JP4559642B2 - 活性金属マグネシウム及びそれを用いたポリシランの製造方法 - Google Patents

活性金属マグネシウム及びそれを用いたポリシランの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリシランを安価に高い生産性及び安全性で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリシラン類は、セラミックス前駆体、光電子材料(例えば、フォトレジスト、有機感光体などの光電子写真材料、光導波路などの光伝送材料、光メモリなどの光記録材料、エレクトロルミネッセンス素子用材料)などとして注目されている。従来、ポリシランの製造方法としては、金属ナトリウムなどのアルカリ金属を還元剤として用いて、トルエン溶媒中のジアルキルジハロシランあるいはジハロテトラアルキルジシランを100℃以上の温度で強力に撹拌し、還元的にカップリングさせる方法が知られている[J.Am.Chem.Soc.,l03(1981)7352]。しかし、このような方法では、空気中で発火するアルカリ金属を加熱し、強力に攪拌、分散させる必要があるため、工業的規模での生産に際しては安全性に大きな問題があり、また、分子量分布が多峰性になるなど品質に関しても問題がある。
【0003】
これらの問題点を解決すべく、特定の金属塩の共存下でハロシランにマグネシウムまたはマグネシウム系合金を作用させる方法(国際公開WO98/29476)が提案されている。この方法では、煩雑な操作を必要とすることなく、取扱いが容易で化学的に安定な金属マグネシウムを還元剤に用い、室温で反応を行うことができ、しかも高収率で所望のポリシランを製造することができる。しかし、この方法では、理論量の2倍以上も過剰のマグネシウムを用いても、反応開始までに数時間の誘導時間を要し、しかも反応後に残る大量の余剰マグネシウム分の分離及び処理に手間とコストを要する。過剰のマグネシウムを必要とし、数時間におよぶ誘導時間を要する原因は、マグネシウムの活性度が低く、反応当初の反応速度が小さいためであると考えられる。そのため、一般的に知られているマグネシウム活性化の方法である塩酸水による洗浄、あるいは反応系内にヨウ素、1,2−ジブロモエタン等の活性化剤を加える等の方法を採用することも考えられる。しかし、これらの活性化法を採用してもシラン化合物の反応において、活性を高めることができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、高い生産性で高品質のポリシランを製造するのに有用な活性金属マグネシウムを提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、安全性に優れるとともに、マグネシウムの使用量を低減しても高い効率及び生産性でポリシランを経済的にも有利に製造できる方法を提供することにある。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、簡便に、効率よくポリシランを製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、アルカリ金属化合物及び金属ハロゲン化物の存在下、ハロシラン化合物に金属マグネシウムを作用させてポリシラン類を生成させる反応系において、反応後に残存する金属マグネシウムが非常に高活性であること、及びこの活性金属マグネシウムを用いて新たに原料を添加して反応させると、金属マグネシウムの使用量を大幅に低減できるとともに反応開始までの誘導時間を大幅に短縮できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の活性金属マグネシウムは、アルカリ金属化合物及び金属ハロゲン化物の存在下、ハロシラン化合物及び金属マグネシウムを、非プロトン性溶媒中で処理することにより得られる。
【0009】
また、本発明の方法では、少なくとも前記活性金属マグネシウムの存在下、ハロシラン化合物を、アルカリ金属化合物及び金属ハロゲン化物の共存下、非プロトン性溶媒中で反応させ、ポリシランを製造する。ポリシランの製造は、アルカリ金属化合物及び金属ハロゲン化物の存在下、非プロトン性溶媒中で、ハロシラン化合物に金属マグネシウムを作用させて活性金属マグネシウムを生成させる第1の工程と、生成した前記活性金属マグネシウムを含む反応系に、ハロシラン化合物、アルカリ金属化合物、金属ハロゲン化物及び非プロトン性溶媒を添加して反応させ、ポリシランを生成させる第2の工程とで構成してもよい。前記第1の工程で得られた反応混合物から液体成分を除去してもよい。また、第2の工程において、金属マグネシウムを補給してもよい。さらに、反応器の容積に対して少量の活性金属マグネシウムを予め生成させ、生成した前記活性金属マグネシウムを含む反応系に、ハロシラン化合物、アルカリ金属化合物、金属ハロゲン化物及び非プロトン性溶媒を添加して反応させてもよい。前記ハロシラン化合物としては、下記式(1)で表される化合物が使用できる。
【0010】
【化4】
Figure 0004559642
【0011】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、有機基又はシリル基を示し、X1及びX2は、同一又は異なって、ハロゲン原子を示す)
