JP2019027603A - 空調制御装置、空調システム、空調制御方法、及びプログラム - Google Patents

空調制御装置、空調システム、空調制御方法、及びプログラム Download PDF

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Kenji Shimizu
健志 清水
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Abstract

【課題】利用者の特性に応じて推奨される環境設定を提案することができる空調制御装置、空調システム、空調制御方法、及びプログラムを提供する。【解決手段】利用者が要求する要求環境設定及び前記利用者のいる利用者位置に応じて、空調用室内機3の制御を行う空調制御装置2であって、空調制御装置2は、前記利用者位置を取得する位置取得部201と、前記利用者の個人情報を取得する個人情報取得部202と、前記個人情報に基づいて、前記利用者に推奨される推奨環境設定を提供する推奨環境提供部203と、前記利用者の前記要求環境設定を取得する要求環境取得部204と、前記利用者位置及び前記要求環境設定に基づいて、前記空調用室内機3の制御を行う室内機制御部206と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、空調制御装置、空調システム、空調制御方法、及びプログラム関する。
従来の空調システムには、複数の利用者が存在する空間において、空調システムの端末装置(リモコン等)を操作する利用者の位置を特定し、利用者の空調要求を可能な限り満たすような制御を行う機能が搭載されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許第4737037号公報
従来の技術では、利用者は、個々の空調要求を満たすための環境設定を、端末装置を操作して自ら設定しなければならなかった。このため、空調システムが利用者の特性(例えば性別、年齢等)に応じた空調要求を推測し、利用者それぞれに対し推奨される環境設定を提案する機能が求められている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものあって、利用者の特性に応じて推奨される環境設定を提案可能な空調制御装置、空調システム、空調制御方法、及びプログラムを提供する。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の第一の態様によれば、空調制御装置は、利用者が要求する要求環境設定及び前記利用者のいる利用者位置に応じて、空調用室内機の制御を行う空調制御装置であって、前記利用者位置を取得する位置取得部と、前記利用者の個人情報を取得する個人情報取得部と、前記個人情報に基づいて、前記利用者に推奨される推奨環境設定を提供する推奨環境提供部と、前記利用者の前記要求環境設定を取得する要求環境取得部と、前記利用者位置及び前記要求環境設定に基づいて、前記空調用室内機の制御を行う室内機制御部と、を備える。
このようにすることで、空調制御装置は、利用者が環境設定を自ら設定する手間を省くことができるとともに、利用者の個人情報に応じた適切な空調要求を推測し、推奨環境設定として提供することができる。
本発明の第二の態様によれば、上述の第一の態様に係る空調制御装置は、前記個人情報及び前記要求環境設定に基づいて、利用者別の推奨環境設定を学習する学習部を更に備える。
このようにすることで、学習部は、利用者の個人情報と、利用者が実際に設定した要求環境設定との関係を学習することができる。これにより、空調制御装置は、利用者に提供する推奨環境設定の精度を向上することができる。
本発明の第三の態様によれば、上述の第一又は第二の態様に係る空調制御装置において、前記位置取得部は、前記利用者の操作を受け付ける環境設定端末から前記利用者位置を取得する。
このようにすることで、空調制御装置において複数の利用者それぞれの位置を推定する処理を省略することができるので、空調制御装置の負荷を低減させることができる。
本発明の第四の態様によれば、上述の第一又は第二の態様に係る空調制御装置において、前記要求環境取得部は、前記利用者の操作を受け付ける環境設定端末から要求環境設定を取得する。
このようにすることで、要求環境取得部は、利用者が推奨環境設定とは異なる環境設定を望む場合は、利用者がどのような環境設定を望むかを正しく認識して、空調用室内機を制御することができる。
本発明の第五の態様によれば、上述の第一から第三の何れか一の態様に係る空調制御装置において、前記要求環境取得部は、前記推奨環境提供部が提供する前記推奨環境設定を要求環境設定として取得する。
このようにすることで、空調制御装置は、利用者それぞれに推奨される推奨環境設定に基づいて、空調用室内機を制御することができる。これにより、空調制御装置は、利用者が環境設定を自ら行う手間を省くことができる。
本発明の第六の態様によれば、上述の第五の態様に係る空調制御装置において、前記要求環境取得部は、前記利用者が前記推奨環境設定を採用した場合、当該推奨環境設定を要求環境設定として取得する。
このようにすることで、空調制御装置は、利用者が推奨環境設定を採用したか否かに基づいて、空調用室内機を制御するための要求環境設定を取得することができる。これにより、利用者が推奨環境設定を好まない場合は、利用者から受け付けた要求環境設定に基づいて空調用室内機を制御することができるので、より利用者の要求に沿った空調を提供することができる。
本発明の第七の態様によれば、空調システムは、空調用室内機と、前記空調用室内機を制御する、第一から第六の何れか一の態様に記載の空調制御装置と、を備える。
本発明の第八の態様によれば、空調制御方法は、利用者が要求する要求環境設定及び前記利用者のいる利用者位置に応じて、空調用室内機の制御を行う空調制御方法であって、前記利用者位置を取得する位置取得ステップと、前記利用者の個人情報を取得する個人情報取得ステップと、前記個人情報に基づいて、前記利用者に推奨される推奨環境設定を提供する推奨環境提供ステップと、前記利用者の前記要求環境設定を取得する要求環境取得ステップと、前記利用者位置及び前記要求環境設定に基づいて、前記空調用室内機の制御を行う室内機制御ステップと、を有する。
本発明の第九の態様によれば、プログラムは、利用者が要求する要求環境設定及び前記利用者のいる利用者位置に応じて、空調用室内機の制御を行う空調制御装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、前記利用者位置を取得する位置取得ステップと、前記利用者の個人情報を取得する個人情報取得ステップと、前記個人情報に基づいて、前記利用者に推奨される推奨環境設定を提供する推奨環境提供ステップと、前記利用者の前記要求環境設定を取得する要求環境取得ステップと、前記利用者位置及び前記要求環境設定に基づいて、前記空調用室内機の制御を行う室内機制御ステップと、を実行させる。
本発明に係る空調制御装置、空調システム、空調制御方法、及びプログラムによれば、利用者の特性に応じて推奨される環境設定を提案することができる。
第1の実施形態に係る空調システムの全体構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る空調システムの機能構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る空調システムのチェックイン処理の一例を示すシーケンス図である。 第1の実施形態に係るチェックイン情報の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る利用者登録情報の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る空調システムの空調制御処理の一例を示すシーケンス図である。 第1の実施形態に係る送信情報の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る利用者別情報の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る要求環境履歴情報の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る空調制御装置の空調制御処理の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る空調システムの活動量情報収集処理の一例を示すシーケンス図である。 第1の実施形態に係る活動量情報の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る活動履歴情報の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る空調制御装置の学習処理の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る推奨環境モデルの一例を示す図である。 第1の実施形態に係る空調システムの空調提案処理の一例を示す第1のシーケンス図である。 第1の実施形態に係る空調システムの空調提案処理の一例を示す第2のシーケンス図である。 第1の変形例に係る推奨環境提供部の機能を説明するための図である。 第2の変形例に係る推奨環境提供部の機能を説明するための図である。 第3の変形例に係る推奨環境提供部の機能を説明するための第1の図である。 第3の変形例に係る推奨環境提供部の機能を説明するための第2の図である。 第2の実施形態に係る空調システムの機能構成の一例を示す図である。 第2の実施形態に係る空調システムのチェックイン処理の一例を示すシーケンス図である。
