JP2018172656A - 樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギー吸収性、柔軟性に優れた成形品を得ることのできる樹脂組成物を提供すること【解決手段】少なくとも芳香族ポリエステル単位、ならびに脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を含む熱可塑性エラストマー(A)、およびポリエステルを含むグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)を配合してなる樹脂組成物であって、前記熱可塑性エラストマー(A)と、前記ポリロタキサン(B)の合計100重量部に対して、前記熱可塑性エラストマー(A)を70重量部以上99.9重量部以下、前記ポリロタキサン(B)を0.1重量部以上30重量部以下配合してなる樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリエステルを構造単位に含む熱可塑性エラストマーおよび環状分子が修飾されたポリロタキサンを配合してなる、耐衝撃性に優れた成形品を得ることのできる樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関するものである。
熱可塑性エラストマーは、柔軟性、ゴム弾性などのゴムの性質を持ち、かつ熱可塑性樹脂と同様に、射出成形、押出成形などの加工が可能であり、従来の架橋ゴムと比較して加工効率の良さやリサイクル容易であることを特徴とする。熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントおよびソフトセグメントから構成され、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、アミド系など、様々な種類のものが上市されており、自動車部品、工業製品、スポーツ用品、日用品、医療材料などの用途に用いられている(特許文献1、2)。
中でも、エステル系の熱可塑性エラストマーの一例として、ポリエステルブロック共重合体が挙げられる。ポリエステルブロック共重合体は、結晶性を有する芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリアルキレングリコールのような脂肪族ポリエーテル単位および/またはポリラクトンのような脂肪族ポリエステル単位をソフトセグメントとし、強度、耐衝撃性、弾性回復性、柔軟性などの機械的性質や、低温、高温特性に優れることに加え、熱可塑性で成形加工が容易であることから、自動車部品や産業用資材に幅広く使用されている(特許文献3)。
エネルギー吸収性を向上させる検討としては、特許文献4に、グラフト鎖を有する環状分子の開口部が直鎖状分子によって包接されたポリロタキサンをポリアミドに添加することにより、エネルギー吸収性を改良できることが示されている。また、特許文献5には、ポリ乳酸に、グラフト鎖を有する環状分子の開口部が直鎖状分子によって包接されたポリロタキサンを添加することにより、衝撃強度と靱性を改良できることが示されている。
特開2015−98542公報 特開2016−155961公報 特開2012−211275公報 国際公開第2016/167247号 特開2014−84414号公報
しかしながら、特許文献3に記載のポリエステルブロック共重合体は、前記のとおり、優れた特性を有するものであるが、その一方で、高速変形時におけるエネルギー吸収性が不十分であるという課題があった。
また、特許文献4、5に記載の方法では、基材が硬質なポリアミド、ポリ乳酸であることから、樹脂組成物に十分な柔軟性を付与することができず、エラストマーとしての展開には改良の余地がある。
本発明は、上記背景技術の課題に鑑み、エラストマーとして十分に柔軟であり、優れたエネルギー吸収性を示すポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
(1)少なくとも芳香族ポリエステル単位、ならびに脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を含む熱可塑性エラストマー(A)、およびポリエステルを含むグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)を配合してなる樹脂組成物であって、前記熱可塑性エラストマー(A)と、前記ポリロタキサン(B)の合計100重量部に対して、前記熱可塑性エラストマー(A)を70重量部以上99.9重量部以下、前記ポリロタキサン(B)を0.1重量部以上30重量部以下配合してなる樹脂組成物。
(2)前記ポリエステルを含むグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)におけるポリエステルが、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基およびアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を末端に有することを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物
(3)23℃での動的粘弾性測定において、周波数50Hzにおけるtanδが0.5以上であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)23℃での動的粘弾性測定において、周波数50Hzにおける貯蔵弾性率が500MPa以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