前記アルカリ金属化合物は、リチウム化合物(ハロゲン化リチウムなど)であってもよい。前記金属ハロゲン化物は、多価金属ハロゲン化物(サマリウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、パラジウム、銅、亜鉛、アルミニウム、スズなどの塩化物又は臭化物など)であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明では、活性金属マグネシウム及び/又はポリシランの製造において、以下の成分を原料として用いる。
【0013】
(ハロシラン化合物)
ハロシラン化合物としては、前記式(1)で表されるハロシラン化合物、具体的には下記式(2)〜(4)で表されるジ乃至テトラハロシランが例示できる。これらのハロシラン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0014】
【化5】
Figure 0004559642
【0015】
(式中、R3〜R5は、同一又は異なって、水素原子、有機基又はシリル基を示し、X1〜X4は、同一又は異なって、ハロゲン原子を示す)
複数のハロシラン化合物を組み合わせて用いる場合、通常、ジ乃至テトラハロシランから選択された少なくとも2種が使用され、任意の割合の混合物が使用できる。必要により、モノハロシラン(X1SiR345)を併用してもよい。なお、シラン化合物としては、通常、少なくともジハロシランが使用される。
【0016】
1〜R5で表される有機基としては、アルキル基[メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びt−ブチル基などのC1-10アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基、特にC1-4アルキル基など)]、シクロアルキル基(シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基、特にC5-6シクロアルキル基)、アリール基(フェニル、ナフチル基などのC6-10アリール基、)、アラルキル基[ベンジル、フェネチル基などのC6-10アリール−C1-6アルキル基(C6-10アリール−C1-4アルキル基など)]、アルコキシ基[メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ及びt−ブトキシ基などのC1-10アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基、特にC1-4アルコキシ基)など]、アミノ基、N−置換アミノ基(前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基などで置換されたN−モノ又はジ置換アミノ基など)などが挙げられる。前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を構成するアリール基などは、1又は複数の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、前記例示のアルキル基(特にC1-6アルキル基など)、前記例示のアルコキシ基などが挙げられる。このような置換基を有する有機基としては、例えば、トリル、キシレニル、エチルフェニル、メチルナフチル基などのC1-6アルキル−C6-10アリール基(好ましくはモノ乃至トリC1-4アルキル−C6-10アリール基、特にモノ又はジC1-4アルキルフェニル基など);メトキシフェニル、エトキシフェニル、メトキシナフチル基などのC1-10アルコキシC6-10アリール基(好ましくはC1-6アルコキシC6-10アリール基、特にC1-4アルコキシフェニル基など)などが挙げられる。
【0017】
シリル基は、前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルコキシ基などで置換された置換シリル基であってもよい。
【0018】
1及びR2、並びにX1〜X4で表されるハロゲン原子には、F、Cl、Br、Iが含まれ、Cl及びBr(特にCl)が好ましい。
【0019】
ハロシラン化合物は、できるだけ高純度であるのが好ましい。例えば、液体のハロシラン化合物については、水素化カルシウムなどの乾燥剤を用いて乾燥し、蒸留して使用するのが好ましく、固体のハロシラン化合物については、再結晶法などにより、精製して使用するのが好ましい。
【0020】
このようなハロシラン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0021】
(溶媒)
反応に用いる溶媒としては、非プロトン性溶媒が広く使用でき、例えば、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテルなどの環状又は鎖状C4-6エーテル)、カーボネート類(プロピレンカーボネートなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ハロゲン含有化合物(塩化メチレン、クロロホルム、ブロモホルム、クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化水素など)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン,シクロヘキサン,オクタン,シクロオクタンなど鎖状又は環状炭化水素類)などが挙げられ、混合溶媒として使用してもよい。溶媒としては、極性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)単独、2種以上の前記極性溶媒の混合物などが好ましい。特に、少なくともテトラヒドロフランを含むのが好ましい。
【0022】
