JP2001336027A - ゴム補強用ポリエステル繊維 - Google Patents

ゴム補強用ポリエステル繊維

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JP2001336027A
JP2001336027A JP2000157826A JP2000157826A JP2001336027A JP 2001336027 A JP2001336027 A JP 2001336027A JP 2000157826 A JP2000157826 A JP 2000157826A JP 2000157826 A JP2000157826 A JP 2000157826A JP 2001336027 A JP2001336027 A JP 2001336027A
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polyester
rubber
titanium
composite oxide
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JP2000157826A
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Minoru Uchida
実 内田
Masatoshi Aoyama
雅俊 青山
Misa Ozaki
美沙 尾崎
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】寸法安定性、ゴム中での耐熱性に優れるため、
レーヨン代替可能なゴム補強用ポリエステル繊維の提
供。 【解決手段】主たる金属元素が、チタンおよびケイ素か
らなる複合酸化物の残渣を含有したポリエステル繊維で
あって、チタン原子換算で0.5〜300ppm含有し
たポリエステルからなり、寸法安定性(中間伸度+乾熱
収縮率)が8%未満であることを特徴とするゴム補強用
ポリエステル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム補強用ポリエ
ステル繊維に関するものである。更に詳しくは、ポリエ
ステルの製造時において、重合時 に使用した触媒起因
の異物によるろ圧上昇がなく、製糸性が良好であり、か
つ、従来品に比べて寸法安定性およびゴム中耐熱性に優
れ、レーヨン代替が可能なゴム補強用ポリエステル繊維
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は機械的性質・寸法安
定性・耐久性に優れるため衣料用だけでなく、タイヤ、
ベルト、ホース等のゴム製品の補強用材料として産業用
途にも幅広く用いられている。特にタイヤコードなどの
ゴム補強用途ではその優れた性能を生かし多量に利用さ
れている。従来、タイヤコード用途では低配向の未延伸
糸を高倍率延伸した高強度の原糸が使用されていたが、
かかる高強度糸では乾熱収縮率が高く、タイヤコードと
してゴム中に埋め込んでタイヤを成形するとコードの収
縮のためタイヤの均一性が悪化するという問題があっ
た。かかる問題の解決のため、比較的高配向の未延伸糸
(いわゆるPOY)を延伸して高強度糸とすることによ
り、タイヤコードとしての寸法安定性を向上させること
が提案され、これが近年のタイヤコード技術の主流とな
っている。このような高配向紡糸と延伸の技術によって
収縮の低減化は図れるものの、依然としてそのレベルは
レーヨンコードに比べ高収縮であるため、さらなる収縮
率の低減化が望まれている。
【0003】タイヤの性能をより向上させるため、低収
縮化を図る技術として従来から種々の提案がなされてい
る。例えば特開昭63−165547号公報に記載され
ているように紡糸速度5000m/分以上として未延伸
糸のΔnを80×10-3以上、密度1.375g/cm
3 以上に配向結晶化を進めさせる方法が開示されてい
る。また、特開昭61−132616号公報、特開昭6
1−252332号公報、特開昭62−69819号公
報にも同様な思想による低収縮タイヤコードが提案され
ている。
【0004】しかしながら、前記した従来の技術による
方法では、寸法安定性(中間伸度+乾熱収縮率が低い)
の良好なタイヤコードが得られるものの、いずれも強度
が実用レベルに未達であったり、ゴム中の耐熱性が著し
く低下するためタイヤコードとして使用してもタイヤの
寿命が短く、耐久性に問題があった。また、ゴム中の耐
熱性に問題があるためビスオキサゾリン化合物やエポキ
シ化合物、カルボジイミド化合物等のような低カルボキ
シ化剤を添加し、ポリエステル中に含まれる末端カルボ
