JP4564642B2 - ポリシラン系コポリマーの製造方法 - Google Patents

ポリシラン系コポリマーの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリシランの優れた特性をさらに改善したポリシラン系コポリマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリシランは、セラミックス前駆体、光電子材料(例えば、フォトレジスト、有機感光体などの光電子写真材料、光導波路などの光伝送材料、光メモリなどの光記録材料、エレクトロルミネッセンス素子用材料など)などとして注目されている。このような材料において、ポリシランは、通常、薄膜の形態で使用される。しかし、主鎖がケイ素のみからなるポリシランの薄膜は、硬くてもろく、機械的強度が低いので、クラックなどの欠陥を生じやすい。また、ポリシランを電子写真感光体(有機感光体)として用いる場合、印刷後に残存トナーを電子写真感光体表面から除去する工程において、ポリシランの耐磨耗性が低いため、電子写真感光体としての寿命が短くなり、実用的でない。
【0003】
そこで、ポリシラン薄膜の機械的強度および耐磨耗性を向上させる方法が検討されている。例えば、ポリシランに共重合性ビニルモノマーを重合させて、ポリシラン系コポリマーを製造し、ポリシランの前記欠点を改善する方法が提案されている。例えば、(a)ポリシランの最大吸収波長以上の波長の光を照射しながら、ビニル系モノマーを仕込み、ポリシランから光重合を開始させて、ポリシランブロックコポリマーを製造する方法(特開平3−292310号公報、特公平6−86506号公報)、(b)マスクされたジシレンのアニオン重合によりポリシランを合成した後、全てのモノマーが消費された後にも活性を保っているシリルアニオン末端にメチルメタクリレートを添加し、ポリシラン−ポリメチルメタクリレートブロックコポリマーを製造する方法(有機合成化学 47,1051-1059(1989))、(c)特定の金属を陽極とし、非プロトン性溶媒およびリチウム化合物から成る支持電解質を用いて、ハロシランとビニル基含有化合物の混合物を電極反応に供することによりポリシラン系コポリマーを製造する方法(特開平9−255785号公報)などが挙げられる。
【0004】
しかしながら、上記(a)の方法では、ポリシランを一旦製造した後、別の重合装置にポリシランとビニル系モノマーとを仕込み、加熱しながら光照射を行うので、操作が煩雑であり、特別な装置を必要とし、生産性が低い。
【0005】
また、(b)の方法は、マスクされたジシレンのアニオン重合において複雑なモノマーの合成が必要であり、また合成できるポリシラン系ブロックの種類(特に側鎖の種類)が制限されるばかりか、炭素系ポリマーブロックとしては、現在のところ、ポリメタクリル酸メチルしか合成されていない。
【0006】
(c)の方法は、常温で反応を行い、原料として複雑なモノマーを製造する必要がないため、安全かつ高収率でポリシラン系コポリマーが得られる優れた技術ではある。しかし、特殊な電極反応装置を必要とし、また長時間の通電が必要であるため、ポリシラン系コポリマーを安価かつ大量に製造するのには適していない。
【0007】
なお、ポリシランを製造する方法として、WO98/29476には、非プロトン性溶媒中、リチウム塩及び金属ハロゲン化物の存在下で、ジハロシランにマグネシウム又はマグネシウム合金を作用させることにより、ポリシランを形成させる方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、薄膜として使用しても、成膜性、機械的強度及び耐磨耗性に優れたポリシラン系コポリマーを、特殊な装置を用いることなく、簡便に製造する方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、成膜性、機械的強度及び耐磨耗性に優れるとともに、有機ポリマーとの相溶性に優れたポリシラン系コポリマーを、連続的かつ安価に製造できる方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、分子量分布の揃ったポリシラン系コポリマーを製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のハロシラン化合物と特定のビニル化合物とを、非プロトン性溶媒中でリチウム化合物及び金属ハロゲン化物の共存下にマグネシウム金属成分を作用させることにより、反応を容易かつ精度よく制御でき、速やか且つ効率よく、薄膜としての機械的強度、耐磨耗性等に優れたポリシラン系コポリマーが得られることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明のポリシラン系コポリマーの製造方法は、下記式(1)で表されるハロシラン化合物と、ビニル化合物とを、非プロトン性溶媒中、リチウム化合物及び金属ハロゲン化物の共存下で、マグネシウム金属成分を作用させて、ポリシラン系コポリマーを製造する。
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、有機基又はシリル基であり、X1及びX2は、同一又は異なって、ハロゲン原子であり、mは1〜1000の整数である。但し、R1及びR2のうち、少なくとも一方がハロゲン原子の場合、mは1である)。
【0015】
前記ポリシラン系コポリマーの重合形態は、特に限定されず、ランダム又はブロックコポリマーであってもよい。コポリマーの出発原料であるハロシラン化合物として、具体的には、下記式(2)〜(4)で表される化合物から選択された少なくとも一種が挙げられ、ビニル化合物としては、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0016】
【化7】
【0017】
