JP6911383B2 - ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体 - Google Patents

ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP6911383B2
JP6911383B2 JP2017037210A JP2017037210A JP6911383B2 JP 6911383 B2 JP6911383 B2 JP 6911383B2 JP 2017037210 A JP2017037210 A JP 2017037210A JP 2017037210 A JP2017037210 A JP 2017037210A JP 6911383 B2 JP6911383 B2 JP 6911383B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polybutylene terephthalate
terephthalate resin
polyester elastomer
resin composition
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017037210A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018141109A (ja
Inventor
悟 堀口
悟 堀口
元暢 神谷
元暢 神谷
藤井 泰人
泰人 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2017037210A priority Critical patent/JP6911383B2/ja
Publication of JP2018141109A publication Critical patent/JP2018141109A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6911383B2 publication Critical patent/JP6911383B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、ポリエステルエラストマーに対する溶着性が改善されたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、機械的性質、電気的性質、その他物理的、化学的特性に優れ、かつ加工性が良好であるため、エンジニアリングプラスチックとして自動車、電気・電子部品などの広範な用途に使用されている。
しかし、射出成形品の成形効率は良いが、その流動特性や金型構造の点から形状に制限があり、例えば、中空成形体などの成形が困難であった。このため、従来、製品形状の複雑な部品同士の接合においては、接着剤による接合、ボルトなどによる機械的接合などが行われてきた。しかしながら、接着剤ではその接着強度が、また、ボルトなどによる機械的接合では、費用、締結の手間、重量増が問題となっている。
熱板溶着、振動溶着、レーザー溶着、超音波溶着などの接合方法では、短時間で接合が可能であり、また、接着剤や金属部品を使用する必要がないので、それにかかるコストや重量増、環境汚染等の問題を低減することができるため、これらの方法による部品同士の接合が増大している(特許文献1、2、3、4)。
特許文献1では、ポリブチレンテレフタレート樹脂にエラストマー及びガラス繊維を添加することで機械的物性の大きな低下なく振動溶着性が向上することを示している。しかし、これらの方法は振動溶着用の特殊機械を使用しなければならないばかりか、振動溶着時に発生するバリにより、バリの後処理工程が発生する場合がある。特許文献2では、ポリブチレンテレフタレート樹脂にエラストマー及びガラス繊維を添加することで、冷熱サイクル環境での耐久性と耐加水分解性に優れていることを示している。しかしながら、開示されている組成物は、インサート成形する二次用材料であり、耐加水分解性は向上するものの耐溶着性としては十分ではなく、インサート接合性としても十分ではない。特許文献3では、末端カルボキシル基の限定とカルボジイミドを添加することにより、機械物性の大きな低下なしに、耐加水分解性が向上することを見出している。しかしながら、この組成物は熱溶着用材料として優れているが、特許文献1と同様に接合時に熱溶着用の特殊機械を使用しなければならず、振動溶着と同様に熱溶着部にバリが発生し、バリの後処理工程が発生する場合がある。特許文献4では、ポリブチレンテレフタレート樹脂の分子量と振動溶着強度に相関があり、ある特定の範囲に分子量を調整することで、振動溶着強度を高めつつ、成形品を構成する樹脂組成物の流動性が損なわないことを示している。しかしながら、本特許文献も特許文献1と同様に、接合時に振動溶着用の特殊機械を使用しなければならず、溶着部のバリの発生があり、バリの後処理工程が発生する場合がある。
ところで、インサート成形で接合できれば、特殊な溶着設備が必要でなく、簡便に複合成形体を成形することができる。さらに、振動溶着等の機械的接合においては、成形条件のバラつきが大きいという問題もある。また、特許文献1〜4には、ポリブチレンテレフタレート樹脂系成形品に対して、ポリエステルエラストマーをインサート成形によって接合しようとする技術思想は全く無い。
特開2006−176691号公報 国際公開第2009/150831号パンフレット 国際公開第2010/122915号パンフレット 国際公開第2013/047708号パンフレット
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、特殊な溶着設備を必要とせず、インサート成形で接合(溶着)することができ、さらに応力発生部位においても実用性のある接合強度をもつポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供するものである。中でも、ポリブチレンテレフタレート樹脂系成形品に対して、ポリエステルエラストマーをインサート成形によって接合(溶着)して、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエステルエラストマーの両者の優れた特性を併せ持つ複合成形体が市場から要望され、この複合成形体に必要なポリブチレンテレフタレート樹脂系成形品用の樹脂組成物が求められている。本発明者らが検討したところ、ポリブチレンテレフタレート樹脂成形品に対して、ポリエステルエラストマーはもとより他の樹脂をインサート成形によって接合しようとしても実用に足る接合(溶着)が困難であり、接合できたとしても成形体形状が制約され、接合部に応力がかかる部品には使用できないということが分かった。したがって、本発明は、インサート成形で接合することができ、さらに応力発生部位においても実用性のある接合強度をもつ、ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することを課題とする。さらには、このような接合(溶着)された材料が高湿環境下で使用される場合には、耐水性が求められることから、ポリエステルエラストマーを溶着することが可能であり、かつ優れた耐水性を有する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することも新たな課題となっている。