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る空調システム1について、図1〜図17を参照しながら説明する。
(全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る空調システムの全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る空調システム1は、例えばオフィス、倉庫、工場のように、大きな空間に複数の利用者が存在する環境に用いられることを想定している。
なお、他の実施形態においては上述の環境に限られることはなく、例えば住宅の居室のような、オフィス等よりも小さな空間に用いられてもよい。
空調システム1は、空調制御装置2と、空調用室内機3と、スマートフォン(環境設定端末)4とを備えている。
空調制御装置2は、利用者が要求する要求環境設定及び利用者のいる利用者位置に応じて、空調用室内機3の制御を行う。
要求環境設定は、利用者が要求する空間内の環境(温度、湿度、風量等)を示す情報(設定値)である。空調制御装置2は、空間内に存在する複数の利用者それぞれから、異なる要求環境設定を受け付け、当該要求環境設定が可能な限り満たされるように空調用室内機3を制御する。
空調用室内機3は、利用者が存在する空間の天井等に設置され、空調制御装置2の制御信号に従って空間内の環境を調整するための各種動作を行う。
例えば、空調用室内機3は、図1に示すように、風量を調節可能なファン30と、風向きを調節可能なルーバー31とを有している。なお、図1には、空調用室内機3がファン30及びルーバー31を一つずつ有している例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態において、空調用室内機3は、複数のファン30及び複数のルーバー31を有していてもよい。
また、図1には、空調システム1が一つの空調用室内機3のみ備えている例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態において、空調システム1は、複数の空調用室内機3を備えていてもよい。
スマートフォン4は、複数の利用者それぞれが所持し、利用者の要求を空調制御装置2に送信するための環境設定端末(空調機のリモートコントローラ)として機能する。
スマートフォン4は、専用のプログラム(アプリケーション)に従って動作することにより、利用者のいる利用者位置を特定可能な情報(位置特定情報)と、利用者から受け付けた空調要求(要求環境設定)とを空調制御装置2に送信する。
なお、本実施形態では、スマートフォン4がスマートフォン、タブレット等の携帯端末である態様を例として説明するが、これに限られることはない。他の実施形態では、スマートフォン4は専用のリモートコントローラであってもよい。
(空調制御装置の機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る空調システムの機能構成の一例を示す図である。
以下、図2を参照して、本実施形態に係る空調制御装置2の機能構成について説明する。
図2に示すように、空調制御装置2は、CPU20と、通信I/F(Interface)21と、センサ22と、記憶部23とを備えている。
通信I/F21は、無線通信又は有線通信により空調用室内機3との間で制御信号及び各種情報の送受信を行う。また、通信I/F21は、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi等の無線通信技術を用いて、所定の通信領域内に存在するスマートフォン4との間で各種情報の送受信を行う。所定の通信領域とは、例えば空調システム1が設置された空間内である。
センサ22は、空調システム1が設置された空間の温度(気温)、湿度等を検出する。
CPU20は、空調制御装置2全体の制御を司るプロセッサ(マイコン)である。
CPU20は、予め用意されたプログラムに従って動作することにより、位置推定部200、位置取得部201、個人情報取得部202、推奨環境提供部203、要求環境取得部204、学習部205、室内機制御部206として機能する。
位置推定部200は、スマートフォン4から取得した位置特定情報に基づいて、利用者の位置を推定する。位置特定情報の詳細については後述する。
位置取得部201は、利用者位置を取得する。
本実施形態において、位置取得部201は、位置推定部200が推定した利用者位置を取得する。
個人情報取得部202は、利用者の個人情報を取得する。
本実施形態において、個人情報には、利用者の特性(性別、年齢、職業、身長、体重等)を示す情報と、利用者の活動量を示す情報とが含まれる。
活動量は、例えば利用者の歩数である。
推奨環境提供部203は、個人情報に基づいて、利用者それぞれに推奨される推奨環境設定を提供することにより、利用者に対する空調提案を行う。
推奨環境設定は、利用者が好むと推測される空間内の環境(温度、湿度、風量等)を示す情報(設定値)である。推奨環境提供部203は、利用者それぞれの個人情報、活動量情報、過去に取得した要求環境設定等に応じた推奨環境設定を提供する。推奨環境提供部203が推奨環境設定を提供する処理の詳細については後述する。
要求環境取得部204は、複数の利用者それぞれの要求環境設定を取得する。
なお、本実施形態において、要求環境取得部204は、推奨環境提供部203が提供した推奨環境設定を要求環境設定として取得してもよいし、利用者がスマートフォン4を操作して入力した要求環境設定を取得してもよい。
学習部205は、利用者の個人情報及び要求環境設定に基づいて、利用者別の推奨環境設定を学習する。
学習部205は、利用者の個人情報と要求環境設定とを教師データとして機械学習を行うことにより、利用者別の推奨環境設定を推測するための推奨環境モデルを構築する。また、学習部205が構築した推奨環境モデルは記憶部23に記憶される。
室内機制御部206は、利用者位置及び要求環境設定に基づいて、空調用室内機3の制御(空調用室内機3のファン30の動作量、ルーバー31の傾斜角度等の制御)を行う。
記憶部23には、CPU20の各機能部の処理時に取得、作成した情報(利用者位置、個人情報、推奨環境設定、要求環境設定、推奨環境モデル等)が記憶される。
また、空調制御装置2は、図2に示すように、外部記憶装置であるデータベース(DB)5と、有線又は無線通信を介して接続されていてもよい。
DB5には、空調制御装置2のCPU20の各機能部の処理時に取得、作成した情報(利用者位置、個人情報、推奨環境設定、要求環境設定、推奨環境モデル等)が記憶されており、これらの情報を他の空調システムと共有するようにしてもよい。
(スマートフォンの機能構成)
以下、図2を参照して、本実施形態に係るスマートフォン4の機能構成について説明する。
図2に示すように、スマートフォン4は、CPU40と、操作部41と、表示部42と、カメラ43と、通信I/F(Interface)44と、記憶部45とを備えている。
操作部41は、例えばタッチパネル等の入力装置であり、スマートフォン4を所持する利用者の操作を受け付ける。
表示部42は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置であり、空調制御装置2の操作に係る各種情報(現在設定されている温度等の設定値、要求環境設定の入力フォーム等)を利用者に提示する。
カメラ43は、利用者の操作に基づいて、空間内の対象物を含む画像を撮影してCPU40に出力する。
例えば、本実施形態において、空間内の所定位置(例えば、利用者それぞれが使用する座席等)に予めQRコード(登録商標)等の二次元コードが設置されている。そして、カメラ43は、利用者の操作に基づき、二次元コードを含む画像を撮影してCPU40に出力する。
なお、二次元コードには、二次元コードの設置位置(例えば、利用者それぞれの座席の位置)を特定するための位置特定情報が予め記録されている。位置特定情報は、例えば二次元コードそれぞれに割り当てられたエリアIDである。
また、二次元コードには、要求環境設定の入力フォームへアクセスするためのURLが更に記録されていてもよい。
通信I/F44は、無線通信により空調制御装置2との間で各種情報の送受信を行う。
CPU40は、スマートフォン4全体の制御を司るプロセッサ(マイコン)である。
CPU40は、予め用意されたプログラムに従って動作することにより、利用者登録部400、要求環境設定受付部401、活動量計測部402として機能する。
利用者登録部400は、空調システム1を利用する利用者の個人情報のうち、利用者の特性を示す情報(特性情報)を登録するチェックイン処理を行う。
チェックイン処理は、利用者が空調システム1が設けられた空間内において所望の環境(温度、湿度、風量等)を得られるように、特性情報(性別、年齢、職業、身長、体重等)と、利用者位置を特定可能な位置特定情報(エリアID)と、を空調制御装置2に登録するための処理である。
