JP2018111903A - ゴム補強用アラミド短繊維集束体 - Google Patents

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【課題】ラテックスの種類によらず、ゴムとの接着性を維持しつつ、ゴムに対する分散性、カット性が良好なゴム補強用アラミド短繊維集束体を提供する。【解決手段】集束体を構成するアラミド短繊維の表面に、ラテックスを含有する集束剤が短繊維質量に対して1〜20質量%、かつ、ワックスが短繊維質量に対して0.1〜5質量%付着していることを特徴とするゴム補強用アラミド短繊維集束体である。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム補強用アラミド短繊維集束体に関する。より詳細には、短繊維加工性及びゴムに対する接着性、分散性に優れるゴム補強用アラミド短繊維集束体に関する。
アラミド繊維は、高強度、高弾性率、高耐熱性、非導電性、錆びないなどの高い機能性と、有機繊維特有のしなやかさと軽量性を併せ持った合成繊維であることから、タイヤ、ベルト、コンベヤ等のゴムに配合され、ゴム補強材として使用されている。
しかし、アラミド繊維は表面が不活性であるため、ゴムとの接着力が低く、またゴムに配合するときの分散性が悪いという問題がある。また、マルチフィラメントの状態での収束性が乏しいために、繊維束を短繊維にカットする際に短繊維が飛散し易く、かつ短繊維同士が絡み合ったファイバーボールを形成し易い(即ち、カット性不良)という問題がある。
上記問題を解決するため、ゴムに配合するアラミド繊維束にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(以下、「RFL」と記す)処理をすることが一般的に行われているが、アラミド繊維内部にRFL未付着単糸が存在すると、短繊維にカットする際など繊維束が開繊した場合に、単糸の飛散あるいはファイバーボール形成要因となる。
ファイバーボール形成を抑制する方法として、特許文献1には、アラミド短繊維からなる集束体の表面に、ガラス転移温度が−25℃〜+30℃であるラテックス(例えば、スチレン−ブタジエン共重合物、各種のゴムラテックスなど)と、ポリアルキレングリコール化合物またはエステル化合物とを含有する集束剤を付着させたアラミド短繊維集束体が開示されている。この発明では、集束剤として二塩基酸ジエステル(ジオクチルアゼレートが最適)を併用すると、集束剤付与後の剤の脱落を抑制でき、ゴム中での繊維の分散性向上効果をさらに高める効果があるとされている。また、特許文献2には、ファイバーボールの生成を抑制でき、ゴムへの分散性が向上するゴム補強用短繊維として、ポリベンザゾール繊維に対し、ポリグリシジル化合物の水分散液を含む混合液で処理した後、さらにRFL液で処理した短繊維束が開示されている。
特開2011−241504号公報 特開2005−194668号公報
しかしながら、特許文献2等に開示されている2液処理は基本的に工程が煩雑化する。また、特許文献1では、二塩基酸ジエステル(可塑剤)を集束剤中に含有させて、柔軟なラテックス被膜を繊維表面に形成させることで、ファイバーボールの生成を抑制しているが、ラテックスの種類が制限されるだけでなく、アラミド短繊維集束体のゴム中での分散性にも課題がある。
従って、ファイバーボールの生成を抑制するためには、RFLの粘着性や集束力を考慮したラテックスを選定しなければならず、ゴムとの接着性やゴム中での分散性が良好なラテックスを選定する上で障害となっていた。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、ラテックスの種類によらず、ゴムとの接着性を維持しつつ、ゴムに対する分散性が良好なゴム補強用アラミド短繊維集束体を提供することにある。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を進めた結果、集束剤にワックスを加えることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)集束体を構成するアラミド短繊維の表面に、ラテックスを含有する集束剤とワックスが付着していることを特徴とするゴム補強用アラミド短繊維集束体。
(2)ワックスが、オレフィン系、脂肪酸エステル系及び脂肪酸アミド系ワックスから選ばれる少なくとも1種である、上記(1)記載のゴム補強用アラミド短繊維集束体。
(3)ワックスを水分散させたエマルジョン状態で、ラテックスを含有する集束剤と混合して用いられる、上記(1)または(2)記載のゴム補強用アラミド短繊維集束体。
(4)アラミド短繊維が、あらかじめエポキシ基含有化合物を繊維骨格内に浸透させたアラミド繊維である、上記(1)〜(3)いずれか記載のゴム補強用アラミド短繊維集束体。