本発明者らは、上記課題を解決するためにポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の構成と特性を鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
[1] ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)40〜95質量%、ポリエステルエラストマー(B)5〜45質量%、共重合ポリエステル樹脂(C)0〜50質量%及び無機充填剤(D)0〜55質量%を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物であって、前記ポリエステルエラストマー(B)が、主としてナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸と脂肪族及び/又は脂環族のグリコールを構成成分とするポリエステルからなるハードセグメントと、主として脂肪族ポリエーテルからなるソフトセグメントが結合したポリエステルエラストマーであり、ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用であるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
[2] 前記共重合ポリエステル樹脂(C)が、エチレンテレフタレート単位またはブチレンテレフタレート単位に、アルキル側鎖含有グリコール及びイソフタル酸の少なくとも一方を共重合したポリエステル樹脂である[1]に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
[3] [1]または[2]に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体とポリエステルエラストマーが溶着された複合成形体。
[4] [1]または[2]に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体を金型内にインサート材として配し、ポリエステルエラストマーを射出成形により溶着させる複合成形体の製造方法。
本発明によれば、ポリブチレンテレフタレート樹脂においても、ポリエステルエラストマーを添加することにより、インサート成形でポリエステルエラストマーと接合することができる。本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体とポリエステルエラストマーが溶着された複合成形体は、特殊な設備を必要とせず、インサート成形と言う簡便な方法で得ることができるインサート複合成形体である。また、この複合成形体の接合部は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体とポリエステルエラストマーが、接着剤やボルトなどを介することなく、直接、接合(溶着)されており、その接合部は実用性のある十分な接合強度を有している。さらには、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、優れた耐水性を有する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物である。
以下に本発明を具体的に説明する。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)]
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸と、1、4−ブタンジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジオールとを重縮合反応させるなどの一般的な重合方法によって得ることができる重合体である。ポリブチレンテレフタレート樹脂は、ブチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、その特性を損なわない範囲、たとえば20質量%程度以下で、他の重合成分を含むことができる。他の重合成分を含むポリブチレンテレフタレート樹脂の例としては、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレートなどを挙げることができる。これらの成分を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、特に限定されないが、0.5〜1.6dl/gであることが好適であり、0.7〜1.3dl/gであることがより好適であり、0.8〜1.1dl/gであることがさらに好適である。本発明により製造されるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)が0.5〜1.6dl/gであることにより、機械的特性および化学的特性が良好となる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、接合性には影響がないため特に限定されない。しかし、末端カルボキシル基は、ポリマーの加水分解反応において触媒的な役割を担うため、末端カルボキシル基量の増加に伴って加水分解が加速される。このため、この末端カルボキシル基の濃度は低いことが好ましい。ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基の濃度(酸価)は、40eq/ton以下であることが好ましく、より好ましくは30eq/ton以下であり、さらに好ましくは25eq/ton以下であり、特に好ましくは20eq/ton以下である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基の濃度(単位:eq/ton)は、たとえば、所定量のポリブチレンテレフタレート樹脂をベンジルアルコールに溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/1ベンジルアルコール溶液を使用して滴定することにより測定することができる。指示薬は、たとえば、フェノールフタレイン溶液を用いればよい。
