JPH07258917A - ポリエステルモノフィラメントおよび工業用織物 - Google Patents

ポリエステルモノフィラメントおよび工業用織物

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JPH07258917A
JPH07258917A JP6045514A JP4551494A JPH07258917A JP H07258917 A JPH07258917 A JP H07258917A JP 6045514 A JP6045514 A JP 6045514A JP 4551494 A JP4551494 A JP 4551494A JP H07258917 A JPH07258917 A JP H07258917A
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豊彦 増田
Kei Horii
慶 堀井
Tadanori Iwama
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Abstract

(57)【要約】 【構成】末端カルボキシル基濃度が10当量/ポリエス
テル106 g以下であって、未反応のカルボジイミド化
合物を0.005〜1.5重量%含有し、p−ヒドロキ
シ安息香酸ジグリシジルエステル・エーテルを0.05
〜1.5重量%含有することを特徴とするポリエステル
モノフィラメント、および工業用織物。 【効果】本発明のポリエステルモノフィラメントは、従
来よりも優れた耐加水分解性を有しているため各種工業
用織物用構成素材、特に抄紙用ドライヤーキャンバスと
して有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐加水分解性に優れたポ
リエステルモノフィラメントとそのポリエステルモノフ
ィラメントを用いた工業用織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルモノフィラメントは、本来
優れた抗張力・耐酸性・寸法安定性を有するため、抄紙
ドライヤーキャンバス、抄紙ワイヤー、フィルター、コ
ンベアベルト、スクリーン用紗などの工業用織物および
各種ブラシ、筆毛、釣糸などの用途に広く用いられてき
た。
【0003】しかしながら、ポリエステルモノフィラメ
ントは、高温・多湿など加水分解されやすい条件下で使
用される用途、例えば抄紙用ドライヤーキャンバスの構
成素材として使用した場合に、使用中のモノフィラメン
トが加水分解劣化による強度低下を起こすため、長期間
の使用に耐えることが困難であった。
【0004】したがって、ポリエステルモノフィラメン
トの耐加水分解性を改善するために、従来から種々の提
案がなされており、その一例として、ポリエチレン,ポ
リプロピレン,ポリブテン,ポリ−4−メチルペンテン
1およびポリスチレンなどのポリオレフィンを特定量添
加したポリエステルモノフィラメント(特開昭51−1
36923号公報)が知られているが、この技術で得ら
れるポリエステルモノフィラメント、例えばポリエチレ
ンを添加したポリエチレンテレフタレートモノフィラメ
ントは、強度が低く、かつ耐加水分解性向上効果も小さ
いため、実用性能に欠けるという問題があった。
【0005】また、カルボジイミド化合物を添加するこ
とにより、ポリエステルの耐加水分解性を向上せしめる
方法が知られており、例えば、モノまたはビスカルボジ
イミド化合物を添加し、短時間で混練紡糸することによ
り、未反応カルボジイミドを含有しないポリエステルフ
ィラメントを形成する方法(特開昭50−95517号
公報)、分子内に3個以上のカルボジイミド基を有する
ポリカルボジイミド化合物をポリエステルに添加する方
法(特公昭38−15220号公報)、およびカルボキ
シル末端基がカルボジイミドとの反応でキャップされ、
遊離のモノおよび/またはビスカルボジイミド化合物3
0〜200ppm と、遊離のポリカルボジイミドまたはな
お反応性を有するポリカルボジイミド基を含む反応生成
物を少なくとも0.02重量%含有するポリエステル繊
維およびフィラメント(特開平4−289221号公
報)などが提案されている。
【0006】そして、本願出願人も、先に特定のカルボ
ジイミド化合物を未反応の状態で特定量残存させた抄紙
キャンバス用ポリエステルモノフィラメント(特開昭5
6−121383号公報)、および特定量のリンを含む
ポリエステルに特定のカルボジイミド化合物を添加する
ことからなる工業用ポリエステルフィラメントの製造方
法(特開昭56−85704号公報)を提案して、ポリ
