JP5098930B2 - ポリエステル系繊維、その製造方法およびそれを用いた繊維構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐加水分解性に優れたポリエステル系繊維、その製造方法およびそれを用いた繊維構造物に関するものである。
近年は環境意識の高まりから、プラスチック廃棄物が問題となり、酵素や微生物による分解が期待される生分解性プラスチックが注目されている。また、地球温暖化の観点から、二酸化炭素の大気中への排気を抑制することが重要になっており、カーボンニュートラルという概念で表されるように、天然資源から作られる材料の使用が推奨される様になってきている。上記の問題から、特に非石油原料のポリ乳酸が脚光を浴びているが、ポリ乳酸は室温や高温の水中における加水分解性が非常に高く、さらには空気中の水分によっても分解されるという性質を持っている。これはポリ乳酸繊維だけの問題ではなく、ポリエステル系繊維に共通の問題であり、末端カルボキシル基から放出されるプロトンがエステルの加水分解の自己触媒として働くために促進される。このため、熱水の存在下、高温、高湿度条件化で分解による強度低下が著しいため、使用が制限されてきた。
従来から衣料用の繊維として、単一の繊維からなる繊維構造物ではなく、複数の繊維からなる繊維構造物が好適に用いられてきた。例えば、綿やレーヨンに代表される吸水性の大きい繊維は汗の吸収が良いため、平均気温が高く発汗が多い季節や、発汗する運動時には快適に着用できる。その反面、汗を吸収し過ぎて重く感じられるようになることや、乾燥しにくいという欠点がある。そこで、吸水性の大きい繊維と小さい繊維を組み合わせた繊維構造物を衣料として着用すると、過度な吸水を抑制するため、汗をかいても軽く着用できるようになり、また洗濯後の乾燥が速くなる。さらに、吸水性の大きい繊維は一般にシワができやすいところを、シワの発生しにくい吸水性の小さい繊維と組み合わせることにより、上記の特長に加えてシワになりにくいという特長も付与されるため非常に快適に着用できるようになる。このように、複数の繊維からなる繊維構造物はその組み合わせにより、単一の繊維が有する欠点を軽減することができる。
しかし、衣料用繊維の大部分は染色加工工程中、熱水処理やアルカリ処理が不可欠である。綿、レーヨン、ポリノジック、溶剤紡糸レーヨン等に代表されるセルロース系繊維は、糊抜、精練、漂白、シルケット、染色、還元洗浄等の様々な工程でアルカリが使用される。アルカリはポリエステル系繊維の加水分解を促進するため、上記ポリエステル系繊維と他の繊維を複合した繊維構造物を染色加工する場合に、ポリエステル系繊維の加水分解は繊維全体の強力低下をもたらすため、用途展開に対して大きな障害となってきた。
これを解決する方法として、末端封鎖剤を添加することより末端カルボキシル基濃度を低下させる方法が特開2001-261797や特開2002-30208で開示されている。しかしながら、これらの方法は紡糸前にポリマーチップに末端封鎖剤を混練・添加するため、紡糸時の高温により、末端封鎖剤が蒸発や分解による発煙を起こし、悪臭や有毒なガスが発生することがあるという問題点があった。分解によりロスが生じるために末端封鎖剤を過剰に添加しなければならないという問題もある。また、溶融ポリマーに他の成分を加えることで紡糸性が悪化するため生産性に影響することがある。さらに、一度の生産量が多いため、薬剤量のコントロールが困難であるといった欠点があった。
末端封鎖したポリエステル系繊維と他の繊維の複合繊維構造物についても特開2005-226183で開示されている。しかし、上記生産上の問題は解決されていない上に、生分解性繊維は、廃棄された後、自然界で加水分解され、再資源化できることが期待されるが、上述の方法により加水分解を抑制すると、衣料として着用中の強力低下は抑制できるものの、自然界での加水分解が遅くなるという欠点がある。衣料用繊維・産業用繊維としての寿命を全うした後は、自然界で速やかに加水分解される必要があるが、繊維には様々な用途があり、必要な寿命も用途毎にその期間が異なる。その上、用途に応じて染色加工工程も様々であり、上述の方法では様々な用途・染色加工工程に合わせて、耐加水分解レベルを調整するために様々な条件で原糸の生産を行うことは生産コストの上昇をまねき経済的に非常に難しい。耐加水分解性を向上し、生分解の速度を調節するという記述は特開平11-80522で開示されているが、特開2005-226183と同様に経済合理的に生産することは非常に難しい。
特開2001-261797号公報 特開2002-30208号公報 特開2005-226183号公報 特開平11-80522号公報
本発明は、かかる従来の背景に鑑み、紡糸後の繊維を末端封鎖剤により処理する耐加水分解性に優れたポリエステル系繊維、その製造方法およびそれを用いた繊維構造物を提供せんとするものである。
本発明は、上記目的を達成するために下記の構成を有する。
(1)繊維内部に末端封鎖剤が吸尽され、該末端カルボキシル基が封鎖され、該末端封鎖剤がカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物およびエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物であることを特徴としたポリエステル系繊維。
(2)該ポリエステル系繊維がポリ乳酸を主成分とするものであることを特徴とする上記1に記載のポリエステル系繊維。
(3)該ポリエステル系繊維が芳香族ポリエステルを主成分とするものであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル系繊維。
(4)該ポリエステル系繊維がジカルボン酸としてテレフタル酸及びコハク酸の少なくとも一種類を含むことを特徴とする上記1または2に記載のポリエステル系繊維。
(5)該繊維の外層から内層に向けて、末端封鎖剤濃度が小さくなることを特徴とする上記1〜のいずれかに記載のポリエステル系繊維。
(6)該繊維の外層部5〜10重量%を溶剤で溶出して得た溶液から溶剤を除去することで取り出した繊維外層部(N1)と、繊維の外層部を加水分解して取り出して残った繊維内層部(N2)において、N1に含まれる末端封鎖剤濃度がN2に含まれる末端封鎖剤濃度よりも大きいことを特徴とする上記記載のポリエステル系繊維。
(7)上記1記載のポリエステル系繊維とともに、セルロース系繊維を含むことを特徴とする繊維構造物。
(8)繊維内部にカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物およびエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物である末端封鎖剤を吸尽させ、末端カルボキシル基を封鎖することを特徴とするポリエステル系繊維の製造方法。
(9)ポリエステル系繊維に、末端封鎖剤を含有する処理液を付与した後、乾燥・熱処理することを特徴とする上記記載のポリエステル系繊維の製造方法。
(10)ポリエステル系繊維を、末端封鎖剤を含有する処理液に投入し、該処理液を循環させながら浴中加工することを特徴とする上記記載のポリエステル系繊維の製造方法。
(11)該末端封鎖剤の粒径が100μm以下であることを特徴とする上記〜1のいずれかに記載のポリエステル系繊維の製造方法。
