JP2018168340A - ネットワーク状ポリシラン及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒添加量を低減できるネットワーク状ポリシラン及びその製造方法を提供する。【解決手段】非プロトン性溶媒中で、金属マグネシウム成分及び金属ハロゲン化物の存在下、少なくともトリハロシラン及び/又はテトラハロシランを含むハロシランを反応させてネットワーク状ポリシランを製造する。この方法において、前記金属ハロゲン化物は、亜鉛ハロゲン化物を含まず、リチウムハロゲン化物を含む。リチウムハロゲン化物の割合は、金属ハロゲン化物中50mol%以上であってもよく、前記金属ハロゲン化物は、リチウムハロゲン化物のみからなってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、亜鉛ハロゲン化物を用いることなく、金属含量の少ないネットワーク状ポリシラン及びその製造方法に関する。
ポリシランは、ケイ素−ケイ素結合を主鎖とする高分子化合物であり、耐熱性、高屈折率、光反応性、正孔輸送性、発光性、耐エッチング性、低誘電率などの様々な物性を有する材料である。ポリシランは、このような優れた物性を生かして、セラミックス前駆体、層間絶縁膜、光電子材料(例えば、フォトレジスト、有機感光体などの光電子写真材料、光導波路などの光伝送材料、光メモリなどの光記録材料、エレクトロルミネッセンス素子用材料など)などとして注目されている。このようなポリシランの中でも、トリハロシランなどの重合により得られるポリシランは、ネットワーク(網目又は分岐鎖)構造を有し、直鎖状ポリシランに比べて末端基が多いなどの特性を有し、樹脂添加剤などの種々の用途への適用が検討されている。
ポリシランの製造方法としては、ヒドロシラン類を遷移金属錯体触媒により脱水素縮重合させる方法、マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を重合(脱ハロゲン縮重合)させる方法(いわゆる「マグネシウム還元法」)などが知られているが、特に、汎用の化学合成装置により安定で安価な原料を用いて合成でき、安全性、コスト面で優位性があり、ポリシランが高収率で得られるなどの点から、マグネシウム還元法が広く利用されている。
このようなマグネシウム還元法では、反応を進めるため塩化リチウム及び無水塩化亜鉛などの亜鉛ハロゲン化物の使用が必須とされていた。
例えば、特開2011−208055号公報(特許文献1)には、重合末端を炭化水素基などで封鎖又は置換したネットワーク状(網目状又は分岐鎖状)ポリシランが開示されている。実施例では、塩化リチウム及び亜鉛ハロゲン化物(無水塩化亜鉛)を使用してネットワーク状ポリシランを得た例が開示されている。
一方、特開2011−208054公報(特許文献2)には、活性金属マグネシウムの存在下での重合後の反応混合物から金属マグネシウムを効率よく分離できるポリシランの製造方法が記載されている。実施例1及び2では、塩化リチウム及び無水塩化亜鉛を使用してネットワーク状ポリシランを得た例を開示している。しかし、実施例3では、塩化リチウム(ハロシラン1molあたり1mol)及び第2塩化鉄(ハロシラン1molあたり0.5mol)を使用して直鎖状ポリシランを得たことが開示されている。
ポリシラン(特にネットワーク状ポリシラン)においては、脱金属処理で亜鉛ハロゲン化物が除去しにくいという問題がある。また、光電子材料及び各種電子部品に使用するポリシランにおいては、残留金属(特に亜鉛)含量の低減化(1ppm未満)が望まれている。
特開2011−208055号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2011−208054号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、残留金属(特に亜鉛)含量が低減されたネットワーク状ポリシラン及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、触媒の使用量を低減できるネットワーク状ポリシランの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、亜鉛ハロゲン化物を添加することなく、金属マグネシウム及びリチウムハロゲン化物を用いてトリハロシラン及び/又はテトラハロシランを含むハロシランを重合すると、ネットワーク状ポリシランが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のネットワーク状ポリシランの製造方法では、非プロトン性溶媒中で、金属マグネシウム成分及び金属ハロゲン化物の存在下、少なくともトリハロシラン及び/又はテトラハロシランを含むハロシランを反応させてネットワーク状ポリシランを製造する。この方法において、前記金属ハロゲン化物は、亜鉛ハロゲン化物を含まず、リチウムハロゲン化物を含む。
この方法において、リチウムハロゲン化物の割合は金属ハロゲン化物中50mol%以上であってもよく、金属ハロゲン化物が、リチウムハロゲン化物のみからなってもよい。
前記方法において、金属ハロゲン化物の割合は、ハロシラン1molに対して、例えば、0.1〜1.2mol程度であってもよい。
前記方法は、ハロシランが、トリハロシラン及びジハロシランであってもよい。
本発明のネットワーク状ポリシランは、下記式(1a)及び/又は(2a)で表される単位を少なくとも含み、亜鉛含量が1ppm未満である。
Figure 2018168340
(式中、Rは水素原子、有機基又はシリル基を示す)。
