JP6857966B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂組成物に関するものであり、詳しくは、難燃性と耐トラッキング性に優れ、デラミネーション(層状剥離)の問題のないポリエステル樹脂組成物に関するものである。
ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的強度、耐薬品性及び電気絶縁性等に優れており、また優れた耐熱性、成形性、リサイクル性を有していることから、電気電子部品、自動車部品その他の電装部品、機械部品等に広く用いられている。
特に、電気電子機器分野では、火災に対する安全を確保するため難燃性が極めて重要であり、また電気的負荷による発火に対する安全性の確保のため、電気的特性の一つである耐トラッキング性に優れていることが必要である。
そして、近年、電気電子機器部品や電装部品は、機器自体の小型化傾向から薄肉小型化されてきており、その結果、絶縁距離が小さくなり、これら部品(成形品)の耐トラッキング性等への要求スペックは、高度化してきている。絶縁材料は、通電中に装置から発生した熱により乾燥し帯電するため、絶縁材料の表面には埃が付着しやすい傾向がある。そのため、その絶縁材料から形成される部品は、装置停止中にその表面に埃が付着しやすく、その埃が空気中の水分を吸収し、吸収された水分により材料の表面抵抗が低下し、漏洩電流が増加する。一般に、電気部品は多かれ少なかれこのような状況にさらされており、絶縁材料の耐トラッキング特性が重要視されている。
電気電子部品は、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ社のUL94規格の難燃性や比較トラッキング指数(CTI:Comparative Tracking Index)等の要求事項を満たさねばならず、0.75mm厚みにてV−0以上の難燃性と、CTIが、PLC(Performance Lebel Category)2レベル(250V≦CTI<400V)を超え、レベル3に達することが望ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂を難燃化するには、通常、ハロゲン系難燃剤や無機系難燃剤等が配合されるが、これらは熱可塑性ポリエステル樹脂の耐トラッキング性等の電気特性を低下させる傾向にある。例えば、CTIでレベル3にあるものが、難燃剤の配合でレベル2まで悪化することはよく観察される。
耐トラッキング性の改良を試みた材料としては、例えば、特許文献1には、ポリブチレンテレフタレートにポリオレフィンを配合した樹脂組成物が、耐トラッキンング性を改善するとの提案がなされている。確かに、ポリオレフィンの配合はCTIの原因となる不純物等の相対的濃度を低減させることができることから、耐トラッキング性を悪化させることはない。
しかしながら、難燃剤を配合した上で、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンを配合すると、ポリブチレンテレフタレートとポリオレフィンは相容性が悪いため、成形時にはデラミネーションを起こしやすく、成形品外観を大きく損なってしまう。
このため、通常、ポリオレフィンを配合する場合には、不飽和カルボン酸やグリシジルアクリレート等で変性したオレフィン共重合体等の相容化剤を併用することが必要であり、それによってコストが高くなるという問題があった(例えば、特許文献2参照)。
特開昭50−55657号公報 特開平06−295761号公報
本発明の目的(課題)は、相容化剤を併用することなしでも、難燃性と耐トラッキング性に優れ、デラミネーションの問題のないポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性ポリエステル樹脂に対し、メタロセン系プロピレン共重合体及び難燃剤を含有するポリエステル樹脂組成物が、相容化剤を配合することなしでも、難燃性と耐トラッキング性とデラミネーションの問題をバランス良く解決できることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、以下のポリエステル樹脂組成物及びその製造方法に関する。
[1]熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、メタロセン系プロピレン共重合体(B)を1〜100質量部及び難燃剤(C)を5〜100質量部含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
[2]相容化剤を、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上の量で含有しない上記[1]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[3]プロピレン共重合体(B)が、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である上記[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[4]さらに、無機充填材(D)を、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、5〜100質量部含有する上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[5]比較トラッキング指数(CTI)が400V以上である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[6]プロピレン共重合体(B)をメタロセン系触媒を用いた重合法により製造する工程を含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、相容化剤の併用なしでも、デラミネーションの問題がなく、優れた難燃性と耐トラッキング性を達成することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、メタロセン系プロピレン共重合体(B)を1〜100質量部及び難燃剤(C)を5〜100質量部含有することを特徴とする。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[熱可塑性ポリエステル樹脂(A)]
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合あるいはこれらの化合物の重縮合等によって得られるポリエステルであり、ホモポリエステル、コポリエステルの何れであってもよい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体が好ましく使用される。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1、5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2、2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3、3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4、4’−ジカルボン酸、1、2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボン酸、アントラセン−2、5−ジカルボン酸、アントラセン−2、6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4、4’−ジカルボン酸、ピリジン−2、5−ジカルボン酸等が挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して使用しても良い。これらは周知のように、遊離酸以外にジメチルエステル等のエステル形成性誘導体として重縮合反応に用いることができる。
なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を構成するジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパン−1、3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサン−1、4−ジメタノール等の脂環式ジオール等、およびそれらの混合物等が挙げられる。なお、少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1、3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合せしめてもよい。
また、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールも用いることができる。
また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としては、通常は主としてジカルボン酸とジオールとの重縮合からなるもの、即ち樹脂全体の50質量%、好ましくは70質量%以上がこの重縮合物からなるものを用いる。ジカルボン酸としては芳香族カルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族ジオールが好ましい。
なかでも好ましいのは、酸性分の95モル%以上がテレフタル酸であり、アルコール成分の95質量%以上が脂肪族ジオールであるポリアルキレンテレフタレート樹脂である。その代表的なものはポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂である。これらはホモエステルに近いもの、即ち樹脂全体の95質量%以上が、テレフタル酸成分及び1.4−ブタンジオール又はエチレングリコール成分からなるものであるのが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、主成分がポリブチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、0.5〜2dl/gであることが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものがより好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が機械的強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化する場合がある。なお、熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度は、1,1,2,2−テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定するものとする。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、その末端カルボキシル基量は適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/tonを超えると、樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しやすくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、通常、10eq/tonである。
なお、ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリアルキレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定して得られた値をいう。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
[メタロセン系プロピレン共重合体(B)]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、メタロセン系のプロピレン系共重合体(B)を含有する。
市販のポリプロピレン樹脂には、従来からの塩化チタンと有機アルミニウムからなるチーグラー触媒によるチーグラー系ポリプロピレン樹脂と、近年のメタロセン触媒によるメタロセン系ポリプロピレン樹脂とに区分けされるが、本発明ではメタロセン系のプロピレン系共重合体を使用する。
本発明に使用されるプロピレン系共重合体(B)は、ホモプロピレンではなく、プロピレン単位を主成分としたプロピレンとα−オレフィンの共重合体であり、共重合体はランダム共重合体あるいはブロック共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。
共重合体のコモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくはエチレンまたは炭素数4〜18のα−オレフィンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。これらの中では、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、特にはエチレンである。
共重合体(B)のα−オレフィン単位の量は、好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
本発明に使用される共重合体(B)は、メタロセン触媒によって製造された重合体であり、ここでメタロセン触媒は、メタロセン系遷移金属化合物(いわゆるカミンスキー触媒)、あるいはシングルサイト触媒とも呼ばれる周知の重合触媒を意味する。
プロピレン共重合体(B)は、その融点が140℃〜155℃であるものが好ましい。さらには142℃〜155℃が好ましい。
なお、プロピレン共重合体(B)の融点は、示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)をいう。
また、プロピレン共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2.0〜3.5が好ましく、2.2〜3.2がより好ましく、さらには2.5〜3.0であることが好ましい。
ここでMw/Mnの測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行う。
さらに、プロピレン系重合体のMFR(230℃、21.18N荷重)は、1〜25g/10分が好ましく、さらに好ましくは2〜20g/10分である。
