JP6006034B2 - 白金触媒、白金触媒の製造方法及びヒドロシリル化物の製造方法 - Google Patents

白金触媒、白金触媒の製造方法及びヒドロシリル化物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、白金触媒、白金触媒の製造方法及びヒドロシリル化物の製造方法に関する。
ヒドロシリル化反応を行う際には、通常、反応を効率的に進行させるために白金化合物等の触媒が添加される。また、反応後には、通常、製品物性への影響を低減するために、前記白金触媒及び/又はその反応物の除去が行われる。
例えば特許文献1及び2には、触媒として固体の白金触媒を用いて、ヒドロシリル化反応を行う方法が開示されている。
特表2008−522799号公報 特表2009−529409号公報
固体の白金触媒を用いたヒドロシリル化反応では、通常、ろ過により反応系から白金触媒を除去する。
しかし、本発明者らの知見によれば、ラジカル重合性基を有する原料化合物をヒドロシリル化する場合、他の原料化合物を用いた場合と比較して、より多くの白金触媒に由来する白金成分(白金触媒又はその反応物)が反応系に溶出してしまう。すなわち、ラジカル重合性基を有する原料化合物をヒドロシリル化する場合には、ろ過操作では反応生成物への白金成分の混入を防ぐことが困難となり、高純度の反応生成物を得るためにはより高度な精製操作等が必要となる場合がある。
本発明の目的の一つは、ラジカル重合性基を有する原料化合物を用いた場合であっても、容易に且つ収率良く高純度のヒドロシリル化物を得ることを可能とする、白金触媒及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的の一つは、当該白金触媒を用いたヒドロシリル化物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、反応系に不溶な白金触媒として白金−N複素環式カルベン結合を有するものを用いることにより、白金成分の反応系への溶出が十分に抑制され、ろ過等の簡便な分離操作によって反応系から白金触媒を容易に除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
[1]白金原子と、該白金原子と錯形成したN−複素環式カルベンを分子内に有する樹脂と、を備える、白金触媒。
[2]前記樹脂がポリスチレン系樹脂である、[1]に記載の白金触媒。
[3]前記ポリスチレン系樹脂が、架橋構造を有する[2]に記載の白金触媒。
[4]前記架橋構造が、ジビニルベンゼン由来の架橋構造である[3]に記載の白金触媒。
[5]ラジカル重合性基及びヒドロシリル化可能な官能基を有する原料化合物から、ラジカル重合性基を有するヒドロシリル化物を得るための白金触媒である[1]〜[4]のいずれかに記載の白金触媒。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の白金触媒の製造方法であって、イミダゾリウム塩を分子内に有する樹脂と白金化合物と脱プロトン剤との反応により、前記白金触媒を得る工程を備える、製造方法。
[7]前記反応に供するイミダゾリウム塩のモル数Aと白金原子のモル数Aと脱プロトン剤のモル数Aとが、下記式(a−1−1)及び(a−2−1)を満たす、[6]に記載の製造方法。
/(A−A)<1 (a−1−1)
/(A−A)<1 (a−2−1)
[8]前記反応に供するイミダゾリウム塩のモル数Aと白金原子のモル数Aと脱プロトン剤のモル数Aとが、下記式(a−1−2)及び(a−2−2)を満たす、[6]に記載の製造方法。
/(A−A)<0.130 (a−1−2)
/(A−A)<0.426 (a−2−2)
[9]ラジカル重合性基及びヒドロシリル化可能な官能基を有する原料化合物を、反応系に不溶な白金触媒の存在下で反応させて、ラジカル重合性基を有するヒドロシリル化物を得る工程を備え、前記白金触媒が、白金−N複素環式カルベン結合を有する、ヒドロシリル化物の製造方法。
[10]前記白金触媒が、[1]〜[5]のいずれかに記載の白金触媒である、[9]に記載の製造方法。
[11]前記工程が、前記白金触媒を含む反応系中で前記原料化合物のヒドロシリル化反応を行う第1の工程と、前記反応系からろ過により前記白金触媒を除去する第2の工程と、含有する[9]又は[10]に記載の製造方法。
[12]白金原子の含有量が0.5質量ppm以下の前記ヒドロシリル化物を得る[9]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、ラジカル重合性基を有する原料化合物を用いた場合であっても、容易に且つ収率良く高純度のヒドロシリル化物を得ることを可能とする、白金触媒及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、当該白金触媒を用いたヒドロシリル化物の製造方法が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るヒドロシリル化物の製造方法は、ラジカル重合性基及びヒドロシリル化可能な官能基を有する原料化合物を、白金触媒の存在下で反応させて、ラジカル重合性基を有するヒドロシリル化物を得る工程を備える。そして、本実施形態においては、上記白金触媒は、反応系に不溶なものであり、且つ、白金−N複素環式カルベン結合を有する。なお、白金触媒の存在下での反応は、ヒドロシリル化反応ということができる。
本実施形態に係る製造方法によれば、従来の白金触媒でラジカル重合性基を有する原料化合物をヒドロシリル化する場合の問題点、すなわち、他の原料化合物を用いた場合と比較してより多くの白金触媒に由来する白金成分(白金触媒又はその反応物)が反応系に溶出してしまい、ろ過操作では反応生成物への白金成分の混入を防ぐことが困難となり、高純度の反応生成物を得るためにはより高度な精製操作等が必要となる場合があるという問題点が解決される。
すなわち、本実施形態では、反応系に不溶な白金触媒として白金−N複素環式カルベン結合を有するものを用いることにより、白金成分の反応系への溶出が十分に抑制され、ろ過等の簡便な分離操作によって反応系から白金触媒を容易に除去できる。そのため、本実施形態に係る製造方法によれば、ラジカル重合性基を有する原料化合物を用いた場合であっても、容易に且つ収率良く高純度のヒドロシリル化物を得ることができる。
以下、本実施形態の原料化合物及び白金触媒について詳細に説明する。
(原料化合物)
本実施形態の原料化合物は、ラジカル重合性基及びヒドロシリル化可能な官能基を有する。
ラジカル重合性基は、ラジカル重合可能な官能基ということもできる。原料化合物は、ラジカル重合性基として、不飽和カルボン酸から誘導されるアシル基(例えばアクリロイル基、メタクリロイル基)を有することが好ましく、不飽和カルボン酸から誘導されるアシルオキシ基(例えばアクリロキシ基、メタクリロキシ基)を有することがより好ましい。このような原料化合物を用いた場合、上述の本発明の効果がより顕著に表れる。
ヒドロシリル化可能な官能基は、ヒドロシリル化反応によってヒドロシリル化される官能基をいうことができる。ヒドロシリル化可能な官能基としては、例えば、炭素−ハロゲン結合、炭素−炭素不飽和結合(例えば炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合)、及びヘテロ原子含有不飽和結合(例えば炭素−窒素不飽和結合、炭素−酸素不飽和結合、炭素−硫黄不飽和結合)のうち一種以上の結合を有する官能基が挙げられる。
炭素−炭素不飽和結合を有する官能基としては、例えば、ビニレン基(メチルビニレン基、エチルビニレン基、1,2−ジメチルビニレン基、クロロビニレン基等の置換ビニレン基を含む。)、エチニレン基及びこれらを含む基(例えば一価の基)が挙げられる。
炭素−炭素不飽和結合を有する官能基としては、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、(メタ)アクリロイル基、ケイ素含有ビニル基等が挙げられ、これらの基は水素原子の一部又は全部がハロゲン原子等で置換されていてもよい。
アルケニル基としては、炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、アリル基、2−ブテニル基が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、炭素数5〜10のシクロアルケニル基が好ましい。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜6のアルキニル基が好ましく、炭素数2〜4のアルキニル基がより好ましい。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、2−ブチニル基が挙げられる。
