以下、図面に基づいて、本願の開示する空気調和システムの実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜変形しても良い。
図1は、本実施例の空気調和システム1の一例を示す説明図である。図1に示す空気調和システム1は、室内機2と、アダプタ3と、アクセスポイント4と、サーバ装置5と、中継装置6と、通信端末7と、通信網8とを有する。
室内機2は、例えば、室内に配置され、室内の空気を加熱又は冷却する空気調和機の一部である。尚、室内機2の利用者は、リモコン9の操作により室内機2を遠隔操作することが可能である。室内機2は、本体2Aと、当該本体2Aを制御する制御部2Bと、検出部2Cとを有する。本体2Aは、室内ファン、膨張弁、室内熱交換器、風向板などの各装置が筐体に格納されたものである。制御部2Bは、上述した室内ファンや膨張弁や風向板を制御する。制御部2Bは、膨張弁の開度を調整して、利用者が必要とする空調能力を発揮させるために必要となる量の冷媒を室内熱交換器に流し、室内ファンを駆動して室内熱交換器で冷媒と熱交換を行った室内空気を、風向板を制御して偏向させて空調空間に吹き出させる。これにより、空調空間の暖房、冷房、除湿が行われる。検出部2Cは、例えば、室内機2が据え付けられた空調空間の床面の輻射温度を測定する輻射センサ、室内機2の空調空間の室内温度を測定する室温センサ、室内機2の空調空間の室内湿度を測定する湿度センサ、温度センサ等である。
アダプタ3は、室内機2とアクセスポイント4との間を無線通信で接続する通信機能と、室内機2をAI制御する制御機能とを有する。アダプタ3は、室内機2毎に設けられるものである。アクセスポイント4は、例えば、WLAN(Wireless Local Area Network)等を使用してアダプタ3と通信網8とを無線通信で接続する装置である。通信網8は、例えば、インターネット等の通信網である。サーバ装置5は、アダプタ3が室内機2をAI制御する際に使用する学習モデルを生成する機能や、運転履歴データ等を記憶するデータベース等を有する。サーバ装置5は、例えば、データセンタに配置される。
中継装置6は、通信網8と通信で接続すると共に、サーバ装置5と通信で接続する機能を有する。中継装置6は、サーバ装置5における学習モデルの生成又は学習モデルの更新に使用する運転履歴データ等を、室内機2からアダプタ3および通信網8経由で受信してサーバ装置5に送信する。また、中継装置6は、サーバ装置5で生成又は更新した学習モデルを通信網8経由でアダプタ3に送信する。中継装置6は、例えば、データセンタ等に配置される。
中継装置6は、第1の中継部6Aと、第2の中継部6Bと、第3の中継部6Cとを有する。第1の中継部6Aは、アダプタ3とサーバ装置5との間でAI制御に関わる各種データを中継する。具体的には、第1の中継部6Aは、アダプタ3から通信網8経由で受信した学習モデルの生成又は更新に使用する運転履歴データ等をサーバ装置5に送信すると共に、サーバ装置5が生成又は更新した学習モデルを通信網8経由でアダプタ3に送信する。第2の中継部6Bは、利用者が外出先から後述する通信端末7を使用して設定した室内機2の運転条件(冷房/暖房といった運転モードや設定温度など)をアクセスポイント4および通信網8経由で受信し、これを室内機2に通信網8およびアクセスポイント4およびアダプタ3経由で送信する。第3の中継部6Cは、例えば、通信網8を経由して天気予報等の外部データを受信し、受信した外部データをサーバ装置5に送信する。また、第3の中継部6Cは、受信した外部データを通信網8およびアクセスポイント4経由でアダプタ3に送信する。
図2は、アダプタ3の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すアダプタ3は、第1の通信部11と、第2の通信部12と、記憶部13と、CPU(Central Processing Unit)14とを有する。第1の通信部11は、室内機2内の制御部2Bと通信で接続される、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の通信IF(Interface)である。第2の通信部12は、アクセスポイント4と通信で接続される、例えば、WLAN等の通信IF等である。記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有し、データやプログラム等の各種情報を格納する。CPU14は、アダプタ3全体を制御する。
