【発明の詳細な説明】
炭化ケイ素セラミック材料の製法、
およびこの製法で使用する出発組成物
〔技術分野〕:
本発明の分野は、セラミックスのポリマー前駆体からの炭化ケイ素ベースのセ
ラミック材料の製法の分野である。これらのセラミック材料は繊維類、フィルム
類、バインダー類、建築要素類、マトリックス類等の形態であって、とりわけ、
エレクトロニクス、エレクトロオプティックス、半導体技術および航空学で使用
することを意図する。
かかるSiCベースのセラミックスを得るのは、例えば、真空下、不活性雰囲
気下または反応性ガスの不存在下で、炭素またはケイ素化合物であるポリマー前
駆体化合物の熱分解によって行う。
〔先行技術〕:
SiCセラミック材料の合成の分野における研究および開発の努力は、まず、
方法の簡素化および方法および出発材料のコストの低減化に存する。
制御された特性(粘度、融点など)を有し、従って、求める最終適用に特異的
な種々のタイプの二次成形品(繊維類、コーティング類、フィルム類、マトリッ
クス類等)で適用できる、容易に取り扱うことができ、かつ容易に貯蔵できるセ
ラミック前駆体または合成中間体が求められる。
加えて、高SiC純度のセラミック、すなわち、Si/Cモル比=1であって
酸素または遊離炭素タイプの不純物が最小量であるセラミックを得ることが求め
られている。
最後になかんずく、SiCの合成で達成されるべき主要目的を構成するのは熱
分解の収率の改良である。
この合成技術で使用され、本発明の範囲内にある出発材料は、事実、ポリシラ
ン、特に、ポリアルキルシラン類、より特別にはポリメチルヒドロゲノシラン類
(PMHS)および/またはポリフェニルヒドロゲノシラン類(PPHS)であ
る。
PMHS類は、伝統的に、メチルジクロロシラン(MeSiHCl2)および
ナトリウムのごときアルカリ金属の縮合によって調製される。
1H NMRによるこれらのポリマーの分析により、xは0.3ないし1の範囲
の範囲であって、x+y=1であることが明らかとされる。
かかる調製は、特に、欧州特許第0 152 704号に記載されている。この
調製は時間が長く(4日間)、低収率(60%未満)であって、安定性に限度が
あるポリマー化合物に至るという欠点がある。この特許は、かくして、白金の存
在下で、ポリフェニルヒドロゲノシランタイプのポリヒドロゲノシランをジビニ
ルベンゼンタイプのビニル化合物と反応させることによって得られるセラミック
前駆体を開示する。該ポリマー前駆体は、事実、固体であって低熱分解収率に至
る。
また、欧州特許出願第0 217 539号は、ポリメチルヒドロゲノシラン(
PMHS)の合成を開示し、これは、使用する条件に従ってペースト状の液体も
しくは固体生成物を得るものである。特に、ビニル化合物およびヒドロシリル化
触媒の存在下でPMHSの架橋から得られるセラミック前駆体には問題がある。
この架橋は熱分解の収率の増加に対しては感受性である。
欧州特許出願第0 382 651号の目的は、雰囲気温度で液体であるポリシ
ランセラミック前駆体の調製にある。関連するポリシランの中には、塩化ベンジ
ルまたはトリメチルヒドロゲノシランに由来する鎖ブロッカーを持つSi−ビニ
ルおよびSi−Hモチーフとのコポリマーがある。これらのポリマーはSi−H
モチーフホモポリマーと混合することができる。また、考えられた調製方法は、
有害にもポリマーに存在する酸素濃度を顕著に増大させるポリマーの加水分解工
程を含む。高濃度のO2は熱分解の収率および求めるSiCの純度を阻害する。
さらに、この文献自体は得られたポリマーの粘度に決して言及していない。
これまでの記載より、前記先行技術文献は、PMHS類を不飽和タイプの架橋
剤、最も特別にはビニル性質の架橋剤で処理することによって得られるセラミッ
ク前駆体を提案していることになる。この公知の処理は、ヒドロシリル化に対応
し、これはSiH官能基と使用する不飽和基の間にブリッジを形成する。現在ま
で、このヒドロシリル化は、ラジカル開始剤タイプの有機金属化合物の触媒に絶
対的に頼ることにおいて、または紫外線または高温加熱活性化を行うにおいて唯
一考えられているものである。すべてこれらは当該方法を複雑化する。というの
は、触媒の制御は常にデリケートであり、それにより、不溶性で有用でないポリ
マーの予期せぬ形成に導かれるからである。さらに、使用する触媒は望ましくな
い汚染性金属である。これらのプレセラミックスまたはヒドロシリル前駆体の熱
分解の収率は出発ポリアルキル(ポリメチルシラン)のそれに対して優れている
。
技術水準のこの総括を終えるためには、本発明のそれとは全く異なる問題の組
を抱える一連の方法を指摘するのが便利である。総括するに、
a)ポリシランとは異なる方法でそのポリマー骨格の主鎖に炭素原子を取り込む
、ポリシランのポリカルボシランへの化学的変換を行う、または
b)かなり最終セラミックにホウ素を取り込むには、
事実、ホウ素の誘導体を用いるのが重要である。
目的a)は、ポリジメチルシランからポリカルボシランへの変換(クマダ転位
)の意味において、ホウ素誘導体(ポリボロジフェニルシロキサン)の使用の有
利な効果を示すヤジマ教授の研究に戻るものである(米国特許第4,220,60
0号−第4,248,814号−第4,283,376号−第4,604,367号=
ドイツ国公開第34 47 411号参照)。これらのホウ素誘導体が炭素の出現
を誘導するとすれば、この技術情報は、過剰の炭素なくしてプレセラミックスお
よびセラミックスを調製しようとする当業者によるそれらの選択を惹起する性質
のものではなかったことは明らかである。
目的b)に関しては、BURNSおよびZANKならびにBANEYまたはW
ESTは、金属カルボニルまたはR=アルキルであるBR3のごとき化合物によ
ってポリシランを処理して(EP 0 367 497、US4,906,710お
よびUS4,945,072)、ポリメタロシラン類(それ自体金属でドープした
セラミック前駆体)を形成することを記載している。同一分野において、CHA
