JP2019001880A - 均一延伸性を有するポリエチレンナフタレート系樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
<A成分について>
本発明のA成分であるポリエチレンナフタレート系樹脂は、ジカルボン酸成分が、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル誘導体80〜100モル%並びにテレフタル酸、イソフタル酸およびこれらのエステル誘導体からなる群より選ばれる1種0〜20モル%からなり、ジオール成分がエチレングリコールからなるポリエチレンナフタレート系樹脂である。
本発明の樹脂組成物を構成するカルボジイミド化合物は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に有する化合物である。
更に、そのカルボジイミドは環状であることがより好ましい。環状であることにより、イソシアネートガスの発生が抑制でき、作業環境が良くなる。
環状カルボジイミド化合物において、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
かかる環状カルボジイミド化合物としては、下記化合物を挙げることができる。
本発明に使用されるエポキシ化合物はグリシジルエーテルエステル系エポキシ化合物である。理由が定かではないが、グリシジルエーテルエステル系エポキシ化合物を用いることで、エーテルエポキシとエステルエポキシの反応速度が異なることにより、ゲル化を抑えることができると推測される。
上記オキシナフトエ酸グリシジルエーテルエステの中でも下記式(2)で表される化合物が好ましく用いられる。
なお、本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨に反しない範囲で、加熱助剤、酸化防止剤、離型剤等の各添加剤を含むことが出来る。
本発明の樹脂組成物は、ブロー成形時の赤外線(IR)ヒーターによる加熱効率を良くし、加熱時間を短縮する目的で、加熱助剤を含むことが出来る。かかる加熱助剤としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムおよび酸化イモニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系や酸化タングステン系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。かかるフタロシアニン系近赤外線吸収剤としてはたとえば三井化学(株)製MIR−362が市販され容易に入手可能である。炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然、および人工のいずれも含む)およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単体または2種以上を併用して使用することができる。フタロシアニン系近赤外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部に対し、0.0005〜0.2重量部が好ましく、0.0008〜0.1重量部がより好ましく、0.001〜0.07重量部がさらに好ましい。上記含有量が0.0005重量部より少ない場合は加熱助剤としての効果が十分に得られずに、ブロー成形時のプリフォームの加熱に時間を多く要する場合がある。また、かかる含有量が0.2重量部よりも多い場合、ブロー成形の過熱時に加熱助剤がブリードアウトする場合がある。金属酸化物系近赤外線吸収剤、金属ホウ化物系近赤外線吸収剤、酸化タングステン系赤外線吸収剤および炭素フィラーの含有量は、樹脂組成物中、0.1〜500ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜300ppmの範囲がより好ましい。上記含有量が0.1ppmより少ない場合は加熱助剤としての効果が十分に得られずに、ブロー成形時のプリフォームの加熱に時間を多く要する場合がある。また、かかる含有量が500ppmよりも多い場合、樹脂成分が大きく分解する場合がある。
本発明の樹脂組成物は酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、およびチオエーテル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤を配合することにより、成形加工時の色相や流動性が安定するだけでなく、耐加水分解性の向上にも効果がある。
