JP2016072150A - 電池用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、緻密な多孔層を有し、かつ電池の高温保存特性を向上させることができる電池用セパレータの提供を目的とする。
【解決手段】多孔基材膜(A)の少なくとも片面に、無機フィラー、樹脂バインダー、及び分散剤を含む多孔層(B)を備える電池用セパレータであって、前記無機フィラーのメジアン径が、0.55μm以上1.2μm以下であり、前記分散剤は、前記無機フィラー100質量部に対し、0.1質量部以上5質量部以下の割合で存在し、前記分散剤の質量平均分子量が、300以上10,000以下であり、かつ前記分散剤を固形分が10質量%になるように水に分散又は溶解したときの25℃でのpHが、3〜9である、前記電池用セパレータが提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池用セパレータ等に関する。
従来、リチウムイオン二次電池等の電池用セパレータの耐熱性を向上させるために、ポリオレフィン樹脂を主成分とする多孔基材膜の少なくとも片面に、無機フィラー及び樹脂バインダーを含む多孔層を備える電池用セパレータが、提案されていた。
電池の高容量化を実現するためには、電池用セパレータの薄膜化、特に多孔層の薄膜化が求められている。しかしながら、多孔層を薄膜化していくと、電池用セパレータに十分な耐熱性を付与できなくなり、電池の安全性が低下する。
多孔層を薄膜化するとしても、1次粒子径の小さな無機フィラーを使用することで、多孔層をより緻密化し、高温下での熱収縮抑制効果を高め、電池の安全性を向上させることが期待される。しかしながら、1次粒子径の小さな無機フィラーは、塗工液中で凝集し易く、無機フィラーの分散状態を安定に保つことが困難である。塗工液中で無機フィラーの分散状態を安定に保つことができないと、微粒子の凝集又は沈降が生じ、塗工液を多孔基材膜に塗工した際に、塗工面が不均一になるので、均一で緻密な多孔層を形成し難い。なお、緻密な多孔層とは、多孔層の孔径が小さいことを指す。
塗工液中で無機フィラーの分散状態を安定に保つために、無機フィラー、分散媒、増粘剤及び分散剤を含む塗工液であって、塗工液粘度が5〜500mPa・sであり、かつ無機フィラーに含まれる粒子の中で、粒径が1μm以下の粒子の割合が30体積%以上であり、かつ粒径が3μm以上の粒子の割合が10体積%以下である塗工液が提案されている(特許文献1)。
電池の安全性と充放電効率を両立するために、無機フィラー粒子の粒子径分布において、50%累積値D50が100nm〜500nmであり、10%累積値D10が0.5D50以上であり、かつ90%累積値D90が2D50以下である無機フィラー分散液も提案されている(特許文献2)。
熱収縮率の低いセパレータを提供するために、無機フィラーの平均粒径が0.10μm以上3.0μm以下である多孔層も提案されている(特許文献3)。
国際公開第2009/096451号 特許第5470255号公報 国際公開第2014/069410号
特許文献1及び2に記載の塗工液は、フィラーの媒体への均一分散性が向上するものの、均一分散状態を保つ保存安定性を維持することが困難であった。特許文献3に記載の塗工液は、無機フィラーの分散性及び粒子径分布について、さらなる検討の余地がある。
したがって、本発明は、緻密な多孔層を有し、かつ電池の高温保存特性を向上させることができる電池用セパレータの提供を目的とする。
本発明は、以下の通りである:
[1] 多孔基材膜(A)の少なくとも片面に、無機フィラー、樹脂バインダー、及び分散剤を含む多孔層(B)を備える電池用セパレータであって、
前記無機フィラーのメジアン径が、0.55μm以上1.2μm以下であり、
前記分散剤は、前記無機フィラー100質量部に対し、0.1質量部以上5質量部以下の割合で存在し、
前記分散剤の質量平均分子量が、300以上10,000以下であり、かつ
前記分散剤を固形分が10質量%になるように水に分散又は溶解したときの25℃でのpHが、3〜9である、
前記電池用セパレータ。
[2] 前記分散剤は水溶性ポリマー分散剤である、[1]に記載の電池用セパレータ。
[3] 前記水溶性ポリマー分散剤は、ポリカルボン酸塩である、[2]に記載の電池用セパレータ。
[4] 前記無機フィラーは、アルミナ、シリカ、カオリン及びベーマイトから成る群から選択される、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の電池用セパレータと、正極と、負極と、電解液とを備える、非水電解液電池。
本発明によれば、無機フィラーが樹脂バインダー中に均一に分散され、多孔基材膜(A)上に緻密な無機フィラー含有多孔層(B)が形成されるので、信頼性、安全性及び貯蔵特性に優れる電池用セパレータと、貯蔵特性及び充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池とを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<電池用セパレータ>
本発明の電池用セパレータについて説明する。
本発明の電池用セパレータは、多孔基材膜(A)と、前記多孔基材膜(A)の少なくとも片面に積層された多孔層(B)とを備え、かつ多孔層(B)は、無機フィラー、樹脂バインダー及び水溶性ポリマー分散剤を含む。
上記セパレータは、耐熱性に優れ、シャットダウン機能を有しているので電池の中で正極と負極を隔離する電池用セパレータに適している。特に、上記セパレータは高温においても短絡し難いため、高起電力電池用のセパレータとしても安全に使用できる。
本実施形態に係るセパレータでは、無機フィラーのメジアン径が、0.55μm以上1.2μm以下であり、0.6μm以上1.1μm以下であることが好ましく、0.7μm以上1.0μm未満であることがより好ましい。無機フィラーのメジアン径が0.55μm以上であるとき、電池用セパレータは、透気度に優れ、かつ高温での熱収縮を抑制する傾向にある。無機フィラーのメジアン径が1.2μm以下であるとき、無機フィラーは、樹脂バインダー中に均一に分散され、緻密な無機フィラー含有多孔層(B)が多孔基材膜(A)上に形成される傾向にある。
無機フィラーのメジアン径測定は、実施例に記載の方法で行なわれることができる。メジアン径測定は、無機フィラーの分散体を用いて、又は無機フィラー、樹脂バインダー及び分散剤を含む塗工液を用いて行われる。
本実施形態に係るセパレータでは、無機フィラー含有塗工液中での分散剤の使用、又は無機フィラーの熱処理、表面処理及び粉砕処理により、無機フィラーのメジアン径を0.55μm以上1.2μm以下に調整することができる。水溶性ポリマー分散剤の使用、並びに無機フィラーの熱処理、表面処理及び粉砕処理については後述する。
多孔基材膜(A)と、無機フィラー、樹脂バインダー及び分散剤を含む多孔層(B)とを以下に説明する。
[多孔基材膜(A)]
本発明における多孔基材膜(A)について説明する。
上記多孔基材膜(A)としては、電子伝導性が小さく、イオン伝導性を有し、有機溶媒に対する耐性が高く、孔径の微細なものが好ましい。
そのような多孔基材膜(A)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を含む多孔基材膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を含む多孔基材膜、ポリオレフィン系の繊維を織ったもの(織布)、ポリオレフィン系の繊維の不織布、紙、並びに、絶縁性物質粒子の集合体が挙げられる。これらの中でも、塗工工程を経て電池用セパレータを得る場合に、塗工液の塗工性に優れ、セパレータの膜厚をより薄くして、電池等の蓄電デバイス内の活物質比率を高めて体積当たりの容量を増大させる観点から、ポリオレフィン樹脂を含む多孔基材膜(以下、「ポリオレフィン樹脂多孔基材膜」ともいう。)が好ましい。
ポリオレフィン樹脂多孔基材膜について説明する。
ポリオレフィン樹脂多孔基材膜は、電池用セパレータとした時のシャットダウン性能等を向上させる観点から、多孔基材膜(A)を構成する樹脂成分の50質量%以上100質量%以下をポリオレフィン樹脂が占めるポリオレフィン樹脂組成物により形成される多孔基材膜(A)であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物におけるポリオレフィン樹脂が占める割合は、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物に含有されるポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等をモノマーとして用いて得られるホモ重合体、共重合体、又は多段重合体等が挙げられる。また、これらのポリオレフィン樹脂は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、電池用セパレータとした時のシャットダウン特性の観点から、ポリオレフィン樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの共重合体、並びにこれらの混合物が好ましい。
ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等、
ポリプロピレンの具体例としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等、
共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンラバー等、が挙げられる。
中でも、電池用セパレータとした時に低融点かつ高強度の要求性能を満たす観点から、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン、特に高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。なお、本発明において、高密度ポリエチレンとは密度0.942〜0.970g/cm3のポリエチレンをいう。高密度ポリエチレンの密度は、多孔基材膜(A)の強度の点から、0.950〜0.969(g/cm3)であることが好ましい。なお、本発明においてポリエチレンの密度とは、JIS K7112(1999)に記載のD)密度勾配管法に従って測定した値をいう。
