JP3498125B2 - セメント補強用アラミド繊維及び短繊維チップ - Google Patents

セメント補強用アラミド繊維及び短繊維チップ

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JP3498125B2 JP19296695A JP19296695A JP3498125B2 JP 3498125 B2 JP3498125 B2 JP 3498125B2 JP 19296695 A JP19296695 A JP 19296695A JP 19296695 A JP19296695 A JP 19296695A JP 3498125 B2 JP3498125 B2 JP 3498125B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度に集束されたセメ
ント補強用アラミド繊維及びそれから形成されたセメン
ト補強用短繊維チップに関する。さらに詳しくは、高
な集束性を有し、加工工程での取扱い性及び加工安定性
に優れ、且つセメント中への分散性が良好で優れた補強
効果が得られるセメント補強用アラミド繊維及び短繊維
チップに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維強化成形材料は工業的に重要
な材料として注目され、その補強繊維材として高強力、
高モジュラス繊維の混合、分散についての研究がなされ
ている。なかでも高度の力学特性が要求される建築・土
木等の分野においては、セメント成形体(セメント構造
物)の脆性特性を改善し、さらには軽量化、薄肉化等の
目的で、セメント成形体に補強用高強力繊維を混入する
ことは良く知られており、その利用のための加工技術も
種々提案されている。例えば、特開昭62−15814
9号公報には、アルキルチタネ−ト又はチタンキレ−ト
化合物からなる被覆層を形成してアラミド繊維とセメン
トとの接着性を向上させる方法、また特開昭63−55
142号公報には、繊維表面をプラズマ処理し、官能基
を形成して接着性を向上させる方法が開示されている。
【0003】しかし、これらの方法で得られる繊維は、
セメント補強用繊維として使用するには通常短繊維とな
す必要があるが、その製造時の集束性に劣るため、毛羽
立ちしやすく製品の品質を低下させるという問題、ま
た、アラミド繊維は卓越した力学的特性を有するために
切断加工する際の加工安定性に乏しく、短繊維が絡んで
セメント中への分散性が低下するという問題がある。さ
らには、セメント中に分散させる際、同時に多量の空気
を捲き込みやすいため、繊維表面がセメントに濡れ難く
なって補強効果が低下するという問題もある。
【0004】このような短繊維に由来する問題を解消す
る方法としては、例えば特開昭60−215559号公
報には、マルチフィラメント糸を撚糸した後さらに疎水
性樹脂で集束する方法、特開昭62−138347号公
報には、マルチフィラメント糸を熱硬化性樹脂で集束す
る方法、さらには特開昭63−303837号公報には
単繊維繊度が極めて大きい偏平モノフィラメントを用い
る方法が開示されている。しかしこれらの方法では、添
加重量が同一の下ではセメント中の繊維本数が大きく低
下するため、アラミド繊維のもつ強度や弾性率を有効に
利用出来ないという問題がある。また、ここで用いられ
る疎水性樹脂や熱硬化性樹脂は、有機溶剤に溶解させて
使用する必要があるため作業環境を悪化させるという問
題、及び被覆処理時にロ−ラ−や糸導ガイドに粘着性ス
カムが発生しやすいという問題がある。
【0005】一方特開平5−295663号公報には、
炭素繊維の表面にジカルボン酸/アルキレングリコ−ル
/ポリオキシアルキレングリコ−ルからなるポリエ−テ
ルエステル共重合体を0.05〜5重量%付着させて、
製糸時の毛羽立ち性、切断加工時の加工作業性及びセメ
ント中に分散させる際の分散性を同時に満足させる方法
が提案されている。しかし我々の検討によれば、この方
法をアラミド繊維にそのまま適用しても、アラミド繊維
は炭素繊維と比較すると脆性が小さくて切断し難いた
め、集束性が不足して切断時に一部単繊維までバラケて
しまい、セメント中への分散が困難となって補強効果が
不充分になることが判明した。かかる集束性不足は、前
記ポリエ−テルエステル共重合体の付着量を増加させる
ことによって解消することは可能であるが、かかる処理
剤を多量に付着させるとスカムが発生しやすくなるだけ
でなく、セメント中への分散性も低下するといった問題
が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様なセ
