JP2001336026A - ゴム補強用ポリエステル繊維 - Google Patents
ゴム補強用ポリエステル繊維Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】ポリエステル繊維の製造時において、重合時に
使用した触媒起因の異物によるろ圧上昇がなく、製糸性
が良好であり、かつ、従来品に比べて高強度であり、寸
法安定性に優れたゴム補強用ポリエステル繊維を提供す
る。 【解決手段】主たる金属元素が、チタンおよびケイ素か
らなる複合酸化物の残渣を含有したポリエステル繊維で
あって、チタン原子換算で0.5〜300ppm含有し
たポリエステルからなり、寸法安定性(中間伸度+乾熱
収縮率)が8〜12%であることを特徴とするゴム補強
用ポリエステル繊維。
使用した触媒起因の異物によるろ圧上昇がなく、製糸性
が良好であり、かつ、従来品に比べて高強度であり、寸
法安定性に優れたゴム補強用ポリエステル繊維を提供す
る。 【解決手段】主たる金属元素が、チタンおよびケイ素か
らなる複合酸化物の残渣を含有したポリエステル繊維で
あって、チタン原子換算で0.5〜300ppm含有し
たポリエステルからなり、寸法安定性(中間伸度+乾熱
収縮率)が8〜12%であることを特徴とするゴム補強
用ポリエステル繊維。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム補強用ポリエ
ステル繊維に関するものである。更に詳しくは、ポリエ
ステル繊維の製造時において、重合時に使用した触媒起
因の異物によるろ圧上昇がなく、製糸性が良好であり、
かつ、従来品に比べて高強度であり、寸法安定性および
耐久性に優れたゴム補強用ポリエステル繊維に関するも
のである。
ステル繊維に関するものである。更に詳しくは、ポリエ
ステル繊維の製造時において、重合時に使用した触媒起
因の異物によるろ圧上昇がなく、製糸性が良好であり、
かつ、従来品に比べて高強度であり、寸法安定性および
耐久性に優れたゴム補強用ポリエステル繊維に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は機械的性質・寸法安
定性・耐久性に優れるため衣料用だけでなく、タイヤ、
ベルト、ホース等のゴム製品の補強用材料として産業用
途にも幅広く用いられている。なかでもタイヤコードな
どのゴム補強用途ではその特徴を生かし多量に利用され
ている。従来、タイヤコード用途では低配向の未延伸糸
を高倍率延伸した高強度の原糸が使用されていたが、近
年は比較的高配向の未延伸糸(いわゆるPOY)を延伸
して得た原糸が使用されるようになった。これは強度を
若干犠牲にしてでもコードの寸法安定性を良くし、タイ
ヤ性能、特に均一性を向上させようというニーズから生
まれた技術(特開昭53−58031号公報)であり、
これが近年のタイヤコード技術の主流になっている。タ
イヤの性能をより向上させるため、従来から種々の提案
がなされている。寸法安定性を保持しながら、高強度、
高タフネスを有するタイヤコードの要求に対して、PO
Yを低速延伸する方法(特開昭57−154410号公
報、特開昭58−98419号公報)、さらに繊維の機
械的性質を高くする技術として、高配向紡糸した未延伸
糸を特定条件で延伸することにより高強度の原糸を得る
方法(特開昭60−88120号公報)についても提案
されている。
定性・耐久性に優れるため衣料用だけでなく、タイヤ、
ベルト、ホース等のゴム製品の補強用材料として産業用
途にも幅広く用いられている。なかでもタイヤコードな
どのゴム補強用途ではその特徴を生かし多量に利用され
ている。従来、タイヤコード用途では低配向の未延伸糸
を高倍率延伸した高強度の原糸が使用されていたが、近
年は比較的高配向の未延伸糸(いわゆるPOY)を延伸
して得た原糸が使用されるようになった。これは強度を
若干犠牲にしてでもコードの寸法安定性を良くし、タイ
ヤ性能、特に均一性を向上させようというニーズから生
まれた技術(特開昭53−58031号公報)であり、
これが近年のタイヤコード技術の主流になっている。タ
イヤの性能をより向上させるため、従来から種々の提案
がなされている。寸法安定性を保持しながら、高強度、
高タフネスを有するタイヤコードの要求に対して、PO
Yを低速延伸する方法(特開昭57−154410号公
報、特開昭58−98419号公報)、さらに繊維の機
械的性質を高くする技術として、高配向紡糸した未延伸
糸を特定条件で延伸することにより高強度の原糸を得る
方法(特開昭60−88120号公報)についても提案
されている。
【0003】また、ゴム補強用ポリエステルの製造時、
一般的な重合触媒であるアンチモン化合物に起因する異
物を少なくすることにより高強度の原糸を得る方法とし
て、ポリエステル製造時に特定量の無機粒子を含有させ
たポリエステルを使用する方法(特開平8−10032
5号公報)、アンチモン化合物にゲルマニウム化合物や
ニッケル化合物等を併用したポリエステルを使用する方
法(特開平3−161509号公報、特開平9−256
221号公報)、についても提案されている。
一般的な重合触媒であるアンチモン化合物に起因する異
物を少なくすることにより高強度の原糸を得る方法とし
て、ポリエステル製造時に特定量の無機粒子を含有させ
たポリエステルを使用する方法(特開平8−10032
5号公報)、アンチモン化合物にゲルマニウム化合物や
ニッケル化合物等を併用したポリエステルを使用する方
法(特開平3−161509号公報、特開平9−256
221号公報)、についても提案されている。
【0004】しかしながら、前記した従来の技術による
方法は、いずれも強度の向上は一応認められるものの、
ポリエステル製造時のろ圧上昇の抑制効果や寸法安定性
が不十分なレベルであったり、使用においてはまだ多く
の問題点があった。
方法は、いずれも強度の向上は一応認められるものの、
ポリエステル製造時のろ圧上昇の抑制効果や寸法安定性
が不十分なレベルであったり、使用においてはまだ多く
の問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記従
来の問題を解消し、ポリエステル繊維の製造時において
ろ圧上昇がなく、製糸性が良好であり、かつ、従来品に
比べて高強度であり、寸法安定性および耐久性に優れた
ゴム補強用ポリエステル繊維を提供することにある。
来の問題を解消し、ポリエステル繊維の製造時において
ろ圧上昇がなく、製糸性が良好であり、かつ、従来品に
比べて高強度であり、寸法安定性および耐久性に優れた
ゴム補強用ポリエステル繊維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明のゴム補強用ポリエステル繊維は、主として次の
構成を有する。すなわち、主たる金属元素が、チタンお
よびケイ素からなる複合酸化物の残渣を含有したポリエ