(12)該ポリエステル系繊維がポリ乳酸を主成分とするものであることを特徴とする上記8〜11のいずれかに記載のポリエステル系繊維の製造方法。
(13)該ポリエステル系繊維がジカルボン酸としてテレフタル酸およびコハク酸の少なくとも1種類を含むことを特徴とする上記8〜12のいずれかに記載のポリエステル系繊維。
本発明によれば、ポリエステル系繊維を含む繊維構造物に対して、高い耐加水分解性を与えることができる。
本発明は、ポリエステル系繊維の耐加水分解性を向上させることについて鋭意検討した結果、該繊維に末端封鎖剤を吸尽させる方法を採用することにより、耐加水分解性を大きく向上させることができることを見出したものである。
該繊維に末端封鎖剤を吸尽させることにより、末端封鎖剤がポリマー中のカルボキシル末端基と反応し、末端カルボキシル基濃度が低下するために耐加水分解性が付与される。
該繊維に末端封鎖剤を吸尽させる際、繊維の外側から末端封鎖剤が拡散していくため、繊維の外層部の末端封鎖剤濃度と内層の末端封鎖剤濃度には差が生じ、外層部に含有される末端封鎖剤濃度の方が大きくなる。
また本発明は、ポリエステル系繊維を、微粒子化した末端封鎖剤を含む浴中で処理する際、末端封鎖剤の粒径が小さいと繊維内部に効率よく吸収されることを見出したものである。粒径は100ミクロンメートル以下が好ましく用いられる。さらに好ましくは50ミクロンメートル以下が好ましく用いられる。
本発明においては、ポリエステル系繊維として、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステルが好ましく用いられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、DL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体から選ばれる重合体、あるいはこれらのブレンド体で等が用いられる。中でも、汎用性の面からは、L−乳酸を主成分とするポリ乳酸が好ましく使用される。L−乳酸を主成分とするとは、脂肪族ポリエステル中、50重量%以上がL−乳酸であることを意味する。また、この脂肪族ポリエステルは紡糸時に末端封鎖剤を添加し、末端カルボキシル基の一部が封鎖されていてもよい。
かかるポリ乳酸の製造方法としては、乳酸を原料としていったん環状二量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行なう二段階のラクチド法と、乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行なう一段階の直接重合法が知られている。本発明で用いられるポリ乳酸は、いずれの製法によって得られたものであってもよい。
芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが用いられる。また、これらの芳香族ポリエステルはジカルボン酸としてテレフタル酸及びコハク酸の少なくとも1種類を含んでも良い。さらに、アジピン酸も含んでいても良い。
本発明に用いるポリエステル系繊維は、通常のフラットヤーン以外に、仮撚り加工糸、強撚糸、タスラン加工糸、太細糸、混繊糸などのフィラメントヤーンであってもよく、ステープルファイバーやトウ、紡績糸など各種形態の繊維であってもよい。
本発明に用いるポリエステル系繊維は、ポリアミドなど他のポリマーとアロイを形成していてもよい。
本発明のポリエステル系繊維と、他の繊維を混用しても良い。混用する繊維としては、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、天然繊維のうちから選択される少なくとも1種類が用いられる。
再生繊維としては、ビスコース、キュプラ、ポリノジック、ハイウエットモジュラスレーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維などが挙げられる。
半合成繊維としては、アセテート、ジアセテート、トリアセテートなどが挙げられる。
合成繊維としては、ポリアミド、アクリル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、プロミックスなどが挙げられる。
天然繊維としては、綿、カポック、麻、亜麻、大麻、苧麻、羊毛、アルパカ、カシミヤ、モヘヤ、シルクなどが挙げられる。
複合の形態としては、混紡、交織、交編等いかなる形態でも良い。繊維構造物の形態としては、フィラメント、紡績糸、そしてそれらより得られる織物、編み物、不織布、製品などの繊維構造物が挙げられる。
本発明では、ポリエステル系繊維に他の繊維を任意の手法で任意に混用して良いが、ポリエステル系繊維の混率が小さいと本発明の効果が小さくなるため、ポリエステル系繊維の混率は10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましく、30重量%以上がさらに好ましい。
ポリエステル系繊維は吸湿性が小さいため、それだけで構成された繊維構造物を、例えば肌着やシャツ等の肌に近い用途に使用すると、汗を吸収しないため不快感を感じることがある。また、セルロース系繊維だけで構成された繊維構造物は吸湿性が大きすぎるため、汗を吸収したときに重く感じたり、乾きにくくなる。ポリエステル系繊維をセルロース系繊維と混用した繊維構造物は適度な吸湿性を持っているため快適に着用できる。
しかし、綿繊維に代表されるセルロース系繊維は、染色加工工程において、糊抜き、精練、漂白時に強力なアルカリ条件下にさらされるため、セルロース系繊維とポリエステル系繊維を混用した素材を染色加工すると、ポリエステル系繊維の加水分解のために強力低下することがあるが、本発明技術を適用するとポリエステル系繊維の耐加水分解性が向上しているためセルロース系繊維との混用が可能となる。
本発明においては、ポリエステル系繊維が、予め末端封鎖剤を含有していても良い。ポリエステル系繊維の加工工程において、染色工程に代表される高い湿熱処理では、強度低下として表面化しなくても、分子量の低下やカルボキシル末端基量が増大するなど、確実にポリエステル系繊維にダメージは付与される。本発明を染色加工工程中にポリエステル系繊維が一般的に最も高い湿熱条件下に曝される染色工程時に適用することで、染色中の加水分解が抑制され分子量の低下を抑制したり、カルボキシル末端基量の増加を抑制または減少することができ、ポリエステル系繊維の耐加水分解性をさらに向上することができる。
末端封鎖剤を予め含有しているポリエステル系繊維は、ポリエステル系ポリマーの溶融状態でカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物などの末端封鎖剤を適量反応させることで得ることができる。末端封鎖剤のポリエステル系繊維への含有方法としては、例えば、重合反応終了直後の溶融状態のポリエステル系ポリマーに末端封鎖剤を添加し攪拌・反応させる方法、ポリ乳酸のチップに末端封鎖剤を添加・混合した後に反応缶あるいはエクストルーダなどで混練・反応させる方法、エクストルーダでポリエステル系ポリマーに液状の末端封鎖剤を連続的に添加し、混練・反応させる方法、末端封鎖剤を高濃度含有させたポリエステル系ポリマーのマスターチップとポリエステル系ポリマーのホモチップとを混合したブレンドチップをエクストルーダなどで混練・反応させる方法などにより行うことができるが、これらの方法に限定されるわけではない。重合により溶融状態にあるポリエステル系ポリマーに末端封鎖剤を添加する場合、ポリエステル系ポリマーの高重合度化、残存低分子量物の抑制などの観点から、ポリマーの重合反応終了後に末端封鎖剤を添加・反応させることが好ましい。