ケイ素含有ビニル基としては、ビニルシロキシ基、ビニルシリル基が挙げられる。
炭素−酸素不飽和結合を有する官能基としては、カルボニル基、カルボニル基を含む基(例えば一価の基)等が挙げられる。炭素−酸素不飽和結合を有する官能基の具体例としては、カルボニル基、イソシアナト基(−N=C=O)、シアナト基などが挙げられる。
炭素−窒素不飽和結合を有する官能基としては、例えば、カルボンイミドイル基(NH=C=、−C(=NH)−)、シアノ基、イソシアノ基、炭素−窒素二重結合を有する複素環基、及びこれらを含む基が挙げられる。
カルボンイミドイル基を含む基としては、置換基を有していてもよいイミノアルキル基(例えば、ホルムアミドイル基(イミノメチル基)、1−イミノエチル基、ヒドロキシイミノメチル基(オキシム基等)、クロロイミノメチル基、イミノフェニルメチル基、アミジノ基等)が挙げられる。イミノアルキル基の炭素数は好ましくは1〜4である。また、炭素−窒素二重結合を含む複素環基としては、例えば、ピリジル基が挙げられる。
炭素−硫黄不飽和結合を有する官能基としては、例えば、チオカルボニル基(−CS−、SC=)、チオカルボニル基を含む基(例えば、チオシアナト基、イソチオシアナト基など)が挙げられる。
ヒドロシリル化可能な官能基としては、ヒドロシリル化反応の反応性の観点から、炭素−炭素二重結合を有する基が好ましく、アルケニル基又はケイ素含有ビニル基がより好ましい。
また、ヒドロシリル化可能な官能基としては、後述するSiH化合物に官能基を導入可能な官能基であってもよい。すなわち、原料化合物は、ヒドロシリル化反応後において、SiH化合物に官能基(ヒドロキシル基、カルボキシル基等)を導入可能な化合物であってもよい。このような原料化合物を用いてSiH化合物に官能基を導入することにより、SiH化合物に、より一層の機能性や反応性を付与できる。
このようなヒドロシリル化可能な官能基としては、上述官能基以外に、例えば、酸素原子含有官能基[例えば、ヒドロキシル基(アルコール性水酸基、フェノール性水酸基等)、カルボキシル基、酸無水物基、カルボニル基(又はケトン基、−CO−)、エステル基(−COO−)、エポキシ基、オキセタニル基等];窒素原子含有官能基{例えば、アミノ基、置換アミノ基[例えば、アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのモノ又はジC1−4アルキルアミノ基)等]、カルバモイル基(NHCO−)、ニトロ基、シアノ基など};硫黄原子含有官能基(例えば、メルカプト基、スルホ基など);加水分解縮合性基[例えば、アルコキシシリル基(例えば、トリメトキシシリル基などのトリC1−4アルコキシシリル基など)など];複素環基[例えば、窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子をヘテロ原子とするヘテロ環基(ピリジル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、イミダゾリル基、モルホリニル基、フリル基、ピラニル基、チエニル基など)など];ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);などが挙げられる。これらの官能基は、塩(例えば、ナトリウム塩などの金属塩)を形成していてもよい。
ヒドロシリル化可能な官能基は、原料化合物の末端に位置していても良く、内部(非末端部)に位置していてもよい。また、原料化合物は、ヒドロシリル化可能な官能基を2つ以上有していてもよく、ヒドロシリル化可能な官能基を2種以上有していてもよい。原料化合物がヒドロシリル化可能な官能基を複数有するとき、上述のヒドロシリル化反応は、複数の官能基の全部をヒドロシリル化する反応であってよく、複数の官能基のうち一部をヒドロシリル化する反応であってもよい。
本実施形態において、原料化合物は、ラジカル重合及びヒドロシリル化の双方が可能な官能基を2つ以上有するものであってもよい。このとき、複数の官能基のうち一部をラジカル重合性基とみなし、それ以外をヒドロシリル化可能な官能基とみなすことができる。
原料化合物としては、例えば、アクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、アクリル酸プロペニル、アクリル酸ブテニル、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸プロペニル、メタクリル酸ブテニル等を好適に用いることができる。
(白金触媒)
本実施形態に係る白金触媒は、上述のヒドロシリル化反応の反応系に不溶であり、且つ白金−N複素環式カルベン結合を有する。ここで、白金−N複素環式カルベン結合とは、N−複素環式カルベンと白金原子との結合であり、白金原子にN−複素環式カルベンが配位した構造ということもできる。また、反応系に不溶とは、反応系から通常のろ過操作(例えば後述の実施例に記載の方法)で除去できることを意味する。
白金触媒は、少なくとも一種の白金−N複素環式カルベン結合を有していればよく、二種以上の白金−N複素環式カルベン結合を有していてもよい。
白金触媒としては、例えば、下記式(1)、(2)又は(3)で表される部分構造を有する白金触媒が挙げられる。これらの部分構造を有する白金触媒によれば、上述の効果が一層顕著に奏される。
Figure 0006006034
Figure 0006006034
Figure 0006006034
式(1)、(2)及び(3)はいずれも本発明の特徴部分のみを抜き出して示しており、上記部分構造において、各白金原子、窒素原子及び炭素原子には任意の基が結合していてよい。
白金触媒は、白金触媒を反応系に不溶するための部分構造(以下、「不溶部」という。)を有することが好ましい。当該不溶部は、有機化合物に由来するものであっても無機化合物に由来するものであってもよい。すなわち、白金触媒は、白金−N複素環式カルベン結合を有する部分構造と、該部分構造と結合する不溶部と、を有することが好ましい。
白金−N複素環式カルベン結合を有する部分構造と不溶部との結合様式は、共役結合であっても非共有結合であってもよいが、反応系中で白金−N複素環式カルベン結合を有する部分構造が不溶部から脱離してしまうことを避ける観点から、共有結合が好ましい。また、白金−N複素環式カルベン結合を有する部分構造と不溶部との結合は、反応系中での結合の切断を避ける観点から、炭素−炭素結合、炭素−酸素結合、炭素−窒素結合、酸素−ケイ素結合、炭素−ケイ素結合等の結合であることが好ましい。
不溶部は、N−複素環式カルベンを成す複素環と、共有結合により結合されていることが好ましい。すなあち、例えば、白金触媒が式(1)、(2)又は(3)で表される部分構造を有するとき、不溶部は、式中の窒素原子又は炭素原子と共有結合で結合していることが好ましい。これにより、白金触媒の触媒反応効果を阻害することなく、白金成分の反応系への溶出を一層顕著に防止することができる。
N−複素環式カルベン結合を有する部分構造の具体例としては、下記式(1−1)、(2−1)又は(3−1)で表される部分構造が挙げられる。
Figure 0006006034
Figure 0006006034
Figure 0006006034
式中、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アリール基又はヘテロアリール基を示し、これらは場合により置換されていてもよい。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−NO、−CN、−COOH、−CHO、−SOH、−SO−(C〜C)アルキル、−SO−(C〜C)アルキル、−NH−(C〜C)アルキル、−N((C〜C)アルキル)、−NHCO−(C〜C)アルキル、−CF、−COO−(C〜C)アルキル、−CONH、−CO−(C〜C)アルキル、−NHCOH、−NHCOO−(C〜C)アルキル、−CO−フェニル、−COO−フェニル、−CH=CH−CO−(C〜C)アルキル、−CH=CHCOH、−PO(フェニル)、−PO((C〜C)アルキル)、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、置換若しくは非置換のヘテロアリール基を示す。また、R、R、R及びRのうち二つ以上がそれらが結合している炭素原子と一緒になって4〜12員の環を形成していてもよい。また、式(1−1)中、R〜Rのうち少なくとも一つは、不溶部との結合手を有し、式(2−1)及び(3−1)中、R〜Rのうち少なくとも一つは、不溶部との結合手を有する。