キシル基量の低減化を図ることによって上記の欠点を補
っているものの、かかる低カルボキシ化剤の使用は製糸
性の悪化、毛羽の増加など操業上の問題があったり、強
度低下、耐疲労性の低下、コストアップ等を伴い、使用
においては多くの問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上記従
来の問題を解消し、寸法安定性およびゴム中の耐熱性に
優れ、レーヨン代替が可能なゴム補強用ポリエステル繊
維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明のゴム補強用ポリエステル繊維は、主として次の
構成を有する。すなわち、主たる金属元素が、チタンお
よびケイ素からなる複合酸化物の残渣を含有したポリエ
ステル繊維であって、チタン原子換算で0.5〜300
ppm含有したポリエステルからなり、寸法安定性(中
間伸度+乾熱収縮率)が8%未満であることを特徴とす
るゴム補強用ポリエステル繊維である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明者らは寸法安定性およびゴム中耐熱性に優れ、レ
ーヨン代替可能なポリエステル繊維を実現するための要
因について鋭意検討を行なった結果、寸法安定性は特に
紡糸時の配向結晶化挙動をコントロールすることが重要
であり、そのためには微細な粒子を存在させることが有
効であること、一方、ゴム中耐熱性を向上させるために
はポリエステル中に含まれる末端カルボキシル基を単純
に少なくするだけでは不十分であり、ポリマー中の触媒
に起因する粒子を制御し、ポリマ中に微細な粒子を存在
させることによって、ポリエステル繊維中の微細構造の
乱れを少なくすることが加水分解による劣化の促進を阻
止、抑制にとって有効であることがわかった。かかる微
細な粒子を存在させると同時に、制御するに有効な手法
について検討した結果、主たる金属元素が、チタンおよ
びケイ素からなる複合酸化物を特定量用いることが紡糸
時の配向特性をコントロールする上で有効である必要で
あることを見出し、本発明に到達したものである。
【0008】本発明のポリエステル繊維は、主たる金属
元素がチタンおよびケイ素からなる複合酸化物の残渣を
含有する。すなわちこの残渣は重合触媒として添加した
主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物
の残渣として存在するものである。ここで複合酸化物と
は、酸素とともに酸化物を形成する主たる元素が2種類
以上である化合物のことであり、本発明では酸素原子に
対してチタン及びケイ素の2種類の元素があり、酸素を
含めたこの3種の元素が一つの化合物を形成していると
いうことである。従って、酸化チタンと酸化ケイ素のよ
うに、酸素と他の単一の元素との酸化物を単に2種類以
上混合したものは本発明の複合酸化物には該当しない。
【0009】この主たる金属元素がチタンとケイ素から
なる複合酸化物のTiとSiの比率は特に限定されない
が、両者の金属のモル比率(Ti/Si)が20/80
以上であると、重縮合触媒としての活性が高く、少量で
重合可能となるだけでなく、微細な粒子の生成を制御す
るため好ましい。より好ましくは、Ti/Si=98/
2〜50/50である。
【0010】また、主たる金属元素がチタンとケイ素か
らなる複合酸化物は、チタン原子換算でポリエステルに
対して0.5〜300ppm含有されていることが必要
である。より好ましくは2〜200ppm、さらに好ま
しくは3〜100ppm、特に好ましくは3〜50pp
mである。
【0011】チタン量が0.5ppm未満では重合反応
性が不十分であるため、実用的な極限粘度とカルボキシ
ル末端基量を有するポリマーを良好な生産性で得ること
ができないだけでなく、紡糸時の配向結晶化挙動に影響
する微細な粒子の生成がほとんどなくなるため、寸法安
定性が低下する。一方、チタン量が300ppmより多
く存在していると、チタンとケイ素からなる複合酸化物
による粗大粒子が生成するため、繊維の強度、タフネス
が低下するだけでなく、ゴム中耐熱性が不良となる。
【0012】なお、主たる金属元素がチタン及びケイ素
からなる複合酸化物は、特に限定されないが、例えば、
それぞれの金属元素を有するアルコキシド化合物を原料
として共沈法、部分加水分解法あるいは配位化学ゾル・
ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法
とは2種あるいはそれ以上の成分を含有するの所定の組
