JP2020161286A - 全固体電池 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、Si系の負極活物質は、従来広く使用されている炭素系の負極活物質に比べ、Li挿入時の体積変化が大きいため、Si系の負極活物質を用いた全固体電池では、Si系の負極活物質が大きく膨張収縮することにより、負極活物質と固体電解質との間のイオン伝導パスが阻害され、抵抗が増加するという問題があった。
本開示では、容量低下を抑制しつつ、抵抗増加を抑制することが可能な全固体電池を提供することを目的とする。
前記負極及び前記固体電解質層の少なくともいずれかが硫化物固体電解質を含有し、
前記負極が、Si及びSiO2を含む負極活物質粒子を含有し、
前記負極活物質粒子のX線光電子分光法(XPS)による表面分析において、Siに帰属するピークの面積に対するSiO2に帰属するピークの面積の比(SiO2のピーク面積/Siのピーク面積)が0.37以上0.47以下であることを特徴とする。
前記負極及び前記固体電解質層の少なくともいずれかが硫化物固体電解質を含有し、
前記負極が、Si及びSiO2を含む負極活物質粒子を含有し、
前記負極活物質粒子のX線光電子分光法(XPS)による表面分析において、Siに帰属するピークの面積に対するSiO2に帰属するピークの面積の比(SiO2のピーク面積/Siのピーク面積)が0.37以上0.47以下であることを特徴とする。
式(1) xLi+ + xe− + ySi → LixSiy
式(2) LixSiy → xLi+ + xe− + ySi
Si系の負極活物質は、炭素系の負極活物質に比べ、電池のエネルギー密度を高めることができる。一方で、Si系の負極活物質は、前記式(1)に示すLiの挿入時の体積変化が大きく、炭素系の負極活物質に比べると、3〜4倍程度に膨張することが知られている。そのため、充電時には、固体電解質が、膨張するSi系の負極活物質に押されて変形し、放電時には、固体電解質が、Liイオンの離脱に伴うSi系の負極活物質の収縮に追随することができず、負極活物質が固体電解質から剥がれて、負極活物質と固体電解質との間に空隙が発生することで、負極活物質と固体電解質との間のイオン伝導が阻害され、電池の内部抵抗が増加すると推測される。このような内部抵抗の増加は、全固体二次電池において、充放電を繰り返した場合に更に顕著になる。
本開示の全固体電池は、SiとSiO2とが特定の比率で表面に存在する負極活物質粒子を、硫化物固体電解質と組み合わせて用いていることにより、Siによる高容量を有しながら、負極活物質粒子の表面に存在するSiO2が、硫化物固体電解質の硫黄原子(S)と反応して結合状態を形成し得るため、負極活物質粒子と硫化物固体電解質とが密着しやすく、Siが膨張収縮して負極活物質粒子の大きさが変動しても、負極活物質粒子は硫化物固体電解質からの剥がれが抑制されて、負極活物質粒子と硫化物固体電解質との接触が維持されやすいため、イオン伝導性が低下し難く、抵抗の増加を抑制することができると推測される。
以下、本開示の全固体電池について詳述する。
図1は、本開示の全固体電池の一例を示す断面模式図であり、図1に示す全固体電池100は、正極合材層12及び正極集電体14を含む正極16と、負極合材層13及び負極集電体15を含む負極17と、正極16と負極17の間に位置する固体電解質層11を備える。
以下、本開示の全固体電池について、詳細に説明する。
負極は、少なくとも負極活物質粒子を含有する。中でも、イオン伝導性に優れる点から、負極は、負極活物質粒子と固体電解質とを少なくとも含有する負極合材層を備えることが好ましい。以下、本開示において好ましく用いられる負極合材層を備える負極について説明する。
負極合材層は、負極活物質粒子と、固体電解質とを少なくとも含有し、更に導電材を含有することが好ましく、必要に応じて更に結着剤等のその他の成分を含有していてもよい。
負極活物質粒子は、少なくともSi及びSiO2を含有する。
前記負極活物質粒子のX線光電子分光法(XPS)による表面分析において、Siに帰属するピークの面積に対するSiO2に帰属するピークの面積の比(SiO2のピーク面積/Siのピーク面積)は、0.37以上0.47以下である。なお、XPSによる表面分析で得られる各ピークの面積は、例えばマルチパック等のXPS解析ソフトを用いて、各ピークにベースラインを引いて求める。
