JP2019102400A - 多層セパレータ、並びにその捲回体及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セパレータと電極との間の接着性を長期間保持することができる、多層セパレータ、並びにその捲回体及び製造方法を提供すること。【解決手段】熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)と、熱可塑性樹脂(b)を主成分とする多孔層(B)とを含む、多層セパレータ。上記多孔層(B)は微多孔膜(A)の少なくとも片面上に連続体をなすよう形成されており、上記多孔層(B)の繰り返し剥離強度維持率が60%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電デバイス用セパレータに用いられる多層セパレータ(以下、単に「セパレータ」ともいう。)、並びにその捲回体及び製造方法に関する。
近年、蓄電デバイスの中でもリチウムイオン電池を中心とする非水電解液電池の開発が活発に行われている。通常、非水電解液電池には、微多孔膜(セパレータ)が正負極間に設けられている。このようなセパレータは、正負極間の直接的な接触や短絡による電子伝導を防ぐとともに、微多孔中に保持した電解液を通じイオンを透過させる機能を有する。
非水電解液電池のサイクル特性、安全性等を向上するために、セパレータの改良が検討されている。近年、ポータブル機器の小型化及び薄型化に伴い、リチウムイオン二次電池等の蓄電デバイスにも小型化及び薄型化が求められている。一方で、ポータブル機器を長時間携帯することを可能にするために、体積エネルギー密度を向上させることによる蓄電デバイスの高容量化も図られている。
また、電気自動車等の動力用電源として、大型、高容量の非水電解液電池が使用されており、更なる安全性の向上に加え、急速充電時や回生ブレーキ時などへの適応から高度な入出力特性を備える必要があり、性能要求は多様化、高度化している。
セパレータには、異常加熱した場合には速やかに電池反応が停止される特性(ヒューズ特性)、高温になっても形状を維持して正極物質と負極物質とが直接反応する危険な事態を防止する性能(ショート特性)等の、安全性に関する性能が求められている。それらに加えて、最近では、充放電電流の均一化、及びリチウムデンドライト抑制の観点から、セパレータには電極との密着性の向上も求められている。セパレータと電池電極との密接性を良くすることにより、充放電電流の不均一化が起こり難くなり、リチウムデンドライトが析出し難くなるため、結果として充放電サイクル寿命を長くすることが可能となる。そのため、セパレータを多層化することにより様々な機能を付与することが鋭意検討されている。
例えば、特許文献1には、多孔質膜の表面に融点80〜130℃の有機微粒子を塗布することで、比較的低温でヒューズ挙動を示すことが開示されている。特許文献2には、多孔膜基材に熱可塑性ポリマー粒子を塗工して、セパレータと電極とを接着固定することが提案されている。特許文献3には、微多孔膜の表面上にポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む塗工液を塗布し、凝固液に浸漬し、固化、水洗、乾燥することで、微多孔膜の表面上にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる良好な透過性を兼ね備えた接着性多孔層を形成する技術が開示されている。また、特許文献4には、支持層の表面に高分子薄膜を形成し、延伸することで結着性が良好な複合膜を提案している。
特開2006−164761号公報 国際公開第2016/047165号 国際公開第2014/136838号 特開2008−302359号公報
特許文献1〜4においては、多層化によりヒューズ特性や電極との接着性などの機能を付与することが提案されているが、しかしながら、長期保存後において同様の機能を発現するという課題がある。すなわち、セパレータは通常、コアに捲回された状態で製品化、流通し、使用時に捲回体より繰出して使用する。捲回された状態はセパレータ同士が密着した状態であり、場合によっては40〜60℃の高温下に曝される場合がある。そのような場合に本来望まれた機能が正常に発現しない問題が生じる場合がある。本発明は、表面に機能層を有するセパレータにおいて、セパレータを長期保存した場合であっても、電極との接着性を保持することができる多層セパレータ、多層セパレータ捲回体、および多層セパレータの製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)と、熱可塑性樹脂(b)を主成分とする多孔層(B)とを含む、多層セパレータであって、上記多孔層(B)は微多孔膜(A)の少なくとも片面上に連続体をなすよう形成されており、上記多孔層(B)の繰り返し剥離強度維持率が60%以上に調整されることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)と、熱可塑性樹脂(b)を含有する多孔層(B)とを含む多層セパレータであって、
多孔層(B)は、微多孔膜(A)の少なくとも片面上に連続体をなすよう形成されており、
上記多孔層(B)の繰り返し剥離強度維持率が60%以上である、多層セパレータ。
〔2〕
上記熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度が上記熱可塑性樹脂(a)の融点より5℃高い温度以下である、項目1に記載の多層セパレータ。
〔3〕
透気度が500秒/100ml以下である、項目1又は2に記載の多層セパレータ。
〔4〕
上記多孔層(B)の平均厚みが10nm以上500nm未満である、項目1〜3のいずれか一項に記載の多層セパレータ。
〔5〕
上記熱可塑性樹脂(a)の融点温度における、上記熱可塑性樹脂(b)の損失弾性率が0.01MPa以上3.00MPa以下である、項目1〜4のいずれか一項に記載の多層セパレータ。
〔6〕
項目1〜5のいずれか一項に記載の多層セパレータが、外径3インチ(7.62cm)〜20インチ(50.8cm)のコアに1000m以上捲回された、多層セパレータ捲回体。
〔7〕
熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)と、熱可塑性樹脂(b)を含有する多孔層(B)とを含む多層セパレータの製造方法であって、
熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂(b)が溶媒に溶解または分散したスラリーを、上記スラリーが連続体をなすよう塗布して、塗工体を得る、工程(1)と、
上記工程(1)以降に、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度より5℃低い温度以上の温度で上記塗工体を1.01倍以上に延伸する工程(2)と、
を含む、多層セパレータの製造方法。
〔8〕
上記工程(1)において、上記スラリーの乾燥後の塗布目付が固形分換算で0.05g/m以上3.00g/m以下である、項目7に記載の多層セパレータの製造方法。
〔9〕
上記工程(2)における延伸の温度が、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度以上であり、上記方法は、上記工程(2)の後に、延伸後を基準として延伸方向に1%以上緩和する工程(3)をさらに含む、項目7又は8に記載の多層セパレータの製造方法。
本発明によれば、セパレータと電極との間の接着性を長期間保持することができる、多層セパレータ、並びにその捲回体及び製造方法を提供することができる。
図1は、本実施形態における繰り返し剥離強度維持率の測定方法を説明するための、測定試料の長さ方向断面を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[多孔層(B)]
以下、熱可塑性樹脂(b)を含有する多孔層(B)(以下、「機能多孔層」ともいう。)について説明する。
機能多孔層は、熱可塑性樹脂(b)を含有する。機能多孔層は、熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)(以下、「基材」ともいう。)の少なくとも片面上に連続体をなすよう形成されている。熱可塑性樹脂(b)は、熱可塑性樹脂(a)とは異なる樹脂であることが好ましい。本願明細書において「異なる」樹脂とは、樹脂を構成するモノマーの種類、樹脂の分子量、融点、ガラス転移温度等、樹脂のあらゆる性質のうちいずれか一つ以上において異なる樹脂をいう。微多孔膜(A)の詳細については後述する。機能多孔層は、基材の少なくとも片面に、機能多孔層が連続体をなすよう形成されていればよく、基材の両面に形成されていてもよい。本実施形態において、「連続体をなす」とは、多層セパレータの、多孔層(B)が形成されている面を観察したとき、下部の微多孔膜(A)の骨格を構成する熱可塑性樹脂(a)が露出していない状態をいう。言い換えれば、多層セパレータの、多孔層(B)が形成されている面をマイクロスコープやSEM等で観察したとき、微多孔膜(A)の骨格を構成する熱可塑性樹脂(a)を、熱可塑性樹脂(b)が被覆している。そのため、機能多孔層は、その機能を効率的に発現することができる。粒子状で分散している場合、部分被覆、又はパターン形成されている場合は、機能多孔層の機能性が損なわれる場合があるため好ましくない。
