以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、収穫機の一例としてのコンバインの全体を示す右側面図である。図2は、コンバインの全体を示す平面図である。図1,2に示す[F]の方向が走行機体1の前方向、[B]の方向が走行機体1の後方向と定義する。図1の紙面表側の方向、図2に示す[R]の方向が走行機体1の右方向、図1の紙面裏側の方向、図2に示す[L]の方向が走行機体1の左方向と定義する。
[コンバインの全体の構成]
コンバインは、稲、麦、大豆等の穀粒の収穫作業を行なうものである。コンバインは、走行装置としての左右一対の前車輪2及び左右一対の後車輪3が装備された走行機体1を備えている。前車輪2は、エンジン4からの動力によって駆動可能に装備されている。後車輪3は、パワーステアリング装置(図示せず)によって操向操作可能に装備されている。走行機体1の前部に乗用型の運転部5が形成されている。運転部5は、キャビン6によって覆われている。機体フレーム7の前部に収穫搬送部8が設けられている。収穫搬送部8には、搬送装置9及び収穫部10が備えられている。搬送装置9は、機体フレーム7から前方向きに上下揺動可能に延出されている。収穫部10は、搬送装置9の延出端部に連結されている。収穫部10は、搬送装置9が昇降シリンダ11によって揺動昇降操作されることによって、地面の近くに下降した下降作業状態と、地面から高い位置に上昇した上昇非作業状態とにわたって昇降操作される。機体フレーム7の後部に脱穀装置12及び脱穀物タンク13(以下、タンク13と略称する。)が設けられている。
収穫部10を下降作業状態に下降させ、この状態で走行機体1を走行させることにより、収穫作業を行なえる。すなわち、収穫部10において、走行機体1の前方に位置する植立穀稈の株元が切断され、作物としての刈取穀稈が収穫される。刈取穀稈が搬送装置9によって後方に搬送されて脱穀装置12に供給される。脱穀装置12において、刈取穀稈が扱胴12b(図3参照)によって脱穀処理され、脱穀物としての脱穀粒が得られる。脱穀粒が揚穀装置12c(図2参照)によってタンク13に搬送されて貯留される。
〔脱穀物タンク13の構成〕
図1,2に示すように、タンク13は、脱穀装置12の上方に設けられている。脱穀装置12は、走行機体1の横幅方向での中心に対して走行機体左横側に偏倚する状態で機体フレーム7に載置され、機体フレーム7に固定状態で支持されている。
図3,4に示すように、タンク13の右横壁部13Sに第一排出口20が設けられている。第一排出口20は、走行機体右横外側方向に向いて開口している。
図3,4,5,6に示すように、タンク13の底部のうち、走行機体横幅方向での右横端側に位置する右底部14に、凹入部15が形成されている。凹入部15は、タンク13の下方に向けて凹入されている。凹入部15に排出スクリュー17が回転可能に配置されている。図7に示すように、タンク13の前部に、第二排出口18が設けられると共に接続ケース19が連結されている。接続ケース19の内部と、凹入部15とが第二排出口18を介して連通している。排出スクリュー17の前端部は、第二排出口18を通って接続ケース19の内部に入り、接続ケース19の内部に回転可能に支持されている。接続ケース19とタンク13とは、排出スクリュー17の回転支軸17aの軸芯を回転中心にして相対回転可能に連結している。タンク13の内部に垂れ壁13Kが設けられている。多量の脱穀粒が第一排出口20及び凹入部15に一気に流下しないように脱穀粒の流量が垂れ壁13Kによって規制される。
図3,4,5,6に示すように、タンク13の内部にカバー21が備えられている。図8に示すように、カバー21の表面側に補強プレート部22、及び、複数の補強リブ23が取付けられている。複数の補強リブ23は、カバー21の長手方向に間隔を空けて並んでいる。カバー21の前後両端部にカバー支軸24が備えられている。カバー21は、前後のカバー支軸24を介してタンク13の前壁部13F及び後壁部13Rに支持されている。図8,9,10に示すように、後のカバー支軸24のうち、タンク13の後外側に突出している端部に切換えアーム25が連動連結されている。切換えアーム25は、タンク13の外周部のうちの機体後方側の部位にカバー支軸24を介して支持されている。
本実施形態では、切換えアーム25は、タンク13の外周部のうちの機体後方側の部位に支持されているが、切換えアーム25を支持する部位としては、タンク13の外周部のうち、機体横外側の部位、機体前方側の部位など、いずれの部位を採用してもよい。切換えアーム25がカバー支軸24の軸芯Xを揺動支点にして揺動操作されることにより、カバー支軸24が回転操作され、カバー21が軸芯Xを揺動支点にして流下案内状態とスクリュー案内状態とにわたって揺動操作される。
図4,14に示すように、選択部としての切換えアーム25が第一排出位置D1に操作されることにより、カバー21が流下案内状態に切り換えられる。図4,8に示すように、カバー21が流下案内状態に切り換えられると、凹入部15の開口15aがカバーによって閉じられる。すなわち、排出スクリュー17が配置されている領域としての凹入部15がカバー21によって覆われ、脱穀粒の排出スクリュー17への流入が不能になる。これにより、タンク13は、カバー21が流下案内状態に切り換えられることにより、タンク13に貯留された脱穀粒を第一排出口20から排出する第一排出形態に切り換えられる。
図4に示すように、カバー21が流下案内状態に切り換えられたとき、排出スクリュー17の上方に流下案内面部A1がカバー21の裏面側によって形成される。カバー21は、流下案内状態となったとき、底板16に連続する状態となり、流下案内面部A1は、底板16のうちの開口15aに対して穀粒流動方向上手側に位置する部位、及び、底板16のうちの開口15aに対して穀粒流動方向下手側に位置する部位に滑らかに接続する状態で形成される。