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中、40〜95質量%であり、好ましくは45〜90質量%であり、より好ましくは45〜80質量%である。この範囲内にポリブチレンテレフタレート樹脂(A)を配合することにより、実用性のある接合強度をもつポリエステルエラストマー接合可能なポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得ることが可能となる。
[ポリエステルエラストマー(B)]
本発明で使用するポリエステルエラストマー(B)とは、主としてナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸と脂肪族及び/又は脂環族のグリコールを構成成分とするポリエステルからなるハードセグメントと、主として脂肪族ポリエーテルからなるソフトセグメントが結合したポリエステルエラストマーである。
本発明で使用するポリエステルエラストマー(B)において、ハードセグメントのポリエステルを構成するジカルボン酸成分は、主にナフタレンジカルボン酸からなる。異性体の中では、発現する物性等から2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。ポリエステルエラストマー(B)を得るための原料としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸のエステル形成誘導体(例えば、ジメチル−2,6−ナフタレート)も使用可能である。
ジカルボン酸成分として、その他の芳香族ジカルボン酸を含有しても良い。その他の芳香族ジカルボン酸として、具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p−ジカルボン酸、及びこれらの機能的誘導体が挙げられる。好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニル−p,p−ジカルボン酸であり、これらは結晶化速度が早く成形性が良好な傾向にある。特に好ましくは、テレフタル酸およびテレフタル酸ジメチルエステル、イソフタル酸およびイソフタル酸ジメチルエステルが最も好ましい。更に、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体も少量であれば使用可能である。ナフタレンジカルボン酸以外の成分は、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下で、50モル%を超えるとポリエステルエラストマーの結晶性が低下する傾向にあり成形性、耐熱性、耐水性が低下する傾向にある。
また、本発明で使用するポリエステルエラストマー(B)において、ハードセグメントのポリエステルを構成する脂肪族又は脂環族グリコールは、一般の脂肪族又は脂環族グリコールが広く用いられ、特に限定されないが、主として炭素数2〜8のアルキレングリコール類であることが望ましい。好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールであり、特に好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールのいずれかである
上記のハードセグメントのポリエステルを構成する成分としては、ブチレンテレフタレート単位(2,6−ナフタレンジカルボン酸と1,4−ブタンジオールからなる単位)よりなるものが物性、成形性、コストパフォーマンスの点より好ましい。
また、本発明で使用するポリエステルエラストマー(B)におけるハードセグメントを構成するポリエステルとして好適な芳香族ポリエステルを事前に製造し、その後ソフトセグメント成分と共重合させる場合、該芳香族ポリエステルは、通常のポリエステルの製造法に従って容易に得ることができる。また、かかるポリエステルは、数平均分子量10000〜40000を有しているものが望ましい。
本発明に用いられるポリエステルエラストマー(B)のソフトセグメントは、主として脂肪族ポリエーテルからなる。脂肪族ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシトリメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリオキシエチレングリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。
本発明に用いられるポリエステルエラストマー(B)のソフトセグメントは、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族ポリエーテル以外の成分を用いても良い。その他の成分としては。脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネートが挙げられる。脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペートなどが挙げられる。脂肪族ポリカーボネートとしては、主として炭素数2〜12の脂肪族ジオール残基からなるものが挙げられる。ポリエステルエラストマー(B)のソフトセグメントは、脂肪族ポリエーテルを70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上を含むことがより好ましく、90質量%以上を含むことが更に好ましい。
本発明に用いるポリエステルエラストマー(B)は、経済性、耐熱性、耐水性の理由から、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ブタンジオール、及びポリオキシテトラメチレングリコールを主たる成分とする共重合体であることが好ましい。嵩高いナフタレンジカルボン酸が入ることで、ポリエステルエラストマー中のエステル基濃度を低下させるために耐水性が向上する。ポリエステルエラストマー(B)を構成するジカルボン酸成分中、ナフタレンジカルボン酸が50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。ポリエステルエラストマー(B)を構成するグリコール成分中、1,4−ブタンジオールとポリオキシテトラメチレングリコールの合計が40モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。
前記ポリオキシテトラメチレングリコールの数平均分子量が500〜4000であることが好ましい。数平均分子量が500未満であると、エラストマー特性を発現しづらくなることがある。一方、数平均分子量が4000を超えると、ポリエステルエラストマー(B)のハードセグメントを構成するポリエステル部分との相溶性が低下し、ブロック状に共重合することが難しくなる場合がある。ポリオキシテトラメチレングリコールの数平均分子量は、800以上3000以下であることがより好ましく、1000以上2500以下がさらに好ましい。
