JP2021040083A - 樹脂磁性コア - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄損が低減された樹脂磁性コアを提供する。【解決手段】軟磁性粉末と、軟磁性粉末を分散した状態で内包する樹脂とを含む複合材料の成形体である樹脂磁性コアにおいて、軟磁性粉末として、Fe−Si−Al系軟磁性粉末であり、粉末を構成する粒子の表面が粒子内部の低合金組成域よりも硬質である酸化アルミニウム膜により被覆されている軟磁性粉末を使用する。樹脂起因の応力の軟磁性部への影響を緩和させ、鉄損が低減される。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂磁性コアに関する。
ハイブリッド自動車、電気自動車、太陽光発電装置などでは、リアクトルが用いられ、このリアクトルは、圧粉磁心(本明細書等では、「圧粉コア」ともいう)であるリング状のコアにコイルを巻いた構造が採用されている。この圧粉コアの製造に用いられる圧粉コア用粉末には、優れた特性が求められる。
例えば、特許文献1には、軟磁性粒子と、該軟磁性粒子の表面を被覆する酸化アルミニウムからなる第1被覆層と、該軟磁性粒子の焼鈍温度よりも低い軟化点を有する低融点ガラスからなり該第1被覆層の少なくとも一部の表面を被覆する第2被覆層と、を有することを特徴とする圧粉コアが記載されている。
特許文献2には、Zrの含有量が0.020質量%以下であるFe−Si−Al系軟磁性粉末を1000℃以下で熱処理して酸化皮膜を形成する工程と、焼鈍温度よりも低い軟化点温度を有する低融点ガラスを添加し、圧粉コア用粉末を調製する工程と、前記圧粉コア用粉末を圧縮成形して圧粉成形体を形成する工程と、該圧粉成形体を焼鈍する工程と、を有する、圧粉コアの製造方法が記載されている。
一方で、成形性や生産性をさらに向上するためのリアクトル用のコア材料の一つとして、軟磁性粉末と樹脂とを混合し硬化させることでバルク化させた樹脂磁性コアがある。
従来の樹脂磁性コアには、鉄損をさらに低減させるという要望が未だ存在する。
そこで、本発明は、鉄損が低減された樹脂磁性コアを提供することを課題とする。
一般に、プレス成形などにより形成される圧粉コアでは、プレス時に軟磁性部に生じる歪を650℃以上の焼鈍熱処理によって除去し、鉄損(ヒステリシス損)を回復させる。
一方で、樹脂磁性コアの鉄損は、軟磁性粉末と樹脂との混合時、樹脂の硬化時などにおいて、例えば衝突による応力や樹脂起因の応力である樹脂硬化時の収縮応力などが軟磁性粉末に印加されることで軟磁性部に歪が生じ、増大し得る。しかしながら、樹脂磁性コアでは、樹脂の耐熱性が一般的に100℃〜300℃であるため、圧粉コアにおける焼鈍熱処理を実施することができない。
そこで、本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、軟磁性粉末と、軟磁性粉末を分散した状態で内包する樹脂とを含む複合材料の成形体である樹脂磁性コアにおいて、軟磁性粉末として、Fe−Si−Al系軟磁性粉末であり、粉末を構成する粒子の表面が粒子内部の低合金組成域よりも硬質である酸化アルミニウム膜により被覆されている軟磁性粉末を使用することにより、樹脂起因の応力の軟磁性部への影響を緩和させ、鉄損が低減された樹脂磁性コアを提供することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)軟磁性粉末と、軟磁性粉末を分散した状態で内包する樹脂とを含む複合材料の成形体である樹脂磁性コアであって、
軟磁性粉末が、Fe−Si−Al系軟磁性粉末であり、
軟磁性粉末の粒子表面が、酸化アルミニウム膜により被覆されている
樹脂磁性コア。
(1)軟磁性粉末と、軟磁性粉末を分散した状態で内包する樹脂とを含む複合材料の成形体である樹脂磁性コアであって、
軟磁性粉末が、Fe−Si−Al系軟磁性粉末であり、
軟磁性粉末の粒子表面が、酸化アルミニウム膜により被覆されている
樹脂磁性コア。
本発明により、鉄損が低減された樹脂磁性コアが提供される。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の樹脂磁性コアは、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の樹脂磁性コアは、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、軟磁性粉末と、軟磁性粉末を分散した状態で内包する樹脂とを含む複合材料の成形体である樹脂磁性コアであって、軟磁性粉末が、Fe−Si−Al系軟磁性粉末であり、軟磁性粉末の粒子表面が、酸化アルミニウム膜により被覆されている樹脂磁性コアに関する。