上記機能多孔層は、電池製造工程において、熱プレスの工程を経ることにより、電極とセパレータとの間を接着させることができる。すなわち、上記機能多孔層は、接着層として機能し得るものである。
熱可塑性樹脂(b)は、熱可塑性樹脂(a)の融点より5℃高い温度以下の融点を有することが好ましい。融点を有さない非晶性樹脂の場合は、熱可塑性樹脂(a)の融点より5℃高い温度以下のガラス転移温度を有することが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどの含フッ素樹脂、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体やエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などの含フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体およびその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどのゴム類、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステルなどの、融点および/またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することも可能である。2種類以上を併用する場合は、最も割合(重量比率)が高い熱可塑性樹脂の融点を熱可塑性樹脂(b)の融点とする。また、熱可塑性樹脂(b)の融点は、多層セパレータを用いて測定するが、測定が困難な場合は原料の熱可塑性樹脂(b)を用いて測定してもよい。
熱可塑性樹脂(a)の融点温度における、熱可塑性樹脂(b)の損失弾性率は、好ましくは3.00MPa以下、より好ましくは2.00MPa以下である。損失弾性率が3.00MPa以下であると、熱可塑性樹脂(b)を含むスラリーを塗工し、多層セパレータを製造する際に連続体をなす多層層(B)が得られやすく、繰り返し剥離強度維持率が向上しやすい。またヒューズ温度が低下しやすいという利点も有する。熱可塑性樹脂(b)の損失弾性率の下限は特に限定されないが、0.01MPa以上では、透気度が低くなる傾向にあるため好ましく、0.10MPa以上がより好ましい。
熱可塑性樹脂(b)の具体例としては、例えば、以下の1)〜4)が挙げられる。
1)共役ジエン系重合体、
2)アクリル系重合体、
3)ポリビニルアルコール系樹脂、及び
4)含フッ素樹脂。
中でも、電極とのなじみ易さの観点からは、上記1)共役ジエン系重合体が好ましく、耐電圧性の観点からは、上記2)アクリル系重合体、及び上記4)含フッ素樹脂が好ましい。更に、上記ポリマー層は、上記熱可塑性ポリマー以外に、本発明の課題解決を損なわない程度の、その他の成分を含んでもよい。
上記1)共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物を単量体単位として含む重合体である。上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
また、共役ジエン系重合体は、後述する(メタ)アクリル系化合物又は他の単量体を単量体単位として含んでいてもよい。具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物等である。
上記2)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系化合物を単量体単位として含む重合体である。上記(メタ)アクリル系化合物とは、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを示す。このような化合物としては、例えば、下記式(P1)で表される化合物が挙げられる。
CH=CRY1−COO−RY2 (P1)
式(P1)中、RY1は水素原子又はメチル基を示し、RY2は水素原子又は1価の炭化水素基を示す。
Y2が1価の炭化水素基の場合は、置換基を有していてもよくかつ鎖内にヘテロ原子を有していてもよい。1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖であっても分岐していてもよい鎖状アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基が挙げられる。また、置換基としては、例えば、ヒドロキシル基及びフェニル基が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えばハロゲン原子、酸素原子等が挙げられる。(メタ)アクリル系化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。このような(メタ)アクリル系化合物としては、(メタ)アクリル酸、鎖状アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、フェニル基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
Y2の1種である鎖状アルキル基として、より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基である炭素原子数が1〜3の鎖状アルキル基;n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、及びラウリル基等の、炭素原子数が4以上の鎖状アルキル基が挙げられる。また、RY2の1種であるアリール基としては、例えばフェニル基が挙げられる。
これらの中では、電極(電極活物質)との密着性向上の観点から、RY2は、炭素原子数が4以上の鎖状アルキル基を有する単量体であることが好ましく、より具体的には、RY2は、炭素原子数4以上の鎖状アルキル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体であることが好ましい。より具体的には、RY2は、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートから成る群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、炭素原子数が4以上の鎖状アルキル基における炭素原子数の上限は特に限定されず、例えば14であってもよいが、7が好ましい。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記3)ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等が挙げられ、上記4)含フッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等がそれぞれ挙げられる。ポリフッ化ビニリデン系共重合体は、フッ化ビニリデンの構成単位として、多孔層(B)を構成する樹脂中70mol%以上含むと、電極との接着性に加え、十分な強度も保つことができる傾向にあるため好ましい。
機能多孔層の基材に対する塗布目付は、固形分換算で0.05g/m以上3.00g/m以下が好ましく、より好ましくは0.10g/m以上2.00g/m以下であり、更に好ましくは0.20g/m以上1.5g/m以下である。機能多孔層の基材に対する担持量を3.00g/m以下の範囲に制御することは、得られるセパレータにおいて、基材の孔の閉塞によるサイクル特性の低下を抑制しつつ、多層セパレータの透気度を500秒/100ml以下に制御しやすいため好ましい。機能多孔層の基材に対する担持量が0.05g/cm以上であれば、機能多孔層と基材との接着力を一層向上させる効果を発現する観点から好ましい。
機能多孔層の基材に対する担持量は、例えば、塗布液中の熱可塑性樹脂の含有量、熱可塑性樹脂溶液の塗布量、塗布後の延伸倍率等を変更することにより、調整することができる。但し、担持量の調整方法は上記に限定されない。
本実施形態において、機能多孔層は、繰り返し剥離強度維持率が60%以上である。機能多孔層は、基材との結着や機能層内の結着が劣る場合、十分な機能が発現しない場合がある。従来より、剥離強度法の観点から結着性が議論されてきたが、一度の測定による剥離強度が高い場合であっても、機能多孔層の剥がれや、部分滑落等があると、機能多孔層の機能が十分に発現しない場合がある。したがって、従来の剥離強度は、本発明の課題において、必ずしも適切な構成とは言い難い。発明者らは、鋭意検討の結果、繰り返し剥離強度において特定範囲の維持率を示すよう調整したセパレータであれば、機能多孔層の機能が十分に発揮されることを見出し、本発明に至った。例えば、多層セパレータを捲回体にして長期保存した場合に、重なり合うセパレータ同士の間(すなわち、あるセパレータの機能多孔層と、その上下のセパレータの機能多孔層との間、又は、あるセパレータの機能多孔層と、その上下のセパレータの基材との間)に接着力が発現しても、コアからセパレータを繰り出した後に、機能多孔層の機能が十分に発揮されることを見出した。