本発明の樹脂組成物は離型剤を含むことができる。離型剤として具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、パラフィン、低分子量のポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸部分鹸化エステル、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルおよび変性シリコーン等を挙げることができる。これらを配合することで機械特性、成形性、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、通常ペレットとして得られ、これを原料としてプリフォームを成形する。成形方法は、射出成形、プレス成形、押出成形など各種成形方法を選択出来るが、プリフォームを結晶化させずに急冷する観点から、射出成形、プレス成形が好ましい。射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、急速加熱冷却金型成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。例えばブロー成形用のプリフォームの射出成形であれば、各ペレットを130〜170℃の熱風乾燥機で5時間以上予備乾燥した後、シリンダ温度260〜300℃で溶融し、射出成形するのが好ましい。予備乾燥温度が130℃未満では乾燥が不十分となり、ペレット中に残存した水分によって樹脂分解を起こし、固有粘度が安定しない場合があり、予備乾燥温度が170℃より高いとペレットが黄変し、成形体の外観が損なわれる場合がある。成形する際の金型温度は5〜40℃が好ましく、10〜30℃が更に好ましい。金型温度が5℃未満では、金型の結露により成形品にシルバーなどの外観が多発する場合があり、金型温度が40℃を超えると成形品の結晶化が進み、ブロー成形の際に容器が破損する場合がある。
本発明の容器の作製方法は、任意の方法が採用される。例えば、ダイレクトブロー成形、押出ダイレクトブロー成形、1ステージの2軸延伸ブロー成形、2ステージの2軸延伸ブロー成形などを挙げることができるが、2ステージの2軸延伸ブロー成形が好ましい。
(1).ゲル化
下記(ISO試験片の成形)に記載のISO試験片の成形時のトルクと成形品の外観によりゲル化の状況を確認し、下記の基準で評価した。ゲル化した場合、均一延伸性が悪化する。
○ ・・・ 成形時にトルク上昇がほとんど無く、ゲル化がほとんど見られない。
× ・・・ 成形時にトルク上昇が有り、ゲル化が見られる。
×× ・・・ 成形時に著しくトルクが上昇し、激しいゲル化が見られる。
150℃で10分間予備加熱したISO引張試験片を恒温槽付の引張試験機(島津製作所(製)AG−10KNX)にチャック間距離110mmで取り付けた。恒温槽内の温度が150℃に到達してから6分後に試験速度1000mm/minにて試験を開始し、引張試験のSSカーブを得た。
(I)延伸ブロー成形性
試験片を330mmまで延伸させ、下記の基準で評価した。
○ ・・・ 試験片が切れずに330mmまで延伸できた。
× ・・・ 試験片が330mmに到達する前に切断した。
(II)均一延伸性
(i)歪み硬化開始位置
得られたSSカーブは、実施例1〜3および比較例3〜5においては図1に示されるように初期の降伏歪みまでの立ち上がる領域(領域1)、中間のやや立下り部分(領域2)、立ち下り部分がほとんどない安定した領域(領域3)、最後の引張強度の立ち上がり領域(領域4)とに分けることができた。領域1と領域2の境を降伏歪みとし、その際の応力を降伏応力とした。なお、比較例1、2および6においては、中間のやや立下り部分(領域2)および立ち下り部分がほとんどない安定した領域(領域3)が観察されなかったため降伏応力は算出できなかった。次に、最後の引張強度の立ち上がり部分で線形近似曲線数式を導き出し、その線形近似曲線数式のピアソン積分相関係数Rの2乗であるR−2乗値が0.95以上で、傾きが0.01以上となる点の歪みを歪み硬化開始位置とした。歪み硬化開始位置が降伏歪みの後に存在することが好ましい。
(ii)降伏後応力低下率
初期の降伏歪みから歪み硬化開始位置までにおける最も低い応力値(最低応力値)を検出し、下記式(a)により降伏後応力低下率を算出した。降伏後応力低下率は18%以下であることが好ましい。
下記(ブロー成形)記載の方法でブロー成形を実施し、下記の評価を実施した。
(I)延伸ブロー成形性
○ ・・・ ブロー成形可能
× ・・・ ブロー成形不可能
(II)均一延伸性
○ ・・・ ボトル肉厚のバラつきが0.6mm未満である。
× ・・・ ボトル肉厚のバラつきが0.6mm以上である。
<A成分>
A−I:帝人(株)製 ポリエチレンナフタレート TN8065S
<B成分>
B−I:下記の製造例で製造された環状カルボジイミド
製造例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)環状カルボジイミド構造のNMRによる同定
NMRによる同定は、日本電子(株)製JNREX270を使用し、1H−NMR、13C−NMRによって確認した。尚、溶媒は重クロロホルムを用いた。
(2)カルボジイミド骨格のIRによる同定
カルボジイミド骨格の同定は、ニコレー(株)製Magna−750を使用し、FT−IRよってカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の吸収ピークを確認することで行った。
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
C−I:下記の製造例で製造されたグリシジルエーテルエステル系エポキシ化合物
[製造例2]
