JP3595602B2 - 難燃性ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた難燃性を有するポリエステルフィルム、さらに詳しくは曇度が小さいため透明性が良好である難燃性ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビニルやポリスチレン、ポリオレフィンに代表されるフィルムは、容器類、釣竿、コンデンサー、棒状蛍光灯等の標示、保護、結束、商品付加価値向上等に用いられる他、本やノート等の集積包装や密着包装に用いられてきた。しかし、これらのフィルムを構成する樹脂は、耐熱性、耐候性、耐薬品性等において難点があり、近年これらの問題を解決できるポリエステルフィルムが使用されるようになってきた。
【0003】
ポリエステル樹脂は、耐熱性、耐薬品性以外にも機械的性質、電気的特性に優れていることから、電気部品の絶縁材料としても適している。さらに、これらの電気絶縁部品においては、安全性の面から難燃性を要求されており、また被覆等に使用される熱収縮フィルムについても難燃性が要求されることが多くなってきている。
【0004】
ポリエステル樹脂を難燃化する方法としては、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネートオリゴマー等のハロゲン系、三酸化アンチモンのような無機系、トリフェニルフォスフェートのようなリン系等の難燃剤の添加が一般に行われてきた。しかし、ハロゲン系や無機系の難燃剤の添加は、難燃効果は大きいものの、フィルム用途としては着色が大きかったり透明性を損ねるなど、あるいは有毒ガス発生等の環境問題があり使用は難しかった。また、リン系の難燃剤でも従来使用されてきたものは、透明性に優れるものの耐熱性が劣るため成形加工に耐えられないものや、取扱が難しいものが殆んどで十分な性能とはいえなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような着色や透明性等の問題点を解決した難燃性ポリエステルフィルムを提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討した結果、一般式[1]で示されるリン化合物を添加したポリエステルフィルムが難燃効果に優れ、かつ、透明性、着色等に大きな影響を与えないことを見い出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、少なくとも1種のジカルボン酸成分またはそのエステル形成性誘導体と、少なくとも1種のジオール成分からなるポリエステル重合体であって、下記一般式[1]で示されるリン化合物をリン原子含有量として500〜35000ppmの範囲で含有するポリエステル樹脂からなり、かつ、厚さ50μm以下のフィルムとしたときの曇度が10%以下で有ることを特徴とする難燃性ポリエステル収縮フィルムにある。
【0008】
【化2】
(式中 R1〜R4は、1価のアルキル基、又はアリール基、R5は、2
価のフェノキシ基、nは、9〜100までの整数を表す。)
【0009】
本発明の難燃性フィルムの構成成分であるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸またはその誘導体を主成分とし、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とするものである。また、このポリエステルは共重合成分として、ジカルボン酸成分に飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらの誘導体、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4−ジカルボン酸等が挙げられ、ジオール成分にジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を用いたものであってもよい。
【0010】
ここにテレフタル酸の誘導体としては、テレフタル酸のジアルキルエステル、ジアリールエステル等が挙げられる。また、飽和脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、シュウ酸、コハク酸等が挙げられ、その誘導体としては、これら飽和脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル、ジアリールエステル等が挙げられる。
【0011】
本発明の難燃性ポリエステルフィルムを熱収縮性フィルムとする場合には、飽和脂肪族ジカルボン酸をポリエステル樹脂の全ジカルボン酸成分中2〜10モル%含有することが好ましい。飽和脂肪族ジカルボン酸が2モル%未満のポリエステル共重合体から得られるフィルムは、低温での収縮率が小さく、収縮斑が起こりやすいため好ましくない。一方、飽和脂肪族ジカルボン酸が10モル%を超えたポリエステル共重合体は、ガラス転移点、および融点もしくは軟化点が著しく低下するために、フィルムを得る際の成形性が悪く、また、得られるフィルムも耐熱性や機械的強度が悪くなるので好ましくない。
【0012】
ポリエステルの重合度は、特に制限されるものではないが、フィルム原反の成形性から、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン=重量比1/1の混合溶媒に試料を溶解させ25℃で測定した固有粘度が0.40〜1.20dl/gが好ましい。
【0013】
本発明で使用する前記化2の一般式[1]で示されるリン化合物は、式中R1 ,R2 ,R3 ,R4 としては具体的にはメチル、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル、トリル、キシリル、ナフチル等のアリール基であるものが好ましい例として挙げられる。またR5 としてはレゾルシン、ピロカテキン、ヒドロキノン、オルシン、ビスフェノールA、ビスナフトール等の2価のフェノキシ基が挙げられる。
【0014】