記憶部13は、室内機2から取得した運転履歴データを一時記憶する運転履歴メモリ13Aと、サーバ装置5から取得した、クラウド側学習モデル(第1の学習モデル)を記憶するモデルメモリ13Bとを有する。更に、記憶部13は、クラウド側学習モデルを基礎とするアダプタ側学習モデル(第2の学習モデル)を記憶するアダプタ側学習記憶部13Cと、外部データを記憶する外部メモリ13Dとを有する。
CPU14は、取得部14Aと、送信部14Bと、受信部14Cと、アダプタ側学習部14Dと、設定部14Eと、予測部14Fとを有する。取得部14Aは、室内機2から所定周期、例えば、5分毎の取得タイミングで運転履歴データを取得する。取得部14Aは、5分周期で取得した運転履歴データを運転履歴メモリ13Aに記憶する。なお、運転履歴データについては後述する。
送信部14Bは、運転履歴メモリ13Aに記憶している運転履歴データを、アクセスポイント4に送信し、アクセスポイント4は、受信した運転履歴データを通信網8を介して中継装置6に送信し、中継装置6の第1の中継部6Aは、受信した運転履歴データをサーバ装置5に送信する。送信部14Bが運転履歴データ送信する間隔は、室内機2から運転履歴データを取得する所定周期よりも長く、クラウド側学習部33Aが学習モデルを生成する間隔よりも短ければよい。受信部14Cは、サーバ装置5から、例えば、利用者の体感温度を予測するための体感温度予測モデル等の学習モデルを受信する。具体的には、サーバ装置5は中継装置6にクラウド側学習モデルを送信し、中継装置6の第1の中継部6Aは受信したクラウド側学習モデルを通信網8を介してアクセスポイント4に送信し、アクセスポイント4は受信したクラウド側学習モデルをアダプタ3の受信部14Cに送信する。なお、受信部14Cは、受信したクラウド側学習モデルをモデルメモリ13Bに記憶する。受信部14Cは、クラウド側学習モデルを受信した場合、現在受信したクラウド側学習モデルをモデルメモリ13B内の今回領域132に記憶する。更に、受信部14Cは、モデルメモリ13B内の前回領域131にクラウド側学習モデルがない場合、現在のクラウド側学習モデルを前回受信したクラウド側学習モデルとしてモデルメモリ13B内の前回領域131に記憶する。前回のクラウド側学習モデルとは、現在から所定時間、例えば、6日前にサーバ装置5から受信したクラウド側学習モデルである。
アダプタ側学習部14Dは、今回領域132に記憶中の現在のクラウド側学習モデルをアダプタ側学習モデルとする。クラウド側学習モデルは、例えば、3週間分の運転履歴データを用いて第1のアルゴリズムで学習し生成された、利用者の長期的な操作嗜好や実環境を反映した学習モデルである。更に、アダプタ側学習部14Dは、例えば、1時間毎の運転履歴データを用いて、第1のアルゴリズムと異なる第2のアルゴリズムで当該アダプタ側学習モデルを生成する。アダプタ側学習部14Dは、オンライン学習後のアダプタ側学習モデルをアダプタ側学習記憶部13Cに記憶して更新する。アダプタ側学習モデルは、アダプタ側学習部14Dがアダプタ側学習モデルを生成する間隔であるアダプタ側学習モデル生成間隔毎に生成されればよい。アダプタ側学習モデルは、例えば、1時間毎の運転履歴データを用いて学習し生成される、利用者の直近の操作嗜好や実環境を反映した学習モデルである。アダプタ側学習モデルは、直近の利用者の操作嗜好や気温変化等の実環境の影響を短時間で反映して生成される学習モデルである。しかしながら、利用者の操作を逐次学習するため、例えば、利用者の子供の悪戯操作も利用者の操作として学習モデルに反映してしまう。これに対して、クラウド側学習モデルは、長期間の運転履歴データを使用するため、例えば、一度の子供の悪戯操作が利用者の操作として学習モデルに与える影響を小さくできる。