本実施形態において、アルキル基は、鎖状であっても分枝状であっても環状であってもよい。アルキル基が鎖状又は分枝状であるとき、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8である。また、鎖状又は分枝状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、へキシル基等が挙げられる。アルキル基が環状であるとき、アルキル基の炭素数は、好ましくは3〜18、より好ましくは5〜10である。環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基が挙げられる。
本実施形態において、アリール基の炭素数は、好ましくは6〜14、好ましくは6〜10、より好ましくは6である。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基が挙げられる。
本実施形態において、ヘテロアリール基は、5〜7員環であることが好ましい。ヘテロアリール基は、炭素原子と共に、1個以上(例えば2又は3個)のヘテロ原子(好適には、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択されるヘテロ原子)を含有する。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピリル基、ピペラジニル基が挙げられる。
白金触媒としては、例えば、白金−N複素環式カルベン結合を有する基で修飾された無機化合物が挙げられる。このような白金触媒においては、無機化合物が不溶部として働くことが好ましい。
不溶部としての無機化合物としては、例えば、シリカ、シリカゲル、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、セピオライト、カオリナイト、カオリンクレー、モレキュラーシーブス、セラミックス、活性炭、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ウォスラナイト、チタン酸カリウム、ベントナイト、モンモリナイト、燐酸ジルコニウム、ケイ酸亜鉛、キースラガー、カーボンブラック、活性炭、グラファイト及びフッ素化カーボンが挙げられる。これらのうち、表面のヒドロキシル基への白金−N複素環式カルベン結合を有する基の修飾のし易さの観点から、シリカが好ましい。
また、白金触媒としては、白金−N複素環式カルベン結合を有する基で修飾された高分子化合物を用いることもできる。このような白金触媒においては、高分子化合物が不溶部として働くことが好ましい。
不溶部としての高分子化合物としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等の熱硬化性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン(登録商標)、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンテレフタラート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイト、ポリテトラフロロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテエルサルフォン、非晶ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂;等が挙げられる。これらのうち、高分子化合物としてはポリスチレンが好適に用いられる。
不溶部としての高分子化合物は、例えば、N−複素環式カルベンに誘導される基を有するモノマーを含むモノマー成分を重合して得られたものであってよく、高分子化合物にN−複素環式カルベンに誘導される基を付加して得られたものであってもよい。
不溶部としての高分子化合物は、多様な反応系に対して不溶部としての効果を示す観点から、少なくとも2以上の官能基を有する化合物(架橋剤)によって架橋された架橋構造を有することが好ましい。架橋構造を有する高分子化合物としては、架橋ポリスチレンが好適に用いられる。
ポリスチレンの架橋剤には、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼン等の種々の架橋剤を使用できるが、工業的な観点からジビニルベンゼンが好ましい。なお、ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンは、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体ということもできる。
スチレンとジビニルベンゼンとの共重合におけるジビニルベンゼンの量は、スチレン及びジビニルベンゼンの総量基準で、0.01〜15mol%であることが好ましい。
白金触媒中の白金−N複素環式カルベン結合を有する基の含有割合は、触媒反応効果をより有効に得る観点から、白金触媒の全量基準で、0.001mmol/g以上であることが好ましく、0.01mmol/g以上であることがより好ましく、0.1mmol/g以上であることがさらに好ましい。また、白金−N複素環式カルベン結合を有する基の含有割合は、効率よく触媒反応効果が得られるという観点から、20mmol/g以下であることが好ましく、10mmol/g以下であることがより好ましい。
白金触媒は、粒状であることが好ましい。粒状の白金触媒のサイズは、10mm〜1μmであることが好ましく、1mm〜20μmであることがより好ましく、0.5mm〜10μmであることがさらに好ましい。
白金触媒は、例えば、白金化合物、脱プロトン剤、及び不溶部に結合したイミダゾリウム塩の反応により合成することができる。
白金化合物は、N−複素環式カルベンと白金原子との錯形成が可能となる白金化合物であればよく、例えば、カルステッド触媒等を用いることができる。
脱プロトン剤は、イミダゾリウム塩を脱プロトン化してN−複素環式カルベンを生じさせ得るものであればよく、例えば、カリウム−tert−ブトキシド等を用いることができる。
不溶部に結合したイミダゾリウム塩としては、下記式(1−2)、(2−2)又は(3−2)で表される構造を有するイミダゾリウム塩が挙げられる。
Figure 0006006034
Figure 0006006034
Figure 0006006034
式中、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アリール基又はヘテロアリール基を示し、これらは場合により置換されていてもよい。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−NO、−CN、−COOH、−CHO、−SOH、−SO−(C〜C)アルキル、−SO−(C〜C)アルキル、−NH−(C〜C)アルキル、−N((C〜C)アルキル)、−NHCO−(C〜C)アルキル、−CF、−COO−(C〜C)アルキル、−CONH、−CO−(C〜C)アルキル、−NHCOH、−NHCOO−(C〜C)アルキル、−CO−フェニル、−COO−フェニル、−CH=CH−CO−(C〜C)アルキル、−CH=CHCOH、−PO(フェニル)、−PO((C〜C)アルキル)、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、置換若しくは非置換のヘテロアリール基を示す。また、R、R、R及びRのうち二つ以上がそれらが結合している炭素原子と一緒になって4〜12員の環を形成していてもよい。また、式(1−2)中、R〜Rのうち少なくとも一つは、不溶部との結合手を有し、式(2−2)及び(3−2)中、R〜Rのうち少なくとも一つは、不溶部との結合手を有する。Xは、1価の陰イオンを示す。Xとしては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、及びヘキサフルオロリン酸イオン等が挙げられる。
不溶部に結合したイミダゾリウム塩は、例えば、炭素−ハロゲン結合を有する不溶部に対して、イミダゾール化合物を反応させることにより得ることができる。このとき、炭素−ハロゲン結合を全て反応させる観点から、反応に供するイミダゾール化合物のモル数を、炭素−ハロゲン結合のモル数に対して1倍以上とすることが好ましく、2倍以上とすることがより好ましい。また、反応温度は、0℃以上とすることが好ましく、30℃以上とすることがより好ましく、100℃以下であってよく、60℃以下であってもよい。また、反応時間は、1時間〜300時間とすることが好ましく、12時間〜100時間とすることがより好ましい。
