以下は、当業者による本発明の実施を支援するために提供される発明を実施するための形態である。当業者は、本開示の主旨または範囲から逸脱することなく本明細書に記載される実施形態に改変および変更を行うことができる。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、図面、および他の参照文献は、それらの全体が参照により明示的に援用される。
E3ユビキチンリガーゼタンパク質、例えば、セレブロンと標的タンパク質がそのE3ユビキチンリガーゼタンパク質とその標的タンパク質に結合する二官能性またはキメラコンストラクトによって近傍に配置されるとそのユビキチンリガーゼによってその標的タンパク質がユビキチン化されるという驚くべき、且つ、予期せぬ発見に関連する組成物と方法をここに説明する。したがって、本発明は、タンパク質標的結合部分(「PTM」)に結合したE3ユビキチンリガーゼ結合部分(「ULM」)を含み、選択された標的タンパク質のユビキチン化がそれにより生じ、それによりプロテアソームによるその標的タンパク質の分解を引き起こすそのような化合物および組成物を提供する(図1参照)。本発明は組成物のライブラリーおよびその使用も提供する。
別段の定義が無い限り、本明細書において使用される全ての技術用語と科学用語は、この発明が属する分野の当業者が共通して理解する意味と同じ意味を有する。本明細書において使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定するようには意図されていない。
ある範囲の値が提供される場合、別途文脈から明確に指示されない限り、その範囲の上限と下限の間にあるその下限の単位の小数第一位までの各中間値(例えば、ある数の炭素原子を含有する基の場合では、その場合にその範囲内にある各炭素原子数が提供される)、およびその表示範囲の中にある他のあらゆる表示値または中間値が本発明に含まれることが理解される。いずれかの具体的に除外される限界が表示範囲に存在するが、これらのより小さな範囲の上限と下限がそれぞれそれらのより小さな範囲内に含まれてよく、それらも本発明に包含される。その表示範囲がそれらの限界のうちの一方または両方を含む場合、それらの含まれている限界のうちのどちらかを、または両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
本発明を説明するために次の用語を使用する。本明細書において用語が具体的に定義されていない場合、本発明の説明にその用語を使用する文脈の中でその用語に当てはまる、当業者によって理解される意味がその用語に与えられる。
本明細書および添付されている特許請求の範囲において使用される冠詞「a」および「an」は、文脈から別途明確に指示されない限り、その冠詞の文法上の目的語の1つ、または1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。例として、「要素」は1つの要素、または1つより多くの要素を意味する。
本明細書および特許請求の範囲において使用される「および/または」という語句は、そのようにして結合された要素の「どちらか、または両方」を意味する、すなわち、ある場合は接続的に存在し、他の場合では離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」を用いて記載された複数の要素も同様に、すなわち、そのようにして結合された要素のうちの「1つ以上」を意味する解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素も、具体的に特定されたそれらの要素に関係するにしても、無関係であるにしても、所望により存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」のような非制限言語と併用されるとき、「Aおよび/またはB」への参照は、1つの実施形態ではAのみ(所望によりB以外の要素を含んでもよい)、別の実施形態ではBのみ(所望により以外の要素を含んでもよいA)、さらに別の実施形態、ではAとBの両方(所望により他の要素を含んでもよい)、等を意味することができる。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「または」は上で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分断する場合、「または」または「および/または」は非制限的であると、すなわち、多数の要素または列挙された要素のうちの少なくとも1つばかりか、そのうちの1つ以上、および所望により、リストに挙げられていない追加の項目を含むと解釈される。逆の意味を明確に示す「ただ1つ(only one of)」または「正に1つ(exactly one of)」、または、特許請求の範囲において使用される場合、「から成る(consisting of)」といった用語だけが、多数の要素または列挙された要素のうちの正に1つの要素を含むことを意味する。概して、本明細書において使用される「または」という用語は「どちらか(either)」、「1つ(one of)」、「ただ1つ(only one of)」、または「正に1つ(exactly one of)」といった排他的な用語が前に来たときにだけ排他的選択肢(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を表すと解釈される。
本明細書ならびに特許請求の範囲において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」等といった全ての移行句は非制限的であると、すなわち、「を含むが限定されない」を意味すると理解されるべきである。「から成る(consisting of)」および「から基本的に成る(consisting essentially of)」という移行句だけが米国特許庁特許審査手順マニュアル第2111.03節に記載されているようにそれぞれ制限的または半制限的移行句である。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「少なくとも1つ」という語句は1つ以上の要素を参照するときに要素リストの中の要素のうちのいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、それはその要素リスト内に具体的に挙げられた少なくとも1つのそれぞれ個々の要素を必ず含むということではなく、その要素リスト内の要素のあらゆる組合せを除外しない。「少なくとも1つ」という語句が指すその要素リスト内で具体的に特定された要素以外の要素も、具体的に特定された要素に関係するにしても、無関係であるにしても、所望により存在し得ることもこの定義により許される。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同様に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、同様に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態ではBが存在せずに(所望によりB以外の要素を含んでもよい)所望により1つより多くのAを含む少なくとも1つのA、別の実施形態ではAが存在せずに(所望によりA以外の要素を含んでもよい)所望により1つより多くのBを含む少なくとも1つのB、さらに別の実施形態では所望により1つより多くのAを含む少なくとも1つのA、および少なくとも1つ、所望により1つより多くのBを含む少なくとも1つのB(所望により他の要素を含んでもよい)、等を意味することができる。
1つより多くの工程または作業を含む本明細書に記載されるある特定の方法では、文脈から別途指示されない限り、その方法の工程または作業の順序は必ずしもその方法の工程または作業が挙げられている順番に限定されないことも理解されるべきである。
「共投与」および「共投与する」または「併用治療」という用語は、複数の治療薬が同時点である程度、好ましくは有効量で患者内に存在する限り、同時投与(同時点での2つ以上の治療薬の投与)と時間差投与(1つ以上の治療薬の投与であって、追加の治療薬または治療薬剤の投与の時点とは異なる時点での投与)の両方を指す。ある特定の好ましい態様において、本明細書に記載される本化合物のうちの1つ以上が少なくとも1つの追加の生体活性剤、特に抗癌剤を含む生体活性剤と併せて共投与される。特に好ましい態様において、化合物の共投与によって抗癌活性をはじめとする相乗的活性および/または相乗的治療が生じる。
本明細書において使用される場合、「化合物」という用語は、別途指示されない限り、本明細書において開示されるあらゆる特定の化学化合物を指し、互変異性体、位置異性体、幾何異性体、ならびに該当する場合は光学異性体(エナンチオマー)および他の立体異性体(ジアステレオマー)をはじめとする立体異性体を含み、同様に文脈の中で該当する場合はその薬学的に許容可能な塩および誘導体(プロドラッグ形態を含む)を含む。文脈内で使用されるとき、化合物という用語は一般的に単一の化合物を指すが、開示された化合物の立体異性体、位置異性体、および/または光学異性体(ラセミ混合物を含む)ならびに特定のエナンチオマーまたはエナンチオマー富化混合物などの他の化合物を含んでもよい。その用語は、活性部位への化合物の投与および送達を容易にするように改変されたプロドラッグ形態の化合物も文脈の中で指す。本化合物の説明の中で何よりもそれに関連する多数の置換基および変数が説明されることが特筆される。当業者は、本明細書に記載される分子が以下に一般的に記載されるように安定な化合物であることを理解する。結合が示されるとき、二重結合と一重結合の両方が示された化合物の文脈の中に表される。
「ユビキチンリガーゼ」という用語は、特定の基質タンパク質へのユビキチンの転移を促進し、その基質タンパク質を分解の標的とするタンパク質のファミリーを指す。例えば、セレブロンは、単独で、またはE2ユビキチン結合酵素と組み合わさって標的タンパク質上のリシンへのユビキチンの結合を引き起こし、後にその特定のタンパク質基質をプロテアソームによる分解の標的とするE3ユビキチンリガーゼタンパク質である。したがって、E3ユビキチンリガーゼは単独で、またはE2ユビキチン結合酵素との複合体として標的タンパク質へのユビキチンの転移に関与する。一般に、ユビキチンリガーゼは第2のユビキチンが第の1ユビキチンに結合し、第3のユビキチンが第2のユビキチンに結合するようなポリユビキチン化に関与する。ポリユビキチン化はプロテアソームによる分解に向けてタンパク質を標識する。しかしながら、モノユビキチン化に限定されるユビキチン化事象も存在し、それらの事象ではユビキチンリガーゼは単一のユビキチンを基質分子に付加する。モノユビキチン化タンパク質は分解のためのプロテアソームの標的とされず、代わりに、例えば、ユビキチンに結合可能であるドメインを有する他のタンパク質への結合を介して細胞局在または機能が改変される場合がある。さらに複雑にする問題として、ユビキチン上の異なるリシンが鎖を作製するためにE3の標的とされ得る。最も共通したリシンはユビキチン鎖上のLys48である。これは、プロテアソームによって認識されるポリユビキチンを作製するために使用されるリシンである。
「患者」または「対象」という用語は、本発明による組成物を用いる予防的治療を含む治療が提供される動物、好ましくはヒトまたは家畜化動物を説明するために本明細書を通して使用される。ヒト患者などの特定の動物に特異的である感染症、病状、または疾患状態の治療について、患者という用語はその特定の動物を指し、その動物にはイヌもしくはネコ、またはウマ、ウシ、ヒツジ等の農場動物のような家畜化動物が含まれる。概して本発明では患者という用語は別段の表示が無いか、またはその用語の使用文脈から暗に示されない限りヒト患者を指す。
「有効な」という用語は、化合物、組成物、または構成成分の量であって、その使用目的の文脈の中で使用されるときに意図した結果を達成するその量を説明するために使用される。「有効な」という用語は他の全ての有効量または有効濃度といった用語を包含し、それらの用語は他には本願書において記載または使用される。
化合物および組成物
1つの態様において、本明細書は、セレブロンE3ユビキチンリガーゼ結合部分(「CLM」)であるE3ユビキチンリガーゼ結合部分(「ULM」)を含む化合物を提供する。1つの実施形態ではそのCLMは次の構造に従う化学リンカー(L)に結合しており、
(I) L−CLM
式中、Lは化学リンカー基であり、CLMはセレブロンE3ユビキチンリガーゼ結合部分である。本明細書において例示される化合物中のその部分の数および/または相対的位置は例としてのみ提示される。当業者によって理解されるように、本明細書に記載される化合物は各官能性部分の数および/または相対的位置を望み通りにして合成され得る。
ULMおよびCLMという用語は文脈から別途指示されない限りそれらの非制限的意味で使用される。例えば、ULMという用語はセレブロンに結合するもの(すなわち、CLM)を含む全てのULMを含む。さらに、CLMという用語は全ての可能なセレブロンE3ユビキチンリガーゼ結合部分を含む。
別の態様において、本発明は標的タンパク質の分解誘導によるタンパク質活性の調節に有用な二官能性または多官能性PROTAC化合物を提供する。ある特定の実施形態ではその化合物は標的タンパク質結合部分(すなわち、タンパク質標的化部分または「PTM」)に対して直接的または間接的に結合した、例えば共有結合したCLMを含む。ある特定の実施形態ではそのCLMとPTMは化学リンカー(L)を介して連結または結合している。そのCLMはセレブロンE3ユビキチンリガーゼを認識し、そのPTMは標的タンパク質を認識し、各部分のそれらの標的との相互作用はそのユビキチンリガーゼタンパク質の近傍にその標的タンパク質を配置することによりその標的タンパク質の分解を促進する。例となる二官能性化合物は次のように示され得る。
(II) PTM−CLM
ある特定の実施形態では本二官能性化合物は化学リンカー(「L」)をさらに含む。例えば、本二官能性化合物を次のように示すことができ、
(III) PTM−L−CLM
式中、PTMはタンパク質/ポリペプチド標的化部分であり、Lはリンカーであり、CLMはセレブロンE3リガーゼ結合部分である。
ある特定の実施形態では本明細書に記載される化合物は複数のPTM(同一または異なるタンパク質標的を標的とする)、複数のCLM、1つ以上のULM(すなわち、別のE3ユビキチンリガーゼ、例えば、VHLに対して特異的に結合する部分)またはそれらの組合せを含む。本明細書に記載される実施形態の態様のいずれにおいても、それらのPTM、CLM、およびULMを直接的に、または1つ以上の化学リンカーを介して、またはそれらの組合せで結合することができる。追加の実施形態では、化合物が複数のULMを有する場合、それらのULMは同じE3ユビキチンリガーゼ向けのものであり得、またはそれぞれのULMが異なるE3ユビキチンリガーゼに特異的に結合し得る。さらの追加の実施形態では、化合物が複数のPTMを有する場合、それらのPTMは同じ標的タンパク質に結合することができ、またはそれぞれのPTMが異なる標的タンパク質に特異的に結合することができる。
別の実施形態では本明細書は、直接的に、または化学リンカー部分(L)を介して結合した複数のCLMを含む化合物を提供する。例えば、2つのCLMを有する化合物は次のように示され得る。
(IV) CLM−CLM または
(V) CLM−L−CLM
ある特定の実施形態では、前記化合物が複数のCLMを含む場合、それらのCLMは同一である。追加の実施形態では複数のCLMを含む前記化合物は直接的に、または化学リンカー(L)を介して、または両方でCLMに結合した少なくとも1つのPTMを含む。ある特定の追加の実施形態では複数のCLMを含む前記化合物は複数のPTMをさらに含む。さらに追加の実施形態ではそれらのPTMは同一であり、所望により異なっていてもよい。さらの追加の実施形態では、それらのPTMが異なる場合、それぞれのPTMは同じタンパク質標的に結合するか、または異なるタンパク質標的に特異的に結合してよい。
追加の実施形態では本明細書は、直接的に、または化学リンカー(L)を介して、または両方で結合した少なくとも2つの異なるCLMを含む化合物を提供する。例えば、2つの異なるCLMを有するそのような化合物を次のように示すことができ、
(VI) CLM−CLM’または
(VII) CLM−L−CLM’
式中、CLM’はCLMと構造的に異なるセレブロンE3ユビキチンリガーゼ結合部分を表す。ある特定の実施形態ではその化合物は複数のCLMおよび/または複数のCLM’を含んでよい。追加の実施形態では少なくとも2つの異なるCLM、複数のCLM、および/または複数のCLM’を含むその化合物は直接的にまたは化学リンカーを介して、または両方でCLMまたはCLM’に結合した少なくとも1つのPTMをさらに含む。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、少なくとも2つの異なるCLMを含む化合物は複数のPTMをさらに含むことができる。さらに追加の実施形態ではそれらのPTMは同一であり、所望により異なっていてもよい。さらの追加の実施形態では、それらのPTMが異なる場合、それぞれのPTMは同じタンパク質標的に結合するか、または異なるタンパク質標的に特異的に結合してよい。さらの追加の実施形態ではそのPTM自体がULMまたはCLM(またはULM’またはCLM’)である。
好ましい実施形態ではそのCLMはセレブロンE3ユビキチンリガーゼ(CRBN)のリガンドである部分を含む。ある特定の実施形態ではそのCLMは「イミド」クラスの分子に由来するケモタイプを含む。ある特定の追加の実施形態ではそのCLMはフタルイミド基またはその類似体もしくは誘導体を含む。さらに追加の実施形態ではそのCLMはフタルイミド−グルタルイミド基またはその類似体もしくは誘導体を含む。さらに他の実施形態ではそのCLMは、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、およびそれらの類似体または誘導体からなる群のメンバーを含む。
追加の実施形態では本明細書は本明細書に記載される化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和化合物、および多形体を含む化合物を提供し、それらには薬学的に許容可能なそれらの塩形態、例えば、酸塩形態および塩基塩形態が含まれる。
ネオイミド化合物
1つの態様において、本明細書はセレブロンとの結合、および/またはセレブロンの阻害に有用な化合物を提供する。ある特定の実施形態ではその化合物は次の化学構造からなる群より選択され、
式中、
Wは独立してCH2、CHR、C=O、SO2、NH、およびN−アルキルの群より選択され、
Xは独立してO、SおよびH2の群より選択され、
Yは独立してNH、N−アルキル、N−アリール、N−ヘタリール、N−シクロアルキル、N−ヘテロシクリル、O、およびSの群より選択され、
Zは、XとZの両方がH2ではあり得ないことを例外として、独立してO、およびSまたはH2の群より選択され、
GおよびG’は独立してH、アルキル、OH、所望によりR’で置換されていてもよいCH2−ヘテロシクリル、および所望によりR’で置換されていてもよいベンジルの群より選択され、
Q1〜Q4はR’、N、またはN−オキシドから独立して選択される基で置換された炭素Cを表し、
Aは独立してアルキル、シクロアルキル、Cl、およびFの群より選択され、
Rは、限定されないが、−CONR’R”、−OR’、−NR’R”、−SR’、−SO2R’、−SO2NR’R”、−CR’R”−、−CR’NR’R”−、−アリール、−ヘタリール、−アルキル、−シクロアルキル、−ヘテロシクリル、−P(O)(OR’)R”、−P(O)R’R”、−OP(O)(OR’)R”、−OP(O)R’R”、−Cl、−F、−Br、−I、−CF3、−CN、−NR’SO2NR’R”、−NR’CONR’R”、−CONR’COR”、−NR’C(=N−CN)NR’R”、−C(=N−CN)NR’R”、−NR’C(=N−CN)R”、−NR’C(=C−NO2)NR’R”、−SO2NR’COR”、−NO2、−CO2R’、−C(C=N−OR’)R”、−CR’=CR’R”、−CCR’、−S(C=O)(C=N−R’)R”、−SF5、および−OCF3を含み、
R’およびR”は独立して結合、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘタリール、ヘテロシクリルより選択され、
nは1〜4までの整数であり、
は立体特異的((R)または(S))でも非立体特異的でもよい結合を表し、
Rnは1〜4個の独立した官能基または原子を含む。
例となるCLM
本明細書に記載される化合物のどれでもCLMは次の群から選択される化学構造を含み、
式中、
Wは独立してCH2、CHR、C=O、SO2、NH、およびN−アルキルの群より選択され、
Xは独立してO、SおよびH2の群より選択され、
Yは独立してNH、N−アルキル、N−アリール、N−ヘタリール、N−シクロアルキル、N−ヘテロシクリル、O、およびSの群より選択され、
Zは、XとZの両方がH2ではあり得ないことを例外として、独立してO、およびSまたはH2の群より選択され、
GおよびG’は独立してH、アルキル、OH、所望によりR’で置換されていてもよいCH2−ヘテロシクリル、および所望によりR’で置換されていてもよいベンジルの群より選択され、
Q1〜Q4はR’、N、またはN−オキシドから独立して選択される基で置換された炭素Cを表し、
Aは独立してアルキル、シクロアルキル、Cl、およびFの群より選択され、
Rは、限定されないが、−CONR’R”、−OR’、−NR’R”、−SR’、−SO2R’、−SO2NR’R”、−CR’R”−、−CR’NR’R”−、−アリール、−ヘタリール、−アルキル、−シクロアルキル、−ヘテロシクリル、−P(O)(OR’)R”、−P(O)R’R”、−OP(O)(OR’)R”、−OP(O)R’R”、−Cl、−F、−Br、−I、−CF3、−CN、−NR’SO2NR’R”、−NR’CONR’R”、−CONR’COR”、−NR’C(=N−CN)NR’R”、−C(=N−CN)NR’R”、−NR’C(=N−CN)R”、−NR’C(=C−NO2)NR’R”、−SO2NR’COR”、−NO2、−CO2R’、−C(C=N−OR’)R”、−CR’=CR’R”、−CCR’、−S(C=O)(C=N−R’)R”、−SF5、および−OCF3を含み、
R’およびR”は独立して結合、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘタリール、ヘテロシクリルより選択され、
nは1〜4までの整数であり、
は立体特異的((R)または(S))でも非立体特異的でもよい結合を表し、
Rnは1〜4個の独立した官能基または原子を含み、且つ、所望によりそれらのうちの1つがPTM、化学リンカー基(L)、ULM、CLM(またはCLM’)、またはそれらの組合せに共有結合するように改変されてもよい。
「独立して」という用語は、独立して適用される変数が適用毎に独立して変化することを表すために本明細書において使用される。
「アルキル」という用語は、直鎖、分岐鎖、または環状の完全飽和炭化水素ラジカルまたはアルキル基、好ましくはC1−C10、より好ましくはC1−C6、あるいはC1−C3のアルキル基であって、所望により置換されていてもよいアルキル基をその文脈内で意味するものとする。アルキル基の例は何よりもメチル、エチル、n−ブチル、sec−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、イソプロピル、2−メチル−プロピル、シクロプロピル、シクロ−プロピル−メチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルエチルおよびシクロヘキシルである。ある特定の実施形態ではそのアルキル基はハロゲン基(At、Br、Cl、F、またはI)で末端封止されている。ある特定の好ましい実施形態では、脱ハロゲン酵素に共有結合してもよい本発明による化合物。これらの化合物は、概して、遠位末端にハロゲン置換基(塩素または臭素の場合が多い)を有するアルキル基で終止する側鎖であって、そのような部分を有する化合物をタンパク質に共有結合させることになる前記側鎖を含有する(ポリエチレングリコール基を介して結合されていることが多い)。
「アルケニル」という用語は少なくとも1つのC=C結合を含有する直鎖、分岐鎖、または環状のC2−C10(好ましくはC2−C6)炭化水素ラジカルを指す。
「アルキニル」という用語は少なくとも1つの
結合を含有する直鎖、分岐鎖、または環状のC2−C10(好ましくはC2−C6)炭化水素ラジカルを指す。
「アルキレン」という用語が使用されるとき、それは所望により置換されていてもよい−(CH2)n−基(nは概して0〜6までの整数)を指す。置換される場合、そのアルキレン基はメチレン基のうちの1つ以上がC1−C6アルキル基(シクロプロピル基またはt−ブチル基を含む)によって置換されることが好ましく、しかしながら本明細書における別段の開示のように1つ以上のハロ基、好ましくは1〜3個までのハロ基または1個もしくは2個のヒドロキシル基、O−(C1−C6アルキル)基、もしくはアミノ酸側鎖で置換されてもよい。ある特定の実施形態ではアルキレン基は、単一のハロゲン基、好ましくは塩素基で置換されたアルキル鎖が置換している(ポリエチレングリコール鎖の遠位末端上であることが好ましいが、それに限定されない)ポリエチレングリコール鎖(1〜10単位までの、好ましくは1〜6単位までの、多くの場合に1〜4単位までのエチレングリコール単位のもの)でさらに置換されているウレタン基またはアルコキシ基(または他の基)で置換されてもよい。さらに他の実施形態ではそのアルキレン(多くの場合、メチレン)基は、天然アミノ酸または非天然アミノ酸、例えば、アラニン、β−アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、またはチロシンの側鎖基などのアミノ酸側鎖基で置換されてもよい。
「非置換」という用語は水素原子だけでの置換を意味するものとする。一連のC0を含む炭素原子は、炭素が存在せず、且つ、Hで置換されていることを意味する。したがって、ある範囲のC0−C6である炭素原子には1個、2個、3個、4個、5個、および6個の炭素原子が含まれ、C0についてはHが炭素の代わりになっている。
「置換された」または「所望により置換されていてもよい」という用語は、文脈において、分子上のどこかの炭素(または窒素)位に1つ以上の置換基(本発明による化合物ではある部分上に独立して最大で5置換基まで、好ましくは最大で3置換基まで、多くの場合に1または2置換基が存在し、且つ、さらに置換されていてもよい置換基がそれらの置換基に含まれる場合がある)が独立して(すなわち、多くの置換基が存在する場合、各置換基が別の置換基から独立している)存在することを意味するものとし、その用語には置換基としてヒドロキシル、チオール、カルボキシル、
ニトロ(NO2)、ハロゲン(好ましくは1個、2個、または3個のハロゲン、特にアルキル上、特にトリフルオロメチルなどのメチル基上に)、アルキル基(好ましくはC1−C10、より好ましくはC1−C6)、アリール(特にフェニルおよび置換フェニル、例えばベンジルまたはベンゾイル)、アルコキシ基(好ましくはフェニルおよび置換フェニルを含むC1−C6アルキルまたはアリール)、チオエーテル(C1−C6アルキルまたはアリール)、アシル(好ましくはC1−C6アシル)、アルキレンエステルを含むエステルまたはチオエステル(好ましくはC1−C6アルキルまたはアリール)(それにより、C1−C6アルキル基またはアリール基で置換されていることが好ましいエステル官能基よりもむしろアルキレン基において結合が起こる)が含まれ、好ましくは、C1−C6アルキルまたはアリール、ハロゲン(好ましくはFまたはCl)、アミン(5員または6員の環状アルキレンアミンを含み、1個または2個のヒドロキシル基でアルキル基が置換されていてもよいC1−C6アルキルアミンまたはC1−C6ジアルキルアミンをさらに含む)、または所望により置換されていてもよい−N(C0−C6アルキル)C(O)(O−C1−C6アルキル)基(単一のハロゲン置換基、好ましくは塩素置換基を含有するアルキル基がさらに結合しているポリエチレングリコール鎖で所望により置換されていてもよい)、ヒドラジン、アミド、好ましくは1個または2個のC1−C6アルキル基で置換されているアミド(所望により1個または2個のC1−C6アルキル基で置換されていてもよいカルボキサミドを含む)、アルカノール(好ましくはC1−C6アルキルまたはアリール)、またはアルカン酸(好ましくはC1−C6アルキルまたはアリール)が含まれる。本発明に従う置換基には、例えば、R1およびR2の各々が本明細書において別途記載されている通りであり、且つ、R3がHまたはC1−C6アルキル基であり、この文脈ではR1、R2、R3がC1−C3アルキル基(イソプロピル基またはt−ブチル基を含む)であることが好ましい−SiR1R2R3基が含まれ得る。上記の基の各々が直接的に置換部分に結合されてよく、あるいは、置換基は、所望により置換されていてもよい−(CH2)m−あるいは所望により置換されていてもよい−(OCH2)m−、上記の置換基のうちのいずれか1つ以上で置換されていてもよい−(OCH2CH2)m−または−(CH2CH2O)m−基を介して置換部分に結合されてよい(好ましくはアリール部分またはヘテラリール部分の場合)。上で特定されたアルキレン基−(CH2)m−または−(CH2)n−基、またはエチレングリコール鎖などの他の鎖は鎖上のどの位置で置換されてもよい。アルキレン基上の好ましい置換基にはハロゲンまたはC1−C6(好ましくはC1−C3)アルキル基が含まれ、それらは所望により1個もしくは2個のヒドロキシル基、1個もしくは2個のエーテル基(O−C1−C6基)、最大で3個のハロ基(好ましくはF)、または本明細書において別途記載されたアミノ酸の側鎖、および所望により置換されていてもよいアミド基(好ましくは上記のように置換されたカルボキサミド)、またはウレタン基(さらに置換されていてもよい1個または2個のC0−C6アルキル置換基を有することが多い)で置換されてもよい。ある特定の実施形態ではそのアルキレン基(単一のメチレン基であることが多い)は、1個または2個の所望により置換されていてもよいC1−C6アルキル基、好ましくはC1−C4アルキル基、最も多くの場合にメチルもしくはO−メチル基、または本明細書において別途記載されたアミノ酸側鎖で置換される。本発明では分子中の部分は所望により最大で5個までの置換基、好ましくは最大で3個までの置換基で置換されていてもよい。本発明では置換される部分は1個または2個の置換基で置換されることが最も多い。
「置換された」(各置換基他のあらゆる置換基から独立している)という用語は、その文脈においてC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、スルホンアミドを含むスルホン、ケト、カルボキシ、C1−C6エステル(オキシエステルまたはカルボニルエステル)、C1−C6ケト、ウレタン−O−C(O)−NR1R2、または−N(R1)−C(O)−O−R1、ニトロ、シアノおよびアミン(特に所望により1個または2個のヒドロキシル基で置換されてもよいC1−C6アルキレン−NR1R2、モノまたはジ−C1−C6アルキル置換アミンを含む)の使用も意味するものとする。これらの基のそれぞれが、文脈内で別途指示されない限り、1個と6個の間の炭素原子を含む。ある特定の実施形態では好ましい置換基には、置換基を使用する文脈に応じて、例えば、−NH−、−NHC(O)−、−O−、=O、−(CH2)m−(ここでmおよびnは文脈内で1、2、3、4、5、または6である)、−S−、−S(O)−、SO2−、または−NH−C(O)−NH−、−(CH2)nOH、−(CH2)nSH、−(CH2)nCOOH、C1−C6アルキル、−(CH2)nO−(C1−C6アルキル)、−(CH2)nC(O)−(C1−C6アルキル)、−(CH2)nOC(O)−(C1−C6アルキル)、−(CH2)nC(O)O−(C1−C6アルキル)、−(CH2)nNHC(O)−R1、−(CH2)nC(O)−NR1R2、−(OCH2)nOH、−(CH2O)nCOOH、C1−C6アルキル、−(OCH2)nO−(C1−C6アルキル)、−(CH2O)nC(O)−(C1−C6アルキル)、−(OCH2)nNHC(O)−R1、−(CH2O)nC(O)−NR1R2、−S(O)2−RS、−S(O)−RS(RSはC1−C6アルキル基または−(CH2)m−NR1R2基である)、NO2、CN、またはハロゲン(F、Cl、Br、I、好ましくはFまたはCl)が含まれる。R1およびR2はそれぞれ文脈において、HまたはC1−C6アルキル基(所望により1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個までのハロゲン基、好ましくはフッ素で置換されてもよい)である。「置換された」という用語は、規定された化合物および使用される置換基の化学背景において、所望により置換されていてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基、または本明細書において別途記載された所望により置換されていてもよい複素環基も意味するものとする。アルキレン基は、好ましくは、所望により置換されていてもよいC1−C6アルキル基(メチル、エチル、またはヒドロキシメチル、またはヒドロキシエチルが好ましく、そうしてキラル中心が提供される)、本明細書において別途記載されたアミノ酸基の側鎖、本明細書において上で記載されたアミド基、またはR1とR2が本明細書において別途記載された通りであるウレタン基O−C(O)−NR1R2基で本明細書における別段の開示のように置換されてもよいが、他の多数の基を置換基として使用してもよい。所望により置換されていてもよい様々な部分は、3個以上の置換基、好ましくはせいぜい3個の置換基、および好ましくは1個または2個の置換基で置換されてよい。分子の特定の位置で化合物が置換されることが(原子価のために原則的に)必要であるが、置換が表示されていない場合、その置換基は別途その置換の内容が示唆されていない限りHであると解釈または理解されることに留意されたい。
「アリール」または「芳香族」という用語は、文脈において、単環(例えば、ベンゼン、フェニル、ベンジル)または縮合環(例えば、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル等)を有する置換(本明細書において別途記載されたような置換)または非置換一価芳香族ラジカルを指し、環上のあらゆる利用可能な安定な位置において、他には提示された化学構造の中で示されるように本発明の化合物に結合し得る。アリール基の他の例は、文脈において、何よりも、複素環状芳香族環系、1個以上の窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を環(単環)の中に有する「ヘテロアリール」基、例えば、イミダゾール、フリル、ピロール、フラニル、チエン、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール等、または融合環系、例えば、インドール、キノリン、インドリジン、アザインドリジン、ベンゾフラザン等を含み、それらは所望により上記のように置換されてもよい。言及することができるヘテロアリール基の中には、ピロール、ピリジン、ピリドン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、トリアジン、テトラゾール、インドール、イソインドール、インドリジン、アザインドリジン、プリン、インダゾール、キノリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、イソキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、キノリジン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、イミダゾピリジン、イミダゾトリアジン、ピラジノピリダジン、アクリジン、フェナントリジン、カルバゾール、カルバゾリン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナセン、オキサジアゾール、ベンズイミダゾール、ピロロピリジン、ピロロピリミジンおよびピリドピリミジンなどの窒素含有ヘテロアリール基;チオフェンおよびベンゾチオフェンなどのイオウ含有芳香族複素環;フラン、ピラン、シクロペンタピラン、ベンゾフランおよびイソベンゾフランなどの酸素含有芳香族複素環;および何よりも、全てが所望により置換されていてもよい、チアゾール、チアジゾール、イソチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、フェノチアジン、イソオキサゾール、フラザン、フェノキサジン、ピラゾロオキサゾール、イミダゾチアゾール、チエノフラン、フロピロール、ピリドキサジン、フロピリジン、フロピリミジン、チエノピリミジンおよびオキサゾールなどの窒素、イオウ、および酸素の中から選択される2個以上のヘテロ原子を含む芳香族複素環が含まれる。
「置換アリール」という用語は少なくとも1つの芳香環、または少なくとも1つが芳香環である複数の縮合環より構成され、その環が1つ以上の置換基で置換されている芳香族炭素環基を指す。例えば、アリール基は次のものより選択される置換基を含み得る:−(CH2)nOH、−(CH2)n−O−(C1−C6)アルキル、−(CH2)n−O−(CH2)n−(C1−C6)アルキル、−(CH2)n−C(O)(C0−C6)アルキル、−(CH2)n−C(O)O(C0−C6)アルキル、−(CH2)n−OC(O)(C0−C6)アルキル、アミン、アミン上のアルキル基が所望により1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個のハロ(好ましくはF、Cl)基で置換されていてもよいモノまたはジ−(C1−C6アルキル)アミン、OH、COOH、C1−C6アルキル、好ましくはCH3基、CF3基、OMe基、OCF3基、NO2基、またはCN基(それらの各々がフェニル環のオルト位、メタ位、および/またはパラ位において、好ましくはパラ位において置換される可能性がある)、所望により置換されていてもよいフェニル基(フェニル基自体がULM基を含むPTM基に結合したリンカー基で置換されていることが好ましい)、および/またはF基、Cl基、OH基、COOH基、CH3基、CF3基、OMe基、OCF3基、NO2基、もしくはCN基のうちの少なくとも1つ(フェニル環のオルト位、メタ位、および/またはパラ位において、好ましくはパラ位において)、所望により置換されていてもよいナフチル基、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、好ましくはメチル置換イソオキサゾールを含む所望により置換されていてもよいイソオキサゾール、所望により置換されていてもよいオキサゾールを含むメチル置換オキサゾール、所望により置換されていてもよいチアゾールを含むメチル置換チアゾール、所望により置換されていてもよいイソチアゾールを含むメチル置換イソチアゾール、所望により置換されていてもよいピロールを含むメチル置換ピロール、所望により置換されていてもよいイミダゾールを含むメチルイミダゾール、所望により置換されていてもよいベンズイミダゾールまたはメトキシベンジルイミダゾール、所望により置換されていてもよいオキシイミダゾールまたはメチルオキシイミダゾール、メチルジアゾール基を含む所望により置換されていてもよいジアゾール基、メチル置換トリアゾール基を含む所望により置換されていてもよいトリアゾール基、ハロ置換(好ましくはF)またはメチル置換ピリジン基またはオキサピリジン基(酸素によってピリジン基がフェニル基に結合されている場合)を含む所望により置換されていてもよいピリジン基、所望により置換されていてもよいフラン、所望により置換されていてもよいベンゾフラン、所望により置換されていてもよいジヒドロベンゾフラン、所望により置換されていてもよいインドール、インドリジンまたはアザインドリジン(2、3、または4−アザインドリジン)、所望により置換されていてもよいキノリン、およびそれらの組合せ。
「カルボキシル」はRが水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである−C(O)OR基を表し、一方でこれらの一般的な置換基は、本明細書において定義される対応する基の定義と同一の意味を有する。
「ヘテロアリール」または「ヘタリール」という用語は、決して限定されないが、所望により置換されていてもよいキノリン(ファルマコフォアに結合しているか、またはキノリン環内のいずれかの炭素原子上で置換されていてよい)、所望により置換されていてもよいインドール(ジヒドロインドールを含む)、所望により置換されていてもよいインドリジン、所望により置換されていてもよいアザインドリジン(2、3または4−アザインドリジン)、所望により置換されていてもよいベンズイミダゾール、ベンゾジアゾール、ベンゾキソフラン、所望により置換されていてもよいイミダゾール、所望により置換されていてもよいイソオキサゾール、所望により置換されていてもよいオキサゾール(好ましくはメチル置換)、所望により置換されていてもよいジアゾール、所望により置換されていてもよいトリアゾール、テトラゾール、所望により置換されていてもよいベンゾフラン、所望により置換されていてもよいチオフェン、所望により置換されていてもよいチアゾール(好ましくはメチルおよび/またはチオール置換)、所望により置換されていてもよいイソチアゾール、所望により置換されていてもよいトリアゾール(好ましくはメチル基、トリイソプロピルシリル基、所望により置換されていてもよい−(CH2)m−O−C1−C6アルキル基、または所望により置換されていてもよい−(CH2)m−C(O)−O−C1−C6アルキル基で置換された1,2,3−トリアゾール)、所望により置換されていてもよいピリジン(2−、3、または4−ピリジン)、または次の化学構造に従う基を意味することができ、
式中、
ScはCHRSS、NRURE、またはOであり、
RHETはH、CN、NO2、ハロ(好ましくはClまたはF)、所望により置換されていてもよいC1−C6アルキル(1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個のハロ基(例えばCF3)で置換されることが好ましい、所望により置換されていてもよいO(C1−C6アルキル)(1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個のハロ基で置換されることが好ましい)、または所望により置換されていてもよいアセチレン基であって、RaがHまたはC1−C6アルキル基(好ましくはC1−C3アルキル)であるアセチレン基
であり、