(式中、R3〜R5は、同一又は異なって、水素原子、有機基又はシリル基であり、X1〜X4は、同一又は異なって、ハロゲン原子であり、mは1〜1000の整数である)
【0018】
【化8】
【0019】
(式中、R6〜R9は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、有機基又はシリル基である)。
【0020】
前記リチウム化合物としは、リチウムハロゲン化合物、特に塩化リチウムが好ましい。前記金属ハロゲン化合物としては、多価金属ハロゲン化物、特に、鉄、アルミニウム、亜鉛、スズ、コバルト、バナジウム、チタン、パラジウム、サマリウム等から選択された少なくとも一種の金属の塩化物又は臭化物(例えば、塩化鉄や塩化亜鉛等)が好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のポリシラン系コポリマーの製造方法では、出発原料として、ハロシラン化合物とビニル化合物とを用いる。
【0022】
[ハロシラン化合物]
ハロシラン化合物としては、前記式(1)で表されるハロシラン化合物、具体的には前記式(2)〜(4)で表されるジ乃至テトラハロシランが例示できる。
これらのハロシラン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、ジハロシラン化合物としては、単量体(m=1)を用いてもよく、重合体(m=2〜1000程度)を用いてもよい。また、トリ又はテトラハロシラン化合物は、通常、単量体として使用される。特に、複数のハロシラン化合物を組み合わせて用いる場合、通常、ジ乃至テトラハロシランから選択された少なくとも2種が使用される。
【0023】
1及びR2で表される有機基としては、アルキル基[メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びt−ブチル基などのC1-10アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基、特にC1-4アルキル基など)]、シクロアルキル基(シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基、特にC5-6シクロアルキル基)、アリール基(フェニル、ナフチル基などのC6-10アリール基)、アラルキル基[ベンジル、フェネチル基などのC6-10アリール−C1-6アルキル基(C6-10アリール−C1-4アルキル基など)]、アルコキシ基[メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ及びt−ブトキシ基などのC1-10アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基、特にC1-4アルコキシ基)など]、アミノ基、N−置換アミノ基(前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基などで置換されたN−モノ又はジ置換アミノ基など)などが挙げられる。前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を構成するアリール基などは、1又は複数の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、前記例示のアルキル基(特にC1-6アルキル基など)、前記例示のアルコキシ基などが挙げられる。このような置換基を有する有機基としては、例えば、トリル、キシレニル、エチルフェニル、メチルナフチル基などのC1-6アルキルC6-10アリール基(好ましくはモノ乃至トリC1-4アルキルC6-10アリール基、特にモノ又はジC1-4アルキルフェニル基など);メトキシフェニル、エトキシフェニル、メトキシナフチル基などのC1-10アルコキシC6-10アリール基(好ましくはC1-6アルコキシC6-10アリール基、特にC1-4アルコキシフェニル基など)などが挙げられる。
【0024】
シリル基は、前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルコキシ基などで置換された置換シリル基であってもよい。
【0025】
1及びX2で表されるハロゲン原子には、F、Cl、Br、Iが含まれ、Cl及びBr(特にCl)が好ましい。
【0026】
ジハロシラン(2)において、mは、1〜1000、好ましくは1〜500、さらに好ましくは1〜100(例えば、1〜10)程度である。ジハロシラン化合物を用いるコポリマーの製造において、mの値が大きいオリゴマーを用いると、ブロックコポリマーが得られ、mの値が小さいモノマーを用いると、ランダムコポリマーが得られる。コポリマーの製造効率の点からは、mが1〜2程度のジハロシランを使用するのが好ましい。
【0027】
ハロシラン化合物は、できるだけ高純度である化合物が好ましい。例えば、液体のハロシラン化合物については、水素化カルシウムなどの乾燥剤を用いて乾燥し、蒸留して使用するのが好ましく、固体のハロシラン化合物については、再結晶法などにより、精製して使用するのが好ましい。
【0028】
このようなハロシラン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0029】
[ビニル化合物]
ビニル化合物は、前記式(5)で表すことができる。前記式(5)において、R6〜R9で表される有機基としては、アルキル基[前記ハロシラン化合物の項で例示のアルキル基、例えば、メチル及びエチル基などの飽和C1-10アルキル基など、好ましくは飽和C1-6アルキル基]、不飽和アルキル基[ビニル、アリル、イソプロペニル基などのC2-10アルケニル基(好ましくはC2-6アルケニル基);C2-10アルキニル基など]、シクロアルキル基(前記例示のシクロアルキル基など)、アリール基(前記例示のアリール基など)、複素環基(ピリジニル基などの芳香族複素環基など)、エステル基(アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基など)、エーテル基、カルボキシル基、アミノ基、N−置換アミノ基(前記例示のN−置換アミノ基など)、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。これらの有機基は、さらに前記アルキル基やアルコキシ基などの置換基により置換されていてもよい。