溶媒中に水分が多く含まれていると、ハロシラン化合物とこの水分とが反応して、得られるポリシラン主鎖中にシロキサン結合(Si−O結合)が導入され、ポリシランの品質が低下する。そのため、使用する溶媒は、可能な限り乾燥した状態であるのが望ましく、特に、乾燥剤により乾燥し、さらに蒸留して反応に使用するのが好ましい。
【0023】
(アルカリ金属化合物)
本発明で使用するアルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを含む化合物(ハロゲン化物、無機酸塩など)などが使用できるが、リチウム化合物が好ましい。
【0024】
このようなリチウム化合物としては、ハロゲン化リチウム(塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなど)、無機酸塩(硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、硫酸リチウム、過塩素酸リチウム、リン酸リチウムなど)などが使用できる。これらのリチウム化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。好ましいリチウム化合物は、ハロゲン化リチウム(特に塩化リチウム)である。
【0025】
(金属ハロゲン化物)
金属ハロゲン化物としては、多価金属ハロゲン化物が例示でき、例えば、遷移金属(例えば、サマリウムなどの周期表3A族元素、チタンなどの周期表4A族元素、バナジウムなどの周期表5A族元素、鉄、コバルト、パラジウムなどの周期表8族元素、亜鉛などの周期表2B族元素など)、周期表3B族金属(アルミニウムなど)、周期表4B族金属(スズなど)などの金属の塩化物、臭化物又はヨウ化物などが挙げられる。金属ハロゲン化物を構成する前記金属の価数は、特に制限されないが、好ましくは2〜4価、特に2又は3価である。これらの金属ハロゲン化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0026】
このような金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化物(FeCl2、FeCl3などの塩化鉄;AlCl3、ZnCl2、SnCl2、CoCl2、VCl2、TiCl4、PdCl2、SmCl2、CuCl2など)、臭化物(FeBr2、FeBr3などの臭化鉄など)、ヨウ化物(SmI2など)などが例示できる。これらの金属ハロゲン化物のうち、塩化鉄(FeCl2、FeCl3)、塩化亜鉛(ZnCl2)及び塩化銅(CuCl2)が特に好ましい。
【0027】
[金属マグネシウム成分]
金属マグネシウム成分は、少なくともマグネシウムが含まれていればよく、マグネシウム金属単体又はマグネシウム系合金、あるいは前記マグネシウム金属又は合金を含む混合物などであってもよい。マグネシウム合金の種類は特に制限されず、慣用のマグネシウム合金、例えば、アルミニウム、亜鉛、希土類元素(スカンジウム、イットリウムなど)などの成分を含むマグネシウム合金が例示できる。これらの金属マグネシウム成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0028】
金属マグネシウム成分の形状は、ハロシラン化合物の重合反応の反応性を損なわない限り特に限定されないが、粉粒状(粉体、粒状体など)、リボン状体、切削片状体、塊状体、棒状体、平板などが例示され、特に表面積の大きい形状(粉体、粒状体、リボン状体、切削片状体など)であるのが好ましい。金属マグネシウム成分が粉粒状の場合、平均粒径は、1〜10000μm、好ましくは10〜5000μm、さらに好ましくは20〜1000μm程度である。
【0029】
なお、金属マグネシウム成分の保存状況などによっては、金属表面に被膜(酸化被膜など)が形成されることがある。この被膜は反応に悪影響を及ぼすことがあるので、必要に応じて、切削などによって除去してもよい。
【0030】
[活性化金属マグネシウム及びポリシランの製造方法]
本発明では、少なくとも活性金属マグネシウムの存在下、ハロシラン化合物を、アルカリ金属化合物及び金属ハロゲン化物の共存下、溶媒(非プロトン性溶媒)中で反応させ、ポリシランを製造する。前記活性金属マグネシウムは、アルカリ金属化合物及び金属ハロゲン化物の存在下、ハロシラン化合物及び金属マグネシウムを、溶媒(非プロトン性溶媒)中で処理することにより得ることができる。すなわち、ポリシランの製造方法は、活性金属マグネシウムを生成させる第1の工程(活性金属マグネシウムの製造工程)と、得られた活性金属マグネシウムを用いてポリシランを生成させる第2の工程(活性金属マグネシウムを用いたポリシランの製造工程)とで構成される。
【0031】
(活性金属マグネシウムの製造工程/第1の工程)
第1の工程で、アルカリ金属化合物及び金属ハロゲン化物の存在下、ハロシラン化合物及び金属マグネシウムを、非プロトン性溶媒中で処理することにより、活性金属マグネシウムが生成する。また、ハロシラン化合物としてジ乃至テトラハロシラン化合物を用いる場合にはポリシランが生成する。
【0032】
処理(活性化処理)は、少なくともアルカリ金属化合物、金属ハロゲン化物及びハロシラン化合物を、金属マグネシウムに接触できればよく、浸漬、攪拌処理(好ましくは攪拌処理)などにより行うことができる。必要により溶媒(非プロトン性溶媒)を用いてもよい。
【0033】
アルカリ金属化合物の割合は、金属マグネシウム100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは10〜40重量部程度である。
【0034】
