JPH0115604B2 - - Google Patents

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JPH0115604B2
JPH0115604B2 JP12138881A JP12138881A JPH0115604B2 JP H0115604 B2 JPH0115604 B2 JP H0115604B2 JP 12138881 A JP12138881 A JP 12138881A JP 12138881 A JP12138881 A JP 12138881A JP H0115604 B2 JPH0115604 B2 JP H0115604B2
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monofilament
hydrolysis resistance
carbodiimide
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Joshin Kuwata
Hisashi Uematsu
Akira Nishimura
Tadanori Iwama
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TORE MONOFUIRAMENTO KK
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TORE KK
TORE MONOFUIRAMENTO KK
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は耐加水分解性の良好な抄紙カンバス用
ポリエステルモノフイラメントに関するものであ
る。 ポリエステルフイラメントは衣料用途のみでな
く、広く工業用途にも使用されている。工業用途
のなかでも特に抄紙装置用に使用されるモノフイ
ラメントは苛酷な加水分解条件下にさらされる。 抄紙機ドライパートに使用されるモノフイラメ
ントはカンバス布に製織され、ベルト状で使用さ
れるが抄紙された湿潤状態の紙シートを乾燥シリ
ンダーに圧着させて乾燥せしめながら運搬する役
目を担つているため、高い耐加水分解性(耐蒸熱
性)が要求される。ポリエチレンテレフタレート
モノフイラメントはその優れた抗張力、耐酸性、
寸法安定性のためカンバス用として好適であり広
く用いられているが耐加水分解性が不良であると
いう欠点のため寿命が短かくカンバスを頻繁に交
換する必要があつて多大の経済的負担となつてお
りその改善が切望されていた。 そのため、このような用途に用いられるポリエ
ステルフイラメントはあらかじめポリエステル中
の末端カルボキシル基濃度を低下させておくこと
により、強度保持性を改善する方法が知られてい
る。 従来より、ポリエステルフイラメントの末端カ
ルボキシル基濃度を低下させるために種々の技術
が提案されている。代表的なものとして、種々の
エポキシ化合物を添加し、ポリエステルフイラメ
ントの末端カルボキシル基濃度を低下させる方法
が広く知られており、例えばフエニルグリシジル
エーテル(特公昭44―27911号公報)、N―グリシ
ジルフタルイミド(特開昭54―6051号公報)など
の使用が提案されている。本発明者らは、これら
の技術について検討を加えた結果、エポキシ化合
物はポリエステル中の末端カルボキシル基との反
応性が比較的低いため、ポリエステルの融点以上
の温度で長時間反応させたり、またエポキシ化合
物と末端カルボキシル基との反応を促進させる触
媒をあらかじめポリエステル中に添加しておく必
要があり、その結果ポリエステルの重合度低下が
著しく、また耐加水分解性向上効果も十分とはい
えない。 添加化合物のポリエステル樹脂への影響を出来
るだけ少くし、末端カルボキシル基濃度を減少さ
せる方法として、エチレンカーボネートに代表さ
れる環状炭酸エステルを添加する方法もあるが、
紡糸中に発泡などの問題が生じるため実用化は非
常に困難である。 その他の技術として、カルボジイミド化合物を
