JP2019023148A - 遷移金属水酸化物粒子の製造方法、リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法、リチウム二次電池用正極の製造方法、及びリチウム二次電池の製造方法、並びに遷移金属水酸化物粒子 - Google Patents

遷移金属水酸化物粒子の製造方法、リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法、リチウム二次電池用正極の製造方法、及びリチウム二次電池の製造方法、並びに遷移金属水酸化物粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】真球度が高く、かつ見かけ密度が高いリチウム過剰型活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いる遷移金属水酸化物粒子の製造方法、及びリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法の提供。リチウム遷移金属複合酸化物の製造時の取扱いに有利なリチウム遷移金属水酸化物粒子の提供。
【解決手段】α−NaFeO型結晶構造を有し、遷移金属(Me)としてMn、及びNiとCoの少なくとも一方を含み、モル比Li/Meが1を超え、モル比Mn/Meが0.5を超えるリチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いる遷移金属水酸化物粒子を、遷移金属炭酸塩粒子をアルカリ金属水酸化物水溶液中に投入することにより製造する方法。遷移金属水酸化物粒子は、粉体プレス密度が2.31g/cmを超え、粉体プレス密度に対するタップ密度の比が0.50以上である。リチウム化合物との混合、焼成により、リチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、遷移金属水酸化物粒子の製造方法、リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法、リチウム二次電池用正極の製造方法、及びリチウム二次電池の製造方法、並びに遷移金属水酸化物粒子に関する。
リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池の正極活物質を主たる用途としている。中でも、α−NaFeO型結晶構造を有する「LiMeO型」活物質(Meは遷移金属)として、LiCoOが広く実用化されている。LiCoOを正極活物質として用いた非水電解質二次電池は、放電容量が120〜130mAh/g程度であった。
充放電サイクル性能の点で優れる他の「LiMeO型」活物質も種々提案され、一部実用化されている。例えば、LiNi1/2Mn1/2やLiCo1/3Ni1/3Mn1/3であり、これらは150〜180mAh/gの放電容量を有する。
前記Meとして、地球資源として豊富なMnを用いることが望まれていた。しかし、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5を超える「LiMeO型」活物質は、充電に伴いα−NaFeO型からスピネル型へと構造変化が起こり、結晶構造が維持できず、充放電サイクル性能が著しく劣るという問題があった。
そこで、近年、上記のような「LiMeO型」活物質に対し、遷移金属(Me)に対するリチウムのモル比Li/Meが1を超え、マンガン(Mn)のモル比Mn/Meが0.5を超え、NiとCoの少なくとも一方を含み、充電をしてもα−NaFeO構造を維持できるリチウム遷移金属複合酸化物を活物質に用いることが提案された。このリチウム遷移金属複合酸化物がいわゆる「リチウム過剰型」活物質であり、200mAh/gを超える放電容量を有している。
しかし、リチウム過剰型活物質は、高い組成比を占めるMnがCoやNiに対して均一に固溶しにくく、固溶法を採用した場合は、均一な活物質を製造し難い。そこで、あらかじめMnとCo及び/又はNiを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合して焼成する「共沈法」を採用して製造することが知られている。
特許文献1には、共沈法を採用したリチウム過剰型活物質の製造方法について、「正極活物質内部を密にし、小粒子化を可能とし、活物質が電極プレス時にロールに付着するのを防止するために、共沈前駆体を水酸化物とすることが好ましい。また、錯化剤を用いた晶析反応等を用いることによって、より嵩密度の大きな前駆体を作製することもできる。その際、Li源と混合・焼成することでより高密度の活物質を得ることができるので電極面積あたりのエネルギー密度を向上させることができる。」(段落[0033])と記載されている。
一方、特許文献2には、共沈前駆体について、「「リチウム過剰型」活物質において、前駆体に炭酸塩を用いることで、この高率放電性能が改善できることもわかっている。しかしながら、炭酸塩前駆体を用いた活物質は、電極プレス加工時に活物質の割れが生じ易く、電極の高密度化を図ることが難しいことがわかった。一方、水酸化物前駆体を用いた活物質は、炭酸塩前駆体を用いた活物質と比較して、高率放電性能に劣ることがわかっている。」(段落[0013])と記載されている。
特許文献3には、「マンガン(Mn)を含む炭酸塩を層状化合物化することにより、前駆体を作製し、上記前駆体とリチウム源とを反応させることにより、リチウムおよびマンガンを含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を作製することを含む正極活物質の製造方法。」(請求項9)の発明が記載されている。
そして、段落[0031]〜[0038]には、「前駆体の作製工程」について、「炭酸塩を含む共沈粒子を作製する。」(段落[0031])、「次に、炭酸塩を主成分とする共沈粒子を層状化合物化する。具体的には、回収液を水洗後、水酸化物の溶液に共沈粒子を浸漬させた後、撹拌し、再度水洗し、濾過し、乾燥する。これにより、層状化合物としての前駆体粒子(前駆体粉末)が得られる。水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いることができる。前駆体粒子は、マンガン(Mn)と、必要に応じてマンガン(Mn)以外の遷移金属元素とを含む水酸化物を主成分として含んでいる。前駆体の一次粒子の平均長さは、0.01μm以上0.2μm以下であることが好ましい。前駆体の一次粒子の平均長さが0.01μm以上であると、二次粒子の大きい前駆体粒子が得られやすいため、活物質にした時の比表面積を小さくできる。一方、前駆体の一次粒子の平均長さが0.2μm以下であると、比表面積が高いため、リチウム化合物との反応性が高い上、焼結も促進できる。前駆体粒子の形状としては、球状が好ましい。球状であると、密度の高い前駆体粒子が得られやすく、それを用いて作製する活物質粒子も高密度化できる。」(段落[0038])と記載されている。
