(詳細な説明)
本発明は、本明細書に含まれる本発明の好ましい実施形態および実施例の以下の発明の詳細な説明を参照することによって容易に理解することができる。しかし、本化合物、組成物、および方法の開示および記載の前に、本発明は、特定の細胞型、特定のフィーダー細胞層、特定の条件、または特定の方法などに限定されず、それ自体変動し得ることが理解されるべきである。多数の改変および変形が当業者には明らかになるであろう。本明細書において使用される用語法は、単に特定の実施形態を記載するためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。特許および非特許刊行物参考文献は全て、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
多能性幹細胞から導出された種々の細胞組成物は本明細書に記載されており、また、出願人の米国特許出願第10/486,408号、表題METHODS FOR CULTURE OF HESC ON FEEDER CELLS、2002年8月6日出願;同第11/021,618号、表題DEFINITIVE ENDODERM、2004年12月23日出願;同第11/115,868号、表題PDX1 EXPRESSING ENDODERM、2005年4月26日出願;同第11/165,305号、表題METHODS FOR IDENTIFYING FACTORS FOR DIFFERENTIATING DEFINITIVE ENDODERM、2005年6月23日出願;同第11/573,662号、表題METHODS FOR INCREASING DEFINITIVE ENDODERM DIFFERENTIATION OF PLURIPOTENT HUMAN EMBRYONIC STEM CELLS WITH PI−3 KINASE INHIBITORS、2005年8月15日出願;同第12/729,084号、表題PDX1 −EXPRESSING DORSAL AND VENTRAL FOREGUT ENDODERM、2005年10月27日出願;同第12/093,590号、表題MARKERS OF DEFINITIVE ENDODERM、2005年11月14日出願;同第11/993,399号、表題EMBRYONIC STEM CELL CULTURE COMPOSITIONS AND METHODS OF USE THEREOF、2006年6月20日出願;同第11/588,693号、表題PDX1 −EXPRESSING DORSAL AND VENTRAL FOREGUT ENDODERM、2006年10月27日出願;同第11/681,687号、表題ENDOCRINE PROGENITOR/PRECURSOR CELLS、PANCREATIC HORMONE−EXPRESSING CELLS AND METHODS OF PRODUCTION、2007年3月2日出願;同第11/807,223号、表題METHODS FOR CULTURE AND PRODUCTION OF SINGLE CELL POPULATIONS OF HESC、2007年5月24日出願;同第11/773,944号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONES、2007年7月5日出願;11/860,494、表題METHODS FOR INCREASING DEFINITIVE ENDODERM PRODUCTION、2007年9月24日出願;同第12/099,759号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONES、2008年4月8日出願;同第12/107,020号、表題METHODS FOR PURIFYING ENDODERM AND PANCREATIC ENDODERM CELLS DERIVED FORM HUMAN EMBRYONIC STEM CELLS、2008年4月21日出願;同第12/618,659号、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC LINEAGE CELLS DERIVED FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLS、2009年11月13日出願;同第12/765,714号および同第13/761,078号、どちらも表題CELL COMPOSITIONS FROM DEDIFFERENTIATED REPROGRAMMED CELLS、2010年4月22日および2013年2月6日出願;同第11/838,054号、表題COMPOSITIONS AND METHODS USEFUL FOR CULTURING DIFFERENTIABLE CELLS、2007年8月13日出願;同第12/264,760号、表題STEM CELL AGGREGATE SUSPENSION COMPOSITIONS AND METHODS OF DIFFERENTIATION THEREOF、2008年11月4日出願;同第13/259,15号、表題SMALL MOLECULES SUPPORTING PLURIPOTENT CELL GROWTH、2010年4月27日出願;PCT/US11/25628、表題LOADING SYSTEM FOR AN ENCAPSULATION DEVICE、2011年2月21日出願;同第13/992,931号、表題AGENTS AND METHODS FOR INHIBITING PLURIPOTENT STEM CELLS、2010年12月28日出願;および米国意匠出願第29/408,366号、2011年12月12日出願;同第29/408,368号、2011年12月12日出願;同第29/423,365号、2012年5月31日出願;および同第29/447,944号、2013年3月13日出願;および米国特許仮出願第61/774,443号、表題SEMIPERMEABLE MACRO IMPLANTABLE CELLULAR ENCAPSULATION DEVICES、2013年11月7日出願;同第61/775,480号、表題CRYOPRESERVATION、HIBERNATION AND ROOM TEMPERATURE STORAGE OF ENCAPSULATED PANCREATIC ENDODERM CELL AGGREGATES、2013年3月8日出願;および61/781,005、表題IN VITRO DIFFERENTIATION OF PLURIPOTENT STEM CELLS TO PANCREATIC ENDODERM CELLS(PEC)AND ENDOCRINE CELLS、2013年3月14日出願において見ることができる。
定義
本明細書で表される数値範囲は、記載されている両端点を含み、示された数値範囲の両端点間の全ての整数を記載するものであることが理解されよう。
特に断りのない限り、本明細書で使用される用語は、当業者による従来の使用に従って理解される。また、本明細書および添付の特許請求の範囲の目的に関して、別段に特定されていない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の分量、材料の百分率または割合、反応条件を表す数、および他の数値は全て、全ての場合に「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、それに反する指示がない限り、以下の明細書および添付されている特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明によって得られるべき所望の性質に応じて変動し得る近似値である。最低限、かつ特許請求の範囲への均等論の適用を限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも示されている有効数字に照らして、および通常の四捨五入を適用することによって、解釈されるべきである。
本明細書に記載の実施形態の実施には、別段に特定されていない限り、細胞生物学、分子生物学、遺伝学、化学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技法が使用される。
「細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、個々の細胞、細胞系、またはそのような細胞から導出される培養物を指す。「培養物」とは、同じまたは異なる種類の単離された細胞を含む組成物を指す。「培養物」、「集団」または「細胞集団」とは、本明細書で使用される場合、互換的に使用することができ、また互換的に使用され、その意味は文脈に応じて明らかになる。例えば、「集団」という用語は、識別特性が同じである2つ以上の細胞の細胞培養物を指す、または、識別特性が異なる2つ以上の細胞型の培養物であってよく、例えば、ある文脈における集団は、別の文脈では亜集団であり得る。「亜集団」という用語は、細胞培養物または細胞集団中のある特定の細胞型を記載するために使用される場合、細胞培養物または細胞集団のサブセットを指す。
本明細書で使用される場合、「全能性幹細胞」という句は、卵細胞と精子細胞の融合から生成する細胞などの、生物体を構成する全ての細胞に分化する能力を有する細胞を指す。受精卵の最初の数回の分裂によって生成する細胞も全能性であり得る。これらの細胞は、胚性細胞および胚体外細胞型に分化することができる。例えばES細胞などの多能性幹細胞は、いかなる胎児または成体の細胞型も生じ得る。しかし、これらは、胚体外組織に発達する潜在性を欠くので、単独では胎児または成体動物に発達することはできない。胚体外組織は、一部において、胚体外内胚葉から導出され、遠位内胚葉(parietal endoderm)(ライヘルト膜)および近位内胚葉(visceral endoderm)(卵黄嚢の一部を形成する)にさらに分類することができる。遠位内胚葉および近位内胚葉はどちらも胚の発生を支持するが、それら自体は胚構造を形成しない。胚体外中胚葉および胚体外外胚葉を含めた他の胚体外組織も存在する。
一部の実施形態では、「多能性細胞」を、内胚葉系列、より詳細には、膵臓内胚葉型細胞に分化させるための出発材料として使用する。本明細書で使用される場合、「多能性」または「多能性細胞」またはその等価物とは、細胞培養物中で増殖することができ、かつ多分化能の性質を示す、系列が制限された種々の細胞集団に分化することができる細胞を指し、例えば、多能性ES細胞および人工多能性幹(iPS)細胞はどちらも、3種の胚細胞系列のそれぞれを生じ得る。しかし、多能性細胞は、生物体全体を生成することはできない。すなわち、多能性細胞は全能性ではない。
ある特定の実施形態では、出発材料として使用される多能性細胞は、hES細胞、hEG細胞、iPS細胞、さらには単為発生細胞などを含めた幹細胞である。本明細書で使用される場合、「胚性(embryonic)」とは、単一の接合体から始まって、発生した配偶子細胞を除いてもはや多能性または全能性細胞を含まない多細胞構造で終わる、生物体の発生ステージの一領域を指す。「胚性(embryonic)」という用語は、配偶子融合によって導出された胚に加えて、体細胞核移植によって導出された胚も指す。さらに別の実施形態では、多能性細胞は胚から導出されるまたは直接導出されたものではなく、例えば、iPS細胞は、非多能性細胞、例えば多分化能細胞または最終分化した細胞から導出されたものである。本明細書で使用されるヒト多能性幹細胞株は、hESCおよびiPSC、例えば、CyT49、CyT25、CyT203、CyT212、BG01、BG02、BG03、または表4および表5に列挙されているもののいずれか、または現在公知であるもしくは公的に入手可能であるまたは後に作製されるもののいずれかを含む。
ヒト多能性幹細胞は、分化を導く遺伝子の抑制および多能性の維持を確実にするコア調節複合体を形成する転写因子Oct−4、Nanog、およびSox−2を含めた、いくつかの転写因子および細胞表面タンパク質、ならびに糖脂質SSEA3、SSEA4およびケラチン硫酸抗原、Tra−1−60およびTra−1−81、およびアルカリホスファターゼなどの細胞表面抗原の存在によっても定義され、あるいは特徴付けられ得る。
本明細書で使用される場合、「人工多能性幹細胞」または「iPS細胞」または「iPSC」という句は、非多能性細胞、一般には成体の体細胞、または、例えば線維芽細胞、造血細胞、筋細胞、ニューロン、表皮細胞などの最終分化した細胞から、再プログラミング因子と称される特定の遺伝子または遺伝子産物を挿入することによって人工的に調製された多能性幹細胞の一種を指す。Takahashiら、Cell、131 :861−872(2007);Wernigら、Nature、448:318−324(2007);Parkら、Nature、451:141−146(2008)を参照されたい。iPSCを作製するための、これらおよびその後に公知になった方法は周知であり、iPSCがどのように導出されたまたは生成されたものであるかは本発明を限定するものではない。人工多能性幹細胞は、hES細胞などの天然のヒト多能性幹細胞と、ある特定の幹細胞遺伝子およびタンパク質の発現、クロマチンメチル化パターン、倍加時間、胚葉体形成、奇形腫形成、生存可能なキメラ形成、ならびに発生能および分化可能性(differentiability)を含めた多くの点で実質的に類似している。ヒトiPS細胞により、胚の使用を伴うことなく多能性幹細胞の供給源がもたらされる。
本明細書で使用される場合、「再プログラミング(reprogramming)」、「再プログラミングされる(reprogrammed)」またはその等価物は、細胞の、少なくとも1種の新しい細胞型の後代を形成する能力が、培養物中またはin vivoにおいて、その細胞が再プログラミングを伴わない同じ条件下で有するものよりも測定可能な程度に増大するプロセスを指す。本明細書に記載されているある特定の実施形態では、体細胞が多能性細胞に「再プログラミングされる」。ある特定の態様では、体細胞が、十分な増殖後に、in vivoまたはin vitro細胞培養物のいずれかにおいて、測定可能な割合の細胞で新しい多能性細胞型の表現型特性を示した場合に、再プログラミングされたこととなる。再プログラミングされなければ、そのような体細胞は新しい多能性細胞型の表現型特性を示す後代を生じない。もし、再プログラミングなしでも体細胞が新しい多能性細胞型の表現型特性を示す後代を生じさせることができるとすれば、これらの体細胞由来の、新しい多能性細胞型の表現型特性を示す後代の割合は再プログラミング前よりも測定可能な程度で上昇する。
本明細書で使用される場合、「分化プログラミング」という句は、細胞を、培養物またはin vivoのいずれかにおいて、分化再プログラミングを伴わない同じ条件のものと比べて、新しい分化の状態を伴う少なくとも1種の新しい細胞型の後代を形成するように変化させるプロセスを指す。このプロセスは、分化、脱分化および分化転換を含む。したがって、本明細書で使用される場合、「分化」という句は、より低度に特殊化した細胞がより高度に特殊化した細胞型になるプロセスを指す。対照的に、「脱分化」という句は、部分的または最終的に分化した細胞が、多能性または多分化能を有する細胞などの、より初期の発生ステージに戻る細胞のプロセスを指す。さらに対照的に、「分化転換」という句は、ある分化した細胞型が別の分化した細胞型に転換されるプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「多分化能」または「多分化能細胞」またはその等価物は、限られた数の他の特定の細胞型を生じさせることができる細胞型を指す。すなわち、多分化能細胞は1つまたは複数の胚細胞の運命に傾倒し、したがって、多能性細胞とは対照的に、3種の胚細胞系列のそれぞれ、ならびに胚体外細胞を生じさせることができない。多分化能体細胞は、多能性細胞よりも分化しているが、最終分化はしていない。したがって、多能性細胞の発生能は多分化能細胞よりも高い。体細胞を再プログラミングすることまたはiPS細胞を生じさせるために使用することができる発生能決定因子としては、これだけに限定されないが、Oct−4、Sox2、FoxD3、UTF1、Stella、Rexl、ZNF206、Soxl5、Mybl2、Lin28、Nanog、DPPA2、ESG1、Otx2またはこれらの組合せなどの因子が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「単能性の(unipotent)」または「単能性(unipotency)」または「単能性細胞」またはその等価物は、他の系列細胞を1種のみ生じさせることができる細胞型を指す。例えば、本明細書に記載の未成熟ベータ細胞は、インスリンベータ細胞のみに分化する能力を有し、例えばグルカゴン(アルファ)細胞、ソマトスタチン(デルタ)細胞および膵臓ポリペプチド(ガンマ)細胞に分化する潜在性を有さない。対照的に、内分泌先駆細胞、PDX1陽性膵臓内胚葉細胞、胚体内胚葉細胞、または中内胚葉細胞、およびhES細胞は全て、膵臓アルファ、ベータ、デルタおよびガンマ膵島細胞のそれぞれを生じさせることができる多分化能または多能性(hESC)細胞である。同様に、膵臓アルファ、ベータ、デルタおよびガンマ膵島細胞は、内分泌先駆細胞、PDX1陽性膵臓内胚葉細胞、胚体内胚葉細胞、または中内胚葉細胞、およびhES細胞の系列細胞である。
本明細書で使用される場合、「単一ホルモン性」および「複数ホルモン性(polyhormonal)」細胞とは、ホルモンを1種のみ発現する細胞(例えば、未成熟ベータ細胞およびベータ細胞は、インスリンタンパク質のみを発現し、グルカゴンまたはソマトスタチンタンパク質は発現しない)、または2種以上もしくは多数種のホルモン(例えば、同じ細胞上で2種、3種または4種またはそれ以上のホルモンを発現する細胞の亜集団を有する内分泌先駆体または前駆細胞)を発現する細胞を指す。本明細書で使用される場合、「ERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質」とは、これだけに限定されないが、ERBB受容体に結合する少なくとも16種の異なるEGFファミリーリガンド:EGF(上皮成長因子)、AGまたはAREG(アンフィレギュリン)、およびTGF−アルファ(形質転換成長因子−アルファ)、Btc(ベータセルリン)、HBEGF(ヘパリン結合性EGF)、およびEreg(エピレギュリン))、ニューレグリン−1、−2、−3および−4(またはヘレグリン−1、−2、−3および−4などのニューグレリン(またはヘレグリン)を含む。しかし、本発明では、4種のERBB受容体のいずれか1つまたはこれらの組合せに結合して、内因性キナーゼドメインの活性化およびその後のリン酸化を導くホモ二量体受容体複合体およびヘテロ二量体受容体複合体の形成を誘導することができる任意のリガンドが意図されている。表13も参照されたい。
「細胞系列」という用語は、本明細書で使用される場合、最初期の先駆細胞から完全に成熟した細胞(すなわち、特殊化した細胞)までの、細胞型の発生のステージの全てを指す。例えば、「胚体内胚葉系列細胞」または「PDX1陰性内胚葉系列細胞」または「PDX1陽性膵臓内胚葉系列細胞」または「内分泌先駆体系列細胞」または「内分泌系列細胞」または「未成熟ベータ系列細胞」などは、胚体内胚葉細胞、PDX1陰性内胚葉細胞、PDX1陽性膵臓内胚葉細胞などから導出されたまたは分化した細胞を指す。胚体内胚葉細胞は、その先駆体のうちの1つである中内胚葉細胞の系列である。PDX−1陽性膵臓内胚葉細胞は、その先駆体のうちの1つである胚体内胚葉細胞の系列である。PDX1陽性膵臓細胞、胚体内胚葉細胞および中内胚葉細胞の系列内の内分泌先駆体は全て、その先駆体である。内分泌先駆細胞、PDX1陽性膵臓細胞、胚体内胚葉細胞および中内胚葉細胞の系列内の未成熟ベータ細胞は全て、その先駆体である。ベータ細胞は、例えば未成熟ベータ細胞の唯一の系列である。さらに、明細書に記載の内胚葉系列細胞は全てhES系列細胞である。
「先駆細胞」または「前駆細胞」とは、本明細書で使用される場合、一般に、細胞分化経路内の、より成熟した細胞に分化することができる任意の細胞であってよい。そのように、先駆細胞は、多能性細胞であってもよく、部分的に分化した多分化能細胞または可逆的に分化した細胞であってもよい。「先駆細胞集団」という用語は、より成熟または分化した細胞型に発達することができる細胞の群を指す。先駆細胞集団は、多能性の細胞、幹細胞系列に制限された細胞(すなわち、外胚葉系列の全てには発達できない細胞、または、例えばニューロン系列の細胞にのみ発達することができる細胞)、および可逆的に幹細胞系列に制限された細胞を含み得る。したがって、「前駆細胞」または「先駆細胞」という用語は、「多能性細胞」または「多分化能細胞」であり得る。
「内分泌前駆/先駆細胞」とは、本明細書で使用される場合、少なくとも、ニューロゲニン3(NEUROG3)、PDX1、PTF1A、SOX9、NKX6.1、HNF1b、GATA4、HNF6、FOXA1、FOXA2、GATA6、MYT1、ISLET1、NEUROD、SNAIL2、MNX1、IA1、RFX6、PAX4、PAX6、NKX2.2、MAFAおよびMAFBからなる一覧からのマーカーを発現する胚体内胚葉系列の多分化能細胞を指し、これは、これだけに限定されないが、膵島ホルモン発現細胞を含めた内分泌系の細胞にさらに分化することができる。内分泌前駆/先駆細胞は、PDX1陽性膵臓内胚葉細胞または胚体内胚葉細胞または中内胚葉細胞などのより低度に特異的に分化した胚体内胚葉系列細胞と比較して多くの異なる細胞、組織および/または器官型に分化することはできない。内分泌前駆/先駆細胞は、少なくとも出願人の米国特許第8,129、182号に詳しく記載されている。
本明細書で使用される場合、「多能性細胞から発達する」、「多能性細胞から分化する」、「多能性細胞から成熟する」または「多能性細胞から生成する」、「多能性細胞から導出された」、「多能性細胞から分化する」という用語および等価の表現は、例えば、国際特許出願第PCT/US2007/015536号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONESに記載の、in vivoにおいて移植されたPDX1膵臓内胚葉細胞から成熟する内分泌細胞の場合では、in vitroまたはin vivoにおいて多能性細胞から分化した細胞型が生成することを指す。そのような用語は全て、少なくとも2種の異なる細胞系列に分化する潜在性を有するステージから特殊化および最終分化した細胞になるまでの細胞の進行を指す。そのような用語は、本出願の目的に関して互換的に使用することができる。本明細書に記載の実施形態では、そのような分化を可逆的なものにし、したがって、多能性または少なくとも2種以上の細胞系列に分化する能力を選択的に元に戻すことができるような培養条件が意図されている。
「フィーダー細胞」という用語は、in vitroで成長し、少なくとも1種の因子を細胞培養中に分泌し、また、培養物中の別の目的の細胞の成長を支持するために使用することができる細胞培養物を指す。本明細書で使用される場合、「フィーダー細胞層」は、「フィーダー細胞」という用語と互換的に使用され得る。フィーダー細胞は、互いに重なり合って成長し始める前には一完全層で培養皿の表面を覆う単層を含んでもよく、あるいは細胞のクラスターを含んでもよい。好ましい実施形態では、フィーダー細胞は、接着性の単層を含む。
同様に、多能性細胞培養物または多能性凝集懸濁培養物をフィーダー細胞の使用を伴わない規定された条件または培養系において成長させる実施形態は「フィーダーフリー」である。フィーダーフリー培養方法では、多能性細胞培養物のスケーラビリティおよび再現性が増し、例えばフィーダー細胞または他の動物を供給源とする培養物構成成分に由来する感染因子によるコンタミネーションのリスクが低下する。フィーダーフリー方法は、Bodnarらに対する米国特許第6,800,480号(Geron Corporation、Menlo Park、Californiaに譲渡された)にも記載されている。しかし、米国特許第6,800,480号特許とは対照的に、本明細書に記載の実施形態は、多能性細胞培養物、多分化能細胞培養物または分化した細胞培養物のいずれであるかにかかわらず、フィーダーフリーであり、内在性または外因性の細胞外マトリックスをさらに含有しない;すなわち、本明細書に記載の培養物は、フィーダーフリーであるだけでなく、細胞外マトリックスフリーでもある。例えば、米国特許第6,800,480号では、線維芽細胞を培養し、線維芽細胞をin situで溶解し、次いで、溶解後に残ったものを洗浄することによって細胞外マトリックスが調製される。あるいは、米国特許第6,800,480号では、コラーゲン、胎盤マトリックス、フィブロネクチン、ラミニン、メロシン、テネイシン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、アグリカン、ビグリカン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、およびデコリンから選択される単離されたマトリックス構成成分または構成成分の組合せからも細胞外マトリックスが調製され得る。本明細書に記載の実施形態では、フィーダー層または線維芽細胞層を成長させ、細胞を溶解して細胞外マトリックスを生成することによって細胞外マトリックスを生成することもなく、最初にコラーゲン、胎盤マトリックス、フィブロネクチン、ラミニン、メロシン、テネイシン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、アグリカン、ビグリカン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、およびデコリンから選択される細胞外マトリックス構成成分または細胞外マトリックス構成成分の組合せを用いて組織培養容器をコーティングする必要もない。したがって、多能性細胞、多分化能細胞および分化した細胞用の本明細書に記載の凝集懸濁培養物には、フィーダー層、溶解したフィーダー細胞、または細胞外マトリックスコーティングを生成する線維芽細胞、外因的に添加された細胞外マトリックスまたはマトリックス構成成分は必要なく、国際出願PCT/US2008/080516、表題METHODS AND COMPOSITIONS FOR FEEDER−FREE PLURIPOTENT STEM CELL MEDIA CONTAINING HUMAN SERUMに記載されたように、可溶性ヒト血清構成成分の使用により、フィーダー細胞またはフィーダー単層の必要性を克服し、同様に、フィーダー細胞もしくは線維芽細胞または外因的に添加された細胞外マトリックス構成成分に由来する内在性の細胞外マトリックスの必要性も克服される。
本明細書で使用される場合、「クラスター」および「凝集塊」または「凝集体」という用語は互換的に使用することができ、一般に、単一の細胞に解離した後にクラスターが形成されるようにまたは密接な細胞間接触を有するように凝集したものではない細胞の群を指す。「再凝集」という用語は、本明細書で使用される場合、クラスター、凝集塊および/もしくは凝集体をより小さなクラスター、凝集塊および/もしくは凝集体または単一の細胞に解離させ、次いで、クラスター、凝集塊および/もしくは凝集体を再凝集させることによって新しい細胞間接触を形成する場合を指す。この解離は、典型的には、手作業の性質のものである(例えばPasteurピペットの使用など)が、他の解離の手段が考えられている。凝集懸濁多能性細胞または多分化能細胞培養物は、実質的に国際公開PCT/US2007/062755、表題COMPOSITIONS AND METHODS FOR CULTURING DIFFERENTIAL CELLS」およびPCT/US2008/082356、表題「STEM CELL AGGREGATE SUSPENSION COMPOSITIONS AND METHODS OF DIFFERENTIATION THEREOFに記載の通りである。
「単一細胞懸濁液」という用語またはその等価物は、多能性、多分化能もしくは最終分化した単一細胞懸濁液、または多能性細胞もしくは多分化能細胞から任意の機械的手段または化学的手段によって導出された単一細胞懸濁液を指す。一次組織、付着した培養物中の細胞、および凝集体から細胞クラスターを解離させて単一細胞懸濁液を形成するためのいくつかの方法、例えば、物理的な力(細胞スクレーパー、口径が狭いピペットを通しての粉砕、細針穿刺吸引、ボルテックスによる脱凝集および細かいナイロンメッシュまたはステンレス鋼メッシュを通した強制的な濾過などの機械的解離)、酵素(例えばトリプシン、コラゲナーゼ、Accutase(商標)などの酵素による解離)、またはその両方の組合せが存在する。さらに、多能性細胞、多分化能細胞または分化した細胞の単一細胞への解離を支持することができる方法および培養培地条件は、多ウェルプレートアッセイのための拡張、細胞選別、および規定された播種のために有用であり、また、培養手順およびクローン拡張の自動化を可能にする。
好ましい実施形態では、培養方法または培養系は、動物を供給源とする製品を含まない。別の好ましい実施形態では、培養方法はゼノフリーである。さらに好ましい実施形態では、本明細書に記載の培養方法は、ヒト細胞治療薬の商業的な製造のための1つまたは複数の条件または要件を満たすまたはそれを上回る。
多能性細胞の集団をある特定の補足的な成長因子の存在下でさらに培養して、異なる細胞系列であるまたはそれに発達する細胞の集団を得ることができる、または、異なる細胞系列に発達することが可能になるように選択的に逆転させることができる。「補足的な成長因子」という用語は、その最も広範な文脈で使用され、多能性細胞の成長を促進するため、細胞の生存を維持するため、細胞の分化を刺激するため、および/または、細胞の分化の逆転を刺激するために有効である物質を指す。さらに、補足的な成長因子は、フィーダー細胞からその培地中に分泌される物質であってよい。そのような物質としては、これだけに限定されないが、サイトカイン、ケモカイン、小分子、中和抗体、およびタンパク質が挙げられる。成長因子は、細胞の発生および維持ならびに組織の形態および機能を制御する細胞間シグナル伝達ポリペプチドも含んでよい。好ましい実施形態では、補足的な成長因子は、スチール細胞因子(steel cell factor)(SCF)、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、インターロイキン−6(IL−6)と可溶性インターロイキン−6受容体(IL−6R)の組合せ、線維芽細胞成長因子(FGF)、骨形成タンパク質(BMP)、腫瘍壊死因子(TNF)、および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)を含む群から選択される。
本明細書に記載の細胞を生成するためのある特定のプロセスでは、成長因子を、添加後に細胞培養物または細胞集団から除去する。例えば、アクチビンA、アクチビンB、GDF−8、またはGDF−11などの成長因子を添加し、それらを添加してから約1日以内、約2日以内、約3日以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、約7日以内、約8日以内、約9日以内または約10日以内に除去することができる。一部の実施形態では、分化因子を細胞培養物からそれ自体を除去することはしないが、それらを細胞培養培地から省くこと、例えば、アクチビンを含有していた細胞培養培地を、アクチビンを含有しない培地に変えることが除去の手段である。
分化プロセスの効率は、これだけに限定されないが、細胞の成長条件、成長因子濃度および培養ステップのタイミングを含めたある特定のパラメータを改変することによって調整することができるので、本明細書に記載の分化手順により、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約95%以上の、人工多能性細胞を含む多能性細胞から多分化能細胞または分化した細胞、例えば胚体内胚葉への変換をもたらすことができる。さらに、変換率または効率は、1つの型の多分化能細胞から、さらに分化した多分化能細胞への分化、例えば、胚体内胚葉から前腸内胚葉、PDX1陽性前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉またはPDX1/NKX6.1同時陽性膵臓内胚葉、内分泌前駆体/先駆体またはNGN3/NKX2.2同時陽性内分泌前駆体/先駆体、およびホルモン分泌内分泌細胞またはINS、GCG、GHRL、SST、PP単独陽性内分泌細胞への分化を指す場合もある。前原条(preprimitive streak)細胞または中内胚葉細胞の単離を使用するプロセスでは、実質的に純粋な前原条細胞または中内胚葉細胞集団を回収することができる。
hES細胞から導出された内胚葉系列細胞を生成するための一般的な方法は、上記の関連する米国特許出願、ならびにD’Amourら、2005 Nat Biotechnol.23:1534−41、2005年10月28日オンライン出版;D’Amourら、2006 Nat Biotechnol.24(11):1392−401、2006年10月19日オンライン出版;Kroonら(2008)Nat Biotechnol.26(4):443−452、2008年2月20日オンライン出版;Kellyら(2011)Nat.Biotechnol.29(8):750−6、2011年7月31日オンライン出版;およびSchulzら(2012)PLosOne、7(5):e37004、2012年5月18日オンライン出版に記載されている。D’Amourらにより、5段階の分化プロトコル:ステージ1(大部分は胚体内胚葉生成がもたらされる)、ステージ2(大部分はPDX1陰性前腸内胚葉生成がもたらされる)、ステージ3(大部分はPDX1陽性前腸内胚葉生成がもたらされる)、ステージ4(大部分は膵臓内胚葉または膵臓内分泌前駆体生成がもたらされる)およびステージ5(大部分はホルモン発現内分泌細胞生成がもたらされる)が記載されている。
「栄養外胚葉」という用語は、HAND1、Eomes、MASH2、ESXL1、HCG、KRT18、PSG3、SFXN5、DLX3、PSX1、ETS2、およびERBB遺伝子を含む群から選択されるマーカーの発現が、非栄養外胚葉細胞または細胞集団におけるHAND1、Eomes、MASH2、ESXL1、HCG、KRT18、PSG3、SFXN5、DLX3、PSX1、ETS2、およびERBBの発現レベルと比較して相対的に高い多分化能細胞を指す。
「胚体外内胚葉」という用語は、SOX7遺伝子、SOX17遺伝子、THBD遺伝子、SPARC遺伝子、DAB1遺伝子、またはAFP遺伝子を含む群から選択されるマーカーの発現レベルが、非胚体外内胚葉細胞または細胞集団におけるSOX7、SOX17、THBD、SPARC、DAB1、またはAFPの発現レベルと比較して相対的に高い多分化能細胞を指す。
「前原条細胞」という用語は、FGF8マーカー遺伝子および/またはNODALマーカー遺伝子の発現レベルが、BRACHURY low、FGF4 low、SNAI1 low、SOX17 low、FOXA2 low、SOX7 lowおよびSOX1 lowと比較して相対的に高い多分化能細胞を指す。
「中内胚葉細胞」という用語は、brachyuryマーカー遺伝子、FGF4、SNAI1、MIXL1および/またはWNT3マーカー遺伝子の発現レベルが、SOX17 low、CXCR4 low、FOXA2 low、SOX7 lowおよびSOX1 lowと比較して相対的に高い多分化能細胞を指す。
「胚体内胚葉(DE)」という用語は、腸管または腸管から導出された器官の細胞に分化することができる多分化能内胚葉系列細胞を指す。ある特定の実施形態によると、胚体内胚葉細胞は哺乳動物細胞であり、好ましい実施形態では、胚体内胚葉細胞はヒト細胞である。本発明の一部の実施形態では、胚体内胚葉細胞は、ある特定のマーカーを発現する、またはある特定のマーカーを有意に発現することができない。一部の実施形態では、SOX17、CXCR4、MIXL1、GATA4、HNF3β、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQ1、CMKOR1およびCRIP1から選択される1種または複数種のマーカーが胚体内胚葉細胞において発現される。他の実施形態では、OCT4、アルファ−フェトプロテイン(AFP)、トロンボモジュリン(TM)、SPARC、SOX7およびHNF4アルファから選択される1種または複数種のマーカーが胚体内胚葉細胞において発現されないまたは有意には発現されない。胚体内胚葉細胞集団およびそれを生成する方法は、米国特許出願第11/021,618号、表題DEFINITIVE ENDODERM、2004年12月23日出願にも記載されている。
「PDX1陰性前腸内胚葉細胞」または「前腸内胚葉細胞」という用語またはその等価物は、SOX17マーカー、HNF1β(HNF1B)マーカー、HNF4アルファ(HNF4A)マーカーおよびFOXA1マーカーを発現するが、PDX1、AFP、SOX7、またはSOX1を実質的に発現しない細胞である。PDX1陰性前腸内胚葉細胞集団およびそれを生成する方法は、米国特許出願第11/588,693号、表題PDX1−expressing dorsal and ventral foregut endoderm、2006年10月27日出願にも記載されている。
「PDX1陽性、背側に偏向性前腸内胚葉細胞」(背側PDX1陽性前腸内胚葉細胞)または、単に「PDX1陽性内胚葉」という用語またはその等価物は、関連する米国特許出願第11/588,693号、表題PDX1 EXPRESSING DOSAL AND VENTRAL FOREGUT ENDODERM、2006年10月27日出願、および米国特許出願第11/115,868号、表題PDX1−expressing endoderm、2005年4月26日出願にも記載されている、表1から選択される1種もしくは複数種のマーカーおよび/または表2から選択される1種もしくは複数種のマーカーを発現する細胞である。
「膵臓内胚葉」、「膵臓上皮(pancreatic epithelial)」、「膵臓上皮(pancreatic epithelium)」(全て「PE」と省略することができる)、「膵臓前駆体」、「PDX−1陽性膵臓内胚葉」という用語または「膵臓内胚葉細胞」(PEC)などのその等価物は全て、先駆または前駆膵臓細胞である。本明細書に記載のPECは、ステージ4分化(約12〜14日目)後の前駆細胞集団であり、少なくとも2つの主要な別個の集団:i)PDX1およびNKX6.1を発現するが、CHGAを発現しない(あるいはCHGA陰性、CHGA−)膵臓前駆細胞、または「非内分泌多分化能前駆体亜集団(CHGA−)」、または「非内分泌(CHGA−)亜集団」または「非内分泌(CHGA−)細胞」またはその等価物;およびii)CHGAを発現する複数ホルモン性内分泌細胞(CHGA陽性、CHGA+)、または「内分泌多分化能前駆体亜集団(CHGA+)」、または「内分泌(CHGA+)亜集団」または「内分泌(CHGA+)細胞」またはその等価物を含む。PDX1およびNKX6.1を発現するが、CHGAを発現しないPEC膵臓前駆体亜集団は、「非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団(CHGA−)」または「非内分泌前駆体亜集団」、「非内分泌(CHGA−)亜集団」、「非内分泌(CHGA−)亜集団」、「多分化能前駆体亜集団」などとも称される。CHGAを発現するPEC複数ホルモン性内分泌細胞亜集団は「内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)もしくは内分泌細胞」または「CHGA+細胞」などとも称される。理論に束縛されることなく、NKX6.1を発現するがCHGAを発現しない細胞集団は、より活性かつ治療的なPEC構成成分であると仮定され、一方、CHGA陽性複数ホルモン性内分泌細胞の集団はin vivoでグルカゴン発現膵島細胞にさらに分化および成熟すると仮定される。Kellyら(2011)Cell−surface markers for the isolation of pancreatic cell types derived from human embryonic stem cells、Nat Biotechnol.29(8):750−756、2011年7月31日オンライン出版およびSchulzら(2012)、A Scalable System for Production of Functional Pancreatic Progenitors from Human Embryonic Stem Cells、PLosOne 7(5):1−17、e37004を参照されたい。
さらに、時には、膵臓内胚葉細胞は、すぐ上に記載したPECを指すのではなく、一般に少なくともステージ3およびステージ4型細胞を指して使用される。この使用および意味は文脈から明らかになろう。このように多能性幹細胞、ならびに少なくともhES細胞およびhIPS細胞から導出される膵臓内胚葉は、他の内胚葉系の系列細胞型とは、PDX1、NKX6.1、PTF1A、CPA1、cMYC、NGN3、PAX4、ARXおよびNKX2.2マーカーから選択されるマーカーの発現が示差的または高いレベルに基づいて区別されるが、膵臓内分泌細胞の特質である遺伝子、例えばCHGA、INS、GCG、GHRL、SST、MAFA、PCSK1およびGLUT1は実質的に発現しない。さらに、NGN3を発現するいくつかの「内分泌前駆細胞」は他の非膵臓構造(例えば、十二指腸)に分化することができる。膵臓内胚葉または内分泌前駆細胞集団およびその方法は、米国特許出願第11/773,944号、表題Methods of producing pancreatic hormones、2007年7月5日出願、および米国特許出願第12/107,020号、表題METHODS FOR PURIFYING ENDODERM AND PANCREATIC ENDODERM CELLS DERIVED FORM HUMAN EMBRYONIC STEM CELLS、2008年4月21日出願にも記載されている。