要求環境設定受付部401は、操作部41を介して利用者から入力された空調要求(要求環境設定)を受け付けて、空調制御装置2に通信I/F44を介して送信する。
活動量計測部402は、単位時間(例えば1時間)当たりの利用者の活動量を計測した活動量情報(図12)を、空調制御装置2に通信I/F44を介して送信する。
活動量計測部402は、例えば単位時間当たりの利用者の歩数を活動量として計測(カウント)する歩数計として機能する。なお、他の実施形態では、活動量計測部402は、単位時間当たりの利用者の移動距離(km)、消費エネルギー量(kcal)、歩数に応じた活動量レベル(0〜10レベル)等を計測してもよい。
記憶部45には、カメラ43により撮影された画像、CPU40の各機能部の処理時に取得、作成した各種データ(特性情報、要求環境設定、活動量情報等)が記憶される。
(空調システムにおけるチェックイン処理)
図3は、第1の実施形態に係る空調システムのチェックイン処理の一例を示すシーケンス図である。
図4は、第1の実施形態に係るチェックイン情報の一例を示す図である。
図5は、第1の実施形態に係る利用者登録情報の一例を示す図である。
以下、図3〜図5を参照して、空調システム1におけるチェックイン処理S10Aの一例について説明する。
本実施形態において、利用者は、初めて空調システム1を利用する場合、スマートフォン4を介して、利用者の特性情報及び位置特定情報を含むチェックイン情報(図4)を空調制御装置2に登録するチェックイン処理S10Aを行う。具体的なチェックイン処理S10Aの流れは以下のとおりである。
図3に示すように、スマートフォン4の利用者登録部400は、利用者のいる位置を特定可能な位置特定情報を取得する(ステップS100)。
例えば、本実施形態では、空間内の所定位置(例えば利用者それぞれが使用する座席等)に予め二次元コードが設置されており、利用者は、スマートフォン4のカメラ43により二次元コードを含む画像を撮影する操作を行う。そうすると、利用者登録部400は、撮影された画像に既知の画像処理を施すことにより、二次元コードに予め記録されている位置特定情報(エリアID)を読み取って取得する。
次に、スマートフォン4の利用者登録部400は、利用者の特性情報を取得する(ステップS101)。
二次元コードには個人情報の入力フォームへアクセスするためのURLが含まれている場合、利用者登録部400は、二次元コードから読み取ったURLに基づき、入力フォームを表示部42に表示する。そして、利用者登録部400は、利用者が操作部41を介して入力フォームに入力した特性情報を取得する。
利用者の特性情報は、例えば、図4に示すように、利用者の性別(「01(男性)」)、年齢(「30」)、職業(「03」)、身長(「170cm」)、体重(「75kg」)等の情報を含む。
なお、利用者の特性情報は、予め記憶部45に記憶されていてもよい。この場合、利用者登録部400は、記憶部45から特性情報を読み出して取得する。これにより、利用者がチェックイン処理の度に特性情報を入力する手間を省くことができる。
次に、利用者登録部400は、チェックイン情報を作成して空調制御装置2に送信する(ステップS102)。
チェックイン情報は、図4に示すように、スマートフォン4を所持する利用者を特定可能な利用者ID(「0001」)と、ステップS100において取得した位置特定情報(「エリアID:A01」)と、ステップS101において取得した特性情報(「性別:01」、「年齢:30」、「職業:03」、「身長:170cm」、「体重:75kg」、…)とを含む。
なお、利用者IDは、スマートフォン4別に固有の利用者IDが予め設定されていてもよいし、スマートフォン4と空調制御装置2とが通信を開始する際に異なる利用者IDが自動的に割り振られるようにしてもよい。
次に、空調制御装置2の位置推定部200は、スマートフォン4から受信したチェックイン情報に含まれる位置特定情報に基づいて、利用者位置を推定する(ステップS110)。
例えば、本実施形態において、空調制御装置2の記憶部23には、予め二次元コードそれぞれに振られたエリアIDと、二次元コードそれぞれが設置された位置を示す座標情報とを関連付けた二次元コード管理テーブルが予め記憶されている。位置推定部200は、二次元コード管理テーブルを参照して、位置特定情報(「エリアID:A01」)に対応する座標情報(「X1、Y1」)を、利用者位置として推定する。
次に、空調制御装置2の位置取得部201は、ステップS110において推定された利用者位置を取得する(ステップS111)。
次に、空調制御装置2の個人情報取得部202は、チェックイン情報に含まれる特性情報(性別、年齢、職業、身長、体重、…)を取得する(ステップS112)。
次に、個人情報取得部202は、チェックイン情報に含まれる利用者IDと、ステップS111で取得した利用者位置と、ステップS112で取得した特性情報とを関連付けた情報を、利用者登録情報(図5)として記憶部23に追加して記憶(登録)する(ステップS113)。
利用者登録情報は、図5に示すように、チェックイン情報に含まれる利用者ID(「0001」)と、利用者位置(「X1、Y1」)と、特性情報(「性別:01」、「年齢:30」、「職業:03」、「身長:170cm」、「体重:75kg」、…)とを関連付けた情報を、利用者別に記憶するテーブルである。利用者登録情報は、本実施形態における個人情報の一例である。
なお、本実施形態では、利用者が異なる場所(異なる部屋、建物)に設けられた空調システム1を利用する場合、場所ごとに上述のチェックイン処理S10Aが行われるものとする。
また、利用者が前回利用した空調システム1と同じ空調システム1を利用する場合であっても、特性情報が変化した場合(年齢、職業、身長、体重等が変化した場合)、又は、利用者のいる位置(座席)が変更された場合は、上述のチェックイン処理S10Aを改めて実行することにより、利用者登録情報に登録された特性情報及び利用者位置が更新されるようにしてもよい。
(空調システムにおける空調制御処理)
図6は、第1の実施形態に係る空調システムの空調制御処理の一例を示すシーケンス図である。
図7は、第1の実施形態に係る送信情報の一例を示す図である。
図8は、第1の実施形態に係る利用者別情報の一例を示す図である。
図9は、第1の実施形態に係る要求環境履歴情報の一例を示す図である。
図10は、第1の実施形態に係る空調制御装置の空調制御処理の一例を示すフローチャートである。
利用者は、上述のチェックイン処理S10A(図3)が完了すると、スマートフォン4を操作して、空調制御装置2に対し空調要求(要求環境設定)を送信できるようになる。
以下、図6〜図10を参照して、空調システム1が利用者から要求環境設定を受け付ける処理S20、及び、空調用室内機3を制御する処理S25の流れについて説明する。
図6に示すように、スマートフォン4の要求環境設定受付部401は、利用者から操作部41を介して入力された要求環境設定(設定温度、設定湿度、設定風量等)を受け付ける(ステップS200)。
次に、要求環境設定受付部401は、利用者IDと要求環境設定とを含む送信情報(図7)を、通信I/F44を介して空調制御装置2へ送信する(ステップS201)。
送信情報は、図7に示すように、スマートフォン4を所持する利用者を特定可能な利用者ID(「0001」)、ステップS200において取得された要求環境設定(「設定温度:25℃」、「設定湿度:50%」、「設定風量:大」、…)等を関連付けた情報である。
なお、利用者IDは、チェックイン情報(図4)に含まれる利用者IDと同じ値が用いられる。
次に、空調制御装置2の要求環境取得部204は、スマートフォン4から通信I/F21を介して受信した送信情報から、利用者ID及び要求環境設定を取得する(ステップS210)。
次に、要求環境取得部204は、送信情報に含まれる利用者IDと、要求環境設定とを関連付けて、利用者別情報(図8)として記憶部23に追加して記憶する(ステップS211)。
利用者別情報は、図8に示すように、送信情報に含まれる利用者ID(「0001」)、及び、要求環境設定(「設定温度:25℃」、「設定湿度:50%」、「設定風量:大」、…)を関連付けた情報を、利用者別に記憶するテーブルである。
また、要求環境取得部204は、取得した要求環境設定を、記憶部23に蓄積されている要求環境履歴情報(図9)に追加して記憶する(ステップS212)。
要求環境履歴情報は、図9に示すように、要求環境設定(設定温度、設定湿度、設定風量、…)と取得日時とを関連付けた情報を利用者別に蓄積するログデータである。
次に、空調制御装置2は、少なくとも一の利用者から要求環境設定を受け付けると、利用者別情報(図8)に含まれる利用者それぞれの要求環境設定と、利用者登録情報(図5)に含まれる利用者それぞれの利用者位置とに基づいて、可能な限り利用者の要求を満たすように空調用室内機3の制御を行う処理S25を実行する。
具体的には、空調制御装置2の室内機制御部206は、図10に示す制御処理S25を以下のように実行する。
図10に示すように、空調制御装置2の室内機制御部206は、目的関数Jを最小化するための制御パラメータ(a1、a2、a3、a4、・・)を特定する(ステップS250)。ここで、制御パラメータとは、空調用室内機3を所望の状態とさせるための直接的な指令値であって、例えば、ファン30の回転数、ルーバー31の傾斜角度などである。