ポリエステル中に添加することにより耐加水分解
性を向上せしめる技術が知られている。例えば、
分子内に3個以上のカルボジイミド基を有するポ
リカルボジイミド化合物をポリエステル中に添加
する方法(特公昭38―15220号公報)、ビスカルボ
ジイミド化合物をポリエステル中に添加する方法
(特開昭46―5389号公報)などがあげられる。 しかしながら、前者はポリウレタン原料の如き
低融点ポリエステルへの添加を主眼とするもので
あり、抄紙カンバス用ポリエチレンテレフタレー
トの如き高重合度、高融点のポリエステルに適用
した場合は、高温での添加が必要であつて種々の
副反応を生じ、特にゲル化に伴なう諸物性の低下
がおこるばかりか、末端カルボキシル基を十分に
下げることが出来ず耐加水分解性向上効果も非常
に小さい。 また、後者は添加カルボジイミド化合物が、ポ
リカルボジイミド化合物のようにポリエステルを
高度に架橋させたり、モノカルボジイミド化合物
のように重合体から抽出されることのないように
ビスカルボジイミド化合物を使うという点からな
されたものであるが、ビスカルボジイミド化合物
はポリエステルを急速に高重合度化させるため均
一な混練が困難であつて、得られるポリエステル
の重合度が不均一化し諸物性の低下がおきる。 更にビスカルボジイミド化合物それ自体も熱変
性しやすいため、ここに開示されている技術では
耐加水分解性はビスカルボジイミド化合物を添加
しない場合より幾分向上するものの他の方法、例
えばエポキシ化合物を添加する方法に比べると向
上巾は極めて小さい。 さらに最近、固有粘度が0.75以上であり、末端
カルボキシル基濃度が30当量/106g以下である
ポリエステル樹脂を溶融押出しする際モノカルボ
ジイミド化合物もしくはビスカルボジイミド化合
物を添加し、短時間で混練紡糸し未反応カルボジ
イミドを含有しないフイラメントを形成させるこ
とが提案されるに至つた(特開昭50―95517号公
報)。 本発明者らは、この方法について試みた結果、
該明細書中に記載されている範囲のカルボジイミ
ド化合物、およびポリエステル樹脂を用いても、
比較的良好な耐加水分解性が得られる場合もある
が、一方、カルボジイミド化合物を添加しない場
合に比べ耐加水分解性がかえつて不良となる場合
も多々みられ、該方法では、安定して耐加水分解
性向上をはかることが出来ないのである。 また、ビスカルボジイミドの場合は前述のごと
く得られる抄紙カンバス用ポリエステルフイラメ
ントの重合度を安定せしめることが困難であり、
また該方法に挙げられているモノカルボジイミド
の大部分は、混練紡糸時の発煙、悪臭が非常に大
であり操業時における作業環境が悪化するのであ
る。このような点を考えると該方法を工業的に展
開し耐加水分解性の良好な抄紙カンバス用ポリエ
ステルフイラメントを得ることは極めて困難とい
わざるを得ない。 以上述べた従来のカルボジイミド化合物を添加
して耐加水分解性を向上させようとする技術の問
題点は次のように要約される。 特開昭50―95517号公報に記載されているよう
に高温下に添加されたカルボジイミドは熱変性を
起こしやすく、従来の技術の場合、特に末端カル
ボキシル基と反応し得る量を越えて添加したとき
かえつて劣化が顕著となる。換言すると、従来技
術においてはカルボキシル基濃度減少による耐加
水分解性の向上効果はカルボジイミドの熱変性に
より相当程度減殺されてしまうのである。 また一方カルボジイミドをポリエチレンテレフ
タレートに添加するという点では類似した技術と
して、ポリエステルの低重合体に従来公知の安定
剤であるリン化合物に代えて芳香族ポリカルボジ
イミドやモノカルボジイミドを添加し、その後
250〜280℃の温度で重縮合せしめることが知られ
ている。(仏国特許第2009338号明細書)しかし、
このような方法では添加したカルボジイミドの熱
分解が著しく、未反応のカルボジイミド基が失な
われてしまうため重縮合および溶融紡糸の途中で
生成するカルボキシル基の封鎖を十分行なうこと
ができず、本発明で意図するようなカルボキシル