メントに繊維を配合する際の問題点に鑑み、切断加工す
るまでは充分に集束されていて加工作業性が良好で品質
の低下がなく、一方セメント中に分散させる際にはその
分散性が良好で優れた補強効果の得られる、セメント補
強用アラミド繊維及び短繊維チップを提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以
下の構成により達成される。 1.下記(A)及び(B)を満足する集束剤によって集
束されたアラミド繊維であって、該集束剤の付着量が繊
維重量を基準として5〜20重量%であるとともに、集
束された繊維束の断面変形率が10%以上である集束形
態を有している、セメント補強用アラミド繊維。 (A)芳香族ジカルボン酸、アルキレングリコール、並
びにSOM基(Mは金属を表わす)を有するジカルボ
ン酸及び/又はポリオキシアルキレングリコールを共重
合した水溶性共重合ポリエステルの含有量が60〜85
重量% (B)融点が50〜110℃であるワックスの含有量が
10〜30重量% 2.下記(A)及び(B)を満足する集束剤によって集
束されたアラミド繊維であって、該集束剤の付着量が繊
維重量を基準として5〜20重量%である集束されたア
ラミド繊維から形成され、アスペクト比が5〜25であ
セメント補強用アラミド短繊維チップ。 (A)芳香族ジカルボン酸、アルキレングリコール、並
びにSOM基(Mは金属を表わす)を有するジカルボ
ン酸及び/又はポリオキシアルキレングリコールを共重
合した水溶性共重合ポリエステルの含有量が60〜85
重量% (B)融点が50〜110℃であるワックスの含有量が
10〜30重量%
【0008】
【発明の実施の形態】本発明が対象とするアラミド繊維
とは、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、もしくは
芳香族アミノカルボン酸から構成されるポリアミド、又
はこれらの共重合ポリアミドからなる繊維であるが、特
に強度及び弾性率が良好で補強効果が高いことから、ポ
リ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維、コポリ−p
−フェニレン−(3,4´−オキシジフェニル)テレフ
タルアミド繊維(例えば帝人株式会社製:商標 テクノ
ーラ)等のパラ型アラミド繊維が好ましい。
【0009】この様なアラミド繊維の単繊維繊度は、小
さすぎると製造上のトラブルが発生し易く、また補強効
果も不充分となりやすい。一方、アラミド繊維は一般に
湿式紡糸されるために、太繊度のものは安定に製造する
ことが困難となる。したがって、通常は0.5〜10デ
ニ−ル、好ましくは1〜5デニ−ルの範囲とする。一方
アラミド繊維の総繊度は特に限定されるものではない
が、小さすぎると単繊維を集束させる効果が小さくな
り、逆に大きくなりすぎると単繊維の引きそろえ斑が発
生しやすくなるので、500〜3000デニ−ル、特に
1000〜2000デニ−ル程度が好ましい。
【0010】本発明においては、上記のアラミド繊維表
面には、(A)芳香族ジカルボン酸、アルキレングリコ
−ル、並びにSO3 M基(Mは金属を表わす)を有する
ジカルボン酸及び/又はポリオキシアルキレングリコ−
ルを共重合した水溶性共重合ポリエステル、及び(B)
融点が50〜110℃であるワックス(B成分)、を含
有してなる集束剤が、繊維重量を基準として5〜20重
量%付着していることが肝要である。
【0011】ここで水溶性共重合ポリエステルの芳香族
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−オ
キシ安息香酸などあげられるが、なかでもテレフタル
酸、イソフタル酸が、繊維の集束性を高めると共に樹脂
やセメント中の分散性を高めるうえで好ましい。特にテ
レフタル酸/イソフタル酸のモル比は、65/35〜5
0/50の範囲内にあることが望ましい。
【0012】アルキレングリコ−ルとしては、炭素数が
2〜6の、例えばエチレングリコ−ル、プロピレングリ
コ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ヘキサメチレング
リコ−ル等、及びジエチレングリコ−ルがあげられる。
なかでもエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ルが
望ましい。
【0013】またSO3 M基(Mは金属)を有するジカ
ルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイ
ソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレ
ン−2、7−ジカルボン酸などのスルホン酸の金属塩を
あげることができ、金属塩としては、ナトリウム、カリ
ウム、リチウム等のアルカリ金属塩をあげることができ
る。このうち、特に好ましいものは、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸である。この様なSO3 M基を有する
ジカルボン酸の共重合割合は、共重合ポリエステルの全
ジカルボン酸成分を基準として40モル%以下、特に5
〜20モル%を占めていることが好ましく、40モル%
を越えると溶融粘度が飛躍的に増大するため、溶融重合
法で所望の重合度のポリマ−を得ることが困難となるの
で好ましくない。
【0014】さらにポリオキシアルキレングリコ−ルと
しては、ポリオキシエチレングリコ−ル、ポリオキシプ
ロピレングリコ−ル、ポリオキシエチレングリコ−ル・
ポリオキシプロピレングリコ−ル共重合体などがあげら
れ、なかでもポリオキシエチレングリコ−ルが好適であ
る。なおこれらのポリオキシアルキレングリコ−ルは、
一方の水酸基がエ−テル結合で封鎖されていてもよく、
例えばモノメチルエ−テル、モノエチルエ−テル、モノ
フェニルエ−テル等を用いることができる。上記ポリオ
キシアルキレングリコ−ルの平均分子量は、通常500
〜12000であるが、特に1000〜6000のもの
が好ましい。また共重合量は、生成共重合ポリエステル
の重量を基準として20〜90重量%、好ましくは30
〜80重量%が望ましく、共重合量が少ないと水溶性が
低下して集束剤付与工程の安定性が低下し、また得られ
る繊維をセメント中への分散させる場合にはその分散性
が低下する傾向があり、逆に共重合量が多いと処理剤の
凝集力が低下して集束性が不足しやすくなる。
【0015】上記の芳香族カルボン酸、アルキレングリ
コ−ル並びにSO3 M基(Mは金属イオン)を有するジ
カルボン酸及び/又はポリオキシアルキレングリコ−ル
からなる水溶性共重合ポリエステル(A成分)には、本
発明の目的を損わない範囲内で上記以外の共重合成分を
少量含有していてもよい。
【0016】この様な水溶性共重合ポリエステルの固有
粘度(o−クロロフェノ−ル中25℃で測定)は、大き
くなりすぎると集束剤の粘度が高くなりすぎて、集束剤
付着時の工程安定性が低下するので望ましくなく、一方
小さすぎると集束剤皮膜の凝集力が低下して本発明の目
的を達成し難くなるので、0.2〜0.55の範囲が好
ましい。また、本発明でいう水溶性とは、完全に水溶性
であるものに限定されず、水中に微分散し得るものであ
ればよい。
【0017】本発明で用いられる集束剤のもう一つの成
分であるワックス(B成分)は、融点が50〜110℃
の範囲内にあれば任意のものを用いることができるが、
なかでも非水溶性のものが好ましく、具体的にはカルナ
バワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、羊毛ロウ、モ
ンタンワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタ
ルワックスなどの天然ワックス及びポリエチレンワック
スなどの合成ワックスなどが例示される。さらにこれら
のワックスは酸化処理されていてもよく、酸化ポリエチ
レンワックス、酸化ミクロクリスタルワックスなども用
いることができる。これらのワックスの融点が50℃未
満の場合には、処理剤の粘着性が大きくなると共に平滑
効果も低下するため、製糸工程や繊維束の切断チップ化
のための繊維束引揃え工程での毛羽発生の要因となるた
め好ましくない。一方110℃を越える場合には、集束
剤皮膜の脆性が増大して、前記各工程でガイド類との擦
過によりスカムを発生しやすくなり、また短繊維チップ
への切断時の集束性も低下して繊維のバラケが発生する
ため好ましくない。
【0018】 以上の成分を組み合わせることによっ
て、本発明の所期の効果を得るためには、A成分含有
量が60〜85重量%好ましくは60〜80重量%であ
る必要があり、一方B成分の含有量は10〜30重量%
好ましくは15〜25重量%である必要がある。A成分
の含有量が60重量%未満の場合には、集束剤皮膜の力
学的特性が低下するため、短繊維に切断する際の集束性
が不充分となる。一方85重量%を越える場合には、セ
メントの中に分散する際の分散性が不充分となるので好
ましくない。
【0019】 一方B成分の含有量が10重量%未満の
場合には、セメントの中に分散する際の分散性が不充分
となるだけでなく、集束剤を繊維に付着させる際に毛羽
やスカムが発生し易くなる。逆に、30重量%を越える
場合には、処理剤皮膜の力学的特性が不充分となって、
短繊維切断時の集束性が不充分となる。