【0030】
6〜R9で表されるシリル基には、前記有機基などで置換された置換シリル基も含まれる。
【0031】
6〜R9で表されるハロゲン原子としては、前記X1及びX2の項で例示のハロゲン原子(塩素原子など)などが挙げられる。
【0032】
このようなビニル化合物としては、例えば、芳香族ビニル化合物[スチレン;α−アルキルスチレン(α−メチルスチレンなど)、アルキルスチレン(p−メチルスチレンなどのC1-4アルキルスチレン)、アルコキシスチレン(p−メトキシスチレンなどのC1-4アルコキシスチレンなど)、アシルオキシスチレン(p−アセトキシスチレンなどのC2-5アシルオキシスチレンなど)、1−ビニルフェノール、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体;1−ビニルナフタレンなどのビニルナフタレン類など];(メタ)アクリル酸又はその誘導体[(メタ)アクリル酸エステル、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、α−シアノ(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル、特に(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステルなど)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル((メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステルなどの(メタ)アクリル酸C5-8シクロアルキルエステルなど)など];多価カルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メチレンマロン酸など)又はその誘導体(無水マレイン酸などの酸無水物、マレイン酸アルキルエステル、メチレンマロン酸ジメチルなどのメチレンマロン酸アルキルエステルなど);(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;カルボン酸ビニルエステル、例えば、脂肪族カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどの脂肪族C1-10カルボン酸ビニルエステルなど)、芳香族カルボン酸ビニルエステル(ジアリルフタレートなど);共役ジエン系化合物、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン;オレフィン類、例えば、エチレン、ニトロエチレン、プロピレン、ブテンなどのC2-10アルケン(好ましくはC2-6アルケンなど);テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのハロゲン化オレフィン;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;シアン化ビニリデン;メチルトリビニルシラン、テトラビニルシラン、ジエチルメチルビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、トリメチルビニルシランなどのビニルシラン類;ビニルエーテル系化合物、例えば、アルキルビニルエーテル(エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのC1-10アルキルビニルエーテル)、シクロアルキルビニルエーテル(シクロヘキシルビニルエーテルなどのC5-8シクロアルキルビニルエーテル)、ジエチレングリコールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジンなどのビニル基含有複素環化合物などが挙げられる。これらのビニル化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0033】
好ましいビニル化合物は、スチレン又はその誘導体、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル等である。
【0034】
なお、市販のビニル化合物を使用する場合には、重合禁止剤を含有している場合があるので、予め蒸留精製して使用するのが好ましい。
【0035】
ハロシラン化合物とビニル化合物との割合は、所望のポリシラン系コポリマーのケイ素鎖(ポリシランブロック)とビニル基に由来する炭素鎖(炭素系ブロック)との比率に応じて選択できる。ハロシラン化合物とビニル化合物との割合(重量比)は、ハロシラン化合物/ビニル化合物=1/0.01〜1/2、好ましくは1/0.05〜1/1、さらに好ましくは1/0.1〜1/0.5程度である。反応系におけるビニル化合物の割合が、ハロシラン化合物の割合よりも著しく高い場合には、得られるポリシラン系コポリマーのポリシランとしての光学的物性及び電子的物性が低下する虞がある。一方、ビニル化合物の割合が、ハロシラン化合物の割合よりも著しく低い場合には、ポリシラン系コポリマーの機械的強度、耐磨耗性等の物性の改善が不充分となる虞がある。
【0036】
[非プロトン性溶媒]