基含量が少なく、耐加水分解性の良好なフイラメ
ントは得られないのである。 本発明者らは、かかる状況に鑑み芳香族モノカ
ルボジイミドのポリエステル樹脂への添加を検討
した結果、通常のカルボジイミド添加では末端カ
ルボキシル基と反応した残りの未反応カルボジイ
ミドは速やかに熱変成を起こすが、特定のカルボ
ジイミド化合物を用いたとき添加の条件によつて
は、カルボジイミド化合物を残存させることが出
来、そのような場合には得られるポリエステルの
耐加水分解性が単なるカルボキシル基の減少によ
る効果を越えて飛躍的に向上することを見出し本
発明に到達した。 すなわち、本発明は極限粘度が0.6以上であり、
かつ末端カルボキシル基濃度が10当量/106g以
下であつて、更に2,6,2′,6′―テトライソプ
ロピルジフエニルカルボジイミドを0.005重量%
以上1.5重量%以下含有することを特徴とするポ
リエチレンテレフタレートを主体とする抄紙カン
バス用ポリエステルモノフイラメントに関する。 ここで本発明にいう2,6,2′,6′―テトライ
ソプロピルジフエニルカルボジイミドのポリエス
テル中の含有量は次の方法で測定されたものであ
る。 ポリエステルモノフイラメント100gを5mm以
下の長さに細断しクロロホルム500c.c.中にてクロ
ロホルム沸点で8時間処理した。処理後モノフイ
ラメントを取除き、更に減圧下にクロロホルムを
留去した。このようにして得られた抽出物にメタ
ノール50c.c.を加え、不溶分を別した。このメタ
ノール溶液から更に減圧下メタノールの大部分を
留去し、抽出物の析出が起こらない程度に濃縮を
行なつた。このメタノール溶液をガスクロマトグ
ラフにて分析し2,6,2′,6′―テトライソプロ
ピルジフエニルカルボジイミドを定量した。 ポリエチレンテレフタレートの場合、特開昭50
―95517号公報に記載されているように、添加カ
ルボジイミドが熱変成を起こしやすく、公知の方
法では末端カルボキシル基と反応し得る量を越え
て添加した場合かえつて耐加水分解性を悪化させ
ることが知られている。しかしながら本発明のよ
うに、特定のカルボジイミド化合物が特定の条件
下に未反応で存在している抄紙カンバス用ポリエ
ステルモノフイラメントで顕著な耐加水分解性の
改善が達成されることは今回はじめて見出された
ものである。そしてこのような効果が2,6,
2′,6′―テトライソプロピルジフエニルカルボジ
イミドの場合に特異的である点は意外なことであ
つた。 本発明のポリエステルはポリエチレンテレフタ
レートを主体とするものであるが、そのジカルボ
ン酸成分の一部をイソフタル酸、2,6―ナフタ
レンカルボン酸、1,4―シクロヘキサンジカル
ボン酸、アジピン酸、セバシン酸などで、またグ
リコール成分の一部を1,4ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、1,4―シクロヘキサン
ジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノー
ル、ポリアルキレングリコールなどでおきかえて
もよい。 さらに、ペンタエリスリトール、トリメチロー
ルプロパン、トリメリツト酸、トリメシン酸等の
鎖分岐剤を少割合使用することもできる。 また、通常のポリエステル樹脂と同様に酸化チ
タン、カーボンブラツク等の顔料のほか従来公知
の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等
が添加されても勿論良い。 また本発明の抄紙カンバス用ポリエステルモノ
フイラメントは直径が0.10〜2.0mmで強度が4
g/d以上のものが好ましい。 更に本発明の抄紙カンバス用ポリエステルモノ
フイラメントは極限粘度が0.6以上であり、かつ
末端カルボキシル基濃度が10当量/106g以下で
あることが必要である。ここで極限粘度はオルソ
クロロフエノール溶液中25℃で測定した粘度より
求めた極限粘度であり、〔η〕で表現される。ま
た、末端カルボキシル基濃度はPohlにより
ANALYTICAL CHEMISTRY第26巻、1614頁