特許文献4には、「ニッケルを必須成分とし、さらにコバルト、マンガン、鉄、銅、亜鉛、クロムから選ばれる少なくとも一種の遷移金属とを含む遷移金属複合炭酸塩と水溶性リチウム化合物とを水系媒液中で常圧下で反応させた後、固液分離してリチウム・遷移金属複合酸化物前駆体組成物を得る第一の工程、該前駆体組成物を加熱焼成してリチウム・遷移金属複合酸化物を得る第二の工程を含むことを特徴とするリチウム・遷移金属複合酸化物の製造方法。」(請求項1)、及び「第一の工程において用いる水溶性リチウム化合物が水酸化リチウムであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム・遷移金属複合酸化物の製造方法。」(請求項6)についての発明が記載されている。
そして、段落[0016]には、「前記複合炭酸塩と水溶性リチウム化合物との反応は、前記複合炭酸塩に含まれる炭酸成分と、リチウム化合物に含まれるリチウムとが反応して炭酸リチウムを生成させ、一方で、ニッケル及び前記遷移金属が、ニッケルと前記遷移金属との複合水酸化物を生成させるものと推測され、前駆体組成物は、これら炭酸リチウムと複合水酸化物とを含む組成物であり、粉末X線回折を測定することにより確認することができる。」と記載され、段落[0021]、[0022]には、「複合炭酸塩の調製 ‥‥ニッケルとマンガンが1:1のモル比で含まれる複合炭酸塩(試料a)を得た。前駆体組成物の調製 ニッケル及びマンガンの合量換算で100gに相当する複合炭酸塩(試料a)を、純水に分散させて400ミリリットルのスラリーとした。このスラリーに攪拌しながら水酸化リチウム(一水塩)84gを室温下、常圧下で添加し1時間攪拌した後、沈澱物をろ過・乾燥して前駆体組成物(試料a’)を得た。」と記載されている。
特許文献5には、「Li1+x1−x(Mはニッケル、マンガン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、クロム、チタン、ジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の遷移金属、0≦x≦0.15)で表される層状岩塩型リチウム・遷移金属複合酸化物であって、酸性根の含有量が総量で多くとも1500ppm、アルカリ金属の含有量が総量で多くとも2000ppmであり、六方晶に帰属されるX線回折の(003)及び(104)のピーク強度比(I(003)/I(104))が少なくとも1.4であることを特徴とするリチウム・遷移金属複合酸化物。」(請求項1)、及び「ニッケル、マンガン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、クロム、チタン、ジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の遷移金属を含む遷移金属炭酸塩を塩基性水溶液でリーチングし、ろ別した後、純水で洗浄してリーチング処理遷移金属炭酸塩を得る第一の工程、該リーチング処理遷移金属炭酸塩と水溶性リチウム化合物とを水系媒液中で反応させた後、固液分離してリチウム・遷移金属複合酸化物前駆体組成物を得る第二の工程、該前駆体組成物を加熱焼成してリチウム・遷移金属複合酸化物を得る第三の工程を含むことを特徴とするリチウム・遷移金属複合酸化物の製造方法。」(請求項4)の発明が記載されている。
また、段落[0026]〜[0030]には、前記リチウム・遷移金属複合酸化物の製造方法の実施例2として、遷移金属炭酸塩を調製し、この炭酸塩のスラリー400ミリリットルに水酸化ナトリウムを添加してpHを10に調整し、1時間撹拌後、水洗してリーチング処理遷移金属炭酸塩を得る第一の工程、第一の工程で得た遷移金属炭酸塩100gを含む400ミリリットルのスラリーに、83gの水酸化リチウム(一水塩)を室温下、常圧下で添加し、1時間撹拌してリチウム・遷移金属複合酸化物前駆体組成物を得る第二の工程、前記前駆体組成物を900℃、10時間加熱焼成する第三の工程について記載されている。
特開2014−29828号公報 特開2015−26594号公報 特開2013−222502号公報 特開2006−117517号公報 特開2007−123255号公報
共沈前駆体を用いてリチウム過剰型活物質を製造する場合、上記のように、前記共沈前駆体として、水酸化物前駆体を用いる場合と炭酸塩前駆体を用いる場合とがある。
水酸化物前駆体を用いてリチウム過剰型活物質を製造すると、粒子径が小さく、かつ比表面積が適度に小さくなるため、特許文献1に記載されるように、かさ密度の高い活物質を得ることができる。しかし、水酸化物前駆体を用いて製造されたリチウム過剰型活物質は、活物質の真球度が低い。その理由は、Ni(OH)やCo(OH)の一次粒子の結晶形態は粒状であるのに対し、Mn(OH)の一次粒子の結晶形態は薄片状であるという特徴のためである。特に、前駆体の製造工程において、反応晶析法を用い、粒子を連続的に成長させた場合、上記特徴が顕著に現れる。このような特徴に由来して、リチウム過剰型活物質の製造に用いるための前駆体としての遷移金属水酸化物は、Mn/Me比率が高いものであることが必要であるため、一次粒子が薄片状となりやすい。そのため、そのような一次粒子から形成される二次粒子は、一次粒子間の隙間が多く、密度が低いものとなってしまう。したがって、これを用いて製造されるリチウム過剰型活物質も、見かけ密度が低いものとなる。これに対して、LiMeO型活物質の製造に用いるための前駆体としての遷移金属水酸化物は、Mn/Me比率が高くないため、上記特徴が一次粒子の形態に与える影響が小さく、粒状の一次粒子及び球状に近い二次粒子が形成される。したがって、これを用いて製造されるLiMeO型活物質は、見かけ密度が十分に高いものとなる。
一方、リチウム過剰型活物質の製造に用いるための前駆体として炭酸塩前駆体を用いると、Mn/Me比率が高くても、真球度の高い前駆体及び活物質を得ることができる。したがって、この活物質を用いると、均一で平滑度の高い正極合剤層を備えた正極板を製造することができる。特に、正極活物質を分散媒に分散させたペーストを正極集電体に塗布する工程を経て正極板を製造する製造方法が採用される場合に、この活物質を用いると、ダマが発生しにくく、均一なペーストが得られるため、均一で平滑度の高い正極合剤層を備えた正極板を製造することができる。しかし、炭酸塩前駆体由来のリチウム過剰型活物質を用いた正極板では、活物質の見かけ密度を上げることができず、体積当たりのエネルギー密度が低いため、優れた正極板とすることができなかった。
そして、水酸化物前駆体を用いて合成したリチウム過剰型活物質は、見かけ密度は高いものの、上述のように真球度が低く、この活物質を用いて均一なペーストを得ることが困難であるため、やはり、十分な体積当たりのエネルギー密度を得ることができなかった。
本発明は、真球度が高く、かつ見かけ密度が高いリチウム過剰型活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いる遷移金属水酸化物粒子の製造方法、及び前記リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法を提供することを目的とする。
また、前記リチウム遷移金属複合酸化物を用いるリチウム二次電池用正極の製造方法、及び前記正極を用いるリチウム二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