本発明の樹脂組成物により、従来のポリエステルブロック共重合体に対し、より優れたエネルギー吸収性を示す成形品を得ることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、少なくとも芳香族ポリエステル単位、ならびに脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を含む熱可塑性エラストマー(A)と、ポリエステルからなるグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)を配合してなる。熱可塑性エラストマー(A)にポリロタキサン(B)を配合することにより、エネルギー吸収性を向上させることができる。本発明の熱可塑性エラストマー(A)とポリロタキサン(B)からなる組成物は、熱可塑性エラストマー(A)に含まれるハードセグメント(芳香族ポリエステル単位)およびソフトセグメント(脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位)と、ポリロタキサンセグメントによる高分子同士の複雑な相互作用により生成された化合物を含むものであり、当該化合物の構造を特定することが実際的でない事情が存在する。したがって、本発明は配合する成分の量で発明を特定するものである。
本発明の熱可塑性エラストマー(A)としては、特に限定されるものではないが、融点が120℃以上300℃以下であることが好ましい。120℃以上とすることで、良好な耐熱性を有する樹脂組成物を得ることができる。また、300℃以下とすることで、成形品の成形加工が比較的容易となる。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、ハードセグメント成分の芳香族ポリエステル単位と、ソフトセグメント成分のである脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位とにより構成される共重合体である。
ハードセグメント成分の芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸(またはそのエステル形成性誘導体)およびジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)を反応させることにより得られる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられ、かかる芳香族ジカルボン酸には、脂肪族ジカルボン酸や脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体を共重合することも可能である。かかる脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などが挙げられ、脂環式ジカルボン酸としては、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
上記ジオール成分としては、炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
これらの重合体および共重合体のうち、熱可塑性エラストマー(A)におけるハードセグメントとして好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリプロピレン(テレフタレート/アジペート)、ポリプロピレン(テレフタレート/セバケート)、ポリプロピレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリプロピレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)におけるソフトセグメントとしては、脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルが用いられる。脂肪族ポリエーテルの例としては、ポリアルキレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらの共重合体が例示される。脂肪族ポリエステルの例としては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルおよび脂肪族ポリエステルの中でも、ポリテトラメチレングリコールおよび/またはテトラメチレンオキサイド単位を主成分とするポリアルキレングリコール共重合体が特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(A)のソフトセグメントの共重合量は、通常、15〜65重量%、好ましくは15〜60重量%、さらに好ましくは15〜55重量%である。このような熱可塑性エラストマーの市販品としては、三菱化学株式会社製「プリマロイ」(登録商標)、東洋紡績株式会社製「ペルプレン」(登録商標)、東レ・デュポン株式会社製「ハイトレル」(登録商標)等がある。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、ガラス転移温度が−80℃〜30℃であることが好ましい。−60℃〜20℃がより好ましく、−50℃〜10℃がさらに好ましい。ガラス転移温度がこれら好ましい範囲にあることにより、柔軟性と成形性のバランスが良好となる。
熱可塑性エラストマー(A)の分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではないが、重量平均分子量(Mw)8,000〜500,000の範囲であることが好ましく、8,000〜300,000の範囲であることがより好ましく、8,000〜250,000の範囲であることがさらに好ましい。ここでの重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LGをカラムとして用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、ポリメチルメタクリレート換算の値を指す。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー(A)と、ポリエステルを含むグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)とを配合してなり、熱可塑性エラストマー(A)と、ポリロタキサン(B)のグラフト鎖の相溶性を向上させ、溶融混練中に一部の分子鎖を結合することで、ポリロタキサン(B)の有するエネルギー吸収性向上効果を樹脂組成物全体に波及させることができる。