ステル繊維であって、チタン原子換算で0.5〜300
ppm含有したポリエステルからなり、寸法安定性(中
間伸度+乾熱収縮率)が8〜12%であることを特徴と
するゴム補強用ポリエステル繊維である。
本発明のゴム補強用ポリエステル繊維は、主として次の
構成を有する。すなわち、主たる金属元素が、チタンお
よびケイ素からなる複合酸化物の残渣を含有したポリエ
ステル繊維であって、チタン原子換算で0.5〜300
ppm含有したポリエステルからなり、寸法安定性(中
間伸度+乾熱収縮率)が8〜12%であることを特徴と
するゴム補強用ポリエステル繊維である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明者らはポリエステル繊維の製造時に
おいてろ圧上昇がなく、製糸性が良好であり、かつ、寸
法安定性を良好に保ちつつ高強度化を実現するための要
因について鋭意検討を行なった結果、ろ圧上昇や製糸
性、さらに高強度化を阻害しているのは糸中の欠陥、特
に触媒に起因している粗大粒子であること、また、これ
ら粗大粒子のうちでもポリエステル製造時、一般的に重
合触媒として使用しているアンチモン化合物に起因する
ものが異物として悪影響を与えることを見出した。
おいてろ圧上昇がなく、製糸性が良好であり、かつ、寸
法安定性を良好に保ちつつ高強度化を実現するための要
因について鋭意検討を行なった結果、ろ圧上昇や製糸
性、さらに高強度化を阻害しているのは糸中の欠陥、特
に触媒に起因している粗大粒子であること、また、これ
ら粗大粒子のうちでもポリエステル製造時、一般的に重
合触媒として使用しているアンチモン化合物に起因する
ものが異物として悪影響を与えることを見出した。
【0009】一方、寸法安定性を向上させるためには、
ポリマー中の触媒に起因する粒子を単純に少なくするだ
けでは不十分であり、該粒子を制御し、ポリマー中に微
細な粒子を存在させることによって、紡糸時の配向特性
をコントロールすることが有効であることがわかった。
かかる微細な粒子を制御すると共に、ポリエステル繊維
の製造上および品質上の欠点を改善することについて検
討した結果、重合触媒としてチタンおよびケイ素からな
る複合酸化物を特定量用いることが有効であることを見
出し、本発明に到達したものである。
ポリマー中の触媒に起因する粒子を単純に少なくするだ
けでは不十分であり、該粒子を制御し、ポリマー中に微
細な粒子を存在させることによって、紡糸時の配向特性
をコントロールすることが有効であることがわかった。
かかる微細な粒子を制御すると共に、ポリエステル繊維
の製造上および品質上の欠点を改善することについて検
討した結果、重合触媒としてチタンおよびケイ素からな
る複合酸化物を特定量用いることが有効であることを見
出し、本発明に到達したものである。
【0010】本発明のポリエステル繊維は、主たる金属
元素がチタンおよびケイ素からなる複合酸化物の残渣を
含有する。すなわちこの残渣は重合触媒として添加した
主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物
の残渣として存在するものである。ここで複合酸化物と
は、酸素とともに酸化物を形成する主たる元素が2種類
以上である化合物のことであり、本発明では酸素原子に
対してチタン及びケイ素の2種類の元素があり、酸素を
含めたこの3種の元素が一つの化合物を形成していると
いうことである。従って、酸化チタンと酸化ケイ素のよ
うに、酸素と他の単一の元素との酸化物を単に2種類以
上混合したものは本発明の複合酸化物には該当しない。
元素がチタンおよびケイ素からなる複合酸化物の残渣を
含有する。すなわちこの残渣は重合触媒として添加した
主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物
の残渣として存在するものである。ここで複合酸化物と
は、酸素とともに酸化物を形成する主たる元素が2種類
以上である化合物のことであり、本発明では酸素原子に
対してチタン及びケイ素の2種類の元素があり、酸素を
含めたこの3種の元素が一つの化合物を形成していると
いうことである。従って、酸化チタンと酸化ケイ素のよ
うに、酸素と他の単一の元素との酸化物を単に2種類以
上混合したものは本発明の複合酸化物には該当しない。
【0011】この主たる金属元素がチタンとケイ素から
なる複合酸化物のTiとSiの比率は特に限定されない
が、両者の金属のモル比率(Ti/Si)が20/80
以上であると、重縮合触媒としての活性が高く、少量で
重合可能となるだけでなく、微細な粒子の生成を制御す
るため好ましい。より好ましくは、Ti/Si=98/
2〜50/50である。
なる複合酸化物のTiとSiの比率は特に限定されない
が、両者の金属のモル比率(Ti/Si)が20/80
以上であると、重縮合触媒としての活性が高く、少量で
重合可能となるだけでなく、微細な粒子の生成を制御す
るため好ましい。より好ましくは、Ti/Si=98/
2〜50/50である。
【0012】また、主たる金属元素がチタンとケイ素か
らなる複合酸化物は、チタン原子換算でポリエステルに
対して0.5〜300ppm含有されていることが必要
である。より好ましくは2〜200ppm、さらに好ま
しくは3〜100ppm、特に好ましくは3〜50pp
mである。
らなる複合酸化物は、チタン原子換算でポリエステルに
対して0.5〜300ppm含有されていることが必要
である。より好ましくは2〜200ppm、さらに好ま
しくは3〜100ppm、特に好ましくは3〜50pp
mである。
【0013】チタン量が0.5ppm未満では重合反応
性が不十分であるため、実用的な極限粘度とカルボキシ
ル末端基量を有するポリマーを良好な生産性で得ること
ができないだけでなく、紡糸時の配向結晶化挙動に影響
する微細な粒子の生成がほとんどなくなるため、寸法安
定性が低下する。一方、チタン量が300ppmより多
く存在していると、チタンとケイ素からなる複合酸化物
による粗大粒子が生成するため、繊維の強度、タフネス
が低下するだけでなく、耐疲労性が不良となる。
性が不十分であるため、実用的な極限粘度とカルボキシ
ル末端基量を有するポリマーを良好な生産性で得ること
ができないだけでなく、紡糸時の配向結晶化挙動に影響
する微細な粒子の生成がほとんどなくなるため、寸法安
定性が低下する。一方、チタン量が300ppmより多
く存在していると、チタンとケイ素からなる複合酸化物
による粗大粒子が生成するため、繊維の強度、タフネス
が低下するだけでなく、耐疲労性が不良となる。
【0014】なお、主たる金属元素がチタン及びケイ素
からなる複合酸化物は、特に限定されないが、例えば、
それぞれの金属元素を有するアルコキシド化合物を原料
として共沈法、部分加水分解法あるいは配位化学ゾル・
ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法