さらに、リチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いられる取扱いに有利な遷移金属水酸化物粒子を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するために、以下の手段を採用するものである。
(1)α−NaFeO型結晶構造を有し、遷移金属(Me)としてMn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含み、Liと遷移金属のモル比Li/Meが1を超え、Mnと遷移金属のモル比Mn/Meが0.5を超えるリチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いる遷移金属水酸化物粒子の製造方法であって、
前記遷移金属の炭酸塩粒子をアルカリ金属水酸化物水溶液に投入して水酸化処理を行うことを特徴とする。
(2)前記(1)の遷移金属水酸化物粒子の製造方法において、前記炭酸塩粒子は、錯化剤の存在下で前記遷移金属の水溶性金属塩を含む水溶液をアルカリ金属炭酸塩により中和して析出させ、析出後、さらに撹拌を続けたものであることを特徴とする。
(3)前記(1)又は(2)の遷移金属水酸化物粒子の製造方法において、前記炭酸塩粒子を、前記炭酸塩粒子に含まれる金属イオンのモル数に対するOH-イオンのモル数が1を超え12未満である前記アルカリ金属水酸化物水溶液に投入し、4時間以上反応させることにより水酸化処理を行うことを特徴とする。
(4)前記(1)〜(3)における遷移金属水酸化物粒子の製造方法において、前記水酸化処理後、アルカリ金属成分を低減または除去することを特徴とする。
(5)α−NaFeO型結晶構造を有し、遷移金属(Me)としてMn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含み、Liと遷移金属のモル比Li/Meが1を超え、Mnと遷移金属のモル比Mn/Meが0.5を超えるリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法であって、
前記(1)〜(4)のいずれかの遷移金属水酸化物粒子をリチウム化合物と混合し、焼成することを特徴とする。
(6)リチウム二次電池用正極の製造方法であって、前記(5)の方法により製造されたリチウム遷移金属複合酸化物を前正極活物質として含む正極を製造することを特徴とする。
(7)リチウム二次電池の製造方法であって、前記(6)の方法により製造されたリチウム二次電池用正極と、負極と、非水電解質を備える電池を製造することを特徴とする。
(8)α−NaFeO型結晶構造を有し、遷移金属(Me)としてMn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含み、Liと遷移金属のモル比Li/Meが1を超え、Mnと遷移金属のモル比Mn/Meが0.5を超えるリチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いられる前記遷移金属水酸化物粒子であって、粉体プレス密度が2.31g/cmを超え、粉体プレス密度に対するタップ密度の比が0.50以上であることを特徴とする。
本発明によれば、真球度が高く、かつ見かけ密度が高いリチウム過剰型活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いる遷移金属水酸化物粒子の製造方法、及び前記リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法を提供することができる。
また、体積当たりのエネルギー密度が高いリチウム二次電池用正極の製造方法、及び前記正極を用いるリチウム二次電池の製造方法を提供することができる。
さらに、リチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いられる取扱いに有利なリチウム遷移金属水酸化物粒子を提供することができる。
水酸化処理工程で得られた遷移金属水酸化物粒子の反応時間に応じたX線回折スペクトル 水酸化処理工程で得られた遷移金属水酸化物粒子のアルカリ量に応じたX線回折スペクトル 水酸化処理工程で得られた遷移金属水酸化物粒子のアルカリ種に応じたX線回折スペクトル 水酸化処理工程で得られた遷移金属水酸化物粒子の反応時間と比表面積の関係を示すグラフ 水酸化処理工程で得られた遷移金属水酸化物粒子のアルカリ量と比表面積の関係を示すグラフ 水酸化処理工程で得られた遷移金属水酸化物粒子のアルカリ量と粒子径の関係を示すグラフ 粉体プレス密度測定の説明図 水酸化処理工程で得られた遷移金属水酸化物粒子のアルカリ量と粉体プレス密度(CD)の関係を示すグラフ 水酸化処理工程で得られた遷移金属水酸化物粒子のアルカリ量と粉体プレス密度に対するタップ密度の比(TD/CD)の関係を示すグラフ
本発明に係るリチウム過剰型活物質は、α−NaFeO型結晶構造を有し、遷移金属(Me)としてMn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含み、Liと遷移金属のモル比Li/Meが1を超え、Mn/Meが0.5を超える組成を有するものである。
本発明においては、放電容量が大きいリチウム二次電池を得るために、遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meは、1.0より大きくかつ1.5以下とすることが好ましい。なかでも、放電容量が特に大きく、初期効率及び高率放電性能が優れたリチウム二次電池を得ることができるという観点から、前記Li/Meが1.2〜1.4のものを選択することがより好ましい。
また、リチウム二次電池の初期効率及び高率放電性能を向上させるために、遷移金属Meに対するMnのモル比Mn/Meは0.5を超えるものを用いる。前記Mn/Meは0.63以上が好ましく、0.65以上がより好ましい。また、前記Mn/Meは0.72以下が好ましく、0.71以下がより好ましい。いわゆる「LiMeO型」活物質では、モル比Mn/Meが0.5を超える場合、充電をするとスピネル型へと構造変化が起こり、α−NaFeO構造に帰属される構造を有さないものとなり、リチウム二次電池用活物質として問題があったのに対し、「リチウム過剰型」活物質では、モル比Mn/Meが0.5を超えるものを充電した場合でも、α−NaFeO構造を維持できるものであるから、モル比Mn/Meが0.5を超えるという構成は、リチウム過剰型活物質を特徴付けるものである。
また、放電容量が大きく、初期充放電効率が優れたリチウム二次電池を得ることができるという点で、遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meは、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましい。
遷移金属元素Meに対するNiのモル比Ni/Meは、0.1以上が好ましく、0.2以上が好ましい。また、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましい。
本発明者は、上記の結晶構造及び組成を有し、体積当たりのエネルギー密度が高いリチウム過剰型活物質を得るために、真球度の高い遷移金属炭酸塩粒子の使用を前提とし、その真球度を維持しつつ、見かけ密度を高くする前駆体の製造方法について、検討した。
