JP2015005421A - 電極体及び全固体電池 - Google Patents

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健吾 芳賀
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徳洋 尾瀬
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敬介 大森
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崇 伊関
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Abstract

【課題】全固体電池の性能を向上させることが可能な電極体を提供する。
【解決手段】Cu及び/又はFeを含有する集電体と、硫化物固体電解質及び負極活物質を含有する負極層と、集電体及び負極層の間に配置された導電性膜とを有し、導電性膜に接触する集電体の表面は、算術平均粗さRaがRa<0.6であり、且つ、集電体が電解箔である電極体とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、全固体電池等に用いられる電極体、及び、該電極体を用いた全固体電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、従来の二次電池よりもエネルギー密度が高く、高電圧で作動させることができる。そのため、小型軽量化を図りやすい二次電池として携帯電話等の情報機器に使用されており、近年、電気自動車用やハイブリッド自動車用等、大型の動力用としての需要も高まっている。
リチウムイオン二次電池は、正極層及び負極層と、これらの間に配置された電解質層とを有し、電解質層に用いられる電解質としては、例えば非水系の液体状や固体状の物質等が知られている。液体状の電解質(以下において、「電解液」という。)が用いられる場合には、電解液が正極層や負極層の内部へと浸透しやすい。そのため、正極層や負極層に含有されている活物質と電解液との界面が形成されやすく、性能を向上させやすい。ところが、広く用いられている電解液は可燃性であるため、安全性を確保するためのシステムを搭載する必要がある。一方、難燃性である固体状の電解質(以下において、「固体電解質」という。)を用いると、上記システムを簡素化できる。それゆえ、固体電解質を含有する層(以下において、「固体電解質層」という。)が備えられる形態のリチウムイオン二次電池(以下において、「全固体電池」ということがある。)の開発が進められている。
このようなリチウムイオン二次電池に関する技術として、例えば特許文献1には、集電体と活物質層との間に炭素被覆層を有する電極体や、該電極体を正極及び負極の少なくとも一方に用いた電池が開示されている。また、特許文献2には、正極活物質からなる薄膜又は粒子の固体硫化物電解質と接する面が、製造工程でカルボニル基を含有する有機化合物を用いないで得られたLiTiからなるコート層によって積層されてなる、固体硫化物電解質層を有する固体電池の電極が開示されている。また、特許文献3には、正極集電体と正極活物質層との間に第1密着層を有し、負極集電体と負極活物質層との間に第2密着層を有し、第1及び第2密着層が第3結着剤と導電性物質の双方をそれぞれ含み、第3結着剤が、正極活物質層に含まれている第1結着剤又は負極活物質層に含まれている第2結着剤を変性物質により変性させた高分子化合物であるリチウムイオンポリマー二次電池が開示されている。そして、この特許文献3には、第1及び第2密着層に含まれる導電性物質として炭素材を用いる形態が開示されている。また、特願2011−244531号明細書には、集電体と該集電体に接続された電極層とを有し、電極層は、少なくとも活物質及びバインダーを含有し、少なくとも膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾された導電性カーボン膜が、集電体の、電極層側の表面に形成されている、電極体が開示されている。
国際公開第2012/127653号パンフレット 特開2012−226944号公報 特開2002−304997号公報
特許文献1に開示されている電極体によれば、活物質層(以下において「電極層」ということがある。)及び集電体の間の密着性向上と、バインダーによる電池特性の低下抑制と、を両立することが可能になると考えられる。しかしながら、特許文献1に開示されている技術のように、集電体と電極層との間に炭素被覆層を配置しても、この炭素被覆層が破損することがある。炭素被覆層が破損すると、集電体に含まれている物質と電極層に含まれている物質とが反応することにより、全固体電池の性能低下の一因となる生成物が形成される虞がある。そのため、特許文献1に開示されている技術には、全固体電池の性能を向上させるためにさらなる改良を行う余地があった。また、特願2011−244531号明細書に開示されている技術によれば、集電体と電極層との接着力を向上させることによって全固体電池の性能を向上させることが可能になると考えられる。しかしながら、特願2011−244531号明細書に開示されている技術によっても、導電性カーボン膜の破損を防止できない虞がある。それゆえ、この技術にも、全固体電池の性能を向上させるためにさらなる改良を行う余地があった。さらに、特許文献2や特許文献3では、集電体に含まれている物質と電極層に含まれている物質との反応を十分に抑制するための対策が検討されていない。したがって、特許文献1乃至特許文献3及び特願2011−244531号明細書に開示されている技術を単に組み合わせても、全固体電池の性能向上効果が不十分になる虞があった。