「内分泌細胞」または「膵島ホルモン発現細胞」、「膵臓内分泌細胞」、「膵島細胞」、「膵島」という用語またはその等価物は、複数ホルモン性または単一ホルモン性であり得る細胞を指す。したがって、当該細胞は、ヒト膵島細胞の機能の少なくとも一部を有する1種または複数種の膵臓ホルモンを発現することができる。膵島ホルモン発現細胞は成熟であっても未成熟であってよく、それらが由来する内分泌前駆体/先駆体型細胞よりもさらに分化しており、またはさらに発生的に傾倒している。
本明細書で使用される場合、「適正に特定された内分泌細胞」もしくは「ステージ7培養物」、または「未成熟ベータ細胞」を含めた「未成熟内分泌細胞」という句とは、in vivoで機能することができる、in vitroで作製された内分泌細胞集団、例えば移植されると血中グルコースに応答してインスリンを分泌する未成熟ベータ細胞を指す。適正に特定された内分泌細胞またはステージ7培養物は以下を含めた付加的な特性を有し得る:移植されると、適正に特定された内分泌細胞は、機能的な膵島細胞に発達および成熟することができる。適正に特定された内分泌細胞は、内分泌細胞が濃縮された(または非内分泌細胞を枯渇させた)ものであり得る。好ましい実施形態では、適正に特定された内分泌細胞集団内の細胞の約50%超がCHGA+である。より好ましい実施形態では、適正に特定された内分泌細胞集団内の細胞の約60%超または70%超または80%超または90%超または95%超または98%超または100%がCHGA+である。好ましい実施形態では、適正に特定された内分泌細胞集団内の細胞の約50%未満がCHGA−である。より好ましい実施形態では、適正に特定された内分泌細胞集団内の細胞の約15%未満がCHGA−である。より好ましい実施形態では、適正に特定された内分泌細胞集団内の細胞の約10%未満または5%未満または3%未満または2%未満または1%未満または0.5%未満または0%がCHGA−である。さらに、ステージ3の間に、適正に特定された内分泌細胞においてNGN3発現などのある特定のマーカーの発現が抑制され得る。ステージ5において、適正に特定された内分泌細胞におけるNGN3の発現は増加され得る。適正に特定された内分泌細胞は単一ホルモン性(例えば、INSのみ、GCGのみまたはSSTのみ)であり得る。適正に特定された内分泌細胞は、NKX6.1およびPDX1を含めた他の未成熟内分泌細胞マーカーを同時発現し得る。適正に特定された内分泌細胞は、単一ホルモン性であり、かつNKX6.1およびPDX1を含めた他の未成熟内分泌細胞マーカーを同時発現し得る。適正に特定された内分泌細胞は、全INS集団に対する百分率として、より多くの単一ホルモン発現INS細胞を有し得る。好ましい実施形態では、適正に特定された内分泌細胞は、全INS集団に対する百分率として、単一ホルモン発現INS細胞を少なくとも50%を有する。適正に特定された内分泌細胞は、CHGA+/INS+/NKX6.1+(三重陽性)であり得る。好ましい実施形態では、細胞集団内の細胞の約25%超がCHGA+/TNS+/NKX6.1+(三重陽性)である。好ましい実施形態では、細胞集団内の細胞の約30%超または40%超または50%超または60%超または70%超または80%超または90%超または95%超または100%がCHGA+/INS+/NKX6.1+(三重陽性)である。
「未成熟内分泌細胞」、特に「未成熟ベータ細胞」という用語またはその等価物は、少なくとも、INS、NKX6.1、PDX1、NEUROD、MNX1、NKX2.2、MAFA、PAX4、SNAIL2、FOXA1またはFOXA2からなる群から選択されるマーカーを発現する、内分泌前駆/先駆細胞、膵臓内胚葉(PE)細胞、膵臓前腸細胞、胚体内胚葉細胞、中内胚葉細胞または後で記載されるそれ以前に導出された任意の細胞を含めた、任意の他の内分泌細胞先駆体から導出された細胞を指す。本明細書に記載の未成熟ベータ細胞はINS、NKX6.1およびPDX1を発現することが好ましく、INSおよびNKX6.1を同時発現することがより好ましい。「未成熟内分泌細胞」、「未成熟膵臓ホルモン発現細胞」または「未成熟膵島」という用語またはその等価物は、例えば、少なくとも、単能性の未成熟ベータ細胞、または図45に記載の通りプレベータ細胞を指し、他の未成熟細胞は含まず、例えば、この用語は、未成熟アルファ(グルカゴン)細胞、または未成熟デルタ(ソマトスタチン)細胞、または未成熟イプシロン(グレリン)細胞、または未成熟膵臓ポリペプチド(PP)を含まない。
本明細書に記載の実施形態では、限定培地、馴化培地、フィーダーフリー培地、無血清培地などを含めた多くの幹細胞培地培養物または成長環境が構想される。本明細書で使用される場合、「成長環境」または「環境」という用語またはその等価物は、未分化の幹細胞または分化した幹細胞(例えば、霊長類胚性幹細胞)がin vitroで増殖する環境である。環境の特徴は、細胞を培養する培地、および存在する場合には支持構造(例えば、固体表面上の基質など)を含む。多能性細胞を培養または維持するためおよび/または多能性細胞を分化させるための方法は、PCT/US2007/062755、表題COMPOSITIONS AND METHODS USEFUL FOR CULTURING DIFFERENTIABLE CELLS、2007年2月23日出願;米国特許出願第11/993,399号、表題EMBRYONIC STEM CELL CULTURE COMPOSITIONS AND METHODS OF USE THEREOF、2007年12月20日出願;および米国特許出願第11/875,057号、表題Methods and compositions for feeder−free pluripotent stem cell media containing human serum、2007年10月19日出願にも記載されている。
「基本的に」または「実質的に」という用語は、大部分のまたはde minimusまたは低下した量の、任意の細胞集団または細胞培養物、例えば本明細書に記載の未成熟ベータ細胞培養物中に存在する構成成分または細胞が「基本的にまたは実質的に細胞」である、または「基本的または実質的にINS、NKX6.1およびPDX1を発現し、基本的または実質的にNGN3を発現しない未成熟ベータ細胞」であることを意味する。他の例としては、これだけに限定されないが、「基本的にまたは実質的にhES細胞」、「基本的にまたは実質的に胚体内胚葉細胞」、「基本的にまたは実質的に前腸内胚葉細胞」、「基本的にまたは実質的にPDX1陰性前腸内胚葉細胞」、「基本的にまたは実質的にPDX1陽性膵臓内胚葉細胞」、「基本的にまたは実質的に膵臓内分泌先駆細胞」、「基本的にまたは実質的に膵臓内分泌細胞」などが挙げられる。
細胞培養中または細胞集団内の細胞に関して、「を実質的に含まない」という用語は、その細胞培養物または細胞集団に含まれないと特定された細胞型が、その細胞培養物または細胞集団中に存在する細胞の総数の約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満または約1%未満の量で存在することを意味する。
「減少された血清」または「無血清」という用語またはその等価物は、培地中で成長させる細胞培養物が含有する血清が減少されていることまたは血清を実質的に含まないことまたは血清を全く含まないことを指す。ある特定の培養条件下で、血清濃度は約0%(v/v)から約10%(v/v)までにわたる。例えば、いくつかの分化プロセスでは、培地の血清濃度は、約0.05%(v/v)未満、約0.1%(v/v)未満、約0.2%(v/v)未満、約0.3%(v/v)未満、約0.4%(v/v)未満、約0.5%(v/v)未満、約0.6%(v/v)未満、約0.7%(v/v)未満、約0.8%(v/v)未満、約0.9%(v/v)未満、約1%未満(v/v)、約2%未満(v/v)、約3%未満(v/v)、約4%未満(v/v)、約5%未満(v/v)、約6%未満(v/v)、約7%未満(v/v)、約8%未満(v/v)、約9%未満(v/v)または約10%(v/v)未満であってよい。いくつかのプロセスでは、血清を用いずに、または血清代替物を用いずに前原条細胞を成長させる。さらに他のプロセスでは、B27の存在下で前原条細胞を成長させる。そのようなプロセスでは、B27サプリメントの濃度は約0.1%(v/v)から約20%(v/v)までにわたってよい。
さらに他のプロセスでは、B27の存在下で細胞培養物を成長させる。そのようなプロセスでは、B27サプリメントの濃度は約0.1%(v/v)から約20%(v/v)までにわたってもよく、約20%(v/v)を超える濃度であってもよい。ある特定のプロセスでは、培地中のB27の濃度は、約0.1%(v/v)、約0.2%(v/v)、約0.3%(v/v)、約0.4%(v/v)、約0.5%(v/v)、約0.6%(v/v)、約0.7%(v/v)、約0.8%(v/v)、約0.9%(v/v)、約1%(v/v)、約2%(v/v)、約3%(v/v)、約4%(v/v)、約5%(v/v)、約6%(v/v)、約7%(v/v)、約8%(v/v)、約9%(v/v)、約10%(v/v)、約15%(v/v)または約20%(v/v)である。あるいは、添加するB27サプリメントの濃度は、市販のB27ストック溶液の強度の倍数として測定することができる。例えば、B27はInvitrogen(Carlsbad、CA)から50×ストック溶液として入手可能である。十分な量のこのストック溶液を十分な体積の成長培地に添加することにより、所望の量のB27が補充された培地を生成する。例えば、50×B27ストック溶液10mlを成長培地90mlに添加することにより、5×B27が補充された成長培地を生成することになる。培地中のB27サプリメントの濃度は、約0.1×、約0.2×、約0.3×、約0.4×、約0.5×、約0.6×、約0.7×、約0.8×、約0.9×、約1×、約1.1×、約1.2×、約1.3×、約1.4×、約1.5×、約1.6×、約1.7×、約1.8×、約1.9×、約2×、約2.5×、約3×、約3.5×、約4×、約4.5×、約5×、約6×、約7×、約8×、約9×、約10×、約11×、約12×、約13×、約14×、約15×、約16×、約17×、約18×、約19×、約20×、および約20×超であり得る。
さらに別の態様では、分化のためのインスリンレベル要件が低い場合、B27は高レベルのインスリンを含有するので、B27は使用しない。例えば、出願人は、100×のB27ストックおよびITSストック、ならびにそれぞれのRPMI中1×ワーキングストック溶液中のインスリンレベルを決定した。インスリンレベルはMercodia Ultrasensitive Insulin ELISAキットを製造者の説明書に従って決定した。どちらもLife Technologies(Carlsbad、California)から購入した未開封の100×および50×B27ストックおよびITSストックに対してそれぞれアッセイを実施した。アッセイから生じた結果が以下の表3に示されている。
表3には、1×B27中および1×ITS中にそれぞれ約3μg/mLおよび10μg/mLのインスリンが存在することが示されている。さらに、ITSの100×ストック中のインスリン濃度は、製造者により記載されたインスリン濃度と一致する。Life Technologiesは50×B27についてのインスリン濃度は提供しておらず、したがって、製造者により示されたインスリンレベルとの比較はないが、上記の約160μg/mLのインスリン濃度は、同時に実施した100×ITSストックの正確な測定に基づいて、かつ、インスリンおよびインスリン様成長因子(IGF)がどちらもPI3−キナーゼ依存性シグナル伝達のよく確立されたアゴニストであることが示され、PI3−キナーゼ阻害剤(例えば、LY294002)によりインスリン/IGFのエフェクターが阻害されることによって胚体内胚葉形成が促進されることが示唆されているMcLeanら(2007)上記に基づいて、正確である。図6Aおよび図6Bを参照されたい。特に、SOX17発現は1μg/mLのインスリンで4分の1に低下する。インスリンおよび/またはIGFは、KSR、FCS(ウシ胎仔血清)、FBS(ウシ胎児血清)、B27およびStemPro34などの種々の培地補充物質中に生物学的に活性なレベルで存在し、そのような培養条件下では胚体内胚葉分化を阻害する可能性がある、例えば、Jiangら(2007)上記。
本明細書で使用される場合、例えば作用物質、構成成分、成長因子、分化因子などの「外因性」または「外因的に添加された」化合物とは、培養物または馴化培地に関しては、培養物または培地にすでに存在していてもしていなくてもよい任意の化合物または成長因子を補うために培養物または培地に添加される化合物を指す。例えば、一部の実施形態では、細胞培養物および/または細胞集団は、外因的に添加されたレチノイドを含まない。
本明細書で使用される場合、「レチノイド」とは、レチノール、レチナールまたはレチノイン酸ならびにこれらの化合物のいずれかの誘導体を指す。好ましい実施形態では、レチノイドはレチノイン酸である。
「FGFファミリー成長因子」、「線維芽細胞成長因子」または「線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバー」という用語は、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF15、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22およびFGF23を含む群から選択されるFGFを意味する。一部の実施形態では、「FGFファミリー成長因子」、「線維芽細胞成長因子」または「線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバー」とは、公知の線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバーとの相同性および/またはそれと同様の機能を有する任意の成長因子を意味する。
「TGFβスーパーファミリー成長因子」または「TGFβスーパーファミリーリガンド」または「TGFβTGF−ベータシグナル伝達経路活性化因子」という用語またはその等価物は、TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TF−ベータ3、GDF−15、GDF−9、BMP−15、BMP−16、BMP−3、GDF−10、BMP−9、BMP−10、GDF−6、GDF−5、GDF−7、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−2、BMP−4、GDF−3、GDF−1、GDF11、GDF8、アクチビンベータC、アクチビンベータE、アクチビンベータAおよびアクチビンベータB、BMP−14、GDF−14、MIS、インヒビンアルファ、Lefty1、Lefty2、GDNF、ニュールツリン、パーセフィンおよびアルテミンのサブファミリーを含めた、30種超の構造的に関連するタンパク質を指す。Changら(2002)Endocrine Rev. 23(6):787−823を参照されたい。これらのリガンドは、一般には、およそ400〜500アミノ酸(aa)のプレプロペプチドとして合成され、「TGFβスーパーファミリー成長因子」または「TGFβスーパーファミリーリガンド」または「TGFβTGF−ベータシグナル伝達経路活性化因子」またはその等価物は全長のタンパク質であってもそのタンパク質分解によるペプチドであってもよい。
「ERBBリガンド」という用語は、ErbB受容体のいずれか1つに結合し、それが今度は別のErbB受容体と二量体を形成し得、または単量体として機能し得、それによってErbB部分単量体もしくは二量体またはヘテロ二量体受容体のチロシンキナーゼ活性を活性化する、リガンドを指す。ErbBリガンドの非限定的な例としては、ニューレグリン−1;これだけに限定されないが、HRG−β、HRG−α、Neu分化因子(NDF)、アセチルコリン受容体誘導活性(ARIA)、グリア細胞成長因子2(GGF2)、および感覚ニューロンおよび運動ニューロン由来因子(Sensory And Motor Neuron−Derived Factor)(SMDF)を含めたニューレグリン−1のスプライスバリアントおよびアイソフォーム;ニューレグリン−2;これだけに限定されないが、NRG2−βを含めたニューレグリン−2のスプライスバリアントおよびアイソフォーム;エピレギュリン;およびビレギュリン(Biregulin)が挙げられる。
「発現」という用語は、本明細書で使用される場合、材料または物質の生成ならびに材料または物質の生成のレベルまたは量を指す。したがって、特定のマーカーの発現を決定することとは、発現されるマーカーの相対量または絶対量を検出することまたは単にマーカーが存在するかしないかを検出することを指す。
「マーカー」という用語は、本明細書で使用される場合、観察または検出することができる任意の分子を指す。例えば、マーカーとしては、これだけに限定されないが、特定の遺伝子の転写物などの核酸、遺伝子のポリペプチド産物、非遺伝子産物ポリペプチド、糖タンパク質、炭水化物、糖脂質、脂質、リポタンパク質または小分子(例えば、分子量が10,000amu未満の分子)を挙げることができる。
本明細書に記載の大多数のマーカーについて、公式のHuman Genome Organization(HUGO)遺伝子記号が提供される。HUGO Gene Nomenclature Committeeにより開発されるそのような記号により、命名されたヒト遺伝子および遺伝子産物のそれぞれに対して固有の略語が提供される。当業者はこれらの遺伝子記号を容易に認識することができ、また、対応する固有のヒト遺伝子および/またはタンパク質配列と容易に関連付けることができる。
HUGOによる名称によると、以下の遺伝子記号は次のように定義される:GHRL−グレリン;IAPP−島アミロイドポリペプチド;INS−インスリン;GCG−グルカゴン;ISL1−ISL1転写因子;PAX6−ペアードボックス遺伝子6;PAX4−ペアードボックス遺伝子4;NEUROG3−ニューロゲニン3(NGN3);NKX2−2−NKX2転写因子関連遺伝子座2(NKX2.2);NKX6−1−NKX6転写因子関連遺伝子座1(NKX6.1);IPF1−インスリン プロモーター 因子1(PDX1);ONECUT1−ワンカットドメイン、ファミリーメンバー1(HNF6);HLXB9−ホメオボックスB9(HB9);TCF2−転写因子2、肝臓(HNF1b);FOXA1−フォークヘッドボックスA1;HGF−肝細胞成長因子;IGF1−インスリン様成長因子1;POU5F1−POUドメイン、クラス5、転写因子1(OCT4);NANOG−Nanogホメオボックス;SOX2−SRY(性決定領域Y)−ボックス2;CDH1−カドヘリン1、1型、E−カドヘリン(ECAD);T−brachyuryホモログ(BRACH);FGF4−線維芽細胞成長因子4;WNT3−無翅型MMTV組み込み部位ファミリー、メンバー3;SOX17−SRY(性決定領域Y)−ボックス17;GSC−グースコイド;CER1−(ケルベロス1、システインノットスーパーファミリー、ホモログ(CER);CXCR4−ケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体4;FGF17−線維芽細胞成長因子17;FOXA2−フォークヘッドボックスA2;SOX7−SRY(性決定領域Y)−ボックス7;SOX1−SRY(性決定領域Y)−ボックス1;AFP−アルファ−フェトプロテイン;SPARC−分泌タンパク質、酸性、システインリッチ(オステオネクチン);およびTHBD−トロンボモジュリン(TM)、NCAM−神経系細胞接着分子;SYP−シナプトフィジン;ZIC1−Zicファミリーメンバー1;NEF3−神経フィラメント3(NFM);SST−ソマトスタチン;MAFA−v−maf筋腱膜線維肉腫癌遺伝子ホモログA;MAFB−v−maf筋腱膜線維肉腫癌遺伝子ホモログB;SYP−シナプトフィジン;CHGA−クロモグラニンA(副甲状腺分泌型タンパク質1);NGN3−ニューロゲニン3、NKX2.2−NK2ホメオボックス2;NKX6.1−NK6ホメオボックス1;ID1−DNA結合性1、GHRL−グレリン/オベスタチンプレプロペプチドの阻害剤、GSK−グリコーゲンシンターゼキナーゼ、G6PC2−グルコース−6−ホスファターゼ、UCN3−ウロコルチン3、PCSK1−プロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン1型、SLC30A8−溶質輸送体ファミリー30(亜鉛輸送体)、メンバー8、およびCADH1−E−カドヘリン。線維芽細胞成長因子7(FGF7)およびケラチノサイト成長因子(KGF)という用語は同義である。
多能性細胞から種々の多分化能および/または分化した細胞への進行は、遺伝子、または遺伝子マーカーの相対的な発現量、特定の細胞の特性を、第2の遺伝子または対照遺伝子、例えばハウスキーピング遺伝子の発現と比較して決定することによってモニタリングすることができる。いくつかのプロセスでは、ある特定のマーカーの発現を、マーカーが存在するかしないかを検出することによって決定する。あるいは、ある特定のマーカーの発現は、細胞培養物または細胞集団の細胞中でマーカーが存在するレベルを測定することによって決定することができる。そのようなプロセスでは、マーカーの発現の測定は定性的であっても定量的であってもよい。マーカー遺伝子によって生成するマーカーの発現を定量化する1つの方法は、定量的PCR(Q−PCR)を使用することによるものである。Q−PCRを実施する方法は当技術分野で周知である。当技術分野で公知の他の方法も、マーカー遺伝子発現を定量化するために使用することができる。例えば、マーカー遺伝子の発現産物は、目的のマーカー遺伝子産物に特異的な抗体を使用することによって検出することができる。
多くの遺伝子を高い感度および効率で解析するために、さらなる多重化アッセイおよび/または方法体系が利用可能である。例えば、少なくとも、Nanostring(Seattle、WA、USA)により提供されるnCounter Systemを用いて、使用者は現在のところ800種に至るまでの遺伝子の発現レベルを同時に、定量的PCR系に匹敵する感度で、かつ15分未満の反応当たりの実践時間で解析することができる。したがって、試料(例えば、それぞれステージ4PECおよびステージ7内分泌前駆体/先駆体および内分泌細胞培養物)のいずれかの中の全RNAを、6100核酸抽出器(Applied Biosystems;Foster City、CA、USA)を使用して単離することができ(例えば、3連で)、Nanostring nCounter systemを使用して遺伝子発現を定量化するためには反応当たり約100ngが必要である。また、アナログ検出の代わりに、nCounter systemではデジタル検出を使用し、それにより、各遺伝子転写物を、有色のフルオロフォアの固有の連なり(分子バーコード)に付着したDNAのセグメントに結合したプローブによって検出する。したがって、その転写物の同定は連なり上の蛍光体の強度ではなく蛍光体の順序のみに依存する。第2に、試料中の全転写物の数を、特定の蛍光体の連なり(バーコード)が検出される総回数を計数することによって数量化する。さらに、この方法は、標的mRNAの増幅を必要とせず、したがって、その範囲は発現の生物学的範囲、一般には、3桁にわたるものである。現在この系では、細胞当たり20コピー(10fM)の単一の転写物のわずか1.2倍の変化を、統計的有意性(p<0.05)を伴って測定することができる。細胞当たり0.5コピーから20コピーの間のレベルで発現される遺伝子については、発現レベルの1.5倍の差異が同じレベルの信頼度で検出可能である。
いくつかのプロセスでは、他の遺伝子の低発現と比較した以下の遺伝子の高発現により、細胞のある特定の集団が示される。例えば、SOX17、SOX7、AFPまたはTHBDにより胚体外内胚葉が示され、NODALおよび/またはFGF8により前原条が示され、brachyury、FGF4、SNAI1および/またはWNT3により中内胚葉が示され、CER、GSC、CXCR4、SOX17およびFOXA2により胚体内胚葉細胞が示され、SOX17、FOXA2、FOXA1、HNF1BおよびHNF4Aにより前腸内胚葉(またはPDX1陰性内胚葉)が示され、PDX1、HNF6、SOX9およびPROX1によりPDX1陽性内胚葉が示され;PDX1、NKX6.1、PTFA1、CPAおよびcMYCにより膵臓上皮(PEまたは膵臓前駆体)が示され、NGN3、PAX4、ARXおよびNKX2.2により内分泌前駆/先駆細胞が示され、INS、GCG、GHRL、SSTおよびPPにより種々の内分泌細胞が示され、MAFA遺伝子発現がMAFB遺伝子発現に対して相対的に高いことにより、インスリン分泌内分泌細胞が示され、MAFA遺伝子発現に対するMAFBの相対的な高発現により、グルカゴン分泌内分泌細胞が示される。さらにある特定の図には、特定の系列の特定の細胞型に典型的なこれらの「シグネチャー」または「重要な」マーカーのみが示されている。他のマーカーまたは遺伝子、例えば、構成的に発現される、またはある特定の系列もしくは全ての系列の全てもしくは大部分もしくは大多数の細胞型において発現される遺伝子が発現されているが、示されていないまたは記載されていないことが当業者にはよく理解されるであろう。
人工多能性幹(iPS)細胞を生成するための方法
本明細書に記載の実施形態は、いかなる1つの型のiPS細胞にも、いかなる1つのiPS細胞の生成方法にも限定されない。種々の方法が存在するので、実施形態は限定的なものではない、またはiPS細胞の生成の効率のレベルに左右される。本明細書に記載の実施形態はiPS細胞の内胚葉系列細胞への分化およびその使用にあてはまる。
ある特定の核再プログラミング因子を使用した研究により、多能性幹細胞または多能性様幹細胞を患者自身の体細胞から導出することが可能になった。これらの細胞は人工多能性幹(iPS)細胞とも称される。本発明では、Shinya Yamanaka、Kyoto Universityにより提供された種々のiPS細胞株について記載されている。しかし、他のiPS細胞株、例えばJames Thomsonら、A1.に記載されているものは本発明によるものである。米国特許出願公開第20090047263号、国際公開WO2005/80598、米国特許出願公開第20080233610号および国際公開WO2008/11882を参照されたい。したがって、本明細書で使用される場合、「人工多能性幹(iPS)細胞」とは、他の多能性幹細胞、例えばhES細胞、hEG細胞、pPS(霊長類多能性幹)細胞、単為発生細胞などと同様の性質を有する細胞を意味する。
核プログラミング因子は、米国特許出願公開第20090047263号、国際公開WO2005/80598、米国特許出願公開第20080233610号および国際公開WO2008/11882に記載されており、卵、胚、またはES細胞を使用せずに、分化した細胞の再プログラミングを誘導するために使用される。本発明で使用され、記載されているものと同様の核再プログラミング因子を使用することによって体細胞から誘導されたiPS細胞を調製するための方法は特に限定されない。好ましい実施形態では、体細胞および人工多能性幹細胞が増殖し得る環境で、核再プログラミング因子を体細胞と接触させる。本明細書に記載のある特定の実施形態の利点は、卵、胚、または胚性幹(ES)細胞の不在下で核再プログラミング因子を体細胞と接触させることによって人工多能性幹細胞を調製することができることである。核再プログラミング因子を使用することによって、体細胞の核を再プログラミングしてiPS細胞または「ES様細胞」を得ることができる。
本明細書に記載の多能性幹細胞は、hES細胞であるかiPS細胞であるかにかかわらず、これだけに限定されないが、アルカリホスファターゼ(AP);ABCG2;ステージ特異的胚抗原−1(SSEA−1);SSEA−3;SSEA−4;TRA−1−60;TRA−1−81;Tra−2−49/6E;ERas/ECAT5、E−カドヘリン;.β.III−チューブリン;.アルファ.−平滑筋アクチン(アルファ.−SMA);線維芽細胞成長因子4(Fgf4)、クリプト(Cripto)、Dax1;ジンクフィンガータンパク質296(Zfp296);N−アセチルトランスフェラーゼ−1(Nat1);(ES細胞関連転写物1(ECAT1);ESG1/DPPA5/ECAT2;ECAT3;ECAT6;ECAT7;ECAT8;ECAT9;ECAT10;ECAT15−1;ECAT15−2;Fthl17;Sall4;未分化胚細胞転写因子(Utf1);Rex1;p53;G3PDH;TERTを含めたテロメラーゼ;サイレントX染色体遺伝子;Dnmt3a;Dnmt3b;TRIM28;F−ボックス含有タンパク質15(Fbx15);Nanog/ECAT4;Oct3/4;Sox2;Klf4;c−Myc;Esrrb;TDGF1;GABRB3;Zfp42、FoxD3;GDF3;CYP25A1;発生多能性関連2(developmental pluripotency−associated 2)(DPPA2);T細胞リンパ腫ブレイクポイント1(T−cell lymphoma breakpoint 1)(Tcl1);DPPA3/Stella;DPPA4などを含めた任意の数の多能性細胞マーカーを発現し得る。本発明は本明細書において列挙されているマーカーに限定されず、細胞表面マーカー、抗原、ならびにEST、RNA(マイクロRNAおよびアンチセンスRNAを含む)、DNA(遺伝子およびcDNAを含む)およびその一部を含めた他の遺伝子産物などのマーカーを包含することが理解される。
一実施形態では、本明細書で使用されるiPS細胞株は、以下の核再プログラミング因子遺伝子を含有する:Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、およびSoxファミリー遺伝子。ある1つのiPS細胞株では、以下の3種類の遺伝子:Oct3/4、Klf4、およびSox2のそれぞれが提供される。以下の3種類の遺伝子:Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、およびMycファミリー遺伝子、例えば、Oct3/4、Klf4およびc−Mycのそれぞれの他のiPS細胞株遺伝子産物を使用した。したがって、核再プログラミング因子はMycファミリー遺伝子を伴ってもよく伴わなくてもよいことが理解される。
本明細書に記載されており、当技術分野でも公知の核再プログラミング因子は、分化した成体の体細胞からiPS細胞を生じさせるために使用することができ、また、これは再プログラミングされる体細胞の型に限定されない、すなわち、任意の種類の体細胞を再プログラミングまたは脱分化させることができる。体細胞の再プログラミングには卵および/または胚が必要ないので、iPS細胞は哺乳動物細胞であってよく、したがって、患者または疾患に特異的な多能性幹細胞を生じさせる機会がもたらされる。
アデノウイルス、プラスミド、またはCre−loxP3もしくはpiggy BAC転位を使用した再プログラミング因子の切除を使用する、人工多能性幹細胞(iPSC)を生じさせるためのウイルスによる方法、ウイルスによらない方法および非組込み型ウイルスによる方法が記載されている。Stadtfeld,M.ら、Science 322、945−949(2008);Okita,K.ら、Science 322、949−953(2008);Kaji,K.ら、Nature 458、771−775(2009);Soldner,F.ら、Cell 136、964−977(2009);およびWoltjen,K.ら、Nature 458、766−770(2009)を参照されたい。同様に、Mack,A.らに対する米国特許出願公開第20100003757号(2010年1月7日公開)およびShiらに対するPCT/US2009/037429も参照されたい。しかし、これらの方法の再プログラミング効率は低く(<0.003%)、切除にもかかわらずベクター配列が残留する可能性があり、それにより、それらの治療への適用が限定される。例えば、上記の転写因子の宿主ゲノムへのウイルスによる組み込みおよび過剰発現は腫瘍形成に関連付けられており、導入遺伝子の発現が残留することは、ES細胞およびiPS細胞を区別する潜在的な特徴である。Solder,F.ら、Cell 136:964−977(2009);Fosterら、Oncogene 24:1491−1500(2005);およびHochedlinger,K.ら、Cell 121:465−477(2005)を参照されたい。
本発明の他の実施形態では、iPSCを生じさせるための方法はエプスタイン・バーウイルスから導出されたエピソームベクターを含む。Yu,J.ら、Science324、797−801(2009)およびMack,A.らに対する米国特許出願公開第20100003757号、2010年1月7日公開を参照されたい。これらの方法では、癌遺伝子SV40を含めた7種の因子の組合せを有する3つの別々のプラスミドが必要である。
本発明の別の実施形態では、iPSCを生じさせるための方法は、マウス細胞およびヒト胎児細胞および新生児細胞由来のタンパク質に基づくiPSCを含む。Zhou,H.ら、Cell Stem Cell 4、381−384(2009);およびKim,D.ら、Cell Stem Cell 4、472−476(2009)を参照されたい。これらの方法体系は、化学的処理(例えば、Zhouら、2009、上記の場合ではバルプロ酸)または多数回の処理(Kimら、2009、上記)を使用して実現される。
本発明の別の実施形態では、細菌の複製開始点および抗生物質耐性遺伝子を欠く高次コイルDNA分子であるミニサークルベクターまたはプラスミドを使用することができる。Chen、Z.−Y.ら、Mol. Ther. 8、495−500(2003);Chen、Z.−Y.ら、Hum. Gene Ther. 16、126−131(2005);およびJia,Fら、Nature Methods Advance Publication Online 7 February 2010を参照されたい。これらの方法体系では、外因性サイレンシング機構の活性化が低いので、高いトランスフェクション効率およびより長い異所性発現でiPSCが生じる。
本発明のさらに別の実施形態では、糖尿病患者、ALS、脊椎筋ジストロフィーおよびパーキンソン患者を含めた種々の疾患のヒト患者からiPS細胞を生じさせることができる。Maehrら、PNAS USA 106(37):15768−73(2009);Dimosら、Science、321:1218−21(2008);Ebertら、Nature 457:277−80(2009);Parkら、Cell 134:877−886(2008);およびSoldnerら、Cell 136:964−977を参照されたい。特定の疾患を有する患者からhIPS細胞を生成することの少なくとも1つの利点は、導出された細胞がヒト疾患の遺伝子型および細胞応答を含有することである。現存するヒトiPS細胞株の少なくとも一部が列挙されている表4も参照されたい。この情報は、文献および例えばNational Institutes of Health(NIH) Stem Cell Registry,the Human Embryonic Stem Cell RegistryおよびUniversity of Massachusetts Medical School,Worcester,Massachusetts,USAにあるInternational Stem Cell Registryを含めた公的に利用可能なデータベースから導出されたものである。これらのデータベースは、細胞株が利用可能になり登録が得られた時に定期的に更新されている。
本明細書に記載の組成物および方法の複数の実施形態では、これだけに限定されないが、CyT49、CyT212、CyT203、CyT25、(少なくとも本出願の出願時に、ViaCyte Inc.、3550 General Atomics Court、San Diego CA 92121から市販されていた)、BGO1、BG02およびMEL1を含めたhESCなどのヒト多能性幹細胞、ならびにiPSC−482c7およびiPSC−603(Cellular Dynamics International、Inc.、Madison、Wisconsinから市販されている)、ならびにiPSC−G4(以下「G4」)およびiPSC−B7(以下、「B7」)(Shinya Yamanaka、Center for iPS Cell Research、Kyoto Universityから市販されている)などの人工多能性幹(iPS)細胞を含めた種々の分化可能な霊長類多能性幹細胞の使用が意図されており、これらおよび他のヒトiPS細胞を使用した試験は、米国特許出願第12/765,714号および同第13/761,078号、どちらも表題「CELL COMPOSITIONS FROM DEDIFFERENTIATED REPROGRAMMED CELLS」、それぞれ2010年4月22日および2013年2月6日出願に詳しく記載されている。ある特定のこれらのヒト多能性幹細胞はNational Institutes of Health(NIH)などの国際登録機関に登録され、NIH Human Stem Cell Registryに列挙されている(例えば、CyT49の登録番号は0041である)。他の入手可能な細胞株はstemcells.nih.gov/research/registryのワールドワイドウェブにも見出すことができる。さらに他の細胞株、例えば、BG01およびBGO1vは、それぞれWisconsin International Stem Cell(WISC)Bankの関係団体であるWiCell(登録商標)(カタログ名、BG01)およびATCC(カタログ番号SCRC−2002)によって第三者に商業的に販売および配布されている。本明細書に記載の他の細胞株はWiCell(登録商標)またはATCCなどの生物学的リポジトリによって登録または配布されていない場合があるが、そのような細胞株は原理研究者、研究室および/または施設から直接または間接的に公に市販されている。細胞株および試薬の公開要求は、例えば生命科学の当業者にとっては通例である。一般には、これらの細胞または材料の譲渡は、細胞株または材料の所有者と受取人の間の標準の材料譲渡契約を介する。これらの型の材料譲渡は、特に生命科学における研究環境では頻繁に生じる。実際、出願人は、CyT49(2006)、CyT203(2005)、Cyt212(2009)、CyT25(2002)、BG01(2001)、BG02(2001)、BG03(2001)およびBGOlv(2004)を含めた細胞が導出され特徴付けられた時から、営利および非営利産業パートナーおよび共同研究者とのそのような契約を通じて常套的に細胞の譲渡を受けてきた。前記の一覧の各細胞株の隣の括弧内の年は、細胞株または材料が公的に入手可能かつ不死のものになった(例えば細胞バンクが作製された)年を示し、したがって、組成物を作製するためおよび本明細書に記載の方法を実施するためにこれらの細胞株が樹立された時から別の胚の破壊は実施または要求されていない。
表4および表5は、それぞれ、ある特定のiPSCおよびhESCの包括的ではない一覧であり、研究目的および/または商業目的で世界的に利用可能であり、本発明の方法および組成物での使用に適している。表3および表4の情報は、文献および例えばNational Institutes of Health(NIH)Human Stem Cell Registry、Human Embryonic Stem Cell RegistryおよびUniversity of Massachusetts Medical School、Worcester、Massachusetts、USAにあるInternational Stem Cell Registryを含めた公的に利用可能なデータベースから導出されたものである。これらのデータベースは、細胞株が利用可能になり登録が得られた時に定期的に更新されている。
本明細書に記載のヒトiPSC(少なくともiPSC−603およびiPSC−482−c7)はCellular Dynamics International,Inc.(Madison、Wisconsin、USA)により提供されたものである。
hIPSを使用することの別の利点は、そのようなhIPS細胞が免疫学的に適合した自己細胞集団であり、患者に特異的な細胞により、疾患の起源および進行を試験することが可能になることである。したがって、疾患の根本原因を理解することが可能であり、それにより、疾患に対する予防的処置および治療的処置の開発を導く洞察がもたらされ得る。
多能性ヒト胚性幹(hES)細胞
一部の実施形態は、胚体内胚葉細胞および最終的には、これだけに限定されないが、前腸内胚葉、膵臓内胚葉、内分泌前駆/先駆細胞および/または膵島ホルモン発現細胞を含めた任意の内胚葉系列由来細胞型を、ヒト胚性幹(hES)細胞を出発材料として使用して導出するための方法を対象とする。これらのhES細胞は、桑実胚、胚内部細胞塊または胚の生殖隆起から得られるものを起源とする細胞であってよい。ヒト胚性幹細胞は、当技術分野で公知の方法を使用して、培養物中、実質的な分化を伴わずに多能性の状態で維持することができる。そのような方法は、例えば、米国特許第5,453,357号;同第5,670,372号;同第5,690,926号;同第5,843,780号;同第6,200,806号および同第6,251,671号に記載されている。
いくつかのプロセスでは、多能性幹細胞、例えばhES細胞は、フィーダー層上で維持される。そのようなプロセスでは、多能性細胞を多能性の状態で維持することを可能にする任意のフィーダー層を使用することができる。ヒト胚性幹細胞の培養(cultivation)に一般に使用されるフィーダー層の1つは、マウス線維芽細胞の層である。つい最近、多能性細胞の培養(cultivation)において使用するためのヒト線維芽細胞フィーダー層が開発された(米国特許出願公開第2002/0072117号)。代替のプロセスでは、フィーダー層を使用せずに多能性細胞を維持することが可能になる。
本明細書に記載の多能性細胞は、血清を伴うまたは伴わない、細胞外マトリックスを伴うまたは伴わない、FGFを伴うまたは伴わない培養物中で維持することができる。いくつかの多能性細胞の維持手順では、血清代替物を使用する。多能性細胞または多分化能細胞を培養し、分化させるためのこれらおよび他の方法は、それぞれ、PCT/US2007/062755、2007年2月23日出願、表題COMPOSITIONS AND METHODS FOR CULTURING DIFFERENTIAL CELLSおよびPCT/US2008/080516、2008年10月20日出願、表題METHODS AND COMPOSITIONS FOR FEEDER−FREE PLURIPOTENT STEM CELL MEDIA CONTAINING HUMAN SERUMに記載されている。
