JP6087075B2 - 複合酸化物及びその製造方法、並びに非水系二次電池 - Google Patents
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Description
自動車等の車両及び住宅用蓄電システムに非水系二次電池を搭載する場合、サイクル性能及び長期信頼性等の観点から、電池の構成材料には、化学的、電気化学的な安定性、強度、耐腐食性等に優れた材料が求められる。さらに、非水系二次電池には、高い電気容量及び高出力性能も必要物性として求められる。
例えば、特許文献1には、xLiMO2(1−x)Li2M’O3(xは、0<x<1の範囲であり、Mは、少なくともNiを含む、一つ以上の平均酸化数3価の金属イオンであり、M’は、少なくともMnを含む、一つ以上の平均酸化数4価の金属イオンである。)で表され、LiMO2とLi2M’O3の組成から成る層状化合物について開示されている。
また、特許文献2には、xLiMO2(1−x)Li2M’O3(xは、0<x<1の範囲であり、Mは、少なくともMnを含む平均酸化数3価のイオンを示し、M’は、平均酸化数4価のイオンを含む。)で表され、LiMO2とLi2M’O3の組成からなる層状化合物について開示されている。
さらに、特許文献3には、Ni、Co、Mnを必須成分としてF、Cl及びIを組み合わせる技術について開示されており、いずれも高い電気容量が得られている。
さらにまた、特許文献4、5及び6には、xLiMO2(1−x)Li2M’O3で表される構造を有し、Li1+aNiαMnβCoγO2(a、α、β及びγは、それぞれ0.05<a<0.25、0.1<α<0.4、0.4<β<0.65、0.05<γ<0.3)の組成で表される正極活物質において、Li1.2Ni0.175Co0.10Mn0.525O2組成の場合に、特に高い電気容量が得られることが開示されている。
一方、同じ層状化合物であり、高い電気容量が得られるxLiMO2・(1−x)Li2M’O3構造を有する正極材料を合成する場合、より高い電気容量を得るためには多種類の元素を組み合わせる必要があり、原料金属塩を焼成前に均一に分布させることを目的に、ゾルゲル法や共沈法が用いられる。例えば共沈法では、Li以外の各種金属の硫酸塩などを用い、炭酸塩として共沈させることで均質な前駆体を得て、精製分離後、Li炭酸塩などLi原料を混合し、焼成することにより目的の正極材が得られ、好ましく用いられる。ここで、xLiMO2・(1−x)Li2M’O3構造を有する正極に用いられるリチウム含有複合酸化物の合成方法として、リチウム塩及び多種類の各種金属を溶媒等に一度に溶解し、均質な溶液を調製した後、溶液を乾固し、乾燥物を焼成することで所望の正極活物質を得ることができれば、共沈法と異なり共沈工程及び精製工程の必要がなく、高い電気容量を持った正極活物質の簡便な合成方法となる。
本発明は、高い電気容量を有する電池を実現可能な、正極活物質として有用な複合酸化物、各原料金属にLi硝酸塩及び水に可溶な金属塩を用い、簡便な方法で複合酸化物を製造する方法、並びに前記複合酸化物を正極活物質として用いる非水系二次電池を提供することを目的とする。
非特許文献1:山木 準一、戦略的創造研究推進事業ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ、研究領域「エネルギーの高度利用に向けたナノ構造材料・システムの創製」、研究課題「ナノ構造単位材料から構成される電力貯蔵デバイスの構築」研究終了報告書、p7、平成20年3月
発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、Li硝酸塩及び水に可溶な金属塩を原料として調製され、特定の組成を有し、更にX線回折測定における特定の回折ピーク強度比を満たす複合酸化物を正極活物質として用いることにより、高い電気容量を有する非水系二次電池が得られることを見出し、本発明を完成させた。
[1]
Li硝酸塩、並びに水に可溶なM及びM’の金属塩を原料として調製された複合酸化物であって、
X(LiMO2)・(1−X)Li2M’O3(ここで、0<X<1、Mは、少なくともNiを含む1種以上の平均原子価3価の金属を示し、M’は、少なくともMnを含む1種以上の平均原子価4価の金属を示す。)で表される組成を有し、
X線回折測定における21°付近の超格子に由来する回折ピーク強度をI(21°)、(003)面、(101)面、及び(104)面の結晶面回折強度をそれぞれI(003)、I(101)、I(104)とした時、0<I(21°)/I(003)≦0.06、2.0≦I(003)/I(104)≦5.0、及び0.4≦I(101)/I(104)≦0.5を同時に満たす、複合酸化物。
[2]