そこで本発明は、全固体電池の性能を向上させることが可能な電極体、及び、該電極体を用いた全固体電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、Cu及び/又はFeを含む集電体と硫化物固体電解質を用いた電極層との間に導電性膜を配置した電極体において、集電体と電極層との密着性を向上させるために集電体の表面を粗くすると、電極体の製造過程や電極体を有する全固体電池の使用時に導電性膜が破損しやすく、導電性膜が破損した箇所で硫化銅や硫化鉄が生成しやすいことを知見した。硫化銅や硫化鉄は全固体電池のクーロン効率を低下させる一因になるため、全固体電池の性能を向上させるためには導電性膜の破損を防止することが有効である。かかる観点から、本発明者らは鋭意検討した結果、導電性膜に接触する集電体の表面粗さRaを0.6μm未満とし、且つ、電解箔を集電体として用いることにより、性能低下の一因になる反応生成物を低減できることを知見した。本発明は、当該知見に基づいて完成させた。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
本発明の第1の態様は、Cu及び/又はFeを含有する集電体と、硫化物固体電解質及び負極活物質を含有する負極層と、上記集電体及び上記負極層の間に配置された導電性膜と、を有し、該導電性膜に接触する集電体の表面は、算術平均粗さRaがRa<0.6であり、且つ、集電体が電解箔である、電極体である。
本発明において、「導電性膜」は、電極体が用いられる電池の使用環境に耐えることができ、当該電池の使用時に正極と負極との間を移動する物質と反応して合金化することがなく、且つ、当該電池の使用時に溶出しない公知の導電性物質によって形成された膜であれば良い。導電性膜に接触する表面の算術平均粗さRaがRa<0.6(0.6μm未満)である電解箔と導電性膜とを接触させることにより、電極体の製造過程で電解箔と導電性膜とを密着させる方向へプレスしたり、電極体を備える電池の使用時などに、電解箔と導電性膜とを密着させる方向へ締結圧力を付与したりしても、導電性膜の破損を抑制することができる。導電性膜の破損を抑制することにより、電解箔に含まれているCu及び/又はFeと、負極層に含まれている硫化物固体電解質との反応を抑制することができるので、硫化銅や硫化鉄の生成を抑制することができる。硫化銅や硫化鉄は、全固体電池の性能低下(クーロン効率低下)の一因になるため、硫化銅や硫化鉄の生成を抑制できる本発明の電極体を用いることにより、全固体電池の性能を向上させることが可能になる。
また、上記本発明の第1の態様において、導電性膜が導電性カーボン膜であっても良い。かかる形態であっても、硫化銅や硫化鉄の生成を抑制することができるので、このような電極体を用いることにより、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
また、導電性膜が導電性カーボン膜である上記本発明の第1の態様において、導電性カーボン膜は、少なくとも膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾されていることが好ましい。ここで、本発明において、「非共有電子対を有するN原子」とは、非共有電子対を有するN(窒素)原子をいう。また、本発明において、「導電性カーボン膜は、少なくとも膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾されている」とは、非共有電子対を有するN(窒素)原子が導電性カーボン膜のC(炭素)原子と結合している状態をいう。結合したN原子及びC原子(C−N結合)は、例えば、X線光電子分光分析(XPS分析)により確認することができる。
集電体の表面に、少なくとも膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾された導電性カーボン膜を形成し、この導電性カーボン膜を介して集電体と電極層とを接続することにより、集電体と電極層との接着力を高めることが可能になる。集電体と電極層との接着力を高めることにより、集電体と電極層との間の電子伝導抵抗を低減しやすくなるので、このような電極体を用いることにより、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
また、上記本発明の第1の態様において、導電性膜は、厚さが50nm以上であることが好ましい。導電性膜の厚さが50nm以上であることにより、電極体の製造時や全固体電池の使用時に圧力を付与しても導電性膜が破損し難くなるので、硫化銅や硫化鉄の生成を抑制しやすくなり、その結果、このような電極体を用いることにより、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
