JP2019039287A - 固定具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 作業員に重労働を強いることなく、未熟な作業員であっても複数の格子状体を短時間で確実に施工することができる固定具を提供する。【解決手段】 固定具1は、溶接金網の枡目の寸法に応じた距離を隔てて互いに平行に配した一対の第1フレーム部材11と、両第1フレーム部材の間に架設した一対の第2フレーム部材12とを備え、第1フレーム部材11は、施工対象面に当接させる棒片状の当接部11bと、当接部11bの両端部を立ち上げてなる立上り部11cと、両立上り部の両端部から互いに離隔する方向へ延設したアーム部11dと、両アーム部の先端部分に設けられた固定部11eとを具備し、少なくとも一方の当接部11bの長手方向の中途位置に、他の溶接金網の縦条材又は横条材を結合させる結合手段14が立設してある。【選択図】 図1

Description

本発明は、コンクリート内に埋設される溶接金網又は網状のフェンス等、縦条材と横条材とを格子状に構成してなる複数の格子状体を相互に固定する固定具に関する。
建物の床といった構造物を建造すべくコンクリートを打設する場合、当該構造物の強度を増大させ、また構造物にクラックが発生することを防止するために、コンクリート内に複数枚の溶接金網を埋設させている。
図21は従来の溶接金網の施工方法を説明する説明図であり、図中、WMは溶接金網である。溶接金網WMは、複数の縦条材W1,W1,…と横条材W2,W2,…とを格子状に配してなり、縦条材W1,W1,…と横条材W2,W2,…とが交差する部分を相互に溶接にて固定してある。
施工対象領域の周囲に図示しない型枠を立設しておき、当該型枠内の全域に複数の溶接金網WM,WM,…を敷設する。このとき、相隣る溶接金網WM,WMはその縁部が複数の枡目(図21にあっては1枡目)ずつ重畳するようにしてある。次に、溶接金網WM,WM,…を順に持ち上げ、図21に示したように、施工対象面と溶接金網WM,WM,…との間にブロックといったスペーサ30,30,…を介装させ、スペーサ30,30,…上に溶接金網WM,WM,…を載置する。このようにスペーサ30,30,…上に溶接金網WM,WM,…を担持することによって、施工対象面から所定寸法だけ隔てた位置に溶接金網WM,WM,…を保持する。
そして、相隣る溶接金網WM,WMの重畳部分に、例えば溶接金網上で作業する作業員によって踏まれた場合であっても相互ズレが発生することを防止するために、針金等の短寸の条材を用いてなる結束材B,B,…によって、重畳する両溶接金網WM,WMを相互に結束する。このようにして施工対象領域に溶接金網WM,WM,…への施工が終了した後、型枠内へコンクリートを溶接金網WM,WM,…が埋入する所定深さまで投入し、投入したコンクリートの表面を均すのである。
しかし、このような結束作業は各溶接金網WM,WM,…が相互に重畳させた全ての領域に対して実施する必要がある上に、各領域それぞれに多くの結束箇所が存在するため、比較的大きな面積の構造物を建造する場合、熟練した作業員が複数人必要となるのに加え、熟練した作業員であっても全ての結束箇所の作業が終了するまでに長時間を要していた。
そのため、後記する特許文献1には、溶接金網同士を重畳させずに、相隣る溶接金網を構成する各条材の端部同士を直線状に相互に連結させる連結具が提案されている。
一方、前述した施工方法では、溶接金網WM,WM,…はスペーサ30,30,…上に載置されているだけであるため、前述した結束材B,B,…による結束作業中に各溶接金網WM,WM,…にずれが発生した場合、当該部分に配されたスペーサ30,30,…の位置を再度調整しなければならないという問題があった。そのため、後記する特許文献2には次のようなスペーサが開示されている。
図22は特許文献2に開示されたスペーサの使用様態を示す斜視図である。スペーサ31は、5〜6mm程度の直径の金属線材を屈曲成形してなり、所定距離を隔てて立ち上げた2本の立ち上がり部131c,131cと、両立ち上がり部131c,131cの間に形成され、溶接金網を構成する鉄線を支持する鉄線支持部131gと、両立ち上がり部131c,131cの下端からそれぞれ水平に折曲され、デッキプレートDP上に載置される載置部131b,131bとを備えている。また、前記鉄線支持部131gには、両立ち上がり部131c,131cの上端から水平方向へ延設した下側横向き部131d,131dと、両下側横向き部131d,131dからそれぞれ湾曲して立ち上がった弧状部131e,131eと、両弧状部131e,131eの上端間を繋ぐ水平な上側横向き部131fとを有し、側面視が扁平な螺旋状になしてある。ここで、両下側横向き部131d,131dと上側横向き部131fとの間の内寸は、溶接金網を構成する鉄線の外径より大きくしてある。
このようなスペーサ31にあっては、デッキプレートDP上に敷設された溶接金網WMを持ち上げ、当該溶接金網WMを構成する鉄線を螺旋状の鉄線支持部131g内へ挿入し、その状態で当該溶接金網WMを下すことによって、スペーサ31の載置部131b,131bをデッキプレートDPに当接させ、スペーサ31をデッキプレートDP上に立脚させる。このとき、鉄線支持部131g内へ挿入された鉄線は、当該スペーサ31の両下側横向き部131d,131d上に担持される。
特開昭51−5818号公報 特開2010−189855号公報
しかしながら、特許文献1に開示された連結具を用いて相隣る溶接金網を連結させる場合、相隣る溶接金網を構成する各条材の端部同士を直線状に位置合わせしなければならず、かかる位置合わせ作業に時間を要する上に、連結具によって各条材の端部同士を連結させる作業に比較的長時間を要するという問題があった。
一方、特許文献2に開示されたスペーサ31にあっては、スペーサ31の鉄線支持部131g内へ溶接金網WMの鉄線を挿入させる作業は、前同様、一部を重畳させた各溶接金網WM,WM,…を作業員が持ち上げて行わなければならないため、作業員に重労働を強いるのに加え、溶接金網WMの鉄線へのスペーサ31の取り付け作業に長時間を要するという問題があった。一方、溶接金網WMを構成する鉄線を螺旋状の鉄線支持部131g内へ挿入することによって、それ以後はスペーサ31が溶接金網WMの動きに追従するものの、当該スペーサ31は溶接金網WMに固定されていないため、敷設した溶接金網WMにずれが発生して、当該溶接金網WMの位置を調整する場合に、スペーサ31の鉄線支持部131g内へ挿入された鉄線が両下側横向き部131d,131dからずれることがあり、かかる場合、溶接金網WMのスペーサ31を取り付けた部分を再度持ち上げ、当該スペーサ31を再調整しなければならなかった。
更に、かかるスペーサ31を用いた場合であっても、複数の溶接金網を施工するには各溶接金網を相互に結束しなければならず、結束作業に伴う前述した問題は解消されていない。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、作業員に重労働を強いることなく、未熟な作業員であっても複数の格子状体を短時間で確実に施工することができる固定具を提供する。
(1)本発明に係る固定具は、格子状に配した複数の縦条材及び複数の横条材が交差する部分を接合してなり、各縦条材及び各横条材にて形成された複数の枡目を有する格子状体と、該格子状体上に重畳される他の格子状体とを互いに固定する固定具において、前記格子状体の枡目の寸法に応じた距離を隔てて互いに平行に配した少なくとも一対の第1フレーム部材と、両第1フレーム部材の間に架設した一対の第2フレーム部材とを備え、前記第1フレーム部材の両端部にそれぞれ、前記格子状体の枡目を構成する両縦条材又は両横条材に外嵌させて固定するための固定部が設けてあり、前記両第2フレーム部材の間に、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を結合させる結合手段が配設してあり、前記第1フレーム部材及び/又は第2フレーム部材には、前記固定部に固定された格子状体の施工対象面に当接して、当該格子状体を施工対象面から離隔した高さ位置に担持する担持部が設けてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、格子状に配した複数の縦条材及び複数の横条材が交差する部分を接合してなり、各縦条材及び各横条材にて形成された複数の枡目を有する格子状体と、該格子状体上に重畳される他の格子状体とを互いに固定するようになっており、格子状体の枡目の寸法に応じた距離を隔てて互いに平行に配した少なくとも一対の第1フレーム部材と、両第1フレーム部材の間に架設した一対の第2フレーム部材とを備えている。
前述した第1フレーム部材の両端部にそれぞれ固定部が設けてあり、各固定部を格子状体の枡目を構成する両縦条材又は両横条材に外嵌させて当該固定具を格子状体に固定する。このとき、固定具は、各固定部を格子状体の両縦条材又は両横条材に外嵌させて当該格子状体に固定されるため、施工対象面において当該格子状体の位置を再調整する場合であっても、当該固定具の位置を再調整する手間を省くことができ、従って、作業員に重労働を強いることなく、複数の格子状体を短時間で確実に施工することができる。
一方、前述した両第2フレーム部材の間、例えば第1フレーム部材の長手方向の中途位置、又は第1フレーム部材とは異なる箇所であって、両第2フレーム部材の間の位置に、他の格子状体の縦条材又は横条材を結合させる結合手段が配設してあり、該結合手段に、当該固定具が固定された格子状体上に重畳される他の格子状体の縦条材又は横条材を結合させることによって、当該固定具が固定された格子状体と前記他の格子状体とを固定する。これによって、前述した如き結束作業が不要となり、未熟な作業員であっても複数の格子状体を短時間で確実に施工することができる。
ところで、前述した第1フレーム部材及び/又は第2フレーム部材には担持部が設けてあり、該担持部は、固定部に固定された格子状体の施工対象面に当接して、当該格子状体を施工対象面から離隔した高さ位置に担持する。これによって固定具はスペーサとしても機能する。
(2)本発明に係る固定具は、前記結合手段は、第1フレーム部材の長手方向の中途位置に設けてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前述した結合手段は、第1フレーム部材の長手方向の中途位置、好ましくは両第1フレーム部材の長手方向の中央部分にそれぞれ設けてあり、当該結合手段には、前記他の格子状体を構成する複数の縦条材又は横条材であって、固定具の各固定部が固定した格子状体の縦条材又は横条材と並行をなす縦条材又は横条材が結合される。つまり、格子状体の縦条材に固定具の各固定部が固定した場合、結合手段には、前記他の格子状体の縦条材が結合され、格子状体の横条材に固定具の各固定部が固定した場合、結合手段には、前記他の格子状体の横条材が結合される。これによって、未熟な作業員であっても複数の格子状体を短時間で確実に施工することができる。
(3)本発明に係る固定具は、前記結合手段は、第1フレーム部材の長手方向へ互いに適宜距離を隔てて立設してなり、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持する一対の保持部を有しており、両保持部の頂部は、前記固定部の頂部の高さ位置より高くしてあり、対をなす両保持部の頂部間の寸法は両保持部の他の部分の間の寸法より狭くして、両保持部の間に嵌入された他の格子状体の縦条材又は横条材が両保持部間から抜け出ることを防止する抜止部になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前記結合手段は、第1フレーム部材の長手方向へ互いに適宜距離を隔てて立設してなり、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持する一対の保持部を有しており、両保持部の間に、前述した他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持するようになっている。両保持部の頂部は、前記固定部の頂部の高さ位置より高くしてあり、これによって、結合手段は当該固定具が固定された格子状体を構成する各縦条材又は各横条材で形成される平面から突出し、前記格子状体上に重畳された他の格子状体の縦条材又は横条材と結合することができる。
また、対をなす両保持部の頂部間の寸法は両保持部の他の部分の間の寸法より狭くして、両保持部の間に嵌入された他の格子状体の縦条材又は横条材が両保持部間から抜け出ることを防止する抜止部になしてある。前述した他の格子状体の縦条材又は横条材を両保持部の間に嵌入させる場合、両保持部は両抜止部が互いに離隔する方向へ撓むため、両抜止部の間の寸法が拡大し、その間を他の格子状体の縦条材又は横条材が通過して両保持部の間に嵌入される。両保持部の間に、他の格子状体の縦条材又は横条材が嵌入されると、両保持部が元の姿勢に復帰するので、両抜止部の間の寸法が前記他の格子状体の縦条材又は横条材の外径より少し小さくなる。このように本固定具の結合手段に他の格子状体の縦条材又は横条材をワンタッチで結合させることができる。
ここで、両保持部の頂部に設けられた両抜止部は互いに向かい合うように設けてあるため、両保持部の間に嵌入された縦条材又は横条材にとっては返しとなり、両保持部からその間に嵌入された縦条材又は横条材が抜出することが防止される。
(4)本発明に係る固定具は、前記両第2フレーム部材の間に架設した一対の第3フレーム部材を更に備え、前記結合手段は、両第3フレーム部材の長手方向の中途位置に設けてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前述した両第2フレーム部材の間に架設した一対の第3フレーム部材を更に備えており、これによって固定具の構造強度が向上されている。そして、かかる第3フレーム部材の長手方向の中途位置に前記結合手段が設けてある。従って、第1フレーム部材及び第2フレーム部材の構造を可及的に単純化することができ、両部品コストを可及的に廉価にすることができる。