【0020】本発明の集束剤中には、本発明の目的を損
わない範囲で他の成分、例えば平滑剤、乳化剤、制電
剤、抗酸化剤、相溶化剤、安定性向上剤等を適宜配合す
ることができる。例えば、平滑剤成分としてはポリシロ
キサンを用いることができる。この場合、25℃におけ
る粘度が5〜100センチスト−クスであれば任意のポ
リシロキサンを用いることができるが、なかでもポリジ
メチルシロキサン又はこれを変性した変性ポリシロキサ
ン、例えばフェニル変性ポリシロキサン、アミノアルキ
ル変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、
ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン、脂肪酸変性
ポリシロキサンが好ましい。ここで粘度が5センチスト
−クス未満のものを使用したのでは、ポリシロキサン併
用の効果は得難く、逆に100センチスト−クスを越え
るものを使用したのでは、処理剤の粘度が高くなって毛
羽抑制効果が低減する傾向がある。この併用量として
は、5〜10重量%の範囲内であることが望ましい。ポ
リシロキサンの併用量をこの範囲で選ぶことによって、
処理剤付与時のスカム及び毛羽発生の抑制効果が向上
し、セメント補強効果が向上する。
【0021】 上記集束剤のアラミド繊維への付着量
は、繊維重量を基準として5〜20重量%、好ましくは
7〜15重量%の範囲内にすることが重要である。アラ
ミド繊維はその力学的特性が極めて良好なため、付着量
が5重量%未満の場合には、セメントの補強用繊維とし
て繊維長3〜12mmに切断する際、集束効果が不足し
て得られる短繊維に絡みが発生するため、充分な補強効
果が得られなくなる。一方20重量%を越えると、過剰
の処理剤が糸導を汚染することになり、またセメントや
樹脂中への分散性も低下して充分な補強効果が得られな
くなるので好ましくない。
【0022】本発明の集束繊維を得るには、前記のアラ
ミド繊維束に上記に示した集束剤を水に乳化させたエマ
ルジョンとなし、従来公知の方法で付着すれば良い。す
なわち、例えばポリ−パラフェニレン−(3、4´−オ
キシジフェニレン)テレフタルアミド繊維の場合には、
延伸時あるいはそれ以降のいずれかの工程で、ロ−ラ−
方式、スプレ−方式、浸漬方式等によって付着すれば良
く、通常は延伸工程に引続いて、ロ−ラ−式給油法が採
用される。
【0023】集束剤を付着したアラミド繊維は、乾燥し
た後巻きとられるが、乾燥方式は熱板方式、熱ロ−ラ−
方式、赤外線方式等任意の方法を採用することができ
る。なお、本発明の集束剤は乾燥途上でもロ−ラ−等の
金属面に付着し難くなっているので、接触型の乾燥方式
が、効率良く乾燥できる点で好ましい方式であり、乾燥
温度(ロ−ラ−温度)は120〜200℃程度が好まし
い。
【0024】さらに本発明においては、集束された繊維
束の断面変形率が10%以上、好ましくは15%以上の
集束形態を有していることが重要である。ここに断面変
形率とは繊維束の横断面において(短径/長径)で算出
される値であって、この値が10%未満の場合には繊維
束を切断して短繊維チップとする際に、繊維束がばらけ
てチップ状のものを得ることが困難となり、また一部単
繊維が分離して例えばセメント粉体とドライブレンドす
る際に均一混合の点で難点が生じるようになる。
【0025】上記のアラミド繊維束を切断してなる本発
明の短繊維チップは、さらにアスペクト比が5〜25、
好ましくは10〜20であることが重要である。ここで
アスペクト比とは、短繊維チップの切断面を円形と仮定
し、その断面積S(断面内に空隙がある場合には、その
外周線に囲まれる面積)から求められる直径をD、長さ
をLとするとき、L/Dで算出される値である。この値
が上記範囲外の場合には、例えばセメント粉体とドライ
ブレンドする際に単繊維同志が絡み易く、所謂、ファイ
バーボールができて繊維補強効果を低下させることにな
る。
【0026】この様な集束形態を得るためには、集束剤
の付与前のアラミド繊維束に仮撚処理又は交絡処理を施
せばよいが、この場合、圧空処理ノズルにより圧空を吹
きつける方法が、繊維束の最外層の単繊維を浮遊させる
ことなく集束剤を繊維束に均一に付着させることがで
き、また糸条に与える損傷も少ないので好ましい。
【0027】交絡処理する場合には、集束剤を付与する
直前が好ましい。集束剤を付与した後に交絡処理を施す
と、集束剤の乾燥性状が固状であるために、圧空で吹き
飛ばされ乾燥固化した剤が圧空ノズルや糸導付近に固着
し、繊維束の安定走行を阻害し問題となる。
【0028】圧空圧は、2〜10kg/cm2 が好まし
い。2kg/cm2 未満では交絡が少なすぎて集束性不