本発明で記載する末端封鎖剤には2種類あり、1つがポリエステル系繊維に予め含有されているもの、もう一つがポリエステル系繊維に吸尽処理する末端封鎖剤である。
本発明でポリエステル系繊維に予め含有させる末端封鎖剤として用いられる化合物は、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる付加反応型化合物であることが好ましい。
カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N´−ジ−o−トリルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert.−ブチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド,N,N′−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−フェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−トリルカルボジイミド、N−フェニル−N′−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−トリルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド、芳香族ポリカルボジイミドなどが挙げられる。中でも、耐熱性及び取扱いのし易さから、ポリカルボジイミド化合物が好適に用いられ、該ポリカルボジイミド化合物は、ジイソシアネート化合物を重合したものが好適に用いられるが、中でも4,4‘−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドの重合体やテトラメチルキシリレンカルボジイミドの重合体やその末端をポリエチレングリコール等で封鎖したものが好ましい。
さらには、これらのカルボジイミド化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択してポリ乳酸のカルボキシル末端を封鎖すればよく、カルボジイミド化合物の種類により本発明はなんら制限されるものではない。
エポキシ化合物の例としては、例えば、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4−メチルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3−メチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−4−エトキシフタルイミド、N−グリシジル−4−クロルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジクロルフタルイミド、N−グリシジル−3,4,5,6−テトラブロムフタルイミド、N−グリシジル−4−n−ブチル−5−ブロムフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジルヘキサヒドロフタルイミド、N−グリシジル−1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジル−α,β−ジメチルサクシンイミド、N−グリシジル−α−エチルサクシンイミド、N−グリシジル−α−プロピルサクシンイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジル−p−メチルベンズアミド、N−グリシジルナフトアミド、N−グリシジルステラミド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−エチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−ナフチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−トリル−3−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、オルソフェニルフェニルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、3−(2−キセニルオキシ)−1,2−エポキシプロパン、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、シクロヘキシルグリシジルエーテル、α−クレシルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、オクチレンオキサイド、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルなどが挙げられ、さらには、テレフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジメチルジグリシジルエステル、フェニレンジグリシジルエーテル、エチレンジグリシジルエーテル、トリメチレンジグリシジルエーテル、テトラメチレンジグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。中でもトリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートなどはトリアジン環骨核を持つことから融点が高く、更には耐熱性にも優れるため好ましく、中でも分子架橋による紡糸性悪化を防止できる観点からエポキシ基が2官能以下であることがより好ましい。これらのエポキシ化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択してポリ乳酸のカルボキシル末端を封鎖すればよく、エポキシ化合物の種類により本発明はなんら制限されるものではない。