目的関数Jは、例えば式(1)のように規定される。
Figure 2019027603
式(1)に示すベクトルx(i)は、利用者i(i=1,2,・・,N)が存在する位置における実際の温度、湿度、風量等を示すベクトル量である。ベクトルx(i)は、M個の要素(x(i),x(i),・・,x(i))からなり、各要素(x(i),x(i),・・,x(i))は、利用者iが存在する位置における実際の温度、湿度、風量等の値(スカラー量)を示している。また、式(1)に示すように、ベクトルx(i)は、空調用室内機3の制御パラメータ(a1、a2、a3、a4、・・)を入力変数とする関数Fによって一意に定まる。
また、ベクトルx*(i)は、利用者iが希望する温度、湿度、風量等を示すベクトル量である。ベクトルx*(i)は、M個の要素(x(i),x(i),・・,x(i))からなり、各要素(x(i),x(i),・・,x(i))は、利用者iが希望する温度、湿度、風量等を示している。より具体的には、各要素(x(i),x(i),・・,x(i))は、利用者別情報(図8)に示される設定温度、設定湿度、設定風量等である。
式(1)に示すように、目的関数Jは、まず、ベクトルx(i)の第k要素(k=1,・・,M)ごとに誤差率((x(i)−x(i))/x(i))を求め、全要素で足し合わせる。そして、目的関数Jは、利用者iごとに求められた上記誤差率の総和を、更に全利用者で足し合わせることによって導出される。
“M”は、ベクトルx(i)、ベクトルx(i)を構成する要素の数であって、温度、湿度、風量など、利用者が設定の対象とすべき物理量の総数である。
“N”は、空調用室内機3が設置された空間内に存在する利用者の人数であって、より具体的には、超音波を通じて検知されたスマートフォン4の台数(利用者IDの種類の数)である。
“Wd(i,k)”は、要素別に別途規定された重み付け係数であり、一般的な運用では、全て“1”(等しい値)とされる。しかし、例えば、各利用者が要素(温度、湿度、風量、・・)ごとに“Wd(i,k)”を設定して、どの物理量を重視するかという好みを反映させてもよい。この重み付け係数Wd(i,k)によって、例えば、同じ人でも、「暑い屋外から戻ってきたばかりのときには『風量』の要望を特に叶えてほしい」とか、「梅雨の時期には『湿度』を優先的に好みの値にしてほしい」といった細かな要望にも応えることが可能となる。
“Wp(i)”は、利用者別に別途規定された重み付け係数であり、一般的な運用では、全て“1”(等しい値)とされる。しかし、例えば、高齢の利用者や重役の利用者の要求を重視する運用を行う場合などにおいては、利用者iごとの重み付け係数を変化させてもよい。
また、目的関数Jの最小値を特定する方法は、良く知られている探索アルゴリズムに基づくものであってもよい。関数Fは、例えば、気流、放射に基づく空間内の温度分布、湿度分布、風量分布の物理シミュレーションに基づくものであってもよい。
目的関数Jを最小化する制御パラメータを特定すると、室内機制御部206は、特定した制御パラメータを指令値として空調用室内機3に送信し、制御する(ステップS251)。
このように、空調制御装置2は、スマートフォン4から送信情報を受信するたびに、上述の制御処理S25を繰り返し実行する。
(空調システムにおける活動量情報の収集処理)
図11は、第1の実施形態に係る空調システムの活動量情報収集処理の一例を示すシーケンス図である。
図12は、第1の実施形態に係る活動量情報の一例を示す図である。
図13は、第1の実施形態に係る活動履歴情報の一例を示す図である。
以下、図11〜13を参照して、空調システム1において利用者それぞれの活動量情報を収集する処理S30の流れについて説明する。
図11に示すように、スマートフォン4の活動量計測部402は、利用者の活動量を計測し、記憶部45に記憶する(ステップS300)。
本実施形態では、活動量計測部402は、利用者の歩数を活動量として計測する。
次に、活動量計測部402は、単位時間(例えば1時間)を経過したか否かを判断する(ステップS301)。
活動量計測部402は、単位時間を経過していない場合(ステップS301:NO)、ステップS300に戻り、活動量の計測を継続する。
一方、活動量計測部402は、単位時間を経過した場合(ステップS301:YES)、記憶部45に記憶された活動量を含む活動量情報(図12)を、通信I/F44を介して空調制御装置2へ送信する(ステップS302)。
活動量情報は、図12に示すように、利用者ID(「0001」)と、活動量の計測期間(「2017年05月01日 10時00分〜11時00分」)と、活動量(「歩数:850」)とを関連付けた情報である。
なお、活動量計測部402は、上述のステップS300〜S302を繰り返し実行し、単位時間が経過する毎に、空調制御装置2へ利用者の活動量情報を送信する。
また、利用者が空調システム1が設置されている空間内にいない場合等の理由によりスマートフォン4と空調制御装置2との間の通信が行えない場合、活動量計測部402は、活動量情報の送信(ステップS302)をスキップしてもよい。この場合、活動量計測部402は、スマートフォン4と空調制御装置2との間の通信が行えるようになったときに、未送信の活動量情報を送信するようにしてもよい。
また、空調制御装置2の個人情報取得部202は、スマートフォン4から送信された活動量情報を取得する(ステップS310)。
そして、個人情報取得部202は、複数の利用者から収集した活動量情報を蓄積して、活動履歴情報として記憶部23に記憶する(ステップS311)。
活動履歴情報は、図13に示すように、複数の利用者から収集した活動量情報を利用者別に蓄積した「利用者別活動量」を含む。
また、個人情報取得部202は、複数の活動量情報に統計処理を施すことにより、日時(年、月、週、時間、季節、…)ごと、利用者の特性(性別、年齢、職業、身長、体重、…)ごとの活動量のトレンド(「活動パターン」)を表す統計データを作成して、活動履歴情報に含めてもよい。
なお、活動量情報及び活動履歴情報は、本実施形態における個人情報の一例である。
なお、図11では、スマートフォン4の活動量計測部402が単位時間を経過する毎に活動量情報を送信する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、活動量計測部402は、予め設定された時刻(例えば毎正時)毎に活動量情報を送信するようにしてもよい。
(空調制御装置における学習処理)
図14は、第1の実施形態に係る空調制御装置の学習処理の一例を示すフローチャートである。
図15は、第1の実施形態に係る推奨環境モデルの一例を示す図である。
以下、図14〜図15を参照して、空調制御装置2における学習処理S40の流れについて説明する。
図14に示すように、空調制御装置2の学習部205は、利用者別の個人情報と、要求環境履歴情報(図9)とを記憶部23から読み出し、学習用データとして取得する(ステップS400)。
なお、利用者別の個人情報には、利用者登録情報(図5)の特性情報と、活動履歴情報(図13)とが含まれる。
次に、学習部205は、ステップS400において取得した学習用データを用いて機械学習を行い、推奨環境モデルを構築する(ステップS401)。
本実施形態では、学習部205は、図15に示すように、ニューラルネットワークの手法を用いて推奨環境モデルを構築する。具体的には、学習部205は、利用者の特性情報(性別、年齢、職業、身長、体重、…)、活動量(活動履歴情報)、共通情報(日時、空調システム1の設置環境、…)と、利用者から受け付けた要求環境設定(設定温度、設定湿度、設定風量、…)との関係を学習する。なお、共通情報は、利用者に依存しない情報を示すものであり、例えば日時(月、日、時間)、空調システム1の設置環境等である。空調システム1の設置環境は、空調システム1の設置場所(緯度、経度、高度)、広さ、周辺環境等を示す情報であり、予め記憶部23に記憶されている。
これにより、学習部205は、利用者の特性情報、活動履歴情報、共通情報を入力値とし、利用者が好むと推測される設定値(推奨環境設定)を出力値とする推奨環境モデルを構築する。
なお、学習部205は、DB5に蓄積された他の空調システムの個人情報、要求環境履歴情報を更に用いて、推奨環境モデルを構築するようにしてもよい。このようにすることで、空調システム1における学習用データの蓄積が不足している場合であっても、他の空調システムのデータにより学習用データの量を増加させることができる。これにより、推奨環境モデルの精度を向上させることができる。また、複数の空調システムが、DB5において推奨環境モデルを共有するようにしてもよい。
学習部205は、所定のタイミングで上述の学習処理S40を繰り返し実行する。所定のタイミングは、任意の時間(例えば各日の0時)であってもよいし、規定量の学習用データが蓄積されたタイミングであってもよい。
(空調システムにおける空調提案処理)
図16は、第1の実施形態に係る空調システムの空調提案処理の一例を示す第1のシーケンス図である。
以下、図16を参照して、空調システム1における空調提案処理S50Aの流れについて説明する。
図16に示すように、空調制御装置2の推奨環境提供部203は、空調システム1が設置された空間内において利用者を検出したか否かを判断する(ステップS510)。