本発明の第2の態様は、正極集電体、及び、該正極集電体に接続された正極層を有する正極電極体と、負極層及び負極集電体、並びに、これらの間に配置された導電性膜を有する負極電極体と、上記正極層及び上記負極層の間に配置された固体電解質層と、を有し、上記負極電極体が、本発明の第1の態様にかかる電極体である、全固体電池である。
本発明の第2の態様にかかる電池は、本発明の第1の態様にかかる電極体を有しているので、硫化銅や硫化鉄が生成され難い。これらの生成を抑制することにより、全固体電池の性能を向上させることが可能になる。
本発明によれば、硫化銅や硫化鉄の生成を抑制することによって全固体電池の性能を向上させることが可能な電極体、及び、該電極体を用いることにより性能を向上させることが可能な全固体電池を提供することができる。
本発明の電極体1を説明する図である。 従来の電極体9を説明する図である。 本発明の全固体電池10を説明する図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されない。
図1は、本発明の電極体1を説明する図である。図1に示した電極体1は、集電体1aと、この集電体1aの表面に形成された導電性膜1bと、この導電性膜1bを介して集電体1aに接続された負極層1cと、を有している。集電体1aは銅の電解箔であり、その表面は、算術平均粗さRaがRa<0.6となっている。導電性膜1bは、集電体1aの表面に形成された、少なくとも膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾されている導電性カーボン膜(以下において、「PAC膜」ということがある。)であり、その厚さ(図1の紙面上下方向の厚さ)は50nm以上である。負極層1cには、負極活物質、硫化物固体電解質、及び、バインダーが含有されている。
電極体1において、導電性膜1bは、表面の算術平均粗さが0.6μm未満(Ra<0.6)である集電体1aに接触している。集電体1aの表面をRa<0.6とすることにより、電極体1を図1の紙面上下方向から圧縮するようにプレスしても、集電体1aの表面に存在し得る凹部に応力が集中し難いので、集電体1aに接触している導電性膜1bが破損され難い。導電性膜1bの破損を抑制することにより、集電体1aに含まれている銅と負極層1cに含まれている硫化物固体電解質との接触を抑制することができるので、性能低下の一因となる硫化銅の生成を抑制することができる。
図2は、従来の電極体9を説明する図である。電極体9は、集電体9aと、この集電体9aの表面に形成された導電性膜9bと、この導電性膜9bを介して集電体9aに接続された負極層9cと、を有している。集電体9aは銅の圧延箔であり、導電性膜9bは厚さ(図2の紙面上下方向の厚さ)が30nm程度の導電性カーボン膜である。そして、負極層9cには、少なくとも負極活物質及び硫化物固体電解質が含有されている。電極体9において、導電性膜9bは、銅の圧延箔である集電体9aに接触している。圧延箔は、圧延方向の表面粗さと圧延方向に垂直な方向の表面粗さとが異なり、表面に圧延疵が形成されやすい。圧延疵が形成されると、電極体9を図2の紙面上下方向から圧縮するようにプレスした時に、この圧延疵を覆うように配置されている導電性膜9bの部位に力が集中しやすく、導電性膜9bが破損しやすい。導電性膜9bが破損すると、集電体9aに含まれている銅と負極層9cに含まれている硫化物固体電解質とが接触して反応することにより、硫化銅が生成されやすい。硫化銅は全固体電池の性能低下の一因となるため、電極体9を用いる従来の全固体電池では性能を向上させ難い。
これに対し、上述のように、電極体1では、導電性膜1bの破損を抑制することによって、硫化銅の生成を抑制できる。硫化銅の生成を抑制することにより、放電容量やクーロン効率を増大させることが可能になる。したがって、電極体1を用いる形態とすることにより、全固体電池の性能を向上させることが可能になる。
図3は、本発明の全固体電池10を説明する図である。図3に示した全固体電池10は、電極体1と、電極体2と、固体電解質層3と、を有している。電極体2は、集電体2aと、この集電体2aの表面に形成された導電性膜2bと、この導電性膜2bを介して集電体2aに接続された正極層2cと、を有している。集電体2aはアルミニウム箔であり、導電性膜2bは集電体2aの表面に形成された導電性カーボン膜である。正極層2cには、正極活物質、硫化物固体電解質、導電助剤、及び、バインダーが含有されている。また、固体電解質層3には、硫化物固体電解質及びバインダーが含有されている。
全固体電池10を製造する際には、例えば、電極体1を形成する際、電極体2を形成する際、及び、負極層1cと正極層2cとの間に固体電解質層3が配置されるように積層した後などに、図3紙面上下方向から圧縮するようにプレスする過程を経る。また、全固体電池10は、隣接する各層の界面における抵抗を低減する等の目的で、例えば、図3紙面上下方向から圧縮する締結圧力が付与された状態で、使用される。このように、全固体電池10は、その製造過程や使用時にプレスされるが、全固体電池10は電極体1を有しているので、硫化銅の生成を抑制することができる。硫化銅の生成を抑制することにより、全固体電池の性能低下を抑制することが可能になるので、本発明によれば、性能を向上させることが可能な全固体電池10を提供することができる。