オキサゾリン化合物の例としては、例えば、2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−エトキシ−2−オキサゾリン、2−プロポキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘプチルオキシ−2−オキサゾリン、2−オクチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ノニルオキシ−2−オキサゾリン、2−デシルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−メタアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−クロチルオキシ−2−オキサゾリン、2−フェノキシ−2−オキサゾリン、2−クレジル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−o−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−m−エチルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−m−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−ペンチル−2−オキサゾリン、2−ヘキシル−2−オキサゾリン、2−ヘプチル−2−オキサゾリン、2−オクチル−2−オキサゾリン、2−ノニル−2−オキサゾリン、2−デシル−2−オキサゾリン、2−シクロペンチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−アリル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−フェニルフェニル−2−オキサゾリン、2−m−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−m−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェニル−2−オキサゾリンなどが挙げられ、さらには、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4,4′−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−9,9′−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)などが挙げられる。さらには、上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物など、例えばスチレン・2−イソプロペニル−2−オキサゾリン共重合体などが挙げられる。これらのオキサゾリン化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択してポリ乳酸のカルボキシル末端を封鎖すればよく、オキサゾリン化合物の種類により本発明はなんら制限されるものではない。
また上述したカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物のうち、2種類以上の化合物を末端封鎖剤として併用することもできる。
本発明では、上述の末端封鎖剤を予め含有するポリエステル系繊維または、末端封鎖剤を含有していないポリエステル系繊維に対して、さらに吸尽処理により末端封鎖剤を付与する。さらに付与する末端封鎖剤は、上述した薬剤の中から選択できるが、高分子量型はポリエステル系繊維内に吸尽させることが難しいため、芳香族ポリカルボジイミド化合物やポリオキサゾリン化合物等のような高分子量のものを除いた薬剤を使用することが好ましい。付与する方法として、末端封鎖剤を繊維に吸尽させる必要があり、その態様例を以下に示す。
処理する方法の1例として、液流染色機などで前記した末端封鎖剤を含む液中に被処理物を浸し、常圧または加圧の下、80〜130℃で加熱処理することが好ましい。その加熱処理時間は10〜120分間が好ましい。末端封鎖剤を含む処理液を循環させながら加工すると、繊維への処理の均一性が向上するので好ましい。脂肪族ポリエステルの場合、90〜110℃で20〜60分間処理することはより好ましい。芳香族ポリエステルの場合、110〜130℃で20〜60分間処理することはより好ましい。このときに末端封鎖剤が繊維の外側に付着し、繊維内部に吸尽・拡散する。
被処理物の形態としては、布帛、糸、製品、トウ、ワタ等を例示できるが、それらに限定されるものではない。浴中加工の処理装置としては、布帛であればウインス染色機、ジッガー染色機、液流染色機、気流染色機、ビーム染色機、糸であればチーズ染色機、トウ、ワタであればオーバーマイヤー等の装置が利用できるが、これらに限定されるものではない。
末端封鎖剤を含有する処理液に染料、染色助剤、pH調整剤等を加えて染色と末端封鎖処理を同時に行っても良い。染色と末端封鎖処理を同時に行うと、染色が必要な素材の場合は処理工程が合理化されるので経済的に有利なだけでなく、ポリエステル系繊維の染色加工中に発生する末端カルボキシル基を封鎖できるため、耐湿熱加水分解性がさらに向上するため好ましい。染料は分散染料に代表される疎水性染料が好ましく用いられるが、イオン性を有する極性基を共重合している場合は、その極性基とイオン結合する染料も好ましく用いられる。例えば、アニオン性基を持つモノマーを共重合している場合はカチオン染料を使用することができる。
末端封鎖剤を含む溶液に、分散剤、均染剤、柔軟剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、浸透剤、pH調整剤など末端封鎖剤の反応を阻害しないものであれば含んでいてもかまわない。
末端封鎖剤はポリエステル系繊維に吸尽された状態では、末端カルボキシル基との反応が不十分である可能性がある。そのため、かかる方法において液中処理した後、テンターなどの熱処理装置で乾熱処理をすることが好ましい。
本発明のポリエステル系繊維の処理方法の他の態様は、前記した末端封鎖剤を含む液を、繊維構造物にパディング処理またはスプレー処理で付着させた後、乾熱または湿熱の加熱処理を行うことが好ましい。
処理装置としては、通常のマングルが液付与装置として好適に用いられるが、繊維に均一に液を付与できる装置であれば良く、装置を限定するものではない。コーティング法や泡加工機等で付与しても良い。乾燥・熱処理装置としては、テンター、ショートループ、シュリンクサーファー、スチーマー、シリンダー乾燥機等が利用できるが、該繊維に均一に熱を付与できる装置であればこれらに限定されるものではない。末端封鎖剤を含有する処理液に布帛を浸漬し、均一に絞った後、乾燥し、80〜170℃の乾熱処理をすることが好ましい。その処理時間は15秒〜8分間でよい。脂肪族ポリエステルの場合、より好ましくは、90〜130℃で30秒〜5分間がよい。芳香族ポリエステルの場合、より好ましくは、130〜170℃で30秒〜5分間がよい。末端封鎖剤の種類によっては吸尽処理中に末端カルボキシル基と十分反応するため乾熱処理を必要としないものもある。
末端封鎖剤を含む溶液に、染料、分散剤、均染剤、柔軟剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、浸透剤、pH調整剤など末端封鎖剤の反応を阻害しないものであれば含んでいてもかまわない。
末端封鎖剤の量は対象となるポリエステル系繊維の末端カルボキシル基の量と、要求される耐加水分解性にあわせて任意に決定すればよい。
該繊維に末端封鎖剤を吸尽させることにより、末端封鎖剤がポリマー中のカルボキシル末端基と反応し、末端カルボキシル基濃度が低下するために耐加水分解性が付与されるが、末端封鎖剤が吸尽される際には、繊維の外側に末端封鎖剤が接触した後、繊維内部に末端封鎖剤が拡散していくため、繊維の外層部の末端封鎖剤濃度と内層の末端封鎖剤濃度には差が生じ、外層部に含有される末端封鎖剤濃度の方が大きくなる。
分散染料のようなポリエステル系繊維を構成するポリマーと強い相互作用をしない物質では、処理時間を十分長くとると、繊維内部に均一に拡散して外層と内層の濃度差が解消する方向に進行するが、末端封鎖剤はポリエステルポリマーの末端カルボキシル基との反応と拡散が同時に進行するため、外層と内層の濃度差が生じやすい。ここで、予め末端封鎖剤を含有しているのみで、吸尽していないポリエステルポリマーでは末端封鎖剤が繊維内部に均一に存在するため、本発明技術とは区別することが可能である。
