JP2014012767A - 難燃性ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性に優れるとともに、改善された耐加水分解性をも備える難燃性ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】特定のホスフィンオキシド化合物を共重合成分として1〜25モル%有する共重合ポリエステル100質量部に対して、オキサゾリン基を複数有するオキサゾリン化合物を0.05〜5質量部の割合で含有するポリエステル組成物からなる難燃性ポリエステルフィルムによって達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は難燃性を有するポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、難燃性に優れるとともに、耐加水分解性が改善され耐湿熱耐久性にも優れた難燃性ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有するため、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネート用フィルムおよび保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
近年、製造物責任法の施行に伴い、火災に対する安全性を確保するために樹脂の難燃化が強く要望されている。
従来用いられている有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物等のハロゲン系難燃剤は、難燃効果は高いものの、成形・加工時にハロゲンが遊離し、腐食性のハロゲン化水素ガスを発生して、成形・加工機器を腐食させる可能性、また作業環境を悪化させる可能性が指摘されている。また前記難燃剤は、火災などの燃焼に際してハロゲン化水素等のガスを発生する可能性も指摘されている。そのため、近年ハロゲン系難燃剤に替わり、ハロゲンを含まない難燃剤を用いることが強く要望されている。
ハロゲンを含まない難燃剤による難燃化方法の1つとして種々のリン系化合物が検討されており、ポリエステルと共重合可能なリン系化合物として、例えばカルボン酸を両末端に有するホスフィンオキサイド化合物(特許文献1、2)や水酸基を両末端に有するホスフィンオキサイド化合物(特許文献2)が種々提案され、かかる共重合ポリエステルからなるポリエステルフィルムの難燃性は改善されることが記載されている。
しかしながら、上記の共重合ポリエステルからなる難燃ポリエステルフィルムは、近年要求が高まっている耐久性、特に耐湿熱耐久性が不十分な場合があり、さらなる改善が望まれている。
特開平9−272734号公報 特開平10−25338号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解消し、難燃性に優れるとともに、改善された耐湿熱耐久性をも備える難燃性ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、水酸基を両末端に有するホスフィンオキサイド化合物を共重合した共重合ポリエステルに特定のビスオキサゾリン化合物を添加することにより、優れた難燃性を維持しながら改善された耐湿熱耐久性を備える難燃性ポリエステルフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、「ポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準として、下記式(1)で表わされるホスフィンオキシド化合物を共重合成分として1モル%以上25モル%以下の範囲で有する共重合ポリエステル100質量部に対して、分子中に複数のオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物を0.05質量部以上5質量部以下の割合で含有するポリエステル組成物からなる難燃性ポリエステルフィルム」により達成される。
Figure 2014012767
(式中、Rは炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基または1価の芳香族炭化水素基のいずれか1つを表わし、m、nはそれぞれ1〜6の整数を表わす)
また、本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、「オキサゾリン化合物がm−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)であること」、「ポリエステルフィルムの固有粘度が0.52dl/g以上1.0dl/g以下かつ末端カルボキシル基濃度が10eq/T以上50eq/T以下であること」、「ポリエステルフィルムの面配向係数が0.12以上であること」、「121℃、2気圧の飽和水蒸気中で10時間処理した後のポリエステルフィルムの固有粘度保持率が65%以上であること」の少なくともいずれか一つを具備するものを包含する。
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは難燃性に優れるとともに、改善された耐加水分解性を有し耐湿熱耐久性にも優れているので、従来のように難燃性ポリエステルからなる難燃層に通常のポリエステル層等からなる非難燃層を積層化しなくても、優れた耐久性を備えることから、難燃性と耐久性とが求められる種々の用途に好適に用いることができ、その工業的価値は極めて高い。
以下、本発明を詳しく説明する。
<共重合ポリエステル>
本発明にかかるポリエステル組成物に用いられる共重合ポリエステルは、ポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準として下記式(1)で表わされるホスフィンオキシド化合物(以下リン含有共重合成分と称することがある)を共重合成分として1モル%以上25モル%以下の範囲で有する共重合ポリエステルである。
Figure 2014012767
(式中、Rは炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基または1価の芳香族炭化水素基のいずれか1つを表わし、m、nはそれぞれ1〜6の整数を表わす)
式(1)で表されるジオールタイプのホスフィンオキシド化合物を共重合成分として有することにより、難燃性だけでなく、他のリン系難燃剤共重合ポリエステルと比較して耐加水分解性や耐熱耐久性が向上する。
は、なかでも炭素数1〜6の飽和炭化水素基またはフェニル基が好ましく、かかるホスフィンオキシド化合物を共重合成分として有する共重合ポリエステルを用いることにより、得られるフィルムの機械的特性や耐熱性が向上する。さらにm、nで表わされるメチレン鎖数は、それぞれ好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは2〜3である。
