JP2019056026A - 塩化ビニル樹脂組成物 - Google Patents

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浩輝 赤津
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Abstract

【課題】長期屋外使用に耐え得る優れた耐候性能を有し、積層装飾シートに好適に用いることができる塩化ビニル樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、(B)25℃で固体のトリアジン系化合物0.01〜5質量部、及び(C)2位と6位の2つの水素がメチル基で置換されたピペリジル基を有する光安定剤0.02〜5質量部を含有する塩化ビニル樹脂組成物。本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、(B)成分が下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は塩化ビニル樹脂組成物に関する。
近年、環境に配慮した塗装代替ニーズを背景に自動車、オートバイ、家電製品などの装飾分野、ショウウィンドウ、広告、看板、ラベル・ステッカーなどのディスプレイ分野などに積層装飾シートが用いられている。
積層装飾シートの基材層として、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂又はフッ素系樹脂などが用いられている。特に、塩化ビニル樹脂は、加工や裁断が容易で化粧性に優れていることから、積層装飾シートの基材層として広く使用されている。
屋外での使用等を考慮して、耐候性向上の観点から、塩化ビニル系樹脂に光安定剤や紫外線吸収剤を添加することが一般的である。
例えば、塩化ビニル樹脂、ヒンダードアミン系光安定剤及びトリアジン系紫外線吸収剤を含有する基材層と、金属薄膜層と、粘着剤層とがこの順番で積層され、一体化された装飾シートが提案されている(特許文献1)。しかし、特許文献1記載の塩化ビニル樹脂組成物は耐候性能が不十分であった。
特開2009−190355号公報
したがって本発明の課題は、屋外での長期耐候性能を有する塩化ビニル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の配合を有する塩化ビニル樹脂組成物は優れた耐候性を発現することを見出した。本発明はこの知見に基づいてなされたものである。具体的には、本発明は以下の通りである。
〔発明1〕
(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、(B)25℃で固体のトリアジン系化合物0.01〜5質量部、及び(C)2位と6位の2つの水素がメチル基で置換されたピペリジル基を有する光安定剤0.02〜5質量部を含有する塩化ビニル樹脂組成物。
〔発明2〕
(B)成分が下記一般式(1)で表される化合物である、発明1の塩化ビニル樹脂組成物。
(一般式(1)中、Xは、分岐を有している場合があり、置換されている場合がある炭素原子数8以上のアルキレン基を表し、
及びYは、互いに独立に、−COO−、−OCO−、−L−、−O−LO−、−OL−、−LOCO−、−LCOO−、−CO−CH=CH−、−CH=CH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、又は−COO−CH=CH−を表し、
は、分岐を有している場合がある炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、
〜R18は、互いに独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のアルケニル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
l及びmは、互いに独立に、0〜8の整数を表す。)
〔発明3〕
(C)成分が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルエステル、並びにビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル}カーボナートからなる群から選択される何れか1種以上である、発明1又は2の塩化ビニル樹脂組成物。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、長期屋外使用に耐え得る優れた耐候性能を有し、積層装飾シートに好適に用いることができる。
本発明は、塩化ビニル樹脂組成物に係るものである。以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、(B)25℃で固体のトリアジン系化合物0.01〜5質量部と、(C)ピペリジル基の2位と6位の2つの水素がメチル基で置換された光安定剤0.02〜5質量部とを必須成分とする。
(A)成分
まず、本発明の塩化ビニル樹脂組成物に含まれる(A)成分である塩化ビニル系樹脂について説明する。