エステルモノフィラメントの耐加水分解性の改善を図っ
てきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年で
は、抄紙用ドライヤーキャンバスなどに使用されるポリ
エステルモノフィラメントの使用条件が、従来よりも益
々過酷になる傾向にあり、上述した従来技術に増してさ
らに耐加水分解性に優れるポリエステルモノフィラメン
トの実現が求められている。
【0008】本発明は、上述した従来技術における問題
点を解決するために検討した結果なされたものであり、
従来のものより更に一層優れた耐加水分解性を有し、工
業用織物、特に抄紙用ドライヤーキャンバスなどとして
有用なポリエステルモノフィラメントおよびこのポリエ
ステルモノフィラメントを使用した工業用織物の提供を
目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のポリエステルモノフィラメントは、末端
カルボキシル基濃度が10当量/ポリエステル106
以下であって、未反応のカルボジイミド化合物を0.0
05重量%以上、1.5重量%以下含有し、下記一般式
〔I〕で示されるp−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジル
エステル・エーテルを主体とするジエポキシ化合物を
0.05重量%以上、5重量%以下含有することを特徴
とする。
【0010】
【化2】 (ただし、式中のnは0または1〜20の整数を示
す。) さらに、本発明の工業用織物は、上記の特徴を有するポ
リエステルモノフィラメントを、緯糸および/または経
糸の少なくとも一部に用いたことを特徴とする。 以
下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いるポリエス
テルは、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレ
ンテレフタレートを主体とするものであるが、そのジカ
ルボン酸成分の一部をイソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、およびスル
ホン酸金属塩置換イソフタル酸などで置き換えてもよ
く、またグリコール成分の一部をジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およ
びポリアルキレングリコールなどで置き換えてもよい。
更に、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパ
ン、トリメリット酸、トリメシン酸、および硼酸などの
鎖分岐剤を少量併用することもできる。
【0011】なお、本発明で用いるポリエステルには、
酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ
素、クレー、タルク、カオリン、およびジルコニウム酸
などの各種無機粒子や、架橋高分子粒子および各種金属
粒子などの粒子類のほか、従来公知の抗酸化剤、金属イ
オン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接
化合物、帯電防止剤、各種着色剤、ワックス類、シリコ
ーンオイル、各種フッ素系界面活性剤、および各種強化
繊維類などが添加されていてもよい。
【0012】また、本発明で用いるポリエステルには、
上記のポリエステルの2種類以上のブレンドポリマーが
含まれるものであり、更には上記のポリエステル以外の
樹脂、例えばポリアミド、ポリエステルアミド、ポリオ
レフィン,エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボ
ネート、ポリウレタン樹脂、ポリアクリレート,および
フッ素樹脂などを必要に応じてブレンドしたものでもよ
い。
【0013】本発明のポリエステルモノフィラメント
は、末端カルボキシル基濃度が10当量/106 g以
下、好ましくは5当量/106 g以下であることが必要
である。ここで、末端カルボキシル基濃度とは、Pohlに
より、ANALYTICAL CHEMISTRY、第26巻、1614頁に記
載された方法で測定した値である。末端カルボキシル基
濃度が10当量/106 gを越える場合には、以下に述
べる条件を満たしたとしても、耐加水分解性レベルの低
いモノフィラメントしか得られない。
【0014】本発明の末端カルボキシル基濃度が10当
量/106 g以下のポリエステルモノフィラメントを得
るには、末端カルボキシル基濃度が10当量/106
より多いポリエステルに対し、ポリエステルの溶融状態