NDRAらの米国特許第4,762,895号は、クロロシラン類および金属誘導
体類(ハロゲン化ホウ素類:BBr3、BCl3、BClBr2、BI3)からのメ
タロポリシラン類の調製を提案している。
これらの方法によって得られる混合されたSiC/金属セラミックは本発明に
よってカバーされる方法とは無関係である。
US−A−4,604,367(=ドイツ国公開34 47 411号)は前記目的
a)およびb)を有し、事実上、特に、純粋でなく(低品質)かつ高熱分解で得
ることができない最終セラミックにつき、それに関する不利を有する。
〔発明の概要〕:
この知る限りにおいての水準において、本発明の1つの目的は、その主鎖にケ
イ素原子を有さず、先行技術の不利を矯正し、かつ本技術分野で求められ、本明
細書の導入部で言及した純度、収率、および使用の柔軟性ならびに経済性の要件
を満足するポリオルガノシラン類からのセラミック材料および/またはその前駆
体の製法を提供することにある。
これらの目的および他の目的は本発明によって達成されるが、本発明は、ポリ
シラン(類)からセラミック材料を得る方法であって、
前記ポリシラン(類)を次式(I):
(I) [(RSiH)x(RSiL)y(R3 1Si)z]2
上記式において、
− Rは同一または異なる基を表す記号であって、水素、線状または
分岐状の1ないし6個の炭素を有する置換もしくは非置換の低級アルキル;3な
いし6個の炭素を有する置換もしくは非置換のシクロアルキル、または6ないし
10個の炭素、好ましくは6個の炭素を有する置換もしくは非置換のアリールを
表し、
− R1は同一または異なる基を表す記号であって、水素または所望
により置換されていてもよい、脂肪族基、脂環式基、好ましくは(シク
ロ)アルキル、(シクロ)アルケニル、線状または分岐状のアリール、アラルキ
ルまたはアラルケニルを表し、メチル、エチルおよびプロピル基が特に好ましく
、
− LはR1と同一の程度の基であるか、あるいはケイ素原子を他の
鎖に属する他のケイ素原子に連結する結合手、
− n≧1、好ましくはn≧3、より好ましくはn≧10、
− x+y=1、但し、
0.3≦x≦、好ましくは0.5≦x≦0.8、
0≦y≦0.7、
0≦z≦0.5、およびzが0である場合は、各末端ケ
イ素の遊離原子価はR2によって占められ、このR2の記号は、同一または異なる
基であって、HまたはC1−C6アルキル基を表す
で示されるポリアルキルおよび/またはアリールヒドロゲノシラン類から選択す
ることと、
Si−Si結合の形成によってポリアルキル−ヒドロゲノシランの架橋を促進
するための少なくとも1種のホウ素化合物および所望により不飽和オルガノケイ
素架橋剤、より好ましくはビニルケイ素化合物によって形成した少なくとも1種
の炭素供与剤の存在下で、ポリアルキルヒドロゲノシラン(I)を熱分解するこ
とと、
さらに、熱分解の外に、ポリシラン/架橋剤混合物を加熱する少なくとも1の
中間の加熱処理を与え、該処理は該熱分解に先立って150〜350℃、より好
ましくは170℃〜300℃の間で行われることを特徴とする方法に関する。
〔発明の詳細な説明〕
本発明では、触媒効果を誘導するのに十分であって、ホウ素化合物が添加剤ま
たは共試薬として考えられる程は十分でない量のホウ素化合物を有利には使用す
る。
出願人は、特定の出発ポリシラン(I)の選択、熱分解および所望により少な
くとも1種の炭素源と一緒でのホウ素化合物の使用の組合せは良好な熱分解収率
を与え、いずれの場合においても、この収率は出発ポリシランで得られるものよ
りも多核、ほとんどの場合、70%よりも大であることを示したという功績を有
する。求められる最終セラミックスの純度および品質の改良が示される。これら
は、ある場合には、70/30のオーダーのSi/C比によって特徴付けられ、
酸素、遊離炭素およびホウ素タイプの不純物は極端に低い量で存在する。
本発明の有利な提供によると、炭素源、また指定した炭素供与剤にさらに考慮
するポリシランに関する架橋特性を付与する。アルキニルおよび/またはアルケ
ニルタイプのケイ素化合物、特にビニルケイ素化合物は炭素源を架橋する良好な
例である。
好ましくは、当該方法は、熱分解に加えて、ポリシランまたはポリシラン/架
橋剤混合物を加熱する少なくとも1の中間加熱処理を含み、該処理は該熱分解に
先行させ、150および350℃の間、好ましくは170℃および300℃の間
で起こる。
中間の加熱処理の持続/温度の条件が明らかに独立しているのは明白である。
実際、1分ないし数時間(例えば、10時間)の持続が好ましく供され、より好
ましくは5ないし120分の持続が供される。
本発明の必須要件の1つによると、出発ポリシランは、有利には、ポリアルキ
ルおよび/またはアリールヒドロゲノシランである。その例としては、ポリメチ
ルヒドロゲノシランおよび/またはポリフェニルヒドロゲノシランを挙げること
ができる。
限定されるものではないが、ポリシランは、鎖に存在するケイ素の少なくとも
一部が1つのアルキル、アリールまたはアラルキル基のみを担い、第2の置換基
が水素のみであるような方法で好ましくは使用される。
本発明が唯一のタイプのポリシランに限定されるものではなく、式(I)の種
々の物質の混合物も含むことは言うまでもない。
(I)の線状構造に加えて、出発ポリシランは環状物質であってもよい。
本発明の有利な提供によると、これらのポリアルキル、アリールまたはアラル
キルヒドロゲノシランは、ナトリウムのごときアルカリ金属と、
−ジハロゲノアルキル、アリールまたはアラルキルシラン(X2SiHR)(
例えば、ジクロロ−メチルシラン=MeHSiCl2)
−およびモノハロゲノオルガノシラン[XSiH(R1)2](式中、R1は同
一または異なって炭化水素基、好ましくは1ないし6個の炭素を有するアルキル
を表す)(例えば、モノクロロヒドロゲノメチルシラン)
の混合物との反応から得ることができる。
これらのモノハロゲノオルガノシラン類は鎖末端封鎖剤として作用する。従っ