本明細書に記載の発明は全てのhES細胞株、および少なくとも、識別されている企業から市販されているまたはWiCellからワールドワイドウェブwicell.org/home/stem−cell−lines/order−stem−cell−lines/obtain−stem−cell−lines.cmsxで市販されているものである、表5に列挙されているものと共に有用である。この情報は、文献および例えば、National Institutes of Health(NIH) Stem Cell Registry、Human Embryonic Stem Cell RegistryおよびUniversity of Massachusetts Medical School、Worcester、Massachusetts、USAにあるInternational Stem Cell Registryを含めた公的に利用可能なデータベースから導出されたものである。これらのデータベースは、細胞株が利用可能になり登録が得られた時に定期的に更新されている。International Stem Cell Registryには少なくとも254種のiPSC市販株が列挙されており、1211種のhESC株が市販されている。以下の表5は列挙されているhESCおよびiPSCの全てを含むものではなく、潜在的に入手可能な多能性幹細胞の例である。
多能性幹細胞を導出するための代替方法
胚を破壊せずに哺乳動物ES細胞などの多能性幹細胞を導出するための方法が存在する。簡単に述べると、Advanced Cell Technology(Worcester、Massachusetts、USA)により、胚をインタクトなままにし、したがってその破壊を引き起こさずに単一の割球からマウスES細胞およびヒトES細胞を導出することについて記載されている3件の科学論文が公開された。2005年の後期に、Chungらにより、マウスES細胞を単一の割球から作製するための方法が最初に記載された。Chungら(2006)Nature 439:216−219、2005年10月16日オンライン出版。Chungら(2006)により、着床前遺伝子診断(PGD)に使用される技法と同様の顕微操作技法を使用した胚からの生検材料の取得が記載された。217頁を参照されたい。その時にはChungら(2006)は割球細胞株を他の胚性幹細胞と共培養したが、後に開発された方法ではこれは必要なくなった。Chungら(2008)、Human Embryonic Stem Cell Lines Generated without Embryo Destruction、Cell Stem Cell 2:113−117を参照されたい。
着床前の胚における遺伝子異常を分析するために、着床前遺伝子診断が使用されている。当該方法は、両親の遺伝子インプットを試験することができる時期にある初期の正常に発達している胚(例えば、8細胞期)に対して透明帯に穴を開け、その開口から1つまたは2つの割球を吸引または押出しまたは切離することによって実施される。PGDでは、染色体異常および単一遺伝子障害を分析するために、それぞれ蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用した遺伝子解析が一般に使用される。その後、遺伝子異常がなければ、残りのインタクトな胚を女性患者に正常な妊娠期間に着床させる。着床前遺伝子診断技法は、既に2004年にStaessen,Cら(2004)、Comparison of blastocyst transfer with or without preimplantation genetic diagnosis for aneuploidy screening in couples with advanced maternal age:a prospective randomized controlled trial、Hum. Reprod. 19:2849−2858およびMonniら(2004)Preimplantation genetic diagnosis for beta−thalassaemia:the Sardinian experience. Prenat Diagn 24:949−954を含めた種々のグループによって報告された。したがって、Chungら(2006)は、単に胚を破壊せずに初期胚から割球を抽出するために利用可能な方法を記載しただけである。
さらに、2006年8月に、Chungら(2006)の刊行物の第2著者であり、同じくAdvanced Cell TechnologyのKlimanskayaらにより、効率的ではないが(単離された割球の2%のみからhES細胞株が生じた)、同様のPGD技法により、ヒトES細胞株を単一の割球から導出することが可能になり、Chungら(2006)上記に最初に記載されたものと有意に異ならないことが実証された手順が記載された。Klimanskanyaら(2006)Human embryonic stem cell lines derived from single blastomeres、Nature 444、481−485を参照されたい。Klimanskayaらは、新しく導出されたhES細胞株と他のES細胞を共培養物し、これは、Chungら(2006)が重要であり得ると述べたことである。Chungら(2006)は、「it is unclear whether the success of the ES co−culture system in [his] study is attributable to substances secreted by the ES cells or if cell−cell contact is required」と述べた。Chungら(2006)、上記、218頁、右の欄を参照されたい。しかし、後の2008年に、同じくChungら、上記の研究により、単離された割球を、ラミニンを伴う培地で培養することによりhESCを生じさせる能力が増強されるので、hES細胞株にはES細胞と共培養する必要が全くないことが実証された。Chungら(2008)、Human Embryonic Stem Cell Lines Generated without Embryo Destruction、Cell Stem Cell(2):113−117、116頁、2008年1月10日オンライン出版を参照されたい。さらに、このように得られたhES細胞は、未分化の状態で6ヶ月超にわたって維持できることを含めた、hES細胞を含めた他のヒト多能性幹細胞と同じ特性を有し、また、Oct−4、SSEA−3、SSEA−4、TRA−1−60、TRA−1−81、Nanogおよびアルカリホスファターゼを含めた多能性のマーカーの正常な核型および発現を示し、そしてin vitro、およびin vivoでの奇形腫の形態のどちらにおいても3つ全ての胚性生殖層の誘導体を分化し形成することができる。
したがって、Chungら(2006)によって最初に仮定されたように、単一の割球を他のES細胞と共培養することは重大ではない場合、単一の割球を単に、多くの細胞外マトリックスの一般的な構成成分であり(市販されており、かつ/または例えばフィーダー細胞を溶解することにより作製される)、一般に使用されており、哺乳動物細胞を成長させることが公知であったラミニンと培養することなどは、Chungの2006年の刊行物によりマウスES細胞株を単一の割球から導出することが最初に示された時に公知かつ利用可能であった。したがって、当業者がChungら(2006)上記の方法体系を取り、Straessenら(2004)上記によって以前に記載された利用可能な知見を使用して、胚を保存するまたはその破壊を防止する一方でhES細胞株を単一の割球から導出することができた可能性は十分にある。
多能性幹細胞および多能性幹細胞から導出された細胞の凝集懸濁液
個々の細胞をポリマースキャフォールド、マトリックスおよび/またはゲルに播種することに基づく、以前に公知の組織工学の方法とは対照的に、本明細書に記載の実施形態では、多能性幹細胞から形成された細胞凝集懸濁液、単一細胞懸濁液またはそれから導出された分化した単一細胞懸濁液を使用することができる。幹細胞凝集懸濁液の処理および/または製造方法ならびにその細胞の分化は、PCT/US2007/062755、2007年2月23日出願、表題COMPOSITIONS AND METHODS FOR CULTURING DIFFERENTIAL CELLS、現在は米国特許第8,211,699号および同第8,415,158号;およびPCT/US2008/080516、2008年10月20日出願、表題METHODS AND COMPOSITIONS FOR FEEDER−FREE PLURIPOTENT STEM CELL MEDIA CONTAINING HUMAN SERUM、現在は米国特許第8,334,138号、およびSchulz T.ら(2012)、上記に記載されている。
本明細書に記載の実施形態は、多能性細胞を、未分化の状態での拡張を可能にする接着性成長培養条件で培養し、その接着性多能性細胞培養物を単一細胞懸濁培養物に解離させ、その単一細胞懸濁培養物が懸濁液中に多能性由来細胞凝集体を形成する期間にいたるまでその単一細胞懸濁培養物を撹拌することによって、懸濁液中にhES由来細胞凝集体の形成を可能にする第1の分化培養条件に単一細胞懸濁培養物を接触させ、それにより、懸濁液中の多能性由来細胞凝集体を生じさせることによって、多能性接着培養物から懸濁液中の多能性細胞凝集体を生じさせるための方法に関する。好ましい実施形態では、単一細胞懸濁培養物の撹拌は、約80rpm〜160rpmで回転させることによって実施する。本明細書に記載のある特定の他の実施形態では、多能性幹細胞の凝集、成長、増殖、拡張および/または細胞塊を促進するために、rhoキナーゼ阻害剤を使用する。
「実質的に均一な」または「サイズおよび形状が実質的に均一な」という句またはその等価物は、凝集体の均一性の広がりを指し、約20%以下である。別の実施形態では、凝集体の均一性の広がりは約15%以下、約10%以下または約5%以下である。
さらに別の実施形態では、hES細胞凝集懸濁液を、血清を実質的に含まない培地中、さらに、外因的に添加された線維芽細胞成長因子(FGF)の不在下で培養した。これは、血清を伴わないが、FGFを含めた外因的に添加された成長因子を含有する培地中でhES細胞を培養することが必要なThomson,J.に対する米国特許第7,005,252号とは区別される。一部の実施形態では、iPS細胞凝集懸濁液を、血清を実質的に含まない培地中で、かつ/または、さらに、外因的に添加された線維芽細胞成長因子(FGF)の不在下で培養する。
凝集体当たりの細胞の正確な数は重要ではないが、各凝集体のサイズ(したがって、凝集体当たりの細胞の数)は、酸素および栄養分が中心細胞に拡散する最大限度によって限定されること、およびこの数は細胞型およびその細胞型の栄養素の要件に応じても変動し得ることが当業者には理解されよう。細胞凝集体は、凝集体当たり最小数の細胞(例えば、2つまたは3つの細胞)を含んでもよく、凝集体当たり何百ものまたは何千もの細胞を含んでもよい。一般には、細胞凝集体は、凝集体当たり何百から何千もの細胞を含む。本発明の目的上、細胞凝集体は、一般には約50ミクロンから約600ミクロンまでのサイズであるが、細胞型に応じて、サイズはこの範囲を下回ることも上回ることもある。一実施形態では、細胞凝集体は、約50ミクロンから約250ミクロンまでのサイズ、または約75〜200ミクロンのサイズであり、約100〜150ミクロンのサイズであることが好ましい。
さらに他の方法では胚様体(EB)の作製が記載されている。本明細書で使用される場合、「胚様体」、「凝集体(aggregate body)」という用語またはその等価物は、ES細胞が単層培養物中で過成長した際、または、未定義の培地中の懸濁培養物中で維持されたまたは非定方向プロトコルによって多数の胚葉組織に分化した際に生じる分化した細胞および未分化の細胞の凝集体を指す。すなわち、EBは、本明細書に記載の多能性幹細胞の単一細胞懸濁液から形成されることもなく、EBは、多能性由来多分化能細胞の接着培養物から形成されることもない。これらの特徴単独により、本発明は胚葉体から明白に区別される。
分化した細胞と未分化の細胞の混合物であり、一般にはいくつかの胚葉由来の細胞からなり、ランダムな分化をたどる胚様体とは対照的に、本明細書に記載の細胞凝集体は、基本的にまたは実質的に均一な細胞であり、多能性、多分化能、二分化能、または単能性型の細胞、例えば、胚細胞、胚体内胚葉、前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉、膵臓内分泌細胞などの凝集体として存在する。
本明細書に記載の方法では、例えば、Bodnarらに対するものであり、Geron Corporationに譲渡された米国特許第6,800,480号に記載の通り最初に培養容器を細胞外マトリックスでコーティングする必要は全くない。本明細書に記載の一部の実施形態では、iPS細胞を、出願人の米国特許第8,334号、138;およびSchulz T.ら(2012)上記に実質的に記載されている通り他の多能性幹細胞、例えばhES細胞およびiPS細胞を、可溶性ヒト血清を使用して培養するのと同様に培養することができる。
本明細書に記載の方法では、Thomson,J.に対するものであり、Wisconsin Alumni Research Foundation(WARF)に譲渡された米国特許第7,005,252号に記載の通り単に線維芽細胞フィーダー層以外の供給源から供給される外因的に添加された線維芽細胞成長因子(FGF)は全く必要ない。
多分化能および分化した細胞組成物
本明細書に記載の方法によって生成する細胞組成物は、多能性幹細胞、前原条、中内胚葉、胚体内胚葉、前腸内胚葉、PDX1陽性前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉またはPDX1/NKX6.1同時陽性膵臓内胚葉、内分泌前駆体/先駆体またはNGN3/NKX2.2同時陽性内分泌前駆体/先駆体、およびホルモン分泌内分泌細胞またはINS、GCG、GHRL、SST、PP単独陽性内分泌細胞を含む細胞培養物を含み、培養物中の細胞の少なくとも約5〜90%が、生成された前原条、中内胚葉、胚体内胚葉、前腸内胚葉、PDX1陽性前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉またはPDX1/NKX6.1同時陽性膵臓内胚葉、内分泌前駆体/先駆体またはNGN3/NKX2.2同時陽性内分泌前駆体/先駆体、およびホルモン分泌内分泌細胞またはINS、GCG、GHRL、SST、PP単独陽性内分泌細胞である。
本明細書に記載の一部の実施形態は、幹細胞およびiPS細胞などの多能性細胞と、前原条、中内胚葉または胚体内胚葉などの多分化能細胞の両方、ならびに、PDX1陽性前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉またはPDX1/NKX6.1同時陽性膵臓内胚葉、内分泌前駆体/先駆体またはNGN3/NKX2.2同時陽性内分泌前駆体/先駆体、およびホルモン分泌内分泌細胞またはINS、GCG、GHRL、SST、PP単独陽性内分泌細胞などの、より分化しているが、なお潜在的に多分化能である細胞を含む細胞集団および細胞培養物などの組成物に関する。例えば、本明細書に記載の方法を使用して、多能性幹細胞および他の多分化能細胞または分化した細胞の混合物を含む組成物を生成することができる。一部の実施形態では、約95の多能性細胞ごとに少なくとも約5の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物が生成する。他の実施形態では、約5の多能性細胞ごとに少なくとも約95の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物が生成する。さらに、他の比の多分化能細胞または分化した細胞と多能性細胞を含む組成物が考えられている。例えば、約1,000,000の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約100,000の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約10,000の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約1000の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約500の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約100の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約10の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約5の多能性細胞ごと、および約1までの多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、および約1の多能性細胞ごとに少なくとも約1,000,000の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物が考えられている。
本明細書に記載の一部の実施形態は、少なくとも約5%の多分化能細胞または分化した細胞から少なくとも約99%の多分化能細胞または分化した細胞までを含む細胞培養物または細胞集団に関する。一部の実施形態では、細胞培養物または細胞集団は哺乳動物細胞を含む。好ましい実施形態では、細胞培養物または細胞集団はヒト細胞を含む。例えば、ある特定の実施形態は、ヒト細胞を含む細胞培養物であって、ヒト細胞の少なくとも約5%〜少なくとも約99%が多分化能細胞または分化した細胞である細胞培養物に関する。他の実施形態は、ヒト細胞を含む細胞培養物であって、ヒト細胞の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または99%超が多分化能細胞または分化した細胞である細胞培養物に関する。細胞培養物または細胞集団がヒトフィーダー細胞を含む複数の実施形態では、細胞培養中のヒトフィーダー細胞を考慮せずに上記の百分率を算出する。
本明細書に記載の組成物および方法には、いくつかの有用な特徴がある。例えば、多分化能細胞、例えば、前原条細胞および/または中内胚葉細胞を含む細胞培養物および細胞集団、ならびにそのような細胞培養物および細胞集団を生成するための方法は、ヒト発生の初期をモデリングするために有用である。さらに、本明細書に記載の組成物および方法は、真性糖尿病などの病態への治療介入としても機能し得る。例えば、前原条細胞および/または中内胚葉細胞は限られた数の組織のみの供給源として機能するので、純粋な組織または細胞の型の発生において使用することができる。前原条細胞を生成するためのいくつかのプロセスでは、出発材料として使用される多能性細胞は、多能性幹細胞、例えばhES細胞、hEG細胞またはiPS細胞である。
栄養外胚葉細胞
本明細書に記載の方法を使用して、他の細胞型を実質的に含まない、栄養外胚葉細胞を含む組成物を生成することができる。本明細書に記載の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する栄養外胚葉細胞集団または細胞培養物では、HAND1、Eomes、MASH2、ESXL1、HCG、KRT18、PSG3、SFXN5、DLX3、PSX1、ETS2、およびERBB遺伝子を含む群から選択されるマーカーの発現が、非栄養外胚葉細胞または細胞集団におけるHAND1、Eomes、MASH2、ESXL1、HCG、KRT18、PSG3、SFXN5、DLX3、PSX1、ETS2、およびERBBの発現レベルと比較して実質的に高い。
前原条細胞
本明細書に記載の方法を使用して、他の細胞型を実質的に含まない、前原条細胞を含む組成物を生成することができる。本明細書に記載の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する前原条細胞集団または細胞培養物は、FGF8マーカー遺伝子および/またはNODALマーカー遺伝子を、BRACHURYlow、FGF4 low、SNAI1 low、SOX17 low、FOXA2 low、SOX7 lowおよびSOX1 lowと比較して実質的に発現する。前原条細胞および前原条細胞を生成する方法は、出願人の米国特許第7,958,585号、PREPRIMITIVE STREAK AND MESENDODERM CELLS、2011年7月26日発行に詳しく記載されている。
胚体外細胞
本明細書に記載の方法を使用して、他の細胞型を実質的に含まない、胚体外細胞を含む組成物を生成することができる。原始内胚葉細胞、近位内胚葉細胞および遠位内胚葉細胞は胚体外細胞である。原始内胚葉細胞は近位内胚葉細胞および遠位内胚葉細胞を生じる。近位内胚葉細胞は、卵黄嚢の一部を形成する内胚葉細胞である。近位内胚葉細胞は、栄養分の取り込みおよび輸送の両方において機能する。遠位内胚葉細胞は、ライヘルト膜として公知の胚体外組織と近接している。遠位内胚葉細胞の役割のうちの1つは、基底膜の構成成分の生成である。まとめると、近位内胚葉細胞および遠位内胚葉細胞は、多くの場合、胚体外内胚葉と称されるものを形成する。名称に示されている通り、胚体外内胚葉細胞は発生の間に形成される胚構造を生じない。対照的に、本明細書に記載の胚体内胚葉細胞および他の内胚葉系列または膵臓の系列細胞は、胚性であるまたは胚細胞から導出されたものであり、胚発生の間に形成される腸管から導出された組織を生じる。本明細書に記載の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する胚体外細胞集団または細胞培養物では、SOX7遺伝子、SOX17遺伝子、THBD遺伝子、SPARC遺伝子、DAB1遺伝子、FTNF4alpha遺伝子またはAFP遺伝子を含む群から選択されるマーカーの発現が、少なくとも、他の細胞型または細胞集団、例えば胚体内胚葉では発現されないSOX7、SOX17、THBD、SPARC、DAB1、またはAFPの発現レベルと比較して実質的に高い。
中内胚葉細胞
本明細書に記載の方法を使用して、他の細胞型を実質的に含まない、中内胚葉細胞を含む組成物を生成することができる。本明細書に記載の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する中内胚葉細胞集団または細胞培養物は、FGF4、SNAI1、MIXL1および/またはWNT3マーカー遺伝子を含む群から選択されるマーカーの発現が、SOX17 low、CXCR4 low、FOXA2 low、SOX7 lowおよびSOX1 lowと比較して実質的に高い。中内胚葉細胞および中内胚葉細胞を生成する方法は、出願人の米国特許第7,958,585号、PREPRIMITIVE STREAK AND MESENDODERM CELLS、2011年7月26日発行に詳しく記載されている。
スクリーニング方法
一部の実施形態では、スクリーニング方法を使用して、ヒト多能性幹細胞、人工多能性幹細胞、前原条細胞、中内胚葉細胞、胚体内胚葉細胞、前腸内胚葉またはPDX1陰性前腸内胚葉細胞、PDX1陽性前腸内胚葉またはPDX1陽性膵臓内胚葉細胞または膵臓前駆細胞、内分泌前駆/先駆細胞、および/または内分泌細胞などの多能性細胞、多分化能細胞および/または分化した細胞を含むある特定の細胞集団を得る。次いで、細胞集団に候補分化因子をもたらす。候補分化因子をもたらす前またはそれとほぼ同時である第1の時点で、マーカーの発現を決定する。あるいは、候補分化因子をもたらした後にマーカーの発現を決定することができる。第1の時点の後であり、かつ候補分化因子を細胞集団にもたらすステップの後である第2の時点で、同じマーカーの発現を再度決定する。候補分化因子が膵臓先駆細胞の分化を促進することができるかどうかを、第1の時点におけるマーカーの発現と第2の時点におけるマーカーの発現を比較することによって決定する。第2の時点におけるマーカーの発現が第1の時点におけるマーカーの発現と比較して増加または減少した場合、当該候補分化因子は膵臓前駆細胞の分化を促進することができることになる。
本明細書に記載のスクリーニング方法の一部の実施形態では、ヒト胚体内胚葉、PDX−1陰性前腸内胚葉、PDX−1陽性前腸内胚葉、PDX−1陽性膵臓内胚葉、または膵臓前駆体または内分泌前駆/先駆細胞を含む細胞集団または細胞培養物を利用する。例えば、細胞集団は、PDX−1陽性膵臓内胚葉または膵臓前駆細胞の実質的に精製された集団であってよい。例えば、細胞集団はヒト膵臓前駆細胞の濃縮された集団であってよく、細胞集団内のヒト細胞の少なくとも約50%〜97%がヒト膵臓前駆細胞であり、残りは、内分泌前駆体/先駆体または内分泌細胞および他の細胞型で構成される。膵臓前駆体集団の濃縮は、出願人の米国特許出願第12/107,020号、表題METHOD FOR PURIFYING ENDODERM AND PANCREATIC ENDODERM CELLS DERIVED FROM HUMAN EMBRYONIC STEM CELLS、2008年4月21日出願、現在は米国特許第8,338、170号および対応する刊行物Kellyら(2011)、上記に詳細に記載されている。
本明細書に記載のスクリーニング方法の複数の実施形態では、細胞集団を候補(試験)分化因子と接触させる、または他のやり方で候補(試験)分化因子をもたらす。候補分化因子は、上記の細胞のいずれか、例えばヒト膵臓前駆細胞の分化を促進する潜在性を有し得る任意の分子を含んでよい。本明細書に記載の一部の実施形態では、候補分化因子は、細胞の1種または複数種の型に対する分化因子であることが分かっている分子を含む。代替の実施形態では、候補分化因子は、細胞分化を促進することが分かっていない分子を含む。好ましい実施形態では、候補分化因子は、ヒト膵臓前駆細胞の分化を促進することが分かっていない分子を含む。胚体内胚葉を分化させる因子に対するスクリーニングは、例えば、出願人の米国特許出願第12/093,590号、表題MARKERS OF DEFINITIVE ENDODERM、2008年7月21日出願に詳細に記載されている。
少なくとも1種のマーカーの発現を第1の時点で決定することに加えて、本明細書に記載のスクリーニング方法の一部の実施形態では、少なくとも1種のマーカーの発現を、第1の時点の後であり、かつ細胞集団に候補分化因子をもたらした後である第2の時点で決定することが意図されている。そのような実施形態では、第1の時点と第2の時点の両方で同じマーカーの発現を決定する。一部の実施形態では、第1の時点と第2の時点の両方で複数種のマーカーの発現を決定する。そのような実施形態では、第1の時点と第2の時点の両方で同じ複数種のマーカーの発現を決定する。一部の実施形態では、それぞれが第1の時点の後であり、かつそれぞれが細胞集団に候補分化因子をもたらした後である複数の時点でマーカーの発現を決定する。ある特定の実施形態では、Q−PCRによってマーカーの発現を決定する。他の実施形態では、免疫細胞化学によってマーカーの発現を決定する。
本明細書に記載のスクリーニング方法のある特定の実施形態では、第1の時点および第2の時点において発現が決定されるマーカーは、膵臓前駆細胞から膵島組織を構成する最終分化した細胞の先駆体である細胞への分化に関連するマーカーである。そのような細胞としては、未成熟膵島ホルモン発現細胞を挙げることができる。
本明細書に記載のスクリーニング方法の一部の実施形態では、細胞集団に候補分化因子をもたらすステップと第2の時点におけるマーカーの発現を決定するステップの間に十分な時間を経過させる。細胞集団に候補分化因子をもたらすステップと第2の時点におけるマーカーの発現を決定するステップの間の十分な時間は、約1時間の短さから約10日間の長さまでであってよい。一部の実施形態では、少なくとも1種のマーカーの発現を、細胞集団に候補分化因子をもたらした後に多数回決定する。一部の実施形態では、十分な時間は、少なくとも約1時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約16時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、または少なくとも約8週間である。
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、第2の時点におけるマーカーの発現が第1の時点におけるこのマーカーの発現と比較して増加または減少したかどうかをさらに決定する。少なくとも1種のマーカーの発現の増加または減少により、候補分化因子が内分泌前駆/先駆細胞の分化を促進することができることが示される。同様に、複数種のマーカーの発現を決定する場合、第2の時点における複数種のマーカーの発現が第1の時点におけるこの複数種のマーカーの発現と比較して増加または減少したかどうかをさらに決定する。マーカーの発現の増加または減少は、第1の時点および第2の時点での細胞集団におけるマーカーの量、レベルまたは活性を測定することまたは他のやり方で評価することによって決定することができる。そのような決定は、他のマーカー、例えばハウスキーピング遺伝子発現との比較的なものであってもよく、絶対的なものであってもよい。第2の時点におけるマーカーの発現が第1の時点と比較して増加するある特定の実施形態では、増加の量は、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍または少なくとも約100倍超である。一部の実施形態では、増加の量は、2倍未満である。第2の時点におけるマーカーの発現が第1の時点と比較して減少する実施形態では、減少の量は、少なくとも約2分の1、少なくとも約5分の1、少なくとも約10分の1、少なくとも約20分の1、少なくとも約30分の1、少なくとも約40分の1、少なくとも約50分の1、少なくとも約60分の1、少なくとも約70分の1、少なくとも約80分の1、少なくとも約90分の1、少なくとも約100分の1または少なくとも約100分の1未満である。一部の実施形態では、減少の量は2分の1を下回らない。
多分化能細胞または分化した細胞の生成のモニタリング
多能性細胞から多分化能細胞、多分化能細胞から膵臓前駆体またはホルモン内分泌細胞などのさらに多分化能の細胞または分化した細胞への進行は、内分泌細胞における島ホルモンの発現およびプロインスリンからインスリンおよびCペプチドへのプロセシングなどの遺伝子マーカーおよび表現型マーカーを含めた特定の細胞に特有のマーカーの発現を決定することによってモニタリングすることができる。いくつかのプロセスでは、ある特定のマーカーの発現を、マーカーが存在するかしないかを検出することによって決定する。あるいは、ある特定のマーカーの発現は、細胞培養物または細胞集団の細胞中でマーカーが存在するレベルを測定することによって決定することができる。例えば、ある特定のプロセスでは、未成熟膵島ホルモン発現細胞に特有のマーカーの発現ならびに多能性細胞、胚体内胚葉、前腸内胚葉、PDX1陽性前腸内胚葉、内分泌前駆体/先駆体、胚体外内胚葉、中胚葉、外胚葉、成熟膵島ホルモン発現細胞および/または他の細胞型に特有のマーカーの有意な発現の欠如を決定する。
他の胚体内胚葉系列の分化の程度がより低い細胞型の生成のモニタリングに関連して記載されている通り、ブロット転写法および免疫細胞化学などの定性的技法または半定量的技法を使用して、マーカーの発現を測定することができる。あるいは、マーカーの発現は、Q−PCRまたはNanostringのnCounter、または数百以上のマーカーを同時に分析およびアッセイすることができる関連するハイスループットなマルチプレックス技術などの技法を使用することによって正確に定量化することができる。さらに、ポリペプチドレベルでは、膵島ホルモン発現細胞のマーカーの多くは分泌タンパク質であることが理解されよう。このように、ELISAなどの細胞外マーカー含有量を測定するための技法を利用することができる。
他の実施形態では、免疫組織化学的検査を使用して、上記の遺伝子によって発現されるタンパク質を検出する。さらに他の実施形態では、Q−PCRを免疫組織化学的な技法またはフローサイトメトリー技法と併せて使用して、細胞型を有効かつ正確に特徴付け、同定し、目的の細胞型におけるそのようなマーカーの量および相対的割合の両方を決定することができる。一実施形態では、Q−PCRにより、細胞が混在する集団を含有する細胞培養物におけるRNA発現のレベルを数量化することができる。しかし、Q−PCRでは、目的のマーカーまたはタンパク質が同じ細胞で同時発現されるかどうかをもたらすまたは認定することはできない。別の実施形態では、Q−PCRをフローサイトメトリー法と併せて使用して細胞型を特徴付け、同定する。したがって、本明細書に記載の方法と、例えば上記のものなどを組み合わせて使用することによって、内胚葉系列型細胞を含めた種々の細胞型の完全な特徴付けおよび同定を実現および実証することができる。
例えば、好ましい一実施形態では、膵臓前駆体または膵臓内胚葉またはPDX−1陽性膵臓内胚葉は、Q−PCRおよび/またはICCによって実証される通り少なくともPDX1、Nkx6.1、PTF1A、CPAおよび/またはcMYCを発現するが、そのような細胞は、PDX1陽性発現細胞と同定されるためには、ICCによって実証される通り少なくともPDX1およびNkx6.1を同時発現し、SOX17、CXCR4、またはCERを含めた他のマーカーを発現しない。同様に、in vitroまたはin vivoで成熟ホルモン分泌膵臓細胞を適切に同定するために、例えばインスリン分泌細胞において、C−ペプチド(成熟かつ機能性のβ細胞におけるプロインスリンの適切なプロセシングの産物)およびインスリンが同時発現されることがICCによって実証される。
さらに、当技術分野で公知の他の方法も、マーカー遺伝子発現を定量化するために使用することができる。例えば、マーカー遺伝子産物の発現は、目的のマーカー遺伝子産物に特異的な抗体を使用することによって検出することができる(例えば、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー分析など)。ある特定のプロセスでは、hES由来細胞に特有のマーカー遺伝子の発現ならびにhES由来細胞に特有のマーカー遺伝子の有意な発現の欠如。hES由来細胞型を特徴付け、同定するためのさらに別の方法は、上に示されている関連出願に記載されている。
in vivoにおけるPDX1陽性膵臓内胚葉(ステージ1〜4)の生成およびインスリン生成の要約
ある特定の内胚葉系列細胞および膵臓内胚葉系列細胞を生成するための方法は本明細書において提供され、米国特許第7,534,608号;同第7,695,965号;および同第7,993,920号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONES;および米国特許第8,129,182号、表題ENDOCRINE PROGENITOR/PRECURSOR CELLS、PANCREATIC HORMONE−EXPRESSING CELLS AND METHODS OF PRODUCTIONなどの関連出願の他の箇所で考察されている。表17および図42、図43および図44も参照されたい。
簡単に述べると、多能性幹細胞、例えばhES細胞およびiPS細胞に関する本発明の定方向分化法は、所望の最終ステージの細胞培養物(PEC細胞または内分泌細胞)に応じて少なくとも4つまたは5つまたは6つまたは7つのステージで説明することができる。ステージ1は、多能性幹細胞からの胚体内胚葉の生成であり、約2〜5日、好ましくは2日または3日かかる。多能性幹細胞を、RPMI、TGFβスーパーファミリーメンバー成長因子、例えばアクチビンA、アクチビンB、GDF−8またはGDF−11など(100ng/mL)、WntファミリーメンバーまたはWnt経路活性化因子、例えばWnt3aなど(25ng/mL)、あるいは、成長、および/または生存および/または増殖、および/または細胞間接着を増強するためにrhoキナーゼまたはROCK阻害剤、例えばY−27632など(10μM)を含む培地に懸濁させる。約24時間後に、培地を、RPMIを含み、血清、例えば0.2%FBSなど、およびTGFβスーパーファミリーメンバー成長因子、例えばアクチビンA、アクチビンB、GDF−8またはGDF−11など(100ng/mL)、あるいはrhoキナーゼまたはROCK阻害剤を伴う培地と交換し、さらに24時間(1日目)〜48時間(2日目)置く。あるいは、アクチビン/Wnt3aを含む培地中に約24時間置いた後、その後の24時間、アクチビンを単独で含む培地(すなわち、培地はWnt3aを含まない)で細胞を培養する。重要なことに、胚体内胚葉の生成には、低血清含有量、およびそれにより、低インスリンまたはインスリン様成長因子含有量の細胞培養条件が必要である。McLeanら(2007)Stem Cells 25:29−38を参照されたい。McLeanらにより、ステージ1においてhES細胞をわずか0.2μg/mLの濃度のインスリンと接触させることは、胚体内胚葉の生成にとって有害であり得ることも示された。また別の当業者により、多能性細胞から胚体内胚葉へのステージ1分化が実質的に本明細書およびD’Amourら(2005)に記載の通り改変された。例えば、少なくとも、Agarwalら、Efficient Differentiation of Functional Hepatocytes from Human Embryonic Stem Cells、Stem Cells(2008)26:1117−1127;Borowiakら、Small Molecules Efficiently Direct Endodermal Differentiation of MouseおよびHuman Embryonic Stem Cells、(2009)Cell Stem Cell 4:348−358;およびBrunnerら、Distinct DNA methylation patterns characterize differentiated human embryonic stem cells and developing human fetal liver、(2009)Genome Res. 19:1044−1056。他の内胚葉系列細胞を導出するためには胚体内胚葉の適切な分化、特定化、特徴付けおよび同定が必要である。このステージにおける胚体内胚葉細胞は、SOX17およびHNF3β(FOXA2)を同時発現し、少なくともHNF4アルファ、HNF6、PDX1、SOX6、PROX1、PTF1A、CPA、cMYC、NKX6.1、NGN3、PAX3、ARX、NKX2.2、INS、GSC、GHRL、SST、またはPPは評価できるほどには発現しない。胚体内胚葉においてFTNF4アルファ発現が存在しないことは、少なくともDuncanら(1994)、「Expression of transcription factor FTNF−4 in the extraembryonic endoderm, gut, and nephrogenic tissue of the developing mouse embryo: FTNF−4 is a marker for primary endoderm in the implanting blastocyst」、Proc.Natl.Acad.Sci、91:7598−7602およびSi−Tayebら(2010)、「Highly Efficient Generation of Human Hepatocyte−Like cells from Induced Pluripotent Stem Cells」、Hepatology 51:297−305において裏付けられ、詳しく記載されている。
ステージ2では、ステージ1から胚体内胚葉細胞培養物を取得し、懸濁培養物を、ITSの1:1000希釈物中0.2%FBSなどの低血清レベル、25ngのKGF(またはFGF7)、あるいはROCK阻害剤を伴うRPMIと一緒に24時間(2日目〜3日目)インキュベートすることによって前腸内胚葉またはPDX1陰性前腸内胚葉を生成する。24時間後に(3日目〜4日目)、培地を、TGFβ阻害剤を含まないが、その代わりに、細胞の成長、生存および増殖を増強するためにROCK阻害剤をなお含む同じ培地と交換し、さらに24時間(4日目〜5日目)〜48時間(6日目)置く。前腸内胚葉を適切に特定化するための重要なステップはTGFβファミリー成長因子の除去である。したがって、2.5μMのTGFβ阻害剤番号4またはTGFβI型受容体であるアクチビン受容体様キナーゼ(ALK)の特異的な阻害剤である5μMのSB431542などのTGFβ阻害剤をステージ2細胞培養物に添加することができる。ステージ2で生成した前腸内胚葉またはPDX1−陰性前腸内胚葉細胞は、SOX17、HNF1βおよびHNF4アルファを同時発現し、胚体内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉または膵臓前駆細胞または内分泌前駆体/先駆体ならびに一般には、複数ホルモン型細胞の特質である、少なくともSOX17およびHNF3β(FOXA2)も、HNF6、PDX1、SOX6、PROX1、PTF1A、CPA、cMYC、NKX6.1、NGN3、PAX3、ARX、NKX2.2、INS、GSC、GHRL、SST、またはPPも評価できるほどには同時発現しない。