金属ハロゲン化物の割合は、金属マグネシウム100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは10〜30重量部程度である。
【0035】
ハロシラン化合物に対する金属マグネシウムの割合は、ハロシラン化合物中のハロゲン原子に対して、マグネシウムとして0.5倍モル以上(例えば、0.5〜10モル程度)あればよいが、好ましくは1.5倍モル以上(例えば、1.5〜10モル程度)、さらに好ましくは2.5倍モル以上(例えば、2.5〜10モル程度)である。ハロシラン化合物としてジハロシランのみを使用する場合には、反応性が低いため、ハロゲン原子に対して、少なくとも1.5倍モル以上用いるのが好ましい。
【0036】
溶媒(非プロトン性溶媒)の割合は、アルカリ金属化合物、金属ハロゲン化物及びハロシラン化合物を均一化して、金属マグネシウムに作用可能な量であれば特に制限されず、金属マグネシウム100重量部に対して、例えば、1〜10000重量部、好ましくは10〜5000重量部、さらに好ましくは100〜4000重量部程度である。
【0037】
活性化処理の温度は、例えば、−20℃から使用する成分(溶媒など)の沸点までの温度範囲、例えば、0〜100℃、好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは20〜50℃程度である。活性化処理は、減圧下又は加圧下で行ってもよいが、通常、常圧で行う。
【0038】
活性化処理は、第2の工程と同様の条件で行ってもよい。例えば、混合液又は反応液(溶媒)中のハロシラン化合物の濃度は、通常、0.05〜20mol/l、好ましくは0.2〜15mol/l、特に0.3〜13mol/l程度である。前記濃度が低すぎると、処理(反応)が効率よく行われない虞があるとともに、高すぎるとアルカリ金属化合物及び金属ハロゲン化物が溶解しない虞がある。
【0039】
また、混合液又は反応液(溶媒)中のアルカリ金属化合物の濃度は、通常、0.05〜5mol/l、好ましくは0.1〜4mol/l、特に0.15〜3.0mol/l程度である。前記濃度が低すぎると、反応が進行しない虞があるとともに、高すぎると反応液の極性が上がり、活性金属マグネシウムの活性やポリシランの分子量が低下する虞がある。アルカリ金属化合物の割合は、ハロシラン化合物100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは5〜20重量部程度である。
【0040】
混合液又は反応液(溶媒)中の金属ハロゲン化物の濃度は、通常、0.01〜6mol/l、好ましくは0.02〜4mol/l、特に0.03〜3mol/l程度である。前記濃度が低すぎると、反応が十分に進行しない虞があるとともに、高すぎると反応に関与しない虞がある。金属ハロゲン化物の割合は、前記ハロシラン化合物100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは3〜20重量部程度である。
【0041】
使用する反応器(反応容器)は、密閉できる限り、形状及び構造についての制限は特にない。また、反応容器内は、乾燥雰囲気であればよいが、乾燥した不活性ガス(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス)雰囲気、特に、脱酸素し、乾燥した不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0042】
処理又は反応温度は、通常、−20℃から使用する溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは0〜70℃、さらに好ましくは10〜50℃程度である。
【0043】
第1の工程の活性化反応は、例えば、密閉可能な反応容器に、ハロシラン化合物、アルカリ金属化合物、金属ハロゲン化物及び金属マグネシウム成分を必要により溶媒とともに収容し、好ましくは機械的又は磁気的に撹拌することにより行うことができる。各成分の添加順序は特に制限されない。
【0044】
活性化反応は、原料の種類及び濃度、並びに反応温度などによっても異なるが、通常、攪拌開始から1〜7時間程度経過した後開始される。反応が開始すると、発熱を伴いながら反応液が黒色に変化する。発熱終了後、さらに2〜24時間程度撹拌することにより、高分子量ポリシランとともに、高度に活性化された金属マグネシウム(活性金属マグネシウム)を得ることができる。
【0045】
このようにして得られた活性金属マグネシウムを用いて後続のポリシランの製造(第2の工程)を行うと、原料のハロシラン化合物の種類に関わらず、ハロシラン化合物を投入するとほぼ同時に反応が開始し、金属マグネシウムを用いた場合に比べて反応の誘導期間を大幅に短縮でき、それに伴って、反応時間を大幅に短縮できるため、生産性を向上できる。
(活性金属マグネシウムを用いたポリシランの製造/第2の工程)
第2の工程では、第1の工程で得られた活性金属マグネシウムを用いればよく、第2の工程で前処理又は活性化処理してポリシランを製造してもよい。前処理又は活性化処理は、ポリシラン製造と同様の反応条件で行ってもよい。また、第2の工程は繰り返し行ってもよい。
【0046】