ここで、軟磁性粉末は、Fe−Si−Al系軟磁性粉末である。Fe−Si−Al系軟磁性粉末は、強磁性元素であるFeを主成分とし、Al及びSiを含むFe−Si−Al合金である。
軟磁性粉末におけるSi含有量は、軟磁性粉末全体に対して(軟磁性粉末全体を100質量%として)、通常0.5質量%〜10.0質量%、好ましくは3.0質量%〜10.0質量%である。軟磁性粉末におけるSi含有量は、例えばICP分析により測定することができる。
Siの含有量が前記下限値以上である場合、樹脂磁性コアの鉄損の増加を効果的に抑えることができる。Siの含有量が前記上限値以下である場合、樹脂磁性コアの良好な磁気特性、例えば磁束密度を得られ易い。
軟磁性粉末におけるAl含有量は、軟磁性粉末全体に対して(軟磁性粉末全体を100質量%として)、通常0.5質量%〜5.0質量%、好ましくは3.0質量%〜5.0質量%である。軟磁性粉末におけるAl含有量は、例えばICP分析により測定することができる。
Alの含有量が前記下限値以上である場合、樹脂磁性コアの鉄損の増加を効果的に抑えることができる。Alの含有量が前記上限値以下である場合、樹脂磁性コアの良好な磁気特性、例えば磁束密度を得られ易い。
軟磁性粉末におけるAlとSiの合計含有量は、軟磁性粉末全体に対して(軟磁性粉末全体を100質量%として)、通常15質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。
軟磁性粉末の粒子表面は、酸化アルミニウム膜により被覆されている。
軟磁性粉末の粒子表面が酸化アルミニウム膜により被覆されていることで、粒子間の絶縁性が向上し渦電流損失が低減できるとともに、磁性体間距離が確保できることにより高磁界域でのインダクタンス性能もまた向上する。さらに、粉末を構成する粒子の表面が粒子内部よりも硬質である酸化アルミニウム膜により被覆されていることにより、樹脂磁性コアにおいて、軟磁性粉末に印加された樹脂起因の応力による軟磁性部の歪を緩和させ、当該応力から軟磁性部を保護することで、鉄損の悪化が抑制される。
酸化アルミニウム膜の平均膜厚は、通常0.05μm〜5μm、好ましくは0.05μm〜3μmである。
酸化アルミニウム膜の膜厚は以下のように測定することができる。まず、酸化アルミニウム膜が被覆されている軟磁性粉末について、ふるいを用いて規定の粒度に分級し、その粉末を樹脂に埋め込んだ後、鏡面研磨して粉末断面を露出させる。この観察用サンプルをFE−SEMを用いて観察し、球状粒子の中心を通る断面付近を観察するため、分級したふるいの粒度と同程度の直径の粉末断面像を選択し、その粉末断面像より膜厚を測定する。当該測定を、任意で選択した7個以上の粒子について各々10箇所を測定し、それらの値を平均化する。
酸化アルミニウム膜の膜厚が前記範囲であることにより、高磁界域でのインダクタンス性能を高く維持することができる。
軟磁性粉末の粒径(メディアン径)は、限定されないが、酸化アルミニウム膜が被覆された状態で、通常10μm〜300μm、好ましくは50μm〜250μmである。
軟磁性粉末の粒径が前記下限値以上である場合、樹脂磁性コアのヒステリシス損失の増加を抑制しやすくなる。さらに、軟磁性粉末の粒径が前記上限値以下である場合、樹脂磁性コアの渦電流損失の増加や樹脂磁性コアの強度低下を抑制しやすくなる。
軟磁性粉末の平均結晶粒径は、限定されないが、切断法により測定した場合、通常10.0μm以上、好ましくは13.0μm以上である。ここで、切断法とは、光学顕微鏡にて得られた画像において、粉末一粒の断面中央を通過する縦・横(各1本)の直線を引き、粉末にかかる線分の長さ、直線が通過する結晶粒の数を計測し、式1より算出する。
[平均結晶粒径]=[粉末にかかる線分の長さ]/[結晶粒の数]・・・式1
例えば、特開2018−206787号公報を参照されたい。
[平均結晶粒径]=[粉末にかかる線分の長さ]/[結晶粒の数]・・・式1
例えば、特開2018−206787号公報を参照されたい。
