JPH09228254A - 集束されたアラミド繊維及び短繊維チップ - Google Patents

集束されたアラミド繊維及び短繊維チップ

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JPH09228254A
JPH09228254A JP8038058A JP3805896A JPH09228254A JP H09228254 A JPH09228254 A JP H09228254A JP 8038058 A JP8038058 A JP 8038058A JP 3805896 A JP3805896 A JP 3805896A JP H09228254 A JPH09228254 A JP H09228254A
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JP
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fiber
weight
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cement
sizing agent
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JP8038058A
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English (en)
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Norinobu Kunisada
典宣 國貞
Shoji Makino
昭二 牧野
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断加工するまでは充分に集束されていて加
工作業性が良好で品質の低下がなく、一方セメント等の
マトリックス中に分散させる際にはその分散性が良好で
優れた補強効果が得られる、集束されたアラミド繊維及
び短繊維チップを提供すること。 【解決手段】 (A)水溶性のポリオキシアルキレン変
性ポリアミドの含有量が60〜85重量%、(B)融点
が50〜110℃であるワックスの含有量が10〜30
重量%、である集束剤によって集束されたアラミド繊維
であって、繊維束の断面変形率が10%以上の集束形態
を有している集束されたアラミド繊維、及びこれから形
成されたアスペクト比が5〜25である短繊維チップ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高度に集束された
アラミド繊維及びそれから形成された短繊維チップに関
する。さらに詳しくは、繊維強化成形材料の充填材、樹
脂やセメントなどの補強材、特にセメント補強用として
好適で、高度な集束性を有し、加工工程での取扱い性及
び加工安定性に優れ、且つ樹脂やセメント中への分散性
が良好で優れた補強効果が得られるアラミド繊維及び短
繊維チップに関する
【0002】
【従来の技術】従来、繊維強化成形材料は工業的に重要
な材料として注目され、その補強繊維材として高強力、
高モジュラス繊維の混合、分散についての研究がなされ
ている。なかでも高度の力学特性が要求される建築・土
木等の分野においては、セメント成形体(セメント構造
物)の脆性特性を改善し、さらには軽量化、薄肉化等の
目的で、セメント成形体に補強用高強力繊維を混入する
ことは良く知られており、その利用のための加工技術も
種々提案されている。例えば、特開昭62−15814
9号公報には、アルキルチタネ−ト又はチタンキレ−ト
化合物からなる被覆層を形成してアラミド繊維とセメン
トとの接着性を向上させる方法、また特開昭63−55
142号公報には、繊維表面をプラズマ処理し、官能基
を形成して接着性を向上させる方法が開示されている。
【0003】しかし、これらの方法で得られる繊維は、
セメント補強用繊維として使用するには通常短繊維とな
す必要があるが、その製造時の集束性に劣るため、毛羽
立ちし易く製品の品質を低下させるという問題、また、
アラミド繊維は卓越した力学的特性を有するために切断
加工する際の加工安定性に乏しく、短繊維が絡んでセメ
ント中への分散性が低下するという問題がある。さらに
は、セメント中に分散させる際、同時に多量の空気を捲
き込みやすいため、繊維表面がセメントに濡れ難くなっ
て補強効果が低下するという問題もある。
【0004】このような短繊維に由来する問題を解消す
る方法としては、例えば特開昭60−215559号公
報には、マルチフィラメント糸を撚糸した後さらに疎水