上記反応は溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、溶媒としては、非プロトン性溶媒が広く使用でき、例えば、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテルなどの環状又は鎖状C4−6エーテル)、カーボネート類(プロピレンカーボネートなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、ブロモホルム、クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化水素など)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、シクロオクタンなどの鎖状又は環状炭化水素類)などが挙げられ、これらの混合溶媒を用いることもできる。
上記反応に際し、反応容器は、形状や構造についての制限は特にないが、密閉できることが好ましい。また、反応容器としては、触媒の反応容器への付着を防ぎ、触媒を系中に効率よく分散させるために、フッ素樹脂性の容器または、フッ素樹脂コーティングの容器を用いる事が好ましい。反応容器内は、通常、乾燥雰囲気であればよいが、乾燥した不活性ガス(例えば、アルゴンガス)雰囲気、特に、脱酸素して乾燥した不活性ガス(特にアルゴンガス)雰囲気が好ましい。なお、反応系を機械的又は磁気的に攪拌しつつ行ってもよい。
上記反応後、余剰分のイミダゾール化合物を除くために、イミダゾール化合物が可溶な2−プロパノール、トルエン等の溶媒で洗浄を行うことが好ましい。洗浄方法としては、撹拌、振とう、及び超音波洗浄等が挙げられる。また、洗浄操作の際に不溶部に結合したイミダゾリウム塩のみを得るために、遠心分離、吸引濾過、及びデカンテーション等の操作を用いてもよい。
白金触媒は、種々の溶媒に難溶であり詳細な構造解析を行うことが難しいため、白金触媒は、場合によりその製造方法によって規定することができる。
白金化合物、脱プロトン剤、及び不溶部に結合したイミダゾリウム塩の反応においては、イミダゾリウム塩と脱プロトン剤とが反応してカルベンが発生し、当該カルベンが白金原子と錯形成する。
ここで、イミダゾリウム塩のモル数が脱プロトン剤より多い場合、発生するカルベンは脱プロトン剤のモル数に依存する。また、イミダゾリウム塩のモル数が脱プロトン剤より少ない場合、発生するカルベンはイミダゾリウム塩のモル数に依存する。
そのため、反応に供するイミダゾリウム塩のモル数をA、白金原子のモル数をA、脱プロトン剤のモル数をAとしたとき、「A−A」はイミダゾリウム塩のモル数が脱プロトン剤のモル数より多い場合の、余剰分のカルベンの量を表すと考えられ、「A/(A−A)」は、イミダゾリウム塩のモル数が脱プロトン剤のモル数より多い場合の、余剰分のカルベンに対する白金原子の割合を意味すると考えられる。
また、「A−A」はイミダゾリウム塩のモル数が脱プロトン剤のモル数より少ない場合の、余剰分のカルベンの量を表すと考えられ、「A/(A−A)」は、イミダゾリウム塩のモル数が脱プロトン剤のモル数より少ない場合の、余剰分のカルベンに対する白金原子の割合を意味すると考えられる。
上記反応において、A/(A−A)及びA/(A−A)がいずれも1未満であることが好ましく、A/(A−A)が0.426未満であり且つA/(A−A)が0.130未満であることがより好ましく、A/(A−A)が0.3未満であり且つA/(A−A)が0.12未満であることがさらに好ましい。
このようにして余剰分のカルベンを存在させることにより、本発明の効果を一層顕著に奏する白金触媒を得ることができる。
以下、白金触媒の好適な一態様について、詳述する。なお、本態様の白金触媒には上述の実施形態の好適な態様を適用できる。
本態様の白金触媒は、白金原子と、該白金原子と錯形成したN−複素環式カルベンを分子内に有する樹脂(以下、「樹脂部」という。)と、を備える。
本態様の白金触媒は、上記式(1)、(2)又は(3)で表される部分構造を有することが好ましい。このような白金触媒によれば、上述の効果が一層顕著に奏される。また、このような白金触媒としては、上記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で表される部分構造を有する白金触媒が例示できる。
白金原子は、N−複素環式カルベン以外の配位子を有していてよく、当該配位子は触媒効果を示す範囲であれば特に制限されない。例えば、白金原子は、1,3−ジビニルジシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、ポリビニルメチルシロキサン等の配位子と錯形成していてよい。
樹脂部としては、白金原子と錯形成したN−複素環式カルベンを分子内に有していれば、上述の不溶部としての高分子化合物として例示した樹脂を特に制限無く用いることができる。樹脂部は、好ましくはポリスチレン系樹脂であり、より好ましくは架橋構造を有するポリスチレン系樹脂であり、さらに好ましくはジビニルベンゼン由来の架橋構造を有するポリスチレン系樹脂である。ここでポリスチレン系樹脂とは、スチレン単位の含有量が樹脂全体の90質量%以上である樹脂を示す。
本態様の白金触媒は、ヒドロシリル化触媒として好適に用いることができる。具体的には、ラジカル重合性基及びヒドロシリル化可能な官能基を有する原料化合物から、ラジカル重合性基を有するヒドロシリル化物を得るための白金触媒として好適である。
本態様の白金触媒は、白金触媒が不溶となる反応系に適用されることが好ましい。このような反応系に適用した場合、ろ過操作等の簡便な精製操作によって、反応後、容易に白金触媒を反応系から除去できる。
本態様の白金触媒は、例えば、イミダゾリウム塩を分子内に有する樹脂と白金化合物と脱プロトン剤との反応により、白金触媒を得る工程を備える製造方法により、合成することができる。
このとき、反応に供するイミダゾリウム塩のモル数Aと白金原子のモル数Aと脱プロトン剤のモル数Aとが、下記式(a−1−1)及び(a−2−1)を満たすことが好ましい。
/(A−A)<1 (a−1−1)
/(A−A)<1 (a−2−1)
また、反応に供するイミダゾリウム塩のモル数Aと白金原子のモル数Aと脱プロトン剤のモル数Aとは、下記式(a−1−2)及び(a−2−2)を満たすことがより好ましい。
/(A−A)<0.130 (a−1−2)
/(A−A)<0.426 (a−2−2)
イミダゾリウム塩の具体例としては、式(4−1)又は(4−2)で表されるイミダゾール塩等が挙げられる。式(4−1)は、メリフィールド樹脂と1−メチルイミダゾールとの反応物を示し、式(4−2)は、メリフィールド樹脂と1−フェニルイミダゾールとの反応物を示し、式中の丸で示す部位はメリフィールド樹脂由来の樹脂部位を示す。
Figure 0006006034
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(ヒドロシリル化反応)
本実施形態に係るヒドロシリル化物の製造方法は、上記白金触媒を含む反応系中で上記原料化合物のヒドロシリル化反応を行う工程を備える。
ヒドロシリル化反応は、好適には、上記原料化合物とSiH結合を有する化合物(以下、場合により「SiH化合物」と称する。)とを反応させて、原料化合物中のヒドロシリル化可能な官能基の一部又は全部をヒドロシリル化する反応である。すなわち、本実施形態に係る製造方法は、白金触媒を含む反応系中で原料化合物とSiH化合物とを反応させて、上記原料化合物中のヒドロシリル化可能な官能基の一部又は全部をヒドロシリル化する反応ということができる。
ヒドロシリル化反応に供する原料化合物及びSiH化合物は、それぞれ一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
SiH化合物としては、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、メチルジエトキシシラン、1,3,5,7−テトラメチルシクロ−テトラシロキサン、ジメトキシメチルシラン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメチルシロキサン、エトキシジメチルシラン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジヒドロトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、オクタヒドリトオクタセスキシロキサン、1−ヒドロシラトラン、トリブトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリエチルシラン、クロロ(ジメチル)シラン、ジクロロメチルシラン、トリクロロシラン、トリフェニルシラン、ジメチルフェニルシラン等が挙げられる。
