JP2018166062A - 蓄電デバイス用セパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
ポリオレフィン微多孔膜基材の少なくとも片面に、無機粒子及びバインダを含む塗工液を塗工し、乾燥させて、少なくとも一層の塗工層を形成することを含む、蓄電デバイス用セパレータの製造方法であって、
上記塗工は、ドクターブレード及びグラビアロールを有するグラビアコーターにより行われ、
上記グラビアロールの回転軸に対して垂直な断面において、上記ドクターブレードの下面と上記グラビアロールとの接触部のうち最下点をAとし、上記グラビアロールの中心点をBとし、Bを通る水平線と上記ドクターブレードの下面又はその延長線との交点をCとし、∠BACをα、∠ABCをβとすると、
90°<α≦140°、及び
20°≦β≦80°
を満たす、方法。
[2]
上記グラビアロールの回転軸に対して垂直な断面において、上記グラビアロールの半径をr、AC間の距離をL、∠ACBをθとし、
上記ドクターブレードの下面と上記グラビアロールとの接触部のうち最上点をA’とし、上記グラビアロールに沿ったAA’の長さをL’とすると、
0°<θ≦45°、及び
0.30<(L+L’)×tanθ/r<1.00
を満たす、項目1に記載の方法。
[3]
上記無機粒子の粒度分布が、0.1μm≦D50≦3.0μm、及び1.0<D90/D50≦4.0を満たす、項目1又は2に記載の方法。
[4]
剪断速度60,000s−1における上記塗工液の剪断粘度η(mPa・s)が、1.0≦η≦60である、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
[5]
上記ドクターブレードの材料が、ポリエチレン、強化ポリエチレン、ポリエステル、強化ポリエステル、又はポリアセタールである、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[6]
上記塗工層の厚みが1〜10μmである、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[7]
上記無機粒子は、水酸化酸化アルミニウム及び/又は酸化アルミニウムを含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
〈ドクターブレードとグラビアロールとの位置関係〉
図1は、本実施形態におけるドクターブレード及びグラビアロールの位置関係を説明するための、グラビアロールの回転軸に対して垂直な断面を示す模式図である。図2は、図1におけるドクターブレードとグラビアロールとの接触部分の拡大図である。本実施形態の蓄電デバイス用セパレータの製造方法は、ポリオレフィン微多孔膜基材の少なくとも片面に、無機粒子及びバインダを含む塗工液を塗工し、乾燥させて、少なくとも一層の塗工層を形成することを含む。塗工は、ドクターブレード(10)及びグラビアロール(30)を有するグラビアコーター(100)により行われる。図1及び2に模式的に示すように、ドクターブレードの下面(12)とグラビアロールとの接触部(13)のうち最下点をAとし、グラビアロールの中心点をBとし、Bを通る水平線とドクターブレードの下面との交点をCとする。ドクターブレードは、ブレードフォルダ(20)等によって把持されていてもよく、その場合、Bを通る水平線と、ドクターブレードの下面の延長線との交点をCとする。このとき想定される角度∠BACをα、∠ABCをβとすると、90°<α≦140°、及び20°≦β≦80°を満たす。
本願明細書において、「ポリオレフィン微多孔膜基材」とは、ポリオレフィン樹脂を主成分とする微多孔膜基材を意味する。ポリオレフィン樹脂を「主成分とする」とは、ポリオレフィン微多孔膜基材を構成する樹脂成分のうち、50質量%以上100質量%以下がポリオレフィン樹脂であることを意味する。シャットダウン性能等を向上させる観点から、ポリオレフィン微多孔膜基材を構成する樹脂成分のうち、ポリオレフィン樹脂が占める割合は、好ましくは60質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下である。また、ポリオレフィン微多孔膜基材の全質量のうち、ポリオレフィン樹脂が占める割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
まず、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入し、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で可塑剤を導入して混練する方法が挙げられる。この際、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を樹脂混練装置に投入する前に、予めヘンシェルミキサー等を用いて所定の割合で事前混練しておくことが好ましい。より好ましくは、事前混練において可塑剤の一部のみを投入し、残りの可塑剤を樹脂混練装置にサイドフィードしながら混練する。このような混練方法を用いることにより、可塑剤の分散性が高まり、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練物のシート状成形体を延伸する際に、破膜することなく高倍率で延伸することができる傾向にある。
塗工液は、無機粒子及びバインダを含み、典型的には、無機粒子及びバインダが溶媒中に分散した分散体(スラリー)である。
ドクターブレードの材質としては、樹脂製ブレード、ステンレス製ブレード、セラミック製ブレード等が挙げられる。塗工液の成分は、一般的には顔料比率が高く、ブレード直下の塗工液に高シェアがかかると、局所的に急激に固形分が上昇して、多孔層表面にストリークが発生し易い。したがって、高剛性であるステンレス製又はセラミック製ブレードよりも弾力性のある樹脂製ブレードを用いることにより、ブレード直下の塗工液に高シェアがかかり難く、急激な固形分の上昇を抑制でき、塗工層表面のストリークの発生をより効果的に抑制することができる。
