JPH11323107A - ポリエステル系重合体組成物 - Google Patents

ポリエステル系重合体組成物

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JPH11323107A
JPH11323107A JP15204398A JP15204398A JPH11323107A JP H11323107 A JPH11323107 A JP H11323107A JP 15204398 A JP15204398 A JP 15204398A JP 15204398 A JP15204398 A JP 15204398A JP H11323107 A JPH11323107 A JP H11323107A
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JP
Japan
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polyester
polyethylene terephthalate
polymer composition
acid
block copolymer
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JP15204398A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Oshita
竜也 尾下
Haruhisa Masuda
晴久 増田
Toru Kuki
徹 九鬼
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエチレンテレフタレート系樹脂(PE
T)のリサイクル品等を用いて、弾性回復性、耐屈曲
性、耐熱老化性などの諸特性に優れるポリエステル系重
合体組成物を提供すること。 【解決手段】 (i)PET系樹脂(I)及びポリエステル
ブロック共重合体(II)を20:80〜70:30の重
量比で含有し、(ii)PET系樹脂(I)が固有粘度0.5
〜0.75dl/g及び降温結晶化温度170℃以上を
有し、(iii)前記ブロック共重合体(II)が芳香族ポリエ
ステルブロックからなるハードセグメント(A)と脂肪族
ポリエステルブロック及び脂肪族ポリエーテルブロック
の少なくとも1種よりなるソフトセグメント(B)を、ハ
ードセグメント(A):ソフトセグメント(B)=30:7
0〜70:30の重量比で有し且つ固有粘度が1.3d
l/g以上のポリエステルブロック共重合体である、ポ
リエステル系重合体組成物により上記の課題が解決され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は特定のポリエチレン
テレフタレート系樹脂およびポリエステルブロック共重
合体を含有するポリエステル系重合体組成物、並びにそ
れよりなるクッション材に関する。本発明のポリエステ
ル系重合体組成物は、弾性回復性、耐屈曲性、耐熱老化
性などの耐久性などの特性に優れており、それらの特性
を活かして、機械部品、自動車部品、電気・電子部品、
スポーツ用品、繊維、布帛などの広範な用途に有効に使
用することができる。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート樹脂および
ポリエステルブロック共重合体を含有するポリエステル
組成物に関する従来技術としては、(1)ポリエチレン
テレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート3
0〜99.5重量部および芳香族ポリエステル・ポリラ
クトンブロック共重合体70〜0.5重量部よりなる組
成物に繊維状強化剤および/または無機充填剤を配合し
たポリエステル組成物(特開昭57−179239号公
報)、(2)ポリエチレンテレフタレート100重量
部、ポリエステル・エーテルブロック共重合体1〜15
重量部およびポリオレフィン樹脂2〜20重量部よりな
るポリエステル組成物(特開平1−165627号公
報)などが知られている。しかしながら、前記(1)の
ポリエステル組成物は、エンジニアリングプラスチック
などのような曲げ弾性率が高くて変形しにくいポリエス
テル組成物を目的とするものであり、また前記(2)の
ポリエステル組成物はカレーなどのような高温充填を行
う食品に用いる耐熱変形性容器を目的とするものであ
り、いずれも、弾性回復性や耐屈曲性などの特性を備え
ておらず、弾性回復性や耐屈曲性が要求される用途に用
い得る材料ではない。
【0003】また、ペットボトルに代表されるポリエチ
レンテレフタレート系樹脂製品のリサイクルが、環境問
題、ゴミ処理問題、資源の有効利用などの点から、近年
重要な課題になっている。回収されたペットボトル等の
使用済み製品は、繊維製品、成形品の製造などに再利用
されるようになってきている。しかしながら、使用済み
のポリエチレンテレフタレート系樹脂を、弾性回復性や
耐屈曲性が求められる製品の製造に再利用することは従
来行われておらず、使用済みポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂のリサイクルを一層促進するために、弾性回復
性や耐屈曲性を有する材料への利用やその他の用途への
拡大利用が強く望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
エステル樹脂が本来有する耐熱性、耐熱老化性、耐加水
分解性、高強度などの特性を備え、しかも弾性回復性、
耐屈曲性、耐熱老化性などの特性に優れていて、機械部
品、自動車部品、電気・電子部品、スポーツ用品、繊
維、布帛などの広範な用途に有効に使用することができ
る、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を含有するポリ
エステル系重合体組成物を提供することである。さら
に、本発明の目的は、使用済みポリエチレンテレフタレ
ート系樹脂の有効利用および新たな用途の開発を行うこ
とである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが種々検討を重ねたところ、特定の固有粘度
および降温結晶化温度を有するポリエチレンテレフタレ
ート系樹脂と、特定のポリエステルブロック共重合体と
を特定の割合で混合すると、該ポリエステルブロック共
重合体からなるマトリックス中に該ポリエチレンテレフ
タレート系樹脂が均一に且つ微細に分散して、弾性回復
性、耐屈曲性、耐熱老化性などの特性に優れ、しかもポ
リエステル系樹脂が本来備える強度などの点にも優れる
ポリエステル系重合体組成物が得られること、そのポリ
エステル系重合体組成物は機械部品、自動車部品、電気
・電子部品、スポーツ用品、繊維、布帛などの広範な用
途に有効に用い得ることを見出した。そして、本発明者
らは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂のリサイクル
品が、上記した特定の固有粘度および降温結晶化温度を
多くの場合に有しており、そのため弾性回復性、耐屈曲
性および耐熱老化性に優れる上記したポリエステル系重
合体組成物の製造に極めて有効であることを見出した。
【0006】また、本発明者らは、前記したポリエステ
ル系重合体組成物に、水酸基および/またはカルボキシ
ル基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物を反応
させて、ポリエステル系重合体組成物の固有粘度を0.