本発明のネットワーク状ポリシランの製造方法では、ネットワーク状ポリシラン中に含まれる残留金属(特に亜鉛)含量を大幅に低減することができる。しかも、亜鉛ハロゲン化物を使用しないため、脱金属処理を容易に行うことができる。さらに、触媒の量を低減しても、ネットワーク状ポリシランを製造できる。
[ネットワーク状ポリシランの製造方法]
ネットワーク状ポリシランの製造方法は、通常、マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を重合(脱ハロゲン縮重合)させる方法(マグネシウム還元法)を利用できる。
本発明では、非プロトン性溶媒中で、還元剤としての金属マグネシウム成分及び触媒としての金属ハロゲン化物の存在下、トリハロシラン及び/又はテトラハロシランを含むハロシランを反応させて(又は重合して)ポリシランを製造する。この方法において、前記金属ハロゲン化物は、亜鉛ハロゲン化物を含まず、リチウムハロゲン化物を含む。
<ハロシラン>
ハロシランとしては、例えば、モノ乃至テトラハロシランが使用でき、少なくともトリハロシラン及び/又はテトラハロシランを含む。さらに、モノ乃至ジハロシランを含んでもよい。このようなモノ乃至テトラハロシランとしては、例えば、下記式(1)〜(4)で表される化合物などが例示できる。
Figure 2018168340
(式中、X〜Xは同一又は異なってハロゲン原子を示し、R〜Rは同一又は異なって、水素原子、有機基又はシリル基を示す)。
上記式において、R〜Rで表される有機基としては、アルキル基[メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びt−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルキル基(好ましくはC1−6アルキル基、特にC1−4アルキル基など)など]、シクロアルキル基(シクロヘキシル基などのC5−8シクロアルキル基、特にC5−6シクロアルキル基など)、アリール基(フェニル基、ナフチル基などのC6−12アリール基、好ましくはC6−10アリール基、さらに好ましくはC6−8アリール基など)、アラルキル基[ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−6アルキル基(C6−10アリール−C1−4アルキル基など)など]などの炭化水素基の他、アルコキシ基[メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ及びt−ブトキシ基などのC1−10アルコキシ基(好ましくはC1−6アルコキシ基、特にC1−4アルコキシ基)など]、アミノ基、及びN−置換アミノ基(前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基などで置換されたN−モノ又はジ置換アミノ基など)などが挙げられる。
前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基などは、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、前記例示のアルキル基(特にC1−6アルキル基など)、前記例示のアルコキシ基などが挙げられる。置換基の個数は、特に制限されず、1つであってもよく、複数(例えば、2〜4個)であってもよい。このような置換基を有する有機基としては、例えば、トリル、キシレニル、エチルフェニル、メチルナフチル基などのC1−6アルキルC6−10アリール基(好ましくはモノ乃至トリC1−4アルキルC6−10アリール基、特にモノ又はジC1−4アルキルフェニル基など);メトキシフェニル、エトキシフェニル、メトキシナフチル基などのC1−10アルコキシC6−10アリール基(好ましくはC1−6アルコキシC6−10アリール基、特にC1−4アルコキシフェニル基など)などが挙げられる。
〜Rで表されるシリル基は、前記例示のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び/又はアルコキシ基などで置換された置換シリル基であってもよい。
これらの基R〜Rのうち、水素原子又は炭化水素基、特に、炭化水素基(アルキル基、アリール基など)が好ましい。
前記式(1)〜(4)において、X〜Xで表されるハロゲン原子には、F、Cl、Br、I原子が含まれる。これらのハロゲン原子のうち、特に、Cl及びBr(特にCl)原子が好ましい。
なお、ハロシランは、高純度であるのが好ましく、例えば、使用前に蒸留して使用してもよい。また、反応液中のハロシランの濃度(基質濃度)は、例えば、0.05〜20mol/L程度、好ましくは0.1〜15mol/L程度、さらに好ましくは0.2〜5mol/L程度であってもよい。
(1)トリハロシラン
前記式(1)において、Rとしては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アラルキル基などの炭化水素基が好ましく、特にアルキル基、アリール基が好ましい。
代表的なトリハロシランとしては、アルキルトリハロシラン(メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、t−ブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシランなどのC1−10アルキルトリハロシラン、好ましくはC1−6アルキルトリハロシラン、さらに好ましくはC1−4アルキルトリハロシランなど)、モノシクロアルキルトリハロシラン(シクロヘキシルトリハロシランなどのモノC5−10シクロアルキルトリハロシランなど)、アリールトリハロシラン(フェニルトリクロロシラン、トリルトリクロロシラン、キシリルトリクロロシランなどのC6−12アリールトリハロシラン、好ましくはC6−10アリールトリハロシラン、さらに好ましくはC6−8アリールトリハロシランなど)などが例示できる。好ましいトリハロシランには、アルキルトリハロシラン、アリールトリハロシランなどが含まれる。トリハロシランは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(2)テトラハロシラン