反応に際しては、溶媒を使用できる。溶媒としては、非プロトン性溶媒が広く使用でき、例えば、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン,テトラヒドロピラン,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテルなどの環状又は鎖状C4-6エーテル)、カーボネート類(プロピレンカーボネートなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ハロゲン含有化合物(塩化メチレン、クロロホルム、ブロモホルム、クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化水素など)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン,シクロヘキサン,オクタン,シクロオクタンなど鎖状又は環状炭化水素類)などが挙げられ、混合溶媒として使用してもよい。溶媒としては、極性溶媒単独(テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等)、2種以上の極性溶媒の混合物、極性溶媒と非極性溶媒との混合物などが好ましい。極性溶媒と非極性溶媒との混合物を使用する場合、両者の割合は、前者/後者(重量比)=1/0.01〜1/20程度である。
【0037】
溶媒(反応液)中のハロシラン化合物の濃度が低すぎると、重合が効率よく行われない虞があるとともに、高すぎると反応に使用する金属ハロゲン化物が溶解しない虞がある。従って、溶媒(反応液)中のハロシラン化合物の濃度は、通常0.05〜20mol/l、好ましくは0.2〜15mol/l、特に0.3〜13mol/l程度である。
【0038】
[リチウム化合物]
リチウム化合物としては、ハロゲン化リチウム(塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなど)、無機酸塩(硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、塩酸リチウム、硫酸リチウム、過塩素酸リチウム、リン酸リチウムなど)などが使用できる。これらのリチウム化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。好ましいリチウム化合物は、ハロゲン化リチウム(特に塩化リチウム)である。
【0039】
反応液中のリチウム化合物の濃度が、低すぎると反応が進行しない虞があるとともに、高すぎると還元されて析出したリチウムの量が多すぎて、所望の生成物であるポリシランのSi−Si主鎖結合が開裂して、その分子量が低下する虞がある。従って、溶媒(反応液)中のリチウム化合物の濃度は、通常、0.05〜5mol/l、好ましくは0.1〜4mol/l、特に0.15〜3mol/l程度である。
【0040】
リチウム化合物の割合は、ハロシラン化合物及びビニル化合物の総量100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部程度である。
【0041】
[金属ハロゲン化合物]
金属ハロゲン化物としては、多価金属ハロゲン化物が例示でき、例えば、遷移金属(例えば、サマリウムなどの周期表3A族元素、チタンなどの周期表4A族元素、バナジウムなどの周期表5A族元素、鉄、コバルト、パラジウムなどの周期表8族元素、亜鉛などの周期表2B族元素など)、周期表3B族金属(アルミニウムなど)、周期表4B族金属(スズなど)などの金属の塩化物、臭化物又はヨウ化物などが挙げられる。金属ハロゲン化物を構成する前記金属の価数は、特に制限されないが、好ましくは2〜4価、特に2又は3価である。これらの金属ハロゲン化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0042】
このような金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化物(FeCl2、FeCl3などの塩化鉄;AlCl3、ZnCl2、SnCl2、CoCl2、VCl2、TiCl4、PdCl2、SmCl2など)、臭化物(FeBr2、FeBr3などの臭化鉄など)、ヨウ化物(SmI2など)などが例示できる。これらの金属ハロゲン化物のうち、塩化物(塩化鉄、塩化亜鉛など)及び臭化物が好ましい。
【0043】
溶媒(反応液)中の金属ハロゲン化物の濃度が低すぎると、反応が十分に進行しない虞があるとともに、高すぎると反応に関与しない虞がある。従って、溶媒中の金属ハロゲン化物の濃度は、通常0.001〜6mol/l程度であり、より好ましくは0.005〜4mol/l程度であり、特に好ましくは0.01〜3mol/l程度である。
【0044】
金属ハロゲン化物の割合は、前記ハロシラン化合物及びビニル化合物の総量100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは3〜15重量部程度である。
【0045】
[マグネシウム金属成分]
マグネシウム金属成分は、少なくともマグネシウムが含まれていればよく、マグネシウム金属単体又はマグネシウム系合金、あるいは前記マグネシウム金属又は合金を含む混合物などであってもよい。マグネシウム合金の種類は特に制限されず、慣用のマグネシウム合金、例えば、アルミニウム、亜鉛、希土類元素(スカンジウム、イットリウムなど)などの成分を含むマグネシウム合金が例示できる。これらのマグネシウム金属成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0046】
マグネシウム金属成分の形状は、ハロシラン化合物とビニル化合物との反応を損なわない限り特に限定されないが、粉粒状(粉体、粒状体など)、リボン状体、切削片状体、塊状体、棒状体、平板などが例示され、特に表面積の大きい形状(粉体、粒状体、リボン状体、切削片状体など)であるのが好ましい。マグネシウム金属成分が粉粒状の場合、平均粒径は、1〜10000μm、好ましくは10〜5000μm、さらに好ましくは20〜1000μm程度である。
【0047】
なお、マグネシウム金属成分の保存状況などによっては、金属表面に被膜(酸化被膜など)が形成されることがある。この被膜は反応に悪影響を及ぼすことがあるので、必要に応じて、切削などによって除去してもよい。
