JP6834363B2 - 非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
そして、実施例においては、Li1.13Co0.11Ni0.16Mn0.60O2をはじめ、種々の組成の活物質が示されている(段落[0086]、[0119]表2参照)。
LiyNiaCobMncMdOx ・・・(1)
[上記式(1)中、元素MはAl、Si、Zr、Ti、Fe、Mg、Nb、Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0<y≦1.3、0<a≦0.3、0<b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、1.9≦x≦2.1。]」(請求項1)が記載されている。
そして、実施例においては、組成がLi1.2Ni0.17Co0.08Mn0.55O2であるリチウム化合物(正極活物質)とV2O5とを混合し、370℃〜750℃で熱処理して、Li及びVの複合酸化物と前記リチウム化合物とが混在した活物質を得たことが示されている(段落[0054]〜[0056]、[0062]〜[0065]、[0072]表1参照)。
Li1+xNiyCozMn(1−y−z)WαMβO2
(式(1)中のx,y,z,αおよびβは、0≦x≦0.2、0.1<y<0.9、0.1<z<0.4、0.0005≦α≦0.01、0≦β≦0.01を全て満足する実数であり、Mは、存在しないか或いはZr、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFから成る群から選択される1種又は2種以上の元素である。)
で示される層状結晶構造の化合物である、請求項1・・・に記載のリチウム二次電池。」(請求項6)が記載されている。
そして、段落[0073]〜[0082]、[0089]表1には、Ni:Co:Mnのモル比が0.33:0.33:0.33の原料100モル%に対してW添加量が0〜0.7モル%になるように調節して得られた複合水酸化物粒子と、炭酸リチウムとを、Li/Meが約1.15となるように混合して焼成することにより、ミラー指数(003)の回折面により得られるピークの半値幅Aと、ミラー指数(104)の回折面により得られるピークの半値幅Bとの比(A/B)が0.38〜1.12の範囲にあるリチウム遷移金属複合酸化物よりなる、中空構造又は中実構造を備える活物質粒子を製造したことが記載されている。
LiyNiaCobMncMdOx ・・・(1)
[上記式(1)中、元素MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0<y≦1.3、0<a≦0.3、0<b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、1.9≦x≦2.1である。]
FWHM003/FWHM104≦0.57 ・・・(2)」(請求項1)が記載され、[0019]には、「また、上記半値幅について、より好ましくは2θ=18.6°±1°における回折ピーク(003)面のピーク半値幅FWHM003が0.13以下であり、2θ=36.8°±1°における回折ピーク(010)面のピーク半値幅FWHM010が0.15以下であり、更に2θ=44.5°±1°における回折ピーク(104)面のピーク半値幅FWHM104が0.20以下であり、これらの範囲を満たすと高い放電容量が得られる。」と記載されている。
そして、段落[0050]〜[0053]、[0059]〜[0062]、[0064]表1には、Li1.2Ni0.17Co0.07Mn0.56O2等の組成を有し、FWHM003/FWHM104が0.449〜0.570であるリチウム化合物(活物質)が記載されている。
X(LiMO2)・(1−X)Li2M’O3(ここで、0<X<1、Mは、少なくともNiを含む1種以上の平均原子価3価の金属を示し、M’は、少なくともMnを含む1種以上の平均原子価4価の金属を示す。)で表される組成を有し、
X線回折測定における21°付近の超格子に由来する回折ピーク強度をI(21°)、(003)面、(101)面、及び(104)面の結晶面回折強度をそれぞれI(003)、I(101)、I(104)とした時、0<I(21°)/I(003)≦0.06、2.0≦I(003)/I(104)≦5.0、及び0.4≦I(101)/I(104)≦0.5を同時に満たす、複合酸化物。」(請求項1)、「前記(003)面及び(104)面の半価幅をそれぞれH(003)、H(104)とした時、0.05°≦H(003)≦0.2°、0.25°≦H(104)≦0.4°を同時に満たす、請求項1記載の複合酸化物。」(請求項2)が記載されている。
そして、段落[0080]〜[0089]表1、段落[0096]表2には、Li1.2Ni0.235Co0.04Mn0.525O2等の組成を有し、(003)面のピークの半値幅が0.115°〜0.226°、(104)面のピークの半値幅が0.228°〜0.422°である複合酸化物が記載されている。
また、段落[0052]には、「結晶化の度合いを示すものとして先に述べたX線回折ピークの半値幅がある。本発明において、低温特性を改善するためには、空間群P3112に帰属されるX線回折パターンにおいて(003)面の回折ピークの半値幅を0.30゜以下とし、かつ、(114)面の回折ピークの半値幅を0.50゜以下とすることが必要である。(003)面の回折ピークの半値幅は0.17°〜0.30゜が好ましく、(114)面の回折ピークの半値幅は0.35°〜0.50゜が好ましい。」と記載されている。
そして、段落[0074]〜[0092]、[0102]表1、[0103]表2には、Li1.09Na0.01Co0.1Ni0.25Mn0.55O2等の組成を有し、(003)面の回折ピークの半値幅が0.17〜0.32°、(114)面の回折ピークの半値幅が0.35〜0.54°である複合酸化物が記載されている。
また、段落[0031]には、「本発明に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、X線回折パターンを元に空間群R3−mを結晶構造モデルに用いたときに(003)面に帰属される回折ピークの半値幅を0.202°〜0.265°の範囲内とすることが好ましい。また、(104)面に帰属される回折ピークの半値幅を0.265°〜0.285°の範囲内とすることが好ましい。こうすることにより、正極活物質の初期効率を高めることが可能となる。」と記載されている。
そして、実施例1〜5には、出発物質のリチウム遷移金属複合酸化物Li1.18Co0.10Ni0.17Mn0.55O2を、硫酸セリウムを含む酸溶液に投入した後、吸引ろ過して乾燥し、さらに熱処理することで、Ceを含み、(104)面に帰属される回折ピークの半値幅FWHM(104)が0.269°〜0.273°であるリチウム遷移金属複合酸化物を得ることが示されている(段落[0079]〜[0082]、[0097]表1)。
そして、実施例においては、Ni:Co:Mnのモル比が2:2:6となるように製造された遷移金属混合溶液のpHを11に維持して遷移金属水酸化物を沈殿させて前駆体を得て、これにLiCO3、LiF及びWCl4を種々の量混合し、750℃又は700℃で焼成してリチウム金属複合酸化物を得ることが示されている(段落[0063]〜[0065]、[0074]〜[0086]、[0087]表1、[0088]表2参照)。