本発明において用いられる塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂を得る際の重合方法に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法によって得られたものを特に制限なく使用することができる。上記塩化ビニル系樹脂としては、例えば、その構造中に塩素を含む塩素含有樹脂を用いることができる。塩素含有樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン及び塩素化ポリエチレン等の塩素を有する単重合体;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体及び塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニルをモノマーとして含む二元共重合体;塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体等の塩化ビニルをモノマーとして含む三元共重合体等が挙げられる。本発明においては、塩化ビニル系樹脂として、2種以上の上記塩素含有樹脂のブレンド品を用いることができる。更に、上記塩素含有樹脂と他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体及びポリエステル等とのブレンド品を用いることができる。塩素含有樹脂が共重合体である場合、共重合の形態としては、ランダム共重合、ブロック共重合、及びグラフト共重合等を挙げられる。本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂は、塩素含有樹脂のみからなることが好ましい。上記塩化ビニル系樹脂が、上記塩素含有樹脂と他の塩素を含まない合成樹脂とのブレンド品である場合、該ブレンド品における塩素含有樹脂の含有量は、10〜99質量%以上が好ましく、50〜99質量%以上がより好ましい。
本発明において用いられる塩化ビニル系樹脂としては、市販品を使用することができる。塩化ビニル系樹脂の市販品としては、(株)大洋塩ビ製 TH−640、TH−700、TH−800;(株)カネカ製 S−1004、S−1008、PSH−10;(株)信越ポリマー製 TK−700、TK−800.TK−1300;(株)新第一塩ビ製 ZEST1000、PQHPN等が挙げられる。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物における(A)成分の含有量は、例えば、赤外分光法(IR)などにより測定することができる。
(B)成分
次に、本発明の塩化ビニル樹脂組成物に含まれる(B)成分である、25℃で固体のトリアジン系化合物について説明する。本発明において「25℃で固体」とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定(N雰囲気、10℃/分)された融解による吸熱ピーク温度が25℃超であることをいう。
本発明において(B)成分として使用される、25℃で固体のトリアジン系化合物としては、2−(2−ヒドロキシ−4−(2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エチルオキシ)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール及び2−(4,6−ジ(1,1´−ビフェニル)4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシルオキシ)フェノール等が挙げられる。2,4,6トリフェニルトリアジンのフェニル基が置換基を有する場合、複数、好ましくは2つの2,4,6トリフェニルトリアジンが該置換基を介して結合している場合がある。また、(B)成分として使用される、25℃で固体のトリアジン系化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
(一般式(1)中、Xは、分岐を有している場合があり、且つ置換されている場合がある炭素原子数8以上のアルキレン基を表し、
及びYは、互いに独立に、−COO−、−OCO−、−L−、−O−LO−、−OL−、−LOCO−、−LCOO−、−CO−CH=CH−、−CH=CH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、又は−COO−CH=CH−を表し、
は、分岐を有している場合がある炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、
〜R18は、互いに独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のアルケニル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
l及びmは、互いに独立に、0〜8の整数を表す。)
一般式(1)におけるXで表される炭素原子数8以上のアルキレン基の炭素原子数の上限値は、20以下が好ましく、18以下がより好ましい。
分岐を有している場合があり、置換されている場合がある炭素原子数8以上のアルキレン基としては、例えば、炭素原子数が8以上12以下の直鎖のアルキレン基や、上記例示の該アルキレン基の1又は2以上の水素原子が、メチル、エチル、プロピル、2−プロピニル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル等の炭素原子数1〜8のアルキル基で置換されたものや、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等により置換されたものが挙げられる。