設定部14Eは、アダプタ側学習記憶部13Cに記憶しているアダプタ側学習モデルを予測部14Fに適用する。予測部14Fは、例えば、室内温度の安定した状態で、アダプタ側学習記憶部13Cに記憶中のアダプタ側学習モデルに基づき、室内機2の制御部2Bを制御する。尚、室内温度の安定した状態とは、室内温度(空調空間全体の温度)と室内機2の設定温度との温度差が所定閾値、例えば、±0.5度以内の状態が所定時間以上(例えば、送信部14Bが室内機2から運転履歴データを取得する所定周期の2倍)継続した場合である。尚、説明の便宜上、予測部14Fは、アダプタ側学習モデルに基づき、室内機2内の制御部2Bを制御する場合を例示したが、予測部14Fは、アダプタ側学習モデルに基づき、室内機2の本体2Aを直接的に制御しても良い。また、予測部14Fは、アダプタ側学習モデルに基づく制御態様を制御部2Bに送信する。つまり、予測部14Fが、制御部2Bを介して本体2Aを間接的に制御するようにしても良く、適宜変更可能である。以下、アダプタ3が2日毎にそれまで蓄積した運転履歴データをサーバ装置5へ送信し、クラウド側学習部33Aの学習モデル生成間隔(6日)に相当する運転履歴データがデータメモリ32A蓄積されたらクラウド側学習部33Aで学習モデルが生成されるとして、実施例の説明を行う。
図3は、サーバ装置5の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すサーバ装置5は、複数台の室内機2に備えられるアダプタ3と、中継装置6を介して通信を行うものであり、通信部31と、記憶部32と、CPU33とを有する。通信部31は、中継装置6と通信接続する通信IFである。記憶部32は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、ROMやRAM等を有し、データやプログラム等の各種情報を記憶する。CPU33は、サーバ装置5全体を制御する。
サーバ装置5内の記憶部32は、データメモリ32Aと、クラウド側学習記憶部32Bとを有する。データメモリ32Aは、各アダプタ3から受信した各室内機2の運転履歴データを室内機2毎に記憶する。尚、後述するように、各室内機2は、室内機2を識別するための空気調和機IDを保有しており、各室内機2が運転履歴データを送信する際は、この空気調和機IDも併せて送信している。そして、各室内機2から運転履歴データを受信したサーバ装置5は、受信した信号に含まれる空気調和機ID毎に運転履歴データをデータメモリ32Aに記憶する。クラウド側学習記憶部32Bは、サーバ装置5で生成又は更新したクラウド側学習モデルを記憶する。サーバ装置5内のCPU33は、クラウド側学習部33Aと、受信部33Bと、送信部33Cとを有する。
クラウド側学習部33Aは、複数の室内機2のアダプタ3からアクセスポイント4、通信網8、及び、中継装置6を経由して、各々の運転履歴データを受信する。そして、クラウド側学習部33Aは、各アダプタ3から受信した運転履歴データの内、データメモリ32Aに記憶中のN週間分(例えば、3週間分)の運転履歴データを使用してクラウド側学習モデルを生成するバッチ学習を実行する。クラウド側学習部33Aは、学習結果に基づき、室内機2毎にクラウド側学習モデルを生成又は更新する。
そして、クラウド側学習部33Aは、新たに生成したクラウド側学習モデル又は既存のクラウド側学習モデルを更新した学習モデルをクラウド側学習記憶部32Bに記憶する。受信部33Bは、アクセスポイント4および通信網8および中継装置6を介して各アダプタ3から運転履歴データ等を受信する。送信部33Cは、中継装置6、通信網8及びアクセスポイント4を介して、クラウド側学習部33Aにて室内機2毎に新たに生成したクラウド側学習モデル又は既存のクラウド側学習モデルを更新した学習モデルを各室内機2のアダプタ3に送信する。
なお、室内機2は図示しない室外機と冷媒配管で接続されており、室外機には、室外ファンや圧縮機等が備えられている。また、通信端末7は、利用者のスマートフォン等の端末装置である。