テトラハロシランの具体例としては、例えば、テトラクロロシラン、ジブロモジクロロシラン、テトラブロモシランなどが挙げられる。テトラハロシランは単独で又は二種以上組み合わせてもよい。なお、通常、テトラハロシランは、モノ乃至トリハロシランと組み合わせて使用する。
(3)モノハロシラン
前記式(3)において、基R〜Rとしては、アルキル基、アリール基などの炭化水素基が好ましい。
代表的なモノハロシランとしては、例えば、トリアルキルモノハロシラン(トリメチルクロロシランなどのトリC1−10アルキルモノハロシラン、好ましくはトリC1−6アルキルモノハロシラン、さらに好ましくはトリC1−4アルキルモノハロシランなど)、ジアルキルモノアリールモノハロシラン(ジメチルフェニルクロロシランなどのジC1−10アルキルモノC6−12アリールモノハロシラン、好ましくはジC1−6アルキルモノC6−10アリールモノハロシラン、さらに好ましくはジC1−4アルキルモノC6−8アリールモノハロシランなど)、モノアルキルジアリールモノハロシラン(メチルジフェニルクロロシランなどのモノC1−10アルキルジC6−12アリールモノハロシラン、好ましくはモノC1−6アルキルジC6−10アリールモノハロシラン、さらに好ましくはモノC1−4アルキルジC6−8アリールモノハロシランなど)、トリアリールモノハロシラン(トリフェニルクロロシランなどのトリC6−12アリールモノハロシラン、好ましくはトリC6−10アリールモノハロシラン、さらに好ましくはトリC6−8アリールモノハロシランなど)などが例示できる。モノハロシランは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(4)ジハロシラン
前記式(4)において、基R及びRとしては、アルキル基、アリール基などの炭化水素基が好ましい。
代表的なジハロシランとしては、例えば、ジアルキルジハロシラン(ジメチルジクロロシランなどのジC1−10アルキルジハロシラン、好ましくはジC1−6アルキルジハロシラン、さらに好ましくはジC1−4アルキルジハロシランなど)、モノアルキルモノアリールジハロシラン(メチルフェニルジクロロシランなどのモノC1−10アルキルモノC6−12アリールジハロシラン、好ましくはモノC1−6アルキルモノC6−10アリールジハロシラン、さらに好ましくはモノC1−4アルキルモノC6−8アリールジハロシランなど)、ジアリールジハロシラン(ジフェニルジクロロシランなどのジC6−12アリールジハロシラン、好ましくはジC6−10アリールジハロシラン、さらに好ましくはジC6−8アリールジハロシランなど)などが挙げられる。好ましいジハロシランには、ジアルキルジハロシラン、モノアルキルモノアリールジハロシラン、ジアリールジハロシランなどが含まれる。ジハロシランは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのハロシランは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記のように、ハロシランは、トリハロシラン及び/又はテトラハロシランを少なくとも含む。トリハロシランとテトラハロシランとの割合(モル比)は、例えば、100/0〜10/90(例えば、99/1〜20/80)、好ましくは100/0〜30/70(例えば、95/5〜40/60)、さらに好ましくは100/0〜50/50(例えば、90/10〜60/40)程度であってもよい。
トリハロシラン及びテトラハロシランの合計割合(特にトリハロシランの割合)は、ハロシラン単位全体の30モル%以上(例えば、40モル%以上)、好ましくは50モル%以上(例えば、60モル%以上)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、75モル%以上)、特に80モル%以上であってもよい。
トリハロシラン及び/又はテトラハロシランは、他のハロシラン(モノジハロシラン、ジハロシランなど)と組み合わせてもよい。また、ハロシランは、少なくともトリハロシランを含むのが好ましく、トリハロシラン及びジハロシランを含むのが特に好ましい。
また、トリハロシランとジハロシランとを組み合わせる場合、両者の割合は、前者/後者(モル比)=99/1〜1/99、好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90であってもよく、通常、99/1〜50/50、好ましくは95/5〜70/30、さらに好ましくは90/10〜80/20であってもよい。
本発明において、反応を促進させるため、ハロシランに還元剤を添加してもよい。還元剤としては、特に制限されないが、ハロシラン類を重合(脱ハロゲン縮重合)させる方法などに使用できる還元剤であればよく、例えば、金属マグネシウム成分を使用することができる。
<金属マグネシウム成分>
金属マグネシウム成分(マグネシウム成分)は、活性な金属マグネシウム(すなわち、マグネシウムイオンなどではないマグネシウム)の形態でマグネシウムを含む成分であればよく、金属マグネシウム(マグネシウム単体)、マグネシウム合金、これらの混合物などであってもよい。マグネシウム合金の種類は特に制限されず、慣用のマグネシウム合金、例えば、アルミニウム、希土類元素(スカンジウム、イットリウムなど)などの成分を含むマグネシウム合金が例示できる。これらの金属マグネシウム成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
