JP5150032B2 - シリルアルキルボラジンから成る高温安定性ケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミック、その製法ならびにその使用 - Google Patents

シリルアルキルボラジンから成る高温安定性ケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミック、その製法ならびにその使用 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、構造特性Si-C-Bを有するシリルアルキルボランの製法、新規分子状シリルアルキルボラン、新規分子状シリルアルキルボラジン、新規オリゴホウ素カルボシラザンおよびポリホウ素カルボシラザン、それらの製法および使用ならびに炭素富有のケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミックおよびそれらの製法に関する。
【0002】
分子状前駆体の架橋による非酸化的多重セラミックの製造は、極めて重要である。高い純度および原子レベルまで均一な元素分布を有するセラミック材料は、現在ではこの方法によってしか製造できない。従来の合成方法、例えば、固相反応によってでは、このような材料は入手できない。
【0003】
ホウ素およびケイ素を有する窒化物セラミックおよび炭化物窒化物セラミックが得られることが特に重要である。これらは、高い熱安定性および酸化安定性を有し、かつ明らかな結晶抑制を示す。セラミックの熱安定性は、これらの四成分系中で付加的に炭素をセラミックネットワーク中に組込むことにより高めることができる。このような材料は、大気圧条件下で高温で使用するために極めて適切であり、かつ複合材料中の構成成分として、セラミック繊維として、被覆の形で使用できるか、またはミクロ構造法に使用することができる。
【0004】
DE 4107108 A1には、一成分前駆体であるトリクロロシリルアミノジクロロボラン(TADB、ClSi-NH-BCl)の合成が記載されており、これはメチルアミンと架橋した後に、引き続き不活性ガス流中で熱分解して、おおよそSiBN3Cの組成物のセラミックを生じる。この中で得られる炭素は、架橋反応試薬であるメチルアミンのメチル基から生じる。
【0005】
この方法の欠点は、ここでは単に架橋試薬中の長鎖のアルキル基によってしかコントロールすることができないバリエーションの可能性の少なさにある。しかし、このアルキル基は、熱分解の間に揮発性の炭化水素の形で失われてしまうか、または不所望にセラミック中でグラファイト沈殿物を生じてしまう。
【0006】
特許WO98/45302には、元素ホウ素とケイ素の間に分枝した炭素架橋を有する、一成分前駆体からのSi/B/N/S−系の炭素富有セラミックの製造が記載されている。この方法で、炭素富有のセラミックを合成することができる。この方法の欠点は、一成分前駆体が炭素架橋にアルキル基を有することであり、これは熱分解の際に揮発性の炭化水素の形で失われ兼ねない。
【0007】
従って、本発明の発明の課題は、一成分前駆体を高い収率で生じ、かつ先行技術の欠点をもはや有さない簡単な方法を提供することであった。特に、この方法により分枝アルキル基を有さない前駆体化合物が提供されるべきであり、従って、後処理して非晶質または部分的に結晶性の炭素富有のセラミックにすることができる。
【0008】
さらなる課題は、改善された高温安定性および酸化安定性を有する非晶質Si/B/N/C−セラミックを提供することにある。
【0009】
前記の課題は、本発明によれば、式(I)
(R)Si−C(R)(R)−B(R) (I)
[式中、Rはそれぞれ独立に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、水素、ハロゲン、NR'R''またはOR'(この場合に、R'およびR''は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素である)であり、かつRおよびRは、相互に独立に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、水素、ハロゲン、NR'R''またはOR'(この場合に、R'およびR''は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素である)である]
の化合物の製法により解決された。
【0010】
本発明による方法の場合には、一般式(II)
(R)Si−C(R)(R)−X (II)
[式中、Xはハロゲンである]
のシランを、金属M、例えば、アルカリ金属、例えば、Na、K、特にLi、アルカリ土類金属、特にMg、または遷移金属、例えば、Cu、Zn、Cd、Hgと反応させる。反応は、実質的に重合が行われない温度、特に50℃を下回る温度、有利には0℃〜15℃の間で、非プロトン性有機溶剤中で行い、一般式(III)
(R)Si−C(R)(R)−M(X) (III)
[式中、Mが一価の金属である場合にはw=0であり、かつ
Mが多価の金属である場合にはwはM−1の原子価に相当する≧1の整数である]
のシランが生じる。
【0011】
この明細書中で使用されているように、基R、R、R、R'およびR''は、それぞれ独立に、1〜20個の炭素原子、有利には1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基であることができる。炭化水素基は、元素炭素と水素とから形成される基である。本発明によれば、炭化水素基は、分枝または非分枝、飽和または不飽和であることができる。炭化水素基は、さらに炭化水素基で置換することができる芳香族基を含有することもできる。有利な炭化水素基の例は、例えば、非分枝の飽和炭化水素、例えば、C〜C20−アルキル、特にメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルおよびn−デシルである。基Rの場合には、分枝飽和炭化水素基、特に分枝C〜C20−アルキル、例えば、i-プロピル、i-ブチル、t−ブチルならびに他の分枝アルキル基であることができる。さらに有利な実施態様において、基Rには、1個以上のオレフィン性不飽和基が含まれる。このような基の例は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、ヘプタジエニル、オクタジエニル、ノナジエニルおよびデカジエニルである。基Rは、アルキル基、すなわちC≡C−結合を含有することもできる。さらに有利な実施態様では、少なくとも1個の基Rおよび有利には全ての基Rは、芳香族基、特に5〜6個の炭素原子を有する芳香族基、例えば、フェニル基、または炭化水素で置換されたフェニル基、例えば、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニルまたはプロピルフェニルを含有する。置換基を含めて、芳香族基は、有利には5〜20個、特に10個の炭素原子を含有する。この場合に、炭化水素基R、R、R、R'およびR''は、それぞれ相互に独立に変化させることができる。