PEC生成のステージ3(5〜8日目)では、ステージ2から前腸内胚葉細胞培養物を取得し、1%B27、0.25μMのKAADシクロパミン、0.2μMのレチノイン酸(RA)などのレチノイドまたは3nMのTTNPB(もしくはKAADシクロパミンとTTNPBの組合せであるCTT3)などのレチノイン酸類似体、および50ng/mLのノギン中DMEMまたはRPMIにより、約24時間(7日目)〜48時間(8日目)にわたってPDX1陽性前腸内胚葉細胞を生成する。具体的には、出願人らは、およそ2003年からDMEM−高グルコースを使用しており、その時点の全ての特許および非特許開示物では、「DMEM−高グルコース」などの言及がなくてもDMEM−高グルコースが使用されている。これは、一部において、Gibcoなどの製造者がそれらのDMEMをそのように名付けておらず、例えばDMEM(Cat番号11960)およびKnockout DMEM(Cat番号10829)などであることが理由である。本出願の出願日時点で、GibcoはさらなるDMEM製品を提供しているが、従来通り、例えばKnockout DMEM(Cat番号10829−018)など、それらの高グルコースを含有するある特定のDMEM産物に「高グルコース」と付けていないことに注目すべきである。したがって、DMEMが記載されているそれぞれの場合に、高グルコースを伴うDMEMを意味すると推定することができ、これは、この分野における研究開発を行っている他者には明らかなことであった。外因性高グルコースの使用を記載しているさらなる詳細は実施例21に記載されている。さらに、ROCK阻害剤またはrhoキナーゼ阻害剤、例えばY−27632などを使用して、成長、生存、増殖を増強することおよび細胞間接着を促進することができる。ステージ3で生成したPDX1陽性前腸細胞は、PDX1およびHNF6、ならびにSOX9およびPROXを同時発現し、上のステージ1およびステージ2に記載されている胚体内胚葉細胞もしくは前腸内胚葉(PDX1陰性前腸内胚葉)細胞またはPDX1陽性前腸内胚葉細胞を示すマーカーは評価できるほどには同時発現しない。
上記のステージ3の方法は、PECを生成するための4つのステージのうちの1つである。下の実施例9〜24に詳細に記載されている通り、内分泌前駆体/先駆体および内分泌細胞を生成するために、ノギン、KAAD−シクロパミンおよびレチノイドに加えて、アクチビン、Wntおよびヘレグリンを単独でおよび/または組み合わせて使用して、NGN3発現を抑制する一方で良好な細胞凝集塊を維持する。実施例8、実施例9および実施例10を参照されたい。
ステージ4(8〜14日目)PEC生成では、ステージ3から培地を取得し、それを、1%vol/volのB27サプリメント、それに加えて50ng/mLのKGFおよび50ng/mLのEGF、および時にはさらに50ng/mLのノギンおよびROCK阻害剤中DMEMを含有し、さらにアクチビンを単独でまたはヘレグリンと組み合わせて含む培地と交換する。これらの新しい方法では、少なくともPDX1およびNKX6.1ならびにPTF1Aを同時発現する膵臓前駆細胞が生じる。これらの細胞は、上のステージ1、ステージ2およびステージ3に記載の胚体内胚葉または前腸内胚葉(PDX1陰性前腸内胚葉)細胞を示すマーカーは評価できるほどには発現しない。図44を参照されたい。
あるいは、ステージ4からの細胞を、ステージ5において、DMEMを含有し、1%vol/volのB27サプリメントを伴う培地で約1〜6日間(好ましくは約2日間、すなわち、13〜15日目)にわたってさらに分化させて、内分泌前駆体/先駆体または前駆体型細胞ならびに/または単一ホルモン性膵臓内分泌型細胞および複数ホルモン性膵臓内分泌型細胞を生成することができる。ステージ5で生成した内分泌前駆体/先駆体は、少なくともCHGA、NGN3およびNkx2.2を同時発現し、PEC生成について上のステージ1、ステージ2、ステージ3およびステージ4に記載の胚体内胚葉または前腸内胚葉(PDX1陰性前腸内胚葉)を示すマーカーは評価できるほどには発現しない。図44を参照されたい。
PEC生成のために、ステージ4で生成したPDX1陽性膵臓内胚葉をマクロ封入デバイスにローディングし、完全に含有させ、患者に移植し、PDX1陽性膵臓内胚葉細胞をin vivoで膵臓ホルモン分泌細胞、または膵島、例えばインスリン分泌性ベータ細胞に成熟させる(「in vivoの機能」とも称される)。PDX1陽性膵臓内胚葉細胞の封入およびin vivoにおけるインスリンの生成は、米国特許出願第12/618,659号(‘659出願)、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC LINEAGE CELLS DERIVED FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLS、2009年11月13日出願に詳細に記載されている。‘659出願は、仮特許出願第61/114,857号、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC PROGENITORS DERIVED FROM HES CELLS、2008年11月14日出願;および米国特許仮出願第61/121,084号、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC ENDODERM CELLS、2008年12月9日出願;現在は米国特許第8,278、106号および同第8,424,928号の優先権を主張するものである。本明細書に記載の方法、組成物およびデバイスは、現在、好ましい実施形態を表し、例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。その変化および他の使用は本発明の主旨の範囲内に包含され、本開示の範囲によって定義されることが当業者には想起されよう。したがって、本明細書に開示されている発明に対して、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく様々な置換および改変を行うことができることが当業者には明らかになろう。
例えば、多能性細胞、例えばhES細胞およびiPS細胞から胚体内胚葉を生成するために、成長因子またはシグナル伝達タンパク質のTGFβスーパーファミリーのメンバーであるアクチビンAが使用されるが、他のTGFβスーパーファミリーメンバー、例えばGDF−8およびGDF−11を、国際特許出願第PCT/US2008/065686号、表題GROWTH FACTORS FOR PRODUCTION OF DEFINITIVE ENDODERM、2008年6月3日出願に記載されているものなどの胚体内胚葉を生成するために使用することができる。
異なる状況においてでも、アクチビン単独により、またはWntおよびヘレグリンと組み合わせて、高レベルおよび低レベルで、NGN3の発現を抑制および阻害することができる;低レベルで、単独で、またはヘレグリンと組み合わせて、あるいは高レベルでWNTおよびヘレグリンと組み合わせて、細胞塊、したがって収量を維持することができる。実施例8、実施例9および実施例10を参照されたい。
PEC生成のために、ステージ2のPDX1陰性前腸内胚葉細胞をステージ3のPDX1陽性前腸細胞に分化させるためにレチノイン酸(RA)を使用する。しかし、4−[(E)−2−(5、6、7、8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸(またはTTNPB)などの他のレチノイドまたはレチノイン酸類似体および同様の類似体(例えば、4−HBTTNPB)を使用することができる。内分泌細胞および内分泌前駆/先駆細胞生成のために、レチノイン酸またはその類似体のいずれかをステージ6および/またはステージ7の間に添加してホルモン遺伝子発現を誘導することもできる。実施例13および実施例16を参照されたい。
ノギンは、例えば、骨形成タンパク質−4(BMP4)などのTGFβスーパーファミリーシグナル伝達タンパク質のメンバーを不活化するタンパク質である。しかし、コーディンおよびねじれ原腸形成(Twisted Gastrulation)(Tsg)などの他のBMP4阻害剤または抗BMP中和抗体によっても、BMPとその細胞表面受容体の結合を妨げ、それにより、BMPシグナル伝達を有効に阻害することができる。あるいは、ヒトノギンの遺伝子はクローニングされ、配列決定されている。米国特許第6,075,007号を参照されたい。ノギン配列の解析により、Kunitz型プロテアーゼ阻害剤との相同性を有するカルボキシ末端領域が示され、これにより、潜在的に他のKunitz型プロテアーゼ阻害剤がBMPの阻害に関して同様の効果を有し得ることが示されている。実施例15では、非内分泌(CHGA−)亜集団の生成を増加させるためのノギンの使用が記載されている。
最後に、本明細書および‘659出願;米国意匠登録出願第29/447,944号;同第29/408,366号;同第29/408,368号;同第29/423,365号;および同第61/774,443号、表題SEMIPERMEABLE MACRO IMPLANTABLE CELLULAR ENCAPSULATION DEVICES、2013年3月7日出願に記載されているマクロ封入デバイスは、再度、単に例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。特に、デバイスのサイズ、デバイス内のチャンバーまたは亜区画が複数であること、またはポートが複数であること、さらにはデバイスのローディングおよび抽出の機構などのデバイス設計の変化は全て本発明の主旨の範囲内に包含される。したがって、本明細書に記載の分化方法への種々の置換および改変だけでなく、封入デバイスへの種々の置換および改変も同様に、本明細書に開示されている発明に対して、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく行うことができることが当業者には明らかになろう。実施例10、実施利12および実施例18を参照されたい。
多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるためのプロセスの一部に関して、上記の成長因子が細胞にもたらされ、したがって、成長因子が培養物中に、多能性細胞の少なくとも一部分から胚体内胚葉細胞および膵臓の系列細胞への分化を促進するために十分な濃度で存在する。いくつかのプロセスでは、上記の成長因子は、細胞培養物中に少なくとも約5ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約75ng/mL、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約200ng/mL、少なくとも約300ng/mL、少なくとも約400ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくとも約1000ng/mL、少なくとも約2000ng/mL、少なくとも約3000ng/mL、少なくとも約4000ng/mL、少なくとも約5000ng/mLまたは約5000ng/mL超の濃度で存在する。さらに他の作用物質または成長因子は、細胞培養物中に少なくとも0.1mMまたは10mMまたはそれ以上の濃度で存在する。
ある特定のプロセスでは、多能性幹細胞分化作用物質および/または成長因子を、添加後に細胞培養物から除去する。例えば、成長因子を添加してから約1日以内、約2日以内、約3日以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、約7日以内、約8日以内、約9日以内または約10日以内にそれらを除去することができる。好ましいプロセスでは、成長因子を添加した約4日後にそれらを除去する。作用物質および/もしくは成長因子の除去は、作用物質および/もしくは成長因子の不在化で培地を変えること、またはその作用物質および/もしくは成長因子の機能を阻害する別の作用物質を使用することによって実現することができる。
好ましい一実施形態では、ステージ3細胞培養物は、これだけに限定されないが、内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)を阻止、抑制、阻害などすることができる作用物質などを含む。そのような作用物質は、アクチビン、ヘレグリンおよびWNTおよびこれら3つの組合せも、分化を促進し、かつ/または非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団(CHGA−)を示すマーカーの発現を誘導し、かつ内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)のマーカーの発現を阻止するもしくは最小限にするために有効な量で含む。内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)を示すマーカーとしては、これだけに限定されないが、NGN3、NKX2.2およびその他が挙げられる。
別の好ましい実施形態では、ステージ4細胞培養物は、これだけに限定されないが、内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)を阻止、抑制、阻害などすることができる作用物質を含む。そのような作用物質は、アクチビンおよびヘレグリンおよびこれら2つの組合せも、分化を促進し、かつ/または非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団(CHGA−)を示すマーカーの発現を誘導し、かつ内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)のマーカーの発現を阻止するもしくは最小限にするために有効な量で含む。内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)を示すマーカーとしては、これだけに限定されないが、NGN3、NKX2.2およびその他が挙げられる。少なくともNGN3をステージ3およびステージ4の間抑制する手段は、下の実施例8〜21に詳しく記載されている。
一実施形態では、ステージ4細胞培養物を、ステージ5において、少なくともノギン、KGF、EGF、およびNotchシグナル伝達または経路阻害剤を用いてさらに分化させる。内分泌分化を示すマーカーとしては、これだけに限定されないが、NGN3、NKX2.2およびその他が挙げられる。好ましい実施形態では、in vivo発生試験において観察されるものをin vitroでシミュレートするまたは有効に模倣する作用物質をステージ1〜7において使用する。例えば、本発明および表17によるステージ3およびステージ4では、内分泌分化を遅延させることができる作用物質、阻止することができる作用物質、抑制することができる作用物質および/もしくは阻害ことができる作用物質、または、これだけに限定されないが、NGN3およびNKX2.2を含めた、内分泌分化を示すマーカーを遅延させることができる作用物質、阻止することができる作用物質、抑制することができる作用物質および/もしくは阻害ことができる作用物質を使用する。ステージ5、ステージ6、および/またはステージ7の間に、細胞培養物を、内分泌分化を誘導することができる作用物質、増加させることができる作用物質および/または促進することができる作用物質を用いて、例えば、ガンマセレクターゼ阻害剤などのNotch経路阻害剤を使用することによって処理する。要するに、ステージ3およびステージ4の細胞培養条件により、内分泌表現型が抑制されるが、ステージ5、ステージ6、および/またはステージ7からの細胞培養条件により、これだけに限定されないが、インスリン(INS)、グルカゴン(GCG)、ソマトスタチン(SST)、膵臓ポリペプチド(PP)、グレリン(GHRL)、溶質輸送体ファミリー30メンバー8(SLC30A8)、グルコース−6−ホスファターゼ2(G6PC2)、プロホルモン転換酵素1(PCSK1)およびグルコースキナーゼ(GCK)を含めた内分泌表現型が次第に誘導される。
一実施形態では、PDX1陽性膵臓内胚葉細胞を、単独で、またはレチノイン酸などのレチノイドと組み合わせて使用されるNotchシグナル伝達阻害剤、例えばR04929097などのガンマセレクターゼ阻害剤の存在下でインキュベートし続けることによってPDX1陽性膵臓内胚葉細胞を内分泌細胞および内分泌前駆/先駆細胞に分化させる。Notchシグナル伝達阻害剤が存在することにより、ステージ5の間にNGN3の発現が誘導される。他の実施形態では、分化プロセスの開始時、例えば、多能性ステージにおいてガンマセレクターゼ阻害剤がもたらされ、これは膵島ホルモン発現細胞への分化全体を通して細胞培養物中に残留する。さらに他の実施形態では、分化が開始された後であるが、PDX1陽性前腸内胚葉のステージに分化する前にガンマセレクターゼ阻害剤を添加する。好ましい実施形態では、細胞培養物または細胞集団に、胚体内胚葉からPDX1陽性内胚葉への変換を促進する分化因子をもたらすのとほぼ同じ時間にガンマセレクターゼ阻害剤をもたらす。他の好ましい実施形態では、細胞培養物または細胞集団に、細胞培養物または細胞集団中の細胞の実質的な部分がPDX1陽性前腸内胚葉細胞に分化した後にガンマセレクターゼ阻害剤をもたらす。
別の実施形態では、ステージ5からの細胞培養物をステージ6およびステージ7においてさらに分化させる。これらのステージの間に、より発生的に進歩し、かつ/または成熟した内分泌細胞にin vivoで分化させるための内分泌前駆体/先駆体または前駆細胞を適正に特定化することができる作用物質を使用する。そのような作用物質としては、これだけに限定されないが、レチノイドまたはレチノイン酸、BMP、ニコチンアミド、IGF、ヘッジホッグタンパク質などが挙げられる。好ましい実施形態では、TTNPB(4−[(E)−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸またはアロチノイド酸)が、核転写因子であるレチノイン酸受容体(RAR)α、β、およびγに対する親和性を有する選択的かつ非常に強力なレチノイン酸類似体である。TTNPBおよび他のレチノイン酸もしくはレチノイン酸類似体により、レチノイン酸応答性エレメントを有する遺伝子のリガンドにより活性化される転写が生じる。したがって、レチノイン酸応答性エレメントを活性化することができるまたはRARのいずれかに結合することができる他の作用物質またはリガンドは、内分泌細胞分化を促進するために、本発明に対して潜在的に有用であり、修正可能である。
別の実施形態では、ステージ5またはステージ6またはステージ7からの細胞培養物を、細胞接着を改善するために、マトリゲルを単独で、またはrhoキナーゼ阻害剤と組み合わせて用いてさらに処理することができる。あるいは、ステージ5、ステージ6、またはステージ7のいずれかのステージで、rhoキナーゼ阻害剤を、細胞生存、細胞塊および収量を促進するために十分な濃度で添加することができる。あるいは、ステージ6およびステージ7の間、またはステージ6とステージ7のとの間に細胞培養物を引き離し、再会合させて、これだけに限定されないが、非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団(CHGA−)を含めた、望ましくない細胞型を除去するまたは枯渇させることができる。実施例14を参照されたい。
さらに別の実施形態では、ステージ1〜7のいずれかは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上延長することもでき、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日またはそれ以上短縮することもできる。例えば、好ましい一実施形態および表17によると、ステージ6は約6日間にわたって起こり、ステージ7は約9日間にわたって起こる。しかし、これらのステージはどちらも、内分泌前駆体/先駆体の生成を適応させるために短縮することができ、例えば、より発生的に進歩した内分泌細胞を生成するために29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日またはそれ以上長くし、延長することができる。
別の実施形態では、より発生的に進歩したPECまたは膵臓内分泌前駆体/先駆体または膵臓内分泌細胞を生成するための方法が提供される。本発明の一態様では、PDX1およびNKX6.1に関して同時陽性である単一膵臓ホルモン発現内分泌細胞、例えば、INS、PDX1およびNKX6.1を同時発現している未成熟ベータ細胞が提供される。別の態様では、発生的に進歩した細胞は、少なくともPDXおよびNKX6.1を発現する非内分泌膵臓前駆細胞から主になるが、少なくともCHGA+、NGN3および/またはNKX2.2を発現する内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)からはならないまたはそれから最低限なるPEC培養物であってよい。これらのPEC培養物は、膵臓分化の発生試験においてin vivoで見られるものにより類似していると考えられるので、発生的に進歩している。Jorgensenら(2007)、An Illustrated Review of Early Pancreas Development in the Mouse、Endocrine Reviews 28(6):685−705およびRukstalisおよびHabener(2009)、Neurogenin3:A master regulator of pancreatic islet differentiation and regeneration、Islets 1(3):177−184を参照されたい。発生的に進歩した細胞または細胞培養物の別の例は、引き離し、再凝集または再会合させ、したがって、より均一な細胞の集団からなる再凝集した細胞培養物である。このより均一な細胞の集団は、本発明の一態様では、PDX1およびNKX6.1に関して同時陽性であるが、ステージ3およびステージ4からの細胞もしくは亜集団、または、これだけに限定されないが、非内分泌性多分化能膵臓前駆体(CHGA−)細胞、もしくは残留/三重陰性細胞(CHGA−/PDX1−/NKX6.1−)など、もしくは多ホルモン(multi−hormone)発現細胞(すなわち、いずれの1つの細胞型においても2種以上のホルモンを発現している細胞)を含めたPECもしくはPEC亜集団を含まない単一のホルモン発現細胞で主に構成される、より早いステージの細胞型、例えば、膵臓内分泌前駆体/先駆体または内分泌細胞を含まない。
別の実施形態では、本発明で提供される細胞培養物は、適正に特定化されることが好ましく、これは発生生物学の分野において特異的かつある特定の意味を有する。発生生物学に関しては、それは細胞が別個の運命を得るまたは特定化または適正に特定化される機構である。in vitroにおける細胞培養物の分化ではin vivo発生試験に典型的な時間的な組織化およびきっかけが欠けるので、細胞マーカー(転写因子などの表面マーカーまたは内部マーカー)、特に、特定の細胞型を示すシグネチャーまたは顕著な細胞マーカーの使用および信頼性が必須である。したがって、適正に特定化された細胞、細胞培養、亜集団および集団への言及は、それらの細胞が別個の運命を有し、それらの運命がそれらのマーカーの発現、それらが発現するマーカーのプロファイル、および、重要であれば、それらが発現しないマーカーに基づいてより確実になり、決定されることを意味する。in vitroにおける細胞培養物の適切な特定化は同様の細胞のin vivo発生試験に依存し、したがって、好ましい一実施形態では、in vivo発生試験はin vitro分化および適正に特定化された細胞の特徴付けに対する指針である。
本明細書に記載の本発明の一部の実施形態では、分化する細胞培養物または細胞集団に、ガンマセレクターゼ阻害剤とほぼ同じ時間にエキセンディン4をもたらす。ある特定の実施形態では、エキセンディン4を、細胞培養物または細胞集団中に少なくとも約0.1ng/mLから、1000ng/mLまでの濃度で存在するようにもたらす。
NGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、内分泌前駆/先駆細胞において分化の状態に応じて様々な異なるレベルにわたって誘導されることが理解されよう。そのように、本明細書に記載の一部の実施形態では、内分泌前駆/先駆細胞または細胞集団におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、非内分泌前駆/先駆細胞または細胞集団、例えば、多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞、PDX1陽性前腸内胚葉細胞、未成熟膵島ホルモン発現細胞、成熟膵島ホルモン発現細胞、胚体外内胚葉細胞、中胚葉細胞および/または外胚葉細胞におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現の少なくとも約2倍〜少なくとも約10,000倍である。他の実施形態では、内分泌前駆/先駆細胞または細胞集団におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、非内分泌前駆/先駆細胞または細胞集団、例えば、多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞、PDX1陽性前腸内胚葉細胞、未成熟膵島ホルモン発現細胞、成熟膵島ホルモン発現細胞、胚体外内胚葉細胞、中胚葉細胞および/または外胚葉細胞におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現の少なくとも約4倍、少なくとも約6倍〜10,000倍である。一部の実施形態では、内分泌前駆/先駆細胞または細胞集団におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、非内分泌前駆/先駆細胞または細胞集団、例えば、多能性細胞様iPS細胞およびhES細胞、胚体内胚葉細胞、PDX1陽性前腸内胚葉細胞、未成熟膵島ホルモン発現細胞、成熟膵島ホルモン発現細胞、胚体外内胚葉細胞、中胚葉細胞および/または外胚葉細胞におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現よりもはるかに高い。
本発明の別の実施形態は、ヒト内分泌前駆/先駆細胞を含めたヒト細胞を含む細胞培養物または細胞集団などの組成物であって、ヒト細胞の少なくとも約2%においてNGN3マーカーの発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きい組成物に関する。他の実施形態では、ヒト細胞の少なくとも約5%〜98%においてNGN3マーカーの発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きい。一部の実施形態では、細胞培養物または細胞集団中の、NGN3の発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きいヒト細胞の百分率は、フィーダー細胞を考慮せずに算出する。
本発明の一部の実施形態は、ヒト内分泌前駆/先駆細胞を含む細胞培養物または細胞集団などの組成物であって、ヒト細胞の少なくとも約2%から少なくとも約98%超までにおいてNKX2.2および/またはPAX4の発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きい組成物に関することが理解されよう。一部の実施形態では、ヒト細胞の少なくとも約5%〜ヒト細胞の98%においてNKX2.2および/またはPAX4の発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きい。一部の実施形態では、細胞培養物または細胞集団中の、NKX2.2および/またはPAX4の発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きいヒト細胞の百分率は、フィーダー細胞を考慮せずに算出する。
本明細書に記載のプロセスを使用して、他の細胞型を実質的に含まない、内分泌前駆/先駆細胞を含む組成物を生成することができる。本発明の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する内分泌前駆/先駆細胞集団または細胞培養物は、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1および/またはNFMマーカーを有意に発現する細胞を実質的に含まない。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する細胞培養物の内分泌前駆/先駆細胞集団は、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーを有意に発現する細胞を実質的に含まない。
本明細書に開示されている未成熟膵島ホルモン発現細胞を生成するための、さらに他のプロセスでは、HGFを細胞にもたらし、したがって、細胞培養物または細胞集団中に、内分泌前駆/先駆細胞の少なくとも一部分から未成熟膵島ホルモン発現細胞への分化を促進するために十分な濃度で存在するようにする。一部の実施形態では、HGFは、細胞培養物または細胞集団中に、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約5ng/mL〜1000ng/mLの濃度で存在する。
本明細書に開示されている未成熟膵島ホルモン発現細胞を生成するためのさらに他のプロセスでは、IGF1を細胞にもたらし、したがって、細胞培養物または細胞集団中に、内分泌前駆/先駆細胞の少なくとも一部分から未成熟膵島ホルモン発現細胞への分化を促進するために十分な濃度で存在するようにする。一部の実施形態では、IGF1は、細胞培養物または細胞集団中に少なくとも約1ng/mL〜1000ng/mLの濃度で存在する。
本明細書に記載の未成熟膵島ホルモン発現細胞を生成するためのプロセスのある特定の実施形態では、ニコチンアミド、エキセンディン4、HGFおよびIGF1のうちの1種または複数種を、前にもたらした1種または複数種の分化因子を細胞培養物から除去した後にもたらす。他の実施形態では、ニコチンアミド、エキセンディン4、HGFおよびIGF1のうちの1種または複数種を、ニコチンアミド、エキセンディン4、HGFおよびIGF1のうちの1種または複数種よりも前にもたらされた、またはほぼ同時にもたらされた1種または複数種の分化因子を含む細胞培養物または細胞集団にもたらす。好ましい実施形態では、ニコチンアミド、エキセンディン4、HGFおよびIGF1のうちの1種または複数種よりも前にもたらされる、またはほぼ同時にもたらされる分化因子としては、これだけに限定されないが、DAPT、FGF−10、KAAD−シクロパミン、アクチビンA、アクチビンB、BMP4および/またはRAが挙げられる。
本発明の別の実施形態は、ヒト未成熟膵島ホルモン発現細胞を含めたヒト細胞を含む細胞培養物または細胞集団などの組成物であって、ヒト細胞の少なくとも約2%においてMAFB、SYP、CHGA、NKX2.2、ISL1、PAX6、NEUROD、PDX1、HB9、GHRL、IAPP、INS、GCG、SST、PP、および/またはC−ペプチドマーカーの発現がNGN3、MAFA、MOX1、CER、POU5F1、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1および/またはNFMマーカーの発現よりも大きい組成物に関する。他の実施形態では、ヒト細胞の少なくとも約5%において、ヒト細胞の少なくとも約10%〜ヒト細胞の95%においてまたはヒト細胞の少なくとも約98%においてMAFB、SYP、CHGA、NKX2.2、ISL1、PAX6、NEUROD、PDX1、HB9、GHRL、IAPP、INS、GCG、SST、PP、および/またはC−ペプチドマーカーの発現がNGN3、MAFA、MOX1、CER、POU5F1、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1および/またはNFMマーカーの発現よりも大きい。
本発明のある特定の実施形態では、未成熟膵島ホルモン発現細胞を含む細胞培養物および/または細胞集団は、グレリン、インスリン、ソマトスタチンおよび/またはグルカゴンから選択される、1種または複数種の分泌されたホルモンを含む培地も含む。他の実施形態では、培地は、C−ペプチドを含む。好ましい実施形態では、培地中の1種または複数種の分泌されたホルモンまたはC−ペプチドの濃度は、細胞内DNA1μg当たり少なくとも約1pmolのグレリン、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴンまたはC−ペプチドから、細胞内DNA1μg当たり少なくとも約1000ピコモル(pmol)のグレリン、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴンまたはC−ペプチドまでにわたる。
インスリンをin vivoで生成させる方法
一部の実施形態では、上記のin vitroで導出された膵臓前駆細胞またはPDX−1陽性膵臓内胚葉型細胞またはその等価物を哺乳動物対象に移植する。これらの方法は、国際出願第PCT/US2007/015536号、表題「METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONES」、およびKroonら(2008)上記に詳しく記載されている。好ましい実施形態では、哺乳動物対象はヒト対象である。特に好ましい対象は、生理的に高い血中グルコース濃度に応答して十分なレベルのインスリンを生成する対象の能力が限定される状態を有すると同定された対象である。任意の特定の哺乳動物種についての生理的に高い血中グルコースレベルを構成する血中グルコースレベルの範囲は、当業者には容易に決定することができる。認識される疾患または状態をもたらすいかなる持続的な血中グルコースレベルも、生理的に高い血中グルコースレベルとみなされる。
本発明のさらなる実施形態は、in vitro多能性幹細胞またはその後代、例えば、PDX−1陽性前腸内胚葉細胞、PDX−1陽性膵臓内胚葉もしくは膵臓前駆細胞、NGN3陽性内分泌前駆体/先駆体などの内分泌前駆体/先駆体などの多分化能細胞、またはインスリン分泌細胞、グルカゴン分泌細胞、ソマトスタチン分泌細胞、グレリン分泌細胞、もしくは膵臓ポリペプチド分泌細胞などの機能的な分化したホルモン分泌細胞から導出されるin vivoインスリン分泌細胞に関する。上記の最終分化した細胞または多分化能細胞のいずれも、宿主、または哺乳動物に移植し、宿主血中グルコースレベルに応答してインスリンを分泌する細胞などの生理的に機能的なホルモン分泌細胞に成熟させることができる。好ましい実施形態では、細胞はin vivoで奇形腫を形成せず、そのように形成された場合には、移植の領域に局在したままであり、容易に切除または除去することができる。特に好ましい実施形態では、細胞は、in vitroにおける分化プロセスの間、または哺乳動物にin vivoで移植された際、またはin vivoで機能的な島に成熟および発達する際に、いかなる核型異常も含有しない。
さらに、本明細書に記載の実施形態は、工学的に操作されたまたは遺伝子組換えされた、多能性細胞、ヒトiPS細胞などの多能性細胞から本明細書において提供される説明に基づいて導出された多分化能細胞または分化した細胞に関するが、iPS細胞では、hES細胞およびhES由来細胞と同様の生理機能および遺伝子マーカーの発現プロファイルが実証されるので、iPS細胞はin vivoにおける同様の生理的特性を有することが予測される。
膵臓前駆体を封入する方法
一部の実施形態では、本明細書に記載の多能性細胞、多分化能細胞および分化した細胞組成物を生物学的および/または非生物学的機械デバイスに封入することができ、封入されたデバイスにより、細胞組成物が宿主から分離および/または隔離される。
封入の方法は、米国特許出願 61/114,857、2008年11月14日出願、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC PROGENITORS DERIVED FROM HES CELLS、および米国特許出願第61/121,086号、2008年12月12日出願、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC ENDODERM CELLSに詳しく記載されている。
一実施形態では、封入デバイスは、多能性由来細胞、例えば、PDX−1陽性前腸内胚葉細胞、PDX−1陽性膵臓内胚葉もしくは前駆細胞、NGN3陽性内分泌前駆体/先駆体などの内分泌もしくは内分泌前駆体/先駆体、または、インスリン分泌細胞、グルカゴン分泌細胞、ソマトスタチン分泌細胞、グレリン分泌細胞、もしくは膵臓ポリペプチド分泌細胞などの機能的な分化したホルモン分泌細胞を、移植された細胞集団が通過するのを防ぎ、それらをデバイス内に保持すると同時に、ある特定の分泌されたポリペプチド、例えばインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、グレリン、膵臓ポリペプチドなどの通過を可能にする半透膜の中に含有する。あるいは、デバイスは血管化膜を含めた複数の膜を有する。
ヒト多能性幹細胞、例えばhES細胞およびiPS細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着を増強および促進するための作用物質の使用
膜を渡る細胞外シグナルの伝達により細胞調節に影響を及ぼし、今度はそれにより、細胞内の生化学的な経路をモジュレートすることができる。タンパク質のリン酸化は、細胞内シグナルが分子から分子へ伝搬され、最終的に細胞の応答がもたらされる1つの経過を表すものである。これらのシグナルトランスダクションカスケードは、高度に調節されており、多くの場合、多くのプロテインキナーゼならびにホスファターゼが存在することによって証明されるように、重複している。ヒトにおいて、タンパク質チロシンキナーゼは、糖尿病、がんを含めた多くの病態の発生において重要な役割を有することが分かっていることが報告されており、また、多種多様な先天性の症候群に関連付けられている。セリントレオニンキナーゼ、例えばRhoキナーゼは、阻害した場合に、糖尿病、がん、および種々の炎症性心血管障害およびAIDSを含めたヒト疾患の治療と関連し得る酵素のクラスである。現在までに同定されている大多数の阻害剤は、ATP結合部位で作用する。そのようなATP競合阻害剤は、ATP結合部位のあまり保存されていない領域を標的とするそれらの能力による選択性が実証されている。
低分子GTP結合性タンパク質のRhoキナーゼファミリーは、Rho A〜EおよびRhoG、Rac1およびRac2、Cdc42、およびTC10を含む少なくとも10種のメンバーを含有する。阻害剤は、多くの場合、ROK阻害剤もしくはROCK阻害剤またはRhoキナーゼ阻害剤と称され、これらは、本明細書では互換的に使用される。RhoA、RhoB、およびRhoCのエフェクタードメインは同じアミノ酸配列を有し、同様の細胞内標的を有すると思われる。RhoキナーゼはRhoの最初の下流メディエーターとして作動し、2つのアイソフォーム:α(ROCK2)およびβ(ROCK1)として存在する。Rhoキナーゼファミリータンパク質は、それらのN末端ドメイン内に触媒(キナーゼ)ドメインを有し、その中央部分にコイルドコイルドメインを有し、それらのC末端領域内に推定プレクストリン相同性(PH)ドメインを有する。ROCKのRho結合性ドメインはコイルドコイルドメインのC末端部分に局在し、GTPと結合した形態のRhoとの結合により、キナーゼ活性の増強がもたらされる。Rho/Rhoキナーゼ媒介性経路は、アンジオテンシンII、セロトニン、トロンビン、エンドセリン−1、ノルエピネフリン、血小板由来成長因子、ATP/ADPおよび細胞外ヌクレオチド、およびウロテンシンIIを含めた多くのアゴニストによって開始されるシグナルトランスダクションにおいて重要な役割を果たす。Rhoキナーゼは、その標的エフェクター/基質のモジュレーションを通じて、平滑筋収縮、アクチン細胞骨格組織化、細胞の接着および運動性ならびに遺伝子発現を含めた種々の細胞機能において重要な役割を果たす。動脈硬化症の発病と関連すると認知されているいくつもの細胞機能の媒介においてRhoキナーゼタンパク質が果たす役割により、これらのキナーゼの阻害剤も種々の動脈硬化性心血管疾患を治療または予防するために有用であり得、また、内皮収縮に関与する。
一部の実施形態では、これだけに限定されないが、Rhoキナーゼ阻害剤Y−27632、ファスジル(HA1077とも称される)、H−1152PおよびITS(インスリン/トランスフェリン/セレン;Gibco)、Wf−536、Y−30141(米国特許第5,478,838号に記載されている)およびそれらの誘導体、ならびにROCKに対するアンチセンス核酸、RNA干渉誘導性核酸(例えば、siRNA)、競合的ペプチド、アンタゴニストペプチド、阻害性抗体、抗体−scFV断片、ドミナントネガティブバリアントおよびその発現ベクターを含めた、細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着を促進し、かつ/または支持する作用物質を種々の細胞培養培地条件に添加する。さらに、ROCK阻害剤として他の低分子化合物が公知であるので、そのような化合物またはその誘導体も本発明において使用することができる(例えば、米国特許出願第20050209261号、同第20050192304号、同第20040014755号、同第20040002508号、同第20040002507号、同第20030125344号および同第20030087919、ならびに国際特許公開第2003/062227号、同第2003/059913号、同第2003/062225号、同第2002/076976号および同第2004/039796号を参照されたい)。
本発明では、1種または2種またはそれ以上のROCK阻害剤の組合せも使用することができる。これらの作用物質は、一部において、解離したhES細胞、iPSまたは分化した細胞培養物、例えば、胚体内胚葉、前腸内胚葉、膵臓内胚葉、膵臓上皮、膵臓前駆体集団、内分泌前駆体および集団などの再会合を促進することによって機能する。同様に、作用物質は、細胞解離が行われない場合にも機能し得る。ヒト多能性幹細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着の増大は、細胞が懸濁液中の細胞凝集体から生成したものであるか、または接着プレート培養物(細胞外マトリックスの構成成分を伴ってまたは伴わずに、血清を伴ってまたは伴わずに、線維芽細胞フィーダーを伴ってまたは伴わずに、FGFを伴ってまたは伴わずに、アクチビンを伴ってまたは伴わずに)から生成したものであるかとは独立して実現された。これらの細胞集団の生存の増加により、細胞選別機を使用する精製系が容易になり、改善され、したがって、細胞の回収の改善が可能になる。Y27632などのRhoキナーゼ阻害剤の使用により、解離した単一細胞の段階的な継代の間、または低温保存からのそれらの生存が促進されることにより、分化した細胞型の増大も可能になり得る。Y27632などのRhoキナーゼ阻害剤はヒト多能性幹細胞(例えばhES細胞およびiPS細胞)およびそれが分化した細胞に対して試験されてきたが、Rhoキナーゼ阻害剤は、他の細胞型、例えば、一般に、これだけに限定されないが、腸、肺、胸腺、腎臓ならびに網膜色素上皮と同様の神経系細胞型を含めた上皮細胞に適用することができる。