本発明によれば、集束体を構成するアラミド短繊維の表面にワックスを導入することにより、RFLの粘着性を低下させ、それにより粘着性に起因するファイバーボール発生を抑制できる。また、繊維に付与する集束剤の溶融粘度が低減されることから、ディップ時に繊維束が開繊しやすくなり、RFLが内部まで均一にアラミド繊維表面に付与される。そのため、内部にRFLが付着していないことで発生していた原糸の飛散や単糸同士の絡まりによるダマ発生を抑制できる。これにより、ラテックスに頼ることなく、ワックス導入によって、分散性に優れる短繊維集束体が得られる。
本発明のアラミド短繊維集束体とは、アラミド繊維からなる短繊維が集束した集合体である。集束体を構成するアラミド短繊維の単糸本数は、100本〜3,000本であることが好ましい。単糸本数が100本以上あれば、ラテックスを含有する集束剤による浸漬処理を施す際に断糸する恐れがなく、一方、単糸本数が3,000本以下であれば、単糸が重なり合いラテックスを含有する集束剤の付着を著しく損ねることがない。
単糸繊度は特に限定されないが、好ましくは0.5〜10dtex、特に好ましくは1〜5dtexの範囲である。0.5dtex以上であれば、製糸技術上の困難性を伴うことがなくゴム物性を改良することができ、また、10dtex以下であれば短繊維集束体を均一にゴム中へ分散させることができる。
ここで、アラミド繊維とは、繊維を形成するポリマーの繰り返し単位中に、通常置換されていてもよい二価の芳香族基を少なくとも一個有する繊維であって、アミド結合を少なくとも一個有する繊維であれば特に限定はなく、全芳香族ポリアミド繊維、またはアラミド繊維と称されるものであって良く、「置換されていてもよい二価の芳香族基」とは、同一又は異なる1以上の置換基を有していてもよい二価の芳香族基を意味する。
アラミド繊維としては、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維等を挙げることができるが、引張強さに優れているパラ系アラミド繊維が好ましい。具体的には、パラ系アラミド繊維として、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(米国デュポン社、東レ・デュポン(株)製、商品名「Kevlar」(登録商標))、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人(株)製、商品名「テクノーラ」(登録商標))等を挙げることができる。これらのパラ系アラミド繊維の中でも、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が特に好ましい。
アラミド短繊維集束体の繊維長は、1.0mm〜10mmであることが好ましく、より好ましくは、1.0mm〜5.0mmである。繊維長が1.0mm以上であれば、ゴムに対する短繊維の補強効果が発揮される。また、繊維長が10mm以下であれば、アラミド短繊維集束体をゴムと混合する際に、短繊維同士の絡み合いが生じる、あるいはミキサー内での剪断により短繊維が切断し短繊維のファイバーボールが形成される、といった現象が生じ難く、分散性良好となる。
本発明のアラミド短繊維集束体は、上記のアラミド短繊維からなる集束体の表面に、ラテックスを含有する集束剤が短繊維質量に対して1〜20質量%付着し、ワックスが短繊維質量に対して0.1〜5質量%付着していることが好ましい。
集束剤の付着量が1質量%以上であれば、短繊維束を構成する単糸に付与することでゴムとの接着性を向上させることができ、20質量%以下であれば、繊維表面に形成する被膜が厚くなりすぎることなく繊維束の内部まで集束剤を付与することができる。集束剤のより好ましい付着量は2〜15質量%であり、特に3〜10質量%が好ましい。
また、ワックスの付着量が0.1質量%以上であれば、RFL溶融粘度を低減し集束剤を内部まで均一に付与することができ、5質量%以下であれば、ゴムとの接着性を維持しつつ分散性、カット性に優れる短繊維を得ることができる。ワックスのより好ましい付着量は0.3〜4質量%であり、特に0.5〜3質量%が好ましい。ワックスの付着量は、ラテックスを含有する集束剤の付着量の1/10〜3/10の範囲に調整することが、RFL溶融粘度と集束剤付着性向上のバランスを図る点で、好ましい。
集束剤中のラテックスとしては、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレン重合体ラテックス、クロロスルホン化ポリエチレン重合体ラテックス、ブタジエン重合体ラテックス、アクリレート系ラテックス、及び天然ゴムラテックス等が挙げられる。これらのラテックスは、単独または2種以上併用して用いることができる。中でも、アラミド繊維とゴムとの接着性、アラミド短繊維の集束性、ゴム中での分散性、ゴム物性の点より、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスが最適である。
