JP2018154521A - セメント用収縮低減剤およびセメント組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 下記成分(A)と成分(B)とを90.0〜99.9質量部:10.0〜0.1質量部の割合で含有することを特徴とする、セメント用収縮低減剤。
成分(A):
下記式(1)で表されるポリオキシアルキレン誘導体
R1O−(AO)m−R2
・・・(1)
(式(1)中、
R1は炭素数1〜30の炭化水素基であり、
R2は水素原子およびメチル基からなる群より選ばれた一種以上を表し、
AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、
mは前記オキシアルキレン基AOの平均付加モル数であり、m=1〜30の数を示す。)
成分(B):
下記式(2)で表され、かつゲル浸透クロマトグラフィー測定により求められるクロマトグラムから算出されるMHとMLとが下記式(3)の関係を満足するポリオキシアルキレン誘導体
R3O−(PO)n−H ・・・(2)
(式(2)中、
R3は炭素数1〜22の炭化水素基であり、
POは炭素数3のオキシアルキレン基を表し、
nは35以上の数を示す。)
0.35≦ML/MH≦0.75 ・・・(3)
(式(3)中、
前記クロマトグラム上の屈折率強度が最大となる極大点KからベースラインBへの垂線の長さをLとし、屈折率強度がL/2となるクロマトグラム上の2点のうち溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとし、点Oと点Qを結ぶ直線Gと前記極大点Kから前記ベースラインへ引いた垂線との交点をPとしたとき、点Oと交点Pの距離をMHとし、点Qと交点Pの距離をMLとする。)
R1O−(AO)m−R2
・・・(1)
式(1)において、R2は、水素原子およびメチル基からなる群より選ばれる一種以上である。好ましくはR2が水素原子のみである。R2における炭素数が1より大きいと、モルタルへの分散性が低下し、収縮低減性および耐凍害性が低下する。
R3O−(PO)n−H ・・・(2)
0.35≦ML/MH≦0.75 ・・・(3)
(1)クロマトグラム上の屈折率強度の極大点KからベースラインBへ垂線を引き、垂線の長さをLとする。
(2)屈折率強度がL/2となるクロマトグラム上の2点のうち、溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとする。
(3)点Oと点Qを結んだ直線Gと、屈折率強度の極大点Kから、ベースラインBへ引いた垂線との交点をPとする。
(4)点Oと交点Pの距離をMH、交点Pと点Qの距離をMLとする。
また、ML/MHが0.35より小さくなると、分子量分布における高分子量側の偏りが大きくなり、粘度が高くなり、取扱いが困難になる。そのため、ML/MHを0.35以上とするが、0.36以上とすることがより好ましい。
また、反応温度は、50〜150℃が好ましく、70〜110℃がより好ましい。反応温度が150℃より高いと、触媒が失活するおそれがあり、反応温度が50℃より低いと、反応速度が遅く生産性に劣る。
Ma[M’x(CN)y]b(H2O)c・(R)d ・・・(4)
(ポリオキシアルキレン化合物:成分(A−1)の合成例)
撹拌機、圧力計、温度計、安全弁、ガス吹き込み管、排気管、冷却用コイルおよび蒸気ジャケットを装備したステンレス製5Lの高圧反応装置に、ステアリルアルコールを主成分とする原料(ステアリルアルコール含有率:約90質量%、セチルアルコール含有率:約10質量%)535g(2.0モル)と、触媒としてソジウムメチラートを量り取り、系内を窒素ガスで置換した。撹拌下、100〜120℃、0.05〜0.50MPa(ゲージ圧)の条件で、ガス吹き込み管よりプロピレンオキシド1160g(20モル)を徐々に圧入した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた後、窒素ガスを吹き込みながら13kPa以下、80℃で1時間減圧処理を行った。窒素ガスで0.05MPaまで加圧後、反応物を抜き取り、塩酸で中和し、水や副生した塩を取り除き、式(1)で表される成分(A−1)を得た。
プロピレンオキシド1740gを使用した以外は、実施例1と同様にして、式(1)で表される成分(A−2)を得た。
ラウリルアルコールを主成分とする原料(ラウリルアルコール含有率:約95質量%、ミリスチルアルコール含有率:約5質量%)372g(2.0モル)とプロピレンオキシド1160g(20モル)を使用した以外は、実施例1と同様にして、式(1)で表される成分(A−3)を得た。