なお、前記負極活物質粒子は、効果を損なわない範囲において、前記Si及びSiO2以外のその他の成分を含有していてもよい。
前記負極活物質粒子において、前記その他の成分の含有量は、高容量化及び抵抗増加の抑制の観点から、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。中でも、高容量化及び抵抗増加の抑制の点から、前記負極活物質粒子は、Si及びSiO2からなるものであることが好ましい。
前記熱酸化させるための加熱の条件は、加熱する粒子の大きさ等により適宜調整され、特に限定はされないが、粒子表面に存在するSi及びSiO2の存在比率を前記特定の範囲内にし易い点から、加熱温度は700℃以上であることが好ましく、加熱時間は30分以上であることが好ましい。
前記負極合材層に用いられる固体電解質としては、例えば、後述する固体電解質層に用いられる固体電解質と同様のものを挙げることができる。中でも、抵抗の増加を抑制する点、及びイオン伝導性を向上する点から、前記負極合材層は、硫化物固体電解質を含有することが好ましい。
負極合材層が含有する硫化物固体電解質としては、中でも、抵抗の増加を抑制する点、及びイオン伝導性が高い点から、Li2S−P2S5を含むものであることが好ましく、Li2S−P2S5−LiI−LiBrを含むものがより好ましく、後述する固体電解質層において好ましく用いられる硫化物固体電解質を同様に好ましく用いることができる。
負極合材層は、電子伝導性を向上する点から、導電材を含有することが好ましい。導電材としては、従来全固体電池に使用されているものを適宜選択して用いることができ、特に制限はされず、例えば炭素材料等が挙げられる。導電材に用いられる炭素材料としては、例えば、アセチレンブラックやファーネスブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種を挙げることができ、中でも、電子伝導性の観点から、カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。当該カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーはVGCF(気相法炭素繊維)であってもよい。
負極合材層には上記成分以外に、結着剤などのその他の成分が含まれていてもよい。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ブチレンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル樹脂等を用いることができる。
前記負極合材層を備える負極は、更に負極集電体を有していても良い。負極集電体は、前記負極合材層の集電を行う機能を有するものである。
負極集電体の材料としては、例えば、Cu及びCu合金等を挙げることができる。また、負極集電体の表面には、Ni、Cr、C等のコート層が形成されていても良い。コート層は、例えば、めっき層であっても良く、蒸着層であっても良い。
負極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状等が挙げられる。
本開示の全固体電池用の負極は、さらに、負極集電体に接続された負極リードを備えていてもよい。
正極は、少なくとも正極活物質を含有するものであり、例えば、正極活物質を含有し、必要に応じて、固体電解質、導電材及び結着剤等を更に含有する正極合材層を備えるものとすることができる。
前記正極活物質の形状は特に限定されず、粒子状、膜状等が挙げられる。
正極合材層の厚さは、特に限定されないが、例えば、10μm以上250μm以下であってもよく、中でも20μm以上200μm以下であってもよい。
正極集電体の材料としては、例えば、SUS、Ni、Cr、Au、Pt、Al、Fe、Ti、Zn等を挙げることができる。また、正極集電体の表面には、Ni、Cr、C等のコート層が形成されていても良い。コート層は、例えば、めっき層であっても良く、蒸着層であっても良い。
正極集電体の形状は、上述した負極集電体の形状と同様のものを採用することができる。
正極は、さらに、正極集電体に接続された正極リードを備えていてもよい。