【0012】
特に有利には、基R、R、R、R'または/およびR''、かつ特に全ての基R、R、R、R'および/またはR''は、C〜C20−アルキル基、特にC〜C−アルキル基、フェニル基、ビニル基またはアリル基または1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基、特にメチル、エチルまたはプロピル、最も有利にはメチルを含む。
【0013】
Hal基は、ハロゲン原子を示し、特にCl、BrまたはIを意味し、その際、少なくとも1個のHal基および有利には全てのHal基がClであるのが有利である。
【0014】
化合物(III)は、一方では上記のように式(II)の化合物と金属とから直接に製造することができる。但し、これは十分な反応性を有する金属、例えば、Li、Na、K、Mg、Cu、Zn、Cd、Hgを使用する場合である。他方では、化合物(III)[この場合に、Mは効果的なアルキル化に十分に反応性ではない金属であり、例えばSnである]は、2工程でも製造される。第一の工程では、化合物(III)は、直接に反応性の金属と一緒に製造され、次に2工程で直接に反応性ではない金属で“金属交換反応”される。この金属は例えば金属チップの形でまたは有利には粉末として使用することができる。
【0015】
引き続き、一般式(III)の化合物は50℃を下回る温度、有利には−50℃〜0℃の温度で一般式Y−B(R)[式中、Rは上記の意味であり、かつYはハロゲン、NR'R''またはOR'(この場合に、R'およびR''は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素である)である]
のボランと反応させる。
【0016】
式(III)のシリルアルキル基をはじめに他の金属に変換し、次にボランとの反応を実施することもできる。
【0017】
方法の有利な実施態様では、式
(R)Si-CHCl
[式中、Rはそれぞれ独立に一般的な方法で挙げられた意味を有することができる]のクロロメチルシラン化合物を、グリニャール反応においてマグネシウム粉末で金属化し、引き続きハロゲンボランと反応させる。
【0018】
一般式(R)(Cl - )Si(CHCl)[式中、n=0;1;2;3であり、Rは、C〜C−アルキル、ビニル、フェニル、水素、ハロゲン、アルキルアミノ基N(R')(R'')、アルキルオキシ基OR'(この場合に、R'、R''は相互に独立にC〜C−アルキル、ビニル、フェニル、水素またはハロゲンである]のクロロメチル−アルキルクロロシランの金属化は、例えば、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン中で行うことができる。
【0019】
一般式(III)のシランを少なくとも1個のアルキルオキシクロロボランYB(R)(R ')[この場合に、YはClであり、かつRおよびR 'は相互に独立にC〜C20−アルコキシ基またはフェニルオキシ基である]と反応させるのが有利である。
【0020】
本発明による方法で使用されるハロゲンボランYB(R)(R ')は、Y=Cl、Brであり、かつRおよびR 'は相互に独立にC〜C−アルコキシ基またはフェニルオキシ基である特にアルコキシクロロボランであるのが有利である。
【0021】
本発明のもう1つの対象は、一般式(V)
(R)Si−C(R)(R)−B(OR')(OR'') (V)
の化合物と元素ハロゲン化物または有機酸ハロゲン化物との反応である。
【0022】
この場合に、一般式(IV)
(R)Si−C(R)(R)−B(X) (IV)
[式中、それぞれR、RおよびRは、相互に独立に水素、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、N(R')(R'')基またはOR'基(この場合に、R''およびR'は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつXはハロゲンである]
の化合物が生じる。
【0023】
有利には、RおよびRは、それぞれ相互に独立に水素またはハロゲンである。
【0024】
本発明による方法の有利な実施態様において、中間生成物(R)Si−C(R)(R)−B(OR')(OR''は、予め反応混合物から分離することなく、元素塩化物または有機酸塩化物と反応し、かつ特に三ハロゲン化ホウ素と反応して、
(R)Si−C(R)(R)−B(X) (IV)
[式中、R、RおよびRは、それぞれ相互に独立に水素、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、基N(R')(R'')または基OR'(この場合に、R''およびR'は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、Xはハロゲンである]
の化合物になり、このことは製造コストを著しく減少する。
【0025】
特に有利な実施態様において、グリニャール反応は希釈の法則(Verduennungsprinzip)の使用下に50℃を下回る温度で、非プロトン性有機溶剤、例えば非環式または環式エーテルまたはC〜C−アルカン中で実施することができる。
【0026】
純粋な物質を単離するために、溶剤を蒸留により除去し、かつ生成物を減圧で分別蒸留するかまたは結晶化により精製する。他の精製法は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を同様に使用することができる。
【0027】
本発明による方法を用いて、例えば、式(I)のシリルアルキルボランをWO 98/45302の方法によらずに製造することができる。
【0028】
本発明のもう1つの対象は、式(I)
(R)Si−C(R)(R)−B(R) (I)