本発明に用いられるポリエステルエラストマー(B)のハードセグメントとソフトセグメントの共重合量は、ハードセグメント/ソフトセグメントの質量比が、85/15〜35/65であることが好ましく、より好ましくは、75/25〜40/60である。
本発明で使用するポリエステルエラストマー(B)の硬度(表面硬度)は特に限定されないが、例えばショアA硬度25程度の低硬度のものからショアD硬度75程度の高硬度まで広い範囲のポリエステルエラストマーが使用可能であり、好ましくはショアD硬度25〜65、さらに好ましくはショアD硬度30〜60のものである。
本発明に用いるポリエステルエラストマー(B)の還元粘度は、後記する測定方法で測定した場合、0.5dl/g以上3.5dl/g以下であることが好ましい。0.5dl/g未満では、樹脂としての耐久性が低く、3.5dl/gを超えると、射出成形などの加工性が不十分になる可能性がある。ポリエステルエラストマー(B)の還元粘度は、0.8dl/g以上3.0dl/g以下であることがより好ましく、1.0dl/g以上2.8dl/g以下であることがさらに好ましい。また、酸価は200eq/t以下が好ましく、70eq/t以下が特に好ましい。
本発明に用いられるポリエステルエラストマー(B)は、公知の方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、およびソフトセグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、あるいはジカルボン酸と過剰量のグリコールおよびソフトセグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、また、あらかじめハードセグメントを作っておき、これにソフトセグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法、ハードセグメントとソフトセグメントを鎖連結剤でつなぐ方法など、いずれの方法をとってもよい。
上記ポリエステルエラストマー(B)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中、5〜45質量%であり、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましくは20〜40質量%である。この範囲内にポリエステルエラストマー(B)を配合することにより、実用性のある接合強度をもつポリエステルエラストマー接合可能なポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得ることが可能となる。上述のとおりポリエステルエラストマー(B)を含有することにより、接合(溶着)性を改良することが可能となるが、ポリエステルエラストマー(B)の含有量が45質量%を超えると、生産性が悪化するので好ましくない。また、このポリエステルエラストマー(B)を用いることにより、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、優れた耐水性を有する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物となる。
[共重合ポリエステル樹脂(C)]
本発明における共重合ポリエステル樹脂(C)としては、構成する全酸成分を100モル%、構成する全グリコール成分を100モル%としたとき、エチレングリコールが40モル%以上かつ、テレフタル酸とエチレングリコールの合計が80〜180モル%を占める樹脂、または1,4−ブタンジオールが40モル%以上かつ、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールの合計が80〜180モル%を占める樹脂が好ましい。共重合成分として、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、トリメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。エチレングリコール、1,4−ブタンジオールは、主成分に含まれないポリエステル樹脂において、共重合成分となり得る。
共重合ポリエステル樹脂(C)としては、エチレンテレフタレート単位またはブチレンテレフタレート単位に、アルキル側鎖含有グリコール及びイソフタル酸の少なくとも一方を共重合したポリエステル樹脂であることが好ましく、非晶性であることが好ましい。アルキル側鎖含有グリコールとしては、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールが挙げられる。中でも共重合成分として各種特性の観点から好ましいのは、ネオペンチルグリコールやイソフタル酸など結晶性を低下させる成分である。
共重合ポリエステル樹脂(C)を構成する全グリコール成分を100モル%としたとき、アルキル側鎖含有グリコールの共重合割合は20〜60モル%が好ましく、25〜50モル%がより好ましい。
共重合ポリエステル樹脂(C)を構成する全酸成分を100モル%としたとき、イソフタル酸の共重合割合は20〜60モル%が好ましく、25〜50モル%がより好ましい。
共重合ポリエステル樹脂(C)の重合度としては、具体的な共重合組成により若干異なるが、固有粘度(0.1gのサンプルをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒25mlに溶解し、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定)が0.4〜1.5dl/gであることが好ましく、0.4〜1.3dl/gがより好ましい。0.4dl/g未満ではタフネス性が低下するため好ましくなく、1.5dl/gを超えると流動性が低下するため好ましくない。
上記共重合ポリエステル樹脂(C)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中、0〜50質量%であり、好ましくは0〜25質量%であり、より好ましくは5〜25質量%であり、さらに好ましくは5〜20質量%である。この範囲内に共重合ポリエステル樹脂(C)を配合することにより、ポリエステルブロック共重合体(B)を同添加量含有したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物と比較すると、共重合ポリエステル樹脂(C)を添加することにより接合強さを上昇させることが可能となる。含有量が50質量%を超えると、接合強度が良好になるものの、耐熱性が低下するため好ましくない。
[無機充填剤(D)]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、耐熱性および剛性を向上させる目的で、本発明の効果が損なわれない範囲において、(D)無機充填剤を配合することができる。(D)無機充填剤としては、繊維状充填剤と非繊維状充填剤とがあり、本発明で用いられる繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、金属繊維等が挙げられるが、ガラス繊維が好ましい。