成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行
させることによって目的の複合酸化物を得る方法であ
る。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじ
め加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分
を加えさらに加水分解を進行させる方法である。一方、
配位化学ゾル・ゲル法とは、金属アルコキシドなどの原
料とともに分子内に官能基を複数持つ有機多座配位子を
共存させ、両者の間で錯体を形成させることによって、
その後の加水分解反応の速度を制御し複合酸化物を得よ
うとするものである。以上のような複合酸化物の合成方
法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触
媒調製」、アイピーシー(1993)等に記載されてい
る。
【0013】上記した複合酸化物の製造に用いるチタン
化合物としては、例えば、チタンイソプロピレート、チ
タンエチレートまたはチタン−tert−ブチレートな
どが挙げられる。ケイ素化合物としては、例えばオルト
ケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル等が挙げられる。
【0014】また、配位化学ゾル・ゲル法の場合に用い
る有機多座配位子としては、例えば、エチレングリコー
ル、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、2,4−ペンタジオールなどが挙げられる。また、
反応を行う溶媒としては、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられ
る。
【0015】本発明のポリエステルは、複合酸化物と併
用させてリンを特定量含有するとポリエステルの熱安定
性が良好となり、ポリエステルの製糸時のIV低下が小
さくなるだけだなく、製糸性が良好となるので好まし
い。ポリエステルに対してリン原子換算で0.5〜40
0ppm含有されているのが好ましい。
【0016】なお、製糸時における熱安定性からリン含
有量は、2〜200ppmが好ましく、さらに好ましく
は3〜100ppmである。
【0017】また、複合酸化物のチタン原子に対してリ
ン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20の比率
であるとポリエステルの熱安定性が良好となり好まし
い。より好ましくはTi/P=0.2〜10、さらに好
ましくはTi/P=0.3〜5である。
【0018】なお、本発明のポリエステルに含有される
リンは、ポリエステルの製造過程で添加したリン化合物
の残渣である。このようなリン化合物としては特に限定
されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸及
びこれらの低級アルキルエステルやフェニルエステルが
挙げられるが特に限定はない。具体的には、例えば、リ
ン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ト
リフェニル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、メチルホ
スホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、
メチルホスホン酸メチルエステル、フェニルホスホン酸
エチルエステル、ベンジルホスホン酸フェニルエステ
ル、ホスホノ酢酸エチルエステル等が挙げられる。
【0019】本発明のポリエステル繊維の寸法安定性
(中間伸度+乾熱収縮率)は8%未満、好ましくは7.
5%とするものである。寸法安定性を8%未満とするこ
とによって、タイヤ成形時のコードの寸法安定性が良好
となり、タイヤの均一性が大幅に向上することからレー
ヨン代替が可能となる。
【0020】また、本発明のポリエステル繊維のカルボ
キシル基末端量(以下、COOH基末端量)は25eq/t
on以下とするのがゴム中耐熱性の点で好ましく、また、
ジエチレングリコール量(以下、DEG量)は1.3w
t%以下とするのがゴム中耐熱性や寸法安定性の点で好
ましい。
【0021】本発明のポリエステル繊維の極限粘度(以
下、IV)は0.85以上とするのが強度、タフネスお
よび耐久性の点で好ましく、0.90以上がより好まし
い。なお、製糸性など操業性における安定性からIVは
1.3以下が好ましい。
【0022】本発明におけるポリエステルは、ポリエチ
レンテレフタレート(以下、PET)またはポリブチレ