とは2種あるいはそれ以上の成分を含有するの所定の組
成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行
させることによって目的の複合酸化物を得る方法であ
る。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじ
め加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分
を加えさらに加水分解を進行させる方法である。一方、
配位化学ゾル・ゲル法とは、金属アルコキシドなどの原
料とともに分子内に官能基を複数持つ有機多座配位子を
共存させ、両者の間で錯体を形成させることによって、
その後の加水分解反応の速度を制御し複合酸化物を得よ
うとするものである。以上のような複合酸化物の合成方
法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触
媒調製」、アイピーシー(1993)等に記載されてい
る。
からなる複合酸化物は、特に限定されないが、例えば、
それぞれの金属元素を有するアルコキシド化合物を原料
として共沈法、部分加水分解法あるいは配位化学ゾル・
ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法
とは2種あるいはそれ以上の成分を含有するの所定の組
成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行
させることによって目的の複合酸化物を得る方法であ
る。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじ
め加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分
を加えさらに加水分解を進行させる方法である。一方、
配位化学ゾル・ゲル法とは、金属アルコキシドなどの原
料とともに分子内に官能基を複数持つ有機多座配位子を
共存させ、両者の間で錯体を形成させることによって、
その後の加水分解反応の速度を制御し複合酸化物を得よ
うとするものである。以上のような複合酸化物の合成方
法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触
媒調製」、アイピーシー(1993)等に記載されてい
る。
【0015】上記した複合酸化物の製造に用いるチタン
化合物としては、例えば、チタンイソプロピレート、チ
タンエチレートまたはチタン−tert−ブチレートな
どが挙げられる。ケイ素化合物としては、例えばオルト
ケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル等が挙げられる。
化合物としては、例えば、チタンイソプロピレート、チ
タンエチレートまたはチタン−tert−ブチレートな
どが挙げられる。ケイ素化合物としては、例えばオルト
ケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル等が挙げられる。
【0016】また、配位化学ゾル・ゲル法の場合に用い
る有機多座配位子としては、例えば、エチレングリコー
ル、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、2,4−ペンタジオールなどが挙げられる。また、
反応を行う溶媒としては、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられ
る。
る有機多座配位子としては、例えば、エチレングリコー
ル、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、2,4−ペンタジオールなどが挙げられる。また、
反応を行う溶媒としては、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられ
る。
【0017】本発明のポリエステルは、複合酸化物と併
用させてリンを特定量含有するとポリエステルの熱安定
性が良好となり、ポリエステルの製糸時のIV低下が小
さくなるだけでなく、製糸性が良好となるので好まし
い。ポリエステルに対してリン原子換算で0.5〜40
0ppm含有されているのが好ましい。
用させてリンを特定量含有するとポリエステルの熱安定
性が良好となり、ポリエステルの製糸時のIV低下が小
さくなるだけでなく、製糸性が良好となるので好まし
い。ポリエステルに対してリン原子換算で0.5〜40
0ppm含有されているのが好ましい。
【0018】なお、製糸時におけるポリエステルの熱安
定性からリン含有量は、2〜200ppmが好ましく、
さらに好ましくは3〜100ppmである。
定性からリン含有量は、2〜200ppmが好ましく、
さらに好ましくは3〜100ppmである。
【0019】また、複合酸化物のチタン原子に対してリ
ン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20の比率
であるとポリエステルの熱安定性が良好となり好まし
い。より好ましくはTi/P=0.2〜10、さらに好
ましくはTi/P=0.3〜5である。
ン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20の比率
であるとポリエステルの熱安定性が良好となり好まし
い。より好ましくはTi/P=0.2〜10、さらに好
ましくはTi/P=0.3〜5である。
【0020】なお、本発明のポリエステルに含有される
リンは、ポリエステルの製造過程で添加したリン化合物
の残渣である。このようなリン化合物としては特に限定
されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸及
びこれらの低級アルキルエステルやフェニルエステルが
挙げられるが特に限定はない。具体的には、例えば、リ
ン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ト
リフェニル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、メチルホ
スホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、
メチルホスホン酸メチルエステル、フェニルホスホン酸
エチルエステル、ベンジルホスホン酸フェニルエステ
ル、ホスホノ酢酸エチルエステル等が挙げられる。
リンは、ポリエステルの製造過程で添加したリン化合物
の残渣である。このようなリン化合物としては特に限定
されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸及
びこれらの低級アルキルエステルやフェニルエステルが
挙げられるが特に限定はない。具体的には、例えば、リ
