JP2019160609A - 硫化物全固体電池用電極シートの製造方法 - Google Patents

硫化物全固体電池用電極シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が集電箔を構成する銅(Cu)に接触することを防止できる、硫化物全固体電池用電極シートの製造方法を提供する。【解決手段】銅箔からなる集電箔7の表面上に、硫化物固体電解質を含有しない多孔質導電層35を形成することで、多孔質導電層付き集電箔39を作製する工程と、電極活物質と結着材と硫化物固体電解質と溶媒とを混合して造粒した複数の湿潤造粒体16からなる電極合材6を、対向して回転する一対のロール1,2の間隙に通すことによって、電極合材6を圧縮しつつ膜状にし、膜状にした電極合材6を、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に付着させて、硫化物全固体電池用電極シート19を作製する工程とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、硫化物全固体電池に用いる電極シートの製造方法に関する。
特許文献1には、硫化物全固体電池に用いる電極シートとして、銅箔からなる集電箔と、この集電箔の表面上に形成された導電性樹脂層と、この導電性樹脂層の表面上に形成された電極合材層とを有する負極シートが開示されている。電極合材層を構成する電極合材には、電極活物質及び結着材の他に、硫化物固体電解質を加えることが記載されている。
特開2014−093156号公報
ところで、上述の電極シートは、例えば、以下のようにして製造される。具体的には、導電性粒子と溶融樹脂とを混合したスラリーを、銅箔からなる集電箔の表面上に塗布し、冷却することで、集電箔の表面上に導電性樹脂層を有する導電性樹脂層付き集電箔を作製する。その後、電極活物質と結着材と硫化物固体電解質と溶媒とを混合して、スラリー状態の電極合材(電極合材スラリーとする)を作製し、この電極合材スラリーを、ダイ塗工によって、導電性樹脂層付き集電箔のうち導電性樹脂層の表面上に塗布することで、電極シート(負極シート)が作製される。
ところが、電極合材スラリーは、流動性を有しているため、当該電極合材スラリーを、導電性樹脂層付き集電箔のうち導電性樹脂層の表面上に塗布すると、当該電極合材スラリーが、導電性樹脂層の内部に浸透してゆき(染み込んでゆき)、銅箔からなる集電箔に接触する虞があった。電極合材スラリーには、硫化物固体電解質が含まれているため、電極合材スラリーが集電箔に接触することで、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔を構成する銅(Cu)に接触して、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる虞があった。これにより、電極シートの性能が低下し、当該電極シートを用いて作製する硫化物全固体電池の性能が低下する虞があった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が集電箔を構成する銅(Cu)に接触することを防止できる、硫化物全固体電池用電極シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、硫化物全固体電池に用いる電極シートの製造方法において、銅箔からなる集電箔の表面上に、硫化物固体電解質を含有しない多孔質導電層を形成することで、多孔質導電層付き集電箔を作製する工程と、電極活物質と結着材と前記硫化物固体電解質と溶媒とを混合して造粒した複数の湿潤造粒体からなる電極合材を、対向して回転する一対のロールの間隙に通すことによって、前記電極合材を圧縮しつつ膜状にし、膜状にした前記電極合材を、前記多孔質導電層付き集電箔のうち前記多孔質導電層の表面上に付着させて、前記電極シートを作製する工程と、を備える硫化物全固体電池用電極シートの製造方法である。
上述の製造方法では、まず、銅箔からなる集電箔の表面上に、硫化物固体電解質を含有しない多孔質導電層を形成することで、多孔質導電層付き集電箔を作製する。このように、銅箔からなる集電箔の表面上に形成する多孔質導電層に、硫化物固体電解質を含有させないようにすることで、「銅箔からなる集電箔の表面上に多孔質導電層を形成したときに、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が集電箔を構成する銅(Cu)に接触することで、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる」ことを防止することができる。
さらに、上述の製造方法では、電極活物質と結着材と硫化物固体電解質と溶媒とを混合して造粒した複数の湿潤造粒体(湿潤粉体)からなる電極合材を、対向して回転する一対のロールの間隙に通すことによって、電極合材を圧縮しつつ膜状にし、膜状にした電極合材を、多孔質導電層付き集電箔のうち多孔質導電層の表面上に付着させて、電極シートを作製する。