また、多孔基材膜(A)の耐熱性を向上させる観点から、ポリオレフィン樹脂多孔基材膜の場合、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン及びポリプロピレンの混合物を用いることが好ましい。この場合、ポリオレフィン樹脂組成物中の、総ポリオレフィン樹脂に対するポリプロピレンの割合は、耐熱性と良好なシャットダウン機能を両立させる観点から、1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは4〜10質量%である。
ポリオレフィン樹脂組成物には、任意の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂以外の重合体;無機材;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の総添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、20質量部以下であることがシャットダウン性能等を向上させる観点から好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
多孔基材膜(A)は、非常に小さな孔が多数集まって緻密な連通孔を形成した多孔構造を有しているため、イオン伝導性に非常に優れると同時に耐電圧特性も良好であり、しかも高強度であるという特徴を有する。
多孔基材膜(A)は、上述した材料からなる単層膜であってもよく、積層膜であってもよい。
多孔基材膜(A)の膜厚は、0.1μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上50μm以下、さらに好ましくは3μm以上25μm以下である。機械的強度の観点から0.1μm以上が好ましく、電池の高容量化の観点から100μm以下が好ましい。多孔基材膜(A)の膜厚は、ダイリップ間隔、延伸工程における延伸倍率等を制御すること等によって調整することができる。
多孔基材膜(A)の平均孔径は、0.03μm以上0.70μm以下が好ましく、より好ましくは0.04μm以上0.20μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上0.10μm以下、特に好ましくは0.06μm以上0.09μm以下である。高いイオン伝導性と耐電圧の観点から、0.03μm以上0.70μm以下が好ましい。多孔基材膜(A)の平均孔径は、後述する測定法で測定することができる。
平均孔径は、組成比、押出シートの冷却速度、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることにより調整することができる。
多孔基材膜(A)の気孔率は、好ましくは25%以上95%以下、より好ましく30%以上65%以下、更に好ましくは35%以上55%以下である。イオン伝導性向上の観点から25%以上が好ましく、耐電圧特性の観点から95%以下が好ましい。多孔基材膜(A)の気孔率は、後述する方法で測定することができる。
多孔基材膜(A)の気孔率は、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることによって調整することができる。
多孔基材膜(A)がポリオレフィン樹脂多孔基材膜である場合、ポリオレフィン樹脂多孔基材膜の粘度平均分子量は、30,000以上12,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは50,000以上2,000,000未満、さらに好ましくは100,000以上1,000,000未満である。粘度平均分子量が30,000以上であると、溶融成形の際のメルトテンションが大きくなり成形性が良好になると共に、重合体同士の絡み合いにより高強度となる傾向にあるため好ましい。一方、粘度平均分子量が12,000,000以下であると、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にあるため好ましい。さらに、電池用セパレータとした時に、粘度平均分子量が1,000,000未満であると、温度上昇時に孔を閉塞しやすく良好なシャットダウン機能が得られる傾向にあるため好ましい。ポリオレフィン樹脂多孔基材膜の粘度平均分子量は、後述する方法で測定することができる。
多孔基材膜(A)を製造する方法としては特に制限はなく、公知の製造方法を採用することができる。多孔基材膜(A)がポリオレフィン樹脂多孔基材膜の場合、例えば、
(1)ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、必要に応じて延伸した後、孔形成材を抽出することにより多孔化させる方法、
(2)ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、
(3)ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形した後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、
(4)ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させてポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法、
等が挙げられる。
以下、多孔基材膜(A)を製造する方法の一例として、ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、孔形成材を抽出する方法について説明する。
まず、ポリオレフィン樹脂組成物と上記の孔形成材を溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入することで、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で孔形成材を導入して混練する方法が挙げられる。
上記孔形成材としては、可塑剤、無機材又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
可塑剤としては、特に限定されないが、ポリオレフィンの融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を用いることが好ましい。このような不揮発性溶媒の具体例としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。なお、これらの可塑剤は、抽出後、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。さらに、好ましくは、樹脂混練装置に投入する前に、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を、予めヘンシェルミキサー等を用いて所定の割合で事前混練しておく。より好ましくは、事前混練においては、可塑剤はその一部のみを投入し、残りの可塑剤は、樹脂混練装置に適宜加温しサイドフィードしながら混練する。このような混練方法を用いることにより、可塑剤の分散性が高まり、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練物のシート状成形体を延伸する際に、破膜することなく高倍率で延伸することができる傾向にある。
可塑剤の中でも、流動パラフィンは、ポリオレフィン樹脂がポリエチレンやポリプロピレンの場合には、これらとの相溶性が高く、溶融混練物を延伸しても樹脂と可塑剤の界面剥離が起こりにくく、均一な延伸が実施し易くなる傾向にあるため好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の比率は、これらを均一に溶融混練して、シート状に成形できる範囲であれば特に限定はない。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とからなる組成物中に占める可塑剤の質量分率は、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。可塑剤の質量分率が90質量%以下であると、溶融成形時のメルトテンションが十分となるため成形性が向上する傾向にある。一方、可塑剤の質量分率が20質量%以上であると、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤との混合物を高倍率で延伸した場合でもポリオレフィン分子鎖の切断が起こらず、均一かつ微細な孔構造を形成し易く、強度も増加し易い。
無機材としては、特に限定されず、例えば、アルミナ、シリカ(珪素酸化物)、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、電気化学的安定性の観点から、シリカ、アルミナ、チタニアが好ましく、抽出が容易である点から、シリカが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と無機材との比率は、良好な隔離性を得る観点から、これらの合計質量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、高い強度を確保する観点から、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