[式中、Rはそれぞれ相互に独立に、水素、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、N(R')(R'')またはOR'(この場合に、R'およびR''は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、N(R')(R'')またはOR'(この場合に、R'およびR''は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)である]
のシリルアルキルボランである。
【0029】
Rは独立にC〜C−アルキル、ビニル、フェニル、水素、ハロゲン、オルガニルアミノ基N(R')(R'')、オルガニルオキシ基OR'(この場合、R'、R''は相互に独立にC〜C−アルキル、ビニル、フェニルまたは水素であり、かつRおよびRは、相互に独立に水素またはそのアイソトープまたはハロゲンであるのが有利である。
【0030】
少なくとも1個のR基がメチルおよび/またはClである式(I)のシリルアルキルボランは有利である。同様に、RおよびRは、それぞれ水素であるのが有利である。
【0031】
しかしRが独立にClおよび/またはCHならびにRおよびRが水素であるのが特に有利である。
【0032】
本発明による式(I)のシリルアルキルボランの特に有利な実施態様は、Siにハロゲンおよび2個の炭化水素基が結合してるか、または2個のハロゲンおよび1個の炭化水素基が結合している化合物である。このような化合物は、1個または2個の炭化水素基をSi原子に含有しており、これにより、このような化合物から製造されるセラミックの炭素含量をさらに高めることができる。さらに、このような化合物は、オリゴマー化もしくはポリマー化するための反応性ハロゲン原子の含量が少ない。これにより低い架橋度を有するオリゴマーもしくはポリマーは、特に実質的に線状に構成されているポリマーを製造することができる。さらに、ボラン原子に2個のハロゲン原子が結合しているか、または1個のハロゲン原子および1個の炭化水素基が結合している式(I)の化合物が有利である。
【0033】
ホウ素およびケイ素が架橋C(R)(R)を介して架橋しているこのタイプの1成分前駆体を用いて、炭素が架橋度に左右されず既にポリマーの安定した成分であるポリマーを製造することができる。これにより、セラミックネットワーク中への炭素の組込が促進され、かつ熱分解の間の揮発性炭素含有化合物の分離は、著しく減少する。セラミック中のC含量は、適切な架橋度を選択することにより、さらなる限度内で変化させることができ、これにより、セラミックの特性構造を目的の要求に適合させることができる。この方法で製造されたセラミックは、際立った高温安定性および酸化安定性を有する。
【0034】
出発生成物として使用されるシランは、三塩化ホウ素のように市販されている。使用されるボランは、J. Chem. Soc. (1957) 501〜505ページにより市販されているボランから製造できる。
【0035】
本発明は、さらに式(X):
【0036】
【化5】
Figure 0005150032
【0037】
[式中、Rはそれぞれ相互に独立に水素、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、N(R')(R'')またはOR'(この場合に、R'およびR''は、それぞれ相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、N(R')(R'')またはOR'(この場合に、R'およびR''は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、Rは、それぞれ独立にR、Sn(RまたはSi(R(この場合に、Rはそれぞれ相互に独立にRまたは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)である]
を有するシリルアルキルボラジンに関する。
【0038】
これに関して、シリルアルキルボラジン中の有利もしくは特に有利な基は、シリルアルキルボランに関して有利なものとして挙げた基に相当する。
【0039】
本発明によるシリルアルキルボラジンは、特に前駆体化合物として適切であり、かつポリマーの重合および熱分解の後に、従来はこの系において達成できなかった改善された高温安定性および酸化安定性を有する新規の非晶質Si/B/N/C−セラミックを生じる。この新規セラミックは事実上、少なくとも2000℃までは材料損失を示さず、かつ/または純粋な酸素中では少なくとも1400℃まで酸化安定性である。
【0040】
本発明によるシリルアルキルボランは、N(Rタイプのアミンまたは相応するアンモニウム塩HN(R (この場合に、Rはそれぞれ独立に上記の意味を有する)と反応して記載されたシリルアルキルボラジンになる。Aは、任意のアニオンであり、かつ特にハロゲン化物、例えば、F-、Cl-、Br-、またはI-、SO 2−基、NO -−基または亜硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、カルバミド酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、五ホウ酸塩、クロム酸塩、クエン酸塩、クエン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、トリフラート、酢酸塩または安息香酸基である。A-はハロゲニドであるのが有利であり、特に塩化物であるのが有利である。
【0041】
シリルアルキルボランとアミンもしくはアンモニウム塩との反応は、有利には溶剤を用いてまたは用いずに、−100℃〜200℃の温度で、より有利には20℃〜50℃の温度で行われる。
【0042】
シリルアルキルボラジンの製法は、次のタイプ
【0043】
【化6】
Figure 0005150032
【0044】
[ここで、Rは、それぞれ相互に独立に水素、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、N(R')(R'')、OR'(この場合に、R'およびR''は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)、Sn(RまたはSi(R(この場合に、Rはそれぞれ独立にRと同じ意味を有する)である]のボラジンから出発する。
【0045】
ボラジンは、触媒、塩基および酸捕捉剤(例えば、ゼオライト)から成る適切な組合せの存在で、上記の式(III)のシランまたは次のタイプ
【0046】
【化7】
Figure 0005150032
【0047】