本発明の樹脂組成物における熱可塑性エラストマー(A)の配合量は、熱可塑性エラストマー(A)およびポリロタキサン(B)の合計100重量部に対して、70重量部以上99.9重量部以下である。熱可塑性エラストマー(A)の配合量が70重量部未満であると、得られる成形品の剛性、耐熱性が低下する。73重量部以上が好ましく、75重量部以上がより好ましい。一方、熱可塑性エラストマー(A)の配合量が99.9重量部を超えると、ポリロタキサン(B)の配合量が相対的に少なくなるため、成形品のエネルギー吸収性が低下する。99重量部以下が好ましく、95重量部以下がさらに好ましく、90重量部以下が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ポリエステルを含むグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)を配合してなる。ロタキサンとは、例えばHarada, A., Li, J. & Kamachi, M., Nature 356, 325-327に記載の通り、一般的に、ダンベル型の軸分子(両末端に嵩高いブロック基を有する直鎖分子。以下、「直鎖分子」と記載する)に環状の分子が貫通された形状の分子のことを言い、複数の環状分子が一つの直鎖分子に貫通されたものをポリロタキサンと呼ぶ。
ポリロタキサンは、直鎖分子および複数の環状分子からなり、複数の環状分子の開口部に直鎖分子が貫通した構造を有し、かつ、直鎖分子の両末端には、環状分子が直鎖分子から脱離しないように嵩高いブロック基を有する。ポリロタキサンにおいて、環状分子は直鎖分子上を自由に移動することが可能であるが、ブロック基により直鎖分子から抜け出せない構造を有する。すなわち、直鎖分子および環状分子は、化学的な結合でなく、機械的な結合により形態を維持する構造を有する。このようなポリロタキサンは、環状分子の運動性が高いために、外部からの応力や内部に残留した応力を緩和する効果がある。さらに、グラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサンを、芳香族ポリエステルを構造単位に含む熱可塑性エラストマーに配合することにより、芳香族ポリエステルに同様の効果を波及させることが可能となる。
前記直鎖分子は、環状分子の開口部に貫通し、前記ブロック基と反応し得る官能基を有する分子であれば、特に限定されない。好ましく用いられる直鎖分子としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール、ポリイソブチレンジオール、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)ジオール、水素化ポリブタジエンジオール、ポリエチレンジオール、ポリプロピレンジオールなどの末端水酸基ポリオレフィン類;ポリカプロラクトンジオール、ポリ乳酸、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類;末端シラノール型ポリジメチルシロキサンなどの末端官能性ポリシロキサン類;末端アミノ基ポリエチレングリコール、末端アミノ基ポリプロピレングリコール、末端アミノ基ポリブタジエンなどの末端アミノ基鎖状ポリマー類;上記官能基を一分子中に3つ以上有する3官能性以上の多官能性鎖状ポリマー類などが挙げられる。中でも、ポリロタキサンの合成が容易である点から、ポリエチレングリコールおよび/または末端アミノ基ポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
直鎖分子の数平均分子量は、2,000以上が好ましく、剛性をより向上させることができる。10,000以上がより好ましい。一方、100,000以下が好ましく、熱可塑性エラストマー(A)との相溶性を向上させることができ、相分離構造を微細化することができるため、靱性をより向上させることができる。50,000以下がより好ましい。ここで、直鎖分子の数平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LGをカラムとして用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、ポリメチルメタクリレート換算の値を指す。
前記ブロック基は、直鎖分子の末端官能基と結合し得るものであり、環状分子が直鎖分子から脱離しないために十分に嵩高い基であれば、特に限定されない。好ましく用いられるブロック基としては、ジニトロフェニル基、シクロデキストリン基、アダマンチル基、トリチル基、フルオレセイニル基、ピレニル基、アントラセニル基、数平均分子量1,000〜1,000,000の高分子の主鎖または側鎖等が挙げられる。これらを2種以上有してもよい。
前記環状分子は、開口部に直鎖分子が貫通し得るものであれば、特に限定されない。好ましく用いられる環状分子としては、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、クリプタンド類、大環状アミン類、カリックスアレーン類、シクロファン類などが挙げられる。シクロデキストリン類は、複数のグルコースがα−1,4−結合で環状に連なった化合物である。α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンがより好ましく用いられる。
前記グラフト鎖は、ポリエステルを含む。グラフト鎖がポリエステルを含むことで、溶融混練などの加熱プロセス中で熱可塑性エラストマー(A)とエステル交換反応を生じ、ポリロタキサンの有する靱性向上効果を樹脂組成物全体に波及させやすくすることができる。グラフト鎖はポリエステルのみであることが好ましい。熱可塑性エラストマー(A)との相溶性および有機溶剤への溶解性の点から、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート、ポリ4−ヒドロキシブチレート、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが好ましく用いられる。中でも、熱可塑性エラストマー(A)との相溶性および有機溶剤への溶解性、合成が容易である点から、ポリ(ε−カプロラクトン)がより好ましい。
