JPH06145486A - ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物および成形体 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物および成形体

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JPH06145486A
JPH06145486A JP32226092A JP32226092A JPH06145486A JP H06145486 A JPH06145486 A JP H06145486A JP 32226092 A JP32226092 A JP 32226092A JP 32226092 A JP32226092 A JP 32226092A JP H06145486 A JPH06145486 A JP H06145486A
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resin composition
connector
carboxyl group
polybutylene terephthalate
alpha
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JP32226092A
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Shinichi Yokota
伸一 横田
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 極限粘度が0.5dl/g以上のポリブチレ
ンテレフタレート系樹脂を主成分とし且つ側鎖にカルボ
キシル基を有する有機重合体の金属塩を組成物の全重量
に基づいて10〜50重量%の割合で含有するポリブチ
レンテレフタレート系樹脂組成物、及び該樹脂組成物か
らなる成形体。 【効果】 本発明のPBT系樹脂組成物を用いて製造さ
れた本発明の成形体は、靭性、耐加水分解性、寸法安定
性などの諸特性に優れ、水分や湿分の存在下に高温で長
時間使用しても良好な力学的性能を保つことができ、そ
のため特にコネクターとして適しており、該コネクター
は靭性、耐加水分解性、寸法安定性、金属端子に対する
低腐食性などの点で極めて優れた性能を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリブチレンテレフタ
レート系樹脂組成物および該組成物よりなる成形体に関
する。詳細には、靭性、耐加水分解性、寸法安定性など
の諸特性に優れており、水分や湿分の存在下に高温で長
時間使用しても良好な力学的性能を保ち得るポリブチレ
ンテレフタレート系樹脂成形体、および該成形体を製造
するための樹脂組成物に関し、本発明の樹脂組成物は特
にコネクターの製造に適している。
【0002】
【従来の技術】ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、
その優れた耐熱性、力学的性質、耐溶剤性などの特性を
活かして、電気部品、電子部品、自動車部品、機械部品
等として種々の分野で広く用いられている。ところで、
成形品、そのうちでも特に合成樹脂製コネクター用の素
材としては従来ポリアミドが多く用いられてきたが、ポ
リアミドは吸湿性が大きく、それに伴って寸法や物性が
大きく変動し、信頼性に欠けるという欠点を有する。そ
のために、ポリアミドに替わるものとして芳香族ポリエ
ステル樹脂、そのうちでも特にポリブチレンテレフタレ
ート系樹脂が注目され、最近急速にコネクター等の成形
品への使用が検討されるようになっている。
【0003】しかしながら、ポリブチレンテレフタレー
ト系樹脂は、ポリアミドに比べて靭性および耐加水分解
性に劣り、高温下、特に水分や湿分の存在する状態にお
ける高温下に長時間使用すると、加水分解を生じて力学
的性能、特に引張伸びや耐衝撃性等で代表される靭性が
低下するという欠点を有しており、コネクター等の成形
体にした場合に信頼性の点で問題を有していることが指
摘されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、吸湿
や吸水による寸法変化が少なく、しかも靭性や耐加水分
解性に優れたコネクタなどの成形体、およびそのような
成形体の製造に用いる樹脂組成物を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
本発明者は検討を続けてきた。その結果、ポリブチレン
テレフタレート系樹脂に、一般にアイオノマー重合体と
称される側鎖にカルボキシル基を有する有機重合体の金
属塩を特定の割合で配合すると、上記の課題を解決する
ことができることを見出して本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、極限粘度が0.5d
l/g以上のポリブチレンテレフタレート系樹脂を主成
分とし、且つ側鎖にカルボキシル基を有する有機重合体
の金属塩を組成物の全重量に基づいて10〜50重量%
の割合で含有することを特徴とするポリブチレンテレフ
タレート系樹脂組成物である。
【0007】更に、本発明は、上記のポリブチレンテレ
フタレート系樹脂組成物から製造された成形体である。