例えば、空調制御装置2の通信I/F21は、所定の通信領域に利用者登録情報に登録済みの利用者IDを有するスマートフォン4が存在する場合、自動的に通信接続を行うようにする。そして、推奨環境提供部203は、通信が確立しているスマートフォン4がある場合、当該スマートフォン4と対応付けられた利用者(利用者ID)が検出されたと判断し(ステップS510:YES)、次のステップS511へ進む。
また、推奨環境提供部203は、通信可能なスマートフォン4が空間内に存在しない場合、即ち、利用者が検出されなかった場合(ステップS510:NO)、利用者が検出されるまで待機する。
次に、推奨環境提供部203は、ステップS510において検出された利用者の利用者IDに基づいて、記憶部23の利用者登録情報(図5)から当該利用者の特性情報(性別、年齢、職業、身長、体重、…)を取得する(ステップS511)。
次に、推奨環境提供部203は、ステップS510において検出された利用者の利用者IDに基づいて、記憶部23の活動履歴情報(図13)から当該利用者の活動量を取得する(ステップS512)。
このとき、推奨環境提供部203は、活動履歴情報に蓄積されている「利用者別活動量」から、最も新しい活動量を取得することにより、利用者の現在の活動量を取得してもよい。また、推奨環境提供部203は、活動履歴情報に蓄積されている「活動パターン」を参照し、現在の日時及び利用者の特性に対応する活動パターン(統計データ)から利用者の活動量を推測してもよい。
次に、推奨環境提供部203は、共通情報を取得する(ステップS513)。
具体的には、推奨環境提供部203は、現在の日時(年、月、日、時刻)を取得するとともに、記憶部23に予め記憶されている空調システム1の設置環境を取得する。
次に、推奨環境提供部203は、推奨環境モデル(図15)を用いて空調提案を行う(ステップS514)。
具体的には、推奨環境提供部203は、ステップS511〜S513において取得した利用者の特性情報、活動量、共通情報を入力値として推奨環境モデルに入力する。そして、推奨環境モデルからの出力値(設定温度、設定湿度、設定風量、…)を、推奨環境設定としてスマートフォン4へ送信することにより、利用者に対して空調提案を行う。
これにより、推奨環境提供部203は、利用者の特性情報(性別、年齢、職業、身長、体重、…)、活動パターン(活動量)から当該利用者が好む設定値(設定温度、設定湿度、設定風量、…)を推測して、推奨環境設定として利用者に提供することができる。例えば、空調システム1が病院に設けられている場合、医師、看護師等は空間内を歩き回るので活動量が多く、患者は同じ位置(椅子、ベッド)にいるので活動量が少ないことが考えられる。この場合、推奨環境提供部203は、医師等に対しては「設定風量:大」を含む推奨環境設定を提供し、患者に対しては「設定風量:小」を含む推奨環境設定を提供することにより、利用者の個人情報(活動量、職業等)に応じて好ましいと推測される空調提案を行うことができる。
また、推奨環境提供部203は、DB5に蓄積された他の空調システムの推奨環境モデルを用いて、空調提案を行うようにしてもよい。例えば、推奨環境提供部203は、類似する設置環境を有する他の空調システムの推奨環境モデルを用いるようにしてもよい。
このようにすることで、推奨環境提供部203は、空調システム1におけるデータの蓄積が不十分であり、推奨環境モデルが構築できていない場合、又は、推奨環境モデルの精度が低い場合であっても、他の空調システムの推奨環境モデルを用いて、利用者それぞれに適した推奨環境設定を提供することができる。
次に、スマートフォン4の要求環境設定受付部401は、通信I/F44を介して空調制御装置2から送信された推奨環境設定を取得する(ステップS501)。
要求環境設定受付部401は、取得した推奨環境設定を表示部42に表示して利用者に提示するとともに、利用者から要求環境設定の入力を受け付ける(ステップS502)。
なお、利用者が操作部41を介して推奨環境設定を採用する操作を行った場合、要求環境設定受付部401は、推奨環境設定を要求環境設定として受け付ける。また、利用者が推奨環境設定を採用しない場合、要求環境設定受付部401は、利用者が操作部41を介して入力した要求環境設定(設定温度、設定湿度、設定風量等)を受け付ける。
次に、要求環境設定受付部401は、利用者IDと要求環境設定とを含む送信情報(図7)を、通信I/F44を介して空調制御装置2へ送信する(ステップS503)。
次に、空調制御装置2の要求環境取得部204は、スマートフォン4から通信I/F21を介して受信した送信情報より、利用者ID及び要求環境設定を取得する(ステップS515)。
次に、要求環境取得部204は、送信情報に含まれる利用者IDと、要求環境設定とを関連付けて、利用者別情報(図8)として記憶部23に追加して記憶する(ステップS516)。
また、要求環境取得部204は、取得した要求環境設定を、記憶部23に蓄積されている要求環境履歴情報(図9)に追加して記憶する(ステップS517)。
要求環境履歴情報に追加された要求環境設定は、新たな学習データとして上述の学習処理S40において使用される。これにより、要求環境履歴情報が増加するほど、学習部205が構築する推奨環境モデルの精度が向上するので、推奨環境提供部203において利用者ごとに最適化された細やかな空調提案(推奨環境設定の提供)を行うことができるようになる。
空調制御装置2の室内機制御部206は、利用者別情報が更新されると、空調用室内機3の制御を行う処理S25(図10)を実行する。当該処理は上述と同様であるため説明を割愛する。
空調制御装置2は、所定時間(例えば1時間)ごとに上述の空調提案処理S50Aを実行し、空間内にいる利用者に対して空調提案を行う。また、空調制御装置2は、スマートフォン4との通信が確立したタイミングで、上述の空調提案処理S50Aを実行してもよい。
図17は、第1の実施形態に係る空調システムの空調提案処理の一例を示す第2のシーケンス図である。
図16では、空調制御装置2が利用者を検出したときに空調提案を行う(推奨環境設定を提供)する例について説明したが、これに限られることはない。
空調制御装置2は、図17に示すように、利用者から要求環境設定を受け付けたときに、空調提案処理S50Bを行うようにしてもよい。
図17に示すように、スマートフォン4の要求環境設定受付部401は、利用者から操作部41を介して入力された要求環境設定(設定温度、設定湿度、設定風量等)を受け付ける(ステップS520)。
次に、要求環境設定受付部401は、利用者IDと要求環境設定とを含む送信情報(図7)を、通信I/F44を介して空調制御装置2へ送信する(ステップS521)。
空調制御装置2の推奨環境提供部203は、スマートフォン4から送信情報を受信すると、送信情報に含まれる利用者IDに基づいて、記憶部23から利用者の特性情報及び活動量と、共有情報とを取得する(ステップS531〜ステップS533)。なお、これらの処理は、図16のステップS511〜ステップS513と同様である。
次に、推奨環境提供部203は、推奨環境モデル(図15)を用いて空調提案を行う(ステップS534)。なお、当該処理は、図16のステップS514と同様である。
次に、スマートフォン4の要求環境設定受付部401は、空調制御装置2から推奨環境設定を取得する(ステップS522)と、取得した推奨環境設定を表示部42に表示して利用者に提示するとともに、利用者から要求環境設定の入力を受け付ける(ステップS523)。
なお、利用者が操作部41を介して推奨環境設定を採用する操作を行った場合、要求環境設定受付部401は、推奨環境設定を要求環境設定として受け付ける。また、利用者が推奨環境設定を採用せず、利用者がステップS520において入力した要求環境設定を維持する操作を行った場合、要求環境設定受付部401は、利用者による入力を省略してもよい。
次に、要求環境設定受付部401は、利用者IDと要求環境設定とを含む送信情報(図7)を、通信I/F44を介して空調制御装置2へ送信する(ステップS524)。
次に、空調制御装置2の要求環境取得部204は、スマートフォン4から受信した送信情報より、利用者ID及び要求環境設定を取得すると(ステップS535)、利用者IDと要求環境設定とを関連付けて、利用者別情報(図8)として記憶部23に追加して記憶する(ステップS536)。
また、要求環境取得部204は、取得した要求環境設定を、記憶部23に蓄積されている要求環境履歴情報(図9)に追加して記憶する(ステップS537)。
空調制御装置2は、スマートフォン4から送信情報を受信する度に、上述の空調提案処理S50Bを実行する。これにより、利用者が入力した要求環境設定よりも好ましいと推測される設定(推奨環境設定)がある場合、利用者に対し適切な空調提案を行うことができる。例えば、利用者の活動履歴情報(図13)より、現在以降に利用者の活動量が増加すると推測される場合は、推奨環境提供部203は、利用者が入力した設定温度よりも低い設定温度を含む推奨環境設定を提供することにより、利用者の個人情報(活動量)に応じて好ましいと推測される空調提案を行うことができる。