ヒドロシリル化反応における原料化合物及びSiH化合物の比率は、付加割合に応じて適宜調整できる。原料化合物の量は、SiH化合物中のケイ素原子に結合した水素原子の総数(Si−H結合の総数)1molに対して、例えば0.1〜3molとすることができ、好ましくは0.3〜2molであり、より好ましくは0.5〜1.5molである。
白金触媒の量に関しては、生成物の総量に対して、1〜500質量ppmとすることができる。白金触媒の量が20ppm以上であると、反応速度が向上する観点から好ましく、白金触媒の量が200ppm以下であると、反応系に溶出する白金量を一層低減する事ができる観点で好ましい。
ヒドロシリル化反応は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、非プロトン性溶媒が広く使用でき、例えば、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテルなどの環状又は鎖状C4−6エーテル)、カーボネート類(プロピレンカーボネートなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、ブロモホルム、クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化水素など)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、シクロオクタンなどの鎖状又は環状炭化水素類)などが挙げられ、混合溶媒として使用してもよい。好ましい溶媒には、極性溶媒単独(テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなど)、2種以上の極性溶媒の混合物、極性溶媒と非極性溶媒との混合物などが含まれる。極性溶媒と非極性溶媒との混合物を使用する場合、両者の割合は、例えば、極性溶媒/非極性溶媒(重量比)=1/0.01〜1/20とすることができる。なお、原料化合物が、SiH化合物を溶解可能である場合には、原料化合物を溶媒としてもよい。
反応系中のSiH化合物の濃度は、1〜60質量%とすることが好ましく、より好ましくは3〜40質量%であり、さらに好ましくは5〜30重量%である。反応系中のSiH化合物の濃度が低すぎると、ヒドロシリル化反応が十分な速度で進行しないおそれがあるとともに、単位容量あたりに得られる反応生成物の量が少なくなり効率が悪くなる場合がある。
なお、溶媒中で反応させる場合、原料化合物及びSiH化合物は、予め両者を混合して溶媒に添加してもよく、一方の成分を溶媒と混合(必ずしも完全に溶解する必要はない)しておき、他方の成分を添加してもよい。
反応容器は、密閉できる限り、形状や構造についての制限は特にないが、触媒の反応容器への付着を防ぎ、触媒を系中に効率よく分散させるために、フッ素樹脂性の容器または、フッ素樹脂コーティングの容器を用いる事が好ましい。反応容器内は、通常、乾燥雰囲気であればよいが、乾燥した不活性ガス(例えば、アルゴンガス)雰囲気、特に、脱酸素して乾燥した不活性ガス(特にアルゴンガス)雰囲気が好ましい。なお、ヒドロシリル化反応は、反応系を機械的又は磁気的に攪拌しつつ行ってもよい。
ヒドロシリル化反応の反応時間は、SiH化合物の構造、原料化合物の種類、触媒の種類及び量などにより異なるが、通常、5分以上(例えば、10分〜150時間)、好ましくは30分〜100時間、より好ましくは2〜48時間程度である。
ヒドロシリル化反応の反応温度は、通常、0℃から使用する溶媒の沸点までの温度範囲内であってもよく、例えば、20〜120℃、好ましくは35〜90℃程度であってもよい。
また、ヒドロシリル化反応においては、反応系にラジカル重合禁止剤を添加してもよい。ラジカル重合禁止剤は、ラジカル捕捉効果を有する基を有する高分子化合物であることが好ましく、ラジカル捕捉効果を有する基を有するポリスチレンであることがより好ましく、ラジカル捕捉効果を有する基を有する架橋ポリスチレンであることが更に好ましい。
また、ヒドロシリル化反応に適用するラジカル重合禁止剤としては、ラジカル捕捉効果を有する基で修飾されたシリカも好適に用いることができる。
ヒドロシリル化反応の一例としては、ビニル基を有する原料化合物とSiH結合を有する化合物とを反応させて、上記ビニル基をヒドロシリル化する反応が挙げられる。なお、ビニル基を有する原料化合物は、ビニル基以外に更にラジカル重合性官能基を有していてよい。
ヒドロシリル化物がラジカル重合性官能基及びヒドロシリル化可能な官能基をそれぞれ1つ以上有する場合、ヒドロシリル化物を重合して、重合体を得ることができる。ここで、従来のヒドロシリル化反応において、ヒドロシリル化物に白金触媒やその反応物が多量に残存すると、この重合体の耐熱黄変性及び耐光性が著しく悪化する場合がある。これに対して、本実施形態においては、上述の白金触媒の使用によって高純度のヒドロシリル化物が得られるため、耐熱黄変性及び耐光性に優れた重合体が得られる。
本実施形態に係る製造方法においては、反応系から白金触媒を容易に除去することができる。このとき、従来は白金触媒の反応物等に起因する白金化合物が残存する場合があったが、本実施形態に係る製造方法ではこのような白金化合物の残存も抑制される。
本実施形態において、ヒドロシリル化物中の白金原子の総量は5質量ppm未満にすることができ、1質量ppm以下にすることもでき、0.5質量ppm以下にすることもできる。なお、ヒドロシリル化物中の白金原子の総量は、ICP−MS測定を行うことで求めることができる。
なお、ヒドロシリル化物を汚染する白金化合物としては、白金触媒自体、白金触媒から脱離した白金化合物、白金触媒の分解物、白金触媒と原料化合物との反応物、白金触媒とヒドロシリル化物との反応物、白金触媒と溶媒との反応物等が考えられ、従来はこれらを十分に除去するためには高度な精製操作が必要であった。これに対して本実施形態においては、上述のようにろ過等の簡単な精製操作により、ヒドロシリル化物中の白金原子の量を十分に低減することができる。
反応系から白金触媒を除去する方法は特に制限されないが、例えば、ろ過により除去することができる。すなわち、本実施形態の製造方法は、反応系からろ過により白金触媒を除去する工程を備えるものであってよい。
ろ過の方法は、反応系から白金触媒を除去できる方法であればよく、特に限定されない。ろ過の方法としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン製のフィルター等を用いた加圧ろ過が挙げられる。フィルターの細孔径は、白金触媒を反応系から分離できるサイズであればよく、好ましくは0.001μm〜100μmであり、より好ましくは0.01μm〜10μmである。
また、本実施形態の製造方法では、例えば、白金触媒を、白金触媒が通過しない網の中に入れて反応系に供し、反応後この網を引き上げることによって反応系から白金触媒を除去することもできる。さらに、回収した白金触媒をリサイクル使用してもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、以下の方法により測定及び評価を行った。
(白金触媒中の白金原子の含有量の測定)
白金触媒に硫酸、硝酸、フッ酸を添加し、ホットプレート上で加熱酸分解を行い、試料の完全溶解を確認した。その後、ホットプレート上で硫酸白煙が出るまで加熱を行い、硝酸、塩酸を添加し、ホットプレート上で加熱溶解し、定容後ICP−AES測定(InductivelyCoupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)を行うことで、白金触媒中の白金原子の含有割合を確認した。
(生成物中の白金原子の含有量の測定)
生成物にフッ酸、硝酸を添加し、マイクロフェーブによる加圧酸分解を行い、試料の完全溶解を確認した。その後、テフロン(登録商標)ビーカーに取出し、ホットプレート上で乾固した。さらに、塩酸、硝酸を添加し、ホットプレート上で加熱溶解し、定容後ICP−MS測定を行うことで、生成物中の白金原子の含有割合を確認し、その含有量を算出した。
(耐熱黄変性)
厚さ3mmのサンプルを用い、コニカミノルタ社製、分光測色計CM−3600d(商品名)でYI(黄色度)を測定した。次に、当該サンプルをアルミホイルに包み、空気下で150℃、150時間加熱処理を行った。その後、再びコニカミノルタ社製、分光測色計CM−3600d(商品名)でYI(黄色度)を測定した。この加熱処理前後におけるYIの変化をΔYIとし、ΔYIが1.0未満をA、1.0以上3.0未満をB、3.0以上5.0未満をC、5.0以上をDと評価した。