図6,13に示すように、切換えアーム25が第二排出位置D2に操作されることにより、カバー21がスクリュー案内状態に切り換えられる。図6,9に示すように、カバー21がスクリュー案内状態に切り換えられると、カバー21は、排出スクリュー17が配置されている領域としての凹入部15を開放し、脱穀粒の排出スクリュー17への流入が可能になる。これにより、タンク13は、カバー21がスクリュー案内状態に切り換えられることにより、タンク13に貯留された脱穀粒を第二排出口18から排出する第二排出形態に切換えられる。
カバー21が凹入部15を開放するとき、凹入部15の平面視面積よりも狭い凹入部15の開口15aがカバー21によって開放される。つまり、カバー21は、凹入部15を部分的に開放する。これにより、多量の脱穀粒が凹入部15に一気に流入せず、脱穀粒のブリッジ現象の発生を防止できる。
図6、9に示すように、カバー21は、スクリュー案内状態になったとき、底板16のうち、開口15aに対して穀粒流下方向上手側に位置する部分の上に重なり合って位置する。底板16のうち、スクリュー案内状態のカバー21に対して排出スクリュー17とは反対側に隣り合う箇所にスロープ部29が形成されている。スクリュー案内状態のカバー21に対して流下方向上手側から流下して来る脱穀粒がカバー21の上方に流下するようにスロープ部29によって案内される。脱穀粒がスクリュー案内状態のカバー21の遊端側と底板16との間に入り込んだり、カバー21の遊端側に引っ掛かることがスロープ部29の案内によって防止される。図4,6,9に示す13bは、タンク13の底部フレームである。
接続ケース19は、支持構造体26の連結フレーム26aに支持されている。排出スクリュー17の回転支軸17aの後端部が支持構造体26の支柱部26bに回転可能に支持されている。支持構造体26は、機体フレーム7に支持された複数本の支柱フレーム26c、及び、支柱フレーム26cの上端部を連結する連結フレーム26aを備え、機体フレーム7に固定されている。タンク13は、回転支軸17a及び接続ケース19を介して支持構造体26に支持されている。タンク13の下部と支柱フレーム26cとに昇降アクチュエータとしての昇降シリンダ27が連結されている。タンク13は、昇降シリンダ27の伸縮作動によって走行機体1の前後方向に沿った方向の横向き(水平又はほぼ水平向き)の揺動軸芯Pのまわりに下降姿勢としての貯留姿勢と、上昇姿勢としての上昇排出姿勢とにわたって昇降操作される。揺動軸芯Pは、排出スクリュー17の回転軸芯と一致した軸芯であり、タンク13が上昇排出姿勢となったときに低い側となる側寄りの位置に位置している。
タンク13が下降貯留姿勢に切り換えられると、タンク13の左端側が脱穀装置12の上方近くに下降し、タンク13は、底板16の左右側が同じまたはほぼ同じ高さになる取付姿勢になり、タンク13に脱穀粒を貯留できる。
タンク13が上昇排出姿勢に切り換えられると、タンク13の左端側が上昇し、タンク13は、左端側ほど上方に位置する傾斜状態の取付姿勢になり、第一排出口20がタンク13の低い側に位置する。タンク13が第一排出形態のとき、タンク13が上昇排出姿勢に切り換えられると、タンク13の底部に、タンク13の高い側となる部分から第一排出口20へ脱穀粒を案内する流下案内面Aが流下案内面部A1及び底板16によって構成される。流下案内面Aが構成されたとき、排出スクリュー17の領域がカバー21によって覆われており、排出スクリュー17は、流下案内面Aから外れた位置に位置する。
図5に示すように、タンク13が上昇排出姿勢になったとき、スクリュー案内状態のカバー21は、排出スクリュー17よりも高い位置に位置する。カバー21によって排出スクリュー17に流下案内される脱穀粒がカバー21と排出スクリュー17との落差をもって排出スクリュー17に流入する。
図10,13,14に示すように、切換えアーム25の近くに、排出形態を検出する検出スイッチ28が設けられている。検出スイッチ28は、タンク13に支持されている。切換えアーム25にスイッチ操作部25aが形成されている。図13に示すように、切換えアーム25が第二排出位置D2に切り換わると、検出スイッチ28の揺動検出部28aがスイッチ操作部25aによって押圧操作され、揺動検出部28aが第二検出位置に揺動して、検出スイッチ28が第二排出形態の検出状態になる。図14に示すように、切換えアーム25が第一排出位置D1に切り換わると、スイッチ操作部25aによる揺動検出部28aの押圧操作が解除され、揺動検出部28aが検出スイッチ28の復元力によって第一検出位置に揺動して、検出スイッチ28が第一排出形態の検出状態になる。
図7に示すように、排出スクリュー17に接続ケース19を介して縦搬送部31の下部が接続され、縦搬送部31の上端部に横搬送部32の基部が接続され、排出スクリュー17、縦搬送部31及び横搬送部32によって脱穀物排出装置30が構成されている。
接続ケース19は、タンク13に連結していると共に走行機体1の前後方向に向いている走行機体前後向き部位19aと、走行機体前後向き部位19aのタンク側と反対側の端部から立ち上がると共に走行機体1の上下方向に向いている走行機体上下向き部位19bとを備え、機体側面視でL字形状になっている。縦搬送部31は、接続ケース19の走行機体上下向き部位19bから立ち上がり、走行機体上下方向に沿って延びている。横搬送部32は、縦搬送部31の上端部から横方向(水平又はほぼ水平の方向)に延びている。縦搬送部31及び横搬送部32は、スクリューコンベヤによって構成されている。排出スクリュー17及び縦搬送部31及び横搬送部32は、接続ケース19に伝動ケース33を介してモータ35から伝達される動力によって駆動される。モータ35は、油圧モータによって構成されている。モータ35としては、電動モータの採用が可能である。
縦搬送部31に旋回アクチュエータとしての旋回シリンダ34が連動連結されている。脱穀物排出装置30は、旋回シリンダ34の伸縮作動によって縦搬送部31の軸芯Yを旋回中心にして排出姿勢と格納姿勢とにわたって旋回操作される。