(5)本発明に係る固定具は、前記結合手段は、第3フレーム部材の長手方向へ互いに適宜距離を隔てて立設してなり、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持する一対の保持部を有しており、両保持部の頂部は、前記固定部の頂部の高さ位置より高くしてあり、対をなす両保持部の頂部間の寸法は両保持部の他の部分の間の寸法より狭くして、両保持部の間に嵌入された他の格子状体の縦条材又は横条材が両保持部間から抜け出ることを防止する抜止部になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前記結合手段は、第3フレーム部材の長手方向へ互いに適宜距離を隔てて立設してなり、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持する一対の保持部を有しており、両保持部の間に、前述した他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持するようになっている。両保持部の頂部は、前記固定部の頂部の高さ位置より高くしてあり、これによって、結合手段は当該固定具が固定された格子状体を構成する各縦条材又は各横条材で形成される平面から突出し、前記格子状体上に重畳された他の格子状体の縦条材又は横条材と結合することができる。
また、対をなす両保持部の頂部間の寸法は両保持部の他の部分の間の寸法より狭くして、両保持部の間に嵌入された他の格子状体の縦条材又は横条材が両保持部間から抜け出ることを防止する抜止部になしてある。前述した他の格子状体の縦条材又は横条材を両保持部の間に嵌入させる場合、両保持部は両抜止部が互いに離隔する方向へ撓むため、両抜止部の間の寸法が拡大し、その間を他の格子状体の縦条材又は横条材が通過して両保持部の間に嵌入される。両保持部の間に、他の格子状体の縦条材又は横条材が嵌入されると、両保持部が元の姿勢に復帰するので、両抜止部の間の寸法が前記他の格子状体の縦条材又は横条材の外径より少し小さくなる。このように本固定具の結合手段に他の格子状体の縦条材又は横条材をワンタッチで結合させることができる。
ここで、両保持部の頂部に設けられた両抜止部は互いに向かい合うように設けてあるため、両保持部の間に嵌入された縦条材又は横条材にとっては返しとなり、両保持部からその間に嵌入された縦条材又は横条材が抜出することが防止される。
(6)本発明に係る固定具は、前記第1フレーム部材は、前記施工対象面に当接させる棒片状又は板片状の当接部と、該当接部の両端部をそれぞれ立ち上げてなる立上り部と、両立上り部の両端部から互いに離隔する方向へ延設してあり、前記各固定部に連通するアーム部とを具備しており、各アーム部は、立上り部の高さ位置から漸次低い高さ位置へ傾斜させた傾斜部を有しており、各傾斜部とそれに対向する立上り部とで構成される脇部は、その内に他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入し得る寸法になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前述した第1フレーム部材は、施工対象面に当接させる棒片状又は板片状の当接部と、この当接部の両端部をそれぞれ立ち上げてなる立上り部と、両立上り部の両端部から互いに離隔する方向へ延設したアーム部と、該アーム部に連通する固定部とを具備して構成してある。各アーム部は、立上り部の高さ位置から漸次低い高さ位置へ傾斜させた傾斜部を有しており、各傾斜部とそれに対向する立上り部とによって脇部が構成されている。そして、この脇部は、その内に他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入し得る寸法になしてある。
これによって、予め固定具を取り付けた複数枚の格子状体を積層させて運搬する場合、積層させた1又は複数の格子状体を構成する縦条材又は横条材を、固定具の両脇部に嵌入させることができるため、積層させた各格子状体の嵩高をより小さくすることができる。
(7)本発明に係る固定具は、記各アーム部は、前記傾斜部に連通し、前記当接部と略平行になした平坦部をそれぞれ有し、各平坦部は、その上に他の格子状体の縦条材又は横条材を載置し得る寸法になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前述した各アーム部は、当該アーム部の傾斜部に連通し、前記当接部と略平行になした平坦部をそれぞれ有している。そして、各平坦部は、その上に他の格子状体の縦条材又は横条材を載置し得る寸法になしてある。このように、各アーム部の平坦部上に他の格子状体の縦条材又は横条材を載置することができるため、予め固定具を取り付けた複数枚の格子状体を積層させて運搬する場合、積層させた各格子状体の嵩高をより小さくすることができる。
(8)本発明に係る固定具は、前記平坦部の高さ位置と前記立上り部の頂部の高さ位置とは、他の格子状体の縦条材又は横条材の直径と略同じ寸法だけ異ならせてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、各アーム部の平坦部の高さ位置と第1フレーム部材の立上り部の頂部の高さ位置とは、他の格子状体の縦条材又は横条材の直径と略同じ寸法だけ異ならせてある。そのため、他の格子状体の縦条材又は横条材をアーム部の平坦部上に載置した場合、当該他の格子状体の縦条材又は横条材が第1フレーム部材の立上り部の頂部から突出せず、従って、予め固定具を取り付けた複数枚の格子状体を積層させて運搬する場合、積層させた各格子状体の嵩高を更に小さくすることができる。
(9)本発明に係る固定具は、前記両第1フレームの間に、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を挿入するための挿入部が形成してあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、両第1フレームの間、例えば第1フレーム部材の長手方向の中途位置、又は第1フレーム部材とは異なる箇所であって、両第2フレーム部材の間の位置に、前述した他の格子状体の縦条材又は横条材を挿入するための挿入部が形成してあり、これによって固定具を取り付けた格子状体に重畳させた他の格子状体の姿勢がずれていた場合であっても、当該他の格子状体の縦条材又は横条材を固定具の挿入部内へ挿入させることによって、他の格子状体の姿勢を容易に整えることができる。
(10)本発明に係る固定具は、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を前記挿入部へ案内するガイド部を具備することを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、他の格子状体の縦条材又は横条材を前記挿入部へ案内するガイド部を具備するため、当該他の格子状体の縦条材又は横条材を固定具の挿入部内へ挿入させる作業を容易及び確実に実施することができる。
(11)本発明に係る固定具は、前記第1フレーム部材及び/又は第2フレーム部材は、棒状材又は板状材で形成してあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、第1フレーム部材及び/又は第2フレーム部材は、棒状材又は板状材で形成してある。第1フレーム部材及び/又は第2フレーム部材を棒状材で形成した場合は、固定具の構造強度がより強固であり、一方、第1フレーム部材及び/又は第2フレーム部材を板状材で形成した場合は、比較的複雑な形状であっても打抜き加工等によって製造することができるため、部品コストが廉価である。ここで、棒状材には条材も含まれるものとする。
(12)本発明に係る固定具は、第1フレーム部材は板状材で形成してあり、前記結合手段は、第1フレーム部材の長手方向の中途位置に、一対の鳥頭形状の保持部を互いに対抗するように設けてなり、前記第1フレーム部材には両保持部の外側縁に倣って切欠き部がそれぞれ設けてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、第1フレーム部材は板状材で形成してあり、前記結合手段は、第1フレーム部材の長手方向の中途位置に、一対の鳥頭形状の保持部を互いに対抗するように設けてなる。即ち、鳥頭形状の保持部はその嘴状の部分が抜止部になっており、両保持部は両抜止部が互いに対抗するように設けてある。前述した第1フレーム部材には両保持部の外側縁に倣って切欠き部がそれぞれ設けてあり、これによって両保持部は互いに離隔する方向へ撓むことが可能になっている。
両保持部上に位置合わせされた他の格子状体の縦条材又は横条材に押力が印加されると、対をなす両保持部が互いに離隔する方向へ撓んで両抜止部の間の寸法が相対的に広くなるため、当該縦条材又は横条材が両保持部内へ嵌入される。その後、両保持部が元の姿勢に復帰し、これに伴って両抜止部の間も元の寸法に復帰するため、両保持部内に嵌入した縦条材又は横条材が両保持部から外へ抜出することが防止され、これによって他の格子状体を構成する縦条材又は横条材が両結合手段にワンタッチで結合される。
(13)本発明に係る固定具は、前記第3フレーム部材は板状材で形成してあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前述した第3フレーム部材は板状材で形成してあるため、第3フレーム部材の製造コストが廉価である。
(14)本発明に係る固定具は、前記結合手段は、第3フレーム部材の長手方向の中途位置に、一対の鳥頭形状の保持部を互いに対抗するように設けてなり、前記第3フレーム部材には両保持部の外側縁に倣って切欠き部がそれぞれ設けてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、板状材で形成された第3フレーム部材の長手方向の中途位置に、一対の鳥頭形状の保持部を互いに対抗するように設けてなる。即ち、鳥頭形状の保持部はその嘴状の部分が抜止部になっており、両保持部は両抜止部が互いに対抗するように設けてある。前述した第3フレーム部材には両保持部の外側縁に倣って切欠き部がそれぞれ設けてあり、これによって両保持部は互いに離隔する方向へ撓むことが可能になっている。
両保持部上に位置合わせされた他の格子状体の縦条材又は横条材に押力が印加されると、対をなす両保持部が互いに離隔する方向へ撓んで両抜止部の間の寸法が相対的に広くなるため、当該縦条材又は横条材が両保持部内へ嵌入される。その後、両保持部が元の姿勢に復帰し、これに伴って両抜止部の間も元の寸法に復帰するため、両保持部内に嵌入した縦条材又は横条材が両保持部から外へ抜出することが防止され、これによって他の格子状体を構成する縦条材又は横条材が両結合手段にワンタッチで結合される。
(15)本発明に係る固定具は、両第3フレーム部材によって前記挿入部が構成してあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、板状材で構成した両第3フレーム部材によって前述した挿入部が構成してあり、他の格子状体の縦条材又は横条材を挿入させて当該他の格子状体の姿勢を整える機能と、他の格子状体の縦条材又は横条材を結合させて当該他の格子状体を固定する機能とを1つの部品で兼ね備えることができる。
(16)本発明に係る固定具は、前記挿入部は、両第3フレーム部材の両端部を互いに対向するように屈曲させて形成してあり、両第3フレーム部材の屈曲された各端部は、当該端部と対向する第2フレーム部材との間に架設した支持部によって、両第2フレーム部材より内側の位置に支持してあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前述した挿入部は、両第3フレーム部材の両端部を互いに対向するように屈曲させて形成してある。即ち、第3フレーム部材の両端部をL字状に屈曲させて、屈曲させた両端縁を所定距離隔てて配置することによって、挿入部が構成されている。かかる両第3フレーム部材の屈曲された各端部は、当該端部と対向する第2フレーム部材との間に架設した支持部によって、両第2フレーム部材より内側の位置に支持してあり、予め固定具を取り付けた複数枚の格子状体を積層させて運搬する場合、積層させた各格子状体を枡目内に固定具の両第3フレーム部材が内嵌して、各格子状体を積層させる作業に支障を来さない。
(17)本発明に係る固定具は、格子状に配した複数の縦条材及び複数の横条材が交差する部分を接合してなり、各縦条材及び各横条材にて形成された複数の枡目を有する格子状体と、該格子状体上に重畳される他の格子状体とを互いに固定する固定具において、前記格子状体の枡目の寸法に応じた距離を隔てて互いに平行に配した少なくとも一対の第1フレーム部材と、両第1フレーム部材の間に架設した一対の第2フレーム部材とを備え、前記第1フレーム部材は、前記格子状体を施工する施工対象面に当接させる棒片状又は板片状の当接部と、該当接部の両端部をそれぞれ立ち上げてなる立上り部と、両立上り部の両端部から互いに離隔する方向へ延設したアーム部と、両アーム部の先端部分にそれぞれ設けてあり、前記格子状体の枡目を構成する両縦条材又は両横条材に外嵌させて固定するための固定部とを具備し、少なくとも一方の当接部の長手方向の中途位置に、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を結合させる結合手段が立設してあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、格子状に配した複数の縦条材及び複数の横条材が交差する部分を溶接してなり、各縦条材及び各横条材にて形成された複数の枡目を有する格子状体と、該格子状体上に重畳される他の格子状体とを互いに固定するようになっており、格子状体の枡目の寸法に応じた距離を隔てて互いに平行に配した少なくとも一対の第1フレーム部材と、両第1フレーム部材の間に架設した一対の第2フレーム部材とを備えている。
