JP2020100549A - リチウム遷移金属複合酸化物粉末、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム遷移金属複合酸化物粉末、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム二次電池用正極活物質として用いた場合に放電レート特性およびサイクル特性が高いリチウム遷移金属複合酸化物粉末、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池の提供。【解決手段】要件(1)及び(2)を満たすリチウム遷移金属複合酸化物粉末。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム遷移金属複合酸化物粉末、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池に関する。
リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム二次電池用正極活物質として用いられている。リチウム二次電池は、既に携帯電話用途やノートパソコン用途などの小型電源だけでなく、自動車用途や電力貯蔵用途などの中型又は大型電源においても、実用化が進んでいる。
放電レート特性やサイクル特性等のリチウム二次電池の電池特性を向上させるため、様々な試みがなされている。例えば特許文献1には、平均一次粒子径が0.5μm以上1.0μm以下、BET比表面積が1.0m/g以上3.0m/g以下、タップ密度が1.5g/cm以上であり、タップ密度/プレス密度比が70%以上である、異種金属置換マンガン酸リチウム化合物が記載されている。このような材料は充填性が高いため、正極活物質として使用した場合に容量エネルギー密度が高く、放電レート特性も良好となることが記載されている。
特開2011−105565号公報
リチウム二次電池の応用分野が進む中、リチウム二次電池の正極活物質には放電レート特性に加え、サイクル特性の向上も求められる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、リチウム二次電池用正極活物質として用いた場合に放電レート特性およびサイクル特性が高いリチウム遷移金属複合酸化物粉末、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]の発明を包含する。
[1]下記要件(1)及び(2)を満たすリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
要件(1):45MPaの圧力でリチウム遷移金属複合酸化物粉末を圧縮したときのプレス密度Aと、リチウム遷移金属複合酸化物粉末のタップ密度Bとの比(A/B)が、1.8以上3.5以下である。
要件(2):前記プレス密度Aは、2.7g/cmを超える。
[2]前記リチウム遷移金属複合酸化物粉末は一次粒子を含み、前記一次粒子の平均粒子径は、1μm以上である、[1]に記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
[3]下記式(I)を満たす、[1]又は[2]に記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
Li[Li(Ni(1−y−z−w)CoMn1−x]O ・・・(I)
(ただし、−0.1≦x≦0.2、0≦y≦0.4、0≦z≦0.4、0≦w≦0.1、y+z+w<1、MはFe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、La及びVからなる群より選択される1種以上の元素を表す。)[4]BET比表面積が0.1m/g以上3m/g以下である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
[5]粒度分布測定における平均粒子径(D50)が1μm以上5μm以下である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
[6]下記要件(イ)及び(ロ)を満たすニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末。
要件(イ):45MPaの圧力で前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末を圧縮したときのプレス密度Xと、前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末のタップ密度Yとの比(X/Y)が、1.5以上2.5以下である。
要件(ロ):前記プレス密度Xは、1.8g/cmを超える。
[7]金属元素のモル比率を表す下記式(II)において、0≦a≦0.4、0≦b≦0.4、0≦c≦0.1である、[6]に記載のニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末。
Ni:Co:Mn:M=(1−a−b−c):a:b:c ・・・(II)
(ただし、Mは、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、La及びVからなる群より選択される1種以上の元素である。)[8][1]〜[5]の何れか1つに記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末を含有するリチウム二次電池用正極活物質。
[9][8]に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用正極。
[10][9]に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
本発明によれば、リチウム二次電池用正極活物質として用いた場合に放電レート特性およびサイクル特性が高いリチウム遷移金属複合酸化物粉末、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供することができる。
リチウムイオン二次電池の一例を示す概略構成図である。 リチウムイオン二次電池の一例を示す概略構成図である。 プレス密度の測定方法を説明するための模式図である。
<リチウム遷移金属複合酸化物粉末>
本実施形態は、下記要件(1)及び(2)を満たすリチウム遷移金属複合酸化物粉末である。
要件(1):45MPaの圧力でリチウム遷移金属複合酸化物粉末を圧縮したときのプレス密度Aと、リチウム遷移金属複合酸化物粉末のタップ密度Bとの比(A/B)が、1.8以上3.5以下である。
要件(2):前記プレス密度Aは、2.7g/cmを超える。
本発明実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末は、リチウム二次電池用正極活物質として用いた場合に放電レート特性およびサイクル特性が高い。
ここで、「放電レート特性」とは、0.2CAでの放電容量を100%とした場合の10CAでの放電容量の比率をいう。この比率が高ければ高いほど電池は高出力を示し、電池性能として好ましい。
「サイクル特性」とは、初期放電容量に対する放電サイクルを繰り返したのちの放電容量の維持率をいう。この維持率が高ければ高いほど充放電サイクルを繰り返したときの電池容量低下を抑制できるため、電池性能として好ましい。
≪要件(1)≫
本実施形態において、45MPaの圧力でリチウム遷移金属複合酸化物粉末を圧縮したときのプレス密度をAとする。リチウム遷移金属複合酸化物粉末のタップ密度をBとする。本実施形態においては、この比(A/B)が1.8以上3.5以下である。A/Bは、1.82以上が好ましく、1.84以上がより好ましく、1.86以上が特に好ましい。
また、A/Bは、3.0以下が好ましく、2.95以下がより好ましく、2.9以下が特に好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。組み合わせの例としては、1.82以上3.0以下、1.84以上2.95以下、1.86以上2.9以下が挙げられる。
要件(1)が上記下限値未満であると、タップ密度が大きすぎる、換言すればリチウム遷移金属複合酸化物の粒子がお互いに接触した面積が多い粉末となる。このような粉末は、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子同士のみで形成された界面が生じやすい分、正極を製造したときの電池抵抗も増加しやすく、放電レート特性が不良となりやすい。
要件(1)が上記上限値を超えると、タップ密度が小さすぎる、換言すれば粒子内部あるいは粒子間の空隙が多い粉末となりやすい。このような粉末は、正極を製造する際のプレス工程による正極の体積変化が大きくなりすぎるために粒子が割れやすくサイクル特性が不良となりやすい。
・プレス密度の測定方法
本実施形態におけるプレス密度の測定方法について、図2を参照して説明する。
図2に示すプレス密度測定装置40は、治具41、42、43を有する。
治具41は、円筒状の形状を有する。治具41の内部空間41aは円柱状である。内部空間41aの内径LDは、15mmである。
治具42は、円柱状の栓部421と、栓部421に接続されたフランジ部422とを有する。栓部421とフランジ部422は、フランジ部422の平面視中央で接続している。栓部421の直径は、治具41の内径LDと等しく、治具41の内部空間41aに隙間なく嵌合する大きさである。
治具43は、治具42と同様の形状を有し、円柱状の栓部431と、栓部431に接続されたフランジ部432とを有する。栓部431の直径は、治具41の内径LDと等しく、治具41の内部空間41aに隙間なく嵌合する大きさである。
プレス密度測定装置40は、治具41の一端側の開口部に治具42の栓部421を挿入させ、治具41の他端側の開口部に治具43の栓部431を挿入させて用いる。
プレス密度測定装置40を用いた測定においては、まず、治具41に治具42を嵌合させ、治具41にフランジ部422が接触した状態で、内部空間41aに測定対象の粉末Xを3g充填する。次いで、治具41に治具43を嵌合させ、栓部431の先端を粉末Xに接触させる。
次いで、プレス機を用いて治具43に荷重Fを加え、治具43を介して内部空間41aの粉末Xに圧力を加える。
治具43が粉末Xに接触する接触面43Aの面積は177mmであるため、荷重Fは8kNとする。本実施形態においては、1分間荷重Fをかける。
荷重を停止し解放した後、治具43と、治具41との隙間Lxの長さを測定する。粉末Xの厚みを下記式(P1)により算出する。
粉末Xの厚み(mm)=L+L−L−L・・・(P1)
式(P1)中、Lは、円筒状の治具41の高さである。Lは、治具41と、治具43との隙間の長さである。Lは、治具43の栓部431の高さである。Lは、治具42の栓部421の高さである。
得られた粉末Xの厚みの厚みから、プレス密度Aを下記の式(P2)により算出する。
プレス密度A=粉末質量÷粉末体積 ・・・(P2)