機能多孔層の繰り返し剥離強度維持率は、60%以上であり、好ましくは65%以上である。繰り返し剥離強度維持率が60%以上であると、セパレータ捲回体が高温下に曝された場合においても、従来の機能を発現することが可能となり得やすい。
機能多孔層の平均厚みは、特に限定されないが、1.0μm未満であることが好ましく、より好ましくは500nm未満、更に好ましくは400nm未満である。また10nm以上が好ましく、より好ましくは20nm、更に好ましくは50nm以上である。機能多孔層の平均厚みを1.0μm未満とすることは、機能多孔層内における結着性を高めるとともに、透過性の低下を抑制する観点から好ましい。また、機能多孔層の平均厚みの下限値は、10nm以上であれば、十分に機能を発現することができるため好ましい。
[微多孔膜(A)]
本実施形態において、微多孔膜(A)は、熱可塑性樹脂(a)を主成分とする。熱可塑性樹脂(a)は、熱可塑性樹脂(b)とは異なる樹脂であることが好ましい。本実施形態において、「主成分とする」とは、対象の材料が構成材料の50vol%以上含まれていることを意味する。本実施形態において、微多孔膜(A)は、微多孔膜の少なくとも一方の表面または内部に、上記で説明した多孔層(B)とは別の、無機フィラー及び樹脂製バインダを含む多孔層を有していてもよい。
熱可塑性樹脂(a)は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどの含フッ素樹脂、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体やエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などの含フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体およびその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどのゴム類、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステルなどの、融点および/またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することも可能である。2種類以上を併用する場合は、最も割合(重量比率)が高い熱可塑性樹脂の融点を熱可塑性樹脂(a)の融点とする。また、熱可塑性樹脂の融点は、微多孔膜を用いて測定するが、測定が困難な場合は原料の熱可塑性樹脂(a)を用いて測定してもよい。
本発明の多層セパレータを蓄電デバイス用セパレータとして用いる場合、熱可塑性樹脂(a)はポリオレフィン樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂は電気化学的な安定性、電解液に対する安定性、機械強度、等が優れており好適である。
ポリオレフィン樹脂とは、通常の押出、射出、インフレーション、及びブロー成形などに使用されるポリオレフィン樹脂であって、オレフィン炭化水素をモノマー成分として含むポリマーであり、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンなどのホモ重合体、共重合体、及び多段重合体である。また、これらのホモ重合体、共重合体、及び多段重合体から選んだポリオレフィンを単独、もしくは混合して使用することもできる。
ポリオレフィン樹脂として、具体的には、低密度ポリエチレン(密度0.910g/cm以上0.930g/cm未満)、線状低密度ポリエチレン(密度0.910g/cm以上0.940g/cm以下)、中密度ポリエチレン(密度0.930g/cm以上0.942g/cm未満)、高密度ポリエチレン(密度0.942g/cm以上)、超高分子量ポリエチレン(密度0.910g/cm以上0.970g/cm以下)、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレンプロピレンラバーが挙げられる。
ポリオレフィン微多孔膜の耐熱性を向上させる観点から、ポリオレフィン樹脂はポリプロピレンを含むことが好ましい。ポリプロピレンのポリオレフィン樹脂中に占める割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、ポリプロピレンのポリオレフィン樹脂中に占める割合は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。ポリプロピレンの割合を1質量%以上とすることは、ポリオレフィン微多孔膜の耐熱性を向上させる観点から好ましい。一方で、微多孔膜の均一性を高める観点から、ポリプロピレンの割合は30質量%以下であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは30万以上500万以下、より好ましくは40万以上400万以下、更に好ましくは50万以上300万以下である。粘度平均分子量は、ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度を測定し、ポリオレフィン樹脂に応じた計算式から算出することで、求めることができる。
ポリエチレンについては、次式によりMvを算出できる。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出できる。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
ポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量を30万以上とすることは、ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練する際に、メルトテンションを高く維持して良好な成形性を確保する観点、並びに、ポリオレフィン樹脂の分子に対して十分な絡み合いを付与し、ポリオレフィン微多孔膜の強度を高める観点から好ましい。一方、粘度平均分子量を500万以下とすることは、ポリオレフィン樹脂の押出成形の安定性を向上させる観点から好ましい。
実施形態で使用されるポリオレフィン樹脂には、本発明の利点を損なわない範囲で必要に応じて、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物の充填剤、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、リン酸リチウム、炭酸リチウム等のイオン性化合物の充填剤、フェノール系やリン系や硫黄系などの酸化防止剤、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸リチウムなどの金属石鹸類、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料などの添加剤を混合して使用できる。
ポリオレフィン微多孔膜は、1μm以下の非常に小さな孔を多数有し、緻密な連通孔を形成している。そのため電解液が含浸されると高いイオン伝導性と強度を兼ね備え、蓄電デバイス用セパレータに多用されている。
[多層セパレータ]
多層セパレータの平均厚みは、0.1μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上50μm以下、さらに好ましくは3μm以上25μm以下である。機械的強度の観点から0.1μm以上が好ましく、電池の高容量化の観点から100μm以下が好ましい。
多層セパレータの平均孔径は、イオン伝導性と耐電圧性の観点から、10nm以上500nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以上200nm以下、さらに好ましくは30nm以上100nm以下である。多層セパレータにおいては、少なくとも1層以上の層において上記範囲の孔径を有していることが好ましい。
多層セパレータの平均気孔率は、好ましくは25%以上95%以下、より好ましく30%以上85%以下、更に好ましくは35%以上75%以下、特に好ましくは40%以上65%以下である。イオン伝導性向上の観点から25%以上が好ましく、耐電圧性の観点から95%以下が好ましい。多層セパレータにおける平均気孔率は、各層の厚み、各層の重量、各層の構成材料の密度より算出した平均気孔率である。
多層セパレータの透気度は、好ましくは10秒/100ml以上500秒/100ml以下であって、より好ましくは20秒/100ml以上400秒/100ml以下、更に好ましくは30秒/100ml以上300秒/100ml以下であり、特に好ましくは40秒/100ml以上200秒/100ml以下である。透気度が10秒/100ml以上であると、セパレータとして使用した際に自己放電が少なくなる傾向にあり、500秒/100ml以下であると、良好な充放電特性が得られる傾向にあるため好ましい。
多層セパレータの突刺強度は、好ましくは100gf以上、より好ましくは200gf以上、更に好ましくは300gf以上であって、好ましくは600gf以下、より好ましくは500gf以下、更に好ましくは400gf以下である。突刺強度を100gf以上とすることは、電池捲回時において脱落した活物質等による破膜を抑制する観点から好ましい。また、充放電に伴う電極の膨張収縮によって短絡する懸念を低減する観点からも好ましい。一方、突刺強度を600gf以下とすることは、加熱時の配向緩和による収縮を低減できる観点から好ましい。