8dl/g以上にしたものでは、ポリエチレンテレフタ
レート系樹脂(I)とポリエステルブロック共重合体
(II)の分散状態が一層良好になり、耐屈曲性、耐熱老
化性などの特性がより優れたものとなることを見出し
た。さらに、本発明者らは、前記したポリエステル系重
合体組成物に特定の酸化防止剤を添加すると、50℃以
上の高温での耐屈曲性の低下、引張強度などの力学的特
性の低下が大幅に改善され得ることを見出し、それらの
種々の知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、(i) ポリエチレ
ンテレフタレート系樹脂(I)およびポリエステルブロ
ック共重合体(II)を、ポリエチレンテレフタレート系
樹脂(I):ポリエステルブロック共重合体(II)=2
0:80〜70:30の重量比で含有するポリエステル
系重合体組成物であって;(ii) 前記ポリエチレンテ
レフタレート系樹脂(I)が、固有粘度0.5〜0.7
5dl/gおよび降温結晶化温度170℃以上を有する
ポリエチレンテレフタレート系樹脂であり;そして、
(iii) 前記ポリエステルブロック共重合体(II)
が、芳香族ポリエステルブロックからなるハードセグメ
ント(A)と、脂肪族ポリエステルブロック(b1)お
よび脂肪族ポリエーテルブロック(b2)の少なくとも
1種からなるソフトセグメント(B)を、ハードセグメ
ント(A):ソフトセグメント(B)=30:70〜7
0:30の重量比で有し、且つ固有粘度1.3dl/g
以上のポリエステルブロック共重合体である;ことを特
徴とするポリエステル系重合体組成物である。
【0008】そして、本発明は、上記のポリエステル系
重合体組成物に、水酸基および/またはカルボキシル基
と反応し得る官能基を2個以上有する化合物(III)を
反応させてなる、固有粘度0.8dl/g以上のポリエ
ステル系重合体組成物である。
【0009】さらに、本発明は、ヒンダードフェノール
系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤のうちの少なく
とも1種を含有する前記したポリエステル系重合体組成
物である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明のポリエステル系重合体組成物で用いるポ
リエチレンテレフタレート系樹脂(I)は、テレフタル
酸単位を主体とするジカルボン酸単位と、エチレングリ
コール単位を主体とするジオール単位からなるポリエチ
レンテレフタレート系樹脂である。ポリエチレンテレフ
タレート系樹脂(I)としては、テレフタル酸単位とエ
チレングリコール単位のみからなるポリエチレンテレフ
タレート樹脂、並びにテレフタル酸単位の一部を他のジ
カルボン酸単位で置換するかおよび/またはエチレング
リコール単位の一部を他のジオール単位で置換したポリ
エチレンテレフタレート系樹脂のいずれもが使用でき
る。ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)が、テレ
フタル酸単位およびエチレングリコール単位以外の他の
構造単位(他のジカルボン酸単位および/または他のジ
オール単位)を有する場合は、他の構造単位の割合が、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)を構成する全
構造単位の30モル%以下であることが好ましく、20
モル%以下であることがより好ましい。
【0011】ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)
が有し得る他のジカルボン酸単位の例としては、イソフ
タル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシ
エタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン
酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、スルホイソフタ
ル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸;1,3−シ
クロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジ
カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など
の脂環式ジカルボン酸;マロン酸、ジメチルマロン酸、
コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、
2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチル
アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカル
ボン酸;およびそれらのエステル形成性誘導体などから
誘導されるジカルボン酸単位を挙げることができる。ポ
リエチレンテレフタレート系樹脂(I)は、上記した他
のジカルボン酸単位を1種のみ有していてもまたは2種
以上有していてもよい。
【0012】また、ポリエチレンテレフタレート系樹脂
(I)が有し得る他のジオール単位の例としては、テト
ラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デ
カメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、2−メチルプロパンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロー
ル、1,4−シクロヘキサンジメチロール、シクロヘキ
サンジオールなどの脂肪族ジオール;2,2−ビス(4
−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス
(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンなど
の芳香族ジオール;ジエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールなどの低分子量ポリアル
キレングリコールなどから誘導されるジオール単位を挙
げることができる。ポリエチレンテレフタレート系樹脂
(I)は、上記の他のジオール単位の1種のみを有して
いてもまたは2種以上を有していてもよい。
【0013】更に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂
(I)は、全構造単位に基づいて1モル%以下であれ
ば、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸な
どの3官能以上のモノマーから誘導される構造単位の1
種または2種以上を有していてもよい。
【0014】本発明のポリエステル系重合体組成物で
は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)として、
固有粘度が0.5〜0.75dl/gの範囲であり且つ
降温結晶化温度が170℃以上である上記したポリエチ
レンテレフタレート系樹脂を用いることが必要であり、
固有粘度が0.6〜0.72dl/gの範囲であり且つ
降温結晶化温度が175℃以上であるポリエチレンテレ
フタレート系樹脂を用いることが好ましく、固有粘度が
0.6〜0.72dl/gの範囲であり且つ降温結晶化
温度が180℃以上であるポリエチレンテレフタレート
系樹脂を用いることがより好ましい。なお、本明細書に
おけるポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)の固有
粘度は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)をフ
ェノール/テトラクロロエタン(重量比=1/1)混合
溶媒に溶解して30℃で測定したときの固有粘度を言
う。また、本明細書におけるポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂(I)の降温結晶化温度は、示差走査熱量計
(DSC)を用いて、窒素気流下で測定した際の降温結
晶化ピーク温度を言い、その詳細な測定法は以下の実施
例の項に記載するとおりである。
【0015】ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)
の固有粘度が0.5dl/g未満であると、ポリエステ
ル系重合体組成物の耐屈曲性、曲げ強度、引張強度、弾
性回復性などの機械的な特性が劣る。一方、ポリエチレ
ンテレフタレート系樹脂(I)の固有粘度が0.75d
l/gよりも高いと、ポリエチレンテレフタレート系樹
脂(I)の分散が不良となり、やはりポリエステル系重
合体組成物の耐屈曲性、曲げ強度、引張強度、弾性回復
性などの機械的な特性が劣るようになる。
【0016】また、上述のように、本発明では、ポリエ
チレンテレフタレート系樹脂(I)の降温結晶化温度と
しては、170℃以上であることが必要であり、ポリエ
ステル系重合体組成物の弾性回復性、耐屈曲性、成形
性、耐熱性がより良好になる点から、175℃以上であ
ることが好ましく、180℃以上であることがより好ま
しい。
【0017】ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)
としては、固有粘度が0.5〜0.75dl/gであり
且つ降温結晶化温度が170℃以上である限りは、リサ
イクル品を単独で使用しても、バージンなポリエチレン
テレフタレート系樹脂を単独で使用しても、またはリサ
イクル品とバージン品を混合して使用してもよい。ここ
で、リサイクル品とは、加熱溶融状態で成形機や紡糸装
置を通過させた履歴を有するポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂をいう。使用済みのペットボトル、使用済みの
ポリエチレンテレフタレート系樹脂繊維、使用済みのポ
リエチレンテレフタレート系樹脂成形品などの回収によ
り得られるポリエチレンテレフタレート系樹脂のリサイ
クル品は、一般に0.6〜0.75dl/gの固有粘度
および175℃以上の降温結晶化温度を有しているもの
が多い。一方、バージンなポリエチレンテレフタレート
系樹脂は、一般に0.4〜1.2dl/gの固有粘度お
よび165℃以下の降温結晶化温度を有しているものが
多い。そのため、本発明では、ポリエチレンテレフタレ
ート系樹脂(I)として、従来その取り扱いに苦慮され
てきた使用済みのポリエチレンテレフタレート系樹脂
(リサイクル品)が有効に利用できる。なお、本発明の
ポリエステル系重合体組成物においては、固有粘度0.