式(P2)中、粉末重量とは、図2に示す密度測定装置40に充填した粉末Xの質量(g)である。
式(P2)中、粉末体積とは、上記の式(P1)により算出した粉末Xの厚み(mm)と、治具43が粉末Xに接触する接触面43Aの面積との積である。
・タップ密度の測定方法
タップ密度は、JIS R 1628−1997記載の方法で求めた値を用いる。
本実施形態において、リチウム遷移金属複合酸化物粉末のタップ密度は限定されないが、一例をあげると、1.0g/cm以上2.0g/cm以下が挙げられる。
≪要件(2)≫
本実施形態において、上述の方法により算出するプレス密度Aは、2.7g/cmを超え、2.75g/cm以上が好ましく、2.8g/cm以上がより好ましい。プレス密度Aが上記下限値以下であると、粒子内部あるいは粒子間の空隙が多い粉末となり、粒子割れが生じやすく、サイクル特性が不良となりやすい。
プレス密度Aの上限値は限定されないが、一例として、3.6g/cm以下が挙げられる。
要件(1)を満たす本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末を正極活物質として使用すると、粒子割れを抑制できる。要件(2)を満たす本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末を正極活物質として使用すると、充填性を高くすることができる。つまり、要件(1)及び(2)を満たす本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末を正極活物質として使用すると、粒子割れを抑制しつつ、充填性が高い正極を製造できる。
充填性が高くなると、導電材と密着しやすくなるため、導電材との接触面積が大きくなり、高い放電レート特性を得ることができる。一方で充填性を高くするため、圧力を加える際には粒子割れが生じやすい。本実施形態によれば、粒子割れを抑制できるため、粒子界面の増加を抑制でき、低抵抗の正極を製造できる。
また、導電材との接触面積が大きくなると、充電と放電とを繰り返す中で、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子に割れが発生したとしても、導電経路を確保できるため、サイクル特性が良好となる。
≪一次粒子径≫
本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末は、一次粒子と、前記一次粒子が凝集して形成された二次粒子とを含む。ここで、「一次粒子」とは、電子顕微鏡等で粒子を観察した場合に、粒子表面に明確な粒界が見られない粒子である。「二次粒子」とは、前記一次粒子が凝集することにより形成された粒子である。
一次粒子の平均粒子径は、1μm以上であることが好ましく、1.2μm以上がより好ましく、1.4μm以上が特に好ましい。一次粒子の平均粒子径が上記下限値以上であると、粒子界面の増加を抑制でき、低抵抗の正極を製造できる。
本実施形態において、一次粒子の平均粒子径は下記の方法により求める。
まず、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を、サンプルステージ上に貼った導電性シート上に載せ、日本電子株式会社製JSM−5510を用いて、加速電圧が20kVの電子線を照射してSEM観察を行う。SEM観察により得られた画像(SEM写真)から任意に50個の一次粒子を抽出し、それぞれの一次粒子について、一次粒子の投影像を一定方向から引いた平行線ではさんだ平行線間の距離(定方向径)を一次粒子の粒子径として測定する。得られた一次粒子の粒子径の算術平均値を、リチウム遷移金属複合酸化物粉末の平均一次粒子径とする。
≪組成式(I)≫
本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末は、下記組成式(I)で表されることが好ましい。
Li[Li(Ni(1−y−z−w)CoMn1−x]O ・・・(I)
(ただし、−0.1≦x≦0.2、0≦y≦0.4、0≦z≦0.4、0≦w≦0.1、y+z+w<1、MはFe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、La及びVからなる群より選択される1種以上の元素を表す。)
サイクル特性がよいリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるxは0を超えることが好ましく、0.01以上であることがより好ましく、0.02以上であることがさらに好ましい。また、初回クーロン効率がより高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるxは0.1以下であることが好ましく、0.08以下であることがより好ましく、0.06以下であることがさらに好ましい。
xの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、0<x≦0.2であることが好ましく、0<x≦0.1であることがより好ましい。
放電容量が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)において、0<y+z+w≦0.5であることが好ましく、0<y+z+w≦0.25であることがより好ましく、0<y+z+w≦0.2であることがさらに好ましい。
また、電池の内部抵抗が低いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるyは0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.06以上であることがさらに好ましい。また、熱的安定性が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるyは0.35以下であることがより好ましく、0.3以下であることがさらに好ましい。
yの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、0<y≦0.4であることが好ましい。
また、サイクル特性が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるzは0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましく、0.04以上であることがさらに好ましい。また、高温(例えば60℃環境下)での保存性が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるzは0.4以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.3以下であることがさらに好ましい。
zの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
前記組成式(I)におけるMはFe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、La及びVからなる群より選択される1種以上の金属を表す。
これらの金属であれば、内部抵抗が低く、放電レート特性とサイクル特性に優れた正極を製造できる。
また、サイクル特性が高いリチウム二次電池を得る観点から、組成式(I)におけるMは、Ti、Mg、Al、W、B、Zrからなる群より選択される1種以上の金属であることが好ましく、熱的安定性が高いリチウム二次電池を得る観点から、Al、W、B、Zrからなる群より選択される1種以上の金属であることが好ましい。
また、電池の内部抵抗が低いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるwは0であってもよいが、0を超えることが好ましく、0.0005以上であることがより好ましく、0.001以上であることがさらに好ましい。また、高い放電レート特性を示すリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるwは0.09以下であることが好ましく、0.08以下であることがより好ましく、0.07以下であることがさらに好ましい。
wの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
≪BET比表面積≫
本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末のBET比表面積は、0.1m/g以上3m/g以下であることが好ましい。BET比表面積は、0.2m/g以上が好ましく、0.3m/g以上がより好ましく、0.5m/g以上が特に好ましい。また、2.5m/g以下が好ましく、2.0m/g以下、1.8m/g以下が特に好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
BET比表面積は下記の方法により測定できる。リチウム遷移金属複合酸化物粉末1gを窒素雰囲気中、105℃で30分間乾燥させた後、マウンテック社製Macsorb(登録商標)を用いて測定する。
≪平均粒子径≫
本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末の平均粒子径(D50)は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
平均粒子径(D50)は、1.1μm以上が好ましく、1.2μm以上がより好ましく、1.3μm以上が特に好ましい。また、4.9μm以下が好ましく、4.8μm以下がより好ましく、4.7μm以下が特に好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。組み合わせの例としては、1.1μm以上4.9μm以下、1.2μm以上4.8μm以下、1.3μm以上4.7μm以下が挙げられる。
(層状構造)
本実施形態において、リチウム遷移金属複合酸化物粉末の結晶構造は、層状構造であり、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましい。
六方晶型の結晶構造は、P3、P3、P3、R3、P−3、R−3、P312、P321、P312、P321、P312、P321、R32、P3m1、P31m、P3c1、P31c、R3m、R3c、P−31m、P−31c、P−3m1、P−3c1、R−3m、R−3c、P6、P6、P6、P6、P6、P6、P−6、P6/m、P6/m、P622、P622、P622、P622、P622、P622、P6mm、P6cc、P6cm、P6mc、P−6m2、P−6c2、P−62m、P−62c、P6/mmm、P6/mcc、P6/mcm、P6/mmcからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
また、単斜晶型の結晶構造は、P2、P2、C2、Pm、Pc、Cm、Cc、P2/m、P2/m、C2/m、P2/c、P2/c、C2/cからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