[式中、Rはそれぞれ相互に独立に水素、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、N(R')(R'')またはOR'(この場合に、R'およびR''は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、N(R')(R'')またはOR'(この場合に、R'およびR''は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)である]のシランと反応させる。Xは、水素、ハロゲン、Sn(RまたはSi(R(この場合に、Rはそれぞれ独立に、シリルアルキルボラジンのRと同じ意味を有する)を意味する。
【0048】
この反応の際に、ホウ素に付いているRがハロゲンであり、かつ窒素に付いているRが水素であるボラジンを使用し、かつXが水素であるシランを使用するのが特に有利である。
【0049】
さらに本発明の対象は、第一の配位圏において、それぞれケイ素原子が少なくとも1個の炭素原子を有し、かつこれがホウ素原子に結合し、その際、このホウ素原子が付加的に2個の窒素原子に結合していることに特徴付けられる、本発明の分子状シリルアルキルボランまたはシリルアルキルボラジンから得られるオリゴおよびポリホウ素カルボシラザンである。
【0050】
オリゴまたはポリホウ素カルボシラザンは、特に構造単位Si-C-B-N-B-C-Si、Si-C-B-N-Si-C-Bまたは/およびB-C-Si-N-Si-C-Bを有する。前記の構造特性(一層わかりやすくするために、線状配列である)は、この場合、Siは自明ながら常に4個の隣接する原子に結合しており、BおよびNは常に3個の隣接する原子に結合しており、かつCはそれぞれ3個または4個の隣接する原子に結合している。相応する結合線は一層わかりやすくするために省略されるが、しかし当業者は容易に読み取ることができる。それぞれの原子に分枝が生じていてもよい。
【0051】
さらに本発明の対象は、式(I)のシリルアルキルボランまたは式(X)のシリルアルキルボラジンを化合物R'R''NH(この場合に、R'、R''はそれぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素である)と、−100℃〜300℃の温度で反応させる、このようなオリゴまたはポリホウ素カルボシラザンの製法である。
【0052】
本発明による分子状シリルアルキルボランまたはシリルアルキルボラジンは、少なくともn倍モル量の、特に少なくとも2n倍モル量の(ここで、nは分子中の架橋可能な部位の数である)、より有利には過剰量のアンモニアおよび/または式HNRまたはHNRのオルガニルアミン(式中、Rは、シリルアルキルボラン1モル当たりのH、C〜C−アルキル、ビニルまたはフェニルである)と、溶剤を用いるかまたは用いずに、−100〜300℃の温度で反応させるのが有利である。
【0053】
オリゴまたはポリホウ素カルボシラザンは、前駆体化合物、特に上記のシリルアルキルボランまたはシリルアルキルボラジンから、直接的な1成分前駆体の重合により、特に−100〜500℃の温度での重縮合により形成することもできる。アンモニアおよび/またはアミンの使用は、直接的な重合の場合には必要ではない。
【0054】
本発明の対象は、液体、粘性液体または固体、部分的に可溶性で、かつ溶融可能なポリマーの形で生じるオリゴまたはポリホウ素カルボシラザンのレオロジー特性を、アンモニアを用いてまたは温度処理により調節する方法である。ポリマー形成の種類により、オリゴまたはポリホウ素カルボシラザンの架橋度を調節できる。アンモニアまたはアミンを使用する場合には、高いクロス架橋構造が生じ、直接的な重合の間に、例えば≦500℃、有利には≦300℃の温度処理により、主に直線状構造が得られる。従って、種々の望ましレオロジー特性を有するオリゴもしくはポリホウ素カルボシラザンを目的として製造するか、もしくはオリゴまたはポリホウ素カルボシラザンのレオロジー特性を相応する後処理により変性させることができる。
【0055】
オリゴまたはポリホウ素カルボシラザンは、液体、粘性液体または固体、部分的に可溶性で、かつ溶融可能なポリマーの形で生じ、これらは、種々の付形法、例えば、注入成形、紡糸により繊維にし、フィルムの引抜きを行うことができ、また浸漬被覆(“ディップコーティング”)または遠心力被覆(“スピンコーティング”)のような種々の被覆法により被覆を製造することができ、その後に、例えばこれらを反応してケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミックにする。
【0056】
本発明のもう1つの対象は、本発明によるオリゴまたはポリホウ素カルボシラザンと、構造単位Si-C-B(N)-Nまたは式(I)のシリルアルキルボランまたは式(X)のシリルアルキルボラジンとを、不活性またはアンモニア含有雰囲気中、−200℃から+200℃の温度で熱分解し、かつ引き続き不活性またはアンモニア含有雰囲気中で、800〜2000℃の温度で焼成することによるケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミックの製法である。
【0057】
不活性雰囲気は、希ガス雰囲気、例えば、アルゴンまたはヘリウム雰囲気、窒素雰囲気または、例えば、反応条件下で800℃〜1700℃の間で反応相手と反応しない他の不活性ガスから成る大気から選択することができる。
【0058】
本発明による方法の有利な実施態様において、オリゴまたはポリホウ素カルボシラザンは、30〜1000℃の温度で数時間温度処理される。引き続き、これは有利に水素を除去するために、1200〜1600℃の温度、有利には1〜100K/分の加熱速度で、窒素またはアルゴン雰囲気中で焼成される。
【0059】
さらに本発明の対象は、上記の方法により製造された、本発明によるオリゴまたはポリホウ素カルボシラザンから成るケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミックである。
【0060】
このセラミックは、N-Si-C-B-N-構造要素および特に構造単位Si-C-B-N-B-C-Si、Si-C-B-N-Si-C-Bまたは/およびB-C-Si-N-Si-C-Bを含有するのが有利である。
【0061】
