JP2018106984A - 全固体リチウムイオン電池 - Google Patents

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徳洋 尾瀬
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Abstract

【課題】全固体リチウムイオン電池において、低拘束圧力と容量維持率との両立を図る。【解決手段】正極と負極と固体電解質層との積層体、及び、前記積層体に拘束圧力を付与する拘束部材を備える全固体リチウムイオン電池であって、前記負極が、固体電解質と、負極活物質として複数のSi単体粒子とを有し、前記複数のSi単体粒子の平均粒子径が特定の範囲内であり、前記拘束部材による前記積層体への拘束圧力が0.1MPa以上45MPa以下である、全固体リチウムイオン電池とする。【選択図】図7

Description

本願は、全固体リチウムイオン電池を開示する。
特許文献1に開示されているように、全固体リチウムイオン電池においては、正極と負極と固体電解質層との積層体に対して拘束圧力を付与する場合がある。これにより活物質粒子と固体電解質との接触等が維持され、電池性能が向上する。
特許文献2にも同様の構成が開示されており、電池に対してネジ締め圧8Nと極めて高い拘束圧力を付与している。また、特許文献2に開示されているように、負極活物質としてSi合金を用いることで、電池容量及び容量密度を増大させ、サイクル特性に優れる全固体電池を得ることができる。
一方、特許文献3に開示されているように、全固体リチウムイオン電池用の負極に関する技術として平均粒径が10μm以下のSi単体粒子を用いる技術が知られている。これにより0.2Cでの充電時の電圧異常を抑制できる。
国際公開第2015/098551号 特開2016−149238号公報 特開2013−069416号公報
全固体リチウムイオン電池において活物質粒子と固体電解質との接触等を維持するために拘束圧力を高くすると、拘束部材が大きくなり電池全体としてのエネルギー密度が低下してしまう。そのため、拘束圧力を低くして拘束部材を小型化することが望まれる。しかしながら、本発明者らの知見では、拘束圧力を低くした場合、電池性能のうち電池の容量維持率が低下してしまう。このように、全固体リチウムイオン電池においては、低拘束圧力と容量維持率との両立が課題である。このような課題に対して、特許文献1〜3は何ら検討しておらず、当然、解決手段についても示していない。
本発明者らは、負極活物質としてSi単体粒子を用いた全固体リチウムイオン電池において、電池の拘束圧力を低下させた場合に、当該Si単体粒子の粒子径に依存して、電池の容量維持率が変化することを初めて知見した。すなわち、拘束圧力を低下させた場合においては、Si単体粒子の粒子径を特定の範囲とすることで、電池の容量維持率を高めることができる。
上記知見に基づき、本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、
正極と負極と固体電解質層との積層体、及び、前記積層体に拘束圧力を付与する拘束部材を備える全固体リチウムイオン電池であって、前記負極が、固体電解質と、負極活物質として複数のSi単体粒子とを有し、前記複数のSi単体粒子の平均粒子径(Dav)が0.38μm以上4.94μm以下であり、前記拘束部材による前記積層体への拘束圧力が0.1MPa以上45MPa以下である、全固体リチウムイオン電池
を開示する。
「Si単体粒子」とは、単体のケイ素のほかに不可避成分が含まれてもよい。例えば、Si単体粒子は自然酸化によってその表面にSiOが存在していてもよい。Si単体粒子において、単体のケイ素以外の不可避成分の含有量は、粒子全体を100質量%として1質量%以下とする。
「平均粒子径(Dav)」とは、SEM画像に基づいて測定されたSi単体粒子の平均粒子径をいう。具体的には、Si単体粒子のSEM画像を取得し、当該SEM画像から無作為に10個の粒子を選択し、それぞれの定方向接線径(フェレー径)を測定し、その平均値を平均粒子径(Dav)とする。
また、本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、