多層セパレータのヒューズ温度の上限は、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは135℃以下である。ヒューズ温度が145℃以下であれば電池の熱暴走を低減できる傾向にある。下限は好ましくは90℃以上、より好ましくは110℃以上である。ヒューズ温度が90℃以上であれば高温時の入出力特性に影響をあたえにくい傾向にある。ヒューズ温度は、熱可塑性樹脂(a)や熱可塑性樹脂(b)の融点により調整できるが、多層セパレータにおいては、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度、損失弾性率、目付量により調整できる。
ヒューズ温度は後述する実施例に記載された方法に従って測定することができる。
多層セパレータは、外径3インチ(7.62cm)以上20インチ(50.8cm)以下のコア(「巻き芯」ともいう)に、1000m以上捲回された多層セパレータ捲回体であることが好ましい。ここでいう「捲回体」とは、コア上に、一様の幅の多層セパレータが所定の長さ分だけ捲回されたものをいう。「コア」とは、多層セパレータの巻き取りに用いられる外形が円柱形状である芯をいい、例えば、紙管、ABS樹脂又はフェノール樹脂製等の円筒状の巻き芯が挙げられる。1インチは、25.4mmに換算可能である。外径が3インチ以上であると捲回数が低減できるため高温等に曝された場合においても内圧が低く、機能層の性能を維持し易いため好ましい。また、多層セパレータをコアから繰り出した後、カール(反り)が低減される傾向があるため好ましい。外径が20インチ以下であるとハンドリングの観点で好ましい。巻長及び幅は特に制限されるものではないが、巻長は1000m以上10000m以下、幅は5mm以上2000mm以下程度である。巻長が1000m以上であると積層回数が多く本発明の効果を奏しやすい。
[多層セパレータの製造方法]
(微多孔膜(A)の製造方法)
熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)の製造方法については特に制限なく、公知の製造方法を採用することができる。例えば、
(1)ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、必要に応じて延伸した後、孔形成材を抽出することにより多孔化させる方法、
(2)ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理及び延伸によって、ポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、
(3)ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形した後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、及び
(4)ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させてポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法、
等が挙げられる。
以下、微多孔膜(A)を製造する方法の一例として、ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、孔形成材を抽出する方法について説明する。
まず、ポリオレフィン樹脂組成物及び孔形成材を溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を、例えば押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置を用いて、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で孔形成材を導入して混練する方法が挙げられる。
上記孔形成材としては、可塑剤、無機材、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
可塑剤としては、特に限定されないが、ポリオレフィンの融点以上において均一溶液を形成し得る不揮発性溶媒を用いることが好ましい。このような不揮発性溶媒の具体例としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。特に、多成分との相溶性及び延伸時の均一性の観点から、流動パラフィンが好ましい。
可塑剤の混合方法として、好ましくは、樹脂混練装置に投入する前に、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤、及び可塑剤を、予めヘンシェルミキサー等を用いて所定の割合で事前混練しておくことである。より好ましくは、事前混練において、可塑剤はその一部のみを投入し、残りの可塑剤は、適宜加温しつつ樹脂混練装置にサイドフィードして混練する。このような混練方法を用いることにより、可塑剤の分散性が高まり、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練物のシート状成形体を延伸する際に、破膜することなく高倍率で延伸することができることになる。
ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の比率は、これらを均一に溶融混練して、シート状に成形できる範囲であれば特に限定はない。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とからなる組成物中に占める可塑剤の質量分率として、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。可塑剤の質量分率が90質量%以下であると、溶融成形時のメルトテンションが成形性向上のために十分なものとなる傾向にある。一方、可塑剤の質量分率が20質量%以上であると、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤との混合物を高倍率で延伸した場合でもポリオレフィン分子鎖の切断が起こらず、均一かつ微細な孔構造を形成し易く、強度も増加し易いため、好ましい。
無機材としては、特に限定されず、例えば、アルミナ、シリカ(珪素酸化物)、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、電気化学的安定性の観点から、シリカ、アルミナ、又はチタニアが好まし
く、抽出が容易である点から、シリカが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と無機材との比率は、良好な隔離性を得る観点から、これらの合計質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、高い強度を確保する観点から、ポリオレフィン樹脂組成物と無機材との合計質量に対して、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。また10質量%以上であると融点以上の熱延伸をしても透過性の低下が起こりにくく好ましい。ポリオレフィンと無機材が高度に絡み合い、溶融粘度が増加しているためと推測される。
次に、溶融混練物をシート状に成形する。シート状成形体を製造する方法としては、例えば、溶融混練物を、Tダイ等を介してシート状に押出し、熱伝導体に接触させて樹脂成分の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却して固化する方法が挙げられる。冷却固化に用いられる熱伝導体としては、金属、水、空気、或いは可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、熱伝導の効率が高いため、金属製のロールを用いることが好ましい。また、押出した混練物を金属製のロールに接触させる際に、ロール間に挟み込むことは、熱伝導の効率が更に高まると共に、シートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性も向上する傾向にあるため、より好ましい。溶融混練物をTダイからシート状に押出す際のダイリップ間隔は200μm以上3,000μm以下であることが好ましく、500μm以上2,
500μm以下であることがより好ましい。ダイリップ間隔が200μm以上であると、メヤニ等が低減され、スジや欠点等膜品位への影響が少なく、その後の延伸工程において膜破断等のリスクを低減することができる。一方、ダイリップ間隔が3,000μm以下であると、冷却速度が速く冷却ムラを防げるとともに、シートの厚み安定性を維持できる。
また、シート状成形体を圧延してもよい。圧延は、例えば、ダブルベルトプレス機等を使用したプレス法にて実施することができる。圧延を施すことにより、特に表層部分の配向を増すことができる。圧延面倍率は1倍を超えて3倍以下であることが好ましく、1倍を超えて2倍以下であることがより好ましい。圧延倍率が1倍を超えると、面配向が増加し最終的に得られる微多孔膜(A)の膜強度が増加する傾向にある。一方、圧延倍率が3倍以下であると、表層部分と中心内部の配向差が小さく、膜の厚さ方向に均一な多孔構造を形成することができる傾向にある。