(1954年)に記載された方法で測定しており、ポ
リエステル106g当たりの当量(当量/106g)で
表示される。 極限粘度が0.6未満であると、モノフイラメン
トの強度が不十分であり、かつ耐加水分解性も不
良であつて抄紙カンバス用ポリエステルモノフイ
ラメントとしては実用に耐えないものとなる。 またカルボキシル末端基が10当量/106gを越
えると、例えカルボジイミド化合物含有量が本発
明の範囲内にあつても、耐加水分解性は著しく低
いものしか得られない。 本発明のポリエステルモノフイラメントのうち
更に好ましいものは、ポリエステル中のリンの含
量が、リン原子として50ppm以下であり、かつ下
記の一般式の範囲に入つているものである。 P≦M+8×10-3 (式中Pはポリエステルを構成する二塩基酸に
対するリン原子のモル%であり、Mはポリエステ
ル樹脂中の金属で、周期律表族、族、族で
かつ第3,4周期の内より選択された1種もしく
は2種以上の金属原子のポリエステルを構成する
二塩基酸に対するモル%である)。 また、M=0であつてもよい。また更に好まし
いリン含量の範囲は、リン原子として30ppm以下
で、かつ5×10-3≦P≦M(M>0のとき)もし
くは5×10-3≦P≦8×10-3(M=0のとき)で
ある。 リン含量を上記の範囲としたポリエステルモノ
フイラメントは本発明のなかでも高い耐加水分解
性を示す。 本発明のポリエステルモノフイラメントは2,
6,2′,6′―テトライソプロピルジフエニルカル
ボジイミドを含有することを主要な要件とする。
他の芳香族モノカルボジイミド化合物、例えばジ
オルソトリルカルボジイミドの如き化合物をポリ
エステル中に含有せしめても本発明の場合のよう
な顕著な向上効果は発現しない。 2,6,2′,6′―テトライソプロピルジフエニ
ルカルボジイミドの含量はポリエステルに対し、
0.005重量%以上1.5重量%以下であることが必要
であり0.01重量%以上1.2重量%以下がより好ま
しい。0.005重量%より少ない場合耐加水分解性
向上効果が不十分であり、また1.5重量%より多
い場合ポリエステルの物性を損いかつポリマ中よ
りブリードアウトしやすくなり好ましくない。 本発明にいうカルボジイミド化合物の含量とは
ポリエステル中に遊離の状態で存在しているカル
ボジイミド化合物の含有量をいうのであつて、添
加量とは相違する点に留意すべきである。 すなわち、添加したカルボジイミド化合物はポ
リマ中のカルボキシル基を封鎖するために優先的
に消費され、また残りについても熱分解によりそ
の一部が変性を受ける。従つて遊離のカルボジイ
ミドの含有量は添加量は同じでも添加以降の条件
によつて大巾に変化するのである。本発明ではこ
の残存するカルボジイミド化合物の量を特定の範
囲とした場合のみ優れた耐加水分解性が得られる
ことを見出したものである。たとえばカルボジイ
ミド化合物をポリエステルの重縮合が完結する以
前、もしくは完結直後に添加したときは熱分解や
高真空下での散逸が著しくカルボジイミドの残存
量を本発明の範囲とすることは困難であつて、そ
の結果耐加水分解性を向上させることはできない
のである。 以上述べた如く本発明は極限粘度が0.6以上で
カルボキシル末端基濃度を10当量/106g以下と
低下させ、かつ遊離の2,6,2′,6′―テトライ
ソプロピルジフエニルカルボジイミドの含有量を
0.005重量%以上1.5重量%以下とすることではじ
めて耐加水分解性の良好なポリエステルモノフイ
ラメントが得られることを見出したものである。
本発明のモノフイラメントを抄紙カンバス用とし
て用いたときは、従来のポリエステルモノフイラ
メントを使用した場合に比べ連続して抄紙の操業
を行なつた場合の強力低下が大巾に少なくその結
果、交換周期の延長や乾燥温度のより高温化にも
対応可能となつてその工業的意味はまことに大で
ある。 本発明にて優れた耐加水分解性が得られる理由
は明確ではないが、カルボキシル末端基濃度が低
いためカルボキシル基による加水分解への触媒作