軟磁性粉末の結晶粒径が前記範囲であることで、良好な鉄損特性を得ることができる。つまり、粒界は交流の磁界が軟磁性材料に印加される際の磁束変動の抵抗となり、これがヒステリシス損失の増加につながる。したがって、結晶粒径が大きくなると粒子内の粒界量が少なくなり、結晶粒径が小さくなると粒子内の粒界量が多くなる相関があるため、結晶粒径が大きくなることで、ヒステリシス損失の悪化を抑制することができる。
本発明の樹脂磁性コアにおいて、樹脂は、軟磁性粉末を分散した状態で内包している。樹脂は、限定されないが、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である。
熱可塑性樹脂としては、限定されないが、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、限定されないが、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明の樹脂磁性コアにおいて、樹脂の含有量は、樹脂磁性コア全体に対して(樹脂磁性コア全体を100質量%として)、通常5質量%〜99質量%、好ましくは70質量%〜95質量%である。
本発明の樹脂磁性コアにおける樹脂の含有量が前記範囲であることで、良好な磁束密度を確保できる。
本発明における樹脂が軟磁性粉末を分散した状態で内包している樹脂磁性コアは、リアクトル用のコア材料以外にも、樹脂磁性コアを用いる全てのデバイス、例えばインダクタなどに使用することができる。
図1に、本発明の樹脂磁性コアの一例を模式的に示す。図1では、本発明の樹脂磁性コアでは、酸化アルミニウム膜により被覆されたFe−Si−Al合金粒子が樹脂中に分散しており、酸化アルミニウム膜によって、Fe−Si−Al合金粒子内部の軟磁性部に、硬化時の収縮などによる樹脂起因の応力による歪が生じるのを抑制し、鉄損の悪化を抑制している。したがって、従来技術のように、軟磁性材料を高合金化したり、アモルファス化したりすることによって軟磁性材料自体を硬質化することがないので、軟磁性材料の良好な磁束密度を維持したまま、鉄損の悪化を抑制することができる。
本発明の樹脂磁性コアは、軟磁性粉末として前記で説明した軟磁性粉末を使用すること以外は、当該技術分野において公知の方法により製造することができる。本発明の樹脂磁性コアは、例えば、以下のように製造することができる。
まず、Fe−Si−Al系軟磁性粉末を準備する。Fe−Si−Al系軟磁性粉末は、アトマイズ法にて作製することができる。Fe−Si−Al系軟磁性粉末としては、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、又は粉砕法などにより調製された粉末を挙げることができる。
続いて、準備したFe−Si−Al系軟磁性粉末を、通常1000℃以下で熱処理する。当該熱処理により、Fe−Si−Al系軟磁性粉末の粒子表面に酸化皮膜(酸化アルミニウム膜)が形成される。なお、1000℃超で熱処理を行うと、結晶粒の成長は促進できるが、軟磁性粉末内部まで酸化が進行してしまい、鉄損が悪化する可能性がある。
Fe−Si−Al系軟磁性粉末の熱処理温度は、通常600℃以上であり、好ましくは700℃以上であり、より好ましくは800℃以上である。
加熱時間は、特に制限されるものではなく、例えば、通常0.5時間〜10時間である。熱処理は、例えば、大気中で行うことができる。
酸化皮膜の主な構成成分は、酸化アルミニウム(Al2O3)であり、その他に、酸化ケイ素、及び/又は酸化鉄などが含まれ得る。酸化皮膜は、絶縁性、磁気特性及びガラスとの相性等の観点から、実質的に酸化アルミニウムからなることが好ましい。合金組成又は形成条件により、標準生成自由エネルギーが低い酸化アルミニウムを軟磁性粉末表面に優先的に形成させることができる。また、酸化皮膜を軟磁性粉末表面に形成されることで、絶縁性を向上できる。
さらに、酸化アルミニウム膜が被覆されているFe−Si−Al系軟磁性粉末と、前記樹脂とを前記質量範囲で混合し、複合化させ、樹脂を硬化させることによりバルク化させ、樹脂磁性コアを製造する。