次に、溶融混練物をシート状に成形する。シート状成形体を製造する方法としては、例えば、溶融混練物を、Tダイ等を介してシート状に押出し、熱伝導体に接触させて樹脂成分の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却して固化する方法が挙げられる。冷却固化に用いられる熱伝導体としては、金属、水、空気、或いは可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、熱伝導の効率が高いため、金属製のロールを用いることが好ましい。また、押出した混練物を金属製のロールに接触させる際に、ロール間で挟み込むことは、熱伝導の効率がさらに高まると共に、シートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性も向上する傾向にあるためより好ましい。溶融混練物をTダイからシート状に押出す際のダイリップ間隔は200μm以上3,000μm以下であることが好ましく、500μm以上2,500μm以下であることがより好ましい。ダイリップ間隔が200μm以上であると、メヤニ等が低減され、スジや欠点など膜品位への影響が少なく、その後の延伸工程において膜破断などのリスクを低減することができる。一方、ダイリップ間隔が3,000μm以下であると、冷却速度が速く冷却ムラを防げると共に、シートの厚み安定性を維持できる。
また、シート状成形体を圧延してもよい。圧延は、例えば、ダブルベルトプレス機等を使用したプレス法にて実施することができる。圧延を施すことにより、特に表層部分の配向を増すことができる。圧延面倍率は1倍を超えて3倍以下であることが好ましく、1倍を超えて2倍以下であることがより好ましい。圧延倍率が1倍を超えると、面配向が増加し最終的に得られる多孔基材膜(A)の膜強度が増加する傾向にある。一方、圧延倍率が3倍以下であると、表層部分と中心内部の配向差が小さく、膜の厚さ方向に均一な多孔構造を形成することができる傾向にある。
次いで、シート状成形体から孔形成材を除去して多孔基材膜(A)とする。孔形成材を除去する方法としては、例えば、抽出溶剤にシート状成形体を浸漬して孔形成材を抽出し、充分に乾燥させる方法が挙げられる。孔形成材を抽出する方法はバッチ式、連続式のいずれであってもよい。多孔基材膜(A)の収縮を抑えるために、浸漬、乾燥の一連の工程中にシート状成形体の端部を拘束することが好ましい。また、多孔基材膜(A)中の孔形成材残存量は多孔基材膜(A)全体の質量に対して1質量%未満にすることが好ましい。
孔形成材を抽出する際に用いられる抽出溶剤としては、多孔基材膜(A)がポリオレフィン樹脂多孔基材膜の場合、ポリオレフィン樹脂に対して貧溶媒で、かつ孔形成材に対して良溶媒であり、沸点がポリオレフィン樹脂の融点より低いものを用いることが好ましい。このような抽出溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。なお、これらの抽出溶剤は、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。また、孔形成材として無機材を用いる場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を抽出溶剤として用いることができる。
また、上記シート状成形体または多孔基材膜(A)を延伸することが好ましい。延伸は前記シート状成形体から孔形成材を抽出する前に行ってもよい。また、前記シート状成形体から孔形成材を抽出した多孔基材膜(A)に対して行ってもよい。さらに、前記シート状成形体から孔形成材を抽出する前と後に行ってもよい。
延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも好適に用いることができるが、得られる多孔基材膜(A)の強度等を向上させる観点から二軸延伸が好ましい。シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終的に得られる多孔基材膜(A)が裂けにくくなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができる。突刺強度の向上、延伸の均一性、シャットダウン性の観点から同時二軸延伸が好ましい。また面配向の制御容易性の観点からは遂次二軸延伸が好ましい。
ここで、同時二軸延伸とは、MD(多孔基材膜(A)を連続成形する時の機械方向)の延伸とTD(多孔基材膜(A)のMDを90°の角度で横切る方向)の延伸が同時に施される延伸方法をいい、各方向の延伸倍率は異なってもよい。逐次二軸延伸とは、MD及びTDの延伸が独立して施される延伸方法をいい、MD又はTDに延伸がなされているときは、他方向は非拘束状態又は定長に固定されている状態とする。
延伸倍率は、面倍率で20倍以上100倍以下の範囲であることが好ましく、25倍以上70倍以下の範囲であることがより好ましい。各軸方向の延伸倍率は、MDに4倍以上10倍以下、TDに4倍以上10倍以下の範囲であることが好ましく、MDに5倍以上8倍以下、TDに5倍以上8倍以下の範囲であることがより好ましい。総面積倍率が20倍以上であると、得られる多孔基材膜(A)に十分な強度を付与できる傾向にあり、一方、総面積倍率が100倍以下であると、延伸工程における膜破断を防ぎ、高い生産性が得られる傾向にある。
多孔基材膜(A)の収縮を抑制するために、延伸工程後、又は、多孔基材膜(A)形成後に熱固定を目的として熱処理を行うこともできる。また、多孔基材膜(A)に、界面活性剤等による親水化処理、電離性放射線等による架橋処理等の後処理を行ってもよい。
多孔基材膜(A)には、収縮を抑制する観点から熱固定を目的として熱処理を施すことが好ましい。熱処理の方法としては、物性の調整を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の延伸率で行う延伸操作、及び/又は、延伸応力低減を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の緩和率で行う緩和操作が挙げられる。延伸操作を行った後に緩和操作を行っても構わない。これらの熱処理は、テンターやロール延伸機を用いて行うことができる。
延伸操作は、膜のMD及び/又はTDに1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上の延伸を施すことが、さらなる高強度かつ高気孔率な多孔基材膜(A)が得られる観点から好ましい。
緩和操作は、膜のMD及び/又はTDへの縮小操作のことである。緩和率とは、緩和操作後の膜の寸法を緩和操作前の膜の寸法で除した値のことである。なお、MD、TD双方を緩和した場合は、MDの緩和率とTDの緩和率を乗じた値のことである。緩和率は、1.0以下であることが好ましく、0.97以下であることがより好ましく、0.95以下であることがさらに好ましい。緩和率は膜品位の観点から0.5以上であることが好ましい。緩和操作は、MD、TD両方向で行ってもよいが、MD或いはTD片方だけ行ってもよい。
この可塑剤抽出後の延伸及び緩和操作は、好ましくはTDに行う。延伸及び緩和操作における温度は、ポリオレフィン樹脂の融点(主原料のDSC 2nd runの融解ピーク温度であり以下、「Tm」ともいう。)より低いことが好ましく、Tmより1℃から25℃低い範囲がより好ましい。延伸及び緩和操作における温度が上記範囲であると、熱収縮率低減と気孔率とのバランスの観点から好ましい。
[無機フィラー、樹脂バインダー及び分散剤を含む多孔層(B)]
無機フィラー、樹脂バインダー及び分散剤を含む多孔層(B)について以下に説明する。
〔無機フィラー〕
前記多孔層(B)に使用する無機フィラーとしては、特に限定されないが、耐熱性及び電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機フィラーとしては、例えば、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、その他の化合物が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
マグネシウム化合物としては、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
その他の化合物としては、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、粘土鉱物、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、ガラス繊維等が挙げられる。酸化物系セラミックスとしては、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等が挙げられる。窒化物系セラミックスとしては、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。粘土鉱物としては、タルク、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、複数を併用してもよい。
上記の中でも、電気化学的安定性及び耐熱特性の観点から、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムが好ましい。酸化アルミニウムの具体例としては、アルミナ、が挙げられる。水酸化酸化アルミニウムの具体例としては、ベーマイトが挙げられる。ケイ酸アルミニウムの具体例としては、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライトが挙げられる。
前記酸化アルミニウムとしては、電気化学的安定性の観点から、アルミナがより好ましい。多孔層(B)を構成する無機フィラーとして、アルミナを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層(B)を実現できる上に、より薄い多孔層(B)厚でもセパレータの高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。アルミナには、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等、多くの結晶形態が存在するが、いずれも好適に使用することができる。この中でα−アルミナが熱的・化学的にも安定なので最も好ましい。