これらのうち、放電容量が高いリチウム二次電池を得るため、結晶構造は、空間群R−3mに帰属される六方晶型の結晶構造、又はC2/mに帰属される単斜晶型の結晶構造であることが特に好ましい。
<ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末>
本実施形態は、下記要件(イ)及び(ロ)を満たすニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末である。本実施形態のニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末は、リチウム二次電池用正極活物質の前駆体として好適に使用できる。
要件(イ):45MPaの圧力で前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末を圧縮したときのプレス密度Xと、前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末のタップ密度Yとの比(X/Y)が、1.5以上2.5以下である。
要件(ロ):前記プレス密度Xは、1.8g/cmを超える。
・要件(イ)
本実施形態のニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末は、45MPaの圧力で圧縮したときのプレス密度Xと、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末のタップ密度Yとの比(X/Y)が、1.5以上2.5以下であり、1.55以上2.45以下が好ましく、1.6以上2.4以下がより好ましく、1.65以上2.35以下が特に好ましい。
前記プレス密度Xは、前記リチウム遷移金属複合酸化物粉末の要件(1)において説明した、プレス密度の測定方法と同様の方法により測定できる。
・要件(ロ)
本実施形態のニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末は、プレス密度Xは、1.8g/cmを超え、1.85g/cm以上が好ましく、1.9g/cm以上がより好ましく、2.0g/cm以上が特に好ましい。また、プレス密度Xの上限値は限定されないが、一例をあげると、2.7g/cm以下が挙げられる。
ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末のタップ密度は限定されないが、一例をあげると、0.8g/cm以上1.6g/cm以下が挙げられる。
要件(イ)及び(ロ)を満たすニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末を用いて、前記要件(1)及び(2)を満たすリチウム遷移金属複合酸化物粉末を製造することができる。
≪ニッケル含有遷移金属複合水酸化物の金属組成比≫
本実施形態のニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末は、金属元素のモル比率を表す下記式(II)において、0≦a≦0.4、0≦b≦0.4、0≦c≦0.1であることが好ましい。
Ni:Co:Mn:M=(1−a−b−c):a:b:c ・・・(II) (ただし、Mは、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、La及びVからなる群より選択される1種以上の元素である。)
・a
前記式(II)におけるaは、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.06以上が特に好ましい。また、aは0.40以下が好ましく、0.35以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましい。
・b
前記式(II)におけるbは、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.04以上が特に好ましい。また、bは0.40以下が好ましく、0.35以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましい。
・c
前記式(II)におけるcは、0であってもよいが、0を超えることが好ましく、0.0005以上がより好ましく、0.001以上が特に好ましい。また、cは0.09以下が好ましく、0.08以下がより好ましく、0.07以下が特に好ましい。
・M
前記式(II)におけるMは、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、La及びVからなる群より選択される1種以上の元素である。
ニッケル遷移金属複合水酸化物の組成式は、前記式(II)におけるa、b、cおよび元素Mを用いてNi1−a−b−cCoMn (OH)2+dと表すことができる。前記dは各金属元素の水酸化物がとりうる化学組成によって適宜調整される。dは、−0.2以上0.4以下が好ましく、−0.1以上0.35以下がより好ましく、0以上0.3以下が特に好ましい。
<リチウム遷移金属複合酸化物粉末の製造方法>
本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末の製造方法について説明する。
本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物粉末の製造方法は、以下の(1)、(2)、(3)をこの順で含む製造方法であることが好ましい。
(1)前駆体であるニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末の製造工程。
(2)前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末とリチウム化合物とを混合し、混合物を得る混合工程。
(3)前記混合物を焼成し、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得る工程。
[ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末の製造工程]
まず、リチウム以外の金属、すなわち、必須金属であるニッケルと、コバルト、マンガン、アルミニウムといった任意金属とを含むニッケル含有遷移金属複合水酸化物を調製する。前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を熱処理してニッケル含有遷移金属複合酸化物としてもよいが、本実施形態においては、前記式(II)で表されるニッケル含有遷移金属複合水酸化物を用いることが好ましい。
ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末は、通常公知のバッチ式共沈殿法又は連続式共沈殿法により製造することが可能である。以下、金属として、ニッケル、コバルト、マンガンを含むニッケル含有遷移金属複合水酸化物(以下、遷移金属複合水酸化物、またはニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と記載することがある。)を例に、その製造方法を詳述する。
まず、特開2002−201028号公報に記載された連続式共沈殿法により、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、マンガン塩溶液及び錯化剤を反応させ、前記式(II)で表される遷移金属複合水酸化物を製造する。
上記ニッケル塩溶液の溶質であるニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及び酢酸ニッケルのうちの何れかを使用することができる。
上記コバルト塩溶液の溶質であるコバルト塩としては、例えば硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト及び酢酸コバルトのうちの何れかを使用することができる。
上記マンガン塩溶液の溶質であるマンガン塩としては、例えば硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン及び酢酸マンガンのうちの何れかを使用することができる。
以上の金属塩は前記式(II)の組成比に対応する割合で用いられる。また、溶媒として水が使用される。
錯化剤としては、水溶液中で、ニッケル、コバルト及びマンガンのイオンと錯体を形成可能なものであり、例えばアンモニウムイオン供給体(硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、弗化アンモニウム等)、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ウラシル二酢酸及びグリシンが挙げられる。
沈殿に際しては、水溶液のpH値を調整するため、必要ならばアルカリ水溶液(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)を添加する。
反応槽内には不活性ガスを導入することが好ましく、不活性雰囲気であると、ニッケルよりも酸化されやすい元素が凝集してしまうことを抑制できる。よって、均一に一次粒子が成長し、前記要件(ロ)を満たす遷移金属複合水酸化物を得やすい。
また、反応槽内は、不活性雰囲気を保ちつつも、適度な酸素含有雰囲気または酸化剤存在下であってもよい。これは遷移金属を適度に酸化させることで、遷移金属複合水酸化物の形態を制御しやすくなるためである。酸素含有ガス中の酸素や酸化剤は、遷移金属を酸化させるために十分な酸素原子があればよい。多量の酸素原子を導入しなければ、反応槽内の不活性雰囲気を保つことができる。なお、反応槽内の雰囲気制御をガス種で行う場合、所定のガス種を反応槽内に通気するか、反応液を直接バブリングすればよい。
以上の反応後、得られた反応沈殿物を洗浄した後、乾燥させ、ニッケルコバルトマンガン複合化合物としてのニッケルコバルトマンガン水酸化物を単離する。
前記単離には、反応沈殿物を含むスラリー(共沈物スラリー)を遠心分離や吸引ろ過などで脱水する方法が好ましく用いられる。
前記脱水により得た反応沈殿物を、水またはアルカリが含まれる洗浄液で洗浄する。
本実施形態においては、アルカリが含まれる洗浄液で洗浄することが好ましく、水酸化ナトリウム溶液で洗浄することがより好ましい。
洗浄後の反応沈殿物を乾燥することで、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得ることができる。
・ニッケル含有遷移金属複合水酸化物の粉砕工程
本実施形態においては、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を粉砕する工程を有することが好ましい。粉砕工程により、前記要件(イ)及び(ロ)を満たすように制御できる。
前記要件(1)及び(2)を満たすリチウム遷移金属酸化物を得たときに放電レート特性およびサイクル特性をさらに向上することができる。