第1及び第2の工程で得られる反応混合物において、使用した金属マグネシウムの一部は、ハロシラン化合物と反応してハロゲン化マグネシウムになり、反応液中に存在する。また、金属マグネシウム以外の原料成分やポリシランは、反応溶液(液体成分)中に存在する。一方、活性金属マグネシウムは、反応系に固体状で残存している。従って、例えば、(1)第1の工程の反応混合物から活性金属マグネシウムを分離し、必要により精製して第2の工程に供してもよく、(2)反応混合物から分離することなくそのまま第2の工程に用いてもよい。また、(3)反応混合物からデカンテーションや濾過などにより液体成分を除去し、残る固体成分をそのまま第2の工程に用いてもよい。反応器の容積に対して少量の活性化金属マグネシウムを第1の工程で生成させる場合、分離することなくそのまま利用する場合が多い。
【0047】
第2の工程を複数回行う場合、例えば、n回目(nは1以上の整数)の第2の工程に続いて(n+1)回目の第2の工程を行う場合も前記第1の工程から第2の工程への移行と同様に行うことができる。第2の工程を複数回行う場合には、上記(1)〜(3)の方法を組合せて用いてもよい。
【0048】
なお、活性金属マグネシウムを反応器外に取出す場合には、失活を防いで、空気中の水分と可能な限り接触しないようにするため、窒素置換した容器に収容することが望ましい。
【0049】
第2の工程では、種々の形態(又は態様)の前記第1の工程で得られた活性金属マグネシウムの存在下、ポリシランの製造に使用する原料(ハロシラン化合物、アルカリ金属化合物、金属ハロゲン化物及び非プロトン性溶媒)を添加して反応させ、ポリシランを生成させることができる。第2の工程では、例えば、少なくとも活性金属マグネシウムを含む密閉可能な反応容器に前記原料を収容し、好ましくは機械的又は磁気的に撹拌することにより反応させることができる。原料の各成分の添加順序は特に制限されない。
【0050】
この工程では、原料投入直後から発熱を伴って、反応が開始し、発熱終了後30分〜12時間程度撹拌を行うことにより高分子量ポリシランを得ることができる。
【0051】
活性化反応(第1の工程)とポリシランの製造(第2の工程)とは、同じ条件で行うことができる。すなわち、ポリシランの製造と同様又は準じた条件で金属マグネシウムを活性化してもよい。例えば、第1の工程で得られた反応混合物から液体成分を除去し、活性金属マグネシウムが残存する反応系に、ハロシラン化合物、アルカリ金属化合物、金属ハロゲン化物及び非プロトン性溶媒を添加して反応させてもよい。
【0052】
第1の工程と第2の工程とは、容積(反応スケール)が同じであってもよく、異なっていてもよい。第1の工程を予め少量で行ってもよい。例えば、反応器の容積に対して少量(反応器の容積の1/100〜1/3、好ましくは1/10〜1/4程度)の活性金属マグネシウムを予め生成させ、生成した前記活性金属マグネシウムを含む反応系に、ハロシラン化合物、アルカリ金属化合物、金属ハロゲン化物及び非プロトン性溶媒を添加して反応させてもよい。本発明では活性金属マグネシウムを用いることにより、反応開始までの誘導時間、及び反応時間を大幅に短縮できるため、予め少量の活性金属マグネシウムを生成させる方法を用いると、第2の工程で多量の原料を添加しても、効率よくポリシランを製造できる。
【0053】
第2の工程では、消費された金属マグネシウム成分を補うため、金属マグネシウムを補給してもよい。また、活性金属マグネシウムと金属マグネシウムとの混合物を第2の工程に用いてもよい。特に第1の工程で反応混合物中の液体成分を除去しつつ、第2の工程で金属マグネシウムを添加又は補給すると、各反応成分が必要以上に希釈されることなく、反応を効率よく進行させることができ、各成分を新たに添加することにより、反応容器の洗浄を行うことなく、第2の工程を複数回繰り返し行うことができる。
【0054】
このような第2の工程において、高効率でポリシランを生成できるため、金属マグネシウムの使用量を大幅に低減できる。第2の工程における活性金属マグネシウムの割合は、ハロシラン化合物のハロゲン原子1モルに対して、マグネシウムとして0.5〜1モル、好ましくは0.6〜0.8モル程度である。
【0055】
このように第2の工程において、活性金属マグネシウムの使用量を低減できるので、第1及び第2の工程を通しての金属マグネシウム成分の使用量をも低減できる。第1及び第2の工程を通しての金属マグネシウム成分の使用量は、全工程で使用するハロシラン化合物の総量1モルに対して、マグネシウムとして1〜4モル、好ましくは1〜3モル、特に1〜2モル程度にまで低減可能である。また、前記使用量は、ハロシラン化合物のハロゲン原子1モルに対して、マグネシウム換算で、0.5〜2モル、好ましくは0.5〜1.5モル、さらに好ましくは0.5〜1モル程度である。
【0056】
本発明では、高い反応活性を有する活性金属マグネシウムに転化して、反応を行うため、金属マグネシウムの使用量を全体として大幅に低減でき、経済性に優れるとともに、廃棄物量も低減できる。また、汎用の反応器中で、簡便かつ安全にポリシランを製造でき、ポリシランの品質(分子量など)を安定に制御できる。
【0057】
第2の工程において、反応液(溶媒)中のハロシラン化合物の濃度は、通常、0.05〜20mol/l、好ましくは0.2〜15mol/l、特に0.3〜13mol/l程度である。前記濃度が低すぎると、反応が効率よく行われない虞があるとともに、高すぎると反応に使用するアルカリ金属化合物及び金属ハロゲン化物が溶解しない虞がある。
【0058】
溶媒(反応液)中のアルカリ金属化合物の濃度は、通常、0.05〜5mol/l、好ましくは0.1〜4mol/l、特に0.15〜3.0mol/l程度である。前記濃度が低すぎると、反応が進行しない虞があるとともに、高すぎると反応液の極性が上がり、活性金属マグネシウムの活性やポリシランの分子量が低下する虞がある。アルカリ金属化合物の割合は、ハロシラン化合物100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは5〜20重量部程度である。