用が小さいことに加え、更に2,6,2′,6′―テ
トライソプロピルジフエニルカルボジイミドが残
存していることにより湿熱条件下においてポリエ
ステル中に新たに生成するカルボキシル基等につ
いても有効に不活性化されるためと考えられる。 本発明のポリエステルモノフイラメントを製造
するための方法として以下のものが例示される。 すなわち、極限粘度が0.6以上でかつ末端カル
ボキシル基濃度が30当量/106g以下であるポリ
エチレンテレフタレートを主体とするポリエステ
ルを使用して、2,6,2′,6′―テトライソプロ
ピルジフエニルカルボジイミドを添加し、かつ溶
融ポリマの温度、平均滞留時間を下記の一般式
(),()を満足する範囲とし、更に紡糸口金
直前にポリマ流線入替器を設置して溶融紡糸を行
なう方法が好ましく採用される。 370/T−0.189≧logτ≧2575/T−8.615 …() 270≦T≦310 …() 〔但しτは紡糸機内における溶融ポリマ中の平
均滞留時間(分)、Tは紡糸機内における溶融ポ
リマの温度(℃)である。〕 その際、2,6,2′,6′―テトライソプロピル
ジフエニルカルボジイミドの添加量は、10〜100
当量/106gの範囲内であつて、かつ得られるモ
ノフイラメント中の末端カルボキシル基濃度を10
当量/106g以下として更に未反応のカルボジイ
ミド化合物含量を本発明の範囲内と為し得るよう
に設定すべきである。 2,6,2′,6′―テトライソプロピルジフエニ
ルカルボジイミドの添加量がポリエステルに対し
て10モル/106g以下では末端カルボキシル基減
少効果が不十分となり、このため溶融紡糸後のポ
リエステルモノフイラメントの耐加水分解性が悪
化し、一方、ポリエステルに対して100モル/106
g以上の添加量では、溶融紡糸後の強度および伸
度の低下等の不都合が生じるばかりではなく、か
えつて耐加水分解性が悪化する。 該方法の実施に際しては2,6,2′,6′―テト
ライソプロピルジフエニルカルボジイミドを添加
する溶融ポリマの温度と紡糸機内の平均滞留時間
の関係はとくに重要である。ポリマ温度が270℃
未満では十分なカルボキシル末端基封鎖が行なわ
れず、従つて目的とする耐加水分解性を得ること
ができないし、310℃を超えると、芳香族モノカ
ルボジイミド自体の分解や、ポリマ劣化などのた
めモノフイラメントの性能が著しく低下し、もは
や抄紙カンバス用ポリエステルモノフイラメント
としての十分な強伸度ならびに耐加水分解性が得
られない。 しかもこの温度範囲においても、溶融ポリマ滞
留時間の条件を上記()式の範囲とすることが
好ましい。すなわちlogτが2575/T−8.615より小さ いときはカルボキシル末端基封鎖が十分行なわれ
ず、また370/T−0.189より大きいときには芳香族 モノカルボジイミド自体の分解やポリマ劣化が増
加する傾向にあり、耐加水分解性は低下傾向にあ
るのである。また滞留時間の更に好ましい範囲
は、 370/T−0.279≧logτ≧2575/T−8.615 である。 また溶融ポリマの温度と平均滞留時間を上記の
範囲に設定するのみならず、本発明のような耐加
水分解性に優れたポリエステルモノフイラメント
を得るため、次の配慮をすることが好ましい。 すなわち、紡糸機内を溶融ポリマが通過する
際、特に紡糸口金の直前ではデツドスペースが出
来やすく、そのような部分では滞留時間が長くな
りカルボジイミド自体の熱分解がポリマ劣化を起
こしやすくなつて、得られるモノフイラメントの
性能の均一性が得られ難い。この傾向はカルボジ
イミドを添加したポリマの紡糸に於て著しく、更
に同一の口金から複数の糸条を紡出し、後に分繊
してモノフイラメントとする場合は特に糸品質へ
の影響が大である。 しかし、紡糸口金直前にポリマ流線入替器を設
置するとこれらの問題は全て解消され、更にポリ
マとカルボジイミド化合物の混合および反応をよ
り完全ならしめることで相乗効果をもたらし、モ
ノフイラメントの耐加水分解性、耐熱性が飛躍的
に向上する。 すなわち該方法に於ては、2,6,2′,6′―テ
トライソプロピルフエニルカルボジイミドの添加