粉砕工程は、気流式粉砕機、分級機構付衝突式粉砕機、ピンミル、ボールミル、ジェットミル、分級ローター付カウンタージェットミルなどを用いて実施することが好ましい。
中でも気流式粉砕機であるジェットミルまたはカウンタージェットミルによって粉砕すると、一次粒子間の凝集を解いて粉砕することができる。
気流式粉砕機による粉砕工程を例にあげると、粉砕ガスの圧力が0.4MPa〜0.8MPaの範囲で粉砕すると、前記要件(イ)及び(ロ)を満たすニッケル含有遷移金属複合水酸化物を得ることができる。
粉砕工程に次いで熱処理を行うことで、ニッケル含有遷移金属複合酸化物を得てもよい。熱処理は例えば酸化雰囲気において300℃〜650℃にて行えばよい。
[混合工程]
本工程は、リチウム化合物と、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物とを混合し、混合物を得る工程である。
・リチウム化合物
本発明に用いるリチウム化合物は、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウムのうち何れか一つ、又は、二つ以上を混合して使用することができる。これらの中では、水酸化リチウム及び炭酸リチウムのいずれか一方又は両方が好ましい。
また、水酸化リチウムが不純物として炭酸リチウムを含む場合には、水酸化リチウム中の炭酸リチウムの含有量は5質量%以下であることが好ましい。
前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物と、前記リチウム化合物との混合方法について説明する。
前記ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を乾燥させた後、リチウム化合物と混合する。乾燥条件は、特に制限されないが、例えば、下記の乾燥条件1)〜2)のいずれかが挙げられる。
1)ニッケル含有遷移金属複合水酸化物が酸化・還元されない条件。具体的には、酸化物同士、又は水酸化物同士で乾燥する条件である。
2)ニッケル含有遷移金属複合水酸化物が酸化される条件。具体的には、水酸化物から酸化物へ酸化する乾燥条件である。
酸化・還元がされない条件のためには、窒素、ヘリウム及びアルゴン等の不活性ガスを使用すればよく、水酸化物が酸化される条件では、酸素又は空気を使用して行えばよい。
また、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物が還元される条件としては、不活性ガス雰囲気下、ヒドラジン、亜硫酸ナトリウム等の還元剤を使用すればよい。
ニッケル含有遷移金属複合水酸化物の乾燥後に、適宜分級を行ってもよい。
以上のリチウム化合物とニッケル含有遷移金属複合水酸化物とを、最終目的物の組成比を勘案して混合する。たとえば、前記遷移金属複合酸化物又は遷移金属複合水酸化物に含まれる金属原子の数に対するリチウム原子の数の比が1.0より大きくなるようにリチウム塩と混合する。金属原子の数に対するリチウム原子の数の比は、1.05以上が好ましく、1.10以上がより好ましい。ニッケル含有遷移金属合金属水酸化物及びリチウム化合物の混合物を後の焼成工程において焼成することによって、リチウム−ニッケル含有遷移金属複合酸化物が得られる。
また、本実施形態において、リチウム化合物とニッケル含有遷移金属複合水酸化物の混合時に不活性溶融剤を添加してもよい。ニッケル含有遷移金属複合酸化物若しくはニッケル含有遷移金属複合水酸化物、リチウム塩及び不活性溶融剤を含む、不活性溶融剤含有混合物を焼成することにより、不活性溶融剤の存在下で、混合物を焼成することになる。不活性溶融剤の存在下で焼成することにより、一次粒子が凝集した粒子が生成することを抑制できる。
本実施形態に使用することができる不活性溶融剤は、焼成の際に混合物と反応し難いものであれば特に限定されない。本実施形態においては、Na、K、Rb、Cs、Ca、Mg、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素(以下、「A」と称する。)のフッ化物、Aの塩化物、Aの炭酸塩、Aの硫酸塩、Aの硝酸塩、Aのリン酸塩、Aの水酸化物、Aのモリブデン酸塩およびAのタングステン酸塩からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
不活性溶融剤は2種以上用いることもできる。2種以上用いる場合は、融点が下がることもある。また、これらの不活性溶融剤の中でも、より結晶性が高いリチウム遷移金属複合酸化物粉末を得るための不活性溶融剤としては、Aの炭酸塩および硫酸塩、Aの塩化物のいずれか又はその組み合わせであることが好ましい。また、Aとしては、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)のいずれか一方又は両方であることが好ましい。すなわち、上記の中で、とりわけ好ましい不活性溶融剤は、NaOH、KOH、NaCl、KCl、NaCO、KCO、NaSO、およびKSOからなる群より選ばれる1種以上である。
不活性溶融剤の添加量は、得られるリチウム遷移金属複合酸化物のタップ密度およびプレス密度を本実施形態の範囲とするために適宜調整すればよい。例えば、焼成時の不活性溶融剤の添加量はリチウム化合物100質量部に対して1質量部以上とすることができる。
[混合物を焼成し、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得る工程]
上記リチウム化合物と、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末との混合物の焼成温度としては、特に制限はないが、充電容量を高める観点から、600℃以上であることが好ましく、650℃以上であることがより好ましい。また、焼成温度としては、特に制限はないが、Liの揮発を防止でき、目標とする組成のリチウム遷移金属複合酸化物を得る意味で、1100℃以下であることが好ましく、1050℃以下であることがより好ましい。
焼成温度の上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
焼成温度を650℃以上1100℃以下の範囲とすることによって、特に高い充放電効率を示し、サイクル特性に優れたリチウム遷移金属複合酸化物を作製できる。焼成時間は、昇温開始から達温して温度保持が終了するまでの合計時間を1時間以上30時間以下とすることが好ましい。合計時間が30時間以下であると、Liの揮発を抑制でき、電池性能の劣化を抑制できる。合計時間が1時間以上であると、結晶の発達が良好に進行し、電池性能を向上させることができる。
混合工程において不活性溶融剤を添加した場合においても、焼成温度と合計時間は上記の範囲内で適宜調整すればよい。
なお、上記の焼成の前に、仮焼成を行うことも有効である。仮焼成の温度は、300〜900℃の範囲で、0.5〜10時間行うことが好ましい。仮焼成を行うことにより、焼成時間を短縮することができることもある。
また、焼成には、所望の組成に応じて大気、乾燥空気、酸素雰囲気、不活性雰囲気等が用いられ、必要ならば複数の加熱工程が実施される。
本発明において、「昇温開始」とは、仮焼成をする場合には仮焼成の昇温開始時点を、複数の加熱工程を含む場合には、最初の加熱工程の昇温開始時点を意味する。
・焼成物を洗浄する工程
混合工程において不活性溶融剤を添加した場合には、焼成後のリチウム遷移金属複合酸化物粉末を洗浄し、残留する不活性溶融剤を除去する。洗浄には、純水やアルカリ性洗浄液を用いることができる。アルカリ性洗浄液としては、例えば、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、LiCO(炭酸リチウム)、NaCO(炭酸ナトリウム)、KCO(炭酸カリウム)および(NHCO(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物並びにその水和物の水溶液を挙げることができる。また、アルカリとして、アンモニアを使用することもできる。
洗浄に用いる洗浄液の温度は、特に限定されないが15℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、8℃以下がさらに好ましい。洗浄液の温度を凍結しない上記範囲で制御することで、洗浄時にリチウム遷移金属複合酸化物粉末の結晶構造中から洗浄液中へのリチウムイオンの過度な溶出を抑制できる。
洗浄工程において、洗浄液とリチウム遷移金属複合酸化物粉末とを接触させる方法としては、各洗浄液の水溶液中に、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を投入して撹拌する方法や、各洗浄液の水溶液をシャワー水として、リチウム遷移金属複合酸化物にかける方法や、該洗浄液の水溶液中に、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を投入して撹拌した後、各洗浄液の水溶液からリチウム遷移金属複合酸化物粉末を分離し、次いで、各洗浄液の水溶液をシャワー水として、分離後のリチウム遷移金属複合酸化物粉末にかける方法が挙げられる。
洗浄後は、ろ過等により洗浄液からリチウム遷移金属複合酸化物を分離し、乾燥する工程を実施する。
・解砕工程
得たリチウム遷移金属複合酸化物は解砕することが好ましい。解砕工程により、前記要件(1)及び(2)を満たすように制御できる。
解砕工程は、気流式粉砕機、分級機構付衝突式粉砕機、ピンミル、ボールミル、ジェットミル、分級ローター付カウンタージェットミルなどを用いて実施することが好ましい。
中でもピンミルによって解砕すると、一次粒子の粉砕を避けつつ、一次粒子間の凝集を解砕することができる。
ピンミルによる解砕工程を例にあげると、回転数5000rpm以上の条件で解砕すると、前記要件(1)及び(2)を満たすリチウム遷移金属複合酸化物粉末を得ることができる。ピンミルの回転数は5000rpm以上が好ましく、10000rpm以上がより好ましい。
解砕後のリチウム遷移金属複合酸化物はピンミルへ再度投入し、繰り返し解砕処理を行ってもよい。
<リチウム二次電池>
次いで、リチウム二次電池の構成を説明しながら、本実施形態により製造されるリチウム遷移金属複合酸化物を用いたリチウム二次電池用正極活物質を、リチウム二次電池の正極活物質として用いた正極、およびこの正極を有するリチウム二次電池について説明する。
本実施形態のリチウム二次電池の一例は、正極および負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
図1A、図1Bは、本実施形態のリチウム二次電池の一例を示す模式図である。本実施形態の円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図1Aに示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1、一端に正極リード21を有する帯状の正極2、および一端に負極リード31を有する帯状の負極3を、セパレータ1、正極2、セパレータ1、負極3の順に積層し、巻回することにより電極群4とする。