そして、Mn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含む遷移金属の炭酸塩粒子をアルカリ金属水酸化物水溶液に投入して反応させることにより、真球度が高く、見かけ密度が高い遷移金属水酸化物粒子を製造し得ること、及びこの遷移金属水酸化物粒子をリチウム化合物と混合して焼成することにより、遷移金属炭酸塩粒子の粒子形状を維持したまま、見かけ密度が高いリチウム過剰型活物質を製造し得ることを見出した。以下、一実施態様に沿って各工程の手順を例示するが、本発明の製造方法は、以下の例示記載に限定されない。
(遷移金属の炭酸塩粒子の作製工程)
Mn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含む遷移金属の炭酸塩粒子を得る工程には、アルカリ性に保った反応槽に原料水溶液を滴下供給して遷移金属炭酸塩の共沈物(以下、「共沈炭酸塩粒子」という。)を得る反応晶析法を採用することができる。以下、詳述する。
前記原料水溶液は、Mn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含む遷移金属の水溶性金属塩をイオン交換水に溶解して、調製することができる。金属塩としては、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等が好ましい。
これとは別に、反応槽に溶存酸素が除去されたイオン交換水を用意する。本発明のリチウム遷移金属複合酸化物の組成範囲においては、Mn比率がCo,Ni比率に比べて高いことに由来して、MnとCo及び/又はNiが2価の状態で均一に分布した共沈物を作製することが容易ではないため、水溶液中の溶存酸素を除去することが重要である。溶存酸素を除去する方法としては、酸素を含まないガスをバブリングする方法が挙げられる。酸素を含まないガスとしては、限定されない。酸素を含まないガスとして、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素(CO)等を用いることができる。なかでも、二酸化炭素を採用すると、炭酸塩がより生成しやすい環境が与えられるため、好ましい。
反応槽中のアルカリ性を保つための中和剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムと炭酸リチウムの混合物、又は炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物を使用することができる。前記原料水溶液の滴下時に中和剤の滴下を適宜行うことにより、反応漕内のpHを制御することが好ましい。
反応槽中で共沈炭酸塩粒子を製造する工程におけるpHは、7.5〜11とすることが好ましい。タップ密度を大きくするためには、pHを9.4以下とすることにより、タップ密度を1.25g/cc以上とすることができ、高率放電性能を向上させることができるため、好ましい。さらに、pHを8.0以下とすることにより、粒子成長速度を促進できるので、原料水溶液滴下終了後の撹拌継続時間を短縮できるため、好ましい。
前記原料水溶液の滴下速度は、生成する共沈炭酸塩粒子の一次粒子内における元素分布の均一性に大きく影響を与える。特にMnは、CoやNiと均一な元素分布を形成しにくいので注意が必要である。好ましい滴下速度については、反応槽の大きさ、攪拌条件、pH、反応温度等にも影響されるが、30ml/min以下が好ましい。放電容量を向上させるためには、滴下速度は10ml/min以下がより好ましく、5ml/min以下が最も好ましい。
前記原料水溶液の滴下は、反応槽内に対流が生じるように撹拌しながら行うことが好ましい。特に、反応槽内に錯化剤が存在する場合、前記原料水溶液の滴下終了後、さらに攪拌を続けることにより、粒子の自転及び攪拌槽内における公転が促進され、この過程で、粒子同士が衝突しつつ、粒子が段階的に同心円球状に成長するため、好ましい。錯化剤としては、金属イオンと錯体を形成するものならば限定されない。例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、クエン酸等の有機酸、エチレンジアミン等のアミン化合物、エチレンジアミン四酢酸等のアミノカルボン酸又はその水溶性塩等が挙げられる。なかでも、収率や生産性の観点から、アンモニア又はアンモニウム塩が好ましい。共沈炭酸塩粒子は、反応槽内に原料水溶液が滴下された際の金属錯体形成反応、及び、前記金属錯体が反応槽内の滞留中に生じる沈殿形成反応という2段階での反応を経て形成される。したがって、前記原料水溶液の滴下終了後、さらに攪拌を続ける時間を適切に選択することにより、目的とする粒子径を備えた真球度の高い共沈炭酸塩粒子を得ることができる。
原料水溶液滴下終了後の好ましい攪拌継続時間については、反応槽の大きさ、攪拌条件、pH、反応温度等にも影響されるが、粒子を均一な球状粒子として成長させるために0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。また、粒子径が大きくなりすぎないようにすることで、リチウム過剰型活物質を正極に用いる電池の低SOC領域における出力性能を十分なものとできるため、好ましい。この観点から、前記攪拌継続時間は、30時間以下が好ましく、25時間以下がより好ましく、20時間以下が最も好ましい。
また、共沈炭酸塩粒子の粒度分布における累積体積が50%となる粒子径であるD50を調整するための好ましい攪拌継続時間は、制御するpHによって異なる。例えば、pHを7.5〜8.2に制御した場合には、撹拌継続時間は1〜15時間が好ましく、pHを8.3〜9.4に制御した場合には、撹拌継続時間は3〜20時間が好ましい。
共沈炭酸塩粒子は、吸引ろ過して取り出す際に、原料水溶液中に含まれる余分なイオン、例えば共沈炭酸塩粒子の原料に硫酸塩を用いた場合は、SO 2−イオンや不純物イオンなどを除去するために、イオン交換水で十分洗浄することが好ましい。
共沈炭酸塩粒子は、80℃〜100℃未満で、空気雰囲気中、常圧下で乾燥させることが好ましい。100℃以上にて乾燥を行うことで短時間でより多くの水分を除去できるが、80℃にて長時間かけて乾燥させることで、より優れた電極特性を示す活物質とすることができる。その理由は必ずしも明らかではないが、100℃以上で乾燥させることで表面が酸化され次工程での反応性が均一ではなくなるためでないかと推察される。なお、100℃にて乾燥を行って得られた共沈炭酸塩粒子は黒茶色を呈するが、80℃にて乾燥を行って得られた共沈炭酸塩粒子は肌色を呈するので、炭酸塩の色によって区別ができる。
(遷移金属水酸化物の作製工程)
前記の工程で得られた共沈炭酸塩粒子を水酸化処理して遷移金属水酸化物粒子を得る工程である。アルカリ金属水酸化物水溶液(以下、「水酸化アルカリ溶液」という。)を備えた処理槽に、前記共沈炭酸塩粒子を投入することにより水酸化処理を行う。ここで、水酸化アルカリ溶液は、前記投入に先立ってあらかじめ調整しておくことが重要である。前記共沈炭酸塩粒子を水に分散した後、アルカリ金属水酸化物を添加する方法を採用すると、水酸化処理が均一に進行しないため、好ましくない。前記水酸化処理の後、上澄み液をイオン交換水で二回以上デカンテーションし、吸引ろ過して水酸化処理された粒子を分離し、さらにイオン交換水等の、pHが7に近い水または水溶液を用いて残存アルカリ金属成分を低減又は除去する方法を採用することができる。残存アルカリ金属成分を低減又は除去することにより、前記遷移金属水酸化物粒子を用いて製造されたリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池の放電容量を十分なものとできるため、好ましい。