正極と負極と固体電解質層との積層体、及び、前記積層体に拘束圧力を付与する拘束部材を備える全固体リチウムイオン電池であって、前記負極が、固体電解質と、負極活物質として複数のSi単体粒子とを有し、前記複数のSi単体粒子の平均粒子径(D50)が3.4μm以上5.2μm以下であり、前記拘束部材による前記積層体への拘束圧力が0.1MPa以上45MPa以下である、全固体リチウムイオン電池
を開示する。
「平均粒子径(D50)」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定装置によって測定した体積基準の粒度分布において、小さな粒子側からの累積50体積%に相当する粒径(メジアン径)をいう。
本開示の全固体リチウムイオン電池は、拘束部材による拘束圧力が10MPa以上45MPa以下と低い。これにより、拘束部材を小型化することができ、電池全体としてのエネルギー密度を増大させることができる。
本開示の全固体リチウムイオン電池は、負極に含まれるSi単体粒子の平均粒子径が所定の範囲内である。これにより、拘束圧力が低い場合でも、電池の容量維持率を高くすることができる。これは以下のメカニズムに基づくものと推定される。すなわち、Si単体粒子の平均粒子径を所定の上限値以下と小さくすることで、電池の充放電時におけるSi単体粒子の膨張及び収縮を低減することができ、Si粒子及び電極内部に発生するワレを抑制し、当該膨張及び収縮によってSi単体粒子が電子やイオンのパスから孤立することを抑制できたものと推定される。一方で、Si単体粒子の平均粒子径が小さ過ぎると、単位体積あたりのSi単体粒子の数が増加し、固体電解質との接触がとり難くなる(すなわち、固体電解質と接触しないSi単体粒子の数が増加する)ものと考えられる。また、Si単体粒子の粒子径が小さ過ぎると、比表面積が増加するために、水分等と反応してSi単体粒子が劣化し易くなるものと考えられる。Si単体粒子の平均粒子径を所定の下限値以上とすることでこれらの問題を回避できたものと推定される。
全固体リチウムイオン電池10の構成を概略的に示す図である。 比較例1に係るSi単体粒子のSEM画像図である。 実施例1に係るSi単体粒子のSEM画像図である。 実施例2に係るSi単体粒子のSEM画像図である。 実施例3に係るSi単体粒子のSEM画像図である。 比較例2に係るSi単体粒子のSEM画像図である。 実施例及び比較例に係る全固体リチウムイオン電池それぞれについて、拘束圧力45MPaにおける容量維持率と拘束圧力10MPaにおける容量維持率とを示す図である。負極活物質として用いたSi単体粒子の粒子径に依存して容量維持率が変化することが分かる。
1.全固体リチウムイオン電池
図1を参照しつつ全固体リチウムイオン電池10の構成を説明する。図1に示すように、電池10は、正極1と負極2と固体電解質層3との積層体4、及び、積層体4に拘束圧力を付与する拘束部材5を備える。電池10は、負極2が、固体電解質と、負極活物質として複数のSi単体粒子とを有する。ここで、複数のSi単体粒子の平均粒子径(Dav)が0.38μm以上4.94μm以下であることが重要である。或いは、複数のSi単体粒子の平均粒子径(D50)が3.4μm以上5.2μm以下であることが重要である。また、拘束部材5による積層体4への拘束圧力が45MPa以下であることが重要である。
1.正極
電池10における正極1の構成は当業者にとって自明であるが、以下、一例について説明する。正極1は、通常、正極活物質と、任意成分として固体電解質、バインダー、導電助剤及びその他添加剤(増粘剤等)とを含む正極合剤層を備える。また、当該正極合剤層と接触する正極集電体を備えることが好ましい。
1.1.正極活物質
正極活物質はリチウムイオンを吸蔵したり放出することが可能な任意の活物質を用いることができる。リチウムイオンを吸蔵及び放出する電位(充放電電位)の異なる2つの物質を選択し、貴な電位を示す物質を正極活物質とし、卑な電位を示す物質を後述の負極活物質とする。例えば、正極活物質としてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、Li1+αNi1/3Mn1/3Co-1/3、マンガン酸リチウム、スピネル型リチウム複合酸化物、チタン酸リチウム、リン酸金属リチウム(LiMPO、MはFe、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)等のリチウム含有酸化物を用いることができる。正極活物質は1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。正極活物質は表面にニオブ酸リチウムやチタン酸リチウムやリン酸リチウム等の被覆層を有していてもよい。正極活物質の形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状や薄膜状とすることが好ましい。正極合剤層における正極活物質の含有量は特に限定されるものではなく、従来の全固体リチウムイオン電池の正極合剤層に含まれる正極活物質と同等量とすればよい。