ガラス繊維としては、公知のガラス繊維がいずれも好ましく用いられ、ガラス繊維径や、円形、繭形断面、長円断面等の形状、あるいはチョップドストランドやロービング等の製造に用いる際の長さやガラスカットの方法にはよらない。本発明では、ガラスの種類も限定されないが、品質上、Eガラスや、組成中にジルコニウム元素を含む耐腐食ガラスが好ましく用いられる。
また、本発明では、繊維状充填剤と樹脂マトリックスの界面特性を向上させる目的で、アミノシラン化合物やエポキシ化合物等の有機処理剤で表面処理された繊維状充填剤が好ましく用いられる。かかる繊維状充填剤に用いられるアミノシラン化合物やエポキシ化合物としては、公知のものがいずれも好ましく用いることができ、本発明で繊維状充填剤の表面処理に用いられるアミノシラン化合物、エポキシ化合物の種類には依存しない。
板状や粒状の非繊維状無機充填剤としては、例えばガラスビーズ、ガラスフレーク、シリカ、カオリン、タルク、マイカ、ワラストナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが挙げられる。耐衝撃性、流動性、製品外観のバランスの観点から、ガラスビーズ、カオリン、タルク、マイカが好ましく、カオリン、マイカがさらに好ましい。板状や粒状の非繊維状無機充填剤は単独で使用した場合に十分な強度が得られないため、繊維状充填剤と併用することが好ましい。
上記無機充填剤(D)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中、0〜55質量%であり、好ましくは10〜55質量%であり、より好ましくは15〜50質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。この範囲内に無機充填剤(D)を配合することにより、ポリエステルエラストマーとの接合強度を損なわず、かつ耐熱性および剛性を向上させたポリエステルエラストマー接合可能なポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得ることが可能となる。
[その他の添加剤]
その他、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、必要に応じて、本発明としての特性を損なわない範囲において、公知の各種添加剤を含有させることができる。公知の添加剤としては、例えば顔料等の着色剤、離型剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、変性剤、帯電防止剤、難燃剤、染料等が挙げられる。
離型剤としては、長鎖脂肪酸またはそのエステルや金属塩、アマイド系化合物、ポリエチレンワックス、シリコン、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。長鎖脂肪酸としては、特に炭素数12以上が好ましく、例えばステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられ、部分的もしくは全カルボン酸が、モノグリコールやポリグリコールによりエステル化されていてもよく、または金属塩を形成していても良い。アマイド系化合物としては、エチレンビステレフタルアミド、メチレンビスステアリルアミド等が挙げられる。これら離型剤は、単独であるいは混合物として用いても良い。
これら各種添加剤は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を100質量%とした時、合計で5質量%まで含有させることができる。つまり、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物100質量%中、前記(A)、(B)、(C)、(D)の合計は95〜100質量%であることが好ましい。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を製造する製造法としては、上記配合組成にて任意の配合順列で配合した後、タンブラー或いはヘンシェルミキサー等で混合し、溶融混錬される。溶融混錬方法は、当業者に周知のいずれかの方法が可能であり、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等が使用できるが、なかでも2軸押出機を使用することが好ましい。また、加工時の揮発成分、分解低分子成分を除去するため、ガラス繊維投入部分のサイド口と押し出し機先端のダイヘッドとの間で真空ポンプによる吸引を行うことが望ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用であり、特には、ポリエステルエラストマーをインサート成形により溶着する成形体用である。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、射出成形等の公知の成形方法により、成形体とすることができる。この成形体は、以下に説明する複合材料に供することができる。
[複合材料]
以下、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体とポリエステルエラストマーが溶着された複合成形体について説明する。この複合成形体は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体を金型内にインサート材として配し、ポリエステルエラストマーを射出成形により溶着させることにより得られる。インサート成形において、金型内に配置される材料(インサート材)は、一次材料と呼ばれ、本発明においては、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体がこれに相当する。インサート材が配置された金型に、射出される材料は、二次材料と呼ばれ、本発明においては、ポリエステルエラストマーが該当する。
二次材料のポリエステルエラストマーは、特に限定されないが、芳香族ジカルボン酸と脂肪族及び/又は脂環族のグリコールを構成成分とするポリエステルからなるハードセグメントと、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル及び脂肪族ポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種のソフトセグメントが結合したポリエステルエラストマーであれば良い。上記で説明した一次材料に使用されるポリエステルエラストマー(B)も使用可能である。二次材料のポリエステルエラストマーの硬度(表面硬度)は、ショアA硬度65程度の低硬度のものからショアD硬度75程度の高硬度まで広い範囲のポリエステルエラストマーが使用可能であり、好ましくはショアD硬度25〜65、より好ましくはショアD硬度30〜60のものである。二次材料のポリエステルエラストマーと一次材料に使用されるポリエステルエラストマー(B)とで、同じ種類のソフトセグメントを用いることは好ましい態様である。