【0059】
溶媒(反応液)中の金属ハロゲン化物の濃度は、通常、0.01〜6mol/l、好ましくは0.02〜4mol/l、特に0.03〜3mol/l程度である。前記濃度が低すぎると、反応が十分に進行しない虞があるとともに、高すぎると反応に関与しない虞がある。金属ハロゲン化物の割合は、前記ハロシラン化合物100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは3〜20重量部程度である。
【0060】
使用する反応器(反応容器)は、密閉できる限り、形状及び構造についての制限は特にない。また、反応容器内は、乾燥雰囲気であればよいが、乾燥した不活性ガス(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス)雰囲気、特に、脱酸素し、乾燥した不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0061】
第2の工程において、ハロシラン化合物の重合反応(ポリシランの生成反応)は、通常、−20℃から使用する溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは0〜70℃、さらに好ましくは10〜50℃程度の温度で行う。また、反応は、減圧又は加圧下で行ってもよいが、通常、常圧で行う。
【0062】
(ポリシラン)
第2の工程で得られるポリシランは、例えば、下記式(5)〜(8)で表されるユニットを含んでいる。
【0063】
【化6】
Figure 0004559642
【0064】
(式中、R3〜R5は前記に同じ。m、n及びpは、それぞれ、2〜1000の整数である)
m、n及びpは、それぞれ、好ましくは10〜500、さらに好ましくは10〜100程度である。なお、第1の工程でポリシランが得られる場合も、通常、これらのユニットを含んでいる。
【0065】
第2の工程で得られたポリシランは、第2の工程を複数回繰り返しても分子量及び収量の変動が少なく、品質が安定している。得られたポリシランの重量平均分子量Mwは、例えば、100〜100000、好ましくは1000〜50000、さらに好ましくは2000〜30000程度である。なお、第1の工程においてポリシランが得られる場合、ポリシランの重量平均分子量は、第2の工程で得られるポリシランと同程度であり、前記範囲から選択できる。
【0066】
得られたポリシランは、慣用の分離精製手段、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段やこれらを組合せた手段により分離精製してもよい。
【0067】
【発明の効果】
本発明では、活性金属マグネシウムを用いてポリシランを製造するので、反応開始までの誘導時間を大幅に短縮できるとともに、反応時間をも短縮でき、高い生産性で高品質のポリシランを製造できる。また、安全性に優れるとともに、マグネシウムの使用量を低減できるため、廃棄物量を低減でき、廃棄物処理を簡略化でき、経済的にも有利である。さらに、本発明では、簡便に、効率よくポリシランを製造できる。
【0068】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0069】
実施例1
(1)第1の工程;活性金属マグネシウム(及びポリシラン)の製造工程
三方コックを装着した内容積1000mlの丸型フラスコに、粒状(粒径20〜1000μm)のマグネシウム65.9g(2.71mol)、無水塩化リチウム(LiCl)17.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)11.3gを仕込み、50℃で1mmHg(=133kPa)に加熱減圧して、混合物を乾燥した後、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間撹拌した。この混合物に、予め蒸留により精製したメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)をシリンジで加えた。この場合、使用したマグネシウム量は理論量の4.5倍である。撹拌開始から約3時間後、重合に伴う発熱が始まり、約3時間発熱が継続した。発熱終了後、さらに室温で約16時間撹拌した。反応終了後、反応混合物のデカンテーションを行い、固体成分(活性金属マグネシウム成分)と液体成分(メチルフェニルポリシランを含む)とに分離した。
【0070】
(2)第2の工程(1回目);活性金属マグネシウムを用いたポリシランの製造
固体成分(活性金属マグネシウム成分)に無水塩化リチウム(LiCl)17.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)11.3g、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間撹拌した。この混合物に、予め蒸留により精製したメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)をシリンジで加えて撹拌した。メチルフェニルジクロロシラン投入直後から発熱が開始し、3時間発熱が継続したのち、さらに室温で撹拌した結果、8時間後にはポリシラン重合反応が完結していることを確認した。反応終了後、反応混合物のデカンテーションを行い、固体成分(活性金属マグネシウム成分)と液体成分(メチルフェニルポリシランを含む)とに分離した。
【0071】