ここで、湿潤造粒体は、溶媒が、複数の電極活物質と硫化物固体電解質と結着材に保持(吸収)された状態で、これらが集合(結合)した物質(粒状体)であり、流動性を有しない。また、複数の湿潤造粒体からなる電極合材は、このような湿潤造粒体の集合体であり、流動性を有しない。湿潤造粒体及び電極合材の固形分率は、例えば、70〜95wt%の範囲内の値とされる。
このように、上述の製造方法では、多孔質導電層付き集電箔のうち多孔質導電層の表面上に付着させる電極合材として、流動性を有しない湿潤造粒体からなる電極合材を使用している。このため、多孔質導電層の表面上に付着させた電極合材が、多孔質導電層の内部に浸透してゆく(染み込んでゆく)ことが生じない。従って、上述の製造方法では、「多孔質導電層の表面上に付着させた電極合材が、多孔質導電層の内部に浸透してゆき(染み込んでゆき)、銅箔からなる集電箔に接触する」ことを防止することができる。
従って、上述の製造方法によれば、電極合材として、硫化物固体電解質を含有する電極合材を使用しつつも、「硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔を構成する銅(Cu)に接触することで、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる」ことを防止することができる。
なお、多孔質導電層とは、導電性を有する多孔質層のことをいい、例えば、導電材(粒子)と結着材とを含有する多孔質層を挙げることができる。また、導電材と結着材に加えて、電極活物質(電極合材に含有させる電極活物質と同等のもの)を含む多孔質導電層としても良い。但し、多孔質導電層には、硫化物固体電解質を含有させないようにする。
また、集電箔の表面上に多孔質導電層を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、導電材(導電性粒子)と結着材と溶媒とを混合して、スラリー状態の導電合材(導電合材スラリーとする)を作製し、この導電合材スラリーを、公知のダイ塗工によって、集電箔の表面上に塗布し、乾燥させることで、集電箔の表面上に多孔質導電層を形成する方法を挙げることができる。なお、導電合材スラリーには、電極活物質(電極合材に含有させる電極活物質と同等のもの)を含有させても良い。
また、硫化物固体電解質は、硫黄元素(S)を含有し、イオン伝導性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、Li2S−P25、Li2S−P25−LiI、Li2S−P25−LiI−LiBr等を挙げることができる。
実施例1,2にかかる硫化物全固体電池用負極シートの製造方法の流れを示すフローチャートである。 実施例1,2にかかる多孔質導電層付き集電箔の概略断面図である。 実施例1,2にかかるロール成膜装置の概略図である。 同ロール成膜装置の斜視概略図である。 実施例1,2にかかる硫化物全固体電池用負極シートの概略断面図である。
(実施例1)
以下、本発明を具体化した実施例1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施例1は、硫化物全固体電池に用いる負極シートの製造に、本発明を適用したものである。本実施例1では、銅箔からなる集電箔7と、この集電箔7の表面上に形成された多孔質導電層35(第1層)と、この多孔質導電層35の表面上に形成された負極合材層8(第2層)とを有する、硫化物全固体電池用負極シート19(図5参照)を製造する。
ここで、本実施例1にかかる硫化物全固体電池用負極シート19の製造方法について、詳細に説明する。図1は、実施例1にかかる硫化物全固体電池用負極シート19の製造方法の流れを示すフローチャートである。図2は、実施例1にかかる多孔質導電層付き集電箔39の概略断面図である。図3は、硫化物全固体電池用負極シート19を製造するためのロール成膜装置20の概略図である。図4は、ロール成膜装置20の斜視概略図である。図5は、硫化物全固体電池用負極シート19の概略断面図である。
図1に示すように、まず、ステップS1(多孔質導電層付き集電箔の作製工程)において、多孔質導電層付き集電箔39を作製する。具体的には、まず、負極活物質と導電材と結着材と溶媒とを混合して、スラリー状態の導電合材(導電合材スラリーとする)を作製する。なお、本実施例1のステップS1(多孔質導電層付き集電箔の作製工程)では、負極活物質(電極活物質)として、Si粒子を用いている。また、導電材として、カーボンナノチューブを用いている。また、結着材として、フッ素系バインダを用いている。また、溶媒として、n−酪酸ブチルを用いている。なお、導電合材スラリーの固形分率は、例えば、40〜60wt%の範囲内の値とされる。
次いで、この導電合材スラリーを、公知のダイ塗工によって、銅箔からなる集電箔7の表面上に塗布し、その後、これを乾燥させる(導電合材スラリーの溶媒を除去する)。これにより、集電箔7の表面上に多孔質導電層35(導電合材スラリーを乾燥させたもの)が形成される。このようにして、集電箔7とこの表面上に形成された多孔質導電層35とを有する、多孔質導電層付き集電箔39(図2参照)が作製される。