ンテレフタレートを主体とするものが好ましく、PET
が更に好ましいものであるが、そのジカルボン酸成分の
一部をイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエ
タンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸、ドデカンジカルボン酸等の一種またはそれ以上で
置換したものでもよい。また、グリコール成分の一部を
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキ
サメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペ
ンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール等で置き換えてもよい。
【0023】更に、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カル
シウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カ
ーボンブラック等の顔料のほか、従来公知の着色防止
剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有しても差支えな
い。
【0024】また、本発明のポリエステルには上記の改
質ポリエステル樹脂を2種類以上ブレンドしてもよく、
更にはポリアミド、ポリエステルアミド、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、各種ゴム、
ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリレートな
どの樹脂を少量ブレンドしたものでもよい。
【0025】本発明のゴム補強用ポリエステル繊維は、
以下のような方法によって得られる。テレフタル酸ジメ
チルを出発原料とするDMT法においては、エステル交
換触媒としてマンガン化合物、重合触媒として主たる金
属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物を用いて
重縮合反応を行なうのが好ましい。また、テレフタル酸
を出発原料とする直接重合法では、ビス(ヒドロキシエ
チル)テレフタレートに重合触媒として主たる金属元素
がチタン及びケイ素からなる複合酸化物を用いて重縮合
反応を行なうのが好ましい。重縮合に際しては、仕込み
量、重合温度、重合時間を適宜選択し、極限粘度0.6
5以上、COOH基末端量≦25eq/ton、DEG量≦
1.3wt%のPETチップを得る。
【0026】かくして得られたチップを常法に従って固
相重合し、極限粘度0.95以上とした後、溶融紡糸
し、口金から吐出した糸条を加熱帯で徐冷した後、チム
ニー風で冷却固化させ、引取速度3500m/分以上、
好ましくは4000m/分以上で引取る。この際、紡糸
時の滞留時間、紡糸温度をコントロールし、COOH基
末端量25eq/ton以下の糸条を得る。なお、本発明にお
いて低カルボキシル化剤等の添加剤は製糸性の悪化、強
度低下をもたらすので使用しないことが好ましい。
【0027】引き続き、または一旦巻き取った後に常法
に従い、延伸・熱処理を行ないポリエステル延伸糸、す
なわち本発明のゴム補強用ポリエステル繊維を得ること
ができる。
【0028】かくして得た本発明のゴム補強用ポリエス
テル繊維をゴム補強に供するには、常法に従い10cm
あたり、30〜60回の撚り(下撚り)をかけた後、複
数本合糸し、反対方向に10cmあたり30〜60回の
撚り(上撚り)をかけ、コードとする。次いでこのコー
ドを常法に従い接着剤処理し、処理コードを得る。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。実施例中の物性は次のとおり測定した。 (1)強伸度、中間伸度 東洋ボールドウイン社製テンシロン引張試験機を用い、
試長25cm、引取速度30cm/分でS−S曲線を求
め強伸度を算出した。また、同じS−S曲線から強度
4.5cN/dtexに対応する伸度を読みとり中間伸度を求
めた。
【0030】(2)乾熱収縮率 試料をかせ状にとり、20℃、65%RHの温調室に2
4時間以上放置したのち、試料の0.1g/dに相当す
る荷重をかけて測定された長さl0 の試料を無張力状態
で150℃のオーブン中に30分放置した後、オーブン
から取り出して前記温調室で4時間放置し、再び上記荷
重をかけて測定した長さl1 から次式により算出した。 乾熱収縮率=〔(l0 −l1 )/l0 〕×100