図2に二点鎖線で示すように、脱穀物排出装置30が排出姿勢に旋回されると、横搬送部32が縦搬送部31から走行機体1の右横外側へ張出した排出姿勢Mになる。図2に実線で示すように、脱穀物排出装置30が格納姿勢に旋回操作されると、横搬送部32が走行機体1の横内側に格納されて、下降貯留姿勢のタンク13の上方に位置した格納姿勢Nになる。本実施形態では、横搬送部32の格納姿勢Nとして、走行機体1の前後方向に沿った姿勢が採用されているが、走行機体1の前後方向に対して傾斜する姿勢を採用してもよい。
図11,12に示すように、タンク13の右横側部にシュート36が設けられている。シュート36の基端側が支軸37を介してタンク13の下部に支持されている。図7に示すように、シュート36の前後側において、シュート36の遊端側とタンク13とにわたって屈伸リンク38が設けられ、シュート36の遊端側が屈伸リンク38を介してタンク13に支持されるようになっている。図13に示すように、屈伸リンク38は、タンク側リンク38a及びシュート側リンク38bを備えている。タンク側リンク38aは、支点軸39を介してタンク13に揺動可能に支持されている。シュート側リンク38bは、タンク側リンク38aの遊端部と、シュート36の遊端部とにわたって連結されている。シュート側リンク38bとタンク側リンク38aとは、相対回転可能に連結されている。シュート側リンク38bのシュート側の端部は、シュート36の支持溝部36aにスライド可能、かつ、相対回転可能に係入されている。
図11,12に示すように、シュート36は、屈伸リンク38が折り畳み及び伸長操作されることにより、支軸37の走行機体前後方向に延びる軸芯Zを揺動支点にして使用姿勢と閉鎖姿勢とにわたって昇降操作される。
図3に示すように、シュート36は、使用姿勢になると、タンク13から走行機体1の右横外側の外部に向けて張り出した状態の取付け姿勢になり、第一排出口20から排出される脱穀粒がシュート36の案内面36cによって走行機体1の右横外側へ向けて流下案内される。
図5に示すように、シュート36は、閉鎖姿勢に操作されると、第一排出口20に対向した取付け姿勢になり、第一排出口20がシュート36によって塞がれる。シュート36には、シュート36の前後端部から案内面36c側に立ち上がった側壁部36bが備えられている。シュート36が閉鎖姿勢になったとき、前の側壁部36bは、タンク13の前外側にタンク13と前後方向に並んで位置し、後の側壁部36bは、タンク13の後外側にタンク13と前後方向に並んで位置する。
図11,12に示すように、タンク13とシュート36とわたって連係機構40が設けられている。図12に示すように、タンク13が上昇排出姿勢に姿勢変更されると、この姿勢変更に連係させて、シュート36が連係機構40によって使用姿勢に姿勢変更される。図11に示すように、タンク13が下降貯留姿勢に姿勢変更されると、この姿勢連係させて、シュート36が連係機構40によって閉鎖姿勢に姿勢変更される。連係機構40は、次の如く構成されている。
連係機構40は、シュート36の後側に連結している屈伸リンク38、及び操作ケーブル41を備えている。操作ケーブル41は、アウターケーブル42及びインナーケーブル43を備えている。インナーケーブル43は、アウターケーブル42の内部をスライド可能に通っている。
図11,12に示すように、アウターケーブル42のシュート側端部は、アウター支持部材44を介してタンク13に固定状態で支持されている。インナーケーブル43のシュート側端部は、屈伸リンク38のケーブル連結部38cにスプリング45を介して連結されている。ケーブル連結部38cは、支点軸39に相対回転不能に設けられ、支点軸39を介してタンク側リンク38aに連動連結されている。アウターケーブル42のタンク側端部は、アウター支持部材46を介して支柱部材47に支持されている。支柱部材47は、支持構造体26の連結フレーム26aに支持されている。アウターケーブル42のタンク側端部は、アウター支持部材46及び支柱部材47を介して支持構造体26に固定されている。インナーケーブル43のタンク側端部は、インナー支持部材48を介してブラケット49に支持されている。ブラケット49は、タンク13の下部に固定されている。インナーケーブル43のタンク側端部は、インナー支持部材48及びブラケット49を介してタンク13に連結されている。操作ケーブル41の途中の三箇所がケーブルガイド50に支持されている。三箇所のケーブルガイド50は、タンク13に支持されている。
図11,12に示すように、タンク13が下降貯留姿勢から上昇していくに伴い、インナーケーブル43のタンク側端部がアウター支持部材46に近づく方向に移動操作されてインナーケーブル43が緩め操作される。インナーケーブル43が緩め操作されるに伴い、屈伸リンク38がシュート36の重量によって伸長側に操作され、シュート36が下降していく。タンク13が上昇排出姿勢になると、屈伸リンク38が伸長状態になり、シュート36が使用姿勢になると共に屈伸リンク38によって使用姿勢に吊り下げ支持される。
図11,12に示すように、タンク13が上昇排出姿勢から下降していくに伴い、インナーケーブル43のタンク側端部がアウター支持部材46から離れる方向に移動操作されてインナーケーブル43が引っ張り操作される。インナーケーブル43が引っ張り操作されるに伴い、タンク側リンク38aがインナーケーブル43の引っ張り力によって引上げ操作され、屈伸リンク38が折り畳み側に操作され、シュート36が引き上げられていく。タンク13が下降貯留姿勢になると、屈伸リンク38が折り畳み状態になり、シュート36が閉鎖姿勢になると共にインナーケーブル43の引っ張り力によって閉鎖姿勢に保持される。
〔ロック機構LKの構成〕