インサート成形により、一次材料のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体と二次材料のポリエステルエラストマーが、優れた接合(溶着)性を示す理由は、以下のように考えられる。一次材料において、ポリエステルエラストマー(B)が特定量含有されることで、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)内に海島構造で分散しているポリエステルエラストマー(B)が、二次材料として導入されたポリエステルエラストマーの溶融熱で溶かされ、一次材料側の分散しているポリエステルエラストマーと二次材料側のポリエステルエラストマーが混合し接着性をもたらしていると考えられる。共重合ポリエステル樹脂(C)を含有させることで、一次材料中のポリブチレンテレフタレート樹脂(A)が動きやすくなり、より混合が起こりやすくなっていると考えられる。
本発明の複合材料は、その特性を活かし、エアダクト、軸受、ローラー、カバー、各種筐体、コネクター、グリップ、キャスター等に使用可能である。
実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は、以下の方法によって測定したものである。
(1)ポリブチレンテレフタレート樹脂、共重合ポリエステル樹脂の固有粘度
0.1gのサンプルをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒25mlに溶解し、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。(単位:dl/g)
(2)ポリエステルエラストマーの還元粘度
0.05gのサンプルを25mlの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比))に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。(単位:dl/g)
(3)ポリエステルエラストマーの硬度(表面硬度)
JIS K7215(−1986)に準じて測定した。試験片は、シリンダー温度240℃、金型温度50℃にて作製した射出成形品(長さ100mm、幅100mm、厚み2mm)を3枚重ねたものを使用し、測定圧5000g、タイプDの圧子を用いたデュロメーターにより測定し、測定開始5秒後の値をD硬度(ショアD硬度)とした。
(4)インサート成形用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の半ダンベルの作製
コンパウンドして得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物ペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J110AD−110H)で、シリンダー温度=250℃、金型温度=70℃、射出速度=40mm/sec、保圧40MPaでISO3167に準じた引張試験ダンベルの半分の形状のものを得た。
(5)インサート成形
前記で得たISOの引張試験の半ダンベルをISO引張試験ダンベル成形金型キャビティに装着後、ポリエステルエラストマーをシリンダー温度260℃で残りのダンベル部分を射出成形し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物とポリエステルエラストマーとが中央部で接合(溶着)したISO引張試験ダンベルを得た。ポリエステルエラストマーとしては、下記に示す各種ポリエステルエラストマーを用いた。
(6)接合性の評価
前記で得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物とポリエステルエラストマーとが中央部で接合したISO引張試験ダンベルをISO−527−1.2に準じて測定し、当該ダンベルの破断伸度(%)を求め、さらにポリエステルエラストマーの状態を評価した。
上記引張試験において、伸度10%以上の試験後試験片を確認すると、ポリブチレンテレフタレート組成物の接合部にポリエステルエラストマーが付着しており、接合の痕跡が確認された。よって、伸度10%以上の場合、応力発生部位において十分な接合強度を有していると判断した。
(7)ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐水性
コンパウンドして得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物ペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J110AD−110H)で、シリンダー温度=250℃、金型温度=70℃、射出速度=40mm/sec、保圧40MPaでISO3167引張試験ダンベルを射出成形し、ISO527により引張強さを測定した。次いで、引張試験ダンベルを80℃の水に浸漬させ、300時間処理した。処理前後の引張強さから引張強さ保持率を計算した。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の引張強さ保持率が80%以上であれば良好と判断できる。
実施例、比較例において使用した配合成分を次に示す。
(A)ポリブチレンテレフタレート:
東洋紡社製 固有粘度0.90dl/g、酸価40eq/ton
(B)ポリエステルエラストマー:
(B−1)2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDC)//1,4−ブタンジオール(BG)/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量1000)=100//75/25(モル%)の組成比の共重合体、東洋紡社製、ペルプレン(登録商標)の試作品、還元粘度1.70dl/g、ショアD硬度39
(B−2)2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDC)//1,4−ブタンジオール(BG)/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量1000)=100//84.6/15.4(モル%)の組成比の共重合体、東洋紡社製、ペルプレン(登録商標)の試作品、還元粘度1.50dl/g、ショアD硬度47