本発明によるセラミックは、熱分解の際に結晶質の形でも非晶質の形でも生じる。ケイ素ホウ素炭化物窒化物粉末であるのが有利である。特に有利な特性にもかかわらず、元素N、Si、CおよびBを93質量%以上、特に97質量%以上含有するセラミックが有利である。本発明によるセラミックは、<7質量%、有利には<3質量%および特に<1質量%または<0.5質量%の特に僅かな酸素含量を有する。
【0062】
非晶質材料から材料SiC、Si、BN、CおよびBCの少なくとも1種を含有する複合セラミックへの結晶化は、1400℃以上の温度での熱処理により行うことができる。このような複合セラミック中では、成分はナノメーターの尺度で実質的に完全に均一に分散しており、すなわち、単分散して分布した形で存在する。本発明による複合セラミックは、特に高い温度安定性により傑出しており、かつ完全にもしくは部分的に結晶質、特に粉末として存在することができる。
【0063】
オリゴまたはポリホウ素カルボシラザン、セラミックおよび複合セラミックは、セラミック粉末、セラミック被覆、セラミック成形品、セラミックフィルム、セラミック繊維またはセラミックミクロ構造を製造するために使用することができる。
【0064】
本発明によるシリルアルキルボラン、オリゴおよびポリホウ素カルボシラザンを、化学蒸着(CVD)または物理蒸着(PVD)において使用することができる。CVDまたはPVDにより基材を被覆することにより、セラミックコーティングまたは被覆を製造することができる。この場合に、気相分離は、先行技術に記載されたように実施することができる(例えば、DE-19635848参照のこと)。
【0065】
ミクロ構造は、例えば射出成形またはリトグラフィーによる方法により製造することができる。セラミックは、複合材料を製造するために適切である。セラミックを繊維の形で製造し、これから例えば織物もしくは網状物を作成するのが特に有利であり、これは充填物として他のセラミックに関して強度または粘着性を高めるために使用することができる。
【0066】
本発明のもう1つの対象は、式(I)
(R)Si−C(R)(R)−B(R) (I)
[式中、Rはそれぞれ相互に独立に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、水素、ハロゲン、N(R')(R'')または(OR')(この場合に、R'およびR''は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、それぞれ相互に独立に水素、ハロゲンまたは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素である]
の化合物の製法である。本発明による方法では、触媒、塩基および酸捕捉剤から成る適切な組合せの存在で、一般式(VI)
(R)Si−C(R)(R)−X (VI)
[式中、Xは水素、ハロゲンまたはシリル基である]
のシランを、一般式(VII)
B(R)
のボランと反応させる(この場合に、Rはそれぞれ相互に独立に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、水素、ハロゲン、N(R')(R'')またはO(R')(この場合に、R'およびR''は、それぞれ相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)。
【0067】
本発明のもう1つの対象は、式(I)
(R)Si−C(R)(R)−B(R) (I)
[式中、Rはそれぞれ相互に独立に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、水素、ハロゲン、N(R’)(R’’)またはO(R’)(この場合に、R’およびR’’は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、相互に独立に水素、ハロゲンまたは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である]
の化合物の製法であり、前記方法は、触媒、塩基および酸捕捉剤から成る適切な組合せの存在で、一般式(VIII)
(R)Si−C(R)(R)−H (VIII)
のCH−酸性化合物を、一般式(IX)
Y−B(R)
[式中、Rは上記のものであり、Yはハロゲン、NR’R’’またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)である]
のボランと反応させることにより特徴付けられる。
【0068】
2つの上記の方法の場合の酸捕捉剤として、特に無機イオン交換体またはゼオライトを使用することができる。
【0069】
以下に、本発明を例を用いて説明する:
実施例:
例1:(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタンの製造
反応方程式:
1)ClSi-CH-Cl+Mg → ClSi-CH-MgCl
2)ClSi-CH-MgCl+Cl-B(OCH) → ClSi-CH-B(OCH)+MgCl
3)ClSi-CH-B(OCH)+2BCl → ClSi-CH-BCl+2ClB(OCH)
3ClB(OCH) → 3CHCl+BCl+BO[触媒:AlCl]
クロロメチル−トリクロロシラン 201mmol、36.9g
マグネシウム 288mmol、7.0g
ビス(エトキシ)クロロボラン 224mmol、23.3g
三塩化ホウ素 488mmol、57.2g
三塩化アルミニウム 19mmol、0.5g
マグネシウム粉末7.0gを無水ジエチルエーテル150ml中に懸濁させた。クロロメチルトリクロロシランを数滴添加し、場合により軽度に加熱することにより、反応を開始した。この懸濁液に15℃で、ジエチルエーテル200ml中のクロロメチルトリクロロシラン36.9gの溶液を滴加した。添加を行った後に、反応混合物を−78℃まで冷却し、かつビス(エトキシ)クロロボラン23.3gを鋳型に添加した。反応混合物を反応温度まで加熱し、生じた塩化マグネシウムを濾別し、かつ濾液を溶剤から除いた。−78℃で残留物上に三塩化ホウ素57.2gを凝縮させた。過剰の三塩化ホウ素を除去するために、前記混合物を室温まで加熱し、三塩化アルミニウム0.5gを用いて、副生成物であるエトキシジクロロボランを接触分解した。全ての揮発性生成物をコールドトラップに収集し、かつ分別蒸留した。
【0070】
H-NMR (300 MHz, CD): δ=1.62. - 11B-NMR (96 MHz, CD): δ=58.61. -13C-NMR (75 MHz, CD): δ=30.53 (d). -29Si-NMR (60 MHz, CD): δ=3.13.