前記グラフト鎖の末端構造は、化学修飾により種々の官能基に変換してもよい。官能基の例としては、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、およびアミノ基が挙げられ、化学修飾の簡便性から、特にカルボキシル基が好ましい。グラフト鎖の末端構造をこれら好ましい官能基とすることにより、熱可塑性エラストマーとの相溶性が向上し、破断伸度が向上し、エネルギー吸収性が高くなる傾向にある。
本発明の樹脂組成物におけるポリロタキサン(B)のグラフト鎖末端に導入された官能基濃度は、3.0×10−4mol/g以下であることが好ましい。官能基濃度が好ましい範囲にあることにより、熱可塑性エラストマーとの相溶性・反応性が向上する傾向にある。なお、ここでのポリロタキサン(B)中の官能基濃度は滴定などの定量分析により算出することができる。
本発明の樹脂組成物におけるポリロタキサン(B)の重量平均分子量は、100,000以上が好ましく、剛性および靱性をより向上させることができる。一方、1000,000以下が好ましく、熱可塑性エラストマー(A)との相溶性が向上し、靱性をより向上させることができる。ここでのポリロタキサン(B)の重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LGをカラムとして用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、ポリメチルメタクリレート換算の値を指す。
本発明の樹脂組成物におけるポリロタキサン(B)の配合量は、熱可塑性エラストマー(A)およびポリロタキサン(B)の合計100重量部に対して、0.1重量部以上30重量部以下である。ポリロタキサン(B)の配合量が0.1重量部未満であると、ポリロタキサン(B)の応力緩和効果が十分に奏されず、成形品のエネルギー吸収性の向上効果が小さい。ポリロタキサン(B)の配合量は1重量部以上が好ましく、3重量部以上がより好ましく、10重量部以上がさらに好ましい。一方、ポリロタキサン(B)の配合量が30重量部を超えると、相対的に熱可塑性エラストマー(A)配合量が少なくなるため、得られる成形品の剛性、耐熱性が低下する。27重量部以下が好ましく、25重量部以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、23℃での動的粘弾性測定において、周波数50Hzにおけるtanδ(損失正接)が0.5以上であることが好ましい。ここで、tanδは、振動エネルギーや衝撃エネルギーの吸収性を表すパラメーターであり、tanδが大きいほどエネルギー吸収性が高いと言える。動的粘弾性測定は、以下の方法で行う。乾燥後の樹脂組成物ペレットを、射出成形機を用いて、厚さ2mmのISO527−2−5Aダンベル試験片を作製する。本ダンベル試験片について、動的粘弾性測定装置(アントンパール社製MCR501)にて、測定治具として“SRF12−SN18708”を用い、温度23℃、偏向角21.5mrad、周波数1〜100Hzの範囲において、測定を行う。測定で得られた貯蔵弾性率と損失弾性率の比(損失弾性率/貯蔵弾性率)がtanδとなる。本発明の樹脂組成物は、周波数50Hzにおいて、tanδが0.5以上であることが好ましく、0.6以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましく、0.9以上が特に好ましい。tanδがこれら範囲にあることで、優れたエネルギー吸収性を発現できる。なお、周波数50Hzにおけるtanδ(損失正接)を0.5以上とし、前記特徴を発現させるためには、例えば、樹脂組成物は、前記熱可塑性エラストマー(A)と、前記ポリロタキサン(B)の合計100重量部に対して、前記熱可塑性エラストマー(A)を70重量部以上99.9重量部以下、前記ポリロタキサン(B)を0.1重量部以上30重量部以下配合することなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、23℃での動的粘弾性測定において、周波数50Hzにおける貯蔵弾性率が500MPa以下であることが好ましい。ここで、貯蔵弾性率は、柔軟性の指標であり、貯蔵弾性率が低い方が柔軟性に優れると言える。貯蔵弾性率が500MPa以下であることにより、柔軟性が良好となる。前記貯蔵弾性率は、300MPa以下であることがより好ましく、200MPa以下がさらに好ましい。なお、周波数50Hzにおける貯蔵弾性率を500MPa以下とし、前記特徴を発現させるためには、例えば、樹脂組成物は、前記熱可塑性エラストマー(A)と、前記ポリロタキサン(B)の合計100重量部に対して、前記熱可塑性エラストマー(A)を70重量部以上99.9重量部以下、前記ポリロタキサン(B)を0.1重量部以上30重量部以下配合することなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、かつ樹脂組成物全体を100重量部としたときに熱可塑性エラストマー(A)が50重量部以上配合されていれば、さらに充填材、熱可塑性エラストマー(A)以外の熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマー、各種添加剤などを配合してもよい。
充填材としては、有機充填材、無機充填材のいずれでもよいし、繊維状充填材、非繊維状充填材のいずれでもよい。これらを2種以上配合してもよい。
繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。これらは、エチレン/酢酸ビニルなどの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂により、被覆または集束されていてもよい。繊維状充填材の断面形状としては、円形、扁平状、まゆ形、長円形、楕円形、矩形などが挙げられる。