前述した第1フレーム部材は、格子状体を施工する施工対象面に当接させる棒片状又は板片状の当接部と、該当接部の両端部をそれぞれ立ち上げてなる立上り部と、両立上り部の両端部から互いに離隔する方向へ延設したアーム部と、両アーム部の先端部分にそれぞれ設けてあり、前記格子状体の枡目を構成する両縦条材又は両横条材に外嵌させて固定するための固定部とを具備している。このような固定具は、対をなす第1フレーム部材にそれぞれ設けられた固定部を格子状体の枡目を構成する両縦条材又は両横条材に外嵌させて、当該固定具を格子状体に固定させる。このとき、各固定部と両第1フレーム部材の当接部との間に、立上り部に相当する段差が形成されるため、固定具が固定された格子状体と当該格子状体の当接部が当接する施工対象面との間にも段差が形成される。即ち、当接部及び立上り部によって、前述した固定部に固定された格子状体を施工対象面から離隔した高さ位置に担持する担持部が構成されている。これによって固定具はスペーサとしても機能する。
このとき、固定具は、前述した如く各固定部を格子状体の両縦条材又は両横条材に外嵌させて当該格子状体に固定されるため、施工対象面において当該格子状体の位置を再調整する場合であっても、当該固定具の位置を再調整する手間を省くことができ、従って、作業員に重労働を強いることなく、複数の格子状体を短時間で確実に施工することができる。
ところで、本発明の固定具にあっては更に、前述した少なくとも一方の当接部の長手方向の中途位置に結合手段が立設してあり、該結合手段に、当該固定具が固定された格子状体上に重畳される他の格子状体の縦条材又は横条材を結合させることによって、当該固定具が固定された格子状体と前記他の格子状体とを固定する。これによって、前述した如き結束作業が不要となり、未熟な作業員であっても複数の格子状体を短時間で確実に施工することができる
(18)本発明に係る固定具は、前記結合手段は、当接部の長手方向へ互いに適宜距離を隔てて立設してなり、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持する一対の保持部を有しており、両保持部の高さ寸法は、前記当接部から固定部の頂部までの高さ寸法より大きくしてあり、対をなす両保持部の頂部間の寸法は両保持部の他の部分の間の寸法より狭くして、両保持部の間に嵌入された他の格子状体の縦条材又は横条材が両保持部間から抜け出ることを防止する抜止部になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前記結合手段は、当接部の長手方向へ互いに適宜距離を隔てて立設してなる棒片状の一対の保持部を有しており、両保持部の間に、前述した他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持するようになっている。両保持部の高さ寸法は、第1フレーム部材の当接部から固定部の頂部までの高さ寸法より大きくしてあり、これによって、結合手段は当該固定具が固定された格子状体を構成する各縦条材又は各横条材で形成される平面から突出し、前記格子状体上に重畳された他の格子状体の縦条材又は横条材と結合することができる。
また、結合手段の対をなす両保持部の頂部間の寸法は両保持部の他の部分の間の寸法より狭くして、両保持部の間に嵌入された他の格子状体の縦条材又は横条材が両保持部間から抜け出ることを防止する抜止部になしてある。前述した他の格子状体の縦条材又は横条材を両保持部の間に嵌入させる場合、両保持部は両抜止部が互いに離隔する方向へ撓むため、両抜止部の間の寸法が拡大し、その間を他の格子状体の縦条材又は横条材が通過して両保持部の間に嵌入される。両保持部の間に、他の格子状体の縦条材又は横条材が嵌入されると、両保持部が元の姿勢に復帰するので、両抜止部の間の寸法が前記他の格子状体の縦条材又は横条材の外径より少し小さくなる。このように本固定具の結合手段に他の格子状体の縦条材又は横条材をワンタッチで結合させることができる。
ここで、両保持部の端部に設けられた両抜止部は、両保持部の間に嵌入された縦条材又は横条材にとっては返しとなり、両保持部からその間に嵌入された縦条材又は横条材が抜出することが防止される。
(19)本発明に係る固定具は、対をなす保持部の先端面は、両先端面にて側面視が断底V字状を形成する斜面になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、対をなす保持部の先端面は、両先端面にて側面視が断底V字状を形成する斜面になしてあるため、前述した他の格子状体の縦条材又は横条材を両保持部の間に嵌入させる場合、当該縦条材又は横条材が両保持部の先端面上を摺動して両保持部の間へ嵌入されるため、結合手段と縦条材又は横条材との結合作業を円滑に実施することができる。
(20)本発明に係る固定具は、前記斜面は、前記両当接部にて形成される平面と平行な平面とのなす角が略45°になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、対をなす保持部の先端面たる斜面は、両第1フレーム部材の当接部にて形成される平面と平行な平面とのなす角が略45°になしてある。これによって、結合手段と縦条材又は横条材との結合作業をより円滑に実施することができるとともに、結合手段に結合された他の格子状体を構成する縦条材又は横条材の周面に斜面の端縁が係合し、結合手段からそこに結合された縦条材及び横条材が抜出することが防止される。
(21)本発明に係る固定具は、対をなす保持部の高さ方向の中途位置であって、互いに対向する部分には、1又は複数対の第2抜止部がそれぞれ設けてあり、対をなす第2抜止部の間の寸法は、両保持部の間に嵌入される他の格子状体の縦条材又は横条材の外径より少し小さくしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、固定具が固定された格子状体上に重畳された複数枚の他の格子状体を当該固定具の結合手段に結合し得るように構成してある。すなわち、本固定具を構成する対をなす保持部の高さ方向の中途位置であって、互いに対向する部分には、1又は複数対の第2抜止部がそれぞれ設けてあり、対をなす両第2抜止部の間の寸法は、両保持部の間に嵌入される他の格子状体の縦条材又は横条材の外径より少し小さくしてある。一方、両保持部の先端部には、前述したように抜止部がそれぞれ設けてある。そして、両保持部の当接部と両第2抜止部との間の領域に、一方の他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させ、両保持部の両第2抜止部と両抜止部との間の領域に他方の他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させる。
両第2抜止部の間の寸法は、両保持部の間に嵌入される他の格子状体の縦条材又は横条材の外径より少し小さくしてあるので、前述した一方の他の格子状体の縦条材又は横条材を両保持部の間に嵌入させる場合、前同様、両保持部は両第2抜止部が互いに離隔する方向へ撓んで、両第2抜止部の間の寸法が拡大し、その間を一方の他の格子状体の縦条材又は横条材が通過して両保持部の間に嵌入される。両保持部の間に、一方の他の格子状体の縦条材又は横条材が嵌入されると、両保持部が元の姿勢に復帰するので、両第2抜止部の間の寸法が一方の他の格子状体の縦条材又は横条材の外径より少し小さくなり、嵌入された縦条材又は横条材が両第2抜止部を超えて抜出することが防止される。
ここで、第2抜止部の形状は前述した抜止部の形状と略同じにすると好適であり、第2抜止部の先端も抜止部の先端面と同様な斜面になすのが好適である。
(22)本発明に係る固定具は、前記両第1フレーム部材の間の外寸は、前記格子状体の枡目を構成する両縦条材の間の内寸又は両横条材の間の内寸より小さい値になしてあり、前記両第2フレーム部材の間の外寸は、前記枡目を構成する両横条材の間の内寸又は両縦条材の間の内寸より小さい値になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前記両第1フレーム部材の間の外寸は、前記格子状体の枡目を構成する両縦条材の間の内寸又は両横条材の間の内寸より小さい値になしてあり、前記両第2フレーム部材の間の外寸は、前記枡目を構成する両横条材の間の内寸又は両縦条材の間の内寸より小さい値になしてあるため、固定具は格子状体の枡目内で縦横方向へずらすことが可能になる。ところで、本固定具は格子状体の製造工場で各格子状体の所定位置に固定することができるが、かかる製造工場から施工対象地までトラック等によって輸送する場合、荷台上に複数の格子状体を互いに重積させる。このとき、格子状体の枡目内で固定具を縦横方向へずらすことによって、上下の各格子状体において当該格子状体の各固定具の位置を互いに異ならせることができる。これによって、上下の格子状体の間の隙間を可及的に狭くすることができ、固定具が固定された各格子状体の輸送密度を向上させることができる。
(23)本発明に係る固定具は、前記固定部は、前記立上り部と平行な姿勢で立ち上がらせるとともに、互いに外側へ湾曲させてなることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、前記固定部は、前記立上り部と平行な姿勢で立ち上がらせるとともに、互いに外側へ湾曲させてなり、格子状体の枡目を形成する相隣る縦条材又は相隣る横条材に固定部が両縦条材又は両横条材の外側から外嵌する。この場合、第1フレーム部材の両固定部の先端面は互いに向かい合う姿勢になっており、これによって、格子状体の縦条材又は横条材に固定部を外嵌させる作業をスムーズに実施することができる。
(24)本発明に係る固定具は、前記固定部の先端面は斜面になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、固定部の先端面は斜面になしてあるため、前述した格子状体の縦条材又は横条材に固定部を外嵌させる場合、当該縦条材又は横条材が固定部の先端面上を摺動して当該固定部を外嵌させることができるため、固定部を縦条材又は横条材に外嵌させる作業を円滑に実施することができる。
(25)本発明に係る固定具は、前記(24)に記載の斜面は、前記両当接部にて形成される平面と平行な平面とのなす角の角度が略45°になしてあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、固定部の先端面である斜面は、両第1フレーム部材の当接部にて形成される平面と平行な平面とのなす角の角度が略45°になしてある。これによって、固定部を縦条材又は横条材に外嵌させる作業をより円滑に実施することができるとともに、固定部が外嵌された格子状体を構成する縦条材又は横条材の周面に斜面の端縁が係合し、固定部からそこに内嵌された縦条材及び横条材が抜出することが防止される。
(26)本発明に係る固定具は、少なくとも一方の第2フレーム部材と、両結合手段の当該一方の第2フレーム部材に対向する両保持部との間にそれぞれガイド部が架設してあり、両ガイド部によって両者間に前記他の格子状体の縦条材又は横条材を挿入する挿入部が形成してあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、少なくとも一方の第2フレーム部材と、両結合手段の当該一方の第2フレーム部材に対向する両保持部との間にそれぞれガイド部が架設してあり、両ガイド部によって平面視がハ字状の構造物が形成されている。かかる平面視ハ字状の両ガイド部の間に、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を挿入する挿入部が形成されている。この挿入部に他の格子状体の縦条材又は横条材を挿入させることによって、当該他の格子状体の姿勢を整えることができ、これによって、それ以降の施工作業を容易にすることができる。
(27)本発明に係る固定具は、更に、他方の第2フレーム部材と、前記結合手段の当該他方の第2フレーム部材に対向する保持部との間にガイド部が架設してあることを特徴とする。
本発明の固定具にあっては、他方の第2フレーム部材と、前記結合手段の当該他方の第2フレーム部材に対向する保持部との間にガイド部が架設してある。ここで、他方の第2フレーム部材に対向する保持部は、対をなす保持部のいずれか一方でもよいし、両方でもよい。これによって、前記他の格子状体の姿勢を更に整えることができる。一方、前者の場合、固定具を固定した格子状体上に重畳した他の格子状体のいずれかの縦条材又は横条材が当該固定具のガイド部に当接することを予め回避することができる。
本発明に係る固定具の一例を示す斜視図である。 図1に示した固定具の結合手段の部分を示す拡大図である。 溶接金網に複数の固定具を固定した一例を示す平面図である。 図3に示した如く固定具を固定した2枚の溶接金網を施工した状態を示す平面図である。 2枚の溶接金網を重畳させた部分の拡大斜視図である。 2枚の溶接金網を重畳させた部分の拡大斜視図である。 3枚の溶接金網を施工した状態を示す平面図である。 図7に示した3枚の溶接金網が重畳した部分の拡大斜視図である。 他の固定具を示す斜視図である。 発明を実施するための第3の形態に係る固定具を示す斜視図である。 発明を実施するための第3の形態に係る他の固定具を示す斜視図である。 発明を実施するための第4の形態に係る固定具を示す斜視図である。 発明を実施するための第4の形態に係る他の固定具を示す斜視図である。 発明を実施するための第5の形態に係る固定具を示す斜視図である。 図14に示した固定具の使用様態を示す斜視図である。 発明を実施するための第6の形態に係る固定具を示す斜視図である。 本固定具を予め取り付けた一の溶接金網を2枚の他の溶接金網で挟持した状態を示す部分側面図である。 本固定具を予め取り付けた一の溶接金網を2枚の他の溶接金網で挟持した状態を示す部分側面図である。 図17に示した3枚の溶接金網及び固定具の平面図である。 図18に示した3枚の溶接金網及び固定具の平面図である。 従来の溶接金網の施工方法を説明する説明図である。 従来のスペーサの使用様態を示す斜視図である。
本発明に係る固定具を図面に基づいて詳述する。
なお、本発明を実施するための形態で説明する固定具は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