て、末端封鎖剤または停止剤の割合を調整することによってポリマー鎖の長さを
調節することができる。その結果、興味深いことには、合成された生成物の粘度
が制御され、これらのプレセラミックスを変調し、またフィルム、コーティング
、マトリックス等を目的とした各適用の特別の成形操作に付すことができる。
また、これにより、使用するR1置換基を調整することによって炭素の可変的
割合を導入することもできる。最後に、これは熱分解の収率の増加に関与する。
従って、本発明による方法は、(有利には架橋性炭素供与体と共にまたはそれ
なくして)ホウ素の存在下で熱分解を行い、および好ましくは中間の加熱処理を
供することよりなる。
ホウ素化合物の取り込みは、有利には、後で行う。すなわち、中間加熱処理の
間に行う。
好ましくは、ホウ素化合物はポリシランとの反応の出発物質の一部である。
本発明における加熱処理は、有利には、密封した不活性雰囲気下で行う。これ
により、いずれの汚染を防ぐことも可能となり、また、揮発性生成物の喪失を最
小化することによって収率を最適化することができる。
注意すべきは、本発明の方法で考えられる方法論的経路の中では、
1−最終セラミックスに至るまで中断させることのない連続的経路、
2−当該方法を加熱する中間処理および熱分解工程の間で中断する不連続的
経路
が挙げられる。
連続的経路(1)によると、出発ポリシラン(例えば、ポリメチルヒドロゲノ
シランおよび/またはポリフェニルヒドロゲノシラン)を少なくとも1種のホウ
素誘導体と混合し、該混合物を、次いで、1000−1500℃の温度まで徐々
に上昇させ、170および300℃の間の中間のプラトーを設ける。
不連続的経路(2)によると、ポリシラン(例えば、ポリメチルヒドロゲノシ
ランおよび/またはポリフェニルヒドロゲノシラン)をまず雰囲気温度で触媒量
の少なくとも1種のホウ素誘導体と混合する。
熱分解の前に、好ましくは170および300℃の間の温度で5分ないし数時
間混合物を加熱することによって中間の加熱処理を行う。かくして、本発明にお
けるこの方法(2)によって中間生成物、すなわち、前駆体またはプレセラミッ
クスが得られ、これは後者の他の目的を構成する。
長いまたは短い持続時間の中断(これは、かく得られたセラミックス(または
プレセラミック)を室温とするのに利用できる)の後に、古典的熱分解を行う(
最終熱分解温度は、例えば、1000および1500℃の間である)。
当該方法を行うこれらの2つの経路(1)および(2)では、好ましくは、不
飽和架橋剤、より好ましくはビニルケイ素化合物によって形成された少なくとも
1種の炭素供与剤を反応混合物に一体化するのが有利である。
この一体化は、例えば、出発ポリシランおよびホウ素化合物の混合と同時に、
あるいは不連続的経路(2)における中間加熱処理と熱分解の間の中断の間に行
うことができる。
最終製品(フィルム、ワイア等)の形状へのポリシラン組成物の成形としては
、勿論、該組成物が液体、半固体、ペーストの形態または溶液の形態であってさ
え行える。
さらに、組成物の粘度を考えられる成形に適合する値に固定することができる
。これは、例えば、ポリシラン(例えば、ポリメチルヒドロゲノシランおよび/
またはポリフェニルヒドロゲノシラン)の粘度を調整することによって、あるい
は炭素源の性質および濃度を選択することによって行うことができる。
低い程度であるが、ホウ素化合物の性質およびその濃度はこの点で効果を有し
得る。
特に不連続的経路(2)に関して、成形は中断の間に行うことができることに
注意されたい。
その例として、断じて限定的なものではないが、ホウ素誘導体の性質を特定の
ものとし、これは、本発明の範囲内のものである。
該ホウ素誘導体はB−N、B−O、B−R、B−X=ハロゲン結合を持つ化合
物である。
これらの誘導体の以下のシリーズがとりわけ考えられる。
− 式 R4 aB(OR5)bのアルキルボレート類、ここに
a+b=3であってa=0、1または2、
R4は1ないし20個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R5=R’またはR5=−SiR'R″R″';R'、R″、R″'は同一
または異なって、水素または1ないし20個の炭素原子を有するアルキル基から
選択される;B(OMe)3;B(OEt)3;B(OSiMe3)3がこのシリー
ズの化合物の中であり特に挙げられる、
− 式 R4 aB(NR5)bのアルキルアミノボラン類、ここに
a、b、R4およびR5は前記定義に同じ;
B(NMe2)3;MeB(NMe2)2;B[N(SiMe3)2]3がこ
のシリーズの好ましい化合物である、
− 式 B[O(CH2)c]3Nの多環化合物であるボラトラン類、
ここに、c=1、2または3;B(OCH2CH2)3Nがこのシリーズ
の好ましい化合物の中で特に挙げられる、
− 式 −(BR4=NR5−)3の環状化合物であるボラジン類、
ここに、R4およびR5は前記定義に同じであり、R4はさらに水素を表
すことができ;このシリーズでは、以下の化合物が特に好ましい:
−(B(NH2)=N(Me)−)3;
−[B(Me)=N(Me)]3、
− 式 −(BR4−O−)3のアルキルボロキシン類、
ここに、R4はボラジン類につき前記にて定義したに同じ;
このシリーズの好ましい化合物は−[B(Me)−O−]3、
− 式 −(B−(OR6)−O−)3のアルコキシボロキシン類、
ここに、R6=前記定義のR4またはR5;このシリーズの好ましい化合
物は−(B(Me)=O−)3;−(B(OMe)=O−)3、
− 式 BX’3の三ハロゲン化ホウ素、
ここに、X’=Cl、Br、F;BCl3がこのシリーズで最も特別で
ある、
− 式
のポリボロジ(ヒドロゲノおよび/またはアルキルおよび/またはアリ
ール)−シロキサン、ここに、R7、R8は同一または異なって、以下の基:水素
、アルキル、アルコキシル、N−アルキル、アリール、アラルキル、アルケニル
