JP6766319B2 - リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、リチウム二次電池用電極及びリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
O2 の層状構造のリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物。」(請求項1、段落[0020]〜[0032])の発明が記載されている。
そして、この発明の目的として、「リチウムイオン二次電池に高い放電容量,高い電流負荷特性,高い信頼性(高寿命)を付与することができる正極活物質用材料を提供すること」(段落[0010])が記載されている。
そして、この発明の課題として、低SOC域においても所要の出力を発揮でき、ハイブリッド車、電気自動車などの走行性能を向上させることができ、また、必要なエネルギー量を確保するための電池の数を減らすことができるリチウム二次電池を提供すること(段落[0004])が示されている。
そして、この発明の目的として、「放電容量が高く、かつ、充放電サイクル特性に優れた活物質及びリチウムイオン二次電池を提供すること」(段落[0006])が示されている。
そして、この発明の課題として、「高率放電性能が優れたリチウム二次電池用正極活物質、その正極活物質の製造方法、及びその正極活物質を用いたリチウム二次電池を提供すること」(段落[0009])が記載されている。
そして、この発明の効果として、「高電圧特性が向上した正極活物質を提供し、そのような正極活物質を採用することで、極板製造工程での正極スラリー安定性及び極板合剤密度が向上したリチウム二次電池用正極極板を製作できる」(段落[0016])ことが記載されている。
本発明者は、従来の「LiMeO2型」正極活物質の検討において、Mnについて原子レベルでの均一性を敢えて乱す共沈手法を適用することで、正極活物質の充放電に伴う結晶性における異方性を調整することができ、高い放電容量が得られることを見出し、先願発明を出願した(特願2014−196484号)。
しかしながら、充放電サイクル性能のさらなる向上が求められていた。
本発明は、放電容量が大きく、充放電サイクル性能が優れたリチウム二次電池用正極活物質、その正極活物質の製造方法、その正極活物質を含有するリチウム二次電池用電極、及びその電極を備えたリチウム二次電池を提供することを課題とする。
(1)遷移金属(Me)がNi、Co及びMnを含み、六方晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、粒子断面の中心を0%、最表面を100%とし、粒子断面の中心から最表面に向かって80〜90%までの範囲のコアと、それ以外の範囲の表面層からなる粒子であり、
前記表面層における遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが、前記コアにおける遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meより小さく、
前記コアにおける遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが0.4≦Ni/Me≦0.8であり、
前記表面層の最表面における遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが0.1≦Ni/Me≦0.4であり、
前記表面層における遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meが、前記コアにおける遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meよりも大きく、
電位4.45V(vs.Li/Li+)における半値幅比率F(003)/F(104)を電位2.0V(vs.Li/Li+)における半値幅比率F(003)/F(104)で除した値が0.9〜1.1の間であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
(2)前記コアにおけるMn/Meが0.1≦Mn/Me≦0.4であり、前記表面層の最表面におけるMn/Meが0.4≦Mn/Me≦0.8であることを特徴とする前記(1)のリチウム二次電池用正極活物質。
(3)前記(1)又は(2)のリチウム二次電池用正極活物質を製造する方法であって、溶液中でNi、Co及びMnを含有する化合物を共沈させて遷移金属複合酸化物の前駆体を作製する工程において、Ni、Co及びMnの化合物を含有する溶液とMnの化合物を含有する溶液とを別々に同時に滴下し、前記遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが0.4≦Ni/Me≦0.8である遷移金属複合酸化物のコアの前駆体を作製した後、
Ni、Co及びMnの化合物を含有する溶液を滴下し、前記遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが前記コアにおけるNiのモル比Ni/Meよりも小さく、最表面における遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが0.1≦Ni/Me≦0.4であり、前記表面層の前駆体における遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meが、前記コアの前駆体における遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meよりも大きい遷移金属複合酸化物の表面層の前駆体を作製することを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
(4)前記コアの前駆体におけるMn/Meが0.1≦Mn/Me≦0.4であり、前記表面層の前駆体における最表面のMn/Meが0.4≦Mn/Me≦0.8であることを特徴とする前記(3)のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
(5)前記(1)又は(2)のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用電極。
(6)前記(5)のリチウム二次電池用電極を備えたリチウム二次電池。
本発明は、Co、Ni及びMnを含む遷移金属元素Meが、リチウム遷移金属複合酸化物(活物質)の一粒子中においてCo/Ni/Mnの組成比率が一定であるものではなく、リチウム遷移金属複合酸化物粒子は、コア及び表面層を有し、一粒子におけるNi濃度は、コアが高く(モル比Ni/Me=0.4〜0.8)、表面層が低く、最表面がモル比Ni/Me=0.1〜0.4であることを特徴としている。