原料としてn−ブタノール148gを使用し、プロピレンオキシド1160gを使用した以外は、実施例1と同様にして、式(1)で表される成分(A−4)を得た。
原料としてメタノール160g(5モル)を使用し、エチレンオキシド440g(10モル)、プロピレンオキシド580g(10モル)を使用した以外は、実施例1と同様にして合成し、本発明外の成分(A’−1)を得た。
エチレンオキシド880g(20モル)を使用した以外は、実施例1と同様にして合成し、本発明外の成分(A’−2)を得た。
塩化亜鉛2.1gを含む2.0mlの水溶液中に、カリウムヘキサシアノコバルテートK3Co(CN)6を0.84g含む15mlの水溶液を、40℃にて撹拌しながら15分間かけて滴下した。滴下終了後、水16ml、tert-ブチルアルコール16gを加え、70℃に昇温し、1時間撹拌した。室温まで冷却後、濾過操作を行い、固体を得た。この固体に、水14ml、tert-ブチルアルコール8.0gを加え、30分間撹拌した後、濾過操作を行い、固体を得た。さらに再度、この固体にtert-ブチルアルコール18.6g、メタノール1.2gを加え、30分間撹拌した後、濾過操作を行い、得られた固体を40℃、減圧下で3時間乾燥し、複合金属シアン化物錯体触媒0.7gを得た。
撹拌機、圧力計、温度計、安全弁、ガス吹き込み管、排気管、冷却用コイルおよび蒸気ジャケットを装備したステンレス製5Lの高圧反応装置に、n−ブタノール200gと、上記した合成例の複合金属シアン化物錯体触媒0.2gを量り取り、系内を窒素ガスで置換した。撹拌下、100〜120℃、0.05〜0.30MPa以下の条件で、ガス吹き込み管より、プロピレンオキシド243gを16時間かけて滴下した。その後、反応槽内を100〜120℃に保ちながら、撹拌下、0.05〜0.60MPaの条件で、ガス吹き込み管より、徐々にプロピレンオキシドを投入し、全量で3270gを加圧添加した。添加終了後、100〜120℃で1時間反応させた。反応槽から2200gを抜き取り、反応槽内の残存物を100〜120℃に昇温し、0.05〜0.60MPaの条件で、ガス吹き込み管より、プロピレンオキシド1110gを2時間かけて添加した。添加終了後、100〜120℃で1時間反応させた。再度、反応槽より1044gを抜き取り、反応槽の残存物を110℃へと昇温し、0.05〜0.60MPaの条件で、ガス吹き込み管より、プロピレンオキシド312gを40分かけて添加した。添加終了後、100〜120℃で1時間反応させた後、窒素ガスを吹き込みながら13kPa以下、80℃で1時間減圧処理を行った。窒素ガスで0.05MPaまで加圧後、反応物を抜き取り、濾過を行い、表2の成分(B−1)を得た。
プロピレンオキシド全添加量を4779gとした以外は、成分(B−1)と同様にして、表2に示す成分(B−2)を得た。
プロピレンオキシド全添加量を4901gとした以外は、成分(B−1)と同様にして、表2に示す成分(B−3)を得た。
撹拌機、圧力計、温度計、安全弁、ガス吹き込み管、排気管、冷却用コイルおよび蒸気ジャケットを装備したステンレス製5Lの高圧反応装置に、分子量1290のポリオキシプロピレンブチルエーテル250gと水酸化カリウム5.4gを量り取り、100℃でプロピレンオキシド2322gを反応させた後、窒素ガスを吹き込みながら13kPa以下、80℃で1時間減圧処理を行った。窒素ガスで0.05MPaまで加圧後、反応物を抜き取り、塩酸で中和し、水や副生した塩を取り除いた後に、濾過を行い、本発明外の成分(B’−1)を得た。
ゲル浸透クロマトグラフィーには、システムとしてSHODEX GPC101専用システム、示差屈折率計としてSHODEX RI−71S、ガードカラムとしてSHODEX KF−GS、カラムとしてSHODEX KF804Lを3本連続装着し、カラム温度40℃、展開溶媒としてテトラヒドロフランを1ml/分の流速で流し、得られた反応物の0.1質量%テトラヒドロフラン溶液0.1mlを注入し、BROWIN GPC計算プログラムを用いて屈折率強度と溶出時間で表されるクロマトグラムを得た。このクロマトグラムからML/MHを求め、表2に示す。
セメント100質量部(セメント協会製)、細骨材(山砂、千葉産)200質量部を強制練りミキサで空練り後、水50質量部と、各例のセメント用収縮低減剤2質量部を加えて混練し、モルタルとした。単位容積質量は2,090±20g/L、モルタル温度は20±2℃であった。
表3に示す各モルタルの特性を測定し、測定結果を表4、表5に示す。
<作業性の評価>