(B−3)2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDC)//1,4−ブタンジオール(BG)/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量1000)=100//87.8/12.2(モル%)の組成比の共重合体、東洋紡社製、ペルプレン(登録商標)の試作品、還元粘度1.30dl/g、ショアD硬度55
(C)共重合ポリエステル樹脂:
(C−1)TPA(テレフタル酸)//EG(エチレングリコール)/NPG(ネオペンチルグリコール)=100//70/30(モル%)の組成比の共重合体: 東洋紡社製、バイロン(登録商標)の試作品、ガラス転移温度75℃、固有粘度0.83dl/g
(C−2)TPA/IPA(イソフタル酸)//EG/NPG=50/50//50/50(モル%)の組成比の共重合体: 東洋紡社製、バイロン(登録商標)の試作品、ガラス転移温度67℃、固有粘度0.53dl/g
(D)無機充填剤(繊維径、繊維長は電子顕微鏡観察による測定値、平均粒子径はレーザー回折法により測定した値(重量(体積)累積粒度分布の50%径)を示す。):
(D−1)ガラス繊維(平均繊維長3mm、平均繊維径11μm)、T−120H(日東紡社製)
(D−2)タルク(平均粒子径:12.0μm)、タルカンPK−C(林化成社製)
(E)その他のポリエステルエラストマー:
TPA//BG/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量2000)=100//75/25(モル%)の組成比の共重合体、東洋紡社製、ペルプレン(登録商標)の試作品、還元粘度2.50dl/g、ショアD硬度31
<実施例1〜11、比較例1〜5>
実施例、比較例のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、上記原料を表1、2に示した配合比率(質量部)に従い計量して、35φ二軸押出機(東芝機械社製)でシリンダー温度260℃、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練した。無機充填剤以外の原料はホッパーから二軸押出機へ投入し、無機充填剤はベント口からサイドフィードで投入した(無機充填剤を2種以上使用した場合は別々のサイドフィードから投入した)。得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットは、乾燥後、射出成形機にて各種評価用サンプルを成形した。評価結果は表1、2に示した。樹脂組成物の引張強さは、80℃、300時間の浸水処理前の値であり、処理前後の引張強さから保持率を算出し、耐水性を評価した。
Figure 0006911383
Figure 0006911383
実施例の樹脂組成物は、破断伸度(%)が10%以上であり、十分に接合(溶着)されており、また耐水性も優れていることがわかる。(C)共重合ポリエステル樹脂を使用した実施例8、9は、使用しなかった実施例4に比べ、破断伸度(%)が向上した(接合強度が向上した)。無機充填剤(D)を含んでいる実施例10、11も優れた接合性を示した。すなわち、ポリエステルエラストマー(B)を含有することで、二次材料のポリエステルエラストマーとの接合(溶着)強度が高く、耐水性にも優れる。
一方、比較例1〜5では、二次材料のポリエステルエラストマーとの接合(溶着)強度と耐水性の両立が出来ていない。
本発明の樹脂組成物は、従来のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に比べ、実用に足る接合強度を持つため、ポリエステルエラストマーとのインサート成形による接合可能な成形品用の成形材料として有用である。

Claims (3)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)40〜95質量%、ポリエステルエラストマー(B)5〜45質量%、共重合ポリエステル樹脂(C)0〜50質量%及び無機充填剤(D)0〜55質量%を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物であって
    前記ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、ブチレンテレフタレートの繰返し単位が90モル%以上であり、
    前記ポリエステルエラストマー(B)が、主としてナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸と脂肪族及び/又は脂環族のグリコールを構成成分とするポリエステルからなるハードセグメントと、主として脂肪族ポリエーテルからなるソフトセグメントが結合したポリエステルエラストマーであり、
    前記共重合ポリエステル樹脂(C)が、エチレンテレフタレート単位またはブチレンテレフタレート単位に、アルキル側鎖含有グリコール及びイソフタル酸の少なくとも一方を共重合したポリエステル樹脂で、全グリコール成分を100モル%としたとき、アルキル側鎖含有グリコールの共重合割合は20〜60モル%であり、全酸成分を100モル%としたとき、イソフタル酸の共重合割合は20〜60モル%であり、
    ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用であるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体とポリエステルエラストマーが溶着された複合成形体。
  3. 請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形体を金型内にインサート材として配し、ポリエステルエラストマーを射出成形により溶着させる複合成形体の製造方法。
JP2017037210A 2017-02-28 2017-02-28 ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体 Active JP6911383B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017037210A JP6911383B2 (ja) 2017-02-28 2017-02-28 ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017037210A JP6911383B2 (ja) 2017-02-28 2017-02-28 ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018141109A JP2018141109A (ja) 2018-09-13
JP6911383B2 true JP6911383B2 (ja) 2021-07-28

Family

ID=63527715

