JP4683986B2 - 耐湿熱性ポリエステル繊維 - Google Patents

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本発明は、医薬・医療、介護、食品などの分野で要求される湿熱滅菌処理を繰り返し行っても、高い強度とソフトな風合を維持することができる耐湿熱性ポリエステル繊維に関するものである。
従来は、手術衣、白衣、シーツなどの湿熱滅菌処理が必要な用途に使用される繊維として、綿糸(100%使用)もしくは綿糸とポリエステル繊維を混用した繊維が多く使用されていた。しかしながら、綿糸を使用した繊維は、素材からの発塵が生じるという問題点があり、現在はポリエステル繊維のみを用いることが主流となっている。
一方、ポリエステル繊維は過酷な湿熱滅菌処理に対し著しく強度が低下するという問題点がある。これは、主としてポリエステルの分子の構造上、エステル結合部が湿熱環境下において分解しやすいためである。
そこで、特許文献1に示すように、カルボジイミド化合物を添加剤として用い、カルボキシル末端基濃度を低下させたポリエステル繊維が提案されている。
しかしながら、特許文献1記載のポリエステル繊維は、耐加水分解性は向上するものの、添加するカルボジイミド化合物によって繊維に着色が生じたり、紡糸時に悪臭が発生するという問題があった。
また、ポリエステルの重合触媒として、アンチモン化合物を用いることは広く行われており、例えば、特許文献2には、アンチモン化合物とゲルマニウム化合物を重合触媒として用い、カルボキシル末端基量が25eq/t以下であるゴム補強用ポリエステル繊維が記載されている。
この特許文献2によると、重合触媒として使用するアンチモン化合物から還元により生成する金属アンチモンが強度やタフネスに悪影響を与えることを見出し、重合触媒としてアンチモン化合物とゲルマニウム化合物を併用することで、カルボキシル末端基量等の他のポリマー特性を阻害することなく、強度、タフネスに優れたポリエステル繊維を得ることができたものである。しかしながら、このポリエステル繊維は、ゴム補強用に使用されるものであるため、繊維の着色は考慮されておらず、衣料用に使用するには色調を改良することが必要であった。
特開平6-294011号公報 特開平3-161509号公報
本発明は、重合触媒としてアンチモン化合物を用いても、繊維に着色や毛羽が生じることなく、カルボキシル末端基濃度が低く、湿熱処理を繰り返しても強度の低下が少なく、ソフトな風合と良好な色調を維持することができる耐湿熱性ポリエステル繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、ポリエステルの重縮合触媒として用いられるアンチモン化合物とコバルト化合物、リン化合物を併用し、これらの含有量を適正化することによって、紡糸でのポリエステルのカルボキシル末端濃度の増加を抑制することができ、かつ繊維の着色を防止することができ、さらには紡糸安定性にも優れるため、毛羽や糸切れが発生せず、高品位のポリエステル繊維が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、エチレンテレフタレート繰り返し単位が85モル%以上のポリエチレンテレフタレートからなる繊維であって、繊維中のアンチモン化合物、コバルト化合物及びリン化合物が下記式(1)〜(5)を同時に満足する量含有されており、かつカルボキシル末端基濃度が25eq/t以下であることを特徴とする耐湿熱性ポリエステル繊維。
(1)0.5×10-4≦〔Sb〕≦3.0×10-4
(2)0.1×10-4≦〔Co〕≦0.6×10-4
(3)0.1×10-4≦〔P〕≦20.0×10-4
(4)〔P〕/〔Sb〕≧0.2
(5)〔P〕/〔Co〕≧1.0
なお、〔Sb〕はアンチモン化合物の含有量、〔Co〕はコバルト化合物の含有量、〔P〕はリン化合物の含有量を表し、単位は「モル/酸成分モル」である。