RSSはH、CN、NO2、ハロ(好ましくはFまたはCl)、所望により置換されていてもよいC1−C6アルキル(1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個のハロ基で置換されることが好ましい)、所望により置換されていてもよいO−(C1−C6アルキル)(1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個のハロ基で置換されることが好ましい)、または所望により置換されていてもよい−C(O)(C1−C6アルキル)(1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個のハロ基で置換されることが好ましい)であり、
RUREはH、C1−C6アルキル(好ましくはHまたはC1−C3アルキル)、または-C(O)(C1−C6アルキル)であり、それらの基の各々が所望により1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個のハロゲン、好ましくはフッ素基で置換されていてもよく、または所望により置換されていてもよい複素環、例えば、それぞれ所望により置換されていてよいピペリジン、モルホリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、ピペラジンで置換されていてもよく、且つ、
YCはNまたはC−RYCであり、式中、RYCはH、OH、CN、NO2、ハロ(好ましくはClまたはF)、所望により置換されていてもよいC1−C6アルキル(1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個のハロ基(例えばCF3)で置換されることが好ましい、所望により置換されていてもよいO(C1−C6アルキル)(1個または2個のヒドロキシル基、または最大で3個のハロ基で置換されることが好ましい)、または所望により置換されていてもよいアセチレン基であって、RaがHまたはC1−C6アルキル基(好ましくはC1−C3アルキル)であるアセチレン基
である。
「アラルキル」および「ヘテロアリールアルキル」という用語は、アリールとヘテロアリールの両方またはそれぞれ、ならびに上の定義に従うアルキルおよび/またはヘテロアルキルおよび/または炭素環系および/またはヘテロシクロアルキル環系を含む基を指す。
本明細書において使用される「アリールアルキル」という用語は、上で定義したアルキル基に付加された上で定義されたアリール基を指す。アリールアルキル基は1〜6個の炭素原子のアルキル基を介してその親部分に結合している。アリールアルキル基中のアリール基は上で定義されたように置換され得る。
「複素環」という用語は少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、N、OまたはSを含有する環状基を指し、それは芳香族(ヘテロアリール)または非芳香族であってよい。したがって、そのヘテロアリール部分はその使用背景に応じて複素環の定義に入る。例となるヘテロアリール基は本明細書において上に記載されている。
例となる複素環状には何よりもアゼチジニル、ベンズイミダゾリル、1,4−ベンゾジオキサニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、エチレンウレア、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、フリル、ホモピペリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、インドリニル、インドリル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソキサゾリジニル、イソキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、ピリドン、2−ピロリドン、ピリジン、ピペラジニル、、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、フタルイミド、スクシンイミド、ピラジニル、ピラゾリニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリン、チアゾリジニル、チアゾリル、チエニル、テトラヒドロチオフェン、オキサン、オキセタニル、オキサチオラニル、チアンが含まれる。
複素環基は所望により、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SOアリール、−SO−ヘテロアリール、−SO2−アルキル、−SO2−置換アルキル、−SO2−アリール、オキソ(=O)、および−SO2−ヘテロアリールからなる群より選択されるメンバーで置換され得る。そのような複素環基は単環または複数の縮合環を有し得る。窒素複素環およびヘテロアリールの例にはピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリノ、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル等、ならびにN−アルコキシ−窒素含有複素環が挙げられるがこれらに限定されない。「複素環」という用語には複素環のいずれかがベンゼン環またはシクロヘキサン環または別の複素環(例えば、インドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル等)に融合している二環式基も含まれる。
「シクロアルキル」という用語は、本明細書において定義される単環式または多環式のアルキル基またはシクロアルカン、例えば、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等を含む、環の中に3個から20個までの炭素原子を有する飽和単環式炭化水素基に由来する一価の基を意味し得るが、決してこれに限定されない。「置換シクロアルキル」という用語は、決して限定されないが、単環式または多環式アルキル基であって、1つ以上の置換基、例えば、アミノ、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、カルビルオキシ、カルビルメルカプト、アリール、ニトロ、メルカプト、またはスルホによって置換されている前記アルキル基を意味することができ、一方でこれらの一般的な置換基は、本レジェンドにおいて定義される対応する基の定義と同一の意味を有する。
「ヘテロシクロアルキル」は、環状構造の少なくとも1つの環炭素原子がN、O、S、またはPからなる群より選択されるヘテロ原子で置換されている単環式または多環式アルキル基を指す。「置換ヘテロシクロアルキル」は、環状構造の少なくとも1つの環炭素原子がN、O、S、またはPからなる群より選択されるヘテロ原子で置換されている単環式または多環式アルキル基であって、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、カルビルオキシ、カルビルメルカプト、アリール、ニトロ、メルカプト、またはスルホからなる群より選択される1つ以上の置換基を含有する基を指し、一方でこれらの一般的な置換基は、本レジェンドにおいて定義される対応する基の定義と同一の意味を有する。
「ヒドロカルビル」という用語は炭素と水素を含有し、且つ、完全飽和、部分不飽和、または芳香族であってよい化合物を意味するものとし、それにはアリール基、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基が含まれる。
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、W、X、Y、Z、G、G’、R、R’、R’’、Q1〜Q4、A、およびRnは独立してリンカーに共有結合してよく、および/または1つ以上のPTM基、ULM基、CLM基、またはCLM’基が結合しているリンカーに共有結合してよい。
より具体的には、CLMの非限定的な例には下に示すもの、ならびに下の分子に示される様々な特徴のうちの1つ以上の組合せから生じる「ハイブリッド」分子が含まれる。
ある特定の事例では、「CLM」はセレブロンE3リガーゼに結合するイミドであり得る。これらのイミドおよびリンカー結合点は、限定されないが、下記の構造であり得る。
例となるリンカー
ある特定の実施形態では本明細書に記載される化合物は化学リンカー(L)を介して化学的に連結または結合され得る。ある特定の実施形態ではそのリンカー基Lは、1つ以上の共有結合したA構造単位(例えば、−A1…Aq−)を含む基であって、A1がULM、PTM、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つに結合した基であることを特徴とする。ある特定の実施形態ではA1はULM、PTM、またはそれらの組合せを直接的に別のULM、PTM、またはそれらの組合せに連結する。他の実施形態ではA1はAqを介してULM、PTM、またはそれらの組合せを間接的に別のULM、PTM、またはそれらの組合せに連結する。
ある特定の実施形態ではA1〜Aqはそれぞれ独立して結合、CRL1RL2、O、S、SO、SO2、NRL3、SO2NRL3、SONRL3、CONRL3、NRL3CONRL4、NRL3SO2NRL4、CO、CRL1=CRL2、
SiRL1RL2、P(O)RL1、P(O)ORL1、NRL3C(=NCN)NRL4、NRL3C(=NCN)、NRL3C(=CNO2)NRL4、C3−11シクロアルキルであって所望により0〜6個のRL1基および/またはRL2基で置換されていてもよいもの、C3−11ヘテロシクリルであって所望により0〜6個のRL1基および/またはRL2基で置換されていてもよいもの、アリールであって所望により0〜6個のRL1基および/またはRL2基で置換されていてもよいもの、ヘテロアリールであって所望により0〜6個のRL1基および/またはRL2基で置換されていてもよいものであり、その場合にRL1またはRL2はそれぞれ独立して他のA基に結合して0〜4個のRL5基でさらに置換され得るシクロアルキルおよび/またはヘテロシクリルを形成することができ、式中、
RL1、RL2、RL3、RL4およびRL5はそれぞれ独立してH、ハロ、C1−8アルキル、OC1−8アルキル、SC1−8アルキル、NHC1−8アルキル、N(C1−8アルキル)2、C3−11シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3−11ヘテロシクリル、OC1−8シクロアルキル、SC1−8シクロアルキル、NHC1−8シクロアルキル、N(C1−8シクロアルキル)2、N(C1−8シクロアルキル)(C1−8アルキル)、OH、NH2、SH、SO2C1−8アルキル、P(O)(OC1−8アルキル)(C1−8アルキル)、P(O)(OC1−8アルキル)2、CC−C1−8アルキル、CCH、CH=CH(C1−8アルキル)、C(C1−8アルキル)=CH(C1−8アルキル)、C(C1−8アルキル)=C(C1−8アルキル)2、Si(OH)3、Si(C1−8アルキル)3、Si(OH)(C1−8アルキル)2、COC1−8アルキル、CO2H、ハロゲン、CN、CF3、CHF2、CH2F、NO2、SF5、SO2NHC1−8アルキル、SO2N(C1−8アルキル)2、SONHC1−8アルキル、SON(C1−8アルキル)2、CONHC1−8アルキル、CON(C1−8アルキル)2、N(C1−8アルキル)CONH(C1−8アルキル)、N(C1−8アルキル)CON(C1−8アルキル)2、NHCONH(C1−8アルキル)、NHCON(C1−8アルキル)2、NHCONH2、N(C1−8アルキル)SO2NH(C1−8アルキル)、N(C1−8アルキル)SO2N(C1−8アルキル)2、NHSO2NH(C1−8アルキル)、NHSO2N(C1−8アルキル)2、NHSO2NH2である。
ある特定の実施形態ではqは0以上の整数である。ある特定の実施形態ではqは1以上の整数である。
ある特定の実施形態では、例えば、qが2より大きい場合、AqはULM部分またはULM’部分に結合している基であり、A1およびAqはA構造単位を介して連結されている(そのようなA構造単位の数はq−2である)。
ある特定の実施形態では、例えば、qが2である場合、AqはA1とULM部分またはULM’部分に結合している基である。
ある特定の実施形態では、例えば、qが1である場合、リンカー基Lの構造は−A1−であり、A1はULM部分またはULM’部分とPTM部分に結合している基である。
追加の実施形態ではqは1から100まで、1から90まで、1から80まで、1から70まで、1から60まで、1から50まで、1から40まで、1から30まで、1から20まで、または1から10までの整数である。
ある特定の実施形態ではリンカー(L)は次のものからなる群より選択される:
追加の実施形態ではリンカー基は、1単位と約100単位の間のエチレングリコール単位、約1単位と約50単位の間のエチレングリコール単位、1単位と約25単位の間のエチレングリコール単位、約1単位と10単位の間のエチレングリコール単位、1単位と約8単位の間のエチレングリコール単位、および1単位と6単位の間のエチレングリコール単位、2単位と4単位の間のエチレングリコール単位を有する所望により置換されていてもよい(ポリ)エチレングリコールであるか、または所望により置換基を有していてもよいO原子、N原子、S原子、P原子、もしくはSi原子が中間に散在する、所望により置換されていてもよいアルキル基である。ある特定の実施形態ではリンカーはアリール、フェニル、ベンジル、アルキル、アルキレン、または複素環基で置換される。ある特定の実施形態ではリンカーは非対称的または対称的であり得る。
本明細書に記載される化合物の実施形態のいずれにおいても、リンカー基は本明細書に記載されるあらゆる適切な部分であり得る。1つの実施形態ではリンカーは、約1〜約12エチレングリコール単位、1単位と約10単位の間のエチレングリコール単位、約2〜約6エチレングリコール単位、約2単位と5単位の間のエチレングリコール単位、約2単位と4単位の間のエチレングリコール単位のサイズ範囲にわたる置換または非置換ポリエチレングリコール基である。
CLM(またはULM)基およびPTM基はリンカー化学にとって適切であり、且つ、安定したあらゆる基を介してリンカー基に共有結合してもよいが、本発明の好ましい態様において、リンカーは好ましくはアミド、エステル、チオエステル、ケト基、カルバメート(ウレタン)、炭素、またはエーテルを介してCLM基およびPTM基に独立して共有結合しており、それらの基の各々はそのCLM基のユビキチンリガーゼに対する結合、およびそのPTM基の分解標的タンパク質に対する結合を最大にするためにそのCLM基およびPTM基のどこかに挿入されてよい。(PTM基がULM基である特定の態様においてはユビキチンリガーゼ自体が分解標的タンパク質であり得ることに留意されたい)。ある特定の好ましい態様において、リンカーはCLM基および/またはPTM基上の所望により置換されていてもよいアルキル基、アルキレン基、アルケン基、またはアルキン基、アリール基、または複素環基に結合され得る。
ある特定の実施形態では「L」は次のような4個から24個までの直鎖原子を有する直鎖であって、その直鎖の炭素原子が酸素、窒素、アミド、フッ化炭素などで置換されてよい直鎖であり得る:
ある特定の実施形態では「L」は非直鎖であり得、且つ、脂肪族部分、または芳香族部分、または複素芳香族環状部分であり得、「L」の幾つかの例には、限定されないが、次のものが含まれ、
式中、上記構造中の「X」は2個から14個までの範囲の原子を有する直鎖であり得、およびその前述の鎖は酸素などのヘテロ原子を含有してよく、且つ、
上記構造中の「Y」はO、N、S(O)n(n=0、1、2)であり得る。
例となるPTM
本発明の好ましい態様において、PTM基は標的タンパク質に結合する基である。PTM基の標的は多種多様であり、それらは、少なくとも配列の一部が細胞内に見出され、且つ、PTM基に結合し得るような細胞内で発現されるタンパク質から選択される。「タンパク質」という用語は、本発明のPTM基に結合し得る充分な長さのオリゴペプチド配列およびポリペプチド配列を含む。真核生物系またはウイルス、細菌、もしくは真菌を含む微生物系のあらゆるタンパク質が本明細書において別途記載されるように本発明による化合物が媒介するユビキチン化の標的である。それらの標的タンパク質は真核生物のタンパク質であることが好ましい。ある特定の態様において、前記タンパク質結合部分はハロアルカンであり(少なくとも1つのハロ基で、好ましくはアルキル基の遠位末端に(すなわち、リンカーまたはCLM基から離れて)ハロ基で置換されているC1−C10アルキル基であることが好ましい)、そのハロアルカンが患者または対象中の脱ハロゲン酵素、または診断アッセイ中の脱ハロゲン酵素に共有結合し得る。
本発明のPTM基は、例えば、特異的にタンパク質に結合する(標的タンパク質に結合する)あらゆる部分を含み、多数の中でも次の非限定的な例の低分子標的タンパク質部分を含む:Hsp90阻害剤、キナーゼ阻害剤、HDM2およびMDM2阻害剤、ヒトBETブロモドメイン含有タンパク質標的化合物、HDAC阻害剤、ヒトリシンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、核内ホルモン受容体化合物、免疫抑制剤化合物、およびアリール炭化水素受容体(AHR)標的化合物。以下に記載される組成物はこれらの9種類の低分子標的タンパク質結合部分のメンバーの幾つかを例示する。そのような低分子標的タンパク質結合部分にはこれらの組成物の薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、溶媒和化合物、および多形体、ならびに目的のタンパク質を標的とし得る他の低分子も含まれる。これらの結合部分は、ユビキチン化と分解のためにユビキチンリガーゼの近傍に標的タンパク質(これにタンパク質標的部分が結合する)を提供するために好ましくはリンカーを介してユビキチンリガーゼ結合部分に結合される。
タンパク質標的部分またはPTM基に結合することができ、且つ、ユビキチンリガーゼが作用するか、またはユビキチンリガーゼによって分解されるあらゆるタンパク質が本発明による標的タンパク質である。概して、標的タンパク質は、例えば、構造タンパク質、受容体、酵素、細胞表面タンパク質、細胞の統合的機能に関連するタンパク質を含んでよく、それらには触媒活性、アロマターゼ活性、運動活性、ヘリケース活性、代謝過程(同化作用と異化作用)、抗酸化剤活性、タンパク質分解、生合成に関わるタンパク質;キナーゼ活性、酸化還元酵素活性、転移酵素活性、加水分解酵素活性、脱離酵素活性、異性化酵素活性、連結酵素活性、酵素調節因子活性、シグナル伝達酵素活性、構造分子活性、結合活性(タンパク質、脂質、炭水化物)、受容体活性、細胞運動性、膜融合、細胞間コミュニケーション、生物学的プロセスの調節、発生、細胞分化、刺激への応答を有するタンパク質;挙動関連タンパク質、細胞接着タンパク質、細胞死に関与するタンパク質、輸送に関与するタンパク質(タンパク質トランスポーター活性、核内輸送、イオントランスポーター活性、チャネルトランスポーター活性、担体活性、透過酵素活性、分泌活性、電子伝達体活性を含む)、発病、シャペロン調節因子活性、核酸結合活性、転写調節因子活性、細胞外構成および生合成活性、翻訳調節因子活性を有するタンパク質が含まれる。目的のタンパク質は、多くの中でも、薬物治療の標的としてのヒト、家畜化動物を含む他の動物、抗生物質および他の抗微生物剤の標的を決定するための微生物、および植物を含み、甚だしきはウイルスまでも含む真核生物および原核生物に由来するタンパク質を含むことができる。
さらに他の実施形態ではPTM基は、概してサイズが約1または2炭素長から約12炭素長、多くの場合に約2〜10炭素長、多くの場合に約3炭素長〜約8炭素長、より多くの場合に約4炭素長〜約6炭素長までの範囲にあるハロアルキル基である。それらのハロアルキル基は(分岐鎖アルキル基も使用され得るが)概して直鎖アルキル基であり、少なくとも1つのハロゲン基、好ましくは単一のハロゲン基、多くの場合に単一のクロリド基で末端封止されている。本発明において使用される基であるハロアルキルPTは、vが2から約12、多くの場合に約3から約8、より多くの場合に約4から約6までのあらゆる整数である化学構造−(CH2)v−ハロによって表されることが好ましい。ハロはあらゆるハロゲンであってよいが、好ましくはClまたはBrであり、より多くの場合にClである。
別の実施形態では本発明は化合物のライブラリーを提供する。そのライブラリーは、各組成がA−Bの式を有する化合物であって、式中、Aがユビキチン経路タンパク質結合部分(好ましくは本明細書における別段の開示のようなE3ユビキチンリガーゼ部分)であり、且つ、Bが分子ライブラリーのタンパク質結合メンバーであり、Aが(好ましくはリンカー部分を介して)Bに結合しており、そのユビキチン経路タンパク質結合部分がユビキチン経路タンパク質、特にセレブロンなどのE3ユビキチンリガーゼを認識する1種類より多くの化合物を含む。特定の実施形態ではそのライブラリーはランダムな標的タンパク質結合要素に結合した特異的セレブロンE3ユビキチンリガーゼ結合部分を含む(例えば、化学化合物ライブラリー)。したがって、標的タンパク質は前もって決定されておらず、推定上のタンパク質結合要素の活性とユビキチンリガーゼによる分解時の標的としてのその薬理学的値を決定するためにその方法を用いることができる。
本発明は、タンパク質が異常調節されており、且つ、タンパク質の分解から患者が利益を得るだろうあらゆる疾患状態および/または病状を含む多数の疾患状態および/または病状を治療するために用いられ得る。
追加の態様において、本明細書は、本明細書に記載される化合物またはその塩形態の有効量と薬学的に許容可能な担体、添加物または賦形剤、および所望により追加の生体活性剤を含む治療組成物を提供する。それらの治療組成物は患者または対象、例えば、ヒトなどの動物においてタンパク質分解を調節し、その分解タンパク質を介して調節される疾患状態または病状の治療または改善のために使用可能である。ある特定の実施形態では本明細書に記載される治療組成物は、疾患、例えば、癌の治療または改善のために目的のタンパク質の分解を達成するために使用され得る。ある特定の追加の実施形態ではその疾患は多発性骨髄腫である。
代替的態様において、本発明は、疾患状態または病状を調節するタンパク質またはポリペプチドの分解により、治療または改善を必要とする対象の疾患状態を治療するための、または疾患もしくは病気の症状を改善するための方法であって、本明細書において上に記載された少なくとも1つの化合物の有効量、例えば、治療有効量を薬学的に許容可能な担体、添加物、または賦形剤、および所望により追加の生体活性剤と組み合わせて投与することを含む方法であり、その組成物が前記対象の疾患または障害またはその症状の治療または改善に有効であることを特徴とする前記方法に関する。本発明によるその方法は、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物の有効量の投与によって癌を含む非常に多くの疾患状態または病状を治療するために用いられ得る。その疾患状態または病状はウイルス、細菌、真菌、原生動物、または他の微生物などの微生物因子または他の外来性因子によって引き起こされる疾患であり得、または疾患状態および/または病状につながるタンパク質の過剰発現によって引き起こされる疾患状態であり得る。
別の態様において、本明細書は本発明による化合物を使用した生体系における目的のタンパク質の分解の効果を特定するための方法を提供する。
「標的タンパク質」という用語は、本発明の化合物への結合、およびその下でのユビキチンリガーゼによる分解の標的であるタンパク質またはポリペプチドを説明するために用いられる。そのような低分子標的タンパク質結合部分にはこれらの組成物の薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、溶媒和化合物、および多形体、ならびに目的のタンパク質を標的とし得る他の低分子も含まれる。これらの結合部分はリンカー基Lを介してCLM基またはULM基に連結される。
タンパク質標的部分が結合し、且つ、ユビキチンリガーゼ結合部分に結合しているリガーゼによって分解され得る標的タンパク質にはあらゆるタンパク質またはペプチドが含まれ、それらの断片、それらの類似体、および/またはそれらの相同体が含まれる。標的タンパク質には、構造的機能または活性、調節的機能または活性、ホルモン機能または活性、酵素的機能または活性、遺伝学的機能または活性、免疫学的機能または活性、収縮、貯蔵、輸送、およびシグナル伝達を含むあらゆる生物学的機能または活性を有するタンパク質およびペプチドが含まれる。ある特定の実施形態ではそれらの標的タンパク質は構造タンパク質、受容体、酵素、細胞表面タンパク質、細胞の統合的機能に関連するタンパク質を含み、それらには触媒活性、アロマターゼ活性、運動活性、ヘリケース活性、代謝過程(同化作用と異化作用)、抗酸化剤活性、タンパク質分解、生合成に関わるタンパク質;キナーゼ活性、酸化還元酵素活性、転移酵素活性、加水分解酵素活性、脱離酵素活性、異性化酵素活性、連結酵素活性、酵素調節因子活性、シグナル伝達酵素活性、構造分子活性、結合活性(タンパク質、脂質、炭水化物)、受容体活性、細胞運動性、膜融合、細胞間コミュニケーション、生物学的プロセスの調節、発生、細胞分化、刺激への応答を有するタンパク質;挙動関連タンパク質、細胞接着タンパク質、細胞死に関与するタンパク質、輸送に関与するタンパク質(タンパク質トランスポーター活性、核内輸送、イオントランスポーター活性、チャネルトランスポーター活性、担体活性、透過酵素活性、分泌活性、電子伝達体活性を含む)、発病、シャペロン調節因子活性、核酸結合活性、転写調節因子活性、細胞外構成および生合成活性、翻訳調節因子活性を有するタンパク質が含まれる。目的のタンパク質は、多くの中でも、薬物治療の標的としてのヒト、微生物、ウイルス、真菌、および寄生生物を含む微生物、ウイルス、真菌、および寄生生物、家畜化動物を含む他の動物、抗生物質および他の抗微生物剤の標的を決定するための微生物、および植物を含み、甚だしきはウイルスまでも含む真核生物および原核生物に由来するタンパク質を含むことができる。
より具体的には、ヒト用治療薬の多数の薬品標的が、タンパク質標的部分が結合し得る、且つ、本発明による化合物に合体し得るタンパク質標的である。これらには多数の多遺伝子性疾患において機能を回復するために使用され得るタンパク質が含まれ、それらには、例えば、B7.1およびB7、TINFRlm、TNFR2、NADPHオキシダーゼ、BclIBaxおよびアポトーシス経路の他のパートナー、C5a受容体、HMG−CoAレダクターゼ、V型PDEホスホジエステラーゼ、4型ホスホジエステラーゼPDE IV、PDE I、PDEII、PDEIII、スクアレンサイクラーゼ阻害剤、CXCR1、CXCR2、一酸化窒素(NO)シンターゼ、シクロオキシゲナーゼ1、シクロオキシゲナーゼ2、5HT受容体、ドーパミン受容体、Gタンパク質すなわちGq、ヒスタミン受容体、5−リポオキシゲナーゼ、トリプターゼ・セリンプロテアーゼ、チミジル酸シンターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、トリパノソーマGAPDH、グリコーゲンホスホリラーゼ、炭酸脱水素酵素、ケモカイン受容体、JAW STAT、RXRおよび類似体、HIV 1プロテアーゼ、HIV 1インテグレース、インフルエンザウイルス・ノイラミニダーゼ、B型肝炎ウイルス・リバーストランスクリプターゼ、ナトリウムチャネル、多剤耐性(MDR)タンパク質、P糖タンパク質(およびMRP)、チロシンキナーゼ、CD23、CD124、チロシンキナーゼp56 lck、CD4、CD5、IL−2受容体、IL−1受容体、TNF−αR、ICAM1、Cat+チャネル、VCAM、VLA−4インテグリン、セレクチン、CD40/CD40L、ノイロキニンおよび受容体、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ、p38 MAPキナーゼ、RaslRaflMEWERK経路、インターロイキン−1変換酵素、カスパーゼ、HCV NS3プロテアーゼ、HCV NS3 RNAヘリケース、グリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ、ライノウイルス3Cプロテアーゼ、単純ヘルペスウイルス−1(HSV−I)プロテアーゼ、サイトメガロウイルス(CMV)プロテアーゼ、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ、サイクリン依存的キナーゼ、血管内皮細胞増殖因子、オキシトシン受容体、ミクロソーム転移タンパク質阻害剤、胆汁酸輸送阻害剤、5αレダクターゼ阻害剤、アンギオテンシン11、グリシン受容体、ノルアドレナリン再摂取受容体、エンドセリン受容体、ニューロペプチドYおよび受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、アデノシン受容体、アデノシンキナーゼおよびAMPデアミナーゼ、プリン作動性受容体(P2Y1、P2Y2、P2Y4、P2Y6、P2X1−7)、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ、NGFのTrkA受容体、β−アミロイド、チロシンキナーゼFlk−IIKDR、ビトロネクチン受容体、インテグリン受容体、Her−21 neu、テロメラーゼ阻害、細胞質ホスホリパーゼA2、およびEGF受容体チロシンキナーゼが含まれる。追加のタンパク質標的には、例えば、エクダイソン20−モノオキシゲナーゼ、GABA作動性塩素チャネルのイオンチャネル、アセチルコリンエステラーゼ、電位感受性ナトリウムチャネルタンパク質、カルシウム放出チャネル、および塩素チャネルが含まれる。さらにその他の標的タンパク質にはアセチル−CoAカルボキシラーゼ、アデニロコハク酸シンテターゼ、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ、およびエノールピルビルシキミ酸−リン酸シンターゼが含まれる。
ハロアルカン脱ハロゲン酵素は本発明による特定の化合物の別の標的である。クロロアルカンペプチド結合部分(C1−C12、多くの場合に約C2−C10のアルキルハロ基)を含有する本発明による化合物は、内容が参照により本明細書に援用される2012年6月14日に国際公開第2012/078559号パンフレットとして公開された2011年12月6日に提出された国際出願PCT/US2012/063401号明細書に記載されるような融合タンパク質または関連の診断用タンパク質に使用されるハロアルカン脱ハロゲン酵素を阻害および/または分解するために使用され得る。
これらの様々なタンパク質標的は、そのタンパク質に結合する化合物部分を特定するためのスクリーニングにおいて使用されてよく、本発明による化合物へのその部分の合体によりそのタンパク質の活性レベルが変化して治療最終結果に適したものになり得る。
「タンパク質標的部分」またはPTMという用語は、標的タンパク質または他の目的のタンパク質もしくはポリペプチドに結合し、ユビキチンリガーゼによるそのタンパク質またはポリペプチドの分解が起きるようにそのタンパク質またはポリペプチドをユビキチンリガーゼの近傍に配置/提供する低分子を説明するために使用される。低分子標的タンパク質結合部分の非限定的な例には、多くの中でも、Hsp90阻害剤、キナーゼ阻害剤、MDM2阻害剤、ヒトBETブロモドメイン含有タンパク質標的化合物、HDAC阻害剤、ヒトリシンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、免疫抑制剤化合物、およびアリール炭化水素受容体(AHR)標的化合物が含まれる。以下に記載される組成物はこれらの9種類の低分子標的タンパク質のメンバーの幾つかを例示する。
例となる本開示によるタンパク質標的部分にはハロアルカンハロゲナーゼ阻害剤、Hsp90阻害剤、キナーゼ阻害剤、MDM2阻害剤、ヒトBETブロモドメイン含有タンパク質標的化合物、HDAC阻害剤、ヒトリシンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、免疫抑制剤化合物、およびアリール炭化水素受容体(AHR)標的化合物が含まれる。
以下に記載される組成物はこれらの種類の低分子標的タンパク質結合部分のメンバーの幾つかを例示する。そのような低分子標的タンパク質結合部分にはこれらの組成物の薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、溶媒和化合物、および多形体、ならびに目的のタンパク質を標的とし得る他の低分子も含まれる。本明細書において下で引用される参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
I.ヒートショックプロテイン90(HSP90)阻害剤
本明細書において使用されるHSP90阻害剤には、限定されないが、次のものが含まれる。
1.Vallee, et al., 「Tricyclic Series of Heat Shock Protein 90 (HSP90) Inhibitors Part I: Discovery of Tricyclic Imidazo[4,5-C]Pyridines as Potent Inhibitors of the HSP90 Molecular Chaperone (2011) J.Med.Chem. 54: 7206」において特定されたものであって、YKB(N−[4−(3H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−2−イル)−9H−フルオレン−9−イル]−スクシンアミド)を含み、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えば末端アミド基を介して結合しているHSP90阻害剤。
2.HSP90阻害剤p54(改変型)(8−[(2,4−ジメチルフェニル)スルファニル]−3]ペント−4−イン−1−イル−3H−プリン−6−アミン)であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えば末端アセチレン基を介して結合しているもの。
3.Brough, et al., 「4,5-Diarylisoxazole HSP90 Chaperone Inhibitors: Potential Therapeutic Agents for the Treatment of Cancer", J.MED.CHEM. vol: 51, pag:196 (2008)」において特定されたものであって、次の構造を有する化合物2GJ(5−[2,4−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル]−n−エチル−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]イソオキサゾール−3−カルボキサミド)を含み、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えば(アミンにおいて、またはアミン上のアルキル基において)アミド基を介して結合しているHSP90阻害剤(改変型)。
4.Wright, et al., Structure-Activity Relationships in Purine-Based Inhibitor Binding to HSP90 Isoforms, Chem Biol. 2004 Jun;11(6):775-85において特定されたものであって、次の構造を有するHSP90阻害剤PU3を含み、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)が例えば、ブチル基を介して結合しているHSP90阻害剤(改変型)。および
5.HSP90阻害剤ゲルダナマイシン((4E,6Z,8S,9S,10E,12S,13R,14S,16R)−13−ヒドロキシ−8,14,19−トリメトキシ−4,10,12,16−テトラメチル−3,20,22−トリオキソ−2−アザビシクロ[16.3.1](誘導体化)またはあらゆるその誘導体(例えば17−アルキルアミノ−17−デスメトキシゲルダナマイシン(「17−AAG」)または17−(2−ジメチルアミノエチル)アミノ−17−デスメトキシゲルダナマイシン(「17−DMAG」))(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばアミド基を介して結合している)。
II.キナーゼおよびホスファターゼの阻害剤
本明細書において使用されるキナーゼ阻害剤には、限定されないが、次のものが含まれる。
1.エルロチニブ誘導体チロシンキナーゼ阻害剤であって、
Rが例えばエーテル基を介して結合しているリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
2.キナーゼ阻害剤スニチニブ(誘導体化)であって、
誘導体化されてRが例えばピロール部分に結合しているリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
3.キナーゼ阻害剤ソラフェニブ(誘導体化)であって、
誘導体化されてRが例えばアミド部分に結合しているリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
4.キナーゼ阻害剤デサチニブ(誘導体化)であって、
誘導体化されてRが例えばピリミジンに結合しているリンカー基Lまたは−(L−CLM)であるもの。
5.キナーゼ阻害剤ラパチニブ(誘導体化)であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばスルホニルメチル基の末端メチルを介して結合しているもの。
6.キナーゼ阻害剤U09−CX−5279(誘導体化)であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばアミン(アニリン)、カルボン酸またはアミンαを介してシクロプロピル基に、またはシクロプロピル基に結合しているもの。
7.Millan, et al., Design and Synthesis of Inhaled P38 Inhibitors for the Treatment of Chronic Obstructive Pulmonary Disease, J.MED.CHEM. vol:54, pag:7797 (2011)において特定されたキナーゼ阻害剤であって、次の構造を有するキナーゼ阻害剤Y1WおよびY1X(誘導体化)を含み、
YIX(1−エチル−3−(2−{[3−(1−メチルエチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル]スルファニル}ベンジル)ウレア、誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばiプロピル基を介して結合しており、
YIW
1−(3−tert−ブチル−1−フェニル−1H−ピラゾル−5−イル)−3−(2−{[3−(1−メチルエチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル]スルファニル}ベンジル)ウレア
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えば、好ましくはi−プロピル基またはt−ブチル基のどちらかを介して結合しているもの。
8.Schenkel, et al., Discovery of Potent and Highly Selective Thienopyridine Janus Kinase 2 Inhibitors J. Med. Chem., 2011, 54 (24), pp 8440-8450において特定されたキナーゼ阻害剤であって、次の構造を有する化合物6TPおよび0TP(誘導体化)を含み、
6TP
4−アミノ−2−[4−(tert−ブチルスルファモイル)フェニル]−N−メチルチエノ[3,2−c]ピリジン−7−カルボキサミド
チエノピリジン19
誘導体化されてリンカー基Lまたは-(L−CLM)基が例えばアミド部分に結合した末端メチル基を介して結合しており、
0TP
4−アミノ−N−メチル−2−[4−(モルホリン−4−イル)フェニル]チエノ[3,2−c]ピリジン−7−カルボキサミド
チエノピリジン8
誘導体化されてリンカー基Lまたは-(L−CLM)基が例えばアミド部分に結合した末端メチル基を介して結合しているキナーゼ阻害剤。
9.Van Eis, et al., 「2,6-Naphthyridines as potent and selective inhibitors of the novel protein kinase C isozymes」, Biorg. Med. Chem. Lett.2011 Dec 15;21(24):7367-72において特定されたキナーゼ阻害剤であって、次の構造を有するキナーゼ阻害剤07Uを含み、
07U
2−メチル−N〜1〜−[3−(ピリジン−4−イル)−2,6−ナフチリジン−1−イル]プロパン−1,2−ジアミン
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えば第二級アミンまたは末端アミノ基を介して結合しているキナーゼ阻害剤。
10.Lountos, et al., 「Structural Characterization of Inhibitor Complexes with Checkpoint Kinase 2 (Chk2), a Drug Target for Cancer Therapy」, J.STRUCT.BIOL. vol:176, pag:292 (2011)において特定されたキナーゼ阻害剤であって、次の構造を有するキナーゼ阻害剤YCFを含み、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えば末端ヒドロキシル基のどちらかを介して結合しているキナーゼ阻害剤。
11.Lountos, et al., 「Structural Characterization of Inhibitor Complexes with Checkpoint Kinase 2 (Chk2), a Drug Target for Cancer Therapy」, J.STRUCT.BIOL. vol:176, pag:292 (2011)において特定されたキナーゼ阻害剤であって、次の構造を有するキナーゼ阻害剤XK9およびNXP(誘導体化)を含み、
XK9
N−{4−[(1E)−N−(N−ヒドロキシカルバミミドイル)エタンヒドラゾノイル]フェニル}−7−ニトロ−1H−インドール−2−カルボキサミド;
NXP
N−{4−[(1E)−N−カルバミミドイルエタンヒドラゾノイル]フェニル}−1H−インドール−3−カルボキサミド
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えば末端ヒドロキシル基(XK9)またはヒドラゾン基(NXP)を介して結合しているキナーゼ阻害剤。
12.キナーゼ阻害剤アファチニブ(誘導体化)(N−[4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−7−[[(3S)−テトラヒドロ−3−フラニル]オキシ]−6−キナゾリニル]−4(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド)(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えば脂肪族アミン基を介して結合している)。