外層と内層とにおける末端封鎖剤の濃度の差として、以下の状態にあることが好ましい。
繊維の外層部5〜10重量%を溶剤で溶出して得た溶液から溶剤を除去することで取り出した繊維外層部(N1)と、繊維の外層部を加水分解して取り出して残った繊維内層部(N2)において、N1に含まれる末端封鎖剤濃度がN2に含まれる末端封鎖剤濃度よりも大きい場合である。
ポリ乳酸繊維を用いた場合を例に挙げて、具体的に説明する。
まずは、繊維の外層部5〜10wt%をポリ乳酸繊維の良溶媒、例えば、ジクロロメタンやクロロホルム、また、溶解性が大きすぎると外層のみを溶出することが難しいので、良溶媒に良溶媒の溶解性を低下させる溶媒、例えばメタノールを混合して得られる溶媒などに溶出して得た溶液から溶媒を除去したもの(N1)を用いて、末端封鎖剤濃度を測定する。また、繊維の内層部のみを取り出すため、水酸化ナトリウム、加水分解促進剤を用いて、内層部の末端封鎖剤濃度が変化しないように繊維ポリマーのガラス転移点以下で処理を行うことで、外層部のみを加水分解して残留する繊維内層部(N2)を取り出すことができ、これを用いて末端封鎖剤を測定する。取り出したサンプルを例えばキャストフィルム化するなど任意の方法で試料化し、任意の方法で末端封鎖剤を検出する。
検出方法としては、IRスペクトルや、UVスペクトル、蛍光スペクトル、ラマン分光スペクトルなどの任意の方法で測定し、予め検量線を作成した上で、末端封鎖剤それぞれに固有のピークを検出することで外層部と内層部に含まれる末端封鎖剤の濃度を測定することができる。たとえば、ポリエステル系繊維がポリ乳酸であり、末端封鎖剤が分子構造中にベンゼン環を有するときはUVスペクトルや蛍光スペクトルが好ましく用いられる。
繊維を断面方向に切断し、繊維断面をTOF−SIMSやラマン分光スペクトルで直接測定して末端封鎖剤特有のスペクトルピークの積分値から、繊維の外層と内層の末端封鎖剤の濃度分布を求めても良い。
もちろん外層部と内層部の末端封鎖剤の濃度分布の評価方法はこれらの方法に限定されるものではない。
本発明で用いる末端封鎖剤は、100μm以下の粒径の状態で使用すると繊維内部に効率よく吸収されるためさらに好ましい。その状態にする方法は特に限定されるものではないが、例えば常温で固体の末端封鎖剤は、乾式・湿式で微粉砕化したり、溶融させた後に微結晶化したり、適当な非水溶媒に溶解させた後水に希釈したりすることで微粒子化できるが、これらの方法に限定されるものではない。安定化ため乳化剤等の活性剤を併用しても良い。常温で液体の末端封鎖剤は、機械乳化、転相乳化、液晶乳化、転相温度乳化、D相乳化、可溶化領域を利用した超微細化乳化等の方法で微粒子化させることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
末端封鎖剤を含む溶液に、分散剤、均染剤、柔軟剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、浸透剤、pH調整剤など末端封鎖剤の反応を阻害しないものであれば含んでいてもかまわない。
末端封鎖剤を含有する処理液に分散染料に代表される疎水性染料を混合すると、末端封鎖処理とともに染色を行うことができる。末端封鎖処理を染色と同時に行うと染色濃度が高くなる。さらに湿熱処理工程を通る回数が減るため、ポリエステル系繊維の加水分解が抑制されるので好ましい。
本発明により得られたポリエステル系繊維は、高い耐加水分解性を有し、ドレスシャツ、ブラウス、パンツ、スカート、ポロシャツ、Tシャツ、トレーニングウェア、コート、セーター、パジャマ、スクールユニフォーム、作業着、白衣、クリーンルームウェア、浴衣、肌着、裏地、芯地等として幅広い用途に好ましく用いられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の物性は次の方法で測定した値である。
(1)ポリ乳酸の末端カルボキシル基濃度(当量/10kg):精秤した試料をo−クレゾール(水分5%)調整液に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加の後、0.02規定の水酸化カリウムメタノール溶液にて滴定することにより測定した。
(2)ポリエチレンテレフタレートの末端カルボキシル基濃度(当量/10kg):精秤した試料をベンジルアルコールに溶解後、クロロホルムを加えた後、0.1規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定することにより測定した。
(3)強度(cN/dtex):島津オートグラフAG−1Sを用い、布帛を分解して得られた糸の強力を、試料長20cm、引張り速度20cm/分の条件で測定した。
(4)強度保持率(%):強度保持率は下記の式によって算出した。
強度保持率(%)=(加水分解処理後引張強度)/(加水分解処理前引張強度)×100
加水分解処理:アドバンテック(株)製恒温恒湿機(THN064PB)を用い、70℃×90%RHにて一週間処理する。
(5)破裂強力(KPa):ニット素材はミューレン型破裂試験機を用い、15cm×15cmの試料を測定した。
(実施例1)
融点166℃のL−ポリ乳酸チップを105℃に設定した真空乾燥機で12時間乾燥した。乾燥したチップを溶融紡糸機に投入し、溶融温度210℃にて溶融紡糸し紡糸温度220℃、紡糸速度4500m/分で品種100dtex−26フィラメントの未延伸糸を得た。この未延伸糸を予熱温度100℃、熱セット温度130℃にて延伸倍率1.2倍で延伸し、84dtex−26フィラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸でタフタを製織し、80℃で精練した後、130℃で1分間乾熱セットを行い、ポリ乳酸織物を得た。
かかる方法で製作したポリ乳酸繊維織物へ耐加水分解性を付与するために、次のような方法を実施した。すなわち、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤として平均粒径300μmに粉砕化したN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(TIC)を3%owf、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行い耐加水分解性に優れたポリ乳酸布帛を得た。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の延伸糸は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
得られた加水分解前の試料をクロロホルムに浸漬することにより試料の外層を7%溶出し、キャストフィルム化した。また試料を水酸化ナトリウム87.5%owf、促進剤としてカチオン系界面活性剤(一方社油脂工業(株)製DYK1125)10g/L、浴比1:40で30℃×1時間処理することにより外層部60%を加水分解し、残存した内層部を取り出し、クロロホルムを用いてキャストフィルム化した。島津製作所製分光光度計UV3100を用いて両者のUVスペクトルを測定し、TICの特性ピーク(フェニル基の吸収約260nm)を観測したところ、外層部にTICが顕著に含まれることが確認できた。