この一般式[1]で示されるリン化合物のポリエステルへの添加量は、リン原子含有量として500〜35000ppmの範囲で含有するのが好ましく、とくに1000〜10000ppmの範囲が好ましい。リン原子含有量が500ppm未満の場合、ポリエステル重合体から得られるフィルムは難燃性が十分でなく、また、35000ppmを超えて含有するポリエステル重合体から得られるフィルムは機械的性質が劣るため好ましくない。
【0015】
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、厚さ50μm以下のフィルムとしたときの曇度は10%以下であることが好ましい。曇度が10%を超えるものは従来用途の代替としては透明性が十分でないため好ましくない。
【0016】
本発明において、難燃性フィルムを製造する際の一般式[1]で示されるリン化合物の添加方法には特に限定はなく、エステル化やエステル交換反応前にあらかじめ添加しておいて良いし、あるいは重合前に添加しても良い。また、フィルム成形前のポリエステルとドライブレンドすることもできる。
【0017】
さらに、本発明に使用されるポリエステル重合体を製造するに際し、必要に応じて酸化安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
【0018】
また、フィルム化に当りポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリオキシメチレン、ポリメチルメタクリレート等の他の樹脂をポリエステルに配合することができる。
【0019】
本発明において使用されるポリエステルの極限粘度は、重合条件を適宜変更することにより調整することができる。例えば、重合組成、重合温度、重合触媒量や種類、反応停止撹はんトルク等を変更することで目的とするポリエステル樹脂を得られる。
【0020】
本発明における難燃性ポリエステルフィルムは、例えば、以下の方式により製造することができる。まず、乾燥された、所定量の上記リン化合物を含むポリエステル樹脂を製膜機によりTダイから押し出し、キャスト法あるいはカレンダー法等により原反フィルムを形成する。ついで、この原反フィルムをガラス転移温度により10〜20℃程高い温度に加熱し、1方向に2〜5倍、好ましくは3〜4倍に延伸することにより目的とするポリエステルフィルムが得られる。
【0021】
熱収縮フィルムとする場合は、収縮時の寸法安定性の面から、1軸のみの延伸が好ましいが該延伸方向と直角な方向の強度不足、あるいは延伸方向の引き裂き強度の低下を防ぐ目的で、該延伸方向と直角な方向に2倍未満の延伸を行うことができる。
【0022】
本発明の難燃性ポリエステルフィルムの厚さは特に限定されるものではないが、一般には1〜600μmの範囲である。
【0023】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1〜4)
表1に示したジカルボン酸成分と、ジオール成分からなるポリエステル重合体を真空下、55℃で10時間加熱、撹拌しながら120℃で12時間乾燥を行った。その後、このポリエステル重合体100重量部とレゾルシンビスジフェニルフォスフェートの縮合重合体(重合度10)を、表1に示す通りにドライブレンドし、40mmφの押出機に投入して溶融し、185℃に設定したT型ダイから押出し、次いで40℃に保ったキャステイングローラーにて冷却して未延伸原反フィルムを得た。
【0024】
この原反フィルムを、まず60℃にてMD方向に1.3倍延伸し、続いて90℃でTD方向に5倍の延伸を行い、厚さ40μmの難燃性ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの収縮率測定と燃焼性、曇度の測定結果を表1に実施例1−4として示した。
【0025】
(比較例1〜4)
表1に示したポリエステル重合体を難燃剤を用いない例と、用いた例夫々2例を、以下実施例と同様にして未延伸原反フィルムを得た。この原反フィルムを実施例と同条件で延伸しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの収縮測定結果を表1に比較例1〜4として示した。
【0026】
以上、実施例及び比較例によって得たフィルムの熱収縮率、燃焼性、曇度及び色調の測定結果を一括して表1に示した。各項目の測定は以下のようにして行った。
【表1】
【0027】
[燃焼性]
12.5cm×1.25cmの大きさのポリエステルフィルムを長手方向が下を向くように垂直に下げ、長さ2cmのライター火をフィルム下端より5秒間着火した後の燃焼時間、及び再び5秒間着火した後の燃焼時間を測定した。これをそれぞれのサンプルにつき5回ずつ行い、5回分の燃焼時間の合計を示した。
【0028】
[熱収縮率]
100mm×100mmの大きさのポリエステルフィルムを、80℃のウォーターバス中に無荷重で3,5,10,15,30秒浸漬し、フィルムの延伸方向(TD方向)について、収縮前の長さ(L0 )と収縮後の長さ(L)を測定し、次式により求めた。
【0029】
【数1】
【0030】
[曇度]
ポリエステルフィルムについて東京電色製ヘイズメーターにより測定した。
【0031】
[色調]
ポリエステルフィルムについてスガ試験機製色差計によりb値を測定した。
【0032】
【発明の効果】
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、透明性、色調を大きく変化することがない上に十分な難燃性を有する。
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Family Applications (1)
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JP9949295A Expired - Fee Related JP3595602B2 (ja) | 1995-04-03 | 1995-04-03 | 難燃性ポリエステルフィルム |
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1995
- 1995-04-03 JP JP9949295A patent/JP3595602B2/ja not_active Expired - Fee Related
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