(発明を実施するための第1の形態)
図1は本発明に係る固定具の一例を示す斜視図である。
固定具1は、棒状材を倒立凸形状に成形してなる一対の第1フレーム部材11,11と、短寸棒状の一対の第2フレーム部材12,12とを備えており、第1フレーム部材11,11の両端部にはそれぞれ、溶接金網に固定するための固定部11e,11e、11e,11eが設けてある。これら第1フレーム部材11,11と第2フレーム部材12,12とは、後述する如く平面視が井桁状に固定してある。
前述した第1フレーム部材11は、施工対象面に当接させる直線分状の当接部11bの両端部をそれぞれ立ち上がらせて立上り部11c,11cとし、全体としてU字状に成形された本体(担持部)11aを有している。この本体11aの両端にはそれぞれ、短寸のアーム部11d,11dが前記当接部11bと略平行な姿勢で互いに離隔する方向へ延設してあり、両アーム部11d,11dの先端部分は、前記立上り部11c,11cと平行な姿勢で立ち上がらせるとともに、互いに外側へ湾曲させて前述したフック状の固定部11e,11eが形成されている。すなわち、両固定部11e,11eは共に内巻きに曲成して構成してある。なお、本実施の形態では直線分状の当接部11bを設けた場合について示したが、本発明はこれに限らず、凹凸状又は波線状等、適宜の形状であってもよい。
第1フレーム部材11に設けられた両固定部11e,11eの内底部間の寸法は、固定具1を取り付ける溶接金網を構成する相隣る縦条材間の外寸又は相隣る横条材間の外寸と略同じ値にしてあり、また、両固定部11e,11eの曲率は前記縦条材又は横条材の周面の曲率と略同じ値にしてある。前記両固定部11e,11eは、前記溶接金網の縦条材の周面又は横条材の周面に、当該周面の周方向へ1/4を少し超える範囲で外嵌し得る長さ寸法にしてある。また、前記両固定部11e,11eの先端面ST,STは、平行配置された本体11a,11aの両当接部11b,11bにて形成される平面と平行な平面Hとのなす角αが略45°になる斜面になしてあり、これによって先端面ST,STの先端部が前記溶接金網の縦条材の周面又は横条材の周面に係合するようになっている。
平行配置された両第1フレーム部材11,11間の寸法は、固定具1を取り付ける溶接金網を構成する相隣る縦条材間の寸法又は相隣る横条材間の寸法より短くしてあり、前述した両第2フレーム部材12,12が、両第1フレーム部材11,11の本体11a,11aの両端部分にそれぞれ架設してある。この第2フレーム部材12,12の長さ寸法も固定具1を取り付ける溶接金網を構成する相隣る縦条材間の寸法又は相隣る横条材間の寸法より短くしてあり、対向配置された両第2フレーム部材12,12間の寸法も同様に、相隣る縦条材間の寸法又は相隣る横条材間の寸法より短くなしてある。
なお、図1に示した固定具1では、両第1フレーム部材11,11の本体11a,11aの両端部分にそれぞれ第2フレーム部材12,12を架設した場合について示したが、本発明はこれに限らず、両第1フレーム部材11,11の立上り部11c,11cの適宜位置の間、両第1フレーム部材11,11の当接部11b,11bの適宜位置の間等、両第1フレーム部材11,11の適宜の位置の間に架設することができる。
前述した第1フレーム部材11,11の当接部11b,11bの長手方向の略中央位置には、固定具1を取り付けた溶接金網に重畳される他の溶接金網の相隣る縦条材又は相隣る横条材を結合させる結合手段14,14がそれぞれ設けてある。
図2は図1に示した固定具1の結合手段14の部分を示す拡大図である。なお、図中、図1に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
結合手段14は、本体11aの当接部11bの周面に、当該本体11aの立上り部11c(図1参照)と略平行な姿勢で立設された棒片状の一対の保持部14a,14aを具備しており、当接部11bから保持部14aの先端部までの高さ寸法は当接部11bから前述した固定部11e,11eの頂部までの高さ寸法より大きくしてある(図1参照)。従って、後述する如く固定具1を溶接金網に固定した場合、当該固定具1の保持部14a,14a、14a,14aは溶接金網から突出した様態になる。
対をなす保持部14a,14aは当接部11bの長手方向へ所定距離を隔てて配置してあり、両保持部14a,14a内へ前記他の溶接金網の縦条材又は横条材を嵌入させてそれを保持するようになっている。両保持部14a,14aの先端部はそれぞれ互いに向かい合うように内側へ屈曲させて、両保持部14a,14a内へ嵌入させた他の溶接金網の縦条材又は横条材の抜けを防止する抜止部14b,14bになしてあり、両抜止部14b,14bの間は、前記他の溶接金網の縦条材又は横条材を挿入させる挿入口14cになっている。抜止部14b,14bの挿入口14cに対向する先端面SU,SUは、前述した固定部11e,11eの先端面ST,ST(図1参照)と平行な斜面になしてあり、これによって先端面SU,SUは側面視が断底V字状になっている。また、先端面SU,SUは、前同様、本体11a,11aの両当接部11b,11bにて形成される平面と平行な平面Hとのなす角が略45°の斜面になしてある。
両保持部11a,11aの先端面SU,SUであって,挿入口14cの底部に対向する両位置の間の寸法は、保持部14a,14a内へ嵌入させる縦条材又は横条材の直径より僅かに小さい値になしてあり、挿入口14c上に位置合わせされた縦条材又は横条材に押力が印加されると、保持部14a,14aが互いに離隔する方向へ撓んで挿入口14cが相対的に広くなるため、挿入口14c上の縦条材又は横条材が両保持部14a,14a内へ嵌入される。その後、保持部14a,14aが元の姿勢に復帰し、これに伴って挿入口14cも元の寸法に復帰するため、両保持部14a,14a内に嵌入した縦条材又は横条材が挿入口14cから外へ抜出することが防止され、これによって当該縦条材又は横条材が結合手段14に結合される。
一方、後述するように固定具1は一の溶接金網に予め固定されているため、当該固定具1の結合手段14,14に他の溶接金網の縦条材又は横条材を前述した如く結合させることによって、当該溶接金網とこれに重畳された他の溶接金網とが相互に固定される。
ところで、図1に示したように、本例にあっては3つの保持部14a,14a,14aとそれに対向する第2フレーム部材12,12との間に、短寸側部分及び長寸側部分を具備する横転L字状のガイド部15,15,15がそれぞれ架設してある。本例にあっては、一方の第2フレーム部材12に2つのガイド部15,15の短寸側部分が、当該第2フレーム部材12の長手方向の中央位置から第2フレーム部材12の両端側へそれぞれ適宜寸法隔てた位置に連結してある。これによって、両ガイド部15,15は平面視がハ字状になっており、両ガイド部15,15によってその間に他の溶接金網の縦条材又は横条材を挿入させる挿入部15aが形成されている。一方、他方の第2フレーム部材12にガイド部15の短寸側部分が、当該第2フレーム部材12の長手方向の中央位置から第2フレーム部材12の一端側へ適宜寸法隔てた位置に連結してある。
前述したように固定具1は一の溶接金網に予め固定しておき、当該固定具1の結合手段14,14に他の溶接金網の縦条材又は横条材を結合させる一方、更に他の溶接金網の縦条材又は横条材をガイド部15,15,15に沿わせて移動させ、ハ字状の両ガイド部15,15の間の挿入部15a内に挿入させる。これによって、更に他の溶接金網を所要の姿勢に整えることができる。このとき、残るガイド部15は対をなすガイド部が設けられていないため、ハ字状を構成してないが、前記更に他の溶接金網の縦条材又は横条材が当該ガイド部15の短寸側部分に当接するため、更に他の溶接金網の姿勢矯正を補助することができる。
一方、一の保持部14aと他方の第2フレーム部材12との間にはガイド部が架設していないため、一の溶接金網に他の複数枚の溶接金網を重畳する際に、ガイド部がいずれの他の溶接金網の縦条材若しくは横条材、又はそれら縦条材若しくは横条材に取り付けられた他の部材の邪魔になることを回避することができる。
なお、本実施の形態では、3つのガイド部15,15,15を設けた場合について示したが、本発明はこれに限らず、4つの保持部14a,14a、14a,14aそれぞれにガイド部を設けてもよいし、一方の第2フレーム部材12の一端側の保持部14aと、他方の第2フレーム部材12の他端側の保持部14aにそれぞれガイド部15,15を設けてもよい。後者の場合、一方のガイド部15によって更に他の溶接金網の縦条材又は横条材の第2フレーム部材12の一端側への移動を制限し、他方のガイド部15によって更に他の溶接金網の縦条材又は横条材の第2フレーム部材12の他端側への移動を制限するため、前述したハ字状のガイド部15,15と同じ作用効果を奏する。一方、全ての保持部14a,14a、14a,14aにガイド部を設けなくてもよい。
図3は溶接金網に複数の固定具を固定した一例を示す平面図である。なお、図中、図1及び図2に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
図3に示したように、溶接金網WMは、複数の縦条材W1,W1,…と複数の横条材W2,W2,…とを所定距離を隔てて格子状に配してあり、両者の交差部分を溶接してある。また、溶接金網WMには、各縦条材W1,W1,…及び各横条材W2,W2,…にて囲まれる複数の枡目M,M,…が複数行複数列になるように形成されている。ここで、図3に示した溶接金網WMにあっては、縦条材W1,W1,…の長さ寸法は横条材W2,W2,…の長さ寸法より短くしてあり、これによって長方形状の格子状体が形成されている。なお、縦条材W1,W1,…の長さ寸法は横条材W2,W2,…の長さ寸法より長くしてもよく、また、縦条材W1,W1,…の長さ寸法は横条材W2,W2,…の長さ寸法と同じにしてもよい。
また、溶接金網WMの各縦条材W1,W1,…は同じ面内に、各横条材W2,W2,…は別の面内に配置されており、縦条材W1,W1,…が横条材W2,W2,…の上に位置する側を溶接金網WMの表とすると、縦条材W1,W1,…が横条材W2,W2,…の下に位置する側が溶接金網WMの裏となる。図3に示した場合にあっては、溶接金網WMは表になるように敷設されている。なお、溶接金網WMは裏になるように敷設される場合もある。
そして、図3に示したように、複数行複数列の各枡目M,M,…の内、先頭行又は末尾行の端の枡目Mと、当該枡目Mと同じ行であって横方向の略中央位置の枡目Mに固定具1,1をそれぞれ配置してある。前者の固定具1にあっては、両第1フレーム部材11,11が当該枡目Mを形成する相隣る横条材W2,W2に平行な姿勢になしてあり、第1フレーム部材11,11の両端部にそれぞれ設けた固定部11e,11e、11e,11eが当該枡目Mを形成する相隣る縦条材W1,W1に外嵌固定してある。一方、後者の固定具1にあっては、両第1フレーム部材11,11が当該枡目Mを形成する相隣る縦条材W1,W1に平行な姿勢になしてあり、第1フレーム部材11,11の両端部にそれぞれ設けた固定部11e,11e、11e,11eが当該枡目Mを形成する相隣る横条材W2,W2に外嵌固定してある。なお、前者の固定具1にあっては図1に示した固定具1と同様、3つのガイド部15,15,15が設けてあり、図3では、当該固定具1の左斜め上側の位置にガイド部が設けられていない。一方、後者の固定具1にあっては、4つのガイド部15,15,15,15が設けてあり、これによって2つの挿入部15a,15aが形成されている。
また、前者の固定具1においては、両結合手段14,14は縦条材W1の長手方向へ配列されており、これによって両結合手段14,14に他の溶接金網の縦条材が結合されるようになっている。また、ガイド部15,15,15の内、ハ字状を構成する両ガイド部15,15が縦条材W1の長手へ距離を隔てるように配されており、これによって両ガイド部15,15間の挿入部15aに他の溶接金網の横条材が挿入されるようになっている。
一方、後者の固定具1においては、両結合手段14,14は横条材W2の長手方向へ配列されており、これによって両結合手段14,14に他の溶接金網の横条材が結合されるようになっている。また、ハ字状を構成する2対のガイド部15,15、15,15が、縦条材W1の長手へ距離を隔てて配されており、これによって対をなすガイド部15,15、15,15間の両挿入部15a,15a内に他の溶接金網の縦条材が挿入されるようになっている。
ここで、前述した如く固定部11e,11e、11e,11eの先端面ST,ST、ST,STは平面Hとのなす角α(いずれも図1参照)が略45°になる斜面になしてあるため、固定具1を溶接金網WMに固定すべく、固定部11e,11e、11e,11eを溶接金網WMの縦条材W1又は横条材W2に外嵌させる際、先端面ST,ST、ST,ST上を縦条材W1又は横条材W2の周面が摺動して、縦条材W1又は横条材W2を固定部11e,11e、11e,11e内に容易に嵌入させることができる。
このとき、例えば固定具1を施工対象面上の適宜位置に固定具1の当接部11bが施工対象面に当接するように設置しておき、この固定具1上に溶接金網WMを当該溶接金網WMの所定枡目Mが位置するように配置すると、当該枡目Mを形成する相隣る縦条材W1,W1又は相隣る横条材W2,W2が固定部11e,11e、11e,11eの先端面ST,ST、ST,STに当接する。この状態で、溶接金網WMに押力を印加すると、前述した如く先端面ST,ST、ST,ST上を縦条材W1又は横条材W2が摺動して、縦条材W1,W1又は横条材W2,W2を固定部11e,11e、11e,11e内にワンタッチで嵌入させることができる。
このようにして、所定位置に固定具1,1を固定した複数の溶接金網WM,WM,…を用い、次のようにして各溶接金網WM,WM,…を施工対象面に施工する。