次いで、図1Bに示すように、電池缶5に電極群4および不図示のインシュレーターを収容した後、缶底を封止し、電極群4に電解液6を含浸させ、正極2と負極3との間に電解質を配置する。さらに、電池缶5の上部をトップインシュレーター7および封口体8で封止することで、リチウム二次電池10を製造することができる。
電極群4の形状としては、例えば、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、円、楕円、長方形、角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた電池に対する規格であるIEC60086、又はJIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、セパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、ペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
以下、各構成について順に説明する。
(正極)
本実施形態の正極は、まず正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を調整し、正極合剤を正極集電体に担持させることで製造することができる。
(導電材)
本実施形態の正極が有する導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率および出力特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着力、および正極合剤内部の結着力がいずれも低下し、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。
正極合剤中の導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して5質量部以上20質量部以下であると好ましい。導電材として黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
(バインダー)
本実施形態の正極が有するバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。
この熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;を挙げることができる。
これらの熱可塑性樹脂は、2種以上を混合して用いてもよい。バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、正極合剤全体に対するフッ素樹脂の割合を1質量%以上10質量%以下、ポリオレフィン樹脂の割合を0.1質量%以上2質量%以下とすることによって、正極集電体との密着力および正極合剤内部の結合力がいずれも高い正極合剤を得ることができる。
(正極集電体)
本実施形態の正極が有する正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。なかでも、加工しやすく、安価であるという点でAlを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、正極合剤を正極集電体上で加圧成型する方法が挙げられる。また、有機溶媒を用いて正極合剤をペースト化し、得られる正極合剤のペーストを正極集電体の少なくとも一面側に塗布して乾燥させ、プレスし固着することで、正極集電体に正極合剤を担持させてもよい。
正極合剤をペースト化する場合、用いることができる有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミンなどのアミン系溶媒;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸メチルなどのエステル系溶媒;ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)などのアミド系溶媒;が挙げられる。
正極合剤のペーストを正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法および静電スプレー法が挙げられる。
以上に挙げられた方法により、正極を製造することができる。
(負極)
本実施形態のリチウム二次電池が有する負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、および負極活物質単独からなる電極を挙げることができる。
(負極活物質)
負極が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極活物質として使用可能な炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維および有機高分子化合物焼成体を挙げることができる。
負極活物質として使用可能な酸化物としては、SiO、SiOなど式SiO(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物;TiO、TiOなど式TiO(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの酸化物;V、VOなど式VO(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの酸化物;Fe、Fe、FeOなど式FeO(ここで、xは正の実数)で表される鉄の酸化物;SnO、SnOなど式SnO(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物;WO、WOなど一般式WO(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの酸化物;LiTi12、LiVOなどのリチウムとチタン又はバナジウムとを含有する複合金属酸化物;を挙げることができる。
負極活物質として使用可能な硫化物としては、Ti、TiS、TiSなど式TiS(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの硫化物;V、VS2、VSなど式VS(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの硫化物;Fe、FeS、FeSなど式FeS(ここで、xは正の実数)で表される鉄の硫化物;Mo、MoSなど式MoS(ここで、xは正の実数)で表されるモリブデンの硫化物;SnS2、SnSなど式SnS(ここで、xは正の実数)で表されるスズの硫化物;WSなど式WS(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの硫化物;Sbなど式SbS(ここで、xは正の実数)で表されるアンチモンの硫化物;Se、SeS、SeSなど式SeS(ここで、xは正の実数)で表されるセレンの硫化物;を挙げることができる。
負極活物質として使用可能な窒化物としては、LiN、Li3−xN(ここで、AはNiおよびCoのいずれか一方又は両方であり、0<x<3である。)などのリチウム含有窒化物を挙げることができる。
これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、1種のみ用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。また、これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、結晶質又は非晶質のいずれでもよい。
また、負極活物質として使用可能な金属としては、リチウム金属、シリコン金属およびスズ金属などを挙げることができる。
負極活物質として使用可能な合金としては、Li−Al、Li−Ni、Li−Si、Li−Sn、Li−Sn−Niなどのリチウム合金;Si−Znなどのシリコン合金;Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−Laなどのスズ合金;CuSb、LaNiSnなどの合金;を挙げることもできる。
これらの金属や合金は、例えば箔状に加工された後、主に単独で電極として用いられる。
上記負極活物質の中では、充電時に未充電状態から満充電状態にかけて負極の電位がほとんど変化しない(電位平坦性がよい)、平均放電電位が低い、繰り返し充放電させたときの容量維持率が高い(サイクル特性がよい)などの理由から、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛を主成分とする炭素材料が好ましく用いられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、又は微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンおよびポリプロピレンを挙げることができる。
(負極集電体)
負極が有する負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。なかでも、リチウムと合金を作り難く、加工しやすいという点で、Cuを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
このような負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様に、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法が挙げられる。
(セパレータ)
本実施形態のリチウム二次電池が有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。
本実施形態において、セパレータは、電池使用時(充放電時)に電解質を良好に透過させるため、JIS P 8117で定められるガーレー法による透気抵抗度が、50秒/100cc以上、300秒/100cc以下であることが好ましく、50秒/100cc以上、200秒/100cc以下であることがより好ましい。
また、セパレータの空孔率は、好ましくは30体積%以上80体積%以下、より好ましくは40体積%以上70体積%以下である。セパレータは空孔率の異なるセパレータを積層したものであってもよい。
(電解液)
本実施形態のリチウム二次電池が有する電解液は、電解質および有機溶媒を含有する。
電解液に含まれる電解質としては、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(COCF)、Li(CSO)、LiC(SOCF、Li10Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateのことである。)、LiFSI(ここで、FSIはbis(fluorosulfonyl)imideのことである)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlClなどのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。なかでも電解質としては、フッ素を含むLiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(SOCFおよびLiC(SOCFからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