足となり、繊維束の変形率が大きくなったり短繊維チッ
プの交絡形態がゆるいものとなるので好ましくない。一
方10kg/cm2 を越える場合には、交絡が強くなっ
てセメントや樹脂中への分散性が低下し、繊維補強効果
が低下しやすい。特に3〜7kg/cm2 が好ましい。
【0029】
【発明の効果】本発明のセメント補強用アラミド繊維
は、前記の水溶性ポリエステルを主体成分とする処理剤
が付着していて高度な集束性を有しているため、セメン
ト補強用として短繊維チップとなす工程までは工程安定
性が良好で取り扱い易く、また得られる短繊維チップも
毛羽立ちがなく単繊維間の絡みもない。しかも、切断し
て得られる短繊維チップは、水溶性ポリエステルで集束
されているので、セメント中に分散させる場合にはその
作業性が良好であるばかりでなく、セメント中に容易に
分散させることが可能となる。また集束剤中には、水溶
性ポリエステルに加えてワックスが配合されているの
で、その詳細な理由は不明であるが、アラミド繊維を集
束し得る程度まで集束剤の付着量を増加させても、セメ
ト中に分散させる際には単繊維レベルまでの分散が可
能となり、充分な補強効果が達成されるのである。
【0030】また本発明にかかる集束剤は、乾燥時の粘
着性が低い上に摩擦抵抗も小さいためと推定され、製造
工程でも糸導やロ−ラ−にスカムが堆積し難くなり、巻
取パッケ−ジからの繊維の解舒性も良好となる結果、極
めて品質の良好な製品を安定して製造することができる
といった特徴をも有する。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における各評価項目は、下記方法にし
たがって測定した。
【0032】(1)スカム 処理剤付与開始2時間後、160℃に加熱された加熱ロ
−ラ−に付着したスカムを目視判定し、下記基準により
評価した。 ○:スカムの発生ほとんどなく良好である。 △:ロ−ラ−表面がやや白っぽくなり、スカムとして判
断される程度。 ×:粘着ないし白粉状のものが多量に認められる。
【0033】(2)毛羽 原糸を10本巻取り、夫々から長さ104 mの毛羽数を
カウントし、下記基準により評価した。 ○:毛羽個数0〜3個/105 m △:4〜9個/105 m ×:10個/105 m以上
【0034】(3)断面変形率 集束剤を付与処理し、得られた繊維束をアラルダイト
(チバガイギー社製)にて固めミクロトーム(ライツ社
製)で切断し、この断面サイズを読み取り、断面変形率
=短径/長径×100(%)を算出した。なお、20個
のサンプルを測定し、その平均値をもとめた。
【0035】(4)アスペクト比 短繊維集束体チップの長さ(L)と切断断面の外周線に
囲まれた面積(S)を測定し、その断面形状を円形と仮
定してその直径(D)を算出し、アスペクト比=L/D
とした。なお、20個のサンプルを測定し、その平均値
をもとめた。
【0036】(5)分散性 ポルトランドセメント(徳山曹達(株)製)100重量
部に対して、処理剤を付着したアラミド短繊維2重量
部、メチルセルロ−ス2重量部及び水30重量部の割合
で、オムニミキサ−を用いて5分間混合した。得られた
セメント配合物を50g採集して50メッシュ金網上に
2〜3cmの厚さに拡げた後、上部に50メッシュ金網
を置き、次いでシャワ−水を散布してセメントを流出さ
せ、金網上に残存した繊維の状態を目視評価した。 ○:繊維の塊や開繊不良部がほとんどなし。 △:繊維の塊や開繊不良部が一部認められる。 ×:繊維の塊や開繊不良部が多量に認められる。
【0037】(6)補強効果(曲げ強力) 上記方法で得たセメント混合物を4cm×4cm×16
cmのモ−ルドに入れ、室温において24時間放置し供
試サンプルを得た。このサンプルを4週間室温下に放置
して養生した後、スパン長10cm、中央載荷方式で破
壊強度(Kg/cm2 )を測定した。
【0038】[参考例]テレフタル酸ジメチル(DM
T)16.1重量部、イソフタル酸ジメチル(DMI)
2.0重量部、エチレングリコ−ル(EG)17.2重
量部、及びエステル交換反応触媒として酢酸カルシウム
0.0002重量部を攪拌機、精留塔及びメタノ−ル留
出コンデンサ−を設けた反応器に仕込み140℃から2
30℃に加熱し、反応の結果生成するメタノ−ルを系外
に留出させながらエステル交換反応せしめた後、正リン
酸0.0001重量部、三酸化アンチモン0.0002
重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸グリコ−ル
エステル(SI)3.7重量部、及び平均分子量300
0のポリエチレングリコ−ル(PEG)49.0重量部