(実施例2)
実施例1で製織したポリ乳酸繊維織物を、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤として平均粒径10μmに調整したN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドエマルジョンを3%owf、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、耐加水分解性に優れたポリ乳酸布帛を得た。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の後の延伸糸は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例3)
実施例1で製織したポリ乳酸繊維織物を、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤として平均粒径10μmに調整したN,N´−2,6−ジイソプロピルジフェニルカルボジイミドエマルジョンを3%owf、染料としてDenapla Black GS(長瀬カラーケミカル(株)製ポリ乳酸繊維用染料) 5%owf、ニッカサンソルトSN−130E(日華化学(株)製、均染剤)1g/L、80%酢酸0.3g/L、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、耐加水分解性に優れたポリ乳酸布帛を得た。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の延伸糸は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例4)
実施例1で製織したポリ乳酸繊維織物を、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤として平均粒径20μmに調整したN,N´−ジイソプロピルカルボジイミドエマルジョンを3%owf、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、耐加水分解性に優れたポリ乳酸布帛を得た。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の延伸糸は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例5)
公知の方法で84dtex−26フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)の延伸糸を得た。得られたフィラメントでタフタを製織し、80℃×20分で常法により精練した後、170℃で1分間乾熱セットを行い、PET織物を得た。かかる方法で製作したPET繊維織物へ耐加水分解性を付与するために、次のような方法を実施した。すなわち、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤として平均粒径20μmに粉砕化したN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを3%owf、染料としてDianix Tuxedo Black H CONC(ダイスタージャパン(株)製PET繊維用分散染料) 12%owf、ニッカサンソルトSN−130E(日華化学(株)製、均染剤)1g/L、80%酢酸0.3g/L、浴比1:30の液中にPET織物を浸し、130℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行い耐加水分解性に優れたPET布帛を得た。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の延伸糸は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例6)
経糸にポリ乳酸繊維84dtex−26フィラメント、緯糸にレーヨンフィラメント75d−33フィラメントを用い、経糸密度102本/2.54cm、緯糸密度60本/2.54cmの平織りを製織した。80℃で精練した後、130℃で1分間熱セットを行い、ポリ乳酸/レーヨン交織織物を得た。かかる方法で製作したポリ乳酸繊維織物へ耐加水分解性を付与するために、次のような方法を実施した。すなわち、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤としてN,N´−ジジイソプロピルカルボジイミドを3%owf、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行った。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の経糸ポリ乳酸繊維は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例7)
経糸にポリ乳酸繊維84dtex−26フィラメント、緯糸にジアセテート100d/27fを用い、経糸密度102本/2.54cm、緯糸密度60本/2.54cmの平織りを製織した。80℃で精練した後、130℃で1分間熱セットを行い、ポリ乳酸/アセテート交織織物を得た。かかる方法で製作したポリ乳酸繊維織物へ耐加水分解性を付与するために、次のような方法を実施した。すなわち、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤としてN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを3%owf、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行った。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の経糸ポリ乳酸繊維は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例8)
経糸にポリ乳酸繊維84dtex−26フィラメント、緯糸にポリエチレンテレフタレート84デシテックス36フィラメントの仮撚加工糸を用い、経糸密度102本/2.54cm、緯糸密度60本/2.54cmの平織りを製織した。80℃で精練した後、130℃で1分間熱セットを行い、ポリ乳酸/ポリエチレンテレフタレート交織織物を得た。かかる方法で製作したポリ乳酸繊維織物へ耐加水分解性を付与するために、次のような方法を実施した。すなわち、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤としてN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを6%owf、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行った。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の経糸ポリ乳酸繊維は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例9)