また前記電解液に含まれる有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、又はこれらの有機溶媒にさらにフルオロ基を導入したもの(有機溶媒が有する水素原子のうち1以上をフッ素原子で置換したもの)を用いることができる。
有機溶媒としては、これらのうちの2種以上を混合して用いることが好ましい。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒および環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。このような混合溶媒を用いた電解液は、動作温度範囲が広く、高い電流レートにおける充放電を行っても劣化し難く、長時間使用しても劣化し難く、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという多くの特長を有する。
また、電解液としては、得られるリチウム二次電池の安全性が高まるため、LiPFなどのフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテルなどのフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、高い電流レートにおける充放電を行っても容量維持率が高いため、さらに好ましい。
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖又はポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLiS−SiS、LiS−GeS、LiS−P、LiS−B、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiSO、LiS−GeS−Pなどの硫化物を含む無機系固体電解質が挙げられ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。これら固体電解質を用いることで、リチウム二次電池の安全性をより高めることができることがある。
また、本実施形態のリチウム二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
以上のような構成の正極活物質は、上述した本実施形態により製造されるリチウム遷移金属複合酸化物を用いているため、正極活物質を用いたリチウム二次電池の放電レート特性およびサイクル特性を向上させることができる。
また、以上のような構成の正極は、上述した構成のリチウム二次電池用正極活物質を有するため、リチウム二次電池の放電レート特性およびサイクル特性を向上させることができる。
さらに、以上のような構成のリチウム二次電池は、上述した正極を有するため、放電レート特性およびサイクル特性を向上させることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
・プレス密度の測定方法
プレス密度は、図2に示すプレス密度測定装置40を用いて測定した。
まず、治具41に治具42を嵌合させ、治具41にフランジ部422が接触した状態で、内部空間41aに測定対象の粉末Xを3g充填した。次いで、治具41に治具43を嵌合させ、栓部431の先端を粉末Xに接触させた。
次いで、プレス機を用いて治具43に荷重Fを加え、治具43を介して内部空間41aの粉末Xに圧力を加えた。
治具43が粉末Xに接触する接触面43Aの面積は177mmであり、荷重Fは8kNとした。荷重Fは1分間かけた。
荷重を停止し解放した後、治具43と、治具41との隙間Lxの長さを測定した。粉末Xの厚みを下記式(P1)により算出した。
粉末Xの厚み(mm)=L+L−L−L・・・(P1)
式(P1)中、Lは、円筒状の治具41の高さである。Lは、治具41と、治具43との隙間の長さである。Lは、治具43の栓部431の高さである。Lは、治具42の栓部421の高さである。
得られた粉末Xの厚みの厚みから、プレス密度Aを下記の式(P2)により算出した。
プレス密度A=粉末質量÷粉末体積 ・・・(P2)
式(P2)中、粉末重量とは、図2に示す密度測定装置40に充填した粉末Xの質量(g)である。
式(P2)中、粉末体積とは、上記の式(P1)により算出した粉末Xの厚み(mm)と、治具43が粉末Xに接触する接触面43Aの面積との積である。
≪タップ密度の測定≫
JIS R 1628−1997記載の方法により測定した。
≪プレス密度とタップ密度の比≫
上記の方法により測定したプレス密度とタップ密度の比を求めた。下記表1中、「A」はプレス密度を意味する。「B」はタップ密度を意味する。「A/B」はプレス密度とタップ密度の比を意味する。
≪組成分析≫
後述の方法で製造されるリチウム遷移金属複合酸化物粉末の組成分析は、各々得られた前記粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて行った。
≪一次粒子径の測定≫
リチウム遷移金属複合酸化物粉末を、サンプルステージ上に貼った導電性シート上に載せ、日本電子株式会社製JSM−5510を用いて、加速電圧が20kVの電子線を照射してSEM観察を行った。5000倍の倍率のSEM観察により得られた画像(SEM写真)から任意に50個の一次粒子を抽出し、それぞれの一次粒子について、一次粒子の投影像を一定方向から引いた平行線ではさんだ平行線間の距離(定方向径)を一次粒子の粒子径として測定した。得られた一次粒子の粒子径の算術平均値を、リチウム遷移金属複合酸化物粉末の平均一次粒子径とする。
≪BET比表面積の測定≫
リチウム遷移金属複合酸化物粉末1gを窒素雰囲気中、105℃で30分間乾燥させた後、マウンテック社製Macsorb(登録商標)を用いて測定した。
≪平均粒子径の測定≫
レーザー回折粒度分布計(株式会社堀場製作所製、型番:LA−950)を用い、リチウム遷移金属複合酸化物0.1gを、0.2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液50mlに投入し、該粉末を分散させた分散液を得た。得られた分散液について粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得る。得られた累積粒度分布曲線において、50%累積時の微小粒子側から見た粒子径(D50)の値を、リチウム遷移金属複合酸化物の平均粒子径とする。
<リチウム二次電池用正極の作製>
後述する製造方法で得られるリチウム遷移金属複合酸化物と導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、リチウム遷移金属複合酸化物:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合剤の調製時には、N−メチル−2−ピロリドンを有機溶媒として用いた。
得られた正極合剤を、集電体となる厚さ40μmのAl箔に塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、リチウム二次電池用正極を得た。このリチウム二次電池用正極の電極面積は1.65cmとした。
<リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製>
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
<リチウム二次電池用正極の作製>で作製したリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上にセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルム)を置いた。ここに電解液を300μl注入した。電解液は、エチレンカーボネート(以下、ECと称することがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCと称することがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCと称することがある。)の30:35:35(体積比)混合液に、LiPF6を1.0mol/lとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)を用いた。
次に、負極として金属リチウムを用いて、前記負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池(コイン型ハーフセルR2032。以下、「ハーフセル」と称することがある。)を作製した。
・充放電試験
上記の方法で作製したハーフセルを用いて、初期充放電後に、放電レート試験とサイクル試験を実施し、放電レート特性、およびサイクル特性を評価した。
前記初期充放電は、試験温度25℃において、充放電ともに電流0.2CAにてそれぞれ定電流定電圧充電と定電流放電を行った。組成式(I)において1−y−z−w≧0.8の場合、充電最大電圧4.35V、放電最小電圧2.8Vとし、組成式(I)において1−y−z−w<0.8の場合、充電最大電圧4.3V、放電最小電圧2.5Vとした。
・・放電レート試験
(組成式(I)において1−y−z−w≧0.8の場合)
試験温度25℃
充電最大電圧4.35V、充電電流1CA、定電流定電圧充電
放電最小電圧2.8V、放電電流0.2CAまたは10CA、定電流放電 (組成式(I)において1−y−z−w<0.8の場合)
試験温度25℃
充電最大電圧4.3V、充電電流1CA、定電流定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流0.2CAまたは10CA、定電流放電
0.2CAで定電流放電させたときの放電容量と10CAで定電流放電させたときの放電容量とを用い、以下の式で求められる10CA/0.2CA放電容量比率を求め、放電レート特性の指標とする。10CA/0.2CA放電容量比率が高ければ高いほど、放電レート特性が高く、リチウム二次電池が高出力を示すことを意味する。
・・10CA/0.2CA放電容量比率
10CA/0.2CA放電容量比率(%)
=10CAにおける放電容量/0.2CAにおける放電容量×100
放電レート試験に次いでサイクル試験を実施した。以下に示す条件で充放電サイクルを50回繰り返した。
・・サイクル試験
(組成式(I)において1−y−z−w≧0.8の場合)
試験温度25℃
充電最大電圧4.35V、充電電流0.5CA、定電流定電圧充電
放電最小電圧2.8V、放電電流1CA、定電流放電 (組成式(I)において1−y−z−w<0.8の場合)