1Lの4口コルベンに6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸95.0gとエピクロロヒドリン467gとを仕込み、窒素気流下で80℃に昇温した。次いで、テトラメチルアンモニウムクロリドの50%水溶液を80℃で2時間かけて滴下し、同温度で1時間撹拌した。さらに、48%水酸化ナトリウム水溶液87.1gを80℃で3時間かけて滴下し、同温度で30分撹拌した後、エピクロロヒドリンを減圧蒸留により除去した。残渣にトルエン560gを加えて10分撹拌した後、析出物を濾過した。ろ液を水250gで洗浄した後、48%NaOH水溶液19gを加えて、1時間還流した。さらに水250gで洗浄した後、5%リン水溶液250gで洗浄し、再び水250gで洗浄した。トルエンを減圧蒸留によって除去し、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸グリシジルエーテルエステルの粗組成物105gを得た。
C−III:ナガセケムテックス(株)製 デナコール EX−711(グリシジルエステルエステル系エポキシ化合物)
A成分、B成分およびC成分を用いて、表1の組成をドライブレンドにて均一に予備混合した後、かかる予備混合物を第1供給口より供給し、溶融押出してペレット化した。ここで、第一供給口とは根元の供給口のことである。溶融押出は、サイドスクリューを備えた径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30α−38.5BW−3V]を用い実施した。また、押出温度は、C1/C2/C3/C4〜D=50℃/120℃/280℃/300℃とし、メインスクリュー回転数は200rpm、サイドスクリュー回転数は50rpm、吐出量は20kg/h、ベント減圧度は3kPaとした。
組成物ペレットを熱風循環式乾燥機で150℃で、5時間乾燥し、射出成形機(三菱重工業(株)製:80MSP−5)を使用して、シリンダー温度300℃、金型温度80℃にてISO527−1、ISO527−2に準拠して試験片を作成した。
成形時のトルクおよび成形で得られたISO試験片を用いて、前述のゲル化の評価を行った。また成形で得られたISO試験片を用いて前述の高温SS引張試験を行った。結果を表1に示す。
得られたペレットを160℃、5時間熱風乾燥機で乾燥した後、東芝機械(株)製EC160NII−4Yを使用し、シリンダ温度295℃、金型温度20℃、冷却時間20秒にて成形を行い、厚み4.2mmのプリフォームを得た。次に、フロンティア(株)製FDB−1Dをブロー機として用い、1.5L容器形状のブロー金型(縦2.3倍×横3.4倍)を用いて、下記の要領で前記プリフォームの2軸延伸ブロー成形を行った。100℃、1時間熱風乾燥機内で予備加熱を行ったプリフォームをブロー成形機内にセットし、プリフォーム表面温度が150℃になるようにIR加熱ヒーターの出力を設定し、本加熱を行った。続いて、ロッド延伸速度80%、1次ブロー遅延時間0.28秒、1次ブロー時間0.3秒、1次ブロー圧1.2MPa、2次ブロー時間1.2秒、2次ブロー圧3.4MPa、金型温度20℃の条件にて成形を行い、ブロー成形を行った。
各実施例、比較例について前述の延伸ブロー成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
本発明の請求範囲内にある樹脂組成物は、ゲル化せずに、高温SS引張試験で3倍延伸も可能であり、良好な延伸ブロー成形性を有し、かつ均一延伸性にも優れていた。
C成分としてエーテルエーテルタイプのエポキシまたはエステルエステルタイプのエポキシ化合物を使用したため、ゲル化するとともに、延伸ブロー成形性が悪化し、高温SS引張試験において降伏応力が算出できなかった。また、延伸ブロー成形もできなかった。
<比較例3>
C成分を含まないため、ゲル化することにより、均一延伸性に劣った。
<比較例4>
B成分を含まないため、均一延伸性に劣った。
<比較例5>
C成分の添加量が多いため、均一延伸性に劣った。
<比較例6>
B成分の添加量が多いため、ゲル化するとともに、延伸ブロー成形性が悪化し、高温SS引張試験において降伏応力が算出できなかった。また、延伸ブロー成形もできなかった。
Claims (5)
- (A)ポリエチレンナフタレート系樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)カルボジイミド化合物0.1〜4.9重量部(B成分)および(C)グリシジルエーテルエステル系エポキシ化合物(C成分)0.1〜4.9重量部を含有する樹脂組成物。
- C成分がナフタレン環を含有するグリシジルエーテルエステル系エポキシ化合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からブロー成形又は射出成形されてなる成形体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてプリフォームを成形し、次に該プリフォームを縦方向に少なくとも2倍以上延伸し、かつ、縦方向への延伸の開始から完了までの間に、横方向への2倍以上の延伸を開始することを特徴とする延伸ブロー成形により成形品を得る方法。
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