13.キナーゼ阻害剤ホスタマチニブ(誘導体化)([6−({5−フルオロ−2−[(3,4,5−トリメトキシフェニル)アミノ]ピリミジン−4−イル}アミノ)−2,2−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジン−4−イル]メチルリン酸二ナトリウム六水和物)(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばメトキシ基を介して結合している)。
14.キナーゼ阻害剤ゲフィチニブ(誘導体化)(N−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)キナゾリン−4−アミン)であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えば、メトキシ基またはエーテル基を介して結合しているもの。
15.キナーゼ阻害剤レンバチニブ(誘導体化)(4−[3−クロロ−4−(シクロプロピルカルバモイルアミノ)フェノキシ]−7−メトキシ−キノリン−6−カルボキサミド)(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばシクロプロピル基を介して結合している)。
16.キナーゼ阻害剤バンデタニブ(誘導体化)(N−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メトキシ−7−[(1−メチルピペリジン−4−イル)メトキシ]キナゾリン−4−アミン)(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばメトキシ基またはヒドロキシル基を介して結合している)。
17.キナーゼ阻害剤ベムラフェニブ(誘導体化)(プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミド)、誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばスルホニルプロピル基を介して結合している。
18.キナーゼ阻害剤グリベック(誘導体化)であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基としてのRが例えばアミド基を介して、またはアニリンアミン基を介して結合しているもの。
19.キナーゼ阻害剤パゾパニブ(誘導体化)(VEGFR3阻害剤)であって、
誘導体化されてRが例えばフェニル部分に、またはアニリンアミン基を介して結合したリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
20.キナーゼ阻害剤AT−9283(誘導体化)オーロラキナーゼ阻害剤であって、
Rが例えばフェニル部分に結合したリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
21.キナーゼ阻害剤TAE684(誘導体化)ALK阻害剤であって、
Rが例えばフェニル部分に結合したリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
22.キナーゼ阻害剤ニロタニブ(誘導体化)Abl阻害剤であって、
誘導体化されてRが例えばフェニル部分またはアニリンアミン基に結合したリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
23.キナーゼ阻害剤NVP−BSK805(誘導体化)JAK2阻害剤であって、
誘導体化されてRが例えばフェニル部分またはジアゾール基に結合したリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
24.キナーゼ阻害剤クリゾチニブ誘導体化Alk阻害剤であって、
誘導体化されてRが例えばフェニル部分またはジアゾール基に結合したリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
25.キナーゼ阻害剤JNJ FMS(誘導体化)阻害剤であって、
誘導体化されてRが例えばフェニル部分に結合したリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
26.キナーゼ阻害剤フォレチニブ(誘導体化)Met阻害剤であって、
誘導体化されてRが例えばフェニル部分またはキノリン部分上のヒドロキシル基もしくはエーテル基に結合したリンカー基Lまたは−(L−CLM)基であるもの。
27.アロステリックプロテインチロシンホスファターゼ阻害剤PTP1B(誘導体化)であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が、例えば、表示されているようにRにおいて結合しているもの。
28.チロシンホスファターゼのSHP−2ドメインの阻害剤(誘導体化)であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばRにおいて結合しているもの。
29.BRAF(BRAFV600E)/MEKの阻害剤(誘導体化)であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばRにおいて結合しているもの。
30.チロシンキナーゼABLの阻害剤(誘導体化)であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばRにおいて結合しているもの。
31.キナーゼ阻害剤OSI−027(誘導体化)mTORC1/2阻害剤であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばRにおいて結合しているもの。
32.キナーゼ阻害剤OSI−930(誘導体化)c−Kit/KDR阻害剤であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばRにおいて結合しているもの。および
33.キナーゼ阻害剤OSI−906(誘導体化)IGF1R/IR阻害剤であって、
誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばRにおいて結合しているもの。
第I節〜第XVII節に記載されている実施形態のいずれにおいても「R」はピペラジン部分上でのリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す。
III.HDM2/MDM2阻害剤
本明細書において使用されるHDM2/MDM2阻害剤には、限定されないが、次のものが含まれる。
1.Vassilev, et al., In vivo activation of the p53 pathway by small-molecule antagonists of MDM2, SCIENCE vol:303, pag:844-848 (2004)、およびSchneekloth, et al., Targeted intracellular protein degradation induced by a small molecule: En route to chemical proteomics, Bioorg. Med. Chem. Lett. 18 (2008) 5904-5908において特定されたHDM2/MDM2阻害剤であって、以下に記載される化合物ナトリン−3、ナトリン−2、およびナトリン−1(誘導体化)、ならびにそれらの全ての誘導体および類似体を(追加的に)含む前記阻害剤。
(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばメトキシ基において、またはヒドロキシル基として結合している)、
(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばメトキシ基またはヒドロキシル基において結合している)、
(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばメトキシ基を介して、またはヒドロキシル基として結合している)。および
2.トランス−4−ヨード−4’−ボラニル−カルコン
(誘導体化されてリンカー基Lまたはリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばヒドロキシ基を介して結合している)。
IV.ヒトBETブロモドメイン含有タンパク質を標的とする化合物
ある特定の実施形態では「PTM」はブロモおよびエクストラターミナル(BET)タンパク質BRD2、BRD3およびBRD4に結合するリガンドであり得る。ヒトBETブロモドメイン含有タンパク質標的化合物の例には、限定されないが、それらの標的と結合する以下に記載されるような化合物が含まれ、式中、「R」または「リンカー」はリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す。
1.Filippakopoulos et al. Selective inhibition of BET bromodomains. Nature (2010)に記載のJQ1。
2.Nicodeme et al. Supression of Inflammation by a Synthetic Histone Mimic. Nature (2010)、およびChung et al. Discovery and Characterization of Small Molecule Inhibitors of the BET Family Bromodomains. J. Med Chem. (2011)に記載のI−BET。
3.Hewings et al. 3,5-Dimethylisoxazoles Act as Acetyl-lysine Bromodomain Ligands. J. Med. Chem. (2011) 54 6761-6770に記載の化合物。
4.Dawson et al. Inhibition of BET Recruitment to Chromatin as an Efective Treatment for MLL-fusion Leukemia. Nature (2011)に記載のI−BET151。
5.カルバゾール型化合物(米国特許出願公開第2015/0256700号)。
6.ピロロピリドン型化合物(米国特許出願公開第2015/0148342号)。
7.テトラヒドロキノリン型化合物(国際公開第2015/074064号)。
8.トリアゾロピラジン型化合物(国際公開第2015/067770号)。
9.ピリドン型化合物(国際公開第2015/022332号)。
10.キナゾリン型化合物(国際公開第2015/015318号)。
11.ジヒドロピリドピラジノン型化合物(国際公開第2015/011084号)。
(各例においてRまたはLまたはリンカーは、例えば、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。
セレブロンリガンドを使用する次のキメラ分子はBET PROTACの代表例である。本発明において説明される方法は、これらの例に限定されない。
V. HDAC阻害剤
HDAC阻害剤(誘導体化)には、限定されないが、次のものが含まれる。
1.Finnin, M. S. et al. Structures of Histone Deacetylase Homologue Bound to the TSA and SAHA Inhibitors. Nature 40, 188-193 (1999)に記載のもの。
(誘導体化されて「R」は、例えば、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。および
2.PCT国際公開第0222577号パンフレット(「DEACETYLASE INHIBITORS」)の式(I)によって規定される化合物(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばヒドロキシル基を介して結合しているもの)。
VI.ヒトリシンメチルトランスフェラーゼ阻害剤
ヒトリシンメチルトランスフェラーゼ阻害剤には、限定されないが、次のものが含まれる。
1.Chang et al. Structural Basis for G9a-Like protein Lysine Methyltransferase Inhibition by BIX-1294. Nat. Struct. Biol. (2009) 16(3) 312に記載のもの。
(誘導体化されて「R」は、例えば、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。
2.Liu, F. et al Discovery of a 2,4-Diamino-7-aminoalkoxyquinazoline as a Potent and Selective Inhibitor of Histone Methyltransferase G9a. J. Med. Chem. (2009) 52(24) 7950に記載のもの。
(誘導体化されて「R」は、例えば、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基の潜在的な結合部位を示す)。
3.アザシチジン(誘導体化)(4−アミノ−1−β−D−リボフラノシル−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン)(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばヒドロキシ基またはアミノ基を介して結合している)。および
4.デシタビン(誘導体化)(4−アミノ−1−(2−デオキシ−b−D−エリスロ−ペントフラノシル)−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン)(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばどちらかのヒドロキシ基を介して、またはアミノ基において結合している)。
VII.血管新生阻害剤
血管新生阻害剤には、限定されないが、次のものが含まれる。
1.Sakamoto, et al., Development of Protacs to target cancer-promoting proteins for ubiquitination and degradation, Mol Cell Proteomics 2003 Dec;2(12):1350-8に記載される構造を有し、且つ、リンカーに結合するGA−1(誘導体化)ならびにその誘導体および類似体。
2.Rodriguez-Gonzalez, et al., Targeting steroid hormone receptors for ubiquitination and degradation in breast and prostate cancer, Oncogene (2008) 27, 7201-7211に概ね記載される通りのエストラジオール(誘導体化)であって、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基に結合し得るもの。
3.Sakamoto, et al., Development of Protacs to target cancer-promoting proteins for ubiquitination and degradation, Mol Cell Proteomics 2003 Dec; 2(12):1350-8に概ね記載される構造を有し、且つ、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基に結合するDHTならびにその誘導体および類似体を含むがこれらに限定されないエストラジオール、テストステロン(誘導体化)、および関連の誘導体。および
4.Sakamoto, et al., Protacs: chimeric molecules that target proteins to the Skp1-Cullin-F box complex for ubiquitination and degradation Proc Natl Acad Sci USA. 2001 Jul 17;98(15):8554-9および米国特許第7208157号明細書に概ね記載される構造を有し、且つ、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基に結合するオバリシン、フマギリン(誘導体化)、ならびにその誘導体および類似体。
VIII.免疫抑制剤化合物
免疫抑制剤化合物には、限定されないが、次のものが含まれる。
1.Schneekloth, et al., Chemical Genetic Control of Protein Levels: Selective in Vivo Targeted Degradation, J. AM. CHEM. SOC. 2004, 126, 3748-3754に概ね記載される構造を有し、且つ、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基に結合するAP21998(誘導体化)。
2.グルココルチコイド(例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニソロン、およびメチルプレドニソロン)(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばヒドロキシルのいずれかに結合している)およびベクトメタゾンジプロピオネート(誘導体化されてリンカー基または−(L−CLM)が例えばプロピオネートに結合している)。
3.メトトレキサート(誘導体化されてリンカー基または−(L−CLM)基が例えばどちらかの末端ヒドロキシルに結合され得る)。
4.シクロスポリン(誘導体化されてリンカー基または−(L−CLM)基が例えばブチル基のいずれかにおいて結合され得る)。
5.タクロリムス(FK−506)およびラパマイシン(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばメトキシ基のうちの1つにおいて結合され得る)。および
6.アクチノマイシン類(誘導体化されてリンカー基Lまたは−(L−CLM)基が例えばイソプロピル基のうちの1つにおいてに結合され得る)。
IX.アリール炭化水素受容体(AHR)標的化合物
アリール炭化水素受容体(AHR)標的化合物には、限定されないが、次のものが含まれる。
1. アピゲニン(Lee, et al., Targeted Degradation of the Aryl Hydrocarbon Receptor by the PROTAC Approach: A Useful Chemical Genetic Tool, ChemBioChem Volume 8, Issue 17, pages 2058-2062, November 23, 2007において概ね例示されているようにリンカー基Lまたは−(L−CLM)基に結合するように誘導体化されている)。および
2.Boitano, et al., Aryl Hydrocarbon Receptor Antagonists Promote the Expansion of Human Hematopoietic Stem Cells, Science 10 September 2010: Vol. 329 no. 5997 pp. 1345-1348に記載されるSR1およびLGC006(リンカー基Lまたは−(L−CLM)を結合するように誘導体化されている)。
X.RAF(キナーゼ)受容体を標的とする化合物
PLX4032
(誘導体化されて「R」は、例えば、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。
XI.FKBPを標的とする化合物
(誘導体化されて「R」は、例えば、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。
XII.アンドロゲン受容体(AR)を標的とする化合物
1.アンドロゲン受容体のRU59063リガンド(誘導体化)
(誘導体化されて「R」は、例えば、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。
2.アンドロゲン受容体のSARMリガンド(誘導体化)
(誘導体化されて「R」は、例えば、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。
3.アンドロゲン受容体リガンドDHT(誘導体化)
(誘導体化されて「R」は、例えば、リンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。
4.MDV3100リガンド(誘導体化)
5.ARN−509リガンド(誘導体化)
6.ヘキサヒドロベンズイソオキサゾール類
7.テトラメチルシクロブタン類
XIII.エストロゲン受容体(ER)を標的とする化合物ICI−182780
1.エストロゲン受容体リガンド
(誘導体化されて「R」はリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。
XIV.甲状腺ホルモン受容体(TR)を標的とする化合物
1.甲状腺ホルモン受容体リガンド(誘導体化)
(誘導体化されて「R」はリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示し、MOMOはメトキシメトキシ基を示す)。
XV.HIVプロテアーゼを標的とする化合物
1.HIVプロテアーゼの阻害剤(誘導体化)
(誘導体化されて「R」はリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。J. Med. Chem. 2010, 53, 521-538を参照されたい。
2.HIVプロテアーゼの阻害剤
(誘導体化されて「R」はリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の潜在的な結合部位を示す)。J. Med. Chem. 2010, 53, 521-538を参照されたい。
XVI.HIVインテグレースを標的とする化合物
1.HIVインテグレースの阻害剤(誘導体化)
(誘導体化されて「R」はリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。J. Med. Chem. 2010, 53, 6466を参照されたい。
2.HIVインテグレースの阻害剤(誘導体化)
3.HIVインテグレースの阻害剤アイセントレス(誘導体化)
(誘導体化されて「R」はリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。J. Med. Chem. 2010, 53, 6466を参照されたい。
XVII.HCVプロテアーゼを標的とする化合物
1.HCVプロテアーゼの阻害剤(誘導体化)
(誘導体化されて「R」はリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。
XVIII.アシルプロテインチオエステラーゼ−1および−2(APT1およびAPT2)を標的とする化合物
1.APT1およびAPT2の阻害剤(誘導体化)
(誘導体化されて「R」はリンカー基Lまたは−(L−CLM)基の結合部位を示す)。Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 9838 -9842を参照されたい。本明細書において別途記載されるように−(L−CLM)がCLM基をPTM基に結合するように、Lは本明細書において別途記載されたリンカー基であり、CLM基は本明細書において別途記載されている通りである。
治療組成物
本開示の追加の態様は、少なくとも1つの本明細書に記載される二官能性化合物の有効量および別途本明細書に記載される化合物のうちの全て有効量である1つ以上の混合物を薬学的に有効量の担体、添加物または賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物である。
本開示には、該当する場合は本明細書に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩、特に、酸付加塩または塩基付加塩を含む組成物が含まれる。この態様によると有用である前述の塩基化合物の薬理学的に許容可能な酸付加塩を調製するために使用される酸は、無毒の酸付加塩、すなわち、多くの中でも、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、重酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩[すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3ナフトエート)塩]などの薬理的に許容可能なアニオンを含む塩を形成する酸である。
薬学的に許容可能な塩基付加塩も薬学的に許容可能な塩形態の本開示による化合物または誘導体を作製するために用いられ得る。もともと酸性である本化合物の薬学的に許容可能な塩基塩を調製するための試薬として使用され得る化学塩基は、そのような化合物と無毒の塩基塩を形成する塩基である。そのような無毒の塩基塩には、何よりも、アルカリ金属カチオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属カチオン(例えば、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウム)、N−メチルグルカミン−(メグルミン)などのアンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、および低級アルカノールアンモニウムおよび薬学的に許容可能な有機アミンの他の塩基塩などの薬学的に許容可能なカチオンに由来する塩基塩が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載される化合物は、本開示に従うと、経口経路、非経口経路、または局所経路によって単回用量または分割用量で投与されてよい。その活性化合物の投与は連続的投与(静脈持続注入)から1日に数回の(例えば1日に4回の)経口投与まで変化してよく、それには数ある投与経路の中でも経口投与、局所投与、非経口投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮下投与、経皮投与(透過性増強剤が含まれ得る)、バッカル投与、舌下投与、および坐剤投与が含まれ得る。経口投与経路からの本化合物の生物学的利用率を向上させるために腸溶性コーティング経口錠剤を使用してもよい。最も有効な剤形は選択した特定の薬剤の薬物動態学ならびに患者の疾患の重症度に依存する。鼻内投与、気管内投与、または肺内投与のためのスプレー剤、ミスト剤、またはエアロゾル剤としての本開示の化合物の投与を用いてもよい。したがって、本開示は所望により薬学的に許容可能な担体、添加物、または賦形剤と組み合わせて本明細書に記載される化合物の有効量を含む医薬組成物にも関する。本開示の化合物は即放剤形、中間放出剤形、または持続もしくは制御放出剤形で投与されてよい。持続または制御放出剤形は経口投与されることが好ましいが、坐剤および経皮または他の局所剤形でも投与される。化合物の放出を注射部位において制御する、または持続させるためにリポソーム剤形での筋肉内注射を用いてもよい。
本明細書に記載される組成物は1つ以上の薬学的に許容可能な担体を使用して従来的に製剤されてよく、制御放出製剤として投与されてもよい。これらの医薬組成物に使用され得る薬学的に許容可能な担体にはイオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝性物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水;硫酸プロラミン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩または電解質;コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載される組成物は経口投与により、非経口投与により、吸入スプレーによる投与により、局所投与により、直腸投与により、鼻噴投与により、バッカル投与により、膣内投与により、または埋め込み式リザーバーを介して投与され得る。本明細書において使用される「非経口」という用語には皮下、静脈内、筋肉内、関節内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、傷害内、および頭蓋内の注射または点滴技術が含まれる。本組成物は経口投与、腹腔内投与、または静脈内投与により投与されることが好ましい。
本明細書に記載される組成物の無菌注射剤形は水性懸濁液でも油性懸濁液でもよい。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して当技術分野において知られている技術に従って製剤され得る。その無菌注射調製物は無毒で非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒の中の、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としての無菌注射溶液または懸濁液であってもよい。許容可能なベヒクルおよび溶媒の中でも水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液が使用可能である。さらに、無菌不揮発性油が溶媒または懸濁媒体として従来的に使用される。この目的のため、合成モノまたはジ−グリセリドを含むあらゆるブランドの不揮発性油を使用してもよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはひまし油などの天然の薬学的に許容可能な油が特にそれらのポリオキシエチル化型であるときにそうであるように、注射可能物の調製に有用である。これらの油性溶液または懸濁液はスイス薬局方または類似のアルコールなどの長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有してもよい。
本明細書に記載される医薬組成物は、限定されないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤、または水剤を含むあらゆる経口的に許容可能な剤形で経口投与され得る。経口使用向けの錠剤の場合、一般的に使用される担体にはラクトースおよびコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も一般的に添加される。カプセル剤形での経口投与ために有用な希釈剤にはラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁剤が経口使用に要求される場合、その活性成分は乳化剤および懸濁剤と混合される。希望に応じてある特定の甘味剤、芳香剤、または着色剤を添加してもよい。
あるいは、本明細書に記載される医薬組成物は直腸内投与向けの坐剤の形態で投与され得る。これらは、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって、直腸内で融解してその薬品を放出する適切な非刺激性賦形剤とその薬剤を混合することにより調製され得る。そのような材料にはココアバター、蜜蝋、およびポリエチレングリコールが含まれる。
本明細書に記載される医薬組成物は局所投与されてもよい。適切な局所製剤はこれらの領域または器官の各々に向けて容易に調製される。下部腸管への局所適用は直腸坐剤製剤(上を参照)または適切な直腸投与製剤で達成され得る。局所的に許容可能な経皮パッチを使用してもよい。
局所適用のために本医薬組成物は、1つ以上の担体中に懸濁または溶解された活性成分を含有する適切な軟膏に製剤され得る。本発明の化合物の局所投与のための担体には鉱物油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水が含まれるが、これらに限定されない。本発明のある特定の好ましい態様において、本化合物は、患者内のステントに閉塞が起こる可能性を阻害する、または減少させるために患者に外科的に移植される予定のステント上に被覆されてよい。
あるいは、本医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体中に懸濁または溶解された活性成分を含有する適切なローションまたはクリームに製剤され得る。適切な担体には鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が含まれるが、これらに限定されない。
眼科使用のため、本医薬組成物は、ベンジルアルコニウムクロリドなどの保存料を含むか、または含まない等張性pH調節済み無菌生理食塩水中の微粒子懸濁剤として、または好ましくは等張性pH調節済み無菌生理食塩水中の水剤として製剤され得る。あるいは、眼科使用のため、本医薬組成物はワセリンなどの軟膏状に製剤され得る。
本明細書に記載される医薬組成物は鼻エアロゾルまたは吸入によって投与されてもよい。そのような組成物は医薬製剤の技術分野においてよく知られている技術に従って調製され、それらはベンジルアルコールまたは他の適切な保存料、生物学的利用率を向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して生理食塩中の溶液として調製され得る。
単一の剤形を作製するために担体材料と混合され得る本明細書に記載される医薬組成物中の化合物の量は治療を受ける宿主および疾患、特定の投与モードに応じて変化する。好ましくは、それらの組成物は約0.05ミリグラム〜約750ミリグラムの間またはそれ以上、より好ましくは約1ミリグラム〜約600ミリグラムの間、およびさらにより好ましくは約10ミリグラム〜約500ミリグラムの間の活性成分を単独で、または少なくとも1つの本発明に従う他の化合物と組み合わせて含有するように製剤される必要がある。
どの特定の患者向けの特定の投与量および治療計画も、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、排泄率、薬品の組合せ、および治療担当医の判断、および治療を受けている特定の疾患または病気の重症度を含む様々な因子に左右されることも理解する必要がある。
本明細書に記載される方法による化合物を使用する治療を必要とする患者または対象は、所望により薬学的に許容可能な担体または希釈剤中の本発明による化合物の薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物、または多形体を含むその化合物の有効量を単独で、または本明細書において別途特定される他の公知の赤血球生成刺激剤と組み合わせてその患者(対象)に投与することにより治療され得る。
これらの化合物は、液体剤形、クリーム剤形、ゲル剤形、または固体剤形で、またはエアロゾル剤形によりあらゆる適切な経路で、例えば、経口投与により、非経口投与により、静脈内投与により、皮内投与により、皮下投与により、または経皮投与を含む局所投与により投与され得る。
本活性化合物は、治療を受ける患者に重篤な毒性効果を引き起こさずに所望の適応症の治療有効量をその患者に送達するために充分な量で薬学的に許容可能な担体または希釈剤に含まれる。本明細書において言及された病状の全てのための本活性化合物の好ましい用量は約10ng/kg〜300mg/kg、好ましくは一日当たり0.1〜100mg/kg、より一般的には一日に受容者/患者の体重1キログラム当たり0.5〜約25mgの範囲にある。典型的な局所投与量は適切な担体中に0.01〜5%(重量/重量)までの範囲になる。
本化合物は従来、単位剤形当たり1mg未満、1mg〜3000mg、好ましくは5〜500mgの活性成分を含有する単位剤形を含むあらゆる適切な単位剤形で投与される。約25〜250mgの経口投与量が多くの場合に利用しやすい。
本活性成分は約0.00001〜30mM、好ましくは約0.1〜30μMのその活性化合物のピーク血漿濃度を達成するように投与されることが好ましい。これは、例えば、所望により生理食塩水または水性媒体中の本活性成分の溶液または製剤の静脈内注射によるか、またはその活性成分のボーラスとして投与されて達成され得る。経口投与は活性薬剤の血漿濃度を有効にするためにも適切である。
薬品組成物中の活性化合物の濃度はその薬品の吸収、分布、不活化、および排出率、ならびに当業者に知られている他の因子によって左右される。投与量の値も緩和される症状の重症度によって変化することに留意されたい。あらゆる特定の対象にとって、個々の要求と本組成物を投与する、またはその投与を監督する専門家による判断によって経時的に特定の投与計画を調節する必要があること、および本明細書において示される濃度範囲は例示だけを目的としており、本請求の組成物の範囲または実施を限定することを意図していないことがさらに理解される必要がある。本活性成分は一度に投与されてもよく、または多数のより小さい用量に分割して様々な投与間隔で投与されてもよい。
経口組成物は概ね不活性希釈剤または食用担体を含むことになる。それらはゼラチンカプセルに封入されても錠剤に圧縮されてもよい。経口治療投与の目的のため、本活性化合物またはそのプロドラッグ誘導体を賦形剤と混合し、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形態で使用することができる。薬学的に適合可能な結合剤および/またはアジュバント材を本組成物の一部として含めることができる。
その錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤等は次の成分、または類似の性質を持つ化合物のうちのいずれかを含有することができる:ミクロクリスタリンセルロース、トラガカントガム、またはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、プリモゲル、またはコーンスターチなどの分散剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステローテなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料などの芳香剤。投薬単位剤形がカプセルであるとき、それは上記の種類の物質に加えて脂肪油などの液体担体を含有することができる。さらに、投薬単位剤形はその投薬単位の物理的形態を改変する様々な他の材料、例えば、糖衣、シェラック、または腸溶剤を含有することができる。
本活性化合物または薬学的に許容可能なその塩はエリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェハー剤、チューインガム剤などの成分として投与され得る。シロップ剤は本活性化合物に加えて甘味剤としてのショ糖およびある特定の保存料、色素、および着色剤と芳香剤を含有してよい。
本活性化合物または薬学的に許容可能なその塩は、何よりもEPOおよびダルベポエチンαを含むエリスロポエチン刺激剤などの所望の作用を損なうことが無い他の活性物質と、または所望の作用を追加する材料と混合されてもよい。本発明のある特定の好ましい態様において、1つ以上の本発明による化合物が本明細書において別途記載されるようにエリスロポエチン刺激剤または抗生物質を含む創傷治癒剤などの別の生体活性剤と共投与される。
非経口適用、皮内適用、皮下適用、または局所適用のために使用される水剤または懸濁剤は次の成分を含むことができる:注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはブドウ糖などの等張性調節剤。非経口調製物はガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、または複数投与用バイアルに封入され得る。
静脈内投与される場合、好ましい担体は生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
1つの実施形態では本活性化合物は、移植物およびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤など、体からの急速な排出からその化合物を守る担体と共に調製される。エチレンビニル酢酸、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生物分解性生体適合性高分子を使用することができる。そのような製剤の調製方法は当業者に明らかになる。
リポソーム懸濁系も薬学的に許容可能な担体であり得る。これらは当業者に知られている方法に従って、例えば、米国特許第4522811号明細書(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されるように調製され得る。例えば、リポソーム製剤は、適切な脂質(ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリン、およびコレステロールなど)を無機溶媒に溶解し、次にその無機溶媒を蒸発させ、容器の表面に乾燥した脂質の薄膜を残すことにより調製され得る。次に本活性化合物の水性溶液をその容器に導入する。次にその容器を手でぐるぐる回してその容器の側面から脂質材料を解放し、脂質凝集物を分散し、それによりリポソーム懸濁系を形成する。
治療方法
追加の態様において、本明細書は、本明細書に記載される化合物またはその塩形態の有効量と薬学的に許容可能な担体を含む治療組成物を提供する。それらの治療組成物は患者または対象、例えば、ヒトなどの動物においてタンパク質分解を調節し、その分解タンパク質を介して調節される疾患状態または病状の治療または改善のために使用可能である。
「治療する」、「治療すること」、および「治療」等の用語は、本明細書において使用される場合、本化合物が結合するタンパク質を介して調節されるあらゆる疾患状態または病状の治療を含む、本化合物を投与する場合があるその利益を患者に与えるあらゆる活動を指す。本発明による化合物を使用して治療される場合がある癌を含む疾患状態または病状は本明細書において上で示されている。
本明細書は疾患、例えば、癌の治療または改善のために目的のタンパク質の分解を達成するための本明細書に記載される治療組成物を提供する。ある特定の追加の実施形態ではその疾患は多発性骨髄腫である。したがって、別の態様において、本明細書は細胞中の標的タンパク質をユビキチン化/分解する方法を提供する。ある特定の実施形態ではその方法は、本明細書における別段の記載のようにリンカー部分を介して連結されていることが好ましいCLMとPTMを例えば備える本明細書に記載される二官能性化合物を投与することを含み、その化合物ではそのCLMがそのPTMに結合しており、その方法ではそのCLMがユビキチン経路タンパク質(例えば、ユビキチンリガーゼ、好ましくはE3ユビキチンリガーゼ、例えば、セレブロンなど)を認識し、そのユビキチンリガーゼの近傍に標的タンパク質が配置されるとその標的タンパク質の分解が生じるようにそのPTMが標的タンパク質を認識し、それによりその標的タンパク質が分解され、その効果が阻害され、タンパク質レベルが制御される。本発明によって加えられるタンパク質レベルの制御により疾患状態または病状が治療され、その疾患状態または病状は細胞、例えば患者の細胞中の標的タンパク質のレベル低下によりそのタンパク質を介して調節される。ある特定の実施形態ではその方法は、所望により薬学的に許容可能な賦形剤、担体、アジュバント、別の生体活性剤、またはそれらの組合せを含む本明細書に記載される化合物の有効量を投与することを含む。