また、集束剤には、レゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物が含有されていることが好ましく、レゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物としては、レゾルシン−ホルムアルデヒドを酸触媒またはアルカリ触媒下で縮合させて得られたノボラック型縮合物などが挙げられる。また、本発明による効果を阻害しない範囲で、ブロックドポリイソシアネート化合物、エチレンイミン化合物、ポリイソシアネートとエチレンイミンとの反応物等から選ばれた1種以上の化合物、あるいは、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が含有されていても良い。
ワックスとしては、例えば、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、C16以上の流動パラフィン及びこれらの部分酸化物あるいはフッ化物、塩化物、高級脂肪酸系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、金属石けん系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス等が挙げられる。これらのワックスは、単独または2種以上併用して用いることができる。中でも、アラミド繊維とゴムとの接着性、アラミド短繊維の集束性、ゴム中での分散性を阻害しない点より、ポリエチレンワックス等のポリオレフィン系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックスが好ましく、ポリエチレンワックス及び脂肪酸アミド系ワックスが最適である。脂肪酸アミド系ワックスとしては、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド等の置換アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等の飽和または不飽和脂肪酸ビスアミド等が挙げられる。
また、集束剤と混合した際の均一分散性や繊維表面への付着量制御の点から使用するワックスはあらかじめ水に分散されたエマルジョンの状態であることが好ましい。
本発明においては、アラミド短繊維が、あらかじめエポキシ基含有化合物を繊維骨格内に浸透させたアラミド繊維であることが好ましい。このようなアラミド短繊維は、以下の方法で容易に得ることができる。
あらかじめエポキシ基含有化合物を繊維骨格内に浸透させるための最良の形態は、アラミド繊維を製造する工程において、紡糸溶液を口金から吐出して、紡糸浴中で凝固させ、水洗中和処理を経た後、この原糸を100〜150℃で乾燥することにより調整された水分率が15〜100質量%の状態のアラミドに、エポキシ基含有化合物を含浸・浸透させることである。より好ましくは、水分率が25〜70質量%の状態でエポキシ基含有化合物を含浸・浸透させるのが良い。エポキシ基含有化合物を含浸・浸透させる際の水分量が少なすぎると、エポキシ基含有化合物を均一に繊維骨格内に含浸・浸透させることが困難になる。逆に水分量が多すぎると、エポキシ基含有化合物を含浸・浸透させた後、巻き取り工程までに、ガイド等に接触した際にエポキシ基含有化合物が水分と一緒に脱落してしまう恐れがある。あらかじめエポキシ基含有化合物を繊維骨格内に浸透させたアラミド繊維を用いることにより、ラテックスによることなく、またRFLを含む集束剤を均一に付着させるための特殊な前処理工程を設けなくても、集束剤が均一に付与されたアラミド短繊維集束体を得ることができる。
また、ラテックスを含有する集束剤及びワックスを付着させる前のアラミド繊維複合体の水分率は、25〜70質量%に保たれており、かつ水分率が15質量%未満に乾燥された履歴を持たないことが、より好ましい。水分率は25〜50質量%が特に好ましい。水分率が25質量%以上であれば、アラミド繊維複合体の表面にラテックスを含有する集束剤が馴染みやすく、均一に付着させることがより容易となる。また、水分率が70質量%以下であれば、ラテックスを含有する集束剤を付着させた後、乾燥、熱処理工程でガイドなどに接触した際に、水分と共にラテックスが脱落することがない。
上記の場合、エポキシ基含有化合物を繊維骨格内に浸透させたアラミド繊維複合体を、水分量を保ったまま、巻き取り工程でボビンに巻き取り、ラテックスを含有する集束剤及びワックスを付与するまで、未加熱状態で水分率が25〜70質量%に保持することが好ましい。例えば、エポキシ基含有化合物を浸透させた後、アラミド繊維骨格内にエポキシ基含有化合物をより浸透させるため、ラテックスを含有する集束剤及びワックスを付与するまでの間、アラミド繊維複合体を室温雰囲気下に保管し、水分率25質量%以下の状態を維持しながら、エージング処理を行っても良い。水分率を低下させない方法として、例えば、個装袋による包装、調湿された低温倉庫での保管、霧状ミストの噴霧等が挙げられる。