【0048】
マグネシウム金属成分の使用量は、通常、ハロシラン化合物のハロゲンに対して、マグネシウム換算で、1〜10当量であり、好ましくは1〜5.0当量、さらに好ましくは1〜3.0当量程度である。また、マグネシウム金属成分の使用量は、通常、ハロシラン化合物に対してモル数でマグネシウムとして1.0〜10倍であり、より好ましくは1.2〜5.0倍であり、最も好ましくは1.5〜3.0倍程度である。
【0049】
マグネシウム金属成分は、前記式(1)のハロシラン化合物を還元して、ポリシランコポリマーを形成させるとともに、マグネシウム自身は酸化されてハロゲン化物を形成する。
【0050】
[製造方法]
本発明の製造方法では、例えば、密閉可能な反応容器に、ハロシラン化合物(1)、ビニル化合物、リチウム化合物、金属ハロゲン化物、及びマグネシウム金属成分を溶媒とともに収容し、好ましくは機械的又は磁気的に攪拌しつつ、反応を行ってもよい。出発原料のハロシラン化合物とビニル化合物とは、予め、両者の混合物として用いてもよいし、両者を併行して添加(例えば、一方の成分を添加して、ある程度反応を進行させた後、他方の成分を添加する方法など)してもよい。両者の混合物として用いる方法は、ランダムコポリマーを得るのに好適であり、一方の成分の反応途中で他方の成分を添加する方法は、ブロックコポリマーが得るのに好適である。
【0051】
反応容器は、密閉できる限り、形状や構造についての制限は特にない。反応容器内は、乾燥雰囲気であればよいが、乾燥した不活性ガス(例えば、アルゴンガス)雰囲気、特に、脱酸素し、乾燥したアルゴンガス雰囲気が好ましい。
【0052】
反応時間は、ハロシラン化合物、リチウム化合物、金属ハロゲン化物及びマグネシウム金属成分の量などに異なるが、5分以上であり、通常、30分〜100時間程度である。反応時間を調整することにより、ポリシランの分子量制御が可能となる。
【0053】
反応温度は、通常、−20℃から使用する溶媒の沸点までの温度範囲内にあり、好ましくは0〜70℃、さらに好ましくは10〜50℃程度の範囲内にある。
【0054】
[ポリシラン系コポリマー]
前記製造方法によって得られるポリシラン系コポリマーは、下記式(6)〜(8)で表される構成単位から選択された少なくとも一種の構成単位と、下記式(9)で表される構成単位とで構成される。
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】
(式中、R3〜R9は前記に同じ。r、s、t及びuは各構成単位数を示し、r、s及びtの合計は2〜1000の整数、uは2〜1000の整数である)。
【0058】
具体的には、下記式で表されるジハロシラン(2)とビニル化合物(5)とを出発原料として得られるコポリマーであって、下記式で表される構成単位(6)と構成単位(9)とで構成されるコポリマーが例示できる。
【0059】
【化11】
【0060】
(式中、X1、X2、R3、R4、R6〜R9及びmは前記に同じ。r及びuは各構成単位数を示し、rは2〜1000の整数、uは2〜1000の整数である)。
【0061】
また、下記式で表されるトリハロシラン(3)とビニル化合物(5)とを出発原料として得られるコポリマーであって、下記式で表される構成単位(7)と構成単位(9)とで構成されるコポリマーも例示できる。
【0062】
【化12】
【0063】
(式中、X1〜X3及びR5〜R9は前記に同じ。s及びuは各構成単位数を示し、sは2〜1000の整数、uは2〜1000の整数である)。
【0064】
また、下記式で表されるテトラハロシラン(4)とビニル化合物(5)とを出発原料として得られるコポリマーであって、下記式で表される構成単位(8)と構成単位(9)とで構成されるコポリマーも例示できる。
【0065】
【化13】
【0066】
(式中、X1〜X4及びR6〜R9は前記に同じ。t及びuは各構成単位数を示し、tは2〜1000の整数、uは2〜1000の整数である)。
【0067】
さらに、前記式(2)〜(4)で表されるハロシラン化合物から選択された少なくとも二種とビニル化合物(5)とを出発原料として、前記構成単位(6)〜(8)で表される構成単位から選択された少なくとも二種の構成単位と、前記構成単位(9)とで構成されるコポリマーも例示できる。
【0068】
ポリシラン系コポリマーの重合形態は、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれの重合形態でもよいが、ランダム又はブロック重合が好ましい。前記したように、コポリマーの重合形態は、出発原料の添加方法や種類を変えることによって制御できる。
【0069】
ポリシラン系コポリマーの重量平均分子量は、1000〜100000、好ましくは3000〜50000、さらに好ましくは5000〜30000程度である。平均重合度は、10〜1000、好ましくは30〜500、さらに好ましくは50〜300程度である。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比は、Mw/Mn=1〜2、好ましくは1.1〜1.5程度である。このように、本発明では、高分子量で、かつ分子量分布の狭いポリシラン系コポリマーが得られる。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、薄膜として使用する場合であっても、成膜性、機械的強度、耐磨耗性、有機系ポリマーとの相溶性等に優れたポリシラン系コポリマーが製造できる。また、室温近傍の温度で撹拌操作を行うだけの簡便な方法で、分子量の揃った高分子量のポリシラン系コポリマーを高収率で製造できる。また、高価な試薬などを使用せずに市販の原料を用い、光照射器、超音波照射装置、電極反応装置等の特殊な装置を使用しないので、ポリシラン系コポリマーを安価に製造できる。また、反応時間を調整するだけで、所望の分子量のポリシラン系コポリマーを製造できる。さらに、原料を適宜選択することにより、種々の構造を有するポリシラン系コポリマーを製造できる。
