得た。すなわち、実施例3のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して10wt%である。
[実施例4]
実施例4の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(KBP-90)=80:20)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、KBP-90を純水と混合して固形分5wt%水溶液100gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を50.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料250.0gを得た。すなわち、実施例4のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して20wt%である。
[実施例5]
実施例5の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=99:1)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分2wt%水溶液10.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を92.1g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料を得た。すなわち、実施例5のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して1wt%である。
[実施例6]
実施例6の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=95:5)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分5wt%水溶液21.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を89.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料を得た。すなわち、実施例6のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して5wt%である。
[実施例7]
実施例7の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=90:10)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分5wt%水溶液44.4gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を75.8g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料220.2gを得た。すなわち、実施例7のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して10wt%である。
[実施例8]
実施例8の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=80:20)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分5wt%水溶液100gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を50.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料250.0gを得た。すなわち、実施例8のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して20wt%である。
[実施例9]
実施例9の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(KBP-90)=99:1)の作製方法は、次の通りである。
KBP−90を純水と混合して固形分2wt%水溶液10.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を92.1g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料を得た。すなわち、実施例9のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して1wt%である。
[実施例10]
実施例10の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(KBP-90)=95:5)の作製方法は、次の通りである。
KBP−90を純水と混合して固形分5wt%水溶液21.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を89.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料210.1gを得た。すなわち、実施例10のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して5wt%である。
[実施例11]
実施例11の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(KBP-90)=90:10)の作製方法は、次の通りである。
KBP−90を純水と混合して固形分5wt%水溶液44.4gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を75.8g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料220.2gを得た。すなわち、実施例11のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して10wt%である。
[実施例12]
実施例12の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(KBP-90)=80:20)の作製方法は、次の通りである。
KBP−90を純水と混合して固形分5wt%水溶液100gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を50.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料250.0gを得た。すなわち、実施例12のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して20wt%である。
[実施例13]
実施例13の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=99:1)の作製方法は、次の通りである。
Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分2wt%水溶液10.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を92.1g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料202.1gを得た。すなわち、実施例13のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して1wt%である。
[実施例14]
実施例14の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=95:5)の作製方法は、次の通りである。
Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分5wt%水溶液21.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を89.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料を得た。すなわち、実施例14のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して5wt%である。
[実施例15]
実施例15の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=90:10)の作製方法は、次の通りである。
Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分5wt%水溶液44.4gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を75.8g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料220.2gを得た。すなわち、実施例15のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して10wt%である。
[実施例16]
実施例16の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=80:20)の作製方法は、次の通りである。
Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分5wt%水溶液100gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を50.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料250.0gを得た。すなわち、実施例16のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して20wt%である。
[実施例17]
実施例17の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(KBP-90):コロイダルシリカ=98:1:1)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、KBP−90を純水と混合して固形分2wt%水溶液10.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、コロイダルシリカ1.00gと純水92.0gとを添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料を得た。すなわち、実施例17のバインダおよびコロイダルシリカの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対してそれぞれ1wt%である。
[実施例18]
実施例18の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(KBP-90):コロイダルシリカ=98:1:1)の作製方法は、次の通りである。
KBP−90を純水と混合して固形分2wt%水溶液10.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、コロイダルシリカ1.00gと純水92.0gとを添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料203.1gを得た。すなわち、実施例18のバインダおよびコロイダルシリカの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対してそれぞれ1wt%である。
[実施例19]
実施例19の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(KBP-90):亜酸化銅=98:1:1)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、KBP−90を純水と混合して固形分2wt%水溶液10.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、亜酸化銅0.200gと純水92.0gとを添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料202.3gを得た。すなわち、実施例19のバインダおよび亜酸化銅の含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対してそれぞれ1wt%である。
[実施例20]
実施例20の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(KBP-90):亜酸化銅=98:1:1)の作製方法は、次の通りである。
KBP−90を純水と混合して固形分2wt%水溶液10.1gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、亜酸化銅0.200gと純水92.0gとを添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料202.3gを得た。すなわち、実施例19のバインダおよび亜酸化銅の含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対してそれぞれ1wt%である。
[比較例1]
比較例1の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(KBP-90)=75:25)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、KBP−90を純水と混合して固形分5wt%水溶液133.5gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を33.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料266.5gを得た。すなわち、比較例1のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して25wt%である。
[比較例2]
比較例2の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=75:25)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分5wt%水溶液133.5gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を33.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料266.5gを得た。すなわち、比較例2のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して25wt%である。
[比較例3]
比較例3の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(KBP-90)=75:25)の作製方法は、次の通りである。
KBP−90を純水と混合して固形分5wt%水溶液133.5gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を33.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料266.5gを得た。すなわち、比較例3のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して25wt%である。
[比較例4]
比較例4の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ(Dynasylan SIVO 160)=75:25)の作製方法は、次の通りである。
Dynasylan SIVO 160を純水と混合して固形分5wt%水溶液133.5gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記液と白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを撹拌させながら混合し、純水を33.0g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料266.5gを得た。すなわち、比較例3のバインダの含有量は、水系光触媒塗料の全固形分に対して25wt%である。
[比較例5]
比較例5の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ=100:0)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分10wt%の水系光触媒塗料200gとした。すなわち、比較例5の水系光触媒塗料には、バインダは含まれていない。
[比較例6]
比較例6の水系光触媒塗料(白金担持酸化タングステン:バインダ=100:0)の作製方法は、次の通りである。