エポキシ基含有化合物は、アラミド繊維の水分率を0%に換算した繊維質量に対して、0.1〜10.0質量%、好ましくは0.2〜2.0質量%含浸・浸透させるのが良い。また、エポキシ基含有化合物をより均一に含浸・浸透させるために、水や溶剤などで希釈して付与しても良い。より好ましくは、アラミド繊維に一般的に用いられる油剤とともに付与するのが良い。具体的な油剤としては、例えば、炭素数18以下の低分子量脂肪酸エステル、ポリエーテル、鉱物油などが挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、例えば、グリセロール、ソルビトール、ポリグリセロールなどの多価アルコールのグリシジルエーテル化合物から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましい。具体的には、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。またこれらのエポキシ化合物を硬化させるため、公知の硬化剤とともに用いても差し支えない。硬化剤としてはアミンが好ましく、特に三級アミンが好ましく、例えば、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、脂肪族一級アミンにエチレンオキサイドを付加した長鎖アルキルポリオキシエチレン型三級アミン等が挙げられる。
エポキシ基含有化合物をアラミド繊維に付与する方法は、特に限定されず、従来公知の任意の方法が採用されてよく、浸漬給油法、スプレー給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法等が挙げられる。
ラテックスを含有する集束剤をアラミド繊維に付着させる方法は、公知の方法であって良い。例えば、集束剤の水溶液に、アラミド繊維複合体を浸漬する方法、走行するアラミド繊維複合体に集束剤の水溶液を付与した駆動ローラーを接触させる方法等により集束剤を付与する方法等が挙げられる。また、ワックスを付着させる方法は、ラテックスを含有する集束剤と同様の方法であって良く、例えば、ワックスを溶剤等に溶解させて付与する方法等が挙げられる。ラテックスを含有する集束剤及びワックスは、所望の濃度に調整して使用するのが良い。ラテックスを含有する集束剤とワックスの付与順序は、特に限定されるものではなく、また同時に付与しても良い。同時に付与する場合は、ワックスを水分散させたエマルジョン状態で、ラテックスを含有する集束剤と混合して用いるのが良い。エマルジョン濃度は特に限定されず、付着させるワックス及び集束剤の量に応じて調整すれば良い。
そして、ラテックスを含有する集束剤及びワックスを付着させたアラミド繊維複合体を、加熱ロール、ヒーター、スチーム等の公知の方法にて、適宜な温度及び時間、加熱乾燥してアラミド繊維集束体を得る。
その後、公知のギロチン式カッターやロータリー式カッターを用いて、公知の方法でカットすることにより、アラミド短繊維集束体を得ることができる。かかるアラミド短繊維集束体は、製造容易性及び経済性の観点より好ましい。ただし、アラミド繊維複合体を公知の方法でカットした後、カットしたアラミド繊維複合体に、ラテックスを含有する集束剤及びワックスを付着させてアラミド短繊維集束体を得ても良い。
本発明のアラミド短繊維集束体は、従来一般的なRFL処理による接着法と比べて、RFLが単糸1本1本に付与されていることから、ゴム練り中に均一に単糸が分散される。しかも、用いるワックスが安価で、かつ処理も簡便である。本発明のアラミド短繊維集束体は、繊維表面のワックスの存在により単糸の単離性がよいことから分散性に優れているため、アラミド短繊維により補強されたゴムの弾性率の改善や短繊維の配向性改善も見込まれるため、動力伝達用ベルトに好適に用いられる他、ゴムホース、タイヤコード、ゴムシート等のゴム製品の補強剤としても用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。また、以下の実施例等において、特に言及する場合を除き、「質量%」は「%」と略記する。なお、実施例中に記載のゴム補強用アラミド短繊維集束体の評価方法は以下の通りである。
(1)水分率
試料約5gの質量を測定し、300℃×20分の熱処理を行い、25℃65%RHで5分間放置した後、再度質量を測定する。ここで使う水分率は、[乾燥前質量−乾燥後質量]/[乾燥後質量]で得られるドライベース水分率である。
(2)接着強力(T−引抜力)
JIS L 1017の接着力−A法に準じて、PPTA繊維複合体(カット前)を未加硫ゴムに埋め込み、加圧下で150℃、30分プレス加硫を行ない、放冷後、コードをゴムブロックから30cm/minの速度で引き抜き、その引き抜き荷重をN/cmで表示した。接着評価におけるゴムコンパウンドとしては、クロロプレン未加硫ゴムを使用した。