粒子の断面を、後述するように、SEM−EDX装置を用いて測定することにより、粒子の中心をPoint 0、粒子の表面をPoint 10として測定点を10等分し、Point 0からPoint 10までの各測定点において、Co、Ni及びMnのモル濃度の合計に対するCo、Ni及びMnのそれぞれのモル濃度の比率を算出する。そして、Point 0からPoint 9をコア、Point 9からPoint 10を表面層として、モル濃度を平均し、コア及び表面層のNiモル濃度を求める。
なお、上記の例においては、平均組成が、上記コアのNi濃度を満たす領域を、90%までの範囲で算出しているが、本発明には、コア及び表面層における最表面のモル比Ni/Meが上記の範囲であれば、Co/Ni/Mnの組成比率が中心から表面に向かって次第に変化するようにしたものも含まれる。したがって、コアのモル濃度は、活物質の特性を決定づけるから、90%を基準として、80〜97%までの範囲で算出することが好ましい。
また、ここでいう粒子の「表面層」の物質は、Ni、Co及びMnを含むリチウム遷移金属複合酸化物であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、この粒子の表面に、さらに、炭素被覆、アルミナ被覆、異種元素被覆等の別の物質を被覆することを排除するものではない。
本発明においては、コア(バルク)の状態を、前記先願発明の活物質のように、Mnについて原子レベルでの均一性を敢えて乱す構成を適用しつつ、コア及び表面層に特定の比率のCo/Ni/Mn組成を適用することにより、容量特性を維持しつつ、寿命特性を向上させることができた。
リチウム遷移金属複合酸化物は、F(003)を0.15°〜0.35°の範囲とすることが好ましく、F(104)を0.15°〜0.40°の範囲とすることが好ましい。
結晶学的にはF(003)はc軸方向に沿った結晶性のパラメーターとなり、F(003)が大きいほどc軸方向の格子ひずみが大きいことを示すものである。一方、F(104)は立体的な結晶性をしめすパラメーターとなり、F(104)が大きいほど結晶全体の格子ひずみが大きいことを示すものである。よって、F(003)/F(104)は結晶全体における結晶性に対して、c軸方向に如何に格子がひずんでいるかという結晶の異方性ひずみを示す指標となる。したがって、充電末状態のF(003)/F(104)と放電末状態のF(003)/F(104)の比率は、充放電過程における結晶の異方性ひずみの変化の度合いを示している。
これに対して、後述する本発明の実施例においては、Mnについて原子レベルでの均一性が比較例1及び2と比較例3及び4との間にあるが、充電末状態のF(003)/F(104)と放電末状態のF(003)/F(104)の比率が1に近く(0.9〜1.1)、ひずみの変化の度合いが小さい。よって、実施例は、Mnについて原子レベルでの均一性の乱し方を制御したものといえる。つまりは、主相としてMnについて原子レベルでの均一性の乱れ方が適度に制御された化合物であり、原子レベルでの均一性が乱された結果副生したLi2MnO3等が粒子内に分散することにより、優れた放電容量向上効果を示したものと発明者らは推測している。
また、タップ密度は、高率放電性能が優れたリチウム二次電池を得るために、1.25g/cc以上が好ましく、1.7g/cc以上がより好ましい。
本発明のリチウム二次電池用活物質は、基本的に、活物質を構成する金属元素(Li,Ni,Co,Mn)を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Ni,Co,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめNi,Co,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはNi,Coに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnxO2など)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例においては、「共沈法」を採用した。
また、前記共沈前駆体を共沈炭酸塩前駆体として作製しようとする場合には、7.5〜11とすることができる。pHを9.4以下とすることにより、タップ密度を1.25g/cc以上とすることができ、高率放電性能を向上させることができる。さらに、pHを8.0以下とすることにより、粒子成長速度を促進できるので、原料水溶液滴下終了後の撹拌継続時間を短縮できる。
本発明においては、共沈水酸化物前駆体から作製する場合、リチウム遷移金属複合酸化物の2次粒子の粒度分布における累積体積が50%となる粒子径であるD50は、18μm以下が好ましく、4〜12μmがより好ましい。
このような方法によって、共沈前駆体の粒子内に微細に不均一に存在するMn化合物の生成量を制御することができ、本発明の特定の半値幅比率を有するリチウム遷移金属複合酸化物を製造することができる。また、「同時」は、本発明の特定の半値幅比率を有するリチウム遷移金属複合酸化物が製造することができる範囲で、若干の時間的な誤差は許容される。
リチウム遷移金属複合酸化物のF(003)/F(104)の充電末/放電末比率を、0.9〜1.1とするために、コアの前駆体のNi/Meモル比が0.4〜0.8となる範囲で、Ni及びCoの化合物を含有しMnの化合物を少し含有する溶液と、Mnの化合物を含有する溶液とを別々に同時に滴下する方法が好ましい。また、コアの前駆体のMn/Meモル比は0.1〜0.4となる範囲でMnの化合物を含有する溶液を滴下することが好ましい。
焼成温度が低すぎると、結晶化が十分に進まず、電極特性が低下する傾向がある。本発明においては、焼成温度は少なくとも750℃以上とすることが好ましい。十分に結晶化させることにより、結晶粒界の抵抗を軽減し、円滑なリチウムイオン輸送を促すことができる。
また、発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することで750℃より低い温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、それ以上の温度で合成することでほとんどひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電をおこなうことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。