マグネシウム成分の形状は、ハロシランの反応を損なわない限り特に限定されないが、粉粒状(粉体、粒状体など)、リボン状体、切削片状体、塊状体、棒状体、板状体(平板状など)などが例示され、特に、粉体、粒状体、リボン状体、切削片状体などであるのが好ましい。金属マグネシウム成分(例えば、粉粒状のマグネシウム金属成分)の平均粒径は、例えば、1〜10000μm、好ましくは10〜7000μm、さらに好ましくは15〜5000μm(例えば、20〜3000μm)程度であってもよい。
なお、金属マグネシウム成分の保存状況などによっては、金属表面に被膜(酸化被膜など)が形成されることがある。この被膜は反応に悪影響を及ぼすことがあるので、必要に応じて、切削や溶出(塩酸洗浄などの酸洗)などの適当な方法によって除去してもよい。
なお、金属マグネシウム成分は、特開2002−226586号公報に記載の方法などにより、活性金属マグネシウム成分として重合に使用してもよい。
金属マグネシウム成分の使用量は、ハロシラン(複数のハロシランを用いる場合には、ハロシランの総量、以下同じ。)のハロゲン原子に対して、マグネシウム換算で、例えば、0.3〜30当量、好ましくは0.5〜20当量、さらに好ましくは1〜15当量程度であってもよく、通常1〜20当量(例えば、1.2〜10当量、好ましくは1.5〜3当量)程度であってもよい。
また、金属マグネシウム成分の使用量は、ハロシラン100重量部に対して、例えば、1〜500重量部、好ましくは3〜300重量部、さらに好ましくは5〜200重量部、特に10〜100重量部程度であってもよく、例えば、1〜100重量部、好ましくは3〜50重量部、さらに好ましくは5〜30重量部程度であってもよい。
なお、金属マグネシウム成分は、ハロシランを還元して、ポリシランを形成させるとともに、マグネシウム自身は酸化されてハロゲン化物を形成する。そして、ハロシランの還元に供されない未反応の金属マグネシウム成分は、反応混合物に含まれる。このようなマグネシウム成分は、後述のようにグリニャール試薬に変換(さらには、重合末端の封鎖に利用)してもよい。
反応は、ハロシランの重合を促進するため、金属ハロゲン化物(亜鉛ハロゲン化物を除く)から選択された少なくとも一種(促進剤又は触媒)の共存下で行ってもよい。
<金属ハロゲン化物>
金属ハロゲン化物は、少なくともリチウムハロゲン化物を含み、亜鉛ハロゲン化物を含まない。
リチウムハロゲン化物としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなどが挙げられ、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいリチウムハロゲン化物は、塩化リチウムである。
リチウムハロゲン化物の割合は、金属マグネシウム成分1molに対して、0.01〜1.5mol程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜1mol、好ましくは0.2〜0.7mol、さらに好ましくは0.3〜0.5mol程度である。
リチウムハロゲン化物の割合は、ハロシラン1molに対して、0.01〜1.5mol程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜1mol、好ましくは0.3〜0.9mol、さらに好ましくは0.5〜0.8mol程度であってもよく、例えば、0.2〜1.3mol、好ましくは0.6〜1.1mol、さらに好ましくは0.8〜1mol程度であってもよい。
なお、溶媒(反応液)中のリチウムハロゲン化物の濃度は、通常、0.05〜5mol/L、好ましくは0.1〜4mol/L、特に0.15〜3mol/L程度であってもよい。
リチウムハロゲン化物は、リチウムハロゲン化物以外の第2の金属ハロゲン化物(亜鉛ハロゲン化物を除く第2の金属ハロゲン化物)と組み合わせてもよい。第2の金属ハロゲン化物としては、多価金属ハロゲン化物、例えば、遷移金属(例えば、サマリウムなどの周期表3族元素、チタンなどの周期表4族元素、バナジウムなどの周期表5族元素、鉄などの周期表8族元素、コバルトなどの周期表9族元素、ニッケル、パラジウムなどの周期表10族元素、銅などの周期表11族元素など)、周期表13族金属(アルミニウムなど)、周期表14族金属(スズなど)などの金属のハロゲン化物(塩化物、臭化物又はヨウ化物など)が挙げられる。第2の金属ハロゲン化物を構成する前記金属の価数は、特に制限されないが、好ましくは2〜4価、特に2又は3価である。これらの第2の金属ハロゲン化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
第2の金属ハロゲン化物としては、鉄、アルミニウム、銅、スズ、ニッケル、コバルト、バナジウム、チタン、パラジウム、サマリウムなどから選択された少なくとも一種の金属の塩化物又は臭化物が好ましい。
このような第2の金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化物(FeCl、FeClなどの塩化鉄;AlCl、SnCl、CoCl、VCl、TiCl、PdCl、SmClなど)、臭化物(FeBr、FeBrなどの臭化鉄など)、ヨウ化物(SmIなど)などが例示できる。これらの第2の金属ハロゲン化物のうち、塩化物(例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)などの塩化鉄など)及び臭化物が好ましい。通常、塩化鉄などが使用される。
