JP5256737B2 - ポリエステルエラストマー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟性が著しく高いにもかかわらず、機械的特性に優れたポリエステルエラストマー組成物に関するものである。さらに詳しくは、高温環境下での耐屈曲疲労性、耐加水分解性に優れ、さらには成形加工性、特に押出加工性、ブロー成形性に優れたポリエステルエラストマー組成物に関するものである。また、ポリエステルエラストマー組成物から成形されたブロー成形品に関するものである。さらに詳しくは、高温環境下での耐屈曲疲労性、耐加水分解性に優れた自動車の等速ジョイントブーツ、サスペンションブーツ、エアダクトなどのフレキシブル性が要求されるブロー成形品に関するものである。
結晶性芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルやポリアルキレングリコール類をソフトセグメントとするポリエステルエラストマーは、熱可塑性でありながら優れたゴム状弾性を有する。しかし、ポリエステルエラストマーは、耐熱性が不十分であり、高温に長時間曝されると、強度及び伸度が著しく低下するという難点がある。さらに、ポリエステルエラストマーは、耐水性が不十分であり、水の存在下で加水分解を起こし易い。そのため、ポリエステルエラストマー組成物は、そのまま、繊維、フィルム、成形材料などの素材として実用に供することが難しい。。また、熱可塑性樹脂であるため、成形加工時に発生する成形品のスプルーやランナーをはじめ、成形不良品などは、粉砕されてリサイクルされることが多い。このような場合にも、ポリマーの吸湿による加水分解を防止することは困難であり、ポリマー本来の特性が損なわれてしまうことがある。
そこで、上記のようなポリエステルエラストマーの耐熱性及び耐水性を改善するため、1官能以上のエポキシ化合物を配合する方法(特許文献1など)が提案されている。この方法により、耐熱性及び耐水性は改良される。しかし、この方法は、使用されるエポキシ化合物の種類によっては、得られる組成物を加熱したときに、未反応のエポキシ化合物が多く揮散するという問題点を有するため、熱可塑性樹脂を成型品に加工する場合、あるいは樹脂の着色、難燃性付与等の加工を行う際に衛生上問題を生じる可能性があった。さらには発生するガスは、押出機、成形機等のシリンダー、スクリュー、及び金型の表面を腐食させたり、電器機器部品、及び電子機器部品の分野では、発生するガスが金属部分を腐食し、その結果、接点不良や導電不良を引き起こす恐れがあった。これらの問題を解決するために、使用するエポキシ化合物の種類を限定することにより加熱時の揮散性を改善した方法(特許文献2)が報告されている。
また、結晶性芳香族ポリエステルとポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類を共重合させたポリエステルエラストマーにおいても、機械的特性の向上のため、エポキシ化合物を配合する方法が採られるが、エポキシ化合物の配合により樹脂の耐熱性及び耐加水分解性は改善されても、配合工程や成形加工時に置いて滞留時間が長くなるとゲル化物が発生し、成形品の外観や物性を損なうなどの問題が発生しやすかった。
また、ポリエステルの耐加水分解性を改善する方法として、ポリカルボジイミドを配合する方法が知られている(例えば、特許文献3)。しかしながら、ポリカルボジイミドを配合する方法では、耐加水分解性の改善効果は認められても、柔軟性や伸度が低下し、増粘効果も小さい欠点があった。また、耐加水分解性の改善効果は認められても、成形やリサイクルによるポリマー特性の低下防止は困難であった。
さらに、特許文献4には、ポリエステルポリエステルブロック共重合体に1官能以上のエポキシ化合物とカルボジイミド変性イソシアネート化合物を含有させた組成物が提案されているが、増粘効果、柔軟性、耐加水分解性、発泡防止など多くの改善の余地があった。
自動車の等速ジョイントブーツなどの蛇腹形状を有するカバーブーツ類の一般的な材料としては、クロロプレンなどのゴムが用いられていたが、加硫工程が必要なため製造工程が煩雑になるなどの欠点も有しているため、近年、ポリエステルエラストマーがカバーブーツの材料として使用され始めている(例えば、特許文献5)。ポリエステルエラストマーは熱可塑性樹脂であるため、製造工程が簡素化され、屈曲疲労性、耐熱性に優れる等の特徴を有しており、カバーブーツとしての耐久寿命はゴムブーツより長い。しかし、ポリエステルエラストマーを溶融重縮合法で製造する場合、ブロー成形に適応しうる十分に高い溶融粘度を有する重合体を得ることがむずかしい。そのため溶融重縮合法で製造した重合体に架橋剤や増粘剤を配合することによってブロー成形が可能な溶融粘度まで引き上げることが行われている(例えば、特許文献6)。
この方法によれば、溶融粘度の高いポリエステルエラストマー樹脂を得ることができるが、得られるポリエステルエラストマー樹脂は溶融粘度の滞留時間依存性が大きい。そのため成形を中断した後で再び成形を開始した場合には、成形条件が大幅に変わってしまいその都度成形条件の調整が必要である。また、同じロット内でも溶融粘度がばらついていて安定したブロー成形ができないという問題や、ゲル化物ができ成形品中に異物が発生する問題、成形品の外観不良や成形品の性能低下を引き起こす問題などがあった。また、ジョイントなどのブーツに使用する場合は、ブーツが屈曲した状態で回転するため、摩耗してカバーブーツに亀裂が発生したり、高温、特に150℃を超えるような高温での耐屈曲疲労性は不十分であるという問題もあった。
特開昭58−162654号公報 特開平10−30053号公報 特公昭38−15220号公報 特開平5−302022号公報 特開昭61−111318号公報 特開平11−323110号公報
本発明のブロー成形品の一例であるフレキシブルブーツを耐久性試験装置に装着した状態の断面図である。
符号の説明
1:等速ジョイントブーツ
2:蛇腹部
3:大口径部
4:小口径部
5:角度可変回転軸
6:固定回転軸
θ:動作角
本発明の目的は、ポリエステルエラストマーが本来有する柔軟性を損なうことなく、優れた機械的特性を有し、高い溶融粘度でありながらゲル化物の発生が少なく、特に高温環境下での耐屈曲疲労性、耐加水分解性に優れ、さらには押出成形やブロー成形などの成形加工性にも優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、以下の構成を採るものである。すなわち、
(1)ポリエステルエラストマーに2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドとが反応してなるポリエステルエラストマー組成物であって、引張破断強度が35MPa以上、引張破断伸度が450%以上で、かつ50%伸長時応力に対する引張破断強度の比が3以上であることを特徴とするポリエステルエラストマー組成物。
(2)前記ポリエステルエラストマー組成物のメルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が3g/10分以下であることを特徴とする前記1に記載のポリエステルエラストマー組成物。
(3)前記ポリエステルエラストマー組成物が、160℃におけるデマッチャ屈曲試験において、破断に至る屈曲回数が200万回を超えることを特徴とする前記1又は2のいずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物。
(4)前記ポリカルボジイミドが、カルボジイミド基数が2〜50で、イソシアネート基含有率が0.5〜4質量%である脂肪族又は脂環族のポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物。