ン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ト
リフェニル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、メチルホ
スホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、
メチルホスホン酸メチルエステル、フェニルホスホン酸
エチルエステル、ベンジルホスホン酸フェニルエステ
ル、ホスホノ酢酸エチルエステル等が挙げられる。
【0021】本発明において寸法安定性とは中間伸度と
乾熱収縮率との和をいう。本発明のポリエステル繊維の
寸法安定性は8〜12%、好ましくは8.5〜10%と
するものである。寸法安定性をこの範囲とすることによ
って、タイヤ成形時におけるタイヤの均一性を保持する
と共に、強度、タフネスおよび耐久性等の点においてバ
ランスの取れたゴム補強用資材として満足しうるような
コードを得ることが可能となる。
乾熱収縮率との和をいう。本発明のポリエステル繊維の
寸法安定性は8〜12%、好ましくは8.5〜10%と
するものである。寸法安定性をこの範囲とすることによ
って、タイヤ成形時におけるタイヤの均一性を保持する
と共に、強度、タフネスおよび耐久性等の点においてバ
ランスの取れたゴム補強用資材として満足しうるような
コードを得ることが可能となる。
【0022】本発明のポリエステル繊維の極限粘度(以
下、IV)は0.85以上とするのが強度、タフネスお
よび耐久性の点で好ましく、0.90以上がより好まし
い。なお、製糸性など操業性における安定性からIVは
1.3以下が好ましい。
下、IV)は0.85以上とするのが強度、タフネスお
よび耐久性の点で好ましく、0.90以上がより好まし
い。なお、製糸性など操業性における安定性からIVは
1.3以下が好ましい。
【0023】本発明のポリエステル繊維のタフネス(強
度Tと伸度Eの平方根の積T・E1/ 2で定義される)は
28以上、さらには30以上が好ましい。かかる範囲と
することで十分な強度、耐久性が満足できるタイヤコー
ドが得られる。
度Tと伸度Eの平方根の積T・E1/ 2で定義される)は
28以上、さらには30以上が好ましい。かかる範囲と
することで十分な強度、耐久性が満足できるタイヤコー
ドが得られる。
【0024】本発明におけるポリエステルは、ポリエチ
レンテレフタレート(以下、PET)またはポリブチレ
ンテレフタレートを主体とするものが好ましく、PET
が更に好ましいものであるが、そのジカルボン酸成分の
一部をイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエ
タンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸、ドデカンジカルボン酸等の一種またはそれ以上で
置換したものでもよい。また、グリコール成分の一部を
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキ
サメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペ
ンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール等で置き換えてもよい。
レンテレフタレート(以下、PET)またはポリブチレ
ンテレフタレートを主体とするものが好ましく、PET
が更に好ましいものであるが、そのジカルボン酸成分の
一部をイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエ
タンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸、ドデカンジカルボン酸等の一種またはそれ以上で
置換したものでもよい。また、グリコール成分の一部を
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキ
サメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペ
ンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール等で置き換えてもよい。
【0025】更に、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カル
シウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カ
ーボンブラック等の顔料のほか、従来公知の着色防止
剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有しても差支えな
い。
シウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カ
ーボンブラック等の顔料のほか、従来公知の着色防止
剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有しても差支えな
い。
【0026】また、本発明のポリエステルには上記の改
質ポリエステル樹脂を2種類以上ブレンドしてもよく、
更にはポリアミド、ポリエステルアミド、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、各種ゴム、
ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリレートな
どの樹脂を少量ブレンドしたものでもよい。
質ポリエステル樹脂を2種類以上ブレンドしてもよく、
更にはポリアミド、ポリエステルアミド、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、各種ゴム、
ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリレートな
どの樹脂を少量ブレンドしたものでもよい。
【0027】本発明のゴム補強用ポリエステル繊維は、
以下のような方法によって得られる。 テレフタル酸ジ
メチルを出発原料とするDMT法においては、エステル
交換触媒としてマンガン化合物、重合触媒として主たる
金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物を用い
て重縮合反応を行なうのが好ましい。また、テレフタル
酸を出発原料とする直接重合法では、ビス(ヒドロキシ
エチル)テレフタレートに重合触媒として主たる金属元
素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物を用いて重縮
合反応を行なうのが好ましい。重縮合に際しては、仕込
み量、重合温度、重合時間を適宜選択し、極限粘度0.