次いで、シート状成形体から孔形成材を除去して微多孔膜とする。孔形成材を除去する方法としては、例えば、抽出溶剤にシート状成形体を浸漬して孔形成材を抽出した後、充分に乾燥させる方法が挙げられる。孔形成材を抽出する方法は、バッチ式、連続式のいずれであってもよい。微多孔膜の収縮を抑えるために、浸漬及び乾燥から成る一連の工程中に、シート状成形体の端部を拘束しておくことが好ましい。シート状成形体から孔形成材を除去する際には、微多孔膜中の孔形成材残存量を微多孔膜全体の質量に対して1質量%未満にすることが好ましい。
孔形成材を抽出する際に用いられる抽出溶剤としては、孔形成材料に対して貧溶媒で、かつ孔形成材に対して良溶媒であり、沸点が孔形成材料の融点より低いものを用いることが好ましい。このような抽出溶剤としては、孔形成材料としてポリオレフィン樹脂を用いる場合には、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を用いることができる。孔形成材料として無機材を用いる場合には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を、それぞれ、抽出溶剤として用いることができる。
上記シート状成形体又は微多孔膜を延伸することが好ましい。延伸は上記シート状成形体から孔形成材を抽出する前に行ってもよいし、上記シート状成形体から孔形成材を抽出した微多孔膜に対して行ってもよい。更に、上記シート状成形体から孔形成材を抽出する前と後に行ってもよい。
延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも好適に用いることができる。得られる微多孔膜(A)の強度等を向上させる観点から、二軸延伸が好ましい。特に、シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終的に得られる微多孔膜(A)が裂け難くなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができる。突刺強度の向上、延伸の均一性、及びシャットダウン性の観点からは、同時二軸延伸が好ましい。また、面配向の制御容易性の観点からは、遂次二軸延伸が好ましい。
延伸倍率は、面倍率として、20倍以上100倍以下の範囲であることが好ましく、25倍以上70倍以下の範囲であることがより好ましい。各軸方向の延伸倍率は、MDに4倍以上10倍以下、TDに4倍以上10倍以下の範囲であることが好ましく;MDに5倍以上8倍以下、TDに5倍以上8倍以下の範囲であることがより好ましい。総面積倍率が20倍以上であると、得られる微多孔膜(A)に十分な強度を付与できる傾向にあり、一方、総面積倍率が100倍以下であると、延伸工程における膜破断を防ぎ、高い生産性が得られる傾向にある。
微多孔膜(A)には、収縮を抑制する観点から熱固定を目的として熱処理を施すことが好ましい。熱処理の方法としては、物性の調整を目的とする延伸操作、並びに、延伸応力低減を目的とする緩和操作のうちの1つ以上が挙げられる。延伸操作を行った後に緩和操作を行っても構わない。これらの熱処理は、テンターやロール延伸機を用いて行うことができる。
延伸操作は、膜のMD及びTDのうちの1つ以上の方向に、1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上の延伸を施すことが、更なる高強度かつ高気孔率な微多孔膜(A)が得られる観点から好ましい。
緩和操作における緩和率(緩和操作後の膜の寸法を緩和操作前の膜の寸法で除した値)は、膜のMD及びTDのうちの1つ以上の方向に、1.0以下であることが好ましく、0.97以下であることがより好ましく、0.95以下であることが更に好ましい。緩和率は、膜品位の観点から0.5以上であることが好ましい。緩和操作は、MD及びTDの両方向で行ってもよいし、MD又はTDの片方だけについて行ってもよい。
この可塑剤抽出後の延伸及び緩和操作は、好ましくはTDに行う。延伸及び緩和操作における温度は、ポリオレフィン樹脂の融点(以下、「Tm」ともいう。)より低いことが好ましく、Tmより1℃から25℃低い範囲がより好ましい。延伸及び緩和操作における温度が上記範囲であると、熱収縮率低減と気孔率とのバランスの観点から好ましい。
熱可塑性樹脂(b)を含むスラリーを塗布する微多孔膜(A)としては、前述の最終延伸、熱緩和を行っていない微多孔膜を用いてもよく、延伸、熱緩和を行った後の微多孔膜を用いてもよい。
(多孔層(B)の形成方法)
本実施形態の多層セパレータは、特に方法は限定されないが、例えば、以下の方法で製造することができる。(1)熱可塑性樹脂(b)を溶媒に溶解または分散させたスラリーを、熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)の少なくとも片面に塗布し、延伸する方法;(2)熱可塑性樹脂(b)と必要に応じて可塑剤等を押出機等で加熱混合し、熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)の構成材料と共押出しし、積層シートを形成し、延伸、可塑剤抽出、乾燥等を行う方法;(3)微多孔膜(A)と多孔層(B)を別々に作成した後、貼り合わせる方法等である。
一例として、熱可塑性樹脂(b)を含むスラリーを塗布する方法(1)について説明する。
スラリー中の熱可塑性樹脂(b)の形態としては、水に溶解又は分散した水系溶液又は分散液であってもよく、一般的な有機媒体に溶解又は分散した有機媒体系溶液又は分散液であってもよい。スラリーの媒体としては、熱可塑性樹脂(b)を、均一かつ安定に分散又は溶解できるものが好ましい。具体的には、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、トルエン、熱キシレン、塩化メチレン、ヘキサン等が挙げられる。多層セパレータの透気度を500秒/100ml以下にする観点から、スラリーは分散液状であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂(b)が均一な粒子径であると、均一な機能性を発現することから好ましく、例えば公知の乳化重合法などを用いることで粒径分布がシャープなラテックス状の分散液を得ることができる。
スラリーには、結着性向上のために、水溶性ポリマーなどを加えてもよく、分散安定化、塗工性等の向上のために、界面活性剤等の分散剤;増粘剤;湿潤剤;消泡剤;酸又はアルカリを含むpH調整剤等の各種添加剤を加えてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の機能を発現させるために無機粒子等を添加してもよい。
スラリーを微多孔膜(A)に塗布する方法については、必要とする層厚及び塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。
スラリーの塗布量は、スラリーの固形分濃度、ダイと微多孔膜(A)とのクリアランスや引き取り速度、転写ロールの選定により調節できる。乾燥後の塗布目付は、固形分換算で0.05g/m以上3.00g/m以下が好ましく、より好ましくは0.10g/m以上2.00g/m以下であり、更に好ましくは0.20g/m以上1.5g/m以下である。機能多孔層の基材に対する塗布目付を3.00g/m以下の範囲に制御することは、得られるセパレータにおいて、基材の孔の閉塞によるサイクル特性の低下を抑制しつつ、多層セパレータの透気度を500秒/100ml以下に制御しやすいために好ましい。塗布目付が0.05g/cm以上であれば、機能多孔層と基材との接着力を一層向上させる機能層としての効果を発現する観点から好ましい。
更に、スラリーの塗布に先立ち、微多孔膜(A)の表面に表面処理を施すと、スラリーを塗布し易くなると共に、塗布後の多孔層(B)と微多孔膜(A)の表面との接着性が向上するため、好ましい。表面処理の方法としては、微多孔膜(A)の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はない。例えば、コロナ放電処理法、プラズマ放電処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から媒体を除去する方法については、微多孔膜(A)及び多孔層(B)に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はない。例えば、微多孔膜(A)及び多孔層(B)を固定しながらその融点以下の温度において乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、抽出乾燥等が挙げられる。