追加の実施形態では本明細書は、対象または患者、例えば、ヒトなどの動物において疾患、障害またはその症状を治療または改善するための方法であって、本明細書に記載される化合物またはその塩形態の有効量、例えば、治療有効量と薬学的に許容可能な賦形剤、担体、アジュバント、別の生体活性剤、またはそれらの組合せを含み、その対象の疾患または障害またはその症状を治療または改善するために有効である組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む前記方法を提供する。
別の態様において、本明細書は本発明による化合物を使用した生体系における目的のタンパク質の分解の効果を特定するための方法を提供する。
別の実施形態では本発明は、タンパク質を介して調節され、そのタンパク質の分解によって治療効果が治療を必要とするヒト患者に生じる疾患状態または病状について治療するための方法であって、本発明の化合物の有効量を所望により別の生体活性剤と組み合わせて必要な患者に投与することを含む前記方法に関する。その疾患状態または病状はウイルス、細菌、真菌、原生動物、または他の微生物などの微生物因子または他の外来性因子によって引き起こされる疾患であり得、または疾患状態および/または病状につながるタンパク質の過剰発現によって引き起こされる疾患状態であり得る。
「疾患状態または病状」という用語は、タンパク質の異常調節(すなわち、患者において発現されるタンパク質の量が増加している)が起きており、且つ、患者での1つ以上のタンパク質の分解により必要とする患者に有益な治療または症状からの解放を与えることができるあらゆる疾患状態または病状を説明するために使用される。ある特定の例ではその疾患状態または病状は治癒可能である。
本発明による化合物を使用して治療され得る病状の疾患状態には、例えば、喘息、多発性硬化症などの自己免疫疾患、様々な癌、繊毛関連疾患、口蓋裂、糖尿病、心臓病、高血圧、炎症性腸疾患、知的障害、気分障害、肥満、屈折異常症、不稔、エンジェルマン症候群、カナバン病、セリアック病、シャルコー・マリー・トゥース病、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ヘモクロマトーシス、血友病、クラインフェルター症候群、神経線維腫症、フェニルケトン尿症、多発性嚢胞腎(PKD1)または4(PKD2)、プラダー・ウィリ症候群、鎌状赤血球症、テイ・サックス病、ターナー症候群が含まれる。
本発明による化合物を使用して治療され得るその他の疾患状態または病状にはアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)、神経性無食欲症、不安障害、アテローム性動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、自閉症、双極性障害、慢性疲労症候群、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、冠動脈疾患、認知症、鬱、1型糖尿病、2型糖尿病、てんかん、ギラン・バレー症候群、過敏性腸症候群、狼瘡、メタボリックシンドローム、多発性硬化症、心筋梗塞、肥満、強迫性障害、パニック障害、パーキンソン病、乾癬、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス、精神分裂病、脳卒中、閉塞性血栓性血管炎、トゥレット症候群、脈管炎が含まれる。
本発明による化合物によって治療され得るさらに追加の疾患状態または病状には、何よりも、無セルロプラスミン血症、軟骨無発生症2型、軟骨発育不全症、尖頭症、2型ゴーシェ病、急性間欠性ポルフィリア、カナバン病、大腸腺腫性ポリポーシス、ALA脱水酵素欠損症、アデニロコハク酸リアーゼ欠損症、副腎性器症候群、副腎白質ジストロフィー、ALA−Dポルフィリン症、ALA脱水酵素欠損症、アルカプトン尿症、アレキサンダー病、アルカプトン尿性組織褐変症、α1−アンチトリプシン欠乏症、α−1プロテイナーゼインヒビトー、肺気腫、筋萎縮性側索硬化症アルストレム症候群、アレキサンダー病、エナメル質形成不全症、ALA脱水酵素欠損症、アンダーソン・ファブリー病、アンドロゲン不感性症候群、びまん性体幹被角血管腫性貧血、網膜血管腫症(フォン・ヒッペル・リンドウ病)アペール症候群、クモ状指趾症(マルファン症候群)、スティックラー症候群、先天性多発性関節弛緩症(エーラス・ダンロス症候群関節弛緩型)毛細血管拡張性運動失調症、レット症候群、原発性肺高血圧、サンドホフ病、神経線維腫症2型、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、地中海熱、家族性、ベンジャミン症候群、ベータサラセミア、両側性聴神経腫瘍(神経線維腫症2型)、第V因子ライデン栓友病、ブロッホ・サルツバーガー症候群(色素失調症)、ブルーム症候群、X連鎖鉄芽球性貧血、ボンネヴィー・ウルリッヒ症候群(ターナー症候群)、ボンネビル病(結節性硬化症)、プリオン病、バート・ホッグ・デュベ症候群、脆弱骨病(骨形成不全症)、幅広母指/母趾症候群(ルビンシュタイン・テイビ症候群)、青銅色糖尿病/青銅色肝硬変(ヘモクロマトーシス)、球脊髄性筋萎縮症(ケネディ病)、ビュルガー・グリュッツ症候群(リポタンパク質リパーゼ欠損症)、CGD慢性肉芽腫症、屈曲肢異形成症、ビオチナーゼ欠損症、心筋症(ヌーナン症候群)、猫鳴き症、CAVD(先天性輸精管欠損)、カイラー心臓顔面症候群(CBAVD)、CEP(先天性造血性ポルフィリン症)、嚢胞性線維症、先天性甲状腺機能低下症、軟骨形成異常症症候群(軟骨発育不全症)、常染色体優性耳脊椎巨大骨端異形成症、レッシュ・ナイハン症候群、ガラクトース血症、エーラス・ダンロス症候群、致死性骨異形成症、コフィン・ローリー症候群、コケイン症候群、(家族性腺腫性ポリポーシス)、先天性造血性ポルフィリン症、先天性心臓疾患、メトヘモグロビン血症/先天性メトヘモグロビン血症、軟骨発育不全症、X連鎖鉄芽球性貧血、結合組織病、円錐動脈幹異常顔貌症候群、クーリー貧血症(ベータサラセミア)、銅蓄積病(ウィルソン病)、銅輸送病(メンケス病)、遺伝性コプロポルフィリン症、カウデン症候群、頭蓋顔面関節異常症(クルーゾン症候群)、クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)、コケイン症候群、カウデン症候群、クルシュマン・バッテン・スタイナート症候群(筋強直性ジストロフィー)、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、原発性高シュウ酸尿症、脊椎骨端骨幹端異形成症(ストラドウィック型)、デュシェンヌ型およびベッカー型(DBMD)の筋ジストロフィー、アッシャー症候群、ド・グルーシー症候群とデジェリン・ソッタス症候群を含む神経変性疾患、発達障害、遠位型脊髄性筋萎縮症V型、アンドロゲン不感性症候群、びまん性グロボイドボディ性硬化症(クラッベ病)、ディ・ジョージ症候群、ジヒドロテストステロン受容体欠損症、アンドロゲン不感性症候群、ダウン症、小人症、赤血球産生性プロトポルフィリン症エリスロイド5−アミノレブリン合成酵素欠損症、赤血球産生性ポルフィリン症、赤血球産生性プロトポルフィリン症、赤血球産生性ウロポルフィリン症、フリードライヒ運動失調症、、家族性発作性多漿膜炎、晩発性皮膚ポルフィリン症、家族性圧脆弱性ニューロパチー、原発性肺高血圧(PPH)、膵臓線維性嚢胞、脆弱X症候群、ガラクトース血症、遺伝的脳障害、巨細胞肝炎(新生児ヘモクロマトーシス)、グレンブラット・ストランドベルク症候群(弾力繊維性仮性黄色腫)、グンター病(先天性造血性ポルフィリン症)、ヘモクロマトーシス、ハルグレン症候群、鎌状赤血球貧血、血友病、肝骨髄性ポルフィリン症(HEP)、ヒッペル・リンドウ症候群(フォン・ヒッペル・リンドウ病)、ハンチントン病、ハッチソン・ギルフォード早期老化症候群(早老症)、アンドロゲン過多症、低軟骨形成症、低色素性貧血、X連鎖重症複合免疫不全を含む免疫系障害、インスリー・アストリー症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ジュベール症候群、レッシュ・ナイハン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、高シュウ酸尿症を含む腎臓病、クラインフェルター症候群、クニースト骨異形成症、ラクナ梗塞型認知症、ランガー・サルディーノ軟骨無形性症、毛細血管拡張性運動失調症、リンチ症候群、リシルヒドロキシラーゼ欠損症、マチャド・ジョゼフ病、クニースト骨異形成症を含む代謝障害、マルファン症候群、運動障害、モワット・ウィルソン症候群、嚢胞性線維症、ミュンケ(Muenke)症候群、多発性神経線維腫症、ナンス・インスリー症候群、ナンス・スウィーニー軟骨異形成症、ニーマン・ピック病、ノアック(Noack)症候群(ファイファー症候群)、オスラー・ウェーバー・ランデュ病、ポイツ・ジェガーズ症候群、多発性嚢胞腎、多骨性線維性骨異形成症(マッキューン・オルブライト症候群)、ポイツ・ジェガーズ症候群、プラダー・ラブハート・ウィリ症候群、ヘモクロマトーシス、原発性高尿酸血症候群(レッシュ・ナイハン症候群)、原発性肺高血圧、原発性老年期変性性認知症、プリオン病、早老症(ハッチソン・ギルフォード早期老化症候群)、慢性遺伝性(ハンチントン)進行性舞踏病(ハンチントン病)、進行性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、プロピオン酸血症、プロトポルフィリン症、近位型筋強直性ジストロフィー、肺動脈性肺高血圧症、PXE(弾力繊維性仮性黄色腫)、Rb(網膜芽細胞腫)、レックリングハウゼン病(神経線維腫症1型)、再発性多漿膜炎、網膜疾患、網膜芽細胞腫、レット症候群、3型RFALS、リッカー(Ricker)症候群、ライリー・デイ症候群、ルシー・レヴィー症候群、発育遅延と黒色表皮症を伴う重度軟骨発育不全症(SADDAN)、リ・フラウメニ症候群とそれによる乳房肉腫、白血病、および副腎(SBLA)症候群、結節性硬化症(結節性硬化症)、SDAT、先天性SED(先天性脊椎骨端異形成症)、ストラドウィック型SED(脊椎骨端骨幹端異形成症、ストラドウィック型)、SEDc(先天性脊椎骨端異形成症)、ストラドウィック型SEMD(脊椎骨端骨幹端異形成症、ストラドウィック型)、シュプリンツェン症候群、皮膚色素障害、スミス・レムリ・オピッツ症候群、南アフリカ遺伝性ポルフィリン症(異型ポルフィリン症)、乳児発症上行性遺伝性痙性麻痺、会話音声障害、スフィンゴリピドーシス、テイ・サックス病、脊髄小脳失調症、スティックラー症候群、脳卒中、アンドロゲン不感性症候群、テトラヒドロビオプテリン欠乏症、ベータサラセミア、甲状腺疾患、ソーセージ様ニューロパチー(遺伝性圧脆弱性ニューロパチー)、トーチャー・コリンズ症候群、トリプルX症候群(トリプルX症候群)、21番染色体トリソミー(ダウン症)、X染色体トリソミー、VHL症候群(フォン・ヒッペル・リンドウ病)、視力障害(アルストレム症候群)、フロリク病、ワールデンブルグ症候群、ワールブルグ・ショー・フレデリウス症候群、ワイゼンバッハー・ツヴァイミュラー症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、ウォルフ周期性疾患、ワイゼンバッハー・ツヴァイミュラー症候群および色素性乾皮症が含まれる。
「新形成」または「癌」という用語は、癌性または悪性の新生物、すなわち、細胞増殖によって通常よりも急速に成長することが多く、且つ、新たな増殖を開始させた刺激が停止した後にも成長し続ける異常な組織を形成し、増殖させることになる病理過程を指すために本明細書を通して使用される。悪性新生物は構造的構成と機能についての正常組織との調整を部分的、または完全に欠いており、大半が周囲の組織に浸潤し、幾つかの部位に転移し、そして除去の試みの後に再発し、且つ、適切に治療されない限り患者を殺す可能性がある。本明細書において使用される場合、新形成という用語は全ての癌疾患状態を説明するために使用され、その用語は悪性造血性腫瘍、腹水腫瘍、および固形腫瘍と関連する病理過程を内包または包含する。単独で、または少なくとも1つの追加の抗癌剤と組み合わせて本化合物によって治療され得る例となる癌には扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、肝細胞癌、腎細胞癌、膀胱癌、大腸癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、食道癌、頭部癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、頚部癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、胃癌、白血病、良性および悪性リンパ腫、特にバーキットリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、良性および悪性黒色腫、骨髄増殖性疾患、ユーイング肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、脂肪肉腫、筋肉腫、末梢性神経上皮腫、滑膜肉腫、膠腫、星状細胞腫、希突起神経膠腫、上衣腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、神経節細胞腫、神経節膠腫、髄芽腫、松果体細胞腫、髄膜腫、髄膜肉腫、神経線維腫、およびシュワン細胞腫を含む肉腫、大腸癌、乳癌、前立腺癌、子宮頚部癌、子宮癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、甲状腺癌、星状細胞腫、食道癌、膵臓癌、胃癌、肝臓癌、大腸癌、黒色腫;癌肉腫、ホジキン病、ウィルムス腫瘍および奇形癌腫が挙げられる。本発明による化合物を使用して治療され得るその他の癌には、例えば、T系列急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)、T系列リンパ芽球性リンパ腫(T−LL)、末梢T細胞リンパ腫、成人性T細胞白血病、前駆B細胞ALL、前駆B細胞リンパ腫、大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞ALL、フィラデルフィア染色体陽性ALL、およびフィラデルフィア染色体陽性CMLが含まれる。
「生体活性剤」という用語は、本発明の化合物の使用目的である意図された治療、抑制、および/または防止/予防の達成を支援する生物活性を有する薬剤としてその化合物と併用される本発明の化合物以外の薬剤を説明するために使用される。本明細書において使用される好ましい生体活性剤には本化合物の使用目的または投与目的である薬理学的活性と類似のものを有する薬剤が含まれ、例えば、抗癌剤、抗ウイルス剤が含まれ、特に抗HIV剤および抗HCV剤、抗微生物剤、抗真菌剤等が含まれる。
「追加の抗癌剤」という用語は癌治療のために本発明による化合物と組み合わせられる場合がある抗癌剤を説明するために使用される。これらの薬剤には、例えば、エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK286、AV−299、DN−101、パゾパニブ、GSK690693、RTA744、ON 0910.Na、AZD6244(ARRY−142886)、AMN−107、TKI−258、GSK461364、AZD1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ−197、MK−0457、MLN8054、PHA−739358、R−763、AT−9263、FLT−3阻害剤、VEGFR阻害剤、EGFR TK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK−1修飾因子、Bcl−2阻害剤、HDAC阻害剤、c−MET阻害剤、PARP阻害剤、Cdk阻害剤、EGFR TK阻害剤、IGFR−TK阻害剤、抗HGF抗体、PI3キナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、mTORC1/2阻害剤、JAK/STAT阻害剤、チェックポイント−1または2阻害剤、フォーカル・アドヒージョンキナーゼ阻害剤、Mapキナーゼキナーゼ(mek)阻害剤、VEGF trap抗体、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep−etu、ノラトレキシド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴシポール、Bio111、131−I−TM−601、ALT−110、BIO140、CC8490、シレンギチド、ジャイマテカン、IL13−PE38QQR、INO1001、IPdR1KRX−0402、ルカントン、LY317615、ノイラジアブ、ビテスパン、Rta744、Sdx102、タランパネル、アトラセンタン、Xr311、ロミデプシン、ADS−100380、スニチニブ、5−フルオロウラシル、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK−304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD−6244、カペシタビン、L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]2ナトリウム塩7水和物、カンプトテシン、PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合型エストロゲン、ベバシズマブ、IMC−1C11、CHIR−258);3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、バタラニブ、AG−013736、AVE−0005、ゴセレリン酢酸、ロイプロリド酢酸、パモ酸トリプトレリン、メドロキシプロゲステロン酢酸、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メゲストロール酢酸、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、メゲストロール酢酸、CP−724714;TAK−165、HKI−272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX−EGF抗体、エルビタックス、EKB−569、PKI−166、GW−572016、ロナファルニブ、BMS−214662、ティピファルニブ;アミホスチン、NVP−LAQ824、ヒドロキサミン酸サブエロイルアナリド、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK−228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L−アスパラギナーゼ、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)ワクチン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブチル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、グリベック、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13−cis−レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5−デオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン、デオキシコホルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミトラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL−3、ネオバスタット、BMS−275291、スクワラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、パクリタキセル、非クレモフォール含有パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンB、BMS−247550、BMS−310705、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA−923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE−424、HMR−3339、ZK186619、トポテカン、PTK787/ZK222584、VX−745、PD184352、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、テムシロリムス、AP−23573、RAD001、ABT−578、BC−210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン、ZM336372、L−779,450、PEG−フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロネート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2a、ペグ化インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2b、アザシチジン、PEG−L−アスパラギナーゼ、レナリドミド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン−11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、全トランス型レチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン−2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニソロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン類、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エチドロン酸、ミトタン、サイクロスポリン、リポソームダウノルビシン、エドウィナ−アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニソロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、PEGフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンα、ダルベポエチンα、およびそれらの混合物が含まれる。
「抗HIV薬剤」または「追加の抗HIV薬剤」という用語には何よりも、例えば、ヌクレオシドリバーストランスクリプターゼ阻害剤(NRTI)、他の非ヌクレオシドリバーストランスクリプターゼ阻害剤(すなわち、本発明を代表しない薬剤)、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤が含まれ、それらのうちの例となる化合物は、例えば、3TC(ラミブジン)、AZT(ジドブジン)、(−)−FTC、ddI(ジダノシン)、ddC(ザルシタビン)、アバカビル(ABC)、テノホビル(PMPA)、D−D4FC(リバーセット)、D4T(スタブジン)、ラシビル、L−FddC、L−FD4C、NVP(ネビラピン)、DLV(デラビルジン)、EFV(エファビレンツ)、SQVM(メシル酸サクイナビル)、RTV(リトナビル)、IDV(インジナビル)、SQV(サクイナビル)、NFV(ネルフィナビル)、APV(アンプレナビル)、LPV(ロピナビル)、T20のような融合阻害剤、何よりも、ヒューゼオン(fuseon)、およびそれらの混合物を含み、現在治験中または開発中である抗HIV化合物を含む。
本発明による化合物との共投与に使用され得る他の抗HIV薬には、例えば、何よりも、ネビラピン(BI−R6−587)、デラビルジン(U−90152S/T)、エファビレンツ(DMP−266)、UC−781(N−[4−クロロ−3−(3−メチル−2−ブテニルオキシ)フェニル]−2メチル3−フランカルボチアミド)、エントラビリン(TMC125)、トロビルジン(Ly300046.HCl)、MKC−442(エミビリン、コアクチノン)、HI−236、HI−240、HI−280、HI−281、リルピビリン(TMC−278)、MSC−127、HBY097、DMP266、バイカリン(TJN−151)、ADAM−II(メチル3’,3’−ジクロロ−4’,4”−ジメトキシ−5’,5”−ビス(メトキシカルボニル)−6,6−ジフェニルヘキサノエート)、メチル3−ブロモ−5−(1−5−ブロモ−4−メトキシ−3−(メトキシカルボニル)フェニル)ヘプト−1−エニル)−2−メトキシベンゾエート(アルケニルジアリールメタン類似体、Adam類似体)、(5−クロロ−3−(フェニルスルフィニル)−2’−インドールカルボキサミド)、AAP−BHAP(U−104489またはPNU−104489)、カプラビリン(AG−1549、S−1153)、アテビルジン(U−87201E)、アウリントリカルボン酸(SD−095345)、1−[(6−シアノ−2−インドリル)カルボニル]−4−[3−(イソプロピルアミノ)−2−ピリジニル]ピペラジン、1−[5−[[N−(メチル)メチルスルホニルアミノ]−2−インドリルカルボニル−4−[3−(イソプロピルアミノ)−2−ピリジニル]ピペラジン、1−[3−(エチルアミノ)−2−[ピリジニル]−4−[(5−ヒドロキシ−2−インドリル)カルボニル]ピペラジン、1−[(6−ホルミル−2−インドリル)カルボニル]−4−[3−(イソプロピルアミノ)−2−ピリジニル]ピペラジン、1−[[5−(メチルスルホニルオキシ)−2−インドイルイ)カルボニル]−4−[3−(イソプロピルアミノ)−2−ピリジニル]ピペラジン、U88204E、ビス(2−ニトロフェニル)スルホン(NSC633001)、カラノリドA(NSC675451)、カラノリドB、6−ベンジル−5−メチル−2−(シクロヘキシルオキシ)ピリミジン−4−オン(DABO−546)、DPC961、E−EBU、E−EBU−dm、E−EPSeU、E−EPU、ホスカルネット(ホスカビル)、HEPT(1−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−6−(フェニルチオ)チミン)、HEPT−M(1−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−6−(3−メチルフェニル)チオ)チミン)、HEPT−S(1−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−6−(フェニルチオ)−2−チオチミン)、イノフィラムP、L−737,126、ミケラミンA(NSC650898)、ミケラミンB(NSC649324)、ミケラミンF、6−(3,5−ジメチルベンジル)−1−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−5−イソプロピルウラシル、6−(3,5−ジメチルベンジル)−1−(エチオキシメチル)−5−イソプロピルウラシル、NPPS、E−BPTU(NSC648400)、オルチプラズ(4−メチル−5−(ピラジニル)−3H−1,2−ジチオール−3−チオン)、N−{2−(2−クロロ−6−フルオロフェネチル]−N’−(2−チアゾリル)チオウレア(PETT Cl、F誘導体)、N−{2−(2,6−ジフルオロフェネチル]−N’−[2−(5−ブロモピリジル)]チオウレア{PETT誘導体)、N−{2−(2,6−ジフルオロフェネチル]−N’−[2−(5−メチルピリジル)]チオウレア{PETTピリジル誘導体)、N−[2−(3−フルオロフラニル)エチル]−N’−[2−(5−クロロピリジル)]チオウレア、N−[2−(2−フルオロ−6−エトキシフェネチル)]−N’−[2−(5−ブロモピリジル)]チオウレア、N−(2−フェネチル)−N’−(2−チアゾリル)チオウレア(LY−73497)、L−697,639、L−697,593、L−697,661,3−[2−(4,7−ジフルオロベンゾオキサゾール−2−イル)エチル}−5−エチル−6−メチル(ピプリジン−2(1H)−チオン(2−ピリジノン誘導体)、3−[[(2−メトキシ−5,6−ジメチル−3−ピリジル)メチル]アミン]−5−エチル−6−メチル(ピプリジン−2(1H)−チオン、R82150、R82913、R87232、R88703、R89439(ロビリド)、R90385、S−2720、スラミンナトリウム、TBZ(チアゾロベンズイミダゾール、NSC625487)、チアゾロイソインドール−5−オン、(+)(R)−9b−(3,5−ジメチルフェニル−2,3−ジヒドロチアゾロ[2,3−a]イソインドール−5(9bH)−オン、チビラピン(R86183)、UC−38およびUC−84からなる群より選択され得る他のNNRTI類(すなわち、本発明のNNRTI類以外)が含まれる。
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、該当する場合は、本明細書に記載される化合物のうちの1つ以上の塩形態であって、それらの化合物の溶解および生物学的利用率を向上するために患者の胃腸管の胃酸中でその化合物の溶解性を高めるように提供されるものを説明するために本明細書を通して使用される。薬学的に許容可能な塩には薬学的に許容可能な無機または有機の塩基および酸に由来する塩が該当する場合に含まれる。適切な塩には、製薬分野においてよく知られている多数の酸および塩基の中でもカリウムおよびナトリウムなどのアルカリ金属に由来する塩、カルシウム、マグネシウムおよびアンモニウム塩などのアルカリ土類金属に由来する塩が含まれる。ナトリウム塩およびカリウム塩は本発明によるホスフェートの中和塩として特に好ましい。
「薬学的に許容可能な誘導体」という用語は、患者に投与されると本化合物または本化合物の活性代謝物を直接的または間接的に提供するあらゆる薬学的に許容可能なプロドラッグ形態(エステル、アミド、他のプロドラッググループなど)を説明するために本明細書を通して使用される。
全般的な合成アプローチ
本明細書に記載される二官能性分子の合成および最適化は段階的に、またはモジュール式で達成され得る。例えば、標的分子に結合する化合物の特定はハイスループットスクリーニングキャンペーンを、または適切なリガンドが直ぐに利用可能ではない場合はミディアムスループットスクリーニングキャンペーンを含むことができる。適切なインビトロの薬理学的および/またはADMETアッセイのデータによって特定される次善の態様を改善するために最初のリガンドが繰り返し設計および最適化サイクルを必要とすることはよくあることである。そのリガンドの置換を許容する位置であって、本明細書においてこれまでに参照されたリンカー化学を取り付けるために適切な場所であり得る位置が、その最適化/SARキャンペーンの一部によって探し出される。結晶学データまたはNMR構造データが利用可能である場合、そのような合成作業に集中するためにこれらを使用することができる。
非常に類似した方法でE3リガーゼのリガンド、すなわちULM/CLMを特定および最適化することができる。
PTMおよびULM(例えばCLM)について、当業者はリンカー部分を含む、または含まないそれらの組合せについて公知の合成方法を使用することができる。ある範囲の組成、長さ、および柔軟性を持つようにリン化部分を合成することができ、且つ、そのリンカーの遠位末端にPTM基とULM基を連続的に結合することができるようにそのリンカーを官能化することができる。そうして二官能性分子のライブラリーを実現し、インビトロおよびインビボでの薬理学的およびADMET/PK試験においてそのプロファイルを明らかにすることができる。そのPTM基およびULM基と同様に、望ましい特性を有する分子を特定するためにそれらの最終的な二官能性分子を繰り返し設計および最適化サイクルの対象とすることができる。
本明細書に記載されるCLMを生成するための幾つかの非限定的な例となる方法を以下に示すようにまとめる。
代表的反応1において示されているように、フタル酸ジメチル誘導体をグルタミン(ラセミ体またはエナンチオマー)またはグルタミン類似体と縮合し、さらにカルボニルジイミダゾールなどの薬剤と反応させて2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体を形成することができる。
あるいは代表的反応2において示されているように上記の最初の縮合において作製されたフタルイミド中間体を別個に調製および/または単離し、次にトリフルオロアセトアミド、POCl3、または無水酢酸などの脱水剤と反応させて所望の2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体を形成してもよい。同じ種類のフタルイミド中間体を脱水工程の前にローソン試薬と反応させて代表的反応8および9において示されているチオ類似体のようなものを提供することもできる。
代表例3に示されているN1−BOC種のような2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体の保護例は、この事例ではTFAまたはシリカなどの試薬を使用することにより脱保護されて標的である2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体を提示することができる。
3−アミノピペリジン−2,6−ジオンなどのアミンを使用する反応により代表例4に示されているもののようなフタル酸無水物を開環してカルボキシレート種中間体を形成することができ、カルボニルジイミダゾールおよびベンゾトリアゾールを使用する処理で標的2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体が形成される。あるいは、それらの2つの成分を酢酸の存在下で混合して代表的反応13において示されている所望の産物を提供してもよい。
類似の反応において、代表的反応5に示されているもののような無水物誘導体をアミン(示されている例ではアンモニア)と、次にカルボニルジイミダゾールと反応させて所望の2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体を形成してもよい。
フタロイルクロリドが利用可能である場合、代表的反応6において示されているようにグルタミン(ラセミ体またはエナンチオマー)またはグルタミン類似体との直接的な縮合が可能であり、カルボニルジイミダゾールなどの薬剤との反応がさらにそれに続いて2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体を形成する。
o−ブロモベンズアミドをパラジウム触媒および関連のホスフィンリガンドの存在下で代表的反応7に示される酸塩化物のようなCO源と反応させて所望の2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体を形成することができる。あるいはCOガス自体をロジウム(II)触媒および炭酸銀と併用して所望の産物を提供してもよい。
2−(2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオンおよび5−(1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル)−1,3−ジアジナン−2,4,6−トリオン誘導体を2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体についての上記の方法のうちの幾つかに類似する手法によって調製することができる。代表的反応20および21ではフタル酸無水物を酢酸の存在下で5−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−2,4−ジオンまたは5−アミノ−1,3−ジアジナン−2,4,6−トリオン誘導体とそれぞれ反応させて所望の産物を形成することができる。
あるいは、5−(1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル)−1,3−ジアジナン−2,4,6−トリオン誘導体は、代表的反応12において示されているようにヒューニッヒ塩基、カルボジイミド、およびベンゾトリアゾールの存在下での5−アミノ−1,3−ジアジナン−2,4,6−トリオン誘導体のフタル酸モノtert−ブチルエステルとの反応により調製可能である。代表的反応14において示されているようなフタル酸モノtert−ブチルエステルからの2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体の調製のために同用の条件を用いることができる。
代表的反応16に示されているように3−アミノピペリジン−2,6−ジオンのカルボジイミドとの反応によるアントラニル酸誘導体から3−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオンなどの化合物を調製することができる。代表的反応15において示されているようにベンズアミド中間産物を単離し(または別個に作製し)、カルボジイミドとさらに反応させて3−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオン誘導体を作製してもよい。
代表的反応17において示されているようにサリチル酸をクロロホルマートで活性化し、次に3−アミノピペリジン−2,6−ジオンと縮合することにより3−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−1,3−ベンゾオキサジン−2,4−ジオン類似体を調製することができる。
代表的反応18において示されているように3,3−ジクロロ−2,1λ6−ベンゾオキサチオール−1,1−ジオンを2−スルホ安息香酸のPOCl3およびPCl5との反応により調製することができる。これらの化合物の反応物を例えばアミノ誘導体と反応させて所望の2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1λ6,2−ベンゾチアゾール−1,1,3−トリオン誘導体を作製することができる。
代表的反応19において示されているように、サッカリン誘導体のアニオンを3−ブロモ−3−メチルピペリジン−2−オンなどの求電子試薬でアルキル化して標的の2−(3−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1λ6,2−ベンゾチアゾール−1,1,3−トリオン誘導体を作製することができる。
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1λ6,2−ベンゾチアゾール−1,1,3−トリオンの類似体をメチル2−[(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)スルファモイル]安息香酸の水素化ナトリウムなどの強塩基との反応により調製してもよい(代表的反応20を参照されたい)。
代表的反応21において示されているように2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1,3,ジオン誘導体のナトリウムエトキシドでの脱プロトン反応とその後の3−ブロモピペリジン−2,6−ジオンなどの求電子試薬との反応により3−(2−メチル−1,3−ジオキソ−1H−インデン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオンが生じる。
2−(1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル)ペンタン二酸のN−ベンジルヒドロキシルアミンおよび無水トリフルオロ酢酸との反応により2−[1−(ベンジルオキシ)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,4−ジオンなどのN1−置換化合物の調製を達成することができる(代表的反応22)。
次に、2−[1−(ベンジルオキシ)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,4−ジオンなどの分子を(代表的反応23)を水素添加条件下でのベンジル基除去の対象として2−(1−ヒドロキシ−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオンなどのN1−ヒドロキシ類似体を産出してもよい。
代表的反応24ではメチル1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−カルボキシレート(および類似体)を3−アミノピペリジン−2−オンと反応させて2−(2−オキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオンを提供する。
代表的反応25において示されているように同アミンを臭化亜鉛およびトリメチルシリルエーテルなどのルイス酸の存在下でフタル酸無水物誘導体と反応させて同じ種類の産物を産出することもできる。この反応の中間製品が単離されるか、または別途調製される場合(代表的反応26)、脱水剤を使用してそれは完全に閉環化され得る。
代表的反応27に示されている2−(6−オキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオンなどの異性体誘導体はフタル酸の5−アミノピペリジン−2−オンとの反応によって獲得可能である。
2−(1−ベンジル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,4−ジオンなどのN1−置換化合物の調製(代表的反応28および29)は複数の経路によって達成可能である。例えば、(2−(2,6−ジオキソオキサン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン)無水物をDMAPおよびカルボニルジイミダゾールの存在下で3−アミノピペリジン−2,6−ジオンと縮合することができ(代表的反応28)、または代表的反応29において示されているように塩基の存在下でベンジルブロミドなどの求電子試薬で2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体をアルキル化することができる。