に際して紡糸口金直前にポリマ流線入替器を設置
した上、溶融ポリマの温度と紡糸機内の平均滞留
時間を上記(),()式を満足する条件下にお
いて、効果的に達成されるものである。このよう
に溶融ポリマの温度と紡糸機内の平均滞留時間の
関係を上記(),()式を満足する条件下にお
き、またポリマ流線入替器を紡糸口金直前に設置
することで、本発明で規定するカルボキシル基濃
度とカルボジイミド含有量とすることができるの
である。 これらの事実は、カルボジイミドをポリエステ
ル樹脂に加え、溶融紡糸装置内において単に約2
分間反応させながら溶融紡糸するという従来技術
(特公昭55―9091号公報)などから予想できない
ことである。 またここでいうポリマ流線入替器とはポリマの
流線を入れ替えることにより静的混合を行なわし
めるものであり、流線をひねることにより混練す
るもの(例えば実公昭46―34327号公報、特開昭
50―31113号公報に開示される如きもの)、また中
心に貫通孔を持つネジ状体を用いるもの(実公昭
53―37047号公報)、またポリマ流路に対し主とし
て斜方向に数本の孔を穿つた仕切り板を設置する
こと等によつてポリマ流路をいくつかに分割し、
分割された各流路の位置関係の入替を行なうこと
により混練せしめるもの等任意の方法が採用され
る。 更にまた該方法の実施に際してはリン含量が前
述の範囲であるようなポリエチレンテレフタレー
トポリマの使用が特に好ましい。 また該方法にて2,6,2′,6′―テトライソプ
ロピルジフエニルカルボジイミドの添加方法は従
来公知の方法が採用できる。 ここで、特開昭49―55915号公報あるいは特開
昭51―49917号公報に開示された如く、溶融紡糸
機のチツプかみ込み口付近に添加する方法が最も
好ましいが、回転式のチツプ乾燥機中あるいはブ
レンダー中で乾燥チツプに添加混合し、チツプ表
面に均一に付着させる方法や、回転式のチツプ乾
燥機中で乾燥後、100〜180℃に加熱したチツプに
添加し、チツプ中に浸み込ませる方法も好ましく
採用できる。 また紡出糸条の冷却、引取、延伸に際しては公
知の方法を用いて本発明のポリエステルモノフイ
ラメントを得ることが出来る。 以上具体的一例を開示したが、本発明の抄紙カ
ンバス用ポリエステルモノフイラメントが得られ
る方法であればこれに限定されるものではない。 以下実施例で本発明を更に詳細に説明する。 実施例 1 極限粘度0.81、末端カルボキシル基濃度20当
量/106g、触媒としてアンチモン化合物をアン
チモン原子で300ppm、マンガン化合物をマンガ
ン原子で60ppm(マンガン原子で0.021モル%対テ
レフタル酸)、リン化合物をリン原子で30ppm(リ
ン原子で0.019モル%対テレフタル酸)含有する
ポリエチレンテレフタレートチツプおよび2,
6,2′,6′―テトライソプロピルジフエニルカル
ボジイミドを重量比でポリエチレンテレフタレー
ト/カルボジイミド化合物=100/1.63(カルボジ
イミド45当量/106g相当)の割合でエクストル
ーダに供給した。混練された溶融ポリマをギアポ
ンプを経て紡出パツク内の過層および流線入替
器を通して口金より紡出した。溶融ポリマの温度
は300℃、滞留時間はエクストルーダ入口から口
金まで約3分であつた。紡出フイラメントを80℃
の水浴により急冷し更に常法に従がい総合で6.0
倍の延伸および熱セツトを行なつて、直径0.40mm
のモノフイラメントを得た。なお流線入替器とし
て米国ケミツクス社の「スタテイツクミキサー」
を用いた。このモノフイラメントの強度、極限粘
度、末端カルボキシル基含量、2,6,2′,6′―
テトライソプロピルジフエニルカルボジイミド含
量および、このフイラメントを120℃の飽和水蒸
気中にて10日間連続放置したときの強度保持率を
表1に示す。 実施例2〜5、比較実施例1〜4 実施例1に於て、2,6,2′,6′―テトライソ
プロピルジフエニルカルボジイミド化合物を添加
しない場合を比較実施例1、該カルボジイミド化
合物の添加量を表1の如く変更した場合を実施例