5〜0.75dl/gおよび/または降温結晶化温度1
70℃以上という前記した要件を備えていないポリエチ
レンテレフタレート系樹脂を、ポリエチレンテレフタレ
ート系樹脂(I)に対して40重量%以下、好ましくは
30重量%以下、より好ましくは20重量%以下の範囲
で配合することができる。
【0018】本発明のポリエステル系重合体組成物で用
いるポリエステルブロック共重合体(II)は、芳香族ポ
リエステルブロックからなるハードセグメント(A)
と、脂肪族ポリエステルブロック(b1)および脂肪族
ポリエーテルブロック(b2)の少なくとも1種よりな
るソフトセグメント(B)を、ハードセグメント
(A):ソフトセグメント(B)=30:70〜70:
30の重量比で有している。
【0019】ポリエステルブロック共重合体(II)にお
けるハードセグメント(A)を構成する芳香族ポリエス
テルブロックは、芳香族ジカルボン酸単位とジオール単
位から主としてなる芳香族ポリエステルブロック
(a1)であっても、芳香族ヒドロキシカルボン酸単位
から主としてなる芳香族ポリエステルブロック(a2
であっても、または芳香族ポリエステルブロック
(a1)と芳香族ポリエステルブロック(a2)の併存し
たもののいずれであってもよい。
【0020】前記した芳香族ポリエステルブロック(a
1)における芳香族ジカルボン酸単位としては、テレフ
タル酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,
4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエー
テルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、
ジフェニルケトンジカルボン酸、スルホイソフタル酸、
アントラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、
それらの金属塩、およびそれらのエステル形成性誘導体
の1種または2種以上に由来するジカルボン酸単位を挙
げることができる。そのうちでも、芳香族ポリエステル
ブロック(a1)における芳香族ジカルボン酸単位がテ
レフタル酸単位からなっていることが好ましい。
【0021】芳香族ポリエステルブロック(a1)は、
必要に応じて、30モル%以下、好ましくは20モル%
以下、より好ましくは10モル%以下の、例えば1,3
−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
などから誘導される脂環式ジカルボン酸単位;マロン
酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコ
ハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、ア
ジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン
酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン
酸などから誘導される脂肪族ジカルボン酸単位;の1種
または2種以上を有していてもよい。
【0022】また、前記した芳香族ポリエステルブロッ
ク(a1)におけるジオール単位としては、エチレング
リコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオ
ール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジ
オールなどの脂環族ジオール;1,4−ビス(β−ヒド
ロキシエトキシベンゼン)、p−キシリレングリコール
などの芳香族ジオールの1種または2種以上に由来する
ジオール単位を挙げることができる。
【0023】前記した芳香族ポリエステルブロック(a
2)における芳香族ヒドロキシカルボン酸単位として
は、例えばサリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキ
シ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸またはそ
のエステル形成性誘導体の1種または2種以上に由来す
る構造単位を挙げることができる。芳香族ポリエステル
ブロック(a2)は、必要に応じて、30モル%以下、
好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%
以下の、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、例えば、ε−ヒ
ドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシエナント酸、7−
ヒドロキシカプリル酸、またはそれらのエステル形成性
誘導体の1種または2種以上に由来する単位を有してい
てもよい。
【0024】また、芳香族ポリエステルブロック
(a1)および/または芳香族ポリエステルブロック
(a2)は、必要に応じて、少量(好ましくは全構造単
位の1モル%以下)のトリメリット酸、トリメシン酸、
ピロメリット酸、トリカルバリル酸などの3官能以上の
多価カルボン酸から誘導される単位、トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン
トリオール、ペンタエリスリトールなどの3官能以上の
多価アルコールから誘導される単位を有していてもよ
い。
【0025】ポリエステルブロック共重合体(II)にお
けるハードセグメント(A)を構成する芳香族ポリエス
テルブロックは、ポリブチレンテレフタレート系樹脂お
よび/またはポリエチレンテレフタレート系樹脂からな
っていることが、ポリエチレンテレフタレート系樹脂
(I)との相溶性が良好であり、且つ得られるポリエス
テル系重合体組成物の成形性、弾性回復性、耐屈曲性、
曲げ強度、引張強度などが優れたものになる点から好ま
しく、ポリブチレンテレフタレート系樹脂からなること
がより好ましい。その際に、ポリブチレンテレフタレー
ト系樹脂および/またはポリエチレンテレフタレート系
樹脂は、ブチレンテレフタレート単位のみ又はエチレン
テレフタレート単位のみからなるポリエステル樹脂(ホ
モポリマー)であっても、或いはそれらの構造単位と共
に、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モ
ル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の上記した
他の構造単位を有するポリエステル樹脂であってもよ
い。
【0026】また、ポリエステルブロック共重合体(I
I)におけるハードセグメント(A)を構成する芳香族
ポリエステルブロックは、耐熱性、力学的特性、成形性
などの点から、その数平均分子量が500〜10,00
0であることが好ましく、1,000〜5,000であ
ることがより好ましい。
【0027】ポリエステルブロック共重合体(II)にお
けるソフトセグメント(B)を構成し得る脂肪族ポリエ
ステルブロック(b1)としては、脂肪族ジカルボン酸
単位と脂肪族ジオール単位から主としてなる非結晶状の
脂肪族ポリエステルブロック(b1−1)および脂肪族
ヒドロキシカルボン酸単位から主としてなる非結晶状の
脂肪族ポリエステルブロック(b1−2)を挙げること
ができる。ポリエステルブロック共重合体(II)は、ソ
フトセグメント(B)として、これらの脂肪族ポリエス
テルブロック(b1−1)および(b1−2)の1種また
は2種以上を有していることができる。
【0028】前記した脂肪族ポリエステルブロック(b
1−1)を構成する脂肪族ジカルボン酸単位としては、
例えば、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3
−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メ
チルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,
7−ジメチルデカン二酸およびそれらのエステル形成性
誘導体に由来する構造単位を挙げることができ、脂肪族
ポリエステルブロック(b1−1)は、これらの構造単
位の1種または2種以上を有していることができる。ま
た、脂肪族ポリエステルブロック(b1−1)は、上記
した脂肪族ジカルボン酸単位以外に、必要に応じて、少
量(好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モ
ル%以下、さらに好ましくは10モル%以下)のシクロ
ヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタ
ル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカル
ボン酸またはそれらのエステル形成性誘導体に由来する
ジカルボン酸単位を有していてもよい。
【0029】また、前記した脂肪族ポリエステルブロッ