図2に、本発明の樹脂磁性コアの調製方法の工程フローの一例を示す。(1)の工程では、アトマイズにより軟磁性粉末を準備する。(2)の工程では、(1)の工程で準備した軟磁性粉末を熱処理することで粒子表面に酸化アルミニウム膜を形成させる。熱処理は、例えば、大気中、650℃〜1000℃の温度で、0.3時間〜5時間実施する。(3)の工程では、(2)の工程において粉末同士が固着した場合に解砕を実施する。解砕には、乳鉢、ふるいなどを使用する。(4)の工程では、(2)の工程で熱処理して粒子表面に酸化アルミニウム膜を形成させ、場合により解砕した軟磁性粉末と樹脂とを混合する。ここで、樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合には、軟磁性粉末と液体の樹脂とを混合し、樹脂として熱可塑性樹脂を使用する場合には、樹脂を加熱して軟磁性粉末と混練し、ペレットを作製する。(5)の工程では、(4)の工程で調製した軟磁性粉末と樹脂との混合物を成形する。ここで、樹脂として熱硬化性樹脂を使用した場合には、混合物を型に充填した後、硬化熱処理を実施し、樹脂として熱可塑性樹脂を使用した場合には、射出成形機により成形する。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
1.試料調製
(実施例1)
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、Alを3.5質量%、残部としてFeを含むFe−Si−Al合金粉末(93.5Fe−3.0Si−3.5Al)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(実施例1)
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、Alを3.5質量%、残部としてFeを含むFe−Si−Al合金粉末(93.5Fe−3.0Si−3.5Al)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(2)次に、(1)で用意した軟磁性粉末を大気中で950℃にて2時間熱処理した。この熱処理により、軟磁性粉末の粒子表面に平均膜厚約600nmの酸化アルミニウム膜を形成した。酸化アルミニウムの形成は、オージェ電子分光法(AES)により軟磁性粉末の粒子表面を深さ方向に電子線を当てることで掘り進めながら元素分析を実施することで確認した(図6)。その後、粉末を解砕し、粒子表面に酸化アルミニウム膜が形成された軟磁性粉末を得た。
(3)次に、(2)で得られた軟磁性粉末と熱硬化樹脂としての不飽和ポリエステルとを質量比90:10で混合して混合物を調製し、その後、当該混合物を金型に充填し、160℃で1時間加熱することで、内径30mm、外径39mm、厚さ5mmのリング形状の樹脂磁性コアを作製した。
(比較例1)
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、Alを3.5質量%、残部としてFeを含むFe−Si−Al合金粉末(93.5Fe−3.0Si−3.5Al)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、Alを3.5質量%、残部としてFeを含むFe−Si−Al合金粉末(93.5Fe−3.0Si−3.5Al)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(2)次に、(1)で用意した軟磁性粉末と熱硬化樹脂としての不飽和ポリエステルとを質量比90:10で混合して混合物を調製し、その後、当該混合物を金型に充填し、160℃で1時間加熱することで、内径30mm、外径39mm、厚さ5mmのリング形状の樹脂磁性コアを作製した。
(比較例2)
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、残部としてFeを含むFe−Si合金粉末(97.0Fe−3.0Si)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、残部としてFeを含むFe−Si合金粉末(97.0Fe−3.0Si)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(2)次に、(1)で用意した軟磁性粉末と熱硬化樹脂としての不飽和ポリエステルとを質量比90:10で混合して混合物を調製し、その後、当該混合物を金型に充填し、160℃で1時間加熱することで、内径30mm、外径39mm、厚さ5mmのリング形状の樹脂磁性コアを作製した。
(比較例3)