共重合ポリエステルにおける上記リン含有共重合成分の含有量は、ポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準として1モル%以上25モル%以下の範囲であり、その下限値は好ましくは3モル%、さらに好ましくは5モル%であり、上限値は好ましくは20モル%、さらに好ましくは15モル%、特に好ましくは10モル%である。該リン含有共重合成分の含有量が下限値に満たない場合には、本発明の目的とする難燃性を得ることができなくなり、一方、上限値を超える場合には、ポリエステルフィルムとしての十分な機械的特性や耐熱性を得ることができなくなる。
本発明における共重合ポリエステルは、繰返し単位としてエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位(以下エチレンナフタレート単位と称することがある)が全繰返し単位の50モル%以上を占めるポリエステルを対象とし、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、最も好ましくは85モル%以上である。なかでも、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートである場合、本発明の効果が大きいので好ましい。
かかる共重合ポリエステルには、上記リン含有共重合成分以外に、本発明の目的を阻害しない範囲で他の共重合成分を含むことができる。好ましく用いられる共重合成分としては、具体的には、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸成分、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸成分、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分などを、またジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂肪族ジオール成分、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールなどの脂環族ジオール成分、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール成分、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのエーテル縮合型ジオール成分などを挙げることができる。また、前述の好ましいジカルボン酸成分およびジオール成分以外の成分として、p−ヒドロキシ安息香酸、ω−ヒドロキシ酪酸、ω−ヒドロキシ吉草酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸成分、ポリカーボネートに見られるような炭酸成分、さらには、トリメリット酸、ピロメリット酸やグリセリンなどの3官能以上の共重合成分が挙げられる。
上記の共重合ポリエステルは、従来公知の方法、例えばジカルボン酸とグリコールの反応で直接低重合度ポリエステルを得た後、または、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとを従来公知のエステル交換触媒である、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の一種または二種以上を用いて反応させた後、重縮合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。重縮合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物を用いることができる。
本発明における共重合ポリエステルの固有粘度(o−クロロフェノールを溶媒として25℃で測定)は、フィルムの製膜性と得られるフィルムの耐熱性や機械的特性の観点から、0.52dl/g以上1.5dl/g以下であることが好ましく、さらに0.55dl/g以上1.2dl/g以下であることが好ましい。
<オキサゾリン化合物>
本発明で用いられるオキサゾリン化合物は、その分子中に複数のオキサゾリン基(1,3−オキサゾリン−2−イル基)を有している必要がある。かかるオキサゾリン化合物の中で、オキサゾリン基を2個有する化合物(以下ビス(2−オキサゾリン)化合物と称することがある)が好ましく、例えば、ビス(1,3−オキサゾリン−2−イル)、エチレンビス(2−オキサゾリン)、フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)などが挙げられ、なかでもp−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、m−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)が好ましい。このようなオキサゾリン化合物を用いることにより、上記共重合ポリエステルと溶融混合する際にポリエステル末端基とオキサゾリン基とが反応して固有粘度が高くなり、また、最終的に得られるフィルムの湿熱処理時の固有粘度低下も抑えることができる。
オキサゾリン化合物含有量はポリエステルフィルム100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以上2質量部以下である。オキサゾリン化合物添加量が下限値に満たないと耐加水分解性の向上効果が小さくなって、フィルムとしての耐湿熱耐久性が十分向上しない。一方、上限値を超えるとフィルムの機械的特性が低下したり難燃性が低下しやすくなる。
上記の共重合ポリエステル中にオキサゾリン化合物を含有するポリエステル組成物には、最終的に得られるフィルムの特性が本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、他の樹脂を混合してもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、その他の各種添加剤、例えば紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、滑剤などを含有させてもよい。
<フィルムの物性>
(固有粘度)
本発明の難燃性ポリエステルフィルムの固有粘度(ο−クロロフェノールを溶媒とし、25℃にて測定)は、0.52dl/g以上1.0dl/g以下であることが好ましく、下限値は、さらに好ましくは0.54dl/g、特に好ましくは0.58dl/gである。該固有粘度が下限値に満たない場合には、フィルムの機械的特性が不十分となりやすく、また耐加水分解性の向上効果が小さくなる場合がある。一方、固有粘度の上限値はかかる範囲内でより高い方が好ましいが、製膜時の溶融押出性などの観点から0.90dl/g以下、さらには0.80dl/g以下としても構わない。