ク(b1−1)を構成する脂肪族ジオール単位として
は、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタン
ジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナン
ジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウン
デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどの直
鎖状の脂肪族ジオール;1,2−プロパンジオール、2
−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグ
リコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオー
ル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチ
ル−1,8−オクタンジオールなどの分岐を有する脂肪
族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキ
サンジオールなどの脂環式ジオールなどの脂肪族ジオー
ルに由来する構造単位を挙げることができ、脂肪族ポリ
エステルブロック(B1−1)はそれらの脂肪族ジオー
ル単位の1種または2種以上を有していることができ
る。脂肪族ポリエステルブロック(b1−1)は、前記し
た脂肪族ジオール単位以外に、必要に応じて、少量(好
ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以
下、さらに好ましくは10モル%以下)の、1,4−ビ
ス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、p−キシレン
グリコールなどの芳香族ジオールに由来する構造単位を
有していてもよい。
【0030】また、前記した脂肪族ポリエステルブロッ
ク(b1−2)を構成する脂肪族ヒドロキシカルボン酸
単位の好ましい例としては、ε−ヒドロキシカプロン
酸、6−ヒドロキシエナント酸、7−ヒドロキシカプリ
ル酸などの飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸またはそれ
らのエステル形成性誘導体に由来する構造単位を挙げる
ことができ、脂肪族ポリエステルブロック(b1−2)
はこれらの脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位の1種また
は2種以上を有していることができる。そのうちでも、
脂肪族ポリエステルブロック(b1−2)は、飽和脂肪
族ヒドロキシカルボン酸単位を全ヒドロキシカルボン酸
単位に基づいて60モル%以上含有していることが好ま
しく、70モル%以上含有していることがより好ましく
80モル%以上含有していることが更に好ましい。
【0031】脂肪族ポリエステルブロック(b1−1)
および/または脂肪族ポリエステルブロック(b1
2)は、必要に応じて、少量(好ましくは全構造単位の
1モル%以下)であれば、トリメリット酸、トリメシン
酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸などの3官能以
上の多価カルボン酸;トリメチロールエタン、トリメチ
ロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペ
ンタエリスリトールなどの3官能以上の多価アルコール
に由来する構造単位を有していてもよい。
【0032】また、ポリエステルブロック共重合体(I
I)におけるソフトセグメント(B)を構成し得る脂肪
族ポリエーテルブロック(b2)としては、例えば、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リ(テトラメチレンオキシ)グリコールなどのポリ(ア
ルキレンオキシド)グリコールなどに由来する脂肪族ポ
リエーテルブロックなどを挙げることができ、ポリエス
テルブロック共重合体(II)は、これらの脂肪族ポリエ
ーテルブロックの1種または2種以上を有していること
ができる。そのうちでも、脂肪族ポリエーテルブロック
(b2)がポリ(テトラメチレンオキシ)グリコールに
由来するブロックであることが、ポリエステル系重合体
組成物の弾性回復性が良好となる点から好ましい。
【0033】ポリエステルブロック共重合体(II)にお
けるソフトセグメント(B)を構成し得る脂肪族ポリエ
ステルブロック(b1)および脂肪族ポリエーテルブロ
ック(b2)は、弾性回復性、耐熱性、耐寒性、弾性な
どの点から、その数平均分子量が500〜10,000
であることが好ましく、1,000〜5,000である
ことがより好ましい。
【0034】ポリエステルブロック共重合体(II)にお
けるソフトセグメント(B)は、脂肪族ポリエステルブ
ロック(b1)および脂肪族ポリエーテルブロック
(b2)のうちの少なくとも1種から構成される。例え
ば、ポリエステルブロック共重合体(II)は、ソフトセ
グメント(B)として、脂肪族ジカルボン酸単位と脂肪
族ジオール単位から主としてなる脂肪族ポリエステルブ
ロック(b1−1)、脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位
から主としてなる脂肪族ポリエステルブロック(b1
2)および脂肪族ポリエーテルブロック(b2)のうち
のいずれか1種のみを有していても、またはそれら3種
のブロックのうちの2種以上を有していてもよい。その
うちでも、ポリエステルブロック共重合体(II)におけ
るソフトセグメント(B)が、脂肪族ジカルボン酸単位
と脂肪族ジオール単位から主としてなる脂肪族ポリエス
テルブロック(b1−1)から構成されていると、ポリ
エステルブロック共重合体(II)の耐熱性が良好にな
り、しかも本発明のポリエステル系重合体組成物の溶融
成形性が優れたものになる。
【0035】本発明では、ポリエステルブロック共重合
体(II)は、上記したハードセグメント(A)とソフト
セグメント(B)を、ハードセグメント(A):ソフト
セグメント(B)=30:70〜70:30の重量比で
有していることが必要であり、30:70〜50:50
の重量比で有していることが好ましい。ポリエステルブ
ロック共重合体(II)において、ハードセグメント
(A)の含有量が30重量%未満であると[ソフトセグ
メント(B)の含有量が70重量%を超えると]、ポリ
エステル系重合体組成物の溶融成形性が劣り、一方ハー
ドセグメント(A)の含有量が70重量%を超えると
[ソフトセグメント(B)の含有量が30重量%未満で
あると]、弾性回復性が低下し、本発明の目的を達成で
きなくなる。
【0036】また、ポリエステルブロック共重合体(I
I)は、上記したハードセグメント(A)とソフトセグ
メント(B)が、交互に合計で3個以上結合しているト
リブロック以上のブロック共重合体であることが、ポリ
エステル系重合体組成物の耐屈曲性、曲げ強度、引張強
度などの機械的特性が良好となる点から好ましい。
【0037】さらに、本発明で用いるポリエステルブロ
ック共重合体(II)は、その固有粘度が1.3dl/g
以上であることが必要であり、1.4dl/g以上であ
ることが好ましく、1.5dl/g以上であることがよ
り好ましい。ポリエステルブロック共重合体(II)の固
有粘度が1.3dl/g未満であると、ポリエステル系
重合体組成物の弾性回復性および耐屈曲性が劣るものに
なり、しかも成形性にも劣るようになる。なお、本明細
書におけるポリエステルブロック共重合体(II)の固有
粘度は、ポリエステルブロック共重合体(II)をフェノ
ール/テトラクロロエタン(重量比=1/1)混合溶媒
に溶解して30℃で測定したときの固有粘度を言う。
【0038】本発明で用いるポリエステルブロック共重
合体(II)の製法は何ら制限されず、従来既知の方法に
より製造することができる。ポリエステルブロック共重
合体(II)が、ポリブチレンテレフタレート系樹脂から
なる芳香族ポリエステルブロックをハードセグメント
(A)として有し、ポリ(テトラメチレンオキシド)グ
リコールに由来する脂肪族ポリエーテルブロックをソフ
トセグメント(B)として有するポリエステルブロック
共重合体である場合は、例えば、ジメチルテレフタル
酸、1,4−ブタンジオール、ポリ(テトラメチレンオ
キシ)グリコールおよび触媒(チタン化合物など)を用
いて、200〜260℃の温度で、常圧から徐々に減圧
にして反応を行うことによって製造することができる。
【0039】また、前記した方法とは別に、例えば、予
め製造された芳香族ポリエステルを、予め製造された脂
肪族ポリエステルおよび/または脂肪族ポリエーテルと
溶融混合して、エステル交換反応(ブロック化反応)を
行うことによってもポリエステルブロック共重合体(I
I)を製造することができる。その際のブロック化反応
は、一般に、230〜260℃の温度で、不活性ガス雰