運転履歴データには、例えば、運転状態、運転モード、設定温度、室内温度、室内湿度、風量、風向、人感センサ、温度分布、室内熱交温度、室外温度および時刻等がある。
運転状態とは、室内機2の運転がONかOFFのどちらの状態にあったかを示す記録である。運転モードは、室内機2の運転時に、冷房や暖房等どの動作モードが選択されていたかを示す記録である。動作モードとしては冷房や暖房の他、除湿、送風、フィルタ清掃等のメンテナンス運転、切タイマー、入りタイマー等がある。設定温度は、室内機2が使用される室内の温度の制御目標値である。室内温度は、室内機2に設けた図示しない室温センサの温度、例えば、吸込口における室内空気の温度である。室内湿度は、室内機2が使用される、室内機2に設けた図示しない湿度センサの室内の湿度である。風量は、室内機2から吹き出される空調空気の風量である。尚、風量は、例えば、室内機2の室内ファンの回転数で表わされる。風向は、室内機2から吹き出される空調空気の向きである。尚、風向きは、室内機2の吹出口側から見て左方向、中央方向及び右方向と、水平向き、斜め下向き及び下吹きが組み合わせられる。人感センサにより取得するデータは、室内の人の有無や活動量をセンサによって検出したものである。温度分布として取得するデータは、室内の床や壁の温度の分布を、室内機2の輻射センサによって検出したものである。尚、温度分布は、例えば、室内空間の床面を9個のエリアに分割し、エリア毎の床面の輻射温度の分布である。室内熱交温度は、室内機2の図示しない室内熱交換器に設けた温度センサで検出した室内熱交換器の温度である。室外温度は、図示しない室外機の温度センサで検出した外気温度である。アダプタ3は、室内機2を経由して室外機の温度センサで検出した室外温度を収集する。尚、これらの運転履歴データは、データ取得時の年月日時分秒であるタイムスタンプとともに記憶されればよい。また図示しないが、運転履歴データには、例えば、室内機2等の空気調和機を識別するために室内機2に付与する空気調和機ID、アダプタ3が通信網8およびアクセスポイント4経由で取得した天気予報データから収集した時間毎の雲量を含めても良い。
学習モデルとして体感温度予測モデルを生成又は更新する場合には、運転履歴データのうちの温度分布、室内温度、設定温度、室外温度、タイムスタンプ、雲量等の運転履歴データを学習のためのパラメータとして使用する。なお、使用するパラメータについては、後に詳細に説明する。
学習モデルには、例えば、各家庭の空気調和機の運転状況に応じて室内の利用者に対する5分後の体感温度を予測し、予測する体感温度に応じて利用者の操作嗜好を予測すると共に、その操作嗜好に基づき、空気調和機を制御する体感温度予測モデルがある。従来、空気調和機は、室内温度が目標温度になるように温度を調整することになるため、利用者には、その温度変化が体感的に不快に感じる場合がある。これに対して、体感温度予測モデルは、例えば、室内温度、室内湿度、室外温度等の時系列の運転履歴データに応じて、利用者が快適に感じるように空気調和機を調整する際に用いられる学習モデルである。そして、クラウド側学習部33Aは、生成又は更新したクラウド側学習モデルとして体感温度予測モデルをクラウド側学習記憶部32Bに記憶する。受信部33Bは、通信網8経由で各アダプタ3から運転履歴データを受信する。尚、説明の便宜上、クラウド側学習部33Aは、例えば、3週間分の運転履歴データを使用して体感温度予測モデルを6日毎に生成又は更新する場合を例示した。しかしながら、クラウド側学習部33Aは、3週間分の運転履歴データに限定されるものではなく、学習モデルの内容に応じて、例えば、1ヶ月や半年等の運転履歴データを使用しても良く、適宜変更可能である。このように、クラウド側学習部33Aでクラウド側学習モデルの生成又は更新に用いられるアルゴリズム(第1のアルゴリズム)は、クラウド側学習部33Aで行われる処理に適したものであればよい。クラウド側学習部33Aで用いられるアルゴリズムとして、いわゆるバッチ学習を用いればよい。