【0071】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0072】
実施例1
三方コックを装着した内容積1000mlの丸型フラスコに、粒状(粒径20〜1000μm)のマグネシウム47.1g、無水塩化リチウム(LiCl)12.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)8.1gを仕込み、50℃で1mmHg(=133kPa)に加熱減圧して、反応混合物を乾燥した後、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間撹拌した。この反応混合物に、予め蒸留により精製したメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)と、予め蒸留により精製したスチレン15.6g(150mmol)とをシリンジで加え、室温で約22時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に1N(=1モル/L)の塩酸250mlを投入し、さらにトルエン300mlで抽出した。トルエン層を純水200mlで4回洗浄し、トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、トルエンを留去することにより、低分子量体を含んだメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た。メチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを良溶媒トルエン150ml、貧溶媒2-プロパノール750mlを用いて再沈殿させ、重量平均分子量13700のメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマー(ランダムコポリマー)を得た(収率56%)。
【0073】
実施例2
三方コックを装着した内容積1000mlの丸型フラスコに、粒状(粒径20〜1000μm)のマグネシウム47.1g、無水塩化リチウム(LiCl)12.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)8.1gを収容し、50℃で1mmHg(=133kPa)に加熱減圧して、反応混合物を乾燥した後、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間撹拌した。この反応混合物に、予め蒸留により精製したメチルフェニルジクロロシラン115g(600mmol)を加え、室温で5時間撹拌することにより重量平均分子量2500(重合度21程度)のポリシランを生成させた後、予め蒸留により精製したスチレン15.6g(150mmol)をシリンジで加え、さらに室温で約17時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に1N(=1モル/L)の塩酸250mlを投入し、さらにトルエン300mlで抽出した。トルエン層を純水200mlで4回洗浄し、トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、トルエンを留去することにより、低分子量体を含んだメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマー(ブロックコポリマー)を得た。メチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマー(ブロックコポリマー)を良溶媒トルエン150ml、貧溶媒2-プロパノール750mlを用いて再沈殿させ、重量平均分子量22500のメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマー(ブロックコポリマー)を得た(収率41%)。
【0074】
実施例3
反応時間を22時間に代えて8時間とする以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量7100のメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率39%)。
【0075】
実施例4
マグネシウム量を47.1gに代えて65.9gとする以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量16900のメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率58%)。
【0076】
実施例5
メチルフェニルジクロロシランの量を229.3g(1.2mol)とする以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量20500のメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率41%)。
【0077】
実施例6
LiClの量を17.5gとする以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量9800のメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率36%)。
【0078】
実施例7
ZnCl2量を11.3gとする以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量10200のメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率42%)。
【0079】
実施例8