一般式(1)におけるLで表される炭素原子数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,3−ブタンジイル基、2−メチル−1,3−プロパンジイル基、2−メチル−1,3−ブタンジイル基、2,4−ペンタンジイル基、1,4−ペンタンジイル基、3−メチル−1,4−ブタンジイル基、2−メチル−1,4−ペンタンジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基及びオクタメチレン基等が挙げられる。
一般式(1)におけるR〜R18で表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基等が挙げられる。
一般式(1)におけるR〜R18で表される炭素原子数3〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−エチル−1−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基及び5−ヘキセニル基等が挙げられる。
一般式(1)におけるR〜R18で表される炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、アミルオキシ基、iso−アミルオキシ基、tert−アミルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−ヘキシルオキシ基、3−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、2−ヘプチルオキシ基、3−ヘプチルオキシ基、iso−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、1−オクチルオキシ基、iso−オクチルオキシ基及びtert−オクチルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)におけるR〜R18で表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−iso−プロピルフェニル基、4−iso−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−iso−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−ステアリルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル基、2,5−ジ−tert−アミルフェニル基、2,5−ジ−tert−オクチルフェニル基、2,4−ジクミルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、(1,1’−ビフェニル)−4−イル基、2,4,5−トリメチルフェニル基及びフェロセニル基等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物のなかでも、樹脂への相溶性、耐候性の観点から、下記一般式(2)で表される化合物が好ましく、下記化合物No.1〜No.4がより好ましい。
(一般式(2)中、R、R、R〜R15、R17及びR18は上記一般式(1)と同じであり、nは8〜14の整数を表す。)、
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
化合物No.1〜4におけるR、R、R及びRで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、例えば、上記炭素原子数1〜20のアルキル基として例示したもの中の炭素原子数1〜4のものが挙げられる。
上記の25℃で固体のトリアジン系化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物における(B)成分の含有量は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部、好ましくは0.02〜4質量部、より好ましく0.03〜3質量部である。(B)成分の含有量が0.01質量部未満だと耐候性能を十分に発現しない場合がある。5質量部を超えると樹脂との相溶性や着色が生じる場合がある。本発明の塩化ビニル樹脂組成物における(B)成分の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー−質量分析法などにより測定することができる。
(C)成分
次に、本発明の塩化ビニル樹脂組成物に含まれる(C)成分である、2位と6位の2つの水素がメチル基で置換されたピペリジル基を有する光安定剤(以下、本発明に用いられる光安定剤ともいう)について説明する。
本発明に用いられる光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、ビス{4−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル}カーボナート、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製TINUVIN NOR 371、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルエステル、1,3‐ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジンー4−イル)2,4−ジトリデシルベンゼン−1,2,3,4,テトラカルボキシレート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]])等が挙げられる。