学習モデルが、例えば、体感温度予測モデルの場合、体感温度予測モデルの生成又は更新に設定温度、室内温度、室内湿度、室外温度等の時系列の運転履歴データを使用する。体感温度予測モデルに使用する運転履歴データは、例えば、季節に応じて異なる。冬季の体感温度予測モデルでは、例えば、設定温度、室内温度、室内湿度及び室外温度等を使用する。これに対して、夏季の体感温度予測モデルでは、例えば、設定温度、室内温度、室内湿度及び室外温度等の他に、例えば、風量と人感センサの検出データ(人の有無や活動量)が加わる。
サーバ装置5内のクラウド側学習部33Aは、データメモリ32Aに記憶中の運転履歴データに基づき、体感温度予測モデル等の学習モデルを生成又は更新する。そして、サーバ装置5内の送信部33Cは、クラウド側学習部33Aで生成又は更新した体感温度予測モデル等の学習モデルを中継装置6、通信網8及びアクセスポイント4経由でアダプタ3に送信する。
アダプタ3内のアダプタ側学習部14Dは、サーバ装置5から体感温度予測モデル等のクラウド側学習モデルを受信した場合、当該クラウド側学習モデルをモデルメモリ13B内の今回領域132に記憶する。アダプタ側学習部14Dは、今回領域132に記憶中の現在のクラウド側学習モデルと前回領域131に記憶中の前回のクラウド側学習モデルとを比較する。アダプタ側学習部14Dは、現在のクラウド側学習モデルと前回のクラウド側学習モデルとの差分が所定閾値以上の場合、現在のクラウド側学習モデルを基礎とするアダプタ側学習モデルの生成を開始する。尚、所定閾値とは、現在のクラウド側学習モデルと前回のクラウド側学習モデルとにどの程度差があるかを判定するための閾値である。そして、アダプタ側学習部14Dは、生成したアダプタ側学習モデルをアダプタ側学習記憶部13Cに記憶する。アダプタ側学習部14Dは、現在のクラウド側学習モデルと前回のクラウド側学習モデルとの差分が所定閾値以上でない場合、アダプタ側学習記憶部13Cに記憶中のアダプタ側学習モデルを維持する。そして、設定部14Eは、アダプタ側学習記憶部13Cに記憶中のアダプタ側学習モデルを予測部14Fに設定する。
予測部14Fは、例えば、室内温度が設定温度±0.5度以内の状態が所定時間以上継続した安定制御の状態の場合、アダプタ側学習記憶部13Cに記憶中の体感温度予測モデル等のアダプタ側学習モデルに基づき、室内機2の制御部2Bを制御する。尚、説明の便宜上、予測部14Fは、アダプタ側学習モデルに基づき、室内機2内の制御部2Bを制御する場合を例示したが、予測部14Fは、アダプタ側学習モデルに基づき、室内機2の本体2Aを直接制御しても良い。また、予測部14Fは、アダプタ側学習モデルに基づく制御態様を制御部2Bに送信し、制御部2Bを介して本体2Aを制御するようにしても良く、適宜変更可能である。つまり、予測部14Fは、本体2Aを直接的に制御、又は制御部2Bを使用して本体2Aを間接的に制御しても良く、適宜変更可能である。このように、アダプタ側学習部14Dでアダプタ側学習モデルの生成に用いられるアルゴリズム(第2のアルゴリズム)は、アダプタ側学習部14Dで行われる処理に適したものであればよい。アダプタ側学習部14Dで用いられるアルゴリズムとして、いわゆるオンライン学習を用いればよい。
また、アダプタ側学習部14Dは、例えば、室内温度が設定温度±0.5度以内の状態が所定時間以上継続した安定制御の状態の場合、アダプタ側学習モデルを1時間毎に学習する学習動作を開始する。また、空調空間は様々存在し、例えば、吹き抜けのある空調空間では室内温度が設定温度±0.5度に到達するまでに時間を要する。その結果、アダプタ側学習部14Dがいつまで経ってもアダプタ側学習モデルを生成できないような事態が生じる。そこで、このような事態に対処すべく、室内機2の運転開始から所定時間を経過した後に、アダプタ側学習モデルの学習動作を開始する。