経糸にポリ乳酸繊維84dtex−26フィラメント、緯糸に40番手綿紡績糸を用い、経糸密度102本/2.54cm、緯糸密度60本/2.54cmの平織りを製織した。80℃で精練した後、130℃で1分間熱セットを行い、ポリ乳酸/綿交織織物を得た。かかる方法で製作したポリ乳酸繊維織物へ耐加水分解性を付与するために、次のような方法を実施した。すなわち、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤としてN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを3.5%owf、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行った。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の経糸ポリ乳酸繊維は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例10)
平均繊維長35mmの綿繊維70%、繊維径1.5d、繊維長38mmのポリ乳酸繊維30%の40番手混紡紡績糸により22Gのスムースニットを作成した。80℃で精練した後、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤としてN,N´−ジイソプロピルカルボジイミドを3%owf、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行った。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の生地は非常に高い強度保持率を示した(表3)。
(実施例11)
Dupont製バイオマックス原糸(エチレングリコールとテレフタル酸/コハク酸の共重合PET、繊維径1.5d、繊維長38mm)を平均繊維長35mmの綿繊維と、バイオマックス45%、綿繊維55%の比率で混紡し、45番手の紡績糸を得た。該紡績糸ゾッキ平織物を作成した。常法により糊抜・精練・漂白した後、130℃で1分間熱セットを行い、バイオマックス/綿混紡織物を得た。高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤として平均粒径20μmに調整したN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドエマルジョンを3%owf、染料としてDenapla Black GS(ナガセカラーケミカル(株)製ポリ乳酸繊維用染料)5%owf、ニッカサンソルトSN−130E(日華化学(株)製、均染剤)1g/L、80%酢酸0.3g/L、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、耐加水分解性に優れたポリ乳酸布帛を得た。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の紡績糸は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例12)
融点166℃のL−ポリ乳酸チップを105℃に設定した真空乾燥機で12時間乾燥した。乾燥したチップを溶融紡糸機に投入し210℃で溶融した。 それとは別に、ポリカルボジイミド“カルボジライト”HMV−8CA(日清紡社製熱可塑性ポリカルボジイミド)を120℃で溶融した。 溶融したポリ乳酸とポリカルボジイミドを紡糸パックに導き、紡糸パック内の静止混練器でポリカルボジイミドが1%の割合で混練を行い、そのまま紡糸温度220℃、紡糸速度4500m/分で溶融紡糸し、品種100dtex−26フィラメントの未延伸糸を得た。この未延伸糸を予熱温度100℃、熱セット温度130℃にて延伸倍率1.2倍で延伸し、84dtex−26フィラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸でタフタを製織し、80℃で精練した後、130℃で1分間乾熱セットを行い、ポリ乳酸織物を得た。
かかる方法で製作したポリ乳酸繊維織物へさらに高い耐加水分解性を付与するために、次のような方法を実施した。すなわち、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤として平均粒径20μmに調整したN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを3%owf、染料としてDenapla Black GS(ナガセカラーケミカル(株)製ポリ乳酸繊維用染料)5%owf、ニッカサンソルトSN−130E(日華化学(株)製、均染剤)1g/L、80%酢酸0.3g/Lを浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行い耐加水分解性に優れたポリ乳酸布帛を得た。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の糸は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例13)
融点166℃のL−ポリ乳酸チップを105℃に設定した真空乾燥機で12時間乾燥した。乾燥したチップにジアリルモノグリシジルイソシアヌレートを溶融混練により添加し、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート含有量が5.0wt%のチップを作成した。作成したジアリルモノグリシジルイソシアヌレート含有チップと、非含有チップを、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの混合率が20%になるようにチップ混合装置により混合し、溶融紡糸機に投入し溶融温度210℃にて溶融紡糸し紡糸温度220℃、紡糸速度4500m/分で品種100dtex−26フィラメントの未延伸糸を得た。この未延伸糸を予熱温度100℃、熱セット温度130℃にて延伸倍率1.2倍で延伸し、84dtex−26フィラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸でタフタを製織し、80℃で精練した後、130℃で1分間乾熱セットを行い、ポリ乳酸織物を得た。
かかる方法で製作したポリ乳酸繊維織物へ耐加水分解性を付与するために、次のような方法を実施した。すなわち、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤として平均粒径20μmに調整したN,N´−ジイソプロピルカルボジイミドを3%owf、染料としてDenapla Black GS(ナガセカラーケミカル(株)製ポリ乳酸繊維用染料)5%owf、ニッカサンソルトSN−130E(日華化学(株)製、均染剤)1g/L、80%酢酸0.3g/L、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行い耐加水分解性に優れたポリ乳酸布帛を得た。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の糸は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(実施例14)