性樹脂で集束する方法、特開昭62−138347号公
報には、マルチフィラメント糸を熱硬化性樹脂で集束す
る方法、さらには特開昭63−303837号公報には
単繊維繊度が極めて大きい偏平モノフィラメントを用い
る方法が開示されている。しかしこれらの方法では、添
加重量が同一の下ではセメント中の繊維本数が大きく低
下するため、アラミド繊維のもつ強度や弾性率を有効に
利用できないという問題がある。また、ここで用いられ
る疎水性樹脂や熱硬化性樹脂は、有機溶剤に溶解させて
使用する必要があるため作業環境を悪化させるという問
題、及び被覆処理時にロ−ラ−や糸導ガイドに粘着性ス
カムが発生し易いという問題がある。
【0005】一方特開平5−295663号公報には、
炭素繊維の表面にジカルボン酸/アルキレングリコ−ル
/ポリオキシアルキレングリコ−ルからなるポリエ−テ
ルエステル共重合体を0.05〜5重量%付着させて、
製糸時の毛羽立ち性、切断加工時の加工作業性及びセメ
ント中に分散させる際の分散性を同時に満足させる方法
が提案されている。しかし我々の検討によれば、この方
法をアラミド繊維にそのまま適用しても、アラミド繊維
は炭素繊維と比較すると脆性が小さくて切断し難いた
め、集束性が不足して切断時に一部単繊維までバラケて
しまい、セメント中への分散が困難となって補強効果が
不充分になることが判明した。かかる集束性不足は、前
記ポリエ−テルエステル共重合体の付着量を増加させる
ことによって解消することは可能であるが、かかる処理
剤を多量に付着させるとスカムが発生しやすくなるだけ
でなく、セメント中への分散性も低下するといった問題
が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかるセメ
ント等に繊維を配合する際の問題点に鑑み、製糸から切
断加工するまでは充分に集束されていて加工作業性が良
好で品質の低下がなく、一方セメント等のマトリックス
中に分散させる際にはその分散性が良好で優れた補強効
果の得られる、集束されたアラミド繊維及び短繊維チッ
プを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以
下の構成により達成される。 1.下記(A)及び(B)の要件を満足する集束剤によ
って集束されたアラミド繊維であって、該集束剤の付着
量が繊維重量を基準として5〜20重量%であるととも
に、断面変形率が10%以上の集束形態を有しているこ
とを特徴とする集束されたアラミド繊維。 (A)水溶性のポリオキシアルキレン変性ポリアミドの
含有量が60〜85重量% (B)融点が50〜110℃であるワックスの含有量が
10〜30重量% 2.下記(A)及び(B)の要件を満足する集束剤によ
って集束され、該集束剤の付着量が繊維重量を基準とし
て5〜20重量%であるアラミド繊維束から形成され、
アスペクト比が5〜25であることを特徴とするアラミ
ド短繊維チップ。 (A)水溶性のポリオキシアルキレン変性ポリアミドの
含有量が60〜85重量% (B)融点が50〜110℃であるワックスの含有量が
10〜30重量%
【0008】
【発明の実施の形態】本発明が対象とするアラミド繊維
とは、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、もしくは
芳香族アミノカルボン酸から構成されるポリアミド、又
はこれらの共重合ポリアミドからなる繊維であるが、特
に強度及び弾性率が良好で補強効果が高いことから、ポ
リ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維、コポリ−p
−フェニレン−(3,4´−オキシジフェニル)テレフ
タルアミド繊維(例えば帝人株式会社製:商標 テクノ
ーラ)等のパラ型アラミド繊維が好ましい。
【0009】この様なアラミド繊維の単繊維繊度は、小
さすぎると製造上のトラブルが発生し易く、また補強効
果も不充分となり易い。一方、アラミド繊維は一般に湿
式紡糸されるために、太繊度のものは安定に製造するこ
とが困難となる。したがって、通常は0.5〜10デニ
−ル、好ましくは1〜5デニ−ルの範囲とする。一方ア
ラミド繊維の総繊度は特に限定されるものではないが、
小さすぎると単繊維を集束させる効果が小さくなり、逆
に大きくなりすぎると単繊維の引き揃え斑が発生し易く
なるので、500〜3000デニ−ル、特に1000〜
2000デニ−ル程度が好ましい。
【0010】本発明においては、上記のアラミド繊維表
面には、(A)水溶性のポリオキシアルキレン変性ポリ
アミド、及び(B)融点が50〜110℃であるワック
スを含有してなる集束剤が、繊維重量を基準として5〜