、アラルケニル、アルキニル、アラルキニルから選択される;ポリボロ−ジフェ
ニルシロキサンがこのシリーズで特に好ましい化合物である。
前記ホウ素誘導体は単独でまたはその混合物として使用できることは言うまで
もない。
また、本発明による好ましいシリーズはボレートのシリーズであることに注意
されたい。
ホウ素化合物は、出発ポリシロキサンの重量に対して、10-2重量%ないし1
0重量%、好ましくは10-2重量%ないし5重量%、より好ましくは10-2重量
%ないし2重量%の率で存在させる。
出発ポリシラン(類)に関連した架橋剤(類)は、分子当たり少なくとも2個
および/または3個の結合を含むタイプの不飽和オルガノシラン化合物類から選
択される。シラン類による不飽和がアルケニルタイプのものである場合、好まし
くは、ビニル、アルキル、1’−プロペニルまたは3−プロペニルのごとき、C2
−C6低級アルキル基が重要である。最も特別に選択されるアルケニルはビニ
ル(CH2=CH−)である。ケイ素による不飽和はアラルケニルタイプ、例え
ば、スチリルのものであってもよい。
その反復単位がモチーフ:
R9−[Si(H)−CH=CH]−
および/または−[R9−Si(H)−C=C]−
および/または−[R9−(Ui)−Si−C≡C]−
[式中、R9は水素、1ないし6個の炭素原子(CH3)を有する置換もしくは非
置換の低級アルキル、3ないし6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のシ
クロアルキルまたは6ないし10個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のア
リールであって、Uiは不飽和単位、好ましくはビニルである]、
または次の式の化合物:
[R10 2(CH2=CH)Si]Y、[R10(CH2=CH)]2Y、
[(CH2=CH)3Si]2Y、[R10(CH2=CH)Y]m、
[式中、Y=O、S、NH、NR11、CH2、CH2CH2、フェニル;例えば、
R10 m(CH2=CH)3-m、Si−Si(CH=CH2)3-qR10 q(m、q=0、
1、2、mはqと同一または異なってよい)、(CH2=CH)4Siシクロ[R10
(CH2=CH)SiY1]pまたは[(CH2=CH)2SiY1]pにおけるご
とくYは存在しなくてもよい、Y1はO、S、NH、NR11、CH2、CH=CH
、C≡Cを表し;Y1=NH、NR2、S、CH2、CH=CH、C≡Cである場
合、p≧2であって、Y1=Oである場合、p≧3であり;R10は置換されたま
たは置換されていない、C1−C6低級アルキルまたはC6−C10アリールであり
、R11はR10と同一定義であって、後者と同一または異なってよく、前記化合物
はビニル基の代わりに置換されたビニル基、置換されたまたは非置換のアルキル
基で置換されていてもよい]
によって構成された(コ)ポリマー。
本発明によると、テトラビニルシランおよびポリビニルシラン類が特別の炭素
供与剤および架橋剤である。該ポリビニルシラン類は特には米国特許第4,98
3,516号で定義されたものであってよい。
有利には、炭素源架橋剤(類)の取込みは前もっての処理工程の間に介在させ
る。この工程は、緊密に混合することによって、:
−式(I)の少なくとも1のポリシラン、好ましくはポリメチルヒドロゲノシ
ランおよび/またはポリフェニルヒドロゲノシラン、
−少なくとも1のホウ素化合物、好ましくは、ボレート、
−および、所望により、好ましくはビニル化合物により形成された、より好ま
しくはビニルシランによって構成された少なくとも1の炭素供与剤
からなる出発物質を調製することを含む。
本発明のさらなる目的は、セラミック材料および/またはその前駆体を調製す
るための前記出発化合物である。
本発明の興味深いが必須の方法により、架橋の少なくとも1の化学的および/
または物理的促進剤の使用が提供される。化学的手段に関しては公知で適当な促
進剤の例としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のごときラジカル開始
剤が挙げられ、物理的手段に関しては、照射、例えば、紫外線または電子衝撃が
挙げられる。
前記したことがら、本発明の方法により、比較的コスト的に有利であって迅速
である高品質の純粋なセラミックスを得ることが可能となる。
〔産業上の利用性〕:
本発明の方法はプレセラミックスまたはセラミックス前駆体の粘度を制御でき
るという事実も理解されなければならず、かくして、異なる成形方法の適用性が
賦与され、求められるセラミック製品、コーティング、フィルム、繊維等に特異
的である。
最後に、当該方法は経済的であることに注意するのが重要である。
本発明のセラミックスの合成、出発ポリシラン類、考えられるホウ素触媒、な
らびに合成のある変法を記載する以下の実施例から本発明がよく理解され、より
多くのその利点が生起するであろう。
実施例
本発明で使用できるポリシラン類は、例えば、その合成が欧州特許出願第0
152 704号、第0 217 539号および第0 382 651号に記載さ
れたポリメチルシラン類である。
実施例1:MeSiHC2/Me2SiHCl混合物からの
ポリメチルヒドロゲノシラン(A)の調製
機械的撹拌機(インペラー)、コンデンサーおよび温度計を装備した二重ジャ
ケット付きの0.5リットル反応器に250mlの無水トルエン、60.0mlの
無水ジオキサンおよび41.05gのナトリウム(1.78モル)を導入する。反
応混合物を100−102℃とする。次いで、溶融したナトリウムおよび溶媒の
混合物を激しく撹拌して(600−700回/分)、微細なナトリウム懸濁液を
得る。系を5ないし10分間放置して安定化させ、均一な懸濁液を得た。次いで
、80.0mlのメチルジクロロシラン(0.69モル)および2.0mlのジメ
チルクロロクランMe3SiHCl(0.018モル)の混合物を滴下する。還流
を制限するため、熱吸収性液体を循環することによって熱の一部を取り除く。滴