したがって、放電容量と共にサイクル寿命を向上させるために、本発明のリチウム遷移金属複合酸化物を含有する正極活物質を焼成する場合、焼成温度は750〜900℃とすることが好ましい。
以上のようにして、正極活物質を作製する。
硫酸ニッケル6水和物448.4g、硫酸コバルト7水和物79.9g、硫酸マンガン5水和物171.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水2.7Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:2.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。これを原液1とする。一方、硫酸マンガン5水和物34.3gを秤量し、これらの全量をイオン交換水2.7Lに溶解させた0.05Mの硫酸塩水溶液を作製した。これを原液2とする。
また、硫酸ニッケル6水和物14.2g、硫酸コバルト7水和物15.2g、硫酸マンガン5水和物39.1gを秤量し、これらの全量をイオン交換水0.27Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が2:2:6となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。これを原液3とする。
実施例活物質の作製にあたって、反応晶析法をもちいて水酸化物前駆体を作製した。
まず、5Lの反応槽に2Lのイオン交換水を注ぎ、Arガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中に含まれる酸素を除去した。反応槽の温度は50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を1500rpmの回転速度で攪拌しながら、反応層内に対流が十分おこるように設定した。前記硫酸塩原液1および2をそれぞれ1.5ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、0.5Mのアンモニア、及び0.5Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に11.0(±0.1)を保つように制御すると共に、反応液の一部をオーバーフローにより排出することにより、反応液の総量が常に2Lを超えないように制御した。原液1および2を滴下開始してから27h後、0.27Lずつ残った状態で、原液3を0.135Lずつ原液1および2にそれぞれ0.5ml/minの速度で滴下した。
滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに3h継続した。攪拌の停止後、室温で12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した水酸化物前駆体粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、コアのNi:Co:Mnのモル比が6:1:3で、表面層における最表面のNi:Co:Mnのモル比が2:2:6の水酸化物前駆体を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物463.1g、硫酸コバルト7水和物82.5g及び硫酸マンガン5水和物155.7gを秤量し、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:2.2となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物52.1gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.08Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物484.1g、硫酸コバルト7水和物86.3g及び硫酸マンガン5水和物133.2gを秤量し、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:1.8となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物78.1gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.12Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物501.2g、硫酸コバルト7水和物89.3g及び硫酸マンガン5水和物114.9gを秤量し、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:1.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物117.2gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.15Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物519.5g、硫酸コバルト7水和物92.6g及び硫酸マンガン5水和物95.3gを秤量し、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:1.2となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物117.2gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.18Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物532.5g、硫酸コバルト7水和物94.9g及び硫酸マンガン5水和物81.4gを秤量し、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:1.0となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物130.2gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.20Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物568.0g、硫酸コバルト7水和物101.2g及び硫酸マンガン5水和物43.4gを秤量し、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:0.