JP2018182040A - 圧粉磁心用粉末 - Google Patents

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隆久 山本
哲嗣 久世
Tetsutsugu Kuze
哲嗣 久世
澤田 俊之
Toshiyuki Sawada
俊之 澤田
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Abstract

【課題】 金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えた、コアロス特性および透磁率両立優れる圧粉磁心用粉末粉末を提供する。【解決手段】 質量%で、Si:1〜10%、Cr:0.01〜10%、Al:0〜10%含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えており、該皮膜が、チタンアルコキシド類とシリコンアルコキシド類の混合物の重合物からなることを特徴とする圧粉磁心用粉末。【選択図】 図1

Description

本発明は、圧粉磁心用粉末に関し、特に、モーター、インバーター、コンバーター等のリアクトル、スイッチング電源等の電圧制御装置等で使用される圧粉磁心のための粉末に関する。
近年、モーター、インバーター、コンバーター等のリアクトル、スイッチング電源等の電圧制御装置等には、圧粉磁心が使用される。圧粉磁心は、金属粉末とこれを覆う絶縁性の皮膜とから構成された粉末を加圧成形することにより形成される。特に、圧粉磁心には、外部からの磁界変化に対して敏感に反応できる磁気的特性が求められている。
圧粉磁心を交流磁場内で使用した場合、コアロス(鉄損とも称される)と呼ばれるエネルギー損失が発生する。コアロスは、ヒステリシス損失と渦電流損失との和で示される。低周波域では、ヒステリシス損失が支配的となる。また、高周波域では、渦電流損失が支配的となる。
そこで、圧粉磁心のコアロス特性を向上すべく、様々な検討がなされている。圧粉磁心のための粉末に関する検討例が、特開2014−143286号公報(特許文献1)および特開2015−26661号公報(特許文献2)に開示されている。例えば、その特許文献1には、成形品が充分な強度を有し、成形時の金型への負担を軽減することができる軟磁性体組成物およびその製造方法、磁芯、並びに、コイル型電子部品を目的とする軟磁性体組成物が提案されている。
また、特許文献2は、鉄を主成分とした金属粉末と、この金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とからなり、該皮膜が、チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類との混合物の重合物からなる圧粉磁心用粉末が提案されている。
特開2014−143286号公報 特開2015−26661号公報
上述した、特許文献1に記載の粉末はクロム(Cr)をCr換算で1.5〜8質量%、ケイ素(Si)をSi換算で1.4〜9質量%含有し、残部が鉄(Fe)で構成され、前記粒界には、Siを含有する層が存在することを特徴とする軟磁性体組成物である。この軟磁性体組成物から得られる圧粉磁心は確かにコアロスは低いが、しかし、Siを含有する層の形成し所定量の絶縁性を得るには厚膜とする必要がある場合があり、絶縁性は確保されるが圧粉磁心の密度や透磁率が低下することがある。
また、特許文献2に記載の粉末は、鉄を主成分とした金属粉末と、この金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えており、上記皮膜が、チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類の混合物の重合物からなる圧粉磁心用粉末である。上記被膜では皮膜の形成で所定量の絶縁性を得るには厚膜とする必要がある場合があり、絶縁性は確保されるが圧粉磁心の密度や透磁率が低下することがある。
上述した問題を解消するために、発明者らは鋭意検討した結果、金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えた、コアロス特性および透磁率両立優れる圧粉磁心の作製のための粉末を見出し発明に至った。その発明の要旨とするところは、
(1)質量%で、Si:1〜10%、Cr:0.01〜10%、Al:0〜10%含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えており、該皮膜が、チタンアルコキシド類とシリコンアルコキシド類の混合物の重合物からなることを特徴とする圧粉磁心用粉末。