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る空調制御装置2は、利用者位置を取得する位置取得部201と、利用者の個人情報を取得する個人情報取得部202と、個人情報に基づいて、利用者に推奨される推奨環境設定を提供する推奨環境提供部203と、利用者の要求環境設定を取得する要求環境取得部204と、利用者位置及び要求環境設定に基づいて、空調用室内機3の制御を行う室内機制御部206と、を備える。
このようにすることで、空調制御装置2は、利用者が環境設定を自ら設定する手間を省くことができるとともに、利用者の個人情報に応じた適切な空調要求を推測し、推奨環境設定として提供することができる。
例えば、空調システム1を初めて利用する場合、利用者は環境設定としてどのような値を設定すれば自らの望む空調を得られるか分からない可能性がある。このような場合であっても、空調制御装置2が利用者の個人情報に応じた推奨環境設定を提供するので、利用者は容易に快適な空調を得ることができる。
また、個人情報取得部202は、個人情報として、利用者の特性(性別、年齢、職業、身長、体重、…)を示す情報と、利用者の活動量を示す情報(活動履歴情報)とを取得する。
これにより、推奨環境提供部203は、利用者の特性及び活動量に応じた推奨環境設定を提供することができる。この結果、利用者それぞれに提供される推奨環境設定の精度が向上する。
また、空調制御装置2は、個人情報及び要求環境設定に基づいて、利用者別の推奨環境設定を学習する学習部205を更に備える。
このようにすることで、学習部205は、利用者の個人情報と、利用者が実際に設定した要求環境設定との関係を学習することができる。これにより、空調制御装置2は、利用者に提供する推奨環境設定の精度を向上することができる。
また、要求環境取得部204は、利用者の操作を受け付ける環境設定端末4から要求環境設定を取得する。
このようにすることで、要求環境取得部204は、利用者が推奨環境設定とは異なる環境設定を望む場合は、利用者がどのような環境設定を望むかを正しく認識して、空調用室内機3を制御することができる。
また、要求環境取得部204が取得した要求環境設定は、記憶部23に蓄積されている要求環境履歴情報に追加され、学習部205により新たな学習データとして使用される。これにより、要求環境履歴情報が増加するほど、学習部205が構築する推奨環境モデルの精度が向上するので、推奨環境提供部203において利用者ごとに最適化された細やかな空調提案(推奨環境設定の提供)を行うことができるようになる。
また、要求環境取得部204は、利用者が推奨環境設定を採用した場合、推奨環境設定を要求環境設定として取得する。
このようにすることで、空調制御装置2は、利用者が推奨環境設定を採用したか否かに基づいて、空調用室内機3を制御するための要求環境設定を取得することができる。これにより、利用者が推奨環境設定を好まない場合は、利用者から受け付けた要求環境設定に基づいて空調用室内機3を制御することができるので、より利用者の要求に沿った空調を提供することができる。
また、要求環境取得部204が取得した要求環境設定は、記憶部23に蓄積されている要求環境履歴情報に追加され、学習部205により新たな学習データとして使用される。これにより、要求環境履歴情報が増加するほど、学習部205が構築する推奨環境モデルの精度が向上するので、推奨環境提供部203において利用者ごとに最適化された細やかな空調提案(推奨環境設定の提供)を行うことができるようになる。
なお、本実施形態において、二次元コードに予め記録されているエリアIDを位置特定情報として用いる例について説明したが、これに限られることはない。
他の実施形態では、利用者登録部400は、スマートフォン4のカメラ43により撮影された二次元コード、又は空調用室内機3等のランドマークを含む画像を位置特定情報として取得してもよい。この場合、位置推定部200は、画像に含まれるランドマークの大きさ、傾きを分析して、利用者がランドマークを撮影した位置(利用者位置)を推定するようにしてもよい。
また、利用者のいる位置(座席等)には、二次元コードに代えて、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi、ビーコン等の発信機が設けられていてもよい。この場合、利用者登録部400は、発信機から受信した信号より、発信機を特定可能な機器IDと、発信機との相対位置(距離、角度等)を検出可能な情報を、位置特定情報として取得する。
さらに、スマートフォン4に空調システム1が設置された空間の地図を表示するアプリケーションが予めインストールされており、利用者が操作部41を介して地図から利用者のいる位置を指定するようにしてもよい。この場合、利用者登録部400は、利用者の操作に基づいて、地図上の利用者位置を示す位置特定情報(エリアID)を取得するようにしてもよい。
また、上述の実施形態において、空調制御装置2の位置推定部200がチェックイン情報に含まれる位置特定情報に基づいて、利用者位置を推定する例について説明したが、これに限られることはない。
例えば、空調制御装置2の位置推定部200を省略し、スマートフォン4の利用者登録部400が位置特定情報に基づいて利用者位置を推測してもよい。
この場合、スマートフォン4の利用者登録部400は、チェックイン処理S10A(図3)において、第1の実施形態に係る空調制御装置2の位置推定部200と同様に、利用者位置(空間内における利用者の位置を示す座標情報)を推定する処理(ステップS110)を実行することにより、利用者の利用者位置を推定する。
即ち、スマートフォン4の記憶部45には、予め二次元コードそれぞれに振られたエリアIDと、二次元コードそれぞれが設置された位置を示す座標情報とを関連付けた二次元コード管理テーブルが予め記憶されている。利用者登録部400は、二次元コード管理テーブルを参照して、二次元コードから読み取った位置特定情報に対応する座標情報(「X1、Y1」)を、利用者位置として推定する。
そして、スマートフォン4の利用者登録部400は、利用者IDと、利用者位置と、特性情報とを含むチェックイン情報を作成して、空調制御装置2に送信する。
このようにすることで、位置取得部は、環境設定端末から利用者のいる場所に応じた利用者位置を取得するので、利用者それぞれのいる場所を精度よく認識することができる。
このようにすることで、空調制御装置2において複数の利用者それぞれの位置を推定する処理を省略することができるので、空調制御装置2の負荷を低減させることができる。
<第1の変形例>
次に、本発明の第1の変形例に係る空調システム1について、図18を参照して説明する。
上述の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
図18は、第1の変形例に係る推奨環境提供部の機能を説明するための図である。
例えば、事務所等では、利用者は予め決まった位置(それぞれに割り当てられた座席)にいることが多くなると考えられる。
このため推奨環境提供部203は、利用者それぞれの利用者位置(利用者登録情報(図5)に含まれる利用者位置)と、要求環境履歴情報(図9)に蓄積された過去の要求環境設定とに統計処理を施すことにより、どのような空調(要求環境設定)を好む利用者が、空間内のどのゾーンにいる可能性が高いかを示す実績マップ(図18)を作成する。
推奨環境提供部203は、例えば図18に示すように、空間内のゾーン別に「設定風量:大」を好む利用者、「設定風量:小」を好む利用者等の分布を示す実績マップを作成する。また、推奨環境提供部203は、このような実績マップを、時間帯別、曜日別、月別に作成してもよい。
推奨環境提供部203は、図18の実績マップより、空間内のどのゾーンにいる利用者がどのような空調を好むかを推測する。そして、「設定風量:大」を好む利用者がいるゾーンには、「設定風量:小」を好む利用者がいるゾーンよりも強い風量が与えられるように、各ゾーンに位置する利用者に推奨環境設定を提案する。
このようにすることで、推奨環境提供部203は、利用者の過去の要求環境設定に応じて適切な推奨環境設定を提供することができる。
また、推奨環境提供部203は、実績マップに基づいて時間帯別の利用者の分布を推測し、時間帯別に異なる推奨環境設定を提供するようにしてもよい。例えば「設定風量:大」を好む利用者が不在となることが多い時間帯には、当該利用者のいるゾーンの設定風量を小さくする推奨環境設定を提供して、空調システム1の消費電力を抑えることができる。この結果、推奨環境提供部203は、空調システム1の消費電力をより小さくする最適計画(時間帯別の推奨環境設定)を提供することが可能となる。
<第2の変形例>
次に、本発明の第2の変形例に係る空調システム1について、図19を参照して説明する。
上述の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
図19は、第2の変形例に係る推奨環境提供部の機能を説明するための図である。
本変形例では、推奨環境提供部203は、センサ22により計測された空間内の気温に基づき、実績マップを更新する。
具体的には、推奨環境提供部203は、図19に示すように、空間内のゾーン別の気温の分布マップ(実績マップ)を作成する。図19では、空間内を4つのゾーン(Z1〜Z4)に分割する例について説明するが、これに限られることはない。他の実施形態では、ゾーンは少なくとも2つ以上であればよく、3つ以下又は5つ以上のゾーンに分割されていてもよい。