【0008】本発明で用いるポリブチレンテレフタレー
ト系樹脂(以下「PBT系樹脂」という)は、ポリエス
テル樹脂を構成する酸成分の少なくとも80モル%以上
がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体からな
り、かつジオール成分の少なくとも80モル%が1,4
−ブタンジオールからなるポリエステル樹脂であり、2
0モル%以下の範囲であれば他の共重合酸成分および/
または他の共重合ジオール成分を用いたものであっても
よい。その場合に、酸成分としてテレフタル酸のエステ
ル形成性誘導体を使用する場合は、テレフタル酸のジア
ルキルエステル、ジアリールエステル等を用いることが
できる。
【0009】20モル%以下の範囲で用いることのでき
る他の共重合酸成分の例としては、フタル酸、イソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフ
タレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)
メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニ
ルジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボ
ン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4−ジ
カルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバ
シン酸、マゼライン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族
ジカルボン酸;β−オキシエトキシ安息香酸、p−オキ
シ安息香酸のようなオキシカルボン酸;またはそれらの
エステル形成性誘導体などを挙げることができ、それら
の共重合酸成分は1種のみを用いてもまたは2種以上を
用いてもよい。
【0010】また、20モル%以下の範囲で用いること
のできる共重合ジオール成分の例としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8
−オクタンジオール、デカメチレンジオールなどの炭素
数2〜10の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール
などの脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノ
ールSなどの芳香族ジオール;ポリエチレングリコー
ル、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコールなどの分子量400〜6000の長鎖ポリア
ルキレングリコールなどを挙げることができ、これらの
共重合ジオール成分は1種のみを用いてもまたは2種以
上を用いてもよい。
【0011】そして本発明では、PBT系樹脂が0.5
dl/g以上の極限粘度を有していることが必要であ
る。PBT系樹脂の極限粘度が0.6dl/g未満であ
ると、得られる成形体の靭性(伸び、引張り強度、耐衝
撃性など)が低くなり、特にコネクターにした場合の物
性、耐久性、嵌合性などが劣ったものとなる。得られる
成形体の特性の点からはPBT系樹脂の極限粘度の上限
値は特に限定されないが、極限粘度があまりに高いと溶
融粘度が高過ぎて成形性が低下し、特に薄肉部を有する
コネクターなどの成形体の製造が困難になるので、一般
に1.2dl/g以下のものを用いのが好ましい。得ら
れる成形体の靭性および成形加工性の点からは、極限粘
度が0.6〜1.1dl/gの範囲のPBT系樹脂を用
いるのがより好ましい。ここで、本発明におけるPBT
系樹脂の極限粘度とは、フェノールとテトラクロロエタ
ンとの1:1(重量比)混合溶媒を用いて30℃で測定
したときの値をいう。
【0012】更に、本発明の樹脂組成物は、上記したよ
うなPBT系樹脂から主としてなっており、組成物の全
重量に基づいて、PBT系樹脂を一般に50〜90重量
%含有している。組成物におけるPBT系樹脂の含有割
合が50重量%未満であると、PBT系樹脂自体が本来
有する耐熱性、靭性、耐溶剤性、成形性などの優れた特
性を組成物や成形体に付与することができなくなり、一
方90重量%を超えると、側鎖にカルボキシル基を有す
る有機重合体の金属塩の含有割合が相対的に減少し10
重量%未満となり、耐加水分解性、耐衝撃性などの靭性
が低下する。
【0013】そして、側鎖にカルボキシル基を有する有
機重合体の金属塩(以下「カルボキシル基含有重合体金
属塩」という)としては、有機重合体の主鎖に結合して
いる側鎖がカルボキシル基を有し、且つそのカルボキシ
ル基の少なくとも一部、好ましくは40%以上が金属塩
の形態になっているものは、いずれも本発明で使用する
ことができる。カルボキシル基含有重合体金属塩の例と
しては、α−オレフィン、スチレン等の芳香族不飽和モ
ノマー、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリ
ル、塩化ビニルなどのα,β−不飽和ビニルモノマーと
不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸な