前記水酸化酸化アルミニウムとしては、リチウムデンドライトの発生に起因する内部短絡を防止する観点から、ベーマイトがより好ましい。多孔層(B)を構成する無機フィラーとして、ベーマイトを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層(B)を実現できる上に、より薄い多孔層(B)厚でもセパレータの高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。電気化学素子の特性に悪影響を与えるイオン性の不純物を低減できる合成ベーマイトがさらに好ましい。
前記ケイ酸アルミニウムの中では、カオリン鉱物で主に構成されているカオリナイト(以下、カオリンともいう)が軽量性及び透気度の観点から好ましい。カオリンには湿式カオリン及びこれを焼成処理した焼成カオリンがあるが、焼成カオリンは焼成処理の際に結晶水が放出されるのに加え、不純物が除去されるので、電気化学的安定性の点で特に好ましい。多孔層(B)を構成する無機フィラーとして、焼成カオリンを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層(B)を実現できる上に、より薄い多孔層厚(B)でもセパレータの高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。
無機フィラーのメジアン径を上記範囲に調整することは、セパレータの透気度、高温での熱収縮、及び緻密な無機フィラー含有多孔層(B)の形成という観点から好ましい。無機フィラーのメジアン径は、無機フィラーの粒度分布の累積グラフにおいて、50体積%の累積に対応する粒子径である。
無機フィラーの体積粒度分布として、粒径が0.10μm以下である無機フィラーが、10%未満であることが好ましく、5%未満であることがより好ましく、3%未満であることがさらに好ましい。
無機フィラーの体積粒度分布を上記範囲に調整することは、高温での熱収縮を抑制したり、無機フィラーと分散剤との組合せによって、無機フィラーの均一分散性を向上させたりするという観点から好ましい。
無機フィラーの形状としては、板状、鱗片状、多面体、針状、柱状、球状、紡錘状、塊状等が挙げられ、上記形状を有する無機フィラーを複数種組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、透過性向上の観点からは、板状、鱗片状、多面体が好ましい。
前記無機フィラーが、前記多孔層(B)中に占める割合としては、セパレータの透過性及び耐熱性等の観点から適宜決定することができる。上記割合は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは97質量%以上とすることができる。また、上記割合は100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは99.9質量%以下、さらに好ましくは99.5質量%以下、特に好ましくは99質量%以下である。
無機フィラーのメジアン径を0.55μm以上1.2μm以下に調整するために、上記の通り、無機フィラーを熱処理、表面処理又は粉砕処理に供することが好ましい。
(無機フィラーの熱処理)
無機フィラーの熱処理方法としては、例えば、温風、熱風又は低湿風による乾燥;真空乾燥;(遠)赤外線、電子線などの照射による乾燥が挙げられる。例えば、120〜500℃、より好ましくは180〜300℃で1分間以上に亘って無機フィラーを熱処理することが好ましい。熱処理によって、表面吸着水を除去し、表面に存在する水酸基を脱水縮合させて、その疎水性を高めることができる。
(無機フィラーの表面処理)
表面処理剤で無機フィラーの表面処理を行うことが、水分吸着点の密度、吸着能などを制御する観点から好ましい。表面処理剤の具体例としては、脂肪酸系、油脂系、界面活性ン剤系、ワックス系、カルボン酸系、リン酸系などのカップリング剤;シランカップリング剤;チタネート系カップリング剤などが挙げられる。電池適性の観点からは脂肪酸系、界面活性剤系、及びカルボン酸系カップリング剤が好ましい。
表面処理方法は、例えば、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等のミキサーを用い、粉体に直接上述の表面処理剤を混合し、必要に応じて加熱して表面処理する一般的な乾式処理でもよく、例えば、上述の表面処理剤を水又は湯に溶解し、攪拌している無機フィラーの水塗工液に添加して表面処理後、脱水、乾燥する一般的な湿式処理でもよく、乾式処理と湿式処理の複合でもよい。無機フィラー表面への処理の度合いと経済的な観点から、主として湿式法が単独で好ましく用いられる。
(無機フィラーの粉砕処理)
無機フィラーの粉砕処理を行う手段としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等を用いることができる。粉砕により無機フィラーの粒径を制御することよって無機フィラー表面に付着する水分を低減できる。水分吸着点の密度、吸着能などを制御する観点からビーズミルを用いた粉砕が好ましく、均一な制御の観点からビーズ径が約0.01mmφ〜約1mmφのビーズを用いることがより好ましい。
さらに、ビーズ充填量、回転数などにより、水分吸着点の密度、吸着能などを適宜調整可能である。無機フィラーの破砕度は、0.3〜1.0であることが好ましく、0.5〜0.99であることがより好ましい。破砕度は、(破砕後の平均粒径/破砕前の平均粒径)で表される。
〔樹脂バインダー〕
樹脂バインダーは、前述した無機フィラーを相互に結着する役割を果たす樹脂である。また、無機フィラーと多孔基材膜(A)とを相互に結着する役割を果たす樹脂であることが好ましい。
樹脂バインダーの種類としては、セパレータとしたときにリチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。
樹脂バインダーの具体例としては、以下の1)〜7)が挙げられる。
1)ポリオレフィン:例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンラバー、及びこれらの変性体;
2)共役ジエン系重合体:例えば、スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物;
3)アクリル系重合体:例えば、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体;
4)ポリビニルアルコール系樹脂:例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル;
5)含フッ素樹脂:例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体;
6)セルロース誘導体:例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース;
7)融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂あるいは融点を有しないが分解温度が200℃以上のポリマー:例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル。特に、耐久性の観点から全芳香族ポリアミド、中でもポリメタフェニレンイソフタルアミドが好適である。
中でも、電極とのなじみやすさの観点からは上記2)共役ジエン系重合体が好ましく、耐電圧性の観点からは上記3)アクリル系重合体及び5)含フッ素樹脂が好ましい。
上記2)共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物をモノマー単位として含む重合体である。
上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
上記3)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系化合物をモノマー単位として含む重合体である。上記(メタ)アクリル系化合物とは、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを示す。
上記3)アクリル系重合体に用いられる(メタ)アクリル酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸を挙げることができる。
上記3)アクリル系重合体に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート;
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート;が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記2)共役ジエン系重合体および3)アクリル系重合体は、これらと共重合可能な他のモノマーをも共重合させて得られるものであってもよい。用いられる共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステル、芳香族ビニル系モノマー、シアン化ビニル系モノマー、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和モノマー、不飽和カルボン酸アミドモノマー、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマール酸、イタコン酸等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特に不飽和カルボン酸アルキルエステルモノマーが好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステルモノマーとしては、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、上記2)共役ジエン系重合体は、他のモノマーとして上記(メタ)アクリル系化合物を共重合させて得られるものであってもよい。
〔分散剤〕
本実施形態では、無機フィラーの分散性を向上させるために、水溶性ポリマー分散剤を使用する。