(3)第2の工程(2回目);活性金属マグネシウムを用いたポリシランの製造
前記(2)の工程で得られた固体成分(活性金属マグネシウム)に、無水塩化リチウム(LiCl)17.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)11.3g、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間撹拌した。この混合物に、予め蒸留により精製したメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)をシリンジで加えて撹拌した。メチルフェニルジクロロシラン投入直後から発熱が開始し、3時間発熱が継続したのち、さらに室温で撹拌した結果、8時間後にはポリシラン重合反応が完結していることを確認した。
【0072】
この例では、新たな金属マグネシウムを補給せず、第1の工程1回と第2の工程2回(計3回)の重合反応を行うことができた。従って、トータルの金属マグネシウムの割合は、ハロシラン化合物に対して1.5倍モルであった。
【0073】
(4)後処理及び精製
前記(1)及び(2)の工程で得られた液体成分、及び前記(3)の工程で得られた反応混合物のそれぞれに、1N(=1mol/l)の塩酸200ml、さらにトルエン350mlを加えて抽出した。トルエン層を純水150mlで4回洗浄した後、トルエンを留去することにより、低分子量体を含んだメチルフェニルポリシランを得た。メチルフェニルポリシランを良溶媒トルエン100ml及び貧溶媒2−プロパノール500mlを用いて再沈殿させた。各工程におけるポリシランの重量平均分子量Mwと収率の結果は以下の通りであり、同品質のポリシランが得られることを確認した。
【0074】
第1の工程 Mw16900 収率60%
第2の工程(1回目) Mw17300 収率60%
第2の工程(2回目) Mw17000 収率60%
実施例2
三方コックを装着した内容積3000mlの丸型フラスコに、粒状(粒径20〜1000μm)のマグネシウム65.9g、無水塩化リチウム(LiCl)17.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)11.3gを仕込み、50℃で1mmHg(=133kPa)に加熱減圧して、混合物を乾燥した後、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間撹拌した。この混合物に、予め蒸留により精製したメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)をシリンジで加え、室温で約22時間撹拌することによって、反応器内にポリシラン及び活性金属マグネシウムを生成させた。
【0075】
次に反応器内に無水塩化リチウム(LiCl)35.0g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)22.6g、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン1000mlを加え、室温で約30分撹拌した。この混合物に予め蒸留により精製したメチルフェニルジクロロシラン230g(1.2mol)をシリンジで加えたところ、すぐに重合に伴う発熱が開始し、室温で約12時間撹拌した。反応終了後、反応液に1N(=1mol/L)の塩酸500mlを投入し、さらにトルエン1000mlで抽出した。トルエン層を純水500mlで4回洗浄し、トルエンを留去することにより、低分子量体を含んだメチルフェニルポリシランを得た。メチルフェニルポリシランを良溶媒トルエン300ml及び貧溶媒2−プロパノール1500mlを用いて再沈殿させることにより、重量平均分子量17400のメチルフェニルポリシランを収率63%で得た。
【0076】
実施例3
実施例1において工程(3)の反応終了後、液体部分をデカンテーションにより除去して得た固体部分に新たに粒状(粒径20〜1000μm)のマグネシウム14.6g(600mmol)、無水塩化リチウム(LiCl)17.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)11.3g、テトラヒドロフラン500mlおよびメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)を加えて第2の工程(3回目)の反応を行った。反応はメチルフェニルジクロロシラン投入直後から始まり、3時間発熱が継続したのち、さらに室温で攪拌した結果、8時間後にはポリシラン重合反応が完結し、重量平均分子量16700のメチルフェニルポリシランが収率61%で得られた。
【0077】
実施例4
実施例1の第1の工程と同様に1回目の反応を行った後、反応液をろ過し、固体成分(活性金属マグネシウム)を反応器から取出した。アルゴン置換した容器に前記固体成分(活性金属マグネシウム)を収容し、3日間保存した後に下記のポリシラン合成反応に使用した。
【0078】
内容積1000mlの丸型フラスコに、活性金属マグネシウム29.2g(1.2mol)、無水塩化リチウム(LiCl)17.5g、無水塩化第1鉄(FeCl3)16.2g、テトラヒドロフラン500mlおよびメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)を加えて、メチルフェニルポリシランを合成した。その結果、重量平均分子量19100のメチルフェニルポリシランが収率54%で得られた。
【0079】
実施例5