これらのなかでも、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルエステル、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル}カーボナートが長期耐候性において優れるため好ましい。これら光安定剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物における(C)成分の含有量は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.02〜5質量部、好ましくは0.03〜4質量部、より好ましくは0.04〜3質量部である。(C)成分の0.02質量部未満であると耐候性能を十分に発現しない場合がある。5質量部を超えると樹脂との相溶性や着色が生じる場合がある。本発明の塩化ビニル樹脂組成物における(C)成分の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー−質量分析法などにより測定することができる。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、他の成分を含有する場合がある。該他の成分としては、本技術分野で用いられるものを、本発明の効果を妨げない範囲で特に制限なく用いることができる。そのような成分としては、例えば、酸化防止剤、核剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、脂肪族金属塩、帯電防止剤、顔料、染料、分散剤、防カビ剤が挙げられる。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は積層装飾シートの基材層として好適に用いることができる。その場合、基材層の厚みは20μm〜200μmが好ましく、40μm〜60μmがより好ましい。基材層の厚みが20μm未満の場合、基材層の強度が低下する場合があり、200μmを超えると積層装飾シートとしての柔軟性が低下する場合がある。
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を積層装飾シートとして用いる場合は、該積層装飾シートは下記の金属薄膜層及び粘着層を有することが好ましい。以下、積層装飾シートに用いることが可能な金属薄膜層と粘着層に関し説明する。
<金属薄膜層>
金属薄膜層を形成する金属としては、特に限定されないが、例えば、銀、クロム、金及びアルミニウム等が挙げられ、アルミニウム及び銀が好ましく、アルミニウムがより好ましい。
金属薄膜層の厚みは、200〜1000Åが好ましく、400〜800Åがより好ましい。金属薄膜層の厚みが200Å未満の場合は、積層装飾シートの金属光沢が発現しない場合や化粧性が低下する場合があり、1000Åを超えると、積層装飾シートの使用時に柔軟性が低下しクラックが発生する場合がある。
<粘着層>
粘着層を形成する粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤及びポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられ、シリコーン系粘着剤が好ましく、耐候性や透明性の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
粘着層の厚みは、10〜50μmが好ましい。粘着層の厚みが10μm未満の場合は、層同士の粘着力が低下する場合があり、50μmを超えると、積層装飾シートの剥離時に披着体の表面に粘着物が残存する場合がある。
本発明の積層装飾シートには、基材層、金属薄膜層及び粘着層は何れも、必要に応じて、酸化防止剤、核剤、滑剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、脂肪族金属塩、帯電防止剤、顔料及び染料、分散剤、防カビ剤等が含有する場合がある。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
<トリアジン系化合物No.1−1、2−1、3−1、4−1の合成>
合成例1:トリアジン系化合物No.1−1の合成
五ツ口の1000mlフラスコに攪拌機、窒素吹込み管、温度計、精留管及び玉栓(サンプリング用)を取付け、更に精留管の先に水分定量受器及び冷却管を取付けたものを反応装置として用いた。上記フラスコに、原料のアルコール成分として2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(86g、0.2モル)と、原料の二価のカルボン酸成分としてセバシン酸(20g、0.1モル)、溶媒としてキシレン(300g)、エステル化触媒としてパラトルエンスルホン酸ナトリウム一水和物(0.2g、1ミリモル)を加え、常圧下、130℃で生成水を系外に除きながらエステル化反応を行なった。HPLC分析にて原料が1%未満になった時点でエステル化反応を終了させた。その後、冷却・晶析、続いて濾過を行うことにより目的物であるトリアジン系化合物No.1−1を製造した。トリアジン系化合物No.1−1は、上記化合物No.1において、R、R、R及びRが全て水素原子である化合物である。トリアジン系化合物1−1の同定は、高速液体クロマトグラフィー[HPLC](日本分光社製)により、アセトニトリル/水=95/5(vol%/vol%)(溶媒)、1ml/min(流速)、254nm(UV検出器波長)の条件で行った。目的物の保持時間は24.2minであった。
合成例2:トリアジン系化合物No.2−1の合成