(耐光性)
厚さ3mmのサンプルを用い、コニカミノルタ社製、分光測色計CM−3600d(商品名)でYI(黄色度)を測定した。次に、当該サンプルを50℃一定にした恒温乾燥機中にセットし、365nmバンドパスフィルターを備えたUV照射装置(ウシオ電機社製、商品名:SP−7)を用いて、365nmにおける照度4W/cmで100時間照射した。その後、再びコニカミノルタ社製分光測色計CM−3600d(商品名)でYI(黄色度)を測定した。このUV照射前後におけるYIの変化をΔYIとし、ΔYIが1.0未満をA、1.0以上3.0未満をB、3.0以上5.0未満をC、5.0以上をDと評価した。
[実施例1]
<1−メチルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、ベンジルクロリド修飾ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン10g(塩素原子のモル数で0.012mol)(商品名:メリフィールド樹脂1%DVB架橋(100−200メッシュ)(0.8−1.2mmol/g)、東京化成工業製)、1−メチルイミダゾール19.7g(0.24mol)、及び溶媒としてトルエン74gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で110℃にて120時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液にトルエンを500mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返し、最後に、1−メチルイミダゾリウム−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこない、1−メチルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを10g得た。対理論収率は95%であった。
<白金触媒Aの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を2.9g(白金モル数0.44mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド0.46g(4.1mmol)、及び、イミダゾリウム塩として上記記載の1−メチルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Aを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Aを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタメチルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPOジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Aを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A1)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A1)から白金原子は検出されなかった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A1)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもAであった。
[実施例2]
<白金触媒Bの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を3.9g(白金モル数0.55mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド0.31g(2.8mmol)、及び、イミダゾリウム塩として実施例1で合成した1−メチルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mmol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Bを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Bを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタメチルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPOジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Bを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)から白金原子は検出されなかった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもAであった。
[実施例3]
<白金触媒Cの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を4.1g(白金モル数0.63mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド0.24g(2.1mmol)、及び、イミダゾリウム塩として実施例1と同じ方法で合成した1−メチルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mmol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Cを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Cを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタメチルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPOジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Cを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A3)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A3)から検出された白金原子の量は、0.6ppmであった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A3)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもBであった。
[実施例4]
<白金触媒Dの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を11g(白金モル数1.7mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド0.43g(3.9mmol)、及び、イミダゾリウム塩として実施例1と同じ方法で合成した1−メチルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mmol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Dを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Dを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタメチルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPOジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Dを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A4)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A4)から検出された白金原子の量は1ppmであった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A4)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもBであった。
[実施例5]