(5)前記2官能以上のエポキシ化合物が、トリグリシジルイソシアヌレートであることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物。
(6)ポリエステルエラストマーに2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドとが反応してなるポリエステルエラストマー組成物であって、該組成物のGPC分析による重量平均分子量(Mw)が200000以上で、かつ重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が3〜5であることを特徴とするポリエステルエラストマー組成物。
(7)ポリエステルエラストマー組成物を溶融樹脂温度230℃で成形した場合に、GPC分析による重量平均分子量において下記(1)式の関係を満足する前記6に記載のポリエステルエラストマー組成物。
成形後の重量平均分子量(Mn2)≧成形前の重量平均分子量(Mn1) ・・・(1)
(8)前記重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が3.4〜4.5である前記6又は7に記載のポリエステルエラストマー組成物。
(9)前記ポリエステルエラストマー組成物のメルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が3g/10min以下であることを特徴とする前記6〜8いずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物。
(10)前記2官能以上のエポキシ化合物が、トリグリシジルイソシアヌレートであることを特徴とする前記6〜9のいずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物。
(11)メルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が20g/10分以上のポリエステルエラストマー100質量部に対して2官能以上のエポキシ化合物0.01〜5.0質量部を混合して溶融混練した後、さらに該溶融混練物にポリカルボジイミド0.05〜5.0質量部を溶融混練し、メルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)を3g/10分以下のポリエステルエラストマー組成物を得ることを特徴とするポリエステルエラストマー組成物の製造方法。
(12)前記1〜10いずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物から成形されたことを特徴とするブロー成形品。
本発明のポリエステルエラストマー組成物は、ポリエステルエラストマーが本来有する柔軟性などの長所を保持し、かつ機械的特性、増粘効果を飛躍的に向上させることができる。すなわち、増粘効果が高く、機械的強度、伸度、耐加水分解性に優れ、ゲル化物の発生が少なく、特に高温環境下での耐屈曲疲労性、さらには押出成形性、ブロー成形性などの成形加工性にも優れたポリエステルエラストマー組成物が得られる。また、成形やリサイクルによっても熱可塑性ポリエステルエラストマーのポリマー特性の低下を極力防止することができる。
本発明のブロー成形品は、特に高温環境下での耐屈曲疲労性に優れたポリエステルエラストマー製のフレキシブルブーツ、エアダクトなどのブロー成形品が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用されるポリエステルエラストマーとは、150℃以上の高い融点を持つポリエステルからなるハードセグメントと分子量400〜6000の融点ないし軟化点が80℃以下の重合体からなるソフトセグメントとからなる熱可塑性ポリエステルエラストマーである。
本発明に使用されるポリエステルエラストマーにおける、高い融点を持つポリエステルからなるハードセグメント構成成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド化合物、ビスフェノールFエチレンオキサイド化合物、水添加ビスフェノールAエチレンオキサイド化合物、水添加ビスフェノールFエチレンオキサイド化合物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、水添加ビスフェノールAジオール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2,2−ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、p−キシリレングリコール等のジオールから製造されるポリエステルあるいはこれらの2種類以上のジカルボン酸あるいは2種類以上のジオールを用いたコポリエステルp−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸などのオキシ酸及びそれらのエステルから誘導されるポリエステル、グリコリドから開環するポリグリコール酸、ラクチドから開環するポリ乳酸等のポリグリコール酸、1,2−ビス(4,4’−ジカルボキシフェノキシ)エタン等の芳香族エーテルジカルボン酸と前述のジオールとから製造されるポリエーテルエステル、等の結晶性芳香族ポリエステル、ポリピバロラクトンなどのポリラクトン、さらに以上のジカルボン酸類、オキシ酸類、ジオール類を組み合わせたコポリエステル類などを示すことができる。
また、高い融点を持つポリエステルからなるハードセグメント構成成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等などの多価のカルボン酸を併用してもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価ポリオールを併用してもよい。
また、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸などの金属塩又は2−スルホ−1,4−ブタンジオール、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオール等の金属塩などのスルホン酸金属塩基を含有するジカルボン酸又はグリコールを全酸又は全グリコール成分の15モル%以下の範囲で使用してもよい。
本発明に使用されるポリエステルエラストマーにおける、高い融点を持つポリエステルからなるハードセグメントの好ましい具体例としては、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレートなどのホモポリエステルが挙げられる。特にポリテトラメチレンテレフタレートが好ましい。なお、共重合体の場合は、ホモポリエステル単位が60モル%以上含まれることが好ましい。
本発明に使用されるポリエステルエラストマーにおける、分子量400〜6000の融点ないし軟化点が80℃以下の重合体からなるソフトセグメントの構成成分としては、例えば、ポリ(エチレンオキサイド)グリコール、ポリ(プロピレンオキサイド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール及びこれらの混合物さらにこれらのポリエーテルグリコール構成成分を共重合した共重合ポリエーテルグリコール等を示すことができる。
また、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族グリコールから製造される脂肪族ポリエステル、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリネオペンチルセバケート、ポリテトラメチレンドデカネート、ポリテトラメチレンアゼレート、ポリヘキサメチレンアゼレート、あるいはポリ−ε−カプロラクトンを代表とするポリラクトン類などを示すことができる。