2,3、比較実施例2,3、また紡糸温度を320
℃としかつ流線入替器を設置しないで紡糸を行な
う以外は全く実施例1と同様に行なつた結果を比
較実施例4に示す。 本発明の効果は十分な末端カルボキシル基の封
鎖が達成され、かつ2,6,2′,6′―テトライソ
プロピルジフエニルカルボジイミドが適当量含有
されたポリエステルモノフイラメントでのみ達成
されることがわかる。
【表】 比較実施例 5,6 実施例1に於て、溶融ポリマの滞留時間を表2
の通りとする以外は実施例1と同様に行なつた結
果を表2に示す。
【表】 比較実施例 7 実施例1に於て、2,6,2′,6′―テトライソ
プロピルジフエニルカルボジイミドに代えて、
1,3,5―トリイソプロピルベンゼン―2,4
―ポリカルボジイミドを45当量/106gポリマ相
当分(1.1重量%)だけ添加する以外は全く同様
に行なつた。得られたモノフイラメントの強度は
3.8g/dと低く、また末端COOH基は11当量/
106gであつて蒸熱処理後の強度保持率も25%と
低かつた。 実施例 6〜10 実施例1に於てポリマ中のリン化合物の含有量
を表3の如く変更する以外は全く同様に行なつ
た。 結果を表3に示す。
【表】 比較実施例 8,9 ジメチルテレフタレート150Kg、エチレングリ
コール130Kg、酢酸亜鉛60gを反応缶へ仕込み、
常法に従いメタノールを留出せしめてエステル交
換を行ない、3.5時間を要して反応を実質的に完
了せしめた。次いで2,6,2′,6′―テトライソ
プロピルジフエニルカルボジイミドを表4に記載
の量だけ反応系へ240℃で添加し、引続いて昇温、
減圧を開始し、275℃,1torrにて4時間反応せし
めポリエステルチツプを製造した。更にこのチツ
プをエクストルーダーに供給し、この段階階で
2,6,2′,6′―テトライソプロピルジフエニル
カルボジイミドの添加を行なわない以外は実施例
1と同様にして紡糸、延伸を行ないモノフイラメ
ントを得た。表4の結果から、明らかなように重
縮合前のカルボジイミド添加ではカルボキシル基
の減少、未反応カルボジイミドの残存のいずれも
達成されず、耐加水分解性も不良であることがわ
かる。
【表】 実施例11、比較実施例10,11 実施例1で得られたモノフイラメントおよび比
較実施例1,4で得られたモノフイラメントをそ
れぞれカンバスに製織し、工業用抄紙機のドライ
パートに装着して乾燥の雰囲気温度120℃で連続
運転を行なつた。実施例1で得られたモノフイラ
メントを用いた場合12ケ月まで安定した抄紙が可
能であつたが、比較のため、比較実施例1で得ら
れたモノフイラメントを用いた場合は1ケ月で使
用不能となり、また比較実施例4で得られたモノ
フイラメントの場合も6ケ月で交換を必要とする
状態になつた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 極限粘度が0.6以上であり、かつ末端カルボ
    キシル基濃度が10当量/106g以下であつて、更
    に2,6,2′,6′―テトライソプロピルジフエニ
    ルカルボジイミドを0.005重量%以上1.5重量%以
    下含有することを特徴とするポリエチレンテレフ
    タレートを主体とする抄紙カンバス用ポリエステ
    ルモノフイラメント。 2 ポリエステル中のリンの含量が50ppm以下で
    あり、かつ下記の一般式を満たす範囲内であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の抄紙
    カンバス用ポリエステルモノフイラメント。 P≦M+8×10-3 (式中Pはポリエステルを構成する二塩基酸に
    対するリン原子のモル%であり、Mはポリエステ
    ル樹脂中の金属で、周期律表族、族、族で
    かつ第3,4周期の内より選択された1種もしく
    は2種以上の金属原子のポリエステルを構成する
    二塩基酸に対するモル%である。)
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