本発明のポリエステル繊維は、繊維中のアンチモン化合物、コバルト化合物、リン化合物の含有量を適切な量としているため、アンチモン化合物を用いても繊維に着色や毛羽が生じることがなく、カルボキシル末端基濃度が低く、湿熱処理前後の強度が高く、かつ色調に優れた耐湿熱性繊維とすることができる。このため、湿熱処理を繰り返しても強度の低下が少なく、ソフトな風合と良好な色調を維持することができ、医薬・医療、介護、食品などの分野で要求される湿熱熱滅菌処理を繰り返す衣料用途にも好適に用いることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の耐湿熱性ポリエステル繊維は、エチレンテレフタレート繰り返し単位が85モル%以上のポリエチレンテレフタレート(以下、PETとする)からなる繊維である。
エチレンテレフタレート繰り返し単位が85モル%以上のPETであれば、本発明の目的を損なわない範囲で第三成分が共重合されていてもよく、共重合成分としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸成分、およびトリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコール等の脂肪族グリコールが挙げられる。これらの成分は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステル繊維は、繊維中にアンチモン化合物、コバルト化合物及びリン化合物を含有するものである。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、塩化アンチモン、酢酸アンチモン等が挙げられ、コバルト化合物としては、酢酸コバルト、塩化コバルト、安息香酸コバルト等が挙げられる。中でも重縮合触媒活性、得られるポリエステル繊維の物性及びコストの点から、三酸化アンチモンと酢酸コバルトを用いることが好ましい。
アンチモン化合物の特徴としては十分な重縮合活性を示すが、ポリエステルの色調を悪化させるという欠点がある。アンチモン化合物によるポリエステルの色調の悪化を防ぐものとして、コバルト化合物を用いる。アンチモン化合物とともにコバルト化合物を併用し、アンチモン化合物の添加量は十分な重縮合反応速度が発揮される範囲で少なくし、コバルト化合物を色調改良効果が発現する量とすることにより、重縮合触媒活性が増強されるとともに、ポリエステルの色調が良好となる。
しかしながら、コバルト化合物には、重縮合反応後期で熱分解を促進する作用もあるので、多量に添加すると耐湿熱特性が低下した繊維となる。そこで、ポリエステル繊維中のアンチモン化合物及びコバルト化合物の含有量をそれぞれ(1)式、(2)式を満足するものとする。
繊維中のアンチモン化合物の含有量は(1)式で定める範囲のうち、中でも、0.8×10-4≦〔Sb〕≦2.5×10-4とすることが好ましい。(1)式で定める値より少ない場合は、十分な重縮合活性を示さず、重縮合反応時間が長くなるため熱分解反応が進行し、カルボキシル末端基濃度が高くなり、耐湿熱性が劣るものとなる。
一方、繊維中のアンチモン化合物の含有量が(1)式で定める値より多い場合は、ポリエステルの色調を悪化させ、色調に劣った繊維となるため、衣料用途に使用することが困難となる。さらに、熱分解反応も促進されるため、カルボキシル末端基濃度が高くなり、耐湿熱性が劣るものとなる。
繊維中のコバルト化合物の含有量は(2)式で定める範囲のうち、中でも、0.15×10-4≦〔Sb〕≦0.5×10-4とすることが好ましい。繊維中のコバルト化合物の含有量が(2)式で定める値より少ない場合は、十分な色調改良効果が奏されず、色調に劣ったポリエステル繊維となるため、衣料用途に使用することが困難となる。一方、繊維中のコバルト化合物の含有量が(2)式で定める値より多い場合は、耐湿熱特性が低下した繊維となる。