融点166℃のL−ポリ乳酸チップを105℃に設定した真空乾燥機で12時間乾燥した。乾燥したチップにトリグリシジルイソシアヌレートを溶融混練により添加し、トリグリシジルイソシアヌレート含有量が5.0wt%のチップを作成した。作成したトグリシジルイソシアヌレート含有チップと、非含有チップを、トリグリシジルイソシアヌレートの混合率が20%になるようにチップ混合装置により混合し、溶融紡糸機に投入し溶融温度210℃にて溶融紡糸し紡糸温度220℃、紡糸速度4500m/分で品種100dtex−26フィラメントの未延伸糸を得た。この未延伸糸を予熱温度100℃、熱セット温度130℃にて延伸倍率1.2倍で延伸し、84dtex−26フィラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸でタフタを製織し、80℃で精練した後、130℃で1分間乾熱セットを行い、ポリ乳酸織物を得た。
かかる方法で製作したポリ乳酸繊維織物へ耐加水分解性を付与するために、次のような方法を実施した。すなわち、高圧染色試験機を用い、末端封鎖剤として平均粒径20μmに調整したN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを3%owf、染料としてDenapla Black GS(ナガセカラーケミカル(株)製ポリ乳酸繊維用染料)5%owf、ニッカサンソルトSN−130E(日華化学(株)製、均染剤)1g/L、80%酢酸0.3g/L、浴比1:30の液中にポリ乳酸織物を浸し、110℃、30分の条件で常法による加工を行った。この後、水洗し、風乾させ、130℃、2分間乾熱処理を行い耐加水分解性に優れたポリ乳酸布帛を得た。処理した織物を70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の分解糸は非常に高い強度保持率を示した(表1)。
(比較例1)
実施例1で使用した延伸糸をそのまま、70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した。加水分解処理後の延伸糸は糸強度を測定できないほど加水分解が進行していた(表2)。
(比較例2)
実施例3において末端封鎖処理を除く他は同様の処理を行い、比較例2の織物を得た。加水分解処理後の延伸糸は糸強度を測定できないほど加水分解が進行していた(表2)。
(比較例3)
実施例5において末端封鎖処理を除く他は同様の処理を行い、比較例3の織物を得た。公知の方法で84dtex−26フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)の延伸糸を得た。加水分解処理後の延伸糸の強度保持率は小さい(表2)。
(比較例4)
実施例6において末端封鎖処理を除く他は同様の処理を行い、比較例1の織物を得た。加水分解処理後の経糸ポリ乳酸繊維は強度が大きく低下していた(表2)。
(比較例5)
実施例10において末端封鎖処理を除く他は同様の処理を行い、比較例2のニットを得た。加水分解処理後の生地は強度が大きく低下していた(表3)
(比較例6)
実施例11において、末端封鎖処理を除く他は同様の処理を行い、比較例6の織物を得た。加水分解処理後の紡績糸の強度保持率は小さい(表2)。
(比較例7)
実施例12において、末端封鎖処理を除く他は同様の処理を行い、比較例6の織物を得た。加水分解処理後の強度保持率は実施例12に比べ小さい(表2)。
(比較例8)
実施例13において、末端封鎖処理を除く他は同様の処理を行い、比較例6の織物を得た。加水分解処理後の強度保持率は実施例13に比べ小さい(表2)。
(比較例9)
実施例14において、末端封鎖処理を除く他は同様の処理を行い、比較例6の織物を得た。加水分解処理後の強度保持率は実施例14に比べ小さい(表2)。
Figure 0005098930
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Claims (13)

  1. 繊維内部にカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物およびエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物である末端封鎖剤が吸尽され、末端カルボキシル基が封鎖されていることを特徴としたポリエステル系繊維。
  2. 該ポリエステル系繊維がポリ乳酸を主成分とするものであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系繊維。
  3. 該ポリエステル系繊維が芳香族ポリエステルを主成分とするものであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル系繊維。
  4. 該ポリエステル系繊維がジカルボン酸としてテレフタル酸及びコハク酸の少なくとも一種類を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル系繊維。
  5. 該繊維の外層から内層に向けて、末端封鎖剤濃度が小さくなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリエステル系繊維。
  6. 該繊維の外層部5〜10重量%を溶剤で溶出して得た溶液から溶剤を除去することで取り出した繊維外層部(N1)と、繊維の外層部を加水分解して取り出して残った繊維内層部(N2)において、N1に含まれる末端封鎖剤濃度がN2に含まれる末端封鎖剤濃度よりも大きいことを特徴とする請求項記載のポリエステル系繊維。
  7. 請求項1記載のポリエステル系繊維とともに、セルロース系繊維を含むことを特徴とする繊維構造物。
  8. 繊維内部にカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物およびエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物である末端封鎖剤を吸尽させ、末端カルボキシル基を封鎖することを特徴とするポリエステル系繊維の製造方法。
  9. ポリエステル系繊維に、末端封鎖剤を含有する処理液を付与した後、乾燥・熱処理することを特徴とする請求項記載のポリエステル系繊維の製造方法。
  10. ポリエステル系繊維を、末端封鎖剤を含有する処理液に投入し、該処理液を循環させながら浴中加工することを特徴とする請求項記載のポリエステル系繊維の製造方法。
  11. 該末端封鎖剤の粒径が100μm以下であることを特徴とする請求項〜1のいずれかに記載のポリエステル系繊維の製造方法。
  12. 該ポリエステル系繊維がポリ乳酸を主成分とするものであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のポリエステル系繊維の製造方法。
  13. 該ポリエステル系繊維がジカルボン酸としてテレフタル酸およびコハク酸の少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載のポリエステル系繊維。
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