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物162.8gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.25Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物597.9g、硫酸コバルト7水和物79.9g及び硫酸マンガン5水和物34.3gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が8:1:0.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、また、硫酸ニッケル6水和物28.4g、硫酸コバルト7水和物15.2g、硫酸マンガン5水和物26.1gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が4:2:4となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液3としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。実施例8において、水酸化物前駆体は、コアのNi:Co:Mnのモル比が8:1:1で、表面層における最表面のNi:Co:Mnのモル比が4:2:4であった。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物552.3g、硫酸コバルト7水和物84.4g及び硫酸マンガン5水和物72.4gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が7:1:1となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物65.1gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.10Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと、また、硫酸ニッケル6水和物21.3g、硫酸コバルト7水和物22.8g及び硫酸マンガン5水和物26.1gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が3:3:4となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液3としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。実施例9において、水酸化物前駆体は、コアのNi:Co:Mnのモル比が7:1:2で、表面層における最表面のNi:Co:Mnのモル比が3:3:4であった。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物417.7g、硫酸コバルト7水和物178.7g及び硫酸マンガン5水和物114.9gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が5:2:1.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物97.7gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.15Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと、また、硫酸ニッケル6水和物10.7g、硫酸コバルト7水和物11.4g及び硫酸マンガン5水和物45.6gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が1.5:1.5:7となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液3としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。実施例10において、水酸化物前駆体は、コアのNi:Co:Mnのモル比が5:2:3で、表面層における最表面のNi:Co:Mnのモル比が1.5:1.5:7であった。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物355.0g、硫酸コバルト7水和物189.8g及び硫酸マンガン5水和物162.8gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が4:2:2となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物130.2gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.20Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと、また、硫酸ニッケル6水和物7.1g、硫酸コバルト7水和物7.6g及び硫酸マンガン5水和物52.1gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が1:1:8となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液3としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。実施例11において、水酸化物前駆体は、コアのNi:Co:Mnのモル比が4:2:4で、表面層における最表面のNi:Co:Mnのモル比が1:1:8であった。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物434.7g、硫酸コバルト7水和物77.5g及び硫酸マンガン5水和物186.1gを秤量し、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:2.8となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物13.0gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.02Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物448.4g、硫酸コバルト7水和物79.9g、硫酸マンガン5水和物195.4gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:3.0となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、原液2を用いないで、原液1のみを滴下し、続いて原液3を滴下したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物587.6g、硫酸コバルト7水和物104.7g及び硫酸マンガン5水和物22.5gを秤量し、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:0.25となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物179.1gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.275Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、原液1に硫酸マンガン5水和物を添加しないで、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:0となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物195.4gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.3Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物292.4g、硫酸コバルト7水和物268.0g及び硫酸マンガン5水和物153.2gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が3.5:3:2となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物97.7gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.15Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。比較例5において、水酸化物前駆体は、コアのNi:Co:Mnのモル比が3.5:3:3.5で、表面層における最表面のNi:Co:Mnのモル比が2:2:6であった。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物266.3g、硫酸コバルト7水和物284.8g及び硫酸マンガン5水和物162.8gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が3:3:2となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物130.2gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.20Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。比較例6において、水酸化物前駆体は、コアのNi:Co:Mnのモル比が3:3:4で、表面層における最表面のNi:Co:Mnのモル比が2:2:6であった。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物635.3g、硫酸コバルト7水和物40.0g及び硫酸マンガン5水和物34.3gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が8.5:0.5:0.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。比較例7において、水酸化物前駆体は、コアのNi:Co:Mnのモル比が8.5:0.5:1で、表面層における最表面のNi:Co:Mnのモル比が2:2:6であった。
水酸化物前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物655.4g、硫酸コバルト7水和物38.9g、硫酸マンガン5水和物16.7gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が9:0.5:0.25となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液1としたこと、硫酸マンガン5水和物16.3gを秤量し、これらの全量を溶解させた0.025Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液2としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例8に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。比較例8において、水酸化物前駆体は、コアのNi:Co:Mnのモル比が9:0.5:0.5で、表面層における最表面のNi:Co:Mnのモル比が2:2:6であった。
硫酸ニッケル6水和物319.5g、硫酸コバルト7水和物75.9g、硫酸マンガン5水和物293.1gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が4.5:1:4.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液3としたこと以外は、実施例4と同様にして、比較例9に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
硫酸ニッケル6水和物355.0g、硫酸コバルト7水和物75.9g、硫酸マンガン5水和物260.5gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が5:1:4となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液3としたこと以外は、実施例4と同様にして、比較例10に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
硫酸ニッケル6水和物426.0g、硫酸コバルト7水和物75.9g、硫酸マンガン5水和物195.4gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が6:1:3となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液3としたこと以外は、実施例4と同様にして、比較例11に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