例2:(ジクロロメチルシリル)(ジクロロボリル)メタンの製造
反応方程式:
1)Cl(CH)Si-CH-Cl+Mg → Cl(CH)Si-CH-MgCl
2)Cl(CH)Si-CH-MgCl+Cl-B(OCH → Cl(CH)Si-CH-B(OCH+MgCl
3)Cl(CH)Si-CH-B(OCH+2BCl → Cl(CH)Si-CH-BCl+2ClB(OCH
3ClB(OCH) → 3CHCl+BCl+BO[触媒:AlCl]
クロロメチル−メチルジクロロシラン 197mmol、32.3g
マグネシウム 288mmol、7.0g
ビス(エトキシ)クロロボラン 224mmol、23.3g
三塩化ホウ素 488mmol、57.2g
三塩化アルミニウム 19mmol、0.5g
マグネシウム粉末7.0gを無水ジエチルエーテル150ml中に懸濁させた。クロロメチルメチルジクロロシランを数滴添加し、場合により軽度に加熱することにより、反応を開始した。この懸濁液に15℃で、ジエチルエーテル200ml中のクロロメチルメチルジクロロシラン32.3gの溶液を滴加した。添加を行った後に、反応混合物を−78℃まで冷却し、かつビス(エトキシ)クロロボラン23.3gを鋳型に添加した。反応混合物を反応温度まで加熱し、生じた塩化マグネシウムを濾別し、かつ濾液を溶剤から除いた。−78℃で残留物上に三塩化ホウ素57.2gを凝縮させた。過剰の三塩化ホウ素を除去するために、前記混合物を室温まで加熱し、かつ三塩化アルミニウム0.5gを用いて、副生成物であるエトキシジクロロボランを接触分解した。全ての揮発性生成物をコールドトラップに収集し、かつ分別蒸留した。
【0071】
H-NMR (300 MHz, CD): δ=1.47 (CH); 0.47 (CH). - 11B-NMR (96 MHz, CD): δ=58.61. -13C-NMR (75 MHz, CD): δ=29.28 (d). -29Si-NMR (60 MHz, CD): δ=23.85.
例3:トリス(ジメチルアミノ)シリル−ビス(ジメチルアミノ)ボリル−メタンの製法
反応方程式:
ClSi-CH-BCl+10(CHNH → [(CHN]Si-CH-B[N(CHN]+5(CHNHCl
(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン 75mmol、17.3g
ジメチルアミン 3810mmol、171.8g
無水ヘキサン200ml中のジメチルアミン171.8gから成る溶液に、無水ヘキサン200ml中の(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン17.3gから成る溶液を滴加した。反応混合物を室温まで加熱した後、生じたジメチルアミンヒドロクロリドを濾別し、濾液を溶剤から除き、かつ残留物を分別蒸留した。
【0072】
H-NMR(300MHz、CD):δ=2.45(SiNCH);2.50(BNCH)。
【0073】
例4:(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタンとモノメチルアミンの反応
(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン 37mmol、8.5g
モノメチルアミン 1722mmol、53.5g
無水ヘキサン120ml中のモノメチルアミン53.5gから成る溶液に、無水ヘキサン120ml中の(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン8.5gから成る溶液を滴加した。反応混合物を室温まで加熱した後、生じたモノメチルアミンヒドロクロリドを濾別し、濾液を溶剤から除いた。ポリホウ素カルボシラザンは透明な粘性残留物として残った。
【0074】
例5:トリス(ジメチルアミノ)シリルビス(ジメチルアミノ)ボリルメタンとアンモニアとの反応
トリス(ジメチルアミノ)シリルビス(ジメチルアミノ)ボリルメタン 32mmol、8.7g
アンモニア 5000mmol、85.0g
トリス(ジメチルアミノ)シリル/ビス(ジメチルアミノ)ボリル/メタン8.7gを、−50℃でアンモニア85.0g中で48時間撹拌した。アンモニアを留去した後に、ポリホウ素カルボシラザンは白色固体残留物として残った。
【0075】
例6 B, B', B''−(トリクロロシリルメチル)ボラジンの製造
反応方程式:
3ClSi-CH-BCl+3(CHSi-NH-SiCl
[ClSi-CH-BNH]+3SiCl++3(CHSiCl
(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン 36mmol、8.4g
(トリクロロシリル)(トリメチルシリル)アミン 50mmol、11.2g
ヘキサン50ml中の(トリクロロシリル)(トリメチルシリル)アミン11.2gから成る溶液に、室温で撹拌しながら、ヘキサン20ml中の(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン8.4gから成る溶液を滴加した。18時間の反応時間後に、全ての揮発性成分を10ミリバールで留去し、かつ残留物をジクロロメタンから晶出した。
【0076】
H-NMR (300 MHz, CD): δ=0.61 (CH); 4.50 (NH). - 13C-NMR (75 MHz, CD): δ=16.98. -11B-NMR (96 MHz, CD): δ=32.74.