囲気中で、加圧、減圧または常圧下に行うことが好まし
い。その場合に、ブロック化反応が終了した時点で、リ
ン化合物などを反応系に添加することによって、ブロッ
ク化反応を停止させて且つランダム化への移行を阻止す
ることができる。また、本発明では、芳香族ポリエステ
ルブロックと、脂肪族ポリエステルブロックおよび/ま
たは脂肪族ポリエーテルブロックを有する市販のポリエ
ステル系ブロック共重合体をポリエステルブロック共重
合体(II)としてそのまま用いてもよい。
【0040】本発明のポリエステル系重合体組成物は、
上記したポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)とポ
リエステルブロック共重合体(II)を、ポリエチレンテ
レフタレート系樹脂(I):ポリエステルブロック共重
合体(II)=20:80〜70:30の重量比で含有す
ることが必要であり、30:70〜60:40の重量比
で含有することが好ましく、40:60〜60:40の
重量比で含有することがより好ましい。ポリエチレンテ
レフタレート系樹脂(I)とポリエステルブロック共重
合体(II)の合計重量に基づいて、ポリエチレンテレフ
タレート系樹脂(I)の含有量が20重量%未満である
と[ポリエステルブロック共重合体(II)の含有量が8
0重量%を超えると]、ポリエステル系重合体組成物が
柔軟になり過ぎて、曲げに対する反発感が低くなり、一
方ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)の含有量が
70重量%を超えると[ポリエステルブロック共重合体
(II)の含有量が30重量%未満であると]、ポリエス
テル系重合体組成物の弾性回復性および耐屈曲性が劣っ
たものとなる。
【0041】本発明のポリエステル系重合体組成物の製
造方法は特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート
系樹脂(I)およびポリエステルブロック共重合体(I
I)が均一に混合され得る方法であればいずれも採用で
きる。限定されるものではないが、例えば、重合体の混
合に通常用いられるような縦型または横型の混合機を用
いて、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)とポリ
エステルブロック共重合体(II)を所定の割合で予備混
合した後に、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロー
ル、バンバリーミキサーなどを用いて、回分式または連
続式で加熱下に溶融混合することによって本発明のポリ
エステル系重合体組成物を得ることができる。或いは、
溶融成形機の単軸押出機または二軸押出機でブレンド、
溶融し、そのまま溶融成形を行ってもよい。前記した溶
融混合は一般に260〜300℃程度の温度で行うのが
好ましい。
【0042】ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)
とポリエステルブロック共重合体(II)を混合してポリ
エステル系重合体組成物を製造するに当たって、水酸基
および/またはカルボキシル基と反応し得る官能基を2
個以上有する化合物(III)を添加して、ポリエチレン
テレフタレート系樹脂(I)および/またはポリエステ
ルブロック共重合体(II)と化合物(III)とを反応させ
て、ポリエステル系重合体組成物の固有粘度が0.8d
l/g以上になるようにすることが好ましい。ポリエス
テル系重合体組成物の製造時に化合物(III)を添加し
て反応させることによって、単にポリエステル系重合体
組成物が高分子量化するだけではなく、ポリエチレンテ
レフタレート系樹脂(I)とポリエステルブロック共重
合体(II)の分散状態がより良好になって、耐屈曲性な
どの力学的特性、耐熱老化性などに一層優れるポリエス
テル系重合体組成物が得られる。なお、本明細書で言う
ポリエステル系重合体組成物の固有粘度は、ポリエステ
ル系重合体組成物をフェノール/テトラクロロエタン
(重量比=1/1)混合溶媒に溶解して30℃で測定し
たときの固有粘度を言う。
【0043】化合物(III)は、水酸基と反応するがカ
ルボキシル基とは反応しない官能基だけを2個以上有す
る化合物であっても、カルボキシル基と反応するが水酸
基とは反応しない官能基だけを2個以上有する化合物で
あっても、水酸基およびカルボキシル基の両方と反応す
る官能基を2個以上有する化合物であっても、または水
酸基と反応するがカルボキシル基とは反応しない官能基
およびカルボキシル基と反応するが水酸基とは反応しな
い官能基を合計で2個以上有する化合物であってもよ
い。
【0044】水酸基および/またはカルボキシル基と反
応し得る官能基を有する化合物(III)としては、例え
ば、水酸基と反応し易いN−アシルラクタム基を2個以
上有する化合物、カルボキシル基と反応し易いエポキシ
基、オキサゾリン基および/またはカルボジイミド基を
2個以上有する化合物、N−アシルラクタム基とエポキ
シ基、オキサゾリン基および/またはカルボジイミド基
を合計で2個以上有する化合物などを挙げることができ
る。
【0045】より具体的には、化合物(III)の例とし
て、テレフタロイルビスカプロラクタム、イソフタロイ
ルビスカプロラクタム、テレフタロイルビスラウロラク
タム、イソフタロイルビスラウロラクタムなどの2個の
N−アシルラクタム基を有する化合物;ネオペンチルグ
リコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジ
グリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテ
ル、トリメチルプロパントリグリシジルエーテルなどの
2個以上のエポキシ基を有する化合物;2,2’−
(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、
2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサ
ゾリン)などの2個のオキサゾリン基を有する化合物;
ポリ[(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)カル
ボジイミド]などの2個以上のカルボジイミド基を有す
る化合物を挙げることができる。本発明では、化合物
(III)として、これらの多官能性の化合物の1種また
は2種以上を用いることができる。
【0046】化合物(III)の添加量は、ポリエチレン
テレフタレート系樹脂(I)およびポリエステルブロッ
ク共重合体(II)の合計100重量部に対して、0.0
1〜5重量部であることが好ましく、0.1〜3重量部
であることがより好ましく、0.5〜3重量部であるこ
とが更に好ましい。
【0047】また、本発明のポリエステル系重合体組成
物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じ
て、耐熱老化性、耐光性などを向上させるための安定
剤、滑剤、充填剤、帯電防止剤、顔料などの添加剤を含
有していてもよい。特に、本発明のポリエステル系重合
体組成物およびそれからなる製品が、50℃以上の高温
で使用される場合には、耐屈曲性などの性能が低下する
場合があるので、そのような性能低下を抑制するため
に、安定剤を添加しておくことが望ましい。その際の安
定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およ
び/またはイオウ系酸化防止剤が安定化効果が大きい点
から好ましく用いられ、特に両者の併用が安定化効果が
一層大きい点からより好ましく用いられる。
【0048】好ましく用い得るヒンダードフェノール系
酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−
6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロ
キシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2
−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチル
フェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニ
ルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキ
ス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t
−ブチル−4−ハイドロキシ−5−メチルフェニル)プ
ロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テト
ラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−ト
リス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメ
チルベンジル)イソシアヌレートなどを挙げることがで
きる。
【0049】また、好ましく用い得るイオウ系酸化防止
剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプ
ロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピ
オネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ
ート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチ
オプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジ
プロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールな
どを挙げることができる。
【0050】ヒンダードフェノール系酸化防止剤および
/またはイオウ系酸化防止剤の添加量(2種以上の酸化
防止剤を含有する場合はその合計添加量)は、ポリエチ
レンテレフタレート系樹脂(I)とポリエステルブロッ
ク共重合体(II)の合計100重量部に対して、0.0
1〜5重量部であることが好ましく、0.01〜3重量
部であることがより好ましく、0.2〜3重量部である
ことが更に好ましい。
【0051】上記で得られる本発明のポリエステル系重
合体組成物は、必要に応じて更にペレットやその他の形
態にしておくことができる。
【0052】本発明のポリエステル系重合体組成物は熱
溶融成形、加熱加工、溶融紡糸が可能であり、熱可塑性
重合体やその組成物に対して一般に採用されている成形
方法、成形装置、加工方法、加工装置、溶融紡糸方法、
溶融紡糸装置を用いて、成形、加工、紡糸を行うことが
できる。例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カ
レンダー成形、注型、プレス成形、溶融紡糸などによっ
て、任意の形状や寸法を有する、シート、フィルム、
板、ベルト、ロール、カールコード、ホース、チュー
ブ、防振材、制振材、機械部品、自動車部品、電気・電
子部品、スポーツ用品、繊維、布帛などを製造すること
ができる。
【0053】
【実施例】以下に実施例などにより本発明について具体
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の例において、各種物性の測定または評価は次
のようにして行った。
【0054】[ポリエチレンテレフタレートの降温結晶
化温度]以下の実施例および比較例で用いたポリエチレ
ンテレフタレートについて、示差走査型熱量計(DS
C)(メトラー社製)を使用して、窒素気流下に、始点
温度50℃で60℃/分の昇温速度で290℃まで加熱
し、290℃の温度に10分間保持した後、10℃/分
の降温速度で50℃まで冷却して、その際の降温結晶化
ピーク温度を求めた。
【0055】[固有粘度]ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエステルブロック共重合体(II)またはポリエ
ステル系重合体組成物を、フェノール/テトラクロロエ
タン(1/1重量比)混合溶媒に溶解し、30℃でそれ
ぞれの固有粘度(dl/g)を測定した。なお、リサイ
クル品のポリエチレンテレフタレートが上記溶媒に不溶
な部分を含む場合は、それを濾別して可溶部のみを測定
した。
【0056】[弾性回復性試験](折り曲げ試験) 下記の実施例または比較例で得られたポリエステル系重
合体組成物を溶融押出して得られた厚さ1mmのシート
を、常温下に手で直角(90°)に折り曲げて直角状態
に1分間保持した後、折り曲げ応力を解除し、該解除後
5分経った時点でシートの直線状態(平坦状態)への回
復の良否を、下記の表1に示す評価基準にしたがって評
価した。
【0057】
【表1】 [弾性回復性の評価基準] ○:折り曲げた部分の角度が150°以上に拡がっており、弾性回復性が 良好である[180°のときに直線状(平坦状)に回復]。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− △:折り曲げた部分の角度が120°以上150°未満である。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ×:折り曲げた部分の角度が120°未満であり、弾性回復性に劣る。 (90°のときに弾性回復性がゼロ)
【0058】[耐屈曲性試験]下記の実施例または比較
例で得られたポリエステル系重合体組成物を溶融押出成
形して厚さ2mmのシートを製造し、このシートを裁断
して試験片(サイズ:25mm×150mm)をつく
り、その試験片を用いてJIS K6301に準じて耐
屈曲試験(デマチヤ試験)を行い、下記の表2に示す評
価基準にしたがって耐屈曲性の評価を行った。
【0059】
【表2】 [耐屈曲性の評価基準] 5点:屈曲回数が50万回以上でも亀裂を生じなかった。 4点:屈曲回数が10万回以上50万回未満の間に亀裂を生じた。 3点:屈曲回数が5万回以上10万回未満の間に亀裂を生じた。 2点:屈曲回数が1万回以上5万回未満の間に亀裂を生じた。 1点:屈曲回数が1万回未満の間に亀裂を生じた。
【0060】[耐熱老化性試験]下記の実施例または比
較例で得られたポリエステル系重合体組成物を溶融押出
成形して厚さ2mmのシートを製造し、このシートを裁
断して試験片(サイズ:200mm×100mm)をつ
くり、その試験片を140℃に設定したオーブン中に3
0日間保持して加熱処理した後、オーブンから取り出し
て、その引張強度をASTM D638に準じて測定
し、加熱処理前の試験片の引張強度に対する加熱処理後
の試験片の引張強度の保持率(%)を求めて、耐熱老化
性の評価を行った。
【0061】以下の実施例および比較例で用いたポリエ
ステルブロック共重合体(TPEE〜TPEE)内
容を下記の表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】《実施例1》 (1) 予備乾燥を行ったポリエチレンテレフタレート
のリサイクル品(固有粘度=0.69dl/g、降温結
晶化温度=187℃;多摩川衛生組合製)と、ポリエス
テルブロック共重合体(TPEE)を50:50の重
量比で予備混合した後、二軸押出機[(株)日本製鋼所
製「REX44CJ」]に供給して280℃で溶融混練
した後ストランド状に押し出し、切断して、ポリエステ
ル系重合体組成物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、280℃で溶融押出成形を行
って厚さ1mmのシートを製造し、このシートを用いて
上述のようにして弾性回復性試験を行ったところ、下記
の表4に示すとおりであった。 (3) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、280℃で溶融押出成形を行
って厚さ2mmのシートを製造し、このシートから得ら
れた試験片を用いて上述のようにして耐屈曲性試験およ
び耐熱老化性試験を行ったところ、下記の表4に示すと
おりであった。
【0064】《実施例2》(1) 実施例1で用いたの
と同じポリエチレンテレフタレートのリサイクル品の予
備乾燥物と、ポリエステルブロック共重合体(TPEE
)を50:50の重量比で予備混合し、その際にポリ
エチレンテレフタレートとTPEEの合計100重量
部に対してポリカルボジイミド(住友バイエルウレタン
社製「STABAXOL P100」)2重量部、ヒン
ダードフェノール系酸化防止剤(CIBA−GEIGY
社製「IRGANOX 1010」)0.5重量部、お
よびイオウ系酸化防止剤(住友化学社製「Sumili
zer TPL−R」)0.5重量部を添加し、それに
より得られる予備混合物を実施例1で使用したのと同じ
二軸押出機に供給して280℃で溶融混練した後ストラ
ンド状に押し出し、切断して、ポリエステル系重合体組
成物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして弾性回
復性試験用のシート並びに耐屈曲性試験および耐熱老化
性試験用のシートをそれぞれ製造し、上記した方法でそ
れぞれの試験を行ったところ、下記の表4に示すとおり
であった。
【0065】《実施例3》(1) 実施例1で用いたの
と同じポリエチレンテレフタレートのリサイクル品の予
備乾燥物と、ポリエステルブロック共重合体(TPEE
)を50:50の重量比で予備混合し、その際にポリ
エチレンテレフタレートとTPEEの合計100重量
部に対して、ジオキサゾリン(武田薬品社製「1,3−
PBO」)2重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止
剤(CIBA−GEIGY社製「IRGANOX 10
10」)0.5重量部、およびイオウ系酸化防止剤(住
友化学社製「Sumilizer TPL−R」)0.