本発明のポリエステル繊維は、アンチモン化合物とコバルト化合物に加えて、リン化合物も含有していることが重要である。繊維中のリン化合物の含有量は(3)式を満足する量とすることが必要であり、中でも0.5×10-4≦〔P〕≦10.0×10-4とすることが好ましい。リン化合物としては、リン酸又はそのエステルから誘導されたリン酸又はそのエステル(モノ−、ジ−及びトリ−エステル)が好ましく、具体的には、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル及びリン酸トリス−2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
リン化合物は、アンチモン化合物によるポリエステル繊維の色調の悪化を抑制し、コバルト化合物による熱分解作用を抑制する効果を奏するものである。繊維中のリン化合物の含有量が(3)式で定める値より少ない場合は、これらの効果が不十分となり、式(1)、(2)を満足していたとしても、繊維の色調を十分に良好にし、耐湿熱特性を向上させることが困難となる。一方、繊維中のリン化合物の含有量が(3)式で定める値より多い場合は、重縮合反応時にポリエステル系内が酸性となることにより、副反応物であるエーテル結合が生成するため、耐湿熱性が劣るばかりでなく強度も低下する。
本発明の繊維においては、アンチモン化合物、コバルト化合物、リン化合物の含有量を全て適切な量(式(1)〜(3)で示す量)としたことによって、耐湿熱性能が向上し、かつ色調も良好な繊維を得ることができたものである。そして、さらに本発明の繊維においては、上記の効果を十分に奏するためには、アンチモン化合物、コバルト化合物、リン化合物の含有量が式(4)、式(5)を同時に満足することが必要である。
つまり、上記したように、リン化合物は、アンチモン化合物によるポリエステル繊維の色調の悪化を抑制し、コバルト化合物による熱分解作用を抑制する効果を奏するものであるため、アンチモン化合物との割合を示す式(4)を満足し、かつ、コバルト化合物との割合を示す式(5)を満足することが必要である。
そして、本発明のポリエステル繊維は、耐湿熱性に優れる特性として、カルボキシル末端基濃度が25eq/t以下であることが必要であり、中でも20eq/t以下、さらには18eq/t以下であることが好ましい。カルボキシル末端基濃度が25eq/tを超えて高くなると、耐湿熱性に劣るものとなる。
さらに、繊維の特性として、引張強度(湿熱処理前)が4.0cN/dtex以上、下記に示す湿熱処理後の強度が3.5cN/dtex以上であり、下記に示す強度保持率が80%以上であることが好ましい。
〔湿熱処理と強度保持率〕
ポリエステル繊維をオートクレーブ中、135℃の飽和水蒸気で16時間処理し、処理後の繊維の引張強度を測定し、処理前の繊維の引張強度値と比較して下記式にて強度保持率を算出する。
強度保持率(%)= (処理後の引張強度/処理前の引張強度)×100
本発明のポリエステル繊維は、長繊維、短繊維のいずれであってもよく、長繊維の場合は、マルチフィラメント、モノフィラメントのいずれであってもよい。中でも衣料用途に好適に使用されるため、マルチフィラメント(長繊維)とすることが好ましい。
また、本発明のポリエステル繊維は、重縮合反応時にアンチモン化合物、コバルト化合物及びリン化合物を含有させて得られたエチレンテレフタレート繰り返し単位が85モル%以上のPETからなるものであることが好ましい。
つまり、PETの重縮合反応時にアンチモン化合物、コバルト化合物及びリン化合物を添加し、重縮合反応させることが好ましい。そして、本発明においては、これらの化合物の繊維中の含有量が式(1)〜(3)を同時に満足するものとし、さらに、式(4)〜(5)を同時に満足するものとする。
通常、カルボキシル末端基濃度の低い耐湿熱性に優れた繊維を得るためには、ポリエステルの重縮合反応において、溶融重合と固相重合を行う必要があるが、上記のように重縮合反応時にアンチモン化合物、コバルト化合物及びリン化合物を添加することによって、溶融重合のみで本発明の繊維を構成するポリエステルを得ることができるものである。
また、本発明のポリエステル繊維を構成するポリエステルの固有粘度は、特に限定しないが、得られた繊維の強度や耐湿熱性能を考慮し、0.55〜0.72とすることが好ましい。