(3)ファイバーボール発生率
カットした短繊維50gを2mm×2mmのふるいにかけ、ふるい上に残留した短繊維量を測定した。 ファイバーボール発生率(%)=ふるい残留量/ふるい投入量
(4)ゴム(CR)物性
(ゴム練り方法)短繊維集束体を、クロロプレンゴムを主成分とする未加硫ゴム中に短繊維集束体を20%となるように配合し、ニーダーで5分間混練した。その後、短繊維が配向するようにロール通しを行い、プレス加硫により厚さ2mmのゴムシートを作り、短繊維の配向方向及び非配向方向にサンプルを切り出し、それぞれJIS K6254引張試験に従い性能評価を行った。
Figure 2018111903
(実施例1〜3)
公知の方法で得られたポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)(分子量約20,000)1kgを4kgの濃硫酸に溶解し、直径0.1mmのホールを1,000個有する口金からせん断速度30,000sec−1となるよう吐出し、4℃の水中に紡糸した後、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液で、10℃×15秒の条件で中和処理した。その後、脱水処理をして、110℃で低温乾燥を行い、水分率を35%に調整した。
このPPTA繊維に、エポキシ基含有化合物として、ソルビトールポリグリシジルエーテルを50質量%含有する油剤(ジイソステアリルアジペート/ジオレイルアジペート/硬化ヒマシ油エチレンオキサイド/鉱物油の混合物)を、水分率0%に換算したときの繊維質量に対し1.0%含浸させた後、巻き取り工程でボビンに巻き取った。
得られたPPTA繊維複合体を、表1に記載したラテックスを含有するレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)水溶液からなる集束剤に含浸させ、RFL及び表1に記載したワックスを、PPTA繊維質量に対し表1記載の固形分付着量となるよう、付着させた。なお、集束剤を含浸させる直前のPPTA繊維複合体の水分率は25%であった。その後、250℃で2分間、乾燥、熱処理を行った。得られたPPTA繊維複合体を公知の方法により3.5mmにカットし短繊維集束体を得た。
(比較例1)
実施例1において、ワックスを付着させなかった以外は、実施例1と同様の方法により得られたPPTA繊維複合体を、3.5mmにカットし短繊維集束体を得た。
(比較例2)
実施例1において、RFL水溶液からなる集束剤に含浸させる直前のPPTA繊維複合体の水分率を10%とし、かつワックスを付着させなかった以外は、実施例1と同様の方法により得られたPPTA繊維複合体を、3.5mmにカットし短繊維集束体を得た。
(比較例3)
実施例3において、ワックスを付着させなかった以外は、実施例3と同様の方法により得られたPPTA繊維複合体を、3.5mmにカットし短繊維集束体を得た。
上記で得られた短繊維集束体の評価結果を表1に示す。
Figure 2018111903
表1の結果から、本実施例で得られたアラミド短繊維集束体は、RFLが内部まで均一付与されるため、カット工程中で発生する短繊維飛散の改善及び得られた短繊維集束体のファイバーボール発生率が抑制されていることが分かる。また、RFLが単糸1本1本に均一付与されるため、ゴム中に単糸が均一に分散されることで配向方向に対するゴム初期弾性率が向上され、非配向方向に対しては初期弾性率が抑制されていることが分かる。加えて、これらの効果はラテックス種類に拠ることはなくワックスを導入することで高い加工性が得られることから、加工性を気にすることなく補強するゴム種に合わせたラテックス選定が可能となる。
本発明のアラミド短繊維集束体は、各種ゴムの補強剤として有用である。

Claims (4)

  1. 集束体を構成するアラミド短繊維の表面に、ラテックスを含有する集束剤とワックスが付着していることを特徴とするゴム補強用アラミド短繊維集束体。
  2. ワックスが、オレフィン系、脂肪酸エステル系及び脂肪酸アミド系ワックスから選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載のゴム補強用アラミド短繊維集束体。
  3. ワックスを水分散させたエマルジョン状態で、ラテックスを含有する集束剤と混合して用いられる、請求項1または2記載のゴム補強用アラミド短繊維集束体。
  4. アラミド短繊維が、あらかじめエポキシ基含有化合物を繊維骨格内に浸透させたアラミド繊維である、請求項1〜3いずれか記載のゴム補強用アラミド短繊維集束体。
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