非繊維状充填材としては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母の膨潤性雲母などの膨潤性層状珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化アンチモンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの金属水酸化物、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素、燐酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。上記の膨潤性層状珪酸塩は、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換されていてもよい。有機オニウムイオンとしては、例えば、アンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)以外の樹脂の具体例としては、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
熱可塑性エラストマー(A)以外の熱可塑性エラストマーの例としては、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
各種添加剤の具体例としては、銅化合物以外の熱安定剤、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などを挙げることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量は、熱可塑性エラストマーのハードセグメントである芳香族ポリエステルの特徴を十分に活かすため、熱可塑性エラストマー(A)100重量部に対して10重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
銅化合物以外の熱安定剤としては、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのフェノール系化合物、リン系化合物、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、有機チオ酸系化合物などの硫黄系化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はないが、溶融状態で混練する方法や、溶液状態で混合する方法等が挙げられる。相溶性向上の点から、溶融状態で混練する方法が好ましい。溶融状態で混練する溶融混練装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機などの多軸押出機、二軸単軸複合押出機などの押出機や、ニーダーなどが挙げられる。生産性の点から、連続的に製造可能な押出機が好ましく、混練性、反応性、生産性の向上の点から、二軸押出機がより好ましい
以下、二軸押出機を用いて本発明の樹脂組成物を製造する場合を例に説明する。ポリロタキサン(B)の熱劣化を抑制し、靱性をより向上させる観点から、製造時の最高樹脂温度は、300℃以下が好ましい。一方、最高樹脂温度は、芳香族ポリエステルを構造単位に含む熱可塑性エラストマー(A)の融点以上が好ましい。ここで、最高樹脂温度とは、押出機の複数ヶ所に均等に設置された樹脂温度計により測定した中で最も高い温度を指す。
また、樹脂組成物の押出量は、熱可塑性エラストマー(A)およびポリロタキサン(B)の熱劣化をより抑制する観点から、スクリュー回転1rpm当たり0.01kg/h以上が好ましく、0.05kg/h以上がより好ましい。一方、熱可塑性エラストマー(A)とポリロタキサン(B)樹脂の反応をより促進する観点から、スクリュー回転1rpm当たり1kg/h以下が好ましい。ここで、押出量とは、押出機から1時間あたりに吐出される樹脂組成物の重量(kg)を指す。
このようにして樹脂組成物は、通常公知の方法で成形することができ、シート、フィルムなどの各種成形品を得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、プレス成形などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物およびその成形品は、その優れた特性を活かし、自動車部品、工業製品、スポーツ用品、日用品、医療材料など各種用途に利用することができ、とりわけ、耐衝撃性や柔軟性の必要な製品・部材に好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。各実施例の樹脂組成物を得るため下記の原料を用いた。
<熱可塑性エラストマー>
(A−1):ハイトレル(登録商標)4047N(東レ・デュポン社製、融点182℃、ガラス転移温度−42℃、重量平均分子量4.7万)
芳香族ポリエステルおよび脂肪族ポリエーテルを構造単位に含む熱可塑性エラストマーである。ここで、融点は、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、ハイトレル(登録商標)を溶融状態から20℃/分の降温速度で10℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で融点+40℃まで昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度とした。ただし、吸熱ピークが2つ以上検出される場合には、ピーク強度の最も大きい吸熱ピークの温度を融点とした。
また、重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LGをカラムとして用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した、ポリメチルメタクリレート換算の値である。
<ポリロタキサン>
(B−1):ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアル(株)製“セルム”(登録商標)スーパーポリマーSH2400P)の。直鎖分子であるポリエチレングリコールの数平均分子量は2万、全体の重量平均分子量は40万である。
前記“セルム(登録商標)”スーパーポリマーは、環状分子がポリ(ε−カプロラクトン)からなるグラフト鎖により修飾されたα−シクロデキストリン、直鎖分子がポリエチレングリコール、ブロック基がアダマンタン基であるポリロタキサンである。