図4は図3に示した如く固定具1,1を固定した2枚の溶接金網WM,WMを施工した状態を示す平面図であり、図5及び図6は2枚の溶接金網WM,WMを重畳させた部分の拡大斜視図である。なお、図4に示した2枚の溶接金網WM,WMにあっては、図4に向かって左側の溶接金網WMは表に、右側の溶接金網WMは裏にしてあり、両溶接金網WM,WMに固定具1,1、1,1を図3で説明した溶接金網WMにおける位置と同じ位置に同じ姿勢で固定してある。なお、これらの図中、図1から図3に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
図4に示したように、前述した如く表の状態で固定具1,1が固定された溶接金網WM(図4中左側)を施工対象面の適宜位置に施設しておき、表の溶接金網WMの隅に固定具1が固定された短辺側であって溶接金網WMの長手方向へ、裏の状態で固定具1,1が固定された溶接金網WM(図5中右側)を配すとともに、裏の溶接金網WMの固定具1が固定されてない短辺側を前記表の溶接金網WM上に、溶接金網WMの枡目Mが1つ半重畳するように配設する。これによって、図5に示したように、裏の溶接金網WMの縦条材W1が表の溶接金網WMの隅に固定された固定具1の両結合手段14,14の挿入口14c,14c上に配置される。
そして、裏の溶接金網WMの当該縦条材W1に押圧を印加することによって、図6に示したように、当該縦条材W1を前述した如く両結合手段14,14内へ嵌入させ、縦条材W1を結合手段14,14に結合させる。これによって、表の溶接金網WMと裏の溶接金網WMとをワンタッチで確実に固定することができる。
ところで、両溶接金網WM,WMに固定された固定具1は、前述した如くU字状に成形された本体11aを有しており、該本体11aの両端に当接部11bと略平行な姿勢で延設されたアーム部11d,11d先端の固定部11e,11e、11e,11eによって溶接金網WMが固定されているため、図6に示したように、溶接金網WM,WMは固定具1によって施工対象面から離隔した状態で支持されている。このように本発明に係る固定具1はスペーサとしての機能も有している。
従って、前述したように複数の固定具1,1,…を各溶接金網WM,WM,…の所定位置に予め固定しておき、得られた溶接金網WM,WM,…を、例えば図4に示したように相隣る溶接金網WM,WM,…の一部が重畳するように施工対象面上に敷設し、各固定具1,1,…の固定部11e,11e、11e,11e、11e,11e、11e,11e、…,…、…,…と各溶接金網WM,WM,…の縦条材W1,W1,…又は横条材W2,W2,…とを結合させるだけで、従来の溶接金網WM,WM,…及びスペーサの施工並びに結束作業といった施工作業を一度に行うことができる。なお、溶接金網WM,WM,…への固定具1,1,…の固定は、溶接金網WM,WM,…の敷設地で行ってもよいし、溶接金網WM,WM,…の製造施設で行ってもよい。
このように、所要数の固定具1,1,…を各溶接金網WM,WM,…の所定位置に予め固定しておくことができるため、敷設した溶接金網WM,WM,…にずれが発生して、当該溶接金網WM,WM,…の位置を調整する場合であっても、当該溶接金網WM,WM,…に固定具1,1,…が固定されているため、固定具1,1,…にずれが発生しない。従って、作業員に重労働を強いることなく、短時間で溶接金網WM,WM,…の敷設作業を完了することができる。
一方、固定具1を溶接金網WMの所定位置に固定するには、当該固定具1の固定部11e,11e、11e,11eの先端面ST,ST、ST,STを相隣る縦条材W1,W1の周面、又は相隣る横条材W2,W2の周面に当接させ、固定具1又は溶接金網WMに押力を印加することによって行うことができ、固定具1を溶接金網WMにワンタッチで固定することができる。従って、作業員に重労働を強いることなく、短時間で固定具1,1,…の溶接金網WM,WM,…への固定作業を完了することができる。
なお、前述したように、本固定具1は、両第1フレーム部材11,11間の外寸を、溶接金網WMの相隣る縦条材W1,W1間の内寸、又は相隣る横条材W2,W2間の内寸より短くし、また、第2フレーム部材12,12間の外寸を、相隣る横条材W2,W2間の内寸、又は相隣る縦条材W1,W1間の内寸より短くしてあり、更に、第2フレーム部材12,12の長さ寸法が溶接金網WMの相隣る縦条材W1,W1間の内寸、又は相隣る横条材W2,W2間の内寸より短くしてあるため、固定具1は溶接金網WMの枡目M内で縦方向又は横方向へずらすことが可能になる。ところで、固定具1の溶接金網WMへの固定作業を製造工場で実施した場合、かかる製造工場から施工対象地までトラック等によって輸送するが、荷台上に複数の溶接金網WM1,WM1,…を互いに重積させるとき、溶接金網WMの枡目M内で固定具1を縦方向又は横方向へずらすことによって、上下の溶接金網WM1,WM1において当該溶接金網WM1,WM1に固定した固定具1,1,…の位置を互いに異ならせることができる。これによって、上下の溶接金網WM1,WM1間の隙間を可及的に狭くすることができ、溶接金網WM1,WM1の輸送密度を向上させることができる。
ところで、本実施の形態に示した固定具1にあっては、図6に示したように、裏の溶接金網WMの縦条材W1を表の溶接金網WMに固定した固定具1の両結合手段14,14内へ嵌入させ、縦条材W1を結合手段14,14に結合させた場合、当該縦条材W1と結合手段14の両抜止部14b,14bとの間に間隙が形成されているが、本発明はこれに限らず、結合手段14内へ嵌入された縦条材W1と当該結合手段14の抜止部14b,14bとの間に間隙が生じないように保持部14a,14aの高寸法を調整しておくとよい。これによって、結合手段14内へ嵌入された縦条材W1を当該結合手段14の抜止部14b,14bに当接させて、当該縦条材W1の鉛直方向へのガタを防止することができるため好適である。
図7は3枚の溶接金網WM,WM,WMを施工した状態を示す平面図であり、図4に示した両溶接金網WM,WMに更に他の溶接金網WMを敷設固定した場合を示している。また、図8は、図7に示した3枚の溶接金網WM,WM,WMが重畳した部分の拡大斜視図である。なお、両図中、図1から図6に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
図4で説明したように、固定具1,1が固定された表の溶接金網WMの短辺側部分の上に、2段目である裏の溶接金網WMの短辺側部分が重畳させてあり、1段目である表の溶接金網WMの隅に固定された固定具1の結合手段14,14に重畳した裏の溶接金網WMの縦条材W1が嵌合されている。次に、1段目である表の溶接金網WMの長辺側部分上に、3段目である表の他の溶接金網WMの長辺側部分が、当該他の溶接金網WMの枡目Mが1つ半重畳するように配置してある。なお、他の溶接金網WMの重畳させた長辺側部分のいずれの枡目M,M,…にも固定具1は固定されていない。
これによって、当該他の溶接金網WM、即ち3段目の溶接金網WMの横条材W2が、第1段目の溶接金網WMの隅に固定された固定具1のハ字状のガイド部15,15の間上に位置するとともに、当該横条材W2が、1段目の溶接金網WMの長辺の略中央位置に固定された固定具1の両結合手段14,14上に位置する。そして、3段目の溶接金網WMの前記横条材W2に押圧を印加することによって、図8に示したように、当該横条材W2を第1段目の溶接金網WMの隅に固定された固定具1のハ字状のガイド部15,15間の挿入部15a内へ挿入させるとともに、前記図6と同様に、当該横条材W2を、1段目の溶接金網WMの長辺の略中央位置に固定された固定具1の両結合手段14,14内へ嵌入させて、当該横条材W2を結合手段14,14に結合させる。これによって、3段目の溶接金網WMと1段目の溶接金網WMとをワンタッチで確実に固定することができる。
このとき、3段目の溶接金網WMの前記横条材W2が1段目の溶接金網WMの隅に固定された固定具1のハ字状のガイド部15,15間の挿入部15a内へ挿入されることによって3段目の溶接金網WMの姿勢が矯正されるため、2段目の溶接金網WM上に3段目の溶接金網WMを配置した際に、3段目の溶接金網WMの姿勢が正規の姿勢から若干ずれていた場合であっても、当該溶接金網WMの姿勢が正規の姿勢に矯正され、3段目の溶接金網WMの横条材W2を結合手段14,14に確実に結合させることができる。
一方、1段目の溶接金網WMの横方向の略中央位置に固定された固定具1の結合手段14,14には3段目の溶接金網WMの横条材W2が結合されている。かかる固定具1の結合手段14,14と3段目の溶接金網WMの横条材W2との結合状態は、前述した図6において縦条材W1,W1,…と横条材W2,W2,…とを入れ替えた状態になっている。これによって、1段目の溶接金網WMと3段目の溶接金網WMとが相互に固定される。
ここで前述した如く、3段目の溶接金網WMの横条材W2は、1段目の溶接金網WMの隅に固定された固定具1の挿入部15a内へ挿入されており、これによって3段目の溶接金網WMの姿勢が矯正されているため、1段目の溶接金網WMの横方向の略中央位置に固定された固定具1の結合手段14,14に、3段目の溶接金網WMの横条材W2を確実に結合させることができる。
なお、本実施の形態では、1段目の溶接金網WMの隅に固定された固定具1の結合手段14,14に2段目の溶接金網WMの縦条材W1を結合させ、この1段目の溶接金網WMの隅に固定された固定具1のハ字状のガイド部15,15間の挿入部15a内へ3段目の溶接金網WMの横条材W2を挿入させるようになしてあるが、本発明はこれに限らず図9に示した如く、第1段目の溶接金網WMの隅に固定された固定具1の結合手段14,14に2段目の溶接金網WMの縦条材W1と、更に、4段目の溶接金網の縦条材とを結合させるように構成した固定具1aを適用してもよい。
なお、4段目の溶接金網は、図7に示した2段目である裏の溶接金網WMの長辺側部分上に、4段目である裏の溶接金網の長辺側部分が、当該溶接金網の枡目Mが1つ半重畳するように配置されるようになっており、これによって、4段目の溶接金網の短辺側部分と3段目の溶接金網WMの短辺側部分も枡目Mが1つ半重畳するように配置される。
(発明を実施するための第2の形態)
図9は他の固定具1aを示す斜視図である。なお、図中、図1に示した部分に対応する部分には対応する番号が付してある。本固定具1aの各構成は結合手段114,114を除いて、図1に示した固定具1の各構成と同じである。
図9に示したように、本固定具1aの結合手段114,114はそれぞれ対をなす保持部114a,114a、114a,114aを具備しており、対をなす保持部114a,114a、114a,114aの先端部はそれぞれ互いに向かい合うように内側へ屈曲させて抜止部114b,114b、114b,114bになしてある。抜止部114b,114bの挿入口114cに対向する先端面SU,SUは、前同様、側面視が断底V字状の斜面になしてあり、本体11a,11aの両当接部11b,11bにて形成される平面と平行な平面Hとのなす角が略45°の斜面になしてある(図2参照)。また、対をなす保持部114a,114aの高さ寸法は、図1に示した前述した保持部14a,14aの高さ寸法より大きくしてある。
対をなす保持部114a,114aの互いに対向する部分であって高さ方向の中途位置には、抜止部114b,114bと略同じ形状に成形した突起部114d,114dが設けてある。すなわち、突起部114d,114dはそれぞれ互いに向かい合うように内側へ屈曲させて他の抜止部114e,114eになしてあり、両他の抜止部114e,114eの間は、他の溶接金網の縦条材又は横条材を挿入させる挿入口114fになっている。他の抜止部114e,114eの先端面SUa,SUaは、前述した抜止部114b,114bの挿入口114cの先端面SU,SUと平行な斜面になしてあり、これによって先端面SU,SUは側面視が断底V字状になっている。この先端面SUa,SUaも、前同様、平面Hとのなす角が略45°の斜面になしてある。
両先端面SUa,SUaであって,挿入口114fの底部に対向する両位置の間の寸法は、保持部114a,114a内へ嵌入させる縦条材又は横条材の直径より僅かに小さい値になしてあり、これによって前同様、挿入口114f上に位置合わせされた縦条材又は横条材に押力が印加されると、保持部114a,114aが互いに離隔する方向へ撓んで挿入口114fが相対的に広くなり、挿入口114f上の縦条材又は横条材が両保持部114a,114a内へ嵌入される。その後、保持部114a,114aが元の姿勢に復帰し、これに伴って挿入口114fも元の寸法に復帰するため、両保持部114a,114a内に嵌入した縦条材又は横条材が挿入口114fから外へ抜出することが防止され、これによって当該縦条材又は横条材が結合手段114aに結合される。
更に他の溶接金網の縦条材又は横条材が、対をなす保持部114a,114aの先端に設けられた抜止部114b,114b間の挿入口114cを通って、両保持部114a,114aの間であって抜止部114b,114bと突起部114d,114dとの間へ嵌入され、当該縦条材又は横条材が結合手段114aに結合される。
このように本結合手段114aには、固定具1aが固定された溶接金網上に重畳された2枚の他の溶接金網の縦条材又は横条材をそれぞれ結合させることができる。
なお、図9に示した固定具1aにあっては、固定具1aが固定された溶接金網と2枚の他の溶接金網とを固定するようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、固定具1aが固定された格子状体と複数枚の他の格子状体とを固定するように構成してもよい。その場合、固定する他の格子状体の枚数に応じて複数対の突起部114d,114d、114d,114d、…,…を設けるとよい。また、本実施の形態では、対をなす両第1フレーム部材11,11に結合手段14,14を立設した固定具1、及び対をなす両第1フレーム部材11,11に結合手段114,114を立設した固定具1aについて説明したが、本発明はこれに限らず、一方の第1フレーム部材11に結合手段14を立設した固定具、又は一方の第1フレーム部材11に結合手段114を立設した固定具であってもよいことは言うまでもない。
(発明を実施するための第3の形態)
図10は発明を実施するための第3の形態に係る固定具1bを示す斜視図であり、結合手段を板状材で構成した場合を示している。なお、図10中、図1及び図2に示した部分に対応する部分には対応する番号が付してある。