推奨環境提供部203は、単位時間(例えば1時間)ごとに、空間内のゾーン別の平均気温を取得し、単位時間における気温の分布を表す単位時間マップM2を作成する。図19には、単位時間Tにおける単位時間マップM2(T)を作成した例が示されている。
そして、推奨環境提供部203は、これまでの計測時間(累積時間T)における気温の分布を表す分布マップM1(更新前の分布マップ)と、単位時間マップM2とに基づいて、計測時間T+Tにおける気温の分布を表す更新後の分布マップM3を計算する。
なお、推奨環境提供部203は、更新後の分布マップM3を計算する際に、更新前の分布マップM1と単位時間マップM2とのそれぞれに重み付けを与える。重み付けには、例えば計測時間を用いる。
具体的には、推奨環境提供部203は、以下の式(2)を用いて更新後の分布マップM3を計算する。
Figure 2019027603
推奨環境提供部203は、更新後の分布マップM3(図19)より、空間内の各ゾーン(Z1〜Z4)が、これまでどのような環境(気温)に調整されてきたかを知ることができる。即ち、推奨環境提供部203は、空間内の各ゾーンにおいて、利用者が好む環境の傾向を知ることができる。
これにより、推奨環境提供部203は、分布マップM3が表すゾーン別の気温に基づき、各ゾーン(Z1〜Z4)に位置する利用者に対し、これまでの環境に沿った推奨環境設定を提案することができる。
また、例えば、利用者から受け付けた要求環境設定が、分布マップM3が示す環境から大きく外れている場合は、利用者に対し、これまでの環境に沿った推奨環境設定を提案することができる。これにより、空調制御装置2は、利用者が頻繁に要求環境設定を変更するような手間を削減することができる。
<第3の変形例>
次に、本発明の第3の変形例に係る空調システム1について、図20〜図21を参照して説明する。
図20は、第3の変形例に係る推奨環境提供部の機能を説明するための第1の図である。
本変形例において、空調システム1が設置された空間内には、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi、ビーコン等の発信機が設けられており、利用者が所持するスマートフォン4との間で無線通信を行うものとする。そして、空調制御装置2の位置推定部200は、発信機がスマートフォン4から受信した電波(位置特定情報)に基づいて、スマートフォン4の位置、即ち利用者位置を定期的(例えば1秒ごと)に推定する。具体的には、位置推定部200は、例えばスマートフォン4から受信した電波の電波強度、電波到来速度等に基づいて、三点測量の技術を用いて利用者位置を推定する。なお、位置推定部200は、電波の受信日時と推定した利用者位置とを関連付けた利用者別位置履歴(図20)を、記憶部23に記憶して蓄積する。
そして、空調制御装置2の推奨環境提供部203は、記憶部23に蓄積された利用者別位置履歴に基づいて、利用者それぞれが空間内のどの位置にどのくらいの時間滞在しているかを示す実績マップ(図20)を作成し、当該実績マップに基づいて推奨環境設定を提案する。
具体的には、推奨環境提供部203は、空間内を複数のセルに分割し、各セルの座標(i、j、k)と関連付けたマップを予め有しているものとする。そして、推奨環境提供部203は、図20に示すように、利用者それぞれの利用者位置に基づいて、利用者が空間内において滞在した位置(セルの座標)、日時、滞在時間、移動経路(どのセルからどのセルへ移動したかを示す経路)等の履歴を含む「利用者別行動パターン」を記録する。
図20の例では、例えば、ある利用者の一日の行動パターンとして、位置A(例えば利用者の机)、位置B(例えばごみ箱)、位置C(例えばコピー機)、位置D(例えば出入口)、位置E(例えば上司の席)に移動及び滞在する行動パターンが記録されているものとする。そして、推奨環境提供部203は、このような行動パターンに基づいて、利用者が滞在する位置(セル)を滞在時間が長い順に並べた表(「滞在時間のランキング」)を利用者別に作成する。更に、推奨環境提供部203は、図20に示すように、滞在時間のランキングに基づいて、空間内のどの位置(セル)に長く滞在する傾向があるかを示す利用者別の実績マップを作成する。
図20に示すように、「滞在時間のランキング」によれば、当該利用者の最も滞在時間が長い位置(セル)は、座標(i、j、k)=(4、8、1)である。このため、推奨環境提供部203は、最も滞在時間が長い位置が当該利用者が通常いる位置(自席)であると推測する。
このようにすることで、空調制御装置2は、チェックイン処理において利用者が利用者位置を登録する手間を省くことができる。
また、利用者が室外(利用者位置の検出エリア外)へ退出した場合、当該利用者の利用者位置が検出されなくなる(スマートフォン4との通信が切断される)。例えば、位置推定部200が座標(i、j、k)=(3、1、1)、即ち位置Dにおいてある利用者の利用者位置を検出した後、次のタイミングでは当該利用者の利用者位置の検出ができなくなったとする。この場合、推奨環境提供部203は、位置Dに出入口があり、当該利用者は室外に退出したと推測する。
更に、推奨環境提供部203は、複数の利用者の行動パターンに基づいて、空間内の全ての利用者が滞在する位置及び移動経路上のセルを特定する(実績マップ上のセルに色を塗る)とともに、利用者が滞在及び通過しないセルを特定するようにしてもよい。そうすると、推奨環境提供部203は、利用者が滞在及び通過しない位置(例えば図20の位置A、位置B、位置C等)には、机、コピー機、本棚等の障害物があることを推測することができる。
このようにすることで、利用者が空間内の出入口、障害物等の設置位置を指定してマップを作成する手間をかけることなく、推奨環境提供部203が自動的に空間内のマッピングを行うことができる。
推奨環境提供部203は、このように推測した利用者それぞれの自席、出入口、障害物等がマッピングされた実績マップに基づいて、利用者及び空間内の障害物の位置に応じた空調提案を行う。
具体的には、例えば、利用者は自席に長時間いることが想定される。このため、推奨環境提供部203は、利用者別の実績マップに基づいて、利用者の自席を含む領域には弱めでゆっくりとした風を送風する推奨環境設定を提案する。一方、推奨環境提供部203は、利用者が自席から離れて移動している場合には、強めの風を送風する推奨環境設定を提案してもよい。これにより、推奨環境提供部203は、利用者の活動パターンに応じた適切な推奨環境設定を提案することができる。
また、例えば、出入口付近は風の出入りが多いことが想定される。このため、推奨環境提供部203は、出入口がマッピングされた実績マップに基づいて、出入口付近(図20の位置D)に対しては送風を控えた推奨環境設定を提案することにより、空調効率が損なわれることを抑制することができる。
更に、推奨環境提供部203は、障害物を避けて送風する推奨環境設定を提案してもよいし、利用者がいない方向に風を向けたい場合は、逆に障害物に向かって送風する推奨環境設定を提案してもよい。
また、例えば、空調システム1の起動時には、空間内の空気が早めに目標温度に到達するよう、障害物に向かって送風する推奨環境設定を提案してもよい。このようにすることで、推奨環境提供部203は、障害物に風を当てて乱流を起こすことにより、熱伝達を促進させることができる。この結果、空調制御装置2は、空調システム1の起動時における空調効率を改善することができるとともに、利用者に対し迅速に快適な空調を提供することができる。
図21は、第3の変形例に係る推奨環境提供部の機能を説明するための第2の図である。
空調制御装置2の室内機制御部206が空調用室内機3に指令値を送信してから、実際に所望の地点の温度等が変化するまでには遅延が発生する。利用者が同じ位置(例えば自席)から移動しない場合は、このような空調の遅延が発生しても問題にならない。しかしながら、利用者が移動している場合は、当該利用者の利用者位置を取得してから空調用室内機3に指令値を送信すると、空調の遅延により、利用者の移動先の位置の温度等が適切に調整されない可能性がある。
また、利用者の移動に追従させて空調用室内機3を制御する場合、ルーバー31及びルーバー31を動作させる不図示のサーボモータ(アクチュエータ)を細かに動作させる必要がある。この場合、サーボモータへの負荷変動が大きくなることにより、空調用室内機3の電力消費が大きくなる可能性がある。
このため、推奨環境提供部203は、図21に示すように、利用者の移動ベクトルを用いて進路を予測し、当該利用者が移動先の位置に到達した時点で適切な環境設定(温度、湿度、風量)が反映されるように、推奨環境設定を提案する。
具体的には、推奨環境提供部203は、利用者の移動速度及び移動方向(方位)の変化を確率過程とみなし、過去の移動量の累積頻度から確率分布を求める。例えば、図21に示すように、推奨環境提供部203は、利用者別位置履歴、利用者別行動パターン(図20)等に基づいて、ある時点における利用者の移動ベクトル(v)から次の時点における移動ベクトル(vn+1)における「スピード変化の頻度分布」、「方位変化の頻度分布」等の確率分布を求める。
そして、推奨環境提供部203は、これら確率分布(図21)及び利用者別位置履歴(図20)に基づいて、利用者がT秒後に現在の利用者位置(R)から各位置(セル)に移動する確率を示す「確率マップ」(図21)を作成する。また、推奨環境提供部203は、上述のように推測した障害物等の設置位置を確率マップに反映してもよい。これにより、推奨環境提供部203は、確率マップの精度を向上させることができる。