なお、MFRの測定は、JIS K6921−2:1997付属書(230℃、21.18N荷重)に準拠して行う。
メタロセン系プロピレン共重合体(B)は、市販されているものの中から適宜選択して使用することもでき、例えば、日本ポリプロ株式会社製の商品名「ウィンテック」(プロピレン−エチレンランダム共重合体)等が挙げられる。
プロピレン共重合体(B)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、1〜100質量部であり、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは90質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、特には60質量部以下であることが好ましい。ブロピレン共重合体(B)は燃焼性が高いので、難燃剤を増量する必要があるが、プロピレン共重合体(B)の含有量が100質量部を上回ると、難燃剤を増量しても難燃性を確保することが難しくなること、および最終製品が脆くなることがあること、また、難燃剤由来の腐食性ガスが多くなるため成形時に金型を腐食させたりすることがあるので好ましくない。
[相容化剤]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、相容化剤を配合することなしでも、難燃性と耐トラッキング性とデラミの問題をバランス良く解決できるが、相容化剤を配合することも可能である。
相容化剤としては、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)とプロピレン共重合体(B)の両方に親和性または反応性を有するモノマーとの共重合体が好ましい。具体的には、オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体(グラフト共重合体を含む)、オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体のメチルメタクリレート共重合体(グラフト共重合体を含む)、オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体のアクリロニトリル−スチレングラフト共重合体、無水酸または酸変性ポリプロピレン、アミン変性ポリプロピレン等が挙げられる。
このような相容化剤を含有することで、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)とプロピレン共重合体(B)との相容性をより向上させることが可能である。相容化剤の含有を排除するわけではないが、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上の量で含有しないことも望ましい。
[難燃剤(C)]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、難燃剤(C)を含有する。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤を含有することができ、中でもハロゲン系難燃剤又はリン系難燃剤を含有することが好ましい。
ハロゲン系難燃剤の好ましい具体例としては、臭素化ポリカーボネート樹脂、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、臭素化イミド(臭素化フタルイミド等)等が挙げられ、中でも、臭素系難燃剤が好ましく、臭素化ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレートが、耐衝撃性の低下を抑制しやすい傾向にあり、より好ましい。
リン系難燃剤としては、例えば、エチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛等の、(ジ)ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミンに代表されるメラミンとリン酸との反応生成物、リン酸エステル、環状フェノキシホスファゼン、鎖状フェノキシホスファゼン、架橋フェノキシホスファゼン等のホスファゼン等が挙げられ、中でも、(ジ)ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミン、ホスファゼンが熱安定性に優れる点から好ましい。
難燃剤(C)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、5〜100質量部である。難燃剤(C)が5質量部未満では、十分な難燃性が得られにくく、100質量部を超えると耐トラッキング特性の向上が認められない場合がある。難燃剤(C)のより好ましい含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、また、また、80質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。
さらに本発明のポリエステル樹脂組成物は、難燃剤と共に、難燃助剤を含有することが好ましい。難燃助剤としては、例えば、アンチモン化合物、硼酸亜鉛、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられ、2種以上併用してもよい。これらの中でも、難燃性がより優れる点からアンチモン化合物、硼酸亜鉛が好ましい。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、ハロゲン系難燃剤を用いる場合、難燃剤との相乗効果から、三酸化アンチモンを併用することが好ましい。
ハロゲン系難燃剤とアンチモン化合物を併用する場合は、ポリエステル樹脂組成物中のハロゲン系難燃剤由来のハロゲン原子と、アンチモン化合物由来のアンチモン原子の質量濃度が、両者の合計で5〜16質量%であることが好ましく、6〜15質量%であることがより好ましい。5質量%未満であると難燃性が低下する傾向にあり、16質量%を超えると機械的強度や耐トラッキング特性が低下する場合がある。また、ハロゲン原子とアンチモン原子の質量比(ハロゲン原子/アンチモン原子)は、0.3〜5であることが好ましく、0.3〜4であることがより好ましい。
難燃助剤の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは5〜25質量部、さらに好ましくは10〜20質量部である。
[無機充填材(D)]
本発明のポリエステル樹脂組成物には、無機充填材(D)を含有することが好ましい。無機充填材としては常用のものをいずれも用いることができる。無機充填材(D)を含有する場合の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは5〜100質量部であり、より好ましくは10質量部以上であり、またより好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下である。無機充填材(D)の含有量が100質量部を上回ると、流動性が低下するので好ましくない。