で、原料となるポリエステルの末端カルボキシル基濃度
および反応条件などから、反応後のポリエステル中に、
後述する量の未反応で残存するカルボジイミド化合物お
よびp−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジルエステル・エ
ーテルをポリエステルに添加し反応させることが必要で
ある。
【0015】本発明のポリエステルモノフィラメントの
極限粘度は、通常は0.6以上であればよい。ここで、
極限粘度はオルソクロロフェノール溶液中25℃で測定
した粘度より求めた極限粘度であり、〔η〕で表わされ
る。
【0016】また、本発明の効果を効率よく発現させる
ため、ポリエステル中にリン化合物を、リン原子として
50ppm 以下で、かつ下記の一般式の範囲内の量含有さ
せるのが望ましい。
【0017】5×10-3≦P≦M+8×10-3 (ただし、式中のPはポリエステルを構成する二塩基酸
に対するリン原子のモル%、Mはポリエステル樹脂中の
金属で、周期律表II族、VII族、VIII族でかつ
第3,4周期の内より選択された1種もしくは2種以上
の金属原子のポリエステルを構成する二塩基酸に対する
モル%である。なお、M=0であってもよい)。
【0018】本発明のポリエステルモノフィラメントに
含有されるカルボジイミド化合物としては、1分子中に
1個または2個以上のカルボジイミド基を有する化合物
であればいかなるものでもよく、例えばN,N´−ジ−
o−トリイルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカ
ルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイ
ミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボ
ジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボ
ジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェ
ニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−ter
t. −ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−
N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニ
トロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミ
ノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロ
キシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘ
キシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トリイルカ
ルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリイ
ルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘ
キシルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシク
ロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニ
ルカルボジイミド,および下記一般式〔II〕で示され
る芳香族ポリカルボジイミドなどが挙げられる。
【0019】
【化3】 (ただし、式中のRは水素原子または炭素数1〜4のア
ルキル基を表し、nは2〜20の整数を表す) これらのカルボジイミド化合物の中から1種または2種
以上の化合物を任意に選択し、ポリエステルに含有させ
ればよいが、ポリエステルに添加した後の安定性から、
芳香族骨格を有する化合物が有利な傾向にあり、中でも
N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボ
ジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチル
フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメ
チルフェニルカルボジイミド、およびN,N´−ジ−o
−トリイルカルボジイミドなどが有利な傾向にあり、特
にN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカル
ボジイミド(以下、TICという)が反応性に優れてい
ることから最も有利に使用される。また、TICと上記
一般式〔II〕で示される芳香族ポリカルボジイミドと
を併用する場合には、耐加水分解性の改良効果が更に向
上する傾向にあるため好ましい。
【0020】本発明のポリエステルモノフィラメント中
に含まれる未反応の状態のカルボジイミド化合物は、
0.005重量%以上、1.5重量%以下の範囲である
ことが必要であり、未反応のカルボジイミド化合物の含
有量が300ppm 以上、1.3重量%以下の範囲がより
好ましい。ポリエステルモノフィラメント中に含まれる
未反応の状態のカルボジイミド化合物の含有量が0.0
05重量%より少ない場合は、耐加水分解性向上効果が
不十分であり、1.5重量%より多い場合は、モノフィ
ラメントの物性を損ない、かつポリマ中よりカルボジイ
ミド化合物がブリードアウトしやすくなる。
【0021】ここで、本発明にいうポリエステルモノフ
ィラメント中の未反応の状態のカルボジイミド基を有す
るカルボジイミド化合物の含有量は、次の方法で測定し
たものである。 (1)100mlメスフラスコに試料約200mgを秤取す
る。 (2)ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム
(容量比1/1)2mlを加えて試料を溶解させる。 (3)試料が溶解したら、クロロホルム8mlを加える。 (4)アセトニトリル/クロロホルム(容量比9/1)
を徐々に加えポリマを析出させながら100mlとする。 (5)試料溶液を目開き0.45μmのディスクフィル
ターで濾過し、HPLCで定量分析する。HPLC分析
条件は次の通り。 カラム:Inertsil ODS−2 4.6mm×
250mm 異動相:アセトニトリル/水(容量比94/6) 流 量:1.5ml/min 試料量:20μl 検出器:UV(280nm)。
【0022】上記カルボジイミド化合物とポリエステル
との混合・反応は、重縮合反応終了直後の溶融状態のポ
リエステルにカルボジイミド化合物を添加し攪拌・反応
させる方法、ポリエステルのチップにカルボジイミド化
合物を添加・混合した後に、反応缶あるいはエクストル
ーダなどで混練・反応させる方法、およびエクストルー
ダでポリエステルにカルボジイミド化合物を連続的に添
加し、混練・反応させる方法などにより行うことができ
る。
【0023】本発明のポリエステルモノフィラメントに
含有されるところのp−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジ
ルエステル・エーテルを主体とするジエポキシ化合物の
p−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジルエステル・エーテ
ルは下記一般式〔I〕で示される化合物である。
【0024】
【化4】 (ただし、式中のnは0または1〜20の整数を示
す。) 上記一般式〔I〕で示されるp−ヒドロキシ安息香酸ジ
グリシジルエステル・エーテルのポリエステルモノフィ
ラメント中での存在状態は明らかではないが、ポリエス
テルモノフィラメント中に添加した該化合物の少なくと
も一部は、両端に存在するグリシジルエステルとグリシ
ジルエーテルのうちのグリシジルエステルより反応性の
低いグリシジルエーテルが未反応の状態で存在している
ものと考えられる。
【0025】また、本発明のモノフィラメントが含有す
る上記一般式〔I〕で示されるp−ヒドロキシ安息香酸
ジグリシジルエステル・エーテルを主体とするジエポキ
シ化合物(以下、HBGという)は、上記一般式〔I〕
で示されるp−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジルエステ
ル・エーテルを65重量%以上含有するものであり、上
記一般式〔I〕で示されるp−ヒドロキシ安息香酸ジグ
リシジルエステル・エーテル以外の常温で液状のエポキ
シ化合物、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテ
ルなどを35重量%未満の量で含有させたものであって
もよい。この場合は常温で粉体のHBGを常温で液状に
改質することができるため、HBGの取扱いが容易にな
る。
【0026】本発明のポリエステルモノフィラメント
は、上記したHBGを0.05重量%以上、5重量%以
下、好ましくは0.1重量%以上、3重量%以下含有す
ることが必要である。本発明のポリエステルモノフィラ
メント中に含まれる上記HBGが、0.05重量%より
少ないと耐加水分解性向上効果が不十分であり、また5