分散剤の質量平均分子量は、300〜10,000であり、好ましくは500〜9,000であり、より好ましくは500〜7,000である。
分散剤を水に分散させることにより得られる分散剤の水分散体、又は分散剤を水に溶解させることにより得られる分散剤水溶液は、固形分が10質量%であり、かつ温度が25℃であるという条件下で、3〜9のpHを有し、4〜8のpHを有することが好ましい。
本実施形態に係る電池用セパレータでは、水溶性ポリマー分散剤は、無機フィラー100質量部に対し、0.1質量部以上5質量部以下の割合で、好ましくは0.3質量部以上3質量部以下の割合で、より好ましくは0.5質量部以上1.5質量部以下の割合で、さらに好ましくは約1質量%の割合で、存在する。
分散剤の存在割合、質量平均分子量及びpHが上記範囲内にあるとき、分散剤が無機フィラーの表面に付着することで、多孔層(B)形成用塗工液中での無機フィラーの分散性がより向上し、無機フィラー同士の凝集が防止されて、無機フィラーの分散状態をより安定して維持できることで、塗工液の放置安定性が優れるようになる。
分散剤の中でも、微粒子を分散させる作用が強いことから、イオン解離性の酸基(カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ酸基、マレイン酸基など)又はイオン解離性の酸塩基(カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、マレイン酸塩基など)を複数含有する分散剤が好ましく、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、又はポリメタクリル酸塩がより好ましい。
更に、例えば、無機フィラーが板状粒子の場合、その製造方法によっては、各粒子の板面が重なった状態で得られることがある(例えば、板状ベーマイトなど)。このように各粒子が積層状態で存在する多孔層(B)形成用塗工液を用いて、多孔層(B)を形成すると、板状粒子の使用による前記の短絡防止効果が十分に得られないことがある。しかしながら、このような凝集した粒子と共に分散剤を用いて多孔層(B)形成用塗工液を調製すれば、個々の粒子を分離させ、塗工液中に均一に分散させることができる。そのため、分散剤を用いた多孔層(B)形成用塗工液によれば、板状粒子を用いた場合にも、その作用がより良好に発揮される多孔層(B)を形成することができる。
上記分散剤の具体例としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種界面活性剤;ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩などの高分子系分散剤;などを用いることができる。より具体的には、ADEKA社製の「アデカトール(商品名)シリーズ」、「アデカノール(商品名)シリーズ」、サンノプコ社製の「SNディスパーサント(商品名)シリーズ」、ライオン社製の「ポリティ(商品名)シリーズ」、「アーミン(商品名)シリーズ」、「デュオミン(商品名)シリーズ」、花王社製の「ホモゲノール(商品名)シリーズ」、「レオドール(商品名)シリーズ」、「アミート(商品名)シリーズ」、日油社製の「ファルバック(商品名)シリーズ」、「セラミゾール(商品名)シリーズ」、「ポリスター(商品名)シリーズ」、味の素ファインテクノ社製の「アジスパー(商品名)シリーズ」、東亞合成社製の「アロン分散剤(商品名)シリーズ」などが挙げられる。また、前記の高分子系分散剤が塩の場合(酸塩基を有する場合)、アンモニウム塩であることが好ましい。分散剤には、上記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多孔層(B)形成用塗工液中の分散剤の含有量は、その作用をより有効に発揮させる観点から、無機フィラー100質量部に対して、0.1質量部(固形分換算)以上であることが好ましく、0.3質量部(固形分換算)以上であることがより好ましい。塗工液中の分散剤の含有量を多くしすぎると、その効果が飽和するのみならず、絶縁性の多孔層(B)における他の成分の比率が低下して、それらによる効果が小さくなる虞がある。よって、セパレータ形成用塗工液における分散剤の含有量は、無機フィラー100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、3質量部(固形分換算)以下であることがより好ましい。
(ポリマー分散剤)
高分子系分散剤としては、水溶性ポリマー分散剤又は非水溶性ポリマー分散剤を使用してよいが、少なくとも水溶性ポリマー分散剤を使用することが好ましい。水溶性ポリマー分散剤としては、親水性高分子化合物が挙げられる。例えば、天然の親水性高分子化合物としては、アラビアガム、トラガンガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子;アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子;キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子;及びセラック等の天然高分子化合物が挙げられる。
また、天然物原料を修飾した親水性高分子化合物では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子;デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。
更に、合成系の親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子;非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂;水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや、他の親水基を有するモノマーとの共重合体などのように、カルボキシル基が導入された水溶性分散剤が親水性高分子化合物として好ましい。親水性高分子化合物としては、ポリカルボン酸塩がより好ましい。
ポリマー分散剤のうち、非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ポリマー分散剤は、自己分散性、及び硬化性処理液と接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が100mgKOH/g以下のポリマーであることが好ましく、酸価は25〜100mgKOH/gのポリマーがより好ましい。
〔多孔層の構造及び形成方法〕
多孔層(B)における無機フィラーの充填率としては、軽量性及び高透過性の観点から、95体積%以下が好ましく、80体積%以下がより好ましく、70体積%以下がさらに好ましく、60体積%以下が特に好ましい。熱収縮抑制及びデンドライト抑制の観点から、下限は20体積%以上が好ましく、30体積%以上がより好ましく、40体積%以上が更に好ましい。無機フィラーの充填率は、多孔層(B)の層厚、並びに無機フィラーの質量及び比重から算出することができる。
多孔層(B)は、多孔基材膜(A)の片面にのみ形成しても、両面に形成してもよい。
多孔層(B)の形成方法としては、多孔基材膜(A)の少なくとも片面に、無機フィラー、樹脂バインダー、及ぶ分散剤を含む塗工液を塗工して、多孔層(B)を形成する方法を挙げることができる。
塗工液中の樹脂バインダーの形態としては、水に溶解または分散した水系溶液であっても、一般的な有機媒体に溶解または分散した有機媒体系溶液であってもよいが、樹脂ラテックスが好ましい。「樹脂ラテックス」とは樹脂が媒体に分散した状態のものを示す。樹脂ラテックスを樹脂バインダーとして用いた場合、無機フィラーと樹脂バインダーとを含む多孔層(B)を多孔基材膜(A)の少なくとも片面に積層した際、イオン透過性が低下しにくく高出力特性が得られやすい。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られやすい。
樹脂ラテックス中の樹脂バインダーの平均粒径は、50〜1,000nmであることが好ましく、より好ましくは60〜500nm、更に好ましくは80〜250nmである。平均粒径が50nm以上である場合、無機フィラーと樹脂バインダーとを含む多孔層(B)を多孔基材膜(A)の少なくとも片面に積層した際、良好な結着性を発現し、セパレータとした場合に熱収縮が良好となり安全性に優れる傾向にある。平均粒径が1,000nm以下である場合、イオン透過性が低下しにくく高出力特性が得られやすい。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られやすい。平均粒径は、樹脂バインダーを製造する際の重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pH、撹拌速度などを調整することで制御することが可能である。
塗工液の媒体としては、前記無機フィラー、及び前記樹脂バインダーを均一かつ安定に分散または溶解できるものが好ましく、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、トルエン、熱キシレン、塩化メチレン、ヘキサン等が挙げられる。
塗工液には、分散安定化や塗工性の向上のために、界面活性剤等の分散剤;増粘剤;湿潤剤;消泡剤;酸、アルカリを含むpH調整剤等の各種添加剤を加えてもよい。これら添加剤の総添加量は、無機フィラー100質量部に対して、その有効成分(添加剤が溶媒に溶解している場合は溶解している添加剤成分の質量)は20質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
無機フィラーと樹脂バインダーとを、塗工液の媒体に分散または溶解させる方法については、塗工工程に必要な塗工液の分散特性を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗工液を多孔基材膜(A)に塗工する方法については、必要とする層厚や塗工面積を実現できる方法であれば特に限定はなく、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗工法等が挙げられる。