65以上、COOH末端基量≦25eq/tonのPETチッ
プを得る。
以下のような方法によって得られる。 テレフタル酸ジ
メチルを出発原料とするDMT法においては、エステル
交換触媒としてマンガン化合物、重合触媒として主たる
金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物を用い
て重縮合反応を行なうのが好ましい。また、テレフタル
酸を出発原料とする直接重合法では、ビス(ヒドロキシ
エチル)テレフタレートに重合触媒として主たる金属元
素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物を用いて重縮
合反応を行なうのが好ましい。重縮合に際しては、仕込
み量、重合温度、重合時間を適宜選択し、極限粘度0.
65以上、COOH末端基量≦25eq/tonのPETチッ
プを得る。
【0028】かくして得られたチップを常法に従って固
相重合し、極限粘度1.1以上とした後、溶融紡糸し、
口金から吐出した糸条を加熱帯で徐冷した後、チムニー
風で冷却固化させ、引取る。なお、得られるポリエステ
ル繊維の寸法安定性の面から1000m/分以上で引取
るのが好ましく、2000m/分以上、3000m/分
以下で引取るのがより好ましい。
相重合し、極限粘度1.1以上とした後、溶融紡糸し、
口金から吐出した糸条を加熱帯で徐冷した後、チムニー
風で冷却固化させ、引取る。なお、得られるポリエステ
ル繊維の寸法安定性の面から1000m/分以上で引取
るのが好ましく、2000m/分以上、3000m/分
以下で引取るのがより好ましい。
【0029】この際、紡糸時の滞留時間、紡糸温度をコ
ントロールし、COOH末端基量が25eq/ton以下の糸
条を得る。
ントロールし、COOH末端基量が25eq/ton以下の糸
条を得る。
【0030】なお、低カルボキシル化剤等の添加剤は製
糸性の悪化、物性低下(強度低下)をもたらす場合があ
るので本発明においては使用しないことが好ましい。
糸性の悪化、物性低下(強度低下)をもたらす場合があ
るので本発明においては使用しないことが好ましい。
【0031】引き続き、または一旦巻き取った後に定法
に従い、延伸・熱処理を行ないポリエステル延伸糸、す
なわち、本発明のゴム補強用ポリエステル繊維を得るこ
とができる。
に従い、延伸・熱処理を行ないポリエステル延伸糸、す
なわち、本発明のゴム補強用ポリエステル繊維を得るこ
とができる。
【0032】かくして得た本発明のゴム補強用ポリエス
テル繊維をゴム補強に供するには、定法に従い10cm
あたり、30〜60回の撚り(下撚り)をかけた後、複
数本合糸し、反対方向に10cmあたり30〜60回の
撚り(上撚り)をかけ、コードとする。次いでこのコー
ドを定法に従い接着剤処理し、処理コードを得る。
テル繊維をゴム補強に供するには、定法に従い10cm
あたり、30〜60回の撚り(下撚り)をかけた後、複
数本合糸し、反対方向に10cmあたり30〜60回の
撚り(上撚り)をかけ、コードとする。次いでこのコー
ドを定法に従い接着剤処理し、処理コードを得る。
【0033】以上述べたように本発明のポリエステル繊
維はゴム補強用として適したものであり、ポリエステル
繊維の製造時においてろ圧上昇がなく、製糸性が良好で
あり、従来品に比べて高強度であり、かつ、寸法安定性
や耐久性に優れたゴム補強用ポリエステル繊維である。
維はゴム補強用として適したものであり、ポリエステル
繊維の製造時においてろ圧上昇がなく、製糸性が良好で
あり、従来品に比べて高強度であり、かつ、寸法安定性
や耐久性に優れたゴム補強用ポリエステル繊維である。
【0034】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例中の物性は次のとおり測定した。 (1)強伸度、中間伸度、タフネス (株)東洋ボールドウイン製テンシロン引張試験機を用
い、試長25cm、引取速度30cm/分でS−S曲線
を求め強伸度を算出した。また、同じS−S曲線から強
度4.0cN/dtexに対応する伸度を読みとり中間伸度
を求めた。タフネスは破断時の強度T(cN/dtex)と伸
度E(%)からT・E1/2により求めた。
る。なお、実施例中の物性は次のとおり測定した。 (1)強伸度、中間伸度、タフネス (株)東洋ボールドウイン製テンシロン引張試験機を用
い、試長25cm、引取速度30cm/分でS−S曲線
を求め強伸度を算出した。また、同じS−S曲線から強