20重量%付着していることが肝要である。
【0011】ここでポリオキシアルキレンで変性するポ
リアミド成分としては、ナイロン6、ナイロン10、ナ
イロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン4
6及びこれらを主体とする共重合ポリアミド(ナイロン
6/66、ナイロン6/10、ナイロン6/12等)、
又は混合物があげられるが、なかでもナイロン6成分が
75〜95重量%、ナイロン66成分が25〜5重量%
からなるナイロン6/66共重合体が、繊維の集束性が
良好であると共に樹脂やセメント中への分散性も良好と
なるため特に好ましい。
【0012】本発明でいうポリオキシアルキレンで変性
したポリアミドとは、上記のポリアミドにポリオキシア
ルキレングリコ−ルを共重合したもの、あるいは、上記
のポリアミドのアミド結合にアルキレンオキサイドを付
加したものをいい、どちらであってもよい。
【0013】共重合に用いられるポリオキシアルキレン
グリコールとしては、ポリオキシエチレングリコ−ル、
ポリオキシプロピレングリコ−ル、ポリオキシエチレン
グリコ−ル・ポリオキシプロピレングリコ−ル共重合体
等があげられ、なかでもポリオキシエチレングリコ−ル
が好適である。なおこれらのポリオキシアルキレングリ
コ−ルは、一方の水酸基がエ−テル結合で封鎖されてい
てもよく、例えばモノメチルエ−テル、モノエチルエ−
テル、モノフェニルエ−テル等を用いることができる。
上記ポリオキシアルキレングリコ−ルの平均分子量は、
通常500〜12000であるが、特に1000〜60
00のものが好ましい。
【0014】またポリアミドに付加させるアルキレンオ
キサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイド、ブチレンオキサイド等があげられ、なかでも
エチレンオキサイドが好適である。
【0015】ポリオキシアルキレンによる変性割合は、
生成された変性ポリアミドの重量を基準として40〜7
0重量%、好ましくは45〜65重量%が望ましく、変
性割合が少ないと水溶性が低下して集束剤付与工程の安
定性が低下し、また得られる繊維をセメント中に分散さ
せる場合にはその分散性が低下する傾向があり、逆に共
重合量が多いと処理剤の凝集力が低下して集束性が不足
し易くなる。
【0016】上記のポリアミド成分とポリオキシアルキ
レン成分とからなる水溶性の変性ポリアミド(A成分)
には、本発明の目的を損わない範囲内で上記以外の共重
合成分を少量含有していてもよい。特にポリオキシアル
キレングリコ−ルを共重合する場合にはこれと略等モル
のジカルボン酸成分を併用すると、重合体製造時の重合
速度の低下がなくなるので好ましい。
【0017】この様な水溶性の変性ポリアミドは、その
平均分子量が小さくなりすぎると処理剤の凝集力が低下
して集束性が不足し易く、一方大きくなりすぎると処理
剤の粘度が高くなって処理剤付着時の工程安定性が低下
し易い。したがって、その平均分子量は、8000〜1
8000、特に10000〜15000の範囲内にある
ことが望ましい。なお、本発明でいう水溶性とは、完全
に水溶性であるものに限定されず、水中に微分散し得る
ものであればよい。
【0018】本発明で用いられる集束剤のもう一つの成
分であるワックス(B成分)は、融点が50〜110℃
の範囲内にあれば任意のものを用いることができるが、
なかでも非水溶性のものが好ましく、具体的にはカルナ
バワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、羊毛ロウ、モ
ンタンワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタ
ルワックスなどの天然ワックス及びポリエチレンワック
スなどの合成ワックスなどが例示される。さらにこれら
のワックスは酸化処理されていてもよく、酸化ポリエチ
レンワックス、酸化ミクロクリスタルワックスなども用
いることができる。これらのワックスの融点が50℃未
満の場合には、処理剤の粘着性が大きくなると共に平滑
効果も低下するため、製糸工程や繊維束の切断チップ化
のための繊維束引揃え工程での毛羽発生の要因となるた
め好ましくない。一方110℃を越える場合には、集束
剤皮膜の脆性が増大して、前記各工程でガイド類との擦
過によりスカムを発生し易くなり、また短繊維チップへ
の切断時の集束性も低下して繊維のバラケが発生するた
め好ましくない。
【0019】以上の成分を組み合わせることによって、
本発明の所期の効果を得るためには、A成分が処理剤の