前記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を用いることができる。分離後の粒子は、空気雰囲気中、常圧下、60〜100℃にて乾燥し、遷移金属水酸化物粒子を得ることができる。
なお、遷移金属水酸化物粒子の生成は、X線回折スペクトルを評価することにより、確認することができる。
CuKα線を用いて得られたスペクトルにおいて、2θ=19°付近に現れるピークは、遷移金属水酸化物の(001)面に帰属される。2θ=32°付近のピークは遷移金属炭酸塩の(104)面に帰属される。したがって、2θ=19°付近にピークが現れることで、遷移金属水酸化物粒子の生成を確認することができる。本発明においては、32°付近のピーク強度(I)に対する19°付近のピーク強度(I)の比(I/I)が1を超えることが好ましい。
本発明に係る遷移金属水酸化物粒子は、水酸化処理における諸条件、すなわち、前記処理槽に投入した共沈炭酸塩粒子に含まれる遷移金属イオンのモル数に対する前記処理槽中の水酸化アルカリ溶液中のOH-イオンのモル数の比(以下、「アルカリ量」という。)、反応温度、及び反応時間を適宜選択することにより製造することができる。
アルカリ量は、1を超え、12未満であることが好ましい。
アルカリ量が1を超えると、炭酸塩の水酸化処理を十分に行うことができる。アルカリ量が12未満であると、水酸化アルカリ溶液中に炭酸塩を投入した際の反応初期において、表面から内部に向けての反応が穏やかに進み、体積減少した表面と未反応の内部との境界における応力が発生し難いので、表面の剥離や割れの発生を抑制することができると考えられる。したがって、剥離や割れによって生じた二次粒子の破片が混入することが抑制され、遷移金属水酸化物粒子のタップ密度の低下が起こり難いと考えられる。さらに、アルカリ量が高すぎないことによって、水酸化物からの副生成物である酸化物の生成を抑制することができる。
水酸化処理の反応温度は、反応時間を短縮できるので、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましい。また、80℃以下であると、急激な反応による二次粒子の割れや表面の剥離を抑制することができるので好ましい。反応温度は、共沈炭酸塩を投入する水酸化アルカリ水溶液の温度を反応時間にわたって維持することにより調整することができる。
上記の好ましいアルカリ量、反応温度の条件下で水酸化処理を行う場合、反応時間は、1時間以上が好ましく、4時間以上がより好ましい。また、反応時間が長くなりすぎないように24時間以下の反応時間とすることが好ましい。
(リチウム遷移金属複合酸化物の作製工程)
前記の工程で得られた遷移金属水酸化物粒子を前駆体とし、リチウム化合物と混合して焼成する工程である。
混合するリチウム化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム等を用いることができる。但し、リチウム化合物の量については、焼成中にリチウム化合物の一部が消失することを見込んで、目的組成に対して1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
混合工程において、微量のNb化合物を添加してもよい。Nb化合物を添加することにより、比表面積の調整を行うことができる。Nb化合物としては、酸化ニオブを用いることができる。
前記遷移金属水酸化物粒子と前記リチウム化合物の混合物を焼成する条件は、電気炉内で空気雰囲気中、常圧下としてもよい。
焼成温度は、活物質の可逆容量及び充放電サイクル時の容量低下に影響を与える。
焼成温度が例えば1000℃以上であると、得られたリチウム遷移金属複合酸化物が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向がある。このような分相が多く含まれすぎると、活物質として使用する際の可逆容量の減少を導き、充放電サイクル時の容量低下を起こすので好ましくない。このような材料では、X線回折スペクトルにおいて35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。したがって、第3工程における焼成温度は、酸素放出反応の影響する温度である概ね1000℃未満とすることが好ましい。酸素放出温度は活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いと前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているのでCo量は少ない方が好ましい。酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、前駆体とリチウム化合物を混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
また、上記のように、焼成温度は、活物質の酸素放出温度に関係するが、活物質から酸素が放出される焼成温度に至らずとも、900℃を超えると一次粒子が大きく成長することによる結晶化現象が見られる。これは、焼成後の活物質を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認できる。900℃を超える合成温度を経て合成した活物質は一次粒子がc軸方向にも成長しており、充放電反応中における活物質中のLiイオン移動に不利な状態となり、高率放電性能が低下する。一次粒子は、ab面の長さが250〜900nmの平板状であることがより好ましい。また、900℃を超える焼成温度では、活物質の細孔容積が減少し、比表面積が減少するので、初期効率と放電容量が低下する。
一方、焼成温度が低すぎると、結晶化が十分に進まず、電極特性が低下する傾向がある。本発明においては、焼成温度は少なくとも800℃以上とすることが好ましい。十分に結晶化させることにより、結晶粒界の抵抗を軽減し、円滑なリチウムイオン輸送を促すことができる。
また、活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することで750℃までの温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、それ以上の温度で合成することでほとんどひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが適度に成長した粒子とすることで良好な放電容量及び充放電サイクル性能を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつab面方向の一次粒子の大きさが250〜900nmに成長しているような合成温度(焼成温度)を採用することが好ましいことがわかった。