合成例1と同様の反応装置を用いて、原料の二価のカルボン酸成分をドデカン二酸(23g、0.1モル)に替えた以外は合成例1と同様にして反応及び精製を行なうことにより、目的物であるトリアジン系化合物No.2−1を製造した。トリアジン系化合物No.2−1は、上記化合物No.2において、R、R、R及びRが全て水素原子である化合物である。トリアジン系化合物2−1の同定は、合成例1と同様により行った。目的物の保持時間は30.4minであった。
合成例3:トリアジン系化合物No.3−1の合成
合成例1と同様の反応装置を用いて、原料の二価のカルボン酸成分をテトラデカン酸(26g、0,1モル)に替えた以外は合成例1と同様にして反応及び精製を行なうことにより、目的物であるトリアジン系化合物No.3−1を製造した。トリアジン系化合物No.3−1は、上記化合物No.3において、R、R、R及びRが全て水素原子である化合物である。トリアジン系化合物3−1の同定は、合成例1と同様により行った。目的物の保持時間は36.5minであった。
合成例4:トリアジン系化合物No.4−1の合成
合成例1と同様の反応装置を用いて、原料の二価のカルボン酸成分をヘキサデカン酸(29g、0.1モル)に替えた以外は合成例1と同様にして反応及び精製を行なうことにより、目的物であるトリアジン系化合物No.4−1を製造した。トリアジン系化合物No.4−1は、上記化合物No.4において、R、R、R及びRが全て水素原子である化合物である。トリアジン系化合物4−1の同定は、合成例1と同様により行った。目的物の保持時間は40.2minであった。
<実施例1〜6>
実施例1
(A)成分:塩化ビニル樹脂(株式会社カネカ製;PSH−10)100質量部
(B)成分:トリアジン系化合物No.2−1 0.08質量部
(C)成分:光安定剤(1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物)0.5質量部
上記(A)〜(C)成分に加え、下記の成分をそれぞれ5質量部配合して実施例1の塩化ビニル樹脂組成物を製造した。
・アルキルスズメルカプト化合物(勝田化工製;TM−181FSJ)
・モノメチルスズトリス(n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート)
・ジメチルスズビス(n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート)
実施例1の塩化ビニル樹脂組成物に、AS溶剤(昭永パラケミー製;AS溶剤)を60質量部加え、均一に混練し、実施例1の塩化ビニル樹脂組成物が溶剤に溶解されてなる組成物溶液を得た。
得られた組成物溶液を離形フィルムの離形処理面状に塗布し、キャスティング法により、離形フィルムの離形処理面上に厚み50μmの塩化ビニル樹脂シート(基材層)が形成された積層シートを得た。
溶剤使用型のウレタン系樹脂接着主剤(三井化学ポリウレタン製;タケタックA−543)と脂肪族硬化剤(三井化学ポリウレタン製;タケネートA−50)とを混合して、ウレタン系接着剤溶液を得た。
そして、離型フィルムの離型処理面上にアルミニウム薄膜層が剥離可能に形成されてなる転写用アルミニウム蒸着シート(麗光製;PX198、アルミニウム薄膜層の厚み:600Å)を用意し、この転写用アルミニウム蒸着シートのアルミニウム薄膜層上に、上記ウレタン系接着剤溶液を塗布し、乾燥させて溶剤を除去することにより、転写用アルミニウム蒸着シートのアルミニウム薄膜層上にウレタン系接着剤層を形成した。なお、上記ウレタン系接着剤溶液の塗布量は、乾燥後のウレタン系接着剤の重量にして3g/mであった。
続いて、上記転写用アルミニウム蒸着シートと上記塩化ビニル樹脂シートとを、該転写用アルミニウム蒸着シートのウレタン系接着剤層が塩化ビニル樹脂積層シートの塩化ビニル樹脂シートと対向するように重ね合わせることにより、転写用アルミニウム蒸着シートのアルミニウム薄膜層をウレタン系接着剤層を介して塩化ビニル樹脂積層シートに転写一体化させた後、転写用アルミニウム蒸着シート及び塩化ビニル樹脂積層シートからそれぞれ離型フィルムを剥離、除去して、塩化ビニル樹脂シート(基材層)の裏面にウレタン系接着剤層を介してアルミニウム薄膜層が積層一体化された第1積層シートを得た。
更に、上記第1積層シートを一対のローラ間に供給して、該第1積層シートをその厚み方向に加圧すると共に、ウレタン系接着剤層を硬化させることにより、塩化ビニル樹脂シート(基材層)、ウレタン系接着剤層及びアルミニウム薄膜層が積層一体化されてなる第2積層シートを得た。
次に、アクリル系粘着剤(積水化学工業製;NM2)100質量部を溶剤に溶解させてアクリル系粘着剤溶液を作製し、このアクリル系粘着剤溶液にイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン製;コロネートL−28E)2質量部を添加し、均一になるように攪拌した。
続いて、一面にシリコーン系樹脂離型剤によって離型処理が施されてなる離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面にコンマコータを用いて上記アクリル系粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて溶剤を除去することにより、離型フィルムの離型処理面上に厚み30μmのアクリル系粘着剤層が形成されてなる粘着シートを得た。
そして、上記粘着シートを第2積層シートに、粘着シートのアクリル系粘着剤層が第2積層シートのアルミニウム薄膜層と対向した状態となるように重ね合わせて第3積層シートを作製した。