さらに、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどの炭酸エステルと炭素数2〜12の脂肪族グリコールなどから製造されるポリカーボネートジオールを示すことができる。
さらにまた、上記ポリエステルとポリエーテルやポリカーボネートジオールを組み合わせたポリエステルポリエーテル共重合体、ポリエステルポリカーボネート共重合体なども示すことができる。上記ポリエステルエラストマーでの低融点重合体セグメント構成成分の割合は5〜80質量%が好ましい。
これらのポリエステルエラストマーの中でも、融点ないし軟化点が80℃以下の重合体からなるソフトセグメントがポリラクトンからなるエラストマー、例えば結晶性芳香族ポリエステルとラクトン類を反応させることによって得られるポリエステルポリエステルブロック共重合体エラストマーは、従来、耐熱性が優れている反面、溶融粘度を高くするためにエポキシ化合物などのポリエステルの末端と反応しうる官能基もつ化合物を多量に使用することが必要であり、該化合物の揮散の問題や、ゲル化物発生が起こりやすいという問題を有していたが、本発明の技術を適用させるとこれらの問題点を抑制できる。
上記のポリエステルポリエステルブロック共重合体エラストマーの製造で用いられる上記結晶性芳香族ポリエステルとしては、主としてエステル結合又はエステル結合とエーテル結合とからなるポリマーが好ましいものとして挙げられ、少なくとも1種の芳香族基を主たる繰り返し単位とし、そして分子末端に水酸基を有するものが用いられる。この結晶性芳香族ポリエステルは、融点が150℃以上のものであり、また好ましい分子量は用途によって異なり、成形材料として使用する場合は5000以上、より好ましくは8000以上である。好ましい具体例としては、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレートなどのホモポリエステルが挙げられる。特にポリテトラメチレンテレフタレートが好適である。また、ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリ−p−フェニレンビスオキシエトキシテレフタレートなどのポリエステルエーテルが挙げられる。主としてテトラメチレンテレフタレート単位又はエチレンテレフタレート単位からなり、他にテトラメチレン又はエチレンイソフタレート単位、テトラメチレンアジペート単位又はエチレンアジペート単位、テトラメチレンセバケート単位又はエチレンセバケート単位、1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート単位、テトラメチレン−p−オキシベンゾエート単位又はエチレン−p−オキシベンゾエート単位などの共重合成分を有する共重合ポリエステル又は共重合ポリエステルエーテルなどである。なお、共重合体の場合にはテトラメチレンテレフタレート単位又はエチレンテレフタレート単位が60モル%以上含まれることが好ましい。
またラクトン類としては、カプロラクトンが最も好ましいが、その他としてエナンラクトン、カプリロラクトン、バレロラクトン、ブチロラクトン、プロピロラクトン等も使用することができ、これらのラクトン類も2種以上を併用することができる。
上記ポリエステルポリエステルブロック共重合体エラストマーの結晶性芳香族ポリエステルとラクトン類又はポリラクトンとの共重合割合は、その用途によって適宜変えられ得る。一般に、結晶性芳香族ポリエステルの割合が増大すると、得られる組成物は硬くなり、強度、伸度などの機械的特性が向上する。ラクトン類(ポリラクトン)の割合が増大すると、得られる組成物は軟質化し、低温特性が向上する。従って、機械的強度、低温特性などのバランスを考慮しながら、用途に応じて両者の共重合割合が選定され得る。標準的な配合比率としては、質量比で結晶性芳香族ポリエステル/ラクトン類(ポリラクトン)が97/3〜5/95、より好ましくは95/5〜30/70の範囲である。
本発明で使用されるポリエステルの末端と反応させる2官能以上のエポキシ化合物としては、構造は特に制限されないが、同一内子内にエポキシ基を2個以上有する化合物であり、エポキシ基を2〜3個有する化合物が好ましい。
具体例としては、エポキシ化合物としてはビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールSのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF又は水素化ビスフェノールSのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びポリアルキレングルコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グルセロールアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型グリシジルエーテル、フェノールノボラック型グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル型エポキシ、3,4−エポキシシクロヘキシルメタアクリレート、シクロペンタジエンジエポキシドなどの脂環エポキシ、オリゴマー型脂環エポキシ、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられ、これらは必要により適宜混合して使用してもよい。これらの中で、結晶性で粉末化できるものが反応の均一化、ゲル化物発生防止の点で好ましく、特に好ましい例としてはトリグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。トリグリシジルイソシアヌレートは、平均粒径100μm以下の粉末状のものが好ましい。
これらポリエステルの末端と反応しうる2官能以上のエポキシ化合物の配合量は、用いられるポリエステルエラストマーの末端に存在する官能基の量、あるいは最終的に得られる組成物の要求特性によって変わり得る。好ましくは上記ポリエステルエラストマー100質量部に対して、0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜4質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部である。0.01質量部未満では、このような化合物を反応させることによって得られる作用効果、例えば、増粘による成形性の向上効果、耐熱性及び耐加水分解性の向上効果が有意に発揮されない。また5質量部を超えると、未反応化合物が残存することによって、成形体の表面性状が粗雑になる、ゲル化物が発生する等、成形品の品質に悪影響が現れてくる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物において、前記ポリエステルエラストマーとポリエステルの末端と反応しうる2官能以上のエポキシ化合物との反応は触媒を用いなくとも起こり得るが、反応の促進又は親和性の向上の点から、触媒を用いることが望ましい。触媒としては、一般にアミン類、イミダゾール類、リン化合物、炭素原子数が10以上であるモノカルボン酸及び/又はジカルボン酸類の、元素周期律表より選ばれたIa族又はIIa族の金属塩類などが挙げられ得る。なかでもトリブチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの3価のリン化合物、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウムなどのステアリン酸の金属塩類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリンなどのイミダゾール類が好ましい。これらの触媒は、単独で又は2種以上混合して用いられ得る。また、上記触媒は一括して添加しても分割して添加しても、同様の効果が得られ、触媒の添加量は、通常、上記ポリエステルエラストマー100質量部に対して2質量以下、好ましくは0.03〜1質量部である。