例7 B, B', B''−(トリクロロシリルメチル)ボラジンの製造
反応方程式:
3ClSi-CH-BCl+3(CHSi-NH-Si(CH
[ClSi-CH-BNH]+6(CHSiCl
(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン 43mmol、9.9g
ヘキサメチルジシラザン 45mmol、7.3g
(トリクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン9.9gに撹拌しながら室温で、ヘキサメチルジシラザン7.3gを滴加した。12時間後に全ての揮発性成分を高真空中で留去し、かつ残留物をジクロロメタンから晶出した。
【0077】
例8 B, B’, B’’−(メチルジクロロシリルメチル)ボラジンの製造
反応方程式:
3Cl(CH)Si-CH-BCl+3(CHSi-NH-SiCl
[Cl(CH)Si-CH-BNH]+3SiCl+3(CHSiCl
(メチルジクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン 62mmol、13.0g
(トリクロロシリル)(トリメチルシリル)アミン 69mmol、15.4g
ヘキサン70ml中の(トリクロロシリル)(トリメチルシリル)アミン15.4gから成る溶液に、撹拌しながら室温でヘキサン30ml中の(メチルジクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン13.0gから成る溶液を滴加した。18時間の反応時間後に、全ての揮発性成分を10ミリバールで留去し、かつ残留物をジクロロメタンから晶出した。
【0078】
H-NMR (300 MHz, CD): δ=0.48 (CH); 0.49 (CH); 4.53(NH). - 13C-NMR (75 MHz, CD): δ=6.84 (CH); 14.68 (CH). -11B-NMR (96 MHz, CD): δ=33.60.
例9 B, B', B''−(メチルジクロロシリルメチル)ボラジンの製造
反応方程式:
3Cl(CH)Si-CH-BCl+3(CHSi-NH-Si(CH
[Cl(CH)Si-CH-BNH]+6(CHSiCl
(メチルジクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン 55mmol、11.5g
ヘキサメチルジシラザン 61mmol、9.8g
(メチルジクロロシリル)(ジクロロボリル)メタン11.5gに、撹拌しながら室温でヘキサメチルジシラザン9.8gを滴加した。12時間後に、全ての揮発性成分を高真空中で留去し、かつ残留物をジクロロメタンから晶出した。

Claims (20)

  1. 式(I)
    (R)Si−C(R)(R)−B(R)
    [式中、Rはそれぞれ相互に独立に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、ハロゲン、またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、水素である]
    の化合物の製法において、
    一般式(II)
    (R)Si−C(R)(R)−X
    [式中、Xはハロゲンである]
    のシランを、金属Mと50℃を下回る温度で非プロトン性有機溶剤中で反応させて、一般式(III)
    (R)Si−C(R)(R)−M(X)
    [式中、Mが一価の金属である場合にはw=0であり、かつ
    Mが多価の金属である場合にはwはM−1の原子価に相当する≧1の整数である]
    のシランにし、かつ一般式(III)の化合物を引き続き50℃を下回る温度で一般式
    Y−B(R)
    [式中、Rは上記の意味であり、かつYはハロゲンである]
    のボランと反応させることを特徴とする、式(I)の化合物の製法。

  2. (R)Si-CHCl
    [式中、Rはそれぞれ独立に請求項1に記載の意味を有することができる]
    のクロロメチルシラン化合物を、グリニャール反応においてマグネシウム粉末で金属化し、かつ引き続きハロゲンボランと反応させる、請求項1に記載の方法。
  3. 一般式(III)のシランを少なくとも1種のアルコキシ−またはフェニルオキシ−クロロボランXB(R)(R3’)(この場合、XはClであり、かつRとR3’は相互に独立にC〜C20−アルコキシ基またはフェニルオキシ基である)と反応させる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 一般式(IV)
    (R)Si−C(R)(R)−B(X)
    [式中、RおよびRはそれぞれ水素であり、Rはそれぞれ相互に独立に水素、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、NR’R’’基またはOR’基(この場合に、R’’およびR’は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、
    Xはハロゲンである]
    の化合物の製法において、一般式(V)
    (R)Si−C(R)(R)−B(OR’)(OR’’)
    の化合物を、三塩化ホウ素と反応させることを特徴とする、一般式(IV)の製法。
  5. 一般式(I)
    (R)Si−C(R)(R)−B(R)
    [式中、Rは、それぞれ相互に独立に、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつ
    およびRは、水素である]
    の分子状シリルアルキルボラン。
  6. R基の少なくとも1個はメチルまたは/およびClである、請求項5に記載の分子状シリルアルキルボラン。
  7. 式(X)
    Figure 0005150032
    [式中、Rはそれぞれ相互に独立に水素、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、NR’R’’またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、NR’R’’またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRは、それぞれ相互に独立に水素、ハロゲン、NR’R’’またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であるか、またはSn(RまたはSi(R(この場合に、Rはそれぞれ独立にRまたは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)である]