(%)。
【0031】(3)ポリマ中および繊維中の金属量 蛍光X線法またはICP(誘導結合型プラズマ)発光分
析法により求めた。なお、対象となるポリエステル繊維
が二酸化チタン粒子や酸化ケイ素粒子を含有している場
合、本発明の重合触媒残渣である主たる金属元素がチタ
ンおよびケイ素からなる複合酸化物の含有量を確認する
ためには、粒子の影響を除去するために、次の前処理を
した上で蛍光X線またはICP発光分析を行う。すなわ
ち、ポリエステル繊維をオルソクロロフェノールに溶解
し、必要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘度
を調整した後、遠心分離機で粒子を沈降させる。その
後、傾斜法で上澄み液のみ回収し、アセトン添加により
ポリマーを再析出、ろ過、洗浄して粒子を除去したポリ
マーとする。以上の前処理を施して得られた粒子を除去
したポリマーについて金属分析を行う。
【0032】(4)極限粘度(IV) 温度25℃においてオルソクロロフェノール(以下、O
CP)10mlに対し試料0.8gを溶解し、オストワ
ルド粘度計を用いて相対粘度(ηr)を下式により求
め、IVを算出する。 ηr=η/η0 =t×d/t0 ×d0 IV=0.0242ηr+0.2634 式中、η:ポリマ溶液の粘度、η0 :OCPの粘度、
t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm
3 )、t0:OCPの落下時間(秒)、d0:OCPの密
度(g/cm3 )。
【0033】(5)COOH末端基量 試料0.5gをo−クレゾール10mlに溶解し、完全
溶解後冷却してからクロロホルム3mlを加え、NaO
Hのメタノール溶液にて電位差滴定を行ない求めた。
【0034】(6)DEG量 試料をアルカリ分解した後、ガスクロマトグラフィを用
いて定量した。
【0035】(7)ゴム中耐熱性 コードをゴム中に埋め込み、150℃、6時間加硫後の
強力保持率で評価した。強力保持率60%以上を◎、5
0%以上60%未満を○、50%未満を×とした。
【0036】(8)タイヤ均一性 タイヤ製造においてポストキュアインフレーション(P
CI)工程を省略してタイヤ製造を行ない、タイヤ表面
温度が45℃以下になった時点でタイヤ円周方向に8か
所(45度間隔)のタイヤ直径を測定し、測定値の最小
値を測定値の最大値で除して100を乗じた値が90以
上を◎、80以上90%未満を○、80未満を×とし
た。
【0037】(複合化合物Aの調整)Ti/Si=90
/10(モル比)の組成を有するチタンイソプロピレー
トとオルトケイ酸エチルの混合溶液10部に、2−メチ
ルペンタン−2,4−ジオールを10部とエタノール2
部を加え、60〜70℃で3時間撹拌したものに、2部
の水を含むエタノールをゆっくりと滴下、90〜100
℃に加熱して透明なゲルを得た。このゲルをさらに同温
度で15時間放置した後、ロータリーエバポレーターを
使用して130℃で減圧乾燥ゲルを得た。さらに、該乾
燥ゲル10部をエチレングリコール90部に添加し、T
i/Si=90/10(モル比)の組成を有するチタン
とケイ素からなる複合酸化物を含有するエチレングリコ
ールスラリーを調整した。
【0038】(実施例1〜4)テレフタル酸ジメチル1
00部とエチレングリコール60部に酢酸マンガン4水
塩0.032部を添加し、常法によりエステル交換反応
を行なった。得られた生成物にリン酸をリン原子換算で
得られるポリエステルに対して30ppmとなるように
添加した後、先に調整したチタンとケイ素からなる複合
酸化物Aのエチレングリコールスラリーを、最終的に得
られるポリエステル中での複合酸化物の含有量が15p
pmになるように添加した。その後、重合温度285℃
にて重縮合反応を行なった。 得られたポリマは、極限
粘度0.71、COOH末端基量20.3eq/tonであっ
た。また、ICP発光分析から、チタン原子の含有量が
15ppm、ケイ素原子の含有量が0.97ppmであ
った。このチップを160℃で5時間予備乾燥後、22
5℃で固相重合し、極限粘度1.30のPET固相重合
チップを得た。この固相重合後のチップをエクストルー
ダー型紡糸機で紡糸した。紡糸は直径0.6mmφの吐
出孔の口金から吐出した紡出糸を長さ300mm、温度
300℃の加熱筒で徐冷した後、18℃の冷風をあてて
冷却固化させ、表1に示す引取速度で引取った。このよ
うにして得られた未延伸糸を延伸温度85℃、熱処理温
度240℃で倍率・リラックス率を変更して、表1に示
す1000デシテックス・240フィラメントの延伸糸