本発明において2官能以上のエポキシ化合物は、ポリエステルエラストマーの末端に存在するカルボン酸と反応させることが必要であり、以下に述べるポリカルボジイミドよりも先に反応させることが好ましい。この反応により、ポリエステルエラストマーの酸価が低下し、ポリエステルエラストマーの溶融粘度は少なくとも上昇する。
本発明に使用されるポリカルボジイミドとは、一分子内に−N=C=N−の構造を2つ以上有するポリカルボジイミドであり、脂肪族系ポリカルボジイミド、脂環族系ポリカルボジイミド、芳香族系ポリカルボジイミドやこれらの構造の共重合体を使用できる。
本発明に使用されるポリカルボジイミドは、例えば、ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素反応により作製されるが、使用できるジイソシアネートとしては、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−ジイソシアネートなどを単独又は二種以上を共重合させ使用することが出来る。また、分岐構造を導入したり、カルボジイミド基やイソシアネート基以外の官能基を共重合により導入したりしても良い。また、末端のイソシアネートはそのままでも使用可能であるが、さらに末端のイソシアネートを反応させることにより重合度を制御しても良いし、末端イソシアネートの一部を封鎖しても良い。末端封鎖剤としては、フェニルイソシアネート、トリスイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物、−OH基、−COOH基、−SH基、−NH−R基(Rは水素原子又はアルキル基)などを有する化合物を用いることが出来る。
これらのポリカルボジイミドの中で、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを主原料とする脂環族系ポリカルボジイミドが好ましい。また、末端にイソシアネート基を有し、イソシアネート基含有率が0.5〜4質量%程度のものが安定性と取り扱い性の点で好ましく、イソシアネート基含有率は1〜3質量%程度であることがより好ましい。
特に、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートに由来するポリカルボジイミドであって、イソシアネート基含有率が0.5〜4質量%のものが好ましく、さらにイソシアネート基含有率が1〜3質量%のものがより好ましい。イソシアネート基含有率は常法(アミンで溶解して塩酸で逆滴定を行う方法)を用いて測定できる。
また、本発明におけるポリカルボジイミド分子中のカルボジイミド基数は、2〜50が安定性と取り扱い性の点で好ましく、より好ましくは5〜30である。
これらの重合度で、室温付近で固形であると、粉末化されてポリエステルエラストマーとの混合時の作業性に優れ、さらにポリエステルエラストマーとの相溶性に優れ、均一反応性、耐ブリードアウト性の点でも好ましい。
ポリカルボジイミドの配合量はポリエステルエラストマー100質量部に対して0.05〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜4質量部、さらに好ましくは0.5〜4質量部である。5質量部を超えると、柔軟性が損なわれたり、機械的特性、耐熱性、溶融粘度が低下することがある。また、0.05質量部未満であると、組成物中の−N=C=N−量が少なくなり、耐加水分解性向上効果、押出性向上効果に劣ることがある。
ポリエステルエラストマーとポリカルボジイミドとの反応は触媒を用いなくとも起こり得るが、反応の促進の点から、触媒を用いることが望ましい。触媒としては、一般にアミン類、イミダゾール類、等が好ましい。
本発明のポリエステルエラストマー組成物の製造方法としては、例えば、上記メルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が20g/10分以上のポリエステルエラストマー100質量部に対して上記2官能以上のエポキシ化合物を0.05〜5.0質量部を混合して溶融混練した後、さらに該溶融混練物に上記イソシアネート基含有ポリカルボジイミドを0.1〜5.0質量部を溶融混練し、メルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)3g/10分以下のポリエステルエラストマー組成物を得る製造方法が挙げられる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物の製造方法としては、ポリカルボジイミドよりも先に2官能以上のエポキシ化合物を反応させる方法が挙げられる。この順序で反応させることによって2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドがポリエステルエラストマーに効率的に反応しているため、ポリエステルエラストマー組成物のメルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が3g/10分以下を容易に達成することができる。この製造方法によって、メルトフローレート2g/10分以下、さらには1g/10分以下のポリエステルエラストマー組成物を得ることができる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物の製造方法としては、例えば、2官能以上のエポキシ化合物を先にポリエステルエラストマーと反応させポリカルボジイミドを遅れて反応させる方法、ポリエステルエラストマーと少なくとも一部の2官能以上のエポキシ化合物とを反応させてから次いでポリカルボジイミドを反応させる逐次反応法が挙げられる。
一方、ポリエステルエラストマーに先にポリカルボジイミドを反応させる場合は、エラストマーの末端カルボン酸などのエポキシ化合物の反応拠点が減少し、エポキシ化合物の添加効果が発現されず、未反応のエポキシ化合物の悪影響が発現される場合がある。
本発明のポリエステルエラストマー組成物の具体的製造方法としては、例えば、最初にエポキシ化合物を溶融混練し、次いでポリカルボジイミドを溶融混練する二段混練法やベント孔付押出機を用い、先にエポキシ化合物を溶融混練しながら、押出機のベント孔からポリカルボジイミド投入して溶融混練する方法、ポリカルボジイミドの反応触媒を後添加する方法が挙げられる。
例えば、ポリエステルエラストマーと2官能以上のエポキシ化合物と必要により反応触媒とをブレンダーやスーパーミキサーなどの混合機等で混合して、単軸や二軸のスクリュー式溶融混錬機、ニーダー式加熱機に代表される通常の熱可塑性樹脂の混合機で溶融混錬し、さらに、ポリカルボジイミドを溶融混錬させて反応させる方法が挙げられる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物は、上述の2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドが、ポリエステルエラストマーに効率的に反応しているため、柔軟でかつ極めて機械的強度に優れたポリエステルエラストマー組成物を得ることができる。