図10に示した如く、本固定具1bにあっては、第1フレーム部材11,11を構成するアーム部11d,11dの周面であって、前述した当接部11b,11b側の部分に、短寸棒状の第2フレーム部材12,12が固定してあり、両第2フレーム部材12,12の長手方向の中央領域には、樹脂製板状材又は金属製板状材を成形してなる第3フレーム部材13B,13Bが互いに平行な姿勢で架設固定してある。両第3フレーム部材13B,13Bは第2フレーム部材12,12の長手方向の中央位置から第2フレーム部材12,12の両端へ所定距離を隔てて配置してあり、両第3フレーム部材13B,13B間は、他の溶接金網を構成する縦条材又は横条材を挿入させる挿入部15bになしてある。なお、第1フレーム部材11,11を構成する本体11aは当該固定具1bが取り付けられる溶接金網を施工対象面から離隔した高さ位置に担持する担持部としても機能している。
かかる第3フレーム部材13Bの長手方向の略中央の位置に第2結合手段24,24が設けてある。第2結合手段24は、帯板状の本体13Baを当該本体13Baの幅方向が高さ方向になるように立設してなり、本体13Baの両端部にはそれぞれ、その幅寸法を他の部分の幅寸法より狭くなした支持部13Bb,13Bbが延設してある。両支持部13Bb,13Bbの第2フレーム部材12,12に対向する部分は第2フレーム部材12の周面に応じた曲率に曲成して第2フレーム部材12,12に外嵌させるようになしてあり、その状態で両支持部13Bb,13Bbと第2フレーム部材12,12とを接着剤又は溶接等によって固着させてある。
この本体13Baの当接部11bとは反対側の側縁であって、当接部11bの長手方向の略中央にはそれぞれ第2結合手段24,24が設けてある。第2結合手段24は、鳥頭形状の第2保持部24a,24aを、当該鳥頭を構成する嘴状の第2抜止部24a1,24a1が互いに対向するように立設して構成してあり、両第2保持部24a,24aの間は、他の溶接金網を構成する縦条材又は横条材を嵌入させるU字状の嵌入部24dになっている。すなわち、両第2抜止部24a1,24a1の間である挿入口24cの幅寸法は、嵌入部24dの幅寸法より小さくなしてあり、嵌入部24d内に嵌入された縦条材又は横条材が嵌入部24dから抜け出ないようになっている。
また、第2抜止部24a1の頭部側には、図1に示した先端面SUに対応する傾斜部になしてあり、これによって対向する両傾斜部は側面視が底断V字状になっている。かかる傾斜部は、例えば、本体11a,11aの両当接部11b,11bにて形成される平面と平行な平面H(図1参照)とのなす角が略45°になしてある。
一方、第2保持部24a,24aの嵌入部24dとは反対側の側縁と本体13Baとの間には、切欠き部24e,24eが設けてあり、該切欠き部24e,24eによって第2保持部24a,24aは、互いに離隔する方向へ撓むことが可能になっている。また、第1フレーム部材11の当接部11bから第2保持部24aの天井位置までの高さ寸法は、前記当接部11bから第1フレーム部材11の固定部11eの天井位置までの高さ寸法より大きくしてあり、固定具1bを溶接金網に固定した場合、固定具1bの第2保持部24a,24a、24a,24aは当該溶接金網から突出した様態になる。
このような固定具1bにあっては、前同様、一の溶接金網の適宜位置の縦条材又は横条材に固定具1bの固定部11e,11e,11e,11eを外嵌固定する操作を繰り返して、複数の固定具1bを予め固定しておき(図3参照)、各固定具1bの第2結合手段24,24を構成する第2保持部24a,24a、24a,24a内に他の溶接金網の縦条材又は横条材を結合させる(図4参照)。このとき、固定具1bの挿入口24c,24c上に位置合わせされた他の溶接金網の縦条材又は横条材に押力が印加されると、対をなす第2保持部24a,24a、24a,24aが互いに離隔する方向へ撓んで挿入口24c,24cが相対的に広くなるため、挿入口24c,24c上の縦条材又は横条材が両第2保持部24a,24a、24a,24a内へ嵌入される。その後、第2保持部24a,24a、24a,24aが元の姿勢に復帰し、これに伴って挿入口24c,24cも元の寸法に復帰するため、両第2保持部24a,24a、24a,24a内に嵌入した縦条材又は横条材が挿入口24c,24cから外へ抜出することが防止され、これによって他の溶接金網を構成する縦条材又は横条材が第2結合手段24,24にワンタッチで結合される。
前述同様、固定具1bは一の溶接金網に予め固定されるようになっているため、当該固定具1bの第2結合手段24,24の第2保持部24a,24a、24a,24aに他の溶接金網の縦条材又は横条材を前述した如く結合させることによって、当該溶接金網とこれに重畳された他の溶接金網とが相互に固定される。
一方、更に他の溶接金網の縦条材又は横条材を、前述した如く両第2結合手段24,24の両本体13Ba,13Baで構成された挿入部15b内に挿入させる(図7参照)。これによって、更に他の溶接金網を所要の姿勢に整えることができる。
ところで、第3フレーム部材13B,13Bは成形又は打ち抜き加工等によって廉価に製造することができるため、部品コストを低減することができる。
なお、本実施の形態では、第1フレーム部材11及び第2フレーム部材12を棒状材で形成した場合について示したが、本発明はこれに限らず、図11に示した如く、第1フレーム部材11B及び第2フレーム部材12Bを板状材で形成してもよい。かかる場合、第1フレーム部材11B及び第2フレーム部材12Bを成形又は打ち抜き加工等によって廉価に製造することができるため、部品コストを可及的に低減することができる。
なお、図11に示した固定具1c中、図10に示した部分に対応する部分には同じ符合又は対応する符合が付してある。
(発明を実施するための第4の形態)
図12は発明を実施するための第4の形態に係る固定具1cを示す斜視図であり、発明を実施するための第3の形態で示した固定具1bに前述したガイド機能が付与してある。なお、図12中、図10に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
図12に示した如く、本固定具1cにあっては、対をなす第2保持部24a,24a、24a,24aはそれぞれ基端部13Ca,13Caにて支持されており、両基端部13Ca,13Caの底部近傍には支持部13Cb,13Cb、13Cb,13Cbがそれぞれ、第1フレーム部材11,11の当接部11b,11bと交差するように立設してある。各支持部13Cb,13Cb、13Cb,13Cbの当接部11b,11bに対向する部分は、当接部11b,11bの周面に応じた曲率に曲成してあり、両当接部11b,11bを対応する当接部11b,11bの周面に外嵌させ、支持部13Cb,13Cb、13Cb,13Cbと当接部11b,11bとを接着剤又は溶接等によって固着させてある。なお、第1フレーム部材11,11を構成する本体11aは当該固定具1cが取り付けられる溶接金網を施工対象面から離隔した高さ位置に担持する担持部としても機能している。
第2フレーム部材12,12の長手方向の中央位置から第2フレーム部材12,12の両端へそれぞれ少し隔てた位置にそれぞれ、第3フレーム部材13C,13Cを構成する短冊形状の柱状部13Ce,13Ce、13Ce,13Ceが両第2フレーム部材12,12にて構成される面に対して直交する姿勢で互いに平行に立設してあり、柱状部13Ce,13Ce、13Ce,13Ceの一側縁であって柱状部13Ce,13Ce、13Ce,13Ceの底部側から延設した支持部13Cb,13Cb、13Cb,13Cbを第2フレーム部材12,12の周面に外嵌させ、各支持部13Cb,13Cb、13Cb,13Cbと対応する第2フレーム部材12,12とを接着剤又は溶接等によって固着させてある。そして、これら対向する柱状部13Ce,13Ce、13Ce,13Ceによって挿入部15b,15bが形成されている。
前述した柱状部13Ce,13Ce、13Ce,13Ceの高さ寸法は第2保持部24aの高さ寸法より低くしてある。互いに対向する柱状部13Ce,13Ce、13Ce,13Ceの天井部と第2保持部24a,24a、24a,24aの頭部との間には帯板状のガイド部13Cd,13Cd、13Cd,13Cdがそれぞれ架設してあり、各ガイド部13Cd,13Cd、13Cd,13Cdは第2保持部24a,24a、24a,24a側から柱状部13Ce,13Ce、13Ce,13Ce側へ向かうに連れてその高さが低くなるテーパ状になしてある。
かかるガイド部13Cd,13Cd、13Cd,13Cdが架設された第2保持部24a,24a、24a,24aにあっては、前述した如く固定具1dの挿入口24c,24c上に位置合わせされた他の溶接金網の縦条材又は横条材に押力が印加されると、ガイド部13Cd,13Cd、13Cd,13Cdが弓状に撓むのに連れて、対をなす第2保持部24a,24a、24a,24aが互いに離隔する方向へ撓んで挿入口24c,24cが相対的に広くなるため、挿入口24c,24c上の縦条材又は横条材が両第2保持部24a,24a、24a,24a内へ嵌入される。その後、ガイド部13Cd,13Cd、13Cd,13Cdが直線分状に復帰するのに連れて、第2保持部24a,24a、24a,24aが元の姿勢に復帰し、これに伴って挿入口24c,24cも元の寸法に復帰するため、両第2保持部24a,24a、24a,24a内に嵌入した縦条材又は横条材が挿入口24c,24cから外へ抜出することが防止され、これによって他の溶接金網を構成する縦条材又は横条材が第2結合手段24,24にワンタッチで結合される。
このような固定具1dにあっては、前同様、一の溶接金網の適宜位置の縦条材又は横条材に固定具1dの固定部1e,1e,1e,1eを外嵌固定する操作を繰り返して、複数の固定具1dを予め固定しておき(図3参照)、各固定具1dの第2結合手段24,24を構成する第2保持部24a,24a、24a,24a内に他の溶接金網の縦条材又は横条材を結合させる(図4参照)。このとき、固定具1dは一の溶接金網に予め固定されているため、当該固定具1dの第2結合手段24,24の第2保持部24a,24a、24a,24aに他の溶接金網の縦条材又は横条材を前述した如く結合させることによって、当該溶接金網とこれに重畳された他の溶接金網とがワンタッチで相互に固定される。
一方、更に他の溶接金網の縦条材又は横条材を、前述した如く両第3フレーム部材13C,13Cの対をなす柱状部13Ce,13Ce、13Ce,13Ceで構成された挿入部15b,15b内に挿入させる(図7参照)。このとき、更に他の溶接金網の姿勢が若干ずれていた場合であっても、更に他の溶接金網の縦条材又は横条材がハ字状を構成する2対のガイド部13Cd,13Cd、13Cd,13Cd上を摺動して両挿入部15b,15b内へ挿入されるため、更に他の溶接金網の姿勢を容易に整えることができる。
ところで、第3フレーム部材13C,13Cは成形又は打ち抜き加工等によって廉価に製造することができるため、部品コストを低減することができる。
なお、本実施の形態では、第1フレーム部材11及び第2フレーム部材12を棒状材で形成した場合について示したが、本発明はこれに限らず、図13に示した如く、第1フレーム部材11B及び第2フレーム部材12Bを板状材で形成してもよい。かかる場合、図13に示した如く、前述した基端部13Ca及び第2保持部24a,24a並びにガイド部13Cd,13Cd及び柱状部13Ce,13Ceは、第1フレーム部材11Bに一体成型によって形成することができる。このような第1フレーム部材11B及び第2フレーム部材12Bにあっては、成形又は打ち抜き加工等によって廉価に製造することができるため、部品コストを可及的に低減することができる。
なお、図13に示した固定具1e中、図12に示した部分に対応する部分には同じ符合又は対応する符合が付してある。
(発明を実施するための第5の形態)
図14は発明を実施するための第5の形態に係る固定具1fを示す斜視図であり、第1フレーム部材及び第2フレーム部材を板状材で形成してある。
図14に示した如く、本固定具1fにあっては、板状材を用いて後述する如く形成した一対の第1フレーム部材11B,11Bと、同じく板状材を用いて後述する如く形成した一対の第2フレーム部材12B,12Bとを平面視が井桁状に連結して構成してある。
かかる第1フレーム部材11Bは、図14に示したように、両角が垂れた略バッファロー頭形になしてある。即ち、第1フレーム部材11Bは、所定距離を隔てて互いに平行に配した長方形状の脚部11Bf,11Bfを設けてなる倒立U字状の本体11Baを有しており、両脚部11Bf,11Bfの底部から脚部11Bf,11Bfの長手方向の中途位置までの間には、各脚部11Bf,11Bfの幅方向の中心線上に第1切込み部がそれぞれ設けてある。この第1切り込み部の幅寸法は第2フレーム部材12Bの厚さより僅かに大きくしてあり、第1切り込み部内に第2フレーム部材12Bを組み込むことができるようになっている。
また、第1フレーム部材11Bの底部であって、両脚部11Bf,11Bfの間の部分は当該部分から離隔する方向へ凸な円弧状になしてあり、これによって両脚部11Bf,11Bfの間の構造強度を高くしてある。
一方、本体11Baの両肩部はそれぞれ、本体11Baの中央位置から側縁に向かうに連れてその高さが漸次低くなるテーパになしてあり、かかる両肩部の傾斜に倣ってアーム部11Bd,11Bd及びフック形状の固定部11Be,11Beが本体11Baから突出する様態で延設してある。アーム部11Bdと本体11Baとがなす角である脇部11Bg,11Bgは図15に示したように、他の溶接金網を構成する縦条材W1又は横条材W2を深さ方向へ1本又は複数本嵌入させ得る寸法になしてあり、また、両脇部11Bg,11Bgの底部は当該縦条材又は横条材に応じた曲率に曲成してある。
予め固定具1fを取り付けた複数枚の溶接金網を積層させて運搬する場合、積層させた1又は複数の溶接金網を構成する縦条材又は横条材を、固定具1fの脇部11Bg,11Bgに嵌入させることができるため、積層させた各溶接金網の嵩高を小さくすることができる。