ところで、導電合材スラリー中に硫化物固体電解質が含まれている場合は、当該導電合材スラリーを、銅箔からなる集電箔7の表面上に塗布すると、導電合材スラリーに含まれている硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔7を構成する銅(Cu)に接触して、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる虞があった。また、銅箔からなる集電箔7の表面上に形成した多孔質導電層に、硫化物固体電解質が含有している場合は、多孔質導電層に含まれる硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔を構成する銅(Cu)に接触することで、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる虞があった。これにより、硫化物全固体電池用負極シートの性能が低下し、当該硫化物全固体電池用負極シートを用いて作製する硫化物全固体電池の性能が低下する虞があった。
これに対し、本実施例1では、導電合材スラリー中に、硫化物固体電解質を含有させていない。従って、銅箔からなる集電箔7の表面上に形成した多孔質導電層35には、硫化物固体電解質が含有されていない。従って、本実施例1では、「銅箔からなる集電箔7の表面上に導電合材スラリーを塗布し、多孔質導電層を形成したときに、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が集電箔7を構成する銅(Cu)に接触することで、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる」ことを防止することができる。
次に、ステップS2(負極合材作製工程)において、負極活物質と導電材と結着材と硫化物固体電解質と溶媒とを混合して造粒することで、多数の湿潤造粒体16(湿潤粉体)を作製すると共に、多数の湿潤造粒体16からなる負極合材6を作製する。具体的には、公知の攪拌造粒機(図示なし)内に、負極活物質と導電材と結着材と硫化物固体電解質と溶媒とを投入し、攪拌することで、負極活物質と導電材と結着材と硫化物固体電解質と溶媒を混合(分散)しつつ造粒して、多数の湿潤造粒体16にする。これにより、多数の湿潤造粒体16からなる負極合材6が得られる。
なお、本実施例1のステップS2(負極合材作製工程)では、負極活物質(電極活物質)として、Si粒子を用いている。また、導電材として、カーボンナノチューブを用いている。また、結着材として、フッ素系バインダを用いている。また、溶媒として、n−酪酸ブチルを用いている。
ここで、湿潤造粒体16(湿潤粉体)は、溶媒が、複数の負極活物質(Si粒子)と導電材と硫化物固体電解質と結着材に保持(吸収)された状態で、これらが集合(結合)した物質(粒状体)であり、流動性を有しない。また、複数の湿潤造粒体16からなる負極合材6は、このような湿潤造粒体16の集合体であり、流動性を有しない。湿潤造粒体16及び負極合材6の固形分率は、例えば、70〜95wt%の範囲内の値とされる。
次に、ステップS3(負極シート作製工程)に進み、負極合材6を対向して回転する一対のロール1,2の間隙に通すことによって、負極合材6を圧縮しつつ膜状にし、膜状にした負極合材6(これが負極合材層8となる)を、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に付着させて、硫化物全固体電池用負極シート19を作製する。なお、本実施例1では、図3及び図4に示すロール成膜装置20を用いて、ステップS3(負極シート作製工程)の処理を行っている。
ロール成膜装置20は、図3及び図4に示すように、第1ロール1と第2ロール2と第3ロール3とを有している。第1ロール1と第2ロール2とは水平方向(図3において左右方向)に並んで配置されている。一方、第2ロール2と第3ロール3とは、垂直方向(図3において上下方向)に並んで配置されている。また、第1ロール1と第2ロール2とは、わずかに間隔を置いて対面している。同様に、第2ロール2と第3ロール3とも、わずかに間隔を置いて対面している。さらに、第1ロール1と第2ロール2との対面箇所の上側には、仕切り板4と5が、ロールの幅方向(軸方向、図3において紙面に直交する方向)に離間して配置されている。
また、これら3つのロール1〜3の回転方向は、図3及び図4において矢印で示すように、隣り合う(対面する)2つのロールの回転方向が互いに逆方向となるように、すなわち、対面する2つのロールが互いに順方向回転となるように設定されている。そして、第1ロール1と第2ロール2との対面箇所では、これらのロールの表面が回転により下向きに移動するようになっている。また、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所では、これらのロールの表面が回転により右向きに移動するようになっている。また、回転速度に関して、回転によるロールの表面の移動速度が、第1ロール1において最も遅く、第3ロール3において最も速く、第2ロール2ではそれらの中間となるように設定されている。