各工程において、ハロシラン化合物としてメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)に代えて、メチルフェニルジクロロシラン57.5g(300mmol)及びジフェニルジクロロシラン75.9g(300mmol)を使用する以外は実施例1と同様に操作した。その結果、重量平均分子量11800のメチルフェニルポリシラン−ジフェニルポリシラン共重合体を収率76%で得た。
【0080】
実施例6
ハロシラン化合物としてメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)に代えて、メチルフェニルジクロロシラン57.5g(300mmol)とフェニルトリクロロシラン43.3g(200mmol)を使用する以外は実施例1と同様にして行った。その結果、重量平均分子量11800のメチルフェニルポリシラン−フェニルポリシラン共重合体を収率66%で得た。
【0081】
実施例7
ハロシラン化合物としてメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)に代えて、メチルフェニルジクロロシラン95.6g(500mmol)とテトラクロロシラン4.3g(25mmol)を使用する以外は実施例1と同様にして行った。その結果、重量平均分子量9300の対応する共重合ポリシランを収率47%で得た。
【0082】
実施例8
金属ハロゲン化物としてCuCl2を11.1g用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量12000のメチルフェニルポリシランを収率59%で得た。

Claims (9)

  1. ハロシラン化合物を、リチウム化合物であるアルカリ金属化合物と、サマリウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、パラジウム、銅、亜鉛、アルミニウム及びスズから選択された少なくとも一種の金属の塩化物又は臭化物である金属ハロゲン化物との共存下、非プロトン性溶媒中で反応させ、ポリシランを製造する方法においてその反応系に存在させるための固体成分であって、非プロトン性溶媒中で、前記アルカリ金属化合物、前記金属ハロゲン化物及びハロシラン化合物を、金属マグネシウムに接触させることにより得られる固体成分
  2. 少なくとも請求項1記載の固体成分の存在下、ハロシラン化合物を、リチウム化合物であるアルカリ金属化合物と、サマリウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、パラジウム、銅、亜鉛、アルミニウム及びスズから選択された少なくとも一種の金属の塩化物又は臭化物である金属ハロゲン化物の共存下、非プロトン性溶媒中で反応させ、ポリシランを製造する方法であって、非プロトン性溶媒中で、前記アルカリ金属化合物、前記金属ハロゲン化物及びハロシラン化合物を、金属マグネシウムに接触させて前記固体成分を生成させる第1の工程と、この第1の工程で得られた反応混合物から液体成分を除去し、前記固体成分が残存する反応系に、ハロシラン化合物、前記アルカリ金属化合物、前記金属ハロゲン化物及び非プロトン性溶媒を添加して反応させ、ポリシランを生成させる第2の工程とで構成されているポリシランの製造方法
  3. 第2の工程において、金属マグネシウムを補給する請求項記載の製造方法。
  4. 反応器の容積に対して少量の固体成分を予め生成させ、生成した前記固体成分が残存する反応系に、ハロシラン化合物、アルカリ金属化合物、金属ハロゲン化物及び非プロトン性溶媒を添加して反応させる請求項記載の製造方法。
  5. ハロシラン化合物として下記式(1)で表される化合物を用いる請求項2記載の製造方法。
    Figure 0004559642
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシリル基を示し、前記アルキル基、前記シクロアルキル基、前記アリール基又は前記アラルキル基を構成するアリール基は、1又は複数のアルキル基又はアルコキシ基を置換基として有していてもよく、及びXは、同一又は異なって、ハロゲン原子を示す)
  6. ハロシラン化合物として下記式(2)〜(4)で表される化合物を用いる請求項2記載の製造方法。
    Figure 0004559642
    (式中、R〜Rは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシリル基を示し、前記アルキル基、前記シクロアルキル基、前記アリール基又は前記アラルキル基を構成するアリール基は、1又は複数のアルキル基又はアルコキシ基を有していてもよく、〜Xは、同一又は異なって、ハロゲン原子を示す)
  7. ポリシランが、下記式(5)〜(8)で表されるユニットを含む請求項2記載の製造方法。
    Figure 0004559642
    (式中、R〜Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシリル基を示し、前記アルキル基、前記シクロアルキル基、前記アリール基又は前記アラルキル基を構成するアリール基は、1又は複数のアルキル基又はアルコキシ基を有していてもよく、m、n及びpは、それぞれ、2〜1000の整数である)
  8. アルカリ金属化合物が、ハロゲン化リチウムである請求項2記載の製造方法。
  9. 金属ハロゲン化物が、塩化鉄、塩化銅及び塩化亜鉛から選択された少なくとも一種である請求項2記載の製造方法。
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