無機充填材(D)としては、具体的には例えば、ガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム繊維等の繊維状の充填材を用いることができる。また炭酸カルシウム、酸化チタン、長石系鉱物、クレー、有機化クレー、ガラスビーズ等の粒状又は無定形の充填材;タルク等の板状の充填材;ガラスフレーク、マイカ、グラファイト等の鱗片状の充填材を用いることもできる。なかでも、機械的強度、剛性および耐熱性の点からガラス繊維を用いるのが好ましい。
無機充填材(D)は、カップリング剤等の表面処理剤によって、表面処理されたものを用いることがより好ましい。表面処理剤が付着したガラス繊維は、耐久性、耐湿熱性、耐加水分解性、耐ヒートショック性に優れる傾向にあり好ましい。
表面処理剤としては、従来公知の任意のものを使用でき、具体的には、例えば、アミノシラン系、エポキシシラン系、アリルシラン系、ビニルシラン系等のシラン系カップリング剤が好ましく挙げられる。
これらの中では、アミノシラン系表面処理剤が好ましく、具体的には例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい例として挙げられる。
また、表面処理剤として、ノボラック型等のエポキシ樹脂、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂等も好ましく挙げられる。中でもノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
表面処理剤脂は、それぞれ単独で用いても複数種で用いてもよく、両者を併用することも好ましい。
[滴下防止剤]
本発明のポリエステル樹脂組成物には、滴下防止剤を含有させることも可能である。滴下防止剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましく、フィブリル形成能を有し、樹脂組成物中に容易に分散し、かつ樹脂同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものが好ましい。
滴下防止剤の含有割合は、好ましくは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜20質量部である。滴下防止剤が0.1質量部未満では難燃性が不十分になりやすく、20質量部を超えると外観が悪くなりやすい。滴下防止剤の含有割合は、より好ましくは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜10質量部である。
[離型剤]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、更に、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、ポリエステル樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、離型性が優れる点で、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
ポリオレフィン系化合物としては、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる化合物が挙げられ、中でも、質量平均分子量が、700〜10,000、更には900〜8,000のものが好ましい。
脂肪酸エステル系化合物としては、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類やその部分鹸化物などが挙げられ、中でも、炭素数11〜28、好ましくは炭素数17〜21の脂肪酸で構成されるモノ又はジ脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリン−12−ヒドロキシモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート等が挙げられる。
また、シリコーン系化合物としては、熱可塑性ポリエステル樹脂との相容性などの点から、変性されている化合物が好ましい。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入したシリコーンオイル、ポリシロキサンの両末端及び/又は片末端に有機基を導入したシリコーンオイルなどが挙げられる。導入される有機基としては、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基などが挙げられ、好ましくはエポキシ基が挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖にエポキシ基を導入したシリコーンオイルが特に好ましい。
離型剤の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.05〜2質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であると、溶融成形時の離型不良により表面性が低下する傾向があり、一方、2質量部を超えると、樹脂組成物の練り込み作業性が低下し、また成形品表面に曇りが見られる場合がある。離型剤の含有量は、好ましくは0.07〜1.5質量部、更に好ましくは0.1〜1.0質量部である。
[安定剤]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、さらに安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度、透明性及び色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でもホスファイト、ホスホナイトが好ましい。
ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
また、ホスフェートとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
フェノール系安定剤の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
なお、フェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
安定剤の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1.5質量部以下、好ましくは1質量部以下である。0.001質量部未満では安定剤としての効果が不十分であり、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、また1.5質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。
[その他成分]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した以外の種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