このようなロール成膜装置20では、第1ロール1と第2ロール2との対面箇所の上に位置する仕切り板4と5の間の収容空間内に、ステップS2(負極合材作製工程)において作製した負極合材6が投入される。また、第3ロール3には、ステップS1(多孔質導電層付き集電箔の作製工程)において作製した多孔質導電層付き集電箔39が掛け渡されている。多孔質導電層付き集電箔39は、第3ロール3の回転と共に、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所を通って、第3ロール3の左下から右上へと搬送されるようになっている。
なお、多孔質導電層付き集電箔39は、多孔質導電層付き集電箔39のうち集電箔7が第3ロール3に接触する向きで、第3ロール3に掛け渡されている。換言すれば、多孔質導電層付き集電箔39は、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所において、多孔質導電層35が第2ロール2側を向くようにして、第3ロール3に掛け渡されている。
また、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所には、多孔質導電層付き集電箔39が通されている状態で、さらに第2ロール2と多孔質導電層付き集電箔39との間に若干の隙間があるようにされている。すなわち、第2ロール2と第3ロール3との間の隙間(多孔質導電層付き集電箔39が存在していない状態での隙間)は、多孔質導電層付き集電箔39の厚さより少し広い。
このステップS3(負極シート作製工程)では、ロール成膜装置20の仕切り板4と5の間の収容空間内に、ステップS2(負極合材作製工程)において作製した負極合材6を投入する。投入された負極合材6は、第1ロール1と第2ロール2との対面箇所の隙間内に供給され、第1ロール1及び第2ロール2の回転により、両ロールの間の隙間を通過することによって、圧縮されて膜状となる(図3参照)。このとき、第1ロール1よりも第2ロール2のほうが回転速度が速いので、負極合材6に含まれる湿潤造粒体16は、第1ロール1の表面よりも第2ロール2の表面においてより大きく引き伸ばされると共に、第2ロール2の表面に担持される。
第2ロール2の表面に担持された膜状の負極合材6(これが負極合材層8となる)は、第2ロール2の回転と共に搬送されてゆく(図3及び図4参照)。すると、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所において、多孔質導電層付き集電箔39の多孔質導電層35と膜状の負極合材6とが出会う。これにより、膜状の負極合材6が、第2ロール2から、より移動速度の速い第3ロール3と共に回転している多孔質導電層付き集電箔39の多孔質導電層35の表面上に転写される(付着する)。これにより、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に負極合材層8が形成された、硫化物全固体電池用負極シート19が得られる。なお、硫化物全固体電池用負極シート19は、その後、公知の乾燥装置によって乾燥させて、負極合材層8(湿潤造粒体16)に含まれている溶媒を除去する(蒸発させる)のが好ましい。
ところで、本実施例1とは異なり、以下の方法によっても、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に負極合材層を形成することは可能である。具体的には、まず、負極活物質と導電材と硫化物固体電解質と結着材と溶媒とを混合して、スラリー状態の負極合材(負極合材スラリーとする)を作製する。次いで、この負極合材スラリーを、公知のダイ塗工によって、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に塗布し、その後、これを乾燥させる(負極合材スラリーの溶媒を除去する)。これにより、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に負極合材層が形成された、硫化物全固体電池用負極シートが得られる。
しかしながら、上述の方法では、負極合材スラリーが流動性を有しているため、当該負極合材スラリーを、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に塗布すると、当該負極合材スラリーが、多孔質導電層35の内部に浸透してゆき(染み込んでゆき)、銅箔からなる集電箔7に接触する虞があった。負極合材スラリーには、硫化物固体電解質が含まれているため、負極合材スラリーが集電箔7に接触することで、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔7を構成する銅(Cu)に接触して、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる虞があった。これにより、硫化物全固体電池用負極シートの性能が低下し、当該負極シートを用いて作製する硫化物全固体電池の性能が低下する虞があった。