次に、本実施例の空気調和システム1の動作について説明する。図4は、クラウド側学習処理に関わるサーバ装置5内のCPU33の処理動作の一例を示すフローチャートである。なお、CPU33は、空気調和システム1が設置されて起動した時点から3週間後までに取得した運転履歴データ、つまり、3週間分の運転履歴データを使用して体感温度予測モデル等のクラウド側学習モデルを生成し、その後は、CPU33が新しい運転履歴データを取得する度にこれを含めた過去3週間分の運転履歴データを使用して体感温度予測モデル等のクラウド側学習モデルを生成または更新する。CPU33は、アダプタ3から運転履歴データを受信したタイミングで図4に示すクラウド側学習処理を開始するものとする。なおアダプタ3が運転履歴データを送信するタイミングは、アダプタ3が室内機2から運転履歴データを取得する所定周期よりも長く、クラウド側学習部33Aが学習モデルを生成する間隔よりも短ければよい。
本実施形態の空気調和システム1において、サーバ装置5内のCPU33の受信部33Bは、アダプタ3から6日分の運転履歴データを受信したか否かを判定する(ステップS11)。受信部33Bは、6日分の運転履歴データを受信した場合(ステップS11:Yes)、受信した6日分の運転履歴データをデータメモリ32Aに記憶する(ステップS12)。ここで受信部33Bは、6日分の運転履歴データを一度に受信しても良いし、一度に通信するデータの増大を防ぐため複数回に分けて受信(2日分ごとなど)するようにしても良い。
クラウド側学習部33Aは、6日分の運転履歴データを記憶した場合、記憶中の運転履歴データが直近から過去3週間分以上であるか否かを判定する(ステップS13)。クラウド側学習部33Aは、運転履歴データが直近から過去3週間分以上の場合(ステップS13:Yes)、記憶中の運転履歴データに基づき、クラウド側学習モデルを生成する(ステップS14)。クラウド側学習部33Aは、学習したクラウド側学習モデルをクラウド側学習記憶部32Bに記憶して更新する(ステップS15)。そして、送信部33Cは、クラウド側学習記憶部32Bに記憶中のクラウド側学習モデルをアダプタ3に送信し(ステップS16)、図4に示す処理動作を終了する。また、受信部33Bは、6日分の運転履歴データを受信したのでない場合(ステップS11:No)、図4に示す処理動作を終了する。また、クラウド側学習部33Aは、記憶中の運転履歴データが直近から過去3週間分以上でない場合(ステップS13:No)、図4に示す処理動作を終了する。
以上説明したように、サーバ装置5は、アダプタ3から取得した運転履歴データを用いてクラウド側学習モデルを生成又は更新する。その結果、サーバ装置5は、クラウド側学習モデルの精度を高く維持できる。
更に、サーバ装置5は、生成したクラウド側学習モデルをクラウド側学習記憶部32Bに記憶した後、クラウド側学習モデルをアダプタ3に送信する。その結果、アダプタ3は、最新のクラウド側学習モデルを6日毎に取得できる。
図5は、アダプタ側学習処理に関わるアダプタ3内のCPU14の処理動作の一例を示すフローチャートである。尚、CPU14は、例えば、運転履歴データを受信したタイミングで図5に示すアダプタ側学習処理を開始する。図5においてアダプタ3内のCPU14内の取得部14Aは、1時間分の運転履歴データを取得したか否かを判定する(ステップS21)。取得部14Aは、1時間分の運転履歴データを取得した場合(ステップS21:Yes)、1時間分の運転履歴データを運転履歴メモリ13Aに記憶する(ステップS22)。
アダプタ3内のアダプタ側学習部14Dは、1時間分の運転履歴データに基づき、アダプタ側学習記憶部13Cに記憶中のアダプタ側学習モデルを生成する(ステップS23)。尚、アダプタ側学習部14Dは、直近1時間分の運転履歴データを用いてアダプタ側学習モデルを更新するため、利用者の1時間分の操作嗜好や実環境の変化に追従したアダプタ側学習モデルを生成できる。アダプタ側学習部14Dは、学習後のアダプタ側学習モデルをアダプタ側学習記憶部13Cに記憶し(ステップS24)、図5に示す処理動作を終了する。取得部14Aは、1時間分の運転履歴データを取得したのでない場合(ステップS21:No)、図5に示す処理動作を終了する。