細胞培養培地中のROCK阻害剤の濃度は、その濃度により所望の効果が実現される、例えば、細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着の増強、増加、および/または促進が実現される限りは、下記の実施例に記載されているものに限定されない。種々のROCK阻害剤を種々の条件下で最適化することが必要な場合があることが当業者には理解されよう。例えば、Y−27632を使用する場合、好ましい濃度は、約0.01〜約1000μM、より好ましくは約0.1〜約100μM、なおより好ましくは約1.0〜約50μM、最も好ましくは約5〜20μMにわたり得る。ファスジル/HA1077を使用する場合、上述のY−27632濃度の約2倍または3倍で使用することができる。H−1152を使用する場合、上述のY−27632濃度の量のおよその分数、例えば、約1/10、1/20、1/30、1/40、1/50または1/60で使用することができる。使用するROCK阻害剤の濃度は、一部において、阻害剤の生物活性および効力ならびにそれが使用される条件に左右される。
ROCK阻害剤を用いて処理する時間および期間は、成長、生存、増殖(細胞集団)および細胞間接着の増強、増加、および/または促進などの所望の効果に応じて限定される場合もされない場合もある。しかし、ROCK阻害剤の添加は、実施例7によりよく記載されている通り、驚くべき様式で分化にも影響を及ぼし得る。下記の実施例には、約12時間、24時間、48時間、またはそれ以上にわたって処理されたヒト多能性幹細胞培養物および/または分化した細胞培養物が記載されている。
ROCK阻害剤を用いて処理されるヒト多能性幹細胞培養物の密度も同様に、それが、細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着の増強、増加、および/または促進などの所望の効果が実現される密度である限りは限定されない。播種される細胞の細胞密度は、これだけに限定されないが、接着培養物または懸濁培養物の使用、使用する細胞培養培地の特定のレシピ、成長条件および培養細胞の意図された使用を含めた種々の因子に応じて調整することができる。細胞培養物の密度の例としては、これだけに限定されないが、1ml当たり細胞0.01×105個、1ml当たり細胞0.05×105個、1ml当たり細胞0.1×105個、1ml当たり細胞0.5×105個、1ml当たり細胞1.0×105個、1ml当たり細胞1.2×105個、1ml当たり細胞1.4×105個、1ml当たり細胞1.6×105個、1ml当たり細胞1.8×105個、1ml当たり細胞2.0×105、1ml当たり細胞3.0×105個、1ml当たり細胞4.0×105個、1ml当たり細胞5.0×105個、1ml当たり細胞6.0×105個、1ml当たり細胞7.0×105個、1ml当たり細胞8.0×105個、1ml当たり細胞9.0×105個、または1ml当たり細胞10.0×105個、またはそれ以上、例えば、1mL細胞5×107個まで、またはそれ以上、または間の任意の値が挙げられ、良好な細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着を伴って培養された。
TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質の使用
さらに別の実施形態では、TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質は、成長因子のTGFβスーパーファミリーのメンバーを含み、本明細書に記載されている。本明細書で使用される場合、「TGFβスーパーファミリーメンバー」またはその等価物とは、TGFβ1、TGFβ2、TF−β3、GDF−15、GDF−9、BMP−15、BMP−16、BMP−3、GDF−10、BMP−9、BMP−10、GDF−6、GDF−5、GDF−7、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−2、BMP−4、GDF−3、GDF−1、GDF11、GDF8、アクチビンβC、βΕ、βΑおよびβΒ、BMP−14、GDF−14、MIS、インヒビンアルファ、Lefty1、Lefty2、GDNF、ニュールツリン、パーセフィンおよびアルテミンを含めたサブファミリーを含めた30種を超える構造的に関連するタンパク質を指す。Changら(2002)Endocrine Rev.23(6):787−823を参照されたい。
TGFβファミリーメンバーは、TGFβファミリーメンバーに応答して細胞の性質の変化を伝達するまたは他のやり方でもたらすことに関与するポリペプチドまたは相互作用の1種または複数種を刺激する化合物であるTGFβシグナル伝達経路活性化因子によって置き換えること、またはそれと併せて使用することができる。TGFβシグナル伝達経路はTGFβファミリーメンバー自体を含む。TGFβスーパーファミリーメンバーは、II型およびI型セリン−トレオニンキナーゼ受容体およびSmadとして公知の細胞内エフェクターを通じたシグナル伝達によってシグナルを核に伝達する。これらの受容体は、協同的に作用してリガンドに結合し、シグナルを伝達するI型受容体およびII型受容体として公知の2つのサブファミリーに入る(Attisanoら、Mol Cell Biol 16(3)、1066−1073(1996))。リガンドはI型受容体およびII受容体の細胞表面に結合し、リン酸化によるI型受容体の活性化を促進する。この活性化された複合体が今度は細胞内Smadを活性化し、それが転写を調節する多サブユニット複合体に集合する。TGFベータスーパーファミリーのメンバーは、2つのシグナル伝達サブグループ:TGFβ/アクチビンと機能的に関連するもの、およびBMP/GDFサブファミリーと関連するものに分けられる。大部分のTGFβリガンドは、最初にII型受容体に結合し、次いで、このリガンド/II型受容体複合体がI型受容体を動員またはリン酸化すると考えられている(Mathews,L S、Endocr Rev 15:310−325(1994);Massague、Nature Rev:Mol Cell Biol.1、169−178(2000))。II型受容体キナーゼは、I型受容体キナーゼをリン酸化および活性化することにより、次いで、Smadタンパク質をリン酸化および活性化する。TGFβ/アクチビンリガンドはTGFβおよびアクチビンII型受容体に結合し、このアクチビン型経路を通じてSmad−2、Smad−3、NodalおよびLeftyシグナルを活性化することができる。BMP/GDFリガンドはBMP II型受容体に結合し、Smad1、Smad5、およびSmad8を活性化することができる。Derynck,Rら、Cell 95、737−740(1998)を参照されたい。リガンド刺激の際、Smadは核内に移動し、転写複合体の構成成分として機能する。
TGFβシグナル伝達は、種々の機構を通じて正におよび負に調節される。陽性調節では、シグナルが生物学的活性のために十分なレベルまで増幅される。TGFβスーパーファミリーリガンドがII型受容体に結合し、これによりI型受容体が動員およびリン酸化される。次いで、I型受容体により、受容体により調節されるSMAD(R−SMAD、例えばSMAD1、SMAD2、SMAD3、SMAD5、およびSMAD8)がリン酸化され、そこで共通のメディエーターSmadまたはco−SMADに結合することができる。R−SMAD/coSMAD複合体は核内に蓄積され、そこで転写因子としての機能を果たし、標的遺伝子発現の調節に関与する。例えば、成長分化因子は1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、および15を含む。また、好ましい一実施形態では、GDF8およびGDF11はTGFβファミリーメンバーであり、同様にTGFβシグナル伝達経路活性化因子(陽性調節)でもあり、ActRII受容体の細胞外リガンド結合性ドメイン部分に結合し、次いでActRIと複合体を形成し、それによりSmad7負の制御因子の阻害およびSmad2/Smad3複合体のリン酸化を導くことによって作用する。Smad2/Smad3複合体はSmad4と会合して特定の遺伝子の発現を調節する。
任意の作用物質の使用と同様に、細胞培養培地中の任意のTGFβスーパーファミリーメンバーの濃度は、その濃度により、例えばTGFβ受容体ファミリーメンバーが活性化されることなどの所望の効果を実現することができる限りは、下記の実施例に記載されているものに限定されない。例えば、アクチビン、例えば、アクチビンAおよび/またはアクチビンB、またはGDF8およびGDF−11を使用する場合、好ましい濃度は、約10〜約300nM、より好ましくは約50〜約200nM、なおより好ましくは約75〜約150nM、最も好ましくは約100〜125nMにわたり得る。当業者は、任意の濃度を容易に試験することができ、当技術分野における標準の技法を使用して、そのような濃度の有効性を決定すること、例えば、任意の細胞型について遺伝子マーカーのパネルの発現および非発現を決定することによって分化を評価することができる。
内分泌細胞を生成するための作用物質の使用
一実施形態では、本発明は、これだけに限定されないが、ガンマセレクターゼ阻害剤を含めたNotch経路阻害剤を、内分泌分化を促進し、かつ/または内分泌細胞の特質であり、内分泌分化を示すある特定のマーカーの発現を誘導するために有効な量で使用して、膵臓内胚葉系列型集団および/または亜集団、特にPECおよび/または膵臓内分泌系列細胞を作製する方法を提供する。多数のガンマセレクターゼ阻害剤が記載されている。例えば、米国特許第6,756,511号;同第6,890,956号;同第6,984,626号;同第7,049,296号;同第7,101,895号;同第7、138,400号;同第7、144,910号;同第および7、183,303号を参照されたい。ガンマセレクターゼ阻害剤は、例えばCalbiochem(La Jolla、Calif)から容易に入手可能である:ガンマセレクターゼ阻害剤I、(GSI I)、Z−Leu−Leu−ノルロイシン−CHO;ガンマセレクターゼ阻害剤II;ガンマセレクターゼ阻害剤III、(GSI III)、N−ベンジルオキシカルボニル−Leu−ロイシナール;ガンマセレクターゼ阻害剤IV、(GSI IV)、N−(2−ナフトイル)−Val−フェニルアラニナール;ガンマセレクターゼ阻害剤V、(GSI V)、N−ベンジルオキシカルボニル−Leu−フェニルアラニナール;ガンマセレクターゼ阻害剤VI、(GSI VI)、1−(S)−エンド−N−(1,3,3)−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−4−フルオロフェニルスルホンアミド;ガンマセレクターゼ阻害剤VII、(GSI VII)、メチルオキシカルボニル−LL−CHO;ガンマセレクターゼ阻害剤IX、(GSI IX)、(DAPT)、N−[N−(3,5−ジフルオロフェンアセチル−L−アラニル)]−S−フェニルグリシンt−ブチルエステル;ガンマセレクターゼ阻害剤X、(GSI X)、{1S−ベンジル−4R−[1−(1S−カルバモイル−2−フェネチルカルバモイル)−1S−3−メチルブチルカルバモイル]−2R−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル}カルバミン酸tert−ブチル エステル;ガンマセレクターゼ阻害剤XI、(GSI XI)、7−アミノ−4−クロロ−3−メトキシイソクマリン;ガンマセレクターゼ阻害剤XII、(GSI XII)、Z−Ile−Leu−CHO;ガンマセレクターゼ阻害剤XIII、(GSI XIII)、Z−Tyr−Ile−Leu−CHO;ガンマセレクターゼ阻害剤XIV、(GSI XIV)、Z−Cys(t−Bu)−Ile−Leu−CHO;ガンマセレクターゼ阻害剤XVI、(GSI XVI)、N−[N−3,5−ジフルオロフェンアセチル]−L−アラニル−S−フェニルグリシンメチルエステル;ガンマセレクターゼ阻害剤XVII、(GSI XVII)、WPE−III−31C);ガンマセレクターゼ阻害剤XIX、(GSI XIX)、(2S,3R)−3−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−N−((3S)−2−オキソ−−5−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−3−イル)−ブチルアミド;ガンマセレクターゼ阻害剤XX、(GSI XX)、(ジベンザゼピン(DBZ))、(S,S)−2−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]−N−(5−メチル−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)プロピオンアミド、ガンマセレクターゼ阻害剤XXI、(GSI XXI)、(S,S)−2−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−アセチルアミノ]−N−(1−メチル−2−オキソ−5−フェニル−2−,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−3−イル)−プロピオンアミド;ガンマ40セレクターゼ阻害剤I、N−トランス−3,5−ジメトキシシンナモイル−Ile−ロイシナール;ガンマ40 セレクターゼ阻害剤II、N−tert−ブチルオキシカルボニル−Gly−Val−バリナール(Valinal);およびイソバレリル−V−V−Sta−A−Sta−OC3。
一態様では、ガンマセレクターゼ阻害剤は、Z−Leu−Leu−ノルロイシン−CHO、N−ベンジルオキシカルボニル−Leu−ロイシナール、N−(2−ナフトイル)−Val−フェニルアラニナール、N−ベンジルオキシカルボニル−Leu−フェニルアラニナール、1−(S)−endo−N−(1,3,3)トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−4−フルオロフェニルスルホンアミド、メンチルオキシカルボニル−LL−CHO、N−[N−(3,5−ジフルオロフェナセチル−L−アラニル)]−S−フェニルグリシンt−ブチルエステル、{1S−ベンジル−4R−[1−(1S−カルバモイル−2−フェネチルカルバモイル)−1S−3−メチルブチルカルバモイル]−2R−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル}カルバミン酸tert−ブチルエステル、7−アミノ−4−クロロ−3−メトキシイソクマリン、Z−lle−Leu−CHO、Z−Tyr−lle−Leu−CHO、Z−Cys(t−Bu)−lle−Leu−CHO、N−[N−3,5−ジフルオロフェナセチル]−L−アラニル−S−フェニルグリシンメチルエステル、(2S,3R)−3−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−N−((3S)−2−オキソ−−5−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−3−イル)−ブチルアミド、(S,S)−2−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−アセチルアミノ]−N−(1−メチル−2−オキソ−5−フェニル−2−,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−3−イル)−プロピオンアミド、N−trans−3,5−ジメトキシシンナモイル−lle−ロイシナール、N−tert−ブチルオキシカルボニル−Gly−Val−バリナール、イソバレリル−V−V−Sta−A−Sta−OCH3のうちの1つまたは複数からなる群から選択され、腎疾患は糸球体腎疾患または尿細管腎疾患である。本発明の一態様では、本明細書に記載されており、表8および表17によるステージ1〜7のいずれかまたは全てにおいて、約0.5〜10mM、0.5〜5mM、0.5〜3mM、好ましくは0.5〜1mMのガンマセレクターゼ阻害剤を使用する。
一実施形態では、インスリン成長因子(IGF)は、細胞がそれらの生理的環境との情報交換に使用する複合体系の一部であり、したがって、PSCをPECおよび/または膵臓内分泌系列細胞に分化させるために使用することができる。この複合体系(多くの場合、IGF「軸」と称される)は、2つの細胞表面受容体(IGF1RおよびIGF2R)、2つのリガンド(インスリン様成長因子1(IGF−1)およびインスリン様成長因子2(IGF−2))、6種の高親和性IGF結合性タンパク質(IGFBP−1〜IGFBP−6)のファミリーからなり、また、集合的にプロテアーゼと称されるIGFBP分解酵素と関連する。IGFは、IGF1R、インスリン受容体、IGF−2受容体、インスリン関連受容体およびおそらく他の受容体に結合することが知られている。したがって、本発明の一態様では、これらの受容体に結合する成長因子として、これらの受容体のいずれかまたは組合せに結合する任意の成長因子、作用物質またはモルフォゲンは本明細書に記載および予測されているものと潜在的に同じ生理作用を有するので、これだけに限定されないが、IGF1およびIGF2が挙げられる。本発明の一態様では、本明細書に記載されており、表8および表17によるステージ1〜7のいずれかまたは全てにおいて、約5〜200ng/mL、10〜100ng/mL、10〜75ng/mL、好ましくは10〜50ng/mL、好ましくは20〜50ng/mLのIGFを使用する。
一実施形態では、血小板由来成長因子(PDGF)を使用して、PSCをPECおよび/または内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)に分化させる。PDGFは、多数種の細胞の強力なマイトジェンとして広範に記載されている主要なタンパク質成長因子である。PDGFは、異なるチロシンキナーゼ受容体:PDGFR−αおよびPDGFR−βを通じて作用するポリペプチド鎖、A、B、CおよびDの二量体アイソフォームのファミリーに属する。本発明の一態様では、リガンドは、これだけに限定されないが、2つの型の受容体に結合するPDGFaa、PDGFabまたはPDGFbbを含めた、PDGFまたはその機能的等価物である。本発明の一態様では、本明細書に記載されており、表8および表17によるステージ1〜7のいずれかまたは全てにおいて、約5〜100ng/mL、10〜75ng/mL、10〜50ng/mL、好ましくは10〜20ng/mLのPDGFを使用する。
一実施形態では、ニコチン酸(ビタミンB3/ナイアシン)のアミドである、ナイアシンアミドおよびニコチン酸アミドとしても公知のニコチンアミドを、PSCをPECおよび/または膵臓内分泌系列細胞に分化させるために使用する。ナイアシンとしても公知のニコチン酸は、in vivoでニコチンアミドに変換され、ナイアシンとニコチンアミドのビタミン機能は同一であるが、ニコチンアミドは、ナイアシンと同じ薬理作用および毒作用を有さない。したがって、ニコチンアミドと同様に機能する他のビタミンBまたはビタミンB誘導体は本発明に組み入れられる。本発明の一態様では、本明細書に記載されており、表8および表17によるステージ1〜7のいずれかまたは全てにおいて、約5〜100ng/mL、10〜75ng/mL、10〜50ng/mL、好ましくは10〜20ng/mLのニコチンアミドを使用する。
別の実施形態では、タンパク質のヘッジホッグファミリーを、PSCをPECおよび/または膵臓内分泌系列細胞に分化させるために使用する。本発明によって提供される脊椎動物細胞間シグナル伝達分子のヘッジホッグファミリーは、これだけに限定されないが、デザートヘッジホッグ(Desert hedgehog)(Dhh)、ソニックヘッジホッグ(Sonic hedgehog)(Shh)、インディアンヘッジホッグ(Ihh)およびムーンラットヘッジホッグ(Moonrat hedgehog)(Mhh)を含めた少なくとも4種のメンバーからなる。一態様では、本明細書に記載されており、表8および表17によるステージ1〜7のいずれかまたは全てにおいて、約5〜200ng/mL、10〜200ng/mL、10〜150ng/mL、好ましくは10〜100ng/mLのヘッジホッグタンパク質を使用する。
本発明を一般に記載したが、本明細書において提供される、単に例示するためのものであり、限定するものではないある特定の実施例を参照することにより、さらなる理解を得ることができる。
上述のものが本発明の好ましい実施形態に関連すること、および本発明の範囲を逸脱しないでそこに多数の変更を加えることができることも理解するべきである。本発明は以下の実施例でさらに例示されるが、それらはその範囲に制限を加えるものと決して解釈されてはならない。逆に、様々な他の実施形態、改変形およびその同等物に頼ることができることを明らかに理解するべきであり、それらは、本明細書の説明を読んだ後ならば、本発明の精神および/または添付の特許請求の範囲を逸脱しないで、当業者が思いつくことができる。
(実施例1)
胚体内胚葉および内胚葉中間体を経た膵臓の前駆体および内分泌細胞へのヒトiPS細胞の分化
膵臓前駆体、内分泌前駆体およびホルモン発現内分泌細胞を含む膵臓細胞型の集団を生成するために、約2週(または14日)にわたる四(4)ステージ手順を使用して、懸濁凝集体でヒト人工多能性幹(iPS)細胞を分化させた。本明細書で用いたヒトiPS細胞系は、S.Yamanaka、Kyoto University、JapanおよびCellular Dynamics International,Inc.(CDI)によって提供された。
本明細書に記載されるiPS細胞は、Shinya Yamanakaによって最初に、その後CDIによって提供された。未分化iPS細胞は、20%ノックアウト血清代替物を含有するDMEM/F12において、有糸分裂不活性化マウス胚線維芽細胞で、または好ましくはフィーダーフリー(線維芽細胞フィーダー細胞層なし)で増殖させた。Accutaseを使用して未分化iPS細胞を単細胞に解離させることによって分化を開始し、RNAの単離と分析のために細胞試料をとった。細胞は、1:5000希釈のインスリン−トランスフェリン−セレン(ITS)、アクチビンA(100ng/mL)、wnt3a(50ng/mL)およびロー−キナーゼまたはROCK阻害剤、Y−27632を10μΜで含有するRPMI+0.2容量/容量%FBSに、1ミリリットルにつき細胞数1,000,000〜2,000,000で再懸濁させ、回転プラットホームの上に置いた超低付着6ウェルプレートに入れ、約100rpmで回転させた。分化プロセスの残りの間、培地を毎日交換して培養を100rpmで回転させた。iPSCの成長、継代および増殖は、実質的に米国特許第7,961,402号および第8,211、699号に記載されている通りである。
多能性細胞、例えばhESまたはiPS細胞、および多能性細胞から導出された細胞の凝集懸濁培養を生成するための本明細書に記載の方法は、実質的に、2007年2月23日に出願された表題がCompositions and methods for culturing differential cellsであるPCT/US2007/062755、および2008年10月20日に出願された表題がMethods and compositions for feeder−free pluripotent stem cell media containing human serumであるPCT/US2008/080516に記載されている通りである。
本明細書に記載される方法は、例えば、Geron Corporationに帰属する、Bodnarらへの米国特許第6,800,480号に記載のように、培養容器を細胞外基質で先ずコーティングすることによって促進することができる。他の多能性幹細胞、例えばhESおよびiPS細胞を培養するための他の方法と同様に、この方法は、実質的に2008年10月20日に出願された表題がMethods and compositions for feeder−free pluripotent stem cell media containing human serumである米国特許出願PCT/US2008/080516に記載されるように、可溶性ヒト血清を使用して培養することができる。
本明細書に記載される方法は、Wisconsin Alumni Research Foundation(WARF)に帰属する、Thomson,J.への米国特許第7,005,252号に記載されるように、線維芽細胞フィーダー層だけ以外の供給源から供給される、外部から加えられた線維芽細胞成長因子(FGF)によって促進することができる。
回転の最初の約24時間の間に、互いに付着した単細胞は細胞凝集体を形成し、RNAの単離と分析のために十分な細胞試料をとった。細胞凝集体は、直径が約60ミクロンから120ミクロンであった。iPS細胞試料を回転プラットホームに置いてから約1日(または24時間)後に、培養に、1:5000希釈のITS、アクチビンA(100〜200ng/mL)、およびWnt3a(50〜100ng/mL)を含有するRPMI+0.2容量/容量%FBSを約1日間(0日目から1日目まで)およびさらなる1日間、またはWnt3aのないこと以外は同じ培地で(1日目から2日目)与えた。RNAの単離および分析のために毎日の細胞試料をとった。2日間の分化の後、培養に、1:1000希釈のITS、KGF(またはFGF7、25ng/mL)およびTGFβ阻害剤no.4(2.5μM)を含有するRPMI+0.2容量/容量%FBSを1日間(または24時間、2日目から3日目まで)与えた。次の2日間(3日目から5日目)、TGFβ阻害剤を培地から除いたこと以外は同じ成長因子カクテル培地をiPS細胞凝集懸濁液に与えた。再び、このステージ(ステージ2または5日目)の終わりに、RNA単離のために細胞試料をとった。ステージ3(5日目から8日目)については、TTNPB[4−[E−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸](3nM)、KAAD−シクロパミン(0.25μΜ)およびノギン(50ng/mL)を含有するDMEM+1容量/容量%B27補助剤に細胞培養培地を代えた。再び、このステージ(ステージ3または8日目)の終わりに、RNAの単離と分析のために細胞試料をとった。ステージ4(8日目から14日目)については、ノギン(50ng/mL)、KGF(50ng/mL)およびEGF(50ng/mL)を含有するDMEM+1容量/容量%B27補助剤に培地を代えた。再び、ステージ4(または14日目)の終わりに、RNAの単離と分析のために細胞試料をとった。
分化中の様々なマーカー遺伝子の遺伝子発現を測定するために、リアルタイムPCRを実施した。特異的マーカーまたは遺伝子の遺伝子発現は、ハウスキーピング遺伝子、サイクロフィリンGおよびTATA結合タンパク質(TBP)発現の平均発現レベルに先ず標準化した。標準化した相対的な遺伝子発現は、未分化iPS細胞での発現レベルに対して棒グラフに次に表示させ、したがって様々な分化マーカーの上方制御倍率を表す。OCT4については、データセットで最低の試料(14日目)を設定するために遺伝子発現を標準化し、したがって分化中の下方制御倍率を表す。
図2A〜Lは、未分化iPS細胞中の同じ遺伝子の発現レベルと比較した、同定された遺伝子(例えば、Oct4、Brachyury、Cer1、GSC、FOXA2、FOXA1、HNF6、PDX1、PTF1A、NKX6.1、NGN3およびINS)の相対的な遺伝子発現を示す棒グラフである。遺伝子の発現レベルをハウスキーピング遺伝子(対照)のセットに標準化し、2つの異なる時点で遺伝子発現レベルを比較することは、その遺伝子または発現マーカーの上方制御か下方制御があることを示した。OCT4(図2A)については、遺伝子発現を標準化し、最低レベルの発現の試料は1に設定した(14日目)。したがって、図2Aによって示されるように、OCT4の相対的な発現レベルは、分化中(X軸、ステージ0から4、または0日目から14日目)の下方制御倍率(y軸)を表す。
図2Aに示すように、OCT4(POU5F1)は未分化iPS細胞において高レベルで発現され、分化中(0日目から14日目)に以降の下方制御を示す。14日目までには、OCT4発現レベルは未分化細胞で観察される発現レベルから3000倍を超えて減少した。対照的に、最初の2日間(1日目および2日目)中にbrachyury遺伝子(BRACHYURY、図2B)発現の一過性の上方制御があった。brachyuryの一過性の上方制御は、アクチビンAおよびwnt3aの適用による多能性/iPS細胞の内胚葉系中胚葉への誘導された分化の結果であった。3日目のステージ1の終わりまでのCER1、GSCおよびFOXA2の上方制御によって示されるように(図2C〜E)、内胚葉系中胚葉はアクチビンAへの連続曝露によって2日目および3日目の間に胚体内胚葉にさらに分化した。分化の6日目までのFOXA1の上方制御、FOXA2発現の維持ならびにCER1およびGSCの下方制御によって示されるように(図2C〜F)、ステージ2の間に、胚体内胚葉は腸管内胚葉に分化するようにさらに誘導された。8日目までのHNF6およびPDX1の上方制御によって示されるように(図2G〜H)、ステージ3の間、レチノイド、シクロパミンおよびノギンへの曝露の結果、腸管内胚葉は後部前腸/PDX1発現内胚葉に分化するようにさらに誘導された。14日目までのPTF1A、NKX6−1、NGN3およびINSの上方制御によって示されるように(図2I〜L)、ステージ4の間、KGFおよびEGFへの曝露の結果、後部前腸/PDX1発現内胚葉は、膵臓前駆体、内分泌前駆体およびホルモン発現内分泌細胞に分化するようにさらに誘導された。
(実施例2)
Rhoキナーゼ阻害剤は、iPS細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着を促進する
様々なhESおよびiPS細胞系を分化させる方法は、実質的にここで、および実施例1に記載される通りである。分化の間の成長、生存、増殖および細胞間接着を増強および促進するために、ステージ1、2、3、4および5について記載される培養条件に加えて、アポトーシス阻害剤および/またはRhoキナーゼもしくはROCK阻害剤を培地に加えた。一般的に約10μΜのRhoキナーゼ阻害剤、例えばY−27632を、各ステージで細胞培養に加えた。あるいは、少なくともステージ1および2、ならびにステージ4および5、またはその任意の組合せでRhoキナーゼ阻害剤を加えた。分化したiPS懸濁液(凝集体)細胞培養の形態および遺伝子マーカー発現プロファイルは、hES細胞から導出された懸濁細胞培養のそれに実質的に類似する。
図3および4は、それぞれステージ4と5からのiPS細胞培養の免疫細胞化学(ICC)を示す。図3は、PDX1/NKX6.1同時陽性細胞を含むPDX1陽性膵臓内胚葉(膵臓上皮または膵臓前駆体とも呼ばれる)を特徴とする典型的な遺伝子マーカーを発現する、ステージ4からの細胞凝集体を示す。図3に示されていないが、ステージ4細胞は、インスリン(INS)、グルカゴン(GCG)、ソマトスタチン(SST)および膵臓ポリペプチド(PP)などのステージ5細胞の特色をより示すホルモン分泌タンパク質または遺伝子マーカーを発現しない。図4は、ステージ5からのホルモン発現細胞の細胞凝集体を示す。これらのICC結果は、QPCRを使用してさらに確認された。しかし、QPCRは試料または細胞培養で発現されるRNAの全レベルの全集団研究であるので、それは任意の1つの細胞が複数のマーカーを発現することを確定的に示すことができない。
(実施例3)
IPS導出膵臓前駆体の封入
現在まで、iPS細胞の生成方法およびiPS細胞の生成のための供給源が報告されている。しかし、特定の疾患、例えば糖尿病を処置するための細胞療法での潜在的使用のための、任意の機能する分化細胞への任意のiPS細胞の分化に関する十分な記載がない。
ヒトiPS細胞から導出されたステージ4のPDX1陽性の膵臓内胚葉または膵臓前駆細胞培養が、グルコース感受性インスリン分泌細胞にin vivoで発達および成熟することが完全に可能かどうか判定するために、実質的に実施例1および2に記載のような膵臓前駆体集団を、2009年11月13日に出願された米国特許出願12/618,659、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC LINEAGE CELLS DERIVED FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLS;ならびに米国特許第7,534,608号および第7,695,965号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONESに記載のものに実質的に類似のマクロ封入デバイスに加えた。簡潔には、実質的に約3×106細胞数を有する、5−10−20μLの重力沈殿細胞懸濁凝集体を各デバイスに加えた。
哺乳動物、例えば免疫不全SCID/Bgマウスへの移植のために次にデバイス内の封入細胞を調製したが、ラット、ブタ、サルまたはヒト患者を含むより大きな動物に移植することができる。封入細胞を移植する方法およびデバイスは、実質的に、米国特許出願第12/618,659号、米国特許第7,534,608号および第7,695,965号に記載のものであり、GELFOAMマトリックスに移植され、精巣上体の脂肪パッド(EFP)の下に移植される膵臓前駆細胞を含む。
これらの研究で免疫抑制は必要でなかったが、デバイス内の前駆体が完全に成熟してグルコースに応答性になるまで、最初の中間期間の間特定の哺乳動物のために免疫抑制が必要とされることがある。一部の哺乳動物では、免疫抑制レジメンは約1、2、3、4、5、6週間以上であってもよく、哺乳動物次第である。
移植された細胞は、in vivoで分化させ、さらに成熟させた。例えば移植された細胞が天然に存在するベータ細胞として正常な生理機能を有するかどうか判定するために、ヒトCペプチドのレベルの検査によってヒトインスリンのレベルを判定する。ヒトCペプチドはヒトプロインスリンから切断または処理され、したがって、内因性マウスCペプチドでなくヒトCペプチドの特異的検出は、インスリン分泌が移植された(外因性)細胞から導出されたことを示す。移植片を有する動物は、それらへのアルギニンまたはグルコース、好ましくはグルコースのボーラス注射によって、2、3または4週ごとにヒトCペプチドのレベルを検査する。その後成熟したベータ細胞(分化した多能性iPS細胞から導出された)は、天然に存在するか内因性のベータ細胞と同様に生理的に機能的であるべきで、グルコースに応答性であるべきである。一般的に、50pMまたは平均基礎(閾値)レベルを上回るヒトCペプチドの量は、移植された前駆体から今ではベータ細胞となったものの機能の指標である。
Kroonら(2008)、前掲、米国特許出願12/618,659、米国特許第7,534,608号;第7,695,965号および第7,993,920号に記載のものと同様に、hIPS細胞から導出された封入膵臓前駆体は、天然に存在する島のそれと同様の内分泌、腺房および管細胞を有する、機能する膵島クラスターに成熟することが予想される。移植前のhIPS細胞から導出された精製または濃縮された膵臓前駆体も、機能する膵島に成熟および発達し、in vivoでインスリンを生成することも予期される。様々な分化した細胞集団を精製、濃縮するための特定の実施形態は、2008年4月8日に出願された米国特許出願12/107,020、表題METHODS FOR PURIFYING ENDODERM AND PANCREATIC ENDODERM CELLS DERIVED FROM HES CELLS、現在の米国特許第8,338,170号にさらに詳細に記載される。低温保存されたhIPS細胞から導出された膵臓前駆体を移植の前に解凍し、培養に適合させることができ、したがって、in vivoで成熟してインスリンを生成することができることがさらに予期される。hIPS細胞から導出された移植された膵臓前駆体を有する糖尿病誘導動物では、低血糖を改善することができる。
要約すると、マクロ封入デバイス中のhIPS細胞から導出された完全封入膵臓前駆細胞は、生理的に機能的な膵島に成熟し、in vivoでグルコースに応答してインスリンを生成することが予想される。
(実施例4)
膵臓前駆体およびホルモン分泌細胞組成物
それぞれ表6a、6bおよび7に示すように、フローサイトメトリーを用いて、分化したhIPS細胞集団を、PDX1陽性の膵臓内胚葉または膵臓前駆細胞(ステージ4);および内分泌または内分泌前駆/先駆細胞(ステージ5)のそれらの含有量について分析した。表6bは表6aのそれと同じデータセットであるが、比較のために表10のそれと同様に提示する。全体のPDX1+およびNKX6.1+数はNKX6.1+/PDX1+/CHGA−細胞集団(表6aの第5列)のそれと重複するので、表6a集団は互いと重複する、例えば全細胞数は100%を超える。表6bはPDX1+だけおよび三重陰性(残留)データを含み、それは表6aでは示されない。in vivo機能を判定するために、これらのiPEC移植片の特定のもの、ならびに実質的に類似の処方を使用する他のものを動物に移植したが、ヒト血清Cペプチドのレベルは任意の潜在的治療目的のために十分に頑強でなかった(データは示さず)。示す値は、所与の集団に属する全細胞の百分率である。懸濁細胞凝集体中にある膵臓前駆体(NKX6.1(+)/PDX1(+)/クロモグラニンA(−))の数およびNKX6.1+/PDX1−/CHGA−の非常に小さい集団は、hES細胞から導出された膵臓前駆細胞懸濁凝集体で観察されたものと一貫し、2008年11月4日に出願された米国特許出願12/264,760、表題STEM CELL AGGREGATE SUSPENSION COMPOSITIONS AND METHODS OF DIFFERENTIATION THEREOFに記載の通り、ESCステージで凝集した。内分泌物および/または内分泌前駆/先駆細胞のレベルも、2008年4月8日に出願された米国特許出願12/107,020、表題METHODS FOR PURIFYING ENDODERM AND PANCREATIC ENDODERM CELLS DERIVED FROM HES CELLS中のhES導出細胞培養で得られたものと実質的に一貫していた。hES導出細胞懸濁凝集体と同様に、分化の特定のステージ(例えば、ステージ4)で培地中の異なる成長因子の濃度を変化させることは、膵臓内胚葉、内分泌、PDX1陽性の内胚葉または非膵臓細胞型の特定の集団を増加および/または減少させるはずである。
(実施例5)
PEC受容体チロシンキナーゼ
上記の方法は、上記のSchulzら(2012)から変更した下の表8に記載されるものと実質的に同じである。本明細書に記載されるこれらおよび他の方法は、米国特許第7,964,402号;第8,211,699号;第8,334,138号;第8,008,07号;および第8,153,429号を含む、出願人の多くの特許および非特許公開文書に見出すことができる。
動物に移植されたiPS細胞および膵臓前駆体に上の方法を適用したとき、同じ方法をhESCおよびhES導出膵臓前駆体に適用したときと比較して、出願人は同じ頑強なin vivo機能を一貫して得たとは限らない。iPS細胞がhESCの形態および遺伝子発現パターンを有し、in vitroで胚様体およびin vivoでテラトーマを形成することができるヒト多能性幹細胞であり、それらが全ての3つの胚葉から細胞を形成することができることを示していることを考慮すると、これは意外であった。少なくとも、例えばYuら(2007);米国特許出願公開第2009/0047263号、国際特許出願公開WO2005/80598;米国特許出願公開第2008/0233610号;および国際特許出願公開WO2008/11882、上記を参照。これらの参考文献は、iPS細胞がESCの定義基準を満たすことを記載する。したがって、完全に機能するグルコース応答性細胞にin vivoでさらに成熟および発達する、hESから導出された膵臓前駆細胞を与えるin vitro分化プロトコルにおいて、iPS細胞がESCの代用となることができることが予想される。しかし、上の方法を使用する一貫しないin vivo機能データを考慮し、出願人は、膵臓前駆体および/または膵臓内胚葉細胞(PEC)、すなわち、hESCから導出されたPECで一貫して観察されているin vivo機能の実質的に類似の頑強なレベルを提供することが可能であるhiPSC(または「iPEC」)からのステージ4導出細胞に特異である分化培地処方を探索しようと努めた。
出願人は、PECに存在する内分泌(CHGA+細胞)細胞が多ホルモン内分泌細胞であり、in vivoでグルコース応答性インスリン分泌細胞を有する島を生成するPEC中の細胞の亜集団でないことを前に報告した。上記Kellyら(2011)を参照する。むしろ、それは、非内分泌細胞集団(CHGA−細胞)、特に、in vivoで機能する島を実際に生成するPECであると考えられている、NKX6.1およびPDX−1を同時発現するものである。したがって、出願人は、内分泌および非内分泌亜集団の相対比をモジュレートするか、変化させるか、シフトすることが、後のin vivo機能に影響を及ぼすかどうかを探索した。