50%伸長時応力は、低いほどポリエステルエラストマー組成物の柔軟性が高く、高いほど柔軟性が低いことを示すが、従来、50%伸長時応力が15MPa以下の柔軟性が高いポリエステルエラストマー組成物は、引張破断強度は30MPa以下、引張破断伸度は400%以下のものしか得られていない。本発明のポリエステルエラストマー組成物においては、引張破断強度が35MPa以上、引張破断伸度が450%以上、50%伸長時応力に対する引張破断強度の比が3以上を達成することができる。すなわち、ポリエステルエラストマーが本来有する柔軟性を保持したまま、機械的特性が飛躍的に向上したポリエステルエラストマー組成物を得ることができる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物において、引張破断強度、引張破断伸度、及び50%伸長時応力に対する引張破断強度の比の上限は特に無いが、引張破断強度は35〜70MPa、引張破断伸度は、450〜1500%、50%伸長時応力に対する引張破断強度の比が3〜10が、機械的性能と製造のし易さの点から好ましい。特に引張破断強度は40〜50MPa、引張破断伸度は、500〜1000%、50%伸長時応力に対する引張破断強度の比が3〜5が、機械的性能と製造のし易さの点から好ましい。
上述の2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドは、ポリエステルエラストマーと効率的に反応しているため、ポリエステルエラストマー組成物のメルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)は3g/10分以下にすることができる。2g/10分以下、さらには、1g/10分以下とすることも容易である。
本発明のポリエステルエラストマー組成物は、上述の物性を満足するとともに、160℃のような高温におけるデマッチャ屈曲試験において、破断に至る屈曲回数が200万回を超えることが可能で、さらには300万回を超える高温耐屈曲疲労性を達成することも可能である。
また、上述の2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドは、ポリエステルエラストマーに効率的に反応しているため、ポリエステルエラストマー組成物の耐加水分解性(沸騰水中に浸漬し、引張破断伸度が初期引張破断伸度の50%になる時間)は、200時間以上を達成することができる。
すなわち、本発明のポリエステルエラストマー組成物は、増粘効果が高く、機械的強度、伸度、耐加水分解性に優れ、ゲル化物の発生が少なく、特に高温環境下での耐屈曲疲労性、さらには押出成形性、ブロー成形性などの成形加工性にも優れたポリエステルエラストマー組成物である。
また、本発明のポリエステルエラストマー組成物は、加熱による揮散物が少ないことも特徴の一つである。例えば、150℃、2時間での質量減少が0.4%以下を達成することができる。質量減少が0.4%を上回ると、ポリエステルエラストマー組成物を成型品に加工する場合、あるいは樹脂の着色、難燃性付与等の加工を行う際に揮散物が多くなり、数々の問題が生じることがある。
さらに、本発明のポリエステルエラストマー組成物は、ゲル化物の発生がほとんど認められない。例えば、250℃、4時間でのゲル化度が30%以下、さらには、5%以下をも達成することができる。このため、成形機や混練機中にポリエステルエラストマー組成物が滞留してしまうことがあっても、ゲル状物の発生はほとんどない。成型品にゲル化物が混入すると、外観上の問題、強度の低下や、成形機や混練機出口に取り付けたフィルターの詰まりによる成型機や混練機の圧力上昇等といった問題が発生する。
本発明におけるポリカルボジイミドは、上述の2官能以上のエポキシ化合物と反応しなかったポリエステルエラストマーの残存末端カルボン酸、末端水酸基、エポキシ基との反応で生成した水酸基などと反応し、組成物全体としての酸価を大幅に低下させ、かつ、大幅に増粘効果を発現させることができる。また、ポリエステルエラストマーの加水分解により発生したカルボン酸とも速やかに反応し、ポリエステルエラストマー組成物の酸価を常に低い状態に保つことが可能である。これにより、優れた耐加水分解性を有するポリエステルエラストマー組成物となる。
ポリカルボジイミドと2官能以上のエポキシ化合物とをそれぞれポリエステルエラストマーに反応させることにより、熱安定性や耐ブリード性、安全性、作業性などの点から好ましいだけでなく、押出性やブロー成形性も大幅に向上する。さらに、少量のイソシアネート基を有するポリカルボジイミドの使用は、耐加水分解性、押出性のいずれの点でもさらに好ましい。ポリカルボジイミドのイソシアネート基は、ポリエステルの末端水酸基やエポキシ基の反応によって生成した水酸基と反応し、ポリエステルの鎖延長効果を増大させ、従来にない増粘効果が発現するものと考えられる。
ポリエステルエラストマーと2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドの配合及び反応手法としては、2官能以上のエポキシ化合物が先にポリエステルエラストマーと反応し、ポリカルボジイミドが遅れて反応する状態が好ましい。ポリカルボジイミドが遅れて反応する状態になるのであれば、2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドとを同時添加することも可能ではあるが、ポリエステルエラストマーと少なくとも一部の2官能以上のエポキシ化合物とを反応させてから、ポリカルボジイミドを反応させる逐次反応法が好ましい。
先にポリカルボジイミドが反応して、エラストマーの末端カルボン酸などのエポキシ化合物の反応拠点が減少することになると、エポキシ化合物の添加効果が発現されず、逆に未反応のエポキシ化合物の悪影響が発現されることになるためである。
エポキシ化合物を反応させてから、ポリカルボジイミドを反応させる逐次反応法としては、例えば、最初にエポキシ化合物を溶融混練し、次いでポリカルボジイミドを溶融混練する二段混練法やベント孔付押出機を用い、先にエポキシ化合物を溶融混練しながら、押出機のベント孔からポリカルボジイミド投入して溶融混練する方法、ポリカルボジイミドの反応触媒を後添加する方法などが採用できる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物の製造方法としては、例えば、メルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が20g/10分以上のポリエステルエラストマー100質量部に対して2官能以上のエポキシ化合物を0.05〜5.0質量部を混合して溶融混練した後、さらに該溶融混練物にイソシアネート基含有ポリカルボジイミドを0.1〜5.0質量部を溶融混練し、メルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)を3g/10分以下とする製造方法が採用できる。
溶融混練法としては、例えば、ポリエステルエラストマーと2官能以上のエポキシ化合物(必要により反応触媒も)とをブレンダーやスーパーミキサーなどの混合機等で混合して、単軸や二軸のスクリュー式溶融混錬機、ニーダー式加熱機に代表される通常の熱可塑性樹脂の混合機で溶融混錬し、さらに、ポリカルボジイミドを溶融混錬させて反応させる方法が挙げられる。
メルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が40g/10分程度の低い溶融粘度のポリエステルエラストマーのメルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)を5g/10分程度までに増粘させるのには、多官能エポキシ化合物やポリカルボジイミドの単独使用では、それぞれ多量の配合が必要であり、さらに多官能エポキシ化合物ではゲル化物発生の問題があり、ポリカルボジイミドでは、3g/10分未満にまでに増粘させるのは生産性やコストを考慮すると事実上困難であった。
ところが、本発明のポリエステルエラストマーと2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドが反応した組成物は、反応前のポリエステルエラストマーのメルトフローレート(230℃)が40g/10分以上のものを容易に3g/10分以下、好ましくは2g/10分以下、さらに好ましくは1g/10分以下にまで増粘することができ、しかもポリエステルエラストマー100質量部に対して2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドの合計が3質量部程度の少量の配合量で増粘することができる。さらに、これらのメルトフローレート(230℃)にバラツキがなく安定して増粘させることができる。これらの効果は、エポキシ化合物とカルボジイミド化合物との相乗的効果である。
また、本発明のポリエステルエラストマーと2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドが反応した組成物の酸価は、20当量/ton以下、好ましくは10当量/ton以下、さらに好ましくは5当量/ton以下、特に好ましくは0当量/tonにすることができる。このため、長期間にわたって耐加水分解性を維持することができる。なお一般に反応前のポリエステルエラストマーの酸価は50当量/ton以上である。
本発明のポリエステルエラストマー組成物は、上述の2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドが、ポリエステルエラストマーに効率的に反応し、組成物のGPC分析による重量平均分子量(Mw)が200000以上で、かつ重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が3〜5を満足している。
このことにより、エポキシ化合物とポリカルボジイミドとが保有する増粘効果と耐加水分解向上効果が相乗的に発揮されて、成形やリサイクルによっても熱可塑性ポリエステルエラストマーのポリマー特性の低下を極力防止することができ、優れた機械的特性を有し、特に高温環境下での耐屈曲疲労性、耐加水分解性に優れ、さらには押出成形やブロー成形などの成形加工性にも優れた組成物となる。
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比は、3.4〜4.5であることが上記の効果により優れており、好ましい。
また、本発明のポリエステルエラストマー組成物は、溶融樹脂温度230℃で成形した場合に、ポリエステルエラストマー組成物の分子量に関し、成形後の重量平均分子量(Mw2)≧成形前の重量平均分子量(Mw1)の関係を満足することが好ましい。
すなわち、本発明のポリエステルエラストマー組成物は、成形することによってもGPC分析による重量平均分子量は低下が認められず、むしろ増大するのである。
このことによっても、本発明のポリエステルエラストマー組成物が、耐加水分解性に優れ、リサイクル性に優れることが理解できる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物には、必要により各種の熱安定剤や光安定剤を用いることが好ましい。安定剤の構造は特に限定されないが、安定剤に1級又は2級のアミン部分が含まれていないことが好ましい。さらには、安定剤には3級のアミン骨格が含まれていることが好ましい。ポリエステルエラストマーを安定化させる効率を考えると3級アミン部分がシクロ環の1員であるものが好ましい。特に、ヒンダードアミン、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール構造を有するものなどが好ましい。
上記安定剤のアミンが3級未満であるもの、1級もしくは2級アミンの安定剤を使用するとポリエステルエラストマー中にゲル化物が生じ、押出機のフィルター詰まりや成形品の外観を損なう等の問題が発生する場合がある。これは1級もしくは2級アミンはエポキシ樹脂の硬化剤として知られているように、1級もしくは2級アミンがエポキシ樹脂内に組み込まれ、エポキシ樹脂分子を架橋していくためであると考えられる。
上記安定剤の添加量は、用途によって適宜変えることができる。一般にはより高度な安定性を要求される用途では、添加量を高める必要がある。しかし添加量を高めすぎると安定剤が成形時に析出し、成形金型を汚染したり、ポリマー流路に堆積して成形に不都合を生じる原因となる。また、成形品として加工した後でも使用中に成形品表面に安定剤が析出して、見栄えが悪くなったり、衛生上問題を生じる可能性がある。従って安定剤の添加量は、ポリエステルエラストマー組成物100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲が適切であり、より好ましくは0.3〜3質量部である。
上記安定剤は単独で又は他の一般的な安定剤と混合して用いうるが、共に用いうる安定剤としては、フェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系、金属塩系などが挙げられる。本発明においては揮散性と機械的特性、耐熱性、耐加水分解性のバランスを取る観点より、安定剤としても揮散性の低い化合物を選定することが望ましい。
本発明のポリエステルエラストマー組成物は、必要に応じて、繊維状強化材及び/又は無機フィラーを含有し得る。前記ポリエステルエラストマー100質量部に対して、100質量部を超えない範囲で配合することにより、強度・剛性・耐熱性・寸法安定性等の向上を図ることが可能である。繊維状強化材としては、ガラス繊維、シリカガラス繊維、アルミナ繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、チタン酸カルウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカーなどのウィスカー及び炭素繊維等が挙げられる。無機フィラーとしてはタルク、ワラストナイト、カオリン、マイカ、セリサイト、クレー、アルミナシリケート、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、炭酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物は、必要に応じて難燃剤を含有し得る。前記ポリエステルエラストマー100質量部に対して、100質量部を超えない範囲で配合することにより難燃性の向上を図ることが可能である。難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、メラミン系等の有機添加物、金属水酸化物等の無機添加物等が挙げられる。また、必要に応じて酸化アンチモン、ホウ素化合物等の難燃助剤を添加しても構わない。
本発明のポリエステルエラストマー組成物には、用途、目的などに応じて、従来公知の結晶化促進剤、結晶核材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、導電性改良剤、耐加水分解改良剤、多官能架橋剤、耐衝撃改良剤、金属劣化防止剤、着色剤などが配合され得る。また、本発明の目的を損なわない限り、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタンのような他の種類の樹脂もブレンドされ得る。