以上説明したように、アダプタ3は、1時間分の運転履歴データを用いて、クラウド側学習モデルを基礎とするアダプタ側学習モデルを生成する。その結果、1時間、すなわち短期間の運転履歴、例えば、利用者の操作嗜好や実環境を反映した学習モデルを生成できる。つまり、空調空間内の利用者の操作嗜好や実環境の変化に追従したアダプタ側学習モデルを生成できる。
図6は、更新処理に関わるアダプタ3内のCPU14の処理動作の一例を示すフローチャートである。CPU14は、サーバ装置5からクラウド側学習モデルを受信したタイミングで図6に示す更新処理を開始する。図6においてアダプタ3内のCPU14内の受信部14Cは、サーバ装置5からクラウド側学習モデルを受信したか否かを判定する(ステップS31)。受信部14Cは、クラウド側学習モデルを受信した場合(ステップS31:Yes)、現在のクラウド側学習モデルをモデルメモリ13B内の今回領域132に上書きで記憶する(ステップS32)。
アダプタ側学習部14Dは、現在のクラウド側学習モデルを今回領域132に上書き記憶した後、前回領域131内に前回のクラウド側学習モデルがあるか否かを判定する(ステップS33)。
アダプタ側学習部14Dは、前回のクラウド側学習モデルがある場合(ステップS33:Yes)、前回のクラウド側学習モデルと現在のクラウド側学習モデルとを比較する(ステップS34)。アダプタ側学習部14Dは、比較結果に基づき、前回のクラウド側学習モデルと現在のクラウド側学習モデルとの差分が所定閾値以上であるか否かを判定する(ステップS35)。
アダプタ側学習部14Dは、前回のクラウド側学習モデルと現在のクラウド側学習モデルとの差分が所定閾値以上の場合(ステップS35:Yes)、クラウド側学習モデルに変化があるものと判断する。そして、アダプタ側学習部14Dは、現在のクラウド側学習モデルをアダプタ側学習モデルとしてアダプタ側学習記憶部13Cに記憶させ、アダプタ側学習モデルを更新する(ステップS36)。アダプタ側学習部14Dは、現在のクラウド側学習モデルを今回領域132から前回領域131に移動させ(ステップS37)、図6に示す処理動作を終了する。
アダプタ側学習部14Dは、前回のクラウド側学習モデルと現在のクラウド側学習モデルとの差分が所定閾値以上でない場合(ステップS35:No)、クラウド側学習モデルに変化がないものと判断する。そして、アダプタ側学習部14Dは、アダプタ側学習記憶部13Cに記憶中のアダプタ側学習モデルを維持し(ステップS38)、現在のクラウド側学習モデルを今回領域132から前回領域131に移動させるべく、ステップS37の処理に進む。
受信部14Cは、サーバ装置5からクラウド側学習モデルを受信しなかった場合(ステップS31:No)、図6に示す処理動作を終了する。アダプタ側学習部14Dは、前回領域131に前回のクラウド側学習モデルがない場合、現在のクラウド側学習モデルをアダプタ側学習モデルとしてアダプタ側学習記憶部13Cに更新すべく、ステップS36の処理に戻る。
以上説明したように、アダプタ側学習部14Dは、前回のクラウド側学習モデルと現在のクラウド側学習モデルとの差分が所定閾値以上の場合、クラウド側学習モデルに変化があるものと判断し、現在のクラウド側学習モデルをアダプタ側学習モデルとしてアダプタ側学習記憶部13Cに更新する。その結果、アダプタ3は、現在のクラウド側学習モデルを基礎としたアダプタ学習モデルを使用して利用者の操作嗜好を予測する。
アダプタ側学習部14Dは、前回のクラウド側学習モデルと現在のクラウド側学習モデルとの差分が所定閾値以上でない場合、クラウド側学習モデルに変化がないものと判断し、アダプタ側学習記憶部13Cに記憶中のアダプタ側学習モデルを維持する。その結果、アダプタ3は、現在使用中のアダプタ側学習モデルを使用して予測することになる。
本実施例の空気調和システム1は、室内機2の運転履歴データに基づき、クラウド側学習モデルを生成するクラウド側学習部33Aを有する。更に、空気調和システム1は、サーバ装置5がクラウド側学習モデルを生成する間隔である学習モデル生成間隔(例えば、6日間)以下の間隔(例えば、1時間)で、運転履歴データに基づき、アダプタ側学習モデルを生成するアダプタ側学習部14Dを有する。その結果、長期間の空調空間の実環境に応じたクラウド側学習モデルを用いた処理と、直近の空調空間内の利用者の操作嗜好や実環境の変化に追従したアダプタ側学習モデルを用いた処理との両立を図ることができる。