また、本体11Baの天井部であって幅方向の略中央の部分には、鳥頭形状の第2保持部24a,24aが、該鳥頭の嘴を構成する第2抜止部24a1,24a1が互いに対向するように設けてあり、両第2保持部24a,24aの間は他の溶接金網を構成する縦条材又は横条材を嵌入させるU字状の嵌入部24dになっている。前同様、両第2抜止部24a1,24a1の間である挿入口24cの幅寸法は、嵌入部24dの幅寸法より小さくなしてある。第2抜止部24a1の頭部側には、図1に示した先端面SUに対応する傾斜部になしてあり、これによって対向する両傾斜部は側面視が底断V字状になっている。かかる傾斜部は、例えば、本体11a,11aの両当接部11b,11bにて形成される平面と平行な平面H(図1参照)とのなす角が略45°になしてある。
一方、前同様、第2保持部24a,24aの挿入部24cとは反対側の側縁と本体11Baとの間には切欠き部24e,24eが設けてあり、該切欠き部24e,24eによって第2保持部24a,24aは、互いに離隔する方向へ撓むことが可能になっている。
これに対して、図14に示したように、第2フレーム部材12Bは、施工対象面に当接させる脚状部分を互いに平行に配してなる倒立U字状の第2本体12Baを備えている。第2本体12Baを構成する両脚状部分は施工対象面に当接させる第2当接部12Bb,12Bbになしてあり、両第2当接部12Bb,12Bbの外側部は第2本体12Baの胴部12Bcから突出させてある。第2当接部12Bbの前記突出部分の天井は胴部12Bcの高さ方向の中央位置程度まで延設してあり、また、第2当接部12Bbの前記突出部分と胴部12Bcとの間には、第2切込み部がそれぞれ胴部12Bcの側縁に倣って適宜深さまで設けてある。両第2切り込み部の幅寸法は第1フレーム部材11Bの厚さより僅かに大きくしてあり、第2切り込み部内に第1フレーム部材11Bの各第1切り込み部を組み込んで、第1フレーム部材11Bと第2フレーム部材12Bとを井桁状に固定し得るようになっている。なお、第1フレーム部材11Bを構成する本体11Ba及び第2フレーム部材12を構成する第2当接部12Bbは、当該固定具1fが取り付けられる溶接金網を施工対象面から離隔した高さ位置に担持する担持部としても機能している。
一方、胴部12Bcの天井部の略中央の部分には矩形状の挿入部15aが凹設してあり、胴部12Bcの天井部から挿入部15aへ向かう領域はそれぞれ、胴部12Bcの高さ寸法が漸次低くなるテーパ状のガイド部15B,15Bになしてある。前述した他の溶接金網の姿勢がずれていた場合、かかる他の溶接金網を構成する縦条材又は横条材は一方のガイド部15Bに当接するが、当該縦条材又は横条材はガイド部15B上を摺動して挿入部15a内へ案内される。これによって、当該他の溶接金網の姿勢を容易に整えることができる。
ところで、かかる挿入部15aの長さ寸法は他の溶接金網を構成する縦条材又は横条材に応じて定めればよいが、例えば縦条材又は横条材が複数本挿入できる寸法になすとよい。これによって、予め固定具1fを取り付けた当該溶接金網上に重畳させた複数枚の他の溶接金網をそれぞれ固定することができる。
このような固定具1fにあっては、前同様、一の溶接金網の適宜位置の縦条材又は横条材に固定具1fの固定部11Be,11Be,11Be,11Beを外嵌固定する操作を繰り返して、複数の固定具1fを予め固定しておき(図3参照)、各固定具1fの第2結合手段24,24を構成する第2保持部24a,24a、24a,24a内に他の溶接金網の縦条材又は横条材を結合させる(図4参照)。このとき、固定具1fは一の溶接金網に予め固定されているため、当該固定具1fの第2結合手段24,24の第2保持部24a,24a、24a,24aに他の溶接金網の縦条材又は横条材を前述した如く結合させることによって、当該溶接金網とこれに重畳された他の溶接金網とがワンタッチで相互に固定される。
一方、更に他の溶接金網の縦条材又は横条材を、前述した如く両第2フレーム部材12B,12Bの挿入部15Ba,15Ba内に挿入させる(図7参照)。このとき、更に他の溶接金網の姿勢が若干ずれていた場合であっても、前述した如く、更に他の溶接金網の縦条材又は横条材がガイド部15B,15B上を摺動して両挿入部15B,15B内へ挿入されるため、更に他の溶接金網の姿勢を容易に整えることができる。
一方、第1フレーム部材11B,11B及び第2フレーム部材12B,12Bは成形又は打ち抜き加工等によって廉価に製造することができるため、部品コストを可及的に低減することができる。更に、第2フレーム部材12B,12Bの第2切り込み部内に第1フレーム部材11B,11Bの第1切り込み部を組み込んで、第1フレーム部材11Bと第2フレーム部材12Bとを井桁状に固定することができるため、固定具1fの組み立てコストも可及的に低減することができる。
なお、本実施の形態にあっては、第2フレーム部材12Bを構成する両脚部を施工対象面に当接させる第2当接部12Bb,12Bbになした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第1フレーム部材11Bの両脚部11Bf,11Bf、又は第1フレーム部材11Bの両脚部11Bf,11Bf及び第2フレーム部材12Bの両脚部を、施工対象面に当接させる第2当接部になしてもよい。
また、本実施の形態にあっては、第1フレーム部材11B,11Bと第2フレーム部材12B,12Bとを各別に形成し、それらを組み合わせて固定具1fにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第1フレーム部材11B,11Bと第2フレーム部材12B,12Bとを一体的に形成して、継ぎ目の無い固定具1fとしてもよいことは言うまでもない。
(発明を実施するための第6の形態)
図16は発明を実施するための第6の形態に係る固定具1gを示す斜視図であり、複数枚の溶接金網を重畳させる際の嵩高をより小さくし得るようになしてある。なお、図中、図12に示した部分に対応する部分には同じ符合又は対応する符合が付してある。
図16に示した如く、本固定具1gは、発明を実施するための第4の形態で説明した固定具1dと同様に、当接部11b及び立上り部11c,11cを有する本体11aと、両立上り部11c,11cからそれぞれ延設したアーム部11d,11dと、両アーム部11d,11dの先端にそれぞれ設けたフック状の固定部11e,11eとを具備する第1フレーム部材11a,11aと、短寸棒状の第2フレーム部材12,12とを井桁状に固着させて構成してあるが、本固定具1gを構成する当接部11bの長さ寸法は前述した固定具1dに係る当接部11bの長さ寸法より短くしてある。
また、立上り部11cから延設されたアーム部11dは略クランク形になしてあり、前記当接部11bと平行をなす第1部分11d1と、第1部分11d1より低い高さ位置に配された固定部11eに連通し、第1部分11d1と平行をなす第3部分11d3と、第1部分11d1と第3部分11d3との間にあって、第1部分11d1から第3部分11d3へ向かうに連れて高さ位置が低下する斜辺状の第2部分(傾斜部)11d2とを具備している。そして、立上り部11c並びに、アーム部11dの第1部分11d1及び第2部分11d2によって、脇部11gが形成されている。
アーム部11dの第1部分11d1の長さ寸法は、溶接金網を構成する縦条材又は横条材の直径より少し長くしてあり、これによって、脇部11g内に溶接金網の縦条材又は横条材を嵌入し得るようになっている。一方、第1部分11d1の高さ位置と第3部分11d3の高さ位置とは溶接金網を構成する縦条材又は横条材の直径の2倍程度の寸法だけ異ならせてあり、また、第3部分11d3の長さ寸法は、溶接金網を構成する縦条材又は横条材の直径の2倍程度の寸法にしてある。これによって、第3部分11d3上に溶接金網の縦条材又は横条材を2本載置させることができる一方、当該縦条材又は横条材上に固着された横条材又は縦条材の高さ位置と、第1部分11d1の高さ位置とが略同じになって、両者の天井位置を略面一になすことができる。
一方、本実施の形態に係る第3フレーム部材13Dには、図12に示した固定具1dと同様、鳥頭形状の対をなす第2保持部24a,24aを板状の基端部13Daにて支持してなる第2結合手段24,24が設けてあるが、本基端部13Daにあっては、その底部が前述した第1フレーム部材11を構成する本体11aの立上り部11c,11cの高さ方向の中途位置に位置するようになしてある。一方、第3フレーム部材13Dの両端部にはそれぞれ板片状の柱状部13De,13Deが、両第2フレーム部材12,12の内側であって、各第2フレーム部材12,12から所定距離を隔てた位置に立設してあり、両柱状部13De,13Deと基端部 との間には帯板を屈曲させたアングル状のガイド部13Dd,13Ddが介装してある。
なお、両ガイド部13Dd,13Ddの天井と両第2保持部24a,24aの天井とは略面一になしてあり、一方、両第3ガイド部13Dd,13Ddと対向する第2保持部24a,24aとの間に切欠き部24e,24edをそれぞれ設けて、第2保持部24a,24aが互いに離隔する方向へ撓むことができるようになしてある。
なお、本実施の形態に係る固定具1gにあっては、柱状部13De,13Deの天井縁もガイド部として機能している。また、対をなす柱状部13De,13Deの天井縁は、両側縁から両柱状部13De,13De間に向かうに連れてその高さ寸法が低下するテーパ状に成形してもよい。
前述した両ガイド部13Dd,13Ddは当該ガイド部13Dd,13Ddと対向する第1部分11d1,11d1との間に介装させた支持部13Db,13Db、13Db,13Dbによって、第1フレーム部材11,11より少し内側の位置に支持されている。また、前述した柱状部13De,13Deと第2フレーム部材12,12との間には他の支持部13Db,13Dbが介装してあり、前述した如く両柱状部13De,13De、13De,13Deは対向する第2フレーム部材12,12より内側の位置に支持されている。
また、両第3フレーム部材13D,13Dの対向する柱状部13De,13De、13De,13Deの間は適宜距離隔ててあり、両柱状部13De,13De、13De,13Deの間は、溶接金網を構成する縦条材又は横条材を1又は複数本挿入させる挿入部15b,15bになしてある。
前述した第2保持部24a,24a、24a,24aにあっては、固定具1gの挿入口24c,24c上に位置合わせされた他の溶接金網の縦条材又は横条材に押力が印加されると、前同様、対をなす第2保持部24a,24a、24a,24aが互いに離隔する方向へ撓んで挿入口24c,24cが相対的に広くなるため、挿入口24c,24c上の縦条材又は横条材が両第2保持部24a,24a、24a,24a内へ嵌入される。その後、第2保持部24a,24a、24a,24aが元の姿勢に復帰し、これに伴って挿入口24c,24cも元の寸法に復帰するため、両第2保持部24a,24a、24a,24a内に嵌入した縦条材又は横条材が挿入口24c,24cから外へ抜出することが防止され、これによって他の溶接金網を構成する縦条材又は横条材が第2結合手段24,24にワンタッチで結合される。
前同様、固定具1gは一の溶接金網に予め固定されるようになっているため、当該固定具1gの第2結合手段24,24の第2保持部24a,24a、24a,24aに他の溶接金網の縦条材又は横条材を前述した如く結合させることによって、当該溶接金網とこれに重畳された他の溶接金網とがワンタッチで相互に固定される。
このとき、他の溶接金網の縦条材又は横条材を、前述した如く対向する二対の柱状部13De,13De、13De,13Deで構成された挿入部15b,15b内に挿入させる。これによって、更に他の溶接金網を所要の姿勢に整えることができる。
ところで、本固定具1gにあっては後述するように、複数枚の溶接金網を重畳させる際に各溶接金網の嵩高を可及的に小さくすることができる。
図17及び図18は、本固定具1gを予め取り付けた一の溶接金網を2枚の他の溶接金網で挟持した状態を示す部分側面図であり、図19は図17に示した3枚の溶接金網及び固定具1gの平面図、図20は図18に示した3枚の溶接金網及び固定具1gの平面図である。図17と図18とでは、重畳させる溶接金網の上下を異ならせてある。なお、これらの図中、図16に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
図17及び図19に示したように、固定具1gの対をなす固定部11e,11e,11e,11eに一の溶接金網WMの枡目Mを構成する相隣る縦条材W1,W1を内嵌させ、当該固定具1gを一の溶接金網WMに予め取り付けておく。このとき、前同様、一の溶接金網WMの横条材W2,W2,…は縦条材W1,W1の上側に位置している。
次に、一の溶接金網WMの下側に他の溶接金網WMを、当該溶接金網WMの横条材W2(W2,W2,…)が縦条材W1,W1(W1,W1,…)の下側に位置するように配設し、その上に前記一の溶接金網WMを、固定具1gの本体11a,11a及びガイド部13Dd,13Dd,13Dd,13Ddが他の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…及び横条材W2(W2,…)で形成される枡目Mの中に嵌入するとともに、当該枡目Mを構成する一方の縦条材W1が固定具1gの一方の脇部11g内に嵌入するように、重畳させる。
このとき、図17に示したように、他の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…と一の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…とが略同じ高さ位置であり、他の溶接金網WMと一の溶接金網WMとの間の嵩高が可及的に小さくなっている。