したがって、高率放電性能、初期効率、放電容量、及び充放電サイクル性能を維持、向上させるためにリチウム過剰型活物質として用いるリチウム遷移金属複合酸化物の焼成温度は800〜900℃とすることが好ましい。
なお、例えば特許文献3に示されるスピネル型活物質の製造においては、焼成温度として1000℃を採用している。焼成温度を上げると、活物質の見かけ密度も上がることが知られている。しかし、上述のとおり、リチウム過剰型活物質を製造するための好ましい焼成温度は800〜900℃であるから、高温焼成により活物質の見かけ密度を高めるという処方を採用することはできない。したがって、焼成前の遷移金属水酸化物粒子の見かけ密度を高めておく必要があり、本発明の水酸化処理におけるアルカリ量を調整して遷移金属水酸化物粒子の見かけ密度をあらかじめ向上させておくことが好ましい。
焼成後のペレットは、粉砕、分級工程を経て、高真球度の粒子形状を有し、所定の粒子径を有するリチウム遷移金属複合酸化物の粉体とされる。
以上の工程を経て製造されたリチウム遷移金属複合酸化物は、非水電解質二次電池の電極活物質に用いる場合、高出力特性を向上する目的で、粒子径が15μm以下であることが好ましい。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
非水電解質二次電池の電極は、前記の粉体を活物質とし、その他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等を混練して電極合剤とし、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒又は水に混合させた後、得られた混合液をアルミニウム箔等の集電体の上に塗布し、又は圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより製造することができる。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明が、以下の実施例のみに限定されないことはもちろんである。
<実施例1>
(遷移金属炭酸塩粒子の作製工程)
硫酸コバルト7水和物34.8g、硫酸ニッケル6水和物51.0g及び硫酸マンガン5水和物164.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水1Lに溶解させ、Co:Ni:Mnのモル比が19:12:68となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に1Lのイオン交換水を注ぎ、COガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCOを溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、撹拌モーターを備えたディスクタービン翼を用いて、反応槽内を600rpmの回転速度で撹拌しながら、前記硫酸水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下開始から終了までの間、1.0Mの炭酸ナトリウム及びアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に8.0(±0.05)、アンモニア濃度が0.5g/Lを保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の撹拌をさらに3時間継続した。撹拌の停止後、12時間以上静置した。
次に、吸引濾過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈物を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子の付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製乳鉢で数分間粉砕した後、65μmのメッシュ径を有する金属製ふるいでふるった。このようにして、遷移金属の共沈炭酸塩粒子を作製した。
(遷移金属水酸化物粒子の作製工程)
前記の工程によって得られた共沈炭酸塩粒子10.0gを量り取り、20℃の0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液200mL中に投入し(アルカリ量:1.16),20℃を維持したまま24時間静置した。24時間後、イオン交換水を用いて上澄み液を二度デカンテーションした後、吸引濾過装置を用いて水酸化物粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて残存ナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて空気雰囲気中、常圧下、80℃にて乾燥した。その後粒径を揃えるために、瑪瑙乳鉢で数分間粉砕した後65μmのメッシュ径を有する金属製ふるいでふるった。このようにして、共沈炭酸塩粒子を水酸化処理した遷移金属水酸化物粒子を作製した。
(リチウム遷移金属複合酸化物の作製工程)
前記の工程によって得られた遷移金属水酸化物粒子3.0gに、水酸化リチウム2.7gを加え瑪瑙乳鉢を用いて十分混合し、Li:Me(Co,Ni,Mn)のモル比が1.3:1.0である混合粉体を調整した。ペレット成型機を用いて成型し、得られたペレットをアルミナ製の焼成皿に載置し箱型電気炉に設置し空気雰囲気中、常圧下、室温から850℃、まで1.5℃/minで昇温し、850℃で4時間焼成した。焼成後自然冷却し炉の温度が100℃以下となっていることを確認してからペレットを取り出し、粒径を揃えるため瑪瑙乳鉢で数分間粉砕し、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
<比較例1>
比較例1として、共沈炭酸塩粒子の水酸化処理を行うことなく、水酸化リチウムと混合して焼成することにより、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
<実施例2〜4>
実施例2〜4として、共沈炭酸塩粒子を、それぞれ40℃、60℃、80℃に維持した水酸化ナトリウム水溶液に投入する以外は実施例1と同様にして、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
<実施例5〜8>
実施例5〜8として、共沈炭酸塩粒子をアルカリ量が2.32の水酸化ナトリウム水溶液に投入する以外は、それぞれ実施例1〜4と同様にして、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
<実施例9〜12>
実施例9〜12として、共沈炭酸塩粒子をアルカリ量が6.97の水酸化ナトリウム水溶液に投入する以外は、それぞれ実施例1〜4と同様にして、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
<実施例13〜16>
実施例13〜16として、共沈炭酸塩粒子をアルカリ量が11.6の水酸化ナトリウム水溶液に投入する以外は、それぞれ実施例1〜4と同様にして、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
<実施例17〜20>