そして、上記第3積層シートを一対のローラ間に供給し、上記第3積層シートをその厚み方向に加圧することにより、塩化ビニル樹脂シート(基材層)、ウレタン系接着剤層、アルミニウム薄膜層及びアクリル系粘着剤層がこの順に積層一体化されてなる積層装飾シートを得た。なお、上記積層装飾シートのアクリル系粘着剤層上には、離型フィルムが剥離可能に積層されていた。
実施例2
実施例1の(C)成分を1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルエステルに変更した以外は、実施例1と同様にして積層装飾シートを作製した。
実施例3
実施例1の(C)成分をビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル}カーボナートに変更した以外は、実施例1と同様にして積層装飾シートを作製した。
実施例4
実施例1の(B)成分を化合物No.1−1に変更した以外は、実施例1と同様にして積層装飾シートを作製した。
実施例5
実施例1の(B)成分を化合物No.3−1に変更した以外は、実施例1と同様にして積層装飾シートを作製した。
実施例6
実施例1の(B)成分を化合物No.4−1に変更した以外は、実施例1と同様にして積層装飾シートを作製した。
<比較例1〜2>
比較例1
実施例1の(C)成分の代替として、(B)成分を同量だけ用い、(B)成分単独で0.58質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較積層装飾シートを作製した。
比較例2
実施例1の(B)成分の代替として、(C)成分を同量だけ用い、(C)成分単独で0.58質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較積層装飾シートを作製した。
<初期装飾性>
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた積層装飾シート及び比較積層装飾シートに光を照射し、積層装飾シートの透過光による色の鮮明さ及び光沢感を目視で確認し、下記の基準により評価した。結果を表1に示す。
A:色が非常に鮮明であり、且つ優れた光沢感を有していた。
B:色が鮮明であり、且つ光沢感を有していた。
C:色が鮮明でない、もしくは光沢感を有していなかった。
<耐候性>
サンシャインウェザオメーター(スガ試験機製)を使用し、JISD0205(自動車部品の耐候性試験)に準拠して、装飾シートの耐候性についての試験を行った。試験開始から400時間経過時及び1000時間経過時における装飾シートの外観を目視観察して、下記基準により装飾シートの促進耐候性を評価した。結果を表2に示す。
A:400時間経過時及び1000時間経過時の何れにおいても、装飾シートの装飾性に変化は認められなかった。
B:400時間経過時において、装飾シートの装飾性に変化は認められず、1000時間経過時においても、装飾シートの装飾性はほとんど低下していなかった。
C:400時間経過時及び1000時間経過時の何れにおいても、装飾シートの装飾性が低下していた。
表1から明らかなように、実施例1〜6の塩化ビニル樹脂組成物を用いて製造した装飾シートは初期装飾性及び耐候性に優れるものであった。これに対し、比較例1及び2の塩化ビニル樹脂組成物を用いて製造した装飾シートは、初期装飾性及び耐候性の何れも、実施例1〜6の塩化ビニル樹脂組成物を用いて製造した装飾シートに比べて劣るものであった。
以上の結果から、実施例1〜6の塩化ビニル樹脂組成物は、装飾シートの基材層の形成材料として有用であることが確認された。

Claims (3)

  1. (A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、(B)25℃で固体のトリアジン系化合物0.01〜5質量部、及び(C)2位と6位の2つの水素がメチル基で置換されたピペリジル基を有する光安定剤0.02〜5質量部を含有する塩化ビニル樹脂組成物。
  2. (B)成分が下記一般式(1)で表される化合物である請求項1記載の塩化ビニル樹脂組成物。
    (一般式(1)中、X1は、分岐を有している場合があり、置換されている場合がある炭素原子数8以上のアルキレン基を表し、
    及びYは、互いに独立に、−COO−、−OCO−、−L−、−O−LO−、−OL−、−LOCO−、−LCOO−、−CO−CH=CH−、−CH=CH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、又は−COO−CH=CH−を表し、
    は、分岐を有している場合がある炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、
    〜R18は、互いに独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のアルケニル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
    l及びmは、互いに独立に、0〜8の整数を表す。)
  3. (C)成分が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルエステル、並びにビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル}カーボナートからなる群から選択される何れか1種以上である、請求項1又は2記載の塩化ビニル樹脂組成物。
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