次に、一の溶接金網WMの上に更に他の溶接金網WMを、更に他の溶接金網WMの横条材W2,W2,…が縦条材W1,W1,…の下側に位置する姿勢で、更に他の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…及び横条材W2(W2,…)で形成される枡目Mの中に固定具1gの本体11a,11a及びガイド部13Dd,13Dd,13Dd,13Ddが嵌入するように、重畳させる。このとき、図17に示した如く、更に他の溶接金網WMの横条材W2(W2,…)と一の溶接金網WMの横条材W2(W2,…)とが同じ高さ位置になるが、両者が当接しないように、更に他の溶接金網WMの横方向の位置を調整する。
これによって、更に他の溶接金網WMの横条材W2(W2,…)と一の溶接金網WMの横条材W2(W2,…)とが略同じ高さ位置であり、更に他の溶接金網WMと一の溶接金網WMとの間の嵩高が可及的に小さくなっている。
このとき、図19に示した如く、更に他の溶接金網WMの枡目Mと、一の溶接金網WMの枡目Mと他の溶接金網WMの枡目Mとが相互に重畳して相対的に小さいサイズの重畳枡目MMが形成されるが、かかる重畳枡目MMの中に、固定具1gの第1フレーム部材11,11の本体11b,11bが嵌入しており、3枚の溶接金網WM,WM,WMを互いに重畳させる際に固定具1gが邪魔をしないようになっている。
一方、図18及び図20に示したように、固定具1gの対をなす固定部11e,11e,11e,11eに一の溶接金網WMの枡目Mを構成する相隣る縦条材W1,W1を内嵌させ、当該固定具1gを一の溶接金網WMに予め取り付けておく。このとき、前同様、一の溶接金網WMの横条材W2,W2,…は縦条材W1,W1の上側に位置している。
次に、一の溶接金網WMの下側に他の溶接金網WMを、当該溶接金網WMの横条材W2(W2,W2,…)が縦条材W1,W1(W1,W1,…)の上側に位置するように配設し、その上に前記一の溶接金網WMを、固定具1gの本体11a,11a及びガイド部13Dd,13Dd,13Dd,13Ddが他の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…及び横条材W2(W2,…)で形成される枡目Mの中に嵌入するとともに、当該枡目Mを構成する縦条材W1,W1が固定具1gの第2フレーム部材12,12と同じ高さ位置であって、互いに重ならない位置になるように、重畳させる。
このとき、図18に示したように、他の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…と固定具1gの第2フレーム部材12,12とが略同じ高さ位置であり、他の溶接金網WMと固定具1gとの間の嵩高が可及的に小さくなっている。
次に、一の溶接金網WMの上に更に他の溶接金網WMを、更に他の溶接金網WMの横条材W2,W2,…が縦条材W1,W1,…の上側に位置する姿勢で、更に他の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…及び横条材W2(W2,…)で形成される枡目Mの中に固定具1gの本体11a,11a及びガイド部13Dd,13Dd,13Dd,13Ddが嵌入するように、重畳させる。
このとき、図18及び図20に示した如く、更に他の溶接金網WMの枡目Mを構成する一方の縦条材W1が固定具1gの一側側のアーム部11d,11dを構成する第3部分11d3,11d3上に載置されるように、更に他の溶接金網WMの横方向の位置を調整する。
これによって、更に他の溶接金網WMの横条材W2(W2,…)と一の溶接金網WMの横条材W2(W2,…)とが略同じ高さ位置であり、更に他の溶接金網WMと一の溶接金網WMとの間の嵩高が可及的に小さくなっている。
なお、本実施の形態では、第1フレーム部材11及び第2フレーム部材12を条材で形成した場合について示したが、本発明はこれに限らず、図11に示した如く、第1フレーム部材11B及び第2フレーム部材12Bを板状材で形成してもよい。かかる場合、第1フレーム部材11B及び第2フレーム部材12Bを成形又は打ち抜き加工等によって廉価に製造することができるため、部品コストを可及的に低減することができる。
なお、本固定具1〜1gは溶接金網以外にも、金属製又は樹脂製の網状のフェンスといった他の格子状体にも適用できることは言うまでもない。
1 固定具
1a 固定具
1b 固定具
1c 固定具
1f 固定具
1g 固定具
11 第1フレーム部材
11B 第1フレーム部材
11a 本体
11Ba 本体
11b 当接部
11c 立上り部
11d アーム部
11e 固定部
12 第2フレーム部材
12B 第2フレーム部材
13B 第3フレーム部材
14 結合手段
14a 保持部
14b 抜止部
14c 挿入口
15 ガイド部
15a 挿入部
15b 挿入部
24 第2結合手段
24a 第2保持部
24a1 第2抜止部
24c 挿入口
24d 嵌入部
24e 切欠き部
114 結合手段
114a 保持部
114b 抜止部
114c 挿入口
114d 突起部
114e 他の抜止部
114f 挿入口
ST 先端面
SU 先端面
WM 溶接金網
W1 縦条材
W2 横条材
M 枡目
H 平面

Claims (27)

  1. 格子状に配した複数の縦条材及び複数の横条材が交差する部分を接合してなり、各縦条材及び各横条材にて形成された複数の枡目を有する格子状体と、該格子状体上に重畳される他の格子状体とを互いに固定する固定具において、
    前記格子状体の枡目の寸法に応じた距離を隔てて互いに平行に配した少なくとも一対の第1フレーム部材と、両第1フレーム部材の間に架設した一対の第2フレーム部材とを備え、
    前記第1フレーム部材の両端部にそれぞれ、前記格子状体の枡目を構成する両縦条材又は両横条材に外嵌させて固定するための固定部が設けてあり、
    前記両第2フレーム部材の間に、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を結合させる結合手段が配設してあり、
    前記第1フレーム部材及び/又は第2フレーム部材には、前記固定部に固定された格子状体の施工対象面に当接して、当該格子状体を施工対象面から離隔した高さ位置に担持する担持部が設けてある
    ことを特徴とする固定具。
  2. 前記結合手段は、第1フレーム部材の長手方向の中途位置に設けてある請求項1記載の固定具。
  3. 前記結合手段は、第1フレーム部材の長手方向へ互いに適宜距離を隔てて立設してなり、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持する一対の保持部を有しており、
    両保持部の頂部は、前記固定部の頂部の高さ位置より高くしてあり、
    対をなす両保持部の頂部間の寸法は両保持部の他の部分の間の寸法より狭くして、両保持部の間に嵌入された他の格子状体の縦条材又は横条材が両保持部間から抜け出ることを防止する抜止部になしてある
    請求項2記載の固定具。
  4. 前記両第2フレーム部材の間に架設した一対の第3フレーム部材を更に備え、
    前記結合手段は、両第3フレーム部材の長手方向の中途位置に設けてある請求項1記載の固定具。
  5. 前記結合手段は、第3フレーム部材の長手方向へ互いに適宜距離を隔てて立設してなり、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持する一対の保持部を有しており、
    両保持部の頂部は、前記固定部の頂部の高さ位置より高くしてあり、
    対をなす両保持部の頂部間の寸法は両保持部の他の部分の間の寸法より狭くして、両保持部の間に嵌入された他の格子状体の縦条材又は横条材が両保持部間から抜け出ることを防止する抜止部になしてある
    請求項4記載の固定具。
  6. 前記第1フレーム部材は、前記施工対象面に当接させる棒片状又は板片状の当接部と、該当接部の両端部をそれぞれ立ち上げてなる立上り部と、両立上り部の両端部から互いに離隔する方向へ延設してあり、前記各固定部に連通するアーム部とを具備しており、
    各アーム部は、立上り部の高さ位置から漸次低い高さ位置へ傾斜させた傾斜部を有しており、
    各傾斜部とそれに対向する立上り部とで構成される脇部は、その内に他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入し得る寸法になしてある
    請求項4又は5記載の固定具。
  7. 前記各アーム部は、前記傾斜部に連通し、前記当接部と略平行になした平坦部をそれぞれ有し、
    各平坦部は、その上に他の格子状体の縦条材又は横条材を載置し得る寸法になしてある
    請求項6記載の固定具。
  8. 前記平坦部の高さ位置と前記立上り部の頂部の高さ位置とは、他の格子状体の縦条材又は横条材の直径と略同じ寸法だけ異ならせてある請求項7記載の固定具。
  9. 前記両第1フレームの間に、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を挿入するための挿入部が形成してある請求項1から8のいずれかに記載の固定具。
  10. 前記他の格子状体の縦条材又は横条材を前記挿入部へ案内するガイド部を具備する請求項9記載の固定具。
  11. 前記第1フレーム部材及び/又は第2フレーム部材は、棒状材又は板状材で形成してある請求項1から8のいずれかに記載の固定具。
  12. 第1フレーム部材は板状材で形成してあり、
    前記結合手段は、第1フレーム部材の長手方向の中途位置に、一対の鳥頭形状の保持部を互いに対抗するように設けてなり、
    前記第1フレーム部材には両保持部の外側縁に倣って切欠き部がそれぞれ設けてある
    請求項11記載の固定具。
  13. 前記第3フレーム部材は板状材で形成してある請求項4から8のいずれかに記載の固定具。
  14. 前記結合手段は、第3フレーム部材の長手方向の中途位置に、一対の鳥頭形状の保持部を互いに対抗するように設けてなり、
    前記第3フレーム部材には両保持部の外側縁に倣って切欠き部がそれぞれ設けてある
    請求項13記載の固定具。
  15. 両第3フレーム部材によって前記挿入部が構成してある請求項13又は14記載の固定具。
  16. 前記挿入部は、両第3フレーム部材の両端部を互いに対向するように屈曲させて形成してあり、
    両第3フレーム部材の屈曲された各端部は、当該端部と対向する第2フレーム部材との間に架設した支持部によって、両第2フレーム部材より内側の位置に支持してある
    請求項15記載の固定具。
  17. 格子状に配した複数の縦条材及び複数の横条材が交差する部分を接合してなり、各縦条材及び各横条材にて形成された複数の枡目を有する格子状体と、該格子状体上に重畳される他の格子状体とを互いに固定する固定具において、
    前記格子状体の枡目の寸法に応じた距離を隔てて互いに平行に配した少なくとも一対の第1フレーム部材と、両第1フレーム部材の間に架設した一対の第2フレーム部材とを備え、
    前記第1フレーム部材は、前記格子状体を施工する施工対象面に当接させる棒片状又は板片状の当接部と、該当接部の両端部をそれぞれ立ち上げてなる立上り部と、両立上り部の両端部から互いに離隔する方向へ延設したアーム部と、両アーム部の先端部分にそれぞれ設けてあり、前記格子状体の枡目を構成する両縦条材又は両横条材に外嵌させて固定するための固定部とを具備し、
    少なくとも一方の当接部の長手方向の中途位置に、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を結合させる結合手段が立設してある
    ことを特徴とする固定具。
  18. 前記結合手段は、当接部の長手方向へ互いに適宜距離を隔てて立設してなり、前記他の格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させてこれを保持する一対の保持部を有しており、
    両保持部の高さ寸法は、前記当接部から固定部の頂部までの高さ寸法より大きくしてあり、
    対をなす両保持部の頂部間の寸法は両保持部の他の部分の間の寸法より狭くして、両保持部の間に嵌入された他の格子状体の縦条材又は横条材が両保持部間から抜け出ることを防止する抜止部になしてある
    請求項17記載の固定具。
  19. 対をなす保持部の先端面は、両先端面にて側面視が断底V字状を形成する斜面になしてある請求項18記載の固定具。
  20. 前記斜面は、前記両当接部にて形成される平面と平行な平面とのなす角が略45°になしてある請求項19記載の固定具。
  21. 対をなす保持部の高さ方向の中途位置であって、互いに対向する部分には、1又は複数対の第2抜止部がそれぞれ設けてあり、
    対をなす第2抜止部の間の寸法は、両保持部の間に嵌入される他の格子状体の縦条材又は横条材の外径より少し小さくしてある
    請求項17から20のいずれかに記載の固定具。
  22. 前記両第1フレーム部材の間の外寸は、前記格子状体の枡目を構成する両縦条材の間の内寸又は両横条材の間の内寸より小さい値になしてあり、前記両第2フレーム部材の間の外寸は、前記枡目を構成する両横条材の間の内寸又は両縦条材の間の内寸より小さい値になしてある請求項17から21のいずれかに記載の固定具。
  23. 前記固定部は、前記立上り部と平行な姿勢で立ち上がらせるとともに、互いに外側へ湾曲させてなる請求項17から22のいずれかに記載の固定具。
  24. 前記固定部の先端面は斜面になしてある請求項17から23のいずれかに記載の固定具。
  25. 前記斜面は、前記両当接部にて形成される平面と平行な平面とのなす角の角度が略45°になしてある請求項24記載の固定具。
  26. 少なくとも一方の第2フレーム部材と、両結合手段の当該一方の第2フレーム部材に対向する両保持部との間にそれぞれガイド部が架設してあり、両ガイド部によって両者間に前記他の格子状体の縦条材又は横条材を挿入する挿入部が形成してある請求項17から25のいずれかに記載の固定具。
  27. 更に、他方の第2フレーム部材と、前記結合手段の当該他方の第2フレーム部材に対向する保持部との間にガイド部が架設してある請求項26記載の固定具。
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