下の最後に、反応混合物を30分間還流する。次いで、得られた混合物を迅速に
雰囲気温度まで冷却する。少なくとも1回の濾過、1回の洗浄および少なくとも
1回の溶媒の蒸発を含む一連の工程の後に得られたPMHS(A)を回収する。
得られた質量:29.05g
PMHS(A)の外観:透明な無色油
出発クロロシランに対する収率:82.5%
1H NMR分析による組成:SiH/Si=0.55−0.58
室温における生成物の動的粘度:3200cPs
欧州特許出願第0 152 704号、第0 217 539号および第0 38
2 651号による方法とは対照的に、前記PMHS(A)はポリマーの粘度の
良好な制御を可能とする。
使用した架橋性炭素源はポリビニルシラン類(PVS)またはテトラビニルシ
ランである。
実施例2:ポリビニルシラン(B)の調製
機械的撹拌機(インペラー)、コンデンサーおよび温度計を装備した二重ジャ
ケット付きの0.5リットル反応器に190mlの無水トルエン、30mlの無
水テトラヒドロフランおよび41.05gのナトリウム(1.78モル)を導入
する。反応混合物を100−102℃とする。次いで、溶融したナトリウムおよ
び溶媒の混合物を激しく撹拌して(700−800回/分)、微細なナトリウム
懸濁液を得る。系を5ないし10分間放置して安定化させ、均一な懸濁液を得る
。次いで、メチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランMe3CiClおよ
びビニルメチルジクロロシラン(各割合は以下の通りである;0.5/0.3/1
.0)からなるクロロシラン類の混合物の99.0mlの混合物を、次いで、滴下
する。還流を制限するため、85−90℃の液体を二重ジャケットに循環するこ
とによって熱の一部を取り除く。滴下の最後に、反応混合物を15−30分間還
流する。次いで、得られた混合物を雰囲気温度まで冷却する。40mgのBHT
を得られたPVS(B)に添加し、次いで、これを、少なくとも1回の洗浄およ
び少なくとも1回の蒸発を含む一連の工程の後に回収する。より詳細には、米国
特許第4,873,516号に報告されている方法を参照できる。
PBV(B)の外観:透明な油
出発クロロシランに対する収率:81%
室温における生成物の動的粘度:900cPs
実施例3:比較テスト:
ポリメチルヒドロゲノシラン/テトラビニルシラン
混合物に対するホウ素の効果
A−ホウ素無し:
窒素下で、ポリメチルシラン(A)3.07g(89.8%)およびテトラビニ
ルシラン0.35g(10.2%)をSchlenk試験管に導入する。混合物を雰囲気
温度で10ないし15分間撹拌する。次いで、透明で均一な液体が得られる。
雰囲気温度で測定した混合物の粘度:280−300cp
この混合物を以下の加熱処理に付す。
−架橋:
まず、混合物を窒素下、120℃で12ないし15時間加熱する。かくして、
固体で不溶性の架橋した樹脂が得られる。
−熱分解:
第1実験:
次いで、架橋後に得られた生成物を以下の条件下で熱分解する:
*雰囲気温度から230℃:2℃/分
*230℃における4時間のプラトー
*230℃から1000℃;2℃/分
*1000℃における1時間のプラトー
この熱分解の収率は65.4%である。
第2実験:
生成物を以下の熱分解プログラムによる熱分解する:
*雰囲気温度ないし1000℃:2℃/分
*1000℃における1時間のプラトー
この熱分解の収率は62.5%である。
B−ホウ素有り(経路(1)):
窒素下、ポリメチルシラン(A)3.33g(88.5%)およびテトラビニル
シラン0.44g(11.5%)ならびにB(OSiMe3)30.083g、すな
わち、混合物100gにつきB(OSiMe3)32%をSchlenk試験管に導入す
る。3種の物質を雰囲気温度で10ないし15分間撹拌する。かくして、透明で
均一な液体が得られる。
雰囲気温度で測定した混合物の粘度:250−300cp
この混合物を以下の処理に付す:
−架橋:
まず、混合物を窒素下、120℃で12ないし15時間加熱する。かくして、
固体で不溶性の架橋した樹脂が得られる。
−熱分解:
〈第1実験〉:
次いで、得られた生成物を以下の条件下で熱分解する:
*雰囲気温度から230℃:2℃/分
*230℃における4時間のプラトー
*230℃から1000℃;2℃/分
*1000℃における1時間のプラトー
この熱分解の収率は75.5%である。
〈第2実験〉:
生成物を以下の熱分解プログラムによる熱分解する:
*雰囲気温度ないし230℃:2℃/分
*230℃における10時間のプラトー
*230℃ないし1000℃:1℃/分
*1000℃における1時間のプラトー
この熱分解の収率は78.0%である。
実施例4:連続的経路:経路(1)による
ポリメチルヒドロゲノシラン/ポリビニルシラン混合物の調製、
中間加熱処理および熱分解−ホウ素ベースの添加剤の使用の利点
−比較テスト
Schlenk試験管において、60%のポリメチルシラン(A)(60.2%)およ
び40%のポリビニルシラン(B)(39.8%)の混合物を調製する。この混
合物の一部をB(OSiMe3)3(物質a)の添加なくして処理し、第2の一部
に2重量%のB(OSiMe3)3(物質b)、最後に、第3の一部に、4重量%
のB(OSiMe3)3(物質c)を添加する。3種の混合物を雰囲気温度で10
ないし15分間撹拌する。かくして、透明で均一な液体が得られる。
これらの混合物を以下の処理に付す:
−架橋:
まず、混合物を窒素下、130−140℃での12ないし15時間の処理によ
って架橋させる。
−中間加熱処理および連続的熱分解:
次いで、架橋後に得られた生成物を以下の熱分解プログラムに従って熱分解す
る:
*雰囲気温度から230℃:2℃/分
*230℃における5時間のプラトー
*230℃から1000℃;1℃/分
*1000℃における3時間のプラトー
この熱分解の収率は75.5%である。
第2実験:
生成物を以下の熱分解プログラムによる熱分解する:
*雰囲気温度ないし230℃:2℃/分
*230℃における10時間のプラトー
*230℃ないし1000℃:1℃/分
*1000℃における1時間のプラトー
これらの熱分解の収率は、各々、
*物質(a);60.9%、
*物質(b):66.7%、
*物質(c):68.2%である。
実施例5:ポリメチルヒドロゲノシラン/ボレート混合物の調製、
中間加熱処理−不連続的経路:経路(2)を介する
テトラビニルシランの取り込み後におけるこの混合物
のセラミックスの調製のための使用
以下の実施例は以下の工程によるSiC前駆体の調製および使用を記載する:
1−ホウ素誘導体によるPMSの中間加熱処理
2−炭素供与および架橋剤の添加
3−混合物を熱分解してのセラミックの取得
1.ポリメチルシラン(A)を本実施例で使用する。
窒素下で、脱気したSchlenk試験管にポリメチルシラン3.32gおよび15
lのB(OSiMe3)3を導入する。混合物を撹拌し、210℃で1時間油浴
中で加熱する。反応器を次いで迅速に雰囲気温度まで冷却する。黄色固体が得ら
れる。
重量:3.21g
収率:91.2%
2.前記で得られた生成物を1.45mlの架橋剤テトラビニルシランと混合
する。この化合物はホウ素で処理したポリメチルシランの希釈剤として作用する
。1時間の撹拌の後、成形できるペースト状混合物が得られる。
3.次いで、前記で得られた混合物を130℃で4時間窒素下に置く。生成物
の一部を室温とする。不溶融性かつ不溶性の固体がかくして得られる。
生成物の他の一部を1000℃まで10℃/分にて窒素下で熱分解する。この
熱分解の収率は82.3%である。
実施例6:ホウ素誘導体の有りまたは無しでの
ポリメチルヒドロゲノシランの処理の比較テスト
1−ポリメチルヒドロゲノシラン(A1)の調製
機械的撹拌機、コンデンサーおよび温度計を装備した二重ジャケット付きの1
リットル反応器に450mlの無水トルエンおよび85.0gのナトリウム(3.
69モル)を導入する。該トルエン+ナトリウム混合物を100℃で加熱し、激
しく撹拌して懸濁液を得る。次いで、シリンジの助けを借りて、メチルジクロロ
シランMeHSiCl2160ml(1.53モル)を1分当たり55mlの速度
で添加する。クロロシランを導入するや否や強烈な黒色発色が見られるが、反応
器内の温度は104および106℃の間に維持される。添加終了後、反応混合物
を4時間還流する。次いで、得られた混合物を雰囲気温度まで冷却し、窒素下、
濾過によって塩を分離する。沈殿を100mlのトルエン4回分で洗浄し、次い
で、濾液を混合し、真空下30℃にて、溶媒の蒸留によって濃縮する。PMHS
(A)44.5gが不透明黄色油として回収される。出発クロロシランに対する
収率は65.9%である。プロトンNMRによる分光学的分析は生成物が以下の
式であることを示す。
−(−SiMeH−)−0.55−(−SiMe)−0.45
2−トリス(トリメチルシリル)−ボレートの存在下でのポリメチルヒドロゲノ
シラン(A1)の中間加熱処理=MMHS(A11)の調製
窒素下、脱気したSchlenk試験管に3.52gのポリメチルシラン(A1)およ
び0.08ml(0.066g、すなわち0.2ミリモル)のトリス(トリメチル
シリル)ボレートB(OSiMe3)3を導入する。次いで、混合物を室温で5な
いし10分間撹拌し、次いで、反応器を240℃に温度設定した油浴に浸漬する
。少しの蒸気の形成が認められ、これは試験管の冷たい部分に凝縮する。処理の
40ないし50分後、反応混合物の粘稠化が観察されろ。反応の1時間後に処理
を停止し、次いで、空気に暴露することによって混合物を雰囲気温度とする。3
.08gのPMHS(A11)が黄色固体として回収され。これはトルエン、ヘキ
サン、テトラヒドロフランおよびクロロホルムに容易に溶解する。収率:87.
5%
3−ポリメチルヒドロシラン(A1)=調製OP(A12)の中間加熱処理
パラグラフ2に記載した条件下、トリス(トリメチルシリル)ボレートの不存
在下で、ポリメチルヒドロゲノシラン(A1)の加熱処理を行う。240℃での
1時間後、PMS(A11)の2.89gを粘性黄色油として回収する。収率:9
3%
熱分析
熱重量分析の温度プログラム:
* 20℃ないし950℃−プラトー無しで10℃/分
オーブン中における熱分解の温度プログラム:
* 20℃ないし1000℃−5℃/分、1000℃における1時間
のプラトー
実施例7:ホウ素化合物の性質の影響
A.ボレート(B(OEt)3)の場合:
Schlenk試験管に、実施例11のポリメチルシラン(A1)1.65gおよび
トリエチルボレートB(OEt)350リットルを導入する。次いで、混合物を
雰囲気温度で5ないし10分間撹拌し、次いで、220−230℃に設定した油
浴中に直接反応器を浸漬する。反応の1時間後、反応混合物の粘稠化が観察され
る。処理を反応の2時間後に停止し、次いで、空気に暴露することによって混合
物を雰囲気温度とする。揮発性化合物を除去した後、黄色固体1.49gを回収
する。
収率:90.3g
プロトンNMRによる分光分析は化合物が以下の式を有することを示す。
−(−SiMeH−)−0.33−(−SiMe−)−0.66
次いで、得られた化合物を窒素下で管状オーブン中で熱分解する。
窒素の流速:100ml/分
温度プログラム:5℃/分で20℃ないし1000℃、続いて1000℃で6
0分のプラトー
熱分解収率:71%
B.ボラトレン(B(OCH2CH2)3N)の場合:
Schlenk試験管に、ポリメチルシラン(A2)2.27gおよびトリエタノー
ルアミンボランB(OCH2CH2)3N 14mgを導入する。次いで、混合
物を雰囲気温度で5ないし10分間撹拌し、次いで、220−230℃に設定し
た油浴中に直接反応器を浸漬する。数分の反応後、反応媒体の粘稠化が観察され
る。処理を15分の反応の後に停止し、次いで、空気に暴露することによって混
合物を雰囲気温度とする。真空下での蒸留によって揮発性化合物を除去した後、