試験温度25℃
充電最大電圧4.3V、充電電流1CA、定電流定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流1CA、定電流放電
1サイクル目の放電容量サイクル初期容量とし、50サイクル目の放電容量をサイクル初期容量で割った値を算出し、この値をサイクル維持率とした。
[実施例1−1]
・リチウム遷移金属複合酸化物1の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、反応槽内へ窒素ガスを導入した。反応槽内の液温は、70℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、ニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子との原子比が0.88:0.08:0.04となるように混合して、混合原料液1を調製した。
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液1と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の溶液のpHが11.4になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下した。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物1を得た。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物1は、平均粒子径16.7μm、タップ密度2.1g/cmであった。
ニッケル含有遷移金属複合水酸化物1を粉砕ガス圧0.6MPaに設定したカウンタージェットミルに投入し粉砕することで、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物2を得た。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物2は、平均粒子径1.7μm、タップ密度1.0g/cm、プレス密度2.0g/cmであった。
ニッケル含有遷移金属複合水酸化物2と水酸化リチウム一水和物粉末と硫酸カリウム粉末を、Li/(Ni+Co+Mn)=1.15(mol/mol)、KSO/(LiOH+KSO)=0.1(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下790℃で10時間焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得た。上記粉末と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末重量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水した。さらに、液温5℃に調整した純水を用いて、上記粉末の2倍重量のシャワー水で洗浄した後、脱水し、150℃で乾燥した。乾燥後、10000rpmの回転数で運転したピンミルに投入し、解砕することにより、リチウム遷移金属複合酸化物1を得た。リチウム遷移金属複合酸化物1の組成分析の結果、組成式(I)において、x=0.01、y=0.08、z=0.04、w=0であった。
[実施例1−2]
・リチウム遷移金属複合酸化物2の製造
実施例1−1の過程で得たニッケル含有遷移金属複合水酸化物2と水酸化リチウム一水和物粉末と硫酸カリウム粉末を、Li/(Ni+Co+Mn)=1.26(mol/mol)、KSO/(LiOH+KSO)=0.1(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下790℃で10時間焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得た。上記粉末と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末重量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水した。さらに、液温5℃に調整した純水を用いて、上記粉末の2倍重量のシャワー水で洗浄した後、脱水し、150℃で乾燥した。乾燥後、10000rpmの回転数で運転したピンミルに投入し、解砕することにより、リチウム遷移金属複合酸化物2を得た。リチウム遷移金属複合酸化物2の組成分析の結果、組成式(I)において、x=0.02、y=0.08、z=0.04、w=0であった。
[実施例1−3]
・リチウム遷移金属複合酸化物3の製造
実施例1−1の過程で得たニッケル含有遷移金属複合水酸化物2と水酸化リチウム一水和物粉末と硫酸カリウム粉末を、Li/(Ni+Co+Mn)=1.26(mol/mol)、KSO/(LiOH+KSO)=0.1(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下820℃で10時間焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得た。上記粉末と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末重量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水した。さらに、液温5℃に調整した純水を用いて、上記粉末の2倍重量のシャワー水で洗浄した後、脱水し、150℃で乾燥した。乾燥後、10000rpmの回転数で運転したピンミルに投入し、解砕することにより、リチウム遷移金属複合酸化物3を得た。リチウム遷移金属複合酸化物3の組成分析の結果、組成式(I)において、x=0.02、y=0.08、z=0.04、w=0であった。
[比較例1]
・リチウム遷移金属複合酸化物4の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、反応槽内に窒素ガスを導入した。反応槽内の液温は、50℃に保持した。
実施例1−1と同様に、硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、ニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子との原子比が0.88:0.08:0.04となるように混合して、混合原料液1を調製した。
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液1と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の溶液のpHが12.4になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物3を得た。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物3は、平均粒子径3.3μm、タップ密度1.5g/cm、プレス密度2.0g/cmであった。
ニッケル含有遷移金属複合水酸化物3と水酸化リチウム一水和物粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.10(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下760℃で6時間焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得た。上記粉末と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末重量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水し、150℃で乾燥することにより、リチウム遷移金属複合酸化物4を得た。リチウム遷移金属複合酸化物4の組成分析の結果、組成式(I)において、x=0.01、y=0.08、z=0.04、w=0であった。
[実施例2−1]
・リチウム遷移金属複合酸化物5の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、反応槽内に窒素ガスを導入した。反応槽内の液温は50℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、ニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子との原子比が0.91:0.07:0.02となるように混合して、混合原料液2を調整した。
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液2と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の溶液のpHが12.5になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物4を得た。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物4は、平均粒子径2.9μm、タップ密度1.5g/cm、プレス密度2.1g/cmであった。
ニッケル含有遷移金属複合水酸化物4を粉砕ガス圧0.8MPaに設定したジェットミルに投入し粉砕することで、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物5を得た。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物5は、平均粒子径1.9μm、タップ密度1.4g/cm、プレス密度2.1g/cmであった。
ニッケル含有遷移金属複合水酸化物5と水酸化リチウム一水和物粉末と硫酸カリウム粉末を、Li/(Ni+Co+Mn)=1.26(mol/mol)、KSO/(LiOH+KSO)=0.1(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下790℃で10時間焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得た。上記粉末と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末重量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水した。さらに、液温5℃に調整した純水を用いて、上記粉末の2倍重量をシャワー水として加えた後、脱水し、150℃で乾燥した。乾燥後、10000rpmの回転数で運転したピンミルに投入し、解砕することにより、リチウム遷移金属複合酸化物5を得た。リチウム遷移金属複合酸化物5の組成分析の結果、組成式(I)においてx=0.01、y=0.07、z=0.02、w=0であった。
[実施例2−2]
・リチウム遷移金属複合酸化物6の製造
