JP5979832B2 - ポリシランの製造方法 - Google Patents
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(1)金属ナトリウムなどのアルカリ金属を用いて、トルエン溶媒中のジアルキルジハロシランあるいはジハロテトラアルキルジシランを100℃以上の温度で強力に撹拌し、還元的にカップリングさせる方法“J.Am.Chem.Soc.,103(1981)7352”。
(2)ビフェニルなどでマスクしたジシレンをアニオン重合させる方法(特開平1-23063号公報)。
(3)環状シラン類を開環重合させる方法(特開平5-170913号公報)。
(4)ヒドロシラン類を遷移金属錯体触媒により脱水素縮重合させる方法(特公平7-17753号公報)。
(5)ジハロシラン類を室温以下の温度で電極還元してポリシランを製造する方法(特開平7-309953号公報)。
(6)ジハロシラン類にハロゲン化サマリウムおよびサマリウム金属を作用させることによりポリシランを製造する方法(特開2001-122972号公報)。
X1(SiR1R2)mX1 (1)
(式中、mは1〜3であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12の(置換)ビニル基、炭素数6〜12の(置換)アリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12の(置換)アミノ基またはシリル基を表し、X1はハロゲン原子を表す。)で表されるジハロシランを、ハロゲン化サマリウム(II価)およびサマリウムの存在下、光を作用させて重合することにより、
一般式(2):
−((SiR1R2)m)n− (2)
(式中、nは2〜1000であり、m、R1およびR2は前記と同義である。)
で表されるポリシランを形成させる、ポリシランの製造方法を提供するものである。
ここで、前記の(置換)とは、置換基を有してよい、との意である。
本発明で作用させる光は、波長に制限は無い。好ましくは可視光を用いることができる。
X1(SiR1R2)mX1 (1)
(式中、mは1〜3であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12の(置換)ビニル基、炭素数6〜12の(置換)アリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12の(置換)アミノ基またはシリル基を表し、X1はハロゲン原子を表す。)で表されるジハロシランである。
−((SiR1R2)m)n− (2)
(式中、nは2〜1000であり、m、R1およびR2は前記と同義である。)
で表されるポリシランである。
これらの中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
これらの中でも、ビニル基および2−メチルビニル基が好ましい。
ハロゲン化サマリウム(II)及びサマリウムは、SmX2(式中、Xはハロゲンを表す。)+Sm(単体)を使用してもよいし、量論量以上の金属サマリウム(Sm:サマリウム単体)と1,2−ジハロエタンとを反応させて、生成するハロゲン化サマリウムと金属サマリウムが併存するものをそのまま使用してもよい。例えば、Xがヨウ素(I)の場合で説明すると、式(5):
Sm(単体・過剰量)+1,2−ジヨードエタン=Sm(単体・未反応量)+SmI2(生成量) (5)
に従って生成するSm(単体・未反応量)+SmI2の混合物を用いてもよい。
一般式(2):
−((SiR1R2)m)n− (2)
(式中、nは2〜1000であり、m、R1およびR2は前記と同義である。)
で表されるポリシランを形成させる。
本発明の重合機構は、上記と同様に還元的カップリング重合反応であると推定される。光の作用は、以下に述べるように、ハロゲン化サマリウム(II価)の還元的カップリング重合反応を促進しているものと推察されるが、本発明はこれらの機構に左右されるものではない。
本発明は、その重合機構に囚われるものではないが、光の作用機構は以下のように推定される。即ち、光がハロゲン化サマリウム(II価)の還元力を高めることによって、ジハロシランの還元的カップリング重合反応を促進しているものと推定される。この結果、後の実施例で示す様に、ハロゲン化サマリウム(II価)およびサマリウムの存在だけでは重合反応が実質的に進行しないような低温においても、光照射により極めて高いポリシラン収率を得ることができるという素晴らしい効果を発揮する。この効果は更に、低温反応が可能であるが故に、高温反応に伴う連鎖移動等の副反応の生起が抑えられ、結果として、狭い分子量分布を有するポリシランが得られたものと推定される。
一般式(2):
−((SiR1R2)m)n− (2)
(式中、nは2〜1000であり、m、R1およびR2は前記と同義である。)
で表されるポリシランを製造する方法を提供するものである。式(2)に於いて、ポリシラン末端は特定されていないが、末端は重合反応後の後処理により種々の形態をとり得ることから、本発明はポリシランの末端を何ら限定するものではない。
本発明において、還元的カップリング重合反応で直接的に得られるポリシランは、前述のとおり、式(3):
X1−((SiR1R2)m)n−X1 (3)
(式中、X1、R1、R2、mおよびnは前記と同義である。)
で表される末端ハロゲン型のポリシラン(3)である。