前記(003)面及び(104)面の半価幅をそれぞれH(003)、H(104)とした時、0.05°≦H(003)≦0.2°、0.25°≦H(104)≦0.4°を同時に満たす、上記[1]記載の複合酸化物。
[3]
Li硝酸塩、並びに水に可溶なM及びM’の金属塩を原料として複合酸化物を製造する方法であって、
前記原料を溶媒に溶解し、乾燥させる工程における乾燥温度が100℃以上300℃以下である、製造方法。
[4]
前記原料を溶媒に溶解する際にキレート剤を混合することを含む、上記[3]記載の複合酸化物の製造方法。
[5]
上記[1]又は[2]記載の複合酸化物を正極活物質として用いた、非水系二次電池。
X(LiMO2)・(1−X)Li2M’O3(ここで、0<X<1、Mは、少なくともNiを含む1種以上の平均原子価3価の金属を示し、M’は、少なくともMnを含む1種以上の平均原子価4価の金属を示す。)で表される組成を有し、
X線回折測定における21°付近の超格子に由来する回折ピーク強度をI(21°)、(003)面、(101)面、及び(104)面の結晶面回折強度をそれぞれI(003)、I(101)、I(104)とした時、0<I(21°)/I(003)≦0.06、2.0≦I(003)/I(104)≦5.0、及び0.4≦I(101)/I(104)≦0.5を同時に満たす、複合酸化物である。
本実施形態における複合酸化物は、非水系二次電池の正極活物質として用いられる。本実施形態において、X線回折測定により得られる回折強度は、電池の充電前の値を示す。
ここで、H(003)及びH(104)は、焼成温度を変えることで調整することができ、焼成温度を高くすると値は小さくなり、逆に焼成温度を低くすると値は大きくなる。
本実施形態における非水系二次電池は、上述した複合酸化物を正極活物質として用いた電池であり、例えば、図1に概略的に断面図を示すリチウムイオン二次電池である。図1に示されるリチウムイオン二次電池100は、セパレータ110と、そのセパレータ110を両側から挟む正極120と負極130と、さらにそれらの積層体を挟む正極集電体140(正極の外側に配置)と、負極集電体150(負極の外側に配置)と、それらを収容する電池外装160とを備える。正極120とセパレータ110と負極130とを積層した積層体は、電解液に含浸されている。これらの各部材としては、正極活物質として本願特有のものを用いること以外は、従来のリチウムイオン二次電池に備えられるものと同様のものを用いることができ、例えば後述のものであってもよい。
正極は、本実施形態における複合酸化物を正極活物質とし、非水系二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、例えば、下記のようにして得られる。即ち、まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助材やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この正極合剤含有ペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し、厚みを調整することによって、正極が作製される。正極の作製にあたって、必要に応じて用いられる導電助材としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは10nm〜10μm、より好ましくは20nm〜1μmであり、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム及びフッ素ゴムが挙げられる。
負極は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。そのような材料としては金属リチウムの他、例えば、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラックに代表される炭素材料が挙げられる。これらのうち、コークスとしては、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスが挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。炭素材料には、炭素以外にも、O、B、P、N、S、SiC、B4C等の異種化合物が含まれていてもよい。異種化合物の含有量としては、0〜10質量%であることが好ましい。