実施例2−1の過程で得たニッケル含有遷移金属複合水酸化物4と水酸化リチウム一水和物粉末と硫酸カリウム粉末を、Li/(Ni+Co+Mn)=1.26(mol/mol)、KSO/(LiOH+KSO)=0.1(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下790℃で10時間焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得た。上記粉末と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末重量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水した。さらに、液温5℃に調整した純水を用いて、上記粉末の2倍重量をシャワー水として加えた後、脱水し、150℃で乾燥した。乾燥後、10000rpmの回転数で運転したピンミルに投入し、解砕することにより、リチウム遷移金属複合酸化物6を得た。リチウム遷移金属複合酸化物6の組成分析の結果、組成式(I)においてx=0.02、y=0.07、z=0.02、w=0であった。
[比較例2]
・リチウム遷移金属複合酸化物7の製造
実施例2−1の過程で得たニッケル含有遷移金属複合水酸化物4と水酸化リチウム一水和物粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.10(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下760℃で6時間焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得た。上記粉末と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末重量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水し、150℃で乾燥することにより、リチウム遷移金属複合酸化物7を得た。リチウム遷移金属複合酸化物7の組成分析の結果、組成式(I)においてx=0.01、y=0.07、z=0.02、w=0であった。
[実施例3]
・リチウム遷移金属複合酸化物8の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、反応槽内に窒素ガスを導入した。反応槽内の液温を30℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、ニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子との原子比が0.50:0.20:0.30となるように混合して、混合原料液3を調整した。
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液3と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の溶液のpHが11.9になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物6を得た。ニッケル含有遷移金属複合水酸化物6は、平均粒子径4.0μm、タップ密度2.0g/cm、プレス密度2.2g/cmであった。
ニッケル含有遷移金属複合水酸化物6と水酸化リチウム一水和物粉末と硫酸カリウム粉末を、Li/(Ni+Co+Mn)=1.15(mol/mol)、KSO/(LiOH+KSO)=0.1(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下940℃で5時間焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物粉末を得た。上記粉末と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末重量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水した。さらに、液温5℃に調整した純水を用いて、上記粉末の2倍重量のシャワー水で洗浄した後、脱水し、150℃で乾燥した。乾燥後、10000rpmの回転数で運転したピンミルに投入し、解砕することにより、リチウム遷移金属複合酸化物8を得た。リチウム遷移金属複合酸化物8の組成分析の結果、組成式(I)においてx=0.06、y=0.20、z=0.30、w=0であった。
[比較例3]
・リチウム遷移金属複合酸化物9の製造
実施例3の過程で得たニッケル含有遷移金属複合水酸化物6と水酸化リチウム一水和物粉末と硫酸カリウム粉末を、Li/(Ni+Co+Mn)=1.26(mol/mol)となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下940℃で5時間焼成して、リチウム金属複合酸化物粉末を得た。上記粉末と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末重量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水した。さらに、液温5℃に調整した純水を用いて、上記粉末の2倍重量をシャワー水として加えた後、脱水し、150℃で乾燥し、リチウム遷移金属複合酸化物9を得た。
リチウム遷移金属複合酸化物9の組成分析の結果、組成式(I)においてx=0.10、y=0.20、z=0.30、w=0であった。
表1には実施例1−1〜1−3、比較例1、実施例2−1〜2−2、比較例2、実施例3、比較例3で得たリチウム遷移金属複合酸化物1〜9のプレス密度(A)、タップ密度(B)、A/B、BET比表面積、平均粒子径を示す。表2には、リチウム遷移金属複合酸化物1〜9を用いたコイン型ハーフセルの放電レート試験、サイクル試験の結果を示す。
表3には実施例1−1〜1−3、比較例1、実施例2−1〜2−2、比較例2、実施例3、比較例3に使用したニッケル含有遷移金属複合水酸化物2、3、4、5、6のプレス密度(X)、タップ密度(Y)、X/Yの値を示す。
Figure 2020100549
Figure 2020100549
Figure 2020100549
表1に示したとおり、本発明を適用したリチウム遷移金属複合酸化物である実施例1−1と実施例1−2と実施例1−3は、比較例1に対して放電レート特性およびサイクル特性が良好であった。同様に、実施例2−1と実施例2−2が比較例2に対して、また、実施例3が比較例3に対して、放電レート特性とサイクル維持率が良好であった。
本発明を適用したニッケル含有遷移金属複合水酸化物より得られたリチウム遷移金属複合酸化物と、本発明を適用していないニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末より得られたリチウム遷移金属複合酸化物を比較すると、実施例1−1と実施例1−2と実施例1−3が比較例1に対して、実施例2−1が実施例2−2、比較例2に対して、放電レート特性とサイクル特性が良好であった。
1…セパレータ、2…正極、3…負極、4…電極群、5…電池缶、6…電解液、7…トップインシュレーター、8…封口体、10…リチウム二次電池、21…正極リード、31…負極リード

Claims (10)

  1. 下記要件(1)及び(2)を満たすリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
    要件(1):45MPaの圧力でリチウム遷移金属複合酸化物粉末を圧縮したときのプレス密度Aと、リチウム遷移金属複合酸化物粉末のタップ密度Bとの比(A/B)が、1.8以上3.5以下である。
    要件(2):前記プレス密度Aは、2.7g/cmを超える。
  2. 前記リチウム遷移金属複合酸化物粉末は一次粒子を含み、前記一次粒子の平均粒子径は、1.0μm以上である、請求項1に記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
  3. 下記式(I)を満たす、請求項1又は2に記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
    Li[Li(Ni(1−y−z−w)CoMn1−x]O ・・・(I)
    (ただし、−0.1≦x≦0.2、0≦y≦0.4、0≦z≦0.4、0≦w≦0.1、y+z+w<1、MはFe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、La及びVからなる群より選択される1種以上の元素を表す。)
  4. BET比表面積が0.1m/g以上3m/g以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
  5. 粒度分布測定における平均粒子径(D50)が1μm以上5μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末。
  6. 下記要件(イ)及び(ロ)を満たすニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末。
    要件(イ):45MPaの圧力でニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末を圧縮したときのプレス密度Xと、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末のタップ密度Yとの比(X/Y)が、1.5以上2.5以下である。
    要件(ロ):前記プレス密度Xは、1.8g/cmを超える。
  7. 金属元素のモル比率を表す下記式(II)において、0≦a≦0.4、0≦b≦0.4、0≦c≦0.1である、請求項6に記載のニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末。
    Ni:Co:Mn:M=(1−a−b−c):a:b:c ・・・(II) (ただし、Mは、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、La及びVからなる群より選択される1種以上の元素である。)
  8. 請求項1〜5の何れか1項に記載のリチウム遷移金属複合酸化物粉末を含有するリチウム二次電池用正極活物質。
  9. 請求項8に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用正極。
  10. 請求項9に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
JP2019234809A 2019-12-25 2019-12-25 リチウム遷移金属複合酸化物粉末、ニッケル含有遷移金属複合水酸化物粉末、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池 Active JP7235650B2 (ja)

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