第2の金属ハロゲン化物の割合は、ハロシラン1molに対して、通常、0.5mol以下であってもよく、例えば、0.01〜0.3mol、好ましくは0.02〜0.2mol、さらに好ましくは0.03〜0.1mol程度であってもよく、例えば、0.01〜0.5mol、好ましくは0.05〜0.4mol、さらに好ましくは0.1〜0.3mol程度であってもよく、例えば、0.01mol以下であってもよい。
リチウムハロゲン化物の割合は、金属ハロゲン化物中50mol%以上であればよく、好ましくは80mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上(特に95mol%以上)であってもよく、実質的にリチウムハロゲン化物のみであってもよい。特に、本発明では、意外なことに、金属ハロゲン化物がリチウムハロゲン化物のみであっても、ネットワーク状ポリシランを効率よく重合できることを見出し、金属成分を減少でき、脱金属処理が容易となる。
金属ハロゲン化物全体の割合は、ハロシラン1molに対して、0.01〜2mol(例えば、0.05〜1.5mol)程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜1.2mol、好ましくは0.3〜1mol、さらに好ましくは0.5〜0.9mol程度であってもよく、例えば、0.2〜1.4mol、好ましくは0.7〜1.3mol、さらに好ましくは1〜1.2mol程度であってもよい。金属ハロゲン化物の添加量を低減することにより、ポリシラン中の残留金属含量を大幅に低減することができ、さらに脱金属処理を容易に行うことができる。金属ハロゲン化物の割合が少なすぎると、重合が進行しない虞があり、多すぎると、ポリシラン中の金属残量が増加する虞がある。本発明では、金属ハロゲン化物の割合が少なくても、ネットワーク状ポリシランの重合を促進できるため、残存金属量を低減できる。
本発明では、金属ハロゲン化物は、除去が困難な亜鉛ハロゲン化物を含まないため、ポリシラン中の残留金属の含有量を低減できるが、生成するポリシランの性質を損なわない範囲内で微量の亜鉛ハロゲン化物が混入することまで除くものではない。
また、溶媒(反応液)中の金属ハロゲン化物全体の濃度は、通常、0.001〜6mol/L程度であり、好ましくは0.005〜4mol/L、さらに好ましくは0.01〜3mol/L程度であってもよい。
<非プロトン性溶媒>
溶媒(反応溶媒)としての非プロトン性溶媒には、例えば、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテルなどの環状又は鎖状C4−6エーテル)、カーボネート類(プロピレンカーボネートなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、シクロオクタンなどの鎖状又は環状炭化水素類)などが含まれる。
これらの非プロトン性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて混合溶媒として使用できる。これらの溶媒のうち、少なくとも極性溶媒[例えば、エーテル類[例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,4−ジオキサンなど(特に、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)]]を使用するのが好ましい。極性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよく、極性溶媒と非極性溶媒とを組み合わせてもよい。
なお、ハロシランは、水と速やかに反応するため、使用する原料(すなわち、金属マグネシウム成分、金属ハロゲン化物、非プロトン性溶媒など)は、予め乾燥して使用するのが好ましい。
反応温度は、通常、−20℃から使用する溶媒の沸点までの温度範囲内である場合が多く、例えば、0〜150℃、好ましくは5〜100℃、さらに好ましくは10〜80℃程度であってもよい。
また、反応時間は、ハロシランの種類、金属ハロゲン化物及びマグネシウム金属成分の量などにより異なるが、通常、5分以上であってもよく、例えば、30分〜100時間、好ましくは1〜80時間、さらに好ましくは2〜60時間程度であってもよい。
以上のようにして、生成したポリシランを含む反応混合物が得られる。そして、このような重合後の反応混合物には、生成したポリシランの他に、未反応の金属マグネシウム成分(又は残存する金属マグネシウム成分)が含まれる。なお、残存する金属マグネシウム成分の割合は、反応において使用した(仕込んだ)金属マグネシウム成分に対して、90重量%以下(例えば、0.5〜85重量%)、好ましくは80重量%以下(例えば、1〜75重量%)、さらに好ましくは70重量%以下(例えば、2〜65重量%)、特に60重量%以下(例えば、3〜55重量%)であってもよい。
本発明では、このような反応混合物中に含まれる(又は残存する)金属マグネシウム成分をグリニャール試薬に変換し、ポリシランの重合末端の封鎖に利用してもよい。具体的には、反応混合物に、金属マグネシウム成分と反応してグリニャール試薬を生成する化合物(すなわち、有機ハロゲン化物)を混合することにより、金属マグネシウム成分と有機ハロゲン化物とを反応させて、グリニャール試薬を生成させ、ポリシランの重合末端を封鎖してもよい。
<重合末端の封鎖方法>
本発明のネットワーク状(網目状又は分岐鎖状)ポリシランは、少なくともトリハロシラン及び/又はテトラハロシランを含むハロシランが重合したポリシランであり、その重合末端がその重合末端が封鎖されていなくてもよいが、封鎖されているのが好ましい。