hESCで受容体−リガンドシグナル伝達を解読する以前の努力は、自己複製を促進する成長因子の同定に成功を収め、規定の培地培養条件の開発を可能にした。上記Wangら(2007)を参照する。Wangらは、ERBB3に結合してERBB2との二量体化を誘導し、その場面でhESCの自己複製に影響を及ぼすリガンドとしてヘレグリン−1βを同定した。ERBBは受容体チロシンキナーゼ(RTK)であり、RTKは、成長因子および他の細胞外シグナル伝達分子の受容体として作用する、広く発現される膜貫通タンパク質である。リガンド結合の結果、それらは細胞質テール中の特定の残基でチロシンリン酸化を受け、RTK媒介シグナル伝達に関与する他のタンパク質基質の結合のためのシグナル伝達カスケードを始動する。細胞の生存、増殖および運動性の調節を含むいくつかの発達過程におけるRTK機能、およびがん形成でのそれらの役割は文書で十分に立証されている。ERBBチロシンキナーゼ受容体は、発達中の胎児のヒト膵臓全体で発現されることも知られていたが、特定のERBB受容体およびそれらのリガンドの特異的役割は知られていない。Mari−Anne Huotariら(2002)ERBB Signaling Regulates Lineage Determination of Developing Pancreatic Islet Cells in Embryonic Organ Culture、Endocrinology 143(11):4437〜4446頁を参照。
上記Wangら(2007)によって実証される胎児のヒト膵臓での多能性幹細胞の自己複製およびそれらの発現、ならびにヒト胎児膵臓でのERBB RTK発現でのERBB RTKシグナル伝達の役割のために、次に出願人は、分化の間のPEC特定化、または自己複製の促進による増大、または生理的に機能する島ホルモン分泌細胞へのin vivo成熟を促進するいくつかの他の未知の機構を向上させる可能性がある受容体およびリガンドを同定する努力の中で、hESCから導出されたin vitroの膵臓内胚葉細胞(PEC)でRTKの潜在的な活性化の調査に取りかかった。以下の変更を除いて実質的に表8に記載のように、分化凝集体の懸濁液でPECを生成した。
RTKブロット分析のために、4つのPEC試料を生成した。db−N50 K50 E50でのPEC凝集体の「定常状態」試料を、ステージ4の終わり(またはd13)に収集した。「絶食させた」試料は、db(DMEM高グルコースまたは0.5×B−27補助剤(Life Technologies)を追加したDMEM高グルコース)培地だけ(成長因子なし)を与え、d13に収集した、d12PEC凝集体を表した。2つの「パルス投与」試料は、d12にdb培地を与えてそこで培養し、次にd13に、収集する前に15分間、db−K50 E50培地または2%FBS含有db培地のいずれかを与えた。そのような条件は、ステージ4条件で活性であったRTKの検出、ならびにKGF、EGFおよびインスリン(B27補助剤に存在する)または血清のパルス投与でどのような応答を導き出すことができるか検出することを意図した。血清パルス投与は、PECに存在し、本ステージ4条件で活性化することができるが刺激されないRTKを潜在的に同定する、広域な成長因子刺激を意図した。
RTK分析は、事実上前掲のWangら(2007)で前に記載される通りに実施した。簡潔には、Proteome Profiler(商標)ヒトホスホRTK抗体アレイ(R&D Sysytems)を、製造業者の指示通りに使用した。1%NP−40、20mMトリス−HCl(pH8.0)、137mM NaCl、10%グリセロール、2.0mM EDTA、1.0mMオルトバナジウム酸ナトリウム、10μg/mLアプロチニン、および10μg/mLロイペプチンでタンパク質溶解物を調製した。500μgの新鮮なタンパク質溶解物を、42個の抗RTK抗体および5つの陰性対照抗体のための重複スポット、ならびに8つの抗ホスホチロシン陽性対照スポットの点在するニトロセルロース膜と一晩インキュベートした(図5A)。配列された抗体はリン酸化および非リン酸化RTKの細胞外ドメインを捕捉し、結合したホスホRTKは、化学発光を使用して西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートされた汎抗ホスホチロシン抗体で検出される。RTKアレイレイアウトについては図5を、ならびにアレイ中のRTKの一覧については下の表9を参照する。
RTKブロット(図6A)は、hESCで以前に観察されたものと同様に、インスリン受容体およびIGF1受容体(それぞれIR、IGF1R)が全ての条件でリン酸化され、活性化されたことを示した。上記Wangら(2007)参照。EGF受容体(EGFR、ERBB1としても知られる)は定常状態条件でリン酸化されたが、それはステージ4培地中のEGFの存在を考慮すると予想されていた。実際、ERBB2の低レベルのリン酸化が、定常状態および絶食条件の両方で検出された。EGFRおよびERBB2の両方のリン酸化は各パルス投与条件で上昇し、リガンドのパルス投与に応答する活性化を検出するアッセイの能力を確認した。リン酸化されたVEGFR3も全ての条件で検出され、パルス投与試料で上昇した。このことは、PECが内因性VEGFR3リガンドを生成することを示唆し、可能な候補はVEGF−CおよびDであった。血清パルス投与は、低レベルのERBB3リン酸化を含め、さらなる受容体を活性化するようであった。リン酸化ERBB2/3の検出は、ヘレグリン様EGFファミリーメンバーがPECでシグナル伝達を活性化することができることを示唆する。TIE−2は2つのアンギオポエチン受容体の1つであり、血清に応答して低いレベルでリン酸化されるようであった。アンギオポエチン1およびアンギオポエチン4はTie−2のリガンドを活性化することが公知であるが、アンギオポエチン2およびアンギオポエチン3は、場面依存性競合的アンタゴニストとして機能する。HGF受容体(HGFR)も血清パルス投与に応答してリン酸化され、肝細胞成長因子もPECでシグナル伝達を導き出すことができることを示唆した。最後に、エフリンB2 RTK(EPHB2)の低レベルのリン酸化が検出されたが、エフリン/Ephシグナル伝達は膜結合細胞間シグナル伝達系であり、PEC分化で容易に活用される可能性はない。興味深いことに、ERBB4はリン酸化されなかった。したがって、RTK分析は、PECでリン酸化されるか、または異なる条件、例えば血清に応答してリン酸化することができるいくつかの受容体を鮮明にした。これらの結果は、いくつかの可溶性リガンドがPECでRTKシグナル伝達を導き出すことができ、細胞の増殖、分化および/または特定化に潜在的に影響を与え、したがって、機能する膵臓の島への後のin vivo成熟に潜在的に影響を及ぼすことができることを示唆する。
(実施例6)
ヘレグリンおよびFGF2成長因子は、hESC組成物から導出されたPECに影響を及ぼす
上の実施例5に記載のように特定の条件下で特定のRTKが活性化(またはリン酸化)されることを実証したRTK分析を考慮し、かつ、少なくともERBB2およびERBB3がPECで活性化される(ステージ1〜4から13日間の分化後に)ようであったので、出願人はステージ3および4の細胞に適用したときのヘレグリンの影響を判定しようと努めた。
ヘレグリンおよびFGFを使用して予備研究を実施した。これらの研究の特定のものに、Rhoキナーゼ阻害剤、Y−27632が含まれた。これらの予備研究は、10ng/mLヘレグリン−1β(Wangら(2007)に開示されるのと同じ濃度およびヘレグリン異性体)によるステージ1での1日間の多能性幹細胞の処置は、ヘレグリン−1β(Hrg1β)のない懸濁培養でのhES導出細胞凝集体の凝集体サイズと比較して、懸濁培養でhES導出細胞凝集体の細胞凝集体サイズを増加させた。細胞凝集体サイズの増加は、動物での後の移植および機能検査のためにより大きな細胞量をもたらす点で有利である。さらに、Hrg1βがステージ3で10ng/mLから50ng/mLに増加したとき、凝集体ディスクサイズが増加した。この結果は、FGF2の不在下での培養と比較して50ng/mLの別の成長因子、FGF2がステージ3で使用されたときも観察された。細胞凝集体サイズの増加は、ステージ3培養をFGF2曝露にさらなる日数、例えば2日間と比較して3日間の50ng/mLのFGF2に曝露させたときも観察された。
表10は、ステージ3にHrg1βおよびFGF2で処置したPEC細胞のフローサイトメトリー分析の要約を提供する。内分泌細胞はCHGA陽性(またはCHGA+)細胞と表し、非内分泌細胞はCHGA陰性(またはCHGA−)細胞と表す。内分泌物(CHGA+)および非内分泌細胞(CHGA−)は、他のマーカーに陽性に染色することができ、例えばPDX1および/またはNKX6.1に陽性に染色される。試験したマーカーのいずれにも染色しない細胞は、三重陰性細胞または残留細胞(CHGA−/NKX6.1−/PDX1)と表す。
細胞凝集体サイズの増加がPEC亜集団に影響を及ぼすかどうか判定するために、PEC集団の組成物をフローサイトメトリーによって分析した。細胞を分化するためにHrg1βおよびFGF2が使用されなかった対照培養と比較して、PEC非内分泌亜集団(CHGA−)は、ステージ3で10ng/mLのHrg1βの添加により54.01%から61.2%に増加し、ステージ3で50ng/mLのHrg1βの添加により54.01%から64.2%に増加した。内分泌亜集団(CHGA+)は、10ng/mLのHrg1βの処置であまり影響を受けなかったが、50ng/mLでよりそうであった。一方、残留細胞の相対レベルは減少し、50ng/mLのHrg1βでより減少した。したがって、Hrg1β処置による細胞凝集体サイズの増加は、内分泌および残留亜集団と比較して非内分泌亜集団の増加に大部分帰された。
ステージ3培養でのFGF2の影響も同様であったが、Hrg1βのそれよりさらに顕著であった。例えば、PEC非内分泌亜集団(CHGA−)は、Hrg1βでそうしたように増加した。これらの培養でのFGF2の主要な影響は、内分泌亜集団の実質的な減少であった。ある場合には、これらの細胞は、3日間の処置でほとんど検出不能であった(32.9%から0.33%)。したがって、FGF2で処置した培養の細胞凝集体サイズの増加は、非内分泌、一部の場合には残留細胞亜集団の増加に大部分帰された(ステージ3の3日間で13.1%から22.7%)。
したがって、ヘレグリンおよび/またはFGF2は、PEC集団での細胞の特定化において役割を果たすようである。多能性幹細胞との関連で使用されるとき、ヘレグリン単独で細胞更新において役割を果たすと上記のWangら(2007)が報告したことを考慮すると、これは意外である。
(実施例7)
ヘレグリンによるIPS導出細胞培養の処置によってPECのin vivo移植片機能を向上させる方法
iPECを生成するためにiPSCに適用したときの表8による方法は、動物で頑強なinvivo機能を提供しなかったので、出願人はiPEC生成のための他の方法を探索した。表8に示す標準方法の変更には、限定されずに以下のものが含まれる:任意のiPSCの継代回数の最適化;BMPシグナル伝達のレベルをモジュレートすること;増大および分化の間のiPSC懸濁凝集パラメータをモジュレートすること(例えばせん断力、回転速度等);成長因子、例えばWnt、アクチビンおよびrhoキナーゼ阻害剤の濃度、使用時期および使用期間の最適化;ならびに、分化プロトコルの1から4の様々なステージでの、細胞の質量、増殖、分化、生存等を向上させるための候補としての他の成長因子による処置(例えばERBBリガンド)。ステージ1〜4の間のiPSCの分化方法をどのように最適化することができるか判断するために、これらの多くの反復実験を単独で、または組合せで検証した。そのような最適化された分化方法は、移植したときに、hESCについて観察および報告されたものに類似の頑強なグルコース応答性インスリン分泌細胞をin vivoでもたらしたiPEC集団を生成する。下の表11は、後にin vivoでグルコース応答性島細胞に成熟したiPECにiPSCを分化させることが実証された、ヘレグリンの有る無しのベースライン条件を記載する。ベースライン条件は、ヘレグリンがステージ3および4で加えられたこと以外、本明細書の実施例1、2および5ならびに表8に記載されるものに類似していた。30ng/mLのΗrg1βを使用したが、10ng/mLから50ng/mLの濃度、または50ng/mLを超える濃度でさえも適する。さらに、実施例2に記載の通り、Rhoキナーゼ阻害剤、Yー27632の添加が分化培養で維持された。
ステージ3および4の細胞亜集団に及ぼすヘレグリンまたはヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤の添加の影響を判定するために、iPEC集団をフローサイトメトリーによって分析した。表12は、表11に示す製剤、ならびにアクチビン濃度を200ng/mLに増加させることによって改変した製剤を使用した、様々なiPEC集団のフローサイトメトリー分析の要約を提供する。さらに、表12は、各セットの実験(ヘレグリンの有る無しのベースライン)で用いた一般的な条件、およびiPEC集団中の細胞型(内分泌、非内分泌、PDX1だけおよび三重陰性または残留性の細胞亜集団)の相対的百分率を示す。表12は、各実験で生成された細胞のin vivo機能に関するデータも開示する。
特定の条件では、PEC(hESC、E2354)およびiPEC(E2314、E2344、E2347)集団中の細胞亜集団の比を変更した。例えば、時には、ベースライン(ヘレグリンなし)条件と比較して、内分泌(CHGA+)細胞の百分率は減少し、非内分泌細胞(CHGA−/NKX6.1+/PDX1+)の百分率は増加した。実験#2380(E2380)で、ヘレグリンがこれらのPECおよびiPEC集団中の非内分泌細胞と比較した内分泌細胞の割合の変化の原因となるようであったが、ヘレグリンの添加によって内分泌(CHGA+)細胞のレベルは減少せずに増加した。
PECおよびiPEC集団の構成の変化がin vivo機能に影響を及ぼしたかどうかを判定するために、表12に記載される大部分の実験からのPECおよびiPEC移植片を、実質的に本明細書ならびに上記のSchulzら(2012)およびKroonら(2008)、および上記の米国特許第7,534,608号;第7,695,965号;第7,993,920号および第8,278,106号を含む出願人の他の特許および非特許出版物に前述の通り、マウスに移植した。簡潔には、PECおよびiPEC集団を生分解性の半透過性細胞封入デバイスに全て封入し、そのいくつかは微穿孔を含んでいた。デバイスは出願人によって製造され、2009年11月13日に出願された米国特許第8,278,106号、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC CELLS FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLSで詳細に記載される。グルコース刺激インスリン分泌(GSIS)アッセイを、移植の約56日後から実施した。グルコース投与の前(空腹時)、およびその30分後および/または60分後の組合せで血液を収集した。グルコース投与に応答した血清中のヒトCペプチド濃度を測定することによって、移植片機能を評価した。
血清に放出されるヒトCペプチドの量は、放出されるインスリンの量の指標となる。CペプチドはプロインスリンおよびプレプロインスリンのAおよびB鎖を接続または連結する短い31アミノ酸ペプチドであり、機能するベータまたはインスリン分泌細胞によって分泌される。上記Kroonら(2008)および他によって前述される通り、ヒトCペプチドの測定は、移植細胞による新規生成インスリンの放出の評価に適当である。したがって、これらの動物の血清中のヒトCペプチドのレベルは、成熟したPECおよびiPEC移植片のin vivo機能の尺度である。ヒトCペプチドは、移植後少なくとも8週までに血清で検出された。追加の数週の移植および絶食により、グルコース刺激Cペプチドレベルは増加し、Cペプチドのピークレベルはグルコース投与の60分後から30分後にシフトし、それは、インスリン細胞の成熟に従う、グルコース投与へのより速い応答の指標となる。機能を示すことができなかったか、不良な健康状態のために屠殺された少数のマウスがいた。しかし、これらのマウスはさもなければ高機能動物を示したコホート中にあり、したがって、移植細胞が分化して機能する能力がないことよりも移植の失敗を示唆した。
図7A〜Cは、E2344以外の表12に示す実験の全てについての、グルコース投与後の血清中のヒトCペプチドレベルを示す。図7A〜Cは、ベースライン対照と比較して、ヘレグリン処置からもたらされた移植片が血清中ヒトCペプチドのより高いレベルを一般に有したことを示す。例えば、図7Aで実験2380において、ヘレグリンなしで調製したもの(ベースライン)と比較して、ヘレグリン処置からもたらされた移植片の約5倍の増加(グルコース投与の60分後に933pM:200pM)がある。実験2354(図7C)はベースライン対照と比較してヘレグリン処置からもたらされた移植片で血清Cペプチドのより高いレベルを示さないので、ヘレグリンは、hESCから生成されるPECにより少ない影響を及ぼすようである。さらに、hESCから導出されたPEC(CyT203)とiPSCから導出されたiPECを比較すると、iPEC移植片は、PEC移植片と同等の機能をin vivoで有する(例えば、図7Aおよび図7B(iPSC移植片)を図7C(CyT203 hESC)と比較する)。このように、iPEC移植片は、PEC移植片と同じくらい頑強である。さらに、内分泌および非内分泌亜集団で同じシフトを有しなかったE2380からのiPECも優れた機能を示したので、iPEC集団のいくつか(例えばE2314、E2347およびE2354)に影響を及ぼすように見えた、内分泌細胞対非内分泌細胞の相対比は、in vivo機能に影響を及ぼさないようであった(図7A〜Cを参照)。
グルコース刺激インスリン分泌を試験することに加えて、宿主動物のベータ細胞を破壊した場合に、hESCから導出されたPECによって維持される正常血糖と同様の正常血糖をそれらが単独で維持することができるかどうか判定するために、成熟したiPEC移植片を試験した。これは、ヒトベータ細胞と比較してマウスベータ細胞に対してより強い細胞毒性を示すベータ細胞毒素、ストレプトゾトシン(STZ)を使用して、移植されたマウスのベータ細胞を破壊することを必要とした。STZ処置の前後に各マウスについて、ランダムな非絶食血中グルコースを測定した。STZ処置から13日目のiPEC移植片の外植の結果、高血糖が再開した(血中グルコースの急騰を記す)が、それは内因性マウス膵臓ではなくiPEC移植片による血糖症の制御を実証する(図8Aおよび図8Bを参照する)。
さらに、分化のステージ1〜4の間にヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤を提供したときに、相乗効果があるようであった(表11を参照する)。例えば、rhoキナーゼ阻害剤なしでステージ3および4でヘレグリンによって処置したiPSCは、目にみえて劣る細胞量をもたらし、移植を不可能にした。ヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤の相乗効果のさらなる傍証が、実験のいくつか、例えばE2356、E2380で明白であったが、そこではrhoキナーゼ阻害剤単独によるベースライン条件は、rhoキナーゼ阻害剤とヘレグリンによる移植片と同じくらい頑強には機能しなかった(図7AおよびBを参照する)。ヘレグリン単独の添加が提供した細胞量は移植に不十分であり、rhoキナーゼ阻害剤単独の添加(ベースライン条件)は不良なin vivo機能を有したので、ヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤による処置は相加的でなかったようである。このように、ヘレグリンだけまたはrhoキナーゼ阻害剤だけの提供は、2つを組み合わせた合計の影響に実質的に類似していない。すなわち、単独ではいずれもin vivoで頑強なグルコース応答性をもたらさないが、組み合わせるとそれらはhES導出細胞のそれに類似のグルコース応答性をもたらす。したがって、ヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤の両方の提供は、それらの組み合わせた影響が各々別々の影響の合計より大きいので相乗的であるようであった。すなわち、rhoキナーゼ阻害剤およびヘレグリンで処置したiPECはin vivoで成熟してグルコース刺激インスリン分泌を示し、糖尿病マウスモデルで正常血糖を維持することができた(図7A〜Bおよび図8A〜Bを参照する)。
ERBB機能性は、リガンド結合、受容体二量体化および受容体輸送を必要とする。各過程での変動性は、受容体およびそれらが制御する下流シグナルの差別的調節をもたらすことができる。例えば、異なるERBBリガンドはERBB受容体に異なる親和性で結合し、それによってERBB二量体構成体のパターンおよび動態力学を変化させる。表13は、リガンドおよび受容体結合複合体の多くの可能な異なる組合せを示す。この系の複雑性に関するレビューは、Odaら(2005)A comprehensive pathway map of epidermal growth factor receptor signaling、Mol.Syst.Biol.、1(2005)およびLazzaraら(2009)Quantitative modeling perspectives on the ERBB system of cell regulatory processes、Experimental Cell Research 315(4):717〜725頁によって提供される。
Huotariらは、ニューレグリン−4がグルカゴン(アルファ)細胞を代償にしてソマトスタチン(デルタ)細胞の数を増加させることによって内分泌細胞亜集団の相対レベルをモジュレートすることができること、およびニューレグリン−4は、外分泌(例えば、アミラーゼ)細胞対内分泌(例えば、β−インスリン、α−グルカゴン、δ−ソマトスタチン、PP−膵臓ポリペプチド)細胞の比に影響を及ぼさないことを示唆した。しかし、これらの研究は、E12.5日目のマウスから得られたホールマウント器官組織培養の上でニューレグリン−4をインキュベートすることによって実施された。これらのマウス外植細胞集団は、本明細書に記載されるステージ3(例えばPDX1陰性前腸内胚葉)および/またはステージ4(PDX1陽性前腸内胚葉)細胞集団よりさらに分化していた。ニューレグリン−4はERBB4 RTKだけに結合するので、ホールマウントマウス培養の内分泌亜集団だけをこの関係においてニューレグリン−4によってモジュレートすることができる。したがって、Hrg1はERBB3に結合してERBB2/3の二量体化を誘導することが既に示されているので、異なるERBBリガンド、例えばHrg1による本明細書に記載のステージ3(PDX1陰性前腸内胚葉)および/またはステージ4(PDX1陽性前腸内胚葉)細胞の処置は、Huotariにおけるように相対的な内分泌亜集団をモジュレートするとは予想されない。しかし、図6に示すようにPECでのERBB2および3の低レベルの発現のために、ステージ3および4型の細胞が低いか高いレベルのERBB2および3を発現してHrg1に結合するかどうかは不明であった。
さらに、異なる場面で、出願人はHrg1がERBB2/3に結合して、多能性幹細胞の自己複製を促進したことを記載していた(Wangら(2007)を参照する)。Hrg1がステージ3および4の場面で同じ能力で作用することができる可能性はあるが、出願人はPECの生成のための大部分の細胞増大が多能性幹細胞ステージ(ステージ0)で起こることを以前に記載した。ステージ0の間、hESCは約二(2)週の間成長、継代および増大させられる。したがって、細胞増大または細胞増大をもたらす自己複製のほとんどは、ステージ1〜4の間には起こらない。上記Schulzら(2012)を参照する。さらに、ERBB2/3がステージ3および4の間に存在すると仮定すると、誘導される分化に影響を与えるのと反対に多能性幹細胞と同様の効果(自己複製)をヘレグリンが有すると予想できる可能性がある。次に、機能の差は場面に、すなわち多能性幹細胞対内胚葉または膵臓系列の細胞型に依存するようである。
要約すると、前腸内胚葉(ステージ3)およびPDX1発現膵臓内胚葉細胞(ステージ3およびステージ4の終わり)へのヘレグリンまたはヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤のin vitroでの提供は、移植されたときにin vivoで成熟してグルコース応答性インスリン分泌細胞に発達するPECおよびiPEC集団を生成した(図7および8を参照する)。ヘレグリンまたはヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤のそのような使用は、ここで初めて報告された。そのような使用および影響は、特許または非特許文献で前に記載されたものから識別できない。
(実施例8)
アクチビンは膵臓の内胚葉細胞(PEC)培養でNGN3発現および内分泌系列に傾倒した細胞の生成を抑制する
膵臓内胚葉細胞、または「PEC」は、2つの異なる亜集団で主に構成される膵臓の細胞集団である:(i)in vivoで発達および成熟してグルコース応答性インスリン分泌ベータ細胞を生成する、非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団(CHGA−)(以降、「非内分泌(CHGA−)」);および(ii)in vivo成熟の間他の非インスリン分泌細胞または島支持細胞を生成することができる、内分泌系列に傾倒した細胞の亜集団(CHGA+)(以降、「内分泌物(CHGA+)」)。非内分泌(CHGA−)亜集団はCHGA陰性かつPDX1およびNKX6.1に支配的に陽性であるが、内分泌系列に傾倒した細胞の亜集団はCHGA陽性かつPDX1およびNKX6.1に大部分陰性である。非内分泌(CHGA−)亜集団は、in vivoでインスリン応答の全身検出(CペプチドのためのELISAによって検定される)を可能にする量でグルコース応答性インスリン分泌ベータ細胞に発達および成熟するのに、約8〜12週以上を要する。しかし、正常な胚発達の間にin vivoでグルコース応答性細胞が発達および成熟するのに8週未満しか要しない。したがって、以下を得ることが今でも望ましい。(1)増加した非内分泌(CHGA−)亜集団を有するPEC集団、および/または(2)in vitroでグルコース応答性であり、および/または発達が進行した集団(例えば適切に特定化し、in vivoで類似の膵臓集団について記載のものと一貫した特定のシグネチャーマーカーを有する)である真の内分泌(CHGA+)細胞集団、および/または(3)in vivoで発達および成熟期間の短縮および/または低減が可能である前駆細胞集団。
第1の目標に関して、非内分泌(CHGA−)亜集団が無傷のままであると同時に、内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)への分化がin vivoで天然に起こるものと同様に抑制されるPEC集団を得ることが望ましい。下記の実施例は、そのようなPEC集団の生成方法を記載する。
正常なin vivo発達の間、転写因子ニューロゲニン−3(NGN3)は内分泌細胞発達のマスター調節因子であり、NGN3の発現は、例えばin vivoでの膵臓内胚葉系列細胞でのPDX1およびNKX6.1の上方制御の後まで起こらないと考えられている。RukstalisおよびHabener(2009)、Neurogenin3:A master regulator of pancreatic islet differentiation and regeneration、Islets 1(3):177〜184頁を参照。表8により、ステージ3において、PDX1発現を誘導するために、レチノイン酸(RA)またはレチノイド類似体、4−[(E)−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸または「TTNPB」(または表8で「TT3」)が使用される。しかし、同時に、レチノイン酸は、内分泌特定化を開始するNGN3発現を早期に誘導もする。これ故、ステージ3および/またはステージ4の間のNGN3の抑制、抑圧または阻害は、PECで内分泌系列(CHGA+)亜集団に傾倒した細胞を最少化するための、および/または発達の後期にin vitroおよび/またはin vivoで内分泌細胞を得るための1つの手がかりを提供することができる。重要なことに、NGN3のいかなるサプレッサー、リプレッサーまたは阻害剤も、同時に非内分泌物(CHGA−)を抑制、抑圧または阻害してはならず、好ましくはPECのin vitro生成の間にこの亜集団を増加させる。
ステージ3および4の間にNGN3などの遺伝子を抑制するそれらの能力について、様々な成長因子を調査した。1つの候補成長因子は、幹細胞の増大および分化において多様な機能を有するアクチビンであった。例えば、低いレベル(例えば10ng/mL)では、アクチビンは多能性幹細胞の多能性および細胞増殖の維持を助ける。より高いレベル(例えば100ng/mL)では、アクチビンはステージ1の胚体内胚葉生成を担う分化成長因子として作用する(例えば表8を参照)。PEC形成の間に内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞の抑圧に対するその影響を試験するために、出願人は標準の接着分化で約50ng/mLの中央レベル濃度のアクチビンを先ず試験した。このレベルで、アクチビン(Activin、ACT)はPECでPDX1およびNKX6.1遺伝子発現を抑制することなく、NGN3発現を抑制することができた(図9D〜Eを図9A〜Bと比較する)。しかし、ステージ3の間により拡大縮小可能な細胞凝集懸濁培養で同じレベルのアクチビンを使用したときは、全体の細胞量は大幅に減少し、一部の場合には、細胞凝集体は消滅した(図10の対照とアクチビン処置細胞凝集体を比較する)。50ng/mLと同様に25ng/mLのアクチビンについて細胞凝集体の類似の減少が観察された(データ示さず)。
これらの結果を考慮して、アクチビンのより低い濃度(例えば5ng/mLおよび10ng/mL)をステージ3および4で試験した。図11に示すように、より低いアクチビン濃度で、細胞凝集体は、対照と比較して細胞の質量および収量を維持することができた(8日目の図11B〜Cおよび12日目の図11B〜Dを8日目および12日目の図11Aの対照と比較する)。したがって、約25ng/mL未満のアクチビンレベルは、細胞の質量および収量を維持するために許容される。ステージ3および4の間に低いレベルのアクチビンが細胞凝集組成物に影響を及ぼしたかどうか判定するために、出願人は次にこれらの細胞培養でフローサイトメトリー分析を実施した。表14を参照する。表14は、アクチビンの低いレベルは非内分泌(CHGA−)亜集団の生成を減少させないこと、および、処置をステージ3および4の両方で適用するときに、それはこの亜集団を実際に増加させることができることを示す(表14 A5のStg(ステージ)3&4の結果を参照する)。しかし、アクチビンの有り無しで見られる非常に類似した百分率の内分泌(CHGA+)細胞を考えると、内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞への分化がかなりなお誘導されているようである(表13内分泌の欄を参照)。したがって、QPCRで観察されるようにアクチビンはNGN3およびNKX2.2発現を抑制または阻害することができるが、より低いレベル(細胞質量の維持を可能にする)では、ステージ4の終わりに分析するとき、それは内分泌系列(CHGA+)に傾倒した亜集団を低減しない。有利には、特にアクチビンをステージ3および4で使用するときに、対照と比較してPDX1だけおよび三重に陰性の亜集団が低減される。
(実施例9)
アクチビン、ヘレグリンおよびWNTは、PEC培養で内分泌系列に傾倒した細胞の生成を抑制する
実施例8は、ステージ3および4の間の中レベルのアクチビン(例えば、50ng/mL)が、NGN3発現を抑制または抑圧することができた(図9)が、これらの同じレベルは細胞質量を維持しなかったことを示した。内分泌系列細胞(CHGA+)の百分率は、対照(表14、CHGA+の欄)および前の実施例に記載されるものに実質的に類似のままだったので、より低いレベルのアクチビン(例えば、5および10ng/mL)は細胞質量を維持することができた(図11)が、ステージ4の間に内分泌の分化を抑圧し続けるのに十分でなかった。したがって、ステージ4までのこの亜集団の分化の連続抑制がなお必要であると思われるので、これらの低いレベルで主にステージ3の間に、内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞への分化を抑制することは十分でないようである。上記Rukstalisら(2009)を参照する。したがって、同時に非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団の生成に影響を及ぼさず、内分泌系列に傾倒した細胞(CHGA+)の分化を抑制しつつ、細胞の減少および収量を阻止することが可能である(すなわち、中から高のアクチビンレベルの影響に対抗する)、さらなる成長因子を探索した。
ヘレグリンがステージ3および4の間に30ng/mLでPECの内分泌(CHGA+)および非内分泌(CHGA−)亜集団の相対レベルをしばしば変化させることを記載する上の実施例を考慮して、出願人は、アクチビンと組み合わせたときにヘレグリンの濃度の低減がPEC生成にどんな影響を及ぼす可能性があるのかについて試験した。
表8により標準プロトコルを使用して多能性幹細胞を分化させたが、ステージ3の間、2ng/mLまたは10ng/mLのヘレグリンと一緒にアクチビンが10ng/mLまたは20ng/mLで含まれ;ステージ4の間には、アクチビンは5ng/mLに低減され、ヘレグリンは1ng/mLで2日間、その後10ng/mLであった。図12(10日目の画像;上パネル)に示すように、10ng/mLのアクチビンおよび2ng/mLのヘレグリンは対照と比較して細胞の多少の減少を示した(図12AおよびBを比較する、上パネル)。ヘレグリンを同じ2ng/mLのままにしてアクチビンを20ng/mLに増加させることは、細胞減少を悪化させた(図12BおよびCを比較する、上パネル)。しかし、20ng/mLのアクチビンの場面でヘレグリンを10ng/mLに増加させることによって、アクチビンのより高い濃度(20ng/mL)でのより高い細胞減少の阻止が可能であった(図12DおよびCを比較する、上パネル)。したがって、ヘレグリンレベルが低すぎる場合はかなりの細胞減少が観察されるが、ヘレグリンレベルを上昇させると、例えば少なくとも20ng/mLでは、内分泌系列(CHGA+)亜集団と比較した非内分泌細胞(CHGA−)の百分率の変化がある。
アクチビンおよびヘレグリンの上の組合せで分化の8日目、10日目および12日目の遺伝子発現の相対レベルを判定するために、定量的PCR分析を実施した(図13)。実施例8(図9)に示すものと同様に、10および20ng/mLのアクチビンは、NKX6.1発現を減らすことなくNGN3およびNKX2.2(別の内分泌分化マーカー)を抑圧することが可能であった(図13AおよびBをCのそれと比較する)。NKX6.1発現が高いままであるという事実は、非内分泌(CHGA−)亜集団の生成が不変のままであるか影響を受けていないことを示す。しかし、具体的には、20ng/mLのアクチビンおよび10ng/mLのヘレグリン、または10ng/mLのアクチビンおよび2ng/mLのヘレグリンでは、アクチビンが25ng/mLおよび50ng/mL(図10)で使用されたときに前に観察されたアクチビン依存性の細胞減少が非常に低減された(図12のDとE、上パネル)。したがって、ヘレグリンは、ステージ3でのアクチビンの使用によって当初観察された細胞減少を効果的に打ち消すようである。かつ、多少のNGN3およびNKX2.2誘導がなお起こるが(すなわち、実施例8、図9の接着ベースの分化でステージ3および4で50ng/mLのアクチビンが使用されたときに観察されたほど強く抑圧されていない)、標準の条件と比較してそれはかなり低減されている(図13AおよびBの対照条件(Con)およびA20H10条件を比較する)。
20ng/mLを超えるアクチビンはマーカーNGN3およびNKX2.2をさらに抑圧し、したがってさらなる内分泌分化を抑圧するが、高い濃度のアクチビンの投与の影響をオフセットするために細胞質量を維持するために、より高いレベルのヘレグリンが次に必要とされよう。上の実施例で観察されるようなヘレグリンのさらにより高いレベルは、PECの内分泌(CHGA+)および非内分泌(CHGA−)亜集団の相対的な生成を変化させることができる。さらに、NGN3発現の抑圧に及ぼすアクチビンのより高いレベルの影響がなお必要とされた。したがって、出願人は、前部および後部の内胚葉消長を実行することができ、発達の他の態様を制御することができる、それらに限定されないがWNT、FGF、PDGF、レチノイン酸(RAまたはTTNPB)、BMP、hedgehog、EGF、IGF等を含む、追加の成長因子またはモルフォゲンを探索した。
詳細には、ステージ3および/または4でアクチビンおよびヘレグリン分化培地にWnt3Aを加えることによって、正規のWntシグナル伝達経路に影響を及ぼすことを調査した。再び、いかなる組合せも、非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団に影響を及ぼさないと同時に、NGN3およびNKX2.2発現の抑圧を通して観察されるように内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞の分化を抑制し、優れた細胞質量を維持する(すなわち、細胞質量の限定的減少)必要がある。試験したそのような混合物の1つは、ステージ3での10ng/mLのアクチビンおよび2ng/mLのヘレグリンと一緒の50ng/mLのWnt;ならびに上のように、ステージ4の間の、5ng/mLのアクチビンと1ng/mLのヘレグリンを二(2)日間、その後は5ng/mLのアクチビンおよび10ng/mLのヘレグリンであった。これは、同じ濃度のアクチビンおよびヘレグリンだけより大きな細胞(PEC)質量をもたらし(図12DおよびEを比較する、上パネル)、対照よりさらに大きな細胞質量になった(図12AおよびEを比較する、上パネル)。これらの条件(例えば、ステージ3でのアクチビン、ヘレグリンおよびWntの組合せ、ならびにステージ4でのアクチビンおよびヘレグリン)の下での細胞凝集体のQPCR分析は、ステージ3および4、特に8日目、10日目および12日目のNGN3およびNKX2.2発現の減少によって観察されるように(図13AおよびB)、内分泌系列(CHGA+)分化に傾倒した細胞の有意な抑制があることを示した。さらに、NKX6.1発現は、8日目に当初抑圧されたが、10日目および12日目(ステージ4)までに有意に上昇した(図13C)。したがって、非内分泌(CHGA−)亜集団の発達はWntの添加で損なわれず、内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞の分化は遅れるか抑制されるようであって、細胞質量の明らかな減少はなかった。
ステージ3の間、アクチビン、ヘレグリンおよびWntの組合せでPEC集団の細胞構成を判定するために、ステージ4の後にフローサイトメトリーを実施し、PEC細胞構成を表14に示す。示すように、組み合わせた成長因子(アクチビン、ヘレグリンおよびWnt、または「AHW」)は、標準プロトコルの下での対照細胞培養と比較して、その亜集団の百分率の低下(15.6対58.8)によって観察されたように内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞の分化を効果的に低減したが、非内分泌(CHGA−)亜集団を増加させた(58.1対23.4)(表8)。フローサイトメトリーからのデータは、3つの因子(AHW)の組合せが、非内分泌(CHGA−)亜集団の生成に影響を及ぼすことなく、PECの内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞の分化を一般に遅らすか抑制した、QPCRからのデータを支え、一貫している。in vitroでのこれらの遺伝子の遅れた発現は、内分泌分化でのNGN3発現が、非内分泌(CHGA−)亜集団でのPDX1およびNKX6.1発現の開始の後に起こる、in vivoでの哺乳動物の膵臓発達でのそれらの開始(または遅れ)と一貫している。さらに、PEC質量および収量に障害はなかった。
アクチビン、ヘレグリンおよびWntの組合せを使用した結果を考慮して、アクチビンを使用することができる濃度範囲を確立するために、ステージ3でアクチビンレベルを再び滴定した。試験したアクチビン濃度は、ステージ3の間、約0、25、50、75および100ng/mLで、Wntは50ng/mL、ヘレグリンは5ng/mLであった。ステージ4の間、アクチビンは5ng/mLに、ヘレグリンは5ng/mLに低減し、Wntは含まれなかった。ステージ4の終わり(13日目)に細胞を画像化し、図12に示した(下パネル)。より高いアクチビン濃度、例えば75〜100ng/mLで、細胞減少が再び明らかだった(図12DとE、下パネル)。重要なことに、ステージ3でのWNTの組入れは、さもなければ細胞減少のために可能であるよりステージ3で非常により高い濃度のアクチビンの使用を可能にする。
ステージ3でのアクチビン、ヘレグリンおよびWntとの関連で、ステージ4の間の連続したアクチビンおよびヘレグリンの影響を試験するために、下の3つの条件を使用してヒトESCを分化させた:(i)標準プロトコル(表8を参照;または表17のプロトコル番号1);(ii)ステージ3でアクチビン(75ng/mL)、ヘレグリン(5ng/mL)およびWnt(50ng/mL)の組合せ、続いて標準のステージ4の因子;ならびに(iii)ステージ3でアクチビン(75ng/mL)、ヘレグリン(5ng/mL)およびWnt(50ng/mL)の組合せ、続いてステージ4の間の追加のアクチビン(5ng/mL)およびヘレグリン(5ng/mL)、表17を参照する。全ての3つの条件のためにステージ4の後にフローサイトメトリーを実施し、PEC細胞構成を表17に示す。ステージ3でのAHWは、対照と比較して内分泌系列に傾倒した細胞を減少させ、非内分泌(CHGA−)亜集団含有量を増加させ(内分泌系列亜集団に関与する細胞については21.8対42.2;非内分泌(CHGA−)亜集団については40.1対27.6)、ステージ4でのAHによる追加処置は、内分泌系列に傾倒した細胞をさらに減少させ、非内分泌(CHGA−)亜集団含有量をさらに増加させる(内分泌系列に傾倒した細胞については6.46対21.8;非内分泌(CHGA−)父親亜集団については72.7対40.1)。