しかし、「リチウム過剰型」の活物質には、これを用いた非水電解質二次電池の初期充放電効率(以下「初期効率」という。)が低いという課題があった。
本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」という。)に係る非水電解質二次電池用正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質である。
前記リチウム遷移金属複合酸化物の組成は、高い放電容量が得られる点から、Mn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含む遷移金属元素Me、並びに、Liを含有し、Li1+αMe1−αO2(α>0)と表記することができる、いわゆる「リチウム過剰型」である。
遷移金属元素Meに対するMnのモル比Mn/Meは0.5より大きい。0.51以上0.7未満が好ましく、0.51〜0.60がより好ましい。この範囲であると、初期効率の高い非水電解質二次電池を得ることができる。
リチウム遷移金属複合酸化物に含有されるCoは、初期効率を向上させる効果があるが、Coが多すぎると、前駆体のタップ密度が低くなり、ピーク微分細孔容積が大きくなる。また、希少資源であることからコスト高である。したがって、遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meは0.20以下とすることが好ましく、0でもよい。
遷移金属元素Meに対するNiのモル比Ni/Meは0.2〜0.5が好ましく、0.25〜0.4がより好ましい。この範囲であると、水酸化物前駆体のタップ密度を向上させることが可能であり、体積当たりの放電容量が向上する。
上記のような組成のリチウム遷移金属複合酸化物を用いることによって、初期効率の高い非水電解質二次電池を得ることができる。
Ru、Te、Ce、Ta又はS元素の含有量は特に限定されないが、含有量の増加による初期効率の向上効果と、原料コストの上昇とを考慮して、Ni、Co及びMnの合計量に対して1〜10mol%とすることが好ましく、1〜7mol%とすることがより好ましい。
なお、2θ=18.6°±1°の回折ピークは、空間群P3112及びR3−mではミラー指数hklにおける(003)面に指数付けされ、2θ=44.1°±1°の回折ピークは、空間群P3112では(114)面、空間群R3−mでは(104)面に指数付けされる。従って、空間群P3112に帰属されるものについては、本明細書において(104)と記載された部分は(114)と読み替えるものとする。
FWHM(003)/FWHM(104)の下限は特に限定されないが、結晶粒界と電解液との接触面積の増加によるMnの溶出を抑制する面からは、0.35以上であることが好ましい。
FWHM(104)の上限は特に限定されないが、Liイオンの輸送効率の面からは、1.00°以下とすることが好ましく、0.96°以下とすることがより好ましく、0.65°以下とすることが特に好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物の半値幅は、エックス線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いて測定を行う。具体的には、次の条件及び手順に沿って行う。
線源はCuKα、加速電圧及び電流はそれぞれ30kV及び15mAとする。サンプリング幅は0.01deg、走査時間は14分(スキャンスピードは5.0)、発散スリット幅は0.625deg、受光スリット幅は開放、散乱スリットは8.0mmとする。得られたエックス線回折データについて、Kα2に由来するピークを除去せず、前記エックス線回折装置の付属ソフトである「PDXL」を用いて、空間群R3−mでは(003)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=18.6±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(003)、及び、(104)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=44±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(104)を決定する。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子の全細孔容積を0.05cm3/g以下とすることにより、体積当たりの放電容量を高くすることができる。
本明細書において、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の全細孔容積及びピーク微分細孔容積は、以下の方法により測定する。被測定試料の粉体を1.00gを測定用のサンプル管に入れ、120℃にて12h真空乾燥することで、測定試料中の水分を十分に除去する。次に、液体窒素を用いた窒素ガス吸着法により、相対圧力P/P0(P0=約770mmHg)が0から1の範囲内で吸着側および脱離側の等温線を測定する。そして、脱離側の等温線を用いてBJH法により計算することにより細孔分布を評価し、ピーク微分細孔容積、及び全細孔容積を求める。
本明細書において、リチウム遷移金属複合酸化物のタップ密度は、以下の方法により測定する。10−2dm3のメスシリンダーに被測定試料の粉体を2g±0.2g投入し、REI ELECTRIC CO.LTD.社製のタッピング装置を用いて、300回カウント後の被測定試料の体積を投入した質量で除した値を採用する。
本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属水酸化物前駆体とリチウム化合物(Li化合物)を混合した後、焼成する方法で好適に製造することができる。リチウム遷移金属複合酸化物がRu、Te、Ce、Ta又はS元素を含む場合には、該各元素の単体又は化合物を、前記共沈前駆体及びリチウム化合物と混合することが好ましい。
本明細書において、水酸化物前駆体のタップ密度は、リチウム遷移金属複合酸化物のタップ密度と同様の方法で測定する。
また、水酸化物前駆体中の遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meは、0.2以下が好ましく、0でもよい。モル比Ni/Meは0.2〜0.5が好ましい。この範囲であると、水酸化物前駆体のタップ密度を向上させることが可能である。