以下、実施例を挙げて本発明の構成及び作用効果をより詳細に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合しうる範囲で変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。本発明においては、特に指定しない限り、「部」はすべて質量部を表す。
実施例中で示される特性は、以下の方法で測定・評価したものである。
[引張破断強伸度試験:JIS K6301]
射出成形機(山城精機社製、model−SAV)を用いて、チップ(水分率500ppm以下に乾燥)を100mm×100mm×2mmの平板に成形した後、樹脂の流れ方向から見て直角方向にダンベル状3号形の試験片を平板から打ち抜いた。東洋精機社製テンシロンUTM−IIIを用いて、得られた試験片を毎分500mmの速さで伸長し、50%伸長時応力(MPa)、試験片が破断したときの引張破断強度(MPa)、試験片が破断するまでの試料の伸びの原試料長に対する割合を引張破断伸度(%)とした。値は5個のサンプルの平均を取った。

なお、リサイクルテストにおいては、成形平板、スプルー、ランナーをプラスチック粉砕機で粉砕後、水分率500ppm以下に乾燥し、バージンチップと同様にして試験片を得て同様に評価した。
[ゲル化物発生試験]
上記の射出成形機による平板成形の際、射出成形機の成形を20分間停止して射出成形機シリンダー内に溶融樹脂を滞留させた後、平板を成形して平板中のゲル化物の有無を観察した。
○ :ゲル化物が全く認められない。
△ :ゲル化物が僅かに認められる。
× :ゲル化物が顕著に認められる。
[耐屈曲疲労性:デマッチャ屈曲試験]
デマッチャ屈曲試験機(テスター株式会社製)を用い、以下の所定の試験片について、160℃の雰囲気下で、チャック間距離67mm⇔27mmの屈曲を300回/分の速度で実施し、破断に至るまでの回数を求めた。
試験片:100mm×20mm×3.6mmtで、長さ方向の中央部の20mm幅全体に、R2.4mmの溝が形成された射出成形片。
なお、上記以外についてはJIS K7210に準拠して測定した。
[溶融粘度(メルトフローレート)]
JIS K7210記載の試験法(A法)に準拠し、測定温度230℃、荷重2160gfでのメルトフローレート(MFR:g/10分)を測定した。測定には水分率0.1質量%以下の組成物を用いた。
[溶液粘度:ηsp/c]
ポリマー0.05gを25mlの混合溶媒(フェノール/テトラクロルエタン=60/40質量比)に溶かして、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した。単位をdl/gで示した。
[分子量]
分子量はGPC分析により求めた。装置はTOSOH HLC−8220GPC、カラムはTSKgel Super HM−H×2+TSKgel SuperH2000(TOSOH)、検出器はUV254nm、溶媒はクロロホルム/HFIP=98/2(体積比)を用いた。流速は0.6ml/分、濃度0.025%、温度40℃、条件にて測定を行った。分子量は標準ポリスチレン換算で1000以下の部分を除外して計算した。
[酸価]
酸価はポリエステルエラストマー樹脂組成物0.5gをベンジルアルコール/クロロホルム(50/50質量比)100mlに溶解させ、KOHのエタノール溶液で滴定した。指示薬はフェノールレッドを用いた。樹脂1ton中の当量(eq/ton)として表した。
[耐加水分解性:沸水浸漬試験]
ダンベル状3号形の試験片を、沸騰水中に浸漬し、50時間後、100時間後、150時間後、200時間後、250時間後の各時間放置後のサンプルの引張破断伸度を測定した。引張破断伸度が沸騰水中に浸漬前の引張破断伸度の50%に低下する時間(hr)をグラフから内挿して求めた。
(製造例1)ポリエステルエラストマー
ポリテトラメチレンテレフタレート55kg、ε−カプロラクトン45kgを反応容器にとり、窒素ガスでパージした後、230℃で撹拌しながら2時間溶融反応させることで、ポリエステルエラストマーのチップを得た。得られたポリエステルエラストマーは、溶液粘度が1.46dl/gであり、酸価が56当量/10gであった。
(製造例2)ポリカルボジイミドA
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下HMDIとも記載する)262gに、カルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド(以下、カルボジイミド化触媒と略す)1.5gを加え、窒素をバブリングしながら、185℃で28時間縮合反応させることにより、HMDI由来のポリカルボジイミドA(重合度=20、イソシアネート基含有率1.8%)を得た。
(ポリカルボジイミドB)
市販のポリカルボジイミド(トリアルキルフェニルジイソシアネート由来のポリカルボジイミド、重合度=5〜7、イソシアネート基含有率0%)を使用した。
(実施例1)
製造例1で得られたポリエステルエラストマーのチップ100質量部に多官能エポキシ化合物として粉末状トリグリシジルイソシアヌレート0.1質量部、触媒0.2質量部をドラムタンブラーに入れ、室温にて30分間混合した。該混合物をベント孔付40mmφ同方向2軸押出機を用いて230℃で溶融混練してストランド状に押出し、ストランドを水冷しながら切断してチップ化した。次いで、得られたチップを100℃にて減圧乾燥してから、該チップ100質量部に対して、粉末状ポリカルボジイミドA2質量部をエポキシ化合物の場合と同様にして溶融混練し、切断してチップ化した。該チップを100℃にて減圧乾燥して本発明のポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
(実施例2)
ポリカルボジイミドAの配合量を3質量部とした以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
(比較例1)
トリグリシジルイソシアヌレート0.5質量部、ポリカルボジイミドB2質量部とする以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
(比較例2〜4)
表1、2に示す添加剤及び添加量に変更する以外は実施例1と同様にして、比較例2〜6のポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
(比較例7)
製造例1で得られたポリエステルエラストマーのチップ100質量部に対してトリグリシジルイソシアヌレート0.1質量部とポリカルボジイミドA2質量部を混合しドラムタンブラーに入れ、室温にて30分間混合した。該混合物を40mmφ同方向2軸押出機を用いて230℃にてストランド状に押出し、ストランドを水冷しながら切断してチップ化した。得られたチップを100℃にて減圧乾燥してポリエステルエラストマー組成物チップを得た。
(比較例8)
製造例1で得られたポリエステルエラストマーのチップ100質量部に、粉末状ポリカルボジイミドA2質量部をドラムタンブラーに入れ、室温にて30分間混合した。該混合物をベント孔付40mmφ同方向2軸押出機を用いて230℃で溶融混練してストランド状に押出し、ストランドを水冷しながら切断してチップ化した。次いで、得られたチップを100℃にて減圧乾燥してから、該チップ100質量部に対して、粉末状トリグリシジルイソシアヌレート0.1質量部、触媒0.2質量部をポリカルボジイミド化合物の場合と同様にして溶融混練して切断してチップ化した。該チップを100℃にて減圧乾燥して本発明のポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