さらに、本発明のポリエステル繊維は、必要に応じて、滑剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。
次に、本発明のポリエステル繊維の製造方法について一例を用いて説明する。
ポリエステルの重縮合反応時にアンチモン化合物、コバルト化合物及びリン化合物を含有させ、固有粘度が0.55〜0.72となるように溶融重合を行い、チップ化する。このポリエステルチップを常法により乾燥させて、溶融押出機を有する通常の溶融紡糸機を用いて、溶融紡糸温度を270〜300℃とし、紡糸口金より吐出させる。
そして、紡出糸条を冷却、固化した後、給油装置で油剤を付与した後は、2000m/分以上の高速紡糸により半未延伸糸として巻き取るPOY法、あるいは一旦2000m/分以上の高速紡糸又は2000m/分未満の低速紡糸で溶融紡糸し、巻き取った糸条を延伸熱処理する二工程法、一旦、巻き取ることなく、続けて延伸する紡糸延伸法のいずれかの方法によりポリエステル繊維を得る。この際、溶融紡糸温度は、ポリエステル繊維のカルボキシル末端基濃度が25eq/t、より好ましくは、20eq/t以下となるように、できるだけ低温(270〜285℃)とすることが好ましい。
そして、本発明のポリエステル繊維を長繊維のマルチフィラメントとする場合は、通常の仮撚装置により、仮撚加工を施してもよい。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例における特性値の測定法、評価等は次のとおりである。
(1)極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合液を溶媒とし、温度20℃で測定した溶液粘度から求めた。
(2)カルボキシル末端基濃度
得られたポリエステル繊維0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。
(3)ポリエステル中のアンチモン、コバルト、リン含有量
得られたポリエステル繊維をアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成型体に形成し、蛍光X線測定装置(理学電機工業株式会社製3270型)に供して、定量分析した。
(4)強度・伸度
得られたポリエステル繊維を、引張強度オリエンテック社製テンシロンUTM−4−100 型を用い、試料長10cm、引張速度10cm/分で測定した。
(5)耐湿熱性能(強度保持率)
得られたポリエステル繊維を筒編みし、オートクレーブ中、135℃の飽和水蒸気で16時間処理し、処理後の繊維の引張強度を測定し、処理前の繊維の引張強度値と比較して下記式にて強度保持率を算出する。
強度保持率(%)= (処理後の引張強度/処理前の引張強度)×100
(6)色調
(5)の耐湿熱性能の評価における湿熱処理時において、処理前と処理後の筒編地の色調を目視にて判断し、以下の3段階で評価した。
○・・・処理前と処理後の筒編地ともに着色がなく、色調が良好である。
△・・・処理前又は処理後の筒編地にやや着色が生じており、色調がやや不良である。
×・・・処理前又は処理後の筒編地に着色が生じており、色調が不良である。
実施例1
ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体(BHET)の存在するエステル化反応缶に、モル比1/1.6 のテレフタル酸とエチレングリコールとのスラリーを連続的に供給し、温度 250℃、圧力0.05kg/cm2 、滞留時間8時間の条件でエステル化反応を行い、エステル化反応率が95%のBHETを連続的に得た。このBHET50kgを重合槽に移送し、270 ℃に加熱し、触媒として三酸化アンチモンをポリエステルを構成する酸成分1モルに対し1.0×10-4モルと、酢酸コバルトをポリエステルを構成する酸成分1モルに対し0.2×10-4モル、リン化合物としてリン酸トリエチルをポリエステルを構成する酸成分1モルに対し0.5×10-4モル添加した。その後、徐々に減圧し、270 ℃で最終的に 0.1tollの減圧下で 3.5時間重縮合反応(溶融重合のみ)を行い、極限粘度0.64のポリエステルチップを得た。