5重量部を添加し、それにより得られる予備混合物を実
施例1で使用したのと同じ二軸押出機に供給して280
℃で溶融混練した後ストランド状に押し出し、切断し
て、ポリエステル系重合体組成物のペレットを製造し
た。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして弾性回
復性試験用のシート並びに耐屈曲性試験および耐熱老化
性試験用のシートをそれぞれ製造し、上記した方法でそ
れぞれの試験を行ったところ、下記の表4に示すとおり
であった。
【0066】《実施例4》(1) 実施例1で用いたの
と同じリサイクルされたポリエチレンテレフタレートの
予備乾燥物と、ポリエステルブロック共重合体(TPE
E)を50:50の重量比で予備混合し、その際にポ
リエチレンテレフタレートとTPEEの合計100重
量部に対して、ジオキサゾリン(武田薬品社製「1,3
−PBO」)2重量部およびジアシルラクタム(松本油
脂社製「TL」)1重量部を添加し、それにより得られ
る予備混合物を実施例1で使用したのと同じ二軸押出機
に供給して280℃で溶融混練した後ストランド状に押
し出し、切断して、ポリエステル系重合体組成物のペレ
ットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして弾性回
復性試験用のシート並びに耐屈曲性試験および耐熱老化
性試験用のシートをそれぞれ製造し、上記した方法でそ
れぞれの試験を行ったところ、下記の表4に示すとおり
であった。
【0067】《実施例5および6》実施例1で用いたの
と同じリサイクルされたポリエチレンテレフタレートの
予備乾燥物と、ポリエステルブロック共重合体(TPE
E)を50:50の重量比で用い、これに下記の表4
に示す添加剤を表4に示す割合で予備混合し、それによ
り得られる予備混合物を実施例1で使用したのと同じ二
軸押出機に供給して280℃で溶融混練した後ストラン
ド状に押し出し、切断して、ポリエステル系重合体組成
物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして弾性回
復性試験用のシート並びに耐屈曲性試験および耐熱老化
性試験用のシートをそれぞれ製造し、上記した方法でそ
れぞれの試験を行ったところ、下記の表4に示すとおり
であった。
【0068】《実施例7および8》(1) ポリエステ
ルブロック共重合体としてTPEEの代わりにTPE
EまたはTPEEを用いた以外は、実施例6と同様
にしてポリエステル系重合体組成物のペレットを製造し
た。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして弾性回
復性試験用のシート並びに耐屈曲性試験および耐熱老化
性試験用のシートをそれぞれ製造し、上記した方法でそ
れぞれの試験を行ったところ、下記の表4に示すとおり
であった。
【0069】《比較例1》(1) ポリエチレンテレフ
タレートのリサイクル品とポリエステルブロック共重合
体(TPEE)の混合割合を80:20の重量比に変
えた以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系重合
体組成物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして弾性回
復性試験用のシート並びに耐屈曲性試験および耐熱老化
性試験用のシートをそれぞれ製造した。 (3) 上記(2)で得られたシートを用いて上記した
方法で弾性回復性試験を行ったところ、下記の表4に示
すように、シートの折り曲げが回復せず、塑性変形を示
したままであった。そのため、この比較例1では耐屈曲
性試験および耐熱老化性試験は行わなかった。
【0070】《比較例2》(1) ポリエステルブロッ
ク共重合体としてTPEEの代わりにTPEEを用
いた以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系重合
体組成物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして弾性回
復性試験用のシート並びに耐屈曲性試験および耐熱老化
性試験用のシートをそれぞれ製造した。 (3) 上記(2)で得られたシートを用いて上記した
方法で弾性回復性試験を行ったところ、下記の表4に示
すように、シートの折り曲げが回復せず、塑性変形を示
したままであった。そのため、この比較例2では耐屈曲
性試験および耐熱老化性試験は行わなかった。
【0071】《比較例3》(1) ポリエステルブロッ
ク共重合体としてTPEEの代わりにTPEEを用
いた以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系重合
体組成物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして弾性回
復性試験用のシート並びに耐屈曲性試験および耐熱老化
性試験用のシートをそれぞれ製造し、上記した方法でそ
れぞれの試験を行ったところ、下記の表4に示すとおり
であった。
【0072】《比較例4》(1) 予備乾燥を行ったバ
ージンのポリエチレンテレフタレート[固有粘度=0.