幾つかの例では所望の物質の調製を容易にするために保護基ストラテジーおよび/または官能基相互転換(FGI)が必要とされる場合がある。そのような化学過程は合成有機化学者にとってよく知られており、これらの多くを「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」Peter G. M. WutsおよびTheodora W. Greene著、(Wiley)、および「Organic Synthesis: The Disconnection approach」Stuart WarrenおよびPaul Wyatt著、(Wiley)などの教科書に見出すことができる。
タンパク質レベルの制御
本明細書は細胞でのタンパク質レベル制御のための方法も提供する。これは、好ましくは標的タンパク質のインビボの分解により生体系においてあるタンパク質の量が制御されて特定の治療利益になるような、特定の標的タンパク質と相互作用することが知られている本明細書に記載される化合物に基づいている。
本発明を多少なりとも限定するものとして見るべきではないが、本発明の説明を補足するために次の例を使用する。
本開示の例となる実施形態
本開示は次の特定の実施形態を包含する。これらの実施形態は先行実施形態において列挙された特徴の全てを規定された通りに含んでよい。該当する場合は、次の実施形態はどの先行実施形態において列挙された特徴も包括的または選択的に含んでもよい。
1つの態様はPTM-L-CLMの化学構造を有する化合物を開示し、式中、CLMはセレブロンE3ユビキチンリガーゼ結合部分であり、PTMはタンパク質標的化部分であり、Lは結合(存在しない場合)または化学リンカー基からなる群より選択されるリンカーであり、PTMがリンカーを介してCLMに共有結合する。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても前記PTMはブロモドメイン含有タンパク質、例えば、Brd4に結合する部分である。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても本明細書に記載される化合物はリンカー基を介して結合した第2のE3ユビキチンリガーゼ結合部分をさらに含む。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいてもCLMはイミド、フタルイミド基、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、またはそれらの類似体、それらの等価体、もしくはそれらの誘導体に由来する化学基を含み、その場合に前記CLMが次の化学構造によって表され、
式中、
WはCH2、CHR、C=O、SO2、NH、およびN−アルキルからなる群より選択され、
Xはそれぞれ独立してO、S、およびH2からなる群より選択され、
YはNH、N−アルキル、N−アリール、N−ヘタリール、N−シクロアルキル、N−ヘテロシクリル、O、およびSからなる群より選択され、
ZはO、S、およびH2からなる群より選択され、
GおよびG’は独立してH、アルキル、OH、所望によりR’で置換されていてもよいCH2−ヘテロシクリル、および所望によりR’で置換されていてもよいベンジルからなる群より選択され、
Q1、Q2、Q3、およびQ4はR’、N、またはN−オキシドから独立して選択される基で置換された炭素Cを表し、
Aは独立してアルキル、シクロアルキル、Cl、およびFの群より選択され、
Rは−CONR’R”、−OR’、−NR’R”、−SR’、−SO2R’、−SO2NR’R”、−CR’R”−、−CR’NR’R”−、−アリール、−ヘタリール、−アルキル、−シクロアルキル、−ヘテロシクリル、−P(O)(OR’)R”、−P(O)R’R”、−OP(O)(OR’)R”、−OP(O)R’R”、−Cl、−F、−Br、−I、−CF3、−CN、−NR’SO2NR’R”、−NR’CONR’R”、−CONR’COR”、−NR’C(=N−CN)NR’R”、−C(=N−CN)NR’R”、−NR’C(=N−CN)R”、−NR’C(=C−NO2)NR’R”、−SO2NR’COR”、−NO2、−CO2R’、−C(C=N−OR’)R”、−CR’=CR’R”、−CCR’、−S(C=O)(C=N−R’)R”、−SF5、および−OCF3を含み、
R’およびR”は独立して結合、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘタリール、ヘテロシクリルからなる群より選択され、
は立体特異的((R)または(S))でも非立体特異的でもよい結合を表し、
Rnは官能基または原子を含み、
その場合にnは1〜4の整数であり、
nが1であるときにRnは前記リンカー基(L)に共有結合するように改変され、
nが2、3、または4であるときに1つのRnが前記リンカー基(L)に共有結合するように改変され、且つ、他のあらゆるRnは所望によりPTM、ULM、前記CLMと同じ化学構造を有する第2CLM、CLM’、第2リンカー、またはそれらのうちのあらゆる複数のもの、またはそれらのあらゆる組合せに共有結合するように改変されてもよい。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても前記CLMは次式によって表される化学構造を有し、
式中、
WはCH2、C=O、SO2、およびNHからなる群より選択され、
Xはそれぞれ独立してO、H2からなる群より選択され、
Gは独立してH、アルキル、OHからなる群より選択され、
AおよびA’は独立してアルキル基、シクロアルキル基、Cl、およびFより選択され、
Rnは官能基または原子を含み、
その場合にnは1〜4の整数であり、
nが1であるときにRnは前記リンカー基(L)に共有結合するように改変され、
nが2、3、または4であるときに1つのRnが前記リンカー基(L)に共有結合するように改変され、且つ、他のあらゆるRnは所望によりPTM、ULM、前記CLMと同じ化学構造を有する第2CLM、CLM’、第2リンカー、またはそれらのうちのあらゆる複数のもの、またはそれらのあらゆる組合せに共有結合するように改変されてもよい。
別の態様において、本開示は、
2−[(9R)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[4−({1−[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]−4,7,10−トリオキサ−1−アザドデカン−12−イル}オキシ)フェニル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1S)−1−(4−{5−[2−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}フェニル)エチル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)エトキシ]エチル}アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1R)−1−{4−[2−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)エトキシ]フェニル}エチル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[2−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)エチル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1S)−1−{4−[5−(3−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}プロポキシ)ピリミジン−2−イル]フェニル}エチル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1S)−1−{4−[3−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)プロポキシ]フェニル}エチル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1S)−1−{4−[2−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)エトキシ]フェニル}エチル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−(4−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}ブチル)アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エチル)アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−(5−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}ペンチル)アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−(3−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}プロピル)アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−(4−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}ブチル)アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1S)−1−{4−[2−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)エトキシ]−3−フルオロフェニル}エチル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[4−({1−[2−(3−メチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]−4,7,10−トリオキサ−1−アザドデカン−12−イル}オキシ)フェニル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[4−({1−[2−(1−メチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]−4,7,10−トリオキサ−1−アザドデカン−12−イル}オキシ)フェニル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1R)−1−[3−(3−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}プロポキシ)フェニル]エチル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(3S)−1−{4−[(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エチル)アミノ]ベンゾイル}ピロリジン−3−イル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[2−(2−{[3−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル]アミノ}エトキシ)エチル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[3−(3−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}プロポキシ)プロピル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(3S)−1−[4−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)ベンゾイル]ピロリジン−3−イル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−(4−{2−[2−(2−{[3−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル]アミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}フェニル)アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−(5−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}ペンチル)アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[3−(3−{[3−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−2−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル]アミノ}プロポキシ)プロピル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(3S)−1−[4−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)ベンゾイル]ピロリジン−3−イル]アセトアミド、
2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1R)−1−[3−(2−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}エトキシ)フェニル]エチル]アセトアミド、
4−(4−{[(5Z)−3−{1−[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]−4,7,10,13−テトラオキサ−1−アザペンタデカン−15−イル}−2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イリデン]メチル}−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4−(4−{[(5Z)−3−{1−[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]−4,7,10−トリオキサ−1−アザドデカン−12−イル}−2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イリデン]メチル}−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4−(4−{[(5Z)−3−{1−[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]−4,7,10,13,16−ペンタオキサ−1−アザオクタデカン−18−イル}−2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イリデン]メチル}−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、および
4−(4−{[(5Z)−3−{1−[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]−4,7,10,13,16,19−ヘキサオキサ−1−アザヘンイコサン−21−イル}−2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イリデン]メチル}−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、からなる群であって、薬学的に許容可能なそれらの塩形態を含む前記群より選択される化合物を提供する。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても前記リンカー(L)は次式によって表される化学構造単位を含み、
−Aq−
式中、
qは1より大きい整数であり、且つ、
Aは独立して結合、CRL1RL2、O、S、SO、SO2、NRL3、SO2NRL3、SONRL3、CONRL3、NRL3CONRL4、NRL3SO2NRL4、CO、CRL1=CRL2、
SiRL1RL2、P(O)RL1、P(O)ORL1、NRL3C(=NCN)NRL4、NRL3C(=NCN)、NRL3C(=CNO2)NRL4、所望により0〜6個のRL1基および/またはRL2基で置換されていてもよいC3−11シクロアルキル、所望により0〜6個のRL1基および/またはRL2基で置換されていてもよいC3−11ヘテロシクリル、所望により0〜6個のRL1基および/またはRL2基で置換されていてもよいアリール、所望により0〜6個のRL1基および/またはRL2基で置換されていてもよいヘテロアリールからなる群より選択され、
RL1、RL2、RL3、RL4、およびRL5はそれぞれ独立してH、ハロ、C1−8アルキル、OC1−8アルキル、SC1−8アルキル、NHC1−8アルキル、N(C1−8アルキル)2、C3−11シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3−11ヘテロシクリル、OC1−8シクロアルキル、SC1−8シクロアルキル、NHC1−8シクロアルキル、N(C1−8シクロアルキル)2、N(C1−8シクロアルキル)(C1−8アルキル)、OH、NH2、SH、SO2C1−8アルキル、P(O)(OC1−8アルキル)(C1−8アルキル)、P(O)(OC1−8アルキル)2、CC−C1−8アルキル、CCH、CH=CH(C1−8アルキル)、C(C1−8アルキル)=CH(C1−8アルキル)、C(C1−8アルキル)=C(C1−8アルキル)2、Si(OH)3、Si(C1−8アルキル)3、Si(OH)(C1−8アルキル)2、COC1−8アルキル、CO2H、ハロゲン、CN、CF3、CHF2、CH2F、NO2、SF5、SO2NHC1−8アルキル、SO2N(C1−8アルキル)2、SONHC1−8アルキル、SON(C1−8アルキル)2、CONHC1−8アルキル、CON(C1−8アルキル)2、N(C1−8アルキル)CONH(C1−8アルキル)、N(C1−8アルキル)CON(C1−8アルキル)2、NHCONH(C1−8アルキル)、NHCON(C1−8アルキル)2、NHCONH2、N(C1−8アルキル)SO2NH(C1−8アルキル)、N(C1−8アルキル)SO2N(C1−8アルキル)2、NHSO2NH(C1−8アルキル)、NHSO2N(C1−8アルキル)2、およびNHSO2NH2からなる群より選択され、且つ、
qが1よりも大きいときにRL1またはRL2がそれぞれ独立して別のA基に結合して0〜4個のRL5基でさらに置換することができるシクロアルキル部分および/またはヘテロシクリル部分を形成することができる。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいてもLは非直鎖の脂肪族、または芳香族、または複素芳香族の環状部分を含む。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいてもLは、
からなる群より選択され、式中、「X」は所望によりヘテロ原子を含有するように置換されていてもよい2〜14までの範囲の原子を含む直鎖であり、且つ、
「Y」は独立してO、N、S(O)n(n=0、1、2)からなる群より選択される。
追加の態様において、本開示は本明細書に記載される化合物の有効量を含む組成物を提供する。
その他の態様において、本開示は本明細書に記載される化合物の有効量と薬学的に許容可能な担体、添加物、および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても本医薬組成物は追加の生体活性剤をさらに含むことができる。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても前記追加の生体活性剤は抗癌剤である。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても前記抗癌剤は、エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK286、AV−299、DN−101、パゾパニブ、GSK690693、RTA744、ON 0910.Na、AZD6244(ARRY−142886)、AMN−107、TKI−258、GSK461364、AZD1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ−197、MK−0457、MLN8054、PHA−739358、R−763、AT−9263、FLT−3阻害剤、VEGFR阻害剤、EGFR TK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK−1修飾因子、Bcl−2阻害剤、HDAC阻害剤、c−MET阻害剤、PARP阻害剤、Cdk阻害剤、EGFR TK阻害剤、IGFR−TK阻害剤、抗HGF抗体、PI3キナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、mTORC1/2阻害剤、JAK/STAT阻害剤、チェックポイント−1または2阻害剤、フォーカル・アドヒージョンキナーゼ阻害剤、Mapキナーゼキナーゼ(mek)阻害剤、VEGF trap抗体、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep−etu、ノラトレキシド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴシポール、Bio111、131−I−TM−601、ALT−110、BIO140、CC8490、シレンギチド、ジャイマテカン、IL13−PE38QQR、INO1001、IPdR1KRX−0402、ルカントン、LY317615、ノイラジアブ、ビテスパン、Rta744、Sdx102、タランパネル、アトラセンタン、Xr311、ロミデプシン、ADS−100380、スニチニブ、5−フルオロウラシル、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK−304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD−6244、カペシタビン、L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]2ナトリウム塩7水和物、カンプトテシン、PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合型エストロゲン、ベバシズマブ、IMC−1C11、CHIR−258,)、3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、バタラニブ、AG−013736、AVE−0005、[D−Ser(Bu t)6,Azgly10]の酢酸塩(ピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu t)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NH2酢酸[C59H84N18Oi4−(C2H4O2)X、x=1〜2.4]、ゴセレリン酢酸、ロイプロリド酢酸、パモ酸トリプトレリン、メドロキシプロゲステロン酢酸、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メゲストロール酢酸、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、メゲストロール酢酸、CP−724714;TAK−165、HKI−272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX−EGF抗体、エルビタックス、EKB−569、PKI−166、GW−572016、ロナファルニブ、BMS−214662、ティピファルニブ;アミホスチン、NVP−LAQ824、ヒドロキサミン酸サブエロイルアナリド、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK−228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L−アスパラギナーゼ、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)ワクチン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブチル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、グリベック、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13−cis−レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5−デオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン、デオキシコホルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミトラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL−3、ネオバスタット、BMS−275291、スクワラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、パクリタキセル、非クレモフォール含有パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンB、BMS−247550、BMS−310705、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA−923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE−424、HMR−3339、ZK186619、トポテカン、PTK787/ZK222584、VX−745、PD184352、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、テムシロリムス、AP−23573、RAD001、ABT−578、BC−210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン、ZM336372、L−779,450、PEG−フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロネート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2a、ペグ化インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2b、アザシチジン、PEG−L−アスパラギナーゼ、レナリドミド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン−11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、全トランス型レチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン−2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニソロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン類、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エチドロン酸、ミトタン、サイクロスポリン、リポソームダウノルビシン、エドウィナ−アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニソロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、PEGフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンα、ダルベポエチンα、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
追加の態様において、本開示は、細胞中の標的タンパク質の分解を誘導するための方法であって、本明細書に記載される化合物の有効量を前記細胞に投与することを含む方法であり、前記化合物により前記標的タンパク質の分解が達成されることを特徴とする方法を提供する。
さらに追加の態様において、本開示は、必要とする患者への組成物の投与を含む方法であって、癌を治療するための前記方法に使用される本明細書に記載される化合物の有効量を含む組成物であって、前記患者における癌の少なくとも1つの症状の治療または緩和に有効である前記組成物を提供する。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても前記癌は扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、肝細胞癌、腎細胞癌、膀胱癌、大腸癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、食道癌、頭部癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、頚部癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、胃癌、白血病、良性および悪性リンパ腫、特にバーキットリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、良性および悪性黒色腫、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、ユーイング肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、脂肪肉腫、筋肉腫、末梢性神経上皮腫、滑膜肉腫、膠腫、星状細胞腫、希突起神経膠腫、上衣腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、神経節細胞腫、神経節膠腫、髄芽腫、松果体細胞腫、髄膜腫、髄膜肉腫、神経線維腫、およびシュワン細胞腫を含む肉腫、大腸癌、乳癌、前立腺癌、子宮頚部癌、子宮癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、甲状腺癌、星状細胞腫、食道癌、膵臓癌、胃癌、肝臓癌、大腸癌、黒色腫;癌肉腫、ホジキン病、ウィルムス腫瘍または奇形癌腫、T系列急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)、T系列リンパ芽球性リンパ腫(T−LL)、末梢T細胞リンパ腫、成人性T細胞白血病、前駆B細胞ALL、前駆B細胞リンパ腫、大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞ALL、フィラデルフィア染色体陽性ALL、およびフィラデルフィア染色体陽性CMLである。
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても前記CLMは、薬学的に許容可能な塩形態を含む以下のものからなる群より選択される構造を有するPTMに結合しており、
式中、Rまたはリンカーが結合または前記CLMを前記PTMに結合する化学リンカー部分である。
A.ヒトCRBNおよびDDB1のクローニング、発現および精製。本手法は、Lopez-Girona et al. (Cereblon is a direct protein target for immunomodulatory and antiproliferative activities of lenalidomide and pomalidomide, A Lopez-Girona, D Mendy, T Ito, K Miller, A K Gandhi, J Kang, S Karasawa, G Carmel, P Jackson, M Abbasian, A Mahmoudi, B Cathers, E Rychak, S Gaidarova, R Chen, P H Schafer, H Handa, T O Daniel, J F Evans and R Chopra, Leukemia 26: 2326-2335, 2012)中の記載によって典型的に表されるように当業者にとって標準的なものである。
ポリメラーゼとしてのPfusion(NEB)および次のプライマー配列を使用するPCRによりCRBN遺伝子とDDB1遺伝子のcDNAを増幅することができる。
ライゲーション非依存性クローニング26を用いてCRBNをpBV−ZZ−HT−LIC、pBV−GST−LIC、pMA−HT−LICにクローン化し、DDB1をpBV−notag−LICにクローン化することができる。哺乳類用ベクターpMA−HT−LICへのクローニングのため、CRBN−Flag−Reverseオリゴは免疫検出用のC−末端FLAGタグを付加する。DDB1−RevはStrepTag27を付加する。ZZタグ28は可溶性CRBNの高発現を達成するために必要であり、それが無いとHis−CRBNの発現は低レベルであり、一方でGST−CRBNは凝集タンパク質になる。ZZ−His−CRBNおよびDDB1−StrepTag(ST)の組換えバキュロウイルスを作製し、Sf9昆虫細胞内でInvitrogenのBac−to−Bacバキュロウイルス発現システムを使用してそれらを増幅する。Expression Systemsの無添加ESF921培地を使用して27℃で10Lのウェーブバッグ中のHigh Five(Tni)昆虫においてZZ−His−CRBNおよびDDB1−STを共発現する。感染から48時間後に遠心分離により細胞を回収し、ペーストを5×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche、インディアナポリス、インディアナ州)添加PBS中に再懸濁した。
その後の全てのタンパク質精製工程は4℃で実施する。凍結細胞を融かし、20mMのイミダゾールおよびプロテアーゼ阻害剤を添加した5倍の体積の溶解緩衝液(50mMのトリス塩酸pH8.0、0.5MのNaCl、10%グリセロール、2mMのDTT)に再懸濁し、溶解し、遠心分離して透明上清を産出する。ニッケルセファロースおよびS200セファクリルクロマトグラフィーを使用するAKTA−xpressシステム(GEヘルスケア)上でCRBN−DDB1を精製する。次に8mlのMonoQカラム上での陰イオン交換クロマトグラフィーと2回目のS−200ゲルでの濾過を用いてその複合体をさらに精製する。SDS−PAGEによりCRBN−DDB1を特定し、CRBN−DDB1含有画分をまとめ、−70℃で貯蔵した。
2.組換えCRBNへの化合物の結合を測定する蛍光熱融解アッセイ
本アッセイは、Lopez-Girona et al. (Cereblon is a direct protein target for immunomodulatory and antiproliferative activities of lenalidomide and pomalidomide, A Lopez-Girona, D Mendy, T Ito, K Miller, A K Gandhi, J Kang, S Karasawa, G Carmel, P Jackson, M Abbasian, A Mahmoudi, B Cathers, E Rychak, S Gaidarova, R Chen, P H Schafer, H Handa, T O Daniel, J F Evans and R Chopra, Leukemia 26: 2326-2335, 2012)中の記載によって典型的に表されるように当業者にとって標準的なものである。
Pantoliano et al. (Pantoliano MW, Petrella EC, Kwasnoski JD, Lobanov VS, Myslik J, Graf E et al. High-density miniaturized thermal shift assays as a general strategy for drug discovery. J Biomol Screen 2001; 6: 429-440)に従ってマイクロプレート形式で試験化合物が存在するとき、または存在しないときのCRBN−DDB1の熱安定性をSyproオレンジの存在下で測定する。20mlのアッセイ緩衝液(25mMのトリス塩酸、pH8.0、150mMのNaCl、2uMのSyproオレンジ)中の2mgのタンパク質をABIPrism 7900HT(Applied Biosystems、カールスバッド、カリフォルニア州、米国)での20〜70℃までの段階的温度上昇と1℃ごとの蛍光読み出しの対象とする。化合物をDMSO中に溶解し(アッセイでは1%の最終濃度)、30nM〜1000uMの間の濃度範囲で四度検査する。対照は1%DMSOのみを含有した。
3.LCMSの方法
Poroshell 120 EC C18カラム(50mm×3.0mmの内径2.7μmのパッキング径)上で分析を45℃において実施する。
使用した溶媒は次のものである。
A=0.1%(体積/体積)ギ酸水溶液。
B=0.1%(体積/体積)ギ酸アセトニトリル溶液。
UV検出は210nm〜350nmの波長に由来する平均シグナルであり、ポジティブモードのエレクトロスプレーイオン化を用いてマススペクトルをマススペクトロメーター上で記録する。
化合物が分取HPLCにより精製されるときの移動相と濃度勾配を次に例示する。
4.分取HPLC(ギ酸修飾剤)
X Bridge RP18 OBDカラム(150mm×19mmの内径、5μmのパッキング径)上でHPLC分析を外界温度において実施する。
使用した溶媒は次のものである。
A=0.1%(体積/体積)ギ酸水溶液。
B=アセトニトリル。
5.分取HPLC(炭酸水素アンモニウム修飾剤)
X Bridge RP18 OBDカラム(150mm×19mmの内径、5μmのパッキング径)上でHPLC分析を外界温度において実施する。
使用した溶媒は次のものである。
A=10mM炭酸水素アンモニウム水溶液。
B=アセトニトリル。
分取的精製のそれぞれについて、使用される濃度勾配は、使用される修飾剤と無関係に、精製される特定の化合物の分析LCMSにおいて記録された保持時間に依存する。流速は20mL/分である。
UV検出は254nmまたは220nmの波長に由来するシグナルである。
本発明の好ましい実施形態を本明細書において示し、説明してきたが、そのような実施形態は例示のために提供されているだけであることを理解されたい。当業者は本発明の主旨から逸脱することなく多数の変形、変更、および置換を思いつく。したがって、本発明の主旨と範囲の中に含まれる全てのそのような変形は添付されている特許請求の範囲に含まれるものとする。
B.合成
以下に含まれる例の合成の詳細はより広範な例の合成についての情報を与える一般的な手法である。
1.2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン
ステップ1:4−フルオロイソベンゾフラン−1,3−ジオン
無水酢酸(400mL)中の3−フルオロフタル酸(50g、271.7mmol)の混合物を2時間にわたって還流した。真空により揮発成分を除去し、無水酢酸中で残留物を結晶化して4−フルオロイソベンゾフラン−1,3−ジオン(40g、粗生成物)を褐色の固形物として得た。LC-MS: 167.1 [MH]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.58 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.92-7.97 (m, 1H).
ステップ2:5−アミノ−2−(4−フルオロ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸
乾燥DMF(200mL)中の上の4−フルオロイソベンゾフラン−1,3−ジオン(40g、粗生成物)およびL−グルタミン(35g、239mmol)の混合物を90℃で8時間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を4NのHCl(200mL)中に再溶解し、さらに8時間にわたって撹拌した。生じた沈殿を濾過により回収し、水で洗浄し、乾燥して5−アミノ−2−(4−フルオロ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸(37g、粗生成物)を灰色がかった白色の固形物として得た。LC-MS: 295.2 [MH]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.16-2.20 (m. 2H), 2.31-2.43 (m, 2H), 4.79-4.83 (m, 1H), 6.79 (br, 1H), 7.26(br, 1H), 7.77-7.85 (m, 2H), 7.98-8.03 (m, 1H), 13.32(br, 1H).
ステップ3:2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン
アセトニトリル(80mL)中の上の5−アミノ−2−(4−フルオロ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸(37g、粗生成物)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)(24.2g、149.4mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(1.3g、11.5mmol)の混合物を5時間にわたって還流した。その反応混合物を室温まで冷却した。生じた固形物を濾過により回収し、アセトニトリル(100mL)で洗浄して粗生成物を供給し、溶出液としてDCM中の1〜10%のMeOHを使用するシリカゲルクロマトグラフィーによりその粗生成物を精製して2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−フルオロイソインドリン−1,3−ジオン(9.0g、12%の3ステップでの収量収率)を明るい黄色の固形物として得た。LC-MS: 277.2 [MH]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.14-2.19 (m, 1H), 2.75-2.95 (m, 3H), 4.97-5.01 (m, 1H), 7.43 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.10-7.81 (m, 2H), 8.08 (br, 1H).