図10,13,14に示すように、第一係止部25bと第二係止部38eとによってロック機構LKが構成されている。ロック機構LKは、切換えアーム25によって第二排出形態が選択されたとき、シュート36を閉鎖姿勢に維持し、切換えアーム25によって第一排出形態が選択されたとき、シュート36を閉鎖姿勢に維持しないものであ。具体的には、次の如く構成されている。
第一係止部25bは、切換えアーム25の遊端部に備えられ、切換えアーム25と連動している。タンク側リンク38aに延長リンク部38dが備えられている。第二係止部38eは、延長リンク部38dの遊端部に備えられ、シュート36と連動している。
図9,10,13に示すように、シュート36が閉鎖姿勢になっているとき、切換えアーム25が第二排出位置D2に切り換え操作されると(第二排出形態が選択されると)、第一係止部25bが第二係止部38eに係止して、ロック機構LKがロック状態になる。ロック機構LKがロック状態になると、第一係止部25bの第二係止部38eへの係止によって屈伸リンク38の伸長が阻止される。これにより、タンク13が上昇排出姿勢に上昇されて、インナーケーブル43が緩め操作されても、シュート36がロック機構LKによって閉鎖姿勢に維持される。
図8,14に示すように、シュート36が上昇格納姿勢になっているとき、切換えアーム25が第一排出位置D1に切り換え操作されると(第一排出形態が選択されると)、第一係止部25bが第二係止部38eから外れて、ロック機構LKがロック解除状態になる。ロック機構LKがロック解除状態になると、第一係止部25bが第二係止部38eからはずれていることによって屈伸リンク38の伸長が許容される。これにより、タンク13が上昇排出姿勢に上昇されて、インナーケーブル43が緩み操作されると、シュート36が使用姿勢に切り換わる。本実施形態では、タンク側リンク38aをロック機構LKの係止対称部材としているが、シュート側リンク38bを係止対称部材としてもよい。尚、図11,12では、図面に見易さを考慮して、例えば延長リンク部38d、切換えアーム25などを便宜的に二点鎖線で示してあるが、本来は現実的には、見えているものである。
〔脱穀物の取出し〕
タンク13に貯留された脱穀粒を脱穀物排出装置30によって取出す場合、収穫作業を開始する前(タンク13に脱穀粒が貯留される前)に、切換えアーム25を第二排出位置D2に切り換えておく。タンク13に脱穀粒が貯留されると、脱穀物排出装置30を排出姿勢に切り換えると共にタンク13を上昇排出姿勢に上昇させ、脱穀物排出装置30を駆動する。すると、カバー21がスクリュー案内状態に切り換わっていて、タンク13は、第二排出形態になっており、タンク13に貯留された脱穀粒が排出スクリュー17に流入して排出スクリュー17によって第二排出口18から排出される。第二排出口18から排出された脱穀粒が縦搬送部31によって接続ケース19から取出されて横搬送部32に送られ、横搬送部32の排出口32aから吐出される。これにより、タンク13に貯留された脱穀粒を脱穀物排出装置30による動力排出によって走行機体1の横外側方に取り出すことができる。このとき、選択部としての切換えアーム25の第二排出位置D2への切り換えによってロック機構LKがロック状態になっており、タンク13を上昇排出姿勢に上昇させても、シュート36がロック機構LKによって閉鎖姿勢に維持されたままになり、第一排出口20がシュート36によって塞がれたままになっている。
タンク13に貯留された脱穀粒を第一排出口20から取出す場合、収穫作業を開始する前(タンク13に脱穀粒が貯留される前)に、切換えアーム25を第一排出位置D1に切り換えておく。タンク13に脱穀粒が貯留されると、タンク13を上昇排出姿勢に上昇させる。すると、カバー21が流下案内状態になっていてタンク13が第一排出形態になっており、タンク13の底部に流下案内面Aが構成されるので、タンク内の脱穀粒が流下案内面Aによって第一排出口20に流下案内されて第一排出口20から排出される。排出スクリュー17が流下案内面Aから外れているので、脱穀粒は、排出スクリュー17による流動抵抗を受けずに第一排出口20からスムーズに排出される。切換えアーム25の第一排出位置D1への切り換えによってロック機構LKがロック解除状態になっており、タンク13を上昇排出姿勢に上昇させたとき、シュート36が使用姿勢に切り換わっていて、第一排出口20から排出される脱穀粒がシュート36によって流下案内される。これにより、タンク13に貯留された脱穀粒を重量排出によって走行機体1の横外側方に取り出すことができる。
図8に示すように、カバー21のうち、カバー21が流下案内状態となったときに第一排出口20側に位置する部分に、切欠部21aが形成されている。切欠部21aは、カバー21のタンク前後方向での両端側に形成されている。底板16のうち、カバー21が流下案内状態になったときに切欠部21aに対応する部位の上方にタンク側の幅寄体51が設けられている。シュート36の案内面36cのうち、走行機体前後方向での両端側の部位にシュート側の幅寄体52が設けられている。タンク内を第一排出口20に向かって流動する脱穀粒が第一排出口20の中央側に向かって流動するようにタンク側の幅寄体51によって流下案内される。これにより、第一排出口20からシュート36に排出される脱穀粒がシュート側の幅寄体52どうしの間に排出される。シュート36に排出された脱穀粒がシュート36の中央側に流下するように幅寄体52によって流下案内され、シュート36の排出口36dの中央寄りの部位から排出される。
図15に示すように、カバー21が流下案内状態となり、かつ、シュート36が閉鎖姿勢となったときに、タンク13の上面視において、シュート側の幅寄体52が切欠部21cの範囲内に位置する。カバー21が流下案内状態とスクリュー案内状態とに亘って揺動するとき、シュート36が閉鎖姿勢になっていてシュート側の幅寄体52がタンク13内に入り込んでいても、切欠部21cによってカバー21が幅寄体52に当たらない。