錯化剤としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、フッ化アンモニウム等を用いることができ、アンモニアが好ましい。錯化剤を用いた晶析反応によって、よりタップ密度の大きな前駆体を作製することができる。錯化剤と共に還元剤を用いることが好ましい。還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等を用いることができ、ヒドラジンが好ましい。ここで、アルカリ金属水酸化物(中和剤)には、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムを使用することができる。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O2型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向がある。このような分相が多く含まれすぎると、活物質の可逆容量の減少を導くので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが好ましい。活物質の酸素放出温度は、本実施形態に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど水酸化物前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、水酸化物前駆体とリチウム化合物を混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を傷めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
また、発明者らは、本実施形態に係る活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することで750℃までの温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、それ以上の温度で合成することでほとんどひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本実施形態に係る活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として形成して充放電を行うことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。即ち、焼成温度を上記した活物質の酸素放出温度にできるだけ近付けるように選択することにより、はじめて、可逆容量が顕著に大きい活物質を得ることができる。
以上のようにして、本実施形態の正極活物質として用いられるリチウム遷移金属複合酸化物は製造される。
この方法で製造されたリチウム遷移金属複合酸化物は、α−NaFeO2型結晶構造を有し、前記リチウム遷移金属複合酸化物を構成するLiと遷移金属(Me)のモル比(Li/Me)が1より大きく、前記遷移金属(Me)がMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、前記遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meが0.5より大きい。
負極活物質としては、限定されない。リチウムイオンを析出あるいは吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]O4に代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn系などの合金系材料リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
以上、正極及び負極の主要構成成分である正極活物質及び負極活物質について詳述したが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
正極及び負極は、前記主要構成成分(正極においては正極活物質、負極においては負極材料)、およびその他の材料を混練し合剤とし、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒又は水に混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、限定されるものではなく、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質二次電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
本実施形態に係る非水電解質二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。
図1に、本発明の一態様に係る非水電解質二次電池である矩形状の非水電解質二次電池1の外観斜視図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質二次電池1は、電極群2が電池容器3に収納されている。電極群2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。
本実施形態は、上記の非水電解質二次電池を複数個集合した蓄電装置としても実現することができる。本発明の一態様に係る蓄電装置を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質二次電池1を備えている。前記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
<水酸化物前駆体の作製工程>
反応晶析法を用いて、次の手順で水酸化物前駆体を作製した。まず、硫酸ニッケル6水和物315.4g、硫酸コバルト7水和物168.6g、及び硫酸マンガン5水和物530.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が30:15:55となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。次に、5Lの反応槽に2Lのイオン交換水を注ぎ、窒素ガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中に含まれる酸素を除去した。反応槽の温度は50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を1500rpmの回転速度で攪拌しながら、反応層内に対流が十分おこるように設定した。前記硫酸塩原液を1.3ml/minの速度で反応槽に50hr滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、0.6Mのアンモニア、及び0.3Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に9.55(±0.1)を保つように制御すると共に、反応液の一部をオーバーフローにより排出することにより、反応液の総量が常に2Lを超えないように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに1h継続した。攪拌の停止後、室温で12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した水酸化物前駆体粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、水酸化物前駆体を作製した。