黄色固体2.08gを回収する。
収率:91.5g
プロトンNMRによる分光分析は化合物が以下の式を有することを示す。
−(−SiMeH−)−0.41−(−SiMe−)−0.59
次いで、得られた化合物を窒素下で管状オーブン中で熱分解する。
窒素の流速:100ml/分
温度上昇プログラム:5℃/分で20℃ないし1000℃、続いて1000℃
で60分のプラトー
熱分解収率:73%
実施例7:ポリフェニルヒドリドシランの調製:
特に断りのない限り、全調製を窒素の不活性雰囲気下で行った。
窒素雰囲気下で無酸素ヘキサンで洗浄することによって鉱油から放出させ、1
50mlの乾燥した無酸素テトラヒドロフラン(THF)で覆ったナトリウムの
分散液の、機械的撹拌機で撹拌した混合物7gに、室温(約20℃)にて1時間
50分間にわたって、フェニルジクロロシラン(Petrarch Systems,Inc.,Bris
tol,PA,USA)(シランは使用前に真空下で蒸留してしまっている)20mlを滴
下した。生成物を3日間撹拌し、得られた赤色混合物を濾過して、過剰のナトリ
ウムおよびNaClの分散液を除去した。塩化銅(I)5gを濾液に添加し、混
合物を機械的撹拌機で1日撹拌した。今や黄色となった溶液を濾過し、テトラヒ
ドロフランを減圧下で濾液から除去し、淡黄色ポリマー10.9gを得た。分光
分析は、固体の組成物は以下の式:
[Si(C6H5)H]0.51[Si(C6H5)2H]0.49
に対応することを示し、これは、4の原子価を保存する。有意に修飾することな
く、このポリマーを固体の形態で空気中で迅速に処理する。
実施例8:出発化合物=PMHS−ポリフェニルシラン
PMHS(A)(実施例1)9.5gに実施例7のポリフェニルシラン0.5
gを混合する。
8.1 ホウ素無し:
22℃における120分のプラトーにて、混合物を1000℃で熱分解する
。
セラミックの収率:62%
得られたセラミック物質の元素分析:Si=55%、C=30%
8.2 ホウ素有り
この混合物にトリス(トリメチルシリルボレート)0.2gを添加して均一
な混合物が得られ、これを次いで、22℃における120分のプラトーにて、1
000℃で窒素下にて熱分解する。
セラミックの収率:78%
得られたセラミック物質の元素分析:Si=68%、C=30%
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1995年10月3日
【補正内容】
よびUS4,945,072)、ポリメタロシラン類(それ自体金属でドープした
セラミック前駆体)を形成することを記載している。同一分野において、CHA
NDRAらの米国特許第4,762,895号は、クロロシラン類および金属誘導
体類(ハロゲン化ホウ素類:BBr3、BCl3、BClBr2、BI3)からのメ
タロポリシラン類の調製を提案している。
これらの方法によって得られる混合されたSiC/金属セラミックは本発明に
よってカバーされる方法とは無関係である。
US−A−4,604,367(=ドイツ国公開34 47 411号)は前記目
的a)およびb)を有し、事実上、特に、純粋でなく(低品質)かつ高熱分解で
得ることができない最終セラミックにつき、それに関する不利を有する。
〔発明の概要〕:
この知る限りにおいての水準において、本発明の1つの目的は、その主鎖にケ
イ素原子を有さず、先行技術の不利を矯正し、かつ本技術分野で求められ、本明
細書の導入部で言及した純度、収率、および使用の柔軟性ならびに経済性の要件
を満足するポリオルガノシラン類からのセラミック材料および/またはその前駆
体の製法を提供することにある。
これらの目的および他の目的は本発明によって達成されるが、本発明は、ポリ
シラン(類)から炭化珪素(SiC)ベースのセラミック材料を得る方法であっ
て、
前記ポリシラン(類)を次式(I):
(I) [(RSiH)x(RSiL)y(R3 1Si)z]2
上記式において、
− Rは同一または異なる基を表す記号であって、水素、線状または
分岐状の1ないし6個の炭素を有する置換もしくは非置換の低級アルキル;3な
いし6個の炭素を有する置換もしくは非置換のシクロアルキル、または6ないし
10個の炭素、好ましくは6個の炭素を有する置換もしくは非置換のアリールを
表し、
− R1は同一または異なる基を表す記号であって、水素または所望
に
より置換されていてもよい、脂肪族基、脂環式基、好ましくは(シクロ)アルキ
ル、(シクロ)アルケニル、線状または分岐状のアリール、アラルキルまたはア
ラルケニルを表し、メチル、エチルおよびプロピル基が特に好ましく、
− LはR1と同一の程度の基であるか、あるいはケイ素原子を他の
鎖に属する他のケイ素原子に連結する原子価結合、
− n≧1、好ましくはn≧3、より好ましくはn≧10、
− x+y=1、但し、
0.3≦x≦、好ましくは0.5≦x≦0.8、
0≦y≦0.7、
0≦z≦0.5、およびzが0である場合は、各末端ケ
イ素の遊離原子価はR2によって占められ、このR2の記号は、同一または異なる
基であって、HまたはC1−C6アルキル基を表す
で示されるポリアルキルおよび/またはアリールヒドロゲノシラン類から選択す
ることと、
Si−Si結合の形成によってポリアルキル−ヒドロゲノシランの架橋を促進
するための少なくとも1種のホウ素化合物および所望により不飽和オルガノケイ
素架橋剤、より好ましくはビニルケイ素化合物によって形成した少なくとも1種
の炭素供与剤の存在下で、ポリアルキルヒドロゲノシラン(I)を熱分解するこ
とと、
さらに、熱分解の外に、ポリシラン/架橋剤混合物を加熱する少なくとも1の
中間の加熱処理を与え、該処理は該熱分解に先立って150〜350℃、より好
ましくは170℃〜300℃の間で行われることを特徴とする方法に関する。
〔発明の詳細な説明〕
本発明では、触媒効果を誘導するのに十分であって、ホウ素化合物が添加剤ま
たは共試薬として考えられる程は十分でない量のホウ素化合物を有利には使用す
る。