なお、推奨環境提供部203は、過去に蓄積した利用者別位置履歴等から、予め確率マップを作成しておき、記憶部23に記憶してもよい。そして、推奨環境提供部203は、定期的(例えば1日ごと)に確率マップを更新するようにしてもよい。
推奨環境提供部203は、このように作成した確率マップに基づいて、現在の利用者位置(R)から、最も確率の高い位置(セル)の空調がT秒後に最適となるように、推奨環境設定を提案する。なお、本変形例では、室内機制御部206は、推奨環境提供部203が提案した推奨環境設定に基づいて、自動的に空調用室内機3を制御するものとする。
これにより、空調制御装置2は、利用者の移動先を予測して、事前に移動先の空調を最適化することが可能な指令値を空調用室内機3に送信することができる。この結果、空調制御装置2は、利用者が移動している場合であっても快適な空調を提供することができるとともに、空調用室内機3の電力消費が大きくなることを抑えることができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る空調システム1について、図22〜図23を参照して説明する。
上述の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
図22は、第2の実施形態に係る空調システムの機能構成の一例を示す図である。
図22に示すように、本実施形態に係る空調システム1は、空調IC46と、読取装置6とを更に備えている点において第1の実施形態と異なっている。
空調IC46は、利用者それぞれが所持するICカード又はRFタグである。
空調IC46には、利用者IDと、利用者の特性情報(性別、年齢、職業、身長、体重等)と、利用者位置を特定可能な位置特定情報とが予め記憶されている。
読取装置6は、空調IC46に記憶されている利用者ID、利用者の特性情報、位置特定情報を読み取る。
図23は、第2の実施形態に係る空調システムのチェックイン処理の一例を示すシーケンス図である。
以下、図23を参照して、本実施形態におけるチェックイン処理S10Bの一例について説明する。
本実施形態において、利用者は、初めて空調システム1を利用する場合、読取装置6に空調ICをかざすことにより、利用者の特性情報及び位置特定情報を含むチェックイン情報(図4)を空調制御装置2に登録するチェックイン処理S10Bを実行する。具体的なチェックイン処理S10Bの流れは以下のとおりである。
図23に示すように、利用者が空調IC46を読取装置6にかざすと、読取装置6は、予め空調IC46に記憶されている利用者IDと、利用者の特性情報と、位置特定情報とを取得する(ステップS120)。
次に、読取装置6は、利用者IDと、利用者の特性情報と、位置特定情報とを含むチェックイン情報を作成して空調制御装置2に送信する(ステップS102)。
空調制御装置2は、読取装置6からチェックイン情報を受信すると、利用者位置の推定(ステップS130)、利用者位置の取得(ステップS131)、特性情報の取得(ステップS132)、利用者別情報の記憶(ステップS133)の各処理を実行する。これらの処理は、第1の実施形態におけるチェックイン処理S10A(図3)の各処理(ステップS110〜S113)と同様である。
このような構成を有することにより、利用者は、空調IC46を読取装置6にかざす簡易な操作のみで、チェックイン処理S10Bを完了させることができる。これにより、空調システム1は、利用者がスマートフォン4を介して特性情報を入力する手間、二次元コードを撮影して位置特定情報を取得する手間を低減させることができる。
また、上述の各実施形態においては、上述した空調制御装置2及びスマートフォン4の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。更に、空調制御装置2及びスマートフォン4は、他の実施形態においては、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上述の実施形態において、空調制御装置2の推奨環境提供部203がスマートフォン4に推奨環境設定を送信し、スマートフォン4が利用者より推奨環境設定の採否を受け付ける例について説明したが、これに限られることはない。
例えば、空調制御装置2の設定、又は、スマートフォン4の設定を変更することにより、推奨環境設定を送信を行わないようにしてもよい。この場合、要求環境取得部204は、推奨環境提供部203が提供した推奨環境設定を要求環境設定として自動的に取得する。そして、室内機制御部206は、推奨環境設定に基づき、自動的に空調用室内機3を制御するようにしてもよい。
このようにすることで、空調制御装置2は、利用者が推奨環境設定を採用するか否かを選択する操作を省略することができるので、利用者の手間を更に軽減させることができる。
また、上述の各実施形態及び変形例に係る空調制御装置2は、制御に用いる要素が、「温度」、「湿度」、「風量」等である旨を説明したが、他の実施形態はこの態様に限定されない。他の実施形態に係る空調制御装置2は、上述の空調に係る要素に加え、「照度」、「香り」、「お湯の温度」、「便座の洗浄強さ」など、人の快適性に関わる量であれば如何なる態様であってもよい。なお、上述の例の場合、当該他の実施形態に係る空調制御装置2は、空調用室内機3のみならず、照明機器、芳香器、給湯器、便座機器を制御の対象とする態様であってもよい。
1 空調システム
2 空調制御装置
20 CPU
200 位置推定部
201 位置取得部
202 個人情報取得部
203 推奨環境提供部
204 要求環境取得部
205 学習部
206 室内機制御部
21 通信I/F
22 センサ
23 記憶部
3 空調用室内機
30 ファン
31 ルーバー
4 スマートフォン(環境設定端末)
40 CPU
400 利用者登録部
401 要求環境設定受付部
402 活動量計測部
41 操作部
42 表示部
43 カメラ
44 通信I/F
45 記憶部
5 データベース(DB)
6 読取装置

Claims (9)

  1. 利用者が要求する要求環境設定及び前記利用者のいる利用者位置に応じて、空調用室内機の制御を行う空調制御装置であって、
    前記利用者位置を取得する位置取得部と、
    前記利用者の個人情報を取得する個人情報取得部と、
    前記個人情報に基づいて、前記利用者に推奨される推奨環境設定を提供する推奨環境提供部と、
    前記利用者の前記要求環境設定を取得する要求環境取得部と、
    前記利用者位置及び前記要求環境設定に基づいて、前記空調用室内機の制御を行う室内機制御部と、
    を備える空調制御装置。
  2. 前記個人情報及び前記要求環境設定に基づいて、利用者別の推奨環境設定を学習する学習部を更に備える、
    請求項1に記載の空調制御装置。
  3. 前記位置取得部は、前記利用者の操作を受け付ける環境設定端末から前記利用者位置を取得する、
    請求項1又は2に記載の空調制御装置。
  4. 前記要求環境取得部は、前記利用者の操作を受け付ける環境設定端末から要求環境設定を取得する、
    請求項1又は2に記載の空調制御装置。
  5. 前記要求環境取得部は、前記推奨環境提供部が提供する前記推奨環境設定を要求環境設定として取得する、
    請求項1から3の何れか一項に記載の空調制御装置。
  6. 前記要求環境取得部は、前記利用者が前記推奨環境設定を採用した場合、当該推奨環境設定を要求環境設定として取得する、
    請求項5に記載の空調制御装置。
  7. 空調用室内機と、
    前記空調用室内機を制御する、請求項1から6の何れか一項に記載の空調制御装置と、
    を備える空調システム。
  8. 利用者が要求する要求環境設定及び前記利用者のいる利用者位置に応じて、空調用室内機の制御を行う空調制御方法であって、
    前記利用者位置を取得する位置取得ステップと、
    前記利用者の個人情報を取得する個人情報取得ステップと、
    前記個人情報に基づいて、前記利用者に推奨される推奨環境設定を提供する推奨環境提供ステップと、
    前記利用者の前記要求環境設定を取得する要求環境取得ステップと、
    前記利用者位置及び前記要求環境設定に基づいて、前記空調用室内機の制御を行う室内機制御ステップと、
    を有する空調制御方法。
  9. 利用者が要求する要求環境設定及び前記利用者のいる利用者位置に応じて、空調用室内機の制御を行う空調制御装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
    前記利用者位置を取得する位置取得ステップと、
    前記利用者の個人情報を取得する個人情報取得ステップと、
    前記個人情報に基づいて、前記利用者に推奨される推奨環境設定を提供する推奨環境提供ステップと、
    前記利用者の前記要求環境設定を取得する要求環境取得ステップと、
    前記利用者位置及び前記要求環境設定に基づいて、前記空調用室内機の制御を行う室内機制御ステップと、
    を実行させるプログラム。
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