図10に示すように、タンク側の幅寄体51の基部がタンク13の前壁部13F又は後壁部13Rに連結されている。幅寄体51は、前壁部13F又は後壁部13Rから延出されると共にタンク上下方向に沿った方向に延びる連結軸芯Gを揺動支点にして揺動可能に延出されている。脱穀粒が第一排出口20から排出されるとき、タンク側の幅寄体51は、第一排出口20に向かって流下する脱穀粒によって押圧操作される。これにより、タンク側の幅寄体51は、幅寄体51の遊端側がストッパー53に当接して支持される使用姿勢になる。図9に示すように、シュート36が閉鎖姿勢にされたとき、シュート側の幅寄体52がタンク13の内部に入り込み、タンク側の幅寄体51がシュート側の幅寄体52によって押圧操作され、タンク側の幅寄体51は、使用姿勢のときに比べ、遊端側がタンク13の内側に移動した格納姿勢になる。
〔脱穀物排出装置30の支持構造〕
図17に示すように、脱穀物排出装置30と脱穀装置12との配置関係は、脱穀物排出装置30が排出姿勢になったとき、脱穀装置12が縦搬送部31に対して横搬送部32の排出口32aが位置する側と反対側に位置する配置関係になっている。
図16,18に示すように、タンク13と縦搬送部31との間に、走行機体1の上下方向に沿って延びる支持フレーム体55が設けられている。支持フレーム体55は、縦搬送部31に寄り沿う状態で設けられている。縦搬送部31は、支持フレーム体55によって支持され、横搬送部32の荷重などに抗して上下向き姿勢に維持される。詳しくは、次の如く構成されている。
図16,18に示すように、支持フレーム体55の下部に連結部55aが形成されている。連結部55aは、接続ケース19の走行機体前後向き部位19a及び走行機体上下向き部位19bに連結ボルトによって締め付け連結されている。支持フレーム体55の下部は、走行機体前後向き部位19aと走行機体上下向き部位19bとにわたって支持されている。
図16,17,18に示すように、支持フレーム体55には、下部が接続ケース19に支持されている縦フレーム55cと、縦フレーム55cの上部に設けられた延出部55bとが備えられている。延出部55bは、縦フレーム55cの上部から縦搬送部31に対して反対側に位置する箇所に延びている。延出部55bに包持部材56が支持されている。包持部材56には、延出部55bに連結されているベース部56aと、ベース部56aに両端部が連結ボルトによって連結されるバンド部56bとが備えられている。包持部材56は、ベース部56aの支持部56cと、バンド部56bとによって縦搬送部31の搬送筒31aを回転可能に包持している。縦搬送部31の中間部が包持部材56及び延出部55bを介して縦フレーム55cの上部に支持されている。本実施形態では、縦搬送部31中間部が包持部材56に支持される構成を採用しているが、縦搬送部31のうち、横搬送部32に近い先端部が包持部材56に支持される構成を採用してもよい。
図17に示すように、延出部55bと、脱穀装置12の扱胴駆動部12aとが連結フレーム57によって連結されている。支持フレーム体55と脱穀装置12とが連結フレーム57によって連結され、支持フレーム体55は、連結フレーム57を介して脱穀装置12によって引張り支持される。本実施形態では、連結フレーム57が扱胴駆動部12aに連結されているが、脱穀装置12の機体に連結する構成を採用してもよい。本実施形態では、支持フレーム体55は、延出部55bにおいて連結フレーム57に連結されているが、縦フレーム55cにおいて連結フレーム57に連結される構成を採用してもよい。連結フレーム57は、支持フレーム体55側の分割連結フレーム57aと、脱穀装置12側の分割縦フレーム57bとによって構成されている。連結フレーム57の中間部にシリンダケース58が支持され、シリンダケース58に旋回シリンダ34の縦搬送部側と反対側の端部が支持されている。シリンダケース58の先端部が支柱フレーム59を介して支持構造体26に支持されている。連結フレーム57の中間部がシリンダケース58及び支柱フレーム59を介して支持構造体26に支持されている。
〔保持部60の構成〕
図1,2に示すように、脱穀物排出装置30が格納姿勢に旋回したとき、横搬送部32における排出口32a側の部分が保持部60によって保持され、横搬送部32が横搬送部32の格納姿勢Nに位置決めされるようになっている。保持部60は、次の如く構成されている。
図20に示すように、保持部60は、保持フレーム61を備えている。保持フレーム61の下部に座部62が形成されている。座部62は、タンク13に連結ボルトによって締め付け連結され、保持部60は、タンク13に支持されている。
座部62は、タンク13の上部に設定された第一支持部63と第二支持部64とに連結ボルトによって締め付け連結されている。保持部60は、第一支持部63と第二支持部64とにわたって支持されている。
第一支持部63は、タンク13のうちの縦搬送部31が位置する側とは反対側の壁部としての後壁部13Rと、タンク13のうちの天板部13Tとから構成されるタンク上角部UKに設定されている。このタンク上角部UKには、後壁部13Rと、天板部13Tと、後壁部13R及び天板部13Tに交わる壁部としての右横壁部13Sとから構成され、タンク13の後右端隅部に位置するタンク上角部CKと、この後右端隅部のタンク上角部CKよりもタンク13の後左端側に位置する第1重なり部位K1とが備えられている。第1重なり部位K1は、後壁部13Rの上端部に形成された折返し部13aと、天板部13Tとが重ね合された状態で連結されている部位である。折返し部13aと天板部13Tとの重ね合わせは、折返し部13aが天板部13Tの裏面側に位置する重ね合わせになっている。折返し部13aと天板部13Tとの連結は、座部62、折返し部13a及び天板部13Tを共締めする連結ボルトによって行なわれている。
第二支持部64は、第一支持部63より走行機体前方に位置している。第二支持部64は、天板部13Tと補強部材65とが重なり合っている第2重なり部位K2によって構成されている。補強部材65は、タンク13の内部に備えられ、天板部13Tを補強している。天板部13Tと補強部材65との連結は、座部62、天板部13T及び補強部材65を共締めする連結ボルトによって連結されている。