上記負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態における電解液は、リチウムイオン二次電池の場合、少なくとも非水系溶媒とリチウム塩を含有し、非水系二次電池の電解液として作用するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。電解液は、水分を含まないことが好ましいが、本発明の奏する効果を阻害しない範囲であれば、ごく微量の水分を含有してもよい。そのような水分の含有量は、電解液の全量に対して、例えば、0〜100ppmである。
0≦X<1 ・・・・・(1)
で表される条件を満足することが好ましい。ここで、上記式(1)中、Xは、非水系電解液に含まれる無機リチウム塩に対する有機リチウム塩のモル比を示す。非水系電解液に含まれる有機リチウム塩の無機リチウム塩に対するモル比が上記範囲にあることによって、無機リチウム塩の高いイオン伝導性能を優先的に機能させることができる。
LiC(SO2R1)(SO2R2)(SO2R3) (2a)
LiN(SO2OR4)(SO2OR5) (2b)
LiN(SO2R6)(SO2OR7) (2c)
ここで、式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
NC−(CR8R9)2a−CN ・・・・・(2)
ここで、式(2)中、R8及びR9は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、aは1〜6の整数を示す。アルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましい。
本実施形態における非水系二次電池は、正負極の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極と負極との間にセパレータを備えることが好ましい。セパレータとしては、公知の非水系二次電池に備えられるものと同様であってもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。セパレータとしては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。合成樹脂製微多孔膜としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、あるいは、これらのポリオレフィンを共に含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が好適に用いられる。不織布としては、セラミック製、ポリオレフィン製、ポリエステル製、ポリアミド製、液晶ポリエステル製、アラミド製など、耐熱樹脂製の多孔膜が用いられる。
本実施形態における非水系二次電池は、上述の非水系電解液、複合酸化物を用いて作製した正極、負極及び必要に応じてセパレータを用いて、公知の方法により作製される。例えば、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形したり、それらを折り曲げや複数層の積層などによって、交互に積層した複数の正極と負極との間にセパレータが介在する積層体に成形したりする。次いで、電池ケース(外装)内にその積層体を収容して、電解液をケース内部に注液し、上記積層体を電解液に浸漬して封印することによって、本実施形態の非水系二次電池を作製することができる。あるいは、ゲル化させた電解液を含む電解質膜を予め作製しておき、正極、負極、電解質膜及び必要に応じてセパレータを、上述のように折り曲げや積層によって積層体を形成した後、電池ケース内に収容して非水系二次電池を作製することもできる。本実施形態の非水系二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形及びラミネート形などが好適に採用される。
硝酸塩を原料として、Li1.2Ni0.235Co0.04Mn0.525O2で表される組成を有する複合酸化物を調製した。
硝酸塩原料であるLiNO3、Ni(NO3)2・6H2O、Mn(NO3)2・6H2O、Co(NO3)2・6H2Oを、上記複合酸化物を5g調製するのに相当する質量を計量し、硝酸塩総量としての濃度が40質量%となるように蒸留水を加え、硝酸塩水溶液とした。次いで、得られた水溶液を130℃で5時間、180℃で1.5時間、200℃で1.5時間の条件で乾燥した後、水を除去し、粉体として回収し、乾固品とした。続いて、乾固品を500℃(昇温時間1時間、保持時間1時間)で保持することにより、リチウム以外の金属が保持する硝酸分を除去した。得られた乾燥粉体を容器から一度取り出し、粉砕混合後、830℃(昇温時間1.5時間、保持時間5時間)で焼成し、複合酸化物5gを得た。ICP測定の結果、得られた複合酸化物は上記組成を有することを確認した。
なお、ICP測定は以下のとおりに行った。