<白金触媒Eの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を32g(白金モル数5.0mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド1.1g(9.4mmol)、及び、イミダゾリウム塩として実施例1と同じ方法で合成した1−メチルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mmol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Eを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Eを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタメチルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPOジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Eを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A5)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A5)から検出された白金原子の量は3ppmであった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A5)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもCであった。
[実施例6]
<1−フェニルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、ベンジルクロリド修飾ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン10g(クロロのモル数で0.012mol)(商品名:メリフィールド樹脂1%DVB架橋(100−200メッシュ)(0.8−1.2mmol/g)、東京化成工業製)、1−フェニルイミダゾール34.6g(0.24mol)、及び溶媒としてトルエン74gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で110℃にて120時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液にトルエンを500mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返し、最後に、1−フェニルイミダゾリウム−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は10gであった。
<白金触媒Fの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を2.9g(白金モル数0.44mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド0.46g(4.1mmol)、及び、イミダゾリウム塩として上記1−フェニルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Fを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Fを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタフェニルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPOジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Fを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A6)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A6)から白金原子は検出されなかった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A6)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもAであった。
[実施例7]
<白金触媒Gの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を3.9g(白金モル数0.55mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド0.31g(2.8mmol)、及び、イミダゾリウム塩として実施例6と同じ方法で合成した1−フェニルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mmol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Gを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Gを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタフェニルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPOジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Gを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A7)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A7)から白金原子は検出されなかった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A7)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもAであった。
[実施例8]
<白金触媒Hの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を4.1g(白金モル数0.63mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド0.24g(2.1mmol)、及び、イミダゾリウム塩として実施例6と同じ方法で合成した1−フェニルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mmol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Hを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Hを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタフェニルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPOジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Hを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A8)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A8)から検出された白金原子の量は0.6ppmであった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A8)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもBであった。
[実施例9]