保持部60は、タンク13の上部のうち、折返し部13aと天板部13Tとの重なりによって剛性が高い部位と、後壁部13R、天板部13T及び右横壁部13Sの交わりによって剛性が高い部位と、天板部13Tと補強部材65との重なりによって剛性が高い部位とにわたって支持されている。
図20に示すように、保持部60には、横搬送部32の格納姿勢に対応すると共に出入口67を有する収容域Sと、横搬送部32を収容域Sに案内するガイド部72が備えられている。
ガイド部72には、収容域Sの下側に位置する下ガイド部材70、及び、収容域Sの上側に位置する上ガイド部材71が備えられている。下ガイド部材70は、収容域Sに向けて上り傾斜に構成されている。下ガイド部材70のガイド作用部70aは、樹脂部材によって構成され、横搬送部32を滑り易くしている。上ガイド部材71は、弾性部材によって構成されている。
収容域Sは、下ガイド部材70の終端部66と、収容域Sの出入口67側と反対側に位置する横側支持部材68、及び、収容域Sの上に位置する上側支持部材69によって形成されている。横側支持部材68の支持作用部68a、及び上側支持部材69の支持作用部69aは、クッション材によって構成されている。
保持部60においては、排出姿勢Mから格納姿勢Nへ旋回して来た横搬送部32が下ガイド部材70に受け入れられて下ガイド部材70が横搬送部32に底部に案内作用し、横搬送部32が下ガイド部材70によって収容域S向けて、かつ収容域側上りに案内されて移動していく。横搬送部32が下ガイド部材70の上を移動していくに伴い、上ガイド部材71に受け入れられて上ガイド部材71が横搬送部32の上部に案内作用し、上ガイド部材71が横搬送部32によって押し上げ操作され、弾性変形して横搬送部32の収容域Sに向けての移動を許容する。横搬送部32が格納姿勢Nになると、横搬送部32が終端部66、横側支持部材68及び上側支持部材69に支持されて収容域Sに保持される。
横搬送部32が収容域Sに収容されると、上ガイド部材71が弾性復元力によって元の状態に戻る。収容域Sに位置した横搬送部32が上ガイド部材71によって上側から収容域Sに向けて抑え込まれ、横搬送部32が収容域Sに保持される。
横搬送部32が格納姿勢Nから排出姿勢Mへ旋回するとき、横搬送部32が上ガイド部材71を押し上げ操作し、上ガイド部材71が弾性変形されて横搬送部32の通過を許容し、横搬送部32が収容域Sから出て行く。
〔縦搬送部31の回転位置を検出する構成〕
図16,18に示すように、縦フレーム55cにセンサ支持部材73が備えられ、センサ支持部材73にセンサ74が支持されている。センサ74は、支持フレーム体55に支持されている。センサ74の検出対称部材75としてのカム部材が縦搬送部31における搬送筒31aの外周部に備えられている。センサ74の揺動可能な検出部74aが検出対称部材75の周縁部に対向している。脱穀物排出装置30が旋回操作されると、検出対称部材75が搬送筒31aと共に回転し、検出部74aが検出対称部材75によって揺動操作される。センサ74は、検出部74aの揺動位置を縦搬送部31の回転位置として検出する。本実施形態では、センサ支持部材73を備えているが、センサ支持部材73を備えず、センサ74を支持フレーム体55に直接に支持する構成を採用してもよい。
〔運転部5の構成〕
図21に示すように、運転部5には、運転座席80、サイド運転パネル81、ステアリングホィール82、制御ボックス83及び遠隔操作装置84が設けられている。サイド運転パネル81は、運転座席80の右横側に設けられている。本実施形態では、サイド運転パネル81は、運転座席80の右横側に設けられているが、運転座席80に左横側に設けてもよい。
サイド運転パネル81には、前車輪2の駆動速度を変速する変速レバー85、収穫部10を昇降操作する昇降レバー86、収穫部10を駆動及び停止操作する収穫クラッチレバー87、脱穀装置12を駆動及び停止操作する脱穀クラッチレバー88が設けられている。
遠隔操作装置84には、第一操作ボタン89及び第二操作ボタン90によって操作される旋回スイッチ、第三操作ボタン91によって操作される排出スイッチ及び昇降スイッチが備えられている。第一操作ボタン89、第二操作ボタン90及び第三操作ボタン91は、遠隔操作装置84の操作面84aに配置されている。旋回スイッチ、排出スイッチ及び昇降スイッチは、通信ケーブル92を介して制御装置93に連係されている。制御装置93は、制御ボックス83に収容されている。
第一操作ボタン89及び第二操作ボタン90が操作されることにより、旋回指令としての電気信号が旋回スイッチから制御装置93に発信され、制御装置93が旋回指令に基づいて作動して旋回シリンダ34が制御装置93によって制御される。これにより、脱穀物排出装置30が旋回指令に対応した旋回方向に旋回操作される。第一操作ボタン89が操作されることにより、脱穀物排出装置30が排出姿勢に向けて旋回操作される。第二操作ボタン90が操作されることにより、脱穀物排出装置30が格納姿勢に向けて旋回操作される。
第三操作ボタン91によって排出スイッチが操作されることにより、モータ指令としての電気信号が排出スイッチから制御装置93に発信され、制御装置93がモータ指令に基づいて作動してモータ35が制御装置93によって制御される。これにより、モータ35がモータ指令に対応した切り状態及び入り状態に切換え操作され、脱穀物排出装置30が駆動及び停止される。
第三操作ボタン91によって昇降スイッチが操作されることにより、昇降指令としての電気信号が昇降スイッチから制御装置93に発信され、制御装置93が昇降指令に基づいて作動して昇降シリンダ11が制御装置93によって制御される。これにより、タンク13が昇降指令に対応した上昇側及び下降側に揺動操作される。