本発明に関する上記説明では、導電性膜1bとして、少なくとも膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾されている導電性カーボン膜を例示したが、本発明における導電性膜は当該形態に限定されない。本発明において、Cu及び/又はFeを含有する集電体に接触する導電性膜は、例えば、全固体電池の集電体に使用可能な金属を用いて形成された金属膜(金属被覆膜)であっても良く、膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾されていない導電性カーボン膜であっても良い。ただし、集電体と負極層との密着性を高めやすい形態にすることによって、全固体電池の性能を向上させやすい形態にする等の観点からは、導電性膜は導電性カーボン膜であることが好ましく、少なくとも膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾されている導電性カーボン膜であることが特に好ましい。
また、本発明に関する上記説明では、厚さが50nm以上である導電性膜1bを例示したが、本発明における導電性膜の厚さは、これに限定されない。ただし、導電性膜が破損され難い形態にすることにより、硫化物固体電解質と集電体との接触を防止して性能低下を抑制しやすい形態にする等の観点からは、導電性膜の厚さを50nm以上にすることが好ましい。
また、本発明に関する上記説明では、銅の電解箔である集電体1aを例示したが、本発明における集電体は当該形態に限定されない。導電性膜を介して負極層に接続される集電体(図1では集電体1a)は、鉄の電解箔であっても良く、銅及び鉄を含有する電解箔であっても良い。例えば、導電性膜を介して負極層に接続される集電体が鉄の電解箔である場合には、導電性膜が破損すると硫化鉄が生成されやすい。硫化銅と同様に、硫化鉄も全固体電池の性能低下の一因になるため、導電性膜を介して負極層に接続される集電体に鉄が含まれる場合であっても、電極体1と同様の効果を奏することができる。本発明において、銅及び/又は鉄を含む電解箔であり且つ算術平均粗さRaがRa<0.6である集電体は、公知の方法によって作製することができる。
本発明において、導電性膜1bは、公知の方法によって集電体1aの表面に形成することができる。例えば、導電性膜1bが金属膜である場合には、めっき法や蒸着法等に代表される公知の方法によって作製することができる。
また、導電性膜1bが、少なくとも膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾された導電性カーボン膜(例えば、導電性アモルファスダイヤモンドライクカーボン膜等)である場合、導電性膜の膜表面のみならず膜中にも、非共有電子対を有するN原子が存在していても良い。このような導電性カーボン膜は、例えば、プラズマCVD法やイオンプレーティング法、スパッタリング法のほか、公知の化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法(蒸着法)を用いて作製することができる。例えば、導電性カーボン膜の作製時に、N原子を含まない原料ガス(例えばトルエン等)を用いて導電性カーボン膜を作製する場合には、膜表面にダングリングボンド(未結合手)を有する導電性カーボン膜を形成した後に、Nを含むガスを導入することで、膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾された導電性カーボン膜を作製することができる。このほか、N原子を含む原料ガス(例えばピリジン等)を用いて導電性カーボン膜を作製する場合には、膜表面のみならず膜中にも非共有電子対を有するN原子が存在する形態の、導電性カーボン膜を作製することができる。本発明の電極体において、膜表面に修飾された非共有電子対を有するN原子の数を増大させることによって、負極集電体と負極層との接着力を高めやすい形態にする観点からは、導電性カーボン膜を、膜表面のみならず膜中にも非共有電子対を有するN原子が存在する形態とすることが好ましい。
また、本発明において、負極層1cは、例えば、所定量のバインダーを含む液体に少なくとも負極活物質及び硫化物固体電解質を添加して混合することにより作製したスラリー状の負極組成物を、導電性膜1bの表面に塗布し乾燥する等の公知の方法によって、作製することができる。
負極層1cに含有される負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な公知の負極活物質を適宜用いることができる。そのような負極活物質としては、例えば、カーボン活物質、酸化物活物質、及び、金属活物質等を挙げることができる。カーボン活物質は、炭素を含有していれば特に限定されず、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。酸化物活物質としては、例えばNb、LiTi12、SiO等を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、Si、及び、Sn等を挙げることができる。また、負極活物質として、リチウム含有金属活物質を用いても良い。リチウム含有金属活物質としては、少なくともLiを含有する活物質であれば特に限定されず、Li金属であっても良く、Li合金であっても良い。Li合金としては、例えば、Liと、In、Al、Si、及び、Snの少なくとも一種とを含有する合金を挙げることができる。