前記水酸化物前駆体2.168gに、水酸化リチウム1水和物1.278gと、二酸化ルテニウム0.112gとを加え、瑪瑙製自動乳鉢を用いてよく混合し、Li:(Ni,Co,Mn,Ru)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Ruのモル比が100:3である混合粉体を調製した。ペレット成型機を用いて、6MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。ペレット成型に供した混合粉体の量は、想定する最終生成物の質量が2.5gとなるように換算して決定した。前記ペレット1個を全長約100mmのアルミナ製ボートに載置し、箱型電気炉(型番:AMF20)に設置し、空気雰囲気中、常圧下、常温から800℃まで10時間かけて昇温し、800℃で4h焼成した。前記箱型電気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下するが、その後の降温速度はやや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、実施例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.294gと亜テルル酸リチウム0.158gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Teのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.144gに、水酸化リチウム1水和物1.264gと硫酸セリウム5水和物0.335gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Ce)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Ceのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.120gに、水酸化リチウム1水和物1.249gと五酸化タンタル0.182gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Ta)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Taのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.294gと硫黄0.053gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Sのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.315gに、水酸化リチウム1水和物1.214gを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が110:100で、添加元素を含まない混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体の作製工程において、硫酸ニッケル6水和物262.8g、硫酸コバルト7水和物224.9g、及び硫酸マンガン5水和物530.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が25:20:55となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、前記硫酸塩水溶液の滴下開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、1.5Mのアンモニア、及び0.2Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に9.8(±0.1)を保つように制御したこと、焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.315gに、水酸化リチウム1水和物1.214gを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が110:100で、添加元素含まない混合粉体を調製し、焼成温度を900℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体の作製工程において、硫酸ニッケル6水和物315.4g、硫酸コバルト7水和物112.4g、及び硫酸マンガン5水和物578.6gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が30:10:60となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製したこと、焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.297gを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が120:100で、添加元素含まない混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体の作製工程において、硫酸ニッケル6水和物420.6g、硫酸コバルト7水和物56.2g、及び硫酸マンガン5水和物530.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が40:5:55となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、前記硫酸塩水溶液の滴下開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、1.5Mのアンモニア、及び0.5Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に9.7(±0.1)を保つように制御したこと、焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.315gに、水酸化リチウム1水和物1.214gを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が110:100で、添加元素含まない混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体の作製工程において、硫酸ニッケル6水和物473.1g、及び硫酸マンガン5水和物530.