これに対し、本実施例1の製造方法では、前述したように、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に付着させる負極合材として、流動性を有しない湿潤造粒体16からなる負極合材6を使用している。このため、多孔質導電層35の表面上に付着させた負極合材6が、多孔質導電層35の内部に浸透してゆく(染み込んでゆく)ことがない。
これにより、本実施例1の製造方法では、「多孔質導電層の表面上に付着させた電極合材が、多孔質導電層の内部に浸透してゆき(染み込んでゆき)、銅箔からなる集電箔に接触する」ことを防止することができる。従って、本実施例1の製造方法によれば、負極合材(電極合材)として、硫化物固体電解質を含有する負極合材6を使用しつつも、「硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔を構成する銅(Cu)に接触することで、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる」ことを防止することができる。
(実施例2)
本実施例2の製造方法は、実施例1の製造方法と比較して、ステップS1(多孔質導電層付き集電箔の作製工程)のみが異なり、その他は同様である。従って、ここでは、実施例1と異なる点を中心に説明し、同様な点については説明を省略または簡略化する。
本実施例2でも、銅箔からなる集電箔7と、この集電箔7の表面上に形成された多孔質導電層35(第1層)と、この多孔質導電層35の表面上に形成された負極合材層8(第2層)とを有する、硫化物全固体電池用負極シート19(図5参照)を製造する。
具体的には、本実施例2では、図1に示すように、ステップT1(多孔質導電層付き集電箔の作製工程)において、まず、負極活物質と導電材と結着材と溶媒とを混合して造粒することで、多数の湿潤造粒体を作製すると共に、多数の湿潤造粒体からなる導電合材を作製する。なお、この導電合材は、実施例1の負極合材6(湿潤造粒体16)と同様に、公知の攪拌造粒機(図示なし)を用いて作製している。但し、導電合材中には、硫化物固体電解質を含有させていない。
なお、本実施例2のステップT1(多孔質導電層付き集電箔の作製工程)でも、実施例1のステップS1と同様に、負極活物質(電極活物質)として、Si粒子を用いている。また、導電材として、カーボンナノチューブを用いている。また、結着材として、フッ素系バインダを用いている。また、溶媒として、n−酪酸ブチルを用いている。
次いで、この導電合材を、銅箔からなる集電箔7の表面上に膜状に付着させて、集電箔7の表面上に多孔質導電層35を形成する。具体的には、本実施例2のステップT1(多孔質導電層付き集電箔の作製工程)では、実施例1のステップS3(負極シート作製工程)と同様に、ロール成膜装置20(図3及び図4参照)を用いて、集電箔7の表面上に多孔質導電層35を形成している。
より具体的には、ロール成膜装置20のうち、第1ロール1と第2ロール2との対面箇所の上に位置する仕切り板4と5の間の収容空間内に、上述した湿潤造粒体からなる導電合材を投入する。また、第3ロール3には集電箔7を掛け渡し、この集電箔7が、第3ロール3の回転と共に、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所を通って、第3ロール3の左下から右上へと搬送されるようにする。このようにすることで、湿潤造粒体からなる導電合材が、対向して回転する一対のロール1,2の間隙を通ることによって膜状にされ、膜状にされた導電合材(これが導電合材層となる)が、ロール2,3の間隙を通ることによって集電箔7の表面上に付着する。
これにより、集電箔7とこの表面上に形成された多孔質導電層35とを有する、多孔質導電層付き集電箔39(図2参照)が作製される。なお、作製した多孔質導電層付き集電箔39は、その後、公知の乾燥装置を用いて乾燥させて、多孔質導電層35(湿潤造粒体)に含まれている溶媒を除去する(蒸発させる)のが好ましい。
以上説明したように、本実施例2のステップT1(多孔質導電層付き集電箔の作製工程)では、導電合材中に、硫化物固体電解質を含有させていない。従って、銅箔からなる集電箔7の表面上に形成した多孔質導電層35には、硫化物固体電解質が含有されていない。従って、本実施例2では、「銅箔からなる集電箔7の表面上に導電合材を付着させて、多孔質導電層を形成したときに、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が集電箔7を構成する銅(Cu)に接触することで、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる」ことを防止することができる。
その後、ステップT2(負極合材作製工程)において、実施例1のステップS2と同様にして、多数の湿潤造粒体16からなる負極合材6を作製する。
次いで、ステップT3(負極シート作製工程)に進み、実施例1のステップS3と同様にして、図3及び図4に示すロール成膜装置20を用いて、膜状にした負極合材6(これが負極合材層8となる)を、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に付着させて、硫化物全固体電池用負極シート19を作製する。