負極活物質の形状は、例えば粒子状、薄膜状等にすることができる。負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。また、負極層1cにおける負極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
また、負極層1cに含有される硫化物固体電解質としては、全固体電池に使用可能な公知の硫化物固体電解質を適宜用いることができる。そのような硫化物固体電解質としては、例えば、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P等の硫化物系非晶質固体電解質等を例示することができる。
このほか、負極層1cには、負極活物質や固体電解質を結着させるバインダーや導電性を向上させる導電材が含有されていても良い。負極層1cに含有させることが可能なバインダーとしては、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を例示することができる。本発明において、負極層に接触している導電性膜がPAC膜である場合、導電性膜と負極層との密着性を高めることによって全固体電池の性能を高めやすい形態にする等の観点からは、負極層に、極性を有するバインダー(極性バインダー)を含有させることが好ましい。本発明で使用可能な極性バインダーとしては、アミン変性水素添加ブタジエンゴム(ABR)等を例示することができる。また、負極層1cに含有させることが可能な導電材としては、気相成長炭素繊維、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料のほか、リチウムイオン二次電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を例示することができる。
また、液体に上記負極活物質等を分散して調整したスラリー状の組成物を導電性膜1bに塗布する過程を経て負極層1cを作製する場合、負極活物質等を分散させる液体としては、酪酸ブチル等を例示することができる。負極層1cの厚さは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。また、全固体電池10の性能を高めやすくするために、負極層1cはプレスする過程を経て作製されることが好ましい。本発明において、負極層1cをプレスする際の圧力は200MPa以上とすることが好ましく、400MPa程度とすることより好ましい。なお、全固体電池10において、正極層2c及び負極層1cの質量比は特に限定されないが、正極層2cと負極層1cとの間を移動するイオンを十分に受け入れられる形態にする観点から、負極層1cの容量は正極層2cの容量も多くすることが好ましい。
また、集電体2aは、リチウムイオン二次電池の正極集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。
また、導電性膜2bは、上記導電性膜1bと同様の形態にすることができ、導電性膜1bと同様の方法で作製することができる。
また、正極層2cには、リチウムイオン二次電池の正極層に含有させることが可能な公知の活物質を適宜用いることができる。そのような正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)のほか、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、Li1+xNi1/3Mn1/3Co1/3(xは0≦x≦0.4である。)、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li1+xMn2−x−y(MはAl、Mg、Co、Fe、Ni、Znからなる群より選択される少なくとも一種以上であり、0≦x≦0.2、及び、0≦y≦0.3である。)で表される組成の異種元素置換Li−Mnスピネル、チタン酸リチウム(LiTi12)、リン酸金属リチウム(LiMPO、M=Fe、Mn、Co、Ni)等を例示することができる。
正極活物質の形状は、例えば粒子状や薄膜状等にすることができる。正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。また、正極層2cにおける正極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