74dl/g、降温結晶化温度=162℃;(株)クラ
レ製「KS750RCT」]と、ポリエステルブロック
共重合体(TPEE)を50:50の重量比で予備混
合した後、二軸押出機[(株)日本製鋼所製「REX4
4CJ」]に供給して280℃で溶融混練した後ストラ
ンド状に押し出し、切断して、ポリエステル系重合体組
成物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル系重合体組
成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして弾性回
復性試験用のシート並びに耐屈曲性試験および耐熱老化
性試験用のシートをそれぞれ製造し、上記した方法でそ
れぞれの試験を行ったところ、下記の表4に示すとおり
であった。
【0073】
【表4】
【0074】上記の表4の結果から、固有粘度が0.5
〜0.75dl/gの範囲であり且つ降温結晶化温度が
110〜130℃の範囲であるポリエチレンテレフタレ
ート系樹脂(I)と、ハードセグメント(A):ソフト
セグメント(B)の重量比が30:70〜70:30の
範囲で且つ固有粘度が1.3dl/g以上であるポリエ
ステルブロック共重合体(II)(TPEE〜TPEE
)を、20:80〜70:30の重量比で含有する実
施例1〜8のポリエステル系重合体組成物では、それか
ら得られる成形品の弾性回復性、耐屈曲性および耐熱老
化性に優れることがわかる。
【0075】さらに、上記の表4の結果から、上記した
ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)およびポリエ
ステルブロック共重合体(II)に、カルボキシル基およ
び/または水酸基と反応性の官能基を2個以上有する化
合物(III)を更に添加して反応を行ってポリエステル
系重合体組成物の固有粘度を上昇させている実施例2〜
8のポリエステル系重合体組成物では、それから得られ
る成形品の耐屈曲性および耐熱老化性がより良好になっ
ていることがわかる。特に、化合物(III)と共に更に
ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはイオ
ウ系酸化防止剤を添加している実施例2〜3および実施
例5〜8のポリエステル系重合体組成物では、その耐熱
老化性が一層向上していることがわかる。
【0076】一方、上記の表4の比較例1の結果から、
上記したポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)およ
びポリエステルブロック共重合体(II)を含有していて
も、それらの含有割合が本発明の範囲から外れている比
較例1のポリエステル系重合体組成物では、それから得
られる成形品の弾性回復性が低く、塑性変形を生ずるこ
とがわかる。また、上記の表4の比較例2の結果から、
ハードセグメント(A):ソフトセグメント(B)の割
合が、本発明における30:70〜70:30の重量比
の範囲から外れているポリエステルブロック共重合体
(TPEE)を用いた比較例2のポリエステル系重合
体組成物では、それから得られる成形品の弾性回復性が
低く、塑性変形を生ずることがわかる。
【0077】そして、上記の表4の比較例3の結果か
ら、固有粘度が1.1dl/gであって本発明の範囲か
ら外れるポリエステルブロック共重合体(TPEE)
を用いた比較例3のポリエステル系重合体組成物では、
それから得られる成形品の耐屈曲性および耐熱老化性が
著しく劣ることがわかる。また、上記の表4の比較例4
の結果から、降温結晶化温度が162℃であって本発明
の範囲から外れるポリエチレンテレフタレートを用いた
比較例4のポリエステル系重合体組成物では、ポリエチ
レンテレフタレートのポリエステルブロック共重合体へ
の分散状態が悪く、それから得られる成形品の弾性回復
性、耐屈曲性および耐熱老化性が劣ることがわかる。
【0078】
【発明の効果】本発明のポリエステル系重合体組成物
は、ポリエステルブロック共重合体(II)からなるマトリ
ックス中にポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)が
均一に且つ微細に分散していて、弾性回復性、耐屈曲
性、耐熱老化性などの特性に優れている。そのため、本
発明のポリエステル系重合体組成物は、それらの特性を
活かして、機械部品、自動車部品、電気・電子部品、ス
ポーツ用品、繊維、布帛などの広範な用途に有効に用い
ることができる。本発明による場合は、ポリエチレンテ
レフタレート系樹脂(I)として、従来その取り扱いに
苦慮されており、その再利用が強く望まれていた使用済
みのポリエチレンテレフタレート系樹脂(ポリエチレン
テレフタレートのリサイクル品)を用いて、前記した弾
性回復性、耐屈曲性、耐熱老化性などの特性に優れるポ
リエステル系重合体組成物を得ることができるので、ポ
リエチレンテレフタレート系樹脂のリサイクル技術とし
て極めて有望である。
【0079】本発明のポリエステル系重合体組成物にお
いて、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)および
ポリエステルブロック共重合体(II)に、水酸基および
/またはカルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上
有する化合物(III)を添加して反応させた場合には、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I)とポリエステ
ルブロック共重合体(II)の分散状態が一層良好にな
り、耐屈曲性、耐熱老化性などの特性に一層優れるポリ
エステル系重合体組成物が得られる。さらに、ヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤および/またはイオウ系酸化
防止剤を含有する本発明のポリエステル系重合体組成物
では、50℃以上の高温での耐屈曲性の低下、曲げ強
度、引張強度などの力学的特性の低下が大幅に改善され
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i) ポリエチレンテレフタレート系
    樹脂(I)およびポリエステルブロック共重合体(II)
    を、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(I):ポリエ
    ステルブロック共重合体(II)=20:80〜70:3
    0の重量比で含有するポリエステル系重合体組成物であ
    って;(ii) 前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂
    (I)が、固有粘度0.5〜0.75dl/gおよび降
    温結晶化温度170℃以上を有するポリエチレンテレフ
    タレート系樹脂であり;そして、(iii) 前記ポリエ
    ステルブロック共重合体(II)が、芳香族ポリエステル
    ブロックからなるハードセグメント(A)と、脂肪族ポ
    リエステルブロック(b1)および脂肪族ポリエーテル
    ブロック(b2)の少なくとも1種からなるソフトセグ
    メント(B)を、ハードセグメント(A):ソフトセグ
    メント(B)=30:70〜70:30の重量比で有
    し、且つ固有粘度1.3dl/g以上のポリエステルブ
    ロック共重合体である;ことを特徴とするポリエステル
    系重合体組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1のポリエステル系重合体組成物
    に、水酸基および/またはカルボキシル基と反応し得る
    官能基を2個以上有する化合物(III)を反応させてな
    る、固有粘度0.8dl/g以上のポリエステル系重合
    体組成物。
  3. 【請求項3】 化合物(III)が、N−アシルラクタム
    基、エポキシ基、オキサゾリン基およびカルボジイミド
    基から選ばれる官能基の少なくとも1種を2個以上有す
    る化合物である請求項2記載のポリエステル系重合体組
    成物。
  4. 【請求項4】 ポリエチレンテレフタレート系樹脂
    (I)が、リサイクルされたポリエチレンテレフタレー
    ト系樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポ
    リエステル系重合体組成物。
  5. 【請求項5】 ポリエステルブロック共重合体(II)に
    おけるハードセグメント(A)がポリブチレンテレフタ
    レートブロックよりなっている、請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載のポリエステル系重合体組成物。
  6. 【請求項6】 ヒンダードフェノール系酸化防止剤およ
    びイオウ系酸化防止剤のうちの少なくとも1種を含有す
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル系
    重合体組成物。
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