ここで、ポリロタキサンの重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LGをカラムとして用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した、ポリメチルメタクリレート換算の値である。
(参考例1)
50gの“セルム”(登録商標)スーパーポリマーSH2400P(B−1)を500mlのトルエン溶液に溶解し、無水コハク酸を0.35g加え、窒素フロー下90℃で6時間加熱した。エバポレーターでポリマー濃度が50%程度になるまで濃縮した後、ポリマー溶液を大過剰のメタノール溶液に加え、沈殿物を回収した。得られた沈殿物を真空乾燥機中で80℃、8時間乾燥させて、ポリマーを得た。得られたポリマーをベンジルアルコールに溶解し、濃度既知の水酸化カリウム溶液により滴定したところ、グラフト鎖末端のカルボキシル基濃度は5.05×10−5mol/gであることがわかった。
(参考例2)
無水コハク酸添加量を1.4gとした以外は参考例1と同様の操作を行い、グラフト鎖の末端をカルボン酸変性したポリロタキサンを調製した。得られたポリマーをベンジルアルコールに溶解し、濃度既知の水酸化カリウム溶液により滴定したところ、グラフト鎖末端のカルボキシル基濃度は1.4×10−4mol/gであることがわかった。
(参考例3)
無水コハク酸添加量を2.8gとした以外は参考例1と同様の操作を行いグラフト鎖の末端をカルボン酸変性したポリロタキサンを調製した。得られたポリマーをベンジルアルコールに溶解し、濃度既知の水酸化カリウム溶液により滴定したところ、グラフト鎖末端のカルボキシル基濃度は2.7×10−4mol/gであることがわかった。
<評価方法>
各実施例および比較例における評価方法を説明する。
(1)動的粘弾性測定
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(Haake製“ミニジェット”)を用いて、シリンダー温度:220℃、金型温度:50℃の条件で射出成形することにより、厚さ2mmのISO527−2−5Aダンベルを作製した。本ダンベル試験片について、動的粘弾性測定装置(アントンパール社製MCR501)にて、測定治具として“SRF12−SN18708”を用い、温度23℃、偏向角21.5mrad、周波数1〜100Hzの範囲において、振動測定を行った。測定で得られた貯蔵弾性率と損失弾性率の比(損失弾性率/貯蔵弾性率)からtanδを算出した。
(2)引張破断伸度
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間真空乾燥に処し、射出成形機(Haake製“ミニジェット”)を用いて、シリンダー温度:220℃、金型温度:50℃の条件で射出成形することにより、厚さ2.0mmのISO527−2−5Aダンベルを作製した。このダンベル試験片について、ISO−527に準拠して引張試験機オートグラフAG20kNX(島津製作所製)により、クロスヘッド速度100mm/分で引張試験を行い、引張破断伸度を測定した。
(実施例1〜7、比較例1〜2)
ハイトレル(登録商標)と参考例1〜3にて化学修飾を施したポリロタキサン、セルムスーパーポリマーSH2400P(B−1)を、表1、2に示す組成となるように配合して、必要に応じてプリブレンドし、シリンダー温度:190℃、スクリュー回転数:200rpmに設定した小型二軸混練機(Haake製“ミニラボ”)へ供給し、5分間溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした。得られたペレットを用いて前記方法により評価した結果を表1、2に示す。なお、比較例2は、ペレットを得ることができたものの、粘度が低すぎるため射出成形をすることができず、動的粘弾性測定および引張破断伸度測定のための試験片成形が不可であった。
Figure 2018172656
Figure 2018172656
実施例1〜4と比較例1の比較から、ハイトレル(登録商標)にポリロタキサンを特定量配合することで、柔軟かつtanδの高い、すなわちエネルギー吸収性に優れた樹脂組成物を得ることができることがわかる。
実施例1〜7と比較例1の比較から、ハイトレル(登録商標)にポリロタキサンを特定量配合することで、破断伸度が大幅に向上することが分かる。実施例2、5の比較より、ポリロタキサンのグラフト鎖末端をカルボン酸変性することにより、ポリロタキサンを添加することによる破断伸度、エネルギー吸収量が大きくなることがわかる。

Claims (5)

  1. 少なくとも芳香族ポリエステル単位、ならびに脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を含む熱可塑性エラストマー(A)、およびポリエステルを含むグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)を配合してなる樹脂組成物であって、前記熱可塑性エラストマー(A)と、前記ポリロタキサン(B)の合計100重量部に対して、前記熱可塑性エラストマー(A)を70重量部以上99.9重量部以下、前記ポリロタキサン(B)を0.1重量部以上30重量部以下配合してなる樹脂組成物。
  2. 前記ポリエステルを含むグラフト鎖により環状分子が修飾されたポリロタキサン(B)におけるポリエステルが、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基およびアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を末端に有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 23℃での動的粘弾性測定において、周波数50Hzにおけるtanδが0.5以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 23℃での動的粘弾性測定において、周波数50Hzにおける貯蔵弾性率が500MPa以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
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