正極活物質と固体電解質との界面に高抵抗層が形成され難くすることにより、電池抵抗の増加を防止しやすい形態にする観点から、正極層2cに含まれる正極活物質は、活物質や固体電解質と接触しても流動しないイオン伝導性酸化物で被覆されていることが好ましい。正極活物質を被覆するリチウムイオン伝導性酸化物としては、例えば、一般式LiAO(Aは、B、C、Al、Si、P、S、Ti、Zr、Nb、Mo、Ta又はWであり、x及びyは正の数である。)で表される酸化物を挙げることができる。具体的には、LiBO、LiBO、LiCO、LiAlO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiSO、LiTiO、LiTi12、LiTi、LiZrO、LiNbO、LiMoO、LiWO等を例示することができる。また、リチウムイオン伝導性酸化物は、複合酸化物であっても良い。正極活物質を被覆する複合酸化物としては、上記リチウムイオン伝導性酸化物の任意の組み合わせを採用することができ、例えば、LiSiO−LiBO、LiSiO−LiPO等を挙げることができる。また、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆する場合、イオン伝導性酸化物は、正極活物質の少なくとも一部を被覆してれば良く、正極活物質の全面を被覆していても良い。また、正極活物質を被覆するイオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、0.1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。なお、イオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて測定することができる。
また、正極層2cには、リチウムイオン二次電池の正極層に含有させることが可能な公知の固体電解質を適宜用いることができる。そのような固体電解質としては、LiO−B−P、LiO−SiO等の酸化物系非晶質固体電解質、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P等の硫化物系非晶質固体電解質のほか、LiI、LiN、LiLaTa12、LiLaZr12、LiBaLaTa12、LiPO(4−3/2w)(wはw<1)、Li3.6Si0.60.4等の結晶質酸化物・酸窒化物等を例示することができる。
また、正極層2cには、リチウムイオン二次電池の正極層に含有させることが可能な公知のバインダーや導電材を適宜用いることができる。そのようなバインダーや導電材としては、負極層1cに含有させることが可能な上記バインダーや導電材等を例示することができる。このほか、正極層2cには、公知の増粘剤が含有されていても良い。上記正極活物質、固体電解質、及び、バインダー等を液体に分散して調整したスラリー状の組成物を用いて正極層を作製する場合、正極活物質、固体電解質、及び、バインダー等を分散させる液体としては、酪酸ブチル等を例示することができる。また、正極層2cの厚さは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。また、全固体電池10の性能を高めやすくするために、正極層2cはプレスする過程を経て作製されることが好ましい。本発明において、正極層2cをプレスする際の圧力は400MPa程度とすることができる。
また、固体電解質層3に含有させる固体電解質としては、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質を適宜用いることができる。そのような固体電解質としては、正極層2cに含有させることが可能な上記固体電解質等を例示することができる。このほか、固体電解質層3には、可塑性を発現させる等の観点から、固体電解質同士を結着させるバインダーを含有させることができる。そのようなバインダーとしては、負極層1cに含有させることが可能な上記バインダー等を例示することができる。ただし、高出力化を図りやすくするために、固体電解質の過度の凝集を防止し且つ均一に分散された固体電解質を有する固体電解質層3を形成可能にする等の観点から、固体電解質層3に含有させるバインダーは5質量%以下とすることが好ましい。また、液体に上記固体電解質等を分散して調整したスラリー状の組成物を負極層1cや正極層2c等に塗布する過程を経て固体電解質層3を作製する場合、固体電解質等を分散させる液体としては、ヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。固体電解質層3における固体電解質材料の含有量は、質量%で、例えば60%以上、中でも70%以上、特に80%以上であることが好ましい。固体電解質層3の厚さは、全固体電池の構成によって大きく異なるが、例えば、0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
本発明において、全固体電池10は、外装体に収容した状態で使用される。そのような外装体としては、樹脂製のラミネートフィルム、樹脂製のラミネートフィルムに金属を蒸着させたフィルムや、金属製のケース等を例示することができる。