度4.0cN/dtexに対応する伸度を読みとり中間伸度
を求めた。タフネスは破断時の強度T(cN/dtex)と伸
度E(%)からT・E1/2により求めた。
【0035】(2)乾熱収縮率 試料をかせ状にとり、20℃、65%RHの温調室に2
4時間以上放置したのち、試料の0.1g/dに相当す
る荷重をかけて測定された長さl0 の試料を無張力状態
で150℃のオーブン中に30分放置した後、オーブン
から取り出して前記温調室で4時間放置し、再び上記荷
重をかけて測定した長さl1から次式により算出した。 乾熱収縮率={(l0 −l1 )/l0 }×100
(%)。
4時間以上放置したのち、試料の0.1g/dに相当す
る荷重をかけて測定された長さl0 の試料を無張力状態
で150℃のオーブン中に30分放置した後、オーブン
から取り出して前記温調室で4時間放置し、再び上記荷
重をかけて測定した長さl1から次式により算出した。 乾熱収縮率={(l0 −l1 )/l0 }×100
(%)。
【0036】(3)ポリマ中および繊維中の金属量 蛍光X線法またはICP(誘導結合型プラズマ)発光分
析法により求めた。
析法により求めた。
【0037】なお、対象となるポリエステル繊維が二酸
化チタン粒子や酸化ケイ素粒子を含有している場合、本
発明の重合触媒残渣である主たる金属元素がチタンおよ
びケイ素からなる複合酸化物の含有量を確認するために
は、粒子の影響を除去するために、次の前処理をした上
で蛍光X線またはICP発光分析を行う。すなわち、ポ
リエステル繊維をオルソクロロフェノールに溶解し、必
要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘度を調整
した後、遠心分離機で粒子を沈降させる。その後、傾斜
法で上澄み液のみ回収し、アセトン添加によりポリマー
を再析出、ろ過、洗浄して粒子を除去したポリマーとす
る。以上の前処理を施して得られた粒子を除去したポリ
マーについて金属分析を行う。
化チタン粒子や酸化ケイ素粒子を含有している場合、本
発明の重合触媒残渣である主たる金属元素がチタンおよ
びケイ素からなる複合酸化物の含有量を確認するために
は、粒子の影響を除去するために、次の前処理をした上
で蛍光X線またはICP発光分析を行う。すなわち、ポ
リエステル繊維をオルソクロロフェノールに溶解し、必
要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘度を調整
した後、遠心分離機で粒子を沈降させる。その後、傾斜
法で上澄み液のみ回収し、アセトン添加によりポリマー
を再析出、ろ過、洗浄して粒子を除去したポリマーとす
る。以上の前処理を施して得られた粒子を除去したポリ
マーについて金属分析を行う。
【0038】(4)極限粘度(IV) 温度25℃においてオルソクロロフェノール(以下、O
CP)10mlに対し試料0.8gを溶解し、オストワ
ルド粘度計を用いて相対粘度(ηr)を下式により求
め、IVを算出する。 ηr=η/η0 =t×d/t0 ×d0 IV=0.0242ηr+0.2634 式中、η:ポリマ溶液の粘度、η0 :OCPの粘度、
t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm
3 )、t0:OCPの落下時間(秒)、d0:OCPの密
度(g/cm3 )。
CP)10mlに対し試料0.8gを溶解し、オストワ
ルド粘度計を用いて相対粘度(ηr)を下式により求
め、IVを算出する。 ηr=η/η0 =t×d/t0 ×d0 IV=0.0242ηr+0.2634 式中、η:ポリマ溶液の粘度、η0 :OCPの粘度、
t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm
3 )、t0:OCPの落下時間(秒)、d0:OCPの密
度(g/cm3 )。
【0039】(5)耐疲労性(GY寿命) ASTM−D885に準じ、チューブ内圧3.5kg/
cm2 、回転速度850rpm、チューブ角度を90°
としてチューブの破裂時間を求めた。従来のタイヤコー
ド(東レ(株)製1000−240−703M)に比べ
10〜30%向上した場合を◎、従来品並み〜10%向
上した場合を○、従来品より劣る場合を×として評価し
た。
cm2 、回転速度850rpm、チューブ角度を90°
としてチューブの破裂時間を求めた。従来のタイヤコー
ド(東レ(株)製1000−240−703M)に比べ
10〜30%向上した場合を◎、従来品並み〜10%向