1.2.固体電解質
固体電解質は全固体リチウムイオン電池の固体電解質として従来公知のものをいずれも採用できる。固体電解質は有機高分子を含む固体電解質、及び、無機化合物からなる固体電解質のいずれも採用できる。特に、無機化合物からなる固体電解質が好ましい。有機高分子を含む固体電解質と比較してイオン伝導度が高いためである。また、有機高分子を含む固体電解質と比較して、耐熱性に優れるためである。好ましい固体電解質としては、LiPO等の酸化物固体電解質やLiS−P、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−SiS−P、LiI−LiBr−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P等の硫化物固体電解質を例示することができる。これらの中でも、特に、LiS−Pを含む硫化物固体電解質が好ましい。固体電解質は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。固体電解質の形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることが好ましい。正極合剤層における固体電解質の含有量は特に限定されるものではなく、例えば、従来の全固体リチウムイオン電池の正極合剤層に含まれる固体電解質と同等量とすればよい。
1.3.バインダー
バインダーは、全固体リチウムイオン電池において使用されるバインダーをいずれも採用可能である。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等である。バインダーは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。正極合剤層におけるバインダーの含有量は特に限定されるものではなく、例えば、従来のリチウムイオン電池の正極合剤層に含まれるバインダーと同等量とすればよい。
1.4.導電助剤
導電助剤は、全固体リチウムイオン電池において使用される導電助剤をいずれも採用可能である。具体的には、気相法炭素繊維(VGCF)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)から選ばれる炭素材料を含む導電助剤が好ましい。或いは、電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を用いてもよい。導電助剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。導電助剤の形状は、粉末状、繊維状等、種々の形状を採用できる。正極合剤層における導電助剤の含有量は特に限定されるものではなく、例えば、従来の全固体リチウムイオン電池の正極合剤層に含まれる導電助剤と同等量とすればよい。
1.5.正極集電体
正極1は、正極合剤層と接触する正極集電体を備えることが好ましい。正極集電体は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。正極集電体を構成し得る金属としては、ステンレス鋼、Ni、Cr、Au、Pt、Al、Fe、Ti、Zn等を例示することができる。金属箔にNi、Cr、C等をめっき、蒸着したものであってもよい。
以上の構成を備える正極1は、正極活物質と、任意に含有させる固体電解質、バインダー及び導電助剤とを溶媒に入れて混練することによりスラリー状の電極組成物を得た後、この電極組成物を正極集電体の表面に塗布し乾燥する等の過程を経ることにより作製することができる。ただし、このような湿式法に限定されるものではなく、乾式にて正極1を作製することも可能である。このようにして正極集電体の表面にシート状の正極合剤層を形成可能である。この場合の正極合剤層の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
2.負極