本実施例2の製造方法でも、実施例1と同様に、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に付着させる負極合材として、流動性を有しない湿潤造粒体16からなる負極合材6を使用している。このため、多孔質導電層35の表面上に付着させた負極合材6が、多孔質導電層35の内部に浸透してゆく(染み込んでゆく)ことがない。これにより、本実施例2の製造方法でも、「多孔質導電層の表面上に付着させた電極合材が、多孔質導電層の内部に浸透してゆき(染み込んでゆき)、銅箔からなる集電箔に接触する」ことを防止することができる。従って、本実施例2の製造方法でも、硫化物固体電解質を含有する負極合材6を使用しつつも、「硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔を構成する銅(Cu)に接触することで、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる」ことを防止することができる。
(比較例1)
比較例1では、実施例1,2とは異なり、集電箔7の表面上に多孔質導電層35を形成することなく、集電箔7の表面上に、直接、負極合材層を形成している。すなわち、本比較例1では、実施例1,2とは異なり、銅箔からなる集電箔7と、この集電箔7の表面上に形成された負極合材層(第1層)とを有する、硫化物全固体電池用負極シートを製造する。
具体的には、まず、負極活物質と導電材と硫化物固体電解質と結着材と溶媒とを混合して、スラリー状態の負極合材(負極合材スラリーとする)を作製する。次いで、この負極合材スラリーを、公知のダイ塗工によって、銅箔からなる集電箔7の表面上に塗布し、その後、これを乾燥させる(負極合材スラリーの溶媒を除去する)。このようにして、比較例1では、硫化物全固体電池用負極シートとして、集電箔7の表面上に負極合材層が形成された硫化物全固体電池用負極シートを作製している。
ところで、比較例1の製造方法では、硫化物固体電解質を含有する負極合材スラリーを、直接、集電箔7の表面上に塗布している。このため、負極合材スラリーに含まれている硫化物固体電解質が集電箔7に接触し、これにより、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が集電箔7を構成する銅(Cu)と反応して、硫化銅(CuS)が発生する虞がある。これにより、硫化物全固体電池用負極シートの性能が低下し、当該負極シートを用いて作製する硫化物全固体電池の性能が低下する虞がある。
(比較例2)
比較例2でも、実施例1,2とは異なり、集電箔7の表面上に多孔質導電層35を形成することなく、集電箔7の表面上に、直接、負極合材層を形成している。すなわち、本比較例2では、実施例1,2とは異なり、銅箔からなる集電箔7と、この集電箔7の表面上に形成された負極合材層(第1層)とを有する、硫化物全固体電池用負極シートを製造する。但し、比較例1とは異なり、複数の湿潤造粒体からなる負極合材を用いて、硫化物全固体電池用負極シートを作製している。
具体的には、まず、実施例1のステップS2と同様にして、多数の湿潤造粒体からなる負極合材を作製する。なお、実施例1と同様に、負極合材には、硫化物固体電解質を含有させている。具体的には、負極活物質と導電材と結着材と硫化物固体電解質と溶媒とを混合して造粒することで、多数の湿潤造粒体(湿潤粉体)を作製すると共に、多数の湿潤造粒体からなる負極合材を作製する。
次いで、実施例1のステップS3と同様に、図3及び図4に示すロール成膜装置20を用いて、集電箔7の表面上に、複数の湿潤造粒体からなる負極合材を膜状に付着させる。これにより、集電箔7の表面上に負極合材層が形成された硫化物全固体電池用負極シートを作製している。
上述した比較例2の製造方法でも、硫化物固体電解質を含有する負極合材を、直接、集電箔7の表面上に付着させている。このため、負極合材に含まれている硫化物固体電解質が集電箔7に接触し、これにより、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が集電箔7を構成する銅(Cu)と反応して、硫化銅(CuS)が発生する虞がある。これにより、硫化物全固体電池用負極シートの性能が低下し、当該負極シートを用いて作製する硫化物全固体電池の性能が低下する虞がある。
(比較例3)
比較例3では、実施例1,2とは異なり、スラリー状態の負極合材(負極合材スラリー)を、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に塗布して、硫化物全固体電池用負極シートを作製している。
本比較例3では、銅箔からなる集電箔7と、この集電箔7の表面上に形成された多孔質導電層35(第1層)と、この多孔質導電層35の表面上に形成された負極合材層(第2層)とを有する、硫化物全固体電池用負極シートを製造する。
具体的には、まず、実施例1のステップS1と同様にして、多孔質導電層付き集電箔39を作製する。なお、本比較例3でも、実施例1と同様に、多孔質導電層35(導電合材)中には、硫化物固体電解質を含有させていない。