固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含有し、必要に応じて結着剤等を含有していても良い。
固体電解質層が含有する固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、窒化物固体電解質等の無機固体電解質を挙げることができ、中でもイオン伝導性が高い点から、硫化物固体電解質を好ましく用いることができる。本開示の全固体電池は、固体電解質層が硫化物固体電解質を含有する硫化物全固体電池であっても良い。
硫化物固体電解質としては、例えば、Li2S−P2S5、Li2S−P2S5−LiI、Li2S−P2S5−LiI−LiBr、Li2S−P2S5−Li2O、Li2S−P2S5−Li2O−LiI、Li2S−SiS2、Li2S−SiS2−LiI、Li2S−SiS2−LiBr、Li2S−SiS2−LiCl、Li2S−SiS2−B2S3−LiI、Li2S−SiS2−P2S5−LiI、Li2S−B2S3、Li2S−P2S5−ZmSn(ただし、m、nは正の数を表し、Zは、Ge、Zn又はGaを表す。)、Li2S−GeS2、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−LixMOy(ただし、x、yは正の数を表し、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga又はInを表す。)等を挙げることができる。中でも、抵抗の増加を抑制する点、及びイオン伝導性が高い点から、Li2S−P2S5を含むものであることがより好ましく、Li2S−P2S5−LiI−LiBrが特に好ましい。なお、前記「Li2S−P2S5」の記載は、Li2SおよびP2S5を含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
本開示の全固体電池は、必要に応じ、正極、負極及び固体電解質層を収容する外装体を備えるものであってもよい。
外装体の形状としては、特に限定されないが、ラミネート型等を挙げることができる。
外装体の材質は、電解質に安定なものであれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びアクリル樹脂等の樹脂が挙げられる。
本開示の全固体電池の製造方法は、前述した本開示の全固体電池を製造可能な方法であればよく、特に制限はされない。前述した負極合材層、固体電解質層及び正極合材層の形成方法としては、例えば、各層の原料である粉末又はペレットをプレスして成形する圧粉成形法や、各層の原料であるスラリーを塗布、乾燥するスラリー塗工法等を挙げることができる。スラリー塗工法では、原料のスラリーを塗布、乾燥して塗膜を形成した後、更にプレスしても良い。
中でも、負極合材層を形成する工程、正極合材層を形成する工程、及び固体電解質層を形成する工程が、それぞれ原料の粉末又はペレットを充填させた充填体、或いは原料のスラリーを塗布、乾燥して形成した塗膜を、プレスする工程を有する方法が、全固体電池の性能を高めやすい点から好ましい。特に、負極合材層を形成する工程が、負極合材層用原料の粉末又はペレットを充填させた充填体、或いは負極合材層用原料のスラリーを塗布、乾燥して形成した塗膜を、プレスして負極合材層を形成する工程であることが、負極合材層中の前記負極活物質粒子と、当該負極活物質粒子と接触している硫化物固体電解質との密着性が向上し、抵抗の増加を抑制する効果を高め、イオン伝導性を向上する点から、本開示の全固体電池の製造方法として好ましい。
所望の形状を有する型に、前記固体電解質層用原料を充填し、プレスすることで固体電解質層を形成する工程と、
前記形成された固体電解質層の一方の面に、正極合材層用原料を充填し、プレスすることで正極合材層を形成する工程と、
前記形成された固体電解質層のもう一方の面に、前記負極合材層用原料を充填し、プレスすることで負極合材層を形成する工程と、を有する全固体電池の製造方法を挙げることができる。
前記負極合材層用原料は、前記負極活物質粒子及び固体電解質を含有し、更に導電材、及び必要に応じ含有される結着剤等のその他の成分を含んでいてもよく、さらに、負極合材層を製造する途中で除去される溶剤等の成分を含んでいてもよい。