硫酸ニッケル6水和物35.5g、硫酸コバルト7水和物75.9g、硫酸マンガン5水和物553.6gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が0.5:1:8.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液3としたこと以外は、実施例4と同様にして、比較例12に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
硫酸コバルト7水和物75.9g、硫酸マンガン5水和物586.1gを秤量し、これらの全量を溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が0:1:9となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、これを原液3としたこと以外は、実施例4と同様にして、比較例13に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1〜11及び比較例1〜13に係るそれぞれのリチウム遷移金属複合酸化物に対して、走査型電子顕微鏡(SEM)(JEOL社製、型番JSM-6360)及びこれに付属するエネルギー分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometry)装置(以下「SEM−EDX装置」ともいう)を用いて、次の手順により、粒子の表面層からコアにかけての金属組成比率を測定した。
実施例1〜11及び比較例1〜13に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、次の条件及び手順に沿って粒度分布測定を行った。測定装置には日機装社製Microtrac(型番:MT3000)を用いた。前記測定装置は、光学台、試料供給部及び制御ソフトを搭載したコンピュータからなり、光学台にはレーザー光透過窓を備えた湿式セルが設置される。測定原理は、測定対象試料が分散溶媒中に分散している分散液が循環している湿式セルにレーザー光を照射し、測定試料からの散乱光分布を粒度分布に変換する方式である。前記分散液は試料供給部に蓄えられ、ポンプによって湿式セルに循環供給される。前記試料供給部は、常に超音波振動が加えられている。分散溶媒として水を用いた。測定制御ソフトにはMicrotrac DHS for Win98(MT3000)を用いた。前記測定装置に設定入力する「物質情報」については、溶媒の「屈折率」として1.33を設定し、「透明度」として「透過(TRANSPARENT)」を選択し、「球形粒子」として「非球形」を選択した。試料の測定に先立ち、「Set Zero」操作を行う。「Set Zero」操作は、粒子からの散乱光以外の外乱要素(ガラス、ガラス壁面の汚れ、ガラス凸凹など)が後の測定に与える影響を差し引くための操作であり、試料供給部に分散溶媒である水のみを入れ、湿式セルに分散溶媒である水のみが循環している状態でバックグラウンド測定を行い、バックグラウンドデータをコンピュータに記憶させる。続いて「Sample LD(Sample Loading)」操作を行う。Sample LD操作は、測定時に湿式セルに循環供給される分散液中の試料濃度を最適化するための操作であり、測定制御ソフトの指示に従って試料供給部に測定対象試料を手動で最適量に達するまで投入する操作である。続いて、「測定」ボタンを押すことで測定操作が行われる。前記測定操作を2回繰り返し、その平均値として測定結果が制御コンピュータから出力される。測定結果は、粒度分布ヒストグラム、並びに、D10、D50及びD90の各値(D10、D50及びD90は、2次粒子の粒度分布における累積体積がそれぞれ10%、50%及び90%となる粒度)として取得される。測定されたD50は、10μmであった。
実施例1〜11及び比較例1〜13に係るリチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれリチウム二次電池用正極活物質として用いて、以下の手順でリチウム二次電池を作製し、電池特性を評価した。
実施例1〜11及び比較例1〜13に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、エックス線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いて半値幅の測定を行った。なお、本願明細書において、半値幅の測定は、次の条件及び手順に沿って行うものとする。
線源はCuKα、加速電圧及び電流はそれぞれ30kV及び15mAとする。サンプリング幅は0.01deg、走査時間は14分(スキャンスピードは5.0)、発散スリット幅は0.625deg、受光スリット幅は開放、散乱スリットは8.0mmとする。得られたエックス線回折データについて、Kα2に由来するピークを除去せず、前記エックス線回折装置の付属ソフトである「PDXL」を用いて、空間群R3−mでは(003)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=18.6°±1°に存在する回折ピークについての半値幅F(003)、及び、(104)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=44±1°に存在する回折ピークについて半値幅F(104)を決定する。
F(003)/F(104)の充電末/放電末比率は、次のようにして求めた。上記の初期充放電工程を経た電池について、充電電圧を4.45Vとして電流0.1CmAでの定電流充電を行い、電流値が0.01CmAに減少するまで定電圧充電を行い、充電末状態とした。また、上記の初期充放電工程を経た別の電池について、充電電圧を4.45Vとして電流0.1CmAでの定電流充電を行った後、30分の休止をはさんで0.1CmAにて2.0Vに至るまで定電流放電を行い、放電末状態とした。これらの電池を解体し、取り出した正極板をジメチルカーボネートを用いて十分洗浄を行い、室温にて一昼夜の乾燥後、合剤を電極から取り出し、瑪瑙乳鉢を用いて凝集した粉体をほぐした。得られた合剤粉末を上記エックス線測定に供した。充電末状態とした電池から採取した合剤粉末について得られたエックス線回折図から求めた半値幅F(003)と半値幅F(104)の比率である半値幅比率F(003)/F(104)の値を、放電末状態とした電池から採取した合剤粉末について得られたエックス線回折図から求めた半値幅比率F(003)/F(104)の値で除した値をF(003)/F(104)の充電末/放電末比率とした。