実施例中の物性は以下の方法により測定した。なお、測定雰囲気が明示されていないものは、23℃、1気圧の大気中にて測定した。
無機フィラーを蒸留水に加え、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を少量添加してから超音波ホモジナイザーで1分間分散させた後、レーザー式粒度分布測定装置(日機装(株)製マイクロトラックMT3300EX)を用いて粒径分布を測定し、小粒径側より体積累積頻度が50%となる粒径をD50(μm)、90%となる粒径をD90(μm)とした。
三井精機製のハイシェア回転粘度計(HVS−31)を用いて塗工液の剪断粘度の測定を行った。回転加速時における剪断速度60,000(1/s)時の剪断粘度を測定した。
塗工膜の平滑性は、JIS−B−0601に準じて測定した。
塗工面側を測定し、JIS−B−0601に記載の中心線平均粗さをRaとした。測定装置は非接触3次元表面粗さ計 New View 5032 ザイゴ社製を使用した。垂直方向に0.14mm、水平方向に0.18mmの範囲(面積0.0252mm2)で、垂直分解能が0.1nm、水平分解能が0.64μm測定条件で膜の表面粗さ(Ra)を測定した。
塗工開始時の塗工層目付(乾燥重量)と5000m(±100m)連続塗工後の塗工目付け(乾燥重量)とを測定した。開始時及び5000m後の、それぞれの塗工部近傍の未塗工基材の重量と塗工膜の重量との差分により、それぞれの塗工層の目付を算出した。以下の式により、塗布減少率(%)を算出した。
塗布減少率(%)=(開始時の塗布目付−5000m後の塗布目付)/開始時の塗布目付×100
粘度平均分子量(Mv)が70万のポリエチレンを47質量部と、Mvが30万のポリエチレンを46質量部と、Mvが40万のポリプロピレンを7質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99質量部に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより混合物を得た。得られた混合物を、窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
角度α、β、θを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1の方法に準じてセパレータを得た。
塗工液として下記「B塗料」を用い、ドクターブレードとして、ガラス強化繊維ポリエチレンテレフタレート(PET)製、表面粗さの最大高さ7μmのブレードを使用し、角度α、β、θを表2に示すように変更したこと以外は、実施例1の方法に準じてセパレータを得た。
塗工液として、それぞれ、下記「C塗料」、「D塗料」、又は「E塗料」を用い、ブレード材質、及び角度α、β、θを表2に示すように変更したこと以外は、実施例1の方法に準じてセパレータを得た。
塗工液として、それぞれ、表2に示す塗工液を用い、角度α、β、θを表2に示すように変更したこと以外は、実施例1の方法に準じてセパレータを得た。
11 ドクターブレードの上面
12 ドクターブレードの下面
13 ドクターブレードの下面とグラビアロールとの接触部
20 ブレードフォルダ
30 グラビアロール
31 グラビアロールの回転方向
100 グラビアコーター
A ドクターブレードの下面とグラビアロールとの接触部のうち最下点
A’ ドクターブレードの下面とグラビアロールとの接触部のうち最上点
B グラビアロールの中心点
B’ 水平線と直線ABとの交点
C Bを通る水平線とドクターブレードの下面又はその延長線との交点
C’ 水平線と直線ACとの交点
L’ グラビアロールに接する領域AA’の、グラビアロールに沿った幅
α ∠BAC
β ∠ABC
θ ∠ACB
r グラビアロールの半径
Claims (7)
- ポリオレフィン微多孔膜基材の少なくとも片面に、無機粒子及びバインダを含む塗工液を塗工し、乾燥させて、少なくとも一層の塗工層を形成することを含む、蓄電デバイス用セパレータの製造方法であって、
前記塗工は、ドクターブレード及びグラビアロールを有するグラビアコーターにより行われ、
前記グラビアロールの回転軸に対して垂直な断面において、前記ドクターブレードの下面と前記グラビアロールとの接触部のうち最下点をAとし、前記グラビアロールの中心点をBとし、Bを通る水平線と前記ドクターブレードの下面又はその延長線との交点をCとし、∠BACをα、∠ABCをβとすると、
90°<α≦140°、及び
20°≦β≦80°
を満たす、方法。 - 前記グラビアロールの回転軸に対して垂直な断面において、前記グラビアロールの半径をr、AC間の距離をL、∠ACBをθとし、
前記ドクターブレードの下面と前記グラビアロールとの接触部のうち最上点をA’とし、前記グラビアロールに沿ったAA’の長さをL’とすると、
0°<θ≦45°、及び
0.30<(L+L’)×tanθ/r<1.00
を満たす、請求項1に記載の方法。 - 前記無機粒子の粒度分布が、0.1μm≦D50≦3.0μm、及び1.0<D90/D50≦4.0を満たす、請求項1又は2に記載の方法。
- 剪断速度60,000s−1における前記塗工液の剪断粘度η(mPa・s)が、1.0≦η≦60である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ドクターブレードの材料が、ポリエチレン、強化ポリエチレン、ポリエステル、強化ポリエステル、又はポリアセタールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記塗工層の厚みが1〜10μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記無機粒子は、水酸化酸化アルミニウム及び/又は酸化アルミニウムを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
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