重合末端の封鎖は、重合反応後の反応混合物から分離したポリシランに対して行ってもよいが、重合末端が多いネットワーク状ポリシランは空気中の水分などにより自己縮合して、ポリシランの物性低下(例えば、自己縮合によるシロキサン結合(−Si−O−Si−)の導入によるポリシラン特性の低下)を生じやすい。そのため、重合反応後、引き続き、末端封鎖を行うのが好ましい。
重合末端の封鎖方法としては、ポリシランと、重合末端であるハロゲン原子やシラノール基と反応可能な封鎖剤とを反応させる方法が挙げられる。封鎖剤としては、前記例示の封鎖基の種類に応じて、適宜選択でき、モノハロシラン(例えば、トリメチルクロロシラン、ブチルジメチルクロロシランなどの前記例示のモノハロシラン)、シリルトリフラート、シラン(例えば、トリメチルシランなどのトリアルキルシランなど)、グリニャール試薬などが挙げられ、グリニャール試薬が好ましい。なお、グリニャール試薬は、マグネシウム(金属マグネシウム)と有機ハロゲン化物(ヨウ化メチルなど)との反応により生成させることができる。詳しくは、例えば、特許文献1(特開2011−208055号公報)に記載の重合末端の封鎖方法を利用してもよい。
なお、封鎖前及び封鎖後の末端基濃度(末端基の定量)は、慣用の分析方法、例えば、蛍光X線分析(WDX蛍光X線分析)、NMRなどにより測定できる。
(ポリシラン)
ハロシランの重合(縮合反応)により、ハロシランに対応したポリシランが生成する。具体的には、前記式(1)〜(4)で表されるハロシランを用いると、下記式(1a)で表される単位(又はユニット、すなわち、トリハロシラン単位)、下記式(2a)で表される単位(テトラハロシラン単位)、下記式(3a)で表される単位(モノハロシラン単位)及び下記式(4a)で表される単位(ジハロシラン単位)を有するポリシランが得られる。
Figure 2018168340
(式中、R〜Rは前記と同じ)。
本発明のネットワーク状ポリシランは、少なくともトリハロシラン及び/又はテトラハロシランを含むハロシランの重合により得られるので、トリハロシラン由来の単位(上記式(1a)で表される単位)及び/又はテトラハロシラン由来の単位(上記式(2a)で表される単位)を少なくとも有する。
ポリシランにおいて、トリハロシラン由来の単位としては、アルキルトリハロシランに由来するアルキルシラン単位、アリールトリハロシランに由来するアリールシラン単位などが挙げられ、特にアリールトリハロシランに由来するアリールシラン単位が好ましい。
ポリシランにおいて、代表的なハロシラン単位(又はその組み合わせ)としては、前記式(1a)で表される単位、例えば、(a)アルキルシラン単位(又はアルキルシラン単位単独、例えば、メチルシラン単位とC2−10アルキルシラン単位との組み合わせ、C2−10アルキルシラン単位単独など)、(b)アリールシラン単位(又はアリールシラン単位単独)、前記式(1a)で表される単位と前記式(4a)で表される単位とを有する共重合体単位、例えば、(c)アリールシラン単位とジ置換シラン単位(例えば、モノアルキルモノアリールシラン単位、ジアルキルシラン単位、ジアリールシラン単位など)との組み合わせなどが挙げられ、前記共重合体単位、例えば、(c)アリールシラン単位とジ置換シラン単位との組み合わせが好ましく、特にアリールシラン単位とアルキルアリールシラン単位との組み合わせが好ましい。
また、ネットワーク状ポリシランの重量平均分子量は、例えば、300〜20000、好ましくは400〜10000、さらに好ましくは500〜7000、特に700〜3500(例えば、1000〜2000)程度であってもよく、通常、500〜2000、好ましくは800〜1700、さらに好ましくは1000〜1500(例えば、1100〜1400)程度であってもよい。
さらに、ネットワーク状ポリシランの分子量分布[重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mn]は、例えば、1〜10、好ましくは1.1〜5、さらに好ましくは1.15〜3(例えば、1.2〜2)程度であってもよい。
なお、ネットワーク状ポリシランのケイ素含量は、例えば、10〜70重量%、好ましくは15〜60重量%、さらに好ましくは20〜55重量%(例えば、30〜50重量%)、特に35〜50重量%程度であってもよい。
本発明では、亜鉛ハロゲン化物を使用しないので、ポリシラン中の亜鉛含量は、1ppm未満に低減でき、実質的に含んでいないか、又は検出限界未満である場合が多い。
ネットワーク状ポリシランの分子量(重量平均分子量及び数平均分子量)及び元素分析による元素成分(ケイ素、亜鉛など)の含量は、例えば、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[分子量]
実施例において、ポリシランの分子量(重量平均分子量及び数平均分子量)は、GPC(東ソー(株)製 HLC−8320GPC)を用い、以下の条件で測定した。
流量:1.0ml/min、注入量:100μL、温度:40℃、溶媒:特級テトラヒドロフラン、検出器:RI(示差屈折)
[元素分析]
ポリシランのケイ素、亜鉛などの含量は、蛍光X線分析:WDX((株)リガク製 波長分散型蛍光X線分析装置 ZSX PrimusII)により測定した。
(実施例1)