負極2は、必須構成要素として、固体電解質と、負極活物質として複数のSi単体粒子とを有する。また、負極2に含まれる複数のSi単体粒子は、平均粒子径が所定の範囲内であることが重要である。これら以外の構成としては、例えば、以下の通りである。すなわち、負極2は、固体電解質と、負極活物質と、任意成分としてバインダー及び導電助剤とを含む負極合剤層を備える。また、当該負極合剤層と接触する負極集電体を備えることが好ましい。
2.1.固体電解質
固体電解質は上述した固体電解質と同様のものを適宜選択して用いることができる。中でも上述した無機固体電解質が好ましく、特に、LiS−Pを含む硫化物固体電解質が好ましい。固体電解質の形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることが好ましい。負極合剤層における固体電解質の含有量は特に限定されるものではなく、例えば、従来の全固体リチウムイオン電池の負極合剤層に含まれる固体電解質と同等量とすればよい。
2.2.負極活物質
負極2は、負極活物質として複数のSi単体粒子を有する。
負極2に含まれる複数のSi単体粒子は、平均粒子径(Dav)が0.38μm以上4.94μm以下であることが重要である。平均粒子径(Dav)がこの範囲であることで、拘束圧力が低い場合においても、電池の容量維持率を高めることができる。特定の粒子径を有するSi単体粒子を用いることで低拘束圧下における電池の容量維持率を高めることが可能となる推定メカニズムについては、上記の「発明の効果」の欄で説明した通りである。
尚、「平均粒子径(Dav)」とは、SEM画像に基づいて測定されたSi単体粒子の平均粒子径をいう。具体的には、Si単体粒子のSEM画像を取得し、当該SEM画像から無作為に10個の粒子を選択し、それぞれの定方向接線径(フェレー径)を測定し、その平均値を平均粒子径(Dav)とする。
また、上記平均粒子径(Dav)に換えて、平均粒子径(D50)によりSi単体粒子の粒子径範囲を特定することもできる。すなわち、負極2に含まれる複数のSi単体粒子は、平均粒子径(D50)が3.4μm以上5.2μm以下であることが重要である。平均粒子径(D50)がこの範囲であることで、拘束圧力が低い場合においても、電池の容量維持率を高めることができる。特定の粒子径を有するSi単体粒子を用いることで低拘束圧下における電池の容量維持率を高めることが可能となる推定メカニズムについては、上記の「発明の効果」の欄で説明した通りである。
尚、「平均粒子径(D50)」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定装置によって測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50体積%に相当する粒径(D50粒径。メジアン径。)をいう。
ここで、所定の平均粒子径(D50)を有する複数のSi単体粒子は、所定の粒度分布を有することが好ましい。具体的には、平均粒子径(D10)が、0.05μm以上5μm以下であり、平均粒子径(D90)が、1μm以上20μm以下であることが好ましい。D10の下限はより好ましくは0.1μm以上であり、上限はより好ましくは3μm以下である。D90の下限はより好ましくは5μm以上であり、上限はより好ましくは15μm以下である。D50に加えてD10やD90が特定の範囲であるSi単体粒子を用いることで、低拘束圧下において電池の容量維持率を一層高めることができる。
尚、「平均粒子径(D10)」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定装置によって測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積10体積%に相当する粒径をいう。また、「平均粒子径(D90)」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定装置によって測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積90体積%に相当する粒径をいう。