(2)前記(1)において、コーティングされる粉末の最表面Alα線をX線励起源とした光電子分光で分析し、得られる、光電子強度のうち705eV〜715eVの範囲内にあるFe由来の光電子強度とFeOOH由来光電子強度の比Aが1〜10となることを特徴とする圧粉磁心用粉末。
(3)前記(1)において、コーティングされる粉末の最表面Alα線をX線励起源とした光電子分光で分析し、得られる、光電子強度のうち525eV〜535eVの範囲内にあるFe23 、Al23 、SiO2 、Cr23 由来の光電子強度と水酸基由来光電子強度の比Bが1〜10となることを特徴とする圧粉磁心用粉末にある。
本発明に係る圧粉磁心用粉末では、質量%で、Si:1〜10%、Cr:0.01〜10%、Al:0〜10%含む粉末と、残部がFeおよび不可避不純物からなる金属粉末金属粉末が絶縁性の皮膜で覆われている。この金属粉末に積層された絶縁性の皮膜はチタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類の混合物の重合物からなる。チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類の混合物は適切な反応速度で重合するので、クラックが少ない上に厚さが薄い絶縁膜が形成される。この絶縁被膜を有する粉末は、コアロス特性に寄与しうる。本発明の粉末によれば、コアロス特性に優れる圧粉磁心が得られる。
本発明の一実施形態に係る圧粉磁心用粉末の断面図である。
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づいて適宜図面を参照しつつ、詳細に説明する。まず、本発明に係る成分組成の限定理由について説明する。
Si:1〜10%
Siは、磁気特性と成形品としての強度を得るためのもので、1%未満では、その効果が十分得られない。また、10%超えるとその効果が飽和することから、その範囲を1〜10%とした。好ましくは4〜8%とする。
Cr:0.01〜10%
Crは、強度および磁気特性を得るためのもので、0.01%未満では、その効果が十分得られず、また、10%超えるとその効果が飽和することから、その範囲を0.01〜10%とした。好ましくは1〜8%とする。
Al:0〜10%
Alは、選択元素として添加するもので、上記同様に、強度および磁気特性を得るためのものである。しかし、10%超えるとその効果が飽和することから、その範囲を0〜10%とした。好ましくは3〜6%とする。
本発明に係る圧粉磁心用粉末は、絶縁層の金属粉末の被覆率が80%以上100%以下であることが好ましい。また、絶縁層の厚さは1nm以上200nm以下である。この第一層は、チタンの酸化物からなる。さらに、本発明に係る圧粉磁心は、上記粉末から形成されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧粉磁心用粉末の断面図である。この図に示すように、本発明に係る圧粉磁心は粉末1から形成される。この圧粉磁心の製造では、無数の粉末1からなる基材粉体が準備される。この基材粉体が、金型に投入される。金型内で、基材粉体が加圧される。これにより、成形体が得られる。加圧の際、潤滑剤やバインダー等を使用してもよい。その後、成形体が熱処理され、圧粉磁心が得られる。
粉末1は、金属粉末2と皮膜3とを備えている。この粉末1は、金属粉末2と皮膜3とから構成されている。皮膜3は、金属粉末2の表面に付着している。この金属粉末2は、例えば、ガスアトマイズ法又は水アトマイズ法又はディスクアトマイズ法により得られる金属の粒子である。粉砕等の機械的プロセスにより得られた金属の粒子が、金属粉末2として用いられてもよい。酸化物の還元等の化学的プロセスにより得られた金属の粒子が、金属粉末2として用いられてもよい。
本発明に係る粉末1は、金属粉末2は鉄を主成分とする軟磁性材料であるが、高周波用途でのコアロス特性低減が望まれることから、Siを1〜10%、Cr:0.01〜10%、Al:0〜10%含み、残部がFeおよび不可避不純物からなるものである。このような金属粉末2として、Fe−3%Si−2%Cr粉末、Fe−6.5%Si−3%Cr粉末、Fe−3%Si−5%Cr粉末およびFe−9.5%Si−7%Cr−5.5%Al粉末が挙げられる。
皮膜3は、絶縁性である。図示されているように、皮膜3は金属粉末2を覆う。皮膜3は、チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類の混合物の重合物からなる。この皮膜3は2以上の層で構成されてもよい。コアロス特性の観点から、金属粉末2の全体がこの被膜3で覆われているのが好ましい。