(i)三方コックを装着した内容積1000mlのセパラブルフラスコに粒状(粒径30〜40μm)のマグネシウム17.3重量部(0.72mol)と無水塩化リチウム12.5重量部(0.29mol)とを仕込み、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、脱水グレードのテトラヒドロフラン400mlを加え、室温で約30分間攪拌した。そして、反応器に、さらに、フェニルトリクロロシラン74.8重量部(0.353mol)とメチルフェニルジクロロシラン11.9重量部(0.062mol)との混合物を、20〜35℃に保持しながら滴下漏斗を用いて2時間かけて添加し、その後20〜35℃で約24時間攪拌して反応させた。
(ii)反応終了後、反応混合物にヨウ化メチル16.0重量部(0.11mol)を20〜50℃に保持しながら滴下漏斗を用いて2時間かけて添加し、20〜50℃で約24時間攪拌した。
撹拌後の反応混合物にテトラヒドロフラン80ml、トルエン120ml、純水100mlを加えた。その後、25重量%の塩酸28.8重量部を投入して25℃にて0.5時間攪拌し、0.5時間静置の後、下層を廃棄して塩化マグネシウム(グリニャール試薬分解物)を除去した。
(iii)さらに、純水160mlによる洗浄を8回程度繰り返した後に、無水硫酸マグネシウム(関東化学(株)製)20重量部を加えて、1時間攪拌した後、無水硫酸マグネシウム40重量部を敷き詰めたろ紙を通して乾燥させた。ろ液を濃度約30重量%に濃縮後、濃縮液をイソプロピルアルコール670重量部中に滴下し、析出した結晶成分をろ過して取り出し、65℃、10Torrにて8時間以上乾燥させた結果、淡黄色粘稠固体38.1重量部(収率85.4%)を得た。
得られた化合物の分子量をGPCにて測定した結果、重量平均分子量(Mw)は1272であり、分子量分布Mw/Mnは1.26であった。なお、元素分析の結果、ケイ素含量は40重量%、炭素含量は53重量%、酸素含量は6重量%、亜鉛含量は0.1ppm未満であった。
(実施例2)
実施例1において、無水塩化鉄(III)3.37重量部(0.021mol)をさらに仕込んで反応させること以外は、実施例1と同様にして、34.0重量部の淡黄色粘稠固体(収率76.2%)を得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定した結果、重量平均分子量(Mw)は1257であり、分子量分布Mw/Mnは1.25であった。なお、元素分析の結果、ケイ素含量は41重量%、炭素含量は51重量%、酸素含量は7.1重量%、亜鉛含量は0.1ppm未満であった。
(実施例3)
(i)三方コックを装着した内容積1000mlのセパラブルフラスコに粒状(粒径30〜40μm)のマグネシウム21.56重量部(0.90mol)と無水塩化リチウム15.6量部(0.37mol)と無水塩化アルミニウム9.8重量部(0.073mol)とを仕込み、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、脱水グレードのテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間攪拌した。そして、反応器に、さらに、フェニルトリクロロシラン71.1重量部(0.336mol)とメチルフェニルジクロロシラン12.9重量部(0.068mol)との混合物を、20〜35℃に保持しながら滴下漏斗を用いて2時間かけて添加し、その後20〜35℃で約24時間攪拌して反応させた。
(ii)撹拌後の反応混合物にテトラヒドロフラン80ml、トルエン120ml、純水100mlを加えた。その後、下層を廃棄して塩化マグネシウム(グリニャール試薬分解物)を除去した。
(iii)さらに、純水160mlによる洗浄を8回程度繰り返した後に、無水硫酸マグネシウム(関東化学(株)製)20重量部加えて、1時間攪拌した後、無水硫酸マグネシウム40重量部を敷き詰めたろ紙を通して乾燥させた。ろ液を濃度約30重量%に濃縮後、65℃、10Torrにて8時間以上乾燥させた結果、淡黄色粘稠固体39.6重量部(収率91.3%)を得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定した結果、重量平均分子量(Mw)は1306であり、分子量分布Mw/Mnは1.29であった。なお、亜鉛含量は0.1ppm未満であった。
(実施例4)
実施例3において、無水塩化アルミニウムに代えて、無水塩化銅9.9重量部(0.073mol)を仕込んで反応させること以外は、実施例3と同様にして、淡黄色粘稠固体39.2重量部(収率90.3%)を得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定した結果、重量平均分子量(Mw)は1814であり、分子量分布Mw/Mnは1.42であった。なお、亜鉛含量は0.1ppm未満であった。
(実施例5)
実施例3において、無水塩化アルミニウムに代えて、無水塩化ニッケル9.5重量部(0.073mol)を仕込んで反応させること以外は、実施例3と同様にして、淡黄色粘稠固体を得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定した結果、重量平均分子量(Mw)は1618であり、分子量分布Mw/Mnは1.36であった。なお、亜鉛含量は0.1ppm未満であった。
(実施例6)
実施例3において、無水塩化アルミニウムに代えて、無水塩化スズ13.9重量部(0.073mol)を仕込んで反応させること以外は、実施例3と同様にして、淡黄色粘稠固体38.6重量部(収率89.0%)を得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定した結果、重量平均分子量(Mw)は1997であり、分子量分布Mw/Mnは1.59であった。なお、亜鉛含量は0.1ppm未満であった。
(実施例7)