出願人は、特定の出発ポリシラン(I)の選択、熱分解および所望により少な
請求の範囲
1. ポリシラン(類)から炭化珪素(SiC)ベースのセラミック材料を得
る方法であって、
前記ポリシラン(類)を次式(I):
(I) [(RSiH)x(RSiL)y(R3 1Si)z]2
上記式において、
− Rは同一または異なる基を表す記号であって、水素、線状または
分岐状の1ないし6個の炭素を有する置換もしくは非置換の低級アルキル;3な
いし6個の炭素を有する置換もしくは非置換のシクロアルキル、または6ないし
10個の炭素、好ましくは6個の炭素を有する置換もしくは非置換のアリールを
表し、
− R1は同一または異なる基を表す記号であって、水素または所望
により置換されていてもよい、脂肪族基、脂環式基、好ましくは(シクロ)アル
キル、(シクロ)アルケニル、線状または分岐状のアリール、アラルキルまたは
アラルケニルを表し、メチル、エチルおよびプロピル基が特に好ましく、
− LはR1と同一の程度の基であるか、あるいはケイ素原子を他の
鎖に属する他のケイ素原子に連結する結合手、
− n≧1、好ましくはn≧3、より好ましくはn≧10、
− x+y=1、但し、
0.3≦x≦、好ましくは0.5≦x≦0.8、
0≦y≦0.7、
0≦z≦0.5、およびzが0である場合は、各末端ケ
イ素の遊離原子価はR2によって占められ、このR2の記号は、同一または異なる
基であって、HまたはC1−C6アルキル基を表す
で示されるポリアルキルおよび/またはアリールヒドロゲノシラン類から選択す
ることと、
Si−Si結合の形成によってポリアルキル−ヒドロゲノシランの架橋を促進
するための少なくとも1種のホウ素化合物および所望により不飽和オルガノケイ
素架橋剤、より好ましくはビニルケイ素化合物によって形成した少なくとも1種
の炭素供与剤の存在下で、ポリアルキルヒドロゲノシラン(I)を熱分解するこ
とと、
さらに、熱分解の外に、ポリシラン/架橋剤混合物を加熱する少なくとも1の
中間の加熱処理を与え、該処理は該熱分解に先立って150〜350℃、より好
ましくは170℃〜300℃の間で行われることを特徴とする方法。
2.中間加熱処理を1分ないし10時間、好ましくは5分ないし120分継続
させることを特徴とする請求項1記載の方法。
3.連続経路(1)または不連続経路(2)により行うことを特徴とする請求
項1または2記載の方法。
4.ホウ素化合物の取り込みを中間加熱処理の後に行うことを特徴とする請求
項1ないし3いずれか1項に記載の方法。
5.ホウ素化合物が、
−式R4 aB(OR5)bのアルキルボレート類、
ここで、
・a+b=3であってa=0、1または2、
・R4は1ないし20個の炭素原子を有するアルキル基であり、
・R5=R’またはR5=−SiR'R″R″';R'、R″、R″'は同一
または異なって、水素または1ないし20個の炭素原子を有するアルキル基から
選択される;
B(OMe)3、B(OEt)3: B(OSiMe3)3が最も特に好ま
しいアルキルボレート類の一部である
−式R4 aB(NR5)bのアルキルアミノボラン類、
ここで、
・a、b、R4およびR5は前記定義に同じ;
B(NMe2)3:MeB(NMe2)2;B[N(SiMe3)2]3がこ
の最も特に好ましいアルキルアミノボラン類の一部である
−式B[〇(CH2)c]3Nのボラトラン類、
ここで、
・c=1、2または3;
B(OCH2CH2)3Nが最も特に好ましいボラトレン類の1つである
]
−式 −(BR4=NR5−)3のボラジン類、
ここで、
・R4およびR3は前記定義に同じであり、R4はさらに水素を表すこと
ができ;
−(B(NH2)=N(Me)−)3および
−[B(Me)=N(Me)]3、が最も特に好ましいボラジン類の一
部である
−式 −(BR4−O−)3のアルキルボロキシン類、
ここで、
・R4はボラジン類につき前記にて定義したに同じ;
−[B(Me)−O−]3が最も特に好ましいアルキルボロキシン類の
1つである
−式 −(B−(OR6)−O−)3のアルコキシボロキシン類、
ここで、
・R6=前記定義のR4またはR5;
−(B(Me)=O−)3;−(B(OMe)=O−)3が最も特に好ま
しいアルコキシボロキシン類である
−式BX’3の三ハロゲン化ホウ素
ここで、
・X’=Cl、Br、F;
BCl3が最も特に好ましい三ハロゲン化ホウ素である
−式
のポリボロジ(ハイドロジェンおよび/またはアルキルおよび/または
アリール)−シロキサン[ポリボロジフェニルシロキサンが最も特に好ましい]
から選択されることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載の方法。
6. ホウ素化合物(類)の量が、出発ポリシラン(類)の重量に対して10-2
重量%および10重量%の間であることを特徴とする請求項1ないし5いずれ
か1項記載の方法。
7. セラミックスを形成することを意図して製品を成形する工程を供するこ
とを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の方法。
8. 出発ポリシランに関連する炭素供与剤が有機物質または不飽和オルガノ
ケイ素化合物、好ましくはビニル化合物、テトラビニルシランから選択される架
橋剤であって、ポリビニルシランが特に好ましいことを特徴とする請求項1ない
し7いずれか1項記載の方法。
9. 請求項1ないし8いずれか1項に記載の方法であって、先行する工程に
おいて、
−式(I)の少なくとも1のポリシラン、好ましくはポリメチルヒドロ
ゲノシランおよび/またはポリフェニルヒドロゲノシラン、
−少なくとも1のホウ素化合物、好ましくは、ボレート、
−および、所望により、好ましくはビニル化合物により形成された、よ
り好ましくはビニルシランによって構成された少なくとも1の炭素供与剤
からなる出発組成物を調製することを含むことを特徴とする方法。
10. 請求項9の方法によって得られることを特徴とするセラミック物質の
製造のための出発組成物。