本発明に関する上記説明では、本発明の電極体1がリチウムイオン二次電池である全固体電池10に用いられる形態を例示したが、本発明の電極体1の使用形態は、これに限定されない。本発明の電極体は、正極層と負極層との間を、リチウムイオン以外のイオンが移動する形態の電池に用いられる形態とすることも可能である。そのようなイオンとしては、ナトリウムイオンやカリウムイオン等を例示することができる。リチウムイオン以外のイオンが移動する形態とする場合、正極活物質、固体電解質、及び、負極活物質は、移動するイオンに応じて適宜選択すれば良い。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明についてさらに具体的に説明する。
(1)電極体の作製
<実施例1>
・導電性カーボン膜の形成
プラズマCVD成膜装置を用いて、Cu製基材(Ra=0.2である銅の電解箔)の表面に、PAC膜を形成した。
はじめに、プラズマCVD成膜装置内にCu製基材を設置し、チャンバーを密閉して、ガス導出管に接続されたロータリーポンプ及び拡散ポンプにより、チャンバー内のガスを排気した。
Cu製基材(陰極)と陽極板との間に200Vの直流電圧を印加すると、放電が開始された。放電に伴うイオン衝撃により、Cu製基材表面の温度を所定の温度まで昇温させた。なお、Cu製基材の表面温度の測定は、赤外線放射温度計(株式会社チノー製、IR−CA)により行った。
次に、ガス導入管から反応ガスとして70sccm(≒0.118Pa・m/s)のピリジンガス及びキャリアガスとして120sccm(≒0.203Pa・m/s)の窒素ガスを導入した。この時のチャンバー内の圧力は4Paであった。Cu製基材と陽極板との間に3000Vの直流電圧を印加すると、Cu製基材の周囲で放電が開始され、Cu製基材の表面に厚さ65nmのPAC膜を形成した。
・電極体の作製
ポリプロピレン製容器に、5質量%のPVdF系バインダー(株式会社クレハ製)を含む酪酸ブチル溶液を入れた。
続いて、負極活物質(平均粒径10μmの天然黒鉛系カーボン(三菱化学株式会社製))、及び、硫化物固体電解質(LiIを含むLiS−P系ガラスセラミック(平均粒径1.5μm))を上記容器に入れ、超音波分散装置(株式会社エスエムテー製、UH−50。以下において同じ。)で30秒間に亘って攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学株式会社製、TTM−1。以下において同じ。)で30分間に亘って振とうさせた。
このようにして作製したスラリー状の負極組成物を、アプリケーターを使用して、ブレード法にて、PAC膜を形成したCu製基材の表面(PAC膜の表面)に塗工した。その後、100℃のホットプレート上で30分間に亘って乾燥させることにより、PAC膜の表面に負極層を形成し、電極体を作製した。
・正極層の作製
ポリプロピレン製容器に、5質量%のPVdF系バインダー(株式会社クレハ製)を含む酪酸ブチル溶液を入れた。
続いて、正極活物質(平均粒径4μmのLiNi1/3Co1/3Mn1/3)、硫化物固体電解質(LiIを含むLiS−P系ガラスセラミック(平均粒径0.8μm))、及び、導電助剤(気相成長炭素繊維)を上記容器に入れ、超音波分散装置で30秒間に亘って攪拌した。次に、容器を振とう器で3分間に亘って振とうさせ、さらに上記超音波分散装置で30秒間に亘って攪拌した。
上記振とう器でさらに3分間に亘って振とうすることによりスラリー状の正極組成物を作製した後、アプリケーターを使用して、ブレード法にて、昭和電工株式会社製のSDX箔(導電性カーボンがコートされたAl箔。「SDX」は昭和電工パッケージング株式会社の登録商標。)の表面に、スラリー状の正極組成物を塗工した。その後、100℃のホットプレート上で30分間に亘って乾燥させることにより、導電性カーボン膜の表面に作製された正極層を得た。
・固体電解質層の作製
ポリプロピレン製容器に、5質量%のブタジエンゴム系バインダーを含むヘプタン溶液を入れた。
続いて、硫化物固体電解質(LiIを含むLiS−P系ガラスセラミック(平均粒径2.5μm))を上記容器に入れ、超音波分散装置で30秒間に亘って攪拌した。次に、容器を振とう器で30分間に亘って振とうさせた。
このようにして作製した電解質組成物を、アプリケーターを使用して、ブレード法にて、Al箔の表面に塗工した。その後、100℃のホットプレート上で30分間に亘って乾燥させることにより、Al箔の表面に作製された固体電解質層を得た。
・全固体電池の作製
面積が1cmの金型に固体電解質層を入れ、さらにその片側に、固体電解質層と正極層とが接触するように正極層を入れ、98MPaでプレスした。次いで、プレスされた固体電解質層からAl箔を剥離し、Al箔が剥離された固体電解質層の面と負極層とが接触するように電極体を入れ、98MPaでプレスした。このようにして、負極層及び正極層の間に配置された固体電解質層を有する積層体を作製した後、この積層体を150℃に加熱しながら、5分間に亘って588MPaでプレスすることにより、実施例1の全固体電池を作製した。
<実施例2>
成膜時間及び成膜終了温度を変更することにより厚さ100nmのPAC膜を形成したほかは、実施例1の全固体電池と同様の方法で、実施例2の全固体電池を作製した。
<実施例3>
成膜時間及び成膜終了温度を変更することにより厚さ130nmのPAC膜を形成したほかは、実施例1の全固体電池と同様の方法で、実施例3の全固体電池を作製した。
<実施例4>