また、本発明におけるポリエステル樹脂組成物には、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損わない範囲で含有することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられる。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、ポリエステル樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フイーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、本発明の樹脂組成物を調製することもできる。さらには、ポリエステル樹脂の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りのポリエステル樹脂や他の成分を配合して溶融混練してもよい。
なお、無機充填材としてガラス繊維などの繊維状のものを用いる場合には、押出機のシリンダー途中のサイドフイーダーから供給することも好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
[成形体]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体として用いる。この成形体の形状、模様、色、寸法等に制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の製造方法は、特に限定されず、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形法が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐トラッキング性にすぐれ、比較トラッキング指数(CTI)が好ましくは400V以上を達成することが可能である。CTIの測定は、ASTM D3638に準拠して測定され、その測定方法の詳細は実施例に記載するとおりである。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、難燃性と耐トラッキング性に優れ、デラミネーションの問題のないポリエステル樹脂材料であるので、電気電子機器あるいはそれ等の絶縁性部品として特に好適である。
絶縁性部品としては、金属接点、銅版などと組み合わせることにより、電気接点開閉部を有する電気電子機器部品、例えばリレー、スイッチ、ターミナルスイッチ、センサー、コネクター、アクチュエーター、マイクロスイッチ、マイクロセンサーおよびマイクロアクチュエーター等の有接点電気電子部品や、電気電子製品の筐体として好ましく用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく「質量部」を表す。
以下の実施例および比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
Figure 0006857966
(実施例1〜2、比較例1〜4)
上記表1に記載の各成分を下記表2に記載の配合割合(質量部)になるように配合し、2軸押出機(日本製鋼所社製「TEX−30α」、スクリュー径30mm)を用いて、バレル設定温度250℃、回転数200rpmで押出し樹脂組成物のペレットを作った。
得られたペレットの特性は、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX−80」)を用いてシリンダー温度260℃で、下記(1)、(2)及び(4)の形状の評価用試験片を射出成形した。なお、成形に際して、樹脂組成物はその直前まで120℃にて6〜8時間乾燥した。
<評価方法>
各評価方法は、以下のとおりである。
(1)耐トラッキング特性(CTI)
厚さ3.0mm、50φの円板の試験片を用い、試験法UL746A 23項で規定されている耐トラッキング性試験方法はASTM D3638に準拠して測定した。装置のノズルから電解液(塩化アンモニウム0.1%水溶液、23℃で抵抗率385Ω・cm)を30秒間隔で滴下させ、両白金電極間に600V以下(25Vステップ)の電圧を印加し、トラッキングが発生するまでの電解液滴下数を測定し、5回の平均値が50滴未満となる電圧(単位:V)を求めた。
CTIは、数値が高いほど耐トラッキング性が良好であることを意味し、350V以上であるのが好ましい。
(2)難燃性(UL94)
アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL94)の方法に準じ、5本の試験片(厚み;0.3mm)を用いて難燃性を試験した。難燃性は、UL94記載の評価方法に従って、V−0、V−1、V−2に分類した。V−0が最も難燃性が高い。
(3)MVR
得られた樹脂組成物ペレットを、120℃で6時間以上乾燥した後、ISO 1133に準拠して、測定温度250℃、荷重5kgfの条件でMVR(メルトボリュームレイト、単位:cm/10min)を測定した。
(4)デラミの評価
デラミによる不具合は薄肉成形品に於いて顕著に発生することがあるので、以下のサイズの成形片を作成し、ランナーから手で引きちぎり、デラミが発生したか否かを目視で確認した。
成形片サイズ:巾13mm×長130mm×厚0.3mm
(フィルムゲートタイプの金型で成形
デラミの評価
目視で確認し、以下の基準で分類した。
○ デラミ無し。
△ デラミは見られるが、程度は小さい。
× 顕著なデラミがあり。
以上の評価結果を、以下の表2に示す。
Figure 0006857966
本発明のポリエステル樹脂組成物は、難燃性と耐トラキング性に優れ、デラミネーション(層状剥離)の問題のないポリエステル樹脂材料なので、電気電子機器部品、例えばコネクター、リレー、スイッチ等や、電気電子機器部品の筐体などの広範囲の部品に特に好適に適用できる。

Claims (6)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、メタロセン系プロピレン共重合体(B)を10〜100質量部及び難燃剤(C)を5〜100質量部含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 相容化剤を、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上の量で含有しない請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. プロピレン共重合体(B)が、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. さらに、無機充填材(D)を、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、5〜100質量部含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 比較トラッキング指数(CTI)が400V以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. プロピレン共重合体(B)をメタロセン系触媒を用いた重合法により製造する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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