モルタルのスランプ値およびスランプフロー値の測定は、JIS A 1171に記載の上端内径50mm、下端内径100mm、高さ150mmのスランプコーンにモルタルを2層に分けて充填し、上面をスランプコーンの上端に合わせて均した後、直ちにスランプコーンを静かに鉛直に引き上げ、頂部の下がりをスランプ値として、モルタルの広がりが静止した時点での最大直径とそれに直交する直径を測定し、その平均値をスランプフロー値として測定した。粘性の評価は、モルタルのスランプを測定する際、スランプ値が同じでも粘性の差異によってスランプフロー値が変化するという現象をもとに行った。すなわち、モルタルスランプが同じでフローが大きくなることは、粘性が低く作業性に優れるという現象を利用し、スランプフローの(長径/2)×(短径/2)×円周率で求められるフロー面積をスランプ値で除した値で表した。この値は、粘性が低いものほど大きくなる。
収縮低減性の評価は、上記モルタルを4×4×16(cm)のゲージプラグ付き金型に充填し、養生温度20℃、材齢1日で脱型および基長の測定を行い、その後20±2℃、湿度55%RHにて気中養生し、JIS A 1129−3「モルタルおよびコンクリートの長さ変化試験(ダイヤルゲージ方法)」に準拠した長さ変化試験を実施し、収縮率が小さいものほど収縮低減性が高いものとして評価した。
耐凍害性の評価は、上記モルタルを10×10×40(cm)の金型に充填し、養生温度20℃、材齢2日で脱型および20±2℃で14日水中養生、20±2℃で12日気中養生後、JIS A 1148「コンクリートの凍結融解試験方法(水中凍結融解試験方法)」に準拠し、5±2℃から−18±2℃の温度条件で凍結融解サイクルを与え、JIS A 1127「共鳴振動によるコンクリートの動弾性係数、動せん断弾性係数及び動ポアソン比試験方法」に準拠して測定した一次共鳴振動数から、JIS A 1148に記載の相対動弾性係数を算出し、その値が低下しないものほど、耐凍害性が高いものとして評価した。
圧縮強度の評価は、上記モルタルを4×4×16(cm)の金型に充填し、養生温度20℃、材齢1日で脱型し、その後、20±2℃で材齢28日まで水中養生後、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠した圧縮強度測定を実施した。
・作業性: フロー面積/スランプ値;
20以上:○、 20未満:×
・収縮低減性: 無添加に対する28日収縮低減率;
70未満:◎、 70以上90未満:○、 90以上100未満:△
・耐凍害性
: 無添加に対する28日相対動弾性係数;
60以上:○、 60未満:×
・圧縮強度 : 無添加に対する圧縮強度比;
90%以上: ○、90%未満:×
比較例2、3は、成分(B)のGPCチャートより算出したML/MHが本発明の範囲を外れており、圧縮強度の低下が大きく、フロー面積/スランプ値が小さく、粘性が高いため、作業性が低いことがわかる。
比較例5は、AOのアルキレンオキシド炭素数が本発明の範囲を外れるため、耐凍害性の低下が大きく、圧縮強度の低下が大きいため、耐久性が低いことがわかる。
Claims (2)
- 下記成分(A)と成分(B)とを90.0〜99.9質量部:10.0〜0.1質量部の割合で含有することを特徴とする、セメント用収縮低減剤。
成分(A):
下記式(1)で表されるポリオキシアルキレン誘導体
R1O−(AO)m−R2
・・・(1)
(式(1)中、
R1は炭素数1〜30の炭化水素基であり、
R2は水素原子およびメチル基からなる群より選ばれた一種以上を表し、
AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、
mは前記オキシアルキレン基AOの平均付加モル数であり、m=1〜30の数を示す。)
成分(B):
下記式(2)で表され、かつゲル浸透クロマトグラフィー測定により求められるクロマトグラムから算出されるMHとMLとが下記式(3)の関係を満足するポリオキシアルキレン誘導体
R3O−(PO)n−H ・・・(2)
(式(2)中、
R3は炭素数1〜22の炭化水素基であり、
POは炭素数3のオキシアルキレン基を表し、
nは35以上の数を示す。)
0.35≦ML/MH≦0.75 ・・・(3)
(式(3)中、
前記クロマトグラム上の屈折率強度が最大となる極大点KからベースラインBへの垂線の長さをLとし、屈折率強度がL/2となるクロマトグラム上の2点のうち溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとし、点Oと点Qを結ぶ直線Gと前記極大点Kから前記ベースラインへ引いた垂線との交点をPとしたとき、点Oと交点Pの距離をMHとし、点Qと交点Pの距離をMLとする。)
- セメント100質量部に対し、請求項1記載のセメント用収縮低減剤0.1〜10質量部を含有することを特徴とする、セメント組成物。
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