タンク13から穀粒を取出す場合、遠隔操作装置84の旋回スイッチによる脱穀物排出装置30の遠隔操作によって脱穀物排出装置30を排出状態に切り換えることができる。遠隔操作装置84の昇降スイッチによるタンク13の遠隔操作によって、タンク13を上昇排出姿勢に切り換えることができる。遠隔操作装置84の排出スイッチによるモータ35の遠隔操作によって脱穀物排出装置30を駆動状態にできる。
収穫作業を行なうなどの場合、遠隔操作装置84の旋回スイッチに脱穀物排出装置30の遠隔操作によって脱穀物排出装置30を格納状態に切り換えることができる。遠隔操作装置84の昇降スイッチによるタンク13の遠隔操作によって、タンク13を下降貯留姿勢に切り換えることができる。遠隔操作装置84の排出スイッチによるモータ35の遠隔操作によって脱穀物排出装置30を停止状態にできる。
図21,22に示すように、走行機体1の横幅方向でサイド運転パネル81を挟んで運転座席80とは反対側に操作装置載置部94が設けられている。操作装置載置部94は、走行機体1の前後方向において運転座席80の前部80aと対応する位置に、後下がりの傾斜姿勢で設けられている。走行機体1の前後方向視において、操作装置載置部94は、水平又はほぼ水平になっている。図22に示すように、操作装置載置部94の載置面94aは、遠隔操作装置84の操作面84aが上向きになる姿勢(使用可能な姿勢)で遠隔操作装置84を載置するように構成されている。載置面94aの周囲に保持部95が設けられている。保持部95は、操作装置載置部94の縁部から載置面94a側に立ち上がっている。遠隔操作装置84を操作装置載置部94に載置すると、保持部95が遠隔操作装置84の側部に係合し、遠隔操作装置84が滑り落ちないように載置面上に保持部95によって保持される。
遠隔操作装置84を操作装置載置部94に保持させることにより、運転座席80に着座したままでも操作し易箇所に、見易い姿勢で保持することができる。
操作装置載置部94は、図22,23に示す支持構造によってサイド運転パネル81の側壁部81aに支持されている。
すなわち、図22,23に示すように、側壁部81aの上部にリブ96が備えられている。リブ96は、側壁部81aの上端部を側壁部81aの横外側に折り返すことによって構成されている。
図22,23に示すように、操作装置載置部94のサイド運転パネル81側の横端部に取付部97が備えられている。取付部97は、操作装置載置部94から下向きに延出している。
図22,23に示すように、取付部97における前部97aが側壁部81aに一本の連結ボルト98によって締め付け連結されることにより、操作装置載置部94の前端側が側壁部81aに締め付け連結されている。
取付部97のうち、連結ボルト98より後方に位置する後部97bがリブ96に載るよう構成され、操作装置載置部94の後端側がリブ96に載ってリブ96によって受け止め支持されるよう構成されている。操作装置載置部94の後端側が連結ボルト98を揺動支点にして下降する側に回転しないように、操作装置載置部94がリブ96によって回り止めされている。
図2,24,25に示すように、運転部5の右側部に、運転部5の前後にわたる右側ステップ100が備えられている。運転者は右側ステップ100を利用して、例えば、プレクリーナ101等の点検作業を行うことができる。
図24に示すように、運転部5の前部の右側横側部に、2つのバックミラー102,103が上下に並ぶ状態で備えられている。上側のバックミラー102は、運転部5の上部に対応する位置に備えられ、下側のバックミラー103は、運転部5の下部に対応する位置に備えられている。
運転部5の前部の右側横側部には、運転部5の上下にわたる手摺104が備えられ、下側のバックミラー103は、この手摺104に支持されている。下側のバックミラー103は、右側ステップ100の前端部の上方に位置する状態で備えられている。上側のバックミラー102は、キャビン6から延設したブラケット105に支持されている。
図24,25に示すように、上側のバックミラー102を利用して運転部5から目視可能な範囲は、上下方向において上寄りの範囲H1であり、左右方向において機体外側寄りの範囲W1である。それに対して、下側のバックミラー103を利用して運転部5から目視可能な範囲は、上下方向において、上側のバックミラー102の目視可能範囲H1よりも下寄りの範囲H2であり、左右方向において、上側のバックミラー103の目視可能範囲W1よりも機体内側寄りの範囲W2である。
例えば、タンク13から脱穀粒を排出する際に、上側のバックミラー102により、タンク13からシュート36への穀粒の排出状況を確認することができる。一方、下側のバックミラー103により、タンク13の排出箇所よりも下方側に位置している受け止め部(例えば、運搬車の荷台)におけるシュート36からの脱穀粒受止め状況を目視により確認することができる。但し、図1,2で示す上下のバックミラー102,103による目視可能範囲は、例示であって、このような目視可能範囲に限定されるものではない。
図26,28に示すように、右底部14のうちの排出スクリュー17の横側方に位置する部位に第三排出口106が設けられている。第三排出口106は、走行機体1の右横外側に向かって開口しており、蓋部材107によって開閉するように構成されている。蓋部材107の上下縁部が支持レール108を介して右底部14に支持されている。蓋部材107は、排出スクリュー17の軸芯に沿う方向にスライド操作することによって開閉できる。本実施形態では、スライドによって開閉する蓋部材107を採用しているが、揺動によって開閉する蓋部材、あるいは、取り付け及び取り外しによって開閉する蓋部材の採用が可能である。
図26,28に示すように、走行機体1の右横側部に外装カバー109が設けられている。右底部14の横外側方が右底部14の全長にわたって外装カバー109によって覆われ、かつ、第三排出口106の横外側方が外装カバー109によって覆われている。