負極活物質は、低拘束圧と容量維持率との両立が可能な範囲で、複数のSi単体粒子に加えて、Si単体粒子以外の活物質が含まれていてもよい。例えば、負極活物質として複数のSi単体粒子に加えて、炭素材料、Si合金及び/又はLiTi12等が含まれていてもよい。ただし、電池容量を一層増大させる観点から、負極活物質全体を100質量%として、例えば、Si単体粒子が50質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上を占めるとよい。より容易に低拘束圧と容量維持率との両立が可能となることから、負極活物質は複数のSi単体粒子からなることが好ましい。負極合剤層における負極活物質の含有量は特に限定されるものではなく、従来の全固体リチウムイオン電池の負極合剤層に含まれる負極活物質と同等量とすればよい。
2.3.バインダー及び導電助剤
任意成分であるバインダーや導電助剤は、上述したものと同様のものを適宜選択して用いることができる。負極合剤層におけるバインダーや導電助剤の含有量は特に限定されるものではなく、例えば、従来の全固体リチウムイオン電池の負極合剤層に含まれるバインダーや導電助剤と同等量とすればよい。
2.4.負極集電体
負極2は、負極合剤層と接触する負極集電体を備えることが好ましい。負極集電体は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。負極集電体を構成し得る金属としては、ステンレス鋼、Cu、Ni、Fe、Ti、Co、Zn等を例示することができる。Cu箔にNi、Cr、C等をめっき、蒸着したものであってもよい。
以上の構成を備える負極2は、固体電解質と、負極活物質と、任意に含有させるバインダー及び導電助剤とを溶媒に入れて混練することによりスラリー状の電極組成物を得た後、この電極組成物を負極集電体の表面に塗布し乾燥する等の過程を経ることにより作製することができる。ただし、このような湿式法に限定されるものではなく、乾式にて負極2を作製することも可能である。このようにして負極集電体の表面にシート状の負極合剤層を形成可能である。この場合の負極合剤層の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上500μm以下であることがより好ましく、10μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
特に、負極合剤層の厚み(T)とSi単体粒子の平均粒子径(D50)との比(T/D50)が、1.5以上2000以下であることが好ましい。下限がより好ましくは2.5以上、上限がより好ましくは1000以下である。これにより、低拘束圧下における電池の容量維持率をより容易に高めることができると考えられる。具体的には、当該比(T/D50)が1.5以上であれば、負極合剤層の厚み方向にSi単体粒子が複数存在する確率が高くなる。負極合剤層の厚み方向において複数のSi単体粒子が存在する場合、仮に一つのSi単体粒子が膨張及び収縮によって電子やイオンのパスから孤立したとしても、他のSi単体粒子によって電子やイオンのパスを維持できる確率が高くなると考えられる。また、Si粒子の体積変化により発生する応力をSi粒子以外の部位が吸収できると考えられる。一方、当該比(T/D50)が2000以下であることで、活物質のみがブリッジし、活物質と導電剤や固体電解質との接触がとれないという事態を回避できるものと考えられる。
3.固体電解質層
電池10における固体電解質層3の構成は当業者にとって自明であるが、以下、一例について説明する。固体電解質層3は、固体電解質と任意にバインダーとを含む。固体電解質は上述した固体電解質と同様のものを適宜選択して用いることができる。中でも上述した無機固体電解質が好ましく、特に、LiS−Pを含む硫化物固体電解質が好ましい。バインダーは上述したバインダーと同様のものを適宜選択して用いることができる。固体電解質層3における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。固体電解質層3の形状も従来と同様とすればよい。特にシート状の固体電解質層3が好ましい。シート状の固体電解質層3は、例えば、固体電解質と任意にバインダーとを溶媒に入れて混練することによりスラリー状の電解質組成物を得た後、この電解質組成物を基材の表面に塗布し乾燥する、或いは、正極合剤層及び/又は負極合剤層の表面に塗布し乾燥する等の過程を経ることにより作製することができる。この場合、固体電解質層3の厚みは、例えば0.1μm以上300μm以下であることが好ましく、0.1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