空気調和システム1は、室内機2の第1の期間(例えば、3週間)内の運転履歴データに基づき、クラウド側学習モデルを生成するクラウド側学習部33Aを有する。更に、空気調和システム1は、第1の期間よりも短い第2の期間(1時間)内の運転履歴データに基づき、アダプタ側学習モデルを生成するアダプタ側学習部14Dを有する。その結果、空調空間の実環境に応じたクラウド側学習モデルを用いた処理と、空調空間内の利用者の操作嗜好の変化に追従したアダプタ側学習モデルを用いた処理との両立を図ることができる。
アダプタ側学習部14Dは、サーバ装置5から取得したクラウド側学習モデルをアダプタ側学習モデルとして用いる。その結果、アダプタ側学習部14Dは、クラウド側学習モデルを基礎にしてアダプタ側学習モデルを生成できる。
予測部14Fは、アダプタ側学習部14Dで学習した第2の学習モデルを用いて利用者の操作嗜好を予測する。室内機2内の制御部2Bは、予測部14Fで予測された利用者の操作嗜好に基づき、室内機2内の本体2Aを制御する。その結果、室内機2は、利用者の操作嗜好に応じた空調環境を提供できる。
アダプタ側学習部14Dは、サーバ装置5から取得した現在のクラウド側学習モデルと前回のクラウド側学習モデルとの差分が所定閾値以上の場合に、現在のクラウド側学習モデルを新たなアダプタ側学習モデルとして更新する。その結果、アダプタ3は、現在と前回との差分が多いため、現在のクラウド側学習モデルを反映したアダプタ側学習モデルを取得できる。
アダプタ側学習部14Dは、現在のクラウド側学習モデルと前回のクラウド側学習モデルとの差分が所定閾値以上でない場合に、現在使用中のアダプタ側学習モデルを使用する。その結果、アダプタ3は、現在と前回との差分が少ないため、前回のクラウド側学習モデルを基礎とし、ここまで1時間毎の運転履歴データを反映したアダプタ側学習モデルをそのまま使用できる。
アダプタ側学習部14Dは、室内機2の運転開始から室内空間の室内温度が設定温度±0.5度以内の状態が所定時間以上(例えば10分間)継続した場合に、アダプタ側学習モデルの学習を開始する。アダプタ3は、室内機2の安定制御時にアダプタ側学習モデルの学習動作を開始できる。
アダプタ側学習部14Dは、室内機2の運転開始から所定時間が経過した後に、アダプタ側学習モデルの学習を開始する。その結果、アダプタ3は、なかなか室内機2が安定制御の状態に移行しなくても、運転開始から所定時間経過(例えば1時間)した場合にアダプタ側学習モデルの学習動作を開始できる。
尚、本実施例のアダプタ3は、室内機2の運転履歴データを中継装置6経由でサーバ装置5に送信する場合を例示したが、運転履歴データを、中継装置6を経由することなく、そのまま、サーバ装置5に送信しても良く、適宜変更可能である。
また、安定制御として現在の室内温度と設定温度との温度差が±0.5度以内の状態が所定時間以上継続したか否かを判定する処理を例示したが、温度差の閾値は±0.5度に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、この際の所定時間についても、適宜変更可能である。
また、アダプタ側学習部14Dのアダプタ側学習モデル生成間隔として1時間、クラウド側学習部33Aの学習モデル生成間隔として6日間を例示したが、これらに限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、クラウド側学習部33Aは、3週間分の運転履歴データを用いてクラウド側学習モデルを生成する場合を例示したが、3週間分の運転履歴データに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、説明の便宜上、学習モデルとして体感予測モデルを例示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。