ど)、不飽和ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸との
共重合体の金属塩;ブタジエン、イソプレン、クロロプ
レン等の共役ジエンの単独重合体またはそれらの共役ジ
エンと他のモノマーとの共重合体とをカルボキシル化し
たものの金属塩などを挙げることができる。
【0014】それらのうちでも、α−オレフィンやスチ
レンなどのα,β−不飽和ビニルモノマーとα,β−不
飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸など)
との共重合体の金属塩が好ましく、特にα−オレフィン
とアクリル酸および/またはメタクリル酸との共重合体
の金属塩が好ましい。その場合に、共重合体における
α,β−不飽和モノカルボン酸の共重合割合は通常約1
〜30モル%程度であるのがよく、また共重合体中のカ
ルボキシル基の約40〜100%が金属塩の形態になっ
ているのがよい。
【0015】カルボキシル基含有重合体金属塩におい
て、カルボキシル基と塩を形成する金属イオンの種類に
特に制限はなく、例えばナトリウム、カリウム、リチウ
ム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリ
ウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、銀、銅、鉄、コバル
ト、ニッケルなど種々の金属のイオンを挙げることがで
きる。カルボキシル基含有重合体金属塩では、そのカル
ボキシル基は1種類の金属イオンと塩を形成していて
も、または2種類以上の金属イオンと塩を形成していて
もよい。上記した金属イオンのうちでも、亜鉛またはア
ルカリ金属のイオンが好ましく、特に亜鉛イオンが、成
形体の力学的性能、長時間加熱使用した場合の低着色
性、成形体に取り付けてまたは成形体と接触して用いら
れる金属端子等の金属部品に対する低腐食性などの点か
ら特に好ましい。
【0016】カルボキシル基含有重合体金属塩の分子量
などは特に限定されないが、ASTM D1238に規
定されるメルトインデックスの値が0.5〜20g/1
0minのカルボキシル基含有重合体金属塩が成形加工
性、靭性の点から好ましく用いられる。
【0017】そして本発明の樹脂組成物では、上記した
ようにカルボキシル基含有重合体金属塩の含有割合を組
成物の全重量に基づいて、10〜50重量%とすること
が必要である。カルボキシル基含有重合体金属塩の含有
量が10重量%未満であると成形体の耐加水分解性およ
び靭性(引張強度、耐衝撃性など)が低下し、一方50
重量%を超えると耐衝撃性などの物性は良好であるもの
の、弾性率や強度等の力学的性能が低下し、特にコネク
ターの場合は嵌合性が劣るようになる。
【0018】本発明のPBT系樹脂組成物は、上記した
PBT系樹脂およびカルボキシル基含有重合体金属塩の
他に、更に必要に応じて他の有機重合体、従来公知の添
加物、例えば各種の表面処理を施したまたは施してない
ガラス繊維やその他の無機フィラーや強化材、着色剤、
離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶化促
進剤、難燃剤、滑剤、可塑剤などを含有していてもよ
い。
【0019】特に、上記したPBT系樹脂およびカルボ
キシル基含有重合体金属塩と共に、第3の有機重合体と
してポリプロピレンおよび/またはポリエチレンを配合
した場合には、成形体の靭性や耐加水分解性等の物性を
良好なものに維持しつつ、成形体の軽量化を図ることが
できる。その場合には、ポリプロピレンおよびポリエチ
レンの少なくとも一方を、組成物の全重量に基づいて、
約5〜30重量%程度配合するのがよい。
【0020】本発明の樹脂組成物の調製に当たっては、
樹脂組成物を調製するのに用いられる既知の方法のいず
れもが採用でき、例えば充分に乾燥したチップ状のPB
T系樹脂をカルボキシル基含有重合体金属塩、および必
要に応じてその他の成分と共に予めタンブラーやヘンシ
ェルミキサーなどの混合機で均一に混合した後、単軸ま
たは2軸押出機に供給して溶融混練して製造することが
できる。
【0021】本発明の成形体の製造に際しては、PBT
系樹脂組成物の成形に対して一般に用いられている成形
装置、成形方法、成形条件のいずれも採用でき、特に限
定されず、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成
形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、カレンダー成
形、注型、流延成形などの任意の成形法を採用すること
ができ、それによって電気部品、電子部品、機械部品、
自動車部品、パイプ、シート、フイルム、日用品などの
任意の形状および用途の成形体を製造することができ
る。
【0022】そのうちでも、本発明のPBT系樹脂組成
物は、高温を伴う苛酷な雰囲気、特に水分や湿分の存在
下で長期間高温で使用されることの多い成形体をするの
に適しており、そのような苛酷な雰囲気下で長時間使用
しても、その良好な諸物性が安定に維持され、特に引張
強度、伸び、耐衝撃性等で代表される靭性が良好な状態
のまま保たれる。そのため、本発明の成形体は、そのよ
うな苛酷な雰囲気下で長時間使用されることの多い電気
部品や電子部品、特にコネクターとするのに適してお