さらに、塗工液の塗工に先立ち、多孔基材膜(A)表面に表面処理を施すと、塗工液を塗工し易くなると共に、塗工後の無機フィラー含有多孔層(B)と多孔基材膜(A)表面との接着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、多孔基材膜(A)の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ放電処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗工後に塗工膜から媒体を除去する方法については、多孔基材膜(A)に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はなく、例えば、多孔基材膜(A)を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、抽出乾燥等が挙げられる。また電池特性に著しく影響を及ぼさない範囲においては溶媒を一部残存させても構わない。多孔基材膜(A)及び多孔層(B)を積層した多孔基材膜(A)のMD方向の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、巻取り張力等は適宜調整することが好ましい。
<無機フィラー、樹脂バインダー及び分散剤を含む塗工液>
ポリオレフィン樹脂を主成分とする多孔基材膜(A)の少なくとも片面に多孔層(B)を形成するために、上記で説明した無機フィラー、樹脂バインダー及び分散剤を含む塗工液を提供することも好ましい。上記塗工液は、多孔層(B)を形成するために、使用されることが好ましい。
塗工液の分散媒としては、水を主成分とするもの、及び有機溶媒(トルエンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフランなどのフラン類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;など)が挙げられるが、水を主成分とするものが好ましい。本発明でいう「分散媒」とは、塗工液中において、絶縁性のある多孔層(B)形成時の乾燥の際に残る固形分を除いた残りの部分を指す。また、「水を主成分とする」とは、分散媒の構成成分のうち、水を70質量%以上含有していることを指し、90質量%以上含有していることが好ましい。水を主成分とする場合、水以外の分散媒としては、例えば、塗工液の界面張力を制御するために添加されるアルコール類などが挙げられる。環境保護の観点からは、水のみを分散媒とすることが特に好ましい。
塗工液の粘度は、無機フィラーの沈降を抑制し、その分散の安定性を高める観点から、5mPa・s以上であり、10mPa・s以上であることが好ましく、20mPa・s以上であることがより好ましい。また、塗工液の粘度が高すぎると、必要な厚みで均一に塗工することが困難になることから、その粘度は、500mPa・s以下であり、300mPa・s以下であることが好ましく、200mPa・s以下であることがより好ましい。本発明の塗工液における粘度は、日本工業規格(JIS)R 1652に準じた方法でE型粘度計により測定された粘度であり、23℃の温度及び1,000/sのせん断速度の条件下で測定されたものを指す。
(塗工液を製造する装置)
本実施形態の製造方法において、無機フィラー、樹脂バインダー及び分散剤を溶媒に溶解または分散させる方法は、特に限定されず、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹梓羽根等による機械撹梓等が挙げられる。
(塗工装置)
本実施形態の製造方法において、無機フィラー、樹脂バインダー、分散剤を含む塗工液を多孔基材膜(A)に塗工する方法は、必要とする層厚又は塗工面積を実現できる方法であれば特に限定されない。例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャス卜コーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗工法等が挙げられる。
また、用途に応じて無機フィラー、樹脂バインダー、及び分散剤を含む塗工液を多孔基材膜(A)の片面だけに塗工してもよいし、両面に塗工してもよい。
(多孔層(B)の特性等)
本実施形態における多孔層(B)の層厚は、好ましくは0.1μm以上50μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上20μm以下であり、さらに好ましくは1μm以上10μm以下であり、特に好ましくは1.5μm以上7μm以下である。多孔層(B)の層厚が0.1μm以上であることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。また、多孔層(B)の層厚が50μm以下であることにより、電池がより高容量化し、セバレータのイオン透過性がより向上し、使用時の無機フィラーの粉落ちがより抑制される傾向にある。
<セパレータのその他の物性>
本実施形態に係るセパレータは、多孔基材膜(A)と、該多孔基材膜(A)の片面又は両面に配された多孔層(B)と、を有する。本実施形態のセパレータの透気度は、特に限定されないが、好ましくは10秒/100cc以上650秒/100cc以下であり、より好ましくは20秒/100cc以上500秒/100cc以下であり、さらに好ましくは300秒/100cc以上450秒/100cc以下であり、特に好ましくは50秒/100cc以上400秒/100cc以下である。透気度が10秒/100cc以上であることにより、耐自己放電性がより向上する傾向にある。また、透気度が650秒/100cc以下であることにより、充放電特性がより向上する傾向にある。
本実施形態に係るセパレータの最終的な膜厚は、特に限定されないが、好ましくは2μm以上200μm以下であり、より好ましくは5μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは7μm以上30μm以下であり、特に好ましくは9μm以上20μm以下である。膜厚が2μm以上であることにより、機械強度がより向上する傾向にある。また、膜厚が200μm以下であることにより、電池がより高容量化する傾向にある。
セパレータの150℃での熱収縮率は、MD方向、TD方向ともに0%以上15%以下であることが好ましく、より好ましくは0%以上10%以下、さらに好ましくは0%以上5%以下である。熱収縮率がMD方向、TD方向ともに15%以下であると、電池の異常発熱時のセパレータの破膜が抑制され、短絡が起こりにくくなる傾向にあるので好ましい。
セパレータのシャットダウン温度は、120℃以上160℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上150℃以下の範囲である。シャットダウン温度が160℃以下であると、電池が発熱した場合等においても、電流遮断を速やかに促進し、より良好な安全性能が得られる傾向にあるので好ましい。一方、シャットダウン温度が120℃以上であると、電池を100℃前後で使用することができるので好ましい。
セパレータのショート温度は、160℃以上1,000℃以下であることが好ましく、180℃以上1,000℃以下であることがより好ましく、さらに好ましくは200℃以上1,000℃以下である。ショート温度が160℃以上であると、電池に異常発熱が発生しても、すぐには短絡が起こらないため、その間に放熱することができ、より良好な安全性能が得られる。
ショート温度は、ポリプロピレンの含有量や、ポリプロピレン以外のポリオレフィンの種類、無機粒子の種類、多孔層(B)の厚さ等を調整することにより所望の値に制御することができる。
<蓄電デバイス>
以下、蓄電デバイスについて説明する。上記蓄電デバイスは、上記セパレータを備えるものであり、それ以外の構成は、従来知られているものと同様であってもよい。蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、非水電解液電池等の電池、コンデンサー及びキャパシタが挙げられる。それらの中でも、本発明による作用効果による利益がより有効に得られる観点から、非水電解液電池が好ましく、非水電解液二次電池がより好ましく、リチウムイオン二次電池が更に好ましい。以下、蓄電デバイスが非水電解液電池である場合についての好適な態様について説明する。
正極、負極、非水電解液に限定はなく、公知のものを用いることができる。
正極材料としては、例えば、LiCoO、LiNiO、スピネル型LiMnO、オリビン型LiFePO等のリチウム含有複合酸化物等が、負極材料としては、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、各種合金材料等が挙げられる。
また、非水電解液としては、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が、電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩が挙げられる。
上記蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、下記のようにして製造される。すなわち、上記セパレータを幅10〜2,000mm(好ましくは80〜1,000mm)、長さ200〜4,000m(好ましくは1.000〜4,000m)の縦長形状のセパレータとして作製する。次に、必要に応じて上記セパレータを幅10〜500mmにスリットする。得られた当該セパレータを、正極及び負極と共に、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ねて積層物を得る。次いで、その積層物を、円筒形の又は扁平な渦巻状に巻回して巻回体を得る。そして、当該巻回体を外装体内に収納し、更に電解液を注入する等の工程を経ることにより、蓄電デバイスが得られる。
また、上記蓄電デバイスは、セパレータ、正極、および負極を平板状に形成した後、正極−セパレータ−負極−セパレータ−正極、又は負極−セパレータ−正極−セパレータ−負極の順に積層して積層体を得た後、外装体内に収容し、そこに電解液を注入する等の工程を経て製造することもできる。