(実施例10)
アクチビン、ヘレグリンおよびWNTの組合せを用いて生成されたPEC移植片は、in vivoでグルコース応答機能を向上させた
実施例9は、形態(例えば、分化細胞凝集体の低倍率鏡検像)、QPCRおよびフローサイトメトリーデータに基づくと、アクチビン、ヘレグリンおよびWntの組合せ(「AHW」)が、同時に細胞質量または収量に有害作用を有しないか向上させずに、NGN3およびNKX2.2発現の抑圧によって観察されるように内分泌系列(CHGA+)分化に傾倒した細胞を効果的に抑圧し、非内分泌(CHGA−)亜集団を維持または増加させることができるようであることを示した。これらの変化がグルコース応答性インスリン分泌細胞の最終的な発達および成熟に影響を及ぼすかどうか判定するために、表8による標準プロトコルまたは表17のプロトコル番号1から作製されたPECと一緒に、AHW導出PEC凝集体を動物に移植した。
具体的には、ステージ3で3つの因子(AHW)の組合せ、次にステージ4でアクチビンおよびヘレグリンだけを使用して、ヒト多能性幹細胞を分化させた。対照PECは、実質的に表8に従って作製した。図14に示すように、8、10、12および14日目に細胞凝集体をQPCRによって分析した。NKX6.1発現(図14A)によって観察されるように対照(Con)および改変AHWプロトコルの両方はPECを生成したが、14日目(ステージ4の後)にAHWを使用するとより頑強なNKX6.1発現がある。同時に、内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞の分化は、対照プロトコルと比較して、特に8日目にNGN3発現の抑圧によって観察されるようにAHWプロトコルで高度に抑制された(図14B)。
分化の14日目に両方の方法からのPEC凝集体を出願人が所有権を有する植込み型半透過性封入デバイスに詰め、実質的に前述の通りにSCIDベージュマウスに移植した(AHWおよび対照方法の各々のためにn=5動物、合計n=10)。移植から11週間後に、AHWプロトコルを用いて生成されたPECはグルコース投与から1時間(60分)後にCペプチドが平均約900pMであったが、対照PECはCペプチドが平均400pMであった。AHW動物を対照のそれと比較する図15を参照。具体的には、移植から11週間後に、AHW移植片を有する5匹のマウスのうちの3匹はヒトCペプチドが平均1200pM以上(図15、動物番号3514、3516および3518)であったが、対照動物のCペプチドのレベルは有意により低かった。実際、5匹の対照動物のうちのわずか1匹が600pM近くのレベルを有した(図15、動物番号3524)。したがって、Cペプチドレベルに基づくと、移植から11週間後に、グルコース刺激の後のヒトCペプチドのレベルによって測定したときに、AHWプロトコルはin vivo機能が少なくとも2倍向上したPEC集団を生成することができた。これは、より速い熟成時間と潜在的に相関する。
移植の14週間後に、AHW PEC移植片は対照の移植片に優る性能を示し続け、AHW PEC移植片についてのグルコース投与の30分後のCペプチド値が、対照移植片についての投与後60分の値より高かったので、インスリン分泌応答時間はより速かった(図16)。具体的には、グルコース投与から60分後であったが平均約2300pMであった上位3匹の対照動物と比較して、グルコース投与の30分後に、AHW PEC移植片を有する4匹の動物のうちの3匹は、Cペプチドが平均3500pM以上であった(図16)。このデータは、3つの成長因子(AHW)の組合せを使用する分化が、試験時点で性能が優れている(つまり、移植されたAHW導出PEC移植片からのより速いグルコース応答性を示す、グルコース投与の30分後の増加した血清Cペプチドレベル)か、標準PECプロトコルより潜在的に強力であるPEC集団を生成することが可能なことを実証する。いかなる1つの理論にも本出願を限定することなく、AHW PEC移植片の効力の増加は、AHWの組合せが(1)PECで内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞の分化を遅らせるか抑圧した、(2)PECで非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団を増加させた、および(3)優れた細胞質量を維持したという事実に帰されると考えられている。
(実施例11)
膵臓内分泌細胞のin vitro培養
実施例9および10は、ステージ3および4での内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞の分化の故意の遅れ、抑圧、抑制または阻害を記載する。in vitroで発達が進行した内分泌細胞先駆体または内分泌細胞を生成する努力の中で、出願人はステージ5、6および/または7の間に様々な方法を試験した。例えば、出願人は、どの成長因子が単独または併用で、内分泌の分化を刺激または誘導、すなわちNGN3発現を誘導することが可能であるかについて試験した。
下記の表17は、PECを生成する標準プロトコル(プロトコル番号1)およびAHW PECを生成するために使用されるプロトコル(プロトコル番号2)と一緒に、内分泌生成のための様々な方法を要約する。しかし、表17、プロトコル番号3は、特定の日およびステージでのいくつかの成長因子を示し、全ての成長因子を単独あるいは併用で、指示される正確な日/ステージで使用する必要があるとは限らないことを、出願人は試験し、当業者は理解する。したがって、表17は、出願人によって試験された多くの繰り返し(例えば成長因子、持続時間等)を表す。
以前、2012年3月6日に発行された米国特許第8,129,182号、ENDOCRINE PROGENITOR/PRECURSOR CELLS,PANCREATIC HORMONE EXPRESING CELLS AND METHODS OF PRODUCTIONにおいて、出願人は内分泌前駆体/先駆体の生成のためのガンマセクレターゼ阻害剤の使用を開示した。‘182号の特許に記載され、請求されるように、PDX1陽性膵臓内胚葉細胞分化を内分泌系列にさらに誘導するために、Notchシグナル伝達を阻害する成長因子または作用物質を解明した。これは、ガンマセクレターゼの阻害剤(例えば、DAPTまたはN−[N−(3,5−ジフルオロフェンアセチル)−L−アラニル]−S−フェニルグリシンt−ブチルエステルおよび関連類似体)の適用によって達成された。ガンマセクレターゼ阻害剤は、Notch分子の膜内切断をブロックし、それによって活性化されたNotch細胞内ドメインの放出を妨げる。NGN3発現を誘導するために、例えば、レチノイン酸添加の最終日またはレチノイン酸中止の直後におけるガンマセクレターゼ阻害剤DAPTの2〜4日間の適用が使用された。ここでは、ステージ5において別のガンマセクレターゼ阻害剤RO44929097が使用された。表17を参照。
表17に示すように、内分泌系列への分化および/またはその成熟を推進するため、ステージ6および7の間、それらに限定されないが、BMP4(「BMP」)、Sonic Hedgehog(「SHH」)、血小板由来成長因子(「PDGF」)、FGF2(「FGF」)、レチノイン酸および/またはレチノイン酸類似体、例えばTTNPB(「TTNPB」)、インスリン様成長因子I(IGF−Iまたは「IGF1」)および−II(IGF−IIまたは「IGF2」)、ビタミンB3誘導体、ニコチンアミド(「NC」)またはこれらの成長因子の1つまたは複数の組合せを含む成長因子の組合せを適用した。そのような組合せの1つは、表17プロトコル番号3に記載される。
例えば、実質的に実施例10において上に記載のようにAHWプロトコルから作製されたPECは、表17プロトコル番号3に従って、一般的に2日間、ステージ5(13日目および14日目)において1μMのガンマセクレターゼ阻害剤(RO4929097(「R01」)でさらに処置した。このステージ5の処置は、NGN3発現の誘導およびその後の内分泌分化をもたらす。さらに、NGN3発現または内分泌分化を誘導するために、ステージ5および6の間にニコチンアミドが含まれた。NGN3遺伝子発現は、ステージ4の後(13日目の培養)、ステージ5の後(15日目の培養)およびステージ6の2日後に、mRNAのNanostring検出によって分析した。図17に示すように、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ステージ4の終わり(13日目)のNGN3の低レベル発現と比較して、15日目のステージ5の後にNGN3発現を強く誘導した。15日目(ステージ6の初日)のガンマセクレターゼ阻害剤の除去の後、17日目に観察されるようにNGN3発現は減少する(図17)。ステージ5の間のNGN3発現のこの一過性の増加は、in vivoでのベータ細胞発達の間に観察されるその一過性発現と一貫している。上記Jorgensenら(2007)を参照する。
ステージのいずれの全日数も変化させることができるし、実際変化し、例えばステージ5、6および/または7は日数を短くすることができるか、長くすることができる。これは、より初期のステージ1、2、3および4にも同様に適用される。
さらに、細胞生存および細胞質量および収量を促進するために、ステージ1、2、3、4、5、6および7のいずれかの間にrhoキナーゼ阻害剤を連続的または断続的に分化培地に加えてもよい。rhoキナーゼ阻害剤は、例えばステージ1、2および4で、例えば細胞質量および収量の維持によって人工多能性幹細胞の分化を促進するようである。
さらに、約20日目に(すなわち表17のプロトコル番号3のステージ6と7の間の接続部)、細胞凝集体を解離および再凝集させることができる。この解離および再凝集は特定の細胞亜集団を取り除き、こうして主に内分泌および/または内分泌前駆体/先駆体/前駆(CHGA+)細胞集団を残した。この物理的操作は内分泌集団の分析も容易にし、必要に応じて精製ステップを構成する。詳細については実施例14を参照する。
さらに、ステージ6から開始してステージ7まで、必要に応じて、細胞凝集体を維持し、および/または内分泌細胞が細胞凝集体から移動するのを防ぐのを助けるために、非常に低い濃度、例えば約0.05%のマトリゲルを使用してもよい。マトリゲルまたは任意の他の複合細胞基質の使用は、特定の細胞凝集体自体(例えば下記のようにPEC凝集体、内分泌前駆/先駆細胞凝集体等)、および潜在的には細胞凝集体が導出したPSC系に依存してもよい。実質的に同様の機能を実行するために、他の複合基質または規定の基質、例えば血清、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲンおよび他の細胞外基質タンパク質を使用することができる可能性がある。詳細については実施例14を参照する。
ステージ6または7で、またはステージ6の間、例えば16日目、17日目または18日目から開始して、インスリン様成長因子(IGF)1および/または2(IGF1またはIGF2)を添加してもよい。表17に従って実質的に上記のように多能性幹細胞を分化させたが、ステージ6の間、特に17日目に約3日間に、50もしくは200ng/mLのIGF1、または25もしくは100ng/mLのIGF2を細胞培養に加えた。ステージ6の後(20日目)、Nanostringを使用してmRNAについて細胞凝集体を分析した。これらの予備研究は、IGF2がIGF1よりINS発現を誘導する能力が高い(データ示さず)ことを示したが、より長い処置はIGF2だけまたはIGF1または2つの組合せからより頑強な影響を生成することができた。
表17は特定の濃度での様々な成長因子の使用を記載するが、本発明は、本明細書に記載される特定の濃度に限定されず、その理由は、成長因子濃度の改変は当技術分野で標準であり、実際、少なくともアクチビンおよびヘレグリンレベルの変化ならびに細胞の分化および構成に及ぼすそれらの影響により上の実施例に記載されていることを当業技術者が認めるからである。本明細書の改変には、限定されずに、5、10、20、50から100ng/mLのアクチビン;5、25、50から75ng/mLのWnt;2、5、10、30ng/mLのヘレグリン;10から200ng/mLのsonic hedgehog(SHH);10から100ng/mLのPDGF;10から20ng/mLのBMP;2から20ng/mLのFGF2;ならびに25から200ng/mLのIGF1および/またはIGF2が含まれる。さらに、これらの因子の組合せのいずれも使用することができ、それらが使用されるステージまたは期間は、記載される本発明から逸脱せずにかなりの程度でさえ変化させることができる。
(実施例12)
膵臓内分泌細胞のin vivo機能
今日まで、PSCからin vitroで生成された内分泌細胞の濃縮集団は、in vivoでグルコース応答性インスリン分泌ベータ細胞を生成していない。したがって、出願人は、表17による、上の実施例11で記載される上の方法が、in vivoでグルコース応答性である最初のin vitro内分泌細胞を生成することができるかどうか試験した。
ステージ1〜5について表17のプロトコル番号3に従ってヒト多能性幹細胞を分化させたが、ステージ6および7では、B−27補助剤を有する基礎DMEM培地に加えてFBS、マトリゲルおよびrhoキナーゼ阻害剤だけを使用した。ステージ5(d13)および6(d15)の最初、ならびにステージ6(d20)および7(d26)の最後の時点で、RNA発現をNanostringによって分析した。図18A〜Dおよび19A〜Dは、PDX1、NKX6.1、SOX9およびPTF1Aを含む非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団マーカー、ならびにインスリン(INS)、グルカゴン(GCG)、ソマトスタチン(SST)およびグレリン(GHRL)を含む内分泌細胞マーカーの相対的なmRNA発現レベルを示す。ステージ4の終わりに(13日目)、PDX1、SOX9、NKX6.1およびPTF1Aは全て高度に発現された。内分泌の分化または誘導が起こるに従い(15日目)、これらのマーカーは全てステージ5の間に低減する。さらに、ステージ6の終わり(20日目)またはステージ7の開始までに、PDX1、NKX6.1およびPTF1AのmRNAレベルは減少していたが、同時にINS、GCG、GHRLおよびSSTのmRNAレベルは増加していた(20日目の図18A〜Dおよび図19A〜Dを比較する)。具体的には、ステージ5および6を通してのPDX1およびPFT1A発現の減少、ならびにINS、GCG、GHRLおよびSSTの相対的なmRNA発現の劇的な付随する増加は、ステージ3および4でのアクチビン、ヘレグリンおよびWntの組合せ(AHW)、特にアクチビンに起因する。すなわち、ステージ3および4へのアクチビンの組入れは、ステージ3および4で内分泌分化を抑圧したが、ステージ5でのガンマセクレターゼはステージ5、6および7で内分泌分化を誘導した。示したより早い時点と比較したときの20日目および26日目(ステージ6および7)のNKX6.1発現の類似のレベルは、このマーカーが膵臓内分泌細胞ならびに非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団で発現されることと一貫している。したがって、後のステージ(例えばステージ5、6および7)では、細胞は内分泌分化の方に誘導されたが、より早いステージのステージ3および4ではそれらは内分泌分化が抑制された。
ステージ6の後、細胞凝集体は解離され、再凝集されたが(下の実施例14でさらに詳細に記載される)、そのことは特定のPEC亜集団、例えば非内分泌(CHGA−)細胞を含む、ステージ3および4の間に作製される一部の細胞型を除去した。非内分泌(CHGA−)亜集団および/または外分泌および/または外分泌前駆細胞および/または管および/または管前駆細胞の除去は、再凝集の後のSOX9およびPTF1Aの劇的な減少によって確かめることができる(図18、20日目と26日目を比較する)。ステージ7の後、26日目に内分泌細胞をデバイスに詰め、実質的にSCIDベージュマウスへの移植(または埋め込み)について前述の通りに、27日目にRAG2マウスに移植した。図20は、絶食およびグルコース投与またはチャレンジから1時間(60分)後の、血清中のヒトCペプチドレベルを示す。ヒト血清Cペプチドによって観察されるように、移植後10週時に、全ての5匹の動物はインスリンを生成していた。移植後15週時に(図21)、移植後10週時のレベルと比較して全ての動物はインスリン生成レベルの増加を示し、5匹の動物のうちの2匹はCペプチドが平均1500pMであって、それはin vivoでの頑強なグルコース応答性の証拠である。
26日目にデバイスに内分泌細胞を詰める前に、例えば、いかなる残りの非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団からではなく、ステージ6および7からの移植内分泌細胞から機能的ベータ細胞が発達し、成熟し、生じたことを検証するために、試料をとった。内分泌および非内分泌マーカーの両方を使用する免疫細胞化学を、試料で実施した。DAPI(図22A)、NKX6.1およびクロモグラニンA(図22B)を使用して、26日目の試料の凍結切片を抗体で同時染色した(図22B)。大多数のNKX6.1陽性(赤色)細胞は、内分泌マーカークロモグラニン(CHGA+)に対しても陽性に染色されることは明らかである。したがって、CHGA−/NKX6.1+細胞の欠如が示すように、非内分泌多分化能膵臓前駆細胞は、これらの内分泌細胞調製物中にはいかなる有意な数でも存在しないように見える。
これらの同じ内分泌細胞凝集体の試料も、INS、NKX6.1およびPDX1について同時染色した(図23A〜B)。図23A〜Bは、大部分のインスリン発現細胞もNKX6.1およびPDX1を発現することを示した。PSCからのin vitro導出インスリン発現細胞の以前に公表された報告が、NKX6.1および/またはPDX1を同時発現しなかったことを考慮すると、これは意外な結果である。Geron CorporationおよびJiangら(2007)への米国特許第7,033,831号および関連出願、Generation of insulin−producing islet−like clusters from human embryonic stem cells、Stem Cells 2007 Aug;25(8):1940〜53頁を参照。Epub 2007 May 17。
総合すると、このデータは、初めて、in vitroのPSC導出内分泌細胞培養が、(1)in vitroでINS、PDX1およびNKX6.1を同時発現することができ、in vitroでグルコース応答性のようであり;かつ(2)in vivoでグルコース応答性インスリン分泌細胞を生成することができるという動かぬ証拠を提供する。
(実施例13)
レチノイン酸、ニコチンアミドおよびBMPは、内分泌細胞でPDX1およびNKX6.1の発現を増加させる
成熟したベータ細胞の特質は、PECの非内分泌(CHGA−)亜集団で見られるレベルに対して、個々の細胞レベルでそれらがNKX6.1およびPDX1を上方制御するということである。実施例11および12は、大部分の細胞がPECの非内分泌(CHGA−)亜集団で観察されるものに類似したNKX6.1およびPDX1の発現レベルを有する、内分泌細胞生成を記載した。したがって、インスリン陽性の内分泌細胞で少なくともこれらの2つのマーカーの発現を特異的に増強する成長因子を同定することが望ましい。
2つの候補因子には、TTNPB、レチノイン酸またはレチノイド類似体、およびBMP4、トランスフォーミング成長因子βスーパーファミリーの一部である骨形成タンパク質ファミリーのメンバーを含む。TTNPBおよびBMP4は、ステージ6および7で様々な組合せで、および様々な濃度で試験されたが、一般的にはそれぞれ0.5nMおよび10ng/mLであった。図24のNanostring mRNA分析によって示すように、ステージ6および7、もしくはステージ7だけでのBMP、またはTTNPBと組み合わせたBMPは、インスリンおよびPDX1の発現を同時に増加させることができる(図24AとC)。対照的に、これらの同じステージ(ステージ6と7およびステージ7だけ)での単独のTTNPBは、単独のBMPと比較してPDX1発現を増加させないようであり、わずかにPDX1発現を減少させるようでさえある(図24Cの4欄および5欄を2欄および3欄と比較する)。全ての条件(BMPだけ、TTNPBだけ、BMPおよびTTNPBの組合せ、各処置はステージ6と7、またはステージ7だけ)下で、NKX6.1発現は比較的安定しているので、NKX6.1発現に及ぼすBMPの影響は不明瞭である。BMP特異性のさらなる指標として、BMPは、BMP4を含むTGF−βスーパーファミリーのメンバーによって調節されることが知られている分化阻害剤(ID)遺伝子発現(例えば、ID1)を上方制御することも観察された(図24D)。したがって、いかなる1つの理論にも本出願を限定することなく、BMPはPDX1およびID1の上方制御を選択的に誘導する因子のようである。
これらのマーカーのあるものが任意の1つの細胞で同時発現されたかどうか判定するために、内分泌細胞凝集体を分化の27日目(ステージ7の後)に固定し、凍結切片を調製して、Cペプチド、NKX6.1およびPDX1のために免疫細胞化学(ICC)によって染色した。図25〜28を参照する。ここでは、INSによる染色の代わりに、細胞をCペプチド、プロインスリンの中央断片に対する抗体で染色し、したがって、この染色はインスリン発現細胞の指標ともなる(図25)。ICCの結果は上のNanostringのデータと一貫していた、すなわち、ステージ6および7、またはステージ7だけでの単独の、またはTTNPBと組み合わせたBMPは、インスリン(Cペプチド)発現細胞でPDX1発現を誘導することが可能であった(図25および26)。
mRNAのデータが、単独または組み合わせたBMPおよびTTNPBがNKX6.1発現にほとんど影響を及ぼさなかったことを示唆したという事実にもかかわらず、ICC研究は、細胞レベルにおいてNKX6.1およびCペプチド(またはインスリン)発現細胞の同時発現がかなり頑強であること(図27および28)、すなわち、NKX6.1染色が明るく、非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団で観察されるものよりしばしば明るくもあることを示した。したがって、NKX6.1発現は、大部分Cペプチド(またはインスリン)発現細胞と同時発現されるようである。合わせたmRNA(Nanostring)およびタンパク質(ICC)データは、特定の場面では、細胞型を初期に特徴付けるためにただ1つの方法論を使用することに限界がある可能性も実証する。したがって、ICCデータは、ステージ6および7またはステージ7だけでの単独またはTTNPBと組み合わせたBMPが、Cペプチド(またはインスリン)発現細胞でPDX1およびNKX6.1のレベルを増加させることが可能であったことを実証した(図27および28)。2つの因子を組み合わせて使用するときに最も強力な影響が観察されるが、BMP単独でも同じことが可能である。TTNPBも、PDX1およびNKX6.1を独立して調節している可能性がある。例えば、ステージ7の間でより少ない日数、例えば2、3または4日間のTTNPB処置は、BMPの存在なしでNKX6.1の発現を誘導することができた(データ示さず)。したがって、これらの成長因子の使用は、特にTTNPBについては、時間依存性である可能性がある。
特にニコチンアミドに関して、図29は、ステージ6の培養条件でのニコチンアミドが、INSを増加させ、GCG発現を減少させて、INS/GCG発現比の3倍の増加をもたらすことを示す。ニコチンアミドの機能は不明であるが、PARP−1、ポリ(アデノシン三リン酸[ADP]−リボース)ポリメラーゼ−1の阻害によって、およびNAD+消失を阻止することによって、ストレプトゾトシン処置から生じる齧歯動物でのベータ細胞減少をニコチンアミドが阻止すると報告されている。Masiello、P.ら(1998)Experimental NIDDM Development of a New Model in Adult Rats Administered Streptozotocin and Nicotinamide、Diabetes、47(2):224〜9頁を参照。ニコチンアミドは、ヒト胎児の島で内分泌の分化およびインスリン含有量を増加させることもできる。Otonkoski T.ら(1993)、Nicotinamide is a potent inducer of endocrine differentiation in cultured human fetal pancreatic cells.J Clin Invest 92:1459〜1466頁を参照。
さらに、成熟したベータ細胞は高レベルのPDX1およびNKX6.1をin vivoで発現し、高レベルのPDX1およびNKX6.1は適切な機能のために必要である。したがって、BMPおよびTTNPBと組み合わせたBMPは、インスリン陽性細胞で両方のマーカーの高い発現を誘導することによって、in vivoだけでなく潜在的にin vitroでもグルコース応答性である内分泌細胞を作製することが可能であることを初めて示す。
上記のように、ステージ6および7のための日数は厳格でなく、短くするか、または長くすることさえでき、特に、本明細書に記載されるのと、および表17によるのと実質的に同じ成長因子を使用する場合には、それぞれステージ6および7のための5日間および10日間は容易に操作することができるので、当業技術者はこれを認識する。
(実施例14)
マトリゲルは、単独でおよびrhoキナーゼ阻害剤と一緒に、PECおよび内分泌細胞凝集体の細胞接着を向上させる
上の実施例11では、細胞凝集体は、ステージ6と7の間で解離および再凝集または再結合された。実質的に上記Schulzらに記載されるように、解離は20日目または20日目頃にAccutaseを使用して実施し、回転培養で再凝集させた。上記Kellyら(2011)により詳細に記載されるように、再凝集は、特定のPEC亜集団、例えば任意の残りの非内分泌(CHGA−)亜集団ならびに他の非内分泌細胞を取り除く。内分泌細胞は互いに親和性を有するが、この相互作用はin vitroで比較的弱く、ステージ6/7での再凝集細胞でさえゆるく結合しているだけだった。したがって、内分泌細胞凝集体の中で細胞間相互作用を増加させるそれらの能力について様々な因子および作用物質を試験するための研究を実施した。
Y−27632、rhoキナーゼ阻害剤、および希釈マトリゲル(0.05v/v%)の添加は、再凝集内分泌細胞凝集体のよりタイトな細胞結合を促進することができることが発見された。Y−27632とマトリゲルの組合せは、いずれかの構成要素単独より、少なくとも例えば細胞凝集体の細胞間相互作用を増加させた。
20日目に実質的に実施例12に記載されているように生成された分化培養を、Accutaseで解離し、5%FBS(FBSのより低い濃度、すなわち2%または1%も有効である)およびDNアーゼによってdbで再凝集させた。Y−27632は再凝集培地に含まれなかったが、その理由は、そうすることが新たに形成された凝集体への非内分泌(CHGA−)亜集団ならびに他の非内分泌細胞の組込みをもたらすからである。次の日とその後の毎日、細胞凝集体をY−27632またはマトリゲルまたは両構成要素で処置した。図30に示す通り、凝集から1、2および3日後に立体顕微鏡画像をとった。図30は、マトリゲル、Y−27632およびdb−FBSの組合せが最も有効だったことを実証する。この組合せは、db−FBSだけ、またはdb−FBSおよびマトリゲル、またはdb−FBSおよびY−27632の使用より有効であった(図30A〜Dを比較する)。組み合わせた作用物質を使用した細胞凝集体は、全ての他の試料より形態学的にタイトであるようだった(図30D)。作用物質が細胞間接触および細胞と基質の間の相互作用を向上させる可能性があるが、FBSがなく、マトリゲルおよびY−27632だけでの後の実験は、同じ結果を提供した。これらのよりタイトな細胞凝集体は、形態学的により器官組織様に見える。これは有利であり、その結果、回転培養、デバイスへの詰め込み、移植のための処理からくるストレスに細胞凝集体はより耐えることができ、向上したin vitroおよびin vivoでの発達ならびに成熟等を有する。
(実施例15)
いかなるノギンも、限定的内分泌細胞含有量で、およびPEC集団の分別または精製の必要なしに、非内分泌多分化能前駆体亜集団が濃縮されたPECを生成しない
上記のように、非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団(CHGA−)が高度に濃縮されているが、内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞が比較的豊富であるPEC集団(ステージ4)の生成が望ましい。そのような細胞集団は、例えば、内分泌系列細胞へのそれらの分化を特異的に誘導する分子または条件についてスクリーニングするのに有益である可能性がある。この活性を有する化合物は、in vivoまたはex vivoでの膵臓ベータ細胞を含む内分泌細胞を生成するための再生医療適用に有益である可能性がある。細胞死および他の理由のために、より複雑な細胞混合物からの特定の細胞集団の分別および精製は効率の減少を伴うことが知られているので、効率的な誘導分化だけを通し、したがって精製ステップを必要とせずに、所望の表現型のために高度に濃縮された細胞集団を作製することができることが有益である。
実質的にステージ1〜4のために表17のプロトコル番号1で、および上記Schulzら(2012)に上記の通りに、未分化ヒトESCを増殖、分化させたが、ステージ3、4の三(3)日間に以下の異なる条件を比較した:(i)全3日間に0ノギン(「ノギンなし」);(ii)50ng/mLのノギンを1日、および追加のノギンなしが2日間;(iii)50ng/mLのノギンを2日、および追加のノギンなしが1日間;および(iv)50ng/mLのノギンを3日間。ステージ3の後、これらの条件(i)から(iv)の各々は、追加のノギンのない、表8および表17による標準のステージ4分化培地カクテルを次に受けた。ステージ4の後のフローサイトメトリー分析は、ノギンなしが、内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞が5%未満の、90%を超える非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団を生成することを実証した。表17を参照する。さらに、ノギン処置の各追加日では、より少ない非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団が生成された(ノギンなしの90.6%と3日間のノギン処置の64.6%を比較する)。反対に、ノギン処置の各追加日は、内分泌系列(CHGA+)に傾倒した細胞の生成レベルを増加させた。
ステージ4の後(12日目)の細胞培養のQPCR分析は、ノギン処置の各追加日で、NKX2.2およびINSを含む内分泌系列マーカー発現のレベルの増加があったことを示し(図31BおよびD)、そのことは表18のフローサイトメトリーからのデータと一貫している。対照的に、NKX6.1(およびPDX1)を含む非内分泌多分化能膵臓前駆体亜集団のためのマーカー遺伝子の発現レベルは、ノギン処置のいかなる期間でも比較的豊富であった。
(実施例16)
ステージ7で膵臓系列の遺伝子の発現をモジュレートする作用物質
次に、膵臓系列遺伝子の発現の何らかの追加のモジュレーターがあるかどうかについて評価した。実施例13および14に記載されるものに実質的に類似の分化方法を実施した(すなわち、ステージ3でAHW、ステージ4でAH、ステージ5でガンマセクレターゼおよびrhoキナーゼ阻害剤、ステージ6および7でマトリゲルおよびrhoキナーゼ阻害剤)。さらに、ステージ7の間、30〜35日目に、BMP、ノギン、FGF1、FGF2、FGF7、EGF、Hrg、HGF、SCFまたはTTNPBを含む他の作用物質を、遺伝子発現をモジュレートするそれらの能力について試験した。延長ステージ7の終わり(d35)に、RNA発現をNanostringによって分析した。図32A〜Cは、BMPがINS、PDX1およびID1の発現を増加させることを示し、このことは図24に示し、実施例13で詳述されるデータと一貫している。BMPは、GHRL発現を減少させもした。FGF1(酸性FGF)は、GCGおよびSSTを上方制御した。驚くべきことに、ステージ7の30〜35日目のFGF2はSST発現の有意な増加をもたらし、他のホルモン遺伝子の阻害または抑制が付随した(例えば、INS、GCG、GHRL;図32B、SSTパネル)。
これらの研究は、特定の作用物質が遺伝子発現を、したがって細胞培養分化およびその結果としてのこれらのより分化した/傾倒した細胞の細胞型をなおモジュレートし、影響を及ぼすことができることを実証する。
(実施例17)
細胞培養の解離および再凝集は、非内分泌(CHGA−)を低減し、適切に特定化された内分泌(CHGA+)亜集団を増加させる
細胞培養の解離および再凝集は、再凝集するときに細胞の特定の亜集団の存在を効果的に減少または低減することができ、結果として、再凝集は、細胞の特定の亜集団を濃縮するために使用することができることが前に記された。もしあるならば、それらの濃縮された亜集団、この場合には内分泌(CHGA+)亜集団を有する再凝集細胞培養の影響を判定するように、研究が設計された(実施例14を参照する)。
分化の方法は、ステージ7(d20)の前のhES導出細胞凝集体の解離および再凝集を含む実施例14に記載されるものに実質的に類似していた。図33A〜Cは、PTF1A、SOX9、PDX1およびNKX6.1を含むマーカーの組合せを使用したNanostring分析によって実証されるように、再凝集細胞培養において非内分泌(CHGA−)亜集団は有意に減少していた(図33A)ことを実証するステージ7後(約d29)のRNA分析を示す。図33Bは、再凝集が、INS、GCG、膵臓ポリペプチド(PPY)、GHRL、溶質担体ファミリー30のメンバー8(SLC30A8)、グルコース−6−ホスファターゼ2(G6PC2)、ホルモン前駆体コンベルターゼ1(PCSK1)およびグルコキナーゼ(GCK)を含む内分泌および膵臓の島細胞マーカーの増加をもたらしたことも示す。
単独で、これらのマーカーは他の細胞型で観察され、例えば、PTF1Aは外分泌細胞、SOX9は管細胞、PDX1およびNKX6.1はベータ細胞でも発現される。したがって、出願人は、任意の1つのマーカー発現の有意性を判定する参照として、様々なPE、内分泌物および島マーカーからデータを得た。さらに、4つのPEおよび非内分泌(CHGA−)マーカーを分析した(PTF1A、SOX9、PDX1およびNKX6.1)が、PTF1AおよびSOX9亜集団だけがステージ7の終わり(約d25、d26、d27、d28、d29、d30およびそれ以上)の再凝集細胞培養から減少していた。対照的に、ベータ細胞および膵臓内分泌物でも観察されるPDX1およびNKX6.1発現は、ステージ7の後にも高いままだった。図33Aを参照する。
同様に、SLC30A8、G6PC2、PCSK1およびGCKを含む他の内分泌(例えばベータおよびアルファ細胞)マーカーが、解離および再凝集されなかった(または「no−reagg」)培養と比較してd20再凝集細胞培養でより高い発現レベルで観察された。図33Cを参照する。例えば、SLC30A8はインスリン分泌に関係がある亜鉛輸送体であり、SL30A8の特定の対立遺伝子は2型糖尿病の発症の危険を増加させることができ;グルコース−6−ホスファターゼ2(G6PC2)は膵島で見出される酵素であり;ホルモン前駆体コンベルターゼ1(PCSK1)は、PCSK2とともに、膵島でプロインスリンをプロセシングしてインスリンにし;最後に、グルコキナーゼ(GCK)は、グルコース−6−リン酸へのグルコースのリン酸化を促進し、肝臓、膵臓、腸および脳の細胞で発現され、それは、グルコースセンサーとして作用するか、食後または絶食時に起こるようなグルコースレベルの上下に応答して代謝または細胞機能のシフトを誘発することによって、炭水化物代謝を調節する。GCKの突然変異は、糖尿病または低血糖の異常な形を引き起こすことができる。ステージ7でのこれらのマーカーの発現の増加は、細胞培養の解離および再再凝集が非内分泌(CHGA−)亜集団を効果的に減少または低減させ、内分泌(CHGA+)亜集団を増加させることを示す。したがって、出願人は今や、in vivo機能のためにin vitroで適切に特定化された内分泌細胞を生成する方法をさらに洗練した。
ステージ1〜7細胞培養のフローサイトメトリー分析は、上のような細胞培養の解離および再凝集が、全内分泌亜集団を増加させ(CHGA+細胞の濃縮)、細胞の非内分泌(CHGA−)亜集団またはPE亜集団が付随して減少することも確認する。下記の表19を参照する。
今日まで、機能的ベータ細胞はin vivo移植ステップを通して分化することができるだけであり、in vitroで完全な真実の機能的ベータ細胞はまだ記載されていない。Zhouら(2008)、Nature 455、627〜632頁を参照する。したがって、初めて、出願人は10%未満の非内分泌細胞(CHIGA−)を有し、適切に特定化された、内分泌細胞(CHGA+)の50%を超えるin vitro細胞集団を実証した。さらに、そのような細胞は、in vivoで真実の機能的ベータ細胞および島に発達および成熟することができる;下記の実施例18を参照する。
(実施例18)
内分泌(CHGA+)亜集団からのin vivoインスリン生成
実施例17への後続研究として、もしあるならば、それらの濃縮された内分泌(CHGA+)亜集団を有する再凝集細胞培養のin vivo影響を判定するように、研究が設計された。
上の実施例12〜14および16と上記Schulzら(2012)に記載のものと実質的に同様に、ヒト多能性幹細胞培養を増殖、分化させたが、ステージ7の開始の頃(約d20)に、培養をプールして、以下の2つの試料に分けた:1)細胞凝集体を解離し、再凝集させた(「再凝集細胞培養」);および2)解離されず、再凝集しなかった細胞凝集体(対照)。さらに、ステージ7の間に、両方の試料はBMP、RAまたはRA類似体、TTNPB、およびrhoキナーゼ阻害剤および0.05%マトリゲルをさらに含んだ(d20からd28の細胞培養)。試料を移植する前に、Nanostringおよびフローサイトメトリー分析のための試料をとった(上の表19)。表19は、d29の頃の再凝集細胞培養は、対照より約11%多くの内分泌(CHGA+)亜集団を含有したことを示す。重要なことに、再凝集試料は、再凝集しなかった試料より9.25%少ない非内分泌物(CHGA−)またはPE型の細胞(わずか1.45%)を含有した。
出願人の半透性で生体適合性のENCAPTRA(登録商標)EN20(商標)薬物送達デバイス(動物サイズ調査デバイス)に2つの試料を別々に詰め、封入し、実質的に上の実施例10に記載されているように、合計10匹のSCIDベージュマウス(5匹の動物は再凝集細胞培養を受け;5匹の動物は対照の細胞培養を受けた)に対して皮下に移植した。
図34は、移植から21週後、または生存中の、絶食後(各動物について左から3本の棒の最初)、グルコース投与またはチャレンジの30分後(30分;2番目の棒)および1時間後(60分;3番目の棒)の血清中のヒトCペプチドレベルを示す。移植から21週後、2匹の動物(動物番号4317および4323;各コホートから1匹)以外の全動物は、大部分は932から2691pMを超えるヒト血清Cペプチドによって観察されるように、頑強なレベルのインスリンを生成した。しかし、2つの群の間で刺激指数を比較したとき(絶食血清中Cペプチドレベルでのそれに対する30分または60分のCペプチド血清中レベルの差)、再凝集細胞培養と対照コホートの間にin vivo機能の有意な差はなかった。したがって、移植された培養または移植片が約98%の内分泌/CHGA+再凝集細胞培養または約87%の内分泌/CHGA+(対照)からなったかどうかにかかわらず、両方ともin vivo機能を有するようである。したがって、出願人は初めて、in vitro内分泌(CHGA+)細胞集団(適切に特定化された内分泌細胞)は、移植したときに生理的に機能的なインスリン分泌細胞を生成することができることを実証した。
したがって、出願人は初めて、適切に特定化された内分泌細胞のin vitro集団は、移植したときに、血中グルコースに応答してインスリンを分泌する機能的膵島細胞に発達および成熟することを実証した。さらに、in vivo機能は、PECについて出願人によって前に記載され、上記Schulzら(2012)で報告されたものに類似している。さらに、適切に特定化された内分泌細胞がステージ1〜7を通して本明細書に記載される方法によって作製される限り、解離および再凝集による内分泌細胞の追加の濃縮(または非内分泌細胞の消失)はin vivo機能のために不要であるか必要とされないようである。本発明のこれらの態様は、これまで実証されていない。これまで、出願人他は、膵臓前駆体集団細胞集団を使用し、内分泌細胞集団なしでin vivo機能を実証しただけであった。実際、上記Kellyら(2011)に記載されるように、PECの内分泌(CHGA+)亜集団または膵臓の前駆体調製物はin vivo機能を生成しなかった。
(実施例19)
内分泌細胞を培養するための錯塩基培地
CMRLおよびRMPIなどの錯塩基培地は、島細胞を培養し、島細胞質量を保存するために広く使用されている。CMRL培地は、RPMIより一般的により複雑(より多くの構成要素または成分)である。さらに、CMRLおよびRMPIの両方は、細胞培養のために通常使用され、より複雑でない培地であるDMEMより複雑である。したがって、出願人は、そのような錯塩基培地が分化の後期、例えばステージ6および7の間に内分泌細胞を維持するのに有益となるのかどうかについて調査した。