上記実施例1、2、比較例1〜8で得られたポリエステルエラストマー組成物、及び製造例1で得られたポリエステルエラストマー(表2の参考例)について、評価した結果を表1、2に示した。
表1、2中の表記は、以下を示す。
・エポキシA:トリグリシジルイソシアヌレート
・エポキシB:ジエチレングリコールジグリシジルエーテル
・ポリカルボジイミドA:4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート由来(イソシアネート基含有率1.8%)
・ポリカルボジイミドB:トリアルキルフェニルジイソシアネート由来(イソシアネート基含有率0%)
*1:(エポキシ+ポリカルボジイミド)同時添加
*2:ポリカルボジイミド先添加、エポキシ後添加
*3:デマッチャ屈曲試験による破断屈曲回数
*4:蛇腹部の谷部に亀裂が貫通状に発生するまでの時間(hr)
表1、2から、本発明のポリエステルエラストマー組成物は、従来のポリエステルエラストマー組成物に比べて、溶融粘度(MFR)、引張破断強伸度、耐加水分解性、耐屈曲疲労性などが飛躍的に向上することが認められる。本発明においてエポキシ化合物とポリカルボジイミド化合物との配合効果が相乗的に発揮されていることがわかる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物の製造方法としては、エポキシ化合物を溶融混練した後、さらにポリカルボジイミドを溶融混練して製造する方法が好ましい。ポリカルボジイミドを先に溶融混練する方法やポリカルボジイミドとエポキシ化合物とを同時に溶融混練する方法では、好ましい結果が得られなかった。
[フレキシブルブーツ耐久性評価]
上記実施例1、2及び比較例1、5、7、8で得られたポリエステルエラストマー組成物について、プレスブロー成形機(オズバーガー社製、SBE50/140型)を使用して、シリンダー温度230℃、ノズル温度230℃、金型温度30℃の成形条件で、図1に示す6山6谷を有するフレキシブルブーツを成形した。
成形したフレキシブルブーツを等速ジョイントに組み付けて、耐久性能について評価した。結果を表1、2に示す。なお試験方法は下記の要領で実施した。
・耐久性能:高温雰囲気140℃で、等速ジョイントの最大角(図1のθ)を43°、回転数を500rpmとし、フレキシブルブーツの蛇腹部の谷部に亀裂が貫通状に発生するまでの時間(hr)を測定した。結果を表1、2に示した。
表1、2から、本発明のブロー成形品は、ポリエステルエラストマー組成物の優れた特性を発揮することができ、特に高温環境下での耐屈曲疲労性に優れることがわかる。
本発明のポリエステルエラストマー組成物は、ポリエステルエラストマーの特長である高い柔軟性を有するにもかかわらず、極めて高い機械的特性を有し、かつ高温環境下での耐屈曲疲労性、耐加水分解性にも優れ、さらには成形加工性、特に押出加工性、ブロー成形性に優れ、しかも、ゲル化物の少ないエラストマー成形品が得られるので、射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形材料として有用である。
また、本発明のポリエステルエラストマー組成物から得られるブロー成形品は、高い柔軟性を有するにもかかわらず、極めて高い機械的特性を有し、かつ高温環境下での耐屈曲疲労性、耐加水分解性にも優れたポリエステルエラストマー組成物を用いて得られたものであるため、従来にない特に高温環境下での耐久性に優れた自動車の等速ジョイントブーツ、サスペンションブーツ、ラックアンドピニオンブーツ、エアダクトなどのフレキシブル性が要求されるブロー成形品を提供することができる。

Claims (10)

  1. ポリエステルエラストマーに2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドとが反応してなるポリエステルエラストマー組成物であって、前記ポリカルボジイミドが、カルボジイミド基数が2〜50で、イソシアネート基含有率が0.5〜4質量%である脂肪族又は脂環族のポリカルボジイミド化合物であり、引張破断強度が35MPa以上、引張破断伸度が450%以上で、かつ50%伸長時応力に対する引張破断強度の比が3以上であることを特徴とするポリエステルエラストマー組成物。
  2. 前記ポリエステルエラストマー組成物のメルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が3g/10分以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルエラストマー組成物。
  3. 前記ポリエステルエラストマー組成物が、160℃におけるデマッチャ屈曲試験において、破断に至る屈曲回数が200万回を超えることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物。
  4. 前記2官能以上のエポキシ化合物が、トリグリシジルイソシアヌレートであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物。
  5. ポリエステルエラストマーに2官能以上のエポキシ化合物とポリカルボジイミドとが反応してなるポリエステルエラストマー組成物であって、前記2官能以上のエポキシ化合物が、トリグリシジルイソシアヌレートであり、前記ポリカルボジイミドが、カルボジイミド基数が2〜50で、イソシアネート基含有率が0.5〜4質量%である脂肪族又は脂環族のポリカルボジイミド化合物であり、該組成物のGPC分析による重量平均分子量(Mw)が200000以上で、かつ重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が3〜5であることを特徴とするポリエステルエラストマー組成物。
  6. ポリエステルエラストマー組成物を溶融樹脂温度230℃で成形した場合に、GPC分析による重量平均分子量において下記(1)式の関係を満足する請求項に記載のポリエステルエラストマー組成物。
    成形後の重量平均分子量(Mn2)≧成形前の重量平均分子量(Mn1)・・・(1)
  7. 前記重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が3.4〜4.5である請求項又はに記載のポリエステルエラストマー組成物。
  8. 前記ポリエステルエラストマー組成物のメルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が3g/10min以下であることを特徴とする請求項いずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物。
  9. メルトフローレート(JIS K7210に準拠:230℃)が20g/10分以上のポリエステルエラストマー100質量部に対してトリグリシジルイソシアヌレート0.01〜5.0質量部を混合して溶融混練した後、さらに該溶融混練物にカルボジイミド基数が2〜50で、イソシアネート基含有率が0.5〜4質量%である脂肪族又は脂環族のポリカルボジイミド化合物0.05〜5.0質量部を溶融混練し、メルトフローレート(JISK7210に準拠:230℃)を3g/10分以下のポリエステルエラストマー組成物を得ることを特徴とするポリエステルエラストマー組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜いずれかに記載のポリエステルエラストマー組成物から成形されたことを特徴とするブロー成形品。
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