主体成分であることが大切であって、その含有量は60
〜85重量%、好ましくは60〜80重量%である必要
があり、一方B成分の含有量は10〜30重量%好まし
くは15〜25重量%である必要がある。A成分の含有
量が60重量%未満の場合には、集束剤皮膜の力学的特
性が低下するため、短繊維に切断する際の集束性が不充
分となる。一方85重量%を越える場合には、セメント
・樹脂等の中に分散する際の分散性が不充分となるので
好ましくない。また、B成分の含有量が10重量%未満
の場合には、セメント・樹脂等の中に分散する際の分散
性が不充分となるだけでなく、集束剤を繊維に付着させ
る際に毛羽やスカムが発生し易くなる。逆に30重量%
を越える場合には、処理剤皮膜の力学的特性が不充分と
なって、短繊維切断時の集束性が不充分となる。
【0020】本発明の集束剤中には、本発明の目的を損
わない範囲で他の成分、例えば平滑剤、乳化剤、制電
剤、抗酸化剤、相溶化剤、安定性向上剤等を適宜配合す
ることができる。例えば、平滑剤成分としてはポリシロ
キサンを用いることができる。この場合、25℃におけ
る粘度が5〜100センチスト−クスであれば任意のポ
リシロキサンを用いることができるが、なかでもポリジ
メチルシロキサン又はこれを変性した変性ポリシロキサ
ン、例えばフェニル変性ポリシロキサン、アミノアルキ
ル変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、
ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン、脂肪酸変性
ポリシロキサンが好ましい。ここで粘度が5センチスト
−クス未満のものを使用したのでは、ポリシロキサン併
用の効果は得難く、逆に100センチスト−クスを越え
るものを使用したのでは、処理剤の粘度が高くなって毛
羽抑制効果が低減する傾向がある。この併用量として
は、5〜10重量%の範囲内であることが望ましい。ポ
リシロキサンの併用量をこの範囲で選ぶことによって、
処理剤付与時のスカム及び毛羽発生の抑制効果が向上
し、セメントや樹脂の補強効果が向上する。
【0021】上記集束剤のアラミド繊維への付着量は、
繊維重量を基準として5〜20重量%、好ましくは7〜
15重量%の範囲内にすることが重要である。アラミド
繊維はその力学的特性が極めて良好なため、付着量が5
重量%未満の場合には、セメント等の補強用繊維として
繊維長3〜12mmに切断する際、集束効果が不足して
得られる短繊維に絡みが発生するため、充分な補強効果
が得られなくなる。一方20重量%を越えると、過剰の
処理剤が糸導を汚染することになり、またセメントや樹
脂中への分散性も低下して充分な補強効果が得られなく
なるので好ましくない。
【0022】本発明の集束繊維を得るには、前記のアラ
ミド繊維束に、上記に示した集束剤を水に乳化させたエ
マルジョンを、従来公知の方法で付着すれば良い。すな
わち、例えばポリ−パラフェニレン−(3、4´−オキ
シジフェニレン)テレフタルアミド繊維の場合には、延
伸時あるいはそれ以降のいずれかの工程で、ロ−ラ−方
式、スプレ−方式、浸漬方式等によって付着すれば良
く、通常は延伸工程に引続いて、ロ−ラ−式給油法が採
用される。
【0023】集束剤を付着したアラミド繊維は、乾燥し
た後巻きとられるが、乾燥方式は熱板方式、熱ロ−ラ−
方式、赤外線方式等任意の方法を採用することができ
る。なお、本発明の集束剤は乾燥途上でもロ−ラ−等の
金属面に付着し難くなっているので、接触型の乾燥方式
が、効率良く乾燥できる点で好ましい方式であり、乾燥
温度(ロ−ラ−温度)は120〜200℃程度が好まし
い。
【0024】さらに本発明においては、集束された繊維
束の断面変形率が10%以上、好ましくは15%以上の
集束形態を有していることが重要である。ここに断面変
形率とは繊維束の横断面において(短径/長径×100
(%))で算出される値であって、この値が10%未満
の場合には、繊維束を切断して短繊維チップとする際
に、繊維束がばらけてチップ状のものを得ることが困難
となり、また一部単繊維が分離して例えばセメント粉体
とドライブレンドする際に均一混合の点で難点が生じる
ようになる。
【0025】上記のアラミド繊維束を切断してなる本発
明の短繊維チップは、さらにアスペクト比が5〜25、
好ましくは10〜20であることが重要である。ここで
アスペクト比とは、短繊維チップの切断面を円形と仮定
し、その断面積S(断面内に空隙がある場合には、その
外周線に囲まれる面積)から求められる直径をD、長さ
をLとするとき、L/Dで算出される値である。この値
が上記範囲を越える場合には、例えばセメント粉体とド