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017037210A Active JP6911383B2 (ja) 2017-02-28 2017-02-28 ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6911383B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH089187B2 (ja) * 1990-09-10 1996-01-31 ポリプラスチックス株式会社 ポリエステル系複合成形品及びその製造法
JPH06172626A (ja) * 1992-12-10 1994-06-21 Teijin Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP3014594B2 (ja) * 1994-09-21 2000-02-28 ポリプラスチックス株式会社 密閉器用複合樹脂成形品並びにその製造法
JP3576386B2 (ja) * 1998-06-22 2004-10-13 ポリプラスチックス株式会社 二色成形用樹脂組成物及び二色成形品
JP4771204B2 (ja) * 2005-05-19 2011-09-14 東洋紡績株式会社 ポリエステル樹脂組成物
JP5228391B2 (ja) * 2007-07-26 2013-07-03 東洋紡株式会社 ポリエステルエラストマー樹脂組成物およびそれを用いた成形品
WO2016076135A1 (ja) * 2014-11-14 2016-05-19 東洋紡株式会社 柔軟で接着力に優れたポリエステル樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018141109A (ja) 2018-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
USRE46324E1 (en) Method for forming an insert injection-molded article exhibiting improved resistance to heat shock utilizing a specifically defined polybutylene terephthalate composition
JP5788790B2 (ja) 溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及び複合成形品
US20150361258A1 (en) Poly (lactic acid)-based biocomposite materials having improved toughness and heat distortion temperature and methods of making and using thereof
WO2022009616A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び部材、並びに熱可塑性樹脂組成物からなる部材の製造方法及び機械強度の向上方法
JP6100983B1 (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JP7183536B2 (ja) ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体
JP6911382B2 (ja) ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体
JP4908855B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品
JP6911383B2 (ja) ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体
JP6163862B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法
JPS6028446A (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JP7074055B2 (ja) ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体
JP3327652B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2006206921A (ja) ポリエステル樹脂組成物よりなる自動車用部品
JP7278529B2 (ja) ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体
JP7081123B2 (ja) ポリエステルエラストマーを溶着する成形体用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および複合成形体
CN113454161A (zh) 聚对苯二甲酸丁二醇酯树脂组合物
JPH06145486A (ja) ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物および成形体
JP7400743B2 (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
KR102176289B1 (ko) 금속-수지 접합 성형품용 폴리에스테르계 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 금속-수지 접합 성형품
JP2021066787A (ja) 樹脂組成物および成形品
JP2009191206A (ja) ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物
JP2012126832A (ja) 薄肉成形用ポリエステルブロック共重合体樹脂組成物及び成形体
JPS61133264A (ja) ポリエステル組成物
JPH04279655A (ja) 樹脂組成物及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200123

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210224

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210608

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210621

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6911383

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250