重量%より多いとポリエステルが増粘やゲル化し溶融紡
糸し難くなり、モノフィラメントの物性を損なうように
なる。
【0027】上記HBGとポリエステルとの混合・反応
は、重縮合反応終了直後の溶融状態のポリエステルにH
BGを添加し攪拌・反応させる方法、ポリエステルのチ
ップにHBGを添加・混合した後に反応缶あるいはエク
ストルーダなどで混練・反応させる方法、およびエクス
トルーダでポリエステルに液状のHBGを連続的に添加
し混練・反応させる方法などにより行うことができる。
【0028】本発明のポリエステルモノフィラメントの
好ましい製造方法は、所定量のカルボジイミド化合物と
HBGとを、80〜150℃で溶融混合せしめた液状組
成物とし、溶融紡糸機入り口でポリエステルに添加し、
ポリエステルと溶融混合した後、紡糸する方法を挙げる
ことができる。この方法によれば添加装置が1基で済む
などの点で工業的にも有利である。
【0029】カルボジイミド化合物とHBGとを、別々
に溶融紡糸機入り口でポリエステルに添加し、ポリエス
テルと溶融混合した後、紡糸する方法では、添加装置が
2基必要となり、操業が煩雑となる。また、HBGをあ
らかじめポリエステルに添加したマスターペレットをモ
ノフィラメント原料ペレットに混合し、そこにカルボジ
イミド化合物を添加した後、溶融紡糸する方法も採り得
るが、この方法ではHBG含有ポリエステルマスターペ
レットを再溶融する必要があるため、HBGの変性が進
み、得られるポリエステルモノフィラメントの耐加水分
解性向上効果が低くなる傾向にある。
【0030】上記において、カルボジイミド化合物とH
BGとの溶融混合温度は、80℃〜150℃が好まし
い。溶融混合温度が80℃より低いと、カルボジイミド
化合物とHBGの溶解混合が不均一となる傾向にある。
一方、上記溶融混合温度が150℃より高いと、これら
化合物の混合物を添加して得られるポリエステルモノフ
ィラメントの耐加水分解性向上効果が低くなる傾向にあ
る。
【0031】カルボジイミド化合物とHBGとの溶融混
合時間は、30分から3時間が好ましい。溶解時間が3
0分より短いと、カルボジイミド化合物とHBGの溶解
混合が不均一となる傾向にある。一方、上記溶融混合時
間が3時間より長いと、カルボジイミド化合物の変質が
起こる傾向となる。
【0032】本発明のポリエステルモノフィラメントの
製造は、カルボジイミド化合物とHBGとを含有させた
ポリエステルを、例えば、エクストルーダ先端部に設置
したポリマ流線入替器、濾過層などを経て紡糸口金より
押し出し、冷却・延伸・熱セットを行うなどの公知の方
法で製造することができる。
【0033】本発明のポリエステルモノフィラメントと
は、1本の単糸からなる連続糸であり、丸、三角、四
角、および正多角形などの断面形状を有するものなどい
かなる形状のものでもよい。また、断面の直径は用途に
よって適宜選択できるが、0.05〜3mmの範囲が最も
よく使用される。更に、糸の必要強度は用途により異な
るが、概ね3.0g/デニール以上であることが好まし
い。
【0034】かくして得られる本発明のポリエステルモ
ノフィラメントは、耐加水分解性が従来のものより優れ
たものであり、工業用織物、特に抄紙用ドライヤーキャ
ンバスの構成糸などとしてきわめて有用である。
【0035】本発明の工業用織物とは、織物を構成する
緯糸および/または経糸の少なくとも一部に、上記した
本発明のポリエステルモノフィラメントを用いて製織し
たものである。
【0036】この工業用織物の織り方は、用途によって
適宜選択することができ、例えば、平織り、綾織り、2
重織り,および3重織りなど公知の織り方を採用するこ
とができる。
【0037】本発明でいう工業用織物の具体例として
は、抄紙ドライヤーキャンバス、抄紙ワイヤー、フィル
ター、コンベアベルト、およびスクリーン用紗などが挙
げられるが、特に抄紙ドライヤーキャンバスに適用する
際に優れた効果を得ることができる。
【0038】本発明の工業用織物、特に抄紙用ドライヤ
ーキャンバスは、従来のものに比較して、耐加水分解性
がはるかに優れたものであり、従来のポリエステルモノ
フィラメントを用いた抄紙用ドライヤーキャンバスより
も、使用中における劣化が軽減され、長期間の使用が可
能になるため、きわめて有用である。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の構成および効
果を更に詳細に説明する。 実施例1〜11,比較実施例1〜8 極限粘度0.93、末端カルボキシル基濃度20当量/
106 gのポリエチレンテレフタレート乾燥チップ〔触
媒としてアンチモン化合物をアンチモン原子で300pp