その後、実施例1とは異なり、負極活物質と導電材と硫化物固体電解質と結着材と溶媒とを混合して、スラリー状態の負極合材(負極合材スラリーとする)を作製する。次いで、この負極合材スラリーを、公知のダイ塗工によって、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に塗布し、これを乾燥させる(負極合材スラリーの溶媒を除去する)。このようにして、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に負極合材層が形成された、硫化物全固体電池用負極シートを作製している。
(比較例4)
比較例4でも、実施例1,2とは異なり、スラリー状態の負極合材(負極合材スラリー)を、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に塗布して、硫化物全固体電池用負極シートを作製している。但し、比較例4では、実施例2と同様にして、多孔質導電層付き集電箔39を作製している。
本比較例4では、銅箔からなる集電箔7と、この集電箔7の表面上に形成された多孔質導電層35(第1層)と、この多孔質導電層35の表面上に形成された負極合材層(第2層)とを有する、硫化物全固体電池用負極シートを製造する。
具体的には、まず、実施例2のステップT1と同様にして、多孔質導電層付き集電箔39を作製する。すなわち、実施例2のステップT1と同様にして、多数の湿潤造粒体からなる導電合材を作製し、この導電合材を、ロール成膜装置20(図3及び図4参照)を用いて、集電箔7の表面上に膜状に付着させて、多孔質導電層付き集電箔39を作製している。なお、本比較例4でも、実施例2と同様に、多孔質導電層35(導電合材)中には、硫化物固体電解質を含有させていない。
その後、比較例3と同様にして、スラリー状態の負極合材(負極合材スラリー)を作製し、この負極合材スラリーを、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に塗布し、これを乾燥させる。このようにして、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に負極合材層が形成された、硫化物全固体電池用負極シートを作製している。
上述した比較例3,4の製造方法では、負極合材スラリーが流動性を有しているため、当該負極合材スラリーを、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に塗布すると、当該負極合材スラリーが、多孔質導電層35の内部に浸透してゆき(染み込んでゆき)、銅箔からなる集電箔7に接触する虞がある。負極合材スラリーには、硫化物固体電解質が含まれているため、負極合材スラリーが集電箔7に接触することで、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔7を構成する銅(Cu)に接触して、硫化銅(CuS)が発生する反応が起こる虞がある。これにより、硫化物全固体電池用負極シートの性能が低下し、当該負極シートを用いて作製する硫化物全固体電池の性能が低下する虞がある。
(評価試験)
次に、実施例1,2及び比較例1〜4の製造方法によって製造した硫化物全固体電池用負極シートについて、硫化銅(CuS)の発生の有無を調査した。
具体的には、まず、各々の硫化物全固体電池用負極シート(以下、単に、負極シートともいう)を用いて、実施例1,2及び比較例1〜4にかかる硫化物全固体電池をそれぞれ作製した。次いで、これらの硫化物全固体電池を、不活性ガス雰囲気とされた25℃の温度環境下に、3日間、安置(保管)した。その後、各々の硫化物全固体電池を解体して、各々の負極シートについて、公知の電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて、集電箔7の表面から10μm離間した部位(具体的には、多孔質導電層35の内部、または、負極合材層の内部)における元素分析を行い、Cu元素の検出有無を調査した。その結果を、表1に示す。
Figure 2019160609
表1に示すように、比較例1,2では、負極シートのうち、集電箔7の表面から10μm離間した部位(具体的には、負極合材層の内部)において、Cu元素が検出された。ところで、比較例1,2では、負極シートを作製する際、負極合材スラリー中には、Cu元素を含有させていない。すなわち、負極合材スラリーを構成する材料として、Cu元素を含有する材料は使用していない。従って、比較例1,2の負極合材層の内部において検出されたCu元素は、銅箔からなる集電箔7由来のCu元素であると考えられる。
具体的には、負極合材層を形成するために集電箔7の表面上に負極合材スラリーを塗布すると、負極合材スラリーに含まれている硫化物固体電解質の硫黄成分(S)が、集電箔7を構成する銅(Cu)と反応して、硫化銅(CuS)が発生したと考えられる。この硫酸銅(CuS)を構成するCu成分が、集電箔7の表面から10μm離間した部位(具体的には、負極合材層の内部)において検出されたと考えられる。