溶媒として1.2-ジメトキシエタン500mlを用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量8300のメチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率27%)。
【0080】
実施例9
ハロシラン化合物としてp-エチルフェニルメチルジクロロシラン132.1g(600mmol)を用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量9600のp-エチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率39%)。
【0081】
実施例10
ハロシラン化合物としてメチルフェニルジクロロシラン57.3g(300mmol)とジメチルジクロロシラン38.7g(300mmol)を用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量11500のメチルフェニルポリシラン−ジメチルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率49%)。
【0082】
実施例11
金属ハロゲン化物としてFeCl3を16.2g用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量20200メチルフェニルポリシラン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率59%)。
【0083】
実施例12
ビニルモノマーとしてスチレンに代わりメタクリル酸メチル15g (150mmol)を用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量9200のメチルフェニルポリシラン-ポリメタクリル酸メチルコポリマーを得た(収率40.0%)。
【0084】
実施例13
ビニルモノマーとしてスチレンに代わりジビニルベンゼン7.95g (75mmol)を用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量31500のメチルフェニルポリシラン-ポリジビニルベンゼンコポリマーを得た(収率41.5%)。
【0085】
実施例14
三方コックを装着した内容積1000mlの丸型フラスコに、粒状(粒径20〜1000μm)のマグネシウム18.9g、無水塩化リチウム(LiCl)12.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)8.1gを仕込み、50℃で1mmHg(=133kPa)に加熱減圧して、反応混合物を乾燥した後、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間撹拌した。この反応混合物に、予め蒸留により精製したフェニルトリクロロシラン85g(400mmol)と、予め蒸留により精製したスチレン15.6g(150mmol)とをシリンジで加え、室温で約5時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に1N(=1モル/L)の塩酸250mlを投入し、さらにトルエン300mlで抽出した。トルエン層を純水200mlで4回洗浄し、トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、トルエンを留去することにより低分子量体を含んだポリフェニルシリン-ポリスチレンコポリマーを得た。ポリフェニルシリン-ポリスチレンコポリマーを良溶媒トルエン150ml、貧溶媒2-プロパノール750mlを用いて再沈殿させ、重量平均分子量7500のポリフェニルシリン-ポリスチレンコポリマーを得た(収率85%)。
【0086】
実施例15
三方コックを装着した内容積1000mlの丸型フラスコに、粒状(粒径20〜1000μm)のマグネシウム18.9g、無水塩化リチウム(LiCl)12.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)8.1gを仕込み、50℃で1mmHg(=133kPa)に加熱減圧して、反応混合物を乾燥した後、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間撹拌した。この反応混合物に、テトラクロロシラン51g(300mmol)と、予め蒸留により精製したスチレン31.2g(300mmol)とをシリンジで加え、室温で約4時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に1N(=1モル/L)の塩酸250mlを添加し、さらにトルエン300mlで抽出した。トルエン層を純水200mlで4回洗浄し、トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、トルエンを留去することにより低分子量体を含んだポリシランポリスチレンコポリマーを得た。ポリシランスチレンコポリマーを良溶媒トルエン150ml、貧溶媒2-プロパノール750mlを用いて再沈殿させ、重量平均分子量6800のポリシランポリスチレンコポリマーを得た(収率78%)。
【0087】
実施例16