2.N−(3−(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド
ステップ1: tert−ブチルN−{3−[(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イル)アミノ]プロピル}−N−メチルカルバメート
MeOH中(10mL)のtert−ブチルN−(3−アミノプロピル)−N−メチルカルバメート(826mg、4.40mmol)および5−ブロモ−2,4−ジクロロピリミジン(400mg、1.76mmol)の混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。次に真空中でその反応混合物を濃縮し、Teledyne ISCOクロマトグラフィー[0→35%の酢酸エチル/ヘプタン]を使用して残留物を精製してtert−ブチルN−{3−[(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イル)アミノ]プロピル}−N−メチルカルバメート(615mg、92%の収量収率)を得た。LC-MS (ES+): m/z = 381.05/383.05 [MH+], tR = 2.55分。
ステップ2:{3−[(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イル)アミノ]プロピル}(メチル)アミン
DCM(5mL)中のtert−ブチルN−{3−[(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イル)アミノ]プロピル}−N−メチルカルバメート(615mg、1.62mmoL)の溶液に室温でトリフルオロ酢酸(0.54mL、6.5mmol)を添加した。混合物を1時間にわたって撹拌した後にそれを真空中で濃縮した。Teledyne ISCOクロマトグラフィー[DCM中の0→15%メタノール]を使用して残留物を精製して{3−[(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イル)アミノ]プロピル}(メチル)アミン(371mg、82%の収量収率)を得た。LC-MS (ES+): m/z = 280.99/282.99 [MH+], tR = 1.13分。
ステップ3:N−{3−[(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イル)アミノ]プロピル}−N−メチルシクロブタンカルボキサミド
室温のDCM(10mL)中の{3−[(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イル)アミノ]プロピル}(メチル)アミン(371mg、1.33mmol)およびシクロブタンカルボニルクロリド(188mg、1.60mmol)の溶液にトリエチルアミン(0.41mL、2.92mmol)を添加した。その反応混合物を室温で16時間にわたって撹拌しながら放置し、その後に真空中で濃縮した。Teledyne ISCOクロマトグラフィー[0→100%酢酸エチル/ヘプタン]を使用して残留物を精製してN−{3−[(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イル)アミノ]プロピル}−N−メチルシクロブタンカルボキサミド(268mg、56%)を得た。LC-MS (ES+): m/z = 363.04/365.04 [MH+], tR = 2.18分。
3.(S)−2−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)酢酸
国際公開第2011/143660号パンフレットに記載の手順に従って表題の化合物を調製した。
4.(Z)−4−(4−((2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Patch, R. J. et al J. Med. Chem. 2011, 54, 788-808に記載されている手法に従って表題化合物を調製した。
5.4−[3−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ジメチル−5−オキソ−2−スルファニリデンイミダゾリジン−1−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Jung, M. E. et al J. Med. Chem. 2010, 53, 2779-2796に記載されている手法に従って表題化合物を調製した。
6.2−クロロ−4−(trans−3−アミノ−2,2,4,4−テトラメチルシクロブトキシ)ベンゾニトリル塩酸塩
Guo, C. et al J. Med. Chem. 2011, 54, 7693-7704に記載されている手法に従って表題化合物を調製した。
7.[N−(3−(5−ブロモ−2−(4−(2−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド]
(表1に示されている第17化合物構造)
ステップ1:2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4−メチルベンゼンスルホン酸
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)中の2,2’−(2,2’−オキシビス(エタン−2,1−ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン−2,1−ジイル)ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸)(3g、5.96mmol)、4−ニトロフェノール(813mg、5.84mmol)および炭酸カリウム(1.65g、11.94mmol)の混合物を50℃で一晩にわたって撹拌した。その混合物を室温まで冷却し、水(60mL)に投入し、その後に酢酸エチルで抽出した(80mL×3)。混合した有機相を水(50mL)と塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10〜20%酢酸エチルで溶出)により残留物を精製して2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4−メチルベンゼンスルホン酸(2.65g、95%の収量収率)黄色の油として得た。LC-MS (ES+): m/z 470.2 [MH+] (tR = 2.83分)
ステップ2:[1−(2−(2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)−4−ニトロベンゼン]
エタノール(30mL)中の2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4−メチルベンゼンスルホン酸(2.65g、5.64mmol)およびアジ化ナトリウム(734mg、11.29mmol)の混合物を16時間にわたって還流した。その混合物を室温まで冷却し、水(50mL)で反応停止し、そしてジクロロメタンで抽出した(50mL×3)。混合した有機相を水(50mL)と塩水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗生成物1−(2−(2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)−4−ニトロベンゼン(865mg)を黄色の油として得た。
ステップ3:[2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタンアミン]
テトラヒドロフラン(10mL)中の上の1−(2−(2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)−4−ニトロベンゼン(865mg、2.54mmol)、トリフェニルホスフィン(999mg、3.81mmol)および水(69mg、3.83mmol)の混合物を窒素雰囲気下、室温で14時間にわたって撹拌した。揮発成分を減圧下で除去して粗残留物を供給し、その粗残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の3〜5%メタノールで溶出)により精製して2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタンアミン(661mg、83%の収量収率)を黄色の油として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.86 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.51 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.63-3.75 (m, 8H), 3.90 (t, J = 4.4 Hz, 2H), 4.23 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 6.97-6.99 (m, 2H), 8.18-8.22 (m, 2H).
ステップ4: tert−ブチル2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート
ジクロロメタン(25mL)中の2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタンアミン(661mg、2.1mmol)、トリエチルアミン(449mg、4.43mmol)および二炭酸ジ−tert−ブチル(505mg、2.31mmol)の混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。その混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、水(30mL×2)と塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜40%酢酸エチルで溶出)により残留物を精製してtert−ブチル2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(818mg、94%の収量収率)を黄色の油として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.44 (s, 9H), 3.37 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 3.54 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.62-3.70 (m, 6H), 3.73-3.76 (m, 2H), 3.90 (t, J = 4.4 Hz, 2H), 4.23 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 5.01(br, 1H), 6.96-7.00 (m, 2H), 8.18-8.22 (m, 2H).
ステップ5: tert−ブチル2−(2−(2−(2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート
エタノール(20mL)および水(5mL)中の2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(818mg、1.97mmol)、鉄粉(1.1g、0.65mmol)、および塩化アンモニウム(528mg、9.87mmol)の混合物を80℃で1時間にわたって撹拌した。その混合物を室温まで冷却し、固形沈殿物を濾過により除去し、そして酢酸エチル(20mL×2)で洗浄した。その濾液を酢酸エチル(120mL)と水(30mL)との間で分配した。有機相を塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の30〜40%酢酸エチルで溶出)により残留物を精製してtert−ブチル2−(2−(2−(2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(512mg、67%の収量収率)を黄色の油として得た。
ステップ6: tert−ブチル2−(2−(2−(2−(4−(5−ブロモ−4−(3−(N−メチルシクロブタンカルボキサミド)プロピルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート
ジオキサン(1.5mL)中のtert−ブチル2−(2−(2−(2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(130mg、0.34mmol)、N−(3−(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド(24mg、0.06mmol)およびp−トルエンスルホン酸(11.6mg、0.07mmol)の混合物を16時間にわたって還流した。その反応混合物を室温まで冷却し、炭酸水素ナトリウム水溶液(1.0N、30mL)で反応停止し、そして酢酸エチルで抽出した(30mL×3)。混合した有機相を水(30mL)と塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出)により粗残留物を精製してtert−ブチル2−(2−(2−(2−(4−(5−ブロモ−4−(3−(N−メチルシクロブタンカルボキサミド)プロピルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(40mg、17%の収量収率)を黄色の油として得た。
ステップ7:N−(3−(2−(4−(2−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニルアミノ)−5−ブロモピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド
2,2,2−トリフルオロ酢酸(1mL)およびジクロロメタン(1mL)中のtert−ブチル2−(2−(2−(2−(4−(5−ブロモ−4−(3−(N−メチルシクロブタンカルボキサミド)プロピルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(40mg、0.06mmol)の混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。揮発成分を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタン(60mL)と炭酸水素ナトリウム水溶液(2.0N、30mL)との間で分配した。有機層を塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮してN−(3−(2−(4−(2−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニルアミノ)−5−ブロモピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド(18mg、52%の収量収率)を黄色の油として得た。
ステップ8:N−(3−(5−ブロモ−2−(4−(2−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中のN−(3−(2−(4−(2−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニルアミノ)−5−ブロモピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド(130mg、0.03mmol)、2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン(8.2mg、0.03mmol)およびN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(7.6mg、0.06mmol)の混合物を90℃で12時間にわたって撹拌した。その反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(100mL)と水(30mL)との間で分配した。有機相を塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。分取TLCにより残留物を精製してN−(3−(5−ブロモ−2−(4−(2−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド(10.2mg、40%の収量収率)を黄色の固形物として得た。LC-MS (ES+): m/z = 865.27/867.27 (1:1) [MH]+. tR = 2.06分。 1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 1.68-1.77 (m, 3H), 1.89-1.92 (m, 3H), 2.08-2.15 (m, 3H), 2.60-2.79 (m, 7H), 3.28-3.35 (m, 6H), 3.55-3.61 (m, 10H), 3.69-3.72 (m, 2H), 3.96-3.99 (m, 2H), 4.91-4.95 (m, 1H), 6.75-6.78 (m, 2H), 6.91-6.94 (m, 2H), 7.34-7.42 (m, 3H), 7.76 (d, J = 12.8 Hz, 1H).
8.2−((S)−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)−N−(4−(2−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)アセトアミド
(表1に示されている第14化合物構造)
ステップ1:(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−(2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルアミノ)イソインドリン−1,3−ジオン
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタンアミン(128mg、0.41mmol)、2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン(112.5mg、0.41mmol)およびN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(105mg、0.81mmol)の混合物を90℃で12時間にわたって撹拌した。その混合物を室温まで冷却し、水(20mL)に投入し、そして酢酸エチルで抽出した(35mL×2)。混合した有機相を水(30mL)と塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。分取TLCにより粗残留物を精製して2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−(2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルアミノ)イソインドリン−1,3−ジオン(73mg、31%の収量収率)を黄色の固形物として得た。LC-MS (ES+): m/z 571.3 [MH+], tR = 2.46分。
ステップ2:(4−(2−(2−(2−(2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルアミノ)−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン)
エタノール(2mL)中の2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−(2−(2−(2−(2−(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルアミノ)イソインドリン−1,3−ジオン(73mg、0.128mmol)および鉄粉(71.6mg、1.28mmol)の懸濁液に室温の塩化アンモニウム(68mg、1.26mmol)の水溶液(0.5mL)を添加し、生じた混合物を80℃で1時間にわたって撹拌した。その混合物を室温まで冷却した後、固形沈殿物を濾過により除去し、そして酢酸エチル(10mL×2)で洗浄した。その濾液を酢酸エチル(60mL)と水(30mL)との間で分配した。有機層を塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して4−(2−(2−(2−(2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルアミノ)−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン(66.5mg、粗生成物)を黄色の油として得た。LC-MS (ES+): m/z 541.5 [MH+], tR = 1.593分。
ステップ3:2−((S)−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)−N−(4−(2−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)アセトアミド
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中の4−(2−(2−(2−(2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルアミノ)−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン(58.4mg、0.11mmol)、(S)−2−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)酢酸(43.3mg、0.11mmol)およびN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(41.8mg、0.32mmol)の撹拌溶液に0℃で(2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(82mg、0.21mmol)を添加した。生じた混合物を室温まで温め、そして室温で20分間にわたって撹拌した。その混合物を水(25mL)に投入し、酢酸エチルで抽出した(35ml×2)。混合した有機相を水(20mL)と塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。分取TLCにより粗残留物を精製して2−((S)−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)−N−(4−(2−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)アセトアミド(52mg、52%の収量収率)を黄色の固形物として得た。LC-MS (ES+): m/z 923.29/925.29 (3:1) [MH+], tR = 2.689分。 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.67 (s, 3H), 2.05-2.12 (m, 1H), 2.40 (s, 3H), 2.65-2.85 (m, 6H), 3.41-3.54 (m, 4H), 3.65-3.74 (m, 10H), 3.81-3.85 (m, 2H), 4.06-4.11 (m, 2H), 4.63-4.69 (m, 1H), 4.85-4.93 (m, 1H), 6.38-6.55 (m, 1H), 6.8
3 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.92 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.39-7.51 (m, 5H), 8.59 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.77 (d, J = 3.2 Hz, 1H).
9.(Z)−4−(4−((3−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
(表1に示されている第22化合物構造)
ステップ1:(Z)−2−(2−(2−(5−(4−(4−シアノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ)−3−メトキシベンジリデン)−2,4−ジオキソチアゾリジン−3−イル)エトキシ)エトキシ)エチル4−メチルベンゼンスルホン酸)
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の(Z)−4−(4−((2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(1.0g、2.3mmol)、炭酸カリウム(1.0g、6.9mmol)および2,2’−(エタン−1,2−ジイルビス(オキシ))ビス(エタン−2,1−ジイル)ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸)(1.3g、2.7mmol)の混合物を80℃で16時間にわたって撹拌した。その反応混合物を室温まで冷却し、水(10mL)で反応停止し、そして酢酸エチルで抽出した(40mL×3)。混合した有機相を水(50mL)と塩水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で蒸発させた。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10〜30%酢酸エチルで溶出)により粗残留物を精製して(Z)−2−(2−(2−(5−(4−(4−シアノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ)−3−メトキシベンジリデン)−2,4−ジオキソチアゾリジン−3−イル)エトキシ)エトキシ)エチル4−メチルベンゼンスルホン酸(1.0g、61%の収量収率)を明るい黄色の固形物として得た。
ステップ2:(Z)−4−(4−((3−(2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エチル)−2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
エタノール(20mL)中の(Z)−2−(2−(2−(5−(4−(4−シアノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ)−3−メトキシベンジリデン)−2,4−ジオキソチアゾリジン−3−イル)エトキシ)エトキシ)エチル4−メチルベンゼンスルホン酸(1.0g、1.4mmol)およびアジ化ナトリウム(185mg、2.8mmol)の混合物を16時間にわたって還流した。その反応混合物を室温まで冷却し、そして酢酸エチル(100mL)と水(20mL)との間で分配した。有機層を塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して(Z)−4−(4−((3−(2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エチル)−2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(130mg、粗生成物)を明るい黄色の油として供給し、それをさらに精製せずに次のステップにおいて使用した。
ステップ3:(Z)−4−(4−((3−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
上の(Z)−4−(4−((3−(2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エチル)−2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル)(130mg、粗生成物)、水(0.2mL)中のトリフェニルホスフィン(100mg、0.34mmol)、およびテトラヒドロフラン(20mL)の混合物を室温で14時間にわたって撹拌した。その混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の3〜5%メタノールで溶出)により粗残留物を精製して(Z)−4−(4−((3−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(60mg、8%の2ステップでの収量収率)を黄色の油として得た。LC-MS (ES+): m/z 552.1 [MH+], tR = 2.15分。
ステップ4:(Z)−4−(4−((3−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
1−メチルピロリジン−2−オン(1mL)中の(Z)−4−(4−((3−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル)(60mg、0.10mmol)、2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン(30mg、0.13mmol)およびN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(50mg、0.39mmol)の混合物を90℃で16時間にわたって撹拌した。その反応混合物を室温まで冷却し、水(5mL)で反応停止し、そして酢酸エチルで抽出した(20mL×3)。混合した有機層を水(10mL×2)と塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。分取TLCにより粗残留物を精製して(Z)−4−(4−((3−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデン)メチル)−2−メトキシフェノキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(9.5mg、11.8%の収量収率)を黄色の固形物として得た。LC-MS (ES+): m/z 808.19 [MH+], tR = 3.022分。 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.12-2.16 (m, 1H), 2.73-2.91 (m, 3H), 3.42 (s, 2H), 3.67-3.80 (m, 11H), 3.99 (s, 2H), 4.91-4.95 (m, 1H), 6.51 (s, 1H), 6.76-6.86 (m, 2H), 7.02-7.19 (m, 4H), 7.43 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.85-8.12 (m, 3H).
10.4−(3−(4−(3−(2−(2−(2−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロポキシ)フェニル)−4,4−ジメチル−5−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
(表1に示されている第1化合物構造)
ステップ1:1,1,1,16−テトラフェニル−2,5,8,11,15−ペンタオキサヘキサデカン
N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の2−(2−(2−(トリチルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール(7g、17.7mmol)の溶液に水素化ナトリウム(鉱物油中に60%、707mg、17.7mmol)を0℃でゆっくりと添加した。混合物を室温で30分間にわたって撹拌した後に3−(ベンジルオキシ)プロピル4−メチルベンゼンスルホン酸(5.8g、18.0mmol)を0℃で一度に添加し、生じた混合物を70℃で一晩にわたって撹拌させた。その混合物を室温まで冷却した後にそれを注意深く水(40mL)で反応停止し、酢酸エチルで抽出した(60mL×3)。混合した有機相を塩水(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の5〜10%酢酸エチルで溶出)により粗残留物を精製して1,1,1,16−テトラフェニル−2,5,8,11,15−ペンタオキサヘキサデカン(4.8g、50%の収量収率)を無色油として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.85-1.92 (m, 2H), 3.23 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.53-3.59 (m, 6H), 3.64-3.68 (m, 8H), 4.47 (s, 2H), 7.19-7.33 (m, 15H), 7.45-7.47 (m, 5H).
ステップ2:1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−14−オール
メチレンジクロリド(10mL)およびメタノール(10mL)中の1,1,1,16−テトラフェニル−2,5,8,11,15−ペンタオキサヘキサデカン(4.8g、8.8mmol)の溶液に塩酸(37%、2.5mL)を0℃で添加した。その反応混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。その反応混合物を水(30mL)に投入し、そしてジクロロメタンで抽出した(20mL×3)。混合した有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液(1N、50mL)、水(30mL)、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜40%酢酸エチルで溶出)により粗残留物を精製して1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−14−オール(1.9g、73%の収量収率)を無色油として得た。
ステップ3:1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−14−イル4−メチルベンゼンスルホン酸
ジクロロメタン(20mL)中の1−フェニル−2,7,10,13−テトラオキサペンタデカン−15−オール(1.9g、6.3mmol)、トリエチルアミン(1.3mL、9.5mmol)、N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(75mg、0.63mmol)および4−メチルベンゼン−1−スルホニルクロリド(1.45g、7.65mmol)の混合物を室温で3時間にわたって撹拌した。水(20mL)を添加して反応を停止し、生成物をジクロロメタンで抽出した(40mL×3)。混合した有機相を塩水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で蒸発させた。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10〜30%酢酸エチルで溶出)により粗残留物を精製して1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−14−イル4−メチルベンゼンスルホン酸(2.2g、78%の収量収率)を無色油として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.87-1.92 (m, 2H), 2.43 (s, 3H), 3.54-3.60 (m, 12H), 3.67 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 4.15 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 4.48 (s, 2H), 7.27-7.33 (m, 7H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 2H).
ステップ4:14−アジド−1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン
エタノール(10mL)中の1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−14−イル4−メチルベンゼンスルホン酸(2.2g、4.9mmol)およびアジ化ナトリウム(420mg、6.3mmol)の混合物を5時間にわたって還流した。その反応混合物を室温まで冷却し、水に投入し(10mL)、そしてジクロロメタンで抽出した(50mL×3)。混合した有機層を塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して14−アジド−1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン(1.4g、粗生成物)を無色の油として獲得し、それをさらに精製せずに次のステップにおいて使用した。
ステップ5: tert−ブチル(1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−14−イル)カルバメート
テトラヒドロフラン(15mL)および水(0.5mL)中の上の14−アジド−1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン(1.4g、粗生成物)およびトリフェニルホスフィン(1.7g、6.5mmol)の混合物を窒素雰囲気下、室温で一晩にわたって撹拌した。その反応混合物に0℃でトリエチルアミン(0.9mL、6.5mmol)と二炭酸ジ−tert−ブチル(1.1g、5.2mmol)を添加した。生じた混合物を室温まで温め、そして室温で2時間にわたって撹拌した。揮発成分を減圧下で蒸発させ、残留物をジクロロメタン(100mL)と水(50mL)との間で分配した。有機相を塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の30〜50%酢酸エチルで溶出)により粗残留物を精製してtert−ブチル(1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−14−イル)カルバメート(1.2g、50%の2ステップでの収量収率)を無色油として得た。
ステップ6: tert−ブチル2−(2−(2−(3−ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート
エタノール(50mL)中のtert−ブチル(1−フェニル−2,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−14−イル)カルバメート(1.2g、3mmol)およびパラジウム炭素(10%、200mg)の混合物を水素雰囲気下(水素バルーン)、室温で撹拌した。パラジウム炭素を濾過により除去し、そしてエタノール(20mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮してtert−ブチル2−(2−(2−(3−ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(900mg、粗生成物)を無色の油として獲得し、それをさらに精製せずに次のステップにおいて使用した。
ステップ7:2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11,14−テトラオキサ−5−アザヘプタデカン−17−イル4−メチルベンゼンスルホン酸
無水ジクロロメタン(15mL)中の上のtert−ブチル2−(2−(2−(3−ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(900mg、粗生成物)、トリエチルアミン(0.6mL、4.35mmol)、N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(16mg、0.14mmol)および4−メチルベンゼン−1−スルホニルクロリド(660mg、3.5mmol)の混合物を室温で3時間にわたって撹拌した。水(20mL)を添加して反応を停止し、生成物をジクロロメタンで抽出した(50mL×3)。混合した有機相を塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で蒸発させた。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜30%酢酸エチルで溶出)により粗残留物を精製して2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11,14−テトラオキサ−5−アザヘプタデカン−17−イル4−メチルベンゼンスルホン酸(650mg、77%の収量収率)を明るい黄色の油として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.44 (s, 9H), 1.88-1.95 (m, 2H), 2.45 (s, 3H), 3.29-3.33 (m, 2H), 3.48-3.61 (m, 12H), 4.09-4.15 (m, 2H), 5.04 (brs, 1H), 7.34 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 2H).
ステップ8: tert−ブチル(2−(2−(2−(3−(4−(3−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)フェノキシ)プロポキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート
アセトニトリル(5mL)中の2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11,14−テトラオキサ−5−アザヘプタデカン−17−イル4−メチルベンゼンスルホン酸(115mg、0.25mmol)、炭酸カリウム(69mg、0.50mmol)および4−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ジメチル−5−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(100mg、0.25mmol)の混合物を80℃で16時間にわたって撹拌した。その反応混合物を室温まで冷却し、水(30mL)で反応停止し、そして酢酸エチルで抽出した(30mL×3)。混合した有機相を水(30mL)と塩水(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして減圧下で蒸発させた。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフ(ヘキサン中の10〜30%酢酸エチルで溶出)により粗残留物を精製してtert−ブチル2−(2−(2−(3−(4−(3−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)フェノキシ)プロポキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(150mg、82%の収量収率)を黄色の油として得た。LC-MS (ES+): m/z 695.40 [MH+], tR = 2.79分。
ステップ9:4−(3−(4−(3−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロポキシ)フェニル)−4,4−ジメチル−5−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
無水ジクロロメタン(2mL)および2,2,2−トリフルオロ酢酸(1mL)中のtert−ブチル2−(2−(2−(3−(4−(3−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)フェノキシ)プロポキシ)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(150mg、0.21mmol)の混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。揮発成分を減圧下で蒸発させ、残留物を炭酸水素ナトリウム水溶液(1N、20mL)に投入し、ジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。混合した有機相を塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して4−(3−(4−(3−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロポキシ)フェニル)−4,4−ジメチル−5−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(115mg、粗生成物)を褐色の油として獲得し、それをさらに精製せずに次のステップにおいて使用した。
ステップ10:4−(3−(4−(3−(2−(2−(2−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロポキシ)フェニル)−4,4−ジメチル−5−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の上の4−(3−(4−(3−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロポキシ)フェニル)−4,4−ジメチル−5−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(115mg、粗生成物)、2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン(41mg、0.15mmol)およびN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(58mg、0.44mmol)の溶液を90℃で16時間にわたって撹拌した。その反応混合物を室温まで冷却し、水(3mL)で反応停止し、そして酢酸エチルで抽出した(30mL×3)。混合した有機層を水(30mL×2)と塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。分取TLCにより粗残留物を精製して4−(3−(4−(3−(2−(2−(2−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロポキシ)フェニル)−4,4−ジメチル−5−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(34.5mg、27%の収量収率)を黄色の固形物として得た。LC-MS (ES+): m/z 851.25 [MH+], tR = 2.652分。 1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 1.57 (s, 6H), 2.07-2.11 (m, 3H), 2.70-2.90 (m, 3H), 3.46-3.72 (m, 14H), 4.10 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 4.88-4.92 (m, 1H), 6.48-6.49 (m, 1H), 6.91-7.26 (m, 6H), 7.49 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.83-7.85(m, 1H), 7.97-8.02 (m, 3H).
11.4−{[5−(3−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}プロポキシ)ペンチル]オキシ}−N−[trans−3−(3−クロロ−4−シアノフェノキシ)−2,2,4,4−テトラメチルシクロブチル]ベンズアミド
ステップ1:3−[(5−ヒドロキシペンチル)オキシ]プロパンニトリル
ペンタン−1,5−ジオール(2.98g、28.6mmol)をTHF(50mL)中の水素化ナトリウム(鉱物油中に60%分散度、820mg、34.2mmol)の懸濁液に添加した。混合物を室温で20分間にわたって撹拌した後にそれを0℃まで冷却し、アクリロニトリル(1.20g、22.8mmol)を滴下しながら添加した。生じた混合物を室温で10時間にわたって撹拌した。溶媒部分を真空下で除去し、残留物を水に投入した。その混合物をDCMで抽出した(3×)。有機層をBiotage Universal Phase Separatorに通して濾過し、そして真空中で濃縮した。粗製品をMeOH/DCM(0:100〜3:97)で溶出するTeledyne Combiflash ISCOでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して3−[(5−ヒドロキシペンチル)オキシ]プロパンニトリル(635mg、18%の収量収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.60-3.73 (m, 4H), 3.45-3.55 (m, 2H), 2.60 (dt, J = 4.1, 6.4 Hz, 2H), 2.06 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 1.57-1.69 (m, 4H), 1.43-1.50 (m, 2H).
ステップ2: tert−ブチルN−{3−[(5−ヒドロキシペンチル)オキシ]プロピル}カルバメート
MeOH(12mL)およびH2O(2.0mL)中の3−[(5−ヒドロキシペンチル)オキシ]プロパンニトリル(400mg、2.54mmol)の溶液に塩化ニッケル(II)(393mg、3.04mmol)を添加し、続いて水素化ホウ素ナトリウム(360mg、9.52mmol)を少しずつ添加した。混合物を室温で3時間にわたって撹拌し、その後にMeOH(12mL)で反応停止した。その混合物をセライトに通して濾過し、そしてMeOHで洗浄した。濾液を真空中で濃縮した。THF(5mL)中の上の粗生成物の溶液に6MのNaOH水溶液(0.5mL)と二炭酸ジ−tert−ブチル(831mg、3.81mmol)を添加し、生じた混合物を室温で3時間にわたって撹拌し、その後に真空中で濃縮した。粗製品をMeOH/DCM(0:100〜4:96)で溶出するTeledyne Combiflash ISCOでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してtert−ブチルN−{3−[(5−ヒドロキシペンチル)オキシ]プロピル}カルバメート(366mg、55%の収量収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.91 (br. s., 1H), 3.66 (br. s., 2H), 3.49 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 3.43 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.24 (q, J = 5.9 Hz, 2H), 1.75 (quin, J = 6.2 Hz, 2H), 1.57-1.65 (m, 5H), 1.41-1.52 (m, 11H).
ステップ3: tert−ブチルN−[3−({5−[(4−メチルベンゼンスルホニル)オキシ]ペンチル}オキシ)プロピル]カルバメート
DCM(10mL)中のtert−ブチル(3−((5−ヒドロキシペンチル)オキシ)プロピル)カルバメート(300mg、3.88mmol)の溶液にDIPEA(599.3μL、3.44mmol)、塩化トシル(262.3mg、1.38mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(14.0mg、0.115mmol)を添加した。生じた混合物を室温で20時間にわたって撹拌した。その反応を半飽和炭酸水素ナトリウムで反応停止し、DCMで抽出し(2×)、Biotage Universal Phase Separatorに通して濾過し、そして真空中で濃縮した。粗製品を酢酸エチル/ヘプタン(0:100〜30:70)で溶出するTeledyne Combiflash ISCOでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してtert−ブチルN−[3−({5−[(4−メチルベンゼンスルホニル)オキシ]ペンチル}オキシ)プロピル]カルバメート(914mg、26%の収量収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.78 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 4.02 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.44 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.35 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.19 (q, J = 5.9 Hz, 2H), 2.44 (s, 3H), 1.64-1.74 (m, 5H), 1.49-1.54 (m, 2H), 1.42 (s, 9H), 1.33-1.40 (m, 2H). LC-MS (ES+): m/z 438.19 [MNa+], tR = 2.65分。
ステップ4: メチル4−{[5−(3−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}プロポキシ)ペンチル]オキシ}ベンゾエート
MeCN(10mL)中のtert−ブチルN−[3−({5−[(4−メチルベンゼンスルホニル)オキシ]ペンチル}オキシ)プロピル]カルバメート(340mg、0.82mmol)、メチル4−ヒドロキシベンゾエート(117mg、0.77mmol)、炭酸カリウム(203mg、1.47mmol)の混合物を80℃で24時間にわたって撹拌した。その反応混合物を酢酸エチルで希釈し、半飽和炭酸水素ナトリウム溶液(1×)、水(2×)、塩水(1×)で洗浄し、その後でBiotage Universal Phase Separatorに通して濾過した。濾液を真空中で濃縮し、残留物を酢酸エチル/ヘプタン(0:100〜50:50)で溶出するTeledyne Combiflash ISCOでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してメチル4−{[5−(3−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}プロポキシ)ペンチル]オキシ}ベンゾエート(300mg、93%の収量収率)を得た。LC-MS (ES+): m/z 418.21 [MNa+], tR = 2.74分。
ステップ5:4−{[5−(3−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}プロポキシ)ペンチル]オキシ}安息香酸
1:1:1のTHF/水/MeOH(6.0mL、体積/体積/体積)中の4−{[5−(3−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}プロポキシ)ペンチル]オキシ}ベンゾエート(150mg、0.38mmol)の溶液に水酸化リチウム(81.6mg、3.41mmol)を添加した。生じた混合物を室温で一晩にわたって撹拌し、その後に6NのHCl水溶液でpH2〜3まで酸性にした。その混合物を真空中で濃縮して大半の溶媒を除去し、その後に酢酸エチルで希釈し、水(2×)、塩水(2×)で洗浄し、Biotage Universal Phase Separatorに通して濾過し、そして真空中で濃縮した。粗生成物(123mg)をさらに精製せずに次のステップに持ち込んだ。LC-MS (ES+): m/z 404.20 [MNa+], tR = 2.40分。
ステップ6: tert−ブチルN−(3−{[5−(4−{[trans−3−(3−クロロ−4−シアノフェノキシ)−2,2,4,4−テトラメチルシクロブチル]カルバモイル}フェノキシ)ペンチル]オキシ}プロピル)カルバメート
DMF(5mL)中の4−{[5−(3−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}プロポキシ)ペンチル]オキシ}安息香酸(124mg、0.322mmol)、2−クロロ−4−(trans−3−アミノ−2,2,4,4−テトラメチルシクロブトキシ)ベンゾニトリル(89.8mg、0.322mmol)の溶液にDIPEA(112μL、0.65mmol)とTBTU(155mg、0.48mmol)を添加した。生じた混合物を室温で1時間にわたって撹拌し、その後に酢酸エチルで希釈し、水(3×)、塩水(1×)で洗浄し、Biotage Universal Phase Separatorに通して濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をMeOH/DCM(0:100〜5:95)で溶出するTeledyne Combiflash ISCOでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してtert−ブチルN−(3−{[5−(4−{[trans−3−(3−クロロ−4−シアノフェノキシ)−2,2,4,4−テトラメチルシクロブチル]カルバモイル}フェノキシ)ペンチル]オキシ}プロピル)カルバメート(169mg、82%の収量収率)を得た。LC-MS (ES+): m/z 643.32/645.31 (3:1) [MH+], tR = 3.04分。
12.4−{[5−(3−アミノプロポキシ)ペンチル]オキシ}−N−[trans−3−(3−クロロ−4−シアノフェノキシ)−2,2,4,4−テトラメチルシクロブチル]ベンズアミド
DCM(5mL)中のtert−ブチルN−(3−{[5−(4−{[trans−3−(3−クロロ−4−シアノフェノキシ)−2,2,4,4−テトラメチルシクロブチル]カルバモイル}フェノキシ)ペンチル]オキシ}プロピル)カルバメート(124mg、0.192mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(372μL、4.86mmol)を添加し、そして反応完了まで45℃で1時間にわたって加熱した。その後、その反応を固形物になるまで真空中で濃縮し、そしてさらに精製せずに次のステップに持ち込んだ(104mg、99%の収量収率)。LC-MS (ES+): m/z 543.27/545.26 (3:1) [MH+], tR = 2.26分。
13.4−{[5−(3−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}プロポキシ)ペンチル]オキシ}−N−[trans−3−(3−クロロ−4−シアノフェノキシ)−2,2,4,4−テトラメチルシクロブチル]ベンズアミド
(表1に示されている第11化合物構造)
1,4−ジオキサン(2mL)中の4−{[5−(3−アミノプロポキシ)ペンチル]オキシ}−N−[trans−3−(3−クロロ−4−シアノフェノキシ)−2,2,4,4−テトラメチルシクロブチル]ベンズアミド(30.0mg、0.0553mmol)の溶液にジイソプロピルエチルアミン(384μL、2.21mmol)、2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン(18.3mg、0.0664mmol)を添加した。生じた混合物を16時間にわたって還流し、その後に酢酸エチルで希釈し、半飽和塩水溶液(2×)で洗浄し、Biotage Universal Phase Separatorに通して濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をMeOH/DCM(0:100〜7:93)で溶出するTeledyne Combiflash ISCOでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して4−{[5−(3−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}プロポキシ)ペンチル]オキシ}−N−[trans−3−(3−クロロ−4−シアノフェノキシ)−2,2,4,4−テトラメチルシクロブチル]ベンズアミド(12mg、28%の収量収率)を得た。LC-MS (ES+): m/z 799.31/801.31 (3:1) [MH+], tR = 2.97分。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.03 (s, 1H), 7.72 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.58 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.48 (dd, J = 7.2, 8.4 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.89-6.96 (m, 3H), 6.82 (dd, J = 2.5, 8.8 Hz, 1H), 6.18 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.89 (dd, J = 5.1, 12.1 Hz, 1H), 4.16 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.06 (s, 1H), 4.02 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.56 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 3.50 (s, 2H), 3.46-3.48 (m, 1H), 3.41 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.82-2.90 (m, 1H), 2.76-2.81 (m, 1H), 2.67-2.75 (m, 1H), 2.07-2.14 (m, 1H), 1.94 (quin, J = 6.1 Hz, 2H), 1.82-1.87 (m, 2H), 1.67-1.73 (m, 2H), 1.53-1.59 (m, 2H), 1.28 (s, 6H), 1.20-1.25 (m, 6H).