4.積層体
正極1と負極2と固体電解質層3との積層体4は、全固体リチウムイオン電池10の発電部として機能する。例えば、図1に示すように、積層体4は、正極1と負極2との間に固体電解質層3が配置されて素電池を構成する。尚、図1には積層体4が一つの素電池を構成する形態について例示したが、積層体4によって構成される素電池の数は1つに限定されない。正極1と負極2と固体電解質層3とを複数積層することで、複数の素電池を含む積層体としてもよい。積層体4は、正極1と負極2との間に固体電解質層3が配置されていればよく、積層体4の全体としての形状は特に限定されない。図1に示すような積層方向両端面が平面である積層体4のほか、シートを捲回した捲回体のような積層方向両端面が曲面である積層体であってもよい。ただし、積層体に対して均一に拘束圧力を付与することが容易となること等から、積層方向両端面が平面である積層体4とすることが好ましい。
積層体4は、例えば、上記の正極1と負極2と固体電解質層3とを重ね合わせてプレスすることによって作製することができる。プレス方法は、平面プレス、ロールプレス、CIP等、種々の方法が採用可能である。
5.拘束部材
拘束部材は、積層体に対して拘束圧力を付与することが可能なものであればよい。以下、拘束部材の形態を例示するが、これらに限定されるものではない。
拘束部材としては、例えば、図1に示すように、積層体4の積層方向両端側から積層体4を挟む板状部5a、5aと当該板状部5a、5aを連結する棒状部5bと棒状部5bに連結されネジ構造等によって板状部5a、5aの間隔を調整する調整部5cとを備える拘束部材5が挙げられる。尚、図1に示す電池10においては、拘束部材5が、電池ケース6を介して積層体4を挟み込む構成を例示したが、拘束部材5の設置の形態はこれに限定されない。拘束部材5は、何ら部材を介さずに積層体4を直接的に挟み込んでもよい。或いは、拘束部材5は、電池ケース6以外の何らかの部材を介して積層体4を挟み込んでもよい。拘束部材5による拘束圧力の付与方向については特に限定されないが、例えば、少なくとも積層体4の積層方向に拘束圧力を付与することができる。
或いは、拘束部材は、後述する電池ケース6の内部(積層体4と電池ケース6の内壁との間)に高圧の流体を充填し、当該高圧の流体からの圧力によって積層体4を拘束するものであってもよい。この場合、流体としては、電池材料に対して不要な反応を生じさせないものが好ましい。例えば、窒素等の不活性ガスや乾燥空気等が挙げられる。この場合も、拘束部材によって、例えば、少なくとも積層体4の積層方向に拘束圧力を付与することができる。
或いは、後述する電池ケース6の内部に圧縮した弾性部材を配置し、当該弾性部材の膨張力によって積層体4に所定の拘束圧力を付与するものであってもよい。この場合、弾性部材としては、ゴム状のシート等が挙げられる。この場合も、例えば、少なくとも積層体4の積層方向に拘束圧力を付与することができる。
いずれにしても、拘束部材による積層体への拘束圧力は45MPa以下と低くすることが重要である。本発明者らは、45MPa以下の低拘束圧力とした場合において、負極に含まれるSi単体粒子の平均粒子径を上記の範囲内とすることで、電池の容量維持率が特異的に上昇することを知見した。
拘束圧力はできるだけ小さいことが好ましい。すなわち、拘束圧力は10MPa以下であってもよいし、1MPa以下であってもよい。一方で、拘束圧力があまりに小さ過ぎるのは現実的ではない。例えば、拘束圧力の下限を0.1MPa以上とすることができる。ただし、下限値はこの値に限定されない。拘束圧力の下限は1MPa以上であってもよいし、10MPa以上であってもよい。これにより、大掛かりな拘束部材が不要であり、電池全体としてのエネルギー密度を増大させることができる。また、上述したように、電池10においては、負極活物質として所定の平均粒子径を有するSi単体粒子が含まれていることから、このような低拘束圧下においても電池の容量維持率が高い。
6.その他の構成
電池10は、上記の積層体4及び拘束部材5のほか、電池として自明の構成を備える。例えば、電池10において、積層体4は電池ケース6に収容されている。電池ケース6は、積層体4を収容可能なものであれば、材質や形状は特に限定されない。例えば、金属製の筐体や、積層された金属箔と樹脂フィルムとを有するラミネートフィルム等を、電池ケース6として用いることができる。なお、積層体4を内包した電池ケース6を複数用意し、これをさらに外装体に内包することで全固体リチウムイオン電池としてもよい。