(末端カルボキシル基濃度)
本発明の難燃性ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基濃度は、好ましくは10eq/T(10当量/トン)以上50eq/T以下である。さらに好ましくは12eq/T以上40eq/T以下、特に好ましくは15eq/T以上30eq/Tである。難燃性ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基濃度が下限値を下回るようにするのは生産において不利である。一方、フィルムの末端カルボキシル基濃度が上限値を超えるとオキサゾリン化合物を含有していても十分な耐加水分解性が得られないことがある。
(面配向係数)
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、さらに面配向係数が0.12以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.13以上、特に好ましくは0.14以上である。またフィルムの面配向係数の上限値はポリエステルの性質上おのずと制限され、高くても0.3未満である。
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、ジオールタイプのホスフィンオキシド化合物を共重合した共重合ポリエステル樹脂に、分子中に複数のオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物を含有し、さらにフィルムの面配向係数がかかる範囲にあることにより、従来の難燃性ポリエステルフィルムにくらべて、より本来のポリエステルに近い耐湿熱耐久性を備えることができる。
(耐湿熱耐久性)
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、121℃、2気圧の飽和水蒸気中で10時間処理した後のポリエステルフィルムの固有粘度保持率が65%以上であることが好ましい。かかるフィルム固有粘度保持率は、さらに好ましくは70%以上である。
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、ジオールタイプのホスフィンオキシド化合物を共重合した共重合ポリエステル樹脂に、分子中に複数のオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物を含有し、さらにフィルムの面配向係数がかかる範囲にあることにより、難燃性に優れると同時に優れた耐加水分解性を有しており、湿熱処理後も高い固有粘度保持率を維持することができる。
<フィルムの製造方法>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、例えば次の方法で製造することができる。すなわち、前述の共重合ポリエステルとオキサゾリン化合物とを、例えば二軸混練押出機を用いて溶融混練するか、または、共重合ポリエステルの重縮合反応が終了した時点で所定量のオキサゾリン化合物を添加し、溶融混合後に押出すことによってポリエステル組成物を作成し、次いで該組成物を押出機に供給して溶融押出し、固化成形したシートを二方向に延伸することによって得ることができる。
フィルム製膜方法は、公知の製膜方法を用いて製造することができ、例えばポリエステル組成物を十分に乾燥させた後、該共重合ポリエステルの融点であるTm〜(Tm+70)℃、好ましくは(Tm+10)〜(Tm+60)℃の温度で押出機内で溶融し、Tダイなどのスリットダイを通じて未延伸フィルムとする。その際、得られるフィルムの固有粘度低下を少なくするためには、押出温度を上記範囲内で極力低くすることが好ましい。
次いで該未延伸フィルムを逐次または同時二軸延伸し、熱固定する。例えば逐次二軸延伸により製膜する場合、未延伸フィルムを共重合ポリエステルのガラス転移温度であるTg以上(Tg+80)℃以下の温度範囲で、縦方向(フィルム連続製膜方向、フィルム長手方向、MD方向と称することがある)および横方向(フィルム幅方向、MD方向と称することがある)に延伸することが好ましい。延伸温度のより好ましい範囲は(Tg+20)〜(Tg+60)℃である。
またフィルムの延伸倍率については、該未延伸フィルムを縦方向に2.5〜5.5倍および横方向に2.5〜6.0倍となる範囲で延伸処理を行う。延伸倍率の好ましい値は、縦方向に3.5〜4.5倍、横方向に3.5〜5.0倍である。かかる範囲の延伸倍率で延伸を行うことにより、得られる延伸フィルムの分子配向を適正なものとすることができ、耐湿熱耐久性の確保がより容易となる。延伸倍率が下限値に満たない場合は、これらの特性を十分なものとすることが困難な可能性があり、一方、延伸倍率値が上限を超える場合は、延伸工程中に破断が生じるため生産性が劣る。
延伸後の熱固定処理は、上記の延伸条件に応じて、熱固定処理温度を(Tm−30)〜(Tm−5)℃の範囲、好ましくは(Tm−25)〜(Tm−10)℃の範囲とする。かかる温度範囲で熱処理することにより、耐熱寸法安定性を向上させることができる。また、さらに耐熱寸法安定性を高めるために、この熱固定処理に加えてフィルムの弛緩処理や、さらなる延伸処理などの処理を施してもよい。
<用途>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、難燃性が求められる種々の用途に用いることができる。例えばフレキシブルプリント回路基板やモータ絶縁のような電気電子用途、フラットケーブルなどの電線用途、リチウムイオン電池などのラベルや絶縁部材といった蓄電池用途、などに好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%を意味する。
(1)ポリエステル成分量
H−NMR測定、13C−NMR測定、よりポリエステルの成分および共重合成分及び各成分量を特定した。
(2)固有粘度
フィルムの固有粘度をo−クロロフェノールを溶媒とし、25℃で測定した。
(3)末端カルボキシル基濃度
得られたフィルムを窒素雰囲気下でベンジルアルコールに溶解させ、滴定法により測定した。
(4)面配向係数
得られたフィルムについて、以下の方法でNaD線(589.3nm)に対する屈折率を測定し、面配向係数の算出に供した。すなわち、波長473nm、633nm、830nmの3種のレーザー光にて、屈折率計(Metricon社製、プリズムカプラ)を用いて測定された、フィルムの3方向における屈折率nx、ny、nzを、下記のCauchyの屈折率波長分散フィッティング式
(λ)=a/λ+b/λ+c
(ここで、n(λ):波長λ(nm)における各方向の屈折率(i=MD、TD、Z)、a、b、c:定数、をそれぞれ示す)