14.2−((S)−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)−N−((1S)−1−(4−(5−(3−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)プロポキシ)ピリミジン−2−イル)フェニル)エチル)アセトアミド、またの名を 2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1S)−1−{4−[5−(3−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}プロポキシ)ピリミジン−2−イル]フェニル}エチル]アセトアミド
(第40化合物、表1)
次の例となるスキームにより化合物40を調製することができる。
ステップ1:(S)−tert−ブチル1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)エチルカルバメートの調製
ジオキサン(50mL)中の(S)−tert−ブチル1−(4−ブロモフェニル)エチルカルバメート(6g、20.0mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(7.6g、29.9mmol)および酢酸カリウム(5.9mg、60.1mmol)の撹拌溶液に[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(440mg、0.60mmol)を窒素雰囲気下、室温で添加した。その混合物からガスを抜き、そして窒素で3回にわたり再充填した。生じた混合物を90℃で一晩にわたって撹拌した。室温まで冷却した後にその反応混合物を酢酸エチル(100mL)と水(50mL)との間で分配した。水層を分離し、そして酢酸エチルで抽出した(50mL×2)。混合した有機層を塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗残留物を供給し、それをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の5〜10%酢酸エチルで溶出)により精製して(S)−tert−ブチル1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)エチルカルバメート(7.4g、98%の収率)を黄色の油として得た。LC/MS (ES+): m/z 370.0 [M+Na+]; tR = 3.165分; 1HNMR (400MHz, CDCl3): δ 1.26 (s, 12H), 1.34 (s, 12H), 4.78 (br, 1H), 7.30 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.78 (d, J = 8.0 Hz, 2H); 化学式: C19H30BNO4; 分子量: 347.26
ステップ2:ベンジル3−ヒドロキシプロピルカルバメートの調製
水(50mL)とテトラヒドロフラン(100mL)の混合液中の3−アミノプロパン−1−オール(20g、266mmol)および炭酸カリウム(73g、529mmol)の撹拌溶液にベンジルクロロホルマート(68g、398mmol)を0℃で添加した。その混合物を室温まで温め、そして室温で一晩にわたって撹拌した。その反応混合物を酢酸エチル(200mL)と水(100mL)との間で分配した。有機層を回収し、塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗残留物を供給し、それをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜50%酢酸エチルで溶出)により精製してベンジル3−ヒドロキシプロピルカルバメート(26.9g、52%の収率)を無色油として得た。LC/MS (ES+): m/z 232.1 [M+Na+]; tR = 1.697 分; 1HNMR (400MHz, CDCl3): δ 1.67-1.73 (m, 2H), 2.56 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 3.33-3.38 (m, 2H), 3.65-3.70 (m, 2H), 5.06 (br, 1H), 5.11 (s, 2H), 7.29-7.36 (m, 5H); 化学式: C11H15NO3; 分子量: 209.24
ステップ3:3−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)プロピル4−メチルベンゼンスルホン酸の調製
ピリジン(40mL)中のベンジル3−ヒドロキシプロピルカルバメート(26.9g、128.6mmol)の撹拌溶液に4−トルエンスルホニルクロリド(73g、384mmol)を0℃で添加した。その混合物を室温まで温め、そして室温で2時間にわたって撹拌した。その反応混合物を酢酸エチル(120mL)と水(80mL)との間で分配した。有機層を回収し、塩酸(1N、480mL)と塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗残留物を供給し、それをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10〜20%酢酸エチルで溶出)により精製して3−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)プロピル4−メチルベンゼンスルホン酸(38.5g、82%の収率)を黄色の油として得た。LC/MS (ES+): m/z 386.2 [M+Na+]; tR = 2.582 分; 1HNMR (400MHz, CDCl3): δ 1.85-1.91 (m, 2H), 2.43 (s, 3H), 3.25 (m, 2H), 4.09 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 4.83 (br, 1H), 5.07 (s, 2H), 7.26-7.39 (m, 7H), 7.78 (d, J = 8.4 Hz, 2H); 化学式: C18H21NO5S; 分子量: 363.43
ステップ4:2−ブロモピリミジン−5−オールの調製
無水ジクロロメタン(60mL)中の2−クロロ−5−メトキシピリミジン(10g、69.1mmol)の撹拌溶液にジクロロメタン(100mL)中の三臭化ホウ素(34.7g、138.5mmol)の溶液を−78℃で添加した。その混合物を室温まで温め、そして室温で一晩にわたって撹拌した。その反応を−78℃でメタノール(80mL)の滴下による添加により停止した。溶媒を減圧下で除去して粗残留物を供給し、それをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(無水ジクロロメタン中の2〜5%メタノールで溶出)により精製して2−ブロモピリミジン−5−オール(6.5g、54%の収率)を黄色の固形物として得た。1HNMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.26(s, 2H), 8.49 (s, 1H); 化学式: C4H3BrN2O; 分子量: 174.98
ステップ5:ベンジル3−(2−ブロモピリミジン−5−イルオキシ)プロピルカルバメートの調製
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中の2−ブロモピリミジン−5−オール(5g、38.3mmol)、3−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)プロピル4−メチルベンゼンスルホン酸(13.9g、38.2mmol)および炭酸カリウム(10.6g、76.8mmol)の混合物を80℃で一晩にわたって撹拌した。室温まで冷却した後にその反応混合物を酢酸エチル(50mL)と水(30mL)との間で分配した。水層を分離し、そして酢酸エチルで抽出した(50mL×2)。混合した有機層を塩水(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗残留物を供給し、それをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜40%酢酸エチルで溶出)により精製してベンジル3−(2−ブロモピリミジン−5−イルオキシ)プロピルカルバメート(2.4g、23%の収率)を無色油として得た。LC/MS (ES+): m/z 367.9 [M+1] for Br81; tR = 2.375 分; 1HNMR (400MHz, CDCl3): δ 2.04-2.08 (m, 2H), 3.39-3.43 (m, 2H), 4.08-4.13 (m, 2H), 5.09 (s, 2H), 7.34-7.36 (m, 5H), 8.22 (s, 2H); 化学式: C15H16BrN3O3; 分子量: 366.21
ステップ6:tert−ブチル(S)−(1−(4−(5−(3−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)プロポキシ)ピリミジン−2−イル)フェニル)エチル)カルバメートの調製
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)および水(5mL)中のベンジル3−(2−ブロモピリミジン−5−イルオキシ)プロピルカルバメート(2.4g、6.6mmol)、(S)−tert−ブチル1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)エチルカルバメート(2.3g、6.6mmol)および第三リン酸化カリウム三水和物(3.5g、13.3mmol)の撹拌溶液にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(766mg、0.66mmol)を窒素雰囲気下、室温で添加した。その混合物からガスを抜き、そして窒素で3回にわたり再充填した。生じた混合物を80℃で4時間にわたって撹拌した。その反応混合物を酢酸エチル(70mL)と水(30mL)との間で分配した。有機層を回収し、塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗残留物を供給し、それをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10〜50%酢酸エチルで溶出)により精製してtert−ブチル(S)−(1−(4−(5−(3−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)プロポキシ)ピリミジン−2−イル)フェニル)エチル)カルバメート(2.2g、67%の収率)を白色の固形物として得た。LC/MS (ES+): m/z 507.5 [M+H+]; tR = 2.841分; 化学式: C28H34N4O5; 分子量: 506.59
ステップ7:tert−ブチル(1S)−1−(4−(5−(3−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)プロポキシ)ピリミジン−2−イル)フェニル)エチルカルバメートの調製
メタノール(5mL)中のtert−ブチル(S)−(1−(4−(5−(3−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)プロポキシ)ピリミジン−2−イル)フェニル)エチル)カルバメート(2.2g、4.4mmol)および水酸化パラジウム炭素(10%、200mg)の混合物を水素雰囲気下(水素バルーン)、室温で一晩にわたって撹拌した。その触媒を濾過により除去し、そしてメタノール(50mL)で洗浄し、混合した濾液を減圧下で濃縮した。残留物を1−メチル−2−ピロリジノン(20mL)に再溶解し、続いて2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−フルオロイソインドリン−1,3−ジオン(1.2g、4.3mmol)およびN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(2.3g、17.4mmol)を連続てきに添加した。生じた混合物を80℃で2時間にわたって撹拌した。その反応混合物を酢酸エチル(30mL)と水(15mL)との間で分配した。水層を分離し、そして酢酸エチルで抽出した(25mL×2)。混合した有機層を塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗残留物を供給し、それをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の1〜2%メタノールで溶出)により精製してtert−ブチル(1S)−1−(4−(5−(3−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)プロポキシ)ピリミジン−2−イル)フェニル)エチルカルバメート(710mg、26%の収率)を黄色の油として得た。LC/MS (ES+): m/z 629.3 [M+H+]; tR = 2.660 分; 1HNMR (400MHz, CDCl3): δ1.42-1.48(m, 12H), 2.04-2.07 (m, 2H), 2.11-2.26 (m, 4H), 3.54-3.59 (m, 2H), 4.24-4.26 (m, 2H), 4.90-4.94 (m, 1H), 6.50-6.53 (m, 1H), 6.93-6.95 (m, 1H), 7.11-7.12 (m, 1H), 7.39-7.41 (m, 2H), 7.43-7.48 (m, 3H), 8.08 (br, 1H), 8.28-8.32 (m, 2H), 8.51
(s, 2H); 化学式: C33H36N6O7; 分子量: 628.67;
ステップ8:2−((S)−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)−N−((1S)−1−(4−(5−(3−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)プロポキシ)ピリミジン−2−イル)フェニル)エチル)アセトアミド、またの名を 2−[(9S)−7−(4−クロロフェニル)−4,5,13−トリメチル−3−チア−1,8,11,12−テトラアザトリシクロ[8.3.0.02,6]トリデカ−2(6),4,7,10,12−ペンタエン−9−イル]−N−[(1S)−1−{4−[5−(3−{[2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]アミノ}プロポキシ)ピリミジン−2−イル]フェニル}エチル]アセトアミドの調製
ジクロロメタン(7mL)中のtert−ブチル(1S)−1−(4−(5−(3−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)プロポキシ)ピリミジン−2−イル)フェニル)エチルカルバメート(710mg、1.1mmol)および2,2,2−トリフルオロ酢酸(7mL)の混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。揮発成分を減圧下で蒸発させた。残留物を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に再溶解し、続いて(S)−2−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)酢酸(407mg、1.0mmol)、N−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(730mg、5.6mmol)、およびHATU(2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(1.3g、3.3mmol)を0℃で連続的に添加した。生じた混合物を室温まで温め、そして室温で30分間にわたって撹拌した。その反応混合物を酢酸エチル(40mL)と水(20mL)との間で分配した。水層を分離し、そして酢酸エチルで抽出した(25mL×2)。混合した有機層を塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗残留物を供給し、それを分取TLC(ジクロロメタン中の7%メタノールで溶出)により精製して2−((S)−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)−N−((1S)−1−(4−(5−(3−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)プロポキシ)ピリミジン−2−イル)フェニル)エチル)アセトアミド(160mg、15.5%の2ステップでの収量収率)を黄色の固形物として得た。LC/MS (ES+): m/z 911.3 [M+H+]; tR = 2.666 分; 1HNMR (400MHz, CDCl3): δ 1.58 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.66 (s, 3H), 1.94-2.01 (m, 1H), 2.11-2.14 (m, 1H), 2.22-2.23 (m, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.66 (s, 3H), 2.75-2.90 (m, 2H), 3.38-3.43 (m, 1H), 3.55-3.62 (m, 3H), 4.24-4.26 (m, 2H), 4.58-4.61 (m, 1H), 4.89-4.93 (m, 1H), 5.18-5.22 (m, 1H), 6.48-6.55 (m, 1H), 6.89-6.94 (m, 2H), 7.10-7.12 (m, 1H), 7.32-7.41 (m, 6H), 7.50 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 8.26-8.28 (m, 3H), 8.51 (s, 2H); 化学式: C47H43ClN10O6S; 分子量: 911.43
C.タンパク質分解バイオアッセイ
本明細書において開示される代表的化合物を使用して様々な細胞種において観察されるタンパク質分解レベルを評価するために次のバイオアッセイを実施した。
各バイオアッセイにおいて本開示によって包含される表1に示される化合物の量を変えて細胞を処理した。次のタンパク質、すなわち、TANK結合キナーゼ1(TBK1)、エストロゲン受容体α(ERα)、ブロモドメイン含有タンパク質4(BRD4)、アンドロゲン受容体(AR)、およびc−Mycの分解をこの試験研究で評価した。
1.TBK1ウエスタンプロトコル
Panc02.13細胞をATCCより購入し、15%のFBS(ATCC)と10単位/mLのヒト組換えインスリン(Gibco)を添加したRPMI−1640(Gibco)中に培養した。DMSO対照処理と化合物処理(0.1μM、0.3μM、および1μM)を12ウェルプレート内で16時間にわたって実施した。TLR3アゴニストであるポリI:C(Invivogen;tlrl−pic)を最後の3時間にわたって添加した。細胞を回収し、そしてプロテアーゼ阻害剤とホスファターゼ阻害剤を添加したRIPA緩衝液(50mMのトリスpH8、150mMのNaCl、1%のTx−100、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム)中で溶解した。溶解液を16,000gで10分間にわたって清澄化し、上清をSDS−PAGEにより分離した。標準的プロトコルを使用してイムノブロッティングを実施した。使用した抗体はTBK1(Cell Signaling番号3504)、pIRF3(abcam番号ab76493)、およびGAPDH(Cell Signaling番号5174)であった。Biorad ChemiDoc MPイメージングシステムを使用してバンドを定量した。
2.ERRαウエスタンプロトコル
NAMALWA細胞(ATCC)を15%FBS(Life Technologies)添加RPMI−1640(Life Technologies)中に培養した。DMSO対照インキュベーションと化合物インキュベーション(0.1μM、0.3μM、および1μM)を24ウェルプレート内で16時間にわたって実施した。細胞を回収し、プロテアーゼ阻害剤(Thermo Scientific)含有細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technologies)で溶解した。溶解液を16,000gで10分間にわたって清澄化し、上清をSDS−PAGEにより分離した。標準的プロトコルを使用してイムノブロッティングを実施した。使用した抗体はERRα(Cell Signaling番号8644)およびGAPDH(Cell Signaling番号5174)であった。Bio−Rad ChemiDoc MPイメージングシステムを使用してバンドを定量した。
3.BRD4ウエスタンプロトコル
VCaP細胞をATCCより購入し、10%のFBS(ATCC)とペニシリン/ストレプトマイシン(Life Technologies)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(ATCC)中に培養した。DMSO対照処理と化合物処理(0.003μM、0.01μM、0.03μMのおよび0.1μM)を12ウェルプレート内で16時間にわたって実施した。細胞を回収し、そしてプロテアーゼ阻害剤とホスファターゼ阻害剤を添加したRIPA緩衝液(50mMのトリスpH8、150mMのNaCl、1%のTx−100、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム)中で溶解した。溶解液を16,000gで10分間にわたって清澄化し、タンパク質濃度を決定した。等量のタンパク質(20μg)を標準的プロトコルに従ってSDS−PAGE分析とそれに続くイムノブロッティングの対象とした。使用した抗体はBRD4(Cell Signaling番号13440)およびアクチン(Sigma番号5441)であった。検出試薬はClarity Western ECL基質(Bio−rad番号170−5060)であった。
4.AR ELISAプロトコル
VCaP細胞をATCCより購入し、10%のFBS(ATCC)とペニシリン/ストレプトマイシン(Life Technologies)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(ATCC)中に培養した。DMSO対照処理と化合物処理(0.0001μM〜1μM)を96ウェルプレート内で16時間にわたって実施した。細胞を回収し、細胞溶解緩衝液(カタログ番号9803)(20mMのトリス塩酸(pH7.5)、150mMのNaCl、1mMのNa2EDTA、1mMのEGTA、1%のTriton、2.5mMのピロリン酸ナトリウム、1mMのB−グリセロリン酸、1mMのNa3VO4、1ug/mlのロイペプチン)で溶解した。溶解液を16,000gで10分間にわたって清澄化し、そしてPathScan AR ELISA(Cell Signalingカタログ番号12850)に負荷した。PathScan(登録商標)総アンドロゲン受容体サンドイッチELISAキットは総アンドロゲン受容体タンパク質の内在性レベルを検出する固相サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である。アンドロゲン受容体ウサギmAbがマイクロウェルに被覆されている。細胞溶解液とのインキュベーション後にその被覆抗体によってアンドロゲン受容体タンパク質が捕捉される。念入りの洗浄に続いてその捕捉アンドロゲン受容体タンパク質を検出するためにアンドロゲン受容体マウス検出mAbを添加する。次にHRP結合抗マウスIgG抗体を使用してその結合検出抗体を認識する。HRP基質であるTMBを添加して発色させる。その発色の吸光度の程度は総アンドロゲン受容体タンパク質の量に比例する。
キット内の抗体はキット特異的なカスタム製剤である。
5.c−Myc ELISAアッセイプロトコル
22RV−1細胞をATCCより購入し、RPMI+10%FBS培地中に培養した。トリプシン(Gibco番号25200−114)を使用して細胞を回収し、計数し、そして96ウェルプレート内に75μL/ウェルの体積のRPMI+10%FBS培地中に30,000細胞/ウェルの割合で播種した。0.1%のDMSO中に希釈した化合物をそれらの細胞に投与し、18時間にわたって培養し、その後で洗浄し、そしてプロテアーゼ阻害剤とホスファターゼ阻害剤を添加した50uLのRIPA緩衝液(50mMのトリスpH8、150mMのNaCl、1%のTx−100、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム)で溶解した。溶解液を4000rpm、4℃で10分間にわたって清澄化し、その後でLife Technologiesカタログ番号KHO2041のNovex Human c−myc ELISAキットの96ウェルELISAプレートにアリコットを添加した。50ulのc−Myc検出抗体を各ウェルに添加し、それらのプレートを室温で3時間にわたってインキュベートし、その後にELISA洗浄緩衝液で洗浄した。100uLの抗ウサギIgG−HRP二次抗体を各ウェルに添加し、室温で30分間にわたってインキュベートした。それらのプレートをELISA洗浄緩衝液で洗浄し、100μLのTMBを各ウェルに添加し、その後に色の変化を5分毎にモニターした。100μLの停止溶液を添加し、プレートを450nmで読み取る。
D.結果
表1は本開示に包含される代表的な数の化合物から得られた実験データの結果を提供している。具体的には、化学構造、マススペクトロメトリー特性解析、および化合物名によって特定される表1に挙げられた化合物で様々な細胞種を処理した。
表1は、(A)1uMの化合物1、6〜9、12、および17で処理された細胞において10〜30%の分解が達成され、(B)1uMの化合物2〜5、10、および20で処理された細胞において31−50%の分解が達成され、および(C)1uMの化合物11、13〜16、18〜19、21および22で処理された細胞において50%を超える分解が達成されたことを示している。表1は、(D)化合物24および26〜35は50nM未満のIC50を有し、一方で(E)化合物23および25は50nMを超えるIC50を有することも示している。
実施例2
低分子阻害剤は腫瘍学薬品開発の基礎であり、概して酵素活性を阻害すること(キナーゼ阻害剤など)、またはタンパク質間相互作用に干渉すること(BRD4阻害剤など)によって作用する。大半の低分子阻害剤の可逆的結合を考慮すると、全身薬品濃度によって充分な機能阻害を確実にすることが多くの場合に要求される。加えて、インビボでの効果に要求される高い全身薬品レベルを達成および維持することが多くの標的にとって困難であることが示されている。
BRD4はブロモドメインおよびエクストラターミナルドメイン(BET)ファミリーのメンバーであり、N末端の2つのブロモドメイン(BDドメイン)とC末端のエクストラターミナルドメイン(ETドメイン)を特徴とするタンパク質である。それらの2つのBDドメインがヒストンタンパク質のN末端テールにあるアセチル化リシン残基を認識してそれらの残基と相互作用する。ETドメインは多様な転写調節因子の動員に関してスキャフォールド機能を果たすと考えられているが、その特徴はまだ完全に明らかにされていない。BRD4はc−MYC、Bcl−xLおよびBCL−6などの重要な癌遺伝子の上流に存在することが多いスーパーエンハンサー領域に局在し、それらの遺伝子の発現の調節に重要な役割を果たすことが示されている。特定のゲノム座位への適切な転写修飾因子の動員による遺伝子発現の調節における役割に基づき、BRD4は正中線癌、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、バーキットリンパ腫(BL)、および前立腺癌などの多数のヒト癌の治療および/または予防のための候補薬品標的である。
JQ1、iBET、およびOTX15などの幾つかの低分子BETブロモドメイン阻害剤が開発されており、それらはBLを含む様々な癌の特定の前臨床モデルにおいて治療能力があることが示されている。ほとんど全てのBL症例がc−myc遺伝子をIgHの上流に位置するスーパーエンハンサーの制御下に置くその遺伝子の転座を含み、そうして異常に高レベルのc−MYC発現、腫瘍発生、および腫瘍維持が誘導される。BRD4阻害剤を使用する前臨床研究によりBL細胞株においてc−MYCおよび増殖を抑制するそれらの能力が実証されているが、しかしながらこれらの阻害剤のIC50値は100nM〜1μMの範囲内であることが多い。
材料と方法
この研究の実験デザインおよび実験法の詳細を以下に提供する。
1.化合物
第14化合物(表1)を上の実施例1の合成法第8番において考察した方法に従って合成した。本実施例を通して「A825」と呼ぶこの化合物は次の名称および構造を有する。
2−((S)−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)−N−(4−(2−(2−(2−(2−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)アセトアミド
図2に示されるように、A825はテトラオキサテトラデカンリンカーを介してE3ユビキチンリガーゼセレブロン動員部分(ポマリドミドの誘導体)に連結されているBRD4結合部分(OTX−15の誘導体)を含有する。
A825の細胞効果を様々な細胞株において評価し、これらの効果を2種類の公知のBETドメイン阻害剤であるJQ1およびOTX−15と比較した。JQ1は公開されている研究において最も頻繁に使用されるBETドメイン阻害剤であり、OTX−15は臨床開発が進展した段階にあるBETドメイン阻害剤である。
A825のセレブロン動員部分も様々な細胞株において評価し、ポマリドミドと比較した。
阻害剤JQ1、OTX−15、およびポマリドミドを公開されている方法に従って合成した。
2.細胞と試薬
NAMALWA細胞、Ramos細胞、CA−46細胞、およびDAUDI細胞をATCCより購入し、指示通りに維持した。抗BRD4抗体(番号E2A7X)、抗c−MYC抗体(番号D84C12)、抗PARP抗体(番号46D11)をCell Signaling Technologyより購入した。抗アクチン(番号A5441)抗体をSigmaAldrichより購入した。二次抗体(番号7074、番号7076)をCell Signaling Technologyより購入した。MG132(番号M7449)をSigmaAldrichより購入した。カルフィルゾミブ(番号S2853)をSelleckより購入した。
3.ウエスタンブロット分析
40mMのHEPES(pH7.4)、140mMのNaCl、2.5mMのEDTA、1%のNP−40、0.1%のSDSおよびプロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する溶解緩衝液中に培養細胞を収集した。10分間の遠心分離(14000rpm)の後に上清をBCA法によるタンパク質濃度決定のために回収し、そして標準的プロトコルによるイムノブロッティングの対象とした。Bio−Rad ChemiDoc(商標)MPイメージングシステム上でBio−Rad Clarity ECLウエスタンブロッティング基質を使用してウエスタンブロットの結果を視覚化した。
4.RT−PCR
Bio−RadのAurum(商標)トータルRNAミニキット(番号732−6820)でRNA抽出を実施した。Life TechnologiesのハイキャパシティーcDNAリバーストランスクリプションキット(番号4368813)を製造業者の指示に従って用いて全RNAのファーストストランドcDNAを合成した。Bio−rad SsoAdvanced(商標)ユニバーサルSYBR(登録商標)グリーンスーパーミックス(番号172−5271)を使用して定量的PCRを実施した。次のプライマーを使用した。
5.増殖アッセイ
増殖に対する前記阻害剤の効果を評価するため、96ウェル組織培養プレート中に細胞(50,000細胞/100μl)を播種し、続いて化合物を表示濃度で添加した。72時間後にウェル当たり100μLの再構成CellTiter−Glo(CTG)試薬(Promega番号G7572)を添加し、BioTekのCytation3イメージングリーダー上で読み取りを行った。処理細胞のアッセイ読み取り値を対照DMSO処理細胞と比較することにより相対的細胞増殖を決定した。
6.Kd決定
BRD4のブロモドメイン1と2との化合物の親和性をDiscoverXによるBromoscan(商標)で決定した。
B.結果
次の実験においてJQ1、OTX−15、およびA825の細胞効果を評価および比較した。
1.低分子BETドメイン阻害剤は著しいBRD4タンパク質蓄積と非効率的なc−MYC抑制を引き起こす
a.JQ1処理およびOTX−15処理によるBRD4の用量依存的蓄積
バーキットリンパ腫(BL)細胞株は、転座してBRD4の下流にあるIgHスーパーエンハンサーの制御下に入ったc−myc癌遺伝子へのそれらの細胞株の依存性のため、BRD4阻害剤に応答することが研究より示されている。
最初の実験では様々なBL細胞株(NAMALWA細胞、Ramos細胞、CA−46細胞、およびDaudi細胞)を様々な濃度の2種類の公知のBETドメイン阻害剤(JQ1およびOTX−15)で処理してこれらの阻害剤がBRD4の分解の減少および/または防止に有効であることを確認した。具体的には、NAMALWA細胞とRamos細胞を様々な濃度のJQ1およびOTX−15(3nM、10nM、100nM、300nM、1000nM、および3000nM)で処理し、CA−46細胞とDaudi細胞を100nMおよび300nMのJQ1およびOTX−15で処理した。阻害剤の代わりにDMSOを使用したことを除いて同じように別のセットの細胞を処理した。JQ1およびOTX15の用量を増加させてそれらの細胞の全てを一晩にわたって処理した。処理後、細胞溶解液を収集し、BRD4およびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
細胞中に存在するBRD4の量を処理後のウエスタンブロット分析により評価することによってこれらの処理の効果を決定した(図3A、3B、3C、および3D)。
図3A〜3Dは、検査した全ての細胞株において用量依存的なBRD4タンパク質の著しい蓄積がJQ1とOTX−15の両方により引き起こされることを示している。これらの結果は幾つかの肺癌細胞株におけるBRD4の上方制御がJQ1処理により生じるという以前の観察(Shimamura, T., Chen, Z., Soucheray, M., Carretero, J., Kikuchi, E., Tchaicha, J.H., Gao, Y., Cheng, K.A., Cohoon, T.J., Qi, J., et al. (2013)、J.A. Mertz, et al., PNAS, 108 (2011) 16669-16674、および K. Klapproth, et al., British journal of haematology, 149 (2010) 484-497)と一致する。
b.JQ1処理およびOTX−15処理によるBRD4の蓄積速度
JQ1およびOTX−15での処理後にBL細胞株においてBRD4が蓄積する速度も決定した。具体的には、NAMALWA細胞とRamos細胞を300nMの各阻害剤で0時間、0.5時間、1.0時間、2.0時間、4.0時間、7.0時間、24時間、および48.0時間にわたって処理した。処理後、細胞溶解液を収集し、BRD4およびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
図3Eは、NAMALWA細胞がどの阻害剤でも処理前(0時間)に検出可能レベルのBRD4を含有することを示している。NAMALWA細胞中に存在するBRD4の量はJQ1またはOTX−15のどちらかでの処理から30分以内に顕著に増加し、BRD4量はより長い処理時間(0.5時間〜48.0時間)と共に増加し続けた。
図3Fは、NAMALWA細胞と同様に、Ramos細胞もどの阻害剤でも処理前(0時間)に検出可能レベルのBRD4を含有することを示している。しかしながら、NAMALWA細胞と比較してRamos細胞ではBRD4はより遅い速度で蓄積する。具体的には、JQ1またはOTX−15のどちらかでの処理から約4.0時間と約7.0時間の間にBRD4量の顕著な増加が観察された。Ramos細胞におけるBRD4量の顕著な増加は両方の阻害剤での処理から24.0時間後に観察された。
まとめると、図3Eおよび3Fに示されている結果は、低分子BRD4阻害剤が様々なBL細胞株における急速なBRD4蓄積を0.3μmのJQ1またはOTX15で引き起こすことを示している。