実施例17〜20として、共沈炭酸塩粒子をアルカリ量が16.3の水酸化ナトリウム水溶液に投入する以外は、それぞれ実施例1〜4と同様にして、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
<比較例2〜5>
比較例2〜5として、共沈炭酸塩粒子をアルカリ量0.23の水酸化ナトリウム水溶液に投入する以外は、それぞれ実施例1〜4と同様にして、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
<実施例21〜27>
実施例21〜27として、共沈炭酸塩粒子を水酸化ナトリウム水溶液に投入後、静置する時間をそれぞれ1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、32時間、及び48時間とする以外は実施例11と同様にして、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
<実施例28、29、比較例6>
実施例28、29、比較例6として、共沈炭酸塩粒子を投入するアルカリ水溶液のアルカリ種を、水酸化ナトリウムからそれぞれ水酸化カリウム、水酸化リチウム、及びアンモニアに変更する以外は、実施例11と同様にして、リチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
以上の実施例1〜29、比較例1〜6の遷移金属水酸化物の作製工程における製造条件を以下の表1に示す。
(水酸化処理条件の評価)
遷移金属水酸化物の作製工程における水酸化処理の反応時間と反応の進行について、アルカリ量が6.97、アルカリ種がNaOH、反応温度が60℃で共通し、反応時間がそれぞれ1、2、4、8、16、及び24時間である実施例21〜25、及び実施例11で作製した遷移金属水酸化物粒子について、粉末X線回折測定による評価を行った。その結果を図1に示す。
X線回折測定は、リガク社製MiniFlex IIを用いて、CuKα線を光源とし管電流15mA、加速電圧30kV、測定角度範囲5°〜85°、サンプリング幅0.01deg、掃引速度4°min−1、発散スリット幅0.625deg、受光スリット幅は開放、散乱スリット8.0mmの条件で測定した。
回折角2θが19°付近のピークは水酸化物に由来し、回折角2θが32℃付近のピークは炭酸塩に由来する。したがって、図1より1時間の反応時間で水酸化物が生成し始め、4時間以上の反応時間で炭酸塩がほぼ水酸化物に変換され、24時間の反応時間で水酸化処理が完了していることがわかる。
次に、水酸化処理におけるアルカリ量(処理槽に投入した共沈炭酸塩粒子に含まれる遷移金属イオンのモル数に対する水酸化アルカリ溶液中のOH-イオンのモル数の比)と反応の進行について、反応時間が24時間、反応温度が60℃の共通の処理条件下、アルカリ量がそれぞれ0.23、1.16、2.32、6.97、11.6、及び16.3である比較例4、実施例3、実施例7、実施例11、実施例15、及び実施例19で作製した遷移金属水酸化物粒子について、同じく粉末X線回折測定による評価を行った。その結果を図2に示す。アルカリ量が1を下回っていると、24時間後でも2θが19°付近のピークが現れず、水酸化反応が起こっていないが、1を超えると、水酸化物が生成していることがわかる。
また、水酸化処理に用いるアルカリ種について、アルカリ量が6.97、反応時間が24時間、反応温度が60℃と共通する条件下で、それぞれ水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、及びアンモニアを用いる実施例11、28、29、及び比較例6で作製した遷移金属水酸化物粒子について、粉末X線回折測定による評価を行った。その結果を第3図に示す。アルカリ種が弱アルカリ性であるアンモニアでは、水酸化物が生成していないが、強アルカリである水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムの使用によって、炭酸塩が水酸化物に転換されていることがわかる。
なお、特許文献4、5には、遷移金属炭酸塩スラリーに水酸化リチウムを添加して炭酸リチウムと遷移金属水酸化物とを含む組成物を得る工程について記載されているが、本発明とは、遷移金属水酸化物を得る工程が異なる。また、この組成物はリチウム成分を含むことを必須とするものである。
また、特許文献5には、遷移金属炭酸塩スラリーに水酸化ナトリウムを添加してリーチングする工程が記載されているが、この工程も、本発明の遷移金属水酸化物を得る工程と異なるし、リーチング処理が炭酸塩を水酸化物に変換することを目的とするものでもないから、やはり、本発明に係る遷移金属水酸化物粒子の製造方法と相違する。
(遷移金属水酸化物粒子の物性評価)
水酸化処理によって得られた遷移金属水酸化物粒子の比表面積、及び粒子径に対して、水酸化処理の反応時間、反応温度、アルカリ量が与える影響について、評価した。以下の評価において、アルカリ種は水酸化ナトリウムで共通である。
比表面積は、ユアサアイオニクス社製比表面積測定装置(商品名:MONOSORB)を用いて、一点法により、活物質に対する窒素吸着量(m)を求めた。得られた吸着量(m)を粒子の質量(g)で除した値をBET比表面積として評価した。測定に当たって、液体窒素を用いた冷却によるガス吸着を行った。また、冷却前に120℃、15分の予備加熱を行った。また、測定試料の投入量は、0.5g±0.01gとした。
また、粒子径は、測定装置を日機装社製Microtrac(型番:MT3000)、測定制御ソフトにMicrotrac DHS for Win98(MT3000)使用したD50の値により評価した。
以下、表2、及び図4にアルカリ量が6.97、反応温度が60℃の場合の反応時間と比表面積の関係を示し、表3、及び図5に、反応時間が24時間で、反応温度40℃と80℃の場合のアルカリ量と比表面積との関係を示す。

また、表4、図5に反応温度が60℃、反応時間が24時間である場合のアルカリ量とD50との関係を示す。
以上によると、遷移金属水酸化物粒子の比表面積は、未処理品である炭化物粒子に対して60℃、80℃の反応温度では、最大60%程度も低下し、反応温度40℃でも、最大50%程度低下しているが、粒子径は、最大でも約7%程度しか低下していないことがわかる。したがって、第2工程における水酸化処理は、共沈炭酸塩粒子の形状である高い真球度をほぼ保ったまま、比表面積を減らす、すなわち、空間体積を減らすことにより、見かけ密度の高い水酸化物粒子を生成する効果を奏するものと推察される。
また、表2、図4からは、水酸化処理により比表面積を減少する効果は、1時間以上の処理で得られ、24時間でほぼ飽和することがわかる。さらに、表3、4、及び図5、6からは、アルカリ量が1を超える処理で上記の効果が得られ、12未満で十分な効果が得られることがわかる。
次に、遷移金属水酸化物粒子の物性を、タップ密度(Tap Density)、及び粉体プレス密度(Compression Density)を用いて評価した。
タップ密度は、小西製作所製のタップ密度測定器(RHK型)を用い、10gの粉体を10mlのメスシリンダーに入れ、5cmの高さからタッピングを掛けて測定し,かさ密度の変化がタップ数10回当たり5%以下になるサンプルの全高の変化が無くなるまでタップした後、全高と直径から粉体体積を算出し、質量を粉体体積で除して測定した。