複合酸化物をメノウ乳鉢で微細粉砕し、0.05gをテフロン(登録商標)容器に取り、王水8mLを加え、マイクロウェーブ加熱を行うことで均一に溶解した。この液に超純水を加えて100gとしてICP測定試料とした。測定はICP−発光分光分析装置を用い、下記条件で測定を実施した。
測定条件:水溶媒用・サイクロンチャンバーを使用
プラズマガス(PL1):13(L/min)
シースガス(G1):0.3(L/min)
ネブライザーガス圧:3.0(bar)
ネブライザー流量:0.2(L/min)
高周波パワー:1.0(kw)
定量値は市販の原子吸光分析用標準液の分析値と比較することで算出した。
各原料の仕込み量を変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、Li1.2Ni0.175Co0.10Mn0.525O2で表される組成を有する複合酸化物5gを得た。
キレート剤として酒石酸を、調製後の複合酸化物に対して10質量%に相当する量を水溶液に添加し、得られた水溶液を260℃に加熱した蒸発皿に5μl/secの滴下速度で滴下し、滴下終了後、260℃で1時間乾燥し、乾固品を得たこと以外は実施例1と同様の方法により、Li1.2Ni0.175Co0.10Mn0.525O2で表される組成を有する複合酸化物5gを得た。
水溶液を230℃に加熱した蒸発皿に5μl/secの滴下速度で滴下し、滴下終了後、230℃で1時間乾燥したこと以外は実施例1と同様の方法により、Li1.2Ni0.313Co0.179Mn0.509O2で表される組成を有する複合酸化物5gを得た。
Li1.2Ni0.175Co0.10Mn0.525O2で表される組成を有する複合酸化物を共沈法により調製した。
上記組成に相当する量のNiSO4・6H2O、CoSO4・7H2O、MnSO4・5H2Oを蒸留水に溶解し、硫酸塩水溶液とした。別に、Na2CO3及びNH4OHを溶かした水溶液を調製した。次いで、80℃に加熱した硫酸塩水溶液にNa2CO3/NH4OH水溶液を徐々に添加し、金属炭酸塩を得た。この後、容器の温度は80℃に保ち、液のpHは6〜9に保った。金属硫酸塩水溶液の濃度は、2mol/L、Na2CO3/NH4OH水溶液のNa2CO3濃度は2.5mol/L、及びNH4OHの濃度は1mol/Lであった。金属炭酸塩は濾過後、蒸留水で数回洗浄し、110℃で16時間乾燥を実施した。乾燥後、質量を測定し、上記組成に相当する量のLi2CO3を混合し、乳鉢で混合撹拌後、500℃で5時間、大気雰囲気下で1段目の焼成を実施した。次いで乳鉢で粉砕混合し、900℃で5時間、2段目の焼成を行い、複合酸化物を5g得た。ICP測定の結果、得られた複合酸化物は上記組成を有することを確認した。
260℃に加熱し、蒸発皿に5μl/secの滴下速度で金属硝酸塩水溶液を滴下し、滴下終了後、260℃で1時間乾燥したこと以外は比較例1と同様の方法により、Li1.2Ni0.175Co0.10Mn0.525O2で表される組成を有する複合酸化物5gを得た。
260℃に加熱した蒸発皿に5μl/secの滴下速度で金属硝酸塩水溶液を滴下し、滴下終了後、260℃で1時間乾燥し、2段目の焼成温度を850℃としたこと以外は比較例1と同様の方法により、Li1.2Ni0.175Co0.10Mn0.525O2で表される組成を有する複合酸化物5gを得た。
金属硝酸塩溶液の乾燥を280℃に加熱した蒸発皿に5μl/secの滴下速度で金属硝酸塩水溶液を滴下し、滴下終了後、280℃で1時間乾燥したこと以外は、比較例1と同様の方法により、Li1.2Ni0.235Co0.04Mn0.525O2で表される組成を有する複合酸化物5gを得た。
調製した複合酸化物のXRD分析は下記条件で実施した。
(測定条件)検出器:半導体検出器、管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:40mA、発散スリット:0.3°、ステップ幅:0.02°/step、計測時間:3sec
調製した複合酸化物を乳鉢で粉砕し測定を実施した。21°付近のピークとしては2θ=20.7±0.3°のピークを用い、(003)面のピークとしては、2θ=18.6±0.2°のピークを用い、(104)面のピークとしては2θ=44.6±0.2°のピークを用い、(101)面のピークとしては2θ=36.8±0.2°のピークを用いた。各ピーク強度は、回折パターンにおけるピークの存在しない点を結んだ線をベースラインとしてピークトップから垂線を引き、ベースラインと交わる線分の長さを強度とした。半価幅は、求めた強度の線分を二等分した点において水平線を引き、回折パターンとの交点の長さを半価幅として2θで表した。測定結果を表2に示す。
電極はそれぞれ以下のとおりに作製した。
(3−1)正極の作製