m 、マンガン化合物をマンガン原子で60ppm (マンガ
ン原子で0.021モル%対テレフタル酸)、リン化合
物をリン原子で30ppm (リン原子で0.019モル%
対テレフタル酸)を含有〕(以下、PETチップとい
う)を用意した。
【0040】一方、カルボジイミド化合物として、N,
N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイ
ミド(以下、TICという)と、HBGとしてU−Qu
ick(商標)−103(上野製薬株式会社製品、前記
一般式〔1〕におけるnが0〜5を主体とする化合物7
0重量%とビスフェノールAジグリシジルエーテル30
重量%との混合物)を、各々表1に示す添加量に相当す
る重量比で用意した。次いで、上記TICを撹拌装置付
き加熱溶解槽に入れ135℃で溶解した後、この溶解し
たTIC中に、上記HBGを撹拌しながら加え、135
℃で2時間溶解・混合した混合物(以下、TIC/HB
G混合物という)を得た。
【0041】引き続いて、上記PETチップ100重量
部に、上記TIC/HBG混合物を表1に示す添加量
で、エクストルーダ入り口部で供給した。
【0042】そして、約3分間混練された285℃の溶
融ポリマを、ギアポンプを経て紡糸パック内の濾過層お
よび流線入替器(米国ケミックス社の「スターティック
ミキサー」)を通して口金より紡出させた。次に、紡出
フィラメントを80℃の湯浴で冷却後、常法に従い合計
6倍に延伸および熱セットを行ない、直径0.4mmのポ
リエステルモノフィラメントを得た。
【0043】得られたポリエステルモノフィラメントの
末端カルボキシル基含有量、未反応TIC含有量、強
度、およびこのモノフィラメントを121℃の飽和水蒸
気中にて12日間連続処理したときの強度保持率を評価
し、その結果を表1に併せて示す。
【0044】
【表1】 実施例12,比較実施例12 実施例1で得られたポリエステルモノフィラメントを、
経糸および緯糸に用いて抄紙ドライヤー用綾織キャンバ
スを作製した。このキャンバスを中性紙抄紙機のドライ
ヤーに装着し、140℃で4か月間、紙の乾燥に使用し
た後、キャンバスを取り外した。このキャンバスの経糸
の強力残存率は75%であった。また、比較実施例2で
得られたモノフィラメントを経糸および緯糸に用いて抄
紙ドライヤー用綾織キャンバスを作製した。このキャン
バスを中性紙抄紙機のドライヤーに装着し、140℃で
4か月間、紙の乾燥に使用した後、キャンバスを取り外
した。このキャンバスの経糸の強力残存率は55%であ
った。
【0045】
【発明の効果】本発明のポリエステルモノフィラメント
は、従来のポリエステルモノフィラメントに比較して、
優れた耐加水分解性を有しているため、各種工業用織物
用構成素材として有用なものである。
【0046】特に、本発明のポリエステルモノフィラメ
ントを用いた抄紙用ドライヤーキャンバスは、従来のポ
リエステルモノフィラメントを用いた抄紙用ドライヤー
キャンバスに比較して、使用時の強力の低下が少なく、
使用期間の延長が可能となるため好適なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/62 302 E 306 M D03D 1/00 Z 15/00 A D21F 1/10 7/08 A //(C08L 67/02 63:00) (72)発明者 岩間 忠則 愛知県岡崎市昭和町字河原1番地 東レ・ モノフィラメント株式会社

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】末端カルボキシル基濃度が10当量/ポリ
    エステル106 g以下であって、未反応のカルボジイミ
    ド化合物を0.005重量%以上、1.5重量%以下含
    有し、下記一般式〔I〕で示されるp−ヒドロキシ安息
    香酸ジグリシジルエステル・エーテルを主体とするジエ
    ポキシ化合物を0.05重量%以上、5重量%以下含有
    することを特徴とするポリエステルモノフィラメント。 【化1】 (ただし、式中のnは0または1〜20の整数を示
    す。)
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリエステルモノフィラメ
    ントを、緯糸および/または経糸の少なくとも一部に用
    いたことを特徴とする工業用織物。
  3. 【請求項3】抄紙用ドライヤーキャンバスとして用いる
    ことを特徴とする請求項2記載の工業用織物。
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