皮膜3は、チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類の混合物の重合物からなる。本発明では、チタンアルコキシド類とは1分子中にあるチタン原子に少なくとも1つのアルコキシド基が結合している化合物のことである。また本発明では、ケイ素アルコキシド類とは1分子中にあるケイ素原子に少なくとも1つのアルコキシド基が結合している化合物のことである。
また、本発明では、アルコキシド基とは有機基が負の電荷を持つ酸素と結合した化合物のことである。有機基とは、有機化合物からなる基のことである。チタンアルコキシド類およびケイ素アルコキシド類という概念には、チタンアルコキシドおよびケイ素アルコキシドのモノマー、このモノマーが複数重合されて形成されたオリゴマー、及び、チタンアルコキシドやケイ素アルコキシドが生成する前の段階の化合物(以下、前駆体とも称される。)が含まれる。
チタンアルコキシドの具体例として、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド及びイソプロピルトリドデシルベンゼンスフォニルチタネートが挙げられる。
また、ケイ素アルコキシドの具体例として、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
以上、説明された粉末1については、種々のコーティング方法で作製が可能である。コーティング方法としては、混合法、ゾル・ゲル法、スプレードライヤー法及び転動流動層法が挙げられる。
本発明で用いるチタンアルコキシド類及びケイ素アルコキシド類は溶剤で希釈して用いることができる。この溶剤としては、チタンアルコキシド類又はケイ素アルコキシド類を溶解又は分散させうるものであればよく、この溶剤に特に制限はない。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸エチル、プロピオン酸エチル及びテトラヒドロフランが挙げられる。
この粉末1では、皮膜3の形成にはチタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類の混合物が用いられる。チタンアルコキシド類とシランアルコキシド類の混合物はチタンアルコキシド類、シランアルコキシド類、アルミニウムアルコキシド類、ジルコニウムアルコキシド類等のアルコキシド類単体と比較して、適切な反応速度で金属粉末2の表面で重合していく。この皮膜3は、チタン及びしシリコンの酸化物からなる。チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類の混合物からから形成された皮膜3では、クラックが少ない。しかもこの皮膜3は薄い。この皮膜3は、この粉末1から形成された圧粉磁心の磁気特性の向上に寄与しうる。本発明によれば、磁気特性に優れる圧粉磁心が得られる。
チタンアルコキシド類としてチタンアルコキシドのオリゴマーを皮膜3の形成に用いた場合、このチタンアルコキシド類としてチタンアルコキシドのモノマーをこの皮膜3の形成に用いた場合に比して、このチタンアルコキシド類がより適切な反応速度で重合する。このため、この皮膜3ではクラックの発生がより効果的に抑えられる上に、より薄い皮膜3が得られる。この皮膜3は、コアロス特性の低減及び磁気特性の向上に寄与しうる。したがって、本発明では、適切な反応速度及び磁気特性の向上の観点から、チタンアルコキシド類としてはチタンアルコキシドのオリゴマーが好ましい。
チタンアルコキシドのオリゴマーは、チタンアルコキシドのモノマーを複数重合することにより得られる。換言すれば、チタンアルコキシドのオリゴマーはチタンアルコキシドのモノマーから形成されたものである。オリゴマーをなすモノマーの数は、皮膜3の形成時におけるチタンアルコキシド類の反応速度に影響する。適切な反応速度の観点から、チタンアルコキシドのオリゴマーをなすモノマーの数は、4以上が好ましく、50以下が好ましい。
この粉末1では、皮膜3の形成にはチタンアルコキシド類及びケイ素アルコキシドを含むものの重合物からなる。この場合、皮膜3はチタン及びケイ素の酸化物からなる。チタンアルコキシド類にケイ素アルコキシドを加えることで、より適切な反応速度で重合が可能となる。ケイ素は、高周波用途でのコアロス低減に寄与しうる。このケイ素の添加により、金属粉末2と皮膜3との密着性が向上する。皮膜3同士の密着性も向上する。これにより、圧縮成形時における皮膜3の金属粉末2からの剥離が低減されるので、コアロス特性に優れる圧粉磁心が得られる。