塗布工程以降において、延伸処理を行う。延伸温度は、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度より5℃低い温度以上であり、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度以上が好ましく、熱可塑性樹脂(b)融点またはガラス転移温度より5℃高い温度以上がより好ましい。また、延伸温度は、熱可塑性樹脂(a)の融点またはガラス転移温度以下が好ましく、熱可塑性樹脂(a)の融点またはガラス転移温度より3℃低い温度以下が好ましく、熱可塑性樹脂(a)の融点またはガラス転移温度より5℃低い温度以下がさらに好ましい。熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度より5℃低い温度以上で延伸すると、熱可塑性樹脂(b)の一部が融解し、流動性を発現する。そして、熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)の微細多数のフィブリルに融解した樹脂(b)が連続的にコートされた状態となる。そして冷却する際に樹脂(a)と樹脂(b)の接触面積が著しく大きい状態で融着するため、非常に強固な結着性を発現し、繰り返し剥離強度維持率が60%以上を達成することが可能になると推察される。
延伸倍率は1.01倍以上であることが好ましく、1.5倍以上がより好ましく、1.8倍以上がさらに好ましい。1.01倍以上であれば、接触面積の増大により繰り返し剥離強度が向上することに加え、透過性が優れるために好ましい。
延伸後に引き続き、緩和処理することはさらに好ましい。延伸後の寸法を基準に、延伸方向に1%以上緩和することが好ましく、2%以上緩和することがより好ましく、3%以上緩和することがさらに好ましい。1%以上緩和すると繰り返し剥離強度が向上することに加え、熱収縮率が良化するため蓄電デバイス用セパレータとしては好適である。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明する。しかしながら、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例又は比較例中の物性は、それぞれ以下の方法により測定した。なお、特に測定雰囲気が明示されていないものは、23℃±3℃及び相対湿度40%±5%の大気中において測定した。
[測定及び評価方法]
〈平均厚み(微多孔膜(A)及び多層セパレータ)〉
微多孔膜(A)の平均厚み(μm)、及び多層セパレータの平均厚み(μm)は、MD10mm×TD10mmのサンプルを切り出し測定した。該サンプル面上で格子状に9箇所(3点×3点)を選び、各箇所の厚さをダイヤルゲージ(尾崎製作所製PEACOCK No.25(登録商標))を用いて室温23±2℃で測定した。各々、9箇所の測定値の平均値をセパレータの平均厚み(μm)とした。
〈平均厚み(多孔層(B))〉
多孔層(B)の平均厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−5500、HITACHI社製」を用い、セパレータの断面観察により測定した。試料はルテニウム染色、アクリル樹脂で包埋、クライオミクロトーム法で超薄切片を作製し、検鏡用試料とした。
加速電圧30kVにて観察し、視野内の多孔層(B)について、任意の5箇所の厚さを測定し、平均値を算出した。平均値はnm単位において、1桁目を四捨五入した値を多孔層(B)の平均厚み(nm)として使用する。
〈透気度〉
微多孔膜(A)の透気度(秒/100ml)、及び多層セパレータの透気度(秒/100ml)は、JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計(東洋精機製G−B2(商標))を用いて測定した透気抵抗度をいう。
〈突刺強度(gf)〉
微多孔膜(A)及び多層セパレータの突刺強度は、以下の方法により測定した。カトーテック社製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーでサンプルを固定した。次に固定されたサンプルの中央部を、直径1.0mm、先端の曲率半径0.5mmの針を用いて、23℃±3℃の環境下、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(gf)を測定した。
〈融点〉
熱可塑性樹脂(a)及び(b)の融点は、島津製作所製DSC−60を用いて測定した。熱可塑性樹脂がスラリー(溶液に分散または溶解している状態)である場合、該スラリーを、アルミ皿に適量採取し、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥被膜約4mgを測定用アルミ容器に詰め窒素雰囲気下で測定し、DSC曲線を得た。熱可塑性樹脂が粉体、ペレット、フィルム等の固体の場合は直接測定する。
(1段目昇温降温プログラム)
50℃以下からスタート、毎分10℃の割合で昇温、200℃到達後5分間維持。
(2段目昇温降温プログラム)
200℃から毎分10℃の割合で降温、30℃に到達後5分間維持。
(3段目昇温降温プログラム)
30℃から毎分10℃の割合で200℃まで昇温。
3段目の昇温降温プログラムのDSC曲線を用い、融解ピークのピークトップの温度を融点とした。
〈ガラス転移温度〉
熱可塑性樹脂(b)のガラス転移温度は、島津製作所製DSC6220を用いて測定した。熱可塑性樹脂がスラリー(溶液に分散または溶解している状態)である場合、該スラリーを、アルミ皿に適量採取し、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥被膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め窒素雰囲気下で測定し、DSC曲線を得た。熱可塑性樹脂が粉体、ペレット、フィルム等の固体の場合は直接測定する。
(1段目昇温降温プログラム)
70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温、110℃に到達後5分間維持。
(2段目降温降温プログラム)
110℃から毎分40℃の割合で降温、−50℃に到達後5分間維持。
(3段目昇温降温プログラム)
−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。
3段目の昇温降温プログラムのDSC曲線を用い、ベースライン(得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線)と、変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)における接線との交点をガラス転移温度(Tg)として求めた。
〈ポリオレフィンの粘度平均分子量〉
ASTM−D4020に準拠して、デカリン溶媒中における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求めた。
ポリエチレンのMvは、次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンのMvは、次式により算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
〈繰り返し剥離強度維持率〉
180℃剥離強度測定により算出した。
(測定試料の作成)
図1は、本実施形態における繰り返し剥離強度維持率の測定方法を説明するための、測定試料(10)の長さ方向断面を示す模式図である。スライドガラス(長さ76mm×幅26mm)(1)の片面の全面に、両面テープ(ニチバン製ナイスタックNWBB−15)(長さ76mm×幅15mm)(2)を貼った。このとき、スライドガラスの幅方向の端から1枚目の両面テープを貼り、その横に2枚目の両面テープを1枚目の両面テープに重複しないように貼り、スライドガラスを裏返して、2枚目の両面テープのはみ出した部分をカッターで切除した。その結果、スライドガラスの片面の全面に、幅15mmと幅11mmの2枚の両面テープが貼り付けられた。その両面テープ上に、MD方向76mm×TD方向26mmに切り出した多層セパレータ片(3)を、多孔層(B)が上面となるように貼った。多孔層(B)の上に剥離用テープ(3M製メンディングテープMP−12)(長さ180mm×幅12mm)(4)を貼った。このとき、剥離用テープは、多層セパレータ片の多孔層(B)の一端から長さ方向に貼りつけ、多孔層(B)の他端は、引張伸度試験機のチャックでつかむために残した(以下、「把持部」という。一点鎖線(5)で示す)。剥離用テープの残りの部分は、長さ方向に180°折り返した(以下、折り返しの先端を「自由端」といい、破線(6)で示す。)。以上のようにして、測定試料を作製した。なお、図1は模式図であって、縮尺等は実際の測定試料と異なることに留意されたい。例えば、図1では、説明のため、多孔層(B)と剥離用テープとの間、及び折り返された剥離用テープ同士の間に隙間があるよう描かれているが、実際は接触する。
(剥離強度の測定)