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、Alを3.5質量%、残部としてFeを含むFe−Si−Al合金粉末(93.5Fe−3.0Si−3.5Al)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、Alを3.5質量%、残部としてFeを含むFe−Si−Al合金粉末(93.5Fe−3.0Si−3.5Al)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(2)次に、(1)で用意した軟磁性粉末を大気中で950℃にて2時間熱処理した。この熱処理により、軟磁性粉末の粒子表面に酸化アルミニウム膜を形成した。その後、粉末を解砕し、粒子表面に酸化アルミニウム膜が形成された軟磁性粉末を得た。
(3)次に、(2)で得られた軟磁性粉末を金型に投入し、金型温度130℃、成形圧力10t/cm2の条件で、金型潤滑温間成形法により、内径30mm、外径39mm、厚さ5mmのリング形状の圧粉成形体を作製した。
(4)次に、(3)で得られた圧粉成形体を窒素雰囲気下で、750℃で30分の焼鈍(焼結)を行った。これによりリング試験片としての圧粉コアを作製した。
(比較例4)
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、残部としてFeを含むFe−Si合金粉末(97.0Fe−3.0Si)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(1)軟磁性粉末として、Siを3.0質量%、残部としてFeを含むFe−Si合金粉末(97.0Fe−3.0Si)(ガスアトマイズ粉末)を用意した。
(2)次に、(1)で得られた軟磁性粉末を金型に投入し、金型温度130℃、成形圧力10t/cm2の条件で、金型潤滑温間成形法により、内径30mm、外径39mm、厚さ5mmのリング形状の圧粉成形体を作製した。
(3)次に、(2)で得られた圧粉成形体を窒素雰囲気下で、750℃で30分の焼鈍(焼結)を行った。これによりリング試験片としての圧粉コアを作製した。
2.評価
(鉄損の測定)
実施例1及び比較例1〜4について、以下の方法により、鉄損を測定した。
各試料(リング試験片)にφ0.5mmの銅線を用いて、励磁用90ターン及び検出用90ターンの巻き線を巻いた。交流磁気測定装置(IWATSU社製)を用いて、0.1T、20kHzの鉄損を測定した。
表1に、各試料の調製条件及び鉄損の結果を示し、図3〜5に各試料の鉄損の結果を示す。
(鉄損の測定)
実施例1及び比較例1〜4について、以下の方法により、鉄損を測定した。
各試料(リング試験片)にφ0.5mmの銅線を用いて、励磁用90ターン及び検出用90ターンの巻き線を巻いた。交流磁気測定装置(IWATSU社製)を用いて、0.1T、20kHzの鉄損を測定した。
表1に、各試料の調製条件及び鉄損の結果を示し、図3〜5に各試料の鉄損の結果を示す。
表1及び図4より、実施例1と比較例1とを比較すると、軟磁性粉末の粒子表面上に酸化アルミニウム膜を形成させることで、鉄損が173kW/m3(57%)低減できることがわかった。
表1及び図5より、実施例1及び比較例3と比較例2及び比較例4とを比較すると、粒子表面上に酸化アルミニウム膜を形成させていない97.0Fe−3.0Si軟磁性粉末を使用した場合、樹脂を用いて調製した樹脂磁性コア(比較例2)の鉄損が圧粉コア(比較例4)の鉄損と比較して248kW/m3(89%)増加したのに対して、粒子表面上に酸化アルミニウム膜を形成させた93.5Fe−3.0Si−3.5Al軟磁性粉末を使用した場合、樹脂を用いて調製した樹脂磁性コア(実施例1)の鉄損は圧粉コア(比較例3)の鉄損と比較して85kW/m3(39%)の増加に抑制できることがわかった。
Claims (1)
- 軟磁性粉末と、軟磁性粉末を分散した状態で内包する樹脂とを含む複合材料の成形体である樹脂磁性コアであって、
軟磁性粉末が、Fe−Si−Al系軟磁性粉末であり、
軟磁性粉末の粒子表面が、酸化アルミニウム膜により被覆されている
樹脂磁性コア。
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WO2023181902A1 (ja) * | 2022-03-24 | 2023-09-28 | 株式会社トーキン | 磁性体及び磁性素子 |
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