また、表1に示すように、比較例3,4でも、負極シートのうち、集電箔7の表面から10μm離間した部位(具体的には、多孔質導電層35の内部)において、Cu元素が検出された。ところで、比較例3,4では、多孔質導電層付き集電箔39を作製する際、導電合材スラリー中には、Cu元素を含有させていない。すなわち、導電合材スラリーを構成する材料として、Cu元素を含有する材料は使用していない。さらには、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に負極合材層を形成する際、負極合材スラリー中には、Cu元素を含有させていない。すなわち、負極合材スラリーを構成する材料として、Cu元素を含有する材料は使用していない。従って、比較例3,4の多孔質導電層35の内部において検出されたCu元素は、銅箔からなる集電箔7由来のCu元素であると考えられる。
具体的には、負極合材層を形成するために、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に塗布した負極合材スラリーが、多孔質導電層35の内部に浸透してゆき(染み込んでゆき)、銅箔からなる集電箔7に接触したと考えられる。これにより、負極合材スラリーに含まれている硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔7を構成する銅(Cu)と反応して、硫化銅(CuS)が発生したと考えられる。この硫酸銅(CuS)を構成するCu成分が、集電箔7の表面から10μm離間した部位(具体的には、多孔質導電層35の内部)において検出されたと考えられる。
これに対し、表1に示すように、実施例1,2では、硫化物全固体電池用負極シート19のうち、集電箔7の表面から10μm離間した部位(具体的には、多孔質導電層35の内部)において、Cu元素が検出されなかった。その理由は、以下のように考えることができる。
具体的には、まず、実施例1,2では、銅箔からなる集電箔7の表面上に多孔質導電層35を形成するための導電合材中に、硫化物固体電解質を含有させていない。このため、実施例1,2では、「銅箔からなる集電箔7の表面上に導電合材スラリーを塗布し、多孔質導電層35を形成したときに、硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が集電箔7を構成する銅(Cu)に接触することで、硫化銅(CuS)が発生する反応」が生じなかったと考えられる。従って、硫化物全固体電池用負極シート19のうち、集電箔7の表面から10μm離間した部位(具体的には、多孔質導電層35の内部)において、Cu元素が検出されなかったと考えられる。
さらに、実施例1,2では、多孔質導電層付き集電箔39のうち多孔質導電層35の表面上に付着させる負極合材として、流動性を有しない湿潤造粒体16からなる負極合材6を使用している。このため、多孔質導電層35の表面上に付着させた負極合材6が、多孔質導電層35の内部に浸透してゆく(染み込んでゆく)ことを防止できたと考えられる。これにより、負極合材6に含まれている硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔を構成する銅(Cu)に接触することを防止できたと考えられる。
従って、実施例1,2では、硫化物固体電解質を含有する負極合材6を使用しつつも、「硫化物固体電解質中の硫黄成分(S)が、集電箔を構成する銅(Cu)に接触することで、硫化銅(CuS)が発生する反応」を防止することができたと考えられる。このため、硫化物全固体電池用負極シート19のうち、集電箔7の表面から10μm離間した部位(具体的には、多孔質導電層35の内部)において、Cu元素が検出されなかったと考えられる。
以上において、本発明を実施例1,2に即して説明したが、本発明は前記実施例1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1,2では、硫化物全固体電池用電極シートとして、負極シート(硫化物全固体電池用負極シート19)を製造する方法を例示した。しかしながら、本発明は、正極シート(硫化物全固体電池用正極シート)を製造する方法にも適用することができる。
1 第1ロール
2 第2ロール
6 負極合材(電極合材)
7 集電箔
8 負極合材層
16 湿潤造粒体
19 硫化物全固体電池用負極シート(硫化物全固体電池用電極シート)
20 ロール成膜装置
35 多孔質導電層
39 多孔質導電層付き集電箔

Claims (1)

  1. 硫化物全固体電池に用いる電極シートの製造方法において、
    銅箔からなる集電箔の表面上に、硫化物固体電解質を含有しない多孔質導電層を形成することで、多孔質導電層付き集電箔を作製する工程と、
    電極活物質と結着材と前記硫化物固体電解質と溶媒とを混合して造粒した複数の湿潤造粒体からなる電極合材を、対向して回転する一対のロールの間隙に通すことによって、前記電極合材を圧縮しつつ膜状にし、膜状にした前記電極合材を、前記多孔質導電層付き集電箔のうち前記多孔質導電層の表面上に付着させて、前記電極シートを作製する工程と、を備える
    硫化物全固体電池用電極シートの製造方法。
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