を加えて230℃から275℃に徐々に昇温すると共に
常圧から0.5mmHgの高真空に圧力を下げながら重
縮合反応せしめた。全重縮合反応時間100分で反応を
完結し、反応器より取出した後、冷却個化させて白色の
水溶性共重合ポリエステル(I)を得た。
【0039】[実施例1]ジカルボン酸成分がテレフタ
ル酸で、ジアミン成分がパラフェニレンジアミンと3、
4’−ジアミノジフェニルエ−テル(モル比1/1)で
ある全芳香族ポリアミドを紡糸・延伸して得た1500
デニ−ル/1000フィラメント、引張強度338kg
/mm2 、破断伸度4.47%、引張弾性率7506k
g/mm2の糸条に圧空処理ノズル(東レプレシジョン
(株)社製PC−220)を介して圧空圧4Kg/cm
2 の圧空処理を施した後、表1に記載する集束剤の25
重量%水系エマルジョンを繊維重量を基準として集束剤
有効成分で15重量%となるようロ−ラ−法により付着
させ、次い160℃に加熱された径200mmの加熱ロ
−ラ−に20巻回させて乾燥させ、400m/分の速度
で巻取り、得られた繊維束をギロチンカッタ−で繊維長
6mmに切断して短繊維チップとなした。繊維束及び短
繊維チップの評価結果を表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】[実施例2]実施例1のNo.3の油剤を
用い、その付着量を表3の如く変更する以外は実施例1
と同様に行った。結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】[実施例3]実施例1のNo.3の条件に
て、圧空圧を表4の如く変更する以外は実施例1と同様
に行った。結果は表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】[実施例4]ジカルボン酸成分がテレフタ
ル酸で、ジアミン成分がパラフェニレンジアミンと3、
4´−ジアミノジフェニルエ−テル(モル比1/1)で
ある全芳香族ポリアミドを紡糸・延伸して得た1500
デニ−ル/1000フィラメント、引張強度338kg
/mm2 、破断伸度4.47%、引張弾性率7506k
g/mm2のアラミド繊維束に、表1記載の集束剤cを
85℃で溶解した状態でローラーを介して付与し、引き
続いて60℃に加熱した0.5mmφ×5mm長の円筒
を介して集束処理を施し、その後空冷して50m/分の
速度で巻き取り、得られた繊維束をギロチンカッタ−で
繊維長6mmに切断して短繊維チップとなした。結果を
表5に示す。
【0047】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−112125(JP,A) 特開 昭61−75878(JP,A) 特開 平6−184932(JP,A) 特開 平5−295663(JP,A) 特許3137829(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/00 - 15/72 Fターム(4L033)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)及び(B)を満足する集束剤
    によって集束されたアラミド繊維であって、該集束剤の
    付着量が繊維重量を基準として5〜20重量%であると
    ともに、集束された繊維束の断面変形率が10%以上で
    ある集束形態を有していることを特徴とするセメント補
    強用アラミド繊維。 (A)芳香族ジカルボン酸、アルキレングリコール、並
    びにSOM基(Mは金属を表わす)を有するジカルボ
    ン酸及び/又はポリオキシアルキレングリコールを共重
    合した水溶性共重合ポリエステルの含有量が60〜85
    重量% (B)融点が50〜110℃であるワックスの含有量が
    10〜30重量%
  2. 【請求項2】 下記(A)及び(B)を満足する集束剤
    によって集束されたアラミド繊維であって、該集束剤の
    付着量が繊維重量を基準として5〜20重量%である集
    束されたアラミド繊維から形成され、アスペクト比が5
    〜25であることを特徴とするセメント補強用アラミド
    短繊維チップ。 (A)芳香族ジカルボン酸、アルキレングリコール、並
    びにSOM基(Mは金属を表わす)を有するジカルボ
    ン酸及び/又はポリオキシアルキレングリコールを共重
    合した水溶性共重合ポリエステルの含有量が60〜85
    重量% (B)融点が50〜110℃であるワックスの含有量が
    10〜30重量%
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