り、そのようなコネクターは射出成形等により製造する
ことができる。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例等により具体的に説明
するが、本発明はそれにより限定されない。以下の実施
例および比較例において、試験片の製造、該試験片の伸
びおよび弾性率の測定、耐加水分解性の評価、コネクタ
ーの製造、該コネクターのデュポン衝撃強さの測定およ
びコネクター端子の腐食性の評価は、次のようにして行
った。
【0024】試験片の製造:射出成形機を用いて、シリ
ンダー温度255℃、金型温度50℃の条件下でAST
M D638に規定される厚さ3mmのダンベル型試験
片およびASTM D790に規定される厚さ6mmの
バー型試験片をそれぞれ作製した。
【0025】試験片の伸びおよび弾性率の測定:AST
M D638に従い引張伸びを、ASTM D790に
従い曲げ弾性率を測定した。
【0026】試験片の耐加水分解性の評価:上記で作製
した試験片をHAST SYSTEM(高度加速寿命試
験装置;ダバイエスペック社製)中に、121℃で2気
圧の水蒸気雰囲気下に60時間保ち、その後試験片を取
り出して、ASTM D638に準じて引張強度を測定
してその耐加水分解性を評価した。
【0027】コネクターの製造:各実施例または比較例
のPBT樹脂組成物を用いて自動車用ワイヤーハーネス
型コネクターを作製した。
【0028】コネクターのデュポン衝撃強さの測定:デ
ュポン式衝撃テスター(デュポン社製)を用いて上記で
作製したコネクターの衝撃強さを測定した。
【0029】コネクター端子の腐食性試験:上記で作製
したコネクターに銅端子を装着し、該成形品を23℃、
50%RHの雰囲気下でガラス容器に密封し、該容器を
160℃の熱風雰囲気下に20日間放置した後、該雰囲
気より取り出して、銅端子の腐食状態を肉眼で観察して
下記の表1に記載した評価基準に従って評価した。
【0030】
【表1】銅端子の腐食状態の評価基準 (a)・・目視観察において変化がなく、腐食が殆どない (b)・・目視観察において腐食が極めて僅かである(c)・・目視観察において著しい変化が認められ、腐食
がかなり生じている
【0031】《実施例 1》極限粘度0.85dl/g
のポリブチレンテレフタレート(PBT)75重量部
(以下単に「部」という)、カルボキシル基変性ポリエ
チレンの亜鉛塩(三井デュポンポリケミカル社製“ハイ
ミラン1650”;エチレン/アクリル酸共重合体の亜
鉛塩)25部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チ
バガイギー社製“イルガノックス1010”)0.1部
およびリン系酸化防止剤(チバガイギー社製“イルガフ
ォス168”)0.1部を2軸押出機に供給して、25
0℃で溶融混練した後、押出してペレットを製造した。
このペレットをシリンダ温度を250℃に設定した射出
成形機に供給して、上記した物性測定用の試験片および
コネクターを射出成形により製造した。
【0032】上記で製造した試験片の伸び、弾性率およ
び耐加水分解性、並びにコネクターのデュポン衝撃強さ
とコネクター端子の腐食性の測定または評価を上記した
方法により行った。その結果を下記の表2に示す。
【0033】《実施例 2》PBTとカルボキシル基変
性ポリエチレンの亜鉛塩の配合比を表2に記載するよう
に変更した以外は、実施例1と同様にして試験片および
コネクターを作製し、同様にして試験片の伸び、弾性率
および耐加水分解性、並びにコネクターのデュポン衝撃
強さとコネクター端子の腐食性の測定または評価を同様
に行った。その結果を表2に示す。
【0034】《実施例 3》カルボキシル基変性ポリエ
チレンの亜鉛塩の代わりに、カルボキシル基変性ポリエ
チレンのナトリウム塩(三井デュポンポリケミカル社製
“ハイミラン1701”;エチレン/アクリル酸共重合
体のナトリウム塩)を用いた以外は実施例1と同様にし
て試験片およびコネクターを作製し、同様にして試験片
の伸び、弾性率および耐加水分解性、並びにコネクター
のデュポン衝撃強さとコネクター端子の腐食性の測定ま
たは評価を同様に行った。その結果を表2に示す。
【0035】《実施例 4》極限粘度0.85dl/g
のPBTを70部、カルボキシル基変性ポリスチレンの
亜鉛塩[スチレン/アクリル酸共重合体の亜鉛塩(スチ
レン:アクリル酸のモル比=93:7でカルボキシル基
の50%が亜鉛塩のもの)]を30部、実施例1で用い
たのと同じヒンダードーフェノール系酸化防止剤とリン
系酸化防止剤を各々0.1部を用いて、それ以外は実施
例1と同様にして試験片およびコネクターを作製し、同
様にして試験片の伸び、弾性率および耐加水分解性、並
びにコネクターのデュポン衝撃強さとコネクター端子の
腐食性の測定または評価を同様に行った。その結果を表
2に示す。
【0036】《実施例 5》極限粘度1.3のPBTを
用いた以外は実施例1と同様にして試験片を製造して、
その伸び、弾性率および耐加水分解性を測定または評価
した。その結果を表2に示す。また、この組成物の場合
は、PBTの極限粘度が高いことにより溶融粘度が高
く、薄肉部を有するコネクターの射出成形時にショート
ショットを生じ、コネクターの成形ができなかった。
【0037】《比較例 1》実施例1で用いたのと同じ
PBTを100部、および実施例1で用いたのと同じヒ
ンダードーフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤
を各0.1部ずつ用いて、それ以外は実施例1と同様に
して試験片およびコネクターを作製し、同様にして試験
片の伸び、弾性率および耐加水分解性、並びにコネクタ
ーのデュポン衝撃強さとコネクター端子の腐食性の測定
または評価を行った。その結果を表2に示す。
【0038】《比較例2〜3》PBTとカルボキシル基
変性ポリエチレンの亜鉛塩との配合比を表2に示した値
に変更した以外は実施例1と同様にして試験片およびコ
ネクターを作製し、同様にして試験片の伸び、弾性率お
よび耐加水分解性、並びにコネクターのデュポン衝撃強
さとコネクター端子の腐食性の測定または評価を同様に
行った。その結果を表2に示す。
【0039】《比較例 4》極限粘度が0.4dl/g
のPBTを用いた以外は実施例1と同様にして試験片お
よびコネクターを作製し、同様にして試験片の伸び、弾
性率および耐加水分解性、並びにコネクターのデュポン
衝撃強さとコネクター端子の腐食性の測定または評価を
同様に行った。その結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】上記表2の結果から、極限粘度0.85d
l/gのPBTに対してカルボキシル基変性ポリエチレ
ンの亜鉛塩を本発明の範囲内で配合している実施例(本
発明)のPBT系樹脂組成物を用いた場合には、伸び、
弾性率、耐加水分解性、衝撃強さおよび耐端子腐食性の
すべての物性において優れており、靭性を有し且つ耐加
水分解性の良好な成形体やコネクターが得られることが
わかる。また、カルボキシル基含有重合体金属塩として
にカルボキシル基変性ポリエチレンのナトリウム塩を用
いている実施例3の場合は、コネクターの銅端子に極め
て僅かに腐食が求められるものの、それ以外の物性では
実施例1および実施例2と遜色のない成形体およびコネ
クターが得られることがわかる。
【0042】また、カルボキシル基含有重合体金属塩と
してにカルボキシル基変性ポリスチレンの亜鉛塩を用い
ている実施例4の場合は、カルボキシル基変性ポリスチ
レン自体の特性により成形体の伸びが低いものの、弾性
率や衝撃強さなどの靭性の点では優れ、且つ耐加水分解
性、端子腐食性などの物性においても優れた成形体やコ
ネクターが得られることがわかる。更に、極限粘度の高
いPBTを使用している実施例5の場合は、コネクター
のような薄肉の成形体の製造は困難であるが、薄肉部の
ない通常の成形体の製造には充分有効であり、靭性や耐
加水分解性などの点で優れた成形体が得られることがわ
かる。
【0043】これに対して、カルボキシル基含有重合体
金属塩を含有しないか、またはその含有量が5重量%以
下または60重量%以上である比較例1、比較例2およ
び比較例3の樹脂組成物では、それから得られる成形体
の耐加水分解性が改良されず、高湿度下に長時間高温に
さらした後の成形体の引張強度が大きく低下しており、
しかも比較例3の場合は弾性率も低く且つコネクターの
端子の腐食も大きく、コネクターとしての嵌合性および
金属端子に対する腐食作用の点で問題がある。
【0044】また、極限粘度0.4dl/gのPBTを
用いている比較例4では、伸びが極めて小さく且つ衝撃
強さに欠け、力学点物性に劣っており、更に耐加水分解
性においても改良が見られないことがわかる。
【0045】
【発明の効果】本発明のPBT系樹脂組成物を用いた場
合には、靭性、耐加水分解性、寸法安定性などの諸特性
に優れ、水分や湿分の存在下に高温で長時間使用しても
良好な力学的性能を保ち得る成形体を得ることができ
る。したがって、本発明は、そのような優れた特性を有
する成形体をも包含し、特に本発明の成形体の1種であ
るコネクターは、靭性、耐加水分解性、寸法安定性、金
属端子に対する低腐食性、嵌合性などの点で極めて優れ
た性能を有している。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極限粘度が0.5dl/g以上のポリブ
    チレンテレフタレート系樹脂を主成分とし、且つ側鎖に
    カルボキシル基を有する有機重合体の金属塩を組成物の
    全重量に基づいて10〜50重量%の割合で含有するこ
    とを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 側鎖にカルボキシル基を有する有機重合
    体の金属塩が、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボ
    ン酸との共重合体の金属塩である請求項1に記載のポリ
    ブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のポリブチレンテレフ
    タレート系樹脂組成物から製造された成形体。
  4. 【請求項4】 成形体がコネクターである請求項3の成
    形体。
JP32226092A 1992-11-09 1992-11-09 ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物および成形体 Pending JPH06145486A (ja)

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