成膜時間及び成膜終了温度を変更することにより厚さ150nmのPAC膜を形成したほかは、実施例1の全固体電池と同様の方法で、実施例4の全固体電池を作製した。
<実施例5>
成膜時間及び成膜終了温度を変更することにより厚さ490nmのPAC膜を形成したほかは、実施例1の全固体電池と同様の方法で、実施例5の全固体電池を作製した。
<実施例6>
成膜時間及び成膜終了温度を変更することにより厚さ650nmのPAC膜を形成したほかは、実施例1の全固体電池と同様の方法で、実施例6の全固体電池を作製した。
<比較例1>
PAC膜を成膜するCu製基材として、圧延に平行な方向の表面粗さがRa=0.1であり、圧延に垂直な方向の表面粗さRa=0.2である銅の圧延箔を使用し、且つ、成膜時間及び成膜終了温度を変更することにより厚さ200nmのPAC膜を形成したほかは、実施例1の全固体電池と同様の方法で、比較例1の全固体電池を作製した。
<比較例2>
PAC膜を成膜するCu製基材として、Ra=0.6である銅の電解箔を使用し、チャンバー内の圧力を10Paとし、且つ、成膜時間及び成膜終了温度を変更することにより厚さ190nmのPAC膜を形成したほかは、実施例1の全固体電池と同様の方法で、比較例2の全固体電池を作製した。
<参考例>
成膜終了温度を変更することにより厚さが50nm未満であるPAC膜を形成したほかは、実施例1の全固体電池と同様の方法で、参考例の全固体電池を作製した。
実施例1乃至実施例6、比較例1、比較例2、及び、参考例における、PAC膜の成膜条件を表1に示す。
Figure 2015005421
(2)全固体電池の性能評価
実施例1乃至実施例6、比較例1、比較例2、及び、参考例の各全固体電池について、3時間率(1/3C)で4.55Vまで定電流定電圧充電を行い、充電容量(mAh/g)を求めた。また、充電終了後に定電流定電圧放電で3Vまで放電することにより、放電容量(mAh/g)を求め、クーロン効率を算出した。各全固体電池の充電容量、放電容量、及び、クーロン効率を、Cu製基材表面の算術平均粗さ及びPAC膜の厚さとともに、表2に示す。なお、表2において、「Ra平行」は圧延方向に平行な方向の算術平均粗さであり、「Ra垂直」は圧延方向に直角な方向の算術平均粗さである。また、電解箔は圧延箔とは異なり、Ra平行やRa垂直が想定し得ないため、実施例1乃至実施例6、比較例2、及び、参考例については算術平均粗さの値として、それぞれ1つの値のみ記載している。
Figure 2015005421
表2に示したように、銅の圧延箔を集電体として用いた比較例1、及び、算術平均粗さがRa=0.6である銅の電解箔を集電体として用いた比較例2は、クーロン効率が低下した。これは、全固体電池の製造過程におけるプレス時に、集電体の凹部に力が集中してPAC膜が破損した結果、当該破損部位を介して固体電解質と集電体とが接触し、硫化銅が生成したためである。これに対し、算術平均粗さがRa<0.6である銅の電解箔を集電体として使用した実施例1乃至実施例6は、比較例1及び比較例2よりもクーロン効率が向上した。以上の結果から、本発明によれば、全固体電池の性能を向上させることが可能であった。
また、表2に示したように、参考例の全固体電池では、算術平均粗さがRa<0.6である銅の電解箔を集電体として使用したが、放電容量及びクーロン効率が、実施例1乃至実施例6の全固体電池よりも低下した。これは、参考例の全固体電池ではPAC膜の厚さが50nm未満と薄かったため、全固体電池の製造過程におけるプレス時にPAC膜が破損した結果、当該破損部位を介して固体電解質と集電体とが接触する事態を十分に抑制できなかったためであると推察される。以上の結果から、導電性膜の厚さを50nm以上にすることで、全固体電池の性能を向上させやすくなることが示された。
1、2、9…電極体
1a、2a、9a…集電体
1b、2b、9b…導電性膜
1c、9c…負極層
2c…正極層
3…固体電解質層
10…全固体電池

Claims (5)

  1. Cu及び/又はFeを含有する集電体と、
    硫化物固体電解質及び負極活物質を含有する負極層と、
    前記集電体及び前記負極層の間に配置された導電性膜と、を有し、
    前記導電性膜に接触する前記集電体の表面は、算術平均粗さRaがRa<0.6であり、且つ、前記集電体が電解箔である、電極体。
  2. 前記導電性膜が導電性カーボン膜である、請求項1に記載の電極体。
  3. 前記導電性カーボン膜は、少なくとも膜表面に非共有電子対を有するN原子が修飾されている、請求項2に記載の電極体。
  4. 前記導電性膜は、厚さが50nm以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極体。
  5. 正極集電体、及び、前記正極集電体に接続された正極層を有する正極電極体と、
    負極層及び負極集電体、並びに、これらの間に配置された導電性膜を有する負極電極体と、
    前記正極層及び前記負極層の間に配置された固体電解質層と、を有し、
    前記負極電極体が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極体である、全固体電池。
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