<白金触媒Iの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を11g(白金モル数1.7mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド0.43g(3.9mmol)、及び、イミダゾリウム塩として実施例6と同じ方法で合成した1−フェニルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mmol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Iを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Iを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタフェニルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPO−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Iを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A9)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A9)から検出された白金原子の量は1ppmであった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A9)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもBであった。
[実施例10]
<白金触媒Jの合成>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.3Lのフッ素樹脂製3つ口フラスコに、白金化合物としてカルステッド触媒(白金3質量%キシレン溶液)(商品名:PT−DTSC−3.0X、ユミコア製)を32g(白金モル数5.0mmol)、脱プロトン剤としてカリウム−tert−ブトキシド1.1g(9.4mmol)、及び、イミダゾリウム塩として実施例6と同じ方法で合成した1−フェニルイミダゾリウム塩−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを5.0g(イミダゾリウム基のモル数で5.5mmol)仕込み、窒素ガス雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。反応溶液の溶液部をピペットを用いて除いた後、反応溶液に2−プロパノールを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。その後トルエンを200mL添加し超音波洗浄機を用いて充分に洗浄を行い、デカンテーションにより溶液部を除去した。上記洗浄操作を5回繰り返した。最後に、白金触媒Jを吸引濾過により回収し、減圧乾燥を70℃24時間おこなった。収量は3.8gであった。
<白金触媒Jを用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタフェニルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPO−ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金触媒Jを、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A10)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A10)から検出された白金原子の量は3ppmであった。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A10)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもCであった。
[比較例1]
<固体白金−アミン触媒を用いたヒドロシリル化反応>
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を取り付けた0.5Lの3つ口フラスコに、原料化合物としてブテニルメタクリレート(メタクリル酸ブテニル)9.5g(0.067モル)、SiH化合物としてヘプタメチルトリシロキサン10g(SiH:0.045モル)、トルエン24g、及び、重合禁止剤としてTEMPO―ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン0.2gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、TEMPOジビニルベンゼン架橋ポリスチレンを十分に分散させた状態で80℃に加温した。その後白金−アミン触媒(商品名:Platinum dichoride complexed to trimethylethylene diamine, polymer−bound、アルドリッチ製)を、白金原子量がSi−H化合物の質量に対して82ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって80℃に保ちながら、200時間攪拌した。フラスコ内容物の分析をH NMRにより行い、反応の終了を確認した。その後、反応系を0.2μmPTFEフィルターを用いてろ過し、ろ液から50℃揮発成分を留去して、ヒドロシリル化反応生成物であるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(B1)59g(収率99%)を得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(B1)からは、白金原子が7ppm検出された。
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(B1)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物について、上記の方法で耐熱黄変性及び耐光性を評価したところ、耐熱黄変性及び耐光性のいずれもDであった。

Claims (11)

  1. ラジカル重合性基及びヒドロシリル化可能な官能基を有する原料化合物から、ラジカル重合性基を有するヒドロシリル化物を得るための白金触媒であり、
    白金原子と、該白金原子と錯形成したN−複素環式カルベンを分子内に有する樹脂と、を備え
    前記N−複素環式カルベンが、2つのN原子がカルベンに結合したN−複素環式カルベンである、白金触媒。
  2. 前記樹脂がポリスチレン系樹脂である、請求項1に記載の白金触媒。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂が、架橋構造を有する、請求項2に記載の白金触媒。
  4. 前記架橋構造が、ジビニルベンゼン由来の架橋構造である、請求項3に記載の白金触媒。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の白金触媒の製造方法であって、
    イミダゾリウム塩を分子内に有する樹脂と白金化合物と脱プロトン剤との反応により、前記白金触媒を得る工程を備える、製造方法。
  6. 前記反応に供するイミダゾリウム塩のモル数Aと白金原子のモル数Aと脱プロトン剤のモル数Aとが、下記式(a−1−1)及び(a−2−1)を満たす、請求項5に記載の製造方法。
    /(A−A)<1 (a−1−1)
    /(A−A)<1 (a−2−1)
  7. 前記反応に供するイミダゾリウム塩のモル数Aと白金原子のモル数Aと脱プロトン剤のモル数Aとが、下記式(a−1−2)及び(a−2−2)を満たす、請求項5に記載の製造方法。
    /(A−A)<0.130 (a−1−2)
    /(A−A)<0.426 (a−2−2)
  8. ラジカル重合性基及びヒドロシリル化可能な官能基を有する原料化合物を、反応系に不溶な白金触媒の存在下で反応させて、ラジカル重合性基を有するヒドロシリル化物を得る工程を備え、
    前記白金触媒が、白金−N複素環式カルベン結合を有し、
    前記N複素環式カルベンが、2つのN原子がカルベンに結合したN−複素環式カルベンである、ヒドロシリル化物の製造方法。
  9. 前記白金触媒が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の白金触媒である、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記工程が、前記白金触媒を含む反応系中で前記原料化合物のヒドロシリル化反応を行う第1の工程と、前記反応系からろ過により前記白金触媒を除去する第2の工程と、含有する、請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. 白金原子の含有量が0.5質量ppm以下の前記ヒドロシリル化物を得る、請求項8〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
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