    を有するシリルアルキルボラジン。
  8. 請求項5もしくは請求項6に記載の式(I)[式中、R’およびR’’は請求項5に定義したとおりである]の化合物、または請求項7に記載の式(X)の化合物を、1成分前駆体として−100〜500℃の温度での重合又は重縮合反応により反応させることを特徴とするオリゴホウ素カルボシラザンまたはポリホウ素カルボシラザンの製造方法。
  9. 構造特性
    Figure 0005150032
    を有することに特徴付けられる、請求項5から6までのいずれか1項に記載の式(I)の化合物または請求項7に記載の式(X)の化合物から得られる、オリゴホウ素カルボシラザンまたはポリホウ素カルボシラザン。
  10. ケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミックの製法において、請求項9に記載のオリゴホウ素カルボシラザンまたはポリホウ素カルボシラザン、または請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法により得られる式(I)のシリルアルキルボランまたは式
    Figure 0005150032
    [式中、Rはそれぞれ相互に独立に水素、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、NR’R’’またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、NR’R’’またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、それぞれ独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRは、R、Sn(RまたはSi(R(この場合に、Rはそれぞれ独立にRまたは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)である]
    を有するシリルアルキルボラジンを、不活性またはアンモニア含有雰囲気中、−200℃から+2000℃の温度で熱分解し、引き続き不活性またはアンモニア含有雰囲気中、800〜2000℃の温度で焼成することを特徴とする、ケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミックの製法。
  11. セラミック中にN-Si-C-B-N−構造単位が存在する、請求項10に記載の方法を用いて得られるケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミック。
  12. 非晶質のセラミックである、請求項11に記載のセラミック。
  13. 元素N、Si、CおよびBが93質量%以上含有されている、請求項11または12に記載のセラミック。
  14. 成分SiC、Si、BN、CおよびBCの少なくとも1種以上から成る複合セラミックの製法において、請求項11から13までのいずれか1項に記載のケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミックを1400℃より上の温度で熱処理することを特徴とする、複合セラミックの製法。
  15. 請求項10に記載の方法により請求項11から13までのいずれか1項に記載のケイ素ホウ素窒化物セラミックを結晶化することにより得られる複合セラミックにおいて、SiC、Si、BN、Cまたは/およびBCは分子分散した分布の形で存在することを特徴とする、複合セラミック。
  16. 少なくとも部分的に結晶質のセラミックである、請求項15に記載の複合セラミック。
  17. セラミック粉末、セラミック被覆、セラミック成形品、セラミックフィルム、セラミック繊維またはセラミック微細構造を製造するための、請求項10に記載のオリゴホウ素カルボシラザンまたはポリホウ素カルボシラザン、請求項11から13までのいずれか1項に記載のケイ素ホウ素炭化物窒化物セラミックまたは請求項15または16に記載の複合セラミックの使用方法。
  18. 式(I)
    (R)Si−C(R)(R)−B(R)
    [式中、Rはそれぞれ相互に独立に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、ハロゲン、またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、水素である]
    の化合物の製法において、触媒、塩基および/または酸捕捉剤から成る組合せの存在で、一般式(VI)
    (R)Si−C(R)(R)−X
    [式中、Xは水素、ハロゲンまたはシリル基である]
    のシランを、一般式(VII)
    B(R)
    [式中、Rはそれぞれ相互に独立に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、水素、ハロゲン、NR’R’’またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)である]
    のボランと反応させることを特徴とする、式(I)の化合物の製法。
  19. 式(I)
    (R)Si−C(R)(R)−B(R)
    [式中、Rはそれぞれ相互に独立に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素、ハロゲン、またはOR’(この場合に、R’およびR’’は、相互に独立に水素または1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基である)であり、かつRおよびRは、水素である]
    の化合物の製法において、触媒、塩基および/または酸捕捉剤から成る組合せの存在で、一般式(VIII)
    (R)Si−C(R)(R)−H
    のCH−酸性化合物を、一般式(IX)
    Y−B(R)
    [式中、Rは上記のものであり、Yはハロゲンである]
    のボランと反応させることを特徴とする、式(I)の化合物の製法。
  20. 酸捕捉剤として、無機イオン交換体またはゼオライトを使用する、請求項18または19に記載の方法。
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