白金担持酸化タングステン固形分20wt%水分散液100gを純水と混合して固形分10wt%の水系光触媒塗料200gとした。すなわち、比較例6の水系光触媒塗料には、バインダは含まれていない。
[比較例7]
比較例7の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(ヒ゛ニルトリメトキシシラン)=99:1)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、ビニルトリメトキシシラン2.00g、水0.70g、1N酢酸0.035gを室温で1時間攪拌してビニルトリメトキシシランを加水分解し、固形分73wt%溶液2.7gを作製した。この内の0.274gを反応用に採取した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水を101.8g添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料202.0gを得た。すなわち、比較例7の水系光触媒塗料では、アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物以外のバインダを用いた。
[比較例8]
比較例8の水系光触媒塗料(酸化チタン:バインダ(ヒ゛ニルトリメトキシシラン)=90:10)の作製方法は、次の通りである。
酸化チタンを純水と混合して固形分20wt%水分散液100gを作製した。また、ビニルトリメトキシシラン2.02g、水0.70g、1N酢酸0.035gを室温で1時間攪拌してビニルトリメトキシシランを加水分解し、固形分73wt%溶液2.7gを作製した。次に、マグネチックスターラと撹拌子を用いて上記2液を撹拌させながら混合し、純水117.3gを添加して固形分10wt%濃度の水系光触媒塗料220.0gを得た。すなわち、比較例8の水系光触媒塗料では、アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物以外のバインダを用いた。
表1および表2に、上記の各実施例および各比較例の構成成分およびその重量比をまとめて示す。
Figure 2019056070
Figure 2019056070
続いて、上記の各実施例および各比較例の水系光触媒塗料を用いて基板表面に塗膜を形成し、耐水性試験、耐久性試験およびメチレンブルー分解試験を行った結果を表3に示す。
なお、これらの試験では、基板として4種類の基板を用いた。すなわち、基板1;ホウケイ酸ガラス(50mm×50mm、厚み1mm)、基板2;PEN(帝人デュポンフィルム株式会社製のQ51、50mm×50mm、厚み125μm)、基板3;タイル(株式会社TOTO製のミオ50ニュートラル白)、基板4;タイル(株式会社LIXIL製のエコカラット ファインベースシンプル)である。
各基板表面に塗膜を形成する際には、低圧水銀ランプを備えた紫外線オゾン照射装置(テクノビジョン社製、型式:UV−312)を用いて、上記の4種類の基板にUVオゾン洗浄処理を30分間施した。その後、基板上に各実施例および各比較例の水系光触媒塗料を乾燥後の塗膜が5.0g/mになるまで、スピンコータ(アクティブ社製、ACT−220DII)を用いて複数回塗布し、100℃で1時間乾燥させた。
また、耐水性試験では、500mLガラス容器に水100mLを注ぎ、各実施例および各比較例の水系光触媒塗料を塗布した塗膜基板を浸漬して20℃の恒温で24時間静置した。そして、塗膜基板を取り出した後、残った水を100℃で24時間乾燥し、剥離成分の重量を測定して、耐水性を評価した。耐水性の評価基準は、初期の塗膜重量に対して剥離成分重量が0〜10%未満の場合は良好○、10%以上の場合は不可×とした。
耐久性試験では、耐水性試験後の各塗膜基材を40℃で24時間乾燥後、塗膜表面(50mm×50mm)にメンディングテープ(型番:No.810−3−12、スリーエム ジャパン製)を50mm×12mmで4本並列に貼付けた後、メンディングテープを剥がした。耐久性の評価基準は、メンディングテープ面に塗膜の剥離が4本とも観られない場合は◎、塗膜の剥離が僅かでも1本で観られる場合は○、塗膜の剥離が僅かでも2本または3本で観られる場合は△、塗膜の剥離が僅かでも4本とも観られる場合は×とした。
メチレンブルー分解試験(メチレンブルー褪色率の測定)では、上記の基板4に形成された各実施例および各比較例の光触媒塗膜上に、100μmol/Lの試験液20μLをマイクロピペットから光触媒塗膜に滴下して常温乾燥させる。そして、発光ピーク365nmの紫外線ランプで放射照度2.5mW/cmを24時間連続で照射して、メチレンブルーが分解されるか否か確認した。分解機能の評価基準は、伊原電子株式会社製の白黒反射濃度計R700で反射濃度%の差分δdが0になった場合は○、0を越え50%未満の場合は△、50%以上100%以下の場合は×とした。
また、総合評価としては、上記の各評価結果において、全てが「◎または○」であり、「△」または「×」が1つも含まれていない場合を良好○とし、各評価結果において、「△」または「×」が1つでも含まれている場合を不良×とした。
Figure 2019056070
表3に示す評価結果から明らかなように、比較例1〜4の光触媒塗膜は、耐水性試験および耐久性試験は良好であったが、メチレンブルー分解試験がやや劣る結果になった。これは、比較例1〜4ではバインダ量が多いために、光触媒粒子が部分的に埋没してしまい、光触媒機能が低下したものと考えられる。比較例5および6の光触媒塗膜は、バインダを含んでいないため、耐水性試験および耐久性試験が劣る結果になった。比較例7および8の光触媒塗膜は、耐水性試験および耐久性試験が劣る結果になった。これは、比較例7および8のバインダがアミノ基を有していないため、加水分解したシラノールの安定性が悪くなり、また、各種基板との接着性が悪くなったためと考えられる。
一方、実施例1〜20の光触媒塗膜はいずれも、耐水性試験、耐久性試験およびメチレンブルー分解試験の全てが、全ての基板について良好な結果となった。すなわち、実施例1〜20の水系光触媒塗料を用いると、使用するバインダ量が少なくても、バインダによって光触媒粒子と基材とを強固に結合できることが確認された。特に、実施例17〜20の光触媒塗膜は、耐久性試験の結果が良好であった。すなわち、コロイダルシリカまたは金属化合物粒子を構成成分として含むことで、バインダと光触媒と基材とをより強固に結合できることが確認された。これによって、幅広い材料を含む機能化も可能になるものと考えられる。
なお、上で挙げた具体的な数値などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
この発明による水系光触媒塗料は、安全でかつ容易に塗膜化することが可能であり、バインダの接着力によって光触媒粒子を基材上に強く固定化することができ、効率よく光触媒効果を得ることができる。また、基材上に作成した塗膜は、繰り返し使用可能であり、その工業的価値は大である。

Claims (6)

  1. 光触媒粒子とバインダとを含む水系光触媒塗料において、
    前記バインダが水溶性のアミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物を含むことを特徴とする、水系光触媒塗料。
  2. 前記アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物の含有量が、前記水系光触媒塗料の全固形分に対して0.5wt%以上20wt以下であることを特徴とする、請求項1記載の水系光触媒塗料。
  3. コロイダルシリカをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2記載の水系光触媒塗料。
  4. 前記光触媒粒子よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子をさらに含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の水系光触媒塗料。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載の水系光触媒塗料を用いて基材表面に光触媒塗膜を形成し、
    前記光触媒塗膜に光を照射して光触媒粒子を活性化して、前記基材表面に付着した物質を分解することを特徴とする浄化方法。
  6. 前記光触媒塗膜を形成する前に、前記基材表面を親水性に改質することを特徴とする、請求項5記載の浄化方法。
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