また、全ての実施例及び比較例のリチウム遷移金属複合酸化物は、六方晶構造を有することを確認した。
本願明細書において、電極は、上記の手順に沿って、放電末状態及び充電末状態に調整するものとする。但し、上記実施例では、金属リチウム電極を負極に用いた電池を放電末状態又は充電末状態とした後に電池を解体して電極を取り出したが、電池を解体して電極を取り出した後に、金属リチウム電極を対極とした電池を組立ててから、上記の手順に沿って、放電末状態及び充電末状態に調整してもよい。
続いて、30サイクルの充放電サイクル試験を行った。充電は、電流1CmA、電圧4.45Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が1/6に減衰した時点とした。放電は、電流1CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。ここで、充電後及び放電後にそれぞれ10分の休止過程を設けた。
上記充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量を「初期放電容量(mAh)」として記録した。また、前記「初期放電容量(mAh)」に対する30サイクル目の放電容量の百分率を算出し、「容量維持率(%)」とした。
試験結果を表1に示す。
一方、比較例3及び4は、原液1のMnの比率が小さく、原液2のMnの比率が大きいから、Mnについて原子レベルでの均一性を相当程度に乱した製造条件であり、充電末状態のF(003)/F(104)と放電末状態のF(003)/F(104)の比率(結晶の異方性ひずみの変化の度合い)はやはり1からの乖離が大きくなり(1.1超)、放電容量が低くなる。
これに対して、実施例1〜11のように、コアの前駆体を作製する場合に、原液1と原液2のMnの比率を制御することにより、Mnについて原子レベルでの均一性の乱れ方が適切になり、充電末状態のF(003)/F(104)と放電末状態のF(003)/F(104)の比率(結晶の異方性ひずみの変化の度合い)が0.9〜1.1の間になり、放電容量が高くなると推定される。
また、比較例9〜11は、表面層における最表面のNi/Meモル比が0.4を超え、比較例12及び13は、0.1未満であり、いずれも、放電容量は高いが、容量維持率が小さい。
これに対して、実施例1〜11のように、コアのNi/Meモル比が0.4〜0.8、表面層における最表面のNi/Meモル比が0.1〜0.4のリチウム遷移金属複合酸化物を、正極活物質とすることにより、放電容量が高くなり、容量維持率も大きくなる。
1 リチウム二次電池
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (6)
- 遷移金属(Me)がNi、Co及びMnを含み、六方晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、粒子断面の中心を0%、最表面を100%とし、粒子断面の中心から最表面に向かって80〜90%までの範囲のコアと、それ以外の範囲の表面層からなる粒子であり、
前記表面層における遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが、前記コアにおける遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meより小さく、
前記コアにおける遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが0.4≦Ni/Me≦0.8であり、
前記表面層の最表面における遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが0.1≦Ni/Me≦0.4であり、
前記表面層における遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meが、前記コアにおける遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meよりも大きく、
電位4.45V(vs.Li/Li+)における半値幅比率F(003)/F(104)を電位2.0V(vs.Li/Li+)における半値幅比率F(003)/F(104)で除した値が0.9〜1.1の間であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。 - 前記コアにおけるMn/Meが0.1≦Mn/Me≦0.4であり、前記表面層の最表面におけるMn/Meが0.4≦Mn/Me≦0.8であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
- 請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用正極活物質を製造する方法であって、
溶液中でNi、Co及びMnを含有する化合物を共沈させて遷移金属複合酸化物の前駆体を作製する工程において、Ni、Co及びMnの化合物を含有する溶液とMnの化合物を含有する溶液とを別々に同時に滴下し、前記遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが0.4≦Ni/Me≦0.8である遷移金属複合酸化物のコアの前駆体を作製した後、
Ni、Co及びMnの化合物を含有する溶液を滴下し、前記遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが前記コアにおけるNiのモル比Ni/Meよりも小さく、最表面における遷移金属(Me)中のNiのモル比Ni/Meが0.1≦Ni/Me≦0.4であり、前記表面層の前駆体における遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meが、前記コアの前駆体における遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meよりも大きい遷移金属複合酸化物の表面層の前駆体を作製することを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記コアの前駆体におけるMn/Meが0.1≦Mn/Me≦0.4であり、前記表面層の前駆体における最表面のMn/Meが0.4≦Mn/Me≦0.8であることを特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用電極。
- 請求項5に記載のリチウム二次電池用電極を備えたリチウム二次電池。
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