粉体プレス密度は、図7に示すように、0.3gの粉体を同様のサイズの円柱状の容器に収納し、5.3MPa(3t/cm)の圧力を印加した後のサンプルの全高と直径から粉体体積を算出し、質量を粉体体積で除して測定した。
以下の表5に、アルカリ種が水酸化ナトリウム、反応時間が24時間の共通の条件下で、アルカリ量が0.23〜16.3(10.0gの共沈炭酸塩粒子を投入する水酸化ナトリウム溶液が0.1〜7M)であり、反応温度が20〜80℃である実施例1〜20、比較例2〜5の製法により作製された遷移金属水酸化物粒子の粉体プレス密度(CD)、及び粉体プレス密度に対するタップ密度の比(TD/CD)の値を、水酸化処理をしない比較例1の製法により作製された共沈炭酸塩粒子、及び共沈法によって作製された従来の共沈水酸化物粒子(遷移金属のモル比は実施例1と共通)のCD及びTD/CDとともに示す。また、図8にアルカリ量とCDの関係を、図9にアルカリ量とTD/CDの関係を示す。
上記の表5及び図8からは、第2工程で得られる遷移金属水酸化物粒子は、アルカリ量が1を超える場合、第1工程で得られる共沈炭酸塩粒子の2.31より高い粉体プレス密度が得られることがわかる。したがって、これを前駆体とし、第3工程でリチウム化合物と混合して焼成することにより得られるリチウム遷移金属複合酸化物においても、粉体プレス密度を高めることができることで、体積当たり高容量の活物質が得られると推測される。
また、表5及び図9からは、第2工程で得られる遷移金属水酸化物粒子は、粉体プレス密度に対するタップ密度の比(TD/CD)が、共沈法によって作製された従来の共沈水酸化物粒子の0.30より大きい0.50以上であることがわかる。粉体プレス密度は圧力を加えて詰めたときの密度の指標であり、タップ密度は自然に詰まる密度の指標であるから、粉体プレス密度に対するタップ密度の比(TD/CD)が大きいということは、圧力を加えなくても詰まりやすいことを示している。
本発明の遷移金属水酸化物粒子は、それ自体がリチウム遷移金属複合酸化物の前駆体として、市場に流通する製品であり、圧力を加えない状態で運搬、保管されるから、圧力を加えなくても詰まりやすいことによって、運搬時や保管時の嵩張りが低減できる。したがって、本発明により取扱いに有利なリチウム遷移金属複合酸化物の前駆体を提供することができる。
本発明により、真球度が高く、かつ見かけ密度が高いリチウム過剰型活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いる遷移金属水酸化物粒子の製造方法、及び前記リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法を提供することができるとともに、体積当たりのエネルギー密度の高いリチウム二次電池用正極の製造方法、及びリチウム二次電池の製造方法を提供することができる。
また、運搬時や保管時の嵩張りが低減した前記リチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いる遷移金属水酸化物粒子を提供することができる。
したがって、本発明はリチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池の製造に好適に利用し得る。

Claims (8)

  1. α−NaFeO型結晶構造を有し、遷移金属(Me)としてMn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含み、Liと遷移金属のモル比Li/Meが1を超え、Mnと遷移金属のモル比Mn/Meが0.5を超えるリチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いる遷移金属水酸化物粒子の製造方法であって、
    前記遷移金属の炭酸塩粒子をアルカリ金属水酸化物水溶液に投入して水酸化処理を行うことを特徴とする遷移金属水酸化物粒子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の遷移金属水酸化物粒子の製造方法において、前記炭酸塩粒子は、錯化剤の存在下で前記遷移金属の水溶性金属塩を含む水溶液を撹拌しながらアルカリ金属炭酸塩により中和して析出させ、析出後、さらに撹拌を続けて得たものであることを特徴とする遷移金属水酸化物粒子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の遷移金属水酸化物粒子の製造方法において、前記炭酸塩粒子を、前記炭酸塩粒子に含まれる金属イオンのモル数に対するOH-イオンのモル数が1を超え12未満である前記アルカリ金属水酸化物水溶液に投入し、4時間以上反応させることにより水酸化処理を行うことを特徴とする遷移金属水酸化物粒子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の遷移金属水酸化物粒子の製造方法において、前記水酸化処理後、アルカリ金属成分を低減または除去することを特徴とする遷移金属水酸化物粒子の製造方法。
  5. α−NaFeO型結晶構造を有し、遷移金属(Me)としてMn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含み、Liと遷移金属のモル比Li/Meが1を超え、Mnと遷移金属のモル比Mn/Meが0.5を超えるリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法であって、
    請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された遷移金属水酸化物粒子をリチウム化合物と混合し、焼成することを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
  6. リチウム二次電池用正極の製造方法であって、
    請求項5に記載の方法により製造されたリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として含む正極を製造することを特徴とするリチウム二次電池用正極の製造方法。
  7. リチウム二次電池の製造方法であって、
    請求項6に記載の方法により製造されたリチウム二次電池用正極と、負極と、非水電解質を備えるリチウム二次電池を製造することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  8. α−NaFeO型結晶構造を有し、遷移金属(Me)としてMn、並びにNi及びCoの少なくとも一方を含み、Liと遷移金属のモル比Li/Meが1を超え、Mnと遷移金属のモル比Mn/Meが0.5を超えるリチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いられる前記遷移金属水酸化物粒子であって、粉体プレス密度が2.31g/cmを超え、粉体プレス密度に対するタップ密度の比が0.50以上であることを特徴とする遷移金属水酸化物粒子。

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