ライブレンドする際に単繊維同志が絡み易く、所謂、フ
ァイバーボールができて繊維補強効果を低下させること
になり、逆に未満の場合にも繊維長が短くなりすぎて充
分な繊維補強効果が得られなくなる。
【0026】この様な集束形態を得るためには、集束剤
の付与前のアラミド繊維束に仮撚処理又は交絡処理を施
せばよいが、この場合、圧空処理ノズルにより圧空を吹
きつける方法が、繊維束の最外層の単繊維を浮遊させる
ことなく集束剤を繊維束に均一に付着させることがで
き、また糸条に与える損傷も少ないので好ましい。
【0027】交絡処理する場合には、集束剤を付与する
直前が好ましい。集束剤を付与した後に交絡処理を施す
と、集束剤の乾燥性状が固状であるために、圧空で吹き
飛ばされ乾燥固化した剤が圧空ノズルや糸導付近に固着
し、繊維束の安定走行を阻害し問題となる。
【0028】圧空圧は、2〜10kg/cm2 が好まし
い。2kg/cm2 未満では交絡が少なすぎて集束性不
足となり、繊維束の変形率が大きくなったり短繊維チッ
プの交絡形態がゆるいものとなるので好ましくない。一
方10kg/cm2 を越える場合には、交絡が強くなっ
てセメントや樹脂中への分散性が低下し、繊維補強効果
が低下しやすい。特に3〜7kg/cm2 が好ましい。
【0029】
【発明の効果】本発明のアラミド繊維は、前記水溶性の
変性ポリアミドを主体成分とする処理剤が付着していて
高度な集束性を有しているため、セメントや樹脂補強用
として短繊維チップとなす工程までは工程安定性が良好
で取り扱い易く、また得られる短繊維チップも毛羽立ち
がなく単繊維間の絡みもない。しかも、切断して得られ
る短繊維チップは、水溶性の変性ポリアミドで集束され
ているので、セメント中に分散させる場合にはその作業
性が良好であるばかりでなく、セメント中に容易に分散
させることが可能となる。また集束剤中には、該水溶性
の変性ポリアミドに加えてワックスが配合されているの
で、その詳細な理由は不明であるが、アラミド繊維を集
束し得る程度まで集束剤の付着量を増加させても、セメ
ントや樹脂等の中に分散させる際には単繊維レベルまで
の分散が可能となり、充分な補強効果が達成されるので
ある。
【0030】また本発明にかかる集束剤は、乾燥時の粘
着性が低い上に摩擦抵抗も小さいためと推定され、製造
工程でも糸導やロ−ラ−にスカムが堆積し難くなり、巻
取パッケ−ジからの繊維の解舒性も良好となる結果、極
めて品質の良好な製品を安定して製造することができる
といった特徴をも有する。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における各評価項目は、下記方法にし
たがって測定した。
【0032】(1)スカム 処理剤付与開始2時間後、160℃に加熱された加熱ロ
−ラ−に付着したスカムを目視判定し、下記基準により
評価した。 ○:スカムの発生ほとんどなく良好である。 △:ロ−ラ−表面がやや白っぽくなり、スカムとして判
断される程度。 ×:粘着ないし白粉状のものが多量に認められる。
【0033】(2)毛羽 原糸を10本巻取り、夫々から長さ104 mの毛羽数を
カウントし、下記基準により評価した。 ○:毛羽個数0〜3個/105 m △:4〜9個/105 m ×:10個/105 m以上
【0034】(3)断面変形率 集束剤を付与処理し、得られた繊維束をアラルダイト
(チバガイギー社製)にて固めミクロトーム(ライツ社
製)で切断し、この断面サイズを読み取り、断面変形率
=短径/長径×100(%)を算出した。なお、20個
のサンプルを測定し、その平均値をもとめた。
【0035】(4)アスペクト比 短繊維集束体チップの長さ(L)と切断断面の外周線に
囲まれた面積(S)を測定し、その断面形状を円形と仮
定してその直径(D)を算出し、アスペクト比=L/D
とした。なお、20個のサンプルを測定し、その平均値
をもとめた。
【0036】(5)分散性 ポルトランドセメント(徳山曹達(株)製)100重量
部に対して、処理剤を付着したアラミド短繊維2重量
部、メチルセルロ−ス2重量部及び水30重量部の割合
で、オムニミキサ−を用いて5分間混合した。得られた
セメント配合物を50g採集して50メッシュ金網上に
2〜3cmの厚さに拡げた後、上部に50メッシュ金網
を置き、次いでシャワ−水を散布してセメントを流出さ
せ、金網上に残存した繊維の状態を目視評価した。 ○:繊維の塊や開繊不良部がほとんどなし。 △:繊維の塊や開繊不良部が一部認められる。 ×:繊維の塊や開繊不良部が多量に認められる。
【0037】(6)補強効果(曲げ強力) 上記方法で得たセメント混合物を4cm×4cm×16