三方コックを装着した内容積1000mlの丸型フラスコに、粒状(粒径20〜1000μm)のマグネシウム47.1g、無水塩化リチウム(LiCl)12.5g、無水塩化亜鉛(ZnCl2)8.1gを仕込み、50℃で1mmHg(=133kPa)に加熱減圧して、反応混合物を乾燥した後、乾燥アルゴンガスを反応器内に導入し、予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン500mlを加え、室温で約30分間撹拌した。この反応混合物にメチルフェニルジクロロシラン76.4g(400mmol)、フェニルトリクロロシラン21.2g(100mmol)、テトラクロロシラン4.3g(25mmol)、および予め蒸留により精製したメタクリル酸メチル20g(200mmol)をシリンジで加え、室温で約15時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に1N(=1モル/L)塩酸250mlを添加し、さらにトルエン300mlで抽出した。トルエン層を純水200mlで4回洗浄し、トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、トルエンを留去することにより、低分子量体を含んだポリシラン-ポリメタクリル酸メチルコポリマーを得た。ポリシラン-ポリメタクリル酸メチルコポリマーを良溶媒トルエン200ml、貧溶媒2-プロパノール800mlを用いて再沈殿させ、重量平均分子量16200の所望のポリシラン-ポリメタクリル酸メチルコポリマーを得た(収率53%)。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表されるハロシラン化合物と、ビニル化合物とを、非プロトン性溶媒中、リチウム化合物及び金属ハロゲン化物の共存下で、マグネシウム金属成分を作用させて、ポリシラン系コポリマーを製造する方法であって、前記ハロシラン化合物として、下記式(3)で表される化合物及び下記式(4)で表される化合物から選択された少なくとも一種を含むハロシラン化合物を用いる製造方法
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アミノ基、N−置換アミノ基、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたシリル基であり、X及びXは、同一又は異なって、ハロゲン原子であり、mは1〜1000の整数である。但し、R1及びR2のうち、少なくとも一方がハロゲン原子の場合、mは1である)
    (式中、R は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アミノ基、N−置換アミノ基、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたシリル基であり、X 〜X は、同一又は異なって、ハロゲン原子である)
  2. ポリシラン系コポリマーがランダム又はブロックコポリマーである請求項1記載の方法。
  3. ハロシラン化合物としてさらに下記式(2)で表される化合物を用い、ビニル化合物として下記式(5)で表される化合物を用いる請求項1記載の方法。
    (式中、R 及びR は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アミノ基、N−置換アミノ基、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたシリル基であり、X 及びX は、同一又は異なって、ハロゲン原子であり、mは1〜1000の整数である)
    (式中、R〜Rは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アミノ基、N−置換アミノ基、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたシリル基である)
  4. ハロシラン化合物として式(3)及び(4)で表される化合物を用いる請求項記載の方法。
  5. リチウム化合物がリチウムハロゲン化物である請求項1記載の方法。
  6. 金属ハロゲン化物が多価金属ハロゲン化物である請求項1記載の方法。
  7. 金属ハロゲン化物が、鉄、アルミニウム、亜鉛、スズ、コバルト、バナジウム、チタン、パラジウム及びサマリウムから選択された少なくとも一種の金属の塩化物又は臭化物である請求項1記載の方法。
  8. 金属ハロゲン化物が塩化鉄及び塩化亜鉛から選択された少なくとも一種である請求項1記載の方法。
  9. ハロシラン化合物とビニル化合物との割合(重量比)が、ハロシラン化合物/ビニル化合物=1/0.01〜1/2である請求項1記載の方法。
  10. 非プロトン性溶媒中、塩化リチウムと、塩化鉄及び塩化亜鉛から選択された少なくとも一種との共存下で、下記式(1)で表されるハロシラン化合物と、下記式(5)で表されるビニル化合物との混合物に、マグネシウム金属成分を作用させて、ポリシラン系ランダム又はブロックコポリマーを製造する方法であって、前記ハロシラン化合物として、下記式(3)で表される化合物及び下記式(4)で表される化合物から選択された少なくとも一種を含むハロシラン化合物を用いる方法
    (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アミノ基、N−置換アミノ基、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたシリル基であり、X1及びX2は、同一又は異なって、ハロゲン原子であり、mは1〜1000の整数である。但し、R1及びR2のうち、少なくとも一方がハロゲン原子の場合、mは1である)
    (式中、R は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アミノ基、N−置換アミノ基、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたシリル基であり、X 〜X は、同一又は異なって、ハロゲン原子である)
    (式中、R6〜R9は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アミノ基、N−置換アミノ基、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたシリル基である)
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