また、コアロス特性に優れる圧粉磁心が得られるとの観点から、皮膜3に含まれるケイ素の質量に対するチタンの質量の比Aは2以上6以上が好ましい。この比Aが6よりも大きくなると皮膜3に含まれるTi成分が過剰となり、皮膜3の密着性が劣化する。皮膜3の密着性が劣化すると圧縮成形時に皮膜3が剥離するため、圧粉磁心の渦電流損失が増大し、コアロスが増加してしまう。安定した皮膜3の形成の観点から、この比Aは5.5以下がより好ましい。この比Aが2よりも小さくなると皮膜3に含まれるSi成分が過剰となり、皮膜3の耐熱性が劣化する。皮膜3の耐熱性が劣化すると熱処理により皮膜3が破壊されるため、圧粉磁心の渦電流損失が増大し、コアロスが増加してしまう。安定した皮膜3の形成の観点から、この比Aは3.5以上がより好ましい。
この粉末1では、皮膜3による金属粉末2の被覆率Cは80%以上100%以下が好ましい。前述したように、皮膜3は粉末1から形成された圧粉磁心のコアロス特性に寄与しうる。コアロス特性の観点から、皮膜3による金属粉末2の被覆率Cは90%以上がより好ましい。特に好ましくは、この被覆率Cは100%である。図1に示された粉末1において、皮膜3による金属粉末2の被覆率Cは100%である。この皮膜は、金属粉末2の全体を覆っている。
本発明では、皮膜3による金属粉末2の被覆率Cの算出には、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影された粉末1の断面画像が用いられる。詳細には、TEMにて観察される無数の粉末1の中から、金属粉末2と皮膜3との境界の確認が可能な状態で10視野撮影される。撮影により得た写真において、金属粉末2が皮膜3で被覆されている長さ(以下、被覆長さとも称される。)及び金属粉末2の表面の長さが計測される。本発明では、皮膜長さを金属粉末2の表面の長さで除したものを百分率で表した数値が、被覆率Cとして表されている。
図1において、両矢印Tは皮膜3の厚さを表している。本発明では、厚さTは粉末1の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて10視野撮影し、この撮影された断面の画像から得た計測値の平均値で表される。なお、撮影に際し、試料としての粉末1には収束イオンビーム(FIB)加工により粉末1の断面が観察可能となるような調整がなされている。
皮膜3の厚さTは、粉末1から形成された圧粉磁心の磁気特性に影響する。この厚さTが1nmよりも小さくなると、成形された圧粉磁心にトンネル電流が発生し、渦電流損失が増加し磁気特性が劣化する。この観点から、この厚さTは1nm以上が好ましい。この厚さTが200nmよりも大きくなると、圧粉磁心の密度が低下してしまう。この場合、飽和磁束密度等の磁気特性が悪化する恐れがある。この観点から、この厚さTは200nm以下が好ましい。
この粉末1では好ましくは、コーティングされる粉末の最表面のAlα線をX線励起源とした光電子分光で分析し、得られる、光電子強度のうち705eV〜715eVの範
囲内にあるFe由来の光電子強度とFeOOH強度の比Aが1:(1〜10)である。チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類は粉末表面FeOOHと結合し、粉末表面と密着する。粉末表面に水酸基が少ないと密着性が低下する為、所定量の絶縁性を得るには多くのコーティング原料が必要となり、圧粉磁心の密度低下及び透磁率低下に影響を与える。逆に水酸基量が多すぎると、密着力が増大し粉末の凝集に繋がる。より好ましくはAは1:(2〜5)である。
また、この粉末1では好ましくは、コーティングされる粉末の最表面のAlα線をX線
励起源とした光電子分光で分析し、得られる、光電子強度のうち525eV〜535eVの範囲内にあるFe23 、Al23 、SiO2 、Cr23 由来の光電子強度と水酸基由来光電子強度の比Bは1:(1〜10)である。チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類は粉末表面の水酸基とも結合し、粉末表面と密着する。粉末1はSiを1〜10%、Crを0.01〜10%含み、残部がFeおよび不可避不純物からなるとき、比Bが1:(1〜10)となるとコーティング膜の密着性が最適となる。値Bが1:1未満となると被膜の密着性が低下し、所定量の絶縁性を得るには多くのコーティング原料が必要となり、圧粉磁心の密度低下及び透磁率低下に影響を与える。比Bが1:10以上となると密着力が増大し粉末の凝集に繋がる。より好ましくはAは1:(2〜5)である。
光電子分光法(XPS)は試料表面にX線であるAlα線を照射し、試料表面から放出される光電子の運動エネルギーを計測することで、試料表面を構成する元素の組成、化学結合状態を分析する手法である。この装置としてはアルバックファイ株式会社のPHI5000 VersaProbe IIIがある。この装置で分析を行い各由来の光電子強度を得ることで比AおよびBを導出することが可能である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて
本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[圧粉磁心の製作]
圧粉磁心の製作に先だって、下記の表1〜2に示された各例の粉末を製作した。この粉末の製作では、無数の金属粉末からなる粉体(10kg)が準備された。
チタンアルコキシド類をとケイ素アルコキシドを含む第一処理液を用いて、金属粉末に第一層を形成させ、図1に示された粉末を作製した。第一層の形成に用いられたチタンアルコキシドのオリゴマーは、このチタンアルコキシドのモノマーに溶剤を適量添加して作製された。なお、表1がFeにSi、Crを含む成分、表2がFeにSi、CrおよびAlを含む合金についてそれぞれ示している。
作製した無数の粉末からなる基材粉体を、圧力1520MPaで加圧成形し、外径30mm、内径18mm、高さ5mmのトロイダル形状の成形体(圧粉体)を作製した。この成形体について、アルゴン雰囲気下で850℃で熱処理を施すことにより、圧粉磁心を得た。
[圧粉磁心の評価]
作製した圧粉磁心について、密度及を測定し、同じ成分の粉末の絶縁被覆していない粉末から得た圧粉体を100%としたときの密度比を比較した。この結果が、下記の表1〜2に示されている。
また、密度の値に基づき、下記の格付けを行った。
A:密度比が90%以上
B:密度比が90%未満かつ、85%以上
C:密度比が85%未満かつ80%以上
D:密度比が80%未満かつ75%以上
E:密度比が75%未満
この結果が、下記の表1,2に示されている。A、B、C、D、Eの順に良好である。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
表1、2に示すように、No.1〜33、39〜71は本発明例であり、No.34〜38、72〜76は比較例である。
比較例No.34〜38、および72〜76は、Cr含有量が0.01%未満で、コーティングの未着性が悪く圧縮体の密度比が80%未満と低く、コアロスや透過率が悪い。これに対して、本発明例No.1〜33、39〜71は、いずれも、Si:1〜10%、Cr:0.01〜10%、Al:0〜10%含有した粉末を、チタンアルコキシドおよびケイ素アルコキシドで被覆したものである。また、Fe由来の光電子強度とFeOOH強度の比A、およびFe23 、Al23 、SiO2 、Cr23 由来の光電子強度と水酸基由来光電子強度の比Bが1〜10を条件を満足していることから、圧縮体の密度比が80%以上と高く、コアロスや透過率が高く優れていることが分かる。なお、圧縮体の密度比はA、B、C、D、Eの順でランク付けされ、実施例の条件が有利であることはあきらかである。
以上の述べたように、本発明に係る圧粉磁心用粉末では、金属粉末に積層された絶縁性の皮膜はチタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類の混合物の重合物からなることから。チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類の混合物は適切な反応速度で重合するので、クラックが少ない上に厚さが薄い絶縁膜が形成される。この絶縁被膜を有する粉末は、コアロス特性に寄与しうることから、コアロス特性に極めて優れる圧粉磁心が得られる。
以上説明された方法は、種々の圧粉磁心のための粉末の製造にも適用されうる。
1・・・粉末
2・・・金属粉末
3・・・皮膜


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊

Claims (3)

  1. 質量%で、Si:1〜10%、Cr:0.01〜10%、Al:0〜10%含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えており、該皮膜が、チタンアルコキシド類とシリコンアルコキシド類の混合物の重合物からなることを特徴とする圧粉磁心用粉末。
  2. 請求項1において、コーティングされる粉末の最表面Alα線をX線励起源とした光電子分光で分析し、得られる、光電子強度のうち705eV〜715eVの範囲内にあるFe由来の光電子強度とFeOOH由来光電子強度の比Aが1〜10となることを特徴とする圧粉磁心用粉末。
  3. 請求項1において、コーティングされる粉末の最表面Alα線をX線励起源とした光電子分光で分析し、得られる、光電子強度のうち525eV〜535eVの範囲内にあるFe23 、Al23 、SiO2 、Cr23 由来の光電子強度と水酸基由来光電子強度の比Bが1〜10となることを特徴とする圧粉磁心用粉末。
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