引張伸度試験機(ORIENTEC製RTC−1210A)を用いて測定した。まず、スライドガラスの長さ方向に沿って剥離用テープを180°折り返した状態で、折り返した剥離用テープの上記自由端を試験機のチャックでつかんだ。また、上記把持部(スライドガラス、両面テープ、及び多層セパレータ片を含む)を試験機のチャックでつかんだ。続いて、チャックでつかんだ把持部は固定し、剥離用テープの自由端を100mm/minの速度で、矢印(7)で示す方向に引っ張った。その時の応力より、剥離強度(1回目)を測定した。測定開始時の剥離用テープの変位を0mmとしたときの、剥離用テープの変位が5mmから40mmの間の応力の平均値を、剥離強度[gf](1回目)とした。測定後、剥離された剥離用テープを用いて、再度、剥離強度(2回目)を測定した。この時、スライドガラス、両面テープ、多層セパレータは新たなものを使用し、剥離用テープは1回目の測定で使用した剥離用テープを用い、測定試料を作成した。測定条件は1回目と同じである。測定後、剥離された剥離用テープを用いて、再度剥離強度(3回目)を測定した。この時、スライドガラス、両面テープ、多層セパレータは新たなものを使用し、剥離用テープは2回目の測定で使用した剥離用テープを用い、測定試料を作成した。測定条件は1回目と同じである。
2回目、3回目の試料作成において、繰り返し使用した剥離用テープが多孔層(B)に接着しない場合は、測定不可と判断した。
(繰り返し剥離強度維持率)
1回目と3回目の剥離強度の値より繰り返し剥離強度維持率を求めた。
繰り返し剥離強度維持率(%)=3回目の剥離強度/1回目の剥離強度×100
〈電極接着強度〉
電極接着強度は90℃剥離測定により算出した。
(測定試料の作成)
多層セパレータと、被着体としての正極(enertech社製、正極材料:LiCoO、導電助剤:アセチレンブラック、バインダ:PVDF、LiCoO/アセチレンブラック/PVDF(重量比)=95/2/3、L/W:両側について36mg/cm、密度:3.9g/ml、Al集電体の厚み:15μm、プレス後の正極の厚み:107μm)とを、それぞれTD方向15mm及びMD方向60mmの長方形状に切り取った。セパレータの多孔層(B)と正極活物質とが相対するようにこれらを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体を、以下の条件でプレスした。
プレス圧:1MPa
温度:100℃
プレス時間:5秒
(剥離強度の測定)
プレス後の積層体について、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500N(製品名)を用いて、電極を固定し、セパレータを把持して引っ張る方式によって、剥離速度50mm/分にて90°剥離試験を行い、剥離強度を調べた。このとき、上記の条件で行い、変位が20mmから50mmの剥離試験における剥離強度の平均値を電極接着強度とした。
(評価)
多層セパレータは、捲回体作成後35℃以下で7日間以内保存管理していた多層セパレータの捲回体を用いた剥離強度(保存前)と、捲回体を50℃のオーブンに7日間保管した捲回体を用いた剥離強度(保存後)を測定して比較した。測定は、捲回体より20か所サンプリングして行い、20点測定の平均値と標準偏差を求め、比較した。また保存前後における平均値の変化率を比較評価した。
接着強度維持率(%)=保存後電極接着強度/保存前電極接着強度×100
〈ヒューズ温度(℃)〉
微多孔膜(A)及び多層セパレータのヒューズ温度は、以下のように測定した。厚さ10μmのニッケル箔を2枚(A、B)用意し、一方のニッケル箔Aをスライドガラス上に、縦10mm、横10mmの正方形部分を残してテフロン(登録商標)テープでマスキングすると共に固定した。
熱電対を繋いだセラミックスプレート上に、別のニッケル箔Bを載せ、この上に規定の電解液で3時間浸漬させた測定試料の微多孔膜(A)又は多層セパレータを置き、その上からニッケル箔を貼りつけたスライドガラスを載せ、更にシリコンゴムを載せた。
これをホットプレート上にセットした後、油圧プレス機にて1.5MPaの圧力をかけた状態で、15℃/minの速度で昇温した。
この際のインピーダンス変化を交流1V、1kHzの条件下で測定した。この測定において、インピーダンスが1000Ωに達した時点の温度をヒューズ温度とし、孔閉塞状態に達した後、再びインピーダンスが1000Ωを下回った時点の温度をショート温度とした。
なお、規定の電解液の組成比は以下の通りである。
溶媒の組成比(体積比):炭酸プロピレン/炭酸エチレン/γ−ブチルラクトン=1/1/2
電解液の組成比:上記溶媒にてLiBF4を1mol/リットルの濃度になるように溶かし、0.5重量%になるようにトリオクチルフォスフェイトを加えた。
〈損失弾性率(E’’)〉
動的粘弾性(DMA)測定より、熱可塑性樹脂(b)の損失弾性率(E’’)を算出した。
・試料片の作製
熱可塑性樹脂(b)を7g秤量し、縦250mm×横250mm×厚さ3mmの、表面を鏡面加工したSUS板2枚で挟み、東洋精機社製の卓上ラボプレス機 MINI TEST PRESS−10を用いてSUS板ごと加熱・加圧して樹脂シートを1枚作製した。上記熱可塑性樹脂(b)の融点(非晶性樹脂の場合はガラス転移温度)+30℃、0.5MPaで3分間予熱した後、続けて樹脂シートの厚みが0.1〜1mmとなるように加圧して2分間静置、その後すぐに別途用意した同型のプレス機にてSUS板ごと、25℃で3分間冷却することで樹脂シートを得た。所望のシート厚みが得られにくい場合は、必要に応じて上記SUS板の間に所望の厚さの金属製スペーサーを挟むことで樹脂シートの厚さを調節してもよい。なお、上記の温度・圧力はプレス機の表示値を指す。
得られた樹脂シートから、目視で気泡の混入等がない均質な部分を選び、長さ30mm×幅5mmのサイズに切り出したものを試料片とした。
・動的粘弾性(DMA)測定
上記で作製した試料片について、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製のQ800(商標)を用い、JIS K 7244:1999に則って動的粘弾性測定を行った。チャック間距離が10mmとなるように試料片をセットし、チャックからはみ出した試験片は必要に応じて切除した。測定は、引張モード、周波数1.0Hz、歪み0.1%、プレロード荷重0.01N、昇温速度2℃/min.の条件でおこない、熱可塑性樹脂(b)の損失弾性率E’’の温度依存性曲線を得た。得られたE’’の曲線から、熱可塑性樹脂(a)の融点における、熱可塑性樹脂(b)の損失弾性率を求めた。
[微多孔膜(A)の製造]
〈製造例A−1〉
粘度平均分子量(Mv)27万、融点136℃の高密度ポリエチレンを21.0質量部と、Mv70万、融点135℃の超高分子量ポリエチレンを14.0質量部と、酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1質量部とを、タンブラーブレンダーに入れ、ドライブレンドした。得られた混合物をフィーダーにより二軸同方向スクリュー式押出機フィード口へ供給し、溶融混練した。また、押し出される全混合物(100質量部)中に占める流動パラフィン量比が67質量部となるように、流動パラフィン「スモイル P−350P」((株)松村石油研究所製)を二軸押出機シリンダーへサイドフィードした。設定温度は、混練部は160℃、Tダイは200℃とした。続いて、溶融混練物をTダイよりシート状に押出し、表面温度70℃に制御された冷却ロールで冷却し、厚み2000μmのシート状のポリオレフィン樹脂組成物を得た。次に連続して同時二軸テンターへ導き、縦方向に7倍、横方向に6.4倍に同時二軸延伸を行った。この時の延伸設定温度は122℃であった。次に塩化メチレン槽に導き、十分に塩化メチレンに浸漬して流動パラフィンを抽出除去した。その後塩化メチレンの乾燥を行い、ポリオレフィン微多孔膜の巻き取りをおこなった。
〈製造例A−2〉
製造例A−1で製造したポリオレフィン微多孔膜を、乾燥後に巻取りを行わず、更に横テンターに導き、横方向に1.9倍延伸したのち、最終出口は1.7倍となるように10.5%の緩和率とし(緩和率=(1.9−1.7)/1.9×100=10.5%)、ポリオレフィン微多孔膜の巻取りを行った。横延伸部の設定温度は127℃、緩和部の設定温度は132℃であった。
〈製造例A−3〉
粘度平均分子量(Mv)27万、融点136℃の高密度ポリエチレンを13.4質量部と、Mv200万、融点134℃の超高分子量ポリエチレンを5.8質量部と、平均一次粒径が12nmであるシリカ「RX200」(日本アエロジル(株)製)を12.8質量部と、可塑剤として流動パラフィン「スモイル P−350P」((株)松村石油研究所製)を15.4質量部と、酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1質量部とを、スーパーミキサーで予備混合した。得られた混合物をフィーダーにより二軸同方向スクリュー式押出機フィード口へ供給し、溶融混練した。また、押し出される全混合物(100質量部)中に占める流動パラフィン量比が68質量部となるように、流動パラフィンを二軸押出機シリンダーへサイドフィードした。設定温度は、混練部は160℃、Tダイは230℃とした。続いて、溶融混練物をTダイよりシート状に押出し、表面温度70℃に制御された冷却ロールで冷却し、厚み1800μmのシート状のポリオレフィン樹脂組成物を得た。次に連続して同時二軸テンターへ導き、縦方向に7倍、横方向に6.4倍に同時二軸延伸を行った。この時の延伸設定温度は122℃であった。次に塩化メチレン槽に導き、十分に塩化メチレンに浸漬して流動パラフィンを抽出除去した。その後塩化メチレンの乾燥を行った。更に横テンターに導き横方向に1.6倍延伸したのち、最終出口は1.4倍となるように12.5%の緩和率とし(緩和率=(1.6−1.4)/1.6×100=12.5%)、無機含有ポリオレフィン微多孔膜の巻取りを行った。横延伸部の設定温度は135℃、緩和部の設定温度は140℃であった。