また、例えば、電池10においては、積層体4にて生じた電気がタブ(不図示)を介して外部へと取り出される。また、タブを介して積層体4の充電が行われる。タブは積層体の正極に接続された正極タブと、積層体の負極に接続された負極タブとを有する。タブの材質や形状は従来と同様とすればよい。
以上の通り、全固体リチウムイオン電池10においては、拘束部材5による拘束圧力が45MPa以下と低い。これにより、拘束部材を小型化することができ、電池全体としてのエネルギー密度を増大させることができる。また、負極2に含まれるSi単体粒子の平均粒子径が所定の範囲内である。これにより、拘束圧力が低い場合でも、電池の容量維持率を高くすることができる。
1.正極の作製
ポリプロピレン製容器に、酪酸ブチルと、PVDF系バインダーの5wt%酪酸ブチル溶液と、正極活物質として粒子径6μm程度のLiNi1/3Co1/3Mn1/3粒子と、固体電解質としてLiS−Pを含むガラスセラミックと、導電助剤としてVGCFとを加え、超音波分散装置(エスエムテー社製 UH−50)で30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学社製 TTM−1)で3分間振とうさせ、さらに超音波分散装置で30秒間攪拌した。その後さらに振とう器で3分間振とうしてスラリーを得た。アプリケーターを使用してブレード法にて当該スラリーをアルミニウム箔(昭和電工社製)上に塗工した。その後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させることにより、アルミニウム箔上に正極合剤層(厚み約50μm)を備えた正極を得た。
2.負極の作製
ポリプロピレン製容器に、酪酸ブチルと、PVDF系バインダーの5wt%酪酸ブチル溶液と、負極活物質として平均粒子径の異なるSi単体粒子と、固体電解質としてLiS−Pを含むガラスセラミックとを加え、超音波分散装置(エスエムテー社製 UH−50)で30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学社製 TTM−1)で30秒間振とうさせて、スラリーを得た。アプリケーターを使用してブレード法にて当該スラリーを銅箔上に塗工した。その後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させることにより、銅箔上に負極合剤層(厚み約30μm)を備えた負極を得た。
実施例1、2及び比較例1のそれぞれについて、負極に含まれるSi単体粒子の平均粒子径(D50)は下記表1に示す通りである。D10及びD90についても併せて示す。尚、レーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定装置(Malvern社製Scirocco2000)によって測定した体積基準の粒度分布おいて、微粒子側からの累積10体積%に相当する粒径をD10、累積50体積%に相当する粒径をD50、累積90体積%に相当する粒径をD90とした。
実施例3及び比較例2については、Si単体粒子が極めて小さく、上記の粒度分布測定装置でD50等を測定することができなかった。そこで、改めて、実施例1〜3及び比較例1、2に係るSi単体粒子それぞれについて、SEM画像に基づいて平均粒子径(Dav)を測定した。具体的には、Si単体粒子のSEM画像を取得し、当該SEM画像から無作為に10個の粒子を選択し、それぞれの定方向接線径(フェレー径)を測定し、その平均値を平均粒子径(Dav)とした。取得したSEM画像を図2〜図6に示す。平均粒子径(Dav)を下記表2に示す。
3.固体電解質層の作製
ポリプロピレン製容器に、ヘプタンと、BR系バインダーの5wt%ヘプタン溶液と、固体電解質としてLiI−LiBr−LiS−Pを含むガラスセラミックとを加え、超音波分散装置(エスエムテー社製 UH−50)で30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学社製 TTM−1)で30秒間振とうさせて、スラリーを得た。アプリケーターを使用してブレード法にて当該スラリーを基材(アルミニウム箔)上に塗工した。その後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させることにより、基材上に固体電解質層(厚み約15μm)を形成した。