c.JQ1およびOTX−15は下流c−Mycの抑制を引き起こす
上で考察したように、BRD4はc−Myc、Bcl−xLおよびBCL−6などの重要な癌遺伝子の上流に存在することが多いスーパーエンハンサー領域に局在することが示されている。BETドメイン阻害剤が下流癌遺伝子の発現に影響を与えることができるか決定するため、JQ1またはOTX−15のどちらかの濃度を上昇させて(3nM、10nM、100nM、300nM、1000nM、および3000nM)NAMALWA細胞を一晩にわたって処理した。阻害剤の代わりにDMSOを使用したことを除いて同じように別のセットの細胞を処理した。処理後、細胞溶解液を収集し、c−Mycおよびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
図3Gは、BETドメイン阻害剤での細胞の処理によりc−Mycの下流抑制をある特定の程度まで引き起こすことが可能であるが、高濃度であってもそれらの阻害剤はc−Mycの発現を完全に阻害することができないことを示している。具体的には、低濃度(3nM〜30nM)ではそれらの阻害剤は細胞内に存在するc−Mycのレベルに対して顕著な影響を有しなかったことをその図は示している。しかしながら、c−Mycの量は100nMのJQ1またはOTX−15のどちらかで処理された細胞では顕著に減少し、300nMおよび1000nMのJQ1またはOTX−15で処理された細胞ではさらに減少した。JQ1とOTX−15の両方が100nMから1000nMの間の濃度でc−Mycレベルを著しく抑制したが、より高い用量のどちらの阻害剤もc−Mycをさらに減少させることはないようであった(図3G、1000nMを3000nMと比較されたい)ことが結果より示されている。
これらの結果より、BETドメイン阻害剤JQ1およびOTX−15での細胞の処理により100nMと1000nMの間の濃度でBRD4下流タンパク質c−Mycの著しい抑制が引き起こされる。しかしながら、より高い濃度のJQ1およびOTX−15(1000nMより上)によって1000nMの阻害剤で見られる効果を超えてc−Mycタンパク質がさらに抑制されることはなかった。また、JQ1とOTX−15のどちらも3000nMの濃度であってもc−Myc発現を完全に抑制することができなかった。
d.JQ1およびOTX−15によるc−Mycの抑制は可逆的である
JQ1およびOTX−15によるc−Myc発現の抑制効果が可逆的であるか決定するために次の研究を実施した。
この研究ではNAMALWA細胞を24時間にわたってJQ1(1000nM)で処理し、続いて3回洗浄してその阻害剤を除去した。細胞を再播種し、阻害剤を含まずに0時間、0.5時間、1.0時間、2.0時間、3.0時間、4.0時間、および6.0時間にわたって培養した。その後、細胞溶解液を様々な時点で収集し、c−Mycおよびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。並行対照実験ではJQ1の代わりにDMSOを使用したことを除いて同じようにNAMALWA細胞を処理した。
図3Hは1000nMのJQ1によりNAMALWA細胞においてc−Mycタンパク質レベルが顕著に抑制された(JQ1処理細胞の0時間のレーンをDMSO対照の0時間のレーンと比較されたい)ことを示しており、それは図3A〜3Dにおいて示されている結果と一致する。図3Hは、阻害剤の除去から1.0〜2.0時間の間にc−Mycタンパク質レベルが顕著に上昇すること、および阻害剤の除去から3.0時間以内に、c−Mycタンパク質が対照試料のレベルまで戻ることからJQ1によるc−Mycの抑制は急速に反転可能であったことも示している。
別の実験ではJQ1(1000nM)、OTX−15(1000nM)、またはDMSO(対照)のいずれかでRamos細胞を24時間にわたって処理した。処理後、細胞を(阻害剤によるc−Mycの抑制を評価するために)溶解するか、または(c−Myc抑制の可逆性を評価するために)洗浄して阻害剤を除去し、再播種し、そして阻害剤を含まずに4.0時間にわたって培養した。細胞溶解液を収集し、c−Mycおよびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
Ramos細胞に由来する結果はNAMALWA細胞において観察された結果と一致した。具体的には、図3I(下のパネル)は、JQ1およびOTX−15によりRamos細胞においてc−Mycが抑制されたが(「JQ1」レーンと「OTX15」レーン)、阻害剤を除去した後の4.0時間以内にc−Mycレベルが顕著に上昇した(「JQ1洗い流しから4時間後」レーンおよび「OTX15洗い流しから4時間後」レーン)ことからこの抑制効果は可逆的であってことを示している。
この研究の結果は低分子BRD4阻害剤(JQ1およびOTX−15)がBL細胞株において下流c−Mycの抑制を引き起こすことを示している。しかしながら、それらの阻害剤はそれらの細胞において高濃度であってもc−Mycの発現を完全に抑制することができなかった。さらに、これらの阻害剤によるc−Myc発現の抑制効果は急速に反転可能であり、c−Mycタンパク質レベルはそれらの阻害剤の除去から約2.0〜4.0時間の後に上昇することが分かった。この研究いおいて得られた結果は、c−MYCはJQ1処理によって抑制されるが、JQ1が除去されると急速に反発するというAMLにおける以前の発見(J.A. Mertz, et al., PNAS, 108 (2011) 16669-16674)と一致する。
2.BRD4を効率的に分解するためのPROTACを作製するためのE3ユビキチンリガーゼセレブロンのハイジャック
JQ1処理とOTX−15処理によるBRD4の急速で確固とした蓄積は、これまでの研究において観察されたBRD4への阻害剤の結合の可逆性と併せて、BLおよび他の癌において観察される下流c−Mycの抑制および増殖阻害に対する適度の効果を説明し得る。低分子BRD4阻害剤の限界を回避するため、(上で考察され、図2において示されている)PROTACテクノロジーを利用してキメラ化合物であるA825を設計した。
a.BRD4のブロモドメインへの阻害剤の結合親和性
BRD4のブロモドメイン1(BD1)およびブロモドメイン2(BD2)へのA825の結合親和性を評価し、JQ1およびOTX−15の同ドメインへの結合親和性と比較した。これらの化合物のそれぞれの結合親和性が下の表にまとめられている。
結合親和性研究よりA825はJQ1およびOTX−15のものと比較してわずかに低下したBRD4のBD1およびBD2に対する結合親和性を有することが示された。
b.A825はBRD4の効率的な分解を引き起こす
BL細胞株におけるBRD4タンパク質レベルに対するA825の効果を評価した。
具体的には、A825の濃度を上昇させて(0.3nM、1.0nM、3.0nM、10mM、30nM、100nM、300nM、および1000nM)NAMALWA細胞とCA−46細胞を一晩にわたって処理した。処理後、細胞溶解液を収集し、BRD4およびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
図4Aおよび4BはA825でのBL細胞株の処理により低濃度のこの化合物で完全なBRD4タンパク質分解が誘導されることを示している。特に、この図において示されるデータに基づくと、NAMALWA細胞におけるBRD4のDC50(最大分解の50%)は1.0nM以下のA825で細胞を処理することにより達成されるようである(4A)。同様に、CA−46細胞におけるBRD4のDC50は0.3nM〜1.0nMまたはそれ以下のA825で細胞を処理することにより達成されるようである(4B)。
また、BRD4は約3.0nM〜約300nMの間の範囲の濃度のA825で処理された両方のBL細胞株では、これらの処理濃度でBRD4の目立ったタンパク質バンドば全く無いことによって明らかであるように、完全に分解されるようである。興味深いことに、1000nMのA825で処理された両方のBL細胞株の溶解液を含むレーンで少量のBRD4タンパク質が観察されたが、これはA825によるBRD4の分解がベル型用量依存的に起こることを示している。すなわち、A825の臨界濃度範囲より上、または下でA825が存在するときに不完全なBRD4分解が観察されるので、BRD4の完全な分解はこの臨界範囲内で起こる。
A825内のBRD4およびセレブロン結合部分はそれらのそれぞれの標的に対して28〜90nMおよび3uMというKdを有するという事実を考慮すると、A825は媒介するBRD4分解において触媒的に作用することがこれにより示唆される。
c.A825はBRD4の急速な分解を引き起こす
A825での処理後のBL細胞株におけるBRD4の分解速度も決定した。この研究ではNAMALWA細胞とRamos細胞をA825(100nM)で0時間、0.5時間、1.0時間、2.0時間、4.0時間、7.0時間、および24時間にわたって処理した。処理後、細胞溶解液を収集し、BRD4およびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
図4Cおよび4Dは、A825での処理前(0時間)に両方のBL細胞株においてBRD4が存在することを示している。A825での処理から1時間以内にBRD4タンパク質レベルが顕著に低下し、そのタンパク質レベルが24.0時間の処理期間にわたって着実に低下し続けた。この図は、A825によるBRD4の分解が急速に起こり、A825処理から2時間以内に50%を超えるタンパク質が失われることも示している。
d.A825によるBRD4の分解はセレブロン依存的である
A825処理によって誘導されるBRD4分解はセレブロン依存的であることを確認するため、BL細胞株をA825、ポマリドミド、またはそれらの2種類の化合物の組合せのいずれかで処理する競合阻害実験を実施した。上で考察したように、且つ、図2に示されるように、A825はE3ユビキチンリガーゼセレブロン動員部分を含有し、それはポマリドミドの誘導体でり、したがってポマリドミドとA825はセレブロンへの結合について競合する。したがって、A825処理によるBRD4の分解がセレブロン依存的である場合、A825とポマリドミドの組合せで処理された細胞はA825単独で処理された細胞と比較してBRD4分解の減少を示すはずである。
この研究ではNAMALWA細胞とRamos細胞を様々な濃度のA825のみ(10nM、100nM、および1000nM)、ポマリドミドのみ(10μM)、またはA825とポマリドミドの組合せで一晩にわたって処理した。処理後、細胞溶解液を収集し、BRD4およびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
図4Eおよび4Fは10nMおよび100nMのA825で処理された細胞における完全なBRD4分解を示しており、一方で少量のBRD4が1000nMのA825で処理された細胞中に存在し、このことは図4Aおよび4Bにおいて示されている結果と一致する。図4Eおよび4Fはポマリドミドのみで処理された細胞ではBRD4レベルが影響を受けなかったことも示しており、ポマリドミドはBRD4を分解の標的としないのでこのことは予期されていた。最後に、図4Eおよび4FはA825とポマリドミドの組合せで処理された細胞ではBRD4タンパク質レベルが分解から部分的にレスキューされたことを示している。
この研究の結果はA825によるBRD4の分解にセレブロンが介在することを確証している。
e.プロテアソーム阻害剤はA825によるBRD4の分解を妨げる
セレブロンは、単独で、またはE2ユビキチン結合酵素と組み合わさって標的タンパク質上のリシンへのユビキチンの結合を引き起こし、後にその特定のタンパク質基質をプロテアソームによる分解の標的とするE3ユビキチンリガーゼタンパク質である。プロテアソーム経路を介してA825によるBRD4の分解が生じることを確認するため、プロテアソーム阻害剤を含めて、および含まずにA825でBL細胞株を処理した。
具体的には、NAMALWA細胞をA825のみ(10nMおよび100nM)、MG132のみ(5μM)、またはカルフィルゾミブのみ(5μM)、またはA825とMG132またはカルフィルゾミブとの組合せで一晩にわたって処理した。処理後、細胞溶解液を収集し、BRD4およびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
図4Gは10nMまたは100nMのどちらかのA825のみで処理された細胞においてBRD4が完全に分解されたことを示しており、それは図4Aおよび4Bにおいて示されている結果と一致する。図4Eおよび4FはMG132とカルフィルゾミブの両方が10nMまたは100nMのどちらかのA825によって誘導されるBRD4分解を完全に防止したことも示している。これらの結果はA825によるBRD4の分解がプロテアソームを介する通常のセレブロン経路に従って進行することを確証する。
e.要約と考察
まとめると、上の実験(a)〜(f)より得られたデータはセレブロン介在性およびプロテアソーム依存性機序における迅速で効率的なBRD4分解がA825により引き起こされることを示している。
この研究において観察されたBRD4分解プロファイルは図8において例示されている次の作用機序モデルを裏付けている。具体的に言うと、未処理細胞ではBRD4発現は阻害されておらず、通常の細胞制御下で機能する。しかしながら、低濃度のA825で細胞が処理されるとき、その分子の一端でBRD4に効果的に結合し、且つ、他方の末端でセレブロンに効果的に結合して「BRD4−A825−セレブロン」三量体複合体(図8A)を形成するために充分なA825がそれらの細胞中に存在する。この「BRD4−A825−セレブロン」三量体複合体はそれらの細胞において効率的なBRD4分解を引き起こす。その三量体複合体は特定の濃度範囲内のA825で処理された細胞中で生じることができ、細胞内でのBRD4の完全な枯渇を引き起こすことができる(図8A)。しかしながら、細胞が高濃度のA825で処理されるとき、最適な三量体形成を妨害する「BRD4−A825」二量体と「A825−セレブロン」二量体が形成され、それによりBRD4分解があまり有効ではなくなる(図8B)。
3.A825は低分子阻害剤よりも顕著で長く持続するc−MYC抑制を引き起こす
上で考察したように、100nM以上の低分子BETドメイン阻害剤JQ1およびOTX−15での細胞の処理により下流タンパク質c−Mycの顕著であるが不完全な抑制が生じ、1000nMより上のそれらの濃度によりc−Mycがさらに抑制されることはなかった。次の研究ではc−Myc発現に対するA825の下流効果を低分子阻害剤、JQ1およびOTX15と比較した。
a.A825はJQ1およびOTX−15よりも高い程度までc−Mycを抑制する
この研究ではA825によるc−Mycの抑制をJQ1およびOTX−15と比較した。
具体的には、NAMALWA細胞とRamos細胞を様々な濃度のA825(100nM、300nM、および1000nM)、またはJQ1(100nM、300nM、1000nM、3000nM、および10000nM)、またはOTX15(100nM、300nM、1000nM、3000nM、および10000nM)で一晩にわたって処理した。処理後、細胞溶解液を収集し、BRD4、c−Mycおよびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
図5Aおよび5BはJQ1およびOTX−15により両方のBL細胞株において確固としたBRD4蓄積とc−Mycの顕著であるが不完全な抑制が生じる(図3Gと一致)ことを示している。図5Aおよび5Bは、A825により両方のBL細胞株においてJQ1およびOTX−15と比較して著しいBRD4分解(図4A〜4Gと一致)とc−Mycのさらにより顕著な下方制御が生じたことも示している。特筆すべきことに、A825はJQ1およびOTX−15よりもずっと低い濃度のその化合物でずっとより高い程度までc−Myc発現を下方制御することができた。
b.A825はJQ1およびOTX−15よりも長くc−Myc発現を抑制する
A825、JQ1、およびOTX−15によるc−Mycの抑制期間を比較するために次の研究を実施した。
具体的には、NAMALWA細胞をA825(0.1μM)、JQ1(1.0μM)およびOTX−15(1.0μM)で24時間にわたって処理し、その後に3回洗浄してそれらの化合物を除去した。細胞を新しい培地に再播種し、そしてどの化合物も含まずに0時間、2.0時間、4.0時間、6.0時間、および24.0時間にわたって培養した。並行対照実験では阻害剤の代わりにDMSOを使用したことを除いて同じように細胞を処理した。溶解液を回収し、BRD4、c−Myc、およびアクチンについてのイムノブロットにより分析した。
図5CはA825によるBRD4に対する処理後効果(BRD4分解)がJQ1およびOTX−15による処理後効果(BRD4蓄積)よりもずっと長く維持されることを示している。加えて、A825によるc−Mycに対する処理後下流抑制効果もJQ1およびOTX−15と比較してA825によってずっと長く維持される。特に、その図はA825での処理から6時間後の細胞において検出可能なBRD4タンパク質が観察されなかったことも示している。
加えて、A825での処理から24時間後であってもウエスタンブロットにおいて少量のBRD4しか観察されず、それは対照試料において観察されたBRD4レベルのかなり下であった。対照的に、JQ1およびOTX−15によるBRD4の蓄積は長続きせず、これらの試料でのBRD4のタンパク質レベルは処理後約4時間以内に対照試料のレベルまで戻った。その図はA825での処理後2時間から6時間の間に低レベルのc−Mycタンパク質しか検出されず、処理後24時間であってもc−Mycレベルが対照試料をかなり下回ったことも示している。対照的に、その図はJQ1およびOTX15の除去後約4時間以内にc−Mycタンパク質レベルが対照レベルまで回復することを示している。したがって、これらの結果はA825によるBRD4およびc−Mycに対する処理後効果がJQ1およびOTX−15と比較してより長い期間にわたって持続されることを示している。
c.A825はJQ1およびOTX−15よりも長くc−Myc機能を抑制する
c−Mycタンパク質は多数の遺伝子の発現を活性化する転写因子であり、それらの遺伝子には、葉酸のトランスポーターであり、且つ、葉酸の細胞内濃度の調節に関与する膜タンパク質であるSLC19A1が含まれる。前述の実験において、A825、JQ1、およびOTX−15によってc−Myc発現が抑制され、且つ、A825による効果はJQ1およびOTX−15と比較してより強くてより長く持続することが示された。A825、JQ1、およびOTX−15がどのようにBRD4の下流にある経路とイベントに影響することができるのかさらに調査するため、各化合物で細胞を処理し、SLC19A1遺伝子の発現を処理後の様々な時点で評価した。
具体的には、NAMALWA細胞をA825(0.1μM)、JQ1(1.0μM)およびOTX−15(1.0μM)で24時間にわたって処理し、その後に3回洗浄してそれらの化合物を除去した。細胞を新しい培地に再播種し、そしてどの阻害剤も含まずに0時間、6.0時間、および24.0時間にわたって培養した。並行対照実験では阻害剤の代わりにDMSOを使用したことを除いて同じように細胞を処理した。各時点においてRNAを溶解液より抽出し、cDNAに逆転写し、そしてSLC19A1特異的プライマーを用いるQPCRにより定量した。GAPDHも内部対照としてQPCRにより定量した。
c−Mycタンパク質抑制についての結果(図5Cにおいて示される)と一致して、図5D〜5Fは、SLC19A1遺伝子発現によって決定される場合、JQ1およびOTX−15と比較してより高い程度でより長く持続するc−Myc機能の抑制がA825処理により生じることを示している。特に、その図はSLC19A1遺伝子発現がA825により顕著に低下すること、および処理から24時間後であってもSLC19A1遺伝子発現が対照試料と比較してかなり低下していることを示している。対照的に、その図はSLC19A1遺伝子発現がJQ1およびOTX−15によって低下するが、6.0〜24.0時間以内に対照処理レベルまで戻ることを示している。
4.A825は低分子阻害剤と比較して優れた細胞増殖抑制を有する
BL細胞はBRD4阻害剤に対して感受性を有することが知られており、それらの阻害剤はc−Mycシグナル伝達を抑制し、細胞増殖の阻害を誘導する(J.A. Mertz, et al., PNAS, 108 (2011) 16669-16674)。A825処理、JQ1処理、およびOTX−15処理の細胞増殖に対する効果を次の実験において評価した。
a.A825はJQ1およびOTX−15よりも高い程度まで細胞増殖を抑制する
この研究では様々なBL細胞株の増殖をA825、JQ1、およびOTX−15での処理の後に評価した。
具体的には、NAMALWA細胞株、Ramos細胞株、CA−46細胞株、およびDaudi細胞株を96ウェルプレート内に50,000細胞/100μlの割合で播種した。A825(100pM、300pM、1nM、3nM、10nM、30nM、100nM、300nM、1μM)、JQ1およびOTX15(1nM、3nM、10nM、30nM、100nM、300nM、1μM、3μM;NAMALWAについては図6A〜6Dにおいて示されるようにJQ1およびOTX−15を最大で10uMまで使用した)の濃度を上昇させてそれらの細胞を処理した。処理後、試料の相対的増殖を処理から72時間後にCTGアッセイによって決定した。
図6A〜6Dは、検査した全てのBL細胞株においてJQ1またはOTX15と比較してより顕著な増殖抑制がA825処理により生じたこと、および著しくより低い濃度のその化合物を使用してこの効果が達成されたことを示している。興味深いことに、より高い濃度のA825で処理されたRamos細胞株とDaudi細胞株の相対的増殖は0.0に近かった。
b.A825はJQ1およびOTX−15よりも長く細胞増殖を抑制する
この研究ではNAMALWA細胞における抗増殖効果の持続期間をA825、JQ1、およびOTX−15での処理とそれらの除去の後に評価した。
具体的には、NAMALWA細胞をA825(0.1μM)、JQ1(1.0μM)およびOTX15(1.0μM)で24時間にわたって処理し、その後に3回洗浄してそれらの化合物を除去した。細胞を新しい培地に再播種し、そしてどの化合物も含まずに0時間、24.0時間、および48.0時間にわたって培養した。並行対照実験では阻害剤の代わりにDMSOを使用したことを除いて同じように細胞を処理した。処理後、試料の相対的増殖をCTGアッセイによって決定した。
図6Eは、A825による増殖抑制効果がJQ1またはOTX15のものと比較して処理後48時間を超える期間にわたって持続されたことを示している。この結果は、BRD4分解および下流シグナル伝達抑制(例えば、図5A〜5F)に対する長期持続効果がA825により提供されるという上で考察した実験結果と一致する。
c.ポマリドミドはA825によって引き起こされる抗増殖効果を減少させる
上で考察したように、図4Cの結果はA825処理の間にポマリドミドが存在すると、セレブロンへの結合についての競合阻害のため、BRD4タンパク質レベルが分解から部分的にレスキューされることを示した。A825による様々なBL細胞株における抗増殖効果もポマリドミドによって妨害することができるか、または少なくとも減少させることができるか決定するために次の実験を実施した。
具体的には、NAMALWA細胞、CA−46細胞、およびDaudi細胞をA825のみ(10nMまたは100nM)で、またはポマリドミド(1.0μMまたは10.0μM)と組み合わせて72時間にわたって処理した。並行対照実験では阻害剤の代わりにDMSOを使用したことを除いて同じように細胞を処理した。処理後、試料の相対的増殖をCTGアッセイによって決定した。
10nMのA825のみで細胞を処理することによって対照細胞と比較して著しい増殖抑制が生じたが(図6F)、このことは図6A〜6Eにおいて示されている結果と一致する。図6Fは10nMのA825のみでの処理によって対照細胞の増殖と比べて細胞増殖がNAMALWA細胞とCA−46細胞において約40%まで減少し、Daudi細胞において約65%まで減少したことを示している。ポマリドミドは10nMのA825によって引き起こされる抗増殖効果を用量依存的に減少させた。特に、10nMのA825と組み合わせた1.0μMポマリドミドでの処理は対照試料と比べて細胞増殖をあまり劇的に低下させなかった(NAMALWA細胞では約80%、CA−46細胞では約90%、およびDaudi細胞では約95%)。10nMのA825での処理時のポマリドミド濃度の10.0μMへの上昇によって、対照試料との関連で検査した全ての細胞株において抗増殖効果が抑止された。
100nMのA825のみで細胞を処理することによって検査した全ての細胞種の増殖が10nMのA825のみでの処理と比較してより高い程度まで抑制されたが(図6Gを図6Fと比較されたい)、このことは図6A〜66Eにおいて示されている結果と一致する。図6Gは100nMのA825のみでの処理によって対照細胞の増殖と比べて細胞増殖がNAMALWA細胞とDaudi細胞において約25%〜27%まで減少し、Daudi細胞において約33%まで減少したことを示している。ポマリドミドは100nMのA825によって引き起こされる抗増殖効果を用量依存的に減少させた。特に、100nMのA825と組み合わせた1.0μMポマリドミドでの処理は対照試料と比べて細胞増殖をあまり劇的に低下させなかった(全ての細胞株において約55%)。100nMのA825での処理時のポマリドミド濃度の10.0μMへの上昇によって抗増殖効果が全ての細胞株においてさらに減少した(対照試料と比べて全ての細胞株において約70%〜約80%の間)。
追加の対照としてBL細胞をポマリドミドで処理してA825を含まないポマリドミドのみが細胞増殖に対する効果を有するか決定した。具体的には、BL細胞を様々な濃度のポマリドミドのみ(図6Hにおいて示されるように0.001uM、0.003uM、0.01uM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、3μM、10μM)で72時間にわたって処理した。並行実験ではポマリドミドの代わりにDMSOを使用したことを除いて同じように細胞を処理した。処理後、ポマリドミドで処理した試料の相対的増殖をCTGアッセイにより決定し、DMSO対照と比較した。
図6Hはポマリドミドのみで細胞を処理することによって著しい効果がこれらの細胞株の増殖に対して生じなかったことを示している。
5.A825は低分子阻害剤と比較して優れたアポトーシス誘導を有する
c−Mycは、様々な腫瘍実体に応じた細胞周期、老化、増殖、およびアポトーシスを含む癌の多数の特徴に関わる多面的癌タンパク質である(M. Gabay, et al., Cold Spring Harb Perspect Med. (2014) 4:a014241)。これまでの実験は、低分子BRD4阻害剤(JQ1およびOTX−15)ならびにA825での処理後の検査した全てのBL株における増殖抑制に対する普遍的効果を示している。次の実験はJQ1、OTX−15、およびA825がどの程度BL細胞株においてアポトーシスを誘導することができるか評価する。
a.A825はJQ1およびOTX−15と比較してカスパーゼ活性をより顕著に増加させる
様々なBL細胞株をARV−825(0.1μM)、またはJQ1(1.0μM)、またはOTX015(1.0μM)、またはアポトーシス誘導の正の対照としてのピューロマイシン(10mg/ml)で24時間にわたって処理し、カスパーゼ3/7−Glowアッセイによってカスパーゼ3/7活性を測定した。
図7Aはカスパーゼ活性が検査したBL細胞株と処理に使用した阻害剤の両方に応じて著しく変化することを示している。具体的には、100nMのA825でのBL細胞の処理によってJQ1およびOTX−15で処理されたBL細胞と比較して統計学的に有意なカスパーゼ活性の増加が生じた。そのカスパーゼ活性の増加はRamos細胞およびCA−56細胞と比較してDaudi細胞およびNAMALWA細胞においてずっとより顕著であった。
我々はA825で全てのBL細胞株を24時間にわたって処理した後にカスパーゼ3/7活性の増加を観察したが、より高い用量のJQ1およびOTX15では観察しなかった(図5A)。
b.A825はJQ1およびOTX−15と比較してPARP切断をより顕著に増加させる
ARV−825(最大で1.0μM)、またはJQ1およびOTX015(最大で10.0μM)の用量を増加させてRamos細胞とCA−46細胞を48時間にわたって処理した。溶解液を回収し、アクチンを負荷対照としてPARP切断についてイムノブロットにより分析した。
図7Bは、顕著なPARP切断によって明らかになっているようにRamos細胞が0.1uMのA825処理で48時間までに著しいアポトーシスを示したことを示している。対照的に、著しくより高い用量の阻害剤JQ1およびOTX15が類似レベルのアポトーシスを対応する細胞株において誘発するために必要とされる。より高濃度のJQ1およびOTX−15の必要性はこれらの阻害剤が非効率的なBRD4阻害および下流c−Myc抑制を有していることに起因する可能性がある。
まとめると、これらの発見は、PROTAC媒介性BRD4分解は低分子阻害剤と比較してBLにおいてBRD4を標的とするより有効な戦略であることの強力な証拠を提供する。
6.要約と考察
BL細胞はBRD4阻害剤に対して感受性を有することが知られており、それらの阻害剤はc−Mycシグナル伝達を抑制し、細胞増殖の阻害を誘導する(J.A. Mertz, et al., PNAS, 108 (2011) 16669-16674)。近年、細胞内のBRD4を効果的に阻害する化合物の設計には著しい進歩があった。しかしながら、この最近の進歩にもかかわらず、顕著な機能的および臨床的利益を有するBRD4阻害剤は未だに開発されておらず、阻害剤処理時に観察された顕著なBRD4蓄積とおよび阻害剤が除去された後の処理後に観察される阻害の可逆性/一過性によってこれを部分的に説明することができる。
本実施例において実施された実験から、低分子BRD4阻害剤JQ1およびOTX15によって著しいBRD4タンパク質蓄積が検査した全てのBL細胞株において生じることが示されている。両方の阻害剤によって下流c−Mycレベルが抑制されたが、その抑制は高濃度のそれらの化合物を必要とした。また、高濃度のこれらの阻害剤を用いてもc−Mycの抑制は完全ではなかった。JQ1およびOTX−15について本実施例において観察された結果は一群の肺癌細胞株および前立腺癌細胞株において他者によって得られた結果と一致する(Shimamura, T., Chen, Z., Soucheray, M., Carretero, J., Kikuchi, E., Tchaicha, J.H., Gao, Y., Cheng, K.A., Cohoon, T.J., Qi, J., et al. (2013). データを示さず)。上で得られた結果は、BRD4に結合する阻害剤の可逆性と共にBRD4の確固とした蓄積が低分子阻害剤による下流c−Mycの抑制における適度の効果と関連の限定的な増殖阻害の原因である可能性があることを示唆している。JQ1およびOTX−15のデータについての1つのあり得る説明は、BRD4との阻害剤の結合によって立体構造が変化し、それによってその安定性が増大するか、または天然のその分解機構への接近可能性が損なわれるというものである。あるいは、BRD4阻害剤はBRD4タンパク質レベルを調節するBRD4介在性ネガティブフィードバックループを抑制している可能性がある。それにもかかわらず、阻害剤結合の可逆性と共にBRD4レベルの顕著な上昇がBRD4阻害および下流MYC抑制の非効率性の部分的な原因となる可能性がある。
前臨床研究と臨床研究の両方によってBRD4阻害剤の効果は大部分が細胞増殖抑制性の効果であり、アポトーシスは数種類の細胞株および第I期の患者に限定されたことが示されている。このことは、BRD4阻害剤の臨床的に達成可能な濃度では将来の患者の潜在的な利益が著しく限定される可能性がある。
低分子阻害剤薬品開発の別の繰り返される現象は、耐性を媒介するか、またはアンタゴニストからアゴニストへの転換さえも行う標的タンパク質突然変異の出現である。例えば、エンザルタミドはアンドロゲン受容体を阻害することによる前立腺癌の治療に有効であるが、F876L突然変異を含むアンドロゲン受容体を有する腫瘍細胞ではそれはアゴニストになる。したがって、既存の、または治療誘導性のARF876Lを含有する腫瘍を有する前立腺癌患者はエンザルタミド治療から利益を得ることがない。対照的に、PROTAC媒介性標的分解はこれらの落とし穴を回避し、効率的なターゲティングの強力なストラテジーを提供する。
低分子BRD4阻害剤の限界を回避するため、PROTACテクノロジーを介して低分子BRD4結合部分をE3リガーゼセレブロン結合部分に接続することによりキメラ分子であるA825を設計した。
上の実験はA825がE3リガーゼセレブロンをBRD4まで能動的に動員し、それによってBRD4をプロテアソーム分解機構に導くことで迅速で効率的なBRD4分解を誘導することを示している。これらの結果はA825が低分子BRD4阻害剤と比較してより顕著な下流c−Myc発現および機能の抑制、細胞増殖の抑制、およびアポトーシス誘導を引き起こすことも示している。
阻害剤に対して改善されたBRD4分解因子の機能的効果は部分的にはBLにおける促進性癌タンパク質であるc−MYCに対するより完全で持続的な抑制に帰するところがあると考えられる。BRD4は、特定および解明されずに残っている多数の結合パートナーを含む大型のタンパク質であるので「シャペロン」機能を有する可能性もある。当然のことながら、BRD4の除去はアセチル−リシン含有パートナーへのその結合の阻害どころではない顕著な効果を誘発することになる。阻害剤によるBRD4阻害の表現型と(CRISPRおよびshRNAなどによる)BRD4ノックアウトまたはノックダウンの表現型の比較がこの質問に答えることになるが、しかしながらそれはこの研究の範囲外である。
OTX15およびポマリドミドのそれぞれの標的であるBRD4およびセレブロンへの結合親和性はそれぞれ約10nMおよび約3uMである。A825はこれらの2種類のリガンドに基づいており、1nMより下のDC50をBRD4について達成している。このことは、BRD4 PROTACが触媒的特徴を有しており、準最適な親和性を有し、機能が知られていない標的リガンドから構成される機能的分解因子の開発に多大な機会を開くことを強力に示唆している。したがって、通常は天然のリガンド結合部位を有していない多数の「困難な」標的がPROTAC媒介性分解によって「新薬の開発につながる」可能性がある。
まとめると、本開示は、PROTACテクノロジーを介した強力なBRD4分解因子を作製することによって効率的にBRD4を標的とする新しい戦略を提供する。また、それは、特定の病理的タンパク質を分解の標的とするために能動的にE3リガーゼを動員し、そうして従来の低分子アプローチによって「困難な」多数の標的を「新薬の開発につながる」ようにする新しいクラスの薬品分子の地平を切り開く。
7.産業上の利用可能性
PROTACテクノロジーを介してBRD4動員部分とE3リガーゼセレブロン動員部分を含有する新規二官能性分子が説明されている。A825は能動的にBRD4を分解し、顕著で持続的な下流MYC抑制および確固とした細胞増殖抑制とアポトーシス誘導をBLにおいて誘導する。A825は、複数の癌における有望な標的として現れるBRD4を効率的に標的とするための新しいストラテジーである。A825は、PROTAC媒介性タンパク質分解が従来のアプローチによる「創薬が困難な」病理的タンパク質のターゲティングに有望なストラテジーを提供する一例である。
本願を通して引用された全ての参考文献、特許、係属中の特許出願、および公開特許の内容は参照により明示的に本明細書に援用される。
当業者は本明細書に記載される本発明の特定の実施形態との多数の等価物を単なる日常的な実験を用いて理解し、または確認することができる。そのような等価物は以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。本明細書に記載される詳細な例および実施形態は例示を目的とした例として提供されているだけであり、決して本発明を限定していると考えられてはならないことが理解される。それらの視点からの様々な改変または変更が当業者に提案され、それらは本願の主旨と範囲内に含まれ、そして添付されている特許請求の範囲の範囲内にあると考えられる。例えば、成分の相対的な量を所望の効果の最適化のために変更してよく、追加の成分を加えてよく、且つ/または記載の成分のうちの1つ以上について類似の成分で置換してよい。本発明の系、方法、および過程に付随する追加の有利な特徴および機能性は添付されている特許請求の範囲から明らかになる。また、当業者は本明細書に記載される本発明の特定の実施形態との多数の等価物を単なる日常的な実験を用いて理解し、または確認することができる。そのような等価物は以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。