前記負極合材層用原料のスラリーに用いられる溶剤としては、特に限定されず、例えば、ヘプタン、酪酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等、或いは、これらの混合物や水との混合物を用いてもよい。
負極合材層用原料のスラリーにおいて、各成分を分散する方法としては、特に限定されないが、例えば、ホモジナイザー、ビーズミル、シェアミキサー、ロールミル等が挙げられる。
負極合材層用原料のスラリーを塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、特に限定はされず、例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
負極合材層用原料のスラリーを乾燥する方法は、公知の方法を用いることができ、特に限定されず、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられ、具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
前記負極合材層用原料のペレットは、前記負極合材層用原料のスラリーを乾燥し、所定量を計量して圧縮成形することにより得ることができる。前記負極合材層用原料の粉末は、例えば、前記負極合材層用原料のペレットを粉砕することにより得ることができる。
前記負極合材層用原料の粉末又はペレットをプレスして前記負極合材層を形成する際、又は、前記負極合材層用原料のスラリーを塗布、乾燥して塗膜を形成した後、当該塗膜をプレスして前記負極合材層を形成する際のプレスの圧力は、特に限定はされないが、例えば、20MPa以上1000MPa以下とすることができる。
前記正極合材層用原料は、前記正極活物質を含有し、必要に応じ、前記固体電解質、前記導電材、及び前記結着剤等のその他の成分を更に含んでいてもよく、さらに、正極合材層を製造する途中で除去される溶剤等の成分を含んでいてもよい。
正極合材層用原料の粉末、ペレット又はスラリーは、例えば、前記負極合材層用原料の粉末、ペレット又はスラリーを調整する方法と同様の方法により調製することができる。
前記正極合材層用原料のスラリーを塗布、乾燥する方法としては、例えば、前記負極合材層用原料のスラリーを塗布、乾燥する方法と同様の方法が挙げられる。
前記正極合材層用原料の粉末又はペレットをプレスして前記正極合材層を形成する際、又は、前記正極合材層用原料のスラリーを塗布、乾燥して塗膜を形成した後、当該塗膜をプレスして前記正極合材層を形成する際のプレスの圧力は、特に限定はされないが、例えば、20MPa以上1000MPa以下とすることができる。
前記固体電解質層用原料の粉末又はペレットをプレスして前記固体電解質層を形成する際のプレスの圧力は、特に限定はされないが、例えば、20MPa以上1000MPa以下とすることができる。
或いは、前述した負極合材層、正極合材層、及び固体電解質層を、各々別に作製した後、組み立てることによって、本開示の全固体電池を製造してもよい。
(1)負極活物質粒子の作製
焼成炉にシリコン(Si)粉末(高純度化学研究所)を10g投入し、空気雰囲気下において、700℃、60分の処理条件で加熱して熱酸化を行うことで、負極活物質粒子を得た。
負極活物質粒子のXPSによる表面分析から求めた「SiO2のピーク面積/Siのピーク面積」の値を表1に示す。なお、表1及び図2、3において、「SiO2のピーク面積/Siのピーク面積」を単に「SiO2/Si」と表記する。
Li2S(フルウチ化学)0.550g、P2S5(アルドリッチ)0.887g、LiI(日宝化学)0.285g、LiBr(高純度化学研究所)0.277gをそれぞれ秤量し、これらをメノウ乳鉢で5分間混合した後、脱水ヘプタン(関東化学)4gを加え、遊星型ボールミルを用いて40時間メカニカルミリングすることで、硫化物固体電解質を得た。
LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(日亜化学工業)の表面にLiNbO3を被覆したものを正極活物質として用いた。当該正極活物質1.5g、導電材としてVGCF(昭和電工)0.023g、前記硫化物固体電解質0.239g、結着剤としてPVdF(クレハ)、酪酸ブチル(ナカライテスク)0.8gをそれぞれ秤量し、超音波ホモジナイザー(SMT社製、UH−50)を用いてこれらを混合することで、正極合材層用原料を得た。