このポリエステルチップを、常法により乾燥し、290℃の押出機に供給し、紡糸装置に供給し、溶融紡糸を行った。紡糸口金には、孔径0.25mmの紡糸孔48個が穿設されており、紡出糸条を空気流により冷却し、オイリング装置を通過せしめて0.5質量%の付着量となるように油剤を付与した。続いて、集束ガイドで集束し、交絡付与後、速度3500m/分のローラで引き取り、捲取機にて巻き取った。得られた糸条(半未延伸糸)は255dtex/48fであり、毛羽、単糸切れによる欠点はなかった。
次にこれを通常の延伸装置を用い、700m/分の速度、延伸倍率1.53倍で延伸し、167dtex/48fのポリエステル繊維を得た。
実施例2〜7、比較例1〜6
重縮合反応時に添加するアンチモン化合物(三酸化アンチモン)、コバルト化合物(酢酸コバルト)、リン化合物(リン酸トリエチル)の量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様に行いポリエステル繊維を得た。
実施例1〜7、比較例1〜6で得られたポリエステル繊維のカルボキシル末端基濃度、アンチモン化合物、コバルト化合物、リン化合物の含有量、耐湿熱性能(強度及び強度保持率)、色調評価の結果を表1に示す。
実施例1〜7のポリエステル繊維は、アンチモン化合物、コバルト化合物、リン化合物の含有量が全て適切な値のものであったため、カルボキシル末端基濃度が低く、湿熱処理前後の強度及び強度保持率も高く、耐湿熱性能に優れており、かつ色調評価も良好なものであった。また、湿熱処理前、処理後ともに筒編地の風合(ソフト感)は良好なものであった。
比較例1のポリエステル繊維は、リン化合物の含有量が少なかったため、ポリエステルの熱分解反応を抑制する効果が小さく、カルボキシル末端基濃度が高くなり、耐湿熱性能に劣るものとなり、また色調も劣るものであった。比較例2のポリエステル繊維は、リン化合物の含有量が多かったため、耐湿熱性能に劣っており、また強度も低いものであった。比較例3のポリエステル繊維は、アンチモン化合物の含有量が多かったため、色調の劣る繊維となり、耐湿熱性能も劣るものとなった。比較例4のポリエステル繊維は、アンチモン化合物の含有量が少なかったため、重縮合反応時間が長くなり、熱分解反応が進行したため、カルボキシル末端基濃度が高くなり、耐湿熱性が劣るものとなった。また色調にも劣るものとなった。比較例5のポリエステル繊維は、コバルト化合物の含有量が多すぎたため、重縮合反応時に熱分解が促進され、耐湿熱性能に劣るものとなった。比較例6のポリエステル繊維は、コバルト化合物の含有量が少なかったため、色調の改良効果が奏されず、色調に劣ったものとなった。

Claims (2)

  1. エチレンテレフタレート繰り返し単位が85モル%以上のポリエチレンテレフタレートからなる繊維であって、繊維中のアンチモン化合物、コバルト化合物及びリン化合物が下記式(1)〜(5)を同時に満足する量含有されており、かつカルボキシル末端基濃度が25eq/t以下であることを特徴とする耐湿熱性ポリエステル繊維。
    (1)0.5×10-4≦〔Sb〕≦3.0×10-4
    (2)0.1×10-4≦〔Co〕≦0.6×10-4
    (3)0.1×10-4≦〔P〕≦20.0×10-4
    (4)〔P〕/〔Sb〕≧0.2
    (5)〔P〕/〔Co〕≧1.0
    なお、〔Sb〕はアンチモン化合物の含有量、〔Co〕はコバルト化合物の含有量、〔P〕はリン化合物の含有量を表し、単位は「モル/酸成分モル」である。
  2. 重縮合反応時にアンチモン化合物、コバルト化合物及びリン化合物を含有させて得られたエチレンテレフタレート繰り返し単位が85モル%以上のポリエチレンテレフタレートからなる請求項1記載の耐湿熱性ポリエステル繊維。
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