上した場合を○、従来品より劣る場合を×として評価し
た。
【0040】(複合化合物Aの調整)Ti/Si=90
/10(モル比)の組成を有するチタンイソプロピレー
トとオルトケイ酸エチルの混合溶液10部に、2−メチ
ルペンタン−2,4−ジオールを10部とエタノール2
部を加え、60〜70℃で3時間撹拌したものに、2部
の水を含むエタノールをゆっくりと滴下、90〜100
℃に加熱して透明なゲルを得た。このゲルをさらに同温
度で15時間放置した後、ロータリーエバポレーターを
使用して130℃で減圧乾燥ゲルを得た。さらに、該乾
燥ゲル10部をエチレングリコール90部に添加し、T
i/Si=90/10(モル比)の組成を有するチタン
とケイ素からなる複合酸化物を含有するエチレングリコ
ールスラリーを調整した。
/10(モル比)の組成を有するチタンイソプロピレー
トとオルトケイ酸エチルの混合溶液10部に、2−メチ
ルペンタン−2,4−ジオールを10部とエタノール2
部を加え、60〜70℃で3時間撹拌したものに、2部
の水を含むエタノールをゆっくりと滴下、90〜100
℃に加熱して透明なゲルを得た。このゲルをさらに同温
度で15時間放置した後、ロータリーエバポレーターを
使用して130℃で減圧乾燥ゲルを得た。さらに、該乾
燥ゲル10部をエチレングリコール90部に添加し、T
i/Si=90/10(モル比)の組成を有するチタン
とケイ素からなる複合酸化物を含有するエチレングリコ
ールスラリーを調整した。
【0041】実施例1〜4 テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール6
0部に酢酸マンガン4水塩0.036部を添加し、常法
によりエステル交換反応を行なった。得られた生成物
に、リン酸をリン原子換算で得られるポリエステルに対
して20ppmとなるように添加した後、先に調整した
Ti/Siの複合化合物Aのエチレングリコールスラリ
ーを、最終的に得られるポリエステル中での複合化合物
のチタン原子含有量が15ppmとなるように添加し
た。その後、重合温度285℃にて重縮合反応を行なっ
た。 得られたポリマは、極限粘度0.72であった。
また、ICP発光分析から、チタン原子の含有量が15
ppm、ケイ素原子の含有量が0.97ppmであっ
た。このポリマを160℃で5時間予備乾燥後、225
℃で固相重合し、極限粘度1.27のPET固相重合チ
ップを得た。この固相重合後のチップをエクストルーダ
ー型紡糸機で紡糸した。紡糸は直径0.6mmφの吐出
孔の口金から吐出した紡出糸を長さ300mm、温度3
00℃の加熱筒で徐冷した後、18℃の冷風をあてて冷
却固化させ、表1に示す引取速度で引取った。このよう
にして得られた未延伸糸を延伸温度85℃、熱処理温度
240℃で倍率・リラックス率を変更して、表1に示す
1000デシテックス・240フィラメントの延伸糸を
得た。
0部に酢酸マンガン4水塩0.036部を添加し、常法
によりエステル交換反応を行なった。得られた生成物
に、リン酸をリン原子換算で得られるポリエステルに対
して20ppmとなるように添加した後、先に調整した
Ti/Siの複合化合物Aのエチレングリコールスラリ
ーを、最終的に得られるポリエステル中での複合化合物
のチタン原子含有量が15ppmとなるように添加し
た。その後、重合温度285℃にて重縮合反応を行なっ
た。 得られたポリマは、極限粘度0.72であった。
また、ICP発光分析から、チタン原子の含有量が15
ppm、ケイ素原子の含有量が0.97ppmであっ
た。このポリマを160℃で5時間予備乾燥後、225
℃で固相重合し、極限粘度1.27のPET固相重合チ
ップを得た。この固相重合後のチップをエクストルーダ
ー型紡糸機で紡糸した。紡糸は直径0.6mmφの吐出
孔の口金から吐出した紡出糸を長さ300mm、温度3
00℃の加熱筒で徐冷した後、18℃の冷風をあてて冷
却固化させ、表1に示す引取速度で引取った。このよう
にして得られた未延伸糸を延伸温度85℃、熱処理温度
240℃で倍率・リラックス率を変更して、表1に示す
1000デシテックス・240フィラメントの延伸糸を
得た。
【0042】紡糸時のろ圧上昇はほとんど認められず、
また、延伸時の糸切れもほとんどなく製糸性は良好であ
った。こうして製造したポリエステル繊維のIVは1.
01〜1.03であった。
また、延伸時の糸切れもほとんどなく製糸性は良好であ
った。こうして製造したポリエステル繊維のIVは1.