重合反応終了後、反応液に活性水素を有する化合物を添加して反応を停止し、後処理を行う。活性水素化合物としては低級アルコール、低級カルボン酸、または1級アミン等が使用される。例えば、低級アルコールの場合で説明すれば、R3OH(R3は、炭素数1〜4程度のアルキル基を表す。)で表される低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール等)を重合反応後に添加して反応を停止し、後処理する。この場合、最終的に得られるポリシランは、式(4):
R3O−((SiR1R2)m)n−OR3 (4)
(式中、R1、R2、R3、mおよびnは前記と同義である。)で表される末端アルコキシ型ポリシラン(4)である。
反応温度は通常、−20℃〜溶媒の沸点程度までの温度範囲にあり、好ましくは0℃〜150℃、より好ましくは、10℃〜100℃、例えば40℃である。ハロゲン化サマリウム(II価)およびサマリウムの存在だけでは実質的に重合が進行しないか極めて重合速度が遅い様な比較的低温でも、本発明の光照射系ではジハロシランの重合が高収率で進行することは、光がハロゲン化サマリウム(II価)の触媒活性を大きく高めていることを示唆している。本発明の光照射系で狭い分子量分布のポリシランが得られることは、比較的低温での重合での重合反応の選択性が高いことを示唆している。即ち、ハロゲン化サマリウム(II価)およびサマリウムの存在だけでジハロシランの重合を起こすためには比較的高温が要求されるが、その場合には、連鎖移動反応等の副反応が生起するために、分子量分布が広がるものと推察される。勿論、本発明は、これらの反応機構の当否に左右されるものではない。
冷却部及び滴下ロートを備えた20ml二口ナスフラスコを窒素置換後、ヒートガンでフレーム乾燥した。このフラスコへ、粉体の金属サマリウム600mg (4mmol)および1,2−ジヨードエタン280mg(1mmol)を加え、攪拌しながら真空乾燥した。アルゴン置換した後、Na-ベンゾフェノンケチルから蒸留した新鮮な1,2−ジメトキシエタン10mlを加えて室温で1時間攪拌した。この間、反応液は青紫色の懸濁液になった。この懸濁液中には、サマリウムおよびヨウ化サマリウム(II)が含まれていた。Sm/SmI2=3/1(モル比)である。このフラスコ中へ、メチルフェニルジクロロシラン191mg(1mmol)をアルゴン雰囲気下に加え、Xeランプ(出力:500W/hr.;波長範囲=300nm〜800nm)からの光をフィルターで315nm以下をカットして>315nmの波長範囲とした光を照射しながら、攪拌下、40℃で6時間反応した。波長のカットに用いたフィルターは、旭テクノグラス製の「色ガラスフィルター」である。
Xeランプからの光をフィルターで、所定波長以下の光をカットして、それぞれ表1に示す所定波長以上の波長範囲とした光を照射しながら、実施例1と同様の条件で重合及び後処理を行った(実施例2〜6)。得られた結果を、実施例1の結果と共に表1に示す。
Xeランプからの光を照射しない以外は、実施例1と同一に反応および後処理を行った。メチルフェニルポリシランの収率=0%であった。この結果を表1に示した。
Xeランプからの光を照射せずに、実施例1と同様の仕込み条件で、90℃の浴温で24時間還流反応し、同様の後処理を行った。得られたメチルフェニルポリシランの収率=78%、Mn=600(n≒5)、Mw/Mn=2.1であった。これらの結果を表1に示した。
実施例3で得られたメチルフェニルポリシランのUV-visスペクトルを測定したところ、ポリシランに由来する吸収ピークが見られた(λmax=317nm)。また、蛍光スペクトルについても、λem=351nmにポリシラン由来の大きな発光が見られたことから、光照射下においてもSi-Si結合形成が良好に進行していることが明らかである(図1)。
Claims (3)
- 一般式(1):
X1(SiR1R2)mX1 (1)
(式中、mは1〜3であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12の無置換または置換のビニル基、炭素数6〜12の無置換または置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜12の置換のアミノ基またはシリル基を表し、X1はハロゲン原子を表す。)で表されるジハロシランを、ハロゲン化サマリウム(II価)およびサマリウムの存在下、光を照射して重合することにより、
一般式(2):
−((SiR1R2)m)n− (2)
(式中、nは2〜1000であり、m、R1およびR2は前記と同義である。)
で表されるポリシランを形成させる、ポリシランの製造方法であって、
光源を用い、フィルタにより所定波長(ただし、所定波長は315nm〜550nmのいずれかの波長である。)以下の波長の光をカットした可視光を照射する、ポリシランの製造方法。 - ポリシランの分子量分布が1.0〜1.5の範囲にある、請求項1に記載の製造方法。
- ハロゲン化サマリウム(II)がヨウ化サマリウム(II)である、請求項1または2に記載の製造方法。
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JP2013043932A JP2013043932A (ja) | 2013-03-04 |
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