得られた微多孔膜(A−1)〜(A−3)の物性を表1に示す。微多孔膜(A−2)については、微多孔膜(A−2)表面と剥離用テープ(3M製メンディングテープMP−12)との繰り返し剥離強度維持率を、上記の測定方法に準じて測定した。この測定結果は、使用した剥離用テープの性能の基準として考慮することができる。
Figure 2019102400
[熱可塑性樹脂(b)のスラリーの製造]
スラリーb−1
水性乳化重合法によって製造されたフッ化ビニリデン(VDF)由来の繰り返し単位98.5mol%とヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の繰り返し単位1.5molであるPVDF−HFP共重合体懸濁液(融点125℃、固形分濃度28%)に、PVDF−HFP共重合体100質量部(固形分)に対して0.5質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム製 CMC1220)を溶解した水性スラリーb−1を作製した。
スラリーb−2
水性乳化重合法によって製造されたフッ化ビニリデン(VDF)由来の繰り返し単位98.5mol%とヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の繰り返し単位0.2molであるPVDF−HFP共重合体懸濁液(融点160℃、固形分濃度28%)に、PVDF−HFP共重合体100質量部(固形分)に対して0.5質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム製 CMC1220)を溶解した水性スラリーb−2を作製した。
スラリーb−3
融点110℃、固形分濃度40wt%の水性ポリエチレン分散体(三井化学製、ケミパールW410)をスラリーb−3として使用した。
スラリーb−4
水性乳化重合法によって製造されたメタクリル酸メチル(MMA)由来の繰り返し単位83mol%とアクリル酸n−ブチル(BA)由来の繰り返し単位17mol%であるMMA−BA共重合体懸濁液(ガラス転移温度55℃、固形分濃度40wt%)に、MMA−BA共重合体100質量部(固形分)に対して0.5質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム製 CMC1220)を溶解した水性スラリーb−3を作製した。
スラリーb−5
ジメチルアセトアミドにフッ化ビニリデン(VDF)由来の繰り返し単位98.5mol%とヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の繰り返し単位0.2molであるPVDF−HFP共重合体(融点160℃)を5wt%溶解させた溶液100質量%に対してトリプロピレングリコールを30質量%添加した有機スラリーb−5を作製した。
[実施例1]
製造例A−1で製造したポリオレフィン微多孔膜にスラリーb−1を用いて多層セパレータ捲回体を作成した。上記ポリオレフィン樹脂多孔膜を繰出し機より繰出し、表面にコロナ放電処理を行った後、グラビアリバースコーターを用いてスラリーb−1を塗布した。60℃にて乾燥して水を除去した後、横延伸機に導き、横方向に2倍延伸し、続いて横方向に10%緩和処理した。横延伸機の設定温度は130℃とした。2100m以上巻き取り機で巻取り、多層セパレータを作成した。得られた多層セパレータは、60.0mm幅にスリットし、内径3インチ、外径8インチのABS製コアに2000m巻取った。得られた捲回体の物性、製造条件は表2に記す。
[実施例2〜7]
実施例1において、表1に記した条件に変更して各捲回体を作成した。塗布目付はグラビアロールのセル容積を適宜変更することで所定に調整した。得られた捲回体の物性は表2に記す。
[比較例1〜4]
実施例1において、表1に記した条件に変更して各捲回体を作成した。塗布目付はグラビアロールのセル容積を適宜変更することで所定に調整した。得られた捲回体の物性は表2に記す。
[比較例5]
製造例A−2で製造したポリオレフィン微多孔膜にスラリーb−4を用いて多層セパレータ捲回体を作成した。上記ポリオレフィン樹脂多孔膜を繰出し機より繰出し、表面にコロナ放電処理を行った後、ダイレクトグラビアコーターを用いてスラリーb−4をドット状にパターン形成した。乾燥後のドット直径が500um、ドット高さが1um、被覆率が40%となるように彫刻加工したグラビアロールを用いた。60℃にて乾燥して水を除去した後、横延伸機に導き、横方向に2倍延伸し、続いて横方向に10%緩和処理した。横延伸機の設定温度は130℃とした。2100m以上巻き取り機で巻取り、多層セパレータを作成した。得られた多層セパレータは、60.0mm幅にスリットし、内径3インチ、外径8インチのABS製コアに2000m巻取った。得られた捲回体の物性、製造条件は表2に記す。
[比較例6]
製造例A−2で製造したポリオレフィン微多孔膜にスラリーb−5を用いて多層セパレータ捲回体を作成した。上記ポリオレフィン樹脂多孔膜を繰出し機より繰出し、グラビアリバースコーターを用いてスラリーb−5を塗布した。引き続き、水/ジメチルアセトアミド=70wt%/30wt%からなる凝固液に浸漬することで固化させた。水洗、乾燥(60℃)して水を除去した後、横延伸機に導き、横方向に1倍固定し熱処理を施した。横延伸機の設定温度は80℃とした。2100m以上巻き取り機で巻取り、多層セパレータを作成した。得られた多層セパレータは、60.0mm幅にスリットし、内径3インチ、外径8インチのABS製コアに2000m巻取った。得られた捲回体の物性、製造条件は表2に記す。
Figure 2019102400
実施例、比較例より、繰り返し剥離強度維持率が60%以上の捲回体は、高温保存後の電極との接着性の変化が小さく、バラツキ変動が小さいことがわかる。また比較例1や比較例5において、1回目の剥離強度(従来の剥離強度法)が大きいにもかかわらず高温保存後の接着性のバラツキが大きい。
1 スライドガラス
2 両面テープ
3 多層セパレータ片
4 剥離用テープ
5 測定試料の把持部
6 剥離用テープの自由端
7 引張り方向
10 測定試料

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)と、熱可塑性樹脂(b)を含有する多孔層(B)とを含む多層セパレータであって、
    多孔層(B)は、微多孔膜(A)の少なくとも片面上に連続体をなすよう形成されており、
    前記多孔層(B)の繰り返し剥離強度維持率が60%以上である、多層セパレータ。
  2. 前記熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度が前記熱可塑性樹脂(a)の融点より5℃高い温度以下である、請求項1に記載の多層セパレータ。
  3. 透気度が500秒/100ml以下である、請求項1又は2に記載の多層セパレータ。
  4. 前記多孔層(B)の平均厚みが10nm以上500nm未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層セパレータ。
  5. 前記熱可塑性樹脂(a)の融点温度における、前記熱可塑性樹脂(b)の損失弾性率が0.01MPa以上3.00MPa以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層セパレータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層セパレータが、外径3インチ(7.62cm)〜20インチ(50.8cm)のコアに1000m以上捲回された、多層セパレータ捲回体。
  7. 熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)と、熱可塑性樹脂(b)を含有する多孔層(B)とを含む多層セパレータの製造方法であって、
    熱可塑性樹脂(a)を主成分とする微多孔膜(A)の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂(b)が溶媒に溶解または分散したスラリーを、前記スラリーが連続体をなすよう塗布して、塗工体を得る、工程(1)と、
    前記工程(1)以降に、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度より5℃低い温度以上の温度で前記塗工体を1.01倍以上に延伸する工程(2)と、
    を含む、多層セパレータの製造方法。
  8. 前記工程(1)において、前記スラリーの乾燥後の塗布目付が固形分換算で0.05g/m以上3.00g/m以下である、請求項7に記載の多層セパレータの製造方法。
  9. 前記工程(2)における延伸の温度が、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度以上であり、前記方法は、前記工程(2)の後に、延伸後を基準として延伸方向に1%以上緩和する工程(3)をさらに含む、請求項7又は8に記載の多層セパレータの製造方法。
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