図26に示すように、外装カバー109は、走行機体1の上下方向での大きさ(上下幅)よりも走行機体1の前後方向での大きさ(前後長さ)が大きい長尺部材に、かつ、縦断面形状が溝形の部材に構成されている。外装カバー109の前後側の端部に連結部109aが備えられている。前後側の連結部109aが右底部14における補強板部110に連結ボルト111によって連結されている。外装カバー109は、タンク13に脱着可能に取付けられている。
排出スクリュー17及び排出装置本体30Aに脱穀粒が詰まるなど、第三排出口106からの取出しが必要になった場合、図27に示すように、外装カバー109を取り外して外装カバー109による第三排出口106の覆いを解除し、蓋部材107を開いて第三排出口106を開口させる。昇降シリンダ11を作動させてタンク13を貯留姿勢から排出姿勢に切り換えると、排出スクリュー17に位置する脱穀粒が重力によって第三排出口106から走行機体の右横外側に向けて排出される。このとき、図26に二点鎖線で示すように、かつ、図27に示すように、取り外した外装カバー109を長手方向の一端部が第三排出口106の下側に位置し、長手方向の他端部が回収容器などの回収部材112に臨む姿勢に人為操作によって保持することにより、外装カバー109が第三排出口106から排出される脱穀粒を回収部材112に流下案内する案内部材としての機能を発揮し、外装カバー109の溝形の断面形状によって脱穀粒が外部にこぼれ落ちることを防止しつつ、脱穀粒を回収部材112に回収できる。
〔別実施形態〕
(1)図29は、別の実施構造を備えるカバー121を示す後面図である。別の実施構造を備えるカバー121は、ガイドレール122にスライド可能に支持され、図29に示すスクリュー案内状態と、図30に示す流下案内状態とに亘ってスライド移行する。このカバー121は、流下案内状態となったとき、タンクの底板16に連続する状態となって、表面側で流下案内面Aを構成する。
(2)図31は、別の実施構造を備える脱穀物タンク13を示す概略後面図である。別の実施構造を備える脱穀物タンク13では、底板16及び凹入部15を有するタンク下部構造体13Dと、タンク上部構造体13Uとが備えられている。タンク下部構造体13Dは、傾斜状態で走行機体に支持され、底板16は、凹入部側ほど下方に位置する下り傾斜になっている。タンク上部構造体13Uは、タンク下部構造体13Dに対して横向きの揺動軸芯Pまわりに上昇姿勢としての上昇開き姿勢と、下降姿勢としての下降閉じ姿勢とに上下揺動可能である。タンク上部構造体13Uが上昇開き姿勢に上昇されることにより、タンク上部構造体13Uの遊端側と底板16との間に第一排出口20が形成され、脱穀物タンク13に貯留された脱穀物が流下案内面Aによって第一排出口20に流下案内され、第一排出口20から排出される。タンク上部構造体13Uが下降閉じ姿勢に下降されることにより、タンク上部構造体13Uの下降によって第一排出口20が閉じられ、脱穀物の貯留が可能になる。
(3)上記した実施例では、排出スクリュー17が配置された領域をカバー21によって覆うことにより、排出スクリュー17が流下案内面から外れて位置するよう構成した例を示したが、脱穀物を第一排出口20から排出するとき、排出スクリュー17を排出スクリュー17によって脱穀物を排出するときの位置から移動させることにより、排出スクリュー17を流下案内面から外れて位置させるよう構成して実施してもよい。
(4)上記した実施形態では、排出スクリュー17が配置された凹入部15を覆うことにより、排出スクリュー17が配置された領域を覆うカバー21を採用した例を示したが、排出スクリュー17が底板16から上方に突出している場合など、排出スクリュー17を直接に覆うカバーを採用してもよい。
(5)上記した実施形態では、第一排出口20による脱穀粒の排出方向を走行機体1の右横外側向きに設定された例を示しているが、走行機体1の左横外側向きに設定してもよい。また、タンク13の揺動軸芯を走行機体1の横幅方向に沿った方向の横向き軸芯に設定し、第一排出口20による排出方向を走行機体1の後外側向きにしてもよい。
(6)上記した実施形態では、タンク13を上昇排出姿勢に上昇させた状態で脱穀物排出装置30による脱穀物の排出を行うよう構成された例を示したが、例えば、排出スクリューの排出方向を揺動軸芯Pと交差する方向に設定し、かつ、底板を排出スクリューに向かって下がる傾斜姿勢で設け、タンクを上昇姿勢に上昇させず、下降姿勢にしたままで、脱穀物排出装置30による脱穀物の排出を行うよう構成して実施してもよい。
(7)上記した実施形態では、タンク13の揺動軸芯Pが排出スクリュー17の回転軸芯と一致する状態で設けられた例を示したが、排出スクリュー17の回転軸芯とは異なる軸芯に設定して、排出スクリュー17の回転軸芯よりも脱穀物流下方向上手側あるいは脱穀物流下方向下手側に位置する状態で設けてもよい。
(8)上記した実施形態では、スロープ部29が設けられた例を示したが、スロープ部29を設けずに実施してもよい。
(9)上記した実施形態では、シュート36が備えられた例を示したが、シュート36を備えずに実施してもよい。
(10)上記した実施形態では、幅寄体52が設けられた例を示したが、幅寄体52を設けずに実施してもよい。
(11)上記した実施例では、操作ケーブル41によって構成した機械式の連係機構40を採用した例を示したが、脱穀物タンク13の揺動を検出するセンサ、シュート36を揺動操作するアクチュエータ、及びセンサの検出結果に基づいてアクチュエータを制御する制御手段によって構成した電気式連係機構を採用してもよい。
(12)上記した実施形態では、ロック機構LKを屈伸リンク38に係止作用するよう構成した例を示した、シュート36に直接作用するよう構成してもよい。
(13)上記した実施形態では、切換えアーム25を直接に人為操作によって操作するよう構成した例を示したが、切換えアーム25を操作ケーブルなどの機械式の連係機構、あるいは電気式の連係機構を介して操作する操作部材を選択部として採用してもよい。