を得た。こうして製造したポリエステル繊維のIVは
0.93〜1.08、COOH末端基量は17.8〜1
9.5eq/tonであった。
【0039】この延伸糸に下撚りをS方向に49T/1
0cm、上撚りをZ方向に49T/10cmかけコード
とした。次にこのコードをリッラー社製コンピュートリ
ータを用いて接着剤処理し、処理コードを作成した。表
1に原糸および処理コードの物性を示す。
【0040】(実施例5)実施例1と同様にして固相重
合後のチップを紡糸温度、滞留時間を変えて紡糸し、C
OOH量の異なる糸を得た。表1に原糸および処理コー
ドの物性を示す。本発明の範囲を満たす実施例5はゴム
中耐熱性が良好である。
【0041】(実施例6)ポリマを製造する際にDEG
を添加し、DEG量を変更したチップを用いて実施例1
と同様の方法で紡糸、延伸した。本発明の範囲を満たす
実施例6はゴム中耐熱性が良好である。
【0042】
【表1】 (実施例7〜10および比較例1〜3)重合触媒として
使用する複合酸化物の量、金属のモル比率(Ti/S
i)を変更した以外は実施例1と同様にして紡糸し、得
られた未延伸糸は実施例1と同様に延伸し、処理コード
を作成した。表2から明らかなように、本発明の範囲を
満たす実施例7〜10は寸法安定性およびゴム中耐熱性
が優れている。しかしながら、本発明以外の比較例1は
寸法安定性およびゴム中耐熱性が不良である。
【0043】複合酸化物量が300ppmを越える比較
例1は強度が低く、ゴム中耐熱性が不良であった。ま
た、重縮合触媒として三酸化アンチモンを用いた比較例
2、および、テトラブトキシチタンを用いた比較例3
は、比較例1と同様に、強度が低く、寸法安定性および
ゴム中耐熱性が不良であった。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明のポリエステル繊維は、従来にな
い良好な寸法安定性とゴム中耐熱性を有するものである
のでレーヨン代替が可能なゴム補強用ポリエステル繊
維、特にタイヤコード用として好適である。なお、一般
に寸法安定性を良好とするためにポリエステルを高速紡
糸すると繊維の微細構造(特に非晶構造)が乱れるの
で、本発明のポリエステル繊維は高速紡糸に特に適して
いる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC00W CF03X CF04X CF06X CF08X FA04X GN01 4L035 BB31 BB33 BB34 BB52 BB56 BB89 BB91 CC02 CC07 EE01 EE20 FF01 GG02 GG05 HH10 JJ05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主たる金属元素が、チタンおよびケイ素か
    らなる複合酸化物の残渣を含有したポリエステル繊維で
    あって、チタン原子換算で0.5〜300ppm含有し
    たポリエステルからなり、寸法安定性(中間伸度+乾熱
    収縮率)が8%未満であることを特徴とするゴム補強用
    ポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】リン化合物の残渣が、リン原子換算で0.
    5〜400ppm含有したポリエステルからなることを
    特徴とする請求項1記載のゴム補強用ポリエステル繊
    維。
  3. 【請求項3】複合酸化物とリン化合物の比率が、複合酸
    化物のチタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P
    =0.1〜20であるポリエステルからなることを特徴
    とする請求項1または2記載のゴム補強用ポリエステル
    繊維。
  4. 【請求項4】極限粘度が0.85以上であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか記載のゴム補強用ポリエ
    ステル繊維。
  5. 【請求項5】カルボキシル末端基量が25eq/ton以下で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    ゴム補強用ポリエステル繊維。
  6. 【請求項6】ジエチレングリコール含有量が1.3wt
    %以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    記載のゴム補強用ポリエステル繊維。
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