前記負極活物質粒子1.0g、導電材としてVGCF(昭和電工)0.04g、前記硫化物固体電解質0.776g、結着剤としてPVdF(クレハ)0.02g、酪酸ブチル(ナカライテスク)2.4gをそれぞれ秤量し、超音波ホモジナイザー(SMT社製、UH−50)を用いてこれらを混合することで、負極合材層用原料を得た。
1cm2のセラミックス製の型に、前記硫化物固体電解質を0.065g秤量し、1ton/cm2(≒98MPa)でプレスして固体電解質層を形成した。次いで、固体電解質層の片面に、前記正極合材層用原料0.018gを塗布し、乾燥させ、1ton/cm2でプレスすることで、正極合材層を形成した。固体電解質層の正極合材層とは逆側の面に、前記負極合材層用原料0.0054gを塗布し、乾燥させ、4ton/cm2でプレスすることで負極合材層を形成した。更に、正極集電体としてアルミ箔を正極合材層の表面に配置し、負極集電体として銅箔を負極合材層の表面に配置して、全固体電池を得た。
<初回効率の測定>
全固体電池を0.245mAで4.35Vまで定電流定電圧充電(CC/CV充電)した後、0.245mAで3.0Vまで定電流定電圧放電(CC/CV放電)を行った。
前記CC/CV充電の初期充電容量と、前記CC/CV放電の初期放電容量から、初回効率を下記式により求めた。結果を表1に示す。
初回効率(%)=(初期放電容量/初期充電容量)×100
前記初回効率の測定を行った後の電池を、更に、3.43Vの電圧まで0.245mAで定電流充電(CC充電)した後、7.35mAで5秒間放電し、その後、電池を60℃の恒温槽内に入れ、電圧範囲を3.2Vから4.2Vとし、電流値を4.9mAとして、定電流充放電(CC充放電)にて充放電サイクルを300サイクル実施した。次いで、0.245mAで4.35Vまで定電流定電圧充電(CC/CV充電)した後、0.245mAで3.0Vまで定電流定電圧放電(CC/CV放電)し、更に、3.43Vの電圧まで0.245mAで定電流充電(CC充電)した後、7.35mAで5秒間放電し、電圧の変化からDC−IRを測定して耐久後抵抗値とした。
実施例1の前記(1)負極活物質粒子の作製において、シリコン(Si)を加熱する際の処理条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2及び比較例1〜3の全固体電池を得て、実施例1と同様の評価を行った。なお、比較例1では、シリコン(Si)を加熱せず、そのまま負極活物質粒子として用いた。
実施例2及び比較例1〜3で用いた負極活物質粒子のXPSによる表面分析で求められるSiに帰属するピークの面積に対するSiO2に帰属するピークの面積の比(SiO2に帰属するピーク面積/Siに帰属するピーク面積)の値を表1に示す。また、実施例2及び比較例1〜3で得た全固体電池の初回効率及び耐久後抵抗を表1に示す。
また、図3から、使用した負極活物質粒子の表面にSiO2の量が多いほど、電池の初回効率が低下する傾向があることが明らかにされた。これは、負極活物質粒子表面の酸素と接触している硫化物固体電解質が、初回充電時に不可逆的な反応しているためと推測される。
実施例1、2で得た全固体電池では、使用した負極活物質粒子の表面におけるSiO2とSiの存在比率が適度であったため、初期充放電後も容量の低下が抑制され、電池特性を維持しながら、充放電による抵抗増加を抑制することができたと考えられる。
12 正極合材層
13 負極合材層
14 正極集電体
15 負極集電体
16 正極
17 負極
100 全固体電池
Claims (1)
- 正極と負極と、前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質層とを備える全固体電池であって、
前記負極及び前記固体電解質層の少なくともいずれかが硫化物固体電解質を含有し、
前記負極が、Si及びSiO2を含む負極活物質粒子を含有し、
前記負極活物質粒子のX線光電子分光法(XPS)による表面分析において、Siに帰属するピークの面積に対するSiO2に帰属するピークの面積の比(SiO2に帰属するピーク面積/Siに帰属するピーク面積)が0.37以上0.47以下であることを特徴とする、全固体電池。
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