01〜1.03であった。
【0043】この延伸糸に下撚りをS方向に49T/1
0cm、上撚りをZ方向に49T/10cmかけコード
とした。次にこのコードをリッラー社製コンピュートリ
ータを用いて接着剤処理し、処理コードを作成した。表
1に原糸および処理コードの物性を示す。
0cm、上撚りをZ方向に49T/10cmかけコード
とした。次にこのコードをリッラー社製コンピュートリ
ータを用いて接着剤処理し、処理コードを作成した。表
1に原糸および処理コードの物性を示す。
【0044】
【表1】 表1から明らかなとおり、本発明の範囲を満たす実施例
1〜4は高強度、高タフネス(T・E1/2 28以上)で
ある。また、寸法安定性および耐疲労性が良好である。
1〜4は高強度、高タフネス(T・E1/2 28以上)で
ある。また、寸法安定性および耐疲労性が良好である。
【0045】実施例5 固相重合後のチップのIVを変更し、実施例3と同様に
して紡糸し、IVの異なる糸を得た。表1に原糸および
処理コードの物性を併せて示す。本発明の範囲内である
実施例6は強度、タフネス、寸法安定性および耐疲労性
が良好である。
して紡糸し、IVの異なる糸を得た。表1に原糸および
処理コードの物性を併せて示す。本発明の範囲内である
実施例6は強度、タフネス、寸法安定性および耐疲労性
が良好である。
【0046】実施例6〜9および比較例1〜3 重合触媒として使用する複合酸化物の量、金属のモル比
率(Ti/Si)を変更した以外は実施例3と同様にし
て紡糸し、得られた未延伸糸は実施例3と同様に延伸
し、処理コードを作成した。表2に原糸および処理コー
ドの物性を示す。
率(Ti/Si)を変更した以外は実施例3と同様にし
て紡糸し、得られた未延伸糸は実施例3と同様に延伸
し、処理コードを作成した。表2に原糸および処理コー
ドの物性を示す。
【0047】
【表2】 表2から明らかなように、本発明の範囲を満たす実施例
6〜9は強度、タフネスが高く(T・E1/230以
上)、寸法安定性が良好である。一方、本発明外のもの
は、紡糸時のろ圧上昇、糸切れの多発やIV低下が大き
く、また、強度、タフネスおよび耐疲労性が劣る。
6〜9は強度、タフネスが高く(T・E1/230以
上)、寸法安定性が良好である。一方、本発明外のもの
は、紡糸時のろ圧上昇、糸切れの多発やIV低下が大き
く、また、強度、タフネスおよび耐疲労性が劣る。
【0048】
【発明の効果】本発明のポリエステル繊維は従来の問題
を解消し、ろ圧上昇、糸切れなどの問題が解消され、高
強度であり、かつ、寸法安定性、耐久性に優れているの
でゴム補強用として好適である。
を解消し、ろ圧上昇、糸切れなどの問題が解消され、高
強度であり、かつ、寸法安定性、耐久性に優れているの
でゴム補強用として好適である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB31 BB33 BB52 BB56 BB89 BB91 CC02 CC07 EE01 EE08 EE20 FF01 GG02 GG05 HH10 JJ05
Claims (5)
- 【請求項1】主たる金属元素が、チタンおよびケイ素か
らなる複合酸化物の残渣を含有したポリエステル繊維で
あって、チタン原子換算で0.5〜300ppm含有し
たポリエステルからなり、寸法安定性(中間伸度+乾熱
収縮率)が8〜12%であることを特徴とするゴム補強
用ポリエステル繊維。 - 【請求項2】リン化合物の残渣がリン原子換算で0.5
〜400ppm含有したポリエステルからなることを特
徴とする請求項1記載のゴム補強用ポリエステル繊維。 - 【請求項3】複合酸化物とリン化合物の比率が、複合酸
化物のチタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P
=0.1〜20であるポリエステルからなることを特徴
とする請求項1または2記載のゴム補強用ポリエステル
繊維。 - 【請求項4】極限粘度が0.85以上であることを特徴
とする請求項1〜3のいずれか記載のゴム補強用ポリエ
ステル繊維。 - 【請求項5】強度T(cN/dtex)と伸度E(%)の平
方根の積で定義されるタフネスT・E1/2が28以上で
あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のゴ
ム補強用ポリエステル繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000157822A JP2001336026A (ja) | 2000-05-29 | 2000-05-29 | ゴム補強用ポリエステル繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000157822A JP2001336026A (ja) | 2000-05-29 | 2000-05-29 | ゴム補強用ポリエステル繊維 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001336026A true JP2001336026A (ja) | 2001-12-07 |
Family
ID=18662388
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000157822A Pending JP2001336026A (ja) | 2000-05-29 | 2000-05-29 | ゴム補強用ポリエステル繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001336026A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006207054A (ja) * | 2005-01-26 | 2006-08-10 | Toray Ind Inc | 高強度ポリエステル繊維 |
CN109722718A (zh) * | 2017-10-27 | 2019-05-07 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种高强度工业丝的制造方法 |
CN110967359A (zh) * | 2019-10-31 | 2020-04-07 | 江苏天瑞仪器股份有限公司 | 一种基于荧光光谱法测量聚酯纤维中待测物含量的方法 |
-
2000
- 2000-05-29 JP JP2000157822A patent/JP2001336026A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006207054A (ja) * | 2005-01-26 | 2006-08-10 | Toray Ind Inc | 高強度ポリエステル繊維 |
CN109722718A (zh) * | 2017-10-27 | 2019-05-07 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种高强度工业丝的制造方法 |
CN110967359A (zh) * | 2019-10-31 | 2020-04-07 | 江苏天瑞仪器股份有限公司 | 一种基于荧光光谱法测量聚酯纤维中待测物含量的方法 |
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