(i)三方コックを装着した内容積1000mlのセパラブルフラスコに粒状(粒径30〜40μm)のマグネシウム10.78重量部(0.45mol)と無水塩化リチウム7.8量部(0.188mol)とを仕込み、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、脱水グレードのテトラヒドロフラン250mlを加え、室温で約30分間攪拌した。そして、反応器に、さらに、フェニルトリクロロシラン55重量部(0.26mol)を、20〜35℃に保持しながら滴下漏斗を用いて2時間かけて添加し、その後20〜35℃で約24時間攪拌して反応させた。
(ii)撹拌後の反応混合物にテトラヒドロフラン40ml、トルエン60ml、純水50mlを加えた。その後、下層を廃棄して塩化マグネシウム(グリニャール試薬分解物)を除去した。
(iii)さらに、純水80mlによる洗浄を8回程度繰り返した後に、無水硫酸マグネシウム(関東化学(株)製)10重量部加えて、1時間攪拌した後、無水硫酸マグネシウム40重量部を敷き詰めたろ紙を通して乾燥させた。ろ液を濃度約30重量%に濃縮後、65℃、10Torrにて8時間以上乾燥させた結果、淡黄色粘稠固体24.2重量部(収率90.2%)を得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定した結果、重量部平均分子量(Mw)は3168であり、分子量分布Mw/Mnは1.78であった。なお、亜鉛含量は0.1ppm未満であった。
(比較例1)
(i)三方コックを装着した内容積1000mlのセパラブルフラスコに粒状(粒径30〜40μm)のマグネシウム21.6重量部(0.915mol)と無水塩化リチウム15.6重量部(0.37mol)と、無水塩化亜鉛10.0重量部(0.073mol)とを仕込み、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、脱水グレードのテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間攪拌した。そして、反応器に、さらに、フェニルトリクロロシラン93.5重量部(0.442mol)とメチルフェニルジクロロシラン14.9重量部(0.078mol)との混合物を、20〜35℃を保持しながら滴下漏斗を用いて2時間かけて添加し、その後20〜35℃で約24時間攪拌して反応させた。
(ii)反応終了後、反応混合物にヨウ化メチル20.0重量部(0.14mol)を20〜50℃に保持しながら滴下漏斗を用いて2時間かけて添加し、20〜50℃で約24時間攪拌した。撹拌後の反応混合物にトルエン300.0ml、純水125.0mlを加えた。その後、25重量%の塩酸36.0重量部を投入して25℃にて0.5時間攪拌し、0.5時間静置の後、下層を廃棄して塩化マグネシウム(グリニャール試薬分解物)を除去した。
(iii)さらに、純水200mlによる洗浄を8回程度繰り返した後に、無水硫酸マグネシウム(関東化学(株)製)20重量部を加えて、1時間攪拌した後、無水硫酸マグネシウム40重量部を敷き詰めたろ紙を通して乾燥させた。ろ液を約30重量%に濃縮後、濃縮液をイソプロピルアルコール670重量部中に滴下し、結晶析出成分をろ過して取り出し、65℃、10Torrにて8時間以上乾燥させた結果、49.3重量部の淡黄色粘稠固体(収率88.4%)を得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定した結果、重量平均分子量(Mw)は1265であり、分子量分布Mw/Mnは1.27であった。なお、元素分析の結果、ケイ素含量は42重量%、炭素含量は49重量%、酸素含量は7.5重量%、亜鉛含量は1800ppmであり、酸素濃度及び亜鉛濃度が高かった。
以上の結果から、触媒として、塩化亜鉛を使用しなくても、塩化リチウムのみ又は塩化リチウムと、亜鉛ハロゲン化物以外の第2の金属ハロゲン化物とを使用することで、高い収率でネットワーク状ポリシランを得ることができた。
本発明のネットワーク状ポリシランは、金属残量が少ないため、セラミックス前駆体、層間絶縁膜、光電子材料(例えば、フォトレジスト、有機感光体などの光電子写真材料、光導波路などの光伝送材料、光メモリなどの光記録材料、エレクトロルミネッセンス素子用材料など)などに有効に利用できる。

Claims (6)

  1. 非プロトン性溶媒中で、金属マグネシウム成分及び金属ハロゲン化物の存在下、少なくともトリハロシラン及び/又はテトラハロシランを含むハロシランを反応させてネットワーク状ポリシランを製造する方法であって、前記金属ハロゲン化物は、亜鉛ハロゲン化物を含まず、リチウムハロゲン化物を含む前記金属ハロゲン化物を用い、ネットワーク状ポリシランを製造する方法。
  2. リチウムハロゲン化物の割合が、金属ハロゲン化物中50mol%以上である請求項1記載のネットワーク状ポリシランを製造する方法。
  3. 金属ハロゲン化物が、リチウムハロゲン化物のみからなる請求項1又は2記載のネットワーク状ポリシランを製造する方法。
  4. 金属ハロゲン化物の割合が、ハロシラン1molに対して、0.1〜1.2molである請求項1〜3のいずれかに記載のネットワーク状ポリシランを製造する方法。
  5. ハロシランが、トリハロシラン及びジハロシランである請求項1〜4のいずれかに記載のネットワーク状ポリシランを製造する方法。
  6. 下記式(1a)及び/又は(2a)で表される単位を少なくとも含み、亜鉛含量が1ppm未満であるネットワーク状ポリシラン。
    Figure 2018168340
    (式中、Rは水素原子、有機基又はシリル基を示す)
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