なお、上記外装体としては、電池缶や袋状のフィルムを用いることができる。
次に、実施例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例又は比較例中の物性及び評価を以下の方法に従って行なった。
(1)ポリオレフィンの粘度平均分子量(Mv)
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求めた。
ポリエチレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=6.77×10-4Mv0.67
ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10-4Mv0.80
(2)多孔基材膜(A)の膜厚、多孔層(B)の層厚
多孔基材膜(A)及びセパレータからMD10mm×TD10mmのサンプルをそれぞれ切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、膜厚をダイヤルゲージ(尾崎製作所製PEACOCK No.25(登録商標))を用いてそれぞれ測定し、9箇所の測定値の平均値を多孔基材膜(A)及びセパレータの膜厚(μm)とした。また、このように測定されたセパレータと多孔基材膜(A)の膜厚の差を、多孔層(B)の層厚(μm)として算出した。
(3)多孔基材膜(A)の気孔率(%)
10cm×10cm角の試料を多孔基材膜(A)から切り取り、その体積(cm)と質量(g)を求め、多孔基材膜(A)の密度を0.95(g/cm)として、次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(1−質量/体積/0.95)×100
(4)多孔基材膜(A)の透気度(秒/100cc)
JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計(東洋精機製G−B2(商標)、内筒質量:567g)を用い、645mmの面積(直径28.6mmの円)の多孔基材膜(A)を空気100ccが通過する時間(秒)を測定し、これらをそれぞれ多孔基材膜(A)及びセパレータの透気度とした。
(5)無機フィラーの平均粒径
無機フィラーを蒸留水に加え、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を少量添加してから超音波ホモジナイザーで1分間分散させた後、レーザー式粒度分布測定装置(日機装(株)製マイクロトラックMT3300EX)を用いて粒径分布を測定し、累積頻度が50%となる粒径(メジアン径)を平均粒径(μm)とした。
(6)塗工液の放置安定性
後述の実施例等に記載する、無機フィラー、樹脂バインダー、及び分散剤を、水に均一分散させた塗工液を十分撹拌後、塗工液500mLを、500mLの目盛付きメスシリンダーに注入する。注入完了後、25℃で24時間放置した後の沈降物の堆積層の高さをスケールで計量し、注入完了時の塗工液の高さに対する割合(%)で評価した。
(7)分散剤の分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を用いて、分散剤の質量平均分子量を測定した。
(8)分散剤のpH
分散剤を水に分散して分散剤水分散体を得るか、又は分散剤を水に溶解させて分散剤水溶液を得て、固形分10質量%溶液に調整して、25℃で、デジタルpH計を用いて、分散剤水分散体又は分散剤水溶液のpHを測定した。
(9)セパレータの熱収縮率(%)
サンプルをMD/TDそれぞれ100mmの方形に切り出した。切り出したサンプルを2枚の紙に挟み、150℃のオーブン中に1時間に亘って静置した。オーブンからサンプルを取り出して冷却した後に、MD方向及びTD方向について、それぞれサンプルの寸法収縮率(%)を求めた。
(10)高温保存試験(ガス発生試験)
アルミラミネートシートを一定サイズに切り出し、インパルスシーラーによりパック状(6cm×8cm)にした。10cm×10cmに裁断したセパレータ試料を折りたたんでラミパックに挿入し、80℃にて12時間真空乾燥させた。次に、エチレンンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)をEC:EMC=1:2の体積比率で混合した電解液に、電解質としてLiPFを1mol/Lで溶解したものを、アルゴンボックス中にて真空乾燥したアルミラミパックに0.4mL注液し、アルミラミパックの開口部をヒートシーラーによりシールした。これを150℃に設定したオーブンに72時間保存し、試験前後の質量を測定し、アルキメデス法により容積算出した。質量は水の密度(20℃:0.9982g/cm)にて換算した。
(アルキメデス法:F=−ρVg)
ガス発生量(mL)=試験後容積−試験前容積
下記評価基準に従って電池20個の不良数を算出した。
合格:ガス発生量(mL)が2mL未満のとき。
不良:ガス発生量(mL)が2mL以上のとき。
(11)充放電サイクル特性
a.正極の作成
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%とアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、及びバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm)を4.2質量%の比率で混合し、N−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗工し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時の活物質塗工量は109g/mであった。
b.負極の作成
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%とグラファイト粉末B(密度2.27g/cm、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、及びバインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、負極集電体である厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗工し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時、負極の活物質塗工量は5.2g/mであった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させて調製した。
d.電池組立
セパレータを24mmφ、正極及び負極を16mmφの円形に切り出し、正極と負極の活物質面が対向するよう、負極、セパレータ、正極の順に重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収納した。容器と蓋は絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と接していた。この容器内に上記非水電解液を0.4ml注入して密閉することにより、評価用電池を作製した。
e.前処理
前記のように組立てた電池につき、1/3Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を8時間行い、その後1/3Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。次に、1Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を3時間行い、その後1Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。最後に1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電をした後、4.2Vの定電圧充電を3時間行って、前処理を終了した。なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表す。
f.サイクル特性
上記前処理を行った電池につき、温度25℃の条件下で、放電電流1Aで放電終止電圧3Vまで放電を行った後、充電電流1Aで充電終止電圧4.2Vまで充電を行った。これを1サイクルとして充放電を繰り返し、初期容量に対する200サイクル後の容量保持率を調べ、以下の基準でサイクル特性を評価した。下記評価基準に従って電池20個の不良数を算出した。
(評価基準)
合格:容量保持率が90%以上であった場合
不良:容量保持率90%未満であった場合
<ポリオレフィン樹脂多孔基材膜(A)の製造方法>
Mvが70万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを47.5質量部、
Mvが30万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを47.5質量部、
Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレンを5質量部、
及び酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。
得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。
また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量部となるように、すなわち、ポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
次いで、それらを二軸押出機内で230℃に加熱しながら溶融混練し、得られた溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度80℃に制御された冷却ロール上に押し出し、その押出物を冷却ロールに接触させ成形(cast)して冷却固化することにより、シート状成形物を得た。