4.全固体リチウムイオン電池の作製
固体電解質層が正極合剤層と接触するように、固体電解質層と正極とを積層して、1ton/cmでプレスした。その後、基材を剥がして、固体電解質層と正極との二層体とした。次に、二層体の固体電解質層と負極合剤層とが接触するように、二層体と負極とを積層して、6ton/cmでプレスすることで、正極と負極との間に固体電解質を有する積層体を得た。得られた積層体について図1に示すようなネジ締め式の拘束部材を用いて所定の拘束圧力にて拘束し、評価用の全固体リチウムイオン電池とした。
5.全固体リチウムイオン電池の性能評価
拘束部材による拘束圧力を45MPaとした場合、及び、拘束部材による拘束圧力を10MPaとした場合のそれぞれについて、以下の条件で耐久試験を行い、耐久試験前の電池の容量を100%とした場合における耐久試験後の電池の容量を「容量維持率」として規格化して算出した。
(1)初回充電
3時間率(1/3C)で4.55Vまで定電流−定電圧で充電した。
(2)初回放電
定電流−定電圧で2.5Vまで放電した。
(3)2回目の充電
定電流−定電圧で4.35Vまで充電した。
(4)2回目の放電
定電流−定電圧で3.0Vまで放電した。
(5)耐久試験
4.17Vまで充電した後、3.17Vまで放電することを300回繰り返した。
(6)容量維持率の算出
耐久試験前の電池の容量((3)、(4)により測定された電池容量)を100%とした場合における耐久試験後の電池の容量を「容量維持率」として規格化して算出した。結果を下記表3及び図7に示す。
表3及び図7に示す結果から明らかなように、平均粒子径が所定の範囲内であるSi単体粒子を用いた場合、拘束圧力45MPa以下における容量維持率が特異的に増加する。これは、平均粒子径(D50)が5.2μm以下と小さいために、或いは、平均粒子径(Dav)が5.0μm以下と小さいために、電池の充放電時におけるSi単体粒子の膨張及び収縮を低減することができ、当該膨張及び収縮によってSi単体粒子が電子やイオンのパスから孤立することを抑制できたものと推定される。一方で、Si単体粒子の平均粒子径が小さ過ぎると、単位体積あたりのSi単体粒子の数が増加し、固体電解質との接触がとり難くなる(すなわち、固体電解質と接触しないSi単体粒子の数が増加する)ものと考えられる。また、Si単体粒子の粒子径が小さ過ぎると、比表面積が増加するために、水分等と反応してSi単体粒子が劣化し易くなるものと考えられる。Si単体粒子の平均粒子径(D50)を3.4μm以上とすることで、或いは、平均粒子径(Dav)を0.38μm以上とすることでこれらの問題を回避できたものと推定される。
尚、上記実施例から明らかなように、平均粒子径(D50)と平均粒子径(Dav)とは、相関性が高い。平均粒子径(D50)及び平均粒子径(Dav)のいずれを採用したとしても、所望の効果を奏して所定の課題を解決できる範囲を明確に特定できるといえる。
本開示の全固体リチウムイオン電池は、車載用の大型電源として利用可能である。また、非常用電源、民生用電池としても応用可能である。
10 全固体リチウムイオン電池
1 正極
2 負極
3 固体電解質層
4 積層体
5 拘束部材
6 電池ケース

Claims (2)

  1. 正極と負極と固体電解質層との積層体、及び
    前記積層体に拘束圧力を付与する拘束部材
    を備える全固体リチウムイオン電池であって、
    前記負極が、固体電解質と、負極活物質として複数のSi単体粒子とを有し、
    前記複数のSi単体粒子の平均粒子径(Dav)が0.38μm以上4.94μm以下であり、
    前記拘束部材による前記積層体への拘束圧力が0.1MPa以上45MPa以下である、
    全固体リチウムイオン電池。
  2. 正極と負極と固体電解質層との積層体、及び
    前記積層体に拘束圧力を付与する拘束部材
    を備える全固体リチウムイオン電池であって、
    前記負極が、固体電解質と、負極活物質として複数のSi単体粒子とを有し、
    前記複数のSi単体粒子の平均粒子径(D50)が3.4μm以上5.2μm以下であり、
    前記拘束部材による前記積層体への拘束圧力が0.1MPa以上45MPa以下である、
    全固体リチウムイオン電池。
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