cmのモ−ルドに入れ、室温において24時間放置し供
試サンプルを得た。このサンプルを4週間室温下に放置
して養生した後、スパン長10cm、中央載荷方式で破
壊強度(Kg/cm2 )を測定した。
【0038】[実施例1]ジカルボン酸成分がテレフタ
ル酸で、ジアミン成分がパラフェニレンジアミンと3、
4’−ジアミノジフェニルエ−テル(モル比1/1)で
ある全芳香族ポリアミドを紡糸・延伸して得た1500
デニ−ル/1000フィラメント、引張強度338kg
/mm2 、破断伸度4.47%、引張弾性率7506k
g/mm2の糸条に圧空処理ノズル(東レプレシジョン
(株)社製PC−220)を介して圧空圧4Kg/cm
2 の圧空処理を施した後、表1に記載する集束剤の25
重量%水系エマルジョンを繊維重量を基準として集束剤
有効成分で15重量%となるようロ−ラ−法により付着
させ、次い160℃に加熱された径200mmの加熱ロ
−ラ−に20巻回させて乾燥させ、400m/分の速度
で巻取り、得られた繊維束をギロチンカッタ−で繊維長
6mmに切断して短繊維チップとなした。繊維束及び短
繊維チップの評価結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】[実施例2]実施例1のNo.3の油剤を
用い、その付着量を表3の如く変更する以外は実施例1
と同様に行った。結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】[実施例3]実施例1のNo.3の条件に
て、圧空圧を表4の如く変更する以外は実施例1と同様
に行った。結果は表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】[実施例4]ジカルボン酸成分がテレフタ
ル酸で、ジアミン成分がパラフェニレンジアミンと3、
4´−ジアミノジフェニルエ−テル(モル比1/1)で
ある全芳香族ポリアミドを紡糸・延伸して得た1500
デニ−ル/1000フィラメント、引張強度338kg
/mm2 、破断伸度4.47%、引張弾性率7506k
g/mm2のアラミド繊維束に、表1記載の集束剤cを
85℃で溶解した状態でローラーを介して15重量%付
与し、引き続いて60℃に加熱した径0.5mm×長さ
5mmの円筒を介して集束処理を施し、その後空冷して
50m/分の速度で巻き取り、得られた繊維束をギロチ
ンカッタ−で繊維長6mmに切断して短繊維チップとな
した。結果を表5に示す。
【0046】
【表5】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)及び(B)の要件を満足する
    集束剤によって集束されたアラミド繊維であって、該集
    束剤の付着量が繊維重量を基準として5〜20重量%で
    あるとともに、断面変形率が10%以上の集束形態を有
    していることを特徴とする集束されたアラミド繊維。 (A)水溶性のポリオキシアルキレン変性ポリアミドの
    含有量が60〜85重量% (B)融点が50〜110℃であるワックスの含有量が
    10〜30重量%
  2. 【請求項2】 下記(A)及び(B)の要件を満足する
    集束剤によって集束され、該集束剤の付着量が繊維重量
    を基準として5〜20重量%であるアラミド繊維束から
    形成され、アスペクト比が5〜25であることを特徴と
    するアラミド短繊維チップ。 (A)水溶性のポリオキシアルキレン変性ポリアミドの
    含有量が60〜85重量% (B)融点が50〜110℃であるワックスの含有量が
    10〜30重量%
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004011043A (ja) * 2002-06-05 2004-01-15 Teijin Ltd 分繊性に優れた多条全芳香族ポリアミドマルチフィラメント糸
JP2010037687A (ja) * 2008-08-07 2010-02-18 Teijin Techno Products Ltd セメント補強用全芳香族ポリアミド繊維、およびその製造方法
JP2012193480A (ja) * 2011-03-17 2012-10-11 Teijin Techno Products Ltd 樹脂補強用短繊維束
JP2018111903A (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 東レ・デュポン株式会社 ゴム補強用アラミド短繊維集束体

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