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が45:0:55となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、前記硫酸塩水溶液の滴下開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、1.25Mのアンモニア、及び0.4Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に10.2(±0.1)を保つように制御したこと、焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.283gに、水酸化リチウム1水和物1.209gと二酸化ルテニウム0.112gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Ru)のモル比が110:100、(Ni,Co,Mn):Ruのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.294gを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が120:100で、添加元素を含まない混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.227gに、水酸化リチウム1水和物1.312gと酸化ベリリウム0.021gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Be)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Beのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.219gとヨウ化リチウム0.379gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Iのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.208gに、水酸化リチウム1水和物1.301gと炭酸カリウム0.057gを加え、Li:(Ni,Co,Mn,K)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Kのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.207gに、水酸化リチウム1水和物1.300gと水酸化カルシウム0.063gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Ca)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Caのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.103gに、水酸化リチウム1水和物1.239gと三酸化二ビスマス0.192gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Bi)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Biのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.212gに、水酸化リチウム1水和物1.371gを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が130:100で、添加元素含まない混合粉体を調製し、焼成温度を900℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.315gに、水酸化リチウム1水和物1.093gとフッ化リチウム0.075gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が120:100で、添加元素を含まない混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例8に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1〜10及び比較例1〜8に係るリチウム遷移金属複合酸化物が、α−NaFeO2型結晶構造を有することは、X線回折測定における構造モデルと回折パターンが一致したことにより確認した。
実施例1〜10及び比較例1〜8に係るリチウム遷移金属複合酸化物の半値幅は、上述した条件及び手順にしたがって、エックス線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いて測定を行った。前記エックス線回折装置の付属ソフトである「PDXL」を用いて、空間群R3−mでは(003)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=18.6°±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(003)、及び、(104)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=44±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(104)を決定した。その測定結果より、FWHM(003)/FWHM(104)を求めた。
実施例1〜10及び比較例1〜8に係るリチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれ正極活物質として用いて、以下の手順で実施例1〜10及び比較例1〜8に係る非水電解質二次電池用電極を作製した。
正極の単独挙動を正確に観察する目的のため、対極、即ち負極には金属リチウムをニッケル箔集電体に密着させて用いた。ここで、非水電解質二次電池の容量が負極によって制限されないよう、負極には十分な量の金属リチウムを配置した。
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (4)
- リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用活物質であって、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、
α−NaFeO2構造を有し、
遷移金属元素(Me)としてMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、
Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5<Mn/Meであり、
Meに対するCoのモル比Co/Meが0≦Co/Me≦0.20であり、
Meに対するLiのモル比Li/Meが1<Li/Meであり、
空間群R3−mに帰属可能なX線回折パターンを有し、
Cu−Kα線を用いたX線回折測定による、ミラー指数hklにおける(104)面の回折ピークの半値幅(FWHM(104))に対する(003)面の回折ピークの半値幅(FWHM(003))の比FWHM(003)/FWHM(104)が0.45以下であり、
前記(104)面の回折ピークの半値幅(FWHM(104))が0.40°以上である、
非水電解質二次電池用正極活物質。 - 前記リチウム遷移金属複合酸化物が、Ru、Te、Ce、Ta又はS元素を含む、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
- 請求項1又は2に記載の正極活物質を含有することを特徴とする、非水電解質二次電池用電極。
- 請求項3に記載の非水電解質二次電池用電極を備えることを特徴とする、非水電解質二次電池。
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