島移植は、十分な島細胞質量および最小限の毒性での島の培養および移植を必要とする。短期の島培養は、急速な劣化、ならびに生存力およびグルコース制御の減少と関連付けられている。S.Matsumotoら(2003)、A comparative evaluation of culture conditions for short−term maintenance(<24hr.)of human islets isolated using the Edmonton protocol、Cell Tissue Banking、4、85頁;およびN.J.M.Londonら(1998)、Isolation,Culture and Functional Evaluation of Islets of Langerhans、Diabetes & Metabolism、23、200〜207頁を参照。1978年に、Anderssonら(1978)による研究は、マウスの島を培養するための、TCM、RPMI、CMRL、DMEMおよびHams F10の有効性を比較した。Andersson A.(1978)Isolated mouse pancreatic islets in culture:Effects of serum and different culture media on the insulin production of the islets、Diabetelogia、14、397〜404頁を参照。Anderssonの結果は、HamのF10は島培養に最大のインスリン含有量を提供したが、RMPIは培養に最良のインスリン生合成速度を提供し;これはおそらく培地中の高いグルコースおよびニコチンアミドに起因したことを示した。Davalliら(1992)などのさらに他の研究者は、ブタの島を培養するためには、アデノシンリン酸およびキサンチンを有するTCMがCMRLおよびRMPIより優れていたことを示した。Davalli,A.M.ら(1992)、In vitro function of adult pig islets:Effect of culture in different media、Transplantation、60、854〜860頁を参照。Davaliiらは、HamのF10およびRMPIで見出された高いグルコースは、ブタの島におそらく毒性であることをさらに示唆した。したがって、異なる種からの島は異なる培養必要条件を有する可能性があり、全ての内分泌および島細胞に適する1つの処方があるとは限らない。上記Andersson(1978)、4頁を参照する。
下の表20は、CMRL、RPMIおよびDMEM培地で見出される、各培地タイプの間で異なる構成要素だけを記載し、すなわち、表20は、塩基培地の全ての3つのタイプで共有される構成要素を掲載しないが、CMRLに含有されるがRPMIおよび/またはDMEMに含有されない構成要素だけを掲載する。表20は、CMRLが最も複雑(最大数の構成要素)であり、DMEMが最も複雑でない(最少数の構成要素)であることを示す。Yは、その塩基培地でのその構成要素の存在を示し;Nは、その構成要素が培地に存在しないことを示す。手短に言えば、DMEMは、CMRLおよびRPMIに存在する約7つの構成要素(N、陰影のついたボックス)を欠いている。
内分泌細胞培養を作製する方法は、上記のものに実質的に類似していたが、ステージ6(d15)、または中間ステージ7(d23)、または中間ステージ7(d26)、またはステージ6および7(d15からd25)の間は、DMEMまたはCMRL塩基培地を使用した。さらに、一部の培養は、インスリン様成長因子(IGF)、ニコチンアミド(NC)、グルコース(Glc)および/またはrhoキナーゼ阻害剤(Y−27632)を受けた。
1つの実験では、d23頃に始まるステージ7細胞を、B27補助剤、マトリゲル、BMP、IGFおよびY−27632を有するCMRLまたはDMEM塩基培地で培養した。d26(ステージ7)試料のNanostring分析は、一般に、CMRLで培養したステージ7細胞は、DMEMで培養したときの同じステージの細胞と比較して、ホルモンおよび膵臓内分泌マーカーの非特異的遺伝子発現を増加させたことを示した。図35A〜Cを参照する。したがって、CMRLは内分泌細胞の維持にとって重要である可能性がある。
DMEMおよびCMRLをベースとした培地と比較してRPMIを使用して、対応する研究も実施した(データ示さず)。CMRLおよびRMPI培地は細胞培養に類似の影響を及ぼし、両方ともDMEMのそれより向上しており、したがって、還元グルタチオン、アミノ酸、ヒドロキシル−L−プロリン、L−プロリン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸およびビタミン、ビオチンおよびp−アミノ安息香酸を含む、DMEMに存在せずにCMRLおよびRPMIの両方に存在する構成要素(複数可)が、ステージ6および/または7の間の内分泌細胞の維持にとって重要である可能性がある。
(実施例20)
凍結保存は、内分泌細胞数を低減しない
商業的に存続可能な細胞療法は、細胞生成物のスケールアップ製造、およびオンデマンドの患者ニーズのために生成物を長期保存するための手段を必要とする。したがって、それが単独の細胞単独であれ封入細胞、例えばENCAPTRA(登録商標)薬物送達デバイスであれ、いかなる細胞生成物も低温保存が必要であるか、細胞に有害または毒性の影響がなく、かつ、細胞の治療効果、またはこの場合、血中グルコースに応答するインスリンのin vivo生成に影響を及ぼすことのない、長期保管のための他の手段が必要であろう。したがって、2012年10月2日および2013年4月23日にそれぞれ発行された、両方ともENCAPSULATION OF PANCREATIC CELLS DERIVED FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLSという表題の出願人の米国特許第8,278,106号および第8,425,928号;ならびに2013年3月7日に出願の米国出願第61/775,480号、表題CRYOPRESERVATION,HIBERNATION AND ROOM TERMPERATURE STORAGE OF ENCAPSULATED PANCREATIC ENDODERM CELL AGGREGATES、およびKroonら(2008)で詳述されるように、新鮮な(非低温保存)、および低温保存されたPECで観察されるものと同様にin vivoで発達および機能するそれらの能力を、低温保存されたステージ7内分泌細胞が維持するかどうかを出願人は調査した。
内分泌細胞培養を作製する方法は上記のものに実質的に類似していたが、ステージ7の間、細胞培養は全てCMRLをベースとした培地中にあり、以下の試料に分割した:1)解離、再凝集されないが、23日目頃に数時間低温保存され、その後解凍され、B27補助剤、BMP、TTNPBおよびrhoキナーゼ阻害剤を有するCMRL塩基培地で数日間培養した(re−aggなし/低温保存された);2)解離、再凝集されず、低温保存されない(reaggなし/低温保存なし);3)解離、再凝集され、低温保存されない(Re−agg/低温保存なし)。上の全ての3つの試料は、同じステージ7培地条件で培養した。27日目に、試料をフローサイトメトリーによって分析した。下の表21を参照する。
表21のフローサイトメトリー分析に基づいて、解離、再凝集されなかった培養(試料1および2)については、細胞の低温保存(試料2)は、新鮮な細胞(試料1)と比較して内分泌(CHGA+)細胞の総数を低減しない(88.57対89.97)。予想通りに、全内分泌(CHGA+)集団は、解離、再凝集され、低温保存されていない培養でより高い(92.85)。したがって、上の実施例17に記載のように解離、再凝集は内分泌細胞(CHGA+)数に影響を及ぼすが、ステージ7培養の低温保存は、細胞構成を変化させないようである。
さらに、細胞免疫組織化学を使用して、試料をNKX6.1、Cペプチド、INSおよびGCG染色で分析した。図36A〜Bを参照する。ステージ7からの内分泌(CHGA+)細胞凝集体(re−aggなし/低温保存なし;試料2)は、NKX6.1(核)およびCペプチド(細胞質)同時発現または同時染色を示した(図36A〜C)。同時染色は、ステージ4分化プロトコルからのPECの類似した分析で観察されなかった。INS(36A;細胞質)およびGCG(36B;細胞質)細胞の別々の染色を示す図36A〜Cで分かるように、ステージ7からの細胞培養も主に単一ホルモン性であり、すなわち、ステージ4からのPECの内分泌(CHGA+)亜集団で見られるように、大部分の個々の細胞はINSおよびGCGを同時発現しなかった。図37は、類似の染色パターンを有するが、ステージ7の開始時に解離、再凝集された細胞培養からの、顕微鏡写真を示す。
図37は、上の表20の細胞培養1および3からの移植片機能を比較する。12週時の両コホートの動物の移植されたステージ7移植片のin vivo機能の分析は、低温保存されたが再凝集されなかった培養(試料1)が、低温保存されなかったが再凝集された培養(試料3)と比較して、グルコース投与の30および60分後に類似の血清中Cペプチドレベルを有することを示した。これらのCペプチドレベルは、図20および21の10週目および15週目で観察されるものと同等である(例えば15週時には、グルコース投与の60分後の平均Cペプチドレベルは995pMであった)。したがって、後の分析が、大部分の動物では、実施例18に記載され、図34で観察されるものと同様に、グルコース刺激から30分および/または60分後に、Cペプチドレベルが約1000pMまで増加することを示すことが予想され、予期される。実際、動物番号4490、試料1移植片は、移植後21週時の実施例18の動物番号4320(図34)と同等だった血清Cペプチドレベルを12週時に有していた。
したがって、ステージ7内分泌細胞の低温保存は、それらのin vivo機能に影響を及ぼさないようである。
(実施例21)
グルコース濃度を増加させることは、ホルモン発現に影響を及ぼす
細胞培養製剤中のグルコースレベルは、1g/L(5.5mM)から10g/L(55mM)であり、一部の培地はin vivoの正常な血糖レベルに近似する約5.5mMグルコースを有する。10mMに近づくグルコースレベルは前糖尿病レベルであり、10mMを上回るレベルは糖尿病状態に類似している。換言すると、10mMを上回るグルコースはin vivo高血糖状態を模倣する。高グルコースは、例えば、グリケーション、糖酸化(glyoxidation)およびカルボニルストレスを含む翻訳後の二次改変を引き起こすことができる。異なる細胞型にin vitroで及ぼす高グルコースの影響に関する報告は様々であるので、出願人はステージ6および/または7の内分泌細胞に及ぼす高グルコース(すなわち4.5g/Lまたは24.98mMグルコース)の影響を研究しようと努めた。
グルコースは、以下を含む全ての細胞培養培地に加えられる可溶性ヘキソース糖である;エイムス培地、基礎培地イーグル(BME);BGJb培地フィットン−ジャクソン改変;クリック培地;CMRL−1066培地;ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM);DMEM/Hamの栄養素混合液F−12(50:50);F−12クーン改変;フィッシャー培地;H−Y培地(Hybri−Max(登録商標));イスコフの改変ダルベッコ培地(IMDM);マッコイの5A改変培地;MCDB培地;培地199;最少必須培地イーグル(EMEM);NCTC培地;栄養素混合液、HamのF−10;栄養素混合液、HamのF−12;栄養素混合液HamのF−12カインの改変(F12K);RPMI−1640;無血清/無タンパク質ハイブリドーマ培地;ウェイマウス培地MB;ウィリアムズ培地Eおよび様々な所有権付きの培地。L−15培地は、グルコースの代わりにガラクトースを含有する。sigmaaldrich.com/life−science/cell−culture/learning−center/media−expert/glucose.htmlのワールドワイドウェブで入手できるSigma−AldrichMediaExpertを参照。
10mMを超えるレベルのグルコース補給を含有する培地には、少なくとも以下が含まれる:DMEM/Hamの栄養素混合液F−12(50:50)は17.5mMのグルコースを含有する;DMEM(高グルコース)、GMEMおよびIMDMは全て25mMレベルのグルコースを含有する;H−Y培地(Hybri−Max(登録商標))および無血清/無タンパク質ハイブリドーマ培地はそれぞれ22.6および28.9mMのグルコースを含有する。sigmaaldrich.com/life−science/cell−culture/learning−center/media−expert/glucose.htmlのワールドワイドウェブで入手できるSigma−AldrichMediaExpertを参照。異なる細胞培養培地は広く異なるレベルのグルコースを含有し、グルコースの影響は一般に培養系の間で異なるので、内分泌細胞に及ぼす高グルコースの影響を研究した。
再び、内分泌細胞培養を作製する方法は、上記のものに実質的に類似していたが、ステージ6および/または7の間に、細胞培養を外因性の高グルコース(総グルコース濃度4.5g/Lまたは25mM)の有る無しのCMRL塩基培地で処置した。したがって、これは、CMRL培地に既に見出される1000mg/Lまたは1g/L(5.5mM)のグルコースにさらに加えた3.5g/Lである。外因性グルコースの有る無しの両条件を、ニコチンアミド、BMP、RA(またはTTNPB)、あるいはrhoキナーゼ阻害剤およびマトリゲルを含む同じ成長因子で処置した。Nanostring分析は、ステージ6の開始時に高グルコースを加えたとき、ステージ6の終わりまでに、INS、GCGおよびSSTの発現増加、およびGHRLの発現の減少があったことを示した(図39AおよびB)。したがって、ステージ6および7の間の外因性グルコースの増加は、グレリンを除いてホルモン発現を増加させる。
(実施例22)
未熟なベータ細胞の生成
実施例8〜21は、in vitroでの内分泌細胞の生成のための、ステージ3での単独またはWntおよび/またはヘレグリンと組み合わせた高アクチビン;ステージ4での単独またはヘレグリンと組み合わせた低アクチビン;ステージ5でのKGF、EGFおよびrhoキナーゼ阻害剤の有る無しのノギンおよびガンマセクレターゼ阻害剤;ならびにステージ6〜7での以下のニコチンアミド、レチノイン酸、BMPおよびマトリゲルの1つまたは複数の使用を含む、様々な反復法を記載する。そのような方法から生成される内分泌細胞集団は、単一ホルモン性(例えば、INSだけ、GCGだけまたはSSTだけ;図39を参照する)であるだけでなく、NKX6.1およびPDX1を含む他の未熟な内分泌細胞マーカーを同時発現する。
INS、SSTおよびGCGホルモン染色を使用して、2つの異なるステージ7培養でフローサイトメトリー分析を実施した(データセットAおよびデータセットB)。ステージ1〜7の多くの繰り返しを検討した後に、データ(A)の1セットを実施し、より早い時期に、例えばニコチンアミド、BMP、CMRL等の不在下で、データ(B)の他のセットを実施した。下記の表22を参照する。表22は、INS、SSTおよびGCG陽性染色(5つの左の欄を参照)、全INS、SSTおよびGCG陰性染色(5つの右の欄を参照)および単一ホルモン染色(中央の欄を参照)の全体の百分率を示す。これらの2つのデータセット(AおよびB)からのホルモン染色を、約26日目まで培養で維持されていたステージ4のPEC培養から得られたものと比較する。
一般に、全INS陽性亜集団(単独INS陽性プラスINS/SST同時陽性プラスINS/GCG同時陽性プラスINS/SST/GCG同時陽性の合計)は、ステージ4のPEC培養よりステージ7の内分泌培養で3倍大きい(49.3対22.7対15.8)。したがって、全INS単独(SSTまたはGCGとの同時発現のない)亜集団も、ステージ4のPEC培養よりステージ7の内分泌培養でより高い(22.7対12.9対3.7)。重要なことに、ステージ7培養は、ステージ4のPEC培養(3.7/15.8=23%)と比較した全INS集団(Aでは22.7/49.3=46%、Bでは12.7/22.7=約57%)の百分率として、より多くの単一ホルモン発現INS細胞を有する。したがって、ステージ7の内分泌細胞培養は、ステージ4のPEC培養より、より多くの単一ホルモン発現細胞、特にINS単独発現細胞からなるようである。さらに、少なくとも実施例18および20は、なお未熟であるステージ7内分泌細胞は、移植したときに、血中グルコースに応答してインスリンを分泌することが可能な生理的に機能的な膵島に発達および成熟するが、ステージ4のPEC培養の内分泌(CHGA+)亜集団は、in vivoで同じことが可能でないことを実証する。さらなる詳細については、上の図44および45と実施例を参照する。
(実施例23)
ステージ7およびステージ4(PEC)からの内分泌(CHGA+)細胞は、互いから区別される
ステージ7(適切に特定化された内分泌)およびステージ4(PEC)培養の分析は細胞染色および分析のために同じ抗体(例えばCHGA、INS、NKX6.1)を使用するが、ステージ7および4(PEC)からの適切に特定化された内分泌(CHGA+)細胞亜集団は同じでない。
より初期に、出願人は、ステージ4のPEC培養の移植後に観察された機能的ベータ細胞の起源は、膵臓の前駆体または非内分泌(CHGA−)細胞に起因し、一次内分泌(CHGA+)細胞からではないことを報告した。上記Kellyら(2011)は、PEC培養で内分泌(CHGA+)亜集団を濃縮(精製)し、移植したときに、それらは、非濃縮PEC培養と比較して機能的膵島またはベータ細胞を生成しなかったことを実証した。Kellyら(2011)、3〜4頁、図4および付表1;上記Schulzら(2012);ならびに米国特許第7,534,608号;第7,695,965号;第7,993,920号および第8,278,106号を参照。実施例17、18および表19は、移植したときに頑強な機能的移植片をin vivoでもたらした、ステージ7からのほぼ純粋な(98.2%)内分泌(CHGA+)細胞培養を記載した(図34)。本明細書に記載される実施例17、18および他の結果を考慮すると、ステージ7培養の機能的集団は、ステージ7からの内分泌(CHGA+)細胞であって、かなりより小さい百分率の非内分泌(CHGA−)細胞(2.08%)ではない。これは、in vivo機能が非内分泌(CHGA−)亜集団に帰せられる、出願人が先の開示で詳細に報告したステージ4のPEC培養と対照的である。したがって、一般に、ステージ7および4からの内分泌亜集団は同等でないか、同じでない。
表23は、ステージ7(適切に特定化された内分泌)およびステージ4(PEC)からの全内分泌(CHGA+)および非内分泌(CHGA−)亜集団を比較し、亜集団が同等物でなく、互いから区別されることを実証する、フローサイトメトリーデータを示す。例えば、CHGA+亜集団の全体の百分率は、ステージ4培養と比較してステージ7で有意により高かった(85.2対39.4)。したがって、CHGA−亜集団の全体の百分率は、ステージ4培養と比較してステージ7で有意により低かった(14.8対60.1)。さらに、真の内分泌細胞、例えばベータ細胞は、CHGA+を発現するだけでなく、少なくともINSおよびNKX6.1も同時発現する。したがって、真の内分泌細胞はCHGA+/INS+/NKX6.1+(三重陽性)を発現し、in vivoで機能することができる。表23は、ステージ7培養がステージ4培養よりほぼ5倍多くのCHGA+/INS+/NKX6.1+(三重陽性)細胞を有したことを示し(37.8対7.8);ステージ4のCHGA+/INS+/NKX6.1+亜集団は上記のように適切に特定化されているように見える可能性があるが、移植したとき、ステージ4からのこれらの内分泌亜集団はin vivoで機能せず、ステージ4からの非内分泌(CHGA−)亜集団はin vivoで成熟し、機能する。したがって、これらの細胞はin vivoで成熟したベータ細胞になることに発生的に傾倒しているので、出願人はステージ7の内分泌細胞を内分泌前駆/先駆細胞ではなく、「未熟な内分泌細胞」または「未熟なベータ細胞」と呼ぶ。
(実施例24)
亜鉛センサーを使用するステージ7細胞集団からの内分泌細胞の精製
ベータ細胞分泌性小胞は、高濃度の亜鉛を含有する。亜鉛は、少なくとも亜鉛輸送体SLC30A8(またはZnT8)の作用によって小胞に蓄積される。亜鉛なしでよりも亜鉛と結合したときに特定の波長でより多くの光を吸収、放射することによって細胞中の亜鉛を可視化するために、亜鉛結合蛍光プローブが使用されている。今のところ、報告は、大部分のプローブはベータ細胞小胞内の亜鉛を検出するために適切に局在化することができないことを示す。興味深いことには、PyDPy1(またはPy1;Chemical Communications、2011、47:7107〜9頁)は小胞に入ることができるが、今までベータ細胞で使用されたことはない。Zn2+に結合するとき、Py1は蛍光強度を50〜80倍増加させる。初めて、出願人は、in vivo機能が可能な内分泌細胞または未熟ベータ細胞集団の生成を実証した。したがって、さらなるin vitro分析のために、スクリーニングツールとして用いるために、または移植のために濃縮された未熟ベータ細胞集団を提供するために、この集団をさらに濃縮するための手段を有することが有利である。
ステージ7の内分泌細胞、または未熟ベータ細胞をPy1で処置し、高亜鉛含有量のものについて細胞を蛍光によって選別した。Py1亜鉛センサー(Chemo Genics Biopharma、Research Triangle Park、NCによって注文合成された)をDMSOに10mMで再懸濁させ、5ミクロモルの最終濃度までDPBS(−/−)/0.25%BSA(緩衝液A)に希釈した(染色液)。分化したステージ7細胞凝集体をDPBS(−/−)で二回洗浄し、Accumaxで解離させた。B−27を含有する塩基培地の添加でAccumaxをクエンチした。生じた細胞懸濁液を40ミクロンメッシュによって濾過し、遠心分離し、緩衝液Aで洗浄し、染色液に再懸濁させた。染色は15分間継続し、細胞を遠心分離し、緩衝液Aで洗浄し、選別のために緩衝液Aに再懸濁させた。4℃でフローサイトメトリーによって細胞を選別し、CMRL/50%FBSに入れた。選別の後、細胞を遠心分離し、RNA単離緩衝液に再懸濁させた。
図40に示す結果では、多角形で包囲されているか囲まれている細胞は、亜鉛に結合したPy1センサーの存在のために蛍光が増加した生細胞である。この細胞集団は2つのほぼ等しいゲートにさらに分割し、それらの蛍光強度によって明るいおよび薄暗いと命名した2つの管に選別した。RNAを細胞から調製し、Nanostring分析にかけた。
図42A〜Cに見られるように、薄暗い集団は、INS、IAPP、PDX1、NKX6.1、PAX4、PCSK1、G6PC2、GCKおよびSLC30A8などのベータ細胞系列のマーカーが濃縮される。これは、亜鉛センサーを使用して、ステージ7細胞集団からベータ細胞または未熟なベータ細胞を精製することができることを示す。以前の実験は、Nanostringによる630,000個のINS mRNA単位がフローサイトメトリーによる約49%のINS陽性細胞に対応すると判定した(データ示さず)。したがって、1,200,000個のINS Nanostring値を有する精製された薄暗い集団は、約93%のINS陽性細胞(1,200,000/630,000×49%)に対応するであろう。
反対に、明るい選別集団は、GCG、ARXおよびSLC30A8などのα細胞系列のマーカーが濃縮された(図41、42、43)。ベータ細胞と同様に、グルカゴン細胞も亜鉛を取り込むことが知られており、したがってベータ細胞とグルカゴン細胞の両方で亜鉛に結合するためにPy1センサーを使用することができるが、それらの異なるレベルの蛍光によって分離または選別される。
PEC(ステージ1〜4)内分泌細胞(ステージ1〜7)培養を作製するための方法の要約
要約すると、本明細書に記載される本発明は、少なくともPECおよび未熟内分泌細胞、ならびにPEC生成のためにステージ1〜4および内分泌細胞の生成のためにステージ1〜7を少なくとも含むそのような細胞の作製方法を目的とする。図43、44および45は、出願人の細胞組成物および本明細書に記載される生成方法の特定の態様を要約する図である。
出願人は、in vivo移植したとき、ステージ4分化プロトコルの後の内分泌(CHGA+)亜集団は、成熟した機能する膵島細胞に発達しないことを前に報告した。図43および44のステージ4の後の「EN」細胞型を参照する。これらの内分泌(CHGA+)亜集団は、早期または成熟前のNGN3発現(PDX1およびKX6.1同時発現の前のNGN3発現)を有した。上記、Rukstalisら(2009)も参照。対照的に、NGN3を発現しなかったPECの非内分泌(CHGA−)亜集団は、in vivoで内分泌細胞に発達および成熟する。PECの非内分泌(CHGA−)亜集団のin vivo成熟の後までのこの遅れたNGN3発現は、実施例10(図15〜16)に示したが、そこでは、アクチビン、Wntおよびヘレグリンの組合せが対照と比較してNGN3を効果的に抑圧し、対照と比較したこのPECの移植は、in vivo機能を向上させた。図15〜16を参照する。
次に出願人は、in vivoで膵島に発達および成熟することが可能で、PEC、特にPECの非内分泌(CHGA−)亜集団の全ての場合に観察されたものと同様に血中グルコースレベルに応答してインスリンを作製する、適切に特定化された内分泌細胞培養を得ようと努力した。この目的のために、ステージ3および4でNGN3発現を抑制または阻害するために、出願人は多くの反復実験を実施した。実施例8〜11は、NGN3発現または抑制に影響を及ぼすために、出願人による、単独、またはWntおよびヘレグリンなどの他の作用物質と一緒の、様々な濃度でのアクチビンの使用を詳述する。図44は、ステージ3および4でのアクチビンの影響も要約する。
NGN3発現を遅らせることができ、それはin vivo機能に影響を及ぼさないことが実証されると、出願人は、PEC(ステージ4)形成後のステージで内分泌マーカーの発現を誘導する方法を探索した。実施例11〜14および16〜22は、in vivo機能を生成することができた適切に特定化された内分泌集団を生成する培養条件を最適化するために用いた、多くの反復および方法を記載する。具体的には、出願人は、NGN3発現および内分泌分化を誘導するために、ステージ5でガンマセクレターゼ阻害剤を使用した。出願人は、内分泌マーカー発現を増加させるためにステージ6および7でCMRLなどの試薬を;INSおよびPDX1を増加させるためにBMPを使用した。図44および45は、これらの努力を要約し、記載する。
当初、細胞を特徴付けして同定するために、複数の方法論を使用する必要があることは理解されよう(例えばQ−PCR、ICC、フローサイトメトリー分析、Cペプチドアッセイ等)。特定の細胞分化培養条件の下でそのような細胞を完全に特徴付けして同定した後に、そのような細胞型が得られたかどうか分析する唯一の方法として、Q−PCRおよびNanostring多重RNAがしばしば使用された。
本明細書に記載される方法、組成物およびデバイスは、現在好ましい実施形態の代表であり、例示的であり、本発明の範囲を限定することを意図していない。本発明の精神に包含され、開示の範囲によって規定される、それへの変更および他の使用は当業者に思いつくであろう。したがって、本発明の範囲および精神を逸脱しない範囲で、様々な置換および改変を本明細書に開示される本発明に加えることができることは、当業技術者に明らかになる。
下の請求項およびこの開示全体で用いられるように、語句「から事実上なる」は、語句の後に掲載される任意の要素を含むことを意味し、掲載される要素について開示で特定される活性または作用に干渉しないか寄与しない他の要素に限定される。したがって、語句「から事実上なる」は、掲載される要素は必要とされるか必須であるが、他の要素は任意選択であり、掲載される要素の活性か作用にそれらが影響を及ぼすかどうかによって存在しても存在しなくてもよいことを示す。さらに、数値、例えば量、濃度、百分率、割合または範囲が列挙される実施形態では、言及される値は、「少なくとも約」その数値、「約」その数値、または「少なくとも」その数値であってもよいことが理解される。
実施形態
実施形態1.in vitro単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態2.INSおよびNKX6.1を発現し、NGN3を実質的に発現しない、実施形態1に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態3.成熟ベータ細胞に分化することができる、実施形態1に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態4.前記分化がin vivoにおけるものである、実施形態3に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態5.細胞集団の一部を形成する、実施形態1に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態6.前記細胞集団の少なくとも10%が未成熟ベータ細胞である、実施形態5に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態7.前記細胞集団の少なくとも20%が未成熟ベータ細胞である、実施形態5に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態8.前記細胞集団の少なくとも30%が未成熟ベータ細胞である、実施形態5に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態9.前記細胞集団の少なくとも40%が未成熟ベータ細胞である、実施形態5に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態10.前記細胞集団の少なくとも50%が未成熟ベータ細胞である、実施形態5に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態11.前記細胞集団の少なくとも60%が未成熟ベータ細胞である、実施形態5に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態12.前記細胞集団の少なくとも80%が未成熟ベータ細胞である、実施形態5に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態13.前記細胞集団の少なくとも90%が未成熟ベータ細胞である、実施形態5に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態14.前記細胞集団の少なくとも98%が未成熟ベータ細胞である、実施形態5に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態15.単一ホルモン性である、実施形態1に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態16.MAFBを発現する、実施形態1に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態17.単能性ヒト未成熟ベータ細胞を生成する方法であって、ヒト胚体内胚葉系列細胞をin vitroでTGFβスーパーファミリーメンバーおよびWntファミリーメンバーと接触させ、それにより、未成熟ベータ細胞を生じさせるステップを含む方法。
実施形態18.前記単能性ヒト未成熟ベータ細胞が、INS、NKX6.1を発現し、NGN3を実質的に発現しない、実施形態4に記載の方法。
実施形態19.TGFβスーパーファミリーメンバーが、Nodal、アクチビンA、アクチビンB、BMP2、BMP4、GDF8、GDF−10、GDF−11およびGDF−15からなる群から選択される、実施形態4に記載の方法。
実施形態20.ヒト胚体内胚葉系列細胞をin vitroでERRB受容体キナーゼ活性化作用物質と接触させるステップをさらに含む、実施形態4に記載の方法。
実施形態21.TGFβスーパーファミリー成長因子がアクチビンAである、実施形態4に記載の方法。
実施形態22.WntファミリーメンバーがWnt3aである、実施形態4に記載の方法。
実施形態23.ERBB受容体キナーゼ活性化作用物質がヘレグリンである、実施形態6に記載の方法。
実施形態24.TGFβスーパーファミリー成長因子がBMPである、実施形態4に記載の方法。
実施形態25.ヒト胚体内胚葉系列細胞をin vitroでニコチンアミド、レチノイン酸またはレチノイン酸類似体、rhoキナーゼ阻害剤またはガンマセレクターゼ阻害剤と接触させるステップをさらに含む、実施形態4に記載の方法。
実施形態26.レチノイン酸が、オールトランス−レチノイン酸(RA)、13−シス−レチノイン酸(13−シス−RA)、およびアロチノイド酸(TTNPB)からなる群から選択される、実施形態25に記載の方法。
実施形態27.レチノイン酸がオールトランスレチノイン酸(RA)である、実施形態26に記載の方法。
実施形態28.レチノイン酸が13−シス−レチノイン酸(13−シス−RA)である、実施形態26に記載の方法。
実施形態29.レチノイン酸がアロチノイド酸(TTNPB)である、実施形態26に記載の方法。
実施形態30.rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536およびY−30141からなる群から選択される、実施形態25に記載の方法。
実施形態31.rhoキナーゼ阻害剤がY−27632である、実施形態30に記載の方法。
実施形態32.ガンマセレクターゼ阻害剤が、ガンマセレクターゼ阻害剤I(GSI I)、ガンマセレクターゼ阻害剤II(GSI II)、ガンマセレクターゼ阻害剤III(GSI III)、ガンマセレクターゼ阻害剤IV(GSI IV)、ガンマセレクターゼ阻害剤V(GSI V)、ガンマセレクターゼ阻害剤VI(GSI VI)、ガンマセレクターゼ阻害剤VII(GSI VII)、ガンマセレクターゼ阻害剤IX(GSI IX)、(DAPT)、ガンマセレクターゼ阻害剤XI(GSI XI)、ガンマセレクターゼ阻害剤XII(GSI XII)、ガンマセレクターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、ガンマセレクターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、ガンマセレクターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、ガンマセレクターゼ阻害剤XVII(GSI XVII)、ガンマセレクターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ガンマセレクターゼ阻害剤XX(GSI XX)、ガンマセレクターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、ガンマ40セレクターゼ阻害剤I、ガンマ40セレクターゼ阻害剤IIおよびRO4929097からなる群から選択される、実施形態25に記載の方法。
実施形態33.ガンマセレクターゼ阻害剤がRO4929097である、実施形態32に記載の方法。
実施形態34.ガンマセレクターゼ阻害剤がGSI IVである、実施形態32に記載の方法。
実施形態35.成熟ベータ細胞をin vivoで生成するための方法であって、a.ヒト胚体内胚葉系列細胞をin vitroでTGFβスーパーファミリーメンバーおよびWntファミリーメンバーと接触させ、それにより、未成熟ベータ細胞を生じさせるステップと、b.ステップ(a)の未成熟ベータ細胞を哺乳動物対象に移植するステップと、c.未成熟ベータ細胞をin vivoで分化させて、成熟ベータ細胞を含む細胞の集団を生成するステップとを含む方法。
実施形態36.前記成熟ベータ細胞に、グルコース刺激に応答してインスリンを生成させるステップをさらに含む、実施形態10に記載の方法。
実施形態37.前記TGFβスーパーファミリー成長因子が、Nodal、アクチビンAおよびアクチビンB、GDF−8、GDF−11およびGDF−15からなる群から選択される、実施形態10に記載の方法。
実施形態38.ヒト胚体内胚葉系列細胞をin vitroでERBB受容体キナーゼ活性化作用物質と接触させるステップをさらに含む、実施形態10に記載の方法。
実施形態39.TGFβスーパーファミリー成長因子がアクチビンAである、実施形態10に記載の方法。
実施形態40.WntファミリーメンバーがWnt3aである、実施形態10に記載の方法。
実施形態41.ERBB受容体キナーゼ活性化作用物質がヘレグリンである、実施形態37に記載の方法。
実施形態42.ヒト胚体内胚葉系列細胞を少なくとも25ng/mLのTGFβスーパーファミリー成長因子と接触させる、実施形態1に記載の方法。
実施形態43.ヒト胚体内胚葉系列細胞を少なくとも50ng/mLのTGFβスーパーファミリー成長因子と接触させる、実施形態10に記載の方法。
実施形態44.ヒト胚体内胚葉系列細胞を少なくとも75ng/mLのTGFβスーパーファミリー成長因子と接触させる、実施形態10に記載の方法。
実施形態45.ヒト胚体内胚葉系列細胞を少なくとも25ng/mLのWntファミリーメンバーと接触させる、実施形態10に記載の方法。
実施形態46.ヒト胚体内胚葉系列細胞を少なくとも50ng/mLのWntファミリーメンバーと接触させる、実施形態10に記載の方法。
実施形態47.ヒト胚体内胚葉系列細胞を少なくとも75ng/mLのWntファミリーメンバーと接触させる、実施形態10に記載の方法。
実施形態48.ヒト胚体内胚葉系列細胞をTGFβスーパーファミリー成長因子およびWntファミリーメンバーの5分の1〜15分の1のERBB受容体キナーゼ活性化作用物質と接触させる、実施形態37に記載の方法。
実施形態49.前記細胞集団の少なくとも10%が未成熟ベータ細胞である、実施形態10に記載の方法。
実施形態50.前記細胞集団の少なくとも20%が未成熟ベータ細胞である、実施形態10に記載の方法。
実施形態51.前記細胞集団の少なくとも30%が未成熟ベータ細胞である、実施形態10に記載の方法。
実施形態52.前記細胞集団の少なくとも40%が未成熟ベータ細胞である、実施形態10に記載の方法。
実施形態53.前記細胞集団の少なくとも50%が未成熟ベータ細胞である、実施形態10に記載の方法。
実施形態54.前記細胞集団の少なくとも60%が未成熟ベータ細胞である、実施形態10に記載の方法。
実施形態55.前記細胞集団の少なくとも70%が未成熟ベータ細胞である、実施形態10に記載の方法。
実施形態56.前記細胞集団の少なくとも80%が未成熟ベータ細胞である、実施形態10に記載の方法。
実施形態57.前記細胞集団の少なくとも90%が未成熟ベータ細胞である、実施形態10に記載の方法。
実施形態58.未成熟ベータ細胞が、INSおよびNKX6.1を発現し、NGN3を実質的に発現しない、実施形態10に記載の方法。
実施形態59.未成熟ベータ細胞が、INS、NKX6.1およびMFABを発現し、NGN3を実質的に発現しない、実施形態10に記載の方法。
実施形態60.INSおよびNKX6.1を発現し、NGN3を実質的に発現しない、in vitro単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態61.成熟ベータ細胞へと成熟することができる、実施形態60に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態62.MAFBをさらに発現する、実施形態60に記載の単能性ヒト未成熟ベータ細胞。
実施形態63.単能性ヒト未成熟ベータ細胞を生成する方法であって、ヒト胚体内胚葉系列細胞をin vitroでTGFβスーパーファミリーメンバーおよびWntファミリーメンバーと接触させ、それにより、単能性ヒト未成熟ベータ細胞を生成するステップを含む方法。
実施形態64.前記単能性ヒト未成熟ベータ細胞が、INS、NKX6.1を発現し、NGN3を実質的に発現しない、実施形態63に記載の方法。
実施形態65.ヒト胚体内胚葉系列細胞をin vitroでERBB受容体キナーゼ活性化作用物質と接触させるステップをさらに含む、実施形態63に記載の方法。
実施形態66.TGFβスーパーファミリー成長因子がアクチビンAである、実施形態63に記載の方法。
実施形態67.WntファミリーメンバーがWnt3aである、実施形態63に記載の方法。
実施形態68.ERBB受容体キナーゼ活性化作用物質がヘレグリンである、実施形態65に記載の方法。
実施形態69.成熟ベータ細胞をin vivoで生成するための方法であって、a.ヒト胚体内胚葉系列細胞をin vitroでTGFβスーパーファミリーメンバーおよびWntファミリーメンバーと接触させ、それにより、未成熟ベータ細胞を生じさせるステップと、b.ステップ(a)の未成熟ベータ細胞を哺乳動物対象に移植するステップと、c.未成熟ベータ細胞をin vivoで成熟させて、インスリン分泌ベータ細胞を含む細胞の集団を生成するステップとを含む方法。
実施形態70.ヒト胚体内胚葉系列細胞をin vitroでERBB受容体キナーゼ活性化作用物質と接触させるステップをさらに含む、実施形態69に記載の方法。
実施形態71.TGFβスーパーファミリー成長因子がアクチビンAである、実施形態69に記載の方法。
実施形態72.WntファミリーメンバーがWnt3aである、実施形態69に記載の方法。
実施形態73.ERBB受容体キナーゼ活性化作用物質がヘレグリンである、実施形態70に記載の方法。
実施形態74.ヒト胚体内胚葉系列細胞を少なくとも50ng/mLのTGFβスーパーファミリー成長因子と接触させる、実施形態69に記載の方法。
実施形態75.ヒト胚体内胚葉系列細胞を少なくとも25ng/mLのWntファミリーメンバーと接触させる、実施形態69に記載の方法。
実施形態76.ヒト胚体内胚葉系列細胞をTGFβスーパーファミリー成長因子およびWntファミリーメンバーの5分の1〜15分の1ERBB受容体キナーゼ活性化作用物質と接触させる、実施形態70に記載の方法。
実施形態77.未成熟ベータ細胞が、INSおよびNKX6.1を発現し、NGN3を実質的に発現しない、実施形態69に記載の方法。
実施形態78.未成熟ベータ細胞が、INS、NKX6.1およびMAFBを発現し、NGN3を実質的に発現しない、実施形態69に記載の方法。