上記で調製した複合酸化物を正極活物質として用い、これに、導電助剤として数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを、4:5:1の質量比で混合した。得られた混合物にエタノールを含ませながら混合し、引き伸ばし、シート状にした。乾燥後、20mgを切り出し、正極シートとした。次に、15.958mmφアルミニウムメッシュに、切り出した正極シートを2トン/cm2で圧着し、真空乾燥し、正極(P)を得た。
(3−2)負極の作製
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)と、ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、90:10:1.44:1.76の固形分質量比で、全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して負極(N)を得た。なお、負極(N)において得られた電極における真空乾燥後の合材について、片面あたりの目付量が5.0mg/cm2±3%、片面での厚さが40μm±3%、密度が1.25g/cm3±3%、塗工幅が銅箔の幅200mmに対して150mmになるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
溶媒としてメチルエチルカーボネート(MEC)及びエチレンカーボネート(EC)を容量比で1:2の溶媒を用い、リチウム塩としてLiPF6を1mol/Lの濃度となるように添加して電解液を調製した。
上述の方法により得られた電極と電解液とを組み合わせることにより、小型非水系二次電池を作製した。具体的な作製方法を以下に示す。
(小型非水系二次電池の組み立て)
上述のようにして得られた正極(P)と、上述のようにして得られた負極(N)を直径16mmの円盤状に打ち抜いたものとをポリエチレンからなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせて積層体を得た。その積層体をSUS製のコイン型電池ケースに挿入した。次いで、その電池ケース内に電解液を0.1mL注入し、積層体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉して25℃で24時間保持し、積層体に電解液を十分馴染ませて小型非水系二次電池を得た。
上述のようにして得られた評価用電池について、下記の手順に従って初回充放電処理及び初回充放電容量測定を行った。
特定の放電電流における放電容量を測定して非水系二次電池の放電特性を評価した。測定は、アスカ電子(株)製の充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製の恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。0.2mAの定電流で充電して4.7Vに到達した後、4.7Vの定電圧で合計8時間充電を行った。その後、0.6mAの定電流で2.0Vまで放電した。このときの電池の周囲温度は25℃に設定した。
Claims (5)
- X(LiMO2)・(1−X)Li2M’O3(ここで、0<X<1、Mは、少なくともNiを含む1種以上の平均原子価3価の金属を示し、M’は、少なくともMnを含む1種以上の平均原子価4価の金属を示す。)で表される組成を有し、
X線回折測定における21°付近の超格子に由来する回折ピーク強度をI(21°)、(003)面、(101)面、及び(104)面の結晶面回折強度をそれぞれI(003)、I(101)、I(104)とした時、0<I(21°)/I(003)≦0.06、2.0≦I(003)/I(104)≦5.0、及び0.42≦I(101)/I(104)≦0.45を同時に満たす、複合酸化物。 - 前記(003)面及び(104)面の半価幅をそれぞれH(003)、H(104)とした時、0.05°≦H(003)≦0.2°、0.25°≦H(104)≦0.4°を同時に満たす、請求項1記載の複合酸化物。
- Li硝酸塩、並びに水に可溶なM及びM’の金属塩(ここで、Mは、少なくともNiを含む1種以上の平均原子価3価の金属を示し、M’は、少なくともMnを含む1種以上の平均原子価4価の金属を示す。)を原料として複合酸化物を製造する方法であって、
前記原料を溶媒に溶解し、乾燥させる工程における乾燥温度が100℃以上300℃以下で、低い温度から高い温度へと順に段階を踏んで3段階の異なる温度で乾燥する、製造方法。 - 前記原料を溶媒に溶解する際にキレート剤を混合することを含む、請求項3記載の複合酸化物の製造方法。
- 請求項1又は2記載の複合酸化物を正極活物質として用いた、非水系二次電池。
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