このシートを同時二軸延伸機にて倍率7×6.4倍及び温度112℃の条件下で延伸した後、塩化メチレンに浸漬した。次に、シート状成形物から流動パラフィンを抽出除去した後に乾燥した。
さらに、シートをテンター延伸機にて、温度128℃で横方向に2.0倍延伸し、その後、この延伸シートを温度131℃で幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、膜厚12μm、気孔率40体積%、及び透気度130秒/100ccを有するポリオレフィン樹脂多孔基材膜(A1)を得た。
<樹脂バインダーの製造方法>
(合成例)アクリル系ポリマーラテックスの製造
撹拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を取り付けた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(商品名、第一工業製薬株式会社製、25質量%水溶液)0.1質量部(固形分換算)と、「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製、25質量%水溶液)0.1質量部(固形分換算)と、を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液)を0.15質量部(固形分換算)添加した。
過硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に、メタクリル酸メチル:38.5質量部、アクリル酸n−ブチル:19.6質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル:31.9質量部、メタクリル酸:0.1質量部、アクリル酸:0.1質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル:2質量部、アクリルアミド:5質量部、メタクリル酸グリシジル:2.8質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン:0.3質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学工業株式会社製):0.7質量部、「アクアロンKH1025」(商品名、第一工業製薬株式会社製、25質量%水溶液):0.75質量部(固形分換算)、「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製、25質量%水溶液):0.75質量部(固形分換算)、p−スチレンスルホン酸ナトリウム:0.05質量部、過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液):0.15質量部(固形分換算)、及びイオン交換水:52質量部の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて、乳化液を作製して得られた乳化液を、滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンにアンモニア水溶液(アンモニア含有量25質量%)を加えて、pH=9.0に調整することにより、固形分濃度40質量%のアクリル系ポリマーを含有するラテックスを得た。
得られたアクリル系ポリマーの平均粒径は145nmであり、ガラス転移温度は−20℃であった。
<実施例1>
[多孔層(B)の形成、及びセパレータの製造]
無機フィラーとして水酸化酸化アルミニウム(D50=0.7μm)95.0質量部と、樹脂バインダーとして上記で得られたアクリル系ポリマーラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部(固形分換算)と、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム水溶液(Mw=9,000、pH=6.8)1.0質量部とを、100質量部の水に均一に分散させて塗工液を調製した。
次いで、基材の表面にコロナ放電処理(放電量50W)を実施した後、当該処理面に上記の塗工液をマイクログラビアコーターを用いて塗工した。
塗工した層を60℃にて乾燥して、前記ポリオレフィン樹脂多孔基材膜(A1)上に厚さ2μmの多孔層(B)を形成してセパレータを得た。
[実施例2]
分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム水溶液(Mw=7,000、pH=6.5)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[実施例3]
分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム水溶液(Mw=3,000、pH=6.3)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[実施例4]
分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム水溶液(Mw=400、pH=7.2)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[実施例5]
分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム水溶液(Mw=7,000、pH=4.3)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[実施例6]
無機フィラーとして焼成カオリン(D50=0.7μm)を用い、分散剤としてポリメタクリル酸アンモニウム水溶液(Mw=7,000、pH=8.4)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[実施例7]
分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム水溶液(Mw=500、pH=8.7)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[実施例8]
無機フィラーとして水酸化酸化アルミニウム(D50=0.55μm)を用い、分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム水溶液(Mw=500、pH=4.1)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[実施例9]
無機フィラーとして水酸化酸化アルミニウム(D50=1.1μm)を、分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム水溶液(Mw=7,000、pH=6.5)を用い、多孔層(B)の厚さを4μmにした以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[比較例1]
無機フィラーとして水酸化酸化アルミニウム(D50=0.3μm)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[比較例2]
無機フィラーとして水酸化酸化アルミニウム(D50=1.4μm)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[比較例3]
分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム水溶液(Mw=12,000、pH=6.8)を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[比較例4]
分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム水溶液(Mw=250、pH=7.2)を用い、かつ多孔層(B)の厚さを4μmとした以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[比較例5]
分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム水溶液(Mw=6,000、pH=2.5)を用い、かつ多孔層(B)の厚さを4μmとした以外は実施例1と同様にしてセパレータを得た。
[比較例6]
分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム水溶液(Mw=5,000、pH=9.8)を用いた以外は実施例8と同様にしてセパレータを得た。
実施例1〜9及び比較例1〜6で得られたセパレータの評価結果を下記表1に示した。
Figure 2016072150

Claims (5)

  1. 多孔基材膜(A)の少なくとも片面に、無機フィラー、樹脂バインダー、及び分散剤を含む多孔層(B)を備える電池用セパレータであって、
    前記無機フィラーのメジアン径が、0.55μm以上1.2μm以下であり、
    前記分散剤は、前記無機フィラー100質量部に対し、0.1質量部以上5質量部以下の割合で存在し、
    前記分散剤の質量平均分子量が、300以上10,000以下であり、かつ
    前記分散剤を固形分が10質量%になるように水に分散又は溶解したときの25℃でのpHが、3〜9である、
    前記電池用セパレータ。
  2. 前記分散剤は、水溶性ポリマー分散剤である、請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 前記水溶性ポリマー分散剤は、ポリカルボン酸塩である、請求項2に記載の電池用セパレータ。
  4. 前記無機フィラーは、アルミナ、シリカ、カオリン及びベーマイトから成る群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池用セパレータと、正極と、負極と、電解液とを備える、非水電解液電池。
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