に代入し、得られた3つの式からa、b、cの定数を求め、しかる後に589.3nmにおける屈折率(nMD(589.3)、nTD(589.3)、n(589.3))を算出した。得られた屈折率から、下記式に従い、面配向係数Nsを算出した。
Ns=(nMD+nTD)/2−n
(上式中、Nsは面配向係数、nMDはMD方向の屈折率、nTDはTD方向の屈折率、nはフィルム厚み方向の屈折率をそれぞれ表す)
(5)難燃性
フィルムサンプルをUL−94VTM法に準拠して評価した。サンプルを20cm×5cmにカットし、23±2℃、50±5%RH中で48時間放置し、その後、試料下端をバーナーから10mm上方に離し垂直に保持した。該試料の下端を内径9.5mm、炎長20mmのブンゼンバーナーを加熱源とし、3秒間接炎した。VTM−0,VTM−1,VTM−2の評価基準に沿って難燃性を評価し、n=5の測定回数のうち、同じランクになった数の最も多いランクとした。
(6)耐加水分解性(耐湿熱耐久性)評価
フィルムを、121℃・2atm・濡れ飽和モード・100%RHに設定した環境試験機内にステンレス製のクリップで吊り下げる。10時間経過後にフィルムを取り出し、固有粘度を測定した。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチルエステル100質量部、エチレングリコール60質量部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03質量部を使用して、常法に従ってエステル交換反応させた後、エチレングリコールに分散させた平均粒径1.5μmの多孔質シリカ粒子0.06質量%(フィルムの質量基準)を添加した。ついで、下記式(2)で表わされる、ビス(3−ヒドロキシトリメチレン)n−ブチルホスフィンオキシド13質量部を添加し、三酸化アンチモン0.024重量部を添加して、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルを得た。
Figure 2014012767
得られたポリエステル100質量部にm−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)(添加剤A)を0.2質量部添加し170℃ドライヤーで3時間乾燥後、押出機に投入し、270℃で溶融混練し、270℃のダイスよりシート状に成形した。この溶融物を、表面温度20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して未延伸フィルムを製膜した。次に、得られた未延伸フィルムを75℃に予熱し、低速ローラーと高速ローラーの間で15mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーター1本にて加熱しながら製膜方向(MD方向)に3.7倍延伸し、さらに、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き100℃に加熱された雰囲気中で製膜方向に垂直な方向(TD方向)に4.0倍延伸し、さらに横方向に固定したまま全幅の3%の弛緩を与えながら220℃で熱処理し、厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2、3]
添加するオキサゾリン化合物の量を表1に記載のとおり変更する以外は、実施例1と同様の方法によって二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
添加するホスフィンオキシド化合物とオキサゾリン化合物の量を表1に記載のとおり変更する以外は、実施例1と同様の方法によって二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例5]
MD方向の延伸倍率とTD方向の延伸倍率を夫々3.6倍、3.8倍と変更する以外は、実施例1と同様の方法によって二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
添加するオキサゾリン化合物の量を表1に記載のとおり変更する以外は、実施例1と同様の方法によって二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[比較例2]
添加剤をポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(添加剤B)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
Figure 2014012767
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、難燃性に優れるとともに、従来の難燃ポリエステルフィルムよりも優れた耐湿熱耐久性を有していることから、難燃性が求められる種々の用途に好適に用いることができ、その工業的価値は極めて高い。

Claims (5)

  1. ポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準として、下記式(1)で表わされるホスフィンオキシド化合物を共重合成分として1モル%以上25モル%以下の範囲で有する共重合ポリエステル100質量部に対して、分子中に複数のオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物を0.05質量部以上5質量部以下の割合で含有するポリエステル組成物からなることを特徴とする難燃性ポリエステルフィルム。
    Figure 2014012767
    (式中、Rは水素、炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素または1価の芳香族炭化水素のいずれか1つを表わし、m、nはそれぞれ1〜6の整数を表わす)
  2. オキサゾリン化合物がm−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)である請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルフィルムの固有粘度が0.52dl/g以上1.0dl/以下かつ末端カルボキシル基濃度が10eq/T以上50eq/T以下である請求項1または2に記載の難燃性ポリエステルフィルム。
  4. ポリエステルフィルムの面配向係数が0.12以上である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステルフィルム。
  5. 121℃、2気圧の飽和水蒸気中で10時間処理した後のポリエステルフィルムの固有粘度保持率が65%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリエステルフィルム。
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